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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】改善された飛行システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 15/02 20060101AFI20220201BHJP
   B64C 29/04 20060101ALI20220201BHJP
   B64D 33/04 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B64C15/02
B64C29/04
B64D33/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020550905
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018084051
(87)【国際公開番号】W WO2019110830
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】17306723.2
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518356305
【氏名又は名称】ジップエール
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステル シャロン
(72)【発明者】
【氏名】フランキー ザパタ
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特公昭42-016714(JP,B1)
【文献】英国特許出願公開第01250811(GB,A)
【文献】国際公開第2017/174942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 15/02
B64C 29/04
B64D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に垂直な方向に向けられ、垂直離着陸能力を提供し、実質的に第1軸に沿ってスラスト出力を供給するように構成された推力エンジン(302)と、
前記推力エンジンに可動に連結された偏向器アセンブリ(304)と、を備え、
前記偏向器アセンブリ(304)は一対の偏向ガイド(306a、306b)を含み、前記偏向ガイド(306a、306b)のそれぞれは、前記スラスト出力(302b)の一部を選択的に偏向するように互いに独立に動くことが可能であり、前記偏向器アセンブリ(304)は、前記第1軸(314)に対して角度(α)を付けられた少なくとも2つの推力ベクトルの方向に前記スラスト出力を逸らすように構成されることを特徴とする、推力システム(300)。
【請求項2】
少なくとも2つの推力ベクトルは全て実質的に同じ大きさを有する、請求項1に記載の推力システム(300)。
【請求項3】
各推力ベクトルは、前記第1軸(314)に対して約45度と約90度の間の角度(α)をなす、請求項1または2に記載の推力システム(300)。
【請求項4】
各推力ベクトルは、前記第1軸(314)に対して実質的に同じ角度(α)をなす、請求項1から3のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項5】
前記偏向ガイド(306a、606b)に連結され、前記推力エンジン(302)に対する前記偏向ガイドの位置を制御可能に調整するアクチュエータ(310)をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(310)と通信する制御器をさらに備え、前記制御器は、操作者(1)およびセンサの少なくとも一方からの1つ以上の信号に応じて前記アクチュエータ(310)を作動させるように構成される、請求項5に記載の推力システム(300)。
【請求項7】
前記偏向ガイド(306a、306b)は、それぞれ、実質的に平面状であり、前記第1軸に実質的に垂直な平面内に配置される、請求項1から6のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項8】
前記偏向ガイド(306a、306b)は、前記平面内で互いに向かっておよび互いから離れるように動くことが可能である、請求項7に記載の推力システム(300)。
【請求項9】
前記偏向ガイド(306a、306b)は、それぞれ、前記スラスト出力を偏向する実質的に曲がった表面を定める、請求項1から6のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項10】
前記偏向ガイド(306a、306b)は、それぞれ、前記スラスト出力を偏向する、実質的に半円形状の断面を有する表面を定める、請求項1から6のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項11】
前記偏向ガイド(306a、306b)は前記推力エンジンに対して回転可能である、請求項1から10のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項12】
前記偏向ガイド(306a、306b)は前記第1軸(314)に実質的に垂直な第2軸の周りに回転可能である、請求項1から11のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項13】
前記第2軸は前記推力エンジンの前記スラスト出力の上方に位置する、請求項12に記載の推力システム(300)。
【請求項14】
前記推力エンジン(302)は、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、およびターボプロップエンジンのうちの1つである、請求項1から13のいずれかに記載の推力システム(300)。
【請求項15】
乗員を支持するように構成された台(11)と、
前記台(11)に連結された推力システム(300)と、を備え、
前記推力システム(300)は実質的に第1軸(314)に沿ってスラスト出力を供給するように構成され、
前記推力システム(300)は請求項1から14のいずれかに記載されたものであることを特徴とする、推進装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、それぞれではないが、好ましくは、一人以上の乗員が敏捷性および身体構成を介して非常に自由に動きながら空中を移動できる乗員推進装置に関する。また、そのような推進装置、特にそれらの台の構成は、商品、貨物、器具、工具、機器などを輸送するために設計されてもよい。本開示は、特に前記推進装置に含まれた推力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、空間をできる限り自由に動き回ることができることに常に夢中になってきた。このような目標を達成するために様々な取り組みが行われてきた。例えば、飛行装置は、米国特許第3,243,144号および第3,381,917号で、さらに最近では米国特許第7,258,301号または米国特許出願公開第2013/0068895号で提供されている。それらは遠く離れた流体加圧ステーションを使用する。そのような装置および開示にもかかわらず、容量および可動性の欠点は、大規模展開および採用を可能にする方法において、アクロバティックな能力、高速および低速での水面および地面上でのまたはそれらを横切る正確な移動を望むパイロット志望者にとって残ったままである。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、実質的に第1軸に沿ってスラスト出力を供給するように構成された推力エンジンと、推力エンジンに可動に連結された偏向器アセンブリと、を含み、偏向器アセンブリは、スラスト出力の一部を選択的に偏向するように協働して動くことが可能な一対の偏向ガイドを含み、第1軸に対して角度を付けられた少なくとも2つの推力ベクトルの方向にスラスト出力を逸らすように構成される、推力システムを提供する。少なくとも2つの推力ベクトルは全て実質的に同じ大きさを有してもよい。各推力ベクトルは、第1軸に対して約45度と約90度の間の角度をなしてもよい。各推力ベクトルは、第1軸に対して実質的に同じ角度をなしてもよい。推力システムは、偏向ガイドに連結され、推力エンジンに対する偏向ガイドの位置を制御可能に調整するアクチュエータを含んでもよい。システムは、アクチュエータと通信する制御器を含み、制御器は、操作者およびセンサの少なくとも一方からの1つ以上の信号に応じてアクチュエータを作動させるように構成されてもよい。偏向ガイドは、それぞれ、実質的に平面状であり、第1軸に実質的に垂直な平面内に配置されてもよい。偏向ガイドは、平面内で互いに向かっておよび互いから離れるように動くことが可能でもよい。偏向ガイドは推力エンジンに対して回転可能でもよい。偏向ガイドは第1軸に実質的に垂直な第2軸の周りに回転可能でもよい。第2軸は推力エンジンのスラスト出力の上方に位置してもよい。偏向ガイドは、それぞれ、スラスト出力を偏向する実質的に曲がった表面を定めてもよい。偏向ガイドは、それぞれ、スラスト出力を偏向する、実質的に半円形状の断面を有する表面を定めてもよい。推力エンジンは、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、およびターボプロップエンジンのうちの1つでもよい。
【0004】
また、本開示は、乗員を支持するように構成された台(11)と、台に連結された推力システムと、を備え、推力システムは、実質的に第1軸に沿ってスラスト出力を供給するように構成され、本開示に記載されたものである、推進装置を提供する。
【0005】
本開示ならびにそれに伴う利点および特徴のより完全な理解は、添付の図面と共に考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1B】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1C】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1D】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1E】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1F】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図1G】本開示の原理に従って構成された推進装置の一例を示す。
図2】本開示の原理に従って構成された推進装置のための例示的なインターフェースおよび処理システムを示す。
図3】本開示の原理に従って構成された推進装置のための例示的な制御器および処理システムを示す。
図4】本開示の原理に従って構成された推進装置のための冗長システムの例の様々な態様を示す。
図5】本開示の原理に従って構成された推進装置のための冗長システムの様々な追加の態様を示す。
図6】本開示の原理に従って構成された推進装置のパイロットのための表示装置および制御入力装置を示す。
図7A】本開示の原理に従って構成されたスラスタユニット/エンジンシステムの一例を示す。
図7B】本開示の原理に従って構成されたスラスタユニット/エンジンシステムの一例を示す。
図7C】本開示の原理に従って構成されたスラスタユニット/エンジンシステムの一例を示す。
図7D】本開示の原理に従って構成されたスラスタユニット/エンジンシステムの一例を示す。
図8A】本開示の原理に従って構成された推進装置の別の例を示す。
図8B】本開示の原理に従って構成された推進装置の別の例を示す。
図8C】本開示の原理に従って構成された推進装置の別の例を示す。
図8D】本開示の原理に従って構成された推進装置の別の例を示す。
図9A】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図9B】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図10A】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図10B】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図11A】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図11B】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
図11C】本開示の原理に従って構成された推力偏向システムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、個人用推進装置、改善された制御システム、およびその使用方法を提供する。この中に開示される原理および特徴は、1人以上の乗員、貨物、器具、工具、機器などを輸送するための様々な台の構成に適用されてもよい。この中で提供される多数の利点の例は、増進および改善された機動性、パイロットおよび可能性のある乗員の安全を維持するための運転上の冗長性、増進されたシステムの自律性したがって飛行時間および/または飛行距離、わずか数平方メートルの特に限定された領域内での離着陸能力を含む。
【0008】
この中で提供される推進装置の一例において、装置は、乗員および推力システムを収容するように設けられた台を含む本体からなる。推力システムは、少なくとも2つのスラスタを含む少なくとも1つのサブ推力システムを含んでもよい。各ブースタからの気体流の排出方向は、台の縦平面に事実上垂直な軸に沿って方向付けることが可能である。装置の本体は、推力グループを支持する手段を有し、該手段は、台と協働し、推力システムを支持するように、および、各ブースタの排出ノズルによる気体流の排出方向と、装置の本体の重心を通る中央平面への気体流の排出方向の正射影との間の距離を最小化するように設けられる。
【0009】
そのような装置の本体の構成に応じて、装置は台と協働する第2サブ推力システムを含み得、推力システムの支持手段は、第1サブ推力システムと平行に第2推力システムを支持するように設けられ、装置の本体の重心を通る中央平面と、各ブースタの排出ノズルによる気体流の排出方向との間の距離を最小化する。
