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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/10 20200101AFI20220201BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220201BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
H05B47/10
F24F7/06 C
B01L1/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018025698
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019145228
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599053643
【氏名又は名称】株式会社エアレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121784
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 稔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 康司
(72)【発明者】
【氏名】井手 賢一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】益留 純
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・フルネフェルト
(72)【発明者】
【氏名】バン・スン・ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】永井 兼
(72)【発明者】
【氏名】角田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳明
(72)【発明者】
【氏名】七澤 敦士
(72)【発明者】
【氏名】米盛 明
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145052(JP,A)
【文献】特開2016-129511(JP,A)
【文献】特開2009-195563(JP,A)
【文献】特開2014-195713(JP,A)
【文献】特開2012-000742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F24F 7/06
B01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室の内部を照明する照明システムであって、
作業用照明ランプと通知用照明ランプとを備えて複数の色調の照明を有する照明手段と、当該照明手段を制御して照明の色調を変化させる制御手段とを有し、
前記制御手段によって前記通知用照明ランプの色調を変化させて、前記作業室の内部の状況に対応した色調の照明を作業室の内部で点灯することにより、
前記作業室の壁部に設けられた視認窓を介して、当該作業室の内部の環境を作業室の外部から容易に視認することができることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記作業室の内部の除染作業において、
除染用ガスを供給する供給手段を用いて、前記作業室の内部の除染を行う除染工程の際に、
前記制御手段は、前記供給手段の作動状態を検知する作動センサーを備え、
当該作動センサーが前記供給手段の作動状態を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を各作動状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記作業室の内部の除染作業において、
除染用ガスを供給する供給手段を用いて、前記作業室の内部の除染を行う除染工程と、
当該除染工程後に前記作業室の内部に充満した除染用ガスを排除するための希釈用空気を供給する給気手段と、当該作業室の内部の除染用ガス及び希釈用空気を排出する排気手段とを用いて、前記作業室の内部のエアレーションを行うエアレーション工程の際に、
前記制御手段は、前記作業室の内部の除染用ガスの濃度を検知する濃度センサーを備え、
当該濃度センサーが前記作業室の内部の除染用ガスの濃度を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業室の内部の除染用ガスの濃度の変化に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記作業室の内部の除染作業において、
前記除染工程の前に調湿手段を用いて、前記作業室の内部の湿度を調整する調湿工程の際に
前記制御手段は、前記作業室の内部の湿度を検知する湿度センサーを備え、
当該湿度センサーが前記作業室の内部の湿度を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業室の内部の湿度の変化に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする請求項2又は3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記作業室の内部の除染作業及び無菌状態での作業において、
調湿工程中、調湿完了、除染用ガス供給中、除染用ガス供給完了、除染中、エアレーション中、エアレーション完了、及び、無菌運転中の各工程の状態に合わせて、
前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を各工程の状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
外部環境に比べて陽圧状態にある作業室の内部の気密性を検査又は管理する気密性検査作業において、
前記制御手段は、前記作業室の内部の圧力を検知する圧力センサーを備え、
当該制御手段は、前記圧力センサーからの情報により前記作業室の内部の減圧速度を演算すると共に、当該減圧速度が所定の値を越えた場合に、当該作業室の気密性が破壊状態にある判断して、前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を異常事態の警告をする色調に変化させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の照明システム。
【請求項7】
前記作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、当該チャンバーの内部に作業装置を有し、
前記制御手段は、前記作業装置の作動状態を検知する作動センサーを備え、
当該作動センサーが前記作業装置の作動状態を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業装置の作動状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項8】
前記アイソレーターは、外部の作業者が前記チャンバーの内部で作業するためのグローブを有し、
前記制御手段は、前記グローブの位置を検知するエリアセンサーを備え、
当該エリアセンサーが前記グローブに作業者が腕を入れた場合、又は、前記グローブが前記作業装置の近傍にあるときに検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を変化させて作業者に注意を喚起することを特徴とする請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、
前記アイソレーターは、本体チャンバーの他に当該チャンバーの内部に物品を出し入れするための1又は2以上のパスボックスを備え、
前記チャンバー及び各パスボックスは、それぞれ独立した照明手段を有し、
