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特許7017310スポットに分析方法を実行するための対照マーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】スポットに分析方法を実行するための対照マーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20220201BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G01N33/543 501L
G01N33/543 575
G01N21/78 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2016561694
(86)(22)【出願日】2015-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2015057639
(87)【国際公開番号】W WO2015155254
(87)【国際公開日】2015-10-15
【審査請求日】2018-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】1453169
(32)【優先日】2014-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518262268
【氏名又は名称】バイオ―ラッド ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ポウゼット,アグネス,ロセリン,クロード
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーリー,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ,ローレント,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ベドリン,クリストフ,レネ,ロジャー
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】渡戸 正義
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-181709(JP,A)
【文献】特表2013-502931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0063197(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0196767(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0296727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法であって、
a)分析される試料を固体支持体のコンパートメントのスポットの存在下に置くステップであって、前記スポットまたは複数の前記スポットのうちの少なくとも1個が、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含むステップであ
前記耐性対照マーカーは、Atto633―アミン、Dye634-アミン、Dye630-アミンおよびB-フィコエリトリンからなる群から選択されるフルオロフォアマーカーであり、
前記耐性対照マーカーは、検出方法の終了時に検出可能シグナルを生成するものであり、かつ、前記耐性対照マーカーは、少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままである、ステップ、
b)分析物の少なくとも1つの検出リガンドを前記コンパートメントのスポットの存在下に置くステップであって、分析物の前記検出リガンドが直接または間接検出マーカーにカップリングされている、ステップ、
c)分析物の少なくとも1つの検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポットの存在下に置くステップ、
d)ステップc)において使用される前記レポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、ステップc)において使用される前記レポーターにカップリングされている前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポットの存在下に置くステップ、
e)前記コンパートメント中の少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成される少なくとも1つのシグナルを検出するステップ、
f)ステップe)において検出された少なくとも1つのシグナルの位置から少なくとも1つのリーディンググリッドを定義するステップ、
を含み、
前記ステップa)からd)はステップe)からf)より前に行われ、
前記耐性対照マーカーの励起スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの検出マーカーによって放出されるまたはそれに対応する生成シグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの前記検出マーカーのまたはそれに対応する前記発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする、方法。
【請求項2】
さらに以下の1または両方のステップを含む請求項1に記載の方法
g) 分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
h) ステップf)において定義されたリーディンググリッドでステップg)において検出されたシグナルを読み取るステップ。
【請求項3】
分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルがルミネッセントシグナルであることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
- 分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルが、ペルオキシダーゼと、ルミノール、ルミノールの類似物および/またはルミノールもしくはルミノールの類似物の誘導体との反応によって得られた化学ルミネッセンス化合物によって放出される光であり、
- 耐性対照マーカーによって生成された前記シグナルが波長375から550nmまで以外で放出される光であることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
耐性対照マーカーを選択するための方法であって、
a)検査されるマーカーを固体支持体の表面に沈着させて、少なくとも1個のスポットを形成させるステップ、
b)少なくとも以下を実行するステップ、
(i)1回または複数回の洗浄ステップを実施するステップ、
(ii)前記スポットを少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置くステップ、
(iii)前記スポットを少なくとも1つのレポーターの存在下に置くステップ、
(iv)前記スポットを少なくとも1つの基質の存在下に置くステップ
c)ステップb)の終了時にシグナルを生成するマーカーを選択するステップ
を含む方法。
【請求項6】
前記固体支持体のコンパートメントの表面が、
前記固体支持体のコンパートメントの表面に、前記少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび前記少なくとも1つの捕捉リガンドを含む混合物が沈着されたステップの後
-1)前記コンパートメントの表面を飽和させるステップ、ならびに
a-2)前記コンパートメントの表面を乾燥させるステップ
のステップの1つまたは両方により調製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉リガンドが、抗体、抗原、核酸およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
試料中の少なくとも1つの分析物を検出するためのデバイスであって、
- 固体支持体で少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルおよび分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するための手段であって、照明システム、テレセントリック対物レンズ、フィルターホイールおよびカメラを含む手段、ならびに
- 少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するため、および分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルを前記リーディンググリッドで読み取るための画像化システムを含む手段を含み、
前記耐性対照マーカーは、Atto633-アミン、Dye634-アミン、Dye630-アミンおよびB-フィコエリトリンからなる群から選択されるフルオロフォアマーカーであり、
前記耐性対照マーカーは、検出方法の終了時に検出可能シグナルを生成するものであり、かつ、前記耐性対照マーカーは少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであり、
前記耐性対照マーカーの励起スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの検出マーカーによって放出されるまたはそれに対応する前記シグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの前記検出マーカーのまたはそれに対応する前記発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする、デバイス。
【請求項9】
試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にするために分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポット中の少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用であって、
- 試料および検出される分析物の少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置かれた後に、前記スポットの質を、耐性対照マーカーによって生成されるシグナルに基づきチェックすること、ならびに/または
- 前記耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの位置から定義されるリーディンググリッド上で検出され、分析方法の終了時に検出される分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルの読み取り
を含むことを特徴とし、前記耐性対照マーカーは、Atto633-アミン、Dye634-アミン、Dye630-アミンおよびB-フィコエリトリンからなる群から選択されるフルオロフォアマーカーであり、
前記耐性対照マーカーは、検出方法の終了時に検出可能シグナルを生成するものであり、かつ、前記耐性対照マーカーは少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであり、
前記耐性対照マーカーの励起スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの検出マーカーによって放出されるまたはそれに対応する前記シグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの前記検出マーカーのまたはそれに対応する前記発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、多重分析の状況下で、スポットに分析方法を実行するための対照マーカーの使用に関する。したがって、本発明は、前記対照マーカーを含有する固体支持体、その調製方法および分析方法におけるその使用に関する。本発明は、分析方法の終了時にスポットの存在、位置および/または完全性を検証すること、したがって、生じた結果が存在する未処置の局在化されたスポットから実際に生じたことを保証しながら得られた結果を確実にすることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
多重分析方法は、同じ試料中のいくつかの分析物の潜在的存在を同時に検出できるようにする。多重分析方法は、典型的にはスポットを含む固体支持体、例えば各ウエル中にスポットを含むマイクロプレートを使用して実行され、各スポットは分析物を検出するまたは対照の役割を果たすことを目的とする。
【0003】
スポット技術に関する1つの危険性は、沈着の欠如、固体支持体を、特にマイクロプレートを調製する方法の際、または前記固体支持体を使用する分析方法の実行の際のいくつかのスポットの消失もしくは劣化であることは当業者に明らかである。実際に、試料または試薬を沈着させるためのデバイスは、1つまたはいくつかのスポットと偶然に接触するようになる場合があり、それにより例えば1つもしくはいくつかのスポットで溝を形成することによって、または1つもしくは複数のスポットの全体もしくは一部を引くことによって、それらの表面を変化させる。
【0004】
例えば、Bastaracheらによる論文(Accuracy and Reproducibility of a multiplex Immunoassay platform: a validation study,, J.Immunol Methods, Mar 31, 2011, 367 (1-2) 33-39)において、スポットの不規則性、あるスポットに対する付近のスポットの混入を生じるコマの存在、およびスポットの理論的位置で予測されるシグナルの欠如など、光シグナルに関する検査の終了時に観察された欠陥が示されている。
【0005】
さらに分析方法の終了時に陰性の結果が与えられた場合、この結果は試料中での検出される分析物の欠如から生じ、対応する分析物の検出スポットの欠如または劣化からではないはずである。分析方法を確実にすることは、特に、ヒトでの診断における、例えば輸血目的の血液試料におけるウイルスまたは細菌混入の欠如を検証するためのそれらの使用において重要である。
【0006】
スポット分析のための固体支持体の製造は、固体支持体の表面に、検出される分析物の捕捉リガンドを含む溶液を沈着させて、スポットを形成させることからなる。次に未変化で適格なスポットを有する固体支持体だけを維持するために固体支持体の質は、固体支持体の製造の終了時に検証される。
【0007】
したがって、文献米国特許出願公開第2006/0063197号明細書は、DNAマイクロアレイのスポットの形成を目的とする沈着溶液におけるフルオロフォアの使用を記載している。フルオロフォアは、DNAマイクロアレイについての調製方法の終了時に各スポットの質を検証するために使用される。さらに、ELISA検査の実行の際に、基質を添加する前に弱い残存蛍光シグナルだけがスポットで検出される。
【0008】
文献国際公開第2012/142397号パンフレットは、DNAマイクロアレイを含有するマイクロ流体アセンブリにおける流動課題を検討し、第1の末端に試料用の入口、DNAマイクロアレイおよび第2の末端に廃棄チャンバーに繋がれた試料用の出口を有するアレイチャンバーを含み、アレイチャンバーの第1の末端の横断面積が第2の末端のものよりも広いDNAマイクロアレイアセンブリを記載している。この文献は、アレイのスポットで内部質対照フルオロフォアによって放出される蛍光を測定することおよびバーコード、メモリデバイスまたは高周波同定によってアレイの各スポットに関する情報をコードすることによってDNAマイクロアレイの製造品質を検証するための方法も記載しており、それによりコードされているこの情報は、DNAマイクロアレイに関連付けられる。
【0009】
さらに多重分析方法の実行の際に、検出される分析物に対応するシグナルは、理論的リーディンググリッド(reading grid)で検出され得る。この理論的リーディンググリッドは、陽性対照としての役割を果たすスポットで検出されたシグナルから一般に多重分析方法の終了時に定義される。しかし目盛りの読み取りの観点から、固体支持体の製造の際のスポットの位置調整におけるいかなるシフトおよび/または理論的リーディンググリッドと比較してシグナルを検出するためのデバイスにおける固体支持体の位置調整は、理論的リーディンググリッドと比較したスポットの実際の位置調整におけるシフトを生じ、それにより分析物の検出感度に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特に、分析方法の終了時にスポットの存在、位置および/または完全性を検証することを可能にすることによる、および/または分析物の検出を最適化することを可能にすることによる、例えば分析物の検出感度を改善することによる、スポットでの分析方法の終了時に得られた結果を確実にするための解決策がまだ必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、試料中の検出される分析物の特異的捕捉リガンドと同時に、固体支持体にスポットを形成するように沈着させることができる対照マーカーを明らかにすることに基づいており、これらの対照マーカーは前記固体支持体を使用して実施される分析方法の終了時にシグナルを生成でき、分析物の検出をごくわずかに干渉する、または全く干渉しない。したがって、本発明による対照マーカーは、分析方法の終了時に、スポットの存在、位置および/または完全性を検証できるようにする。これらの対照マーカーは、「耐性対照マーカー(resistant control marker)として本明細書において認められる。