【0010】
そのような推進装置の機動性を向上させるために、台は乗員の足が次の位置を占めるように配置され得る。乗員が台上に直立または略垂直に立ち、ブースタの排出ノズルが地面に向けられている場合に、その位置の装置の低点に対する高さは、装置の本体の重心の低点に対する高さに略等しいまたはより高く、装置および乗員を含む全体の重心の低点に対する高さよりも低い。
【0011】
そのような推進装置の推力システムを保護するために、推進装置の本体は、台と協働し、地面と装置の推力システムとの間のどんな衝撃または直接的な接触も防ぐように設けられた突出部を有し得る。
【0012】
スラスタはプロペラおよび/またはターボジェットを含んでもよく、スラスタは逆回転構成で設けられてもよい。代替または追加として、支持手段および/または推力グループのスラスタは、スラスタの各排出ノズルによる気体流の排出方向を台の中央軸に平行な軸に対して約-45°と約+45°の間の角度に方向付けるように設けられ得る。
【0013】
乗員が身体的に無傷であることを保つために、本開示に基づく推進装置は、台と協働するかまたは台と共に一体の構造を構成し、推力システムと乗員との間のどんな直接的な接触も防ぐように設けられるカウルを有し得る。さらに、カウルは、推力システムのスラスタの流体吸入口を部分的に覆い隠し、したがって流体吸入口を通した異物または破片のどんな吸入も防ぐように設けられた格子を含み得る。乗員を推進装置の本体上に保持するために、推進装置は、乗員が台上に留まることを確実にする手段を有利に有し得る。
【0014】
曲線軌道を通って推進装置をより容易に操縦するために、推力グループは補助キャップ修正スラスタを有し得、スラスタの支持手段は補助キャップ修正スラスタと協働するように設けられる。支持手段は、有利に、台の縦平面に対して略平行な向きに従って補助キャップ修正スラスタを維持するように設けられ得る。
【0015】
台の構成に応じて、特に、オートバイまたは自動車のような、対応する陸上輸送手段のシャーシのように台が延在する場合、乗員は自らの体の向きによって台のベースに十分に影響を与えることができないことがある。そのような推進装置を操縦することを助けるために、推力システムは補助ベース修正スラスタを有し得、スラスタの支持手段は補助ベース修正スラスタと協働するように設けられる。支持手段は補助ベース修正スラスタを台の縦平面にほぼ垂直な方向に維持するように有利に設けられ得る。
【0016】
本開示による推進装置の推力システムに供給を行うために、推進装置は、有利に、推力システムのスラスタに接続されてスラスタに燃料を供給する燃料タンクをさらに有し得、タンクは装置の本体または乗員と協働する。
【0017】
乗員がバックパックのようにタンクを運ぶことができるように、そのようなタンクは、可とう性を有する容器と、乗員の体と協働するためのハーネスとを有し得、ハーネスの留め具は、緊急事態において乗員が容易にはずせるように設計される。
【0018】
乗員が自身の推進装置を操縦できるように、推進装置は、乗員の身振りを命令に変換するマン・マシンインターフェースと、生成された命令の処理し、生成された命令を使用してブースタの動力指令を生成する手段とを有し得、スラスタの動力指令は通信手段によって推力システムに供給される。
【0019】
そのような推進装置は、本体の重心に略位置して装置の本体および処理手段と協働するベースおよび/または軌道センサをさらに含み得、処理手段は、マン・マシンインターフェースによって生成された命令と共に、ベースおよび/または軌道センサによって伝えられた情報からブースタの動力指令を生成する。
【0020】
装置が補助キャップ修正スラスタを有する場合、推進装置を着陸させるために、装置の本体にある処理手段は、マン・マシンインターフェースによって生成された命令がない場合、補助スラスタの1つを作動させて本体の現在の軌道を維持するために、ベースおよび/または軌道センサによって伝えられた情報から補助キャップ修正スラスタの動力命令を生成し得る。
【0021】
同様に、装置が補助ベース修正スラスタを有する場合、装置の本体にある処理手段は、マン・マシンインターフェースにより生成された命令がない場合に、ベースおよび/または軌道センサによって補助ベース修正スラスタの1つに伝えられた情報から補助ベース修正スラスタの動力指令を生成し、身体に対しておおよそ水平にベースを保ち得る。
【0022】
好ましい成果の一例として、そのようなマン・マシン命令インターフェースは、乗員の1本以上の指によって操作可能なトリガを有し得る。したがって、処理ユニットは、トリガの位置に従って、推力システムによって生成される動力を調整するために、ブースタの動力指令を生成し得る。
【0023】
代替または追加として、マン・マシン命令インターフェースは、乗員の手が乗員の前腕と並ぶ基準位置と比較して、当の前腕の縦軸に対して乗員の手によって定められる角度を測定する角度測定センサを有し得る。したがって、処理ユニットは、手の位置に従って、補助ブースタによって生成される動力を調整するために、補助ブースタの動力指令を生成し得る。
【0024】
図1Aは、本開示による一人の乗員1のための推進装置の最初の好ましい実施形態の斜視図を示している。このような装置は、主に、乗員1が乗ることができる台11の形の主要本体10aを含む。本開示は、台11の寸法および装置10の推力システム12の動力に応じて、複数の乗員が場合によっては台11上に同時に乗ってもよいことを想定している。この目的のために、台11は、図1Dにより明確に示されるように、乗員1の足または靴を受け止めるように配置された1つ以上の表面11aを有する。
【0025】
本開示は、そのような表面11aが乗員1を台11上で支持する手段16を有し得ることを想定している。したがって、本発明による装置の台11上の乗員1が望む姿勢に応じて、前記支持手段16は、例えばウェイクボードの実施で見られる種類の固定靴または固定ブーツと同様のものを含み得る。乗員が、「脚を曲げた」姿勢で、膝をついて、または座って保持されるかによって、他の種類の支持手段が好ましいこともある。
【0026】
そのような台11は、有利に、単独でまたは組み合わせて、乗員の体重を支持するために、したがって過度な変形を防ぐために十分な剛性を有する1つ以上の材料を使用して設計され得る。
【0027】
図1Aおよび1Dに関連して説明される推進装置の本体10aは、台11と協働する推力システム12を有する。
【0028】
次の用語は、この中で使用する場合、次のような特徴を表現するために使用される。
-「中央平面」PM:装置10の本体10aの左半分と右半分を分離し、該半分は必ずしも均等ではない、特に台11に垂直な任意の平面。
-「横平面」PT:推進装置の本体10aを2つの半分に分離し、一方は本体の前部を含み、他方は本体の後部を含み、該半分は必ずしも均等ではない、中央平面に垂直な任意の平面。
-「縦平面」PL:装置10の本体10aの上半分と下半分を分離し、該半分は必ずしも均等ではない、横平面および中央平面に垂直な任意の平面。
【0029】
このようなMP、PT、PL平面は図1Aにおいて点線で示される。次の用語は、この中で使用される場合、次のような特徴を表現するために使用される。
-「横軸」:横平面および縦平面の両方に属する任意の軸。
-「縦軸」:中央平面および縦平面の両方に属する任意の軸。
-「中央軸」:中央平面および横平面の両方に属する任意の軸。
【0030】
本発明による推進装置は、推力システム12に供給を行うための燃料タンク、または乗員1が装置10の推力システム12とやり取りできるための例えば遠隔制御型のマン・マシンインターフェースのような、簡潔さのために図1Aに図示されない他の付属要素を備える。そのようなマン・マシンインターフェースは図2に関連して説明される。
【0031】
図1B、1C、および1Dは、それぞれ、本発明による非限定的な推進装置の側面図および正面図である。図1A、1B、および1Cを考慮して、そのような装置の本体10aは、有利に飛行中に引っ込めることができ、台11と協働し、地面と装置10の推力システム12との間の衝撃または直接的な接触を防ぐように設けられた突出部17を有することがわかる。突出部は、はめ込み式、折り畳み式、または、所望の飛行または使用段階で突出部17の外形および/または寸法を低減させる他の折り畳める構成を通じて引っ込めることができてもよい。
【0032】
このような突出部17は、推力システム12の排出ノズルが地面にぶつかることを防ぐように、また、図1Aから1Cに図示されていない地面または離陸ステーションに装置がある場合に、一定の安定性を提供し、乗員が実質的に台11上に乗ることができるように、十分な長さの4つの脚部を特に含んでもよい。代替として、そのような突出部17は、スキー、または、地面の性質に応じた一定の安定性または装置の支持を確保できる他の要素を含んでもよい。
【0033】
図1Dは本発明によるそのような装置の本体10aの分解図である。図1Dに非限定的な例として示されているように、公知の装置とは異なり、推力システム12は、有利に、それぞれ2つのスラスタまたはエンジンを有する一対のサブ推力システム12aおよび12bからなる。したがって、第1サブ推力システム12aは2つのスラスタ12a1および12a2を有する。同じことはサブ推力システム1bにも当てはまり、サブ推力システム1bは2つのスラスタ12b1および12b2を有する。代替として、そのようなサブシステムは3つ以上のスラスタを有してもよい。第2の代替によれば、推力システム12は、1つ以上のスラスタを自身で有するさらに多くのサブ推力システムを有してもよい。図1Dと関連して説明される構成例は、本開示を限定するものではないが、他の推力システムの構成に対して一定の質を有する。事実、装置は、例えば熱ターボジェット型の1つのスラスタに低減された推力システムで開発されてもよい。
【0034】
事実、そのような単独のスラスタの長さは、装置10およびその乗員1を空中に推進するのに十分な推力を出力することをスラスタに可能にさせるために、約1メートルまたはより長くなるだろう。同様に、それぞれ1つのスラスタを備える2つのサブ推力システムを有する推力システム12を想像することができる。各スラスタによる容積は低減されるだろうが、そのような推力システム12は、前述した単独スラスタの構成のように、安全性の点で大きな不利を有するであろう。事実、2つのスラスタの1つが故障した場合、システムの全推力は、乗員1を空中に保ち十分な機動性を維持するために不十分だろう。
【0035】
これらの2つの可能な構成とは対照的に、図1Dに関連して示されるような構成は特に興味深い折衷を提供する。その構成によれば、推力システム12は、一方が少なくとも2つのスラスタ12a1および12a2を、他方が少なくとも2つのスラスタ12b1および12b2をそれぞれに有する少なくとも2つのサブ推力システム12aおよび12bを有する。
【0036】
したがって、4つのスラスタ、例えばジェットエンジンが占める空間は、所望の使用方法と完全に適合する。さらに、スラスタの1つが故障しても、推進装置は完全に機動性を維持する。
【0037】
改善された機動性を提供するために、推力システム12のスラスタは、有利に装置10の本体10aの中心にできる限り近く配置される。
【0038】
これによって、乗員の体によって、装置10の姿勢を変えて、以下のように動くために、乗員が克服しなければならない慣性モーメントが低減される。
-乗員1が装置10の前方に向かって自身の体重をかけた場合、まっすぐ前に動く。
-前記乗員1が装置10の後方に自身の体重をかけた場合、後方に動く。
-前記乗員1が装置10の前方におよび装置10の一方または他方側に自身の体重をかけた場合、斜め前方に動く。
-乗員1が装置10の後方におよび装置10の一方または他方側に自身の体重をかけた場合、斜め後方に動く。
【0039】
容易に旋回して曲線に沿って移動できるために、推力システム12は、有利に2つの補助経路修正スラスタ19aおよび19bを含み得る。補助経路修正スラスタは有利に台の横軸に沿って偏心して配置される。非同期的に作動することで、これらのスラスタはそれぞれ曲線軌道を発現するのに十分なトルクを生成する。
【0040】
推力システムの様々なスラスタが支持手段14によって維持および支持され、その構造の一例は以下に説明される。これらの支持手段14は、台11を支持し、自由度を有しない有利な機械的接続、または嵌込み式接続を介して突出部17と協働するフレームと機能的に同等なものを構成し、この装置10の推力システム12に基礎および保護を提供する。
【0041】
図1Dで説明される実施形態に関して、本発明による推進装置の本体10aは、場合によっては互いに接続された1つ以上のフェアリング要素の形状を有するフェアリング13uを含み得、該フェアリング13uは、可逆的または不可逆的な嵌込み式機械的接続(例えば、溶接、ねじ止め)によって台11および/または支持手段14と協働するか、または台11および/または支持手段14と共に単一の物理的エンティティを構成する。フェアリング13uの目的は推力システム12と乗員1との間の直接的な接触を防ぐことである。したがって、フェアリング13uの形態(寸法、形状)は、推力システム12の寸法に合うように、美的な外観を与えるように、および/または推進装置の空気力学的性質を促進するように設けられ、同時に乗員に対する不便は制限される。推力グループ12の外壁の温度は急速に非常に高くなり得るため、負傷のどんな危険性も防ぐために、乗員と推力ユニットとの間のどんな接触も制限できることは実際に重要である。さらに、乗員1の足の間に実質的に位置する装置10の本体10aの上部は、流体吸入口18、この例では空気吸入口を含み、スラスタの各流体吸入口を介してスラスタに流体を供給する。スラスタはローターを含み、乗員1が誤って手を流体吸入口18に入れてしまった場合に該ローターによって乗員1が負傷する可能性がある。さらに、流体吸入口18を通じた異物(葉、破片、揮発物など)の吸入は推力グループ12の機能を妨げ得る。このため、フェアリング13uは有利に格子(図1Dには不図示)を含み得、格子の構成は、吸入口18を部分的に覆い、したがって空気吸入口18を通じた異物の吸入を制限または防止し、同時に外部とスラスタとの間の流体のやり取りを維持する。
【0042】