前記制御手段は、前記照明手段を制御して前記チャンバーと各パスボックスの前記通知用照明ランプの色調を同時に又は別々に変化させることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の照明システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調による変化に加え、照明の点滅による変化をも行うことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を無菌状態に保って行う作業や、内部で人体に影響を及ぼす物質を取り扱う作業にも使用でき、外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室の内部を照明する照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイソレーター、クリーンベンチ、RABS(アクセス制限バリアシステム)、クリーンルームなどは、内部の無菌状態を維持することが重要である。特に医薬品製造の作業室である無菌室の除染においては、GMP(Good Manufacturing Practice)に即した高度な除染バリデーションを完了させる必要がある。
【0003】
そこで、これらの作業室の内部は、定期的に除染される。除染には過酸化水素ガスなどの除染用ガスが採用されるが、室内に除染用ガスを供給しているときや室内に除染用ガスが充満しているときに誤って無菌室に入ることは危険である。また、このような状態で無菌室の扉を開放すると内部の除染作業が損なわれるだけでなく、外部環境を汚染し且つ作業室の外部にいる作業員の健康に悪影響を及ぼすこととなる。逆に、作業室の内部が無菌状態にあるときに無菌室の扉を開放すると内部の無菌状態が損なわれる。
【0004】
従って、作業室の内部が除染の完了した無菌状態であることや、或いは、除染作業中の危険状態であることなどを作業室の外部の作業者が容易に認識できるようにすることが必要である。更に、作業者が除染作業中にある作業室の内部が現在どのような工程或いは状態にあるかを容易に認識できるようにすることが必要である。
【0005】
一方、作業室の内部で環境汚染物質を取り扱う封じ込め作業室においては、室内に環境汚染物質が存在するときに誤って作業室に入る、または作業室の扉を開放することは非常に危険である。従って、室内に環境汚染物質が存在することを作業室の外部の作業者が容易に認識できるようにすることが必要である。
【0006】
また、上述のように、作業室の内部がどのような状態にあるかを認識するというだけでなく、内部の気密性の確認作業や、作業室での作業中に内部の気密性が破壊された場合などにも、作業者に警告を発することが重要である。更に、アイソレーターなどのグローブを介した作業において、作業室の内部の装置の作動状態やグローブを介した作業者の手の位置によっては、危険な状態となることも考えられる。その場合にも、速やかに作業者に警告を発することが重要である。
【0007】
作業室の内部の状態を作業者に知らしめる方法や警告を発する方法としては、例えば、除染中の作業室の扉に注意表示を行うか、或いは、除染中を示すパイロットランプなどの警告灯で表示することが行われている。また、下記特許文献1においては、クリーンベンチの作業空間における火災の存在を作業者に知らせる方法として、火災報知センサーと警告ユニットを組み合わせることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-253203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1に提案されているクリーンベンチにおいては、危険状態が発生した際に急遽警告を発するものであり、作業室の内部の状態を作業者に知らしめる方法としては採用できない。また、注意表示やパイロットランプなどにおいては、何らかの作業ミスで注意表示やパイロットランプの点灯がなされない、或いは表示やパイロットランプが特定の位置にしかなく、作業者がこれらを見落とすという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室において、簡単な構成でもって作業室の内部の状態をどのような位置からも容易に視認できる照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、作業室の内部の状態に対応して作業室の室内照明の色調を変化させることにより、本発明の目的を達成できることを見出して本発明の完成に至った。
【0012】
即ち、本発明に係る照明システムは、請求項1の記載によれば、
外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室(10)の内部を照明する照明システムであって、
作業用照明ランプ(61a、61b)と通知用照明ランプ(62a、62b)とを備えて複数の色調の照明を有する照明手段と、当該照明手段を制御して照明の色調を変化させる制御手段とを有し、
前記制御手段によって前記通知用照明ランプの色調を変化させて、前記作業室の内部の状況に対応した色調の照明を作業室の内部で点灯することにより、
前記作業室の壁部に設けられた視認窓を介して、当該作業室の内部の環境を作業室の外部から容易に視認することができることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の照明システムであって、
前記作業室の内部の除染作業において、
除染用ガスを供給する供給手段を用いて、前記作業室の内部の除染を行う除染工程の際に、
前記制御手段は、前記供給手段の作動状態を検知する作動センサーを備え、
当該作動センサーが前記供給手段の作動状態を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を各作動状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1に記載の照明システムであって、
前記作業室の内部の除染作業において、
除染用ガスを供給する供給手段を用いて、前記作業室の内部の除染を行う除染工程と、
当該除染工程後に前記作業室の内部に充満した除染用ガスを排除するための希釈用空気を供給する給気手段と、当該作業室の内部の除染用ガス及び希釈用空気を排出する排気手段とを用いて、前記作業室の内部のエアレーションを行うエアレーション工程の際に、
前記制御手段は、前記作業室の内部の除染用ガスの濃度を検知する濃度センサー(63)を備え、
当該濃度センサーが前記作業室の内部の除染用ガスの濃度を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業室の内部の除染用ガスの濃度の変化に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項2又は3に記載の照明システムであって、
前記作業室の内部の除染作業において、
前記除染工程の前に調湿手段を用いて、前記作業室の内部の湿度を調整する調湿工程の際に
前記制御手段は、前記作業室の内部の湿度を検知する湿度センサー(66)を備え、
当該湿度センサーが前記作業室の内部の湿度を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業室の内部の湿度の変化に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項4に記載の照明システムであって、
前記作業室の内部の除染作業及び無菌状態での作業において、
調湿工程中、調湿完了、除染用ガス供給中、除染用ガス供給完了、除染中、エアレーション中、エアレーション完了、及び、無菌運転中の各工程の状態に合わせて、
前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を各工程の状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1~5のいずれか1つに記載の照明システムであって、
外部環境に比べて陽圧状態にある作業室の内部の気密性を検査又は管理する気密性検査作業において、
前記制御手段は、前記作業室の内部の圧力を検知する圧力センサー(64)を備え、