【0012】
表現「分析方法」および「少なくとも1つの分析物を検出するための方法」は、本明細書において同義である。
【0013】
用語「生成する」、「生成物」または「生成」は、任意の種類のシグナル、特に任意の種類の電磁放射線に、それが放射性シグナル、光の放出または吸収を含むかどうかに関わらず適用される。
【0014】
検出されたシグナルが蛍光ルミネッセンスシグナルである場合、「生成されるシグナル」は特に「放出されるシグナル」および「シグナルを生成する」および「シグナルの生成」であり、それにより「シグナルを放出する」および「シグナルの放出」をそれぞれ意味する。
【0015】
「少なくとも1つの分析物の検出」(または「少なくとも1つの分析物を検出する」)は本出願の範囲内で、前記分析物(複数可)の存在の検出(もしくは存在を検出する)および/または前記分析物(複数可)の定量(もしくは前記分析物(複数可)を定量する)を意味する。
【0016】
「分析方法の終了」は、本発明の意義の範囲内において、分析される試料、分析物を検出するための1つまたは複数のリガンド、該当する場合分析物の検出リガンドにカップリングされた検出マーカーの少なくとも1つの(第1の)レポーターおよび該当する場合前記第1のレポーターにカップリングされた検出マーカーの少なくとも1つの(第2の)レポーターの存在下にスポットが置かれた後を意味する。
【0017】
驚くべきことに、本発明者らは、固体支持体上に固定でき、分析方法それ自体を干渉せず、分析方法のさまざまなステップを実行した後に完全に検出可能なままである(特にそれらが固体支持体上に少なくとも部分的に固定されたままであることから)耐性対照マーカーを示した。分析方法の終了時に耐性対照マーカーによって生成されるシグナルがスポットの質の基準、特に存在、位置および/または完全性に合致するスポットを定義できるようにする場合、それにより分析物に対応するシグナルはこのスポットで検出され得る。特に、本発明による耐性対照マーカーは、少なくとも1つの分析物の存在が化学ルミネッセンスによって、好ましくはペルオキシダーゼ酵素とルミノール基質ならびに/またはルミノールの類似物、例えばイソルミノールおよび/もしくはそれらの誘導体のうちの1つとの反応を介して、放出されるシグナルによって検出される分析方法において使用され得る。
【0018】
本発明による耐性対照マーカーは、固体支持体の調製方法の終了時だけでなく、分析方法の終了時に前記固体支持体のスポットを対照できるようにする有利点を有する。
【0019】
したがって、本発明は、使用者のために結果を保証することを可能にする。特に、本発明は、陰性の結果が実際に試料中の分析物の欠如から生じ、例えばスポットの欠如またはスポットの読み取りにおけるシフトからではないことを保証することを可能にする。言い換えると、本発明は、分析方法の終了時にスポットの欠陥(すなわちスポットが質の基準に適合していない)および/またはスポットの読み取り欠陥に関し、リーディンググリッドが例えば陽性対照スポットによって放出されるシグナルで理論的に調整されている伝統的に使用される多重分析方法において検出されない偽陰性結果(「偽陰性」とも呼ばれる)を除外できるようにする。本発明は、陽性結果が実際に試料中の分析物の存在から生じていることを保証できるようにもする。例えばシグナルは、その位置にスポットが無いにも関わらずスポットの理論的位置(例えば対照スポットによって放出されるシグナルで調整された、理論的リーディンググリッドによって定義されるとおり)における分析物のマーカーに対応して検出される場合があり;そのような偽陽性結果(「偽陽性」とも呼ばれる)は伝統的分析方法の実行の際に生じ;固体支持体のスポットにおいて本発明による耐性対照マーカーを使用することによって、スポットのこの理論的位置では前記耐性対照マーカーに対応するシグナルは検出されず、分析方法は、その位置での分析物のマーカーに対応するシグナルの検出にも関わらず、与えられる結果の欠如を導く。
【0020】
本発明の別の有利点は、耐性対照マーカーが分析方法の終了時にリーディンググリッドを定義できるようにすることにある。さらに、固体支持体の物理的パラメーターによって定義された理論的リーディンググリッドと前記固体支持体を使用して分析方法の終了時に定義されるものとの間に差異がある場合がある。これらの差異は、例えば予測される理論的スポットグリッドと分析方法の終了時に実際に得られたグリッド(1つまたはいくつかのスポット)との間のシフトから生じる場合があり、それによりこのシフトは、本出願に記載のデバイスによって補正される。それにより分析方法の終了時に固体支持体のリーディンググリッドを、好ましくは分析物の少なくとも1つの検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するために使用されたものと同じ検出デバイスで、好ましくは併用でさらに確実に定義できる。したがって、本発明による耐性対照マーカーは、分析方法の終了時に検出されたスポットの位置から分析物を検出するためのリーディンググリッドの定義により分析物検出の感度を改善することによってスポットでの分析方法の結果を確実にできるようにもする。
【0021】
最後に、そのスポットが本発明による耐性対照マーカーを含む固体支持体の調製は、行うのが容易であり、いかなる追加的ステップも添加せず、例えば耐性対照マーカーはスポットを形成するように沈着される溶液中で捕捉リガンドなどの目的の化合物と単に混合されてよい。
【0022】
本発明は特に、試料中の少なくとも1つの分析物の確実な検出のための固体支持体であって、分析物を検出することを目的とするその少なくとも1個のスポットが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む、固体支持体、そのような固体支持体を調製するための方法、ならびに前記固体支持体を使用する、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物のための確実な検出方法に関する。
【0023】
「少なくとも1」は、本出願の意義の範囲内では、1またはいくつか、いくつかは特に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または15より多くを指す。同様に、本出願では「少なくとも」は、xまたはxより多く、特にx+1、x+2、x+3、x+4など、「x」は2以上の整数、例えば2または3であることを意味する。
【0024】
本発明による特に好ましい一分析方法は多重分析方法である。
【0025】
本発明は、耐性対照マーカーを選択するための方法、ならびに試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にするために分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポット中の少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用にも関する。
【0026】
本発明は、試料中の少なくとも1つの分析物の検出の改善のために好適なデバイスも提供する。
【0027】
試料
分析される試料は、好ましくは生物学的試料である。
【0028】
生物学的試料は、血液試料、血液派生物(血漿もしくは血清などの)、尿、脳脊髄液、唾液またはそれらの組合せなどの生体液あるいは生検によって得られた組織、細胞、一連の細胞、植物抽出物またはそれらの組合せなどの組織試料であってよい。
【0029】
血液派生物は、血液試料から得られる任意の産物、特に体液を指す。
【0030】
分析される試料は、培養培地および/または培養上清であってもよい。
【0031】
分析される前に、試料は、希釈、遠心分離、加熱処置、細胞溶解、可溶化および変性(例えば1つまたはいくつかのカオトロピック薬剤、1つまたはいくつかの還元剤によるおよび/または加熱による)、抽出、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、マーキングされていない検出リガンドの添加またはその組合せなどの1つまたはいくつかの前処置ステップを受けてよい。マーキングされていない検出リガンドの添加は、特に中和試験を実行するために有用である。
【0032】
試料は、同じ性質または異なる性質であってよい少なくとも2つの試料の混合物であってもよい。
【0033】
異なる性質の試料の混合物の例は、血液と尿との混合物、血液と血漿との混合物、血清と血漿との混合物、または血液、血清および血漿の混合物である。
【0034】
本発明による1つの好ましい試料は、血液および/もしくは血液派生物(特に血漿および/もしくは血清)の試料または試料の混合物である。
【0035】
分析物
試料中で検出される分析物は、試料中で検出および/または定量することを望む任意の種類の天然または合成の化合物であってよい。
【0036】
分析物は、例えばタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、炭水化物、細胞、オルガネラ、ウイルスまたは核酸であってよい。
【0037】
細胞は、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、原虫、後生動物細胞、酵母細胞または真菌細胞であってよい。
【0038】
核酸は、1本鎖または2本鎖形態での、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはホスホロチオエートもしくはチオエステルなどのその類似物などのリン酸ジエステル結合によって連結されたヌクレオチドのポリマーを指定する。
【0039】
それにより、分析物または複数の分析物のうちの少なくとも1つは、抗原、抗体、抗体断片、ハプテン、ホルモン、ホルモン受容体、酵素または核酸からなる群から例えば選ばれる。
【0040】
分析物(複数可)は、好ましくは抗原、抗体、抗体断片、ハプテン、ホルモン、ホルモン受容体および酵素からなる群から選択される。
【0041】
本出願の意義の範囲内で「抗原」は、抗体または免疫系の細胞によって認識され、適切な状態下で宿主の免疫系に提示される場合に免疫応答を誘導できる天然、組換えまたは合成分子を指す。
【0042】
抗原は、直鎖状または立体構造であってよい少なくとも1つのエピトープを含むまたはからなる分子、特にポリペプチドであってよい。用語「直鎖状エピトープ」は、前記抗原に対する抗体分子に結合できる、一般に3から15アミノ酸、さらに一般に5から15アミノ酸、好ましくは少なくとも6、8、10もしくは12アミノ酸を含むまたはからなるポリペプチド、特にペプチドを指す。用語「立体構造エピトープ」は、抗体によって認識され、空間中でのいくつかのアミノ酸の近位によって決定される三次元構造を指し、この抗体が方向付けられているタンパク質(またはポリペプチド)のペプチド配列においては隣接していない場合があるがポリペプチド鎖のフォールディングのために空間において互いに近いことを見出しており、それにより抗体によって認識され得るパターンを形成できる。
【0043】
本発明の意義の範囲内において抗原は、例えばタンパク質(特に天然タンパク質もしくは組換えタンパク質)、ペプチド(例えば合成ペプチド)、糖タンパク質、炭水化物または脂質であり;前記ペプチドは担体分子に会合していてもしていなくてもよい。
【0044】
「担体分子」は、特にタンパク質または炭水化物担体分子、特に担体タンパク質を指す。担体分子は、ポリペプチド(特にタンパク質またはペプチド)であってよく、天然であってもなくても(例えば組換えタンパク質または合成ペプチド)、機能性ポリマーであってもなくても(デキストラン、多糖類またはポリリジンなど)、混合共重合体であってもなくても(特に異なるアミノ酸の共重合体、例えばリジンチロシン共重合体)よい。担体分子は、抗体(特にモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)、例えば免疫グロブリン(Igとも称される)であってよい。
【0045】
担体分子またはタンパク質の一例は、BSA(ウシ血清アルブミン)である。
【0046】
本出願において「ハプテン」は、担体分子にカップリングされる場合にだけ免疫原性である免疫系によって認識され得る低分子量の分子を指す。
【0047】
分析物は、好ましくは対象における病理学的であってもなくてもよい状態を診断、または病理学的であってもなくてもよい状態を発症する危険性を診断できるようにする化合物である。非病理学的状態の例は妊娠である。
【0048】
対象は、ヒト、非ヒト動物または植物であってよい。非ヒト動物は、好ましくはネコ、イヌ、サル、ウサギ、マウスまたはラットなどの哺乳動物である。
【0049】
用語「ヒト」は、広範に使用され、特に、幼児、小児、青年、成人または高齢者などの任意の年齢の男性または女性を指定する。
【0050】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの分析物は抗原または抗体から選ばれる。
【0051】
分析物または複数の分析物のうちの1つが抗原である場合、それは好ましくは感染、例えばウイルス、細菌、真菌、原虫または後生動物によって生じる感染を診断できるようにする抗原である。
【0052】
分析物または複数の分析物のうちの1つが抗体である場合、それは好ましくは感染、例えばウイルス、細菌、真菌、原虫または後生動物によって生じる感染を診断できるようにする抗体である。
【0053】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの分析物は核酸である。
【0054】
別の好ましい実施形態では、分析物(複数可)は核酸ではない。
【0055】
分析物または複数の分析物のうちの1つが核酸である場合、それは好ましくは感染、例えばウイルス、細菌、真菌、原虫または後生動物によって生じる感染を診断できるようにする核酸である。
【0056】
典型的にはこれは、
- ウイルス、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、特に、HIV-1もしくはHIV-2、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HTLV(ヒトTリンパ球向性ウイルス)、特に、HTLV-IもしくはHTLV-IIなど、
- 寄生生物、ヒトもしくは非ヒト動物においてトキソプラズマ症(特に、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、マラリア(特に、プラスモジウム属(Plasmodium genus)の寄生生物、例えば熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)もしくは二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)またはシャーガス病(特に、トリパノゾーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi))を生じ得る寄生生物など、または
- 細菌、ヒトもしくは非ヒト動物において梅毒症(梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)またはライム病(特に、ボレリア属(Borrelia genus)からの細菌)を生じ得る細菌など
の1つもしくはいくつかの抗原および/細菌または1つもしくはいくつかの抗体および/または1つもしくはいくつかの特異的核酸を含んでよい。
【0057】
本明細書において「寄生生物」は、身体に対して寄生生物として作用し寄生虫症を生じる後生動物または原虫を指す。本発明の意義の範囲内において寄生生物は、したがってウイルス、細菌または真菌ではない。
【0058】
分析物または複数の分析物のうちの少なくとも1つは、心血管疾患のマーカーまたは糖尿病マーカー、肝炎などの疾患の進展のマーカー、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物によって生じる感染の進展のマーカー、処置、例えば抗ウイルス処置、抗菌薬処置またはがん処置への抵抗性のマーカーなどの疾患に関するマーカーであってもよい。
【0059】
本出願において記載されるいくつか(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または15より多く)の分析物は、多重分析方法の際に同じ試料中または試料の同じ混合物中で同時に検出されてよい。これは、同じ試料中または試料の同じ混合物中で、1つまたはいくつかの感染もしくは疾患、感染もしくは疾患の進展、状態(病理学的もしくは非病理学的)、状態(病理学的もしくは非病理学的)を発症する危険性または対象における処置への抵抗性のマーカーを診断できるようにし得る。
【0060】