破片の吸入の可能性を低減するフェアリング13uに対する追加および/または代替として、装置10は、推力システムのスラスタの1つ以上に可動および/または選択的に連結された1つ以上のフィルタを含んでもよい。例えば、図1Gに示されるように、吸入フィルタ30は、スラスタ12a1(および/または他の任意のスラスタ12a2、12b1、12b2など)の吸入領域に可動に連結されてもよい。吸入フィルタ30は、関心対象の特定サイズの破片(例えば、葉などのより大きな物体、または砂、ほこりなどのより小さな粒子状物質)の通過を制限するのに適した通過サイズまたはろ過サイズを有してもよい。吸入フィルタ30は、吸入領域の周りで、吸入フィルタでスラスタの吸入口を実質的に塞ぐ第1の位置と、吸入フィルタ30がスラスタの吸入領域からずらされるかまたは少なくとも部分的に取り去られる第2の位置とに選択的に配置可能でもよい。第1の位置では、スラスタへの実質的に全ての流体の流れが吸入フィルタを通過しなければならないが、第2の位置では、スラスタへの流体の流れは吸入フィルタ30を少なくとも部分的に迂回してもよい。吸入フィルタ30の移動は、サーボ機構、アクチュエータ、モータ、または、使用中、装置10の使用者または操作者に、吸入フィルタ30の配置および位置を選択的に調整する能力を提供する他の機構32の使用によって達成されてもよい。一例では、吸入フィルタ30は、破片が存在して装置に近接しやすい離陸および/または着陸中、第1の位置に維持されてもよい。破片の吸入が最小限に抑えられる十分な高度に装置10が到達すると、吸入フィルタは第2の位置に移動してもよく、したがって、スラスタへの流体の流れは吸入フィルタ30によって妨げられずに進むことができ、性能が向上するだろう。
【0043】
また、図1Dは下部フェアリング13dの使用を示し、下部フェアリング13dも、任意の嵌込み式機械的接続によって協働し、推力サブグループ12aおよび12bのスラスタの流体排出口または気体排出ノズルから乗員または近接環境に保護機能を提供する。事実、排出ノズルの至近距離内の温度は特に高くなり得る。そのような開口したフェアリングは周方向または横方向の保護を提供する。さらに、上部フェアリングと呼ぶことができるフェアリング13uと同様に、フェアリング13dの形状は、有利に、推力グループの気体排出に影響を与えないように、および装置10の本体10aの空気力学的性質を改善するように設計され得る。これらのフェアリング要素13uおよび13dを形成するために想定される材料の選択は、フェアリング要素の至近距離内の推力システム12の最高温度に基づくため、それらはフェアリング要素の構造を変えない。
【0044】
また、図1Dは、推力サブユニット12aおよび12bとは異なり、中央ではなく側方に配置された経路修正補助スラスタ19aおよび19bの存在を示している。
【0045】
図1Eに示される推力グループの例の詳細な提示に関連して、これらの補助プロペラの供給について説明する。
【0046】
図1Dは簡潔さのためにほとんどの電子的要素を示していない。一例として、図1Eに関連した推力グループ12の説明から分かるように、本開示による推進装置の本体10aは、乗員がプロペラの動力を操作するための命令処理手段を含むかまたはそれと協働する。
【0047】
さらに、そのような処理手段は、非限定的に、傾斜計、加速度計、高度計、GNSS受信機、GPS受信機(全地球測位システム)、プローブまたはピトー管、および/またはジャイロスコープのような、装置10の本体10aの姿勢、速度、または一般的に軌道に関する情報を伝え得る1つ以上のセンサと協働しまたはそれを含み得る。また、処理手段は、乗員の命令および/またはセンサによって生成された情報に従って、推力システム12、特に推力サブグループ12aおよび12bのスラスタの推進力コマンドを生成するように設けられる。同じことは経路修正補助スラスタ19aおよび19bの動力コマンドの生成にも適用される。そのような処理手段は、特にセンサが電子基板に含まれる場合、有利に推進装置10の本体10aの慣性中心CGの近くに位置する、1つ以上の電子基板の形態をとり得る。図1Cは、特に、推進装置10の実施例における本体10aの重心CG10の仮想位置を示す。本明細書の残りの部分では、「推進装置の本体の処理手段または本体に存在する処理手段」という用語は、特に、
-本体10a内または上に、例えば台11および/または支持システム14、15a、15b上に処理手段を固定すること、および/または
-処理手段が乗員によって接続および/または切断されるようにおよび/または乗員によって運ばれるように設けられる場合に、端子ブロックまたは結合によって処理手段をセンサおよび/またはスラスタに接続すること、
を可能にする任意の配置を包含していると考える。
【0048】
ここで、図1Cおよび1Eに関連して、本開示による推進装置のスラスタシステム12およびそのような推力システムの支持手段14の好ましい実施形態の構造を調べる。
【0049】
上述のように、そのようなスラスタシステム12は、それぞれ2つのスラスタを備えるスラスタサブユニット12aおよび12bを含み、該2つのスラスタは、スラスタサブユニット12aにおいて12a1および12a2を付され、スラスタサブユニット12bにおいて12b1および12b2を付されている。そのようなスラスタは、プロペラまたはローター、または、好ましくはおよびこの例では、図1Eに示されているように、ターボジェットエンジンを有するスラスタを含み得る。ターボジェットエンジンは、航空機に一般的に使用される熱機関であり、酸化剤、この例では、本体10aの流体吸入口18を通して吸入された周囲の空気と、燃料、例えば、ケロシンまたは同等物とを反応させ、燃料に含まれるポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに転換する。この運動エネルギーは、気体排出物の排出とは反対方向に弾性媒体に反力を生成する。この結果、スラスタの流体吸入口とその排出ノズルとの間の一定量の空気が加速され、排出ノズルにおける膨張によって推力が生成される。そのようなスラスタはブレードまたはローターを有する空気圧縮機を使用する。結局、上述のケロシンの代わりに他の任意の種類の燃料が使用され得る。
【0050】
図1C、1Dおよび1Eによれば、スラスタサブユニット12aおよび12bの各スラスタは、調整可能であり、公称上の運転において、台11の縦平面に対して実質的に垂直な軸AL12a(スラスタ12a2に対して)またはAL12b(スラスタ12b1に対して)に従って、すなわち乗員1の縦軸AL1に対して実質的に平行に向けられることがわかる。また、これらのスラスタは、これらのスラスタの各々の排出ノズルが、乗員1の足から頭に向かうように方向付けられた縦軸AL1の方向とは逆方向に気体流を排出するように向けられる。このようにして、スラスタは台11を介して乗員1を「押す」。上述のように、特に装置10の稼働性を高めるために、主要本体10aはスラスタユニット12の支持手段14を含む。支持手段14は、台11と協働し、できる限り本体10aの中心にスラスタを集めることでスラスタユニット12を支持するように設けられる。したがって、これらの支持手段14は、スラスタ12a1、12a2、12b1、12b2の各排出ノズルによる気体流排出の方向AL12aおよびAL12bと、装置10の本体10aの重心CG10を通る仮想中央平面PMへの前記方向の各正射影との間の距離をできる限り最小化し、これらの気体流排出の方向は中央平面PMに実質的に平行である。そのような装置の場合、具体的には、支持手段14は、排出方向と、重心CG10を通る本体10aの仮想中央軸AMとの間の間隔を最小化するように設けられる。これにより、乗員の体を用いて、装置10aの姿勢を変え、その結果、推進装置10の軌道を変えるために、乗員が克服しなければならない慣性モーメントが低減される。したがって、そのような推進装置を使用することで提供される娯楽性は10倍になる。
【0051】
図1C、1Dおよび1Eに示される例によれば、本体10aの重心CGは実質的にスラスタサブユニットの2つのスラスタ12aおよび12bの中心に位置している。好ましいが非限定的な例として、支持手段14は推力サブユニットごとにプレートを備えていてもよく、その上には、嵌込み式機械的接続によって、各サブユニットのスラスタをそれぞれ取り囲むカラーが取り付けられている。このようにして、同じスラスタサブユニットのスラスタは一緒に保持されて平行な縦軸に沿って方向付けられる。したがって、2つのカラー14b1および14b2はそれぞれスラスタ12b1および12b2を取り囲む。その上、2つのカラーはプレート14b上に固定される。同じことはサブユニット12aのスラスタにも適用される。2つのカラー14a1および14a2はそれぞれスラスタ12a1および12a2を取り囲む。カラーは、図1Eにおいてほとんど隠れているプレート14aと協働する。同じサブユニットのスラスタができる限り互いに近くなるように、プレート14aおよび14bの厚みが中央部分で最小になっている。同様に、支持手段14は、スラスタサブユニットができる限り近くなる仕方で、プレートの隣接部が協働できるように設けられる。これらのプレート14bの隣接部14mおよびプレート14aの隣接部14fは中空の円筒を適切に描いてもよい。また、これらの円筒の断面は、隣接部の一方が他方の隣接部に入るように、適切に選択される。隣接部14fおよび14mの回転軸に垂直な軸に従って各円筒の任意の側に開口した孔と、例えばピンとを使用して、2つのスラスタサブユニットを固定することが可能である。あるいは、2つのプレート14aおよび14bを固定するために、溶接による嵌込み式機械的接続を形成することが可能である。
【0052】
これらの2つのプレートによって、推力サブユニット12aおよび12bの各スラスタと、装置10の本体10aの重心CG10を通る台11の中央平面との間の距離を最小限に低減できる。2つのスラスタサブユニットのスラスタが、反対に回転するように取り付けられた圧縮機ローターを備える場合、スラスタノズルの排出方向、例えば図1EにおいてAL12aおよびAL12bを付された方向は、互いに平行であり、台11の縦平面に対して実質的に垂直であり得る。
【0053】
一方で、各スラスタ内のローターの回転は、推力ユニット12自体、したがって装置10の本体10a自体の周りの回転を引き起こし得る。この不都合を克服するために、本開示は、各スラスタサブユニット12aおよび12bの各エンジンの排出ノズルを通る気体流の排出方向を方向付け、気体流の排出方向が本体10aの台11の中央軸AM10に対して-10°から+10°の間の角度βを描くように、支持手段14を設けることができることを提供する。図2Bに示されるように、両方のサブユニット12aおよび12bの前記排出方向をわずかに交差させ、図1Bにおいて「2.β」を付された「β」の2倍に起因する角度を形成することが可能である。絶対値が4度である角度βは、スラスタが反対に回転しない場合、スラスタユニット12の有効な動力の急増を過度に減じることなく、上述された結果を相殺するのに十分である。あるいは、その他のβの値が推奨され得る。
【0054】
図1Eに示されるように、プレート14aおよび14bの隣接部14mおよび14fにおける複数の孔は所望の角度βを選ぶために使用される。あるいは、上述のように、プレートは工場内で溶接によって互いに方向付けられ得る。
【0055】
経路修正補助スラスタ19aおよび19bにスラスタサブユニット12aおよび12bを接続して曲線軌道を可能にするために、本開示による装置の支持手段14は、経路修正補助スラスタ19aおよび19bと協働する補助支持手段15aおよび15bと協働し、台11の縦軸に実質的に平行な推力方向に経路修正補助スラスタを維持する。したがって、図1Eに非限定的な例として示されるように、プレート14aおよび14bはそれぞれアーム15aおよび15bまたはより一般的に横方向の延長部と協働し得る。図1Eによれば、プレート14aおよび14bは上述の隣接部とは正反対の位置に端部14dを有する。隣接部と同様、端部は延長部15aおよび15bの隣接部15apおよび15bpの中空円形断面よりも実質的に小さいまたは大きい中空円形断面を有する。したがって、プレートと延長部とは、場合によっては溶接で完成する嵌込み式接続によって、または前記プレート14aおよび14bの端部14dおよび延長部15aおよび15bの隣接部15apおよび15bpに形成された貫通孔を貫通するピンによって協働し得る。したがって、この後者の構成によって前記プレートに対する延長部の相対的な位置または向きの調整が可能になる。
【0056】
各延長部15aまたは15bは、経路修正補助スラスタ19aまたは19bを取り囲むまたはより一般的に維持するように設けられた端部15adまたは15bdを有する。好ましくは、そのような補助スラスタは1つ以上の電気タービンをからなり得る。そのような技術的な選択により、ターボジェットなどのいくつかの熱機関よりも特に応答性の高い経路修正補助スラスタ19aまたは19bが提供される。
【0057】
しかし、経路修正熱スラスタ19aおよび19bの構成は、各電気タービンの代わりに、スラスタサブユニット12aおよび12bのスラスタに対して実質的に平行に向けられたターボスラスタを使用し得る。高い応答性を維持するために、水上オートバイの流体排出口の調整可能な円錐型の方向付け可能な流体排出口が、補助熱スラスタの気体排出ノズルと協働し得る。この円錐を台11の中央平面に方向付けることで、電気タービンの使用によって与えられる結果に近いものが得られる。
【0058】
本発明による推進装置の本体10aが、乗員1の命令だけでなく、空間内の本体10aの姿勢および/または軌道センサの命令の処理手段を備える場合に、本開示は、特に気象条件が好ましくない場合に、乗員が経路を維持することを補助するために、経路修正補助スラスタ19aおよび19bの存在を使用することを想定する。事実、強くて激しい風は、乗員の意思に反して、推進装置に曲がりくねった経路を取らせ得る。図2に関連して以下で扱うように、これは命令インターフェースでつり合いを取り得るが、このつり合いは長期的に煩わしいことがある。
【0059】
したがって、本開示は、どんな所望の軌道の変更を示す乗員の命令がない場合に、経路修正補助スラスタ19aおよび19bが現在の経路を維持するために、本体10a内の処理手段を、経路修正補助スラスタ19aおよび19bに対するスロットルを調整するように適合させることを提供する。例えば、突風が乗員の右手側に曲がった経路に推進装置を運びがちである場合、本体10aに含まれる処理手段は、経路修正補助スラスタ19b、すなわち乗員1の右手側に位置するものへの動力制御を行い、補助スラスタ19bを十分に作動させることで、この不測の経路変更を相殺する。経路修正補助スラスタ19bは、計画通りの軌道が回復され次第、スイッチオフされる。このようにして、推進装置10はその現在の軌道を自動的に維持し、乗員はどんなつり合いをとる努力からも解放される。乗員の知らない間に、そのような経路修正補助スラスタ19aおよび19bが気象擾乱に対して補正を行うために、経路修正補助スラスタ19aおよび19bに必要とされる応答性のため、補助電気スラスタを優先させる決定はこの実施形態によって特に正当化される。