当該制御手段は、前記圧力センサーからの情報により前記作業室の内部の減圧速度を演算すると共に、当該減圧速度が所定の値を越えた場合に、当該作業室の気密性が破壊状態にある判断して、前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を異常事態の警告をする色調に変化させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1に記載の照明システムであって、
前記作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、当該チャンバーの内部に作業装置を有し、
前記制御手段は、前記作業装置の作動状態を検知する作動センサーを備え、
当該作動センサーが前記作業装置の作動状態を検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を前記作業装置の作動状態に合わせて異なる色調に変化させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載の照明システムであって、
前記アイソレーターは、外部の作業者が前記チャンバーの内部で作業するためのグローブを有し、
前記制御手段は、前記グローブの位置を検知するエリアセンサー(65)を備え、
当該エリアセンサーが前記グローブに作業者が腕を入れた場合、又は、前記グローブが前記作業装置の近傍にあるときに検知することにより、前記制御手段が前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調を変化させて作業者に注意を喚起することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項1~8のいずれか1つに記載の照明システムであって、
前記作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、
前記アイソレーターは、本体チャンバーの他に当該チャンバーの内部に物品を出し入れするための1又は2以上のパスボックスを備え、
前記チャンバー及び各パスボックスは、それぞれ独立した照明手段を有し、
前記制御手段は、前記照明手段を制御して前記チャンバーと各パスボックスの前記通知用照明ランプの色調を同時に又は別々に変化させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項1~9のいずれか1つに記載の照明システムであって、
前記制御手段は、前記照明手段を制御して前記通知用照明ランプの色調による変化に加え、照明の点滅による変化をも行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記構成によれば、本発明に係る照明システムは、外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室の内部を照明する照明システムである。また、この照明システムは、照明手段と制御手段とを有している。照明手段は、作業用照明ランプと通知用照明ランプとを備え、複数の色調の照明を有している。また、制御手段は、照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。そして、制御手段によって照明手段を制御して作業室の内部の状況に対応した色調の照明を作業室の内部で点灯する。
【0023】
このことにより、作業室の壁部に設けられた視認窓を介して、当該作業室の内部の環境を作業室の外部から容易に視認することができる。よって、本発明によれば、外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室において、簡単な構成でもって作業室の内部の状態をどのような位置からも容易に視認できる照明システムを提供することができる。
【0024】
また、上記構成によれば、作業室の内部の除染作業の除染工程において、除染用ガスを供給する供給手段を用いて、作業室の内部の除染を行う。このとき、制御手段が備える作動センサーによって、供給手段の作動状態を検知する。この作動センサーの検知により、制御手段が照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0025】
このことにより、作業室の内部が除染工程にあり注意を要する状態であることを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0026】
また、上記構成によれば、作業室の内部の除染作業の除染工程及びエアレーション工程において、除染用ガスを供給する供給手段、作業室の内部に充満した除染用ガスを排除するための希釈用空気を供給する給気手段、及び、作業室の内部の除染用ガス及び希釈用空気を排出する排気手段を用いて、作業室の内部の除染及びエアレーションを行う。このとき、制御手段が備える濃度センサーによって、作業室の内部の除染用ガスの濃度を検知する。この濃度センサーの検知により、制御手段が照明手段を制御して除染用ガスの濃度に合わせて通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0027】
このことにより、作業室の内部が除染工程にあること、又は、エアレーション工程のどの段階にあるかを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0028】
また、上記構成によれば、作業室の内部の除染作業の調湿工程において、除染工程の前に調湿手段を用いて作業室の内部の湿度を調整する。このとき、制御手段が備える湿度センサーによって、作業室の内部の湿度を検知する。この湿度センサーの検知により、制御手段が照明手段を制御して作業室の内部の湿度に合わせて通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0029】
このことにより、作業室の内部が調湿工程のどの段階にあるか、又は、調湿が完了したかを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0030】
また、上記構成によれば、作業室の内部の除染作業及び無菌状態での作業において、調湿工程中、調湿完了、除染用ガス供給中、除染用ガス供給完了、除染中、エアレーション中、エアレーション完了、及び、無菌運転中の各工程の状態に合わせて、制御手段が照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0031】
このことにより、作業室の内部が除染作業のどの工程にあるか、又は、無菌状態での作業が可能な状態にあるのかを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0032】
また、上記構成によれば、作業室の内部を外部環境に比べて陽圧状態にして作業室の内部の気密性を検査又は管理することがある。この気密性検査作業において、制御手段が備える圧力センサーによって、作業室の内部の圧力を検知する。更に、制御手段は、圧力センサーからの情報により作業室の内部の減圧速度を演算すると共に、減圧速度が所定の値を越えた場合に、作業室の気密性が破壊状態にあると判断する。気密性が破壊状態にあると判断した場合には、制御手段が照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0033】
このことにより、作業室の内部の気密性が破壊された状態にあり危険な状態であることを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0034】
また、上記構成によれば、作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、チャンバーの内部に作業装置を有している。このとき、制御手段が備える作動センサーによって、作業装置の作動状態を検知する。この作動センサーの検知により、制御手段が照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0035】
このことにより、チャンバーの内部の作業装置が作動状態にあり、或いは作業装置の作動が異常な状態にあり注意を要することを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0036】