多重分析方法の際に検出される分析物は、同じ性質(例えば抗体だけ、抗原だけもしくは核酸だけ)または異なる性質(例えば、少なくとも1つの抗原および少なくとも1つの抗体)であってよい。
【0061】
捕捉リガンド
捕捉リガンドは目的の化合物の特異的分子である。
【0062】
捕捉リガンドは、試料中の検出される分析物に好ましくは特異的である。それは、一般に抗体、抗原、ペプチド、炭水化物、脂質または核酸を含む。
【0063】
有利な一実施形態では、捕捉リガンドは核酸ではない。捕捉リガンド(複数可)は、例えば抗体、抗原、ペプチド、炭水化物および脂質からなる群から選択される。
【0064】
捕捉リガンドは固体支持体の表面のスポットに固定されている。
【0065】
好ましい一実施形態では、捕捉リガンド(複数可)は、抗体、抗原または核酸である。
【0066】
より好ましい一実施形態では、捕捉リガンド(複数可)は、抗体または抗原である。
【0067】
捕捉リガンドまたは複数の捕捉リガンドのうちの1つが抗体である場合、それは例えばモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を含む。
【0068】
検出リガンド
検出リガンドは、目的の化合物の特異的分子である。それは、特に捕捉リガンドに固定された目的の化合物を検出できるようにする。
【0069】
分析物の検出リガンドは、試料中の検出される分析物に特異的である。それは、特に捕捉リガンドに固定された分析物を検出できるようにする。
【0070】
検出リガンドは、抗体、抗原、ペプチド、炭水化物、脂質または核酸であってよい。それは好ましくは抗体または抗原である。
【0071】
別の実施形態では、検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは核酸である。
【0072】
別の実施形態では、検出リガンドは核酸ではない。検出リガンド(複数可)は、例えば抗体、抗原、ペプチド、炭水化物および脂質からなる群から選択される。
【0073】
検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つが抗体である場合、それは例えばモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を含む。
【0074】
検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは、好ましくはマーキングされた検出リガンド、すなわち検出マーカー(例えばビオチンまたはペルオキシダーゼであってよい)が結合されている検出リガンドである。検出マーカーは、共有結合または非共有結合によって、好ましくは共有結合によって検出リガンドに結合(すなわちカップリング)されている。検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは、直接または間接検出マーカーにカップリングされていてもよい。
【0075】
検出リガンドがマーキングされていない場合、その検出は前記検出リガンドの特異的にマーキングされた抗体を使用することによって行われてよい。
【0076】
検出リガンドは、いかなる検出マーカーの存在も除いて、使用される捕捉リガンドもしくは使用される複数の捕捉リガンドのうちの1つと同一であってよく、および/またはそれが捕捉リガンドもしくは複数の捕捉リガンドのうちの1つによって結合される同じ区域で特異的である分析物に、特にそれが特異的である分析物が少なくとも2つの同一の結合区域を有する複合体の形態である場合に、結合する。したがって、検出しようとする複数の分析物のうちの1つが抗体である場合、前記分析物の捕捉リガンドおよび検出リガンドとして前記抗体の同じ特定の抗原または、二価抗体による認識を可能にする少なくとも1つの共有区域(少なくとも1つの共有エピトープ)を含む2つの異なる抗原を使用できる。
【0077】
捕捉リガンドおよび検出リガンドは、分析物の別々の区域に特異的であってもよい。
【0078】
具体的な一実施形態では、同じ分析物(例えば抗原)に特異的な検出リガンドおよび捕捉リガンド(例えば抗体)は、前記分析物上の同じ位置に結合しない。例えば検出リガンドは、例えば捕捉リガンドおよび検出リガンドの、それらが特異的である化合物に対する競合を回避するために立体障害によって捕捉リガンドの結合区域とは別であり特異的である前記分析物の区域に結合できる。
【0079】
検出リガンドの検出マーカー
検出リガンドにカップリングされた検出マーカーは、直接マーカーまたは間接マーカーであってよい。
【0080】
直接マーカーは、そのシグナルが直接的に検出され得る、すなわちレポーターの事前の添加を必要としないマーカーである。
【0081】
直接マーカーは、例えば放射性同位元素、フルオロフォア、ランタニドなどの周期表からの重元素、ルミネッセント化合物、ルテニウムなどの遷移金属、発色および有色、蛍光またはルミネッセントナノ粒子からなる群から選択される。
【0082】
「ルミネッセント」化合物は、エレクトロルミネッセント化合物、熱ルミネッセント化合物または化学ルミネッセント化合物であってよい。好ましい一実施形態では、ルミネッセント化合物は、化学ルミネッセント化合物である。
【0083】
直接マーカーとして使用され得るルミネッセント化合物(さらに詳細には熱ルミネッセント化合物)の一例は、ジオキセタン化合物の分子、特に1,2-ジオキセタン化合物またはジオキセタン化合物の誘導体、例えば1,2-ジオキセタンの誘導体を含む(例えば添加(dope)されている)シリカナノ粒子からなる。
【0084】
間接マーカーは、レポーター(第1のレポーターとも呼ばれる)の事前添加、前記レポーターそれ自体が間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記第1のレポーターにカップリングされた間接検出マーカーの第2のレポーターの添加を必要とするシグナルの検出のためのマーカーである。
【0085】
レポーターは、間接マーカーの基質または間接マーカーに特異的に結合している分子であり、前記分子それ自体が直接もしくは間接マーカーである、またはそれ自体が直接もしくは間接マーカーにカップリングされている。
【0086】
間接マーカーは、例えば酵素、リガンド受容体対のリガンド、リガンド受容体対の受容体、ハプテン、抗原および抗体からなる群から選択される。
【0087】
リガンド受容体対のリガンドまたは受容体は、例えばビオチン、ビオチンの類似物、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンまたはジゴキシゲニンである。
【0088】
本発明による好ましい間接マーカーは、酵素、好ましくは基質との反応によってルミネッセント化合物を生成する酵素である。
【0089】
間接マーカーのシグナルの検出は、前記間接マーカーのレポーターの事前添加を必要とする。
【0090】
酵素のレポーターは、例えば前記酵素の基質である。
【0091】
ビオチンのレポーターは、酵素または触媒などの、直接マーカーまたは間接マーカーに好ましくはカップリングされている、例えば、アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンである。
【0092】
ビオチンのレポーターは、好ましくは酵素または触媒などの直接または間接検出マーカーにカップリングされている。
【0093】
酵素例は、ペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPもしくはPOD)、アルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼである。
【0094】
本発明による1つの好ましいビオチンレポーターは、ペルオキシダーゼ、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングされているストレプトアビジンである。次いでビオチンのシグナルの検出は、ペルオキシダーゼとカップリングされているストレプトアビジンの添加、次いでペルオキシダーゼの基質の添加を必要とする。
【0095】
この好ましい実施形態では、検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは、ペルオキシダーゼ酵素またはビオチンから選択される直接または間接検出マーカーにカップリングされている。
【0096】
分析物が核酸である場合、検出マーカーまたは複数の検出マーカーのうちの1つは、例えばフルオロフォア、バイオルミネッセンスでの直接または間接マーキングを使用することによって、好ましくは化学ルミネッセンスによって、例えばルミネッセンス化合物(luminescent compound)での直接マーキングを使用することによってまたは基質との反応によってルミネッセンス化合物を生成する酵素、特にペルオキシダーゼでの間接マーキングによって、蛍光によって検出されてよい。
【0097】
分析物がタンパク質型の化合物である場合、検出マーカーまたは複数の検出マーカーのうちの1つは、好ましくはルミネッセンスによって、例えばタンパク質型の化合物での直接または間接マーキング、特に化学ルミネッセンス化合物または基質との反応によってルミネッセンス化合物を生成するレポーターとしての酵素での間接マーキングを使用して検出される。
【0098】
本発明の具体的な一実施形態では、使用される検出マーカーまたは複数の検出マーカーのうちの1つは、基質として、ルミノール、イソルミノール、アクリジン、セレンテラジン、ジオキセタンまたはペルオキシオキサリック(peroxyoxalic)化合物またはそれらの誘導体のうちの1つおよび特に刊行物Dodeigne C. et al (2000), Talanta 51, 415-439, "Chemiluminescence as diagnostic tool. A review"に記載の化合物を有する。
【0099】
具体的な一実施形態では、使用される検出マーカーまたは複数の検出マーカーのうちの1つは、基質として、ルミノール、ルミノールの類似物、例えばイソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つを有する。
【0100】
「ルミノール」は5-アミノ-2,3-ジヒドロ-フタラジン-1,4-ジオンとも称される3-アミノフタルヒドラジドを指す。ルミノールについての化学式(raw formula)はCである。例として、実施例に記載のELISTAR ETA C Ultra ELISA(Cyanagen、Italy)基質を使用できる。
【0101】
「イソルミノール」は4-アミノフタルヒドラジドを指す。
【0102】
ルミノールの誘導体またはルミノールの類似物は、好ましくはすべての可能な改変(複数可)(例えば、化学的および/または酵素的)を通じてルミノールまたはルミノールの類似物からそれぞれ得られた分子である。ルミノールの誘導体またはルミノールの類似物は、例えばペルオキシダーゼ酵素の基質であり、前記ペルオキシダーゼ酵素のルミノールの誘導体またはルミノールの類似物との反応は、化学ルミネッセンス化合物を生成できるようにする。
【0103】
イソルミノールの誘導体は、刊行物Dodeigne C. et al (2000), Talanta 51, 415-439, "Chemiluminescence as diagnostic tool. A review"に記載のとおり、例えばアミノエチルイソルミノール(もしくはAEI)、アミノエチルエチルイソルミノール(もしくはAEEI)、アミノブチルイソルミノール(もしくはABI)、アミノブチルエチルイソルミノール(もしくはABEI)、アミノペンチルエチルイソルミノール(もしくはAPEI)、アミノヘキシルイソルミノール(もしくはAHI)、アミノヘキシルエチルイソルミノール(もしくはAHEI)、アミノオクチルメチルイソルミノール(もしくはAOMI)またはアミノオクチルエチルイソルミノール(もしくはAOEI)であってよい。
【0104】
本発明の具体的な一実施形態では、「ルミノール、ルミノールの類似物(例えばイソルミノール)、アクリジン、セレンテラジン、ジオキセタンもしくはペルオキシオキサリック化合物またはそれらの誘導体のうちの1つ」は、前記ルミノール、アクリジン、セレンテラジン、ジオキセタンもしくはペルオキシオキサリック化合物またはそれらの誘導体のうちの1つを含む組成物(または製剤)の形態で与えられてよい。
【0105】
耐性対照マーカー
本発明は、固体支持体の表面に存在するスポット(複数可)の質、特に固体支持体の表面に存在するスポット(複数可)の存在、位置および/または完全性を対照できるようにする1つまたはいくつかの耐性対照マーカー(例えば耐性対照マーカーの混合物)の使用に基づいており、この対照は(またはこれらの対照のうちの1つ)は実行された分析方法の終了時に行われてよい。
【0106】
耐性対照マーカーは、例えばシグナルを生成することによって検出され得る化合物である。生成されるシグナルは、例えば放射性シグナルまたは光シグナルであってよい。光吸収によって検出される対照マーカー(例えば有色対照マーカー)も含み得る。
【0107】
光の放出に対応する光シグナルは、特に所与の波長範囲内にある。
【0108】
耐性対照マーカーは、例えば蛍光、リン光またはルミネッセンス、特にエレクトロルミネッセンス、熱ルミネッセンスもしくは化学ルミネッセンスによるマーカー放出光であってよい。
【0109】
耐性対照マーカーまたは複数の耐性対照マーカーのうちの1つは、ルミネッセンスによるマーカー放出光である場合、好ましくは化学ルミネッセンスによって光を放出する。
【0110】
好ましい1つの耐性対照マーカーは、蛍光によって光を放出するマーカーである。
【0111】
その名前が示すとおり、本発明による耐性対照マーカーは耐性である。
【0112】
本明細書における「耐性対照マーカー」は、そのシグナルが分析方法の終了時に検出されるマーカーを指す。耐性対照マーカーは、特に固体支持体の調製方法の際におよび前記支持体を実行する分析方法の際にも、完全にまたは少なくとも部分的に固体支持体の表面のスポットに固定されたままであり、分析方法の終了時に検出可能なシグナルを生成できる対照マーカーである、すなわち分析物の検出リガンドの検出マーカーおよび/または1つもしくはいくつかの間接検出マーカーの場合には1つもしくはいくつかのレポーターの存在を含む。
【0113】
表現「分析方法の終了時に検出可能なシグナルを生成できるマーカー」において、「できる」は、前記分析方法が前記スポットの劣化を伴わずに行われる場合に、スポットに存在する耐性対照マーカーが検出可能なシグナルをそのスポットで分析方法の終了時に生成することを意味する。
【0114】
表現、分析の終了時に「検出され得る」、「そのシグナルが検出される」、「検出可能なシグナルを生成できる」または「検出可能なシグナルを生成する」は、特に耐性対照マーカーがフルオロフォアである場合、「検出されるシグナル」(耐性対照マーカーによって生成され、対応する画素区域における画像センサーで測定されるシグナル)引く(すなわち、それから減算する)周辺の画素の平均シグナルは、周辺の画素シグナルのレベルをおよそ3標準偏差超えることを意味する。検出されたシグナル引く周辺の画素の平均シグナルが周辺の画素のシグナルのレベルの少なくとも3標準偏差超えに達する場合、前記検出されたシグナルは、「検出可能なシグナル」として認められる。
【0115】
本発明の意義の範囲内において対照マーカーは、それにより検出リガンド(複数可)、レポーター(複数可)、基質(複数可)、試料、1つまたはいくつかの希釈剤などの分析方法の際に使用されるさまざまな試薬での洗浄およびインキュベーションステップに耐性である。
【0116】
特に、本発明による耐性対照マーカーは、分析物の検出リガンドの検出マーカー(複数可)、該当する場合、分析物の検出リガンドの検出マーカー(複数可)の(第1の)レポーター、該当する場合、前記第1のレポーターにカップリングされている間接マーカーの(第2の)レポーターの使用に耐性である。
【0117】
好ましい一実施形態では、本発明による耐性対照マーカーは、1つまたはいくつかの酵素、特に、アルカリホスファターゼおよび/またはペルオキシダーゼ、ならびに前記酵素(複数可)の基質(複数可)の使用に耐性である。
【0118】
本発明による1つの好ましい対照マーカーは、ルミノール、イソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つからなる群から選択される基質の使用に耐性である。
【0119】
有利な一実施形態では、本発明による耐性対照マーカーもルミノール、イソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つからなる群から選択される基質を含む組成物(または製剤)の使用に耐性である。前記組成物は、ルミノール、イソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つの有効性に寄与する過酸化水素および/または化学的分子(もしくは補因子)を例えば含んでよい。
【0120】
本明細書において「化合物の使用に耐性」または「化合物に耐性」は、対照マーカーが分析方法の際の前記化合物の使用に耐性であることを意味する。特に対照マーカーは、前記化合物の存在下に置かれることに耐性である。
【0121】
所与の化合物が本発明の意味の範囲内の耐性対照マーカーであるかどうかを決定するために、