【0060】
さらに、図1Eで説明される装置10の支持手段14によって支持される推力ユニット12の実施形態は、それぞれ一対の突起部またはスペーサ15pおよび15sを有する延長部15aおよび15bを有する支持手段14を示す。
【0061】
突起部またはスペーサ15pおよび15sは、台11と協働するように各延長部15aまたは15bの縦軸に垂直な軸に従って配置される。したがって、台11はねじ止めによって固定され得、この例で、前記突起部はねじ山をつけられている。支持手段14と台11との間の他の任意の協働方法が本開示に従って想定され得る。
【0062】
図1Eによれば、突起部15pおよび15sは、それぞれ延長部15aまたは15b上に、それぞれ延長部の端部および隣接部の近くに位置する。これらの突起部は、台11との組立ての機能を有することに加えて、乗員1の足を受け入れるように台11上に形成された表面11aの、推進装置10の本体10aの重心CGに対する相対的な高さを決定することを可能にする。
【0063】
内部機密の試験および試作の後に、本体10aの重心CG10に対する表面11aの相対的な高さが推進装置10の機動性に影響を与えることを発見した。したがって、特に図1Cに示すように、乗員1が実質的に直立した姿勢をとり、かつスラスタサブユニット12aおよび12bのスラスタの排出ノズルが地面に向けられる場合に、表面11aが装置10の本体10aの低点B(突出部17の端部によって決定される)に対して以下の高さhpを有するように、台11を配置することが適切である。
-装置10の本体10aの重心CG10の、前記低点Bに対する高さh10に実質的に等しいまたはそれより高く、かつ
-装置10および乗員1を含む集合体の重心CGの、低点Bに対する高さhよりも低い高さ。
【0064】
したがって、突起部15pおよび15sのそれぞれの高さは、高さhpを調整することでこの構成を調整することに役立つ。
【0065】
図1Cに示されるように、重心CG10の数センチメートル上に位置する表面11aは、推進装置10に優れた機動性を与える。
【0066】
主要スラスタに、すなわちスラスタサブユニット12aおよび12bのスラスタに燃料を供給するために、本開示は、燃料が、簡潔さのために図示されない1つ以上のタンクで運ばれ得ることを提供する。非限定的な例として、そのようなタンクは、剛性または可とう性を有する容器、充填口、および排出口を備えてもよい。したがって、充填口を介してそのようなタンクに液体燃料または気体燃料を供給することが可能になる。非限定的な例として、そのような燃料は、現在、従来のスラスタに一般的に適しているケロシンであり得る。しかし、代替の燃料が使用され得る。したがって、前記燃料は、簡潔さのために図示されない供給パイプと協働するように設けられた排出口を介してこのタンクから供給され、供給パイプの各端は、燃料を収集するために、貯蔵器に、より正確には排出口に接続され、スラスタに燃料を供給するために、同じく図示されない収集システムに接続される。そのような収集システムは各熱スラスタに燃料を供給する。したがって、それはこれらのスラスタおよびタンクと流体接続を介して協働する。
【0067】
火災の場合にすぐにタンクを落下させるために、そのようなタンクは、可能であればラリー(Rallye)タイプのストラップまたはハーネスを用いてバックパックまたはパラシュートとして乗員が運ぶように設計され得る。
【0068】
事実、そのような種類のハーネスが、緊急事態において身動きをとれなくなった乗員が容易にはずせるように設計された留め具を備えることは考えられる。また、そのようなタンクは、乗員の快適性を向上させるために、および例えば落下時の乗員の負傷の危険性を低減するために、可とう性を有する容器を備えてもよい。代替または追加として、タンクは台11にまたはスラスタユニットの支持手段14に固定されてもよい。好ましい実施形態によれば、タンクが乗員1によって運ばれるように設けられる場合、このタンクの容器は、燃料の充填前にガス抜きされた袋のように可とう性を有してもよい。そのような選択により、快適性および落下時の乗員の安全性が高められ、特にスラスタへの燃料の供給がなされないどんな危険も防止される。
【0069】
また、本開示は、電気エネルギー源が推進装置10の主要本体10aに組み込まれていてもよいことを提供する。そのような電源は1つ以上のバッテリおよび/または光電池からなってもよく、光電池は、乗員の命令の処理手段、スラスタユニットの動力制御の準備手段などの低エネルギー消費の電子機器に供給を行うための補助電源として役立つ。しかし、上述の経路修正補助スラスタ19aおよび19bは、これらの補助エンジンが電動である場合、1つ以上のバッテリのようなより大きな電源を必要とする。
【0070】
推力システムの動力を制御し、また変位の軌道を決定することを可能にするために、本開示による推進装置の乗員1は命令のマン・マシンインターフェースを適切に使用してもよく、その主要な機能は前記乗員1の身振りを特定の命令に変換することである。図2は、乗員1の手に保持されまたは訓練期間にインストラクタの手に保持され得る筐体を有する遠隔制御装置として、マン・マシンインターフェースまたは制御器60の一例を示す。この非限定的な例によれば、前記インターフェース60は銃型遠隔制御装置に例えられ得る。それは特にトリガ61を含み、トリガの動作は、乗員1またはインストラクタがトリガを作動させた場合、スラスタシステム12の動力を増加させる命令として解釈され、使用者がそのようなトリガを徐々に放す場合、この動力を低減させる命令として解釈され得る。また、そのようなインターフェース60は、場合によっては1つのスラスタまたは別のスラスタへの供給を切断するために推力システム12を始動または停止させる命令を作成する、図2に図示されない、1つ以上のボタン、例えばプッシュボタンのような他の要素を含んでもよい。
【0071】
さらに、インターフェース60は、使用者の手が自身の前腕に並ぶ基準位置と比較して、当該の前腕の縦軸に対して、インターフェース60を手で保持する前記使用者の手首が描く角度を測定する、ジャイロスコープ、傾斜計、または角度測定センサなどの1つ以上のセンサを備えてもよい。角度は、インターフェース60の筐体の縦軸に沿った回転または角度変位を示してもよく、筐体は、操作者の側方で保持された場合、操作者の前腕の軸に実質的に垂直に延びる。したがって、使用者がインターフェース60を右手で保持する場合、使用者の体の内側に向かって動く手首は、装置10を左に旋回させる望みを意味し得る。逆に、手首の外側への動きは、装置10の軌道をその右側に向ける意志を意味し得る。換言すれば、インターフェース60の回転運動は、例えば、主要および/または補助スラスタ19a、19bの作動を制御することによって、装置10のヨーおよび/またはヨー/ロールの組合せの制御態様を実施するために使用され得る。
【0072】
代替または追加として、インターフェース60は傾斜計を備えてもよい。したがって、使用者の右または左の方への前記インターフェース60の傾斜は、装置10の所望の軌道方向の方向命令に変換され得る。そして、そのような方向命令は、上述の補助スラスタ19aおよび19bの動力コマンドに変換される。そのような使用者の身振りを解釈するために、図2に例として説明されたインターフェース60は電子手段62を備える。電子手段62は、推進装置10の本体10aに搭載されて命令を処理する手段によって解釈され得る該命令を生成するために、インターフェース60のトリガ61および他のボタンおよび/またはセンサによって収集された様々な情報を処理する。これらの命令をこの処理手段に送るために、インターフェース60、および装置10の本体10aに存在する前記処理手段は、有線通信手段または有利に例えば電磁波を介した無線通信手段を備える。
【0073】
有利に本体10aの重心CG10の近くに位置するように配置された前記処理手段は、インターフェース60によって生成された命令から推力システム12の動力制御を生成するように設計される。各動力コマンドは、関連するスラスタに有線通信によって適切に伝えられる。簡潔さのために、そのような通信システムは図示されていない。
【0074】
また、推力システムの運転に関する情報は、処理手段によって処理され、画面またはLEDのような1つ以上のグラフィックインターフェイス20aおよび/または20bを介して乗員1に出力されてもよいことに言及できる。グラフィックインターフェイス20aおよび/または20bは、有利に、図1Dに示されるように台11上に、非限定的な例として表面11aの近くに配置される。
【0075】
本開示による推進装置の推力システム12の点火または始動を容易にするために、推力サブユニット12aおよび12bのスラスタが実質的に水平に向けられるように、この装置の本体10aの位置を定めることが有利であり得る。事実、スラスタが直立したままである場合、ケロシンなどの燃料はスラスタの点火前に流れる傾向がある。本開示は、推力システム12の始動時に本体10aを傾けることができるように設けられると共に、乗員1が容易に表面11aに乗ることができるように本体10aを置くように設けられた離陸ステーションを提供する。あるいは、本開示は、推力システム12が、台11に対して横向きの軸に沿って回転可能に取り付けられ、90°回転を可能とし、その結果、推力システム12が嵌込み式接続を介して台11と協働する場合に本体10aを方向付けなければならないという欠点を解決し得ることを提供する。そのような回転可能に取り付けられた推力システム12の始動後、推力ユニット12は、任意の手段によって、図1Aから1Cに示されるように、前記台11に対して固定されて保持される。
【0076】
さらに、本開示は、簡潔さのために図に示されていない、本開示による推進装置の第2の実施形態を提供する。事実、第1および最後の例(図1Aから1Eに従って説明された)は、操縦者および/または乗員の敏捷性が頻繁に試される娯楽的適用のためにより意図される。より直線的でアクロバティック性の低い動きを促進するために、本開示は、今日知られているオートバイを新しく作り直すことを提供する。そのような装置の第2の例は、構造的および物理的に異なるものの、図1Aから1Eに関連して説明されたものと似た設計を有する。
【0077】
そのような本発明による推進装置の本体の構成がどのようなものであっても、この装置は多数の娯楽用途および/またはサービスを可能にする。本開示は、今日私たちが考えるような輸送を革新し、上述の使用例にのみ限定されないだろう。
【0078】
特に、照明、航行援助、乗員がいる状態またはいない状態での遠隔制御などに関して、そのような装置の娯楽性または運転条件をさらに向上させるための付属品も用意され得る。
【0079】
例えば、そのような装置は遠隔制御ステーションと相互作用するための長距離通信手段を含んでもよく、その結果、そのようなステーションは電子処理システムによって解釈可能な運転命令を装置に補充的に生成し得る。あるいは、装置の異なるスラスタに伝えられる動力コマンドを生成し、乗員の補助なく目的地に到着するために、この電子処理手段は、飛行前またはそのような飛行中に乗員によって提供された移動座標を記録してもよい。この電子処理手段は、装置10の巡航中の地理的位置を常に知るために、上述のように、GNSS受信機の存在を利用し得る。
【0080】
また、本開示は、推進装置の運転に関する情報を、視覚的、音響的または運動感覚的に乗員に表示するように適合された任意のマン・マシンインターフェースの存在を想定する。例えば、図6に示されるように、クラッシュヘルメットのバイザーに組み込まれた、前記情報を見るためのシステム、および/またはそのようなヘルメットを装着した乗員の片方の眼の虹彩の動きを解析して運転命令を検出するためのシステムが想定され得る。
【0081】
また、図1Eの推力システム12の非限定的な実施形態に関連して図1Fに示されるように、本開示は、スラスタまたは推力サブユニット12a、12bの一部または全てに、例えば水上オートバイの流体排出口を方向付けるための円錐型の方向付け可能な流体排出口を付加することを意図する。該流体排出口は、当該のスラスタの気体流排出ノズルと協働する。これは、2つの推力サブユニット12aおよび12bを有する推力システム12の一例の正面および側面の2つの図を示す図1Fに適用される。4つのスラスタの中で、図1Fはスラスタ12b1を取り上げており、その気体流排出の公称上の方向AL12bは破線で示されている。
【0082】
前記スラスタ12b1の気体流排出ノズルは、図1Aに関連して説明された装置10の本体10aの横軸に対して平行な軸12axを有するピボット式機械的接続によって、方向付け可能な円錐のような、可動に取り付けられた流体排出口12exと協働することがわかる。そのような方向付け可能な流体排出口は、本体10aの中央平面内において軸12axの周りの角度δを描くことができる。したがって、本発明による推力ユニットのスラスタが動的に方向付けられているか否かに関わらず、推進装置の本体の処理手段は、特に装置の本体の横軸に対して平行な軸の周りの回転によってスラスタの流体排出の方向を変えるために、そのような調整可能な流体排出口のアクチュエータを制御するように適合され得る。このようにして、スラスタおよび/または推進装置の本体自体を傾ける必要なく、そのような流体排出口がその後方に向けられている場合、装置の前方への移動を助力することが可能になり、その逆の場合においてもまた同様である。この機能は、例えば、TRIMとして知られ、多数のボートの船外モータに取り付けられ、モータの保持ブラケットに位置するジャッキを含み、前記ボートの乗員によってボタンまたはトリガで制御される装置のように、適切なマン・マシンインターフェースを作動させることで、乗員の要望により発揮され得る。TRIMの効果は、モータ付きプロペラのスラスト角、したがってボートの姿勢を変更するために、ボートのトランサムからモータを離すかまたは近づけることである。
【0083】
そのような本開示による推進装置のスラスタの流体排出口の適合は、第1または第2の実施形態と両立し、推進装置の直線運動および移動速度に助力すると同時にその本体の姿勢の水平性を維持する。