また、上記構成によれば、作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、アイソレーターは、外部の作業者が前記チャンバーの内部で作業するためのグローブを有している。このとき、制御手段が備えるエリアセンサーによって、グローブに作業者が腕を入れた場合、又は、グローブが作業装置の近傍にあるときに検知する。このエリアセンサーの検知により、制御手段が照明手段を制御して通知用照明ランプの色調を変化させる。
【0037】
このことにより、チャンバーの内部で作業者が作業状態にあること、又は、作業者のグローブが作業装置の近傍にあり注意を要することを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0038】
また、上記構成によれば、作業室は、アイソレーターのチャンバーであって、アイソレーターは、本体チャンバーの他にチャンバーの内部に物品を出し入れするための1又は2以上のパスボックスを備えている。また、チャンバー及び各パスボックスは、それぞれ独立した照明手段を有している。このとき、制御手段は、照明手段を制御してチャンバーと各パスボックスの通知用照明ランプの色調を同時に又は別々に変化させる。
【0039】
このことにより、チャンバー及び各パスボックスがどのような状態にあるかを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【0040】
また、上記構成によれば、制御手段は、照明手段を制御して通知用照明ランプの色調による変化に加え、照明の点滅による変化をも行うようにしてもよい。
【0041】
このことにより、チャンバー及び各パスボックスがどのような状態にあるか、又は、緊急の状態となったことを容易に視認することができる。よって、上記構成によれば、上述の作用効果をより一層具体的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る照明システムが装着されたアイソレーター装置の内部を側面から見た断面の概要図である。
図2】実施例における気密性検査作業のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。
図3】実施例における除染作業の調湿工程と除染工程のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。
図4】実施例における除染作業のエアレーション工程のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。
図5】実施例における無菌状態のチャンバー内での作業に対する照明システムによる色調変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る照明システムの一実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態に係る照明システムが装着されたアイソレーター装置の内部を側面から見た断面の概要図である。なお、本実施形態においては、本発明にいう「作業室」の例としてアイソレーターのチャンバーを挙げて説明するが、これに限るものではなく、クリーンベンチ、RABS(アクセス制限バリアシステム)、クリーンルームなど外部環境と気密的に遮蔽された内部環境を含むものとする。
【0044】
まず、アイソレーター装置について説明する。図1において、アイソレーター装置1は、床面上に載置される架台2と、この架台2の上に乗載されるアイソレーター本体3とにより構成されている。架台2は、周囲をステンレス製金属板からなる壁材で覆われ、その内部には、電装及び機械室(図示せず)が収納されている。アイソレーター本体3は、チャンバー10と、給気機構20と、排気機構30とを備えている。
【0045】
なお、図1のアイソレーター装置1は、チャンバー10の無菌状態を確保するために内部を除染するための除染ガス発生装置40を備えている。また、チャンバー10の内部には、無菌状態で作動させる医薬品充填装置50が、載置されている。
【0046】
チャンバー10は、ステンレス製金属板で構成された箱体からなり、制限された吸気口及び排気口を除き作業者(図示せず)が作業を行う外部環境とは気密的に遮蔽されている。チャンバー10の前壁部10a(図示右側面)及び背壁部10b(図示左側面)には、それぞれ前扉11a及び背扉11bが設けられている。
【0047】
チャンバー10の内部の上方には、チャンバー10の内部の空気を循環する循環ファン12と、その下方にあって循環する空気を清浄化するHEPAフィルタ13と、その下方にあってHEPAフィルタ13を通過した空気を整流する整流板14とが設けられている。
【0048】
一方、チャンバー10の内部の下方には、チャンバー10の前扉11a及び背扉11bのそれぞれ内側に両扉11a、11bに並行にそれぞれ前隔壁15a及び背隔壁15bが配設されている。両隔壁15a、15bは、左右両端部(図示せず)をそれぞれ対向するチャンバー10の左右両側壁部(図示方向前面及び背面)に当接するようにして当該両側壁部により支持されている。
【0049】
また、両隔壁15a、15bは、下方端部をそれぞれ対向するチャンバー10の底壁部10cと当接することなく一定の空間を設けている。更に、両隔壁15a、15bは、上方端部をそれぞれ対向するチャンバー10の上壁部10dの下方に設けられた整流板14と当接するようにして当該整流板14により支持されている。
【0050】
このように、チャンバー10の内部に設けられた両隔壁15a、15bによって、チャンバー10の内部空間は、両隔壁15a、15bの間の空間(以下、中央空間16aという)と、両隔壁15a、15bと前後両両扉11a、11bとの間の2つの空間(以下、周辺空間16bという)とに区分けされている。また、2つの周辺空間16bの上方には、上部空間16cが区分けされている。
【0051】
チャンバー10の前壁部10a及び背壁部10bに設けられた前扉11a及び背扉11bには、それぞれ透明なガラス窓17a、17bが設けられ、また、前壁部10a及び背壁部10bに並行に設けられた前隔壁15a及び背隔壁15bにも、透明なガラス窓17c、17dが設けられている。このことにより、チャンバー10の前面又は背面に立った作業者は、両扉11a、11b及び両隔壁15a、15bに設けられたガラス窓17a、17b、17c、17dを介してチャンバー10の内部を視認することができる。
【0052】
前扉11a及び前隔壁15aを介して、外部とチャンバー10の内部空間16aとを連通させる2つの作業用開口部18aが設けられている。また、背扉11b及び背隔壁15bを介して、外部とチャンバー10の内部空間16aとを連通させる2つの作業用開口部18bが設けられている。各作業用開口部18a、18bには、それぞれ樹脂製のグローブ19a、19bの基端部が取付枠(図示せず)により気密的に取り付けられて先端部を中央空間16aに挿入されている。
【0053】
給気機構20は、外気をチャンバー10内に供給するための給気用ブロワー21と、この給気用ブロワー21から供給された空気を濾過するための給気用フィルタユニット22と、ダンパー23とを備えている。一方、排気機構30は、チャンバー10内の空気を外部に排気するための排気用ブロワー31と、この排気用ブロワー31から排気された空気を濾過するための排気用フィルタユニット32と、ダンパー33とを備えている。
【0054】
これらの給気機構20及び排気機構30は、チャンバー10内への空気の給排気以外に、チャンバー10内の空気圧を外部環境よりも陽圧に維持し、或いは、除染後のエアレーションにも使用される。このように構成されたチャンバー10の内部では、上部空間16cの空気が循環ファン12によって循環され、循環ファン12から送風された空気は、HEPAフィルタ13で清浄化され、整流板14を介して中央空間16aを上方から下方に向かう層流となって流れる。また、中央空間16aの下方に流れた空気は、周辺空間16bを介して上部空間16cに循環する。
【0055】
除染ガス発生装置40は、チャンバー10の内部を除染して無菌状態を確保する除染作業の際に使用される。この除染ガス発生装置40は、過酸化水素水の貯留タンク(図示せず)と、過酸化水素水を気化して水蒸気を含む過酸化水素ガスを発生させる気化器41とを備えている。チャンバー10内を除染する除染作業においては、気化器41で発生した過酸化水素ガス(除染用ガス)が、導入配管42を介してチャンバー10の上壁部10dから上部空間16cに供給され、循環ファン12によってチャンバー10内を循環する。