a)前記化合物を固体支持体の表面に沈着させて、少なくとも1個のスポットを形成させるステップ、
b)好ましくは、固体支持体の表面を飽和させるステップ、
c)好ましくは、固体支持体の表面を乾燥させるステップ、
d)任意選択で、1回または複数回の洗浄ステップを実行するステップ、
e)任意選択で、スポットを検出リガンドの存在下に置くステップ、
f)任意選択で、1回または複数回の洗浄ステップを実行するステップ、
g)任意選択で、スポット(複数可)を少なくとも1つのレポーターまたは少なくとも1つの酵素、例えばレポーターにカップリングされていてもされていなくてもよいペルオキシダーゼ酵素の存在下に置くステップ、
h)任意選択で、1回または複数回の洗浄ステップを実行するステップ、
i)スポット(複数可)を少なくとも1つの基質(前記基質は、好ましくは、前記耐性対照マーカーを実施したい分析方法において使用されるものである)、好ましくはペルオキシダーゼ酵素の基質、例えばルミノールの存在下に置くステップ、
j)前記化合物によってスポット(複数可)で生成されるシグナルを測定するステップ、ならびに
k)ステップj)において測定されたシグナルが検出可能なシグナルである場合、前記化合物が耐性対照マーカーであると結論付けるステップ
を含む方法を実行できる。
【0122】
「検出可能なシグナル」は、特に上に定義のとおりである。
【0123】
ステップj)において測定されるシグナルの種類は、検査される化合物に依存する。当業者は、検査される化合物に基づいてどの種類のシグナルが検出されるはずか、どのように検出するかを知っている。
【0124】
ステップe)における検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは、ビオチン型の検出マーカーとカップリングされてよく、ステップg)におけるレポーターまたは複数のレポーターのうちの1つは、酵素、例えばペルオキシダーゼにカップリングされたストレプトアビジン型のレポーターであってよく、ならびに/あるいはステップi)における基質または複数の基質のうちの1つは前記酵素の基質、例えばルミノール、ルミノールの類似物、および/またはルミノールもしくはルミノールの類似物の誘導体であってよい。
【0125】
驚くべきことに、本発明者らは、固体支持体の表面に単に沈着させて、スポットを形成するように、目的の化合物、例えば捕捉リガンドと混合された対照マーカーの耐性の性質を示した。それにより本発明の具体的な一実施形態では、本発明による耐性対照マーカーは固体支持体の表面に共有結合によって固定されていない、および/または捕捉リガンドに共有結合によってカップリングされていない。
【0126】
最後に、本発明の好ましい一実施形態では、耐性対照マーカーは、分析方法において使用される分析物の検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルをほとんど干渉しないまたは好ましくは全く干渉しない。
【0127】
「分析物の検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナル」は、分析物それ自体の検出リガンドの検出マーカー、または検出リガンドの検出マーカーに対応するものによって生成されるシグナルを指す。実際に、例えば酵素または別の種類の間接マーカーの場合、シグナルは分析物それ自体の検出リガンドの検出マーカーによって生成されないが、レポーターまたはレポーター、例えば酵素とその基質との反応によって生成される化合物によって生成され;この場合、このシグナルは分析物の検出リガンドの検出マーカーに対応する。
【0128】
表現「分析物の検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルにほとんど干渉されない耐性対照マーカー」は、使用者のための分析方法の機能性が耐性マーカーの存在によって影響されないこと、特に感度における減少が40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満、さらにより好ましくは25%未満であることを意味する。具体的な一実施形態により、この表現は、さらに特異性の劣化がないことを意味している。
【0129】
表現「特異性の劣化がない」は、閾値における増加が40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下および、より好ましくは25%以下であることを意味する。
【0130】
閾値は、分析方法の終了時に陰性試料について得られたシグナルの平均にこれらの試料のシグナルの標準偏差の12倍を足したものである。
【0131】
耐性対照マーカーは、中性、正または負に荷電していてよい。
【0132】
本出願において、「正にまたは負に荷電している分子」は、それぞれ正または負である全体的な荷電、特に全体的は1、2、3、4または4を超える正または負の荷電をそれぞれ含む分子を意味する。
【0133】
耐性対照マーカーは、担体分子、例えばBSAなどのタンパク質を含み得るまたはカップリングされ得る。
【0134】
耐性対照マーカーが担体分子を「含む」場合、それは一般に対照マーカー(例えばフルオロフォア)および担体分子(例えばBSA)を含むまたはからなり、前記対照マーカーは前記担体分子にカップリングされる。このカップリングは、カップリング無しでは耐性ではない対照マーカーを耐性にできる。
【0135】
対照マーカーまたは耐性対照マーカーと担体分子とのカップリングは、耐性対照マーカーと担体分子との間の共有結合または非共有結合、好ましくは共有結合から生じる。
【0136】
対照マーカーまたは耐性対照マーカーに共有結合または非共有結合によってカップリングできる担体分子は、例えばBSA、免疫グロブリン(Igとも呼ばれる)、デキストラン、ポリリジンおよび混合共重合体、特に異なるアミノ酸の共重合体(例えばリジンチロシン共重合体)からなる群から選択される。
【0137】
対照マーカーまたは耐性対照マーカーに共有結合または非共有結合によってカップリングできる担体分子の別の例は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、特にDNAまたはRNAである。
【0138】
本発明による耐性対照マーカーは、例えば、下に定義の耐性対照マーカーについての選択方法の終了時に選択されたマーカーであってよい。
【0139】
耐性対照フルオロフォア
本発明による1つの好ましい耐性対照マーカーはフルオロフォアである。この場合、耐性対照フルオロフォアと呼ばれる。
【0140】
蛍光色素または蛍光分子とも呼ばれるフルオロフォアは、光エネルギーでの励起後に蛍光を放出することができる物質、特に化学的またはタンパク質性物質(もしくはポリペプチド物質)である。
【0141】
フルオロフォアは、いくつかのコンジュゲートされた芳香族コアならびに/または1つまたはいくつかのπ結合を有する平面状および環状分子を一般に含む。
【0142】
フルオロフォアは蛍光タンパク質、例えばB-フィコエリトリンであってよい。
【0143】
本発明による耐性対照マーカー、特に耐性対照フルオロフォアは、好ましくは、その励起スペクトルが分析物の検出リガンドの検出マーカーのまたは分析物(分析方法において使用される)の検出リガンドの検出マーカーに対応するものの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが分析物の検出リガンドの検出マーカーの発光スペクトルまたは分析物(分析方法において使用される)の検出リガンドの検出マーカーに対応するものの発光スペクトルに重複しない、または部分的に重複することを特徴とする。
【0144】
「検出リガンドの検出マーカーに対応する発光スペクトルまたは励起スペクトル」は、例えば直接マーカーもしくは検出リガンドにカップリングされている間接検出マーカーのレポーター、レポーター(特に、検出リガンドの間接検出マーカー)にカップリングされている間接検出マーカーのレポーター、または酵素型レポーターのその基質との反応によって生成された化合物の発光スペクトルまたは励起スペクトルである。
【0145】
本発明による耐性フルオロフォアの場合、励起スペクトルは吸収スペクトルに対応してよい。
【0146】
本発明による好ましい耐性対照マーカー、特に好ましい耐性対照フルオロフォアは、その励起スペクトルが、ルミノール、その類似物のうちの1つ、特にイソルミノールおよび/またはその誘導体のうちの1つの発光スペクトルと重複せず、その発光スペクトルが、ルミノール、その類似物のうちの1つ、特にイソルミノール、および/またはそれらの誘導体のうちの1つの発光スペクトルと重複しないまたは部分的にだけ重複することを特徴とするフルオロフォアである。
【0147】
「ルミノール、その類似物のうちの1つ、特にイソルミノール、および/またはそれらの誘導体のうちの1つの発光スペクトル」は、ルミノール、それらの類似物のうちの1つ、特にイソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つとペルオキシダーゼ酵素との反応から生じる化学ルミネッセンス化合物の発光スペクトルを指す。
【0148】
好ましくは本発明による耐性対照マーカー、特に耐性対照フルオロフォアは、その励起スペクトルがルミノール、イソルミノールまたはそれらの誘導体のうちの1つの発光スペクトルに重複しないことを特徴とする。
【0149】
本発明による耐性対照マーカーの、特に耐性対照フルオロフォアの発光スペクトルが、1つもしくはいくつかの検出リガンドの検出マーカーの、または1つもしくはいくつかの検出リガンドの検出マーカーに対応するものの発光スペクトルに部分的に重複する場合、フルオロフォアによって放出される特異的シグナルだけを保持するために前記検出マーカーによって放出される波長を除外できるようにするフィルターおよび/または前記検出マーカーによって放出される特異的シグナルだけを保持するために前記フルオロフォアによって放出される波長を除外できるようにするフィルターを使用することは有利である。
【0150】
好ましい一実施形態では、
- 本発明による耐性対照マーカー(複数可)、特に耐性対照フルオロフォア(複数可)と
- 検出リガンドの検出マーカー(複数可)および/または分析方法において使用される検出リガンドの検出マーカー(複数可)に対応するシグナルを生成する化合物(複数可)との間
特に本発明による耐性対照マーカー(複数可)(特に耐性対照フルオロフォア(複数可))と、ルミノール、その類似物のうちの1つ、例えばイソルミノール、および/またはそれらの誘導体のうちの1つとペルオキシダーゼ酵素との反応によって得られるルミネッセンス化合物との間
に共鳴によるエネルギー移動はない。
【0151】
有利な一実施形態では、本発明による耐性対照マーカー(複数可)、特に耐性対照フルオロフォア(複数可)は、ルミノール、その類似物のうちの1つ、例えばイソルミノール、および/またはそれらの誘導体のうちの1つの発光波長範囲より厳密に広い、またはルミノール、その類似物のうちの1つ、例えばイソルミノール、および/またはそれらの誘導体のうちの1つの発光波長範囲より厳密に狭い励起波長範囲および発光波長範囲を有する。
【0152】
一例として、ルミノールが基質として使用される場合、本発明による耐性対照マーカー、特に、本発明による好ましい耐性対照フルオロフォアは、425nm付近、特に375nmから550nmまで、好ましくは375nmから580nmまで、より好ましくは350nmから580nmまでの光を発しない。言い換えると、ルミノールが基質として使用される場合、本発明による好ましい耐性対照フルオロフォアは、波長375nmから550nmまで、375nmから580nmまで、または350nmから580nmまで以外の光を放出する。それは、例えば375nm、370nm、360nmもしくは350nm未満(もしくは以下)の波長だけ、または550nm、560nm、570nm、580nm、590nmもしくは600nmを超える(もしくは以上)波長だけの光を放出することができる。
【0153】
表現「値Xから値Y」は、XおよびYの境界が含まれることを意味する。
【0154】
具体的な一実施形態では、驚くべきことに、ルミノール、ルミノールの類似物および/またはそれらの誘導体のうちの1つを含有する反応媒体の塩基性pH、過酸化物の存在、電子移動を支持する(favor)1つまたはいくつかの薬剤および反応媒体中のアシル化触媒は、受け入れる(receive)本発明による対照マーカーによって、特に、本発明による耐性対照フルオロフォアによって放出されるシグナルの検出における課題の原因のスペクトルシフトを生じない。
【0155】
本発明の一実施形態により、本発明による耐性対照マーカー、特に本発明による耐性対照フルオロフォアは、検出リガンドの検出マーカーによって放出されるシグナルに対応する波長範囲を含まない、特にルミノールの発光波長範囲を含まない吸収ウィンドウ(absorption window)を有する。例えば、本発明による好ましい1つの耐性対照フルオロフォアは、波長375から530nmまで、375から550nmまで、または350から580nmまで(両端を含む)を吸収しない。したがって、例えば375、370、360もしくは350nm未満(もしくは以下)の波長だけを吸収するフルオロフォアまたは530、540、550、560、570、580、590もしくは600nmを超える(もしくは以上)波長だけを吸収するフルオロフォアを使用できる。
【0156】
具体的な一実施形態により、耐性対照マーカーは、中性フルオロフォア、正に荷電したフルオロフォアまたは負に荷電したフルオロフォアまたは蛍光タンパク質であってよく、前記フルオロフォアは任意選択で担体分子、例えばBSAなどのタンパク質にカップリングされる。
【0157】
好ましい一実施形態では、耐性対照フルオロフォアは、少なくとも1つの正に荷電した官能基、特に少なくとも1つのアミン官能基を含む。
【0158】
具体的な一実施形態により、耐性対照マーカーは、少なくとも1つのフルオロフォアおよび少なくとも1つの担体分子(例えば、BSA)を含むまたはからなり、前記少なくとも1つのフルオロフォアは前記少なくとも1つの担体分子にカップリングされており、前記少なくとも1つのフルオロフォアは、例えば中性、正に荷電したもしくは負に荷電したフルオロフォアまたは蛍光タンパク質であってよい。
【0159】
担体分子は、特に、段落「分析物」において上に定義のとおりである。
【0160】
耐性対照フルオロフォアは、例えばクマリン、ローダミン、カルボピロニン(carbopyronine)、オキサジン、ベンゾピリリウム、フィコエリトリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。前記フルオロフォアは、任意選択で担体分子、例えばBSAなどのタンパク質にカップリングされる。
【0161】
耐性対照フルオロフォアは、例えばクマリン、ローダミン、カルボピロニン、オキサジン、ベンゾピリリウム誘導体、それらの誘導体およびフィコエリトリンからなる群から選択される。耐性対照フルオロフォアは、例えば特許出願国際公開第00/64986号パンフレットに記載され、および/またはAtto-Tec社によって市販されている化合物の中から選ばれる。
【0162】
好ましい1つの耐性対照フルオロフォアは、例えばカルボピロニン、オキサジン、オキサジン誘導体、ベンゾピリリウム誘導体およびフィコエリトリンからなる群から選択される。
【0163】
別の好ましい耐性対照フルオロフォアは、カルボピロニン誘導体、オキサジン、オキサジン誘導体、ベンゾピリリウム誘導体およびフィコエリトリンからなる群から選択される。
【0164】
さらにより好ましい1つの耐性対照フルオロフォアは、例えば、カルボピロニン、ベンゾピリリウム誘導体およびフィコエリトリンからなる群から選択される。
【0165】
別のさらにより好ましい耐性対照フルオロフォアは、例えばカルボピロニン誘導体、ベンゾピリリウム誘導体、およびフィコエリトリンからなる群から選択される。
【0166】
一例は、Atto-Tec社によって市販されているAtto633カルボピロニンおよびその誘導体、特にアミン誘導体、ならびにDyomics社によって市販されているものなどのベンゾピリリウムの誘導体、特にそれらが担体分子、例えばBSAにカップリングされている場合、Dye634またはDye630、または担体、例えばBSAにカップリングされているもしくはされていないDye634もしくはDye630のアミン誘導体を含む。
【0167】
本発明による好ましい1つのカルボピロニンは、次の塩基構造:
【0168】
【化1】

を含む分子である。
【0169】
Atto633由来のアミン誘導体などの、耐性対照フルオロフォアとして使用され得るカルボピロニンは、例えば次の特徴:吸収極大波長=629nm、吸収極大波長でのモル吸収係数=1.3x10-1cm-1、最大発光波長=657nmおよび量子効率=64%を有する。
【0170】
耐性対照フルオロフォアとして使用され得るベンゾピリリウム誘導体は、例えば次の特徴:
- 吸収極大波長(エタノール中):635nm、
- 最大発光波長(エタノール中):658nm、および
- 吸収極大波長でのモル吸収係数:200,000M-1cm-1
を有する。
【0171】
これは、例えば化学式:
【0172】
【化2】

を有するDye634(担体分子、例えばBSAにカップリングされた形態において)と呼ばれるフルオロフォアを含む。
【0173】