【0084】
図3は、本開示による推進装置のための例示的な処理手段を示す。一態様では、制御器350は、推進装置10の1つ以上の態様を実現する単一の制御器として実現されてもよい。別の態様では、それぞれ推進装置10の1つ以上の態様を実現する複数の制御器350が実現されてもよい。例えば、個々の制御器350が、推進装置10の、推力システム12、サブ推力ユニット12a、12b、および各ブースタまたはスラスタ12a1、12a2など(またはそれらの組み合わせ)のそれぞれに対して設けられてもよい。一態様では、1つの制御器350が推進装置の各補助スラスタ19に対して設けられてもよい。
【0085】
制御器350は、推力システム12および関連システムの任意の部分から温度を感知する温度センサ、推力システム12および関連システムの一部から圧力を感知する圧力センサ、推力システム12および関連システムの一部の位置を感知する位置センサ、推力システム12および関連システムの回転を感知するRPMセンサ、推力システム12および関連構成要素への燃料流量を感知する燃料流量センサ、推力システム12および関連するシステムへの燃料圧力を感知する燃料圧力センサ、推力システム12、関連システムまたは構成要素などの振動を感知する振動センサのような、この中で説明される1つ以上のセンサ372および/または他のセンサからセンサ出力を受け取ってもよい。同様の方法で、制御器350は、補助スラスタ19から、1つ以上のセンサからの同様のセンサ出力を受け取ってもよい。
【0086】
制御器350はプロセッサ352を含んでもよい。このプロセッサ352は、電源354、メモリ356、クロック358、アナログデジタル変換器(A/D)360、入力/出力(I/O)ポート362などに使用可能に接続されてもよい。I/Oポート362は、任意の適切に取り付けられた電子装置から信号を受信し、これらの信号をA/D360からおよび/またはプロセッサ352に転送するように構成されてもよい。これらの信号はセンサ372からの信号を含む。信号がアナログ形式の場合、信号はA/D360を通って進む。これに関して、A/D360は、アナログ形式の信号を受信し、これらの信号を対応するデジタル形式の信号に変換するように構成されてもよい。制御器350は、この中で定義されるような有線および/または無線通信チャネルを通じて信号を送信するように構成された送受信機380を含んでもよい。
【0087】
制御器350は、装置10の、位置、速度、機首方向、高度などを推定し得るGNSS受信機およびプロセッサ376を含んでもよい。制御器350は、装置10の、位置、速度、機首方向、高度などを推定し得る慣性航法システム384を含んでもよい。慣性航法システム384は、プロセッサ352、運動センサ、加速度計、回転センサ、ジャイロスコープなどを使用し、推測航法によって、外部参照を必要とせずに、その位置、速度、機首方向、高度などを計算する航法補助装置として実現されてもよい。さらに、制御器350は、局所的地形または地理的目印の写真または視覚的表示を取り込み、地形または1つ以上の地理的目印を認識し、地形の認識に基づいて装置10の位置を決定するように構成された地形認識ユニットも含んでもよい。
【0088】
制御器350は、プロセッサ352からデジタル形式の信号を受信し、これらの信号をアナログ形式に変換し、I/Oポート362からアナログ信号を転送するように構成され得るデジタルアナログ変換器(DAC)370を含んでもよい。このようにして、アナログ信号を使用するように構成された推力システム12の構成要素382は、通信を受信するかまたはプロセッサ352によって駆動されてもよい。構成要素382は、推力システム12のための燃料噴射システム、推力システム12のためノズル制御装置、燃料ポンプ、燃料弁などを含んでもよい。同様に、補助スラスタ19も、通信を受信するかまたはプロセッサ352によって駆動されてもよい。一態様では、制御器350は、推進装置10のヨーを制御するために、補助スラスタ19を排他的に制御してもよい。
【0089】
プロセッサ352は、DAC370、A/D360、および/またはI/Oポート362との間で信号を送受信するように構成されてもよい。さらに、プロセッサ352はクロック358から時間信号を受信するように構成されてもよい。加えて、プロセッサ352は、メモリ356との間で電子データの格納および取出しを行うように構成されてもよい。さらに、制御器350は、表示装置368、入力装置364、および読出し専用メモリ(ROM)374を含んでもよい。最後に、プロセッサ352は、この中で説明される動作プロセスを実行するために、プロセッサ352によって実行されるメモリ356に格納されたプログラムを含んでもよい。
【0090】
制御器350およびI/Oポート362は、構成要素382を含む推力装置10の作動を制御し、推力装置10から信号を受信するように構成されてもよい。これらの信号はセンサ372などからの信号を含んでもよい。同様に、制御器350およびI/Oポート362は、関連構成要素を含む補助スラスタ19の作動を制御し、補助スラスタ19から信号を受信するように構成されてもよい。
【0091】
制御器350は推力装置10の作動などを制御してもよい。これに関して、センサ372が、所定の作動範囲外にある、推力システム12の、温度、圧力、振動などを感知した場合、制御器350は、推力システム12への燃料流量を低減して、損傷を防止し、安全上の問題などを防止してもよい。さらに、制御器350は、残りのサブ推力システム12a、12bおよび/または個々のスラスタへの燃料流量を増加させて、推力システム12の故障した構成要素によって低減された推力を埋め合わせてもよい。同様に、制御器350は、同様の方法で、補助スラスタ19の作動などを制御してもよい。これに関して、センサが、所定の作動範囲外にある、補助スラスタ19の、温度、圧力、振動などを感知した場合、制御器350は、補助スラスタ19への燃料流量を低減して、損傷を防止し、安全上の問題などを防止してもよい。
【0092】
さらに、一態様では、冗長センサ372があってもよい。これに関して、制御器350は各冗長センサ372からの出力をサンプリングしてもよい。その後、制御器350は、冗長センサ372のそれぞれからの出力を比較し、誤っているように見える値を破棄してもよい。最後に、制御器350は、残りの冗長センサ372のそれぞれの値を平均して、統計的により正確なセンサ値を提供してもよい。この処理によって、偽陽性が低減し、安全性が向上する。
【0093】
図4は、本開示の一態様による推進装置のための冗長システムの様々な態様を示す。特に、上述の推力システム12は、安全性、信頼性などを向上させるために、いくつかの冗長システムと共に設けられてもよい。図4に概略的に示されるように、燃料タンク602は少なくとも2つの燃料ポンプ604を含んでもよい。燃料ポンプ604は、燃料タンク602から各サブ推力ユニットまたはシステム12a、12bに燃料を届けるために並行して作動してもよい。これに関して、1つの燃料ポンプ604が故障した場合、第2の燃料ポンプ604が故障した燃料ポンプ604の埋め合せをしてもよい。あるいは、各スラスタまたはエンジン12a1、12a2、12b1…は、作動中の冗長性、安定性、および安全性をさらに向上させるために、別個の独立で制御される燃料ポンプに連結されてもよい。さらに、各燃料ポンプ604は、606で示される、燃料流量センサ、回転センサなどを含んでもよい。制御器350は、この中で定義されるような通信チャネル650を通じて、1つ以上のセンサ606からの出力に基づいて、各燃料ポンプ604の作動を感知および制御してもよい。燃料ポンプ604は、燃料タンク602に直接に含まれているように示されているが、燃料ポンプ604は、燃料タンク602と、推進装置10、特に推力システム12との間のどこへでも配置され得る。
【0094】
制御器350は、1つの燃料ポンプ604が故障したことを感知すると、故障した燃料ポンプ604の埋め合せをするように残りの燃料ポンプ604を作動させてもよい。あるいは、1つの燃料ポンプ604が作動し、第2の燃料ポンプ604が予備のように作動してもよい。制御器350は、作動中の燃料ポンプ604が故障したことを感知すると、故障した燃料ポンプ604の埋め合せをするように予備の燃料ポンプ604を作動させてもよい。
【0095】
図4の冗長システムは複数の燃料ライン608をさらに含んでもよい。複数の燃料ライン608を設けることは、1つの燃料ラインが、推進装置10、特に推力システム12に燃料を届けることに失敗した場合、予備の燃料ライン608が燃料ライン608の故障を埋め合わせ得ることを保証する。これにより、燃料ラインの、詰まり、損傷、捩れなどの状況を処理し得る。さらに、各燃料ライン608は燃料流量センサ610を含んでもよい。制御器350は、燃料流量センサ610からの出力に基づいて、両方の燃料ポンプ604の作動を通じて、各燃料ライン608の働きを感知および制御して、故障した燃料ライン608の埋め合わせをしてもよい。
【0096】
図4の冗長システムは複数の燃料弁装置612をさらに含んでもよい。複数の燃料弁装置612を設けることは、1つの燃料弁装置612が、推進装置10、特に推力システム12に燃料を届けることに失敗した場合、予備の燃料弁装置612が燃料弁装置612の故障を埋め合わせ得ることを保証する。さらに、各燃料弁装置612は故障センサを含んでもよい。制御器350は、この中で定義されるような通信チャネル650を通じて、故障センサからの出力に基づいて、各燃料弁装置612の作動を感知および制御して、故障した燃料弁装置612の埋め合わせをしてもよい。
【0097】
図4の冗長システムは複数の燃料噴射装置614をさらに含んでもよい。複数の燃料噴射装置614を設けることは、1つの燃料噴射装置が、推進装置10、特に推力システム12に燃料を供給することに失敗した場合、予備の燃料噴射装置614が燃料噴射装置614の故障を埋め合わせ得ることを保証する。さらに、各燃料噴射装置614は故障センサを含んでもよい。制御器350は、この中で定義されるような通信チャネル650を通じて、故障センサからの出力に基づいて、各燃料噴射装置614の作動を感知および制御して、故障した燃料噴射装置614の埋め合わせをしてもよい。冗長機能は、推進装置10のそれぞれのサブ推力システムまたはユニット12a、12bおよび/またはそれぞれの個別のエンジンまたはスラスタ12a1、12a2、12b1…に対して1つの制御器350を設けることを含んでもよい。
【0098】
図5は、本開示の一態様による推進装置のための冗長システムの様々な追加の態様を示す。特に、図5は、乗員1の手に保持される遠隔制御装置として、マン・マシンインターフェース60を示す。一態様では、および図2で上述したように、インターフェース60はトリガ61を有する銃型形式の要素を有する。トリガが乗員1によって操作された場合、トリガの動作は、スラスタユニット12の動力を増加させる命令として解釈され得る。また、マン・マシンインターフェース60は、図3に関連して説明されるような制御器350の様々な態様のうちの1つ以上を含む制御器を含んでもよい。
【0099】
一態様では、マン・マシンインターフェース60および制御器350は、補助スラスタ19を制御することによって推進装置10のヨーを制御してもよい。これに関して、マン・マシンインターフェース60の作動によって、マン・マシンインターフェース60に含まれた上述のセンサによって決定されたマン・マシンインターフェース60の動きと一致した割合の推進装置の回転が実行されてもよい。換言すれば、乗員1の手の中のマン・マシンインターフェース60の動きによって、推進装置の回転またはヨーの割合が制御されてもよい。
【0100】
マン・マシンインターフェース60は、この中で定義されるような有線通信チャネル802によって、乗員1から受信した様々な制御操作を制御器350に通信してもよい。冗長的に、この中で定義されるような無線通信チャネル804によって、乗員1から受信した様々な制御操作を制御器350に通信してもよい。したがって、有線通信チャネル802または無線通信チャネル804の一方が故障した場合、有線通信チャネル802または無線通信チャネル804の他方が利用され得ることによって、安全性が向上する。一態様では、有線通信チャネル802および無線通信チャネル804によって提供される信号通信はパルス幅変調を含んでもよい。さらに、他の種類の信号通信が意図されてもよい。一態様では、信号は、トリガおよび/または他の入力装置に関連付けられたホール効果センサに応じて、マン・マシンインターフェース60によって生成されてもよい。さらに、他の種類のセンサおよび入力部が意図されてもよい。制御器350は、推進装置の他の任意のセンサまたは制御機能に対して、冗長性を有する有線/無線制御を利用してもよい。
【0101】
さらに、マン・マシンインターフェース60は他の形式の要素および実施形態を含んでもよい。例えば、マン・マシンインターフェース60は、乗員1が自身の足の動きを通じて推進装置の様々な態様を制御することを可能にし得る足入力部を含んでもよい。特に、推進装置10は、操作者の足が配置される支持手段16に最も近い台11上に1つ以上の制御入力部またはセンサ34を含んでもよい。センサ34は、操作者の足の真下および/または足の側面の台(例えば、支持手段16上または台の隆起した棚状の出っ張りもしくは表面上など)に配置され、各足の側面によって加えられた横方向または部分的に横方向の力または圧力を測定してもよい。センサ34は、力、圧力、または、主要および/または補助推力システムまたはスラスタの作動を調整するために制御器350などの装置の他の構成要素に伝達され得る操作者の足からの他の入力を測定、監視、または別の方法で評価してもよい。そのような操作および調整の一例では、センサ34は、左足などの乗員の第1の足の力または圧力を測定または監視し、右足などの乗員の第2の足の力または圧力を測定または監視してもよい。第1および第2の足からの測定値は比較され、差があれば、その差が決定または計算されてもよい。計算は、例えば、センサ34および/もしくは制御器350のCPUまたは他の構成要素によって実行されてもよい。次に、測定された力または圧力の計算または決定された差分は、主要および/または補助推力システムまたはスラスタの調整をトリガまたは開始するために使用されてもよい。一態様では、装置10は、決定された測定値の差分と比較される事前に設定された差分閾値を有してもよく、推力システムの調整は、測定された差分が事前に設定された差分閾値より大きいかあるいは小さい場合にのみ実行される。比較が行われると、主要および/または補助推力システムまたはスラスタへの、方向、燃料流量、スラスト出力、または他の調整が、実行されて、装置の、速度、方向、ヨー、ロール、および/またはピッチに影響を及ぼしてもよい。