【0056】
医薬品充填装置50は、本発明にいう「作業装置」の例として挙げている。本実施形態においては、容器に医薬品を充填するための装置であって、自動又は手動であってもよい。また、本発明において作業装置とは、医薬品充填装置に限るものではなく、粉砕装置、混合装置、或いは、測定装置や加工装置などであってもよい。
【0057】
次に、このように構成されたアイソレーター装置において、本実施形態に係る照明システムについて説明する。本発明に係る照明システムは、照明手段と制御手段とを有している。照明手段は、複数の色調の照明を有している。ここで、複数の色調の照明とは、作業用の色調の照明と、これとは異なる少なくとも1つの色調の照明を有していることをいう。この異なる色調の照明とは、通常の作業時とは異なり、作業者に警告、注意喚起、又は何らかの情報を通知するための照明である。以下、作業用の色調の照明を作業用照明ランプといい、警告或いは注意喚起用の色調の照明を通知用照明ランプということとする。
【0058】
ここで、「色調」とは、広辞苑第6版(岩波書店)によれば、「色彩の強弱・濃淡の調子。いろあい。」とある。よって、本発明において「色調」とは、色の三属性(色相・明度・彩度)で表される全ての色彩(有彩色だけでなく無彩色も含む)について、それらの強弱・濃淡の調子をも含むあらゆる色をいうものとする。
【0059】
一方、制御手段は、照明手段を制御して照明の色調を変化させるものである、以下、制御装置という。この制御装置は、単独で作業用照明ランプと通知用照明ランプとを切り替えるスイッチなどであってもよく、或いは、制御回路を有したマイクロコンピュータなどの自動制御装置などであってもよい。また、制御装置は、各種センサーや演算回路などを具備したものであってもよい。なお、この制御装置は図1において図示していないが、アイソレーター装置1と離れた位置に設置してもよく、或いはアイソレーター装置1の電装及び機械室(図示せず)と同様に架台2に収納さされていてもよい。
【0060】
本実施形態においては、図1において、アイソレーター装置1に装着された照明システム60は、作業用照明ランプ61a、61b、通知用照明ランプ62a、62b、過酸化水素ガス濃度センサー63、圧力センサー64、エリアセンサー65、湿度センサー66、及び、制御装置(図示せず)を備えている。なお、本発明に係る照明システムは、これらの要素を全て備えている必要はなく、照明ランプと制御装置とを備え目的に合わせてその他の要素を組み合わせるようにすればよい。
【0061】
図1において、作業用照明ランプ61a、61bは、HEPAフィルタ13と整流板14との間の空間に配設されている。なお、作業用照明ランプ61a、61bの配設位置は、これに限るものではなく、チャンバー10内の他の位置に配設するようにしてもよい。この作業用照明ランプ61a、61bは、作業者がグローブ19a、19bを介してアイソレーター装置1のチャンバー10内で作業を行うための照明であって、特に種類を限定するものではない。例えば、チャンバー10の広さ、作業の種類などにより、色調及び照度などを適宜選定することができる。本実施形態においては、2本の白色蛍光管を採用した。なお、この作業用照明ランプ61a、61bの点灯と消灯も制御装置により行うようにしてもよい。
【0062】
図1において、通知用照明ランプ62a、62bは、それぞれ異なる位置に配設されている。一方の通知用照明ランプ62aは、HEPAフィルタ13と整流板14との間の空間の作業用照明ランプ61a、61bと同じ位置に配設されている。また、他方の通知用照明ランプ62bは、中央空間16aの背隔壁15b上方に配設されている。なお、通知用照明ランプ62a、62bの配設位置は、これらに限るものではなく、作業室の内部の環境を作業室の内部又は外部から容易に視認できるのであればチャンバー10内の他の位置に配設するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、2つの通知用照明ランプ62a、62bをそれぞれ別の位置に配設したが、2つ以上の通知用照明ランプを同じ位置に配設するようにしてもよい。更に、本実施形態においては、2つの通知用照明ランプを採用するものであるが、これに限るものではなく、1つだけ或いは3つ以上の通知用照明ランプを採用するようにしてもよい。なお、1つの通知用照明ランプを採用する場合には、1つの照明ランプが単色の色調を表現するものであっても、複数の色調を表現できるものであってもよい。また、2つ以上の通知用照明ランプを採用する場合には、それぞれが単色の色調を表現するものであって、複数の照明ランプでもって複数の色調を表現するようにしてもよい。
【0064】
これらの通知用照明ランプ62a、62bは、アイソレーター装置1の外部環境にいる作業者に、チャンバー10内の状態を知らせるための照明である。従って、作業時に使用する白色照明とは異なる色調の照明ランプであり、上述のように複数の色調に変化する照明ランプであってもよい。本実施形態においては、RGBによる色調変化が可能なLEDランプを採用した。このLEDランプを採用することにより、1つ又は少数の照明ランプで複数又は多くの色調を表現することができる。なお、色調変化が可能なLEDランプに限るものではなく、単一光のLEDランプ又は蛍光管を複数採用するようにしてもよい。
【0065】
過酸化水素ガス濃度センサー63は、チャンバー10の底壁部10cから中央空間16a内にセンサー本体を挿入して、除染作業時のチャンバー10の内部の過酸化水素ガス濃度を検知する。この過酸化水素ガス濃度センサー63は、チャンバー10内の除染作業において、除染工程で除染ガス発生装置40からチャンバー10内に導入される過酸化水素ガスの濃度、及び、エアレーション工程でチャンバー10内の減少する過酸化水素ガスの濃度を逐次検知して制御装置に情報を送信する。よって、作業者にチャンバー10内の過酸化水素ガス濃度がどの程度であるかを知らせ警告又は注意喚起することができる。
【0066】
なお、過酸化水素ガス濃度センサー63の測定原理は、紫外線励起蛍光方式(酵素触媒除去方式過酸化反応)など種々のものがあるが、センサーの機種と測定原理は、特に限定するものではなく、アイソレーター装置の除染作業に適したものを適宜採用すればよい。
【0067】
また、本実施形態では過酸化水素ガス濃度センサーを採用するが、これに替えて、除染ガス発生装置40の作動状態を検知する作動センサーを採用するようにしてもよい。この作動センサーは、除染ガス発生装置40の作動状態を検知して制御装置に情報を送信する。よって、作業者にチャンバー10内に過酸化水素ガスが供給されていることを知らせて警告又は注意喚起することができる。なお、作動センサーを採用した場合には、除染工程での過酸化水素ガスの供給を検知することはできるが、チャンバー10内の過酸化水素ガスの濃度の変化を逐次検知することはできない。
【0068】
圧力センサー64は、チャンバー10の底壁部10cから導出される配管64aを介して、チャンバー10の内部の圧力を逐次検知して制御装置に情報を送信する。この圧力センサー64は、チャンバー10内の気密性試験において、又は、アイソレーター装置での作業中において、チャンバー10内の気密性が破壊されたことを検知する際に使用される。気密性試験については後述する。よって、作業者にチャンバー10内の気密性が破壊されたことを知らせ警告又は注意喚起することができる。
【0069】
なお、圧力センサー64の測定原理は、ブルドン管圧力計、ダイアフラム圧力計、ベロー圧力計、液柱圧力計など種々のものがあるが、センサーの機種と測定原理は、特に限定するものではなく、アイソレーター装置の気密性試験に適したものを適宜採用すればよい。
【0070】
エリアセンサー65は、チャンバー10の前隔壁15aから中央空間16a内に向けてグローブ19aの位置に配設されている。このエリアセンサー65の位置をグローブ19aの腕部に調節することにより、作業者がグローブ19aに腕を入れた場合に検知して制御装置に情報を送信する。また、このエリアセンサー65の位置を医薬品充填装置50の近傍に調節することにより、作業者が作動する医薬品充填装置50にグローブ19aに挿入した手を近づけた際に検知して制御装置に情報を送信する。よって、作業者に作動する医薬品充填装置50に近付いたことを知らせ警告又は注意喚起することができる。