Dye634は、そのアミン形態(Dye634-アミン)で耐性対照フルオロフォアとしても使用され得る。それは、担体分子、特にBSAにカップリングされてまたはカップリングされずに使用され得る。
【0174】
耐性対照フルオロフォアとして使用され得るさらに別のベンゾピリリウム誘導体は、例えば次の特徴:
- 吸収極大波長(エタノール中):636nm、
- 最大発光波長(エタノール中):657nm、および
- 吸収極大波長でのモル吸収係数:200,000M-1cm-1
を有する。
【0175】
これは、例えばDye630(担体分子、例えばBSAにカップリングされた形態で)を含む。
【0176】
Dye630は次の化学式:
【0177】
【化3】

を有する。
【0178】
Dye630は、そのアミン形態(Dye630-アミン)でも、担体分子、例えばBSAにカップリングされてまたはカップリングされずに使用され得る。
【0179】
耐性対照マーカーとしての酵素
本発明による耐性対照マーカーの別の例は、酵素の基質との反応によってルミネッセンス化合物を生成する前記酵素である。
【0180】
好ましくは、ルミネッセンス化合物は化学ルミネッセンス化合物である。
【0181】
本発明による耐性対照マーカーとして使用され得る酵素は、例えばアルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼである。
【0182】
アルカリホスファターゼ基質は、例えばLumigenによってさらに市販されているLumi-Phos530またはLumi-Phos基質である。
【0183】
ルシフェラーゼ基質は、例えばルシフェリンまたはセレンテラジン基質である。
【0184】
耐性対照マーカーがルミネッセンス化合物を生成する酵素である場合、耐性対照マーカーに対応する検出されるシグナルは前記酵素と前記酵素の基質との反応によって生成されるルミネッセンス化合物によって放出されるシグナルである。
【0185】
シグナルの検出
検出リガンドの検出マーカー(複数可)によって生成されるまたは耐性対照マーカー(複数可)によって生成されるシグナルは、直接的または間接的に検出される。
【0186】
使用されるマーカーに応じて、シグナルは、例えば蛍光またはルミネッセンス、特に化学ルミネッセンスによって検出され得る。
【0187】
フルオロフォア型のマーカーによって放出されるシグナルは、蛍光によって直接的に読み取られ得る。
【0188】
酵素型のマーカーは、検出可能な生成物を生成できるようにする基質の添加、例えば光の生成を可能にする基質の添加を必要とする。
【0189】
エレクトロルミネッセンスによって光を放出する耐性対照マーカーは、ルテニウム複合体の添加およびトリプロピルアミン(TPA)の添加、ならびに光生成を可能にする電流の適用を必要とする。
【0190】
上に示すとおり、ビオチン型の間接マーカーは、レポーター、好ましくは直接または間接検出マーカーにカップリングされているレポーターの添加を必要とする。
【0191】
レポーターが、酵素型、例えばペルオキシダーゼの間接マーカーにカップリングされている場合、後のステップにおいて、その酵素の基質、例えばルミノールまたは、イソルミノールもしくはルミノールの誘導体もしくはルミノールの類似物などのルミノールの類似物を添加する必要がある。
【0192】
シグナルは、下に記載のとおり、本発明によるデバイスを使用して有利には検出され得る。
【0193】
別の好ましい実施形態では、耐性対照マーカー(複数可)によって放出されるシグナルは蛍光によって検出され、検出リガンドの検出マーカー(複数可)によって放出されるシグナルはルミネッセンスによって、例えば化学ルミネッセンスによって放出される。
【0194】
一般に、化学ルミネッセンス反応は、少なくとも2種の溶液を含むキットを使用して行われる。
【0195】
第1の溶液は、ペルオキシダーゼに対する基質、例えばルミノール、イソルミノールおよび/またはルミノールもしくはイソルミノールの誘導体、ならびに電子メディエーターを含み;第2の溶液は酸化剤を含む。例として、次のキット:「Immun-star western C」(Bio-Rad、合衆国)、「ELISTAR ETA C Ultra ELISA」(Cyanagen、イタリア)、「Supersignal West Pico」(Thermo Scientific、合衆国)、「Chemiluminescent Sensitive Plus HRP」(Surmodics、合衆国)を使用できる。
【0196】
試料中の少なくとも1つの分析物の検出を改善するための固体支持体
本発明による分析方法を実行するために使用される支持体(複数可)は、固体支持体である。
【0197】
具体的な一実施形態により、固体支持体は、本発明による固体支持体を調製するための方法を使用して得られる。
【0198】
固体支持体は、分析方法を実行するために好適な任意の材料から作られてよい。固体支持体は、例えばポリマーまたはポリマーの混合物の基部を有する支持体である。
【0199】
好適な固体支持体は、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンまたはこれらの組合せから作られた支持体である。
【0200】
好適な固体支持体の別の例は、膜、例えばニトロセルロース、PVDF(ポリビニリデンフルオリド)、ナイロンまたはこれらの組合せから作られた膜である。
【0201】
好適な固体支持体のさらに別の例は、無機支持体、例えばガラススライドおよび/または金属支持体である。
【0202】
好ましい1つの固体支持体は、ポリスチレンまたはポリプロピレンから作られている。
【0203】
固体支持体は、少なくとも1つのコンパートメント(分析区域とも呼ばれる)、好ましくは少なくとも2つのコンパートメントを含む。
【0204】
本発明の具体的な一実施形態により、固体支持体は単一のコンパートメントを含む。前記単一のコンパートメントは、1つまたはいくつかの壁を含むコンパートメントであってよい。代替的に、前記単一のコンパートメントは壁を有さなくてよく、固体支持体それ自体に相当するものであってよい。それによりコンパートメントの底は、固体支持体の上面から構成されてよい。1つまたはいくつかの壁を含んでも含まなくてもよい単一のコンパートメントを含むそのような固体支持体の一例は、スライドまたは膜である。
【0205】
本発明の具体的な一実施形態により、例えばマイクロプレートまたは膜であってよい固体支持体は、少なくとも2つのコンパートメントを含む。
【0206】
固体支持体が少なくとも2つのコンパートメントを含む場合、それらは互いに通じ合わないように、すなわち、分析のために使用される種々の組成物または溶液が分析の際に1つのコンパートメントから別のものに循環できないように互いに分けられている。それにより1つのコンパートメントに添加された溶液は、他のコンパートメントに入らない。例えばコンパートメント(複数可)は、底および1つまたはいくつかの壁を含むまたはそれからできており、前記壁(複数可)は、コンパートメント(複数可)をそれらが互いに通じ合わないように互いに単離させている。
【0207】
典型的には、固体支持体の少なくとも1つ(例えば1つまたは2つ)のコンパートメントが分析される試料1つあたりに使用される。
【0208】
本発明の具体的な一実施形態では、固体支持体(例えばスライドまたは膜)が単一のコンパートメントを含む場合、典型的には少なくとも1つ(例えば1つまたは2つ)の固体支持体が分析される試料1つあたりに使用される。
【0209】
固体支持体は、例えばマイクロプレートである。この場合、コンパートメントの一例はウエルである。
【0210】
マイクロプレートは、典型的には96ウエルまたは384ウエルを有するマイクロプレートである。
【0211】
本発明は、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体であって、前記固体支持体が、少なくとも1個のスポットを含む少なくとも1つのコンパートメントを含み、前記スポットが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含むことを特徴とする固体支持体に関する。
【0212】
耐性対照マーカーは特に、上に特に段落「耐性対照マーカー」、「耐性対照フルオロフォア」および「耐性対照マーカーとしての酵素」に定義のとおりであり、または下の段落「耐性対照マーカーの選択方法」に定義の選択方法を使用して得られるとおりである。
【0213】
特に、前記耐性対照マーカー(複数可)は、検出方法の終了時に検出可能なシグナルを生成するように、少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーである。
【0214】
試料を分析することを目的とする固体支持体のコンパートメントは、少なくとも1個のスポット、例えば2個のスポット、3個のスポット、4個のスポットまたは5個のスポットまたは少なくとも6個のスポット、好ましくは6個のスポット、7個のスポット、8個のスポット、より好ましくは少なくとも9個のスポット、例えば9個のスポット、10個のスポット、11個のスポット、12個のスポット、13個のスポット、14個のスポット、15個のスポット、16個のスポットまたは16個より多いスポットを含む。
【0215】
本明細書で「スポット」は、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび/または少なくとも1つの目的の化合物、好ましくは少なくとも1つの耐性対照マーカーならびに目的の少なくとも1つの化合物、例えば捕捉リガンドを含む固体支持体のコンパートメントの表面の区域を指す。それにより耐性対照マーカー(複数可)および目的の化合物(複数可)は、コンパートメントの表面の前記区域に同時に、非共有結合物理化学的相互作用(特に弱い結合の種類、例えば、イオン性、ファンデルワールス、水素および/もしくは疎水性)を通じてならびに/または共有結合によって固定する。
【0216】
スポットは、目的の化合物(複数可)とは別に少なくとも1つのポリマー、特に親水性基、例えば少なくとも1つのハイドロゲルを含む少なくとも1つのポリマーを含んでよい。
【0217】
具体的な一実施形態では、コンパートメントのすべてのスポット、好ましくは固体支持体のすべてのスポットは、すべてのスポットにおいて同じ濃度でまたは異なる濃度で使用されてよい単一の耐性対照マーカーまたは耐性対照マーカーの単一の混合物を含む。
【0218】
代替的に、異なる(少なくとも2つの)耐性対照マーカーおよび/または異なる(少なくとも2つの)耐性対照マーカーの混合物は、固体支持体の同じコンパートメントのスポットにおいて使用されてよい。
【0219】
本発明は特に、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体であって、前記固体支持体が、少なくとも1個のスポットを含む少なくとも1つのコンパートメントを含み、前記スポットが、単一の耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含むことを特徴とする固体支持体に関する。
【0220】
好ましくは、分析物を検出することを目的とするすべてのスポット、特に捕捉リガンドを含むすべてのスポットは、耐性対照マーカーを1つだけ含み、それは同じコンパートメントの分析物を検出することを目的とするすべてのスポットにおいて好ましくは同じであり、より好ましくは、それは固体支持体のすべてのコンパートメントの分析物を検出することを目的とするすべてのスポットにおいて同じである。
【0221】
スポットは、明確に定義された区域、例えば0.0078mmから5.309mmの間、好ましくは0.196mmから3.142mmに含まれるもの、より好ましくは0.503mmから2.011mmに含まれるものに対応する。
【0222】
スポットは、特に固体支持体がマイクロプレートまたはスライドである場合、円板状、円柱状もしくは半球状形、または近似的に円板状、円柱状もしくは半球状形、例えば卵円であってよい。
【0223】
代替的に、スポットは、四角もしくは長方形(特に条片)例えば固体支持体が膜である場合、または任意の他の形状であってよい。
【0224】
スポットは、米国特許第7,470,547B2号明細書、同第6,576,295B2号明細書、同第5,916,524A号明細書および同第5,743,960A号明細書において記載のものなどの当業者に周知の技術を使用して得られる。
【0225】
例えば、スポットは、決定された量の少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの目的の化合物を含有する溶液の少なくとも1滴を固体支持体のコンパートメントの表面の特異的位置に沈着することによって得られる。
【0226】
スポットが少なくとも1つのポリマー(例えば少なくとも1つのハイドロゲル)を含む場合、前記スポットは、決定された量の少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの目的の化合物を含有する溶液の少なくとも1滴を前記ポリマーが予め沈着されているコンパートメントの表面の特異的位置に沈着することによって得られてよい。
【0227】
コンパートメントの表面は「固相」とも呼ばれる。
【0228】
目的の化合物は、一般に捕捉リガンド、特に分析物の捕捉リガンドである。コンパートメントの1つまたはいくつかのスポットは、対照スポットとしての役割を果たすことができ、それにより試料の分析物を検出することを目的としない捕捉リガンドを含む、または目的の別の化合物を含む、または目的のいかなる化合物も含まない。
【0229】
本発明は特に、試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体であって、前記固体支持体が、少なくとも1個のスポットを含む少なくとも2つのコンパートメントを含み、前記スポットが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含むことを特徴とする固体支持体に関する。
【0230】
具体的な一実施形態では、固体支持体のいくつかまたはすべてのコンパートメントは、同じスポット組成物を有する。
【0231】
別の具体的な実施形態では、固体支持体または固体支持体のコンパートメントのいくつかまたはすべては、スポットまたはコンパートメントのいくつか(例えば2つ)の別の群(または種類)を含むまたはからなっており、別々の群それぞれは異なるスポット組成物を有する(各群のスポットに存在しているスポットおよび/または耐性対照マーカー(複数可)および/または捕捉リガンド(複数可)および/または目的の化合物(複数可)の数による)。
【0232】
耐性対照マーカーを含む分析支持体の調製
本発明は、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体を調製する方法であって、
a)固体支持体の少なくとも1つのコンパートメント、好ましくは少なくとも2つのコンパートメントの表面に、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含む混合物を沈着させて、スポットを得るステップ、
b)ステップa)をn-1回(nは1以上の整数である)繰り返して、前記コンパートメント(複数可)の表面の分析物を検出する目的でn個のスポットを得るステップ、
c)任意選択で、前記コンパートメント(複数可)の表面を飽和させるステップ、ならびに
d)任意選択で、前記コンパートメント(複数可)の表面を乾燥させるステップ
を含む方法にも関する。
【0233】
固体支持体、耐性対照マーカー(複数可)および捕捉リガンド(複数可)は、特に上に定義のとおりである。
【0234】
ステップa)では、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含む混合物を、固体支持体の少なくとも1つのコンパートメント、好ましくは固体支持体の少なくとも2つのコンパートメントの表面に沈着させて、スポットを得る。
【0235】
ステップa)では、前記耐性対照マーカー(複数可)は、検出方法の終了時に検出可能なシグナルを生成するように、少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーである。
【0236】
耐性対照マーカーは、特に本出願に定義のとおりである。
【0237】
前記耐性対照マーカー(複数可)は、好ましくはフルオロフォア、例えばフルオロフォアの混合物である。フルオロフォア(複数可)は、蛍光化学的分子または蛍光タンパク質であってよい。
【0238】
前記捕捉リガンド(複数可)は、好ましくは抗体、抗原、核酸およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0239】
別の好ましい実施形態では、前記捕捉リガンド(複数可)は核酸ではない。
【0240】
例えば、前記捕捉リガンド(複数可)は、抗体および抗原からなる群から選択される。
【0241】
混合物は、好ましくは溶液である。
【0242】
耐性対照マーカーは、コンパートメントの表面への捕捉リガンド(複数可)の固定を干渉せず、分析方法の終了時に前記耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの検出を可能にする濃度で混合物中に存在する。
【0243】
例として、混合物は、0.1から100μg/mlの捕捉リガンドおよび0.01から100μg/mlの対照マーカーを、好ましくは緩衝溶液、例えばTBS(Tris緩衝生理食塩水)溶液中に含む。