【0102】
センサ34の構成は4つのセンサの構造を含んでもよく、各足の各つま先領域およびかかと領域に対してセンサ34があり、これにより、左足および右足の両方の完全な区別のみならず、各つま先およびかかと部分の圧力および/または力、ならびにその差分の監視(例えば、操作者の旋回運動を示し得る、左つま先領域と右かかと領域との間の差分の監視)が可能になり、それにより、制御器が、飛行および/またはスラスト出力を修正するように構成またはプログラムされ、操作者の物理的な動きおよび体の移動による手を使う必要のない装置10の操縦および操作を適応させ、容易にし、または向上させることが可能になる。
【0103】
使用の説明に役立つ例では、操作者は操作のために台11上に位置し、主要および補助推力システムはこの中で開示されるように操作されて飛行を達成してもよい。飛行中、操作者は、現在の機首方向の左方向に進みまたは向かうことを望むこともある。操作者は、直観的に左に傾き、右足に比べて左足により多くの圧力および重量をかけ得る。操作者の重量と足のサイズに応じて、操作者の左足および右足によって加えられ、したがってセンサによって測定された圧力の差分は、約1psiと4psiの間にあり得るが、測定された重量または力の差分は、全体重(加えて、操作者が携行している、任意の追加の道具、器具、武器など)とその約4分の1の間にあり得る。この力または圧力の差分を検出すると、制御器350は、主要および/または補助推力システムの作動を調整して、左への安定した旋回を容易にしてもよい。主要サブ推力システムの1つのスラスト出力は、装置の左側に付加的な持ち上げる力を与えるように増加し(または別の方向に向けられ)、増加した力を補い、過度なロールまたは転倒を防止してもよい。主要推力システム12の変形に対する追加および/または代替として、補助推力システム19は、左への回転または方向変化のヨーレートを制御するように調整されてもよい。旋回を終えるかまたは所望の新しい方向を向くと、操作者は両脚に実質的に等しく体を乗せて戻してつり合いをとり戻し、したがって測定された左足と右足(またはその一部)の間の差分を低減してもよい。したがって、低減された測定値の差分は、制御器350および/または主要および補助推力システム12または19に信号で伝えられ、それらは、通常の作動に戻るか、さもなければ現在の装置の機首方向および方位を維持するように作動してもよい。
【0104】
動作の解釈、指示、および/または操作者による力の印加を補正し、ずらし、または容易にするために、測定された差分が大きいほど、スラスト出力、方向などの調整が大きくなるように、主要および/または補助推力システムの調整の範囲または量は、測定または計算された差分の大きさに比例または別の方法で相関する。測定された差分と対応する調整との相関の大きさは、線形でもよく、乗数または商の関係を含んでもよく、または装置の特定の応用または使用に必要にされまたは望まれるように別の方法で数学的または計算可能に関係づけられてもよい。
【0105】
この中に開示される、様々な、水平、姿勢、ヨーおよび他の方向、ならびに/または飛行特性センサに加えておよび/またはそれらの例として、センサは、操作者1、装置10、またはインターフェース60の少なくとも1つ連結され、ヨーレートのような1つ以上の運動の面における方向の変化率を測定してもよい。センサは、制御器350と通信し、主要および/または補助推力システムの調整または作動に影響を及ぼし、経験される最大の方向変化率を制限し(たとえば、操作者を不安定しまたは傷つけ得る過度な回転を防止し)、および/または、所望の機首方向または飛行方向が得られると、変化率を実質的にゼロに低減してもよい。例えば、上述のように、装置10は、操作者からの指針および操縦入力として力または圧力の差分を監視してもよい。操作者が体の動きを止めまたは直立して所望の機首方向を合図すると、装置10は、そうでなければ装置10を所望の機首方向から逸らすだろうヨーレートをまだ経験していることがある。したがって、制御器350は、センサからの情報を監視または受信し(独立しておよび/または他のセンサから受信した情報と共に)、主要および/または補助推力システムの作動を調整することによって、存在するヨーレートまたは他の方向の変化率を減殺し、装置の設定された機首方向および向きを安定させまたは別の方法で維持し得る。
【0106】
別の態様では、装置10は、乗員1が自身のあごの動きを通じておよび/または音声認識コマンドを使用して推進装置の様々な態様を制御することを可能にする口頭または口入力部を含んでもよい。たとえば、装置は口頭入力装置38を含んでもよい。口頭入力装置38は、入力を受け取り、および/または、口頭の状況、力、または圧力を測定または監視することに、および、後続の処理、解析、または、装置10の1つ以上の機能または構成要素を作動、維持、または調整するために少なくとも部分的な基礎として後で使用され得る他の評価のために、受け取った入力を制御器350に伝えることに使用可能である。例えば、口頭入力装置38は、マイクロフォン、咬合力または圧力センサ、および/または、口および/またはあごの開口幅または動きを監視する光学または他のセンサの1つ以上を含んでもよい。図6に関連して説明される実施形態によれば、口頭入力装置38は、その作動のために操作者の口の近くでヘルメット904に連結されてもよい。
【0107】
使用の一例では、入力装置38は、操作者によって与えられた入力を受け取りまたは測定してもよい。入力は、入力装置38に加えられた力または咬合圧の増加、入力装置38へ話された口頭コマンド、口の開口の増加(または減少)、および/または操作者のあごの一部の物理的な動きを含んでもよい。入力装置38によって受け取られた入力は、装置10に対する運転変更が開始されるべきかどうかを決定する解析または処理のために、処理されまたは制御器に伝えられてもよい。例えば、咬合力または咬合圧は事前に設定された閾値と比較されてもよい。測定値が閾値から十分に外れている場合、制御器は、主要および/または補助推力システムの調整を実行してもよい。この調整は、スラスト出力の増加または減少、推力方向の変更、1つ以上のスラスタまたはエンジンへの燃料流量の変更などを含んでもよい。
【0108】
主要および/または補助推力システムの調整の範囲または量は、入力が大きいほど(咬合力、音声の音量、口の開口または動きであろうと)、スラスト出力、方向などの調整が大きくなるように、口頭入力装置38によって受け取られた入力の大きさに比例または別の方法で相関してもよい。測定された差分と対応する調整との相関の大きさは、線形でもよく、乗数または商の関係を含んでもよく、または装置の特定の応用または使用に必要にされまたは望まれるように別の方法で数学的または計算可能に関係づけられてもよい。
【0109】
これらの実施形態では、手に関係しない入力を使用する利点によって、乗員1は他の作業に自身の手を自由に使用できる。一態様では、保守作業員は自身の手を使って保守を行うことができる。追加の例は、装置10の態様を制御するために使用される1つ以上の制御器またはインターフェース60の態様を、装置10の乗員/操作者1が保持している武器または道具に直接に連結することを含んでもよい。さらに、他の応用および変形が考えられる。
【0110】
図6は、本開示の一態様による推進装置のパイロットのための表示装置を示す。特に、図6は、運転情報を使用者に表示するように構成された表示装置902を示す。一態様では、表示装置902はヘルメット904の外側表面に取り付けられてもよい。別の態様では、表示装置はヘルメット904の内側表面に取り付けられてもよい。さらに別の態様では、表示装置902は、ヘルメット904のバイザー906に取り付けられてもよい。一態様では、表示装置902は、焦点に、陰極線管、発光ダイオード、または液晶ディスプレイを有する凸レンズまたは凹面鏡を含む光コリメータシステムを含んでもよいヘッドアップディスプレイ(HUD)として実現される。一態様では、HUDはバイザー906上に表示されてもよい。別の態様では、表示装置902は、直接に見られてもよく、発光ダイオード、液晶ディスプレイなどによって実現されてもよい。一態様では、表示装置902は、パイロットの視野の上部に配置され、パイロットがより容易に地面を見ることを可能にしてもよい。
【0111】
表示装置902は、非限定的に、対気速度、高度、地平線、機首方向、旋回/バンク、スリップ/スキッド指標、エンジン状態、安全性についての警告、安全性についての警報、エンジンの故障、無線伝送の故障、過度の振動、過度の熱、切迫したエンジンの故障、燃料低下、スロットル位置などの任意の1つ以上を含む、この中で説明される1つ以上のセンサによって提供される情報を表示してもよい。表示装置902によって提供される情報は、この中で定義されるような通信チャネルを利用する有線接続または無線接続908を介して制御器350から提供されてもよい。
【0112】
本開示の一態様は、推進装置の自動化された運転のための処理における、推進のための処理にも関係する。自動化された運転のための処理は、メモリ356に事前に入れられた命令に基づいて、制御器350によって制御されてもよい。あるいは、自動化された運転は、運転の現場における入力装置364への入力によって制御されてもよい。あるいは、自動化された運転のための処理は、この中で定義されるような通信チャネルを通じて送受信機380によって受信される無線通信によって制御されてもよい。
【0113】
この中で説明されるような推進装置は、非常に軽量であり、必要にならば人員によって携行され得る。これに関して、推進装置は、人員が場所から場所へそれを移動させる間、推進装置を収容および保護するための軽量のハウジングを有してもよい。例えば、軍事行動中、軍人は、軍事行動中などの軍人の迅速な撤収に使用するために推進装置を携行してもよい。兵士が軍事行動中に負傷した場合、推進装置は、ハウジングから取り外され、負傷した兵士を取り除くために迅速に運転されてもよい。一態様では、推進装置は、静脈内液剤、創傷治療などの医療を兵士に即座に提供するために必要な医療機器を含んでもよい。
【0114】
別の態様では、自動化された運転のための処理の第1のステップとして、推進装置は、GNSS、慣性誘導システム、地形認識などを通じて所望の場所に送られてもよい。これに関して、兵士が負傷した場合、推進装置は無人または遠隔操縦の方法で彼らの場所に送られてもよい。次に、自動化された運転のための処理の第2のステップとして、推進装置は、それが所望の場所に到達すると、または、それがそのハウジングから取り外されると、乗員を受け取ってもよい。一態様では、推進装置の構成はストレッチャー型の構成を含んでもよい。この構成により、乗員は座るかまたは横になることができる。その後、自動化された運転のための処理の第3のステップとして、推進装置は安全な場所に送られてもよい。これに関して、乗員が推進装置のストレッチャー構成に載せられると、マン・マシンインターフェース60が作動されて推進装置を安全な場所に移動させてもよい。この点に関して、推進装置が軍事行動中の医療救助のために使用されている場合、負傷した兵士をできる限り迅速に戦場から移動させ、さらなる負傷を防ぐことが賢明であり得る。さらに、推進装置を特定の戦場の場所から遠くに迅速に送ることによって、GNSS376は正確な位置を取得することが可能になり得る。例えば、戦場の場所はしばしば衛星配置妨害電波を受ける。すぐに推進装置を数千フィートの高度に送ることによって、衛星配置妨害電波が回避され、GNSS376は正確な位置を取得できる。別の態様では、推進装置は慣性航法システム384または地形認識を利用して安全な医療施設に向かってもよく、これにより、衛星妨害装置から離れて正確な位置を取得する時間がGNSS376に与えてられてもよい。最後に、自動化された運転のための処理の第4のステップとして、推進装置は、GNSS、慣性誘導システムなどを介して任意の場所に送られてもよい。これに関して、推進装置が正確な衛星配置を受信すると、制御器350は、推進装置を、負傷した人員が医療を受け得る医療施設に移動するように制御してもよい。
【0115】
ここ、図7A~7Dを参照すると、選択的に制御可能な多軸スラスト出力を有する推力ユニット100の一例が示されている。推力ユニット100は、一般に、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、および/またはターボプロップエンジン、または燃焼および流体の流れの原理を通じて推力を提供するそれらの変形を含みまたは備えてもよい。推力ユニット100は、この中に開示される、個人の推進装置、ならびに、関連する、構成要素、システム、および作動のいずれかと共に実現されてもよい。例えば、推力エンジン100は、推進装置10またはその変形例に、装置10に推力を提供するスラスタユニット12a1、12a2、12b1、12b2などとして実装されてもよい。
【0116】
推力ユニット100は、概して、空気または他の流体がエンジン内に運ばれる吸入端または領域102と、圧縮され、燃焼し、および/または加圧された流体が排出されて推力を生成するスラスト出力または排出端または領域104と、を含みまたは定めてもよい。
【0117】
推力エンジン100は、スラスト出力領域104の最も近くにノズル106を含みまたは定めてもよく、その領域で、ノズル106は、2つの別個の軸、第1軸108(例えば「Y」軸)、および第1軸に実質的に垂直な第2軸110(例えば「X」軸)に沿って動き、スラスト出力を方向付けることができるように、推力エンジン100に可動に連結される。2つの軸の周りの回転可能性は、第1軸108の周りのノズル106の回転可能性を提供する第1ジョイント112aと、第2軸110の周りのノズル106の回転可能性を提供する、ノズル106をカラー111に連結する第2ジョイント112bとで、推力エンジン100に回転可能に連結されるカラー111によって実現または達成されてもよい。カラー111は、多軸操作性を提供するために、第2ジョイント112bに面した下方への偏りを含み、凹部または切り欠き部114を第1ジョイント112aの真下にさらに含む。
【0118】