【0071】
なお、エリアセンサー65の測定原理は、光電センサーなど種々のものがあるが、センサーの機種と測定原理は、特に限定するものではなく、アイソレーター装置内での作業に適したものを適宜採用すればよい。
【0072】
また、本実施形態では作業者が医薬品充填装置50にグローブ19aを近づけた際の検知にエリアセンサー65を採用するが、これに替えて、医薬品充填装置50の作動状態を検知する作動センサーを採用するようにしてもよい。この作動センサーは、医薬品充填装置50の作動状態を検知して制御装置に情報を送信する。よって、作業者に医薬品充填装置50が作動していること、或いは作業装置の作動が異常な状態にあることを知らせ警告又は注意喚起することができる。
【0073】
湿度センサー66は、チャンバー10の背壁部10bから上部空間16c内にセンサー本体を挿入して、除染作業時の調湿工程、又は、アイソレーター装置内での作業中において、チャンバー10内の湿度を逐次検知して制御装置に情報を送信する。よって、作業者にチャンバー10内の湿度がどの程度であるかを知らせ注意喚起又は通知することができる。
【0074】
なお、湿度センサー66の測定原理は、抵抗式、静電容量式などの高分子センサーやセラミックセンサーなど種々のものがあるが、センサーの機種と測定原理は、特に限定するものではなく、アイソレーター装置内での湿度測定に適したものを適宜採用すればよい。
【0075】
制御装置(図示せず)は、上記各センサーからの情報を受けて予め設定されたプログラムに従って、照明手段(作業用照明ランプ61a、61b、及び、通知用照明ランプ62a、62b)を制御して照明の色調を変化させる。なお、制御装置は、照明の色調を変化させるだけでなく、照明手段を制御して照明を点滅させるようにしてもよい。なお、各センサーとの具体的な対応については後述する。
【0076】
このように、照明の色調が通常の作業時の色調と異なる色調となることにより、作業者に警告、注意喚起又は何らかの情報を通知することができる。なお、通知用照明ランプ62a、62bはチャンバー10内に配設されており、チャンバー10内の全ての壁面を照射するので、チャンバー10の外部にいる作業者がチャンバー10内の状態をどのような位置からも容易に視認することができる。
【0077】
次に、上述のように構成したアイソレーター装置及び照明システムを用いて行う各種作業を実施例により説明する。なお、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例
【0078】
本実施例は、アイソレーター装置での一連の作業の際に、照明システム60を有効に活用するものである。本実施例は、チャンバー10内の気密性を確認する気密性検査作業、チャンバー10内の無菌状態を確保する除染作業、及び、無菌状態のチャンバー10内での作業に関するものである。以下に各作業と照明システム60の有効性について説明する。
【0079】
1.気密性検査作業
図2は、本実施例における気密性検査作業のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。図1において、アイソレーター装置1の両扉11a、11bを封鎖し、給排気機構20、30の両ダンパー23、33を閉鎖した状態から気密性検査作業を開始する。
【0080】
図2のステップS1において、チャンバー10内の圧力を外部環境よりも陽圧に加圧する。具体的には、給気機構20のダンパー23を開放しブロワー21を駆動してチャンバー10の内部に空気を供給する。このとき、照明システム60の制御装置により、チャンバー10内は作業用照明ランプ61a、61bにより白色光で照明されている。また、圧力センサー64が作動して、チャンバー10の内部圧に関する情報を制御装置に送信している。
【0081】
次に、ステップS2において、チャンバー10の内部圧が気密性検査作業において予め設定された圧力に達した場合、圧力センサー64からの情報が制御装置に送信される。これにより、制御装置は、チャンバー10の内部圧が所定の圧力に達したことを通知するために、作業用照明ランプ61a、61bの白色光を点滅させる。このことにより、アイソレーター装置1の外部にいる作業者は、アイソレーター装置1のガラス窓17a、17b、17c、17dを介してチャンバー10の内部圧が所定の圧力に達したことを容易に視認することができる。
【0082】
次に、ステップS3において、チャンバー10内の加圧を停止し、圧力センサー64による内部圧の測定を継続する。これらの測定値は、圧力センサー64から制御装置に逐次送信される。本実施例においては、制御装置により通知用照明ランプ62a、62bを点灯すると共に色調を黄色に制御して、チャンバー10内を黄色光で照明する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が黄色光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10内が内部圧の変化を測定中であることを容易に視認することができる。
【0083】
次に、ステップS4において、圧力センサー64によるチャンバー10の内部圧を計測しながら、制御装置による内部圧の減圧速度を演算する。減圧速度の演算は、制御装置に予め設定されたプログラムに従って、単位時間当たりの圧力変化(減圧量)で示される。また、気密性検査を行う個々のアイソレーター装置に対して減圧速度の限界値(設定値)が設定されており、この設定値を越えた大きな減圧速度が算出された場合には、制御装置はこれを気密性の破壊として判断する。
【0084】
気密性の破壊と判断した場合には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を赤色に変化させると共に点滅させて警告を発する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が赤色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の気密性が破壊状態にあることを容易に視認することができる。
【0085】
一方、ステップS4において、減圧速度の演算を繰り返しながら予め設定された時間内に気密性の破壊を検出しなかった場合には、ステップS5において所定時間の経過を確認する。ステップS5で所定時間の経過を確認するまで気密性の破壊が検出されない場合には、チャンバー10内は黄色光で照明されている。
【0086】
ステップS5で所定時間の経過を確認した場合には、ステップS6において気密性検査を終了する。気密性検査が終了した場合には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して黄色の点滅光に変化させて通知する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が黄色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の気密性検査が終了したことを容易に視認することができる。
【0087】
2.除染作業
図3は、本実施例における除染作業の調湿工程と除染工程のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。また、図4は、本実施例における除染作業のエアレーション工程のフローチャートに対する照明システムによる色調変化を示す図である。上述した気密性検査作業で気密性の破壊を検出しなかったアイソレーター装置1に対して、除染工程に先立って調湿工程でチャンバー10の内部の調湿を行う。
【0088】
図3のステップS7において、給気機構20のダンパー23を調節しブロワー21を駆動してチャンバー10の内部に空気を供給すると共に、排気機構30のダンパー33を調節しブロワー31を駆動してチャンバー10の内部の空気を排気する。この給排気と共にチャンバー10内の循環ファン12を駆動する。この状態で、チャンバー10の内部の湿度を予め設定した除染に適した湿度に調整する。なお、チャンバー10内への加湿は、給気機構20を経由するものであってもよく、別途設けられた加湿器によるものであってもよい。