【0244】
混合物中の耐性対照マーカーの濃度は、
- 少なくとも2種の溶液を固体支持体の表面に沈着させるステップであって、各溶液が前記耐性対照マーカーおよび捕捉リガンドを含み、耐性対照マーカーの濃度が一方の溶液から他方に増加し、耐性対照マーカーの最低濃度が予め決定した最少濃度以上であるステップ、
- 任意選択で、固体支持体の表面を飽和させるステップ、すなわち固体支持体への非特異的結合を回避できるようにする薬剤の存在下に固体支持体の表面を置くステップ、
- 任意選択で、固体支持体の表面を乾燥させるステップ、
- スポットの存在下に特異的捕捉リガンドを有する分析物を含む試料を置くステップ、
- スポットの存在下に前記分析物の特異的検出リガンドを置くステップであって、前記検出リガンドが直接または間接検出マーカーにカップリングされている、ステップ、
- 前記検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記間接検出マーカーのレポーター(第1のレポーターとも呼ばれる)を添加するステップ、および前記(第1の)レポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、検出リガンドの間接検出方法の前記(第1の)のレポーターにカップリングされている間接検出マーカーの第2のレポーターを添加するステップ、
- 耐性対照マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、
- 検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
- 耐性対照マーカーによって生成されるシグナルおよび検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルの両方を検出できるようにする耐性対照マーカーの濃度を選択するステップ、
を含む方法を使用して例えば決定され得る。
【0245】
耐性対照マーカーの濃度は、好ましくは耐性対照マーカーによって生成されるシグナルおよび検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルの両方を、検出できるようにし、耐性対照マーカーを含まないスポットと比較して、感度の顕著な消失を伴わない、すなわち使用者のための分析方法の機能が、耐性マーカーの存在によって影響を受けない、特に感度における減少は40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満、さらにより好ましくは25%未満である。
【0246】
具体的な一実施形態により、耐性対照マーカーの濃度は、耐性対照マーカーによって生成されるシグナルおよび検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルの両方を特異性の劣化を伴わずに検出できるようにする。
【0247】
表現「特異性の劣化がない」は、閾値における増加が40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下およびさらにより好ましくは25%以下であることを意味する。
【0248】
閾値は、分析方法の終了時に陰性試料から得られたシグナルの平均にこれらの試料のシグナルの標準偏差の12倍を足したものである。
【0249】
検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされる場合、前記間接検出マーカーのレポーターは添加される。前記レポーター(第1のレポーターと呼ばれる)自体が間接検出マーカー、例えば酵素にカップリングされる場合、前記第1のレポーターにカップリングされた間接検出マーカー、第2のレポーター、例えば基質が添加される。
【0250】
耐性対照マーカーの予め決定した最少濃度は、次の方法:
- 少なくとも2種の溶液を固体支持体の表面に沈着させるステップであって、各溶液が耐性対照マーカーを含み、捕捉リガンドを含まず、耐性対照マーカーの濃度が少なくとも2個のスポットを形成するために一方の溶液から他方に増加しているステップ、
- 任意選択で、固体支持体の表面を飽和させるステップ、すなわち固体支持体への非特異的結合を回避できるようにする薬剤の存在下に固体支持体の表面を置くステップ、
- 任意選択で、固体支持体の表面を乾燥させるステップ、
- 任意選択で、
(i)1回または複数回の洗浄ステップを実行するステップ、
(ii)スポット(複数可)を検出リガンドの存在下に置くステップ、
(iii)スポット(複数可)をレポーターの存在下に置くステップ、
(iv)スポット(複数可)を基質の存在下に置くステップ、
うちの少なくとも1つを実行するステップ
- 耐性対照マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
- シグナルを検出できるようにする耐性対照マーカーの最少濃度を選択するステップ
を使用して例えば決定され得る。
【0251】
混合物(または溶液)は、固体支持体または固体支持体のコンパートメントの表面に手作業で沈着されてよいが、好ましくは好適なデバイスによって自動的に行われる。
【0252】
したがって既に示したとおり、耐性対照マーカーは、混合物(または溶液)中に存在する捕捉リガンド(複数可)と同時に分析支持体の固相に固定される。
【0253】
本発明の具体的な一実施形態では、少なくとも1つの分析物を検出することを目的とする固体支持体のコンパートメントの各スポットは、少なくとも1つの異なる、好ましくはスポットによって分析物を検出することを目的とする捕捉リガンドを含む。しかしコンパートメントのいくつかのスポットは、少なくとも1つの同じ捕捉リガンドを含んでよい。
【0254】
本発明の具体的な一実施形態では、同じスポットはいくつかの異なる捕捉リガンド(例えばいくつかの抗体および/または抗原)を含んでよく、一般にそれらは検出される同じ病態、感染もしくは疾患(特に同じウイルス、同じ細菌、同じ真菌もしくは同じ寄生生物に特異的)、感染もしくは疾患の進展、対象の状態(病理学的もしくは非病理学的)、状態(病理学的もしくは非病理学的)を発症する危険性または処置への抵抗性のマーカーに特異的である。
【0255】
コンパートメントのいくつかのスポットまたはすべてのスポットは、同じ分析物を検出することを目的とする捕捉リガンドを含んでよく;これは例えば同じ分析物の異なる特異的捕捉リガンドまたはさらにスポット中に異なる濃度で存在する同じ捕捉リガンドを含む。
【0256】
具体的な一実施形態では、耐性対照マーカーまたは耐性対照マーカーの混合物は、すべてのスポットにおいて同じであり、各スポットに同じ濃度で添加されてもされなくてもよい。
【0257】
代替的に、異なる耐性対照マーカー(少なくとも2つ)および/または耐性対照マーカーの異なる混合物がコンパートメントの異なるスポットに使用されてよい。
【0258】
コンパートメントは、耐性対照マーカーを含まない1個またはいくつかのスポットも含んでよい。しかし好ましくは前記コンパートメントのすべてのスポットは耐性対照マーカーを含む。
【0259】
コンパートメントは、捕捉リガンドを含まない1個またはいくつかのスポットも含んでよいが、好ましくは別の目的の化合物を含む。
【0260】
コンパートメントが捕捉リガンドを含まない1個またはいくつかのスポットも含む場合、スポット(複数可)は好ましくは耐性対照マーカーを含む。
【0261】
本発明の具体的な一実施形態では、支持体のすべてのコンパートメントは同じスポット組成物を有する。
【0262】
本発明の別の具体的な実施形態では、固体支持体のいくつかまたはすべてのコンパートメントは、コンパートメントのいくつか(例えば2つ)の別の群を含むまたはからなり、別々の群それぞれは異なるスポット組成物を有する。
【0263】
ステップa)およびb)は、固体支持体のいくつかまたはすべてのコンパートメントにおいて、好ましくは固体支持体のすべてのコンパートメントにおいて実行される。
【0264】
固体支持体の少なくとも1つのコンパートメントの表面に沈着させた混合物は、例えば4℃から40℃を含む温度で、数秒間から数時間インキュベートされる。
【0265】
方法は、固体支持体の前記コンパートメント(複数可)の表面を飽和させるために潜在的ステップc)を含む、すなわち固体支持体への非特異的結合を回避できるようにする薬剤の存在下に固体支持体の表面を置くことを検査するステップ。飽和ステップは、特に分析方法の実行の際に化合物の非特異的固定を妨げることを目的とする。
【0266】
固体支持体への非特異的結合を回避できるようにする薬剤は、例えば当業者に周知の飽和溶液である。
【0267】
潜在的ステップd)では、コンパートメント(複数可)の表面は乾燥される。
【0268】
乾燥は、例えば56℃または37℃または環境温度で行われる。
【0269】
具体的な一実施形態では、ステップa)、ステップb)および/またはステップc)には、1回または数回の洗浄ステップが続く。
【0270】
本発明は、スポットの質をチェックすることからなる、続くステップe)を含む上に定義の固体支持体を調製するための方法にも関する。
【0271】
スポットの質のチェックが陽性である場合、前記スポットは分析方法の一部として使用され得る。
【0272】
スポットの質のチェックが陰性である場合、前記スポットは分析方法および潜在的に前記スポットを含有するコンパートメントの一部として使用できない。
【0273】
本発明は、本発明によるまたは本発明による調製方法を使用して得られた少なくとも1つの固体支持体、ならびに該当する場合、本発明および/または使用者説明書による分析方法を実行するために使用される少なくとも1つの組成物または溶液を含むまたはからなることを特徴とするキットにも関する。
【0274】
検出の改善のためのデバイス(または二重検出のためのデバイス)
本発明は、試料中の少なくとも1つの分析物を検出するためのデバイスであって、
- 固体支持体で生成される第1のシグナルおよび第2のシグナルを検出するための手段、ならびに
- 前記第1のシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するため、および前記第2のシグナルを前記リーディンググリッドで読み取るための手段
を含むデバイスを提供することも目的とする。
【0275】
具体的な一実施形態により、この読み取りは、目的の領域での第2のシグナルの定量に対応する。
【0276】
第1のシグナルの検出は第2のシグナルの検出の前、後または同時に行われてよい。
【0277】
固体支持体は特に上に定義のとおりである。
【0278】
第1のシグナルは、例えば化学ルミネッセンスによる蛍光またはルミネッセンスシグナルであってよい。
【0279】
第2のシグナルは、例えば化学ルミネッセンスによる蛍光またはルミネッセンスシグナルであってよい。
【0280】
好ましい一実施形態では、第1のシグナルは蛍光シグナルであり、第2のシグナルはルミネッセンスシグナル、好ましくは化学ルミネッセンスによるもの(または逆も同様)である。
【0281】
固体支持体で生成される第1のシグナルおよび第2のシグナルを検出するための手段は、光学ベンチと呼ばれる。
【0282】
光学ベンチは、例えば、
- 照明システム、
- テレセントリック対物レンズ、
- フィルターホイール(前記テレセントリック対物レンズは、好ましくは、その出力レンズで前記フィルターホイールにカップリングされている)、および
- カメラ
を含むまたはからできていてよい。
【0283】
照明システムは好ましくは可変照明システムである。
【0284】
照明システムは、例えば使用された固体支持体の蛍光または幾何学的形態(geometry)を明らかにするために、固体支持体をさらに強いまたは弱い強度で照らせるようにする。
【0285】
テレセントリック対物レンズは、好ましくは大きい。特に、テレセントリック対物レンズは固体支持体全体を覆う。
【0286】
テレセントリック対物レンズは、画像を変形することなく測定される表面全体を画像化、標準対物レンズに伴う視差エラーを排除および観察した表面全体にわたるシグナル均一性を保証できるようにする。
【0287】
テレセントリック対物レンズは、好ましくは、その出力レンズでフィルターホイールにカップリングされている。
【0288】
フィルターホイールは、テレセントリック対物レンズとカメラ(画像取得カメラとも呼ばれる)との間にさまざまなフィルターを存在させることができるようにする。好ましい一実施形態では、したがって、一例では少なくとも1つの耐性対照マーカー(特に、少なくとも1つのフルオロフォア)によって放出される光からフィルターの存在を通じて励起シグナルの光を分離することができるように、他の場合では分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルの最大量を、シグナルをフィルタリングしないがアセンブリの光学的特性の維持を保証する中性ウィンドウ(neutral window)の存在を通じて回収できるように、カメラのセンサーに達する波長を選択できる。
【0289】
カメラは、さまざまな露出時間で画像を取得できるようにする。
【0290】
それにより規定の光学ベンチは:
- 可視ドメイン(位置調整画像とも呼ばれる)での画像、例えば照明システムからの照明を使用するが、特異的フィルターを使用しないことによる、
- 蛍光画像(検出画像とも呼ばれる)、照明システムからの照明および探索される蛍光に対する特異的フィルターを使用することによる、
- 照明および特異的フィルターを伴わない画像(分析画像とも呼ばれる)、例えば化学ルミネッセンスシグナルを明らかにするため
などの、異なる照明、フィルタリングおよび/または画像取得パラメーターで同じ支持体の系列画像を取ることができるようにする。
【0291】
前記第1のシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するためおよび前記リーディンググリッドで第2のシグナルを読み取るための手段は、画像化システムを含むまたはからできていてよい。
【0292】
したがって、有利な一実施形態では、光学ベンチは、いくつかのステップを含む分析方法を実行できるようにし、特に実施される分析の正確性およびロバスト性を保証する画像化システムと関連しており、前記ステップは、
1.固体支持体の固体支持体およびコンパートメント(複数可)を探索および位置調整するステップ、特に位置調整画像による;この処理の目的は、固体支持体のいかなる機械的位置調整誤差も低減し、高度で精密な位置調整を有さない機構を使用できるようにすることである;
2.ステップ1において決定したコンパートメント(複数可)の位置から、各コンパートメントにおいて、各スポットの理論的位置を表す理論的グリッドを位置調整する;この位置調整は、例えば分析系において記載される基準グリッドから行われてよく、前記基準グリッドはコンパートメントの基準ポイントと比較した各スポットの座標を示す;コンパートメントの基準ポイントは、例えばコンパートメントの中央である;
3.固体支持体のコンパートメント(複数可)に存在するすべての蛍光事象について照明および蛍光フィルターを用いて行われた検出画像を使用して探索するステップ、ならびに任意選択で、完全に予測規格外であるものを除外するためにそれらのサイズおよび形状による事象の選択を使用して特定の事象を排除するステップ;
4.○ 既に検出され、有効であると見なされた事象の位置、
○ ステップ2において定義された予測されるスポットの理論的位置;
の間の比較、
5.欠損しているスポットを検出できるようにする「理論的スポット」/「蛍光事象」対を形成するために、予測されるスポットそれぞれについて、最も近い検出された事象と理論的スポット面との交差の関連付け。各理論的スポットについて、異なる独自の蛍光事象が存在するはずである;
6.検出されたスポットの完全性を保証できるようにする直径、形状、理論的位置からの距離の基準を使用する検出されたスポットそれぞれの特徴付け;
7.検出されたスポットそれぞれについてリーディンググリッドと呼ばれる、目的の対応する領域の定義、特に検出されたスポットの面および座標による定義;ならびに
8.ステップ7において定義されたリーディンググリッド上で第2のシグナルの読み取り、特に目的のこの領域、すなわちリーディンググリッドでの分析画像上の第2のシグナルの定量
を含む。
【0293】
スポットの質のチェックを含む分析方法
本発明による分析方法は、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物の検出を可能にする。
【0294】
本発明は特に、少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法であって、
a)分析される試料を固体支持体のコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、前記スポットまたは複数の前記スポットのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む、ステップ、
b)分析物の少なくとも1つの検出リガンドを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、分析物の前記検出リガンドが直接または間接検出マーカーにカップリングされている、ステップ、