ノズル106の位置の選択的調整は、この中に開示される推力エンジン100および/または推進装置に連結された1つ以上のアクチュエータの作動を通じて達成されてもよい。例えば、第1アクチュエータ116aは、第1枠組みまたはリンク機構118aを介してノズル106に結合され、第1軸108の周りのノズル106の動きを制御してもよい。第2アクチュエータ116bは、第2枠組みまたはリンク機構118bを介してノズル106に結合され、第2軸110の周りのノズル106の動きを制御してもよい。アクチュエータは、空気圧で、電気で、液圧で、または別の方法で動力を供給されまたは作動して、ノズル106の動きおよび操作を制御してもよい。アクチュエータ116a、116bは、制御器、プロセッサ、または、本開示の個人の推進装置の運転を制御するこの中に開示される他の構成要素と結合されるかまたは他の方法で通信してもよい。
【0119】
エンジン100の周りのノズル106の動き、および矢印によって示される結果として生じる推力ベクトルが、図7Bにおいて、第2軸110(「X」軸)の周りに示されている。ノズル106の動きの全範囲は、約15度と約60度の間、例えば、中心線軸に対して-7.5度~+7.5度から、中心線軸に対して-30度~+30度まで、でもよい。他の角度範囲が特定の応用または装置に合わせて実現または調整されてもよい。エンジン100および第1軸108(「Y」軸)の周りのノズル106の動き、および矢印によって示される結果として生じる推力ベクトルが、図7Cに示されている。第1軸108の周りのノズル106の動きの角度範囲は、第2軸の周りの動きの範囲と実質的に同様であり、例えば約15度と約60度の間でもよい。
【0120】
ノズル106の多軸運動は、この中に開示される推進装置を用いて実施される場合、変化する推力ベクトルを提供し、変化する方向制御を提供し得る。その推進装置の例は、装置の台11および推力システムの上方に位置する乗員またはペイロードを含む。例えば、図7Dは、X軸および推力エンジン100に対するノズル106の複数の変化する角度位置(この例では装置が縦揺れする角度を表す)、ノズルの軸に沿った矢印で示される結果として生じる推力ベクトル、および結果として生じる装置の運動を示す。該装置は、乗員またはペイロードを伴い、円で表され、装置およびペイロードの重心「CDG」と関連して示される。ノズル106の向きが、エンジン100の中心線、例えば、0度方向に調整される例では、スラスト出力は、どんなx軸の周りの角度移動またはピッチの変化も引き起こさないだろう。ノズル106がエンジン100の中心線に対して約+20度に向けられる例では、推力ベクトルは、装置およびペイロードの重心「CDG」の周りの回転矢印によって示されるように、x軸の周りの前方へのピッチをもたらす。また、図7Dは、エンジン100が垂直方向から離れるように角度を付けられ、ノズル106がエンジン100に対して位置合わせされるかまたは角度を付けられて配置される場合の結果として生じる推力ベクトルおよび乗員またはペイロードを伴う装置の動きの例を示す。
【0121】
ここで、図8A~8Dに目を向けると、例えば図1A~1Eに示される推進装置10の例、および図2から図6に関連して示され説明される制御/入力機能を含めて、この中に開示される特徴および運転特性を含み得る個人の推進装置200の例が示されている。装置200は、一般に、乗員1を支持するように構成された台202を含み、台に結合されて移動および飛行を提供する推力システムまたはアセンブリ204を有する。台は、たった1人の乗員を支持するように構成されるように示されているが、複数の乗員、器具、貨物、工具、または特定の応用および使用のための他の貨物を支持するために、サイズ、形状、および構成において異なってもよい。
【0122】
装置200は、乗員支持フレーム206を含み、乗員1が、装置200を運転する間、握りまたは別の方法で保持し得る構造を提供し、それにより、台202に乗員を連結する固定脚または足拘束具を有する必要性を低減してもよい。したがって、装置200は、乗員が、脚/足固定具を取り去りまたは外す必要なく、運転のために装置に簡単に乗り降りすることを可能にする。また、フレーム206は、図1A~1Eに示される装置10の例の場合にあり得るように、装置200の物理的な操縦および操作を使用者の足および脚に単に限定するよりむしろ、乗員が乗員の腕を使用して装置に回転力または操舵力を与えることを可能にする機械的梃子要素を提供する。装置200の操作は、乗員の腕を用いてフレーム206に加えた力の使用を通じて、疲労をより少なくし得る。そして、その力は、トルクアームとしてのフレームの長さによって増幅され、回転、ピッチ、ロール、または装置の他の方向制御をもたらす。
【0123】
装置200は、乗員1にとって容易に到達可能なフレーム206の上部などの装置の一部に取り付けられた使用者入力制御/機械インターフェース208を含んでもよい。インターフェース208は、インターフェース60に関連して説明され、および/または、この中で開示される、推進装置の、監視、測定、および運転の機能に関連して別の方法で説明される構成要素および機能と同様のものを含んでもよい。また、装置200は、この中で説明され、任意の図に示される、様々な他のセンサおよび運転上の構成要素、ならびに結果として生じる推進装置の特性および特徴を含んでもよい。
【0124】
装置200の推力アセンブリ204は、複数のスラスタユニットを含み、推力、および方向性をもつ動きを提供してもよい。例えば、図8C~8D(図の簡潔さおよび明瞭さのために装置200の一部が示されていない)に示されるように、推力アセンブリ204は、実質的に装置204の中心に配置された主要スラスタ204aを含み、概して装置200の垂直な中心線軸に沿った推力を提供してもよい。主要スラスタ204aは、図8Dにおいて矢印で示されるように、多軸推力制御を有し、装置200の移動および向きの多数の軸に沿った、制御可能なスラスト出力、および結果として生じる推力ベクトルを提供してもよい。主要スラスタ204aは、例えば、図8Aから8Dに関連して示され説明された多方向推力制御手段を含んでもよい。
【0125】
推力アセンブリ204は第1の対のスラスタ204b1、204b2を含んでもよく、各エンジンは軸210に沿って主要スラスタ204aの反対側に配置されている。スラスタ204b1および204b2のそれぞれは、主にピッチおよびロールの変化に影響を及ぼすために、図8Dにおいて矢印で示されるように、回転可能なノズルなどを通じて、少なくとも軸210に実質的に垂直な方向に沿った、方向性をもつスラスト出力能力を有してもよい(および上述の多軸推力制御と同様なものを有してもよい)。
【0126】
推力アセンブリ204は、第2の対のスラスタ204c1、204c2を含んでもよく、各スラスタは、軸210に実質的に垂直な軸212に沿って主要スラスタ204aの反対側に配置されている。スラスタ204c1および204c2のそれぞれは、主にピッチおよびロールの変化に影響を及ぼすために、図8Dにおいて矢印で示されるように、少なくとも軸212に実質的に垂直な方向に沿った、方向性をもつスラスト出力能力を有してもよい(および上述の多軸推力制御と同様なものを有してもよい)。第1および第2の対のスラスタは、装置200の垂直な中心線の周りに実質的に集められ、それによって、比較的近くで主要スラスタ204aを実質的に取り囲んでもよい。
【0127】
推力アセンブリ204は1つ以上のスラスタ204d1、204d2を含んでもよく、各スラスタは、実質的に、軸210および212のそれぞれに対して約45度の角度をなす装置200の縦軸に沿って延在する軸214に沿って、主スラスタ204aの反対側に配置されている。スラスタ204d1および204d2のそれぞれは、主にヨーの動きをもたらしまたは制御するために、図8Dにおいて矢印で示されるように、少なくとも軸214に実質的に垂直な方向に沿った、方向性をもつスラスト出力能力を有してもよい(および上述の多軸推力制御と同様なものを有してもよい)。スラスタ204d1、204d2は、スラスタ204b1、204b2、204c1、204c2の間の距離よりも長い距離をあけて第1推力エンジンの反対側に配置され、より長いトルクアームを装置200に与え、ヨーレートを制御してもよい。
【0128】
図示および説明されるような推力アセンブリ204の構造および配置は、1つ以上のスラスタの故障の場合に多軸制御および冗長性を提供する。上述の各スラスタは、例えば、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、およびターボプロップエンジンのうちの1つでもよく、この中で説明される任意の方向性をもつおよび/または出力制御機能をさらに有してもよい。さらに、上述の各スラスタは、図示されているように実質的に垂直な方向に向けられ、垂直離着陸能力、およびこの中で提供される他の飛行機能を提供してもよい。上述の様々なスラスタの方向性をもつスラスト出力の制御は、この中で説明されるような1つ以上のアクチュエータ、制御器、および/またはプロセッサによって達成されてもよく、検出、測定、および/または感知された様々なパラメータに応じて自動的に調整されて、この中でも説明されるような飛行機能を提供してもよい。
【0129】
ここで、図9Aから11Cに目を向けると、単独の燃焼またはジェットエンジンに伴う典型的なスロットル応答と比較して著しく改善されたスロットル応答特性を提供する、この中または別に開示されているような推進装置のため推力システム300の例が示されている。例えば、タービンエンジンは、有意な推力能力を提供できる非常に有能な機械装置であるが、特に低い設定/毎分回転数から高い設定/毎分回転数に移行する場合に、スロットル入力と推力生成の間の重大な遅延時間を欠点としてもつ。このような遅延は、部分的に、スロットルの要求を満たすためのより高い推力の開始を遅らせる待ち時間の積み重ねを引き起こす、タービンホイールの慣性、圧縮機の応答、燃料供給、および燃焼プロセスにより、数秒間続く可能性がある。これにより、操作者または全体の輸送システムは、意図した推力点を行き過ぎ、後に推力が多すぎる場合に補正で過剰に応答することを引き起こす制御設定またはスロットル入力を誤って行う可能性がある。
【0130】
数秒の推力の遅延は、特に、回避操作を必要とする状況において、および/または機械/システムの故障を克服するために、スロットル操作において一瞬の調整を必要とすることがある航空機または装置を操作する場合に、悲惨な結果をもたらす可能性がある。典型的な飛行機のような航空機は、翼の向きを操作して揚力を提供することにより(例えば、迎え角の変更、フラップの伸長などにより)、推力の遅延を埋め合わせ得る。同様に、ヘリコプタは、ローターブレードのピッチを操作して、結果として生じる揚力を増加または減少することにより、推力の遅延を埋め合わせ得る。しかし、翼またはローターブレードを欠く垂直に離着陸する航空機の運転には、推力の遅延を扱うためのそのような埋め合わせ機構はない。事実、垂直離陸航空機における手動スロットル操作の誤りおよび過補償は、この遅延により、事故に終わった。
【0131】
図示される例は、スラスト出力/流路において、タービンエンジンまたはスラスタを真下に(垂直方向に向けられたエンジンまたはスラスタを想定して)取り付けられた1つ以上の作動するガイドを使用して、正確で略瞬時(例えば、100分の1秒)の推力応答を可能にする。開いている場合、推力は、ガイド間の空間を通過し、エンジンの完全な推力能力を可能にし、垂直な持ち上げをもたらす。完全に閉じられている場合、推力は、ガイドに当たりおよび/またはガイドによって逸らされ、消散する。ガイドは最終的に航空機/装置のシャーシに接続されているので、下向きの力は航空機の構造内で相殺され、エンジンの推力は、輸送手段/装置を持ち上げるのに十分に有意な持ち上げに実質的に寄与しない。使用されるアクチュエータは、これらの2つの両極端の間の正確な位置決めを可能にし、実質的に一定のまたは事前に設定された毎分回転数および燃料流量の推力エンジンで、推力応答の完全に制御可能な範囲をもたらし、制御信号をアクチュエータに送って、アクチュエータが応答するのにかかる時間まで推力の遅延を低減してもよい。その時間は、100分の1秒であり、タービンエンジンの遅延よりも数桁短い。
【0132】
図9A~11Cに示される推力システム300のそれぞれの例は前述の特徴および改善を提供する。それぞれの例に示されるように、システム300は、概して、この中の他の場所で説明されているような、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、および/またはターボプロップエンジンを含み得る推力エンジンまたはスラスタ302を含む。推力エンジンまたはスラスタは、概して、空気または他の流体がエンジン内に運ばれる吸入端または領域302aと、圧縮され、燃焼し、および/または加圧された流体が排出されて推力を生成するスラスト出力または排出端または領域302bを含みまたは定める。システム300は、エンジン302の排出領域302bから排出された流体、ならびに関連した推力および結果として生じる推力ベクトルを偏向させ、吸収し、および/または消散させるように、使用可能なおよび/または構成された偏向器アセンブリ304を含んでもよい。偏向器センブリ304は、推力システム300を設けられた航空機、輸送手段、または装置(この中に開示されるようなもの)に与えられた全体の推力の大きさおよびベクトルを調整するために、エンジン302の排出領域302bならびに関連する推力および結果として生じる推力ベクトルの周りに選択的および制御可能に動くことが可能な1つ以上の偏向ガイド306a、306bを含んでもよい。あるいは、偏向ガイド306a、306bのそれぞれは互いに独立に動くことが可能であってよい。偏向器センブリは、スラスト出力の元の軸(概して推力を提供するエンジンの縦軸)に対して角度を付けられた少なくとも2つの推力ベクトルの方向にスラスト出力を逸らす。多数の推力ベクトルは、全て実質的に同じ大きさを有してもよく、第1軸に対して約45度と約90度の間で角度をなしてもよい。各推力ベクトルはスラスト出力の元の軸に対して実質的に同じ角度をなしてもよい。
【0133】
偏向ガイド306a、306bは、好ましくは、1つ以上の枠組み、リンク機構、または他の機械的構造308によって、エンジンまたはスラスタ302に(および/または、そうでなければ、システム300を使用する航空機、輸送手段、または装置のフレームまたはシャーシに)連結される。エンジンまたはスラスタ302の出力に対する偏向ガイド306a、306bの動きおよび/または操作は、各偏向ガイド306a、306bに連結された1つ以上のアクチュエータ310によって達成されてもよい。アクチュエータ310は、1つ以上の枠組み、リンク機構、または他の機械的構造312によって偏向ガイド306a、306bに操作可能に連結されてもよい。