【0089】
このとき、照明システム60の制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を紺色に変化させる。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が紺色光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の内部が調湿作業中であることを容易に視認することができる。また、湿度センサー66が作動して、チャンバー10内の湿度に関する情報を制御装置に送信している。
【0090】
次に、チャンバー10内の湿度が予め設定された湿度となった場合には、ステップS8において調湿工程を終了する。このとき、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して紺色の点滅光に変化させて通知する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が紺色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の調湿工程が終了したことを容易に視認することができる。
【0091】
調湿工程の終了の通知により、続く除染工程に備え調湿を停止すると共に給気機構20及び排気機構30を閉鎖する。次に、除染工程を開始する。まず、ステップS9において、チャンバー10内に除染用ガスを供給する。本実施例においては、除染用ガスとして過酸化水素ガスを採用した。
【0092】
過酸化水素ガスの供給は、除染ガス発生装置40により行った。除染ガス発生装置40の気化器41により過酸化水素水を気化して水蒸気を含む過酸化水素ガスを発生させ、導入配管42を介してチャンバー10の上壁部10dから上部空間16cに供給した。このとき、循環ファン12を駆動してチャンバー10内の過酸化水素ガスを循環した。
【0093】
このとき、照明システム60の制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を紫色に変化させて警告する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が紫色光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の内部が除染作業中であることを容易に視認することができる。また、濃度センサー63が作動して、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度に関する情報を制御装置に送信している。
【0094】
次に、ステップS10において、チャンバー10内に過酸化水素ガスを供給しながら濃度センサー63による過酸化水素ガス濃度の測定を継続する。これらの測定値は、濃度センサー63から制御装置に逐次送信される。
【0095】
次に、ステップS11において、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度が除染作業において予め設定された濃度に達した場合、濃度センサー63からの情報が制御装置に送信される。これにより、制御装置は、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度が除染に適切な所定の濃度に達したことを通知するために、通知用照明ランプ62a、62bの紫色光を点滅させる。このことにより、アイソレーター装置1の外部にいる作業者は、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度が所定の濃度に達したことを容易に視認することができる。
【0096】
チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度が所定の濃度に達した場合には、除染ガス発生装置40を停止して過酸化水素ガスの供給を終了する。この状態で除染を完結するために所定時間放置する。次に、ステップS12において所定時間の経過を確認する。ステップS12で所定時間の経過を確認するまで、チャンバー10内は紫色光で照明されて除染中であることを通知している。
【0097】
ステップS12で所定時間の経過を確認した場合には、ステップS13において除染工程を終了する。除染工程が終了した場合には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して紫色の点滅光に変化させて通知する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が紫色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の除染工程が終了したことを容易に視認することができる。
【0098】
除染工程の終了の通知により、図4のステップS14において、エアレーション工程を開始する。このとき、照明システム60の制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を濃緑色に変化させて警告する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が濃緑色光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の内部がエアレーション工程に入ることを容易に視認することができる。また、濃度センサー63が作動して、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度に関する情報を制御装置に送信している。
【0099】
次に、ステップS15において、清浄空気(希釈用空気)の供給・排気を開始する。具体的には、給気機構20を駆動してチャンバー10内に清浄空気(希釈用空気)を導入してチャンバー10内の過酸化水素ガスを希釈する。更に、排気機構30を駆動してチャンバー10内の過酸化水素ガスと希釈用空気とを外部に排気する。これらを継続することで、チャンバー10内の過酸化水素ガスが全て外部に排気される。
【0100】
このとき、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して通知用照明ランプ62a、62bの濃緑色光を点滅させる。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が濃緑色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10の内部がエアレーション中であることを容易に視認することができる。また、濃度センサー63が作動して、チャンバー10内の過酸化水素ガス濃度に関する情報を制御装置に送信している。
【0101】
次に、ステップS16において、チャンバー10内への清浄空気(希釈用空気)の供給・排気を継続しながら、濃度センサー63による過酸化水素ガス濃度の測定を継続する。これらの測定値は、濃度センサー63から制御装置に逐次送信される。本実施例においては、制御装置に予め設定されたプログラムに従って、通知用照明ランプ62a、62bの色調を濃緑色の点滅光(高濃度の過酸化水素ガスに対応)から淡緑色の点滅光(低濃度の過酸化水素ガスに対応)にグラデーション変化させる。
【0102】
このようにして、チャンバー10内の過酸化水素ガスが希釈されて濃度が濃度センサー63の検出限界に至った場合には、ステップS18においてエアレーション工程を終了する。エアレーション工程が終了した場合には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して青色の点滅光に変化させて通知する。この青色の点滅光による通知は、数分間継続する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が青色の点滅光で数分間照射されるので、チャンバー10の外部にいる作業者は、チャンバー10のエアレーション工程が終了して無菌状態が確保されたことを容易に視認することができる。
【0103】