c)分析物の少なくとも1つの検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
d)ステップc)において使用されるレポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、ステップc)において使用される前記レポーターにカップリングされている間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
e)前記コンパートメント中の少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、
f)ステップe)において検出されたシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するステップ、
g)任意選択で、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
h)任意選択で、ステップf)において定義されたリーディンググリッドでステップg)において検出されたシグナルを読み取るステップ
を含む方法に関する。
【0295】
上に定義のとおり、そのまたは前記耐性対照マーカーは、分析方法の終了時に検出可能なシグナルを生成できる、すなわち分析方法が前記スポットの劣化を伴わずに実施される場合にスポットで検出可能なシグナルを生成する。特に、そのまたは前記耐性対照マーカーは、上の方法のステップe)の際に検出可能なシグナルを生成できる。
【0296】
本発明は特に、
a)分析される試料を固体支持体のコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、前記スポットまたは複数の前記スポットのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む、ステップ、
b)分析物の少なくとも1つの検出リガンドを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、分析物の前記検出リガンドが直接または間接検出マーカーにカップリングされている、ステップ、
c)分析物の少なくとも1つの検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
d)ステップc)において使用されるレポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、ステップc)において使用される前記レポーターにカップリングされている間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
e)前記コンパートメント中の少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、
f)ステップe)において検出されたシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するステップ
g)任意選択で、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
h)任意選択で、ステップf)において定義されたリーディンググリッドでステップg)において検出されたシグナルを読み取るステップ
を含み、
前記耐性対照マーカー(複数可)は、少なくとも1つの分析物を検出するための前記方法の実施の際に固体支持体の表面のスポットに、ステップe)の際に検出可能なシグナルを生成するように少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーである、方法に関する。
【0297】
ステップa)からd)は、ステップe)からh)のさらに前に行われる。
【0298】
ステップg)は、ステップe)の前、後または同時に実行されてよい。具体的な一実施形態では、ステップg)は、ステップe)の前または後に実行される。
【0299】
ステップf)は、ステップe)の後にさらに実行される。
【0300】
ステップf)は、ステップe)の後でステップh)の前にさらに実行され、ステップg)の前、後または同時に実行されてよい。
【0301】
ステップh)は、ステップe)からg)の後にさらに実行される。
【0302】
ステップa)からf)および該当する場合、ステップg)および/またはステップh)は、試料が分析される、分析物の少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含む少なくとも1個のスポットを含む固体支持体の各コンパートメントについて行われる。
【0303】
ステップg)および/またはh)は、ステップf)において定義されたリーディンググリッドがステップg)において検出されたシグナルを読み取るためのいかなる区域も示さない場合は行われなくてよい。
【0304】
ステップh)が実行される場合、ステップg)も実行される。
【0305】
方法は、1回または数回の洗浄ステップを例えばステップa)からd)のそれぞれまたはいくつかの間に有利に含んでよい。
【0306】
試料を分析する目的の各コンパートメントの洗浄は、容量(例えば400μL)の洗浄溶液(例えば、0.01M Tris NaCl緩衝液、pH7.4、Tween20が0.1%で添加)を分配および吸引する少なくとも1サイクル、好ましくは3から6サイクルを含む。
【0307】
本発明の具体的な一実施形態により、ステップe)、f)およびg)が実行される順序に関わらずステップe)とg)の間で、操作および特にピペット操作、分配、撹拌、吸引または洗浄ステップは行われない。
【0308】
表現「化合物Xをコンパートメントのスポットの存在下に置く」は、化合物Xが前記スポットを含むコンパートメントに添加されることを意味し、前記コンパートメントは試料を分析することを目的としている。
【0309】
同じステップの際にコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に少なくとも2つの化合物が置かれる場合および/または少なくとも2つのステップa)からd)が同時に行われる場合、前記化合物は前記スポット(複数可)の存在下に別々に置かれてよい、すなわち別々の組成物の形態で寄与し;代替的に、前記化合物または化合物のいくつかは、コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に1つまたはいくつか混合物の形態で置かれ得る。
【0310】
検出方法は、上に定義のまたは上に定義の調製方法によって得られた固体支持体を使用して特に実行される。
【0311】
分析物の耐性対照マーカー(複数可)、スポット(複数可)、捕捉リガンド(複数可)は、特に、上に定義のとおりである。
【0312】
特に、耐性対照マーカー(複数可)は、ステップe)の際に検出可能なシグナルを生成するように、すなわち分析方法がスポットの劣化を伴わずに実施される場合に少なくとも1つの分析物を検出するための前記方法の実行の際に固体支持体の表面の上の前記スポット上に少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーである。
【0313】
本発明は、特に前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つが、1つ(またはいくつかの)フルオロフォア(複数可)、例えば1つもしくはいくつかの蛍光化学的分子または1つもしくはいくつかの蛍光タンパク質、例えばフルオロフォアの混合物であることを特徴とする上に定義の方法に関する。
【0314】
本発明は、特に前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つが、耐性対照マーカー、特にフルオロフォアであり、その励起スペクトルが、分析物の前記検出リガンド(複数可)の検出マーカーによって放出されるまたはそれに対応するシグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが、分析物の前記検出リガンド(複数可)の検出マーカーのまたはそれに対応する発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする上に定義の方法に関する。
【0315】
本発明は、例えば前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つが、耐性対照マーカー、特にフルオロフォアであり、その励起スペクトルがルミノールならびに/またはルミノールのアナログおよび/もしくは誘導体またはルミノールの類似物とペルオキシダーゼ酵素との反応によって得られたルミネッセンス化合物によって放出されるシグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルがルミノールならびに/またはルミノールの類似物および/もしくは誘導体またはルミノールの類似物とペルオキシダーゼ酵素との反応によって得られたルミネッセンス化合物の発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする上に定義の方法に関する。
【0316】
好ましい一実施形態では、上に定義の検出方法は、
a)分析される試料を固体支持体のコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、前記スポットまたは複数の前記スポットのうちの少なくとも1個が、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む、ステップ、
b)分析物の少なくとも1つの検出リガンドを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップであって、分析物の前記検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされているステップ、
c)前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
d)ステップc)において使用されるレポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、ステップc)において使用される前記レポーターにカップリングされている間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置くステップ、
e)前記コンパートメント中の少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、
f)ステップe)において検出されたシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するステップ、
g)任意選択で、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
h)任意選択で、ステップf)において定義されたリーディンググリッドでステップg)において検出されたシグナルを読み取るステップ
を含む。
【0317】
本発明は特に、
- 分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルがペルオキシダーゼと、ルミノール、ルミノールの類似物および/またはルミノールもしくはルミノールの類似物の誘導体との反応によって得られた化学ルミネッセンス化合物によって放出される光であり、
- そのまたは前記耐性対照マーカー(複数可)によって生成されるシグナルが波長375から550nmまで、375から580nmまでまたは350から580nm(両端を含む)まで以外で放出される光である
ことを特徴とする上に定義の方法に関する。
【0318】
好ましくは耐性対照マーカー(複数可)は、波長375から550nmまで、375から580nmまでまたは350から580nmまで(両端を含む)以外の励起スペクトルおよび好ましくは発光スペクトルを有する。
【0319】
分析方法は、例えば免疫アッセイ、特にELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)検査などの免疫酵素アッセイである。分析方法は、核酸を検出するためにも使用され得る。
【0320】
ステップa)では、分析される試料は固体支持体のコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置かれる。
【0321】
いくつかの試料が分析され、固体支持体がいくつかのコンパートメントを含む場合、ステップa)は、固体支持体の少なくとも1つのコンパートメントのスポット(複数可)の存在下に試料を置くステップを含み、前記固体支持体は、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む少なくとも1個のスポットを含む、少なくとも分析される試料の数と同数のコンパートメントを含む、またはいくつかの固体支持体が使用される。
【0322】
いくつかの試料が分析され、固体支持体が単一のコンパートメントを含む場合、ステップa)は、固体支持体のコンパートメントに試料を添加する(または、前記コンパートメントが固体支持体それ自体に相当する場合、試料を前記固体支持体に添加する)ことを含み、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含む少なくとも1個のスポットを含むコンパートメントを含む、少なくとも分析される試料の数と同数の固体支持体を使用する。
【0323】
いくつかの試料が分析される場合、異なるコンパートメントが各試料について使用される。特に前記コンパートメントが異なるスポット組成物を有する場合、同じ試料を分析するために1つまたはいくつかの固体支持体のいくつかのコンパートメントも使用できる。
【0324】
ステップa)およびb)は同時に、ステップb)の前にステップa)、またはステップa)の前にステップb)が行われてよい。ステップb)がステップa)の前に行われる場合、方法は、これら2つのステップa)とb)との間に洗浄ステップを含まない。
【0325】
それらが存在する場合、ステップc)およびd)は、ステップa)およびb)の後に好ましくは行われ、ステップa)およびb)とステップc)およびd)との間に好ましくは少なくとも1回の洗浄ステップがある。
【0326】
それらが存在する場合、ステップc)およびd)は同時に、またはステップd)の前にステップc)が行われてよい。ステップd)がステップc)の前に行われる場合、方法は2つのステップd)とc)との間に洗浄ステップを含まない。
【0327】
存在する場合、ステップd)は好ましくはステップc)の後に行われ、ステップc)とd)との間に少なくとも1回の洗浄ステップがある。
【0328】
ステップb)では、分析物の少なくとも1つの検出リガンドが前記コンパートメントのスポット(複数可)の存在下に置かれる。
【0329】
ステップb)は、特に試料を分析することを目的とする各コンパートメントにおいて行われる。
【0330】
分析物の検出リガンド(複数可)は、特に上に定義のとおりである。
【0331】
好ましくはステップb)は、検出される各分析物の少なくとも1つの検出リガンドを添加するステップを含む。分析物の異なる検出リガンドが使用される場合、それらは同時にまたは順に添加されてよく、リガンドのすべてまたは一部は別々の組成物または1つまたはいくつかの混合物の形態で与えられてよい。分析物の検出リガンドのいくつかは、ステップa)と同時に添加されてよく、好ましくは分析物の検出リガンドの残りを添加する前に洗浄ステップが続く。
【0332】
分析物の検出リガンドがステップb)の際に連続的に添加される場合、少なくとも1つの分析物検出リガンドの各添加に試料を分析することを目的とするコンパートメントの洗浄ステップが続いてよい。
【0333】
ステップc)およびd)の性能は、検出リガンドの検出マーカーおよび、該当する場合は、検出リガンドの検出マーカーのレポーターの検出マーカーに依存する。
【0334】
したがって分析物の少なくとも1つの検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされる場合に、ステップc)は実行される。
【0335】
好ましくは分析物の検出リガンド(複数可)は、同じ検出マーカーにカップリングされる。分析物の少なくとも2つの検出リガンドが異なる間接検出マーカーにカップリングされる場合、ステップc)は、各マーカーのシグナルを検出するために各間接検出マーカーについて実行される。
【0336】
ステップd)は、ステップc)において使用される少なくとも1つのレポーター(第1のレポーターとも呼ばれる)が間接検出マーカーにカップリングされている場合に実行される。ステップd)において使用されるレポーターは第2のレポーターと呼ばれる。
【0337】
ステップd)が実行される場合、それによりステップc)も実行される。
【0338】
ステップe)では、少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルは、前記コンパートメントにおいて検出される。
【0339】
少なくとも2つの耐性対照マーカーが使用される場合、ステップe)は、好ましくは前記耐性対照マーカーそれぞれによって生成されるシグナルを検出するステップを含む。
【0340】
少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの検出は、特に固体支持体の各コンパートメント中に少なくとも1つの耐性対照マーカーを含む各スポットを局在化できるようにする。