【0134】
ここで、図9Aおよび9Bを参照すると、偏向ガイド306a、306bは、実質的に平面状であり、ガイド306a、306bの上面に実質的に平行な平面内で実質的に動くことが可能である。図9Aは「開いている」構成を示す。この構成では、偏向ガイド306a、306bは、実質的にエンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力の経路の外に配置され、それによって、エンジンまたはスラスタ302によって提供された全ての力および推力ベクトルの大きさが、システム300を使用する航空機、輸送手段、または装置に効果を生じることを可能にする。図12Bは、偏向ガイド306a、306bがエンジンまたはスラスタ302の排出領域302bにおいて互いに並置される「閉じられている」構成を示す。エンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力は、最初は、実質的にエンジンまたはスラスタ302の縦軸314に沿って方向付けられる。したがって、排出された流体および結果として生じる力は、偏向ガイド306a、306bの方へ向けられ、偏向ガイドによって、軸314から離れるように角度をなす多数の方向に偏向しまたはさもなければ分散し、結果として生じる軸314に沿った推力ベクトルの大きさは実質的に減少する。
【0135】
ここで、図10Aおよび10Bを参照すると、偏向ガイド306a、306bは、エンジン302の排出領域302bに最も近い領域に回転可能に連結され、偏向器アセンブリの「挟み込み運動」を可能にする。図10Aは「開いている」構成を示す。この構成では、偏向ガイド306a、306bは、実質的にエンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力の経路の外に配置され、それによって、エンジンまたはスラスタ302によって提供された全ての力および推力ベクトルの大きさが、システム300を使用する航空機、輸送手段、または装置に効果を生じることを可能にする。図10Bは、偏向ガイド306a、306bがエンジンまたはスラスタ302の排出領域302bにおいて一緒に閉じられまたは「挟み込まれている」、「閉じられている」構成を示す。エンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力は、最初は、実質的にエンジンまたはスラスタ302の縦軸314に沿って方向付けられる。したがって、排出された流体および結果として生じる力は偏向ガイド306a、306bの方へ向けられる。偏向ガイド306a、306bは、軸314に対して角度を付けられた実質的に平面状の底面を定め、軸314から離れるように角度をなす2つの方向に、排出された流体および結果として生じる力を偏向させまたはさもなければ分散させ、結果として生じる軸314に沿った推力ベクトルの大きさは実質的に減少する。
【0136】
ここで、図11Aおよび11Bを参照すると、偏向ガイド306a、306bは、エンジンまたはスラスタ302の排出領域302bに最も近い領域に回転可能に連結され、偏向器アセンブリの「挟み込み運動」を可能にする。偏向ガイド306a、306bは、推力エンジンのスラスト出力領域302bの上方に位置する軸の周りに回転可能である。このことは、運転中に偏向ガイド306a、306bが開閉される場合に、エンジンまたはスラスタ302のスラスト出力に打ち勝ち抵抗するために、結果として生じるアクチュエータのトルクモーメントアームに対して機械的な利点をもたらす。図11Aは「開いている」構成を示す。この構成では、偏向ガイド306a、306bは、実質的にエンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力の経路の外に配置され、それによって、エンジンまたはスラスタ302によって提供された全ての力および推力ベクトルの大きさが、システム300を使用する航空機、輸送手段、または装置に効果を生じることを可能にする。
【0137】
図11B~11Cは、偏向ガイド306a、306bがエンジンまたはスラスタ302の排出領域302bにおいて一緒に閉じられまたは「挟み込まれている」、「閉じられている」構成を示す。エンジンまたはスラスタ302の排出された流体/スラスト出力は、最初は、実質的にエンジンまたはスラスタ302の縦軸314に沿って方向付けられる。したがって、排出された流体および結果として生じる力は偏向ガイド306a、306bの方へ向けられる。偏向ガイド306a、306bは、軸314に対して角度を付けられた実質的に曲がった半円形状の表面を定め、実質的に軸314から離れるように角度をなす2つの方向に、排出された流体および結果として生じる力を偏向させまたはさもなければ分散させ、結果として生じる軸314に沿った推力ベクトルの大きさは実質的に減少する。実質的に曲がった半円形状の表面の形態の偏向ガイド306a、306bの使用は特に有利である。なぜなら、そのような実質的に曲がった半円形状の表面は、方向および向きに関して、排出された流体がより正確に偏向することを可能にするからである。
【0138】
推力システム300は、図1Aから図1Gに示された推進装置10および図8A~8Dに示された推進装置の例を含めて、この中で説明される任意の推進装置と統合されてもよく、図2から図6に関連して示され説明される制御/入力機能と共に全体的または部分的に実現されてもよい。前述のエンジンまたはスラスタのそれぞれは、例えば、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジン、およびターボプロップエンジンのうちの1つでもよく、この中で説明される任意の方向および/または出力制御機能をさらに含んでもよい。さらに、前述のエンジンまたはスラスタのそれぞれは、図示のように、実質的に垂直な方向に向けられ、垂直離着陸能力およびこの中で提供される他の飛行機能を提供してもよい。上述のシステム300のスラスト出力の制御は、この中で説明されるような1つ以上のアクチュエータ、制御器、および/またはプロセッサの使用を通じて達成されてもよく、検出、測定、および/または感知された様々なパラメータに応じて自動的に調整され、この中でも説明されるような飛行機能を提供してもよい。
【0139】
本開示の態様は、例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、CDMA(符号分割多元接続)、GSM/EDGEおよびUMTS/HSPAネットワーク技術、ロングタームエボリューション(LTE)、5G(第5世代モバイルネットワークまたは第5世代ワイヤレスシステム)、WiMAX、HSPA+、W-CDMA(広帯域符号分割多元接続)、CDMA2000(C2KまたはIMTマルチキャリア(IMT-MC)としても知られる)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、ブルートゥース(登録商標)、および/または同種のもの、および/またはそれらの2つ以上の組み合わせのような既知のプロトコルを使用する、有線/無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、有線/無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)、有線/無線ホームエリアネットワーク(HAN)、有線/無線ワイドエリアネットワーク(WAN)、キャンパスネットワーク、メトロポリタンネットワーク、エンタープライズプライベートネットワーク、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネットワーク、バックボーンネットワーク(BBN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、オーバーレイネットワーク、近距離無線通信(NFC)、携帯電話ネットワーク、パーソナルコミュニケーションズサービス(PCS)のような、任意の型の有線または無線電子通信ネットワークであり得る通信チャネルを含んでもよい。NFC規格は、通信規約およびデータ交換形式を扱い、ISO/IEC14443およびFeliCa(登録商標)を含む既存の無線自動識別(RFID)規格に基づいている。その規格は、ISO/IEC18092[3]およびNFCフォーラムによって定義されたものを含む。
【0140】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現され得ることが理解されるだろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに記載された機能/動作を実行する手段を生成するような装置を作り出してもよい。
【0141】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置に、特定の方法で機能するように命令し得るコンピュータ可読媒体に格納されてもよく、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに記載された機能/動作を実現する命令を含む製品を作り出す。本開示の態様は、通信チャネルを介した有線/無線通信能力を有する、例えば、デスクトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップ/モバイルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、タブレットコンピュータ、クラウドコンピューティング装置などの任意の型のコンピューティング装置で実現されてもよい。
【0142】
さらに、本開示の様々な態様によれば、この中で説明される方法は、非限定的に、PC、PDA、半導体、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ、クラウドコンピューティング装置、およびこの中で説明される方法を実施するように構成された他のハードウェア装置を含む専用ハードウェア実装による実施を意図されている。
【0143】
また、この中で説明される本開示のソフトウェア実装は、ディスクまたはテープなどの磁気媒体、ディスクなどの光磁気または光学媒体、またはソリッドステートメディアなどの実体的な記憶媒体に選択的に格納されることに留意されたい。ソリッドステートメディアは、メモリカード、または、1つ以上の読み出し専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、もしくは他の書き換え可能な(揮発性)メモリを格納する他のパッケージなどである。電子メールに添付されたデジタルファイルまたは他の自己完結型情報アーカイブもしくはアーカイブのセットは、実体的な記憶媒体と同等の配布媒体と考えられる。したがって、本開示は、この中に列挙されるような、ならびに、この中のソフトウェア実装が格納される、当該技術分野で認められた均等物および後継媒体を含む、実体的な記憶媒体または配布媒体を含むと考えられる。
【0144】
さらに、本開示の様々な態様は一般的ではないコンピュータ実装で実現されてもよい。さらに、この中に記載されている開示の様々な態様は、この中の開示から明らかなように、システムの機能を改善する。さらに、本開示の様々な態様は、本開示によって扱われる複雑な問題を解決するように特にプログラムされたコンピュータハードウェアを伴う。したがって、本開示の様々な態様は、本開示によって明示され、特許請求の範囲によって定義されるプロセスを実行するために、その特定の実装においてシステム全体の機能を改善する。
【0145】
一例によれば、全地球航法衛星システム(GNSS)は、宇宙航行体(SV)から受信された信号に少なくとも部分的に基づいて位置を推定し得る装置および/またはシステムを含んでもよい。特に、そのような装置および/またはシステムは、関連するSVと航法衛星受信機の間の距離の近似値を含む「疑似距離」の値を取得してもよい。特定の例では、そのような疑似距離は、衛星測位システム(SPS)の一部として1つ以上のSVからの信号を処理できる受信機で決定されてもよい。そのようなSPSは、例えば、いくつかを挙げると、全地球測位システム(GPS)、ガリレオ、グロナス、または将来に開発される任意のSPSを含んでもよい。衛星航法受信機は、その位置を決定するために、3つ以上の衛星に対する疑似距離の値および送信時のそれらの位置を取得してもよい。SV軌道パラメータが知られているため、これらの位置は任意の時点に対して計算され得る。
【0146】
そして、擬似距離の値は、少なくとも部分的に、信号がSVから受信機に伝わる時間に光の速さを掛けたものに基づいて決定され得る。この中で説明される技術は、特定の例による具体例としてのGPSおよび/またはガリレオ型のSPSにおける位置決定の実施として提供され得るが、これらの技術は他の型のSPSに適用されてもよいこと、および特許請求の主題はこの点で制限されないことを理解されたい。
【0147】
本開示がこの中で先に特に示されて説明されたものに限定されないことは当業者に理解されるだろう。反対のことが先に言及されていなければ、全ての添付の図面が一定の縮小比であるわけではないことに留意されたい。図面内において適切な場所で慣習的な記号によってシステム構成要素を表し、この中の説明の恩恵を受ける当業者に直ちに明らかな詳細で本開示を不明瞭にしないように本開示の実施形態を理解するために適切なそれらの特定の詳細のみを示していることに注目されたい。さらに、この中で説明される特定の実施形態または図は、他の図または実施形態に明示されていない特徴を示すことがあるが、この中に開示される例の特徴および構成要素は、必ずしも互いに排他的ではなく、本開示の範囲および趣旨から外れることなく、さまざまな異なる組み合わせまたは構成に含まれてもよいことが理解される。特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲および趣旨から外れることなく、上述の教示を考慮して、様々な修正および変形が可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C