エアレーション工程の終了の通知により、給気機構20及び排気機構30を通常運転に切り替える。次に、ステップS19において、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを消灯し、作業用照明ランプ61a、61bの白色光を点灯してチャンバー10の無菌状態が確保されており作業が可能であることを通知する。
【0104】
3.無菌状態のチャンバー内での作業
図5は、本実施例における無菌状態のチャンバー内での作業に対する照明システムによる色調変化を示す図である。上述した無菌状態が確保されたアイソレーター装置1において、外部の作業者がグローブを介して作業を開始する。
【0105】
図5のステップS19において、チャンバー10の内部は、無菌状態が確保された状態にあり、照明システム60の制御装置により作業用照明ランプ61a、61bの白色光が点灯している。
【0106】
次に、ステップS20において、チャンバー10の外部の作業差がグローブ19a、19bを介して作業を開始する。このとき、制御装置により、チャンバー10内は作業用照明ランプ61a、61bにより白色光で照明されている。また、圧力センサー64が作動して、作業中における気密性の破壊を監視している。更に、チャンバー10の内部には医薬品充填装置50が駆動しており、医薬品充填装置50の駆動状態を検知する作動センサー(図示せず)と、この医薬品充填装置50の近傍にエリアセンサー65が作動している。以下、各センサーの作用と照明システムによる色調変化について説明する。
【0107】
まず、ステップS21において、圧力センサー64の作用は、上述の気密性検査の場合と同様である。ここでは、給気機構20と排気機構30が共に通常運転状態にあり、チャンバー10の内部圧は一定に保たれている。ここでも、制御装置は内部圧の減圧速度を演算している。しかし、作業中に何らかの異常が発生し気密性が破壊された場合、圧力センサー64からの情報により制御装置が設定値を越えた大きな減圧速度を算出し、気密性の破壊として判断する。
【0108】
気密性の破壊と判断された場合には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を赤色に点灯させると共に点滅させて警告を発する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が赤色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部から作業している作業者は、チャンバー10の気密性が破壊状態にあることを容易に視認することができる。
【0109】
一方、ステップS22において、減圧速度の演算を繰り返しながら作業中に気密性の破壊を検出せず所定の作業が完了した場合には、ステップS24において作業を終了する。作業中に気密性の破壊が検出されない場合には、チャンバー10内は作業用の白色光で照明されている。
【0110】
次に、ステップS22において、エリアセンサー65の作用によりグローブ19aを付けた作業者の手が稼働する医薬品充填装置50の近傍に近付いた場合に、注意を喚起する意味で照明システム40が作用する。具体的には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を橙色に点灯させると共に点滅させて注意を喚起する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が橙色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部から作業している作業者は、自分の手が稼働する医薬品充填装置50の近傍に近付いたことを容易に視認することができる。
【0111】
次に、ステップS23において、作動センサー(図示せず)の作用により医薬品充填装置50の稼働に異常をきたした場合に、警告を発する意味で照明システム40が作用する。具体的には、制御装置は、通知用照明ランプ62a、62bを制御して色調を赤紫色に点灯させると共に点滅させて警告する。このことにより、チャンバー10内の全ての壁面が赤紫色の点滅光で照射されるので、チャンバー10の外部から作業している作業者は、医薬品充填装置50の稼働に何らかの異常が発生したことを容易に視認することができる。
【0112】
以上説明したように、本発明においては、外部環境と気密的に遮蔽することのできる作業室において、簡単な構成でもって作業室の内部の状態をどのような位置からも容易に視認できる照明システムを提供することができる。
【0113】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限らず、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、照明システムをアイソレーターのチャンバーに配設して説明するものであるが、これに限るものではなく、クリーンベンチ、RABS(アクセス制限バリアシステム)、クリーンルームなど外部環境と気密的に遮蔽された内部環境を有するものであれば、どのような作業室にも照明システムを適用することができる。
(2)上記実施形態においては、アイソレーターのチャンバー内の状況に合わせて各状況を異なる色調で照明、又は点滅するように変化させるが、これに限るものではなく、危険などを検知した際にのみ警告を発するようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、アイソレーターのチャンバー内の過酸化水素ガス濃度を検知して照明の色調をグラデーション変化させるが、これに限るものではなく、除染用ガス発生装置に作動センサーを備え、チャンバー内に過酸化水素ガスが供給されている際にのみ警告を発するようにしてもよい。
(4)上記実施形態においては、アイソレーターのチャンバーに配設された医薬品充填機器の近傍にエリアセンサーを配設して、稼働する機器の近傍に作業者がグローブに挿入した手を近づけた際に注意を喚起するものであるが、これに限るものではなく、作業者がグローブに腕を挿入した際に注意を喚起するようにしてもよい。
(5)上記実施形態においては、アイソレーターのチャンバー内の調湿工程において、調湿の開始と完了のみを通知するものであるが、これに限るものではなく、湿度センサーの検知した湿度の値に合わせて調湿作業中に変化する湿度状態を逐次通知するようにしてもよい。
(6)上記実施形態においては、照明システムにおいてRGBによる色調変化が可能なLEDランプを採用するものであるが、これに限るものではなく、単一光のLEDランプ又は蛍光管を複数採用するようにしてもよい。
(7)上記実施形態においては、照明システムをアイソレーターのチャンバーに配設して説明するものであるが、これに限るものではなく、1又は2以上のパスボックスを備えたアイソレーターにおいて、チャンバーと各パスボックスにそれぞれ通知用照明ランプを配設して、チャンバー及び各パスボックスの照明の色調を独立して変化させるようにしてもよい。
(8)上記実施形態においては、無菌環境で作業する無菌アイソレーターに照明システムを配設して説明するものであるが、これに限るものではなく、チャンバーの内部で環境汚染物質を取り扱う封じ込めアイソレーターに照明システムを配設して、チャンバーの内部に環境汚染物質が存在して危険な状態にあることをアイソレーターの外部の作業者に警告するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…アイソレーター装置、2…架台、3…アイソレーター本体、
10…チャンバー、10a、10b、10c、10d…壁部、
11a、11b…扉、12…循環ファン、13…HEPAフィルタ、14…整流板、
15a、15b…隔壁、16a、16b、16c…空間、
17a、17b、17c、17d…ガラス窓、18a、18b…作業用開口部、
19a、19b…グローブ、20…給気機構、30…排気機構、
21、31…ブロワー、22、32…フィルタユニット、23、33…ダンパー、
40…除染ガス発生装置、41…気化器、42…導入配管、50…医薬品充填装置、
60…照明システム、61a、61b…作業用照明ランプ、
62a、62b…通知用照明ランプ、63…過酸化水素ガス濃度センサー、
64…圧力センサー、65…エリアセンサー、66…湿度センサー。
図1
図2
図3
図4
図5