【0341】
少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルは、好ましくは蛍光によって放出されるシグナルである。
【0342】
ステップf)では、リーディンググリッドは、ステップe)において検出されたシグナルの位置から定義される。
【0343】
リーディンググリッドは、コンパートメントのどの区域(複数可)において第2のシグナルが読み取られる(または「分析される」もしくは「考慮される」もしくは「解釈される」)はずであるかを正確に示す。特に、リーディンググリッドで定義されたそのまたは1つの区域外でステップg)において検出された第2のシグナルは、ステップh)の際に第2のシグナルの読み取り(または「分析」もしくは「解釈」)に考慮されない。
【0344】
各スポットの輪郭により前記区域を正確に定義することは特に有利である。
【0345】
リーディンググリッドを定義するためのステップf)は、したがって特に、少なくとも1つの耐性対照マーカーに対応するステップe)において検出されたシグナルからスポットの質を検証することを含む。
【0346】
「スポットの質」は、スポット(複数可)の存在、位置および/または完全性を指す。
【0347】
スポットの完全性は、スポットのサイズおよび形状を含む。
【0348】
スポットの質のチェックは、スポットが予測される位置に合致している位置でコンパートメント中に存在する場合、明確に定義された輪郭を有する場合、その形状が合格基準に合致している場合、例えばそれが円板状、近似的に円板状、例えば卵円形または80%を超える真円度を有する形状を有する場合、およびコンパートメントの別のスポットに交差していない場合、特に、陽性である。
【0349】
「80%を超える真円度」は、検出されたスポットが分析方法の際に行われるすべての処置によって損傷を受けていないことを保証する十分な真円度を有することを意味する。
【0350】
例えば、スポットの質のチェックは、シグナルがステップe)において検出され、このシグナルが明確に定義された輪郭、円板形状、近似的に円板形状、例えば卵円または80%を超える真円度を有する場合、およびコンパートメントの別のスポットによって生成されるシグナルに交差しない場合、陽性である。
【0351】
ステップe)においてスポットでシグナルが検出されない場合、またはスポットが上に示した以外の少なくとも1つの理由のために質対照に合致しない場合、ステップg)において前記スポットで任意選択で検出された第2のシグナルは、ステップh)における第2のシグナルおよび潜在的に前記スポットに対応するコンパートメントの各スポットで検出された第2のシグナルを読み取る際に、考慮されない。
【0352】
ステップe)およびg)では、シグナルの検出は、好ましくはシグナルの取得を含む。
【0353】
本発明による1つまたはいくつかの耐性対照マーカー(複数可)の使用は、したがってスポットが位置付けられる正確な位置での第2のシグナルの読み取りを実施できるようにし、与えられた結果を確実にする一方で、特にスポット欠陥に関連する偽陽性または偽陰性を除外できるようにすることによって、分析の感度を改善できるようにする。
【0354】
特に本発明は、上に定義の、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルがルミネッセントシグナル、特に化学ルミネッセントシグナル、例えばルミノールならびに/またはルミノールの類似物および/もしくは誘導体またはルミノールの類似物とペルオキシダーゼ酵素との反応によって放出される光であることを特徴とする方法に関する。
【0355】
さらに特に本発明は、上に定義の、少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルが蛍光によって検出され、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルがルミネッセンス、特に化学ルミネッセンスによって検出されることを特徴とする方法に関する。
【0356】
好ましい一実施形態では、少なくともステップe)からh)は同じデバイス、例えば「検出の改善のためのデバイス」セクションに記載のデバイスを使用して実行される。
【0357】
別の好ましい実施形態では、方法のすべてのステップは、同じデバイス、例えば「検出の改善のためのデバイス」セクションに記載のデバイスを使用して実行される。
【0358】
耐性対照マーカーを選択するための方法
本発明は、耐性対照マーカーを選択するための方法であって、
a)検査されるマーカーを固体支持体の表面に沈着させて、少なくとも1個のスポットを形成させるステップ、
b)任意選択で、固体支持体の表面を飽和させるステップ、
c)任意選択で、固体支持体の表面を乾燥させるステップ、
d)
(i)1回または複数回の洗浄ステップを実施するステップ、
(ii)スポット(複数可)を検出リガンドの存在下に置くステップ、
(iii)スポット(複数可)をレポーターの存在下に置くステップ、
(iv)スポット(複数可)を基質の存在下に置くステップ
のうちの少なくとも1つを実行するステップ、
e)ステップd)の終了時にシグナルを生成するマーカーを選択するステップ
を含む方法にも関する。
【0359】
検査されるマーカーは、検出され得るシグナルを生成する(例えば放出する)化合物である。例えば検査されるマーカーは、フルオロフォアまたはルミネッセンス化合物である。
【0360】
固体支持体は、特に上に定義のとおりである。
【0361】
ステップa)は、検査されるマーカーを固体支持体の表面に沈着させて、少なくとも1個のスポットを形成させることを含むまたはからなる。
【0362】
マーカーは、手作業でまたは好適なデバイスを使用して自動的に沈着させてもよい。
【0363】
検査されるマーカーは、一般に前記マーカーを含む溶液の形態で沈着させる。
【0364】
ステップa)は、検査される同じマーカーをいくつかのスポットに、濃度を増加させて沈着させるステップを含み得る。
【0365】
ステップa)において沈着させる溶液は、捕捉リガンドを含んでも含まなくてもよい。
【0366】
方法は、固体支持体の表面を飽和させるために、潜在的ステップb)を含む。飽和ステップは、特に分析方法の実行の際に化合物の非特異的固定を妨げることを目的とする。
【0367】
ステップc)では、固体支持体の表面は任意選択で乾燥される。
【0368】
一般に、ステップa)および/またはステップb)には、1回または数回の洗浄ステップa’)および/またはb’)が続く。
【0369】
ステップd)は、
(i)1回または複数回の洗浄ステップを実施するステップ、
(ii)スポット(複数可)を少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置くステップ、
(iii)スポット(複数可)を少なくとも1つのレポーターの存在下に置くステップ、および/または
(iv)スポット(複数可)を少なくとも1つの基質の存在下に置くステップ
のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つを実行することを含むまたはからなる。
【0370】
好ましい一実施形態では、ステップd)は、ステップ(iii)および/またはステップ(iv)、好ましくはステップ(iii)およびステップ(iv)を含むまたはからなる。
【0371】
別の好ましい実施形態では、ステップd)は、ステップ(i)、ステップ(iii)および/またはステップ(iv)、好ましくはステップ(i)、ステップ(iii)およびステップ(iv)を含むまたはからなる。
【0372】
好ましい一実施形態では、ステップd)は、少なくともステップ(i)、ステップ(ii)、ステップ(iii)およびステップ(iv)を含む。
【0373】
ステップ(i)から(iv)は、任意の所望の順で行われてよい。
【0374】
しかし、好ましい一実施形態では、ステップd)は、次のステップを次の順:ステップ(ii)、ステップ(i)、ステップ(iii)、ステップ(i)、ステップ(iv)およびステップ(i)
で含む。
【0375】
別の好ましい実施形態では、ステップd)は、次のステップを次の順:ステップ(ii)、ステップ(i)、ステップ(iii)、ステップ(i)およびステップ(iv)
で含む。
【0376】
別の好ましい実施形態では、これらのステップが存在する場合、ステップ(ii)はステップ(iii)の前および/またはステップ(iv)の前に実行され、ステップ(iii)はステップ(iv)の前に実行される。ステップ(i)は、ステップ(ii)と(iii)との間、(ii)と(iv)との間(特にステップ(iii)が欠けている場合)および/または(iii)と(iv)との間に実行されてよい。
【0377】
好ましくは、ステップ(iii)のレポーターまたは複数のレポーターのうちの1つは、ステップ(ii)の少なくとも1つの検出リガンドにカップリングされた検出マーカーのレポーターであり、および/またはステップ(iv)の基質または複数の基質のうちの1つは、レポーターにカップリングされた検出マーカーのレポーターである。
【0378】
例えば、ステップ(ii)の検出リガンドまたは複数の検出リガンドのうちの1つは、ビオチン型の検出マーカーにカップリングされており、ステップ(iii)のレポーターまたは複数のレポーターのうちの1つは、酵素、例えばペルオキシダーゼにカップリングされたストレプトアビジン型のレポーターであり、および/またはステップ(iv)における基質または複数の基質のうちの1つは、前記酵素の基質、例えばルミノール、ルミノールの類似物、および/またはルミノールもしくはルミノールの類似物の誘導体である。
【0379】
選択方法は、ステップd)の終了時にシグナルを生成するマーカーを選択するためのステップe)を含む。特に、ステップe)において選択されるマーカーは、ステップd)の終了時にシグナルを生成する。「検出可能なシグナル」は特に上に定義のとおりである。
【0380】
好ましくはステップe)は、検出リガンドの検出マーカーによって生成されるシグナルの検出を干渉しないまたはほとんど干渉しないマーカーを選択することをさらに含む。
【0381】
本発明による選択方法は、
- 任意選択で、第1に、
○ ステップa)において形成されたスポット(複数可)が捕捉リガンドを含まない、上記ステップa)からc)、
○ 任意選択で、ステップc)の終了時に検出可能なシグナルを生成するマーカーを選択することを含む第1の予備選択ステップ、
○ 任意選択で、同じ支持体上のステップd)からe)、好ましくは第1の予備選択ステップで選択された前記マーカーでだけ実行される前記ステップの後、ステップc)の終了時に検出可能なシグナルを生成するマーカーを選択することを含む第2の予備選択ステップ、
- 第2に、ステップa)において形成されたスポット(複数可)が捕捉リガンドを含む上記ステップa)からe)(ステップd)からe)は、好ましくは、前記第1の予備選択ステップで選択された、および/または前記第2の予備選択ステップで選択されたマーカーでだけ行われる)
も含んでよい。
【0382】
耐性対照マーカーの使用
本発明は、試料または少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にするために分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポット中の少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用にも関する。
【0383】
「試料または少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にする」は、本明細書において前記検出方法の終了時に得られた結果の信頼性を、特に、「偽陰性」または「偽陽性」の存在を回避することによって、保証することを意味する。
【0384】
「偽陰性」は、前記分析物(複数可)が試料中に存在し、検出されるはずであるのに反して、試料中で検出される1つまたはいくつかの分析物の欠如を反映している陰性の結果である。
【0385】
「偽陽性」は、前記分析物(複数可)が試料中にないのに反して、試料中に検出される1つまたはいくつかの分析物の存在を反映している陽性結果である。
【0386】
試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にすることは、特に、検出方法の終了時に分析物を検出することを目的とするスポット(複数可)の質をチェックすること、および/または少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用を通じて分析物の検出の感度を改善することによって得られる。
【0387】
本発明は、試料または少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にするために分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポット中の少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用であって、
- 試料および検出される分析物の少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置かれた後に、特に分析方法の終了時に、前記スポットの質をチェックすること、ならびに/または
- 前記耐性対照マーカー(複数可)によって生成されるシグナルの位置から定義されるリーディンググリッド上で検出される分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルの読み取り
を含むことを特徴とする使用に関する。
【0388】
したがって、検出される分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルの読み取りは、分析方法の終了時に前記耐性対照マーカー(複数可)によって生成され、検出されたシグナルの位置から定義されたリーディンググリッド上で行われる。
【0389】
本発明は、特に、試料または少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にする分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポットにおける少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用であって、
- 前記スポットが、試料および、間接検出マーカーにカップリングされた検出される分析物の少なくとも1つの検出リガンド、前記間接検出マーカーのレポーター(第1のレポーターとも呼ばれる)、任意選択で前記第1のレポーターにカップリングされた間接検出マーカーの第2のレポーターの存在下に置かれた後に前記スポットの質をチェックすること、ならびに/または
- 前記耐性対照マーカー(複数可)によって生成されるシグナルの位置から定義されたリーディンググリッド上で検出される分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルの読み取り
を含むことを特徴とする使用に関する。
【0390】
本発明は、特に、スポットの質対照が、スポットの存在、位置および/または完全性をチェックすることを含むまたはからなることを特徴とする、上に定義の使用に関する。
【0391】
リーディンググリッドは、分析物の検出リガンドの検出マーカー(複数可)によって生成されるシグナルが読み取られるはずであるコンパートメントの区域(複数可)を示す。
【0392】
本発明の他の特性および有利点は、例示として非限定的に提供される続く実施例を通じてさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0393】
図1】さまざまなフルオロフォアの使用および実施例1に記載のプロトコールのさまざまなステップにおいて生じた蛍光画像を示す図である。
図2】本発明による分析方法の終了時に9個のスポットを含む12ウエルの蛍光シグナルの取得を示す図である。
図3】蛍光画像:耐性対照マーカーによって生成されるシグナルに基づいた蛍光(点線白色丸)によるスポットの実際の位置に対する理論的リーディンググリッド(実線白色丸)の比較を示す図である。
図4】化学ルミネッセンス画像:理論的位置グリッド(実線)に対して耐性対照マーカーを通じて検出されたスポットの実際の位置(点線)でリーディンググリッドを定義することによる分析方法の正確度の改善を示す図である。
図5】化学ルミネッセンス画像:結果を検証する前に検出されたスポットの完全性を検証することによる分析方法の正確度の改善を示す図である。
図6】照明システム、テレセントリック対物レンズ、フィルターホイール、前記テレセントリック対物レンズはその出力レンズ(output lens)でフィルターホイールにカップリングされている、およびカメラを含む光学ベンチの図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0394】
[実施例1]
耐性対照マーカーを選択するための方法例
材料および方法
ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、ドイツ)の各ウエル内に、抗原または抗体のスポッティングのために伝統的に使用される緩衝液中のフルオロフォア溶液500nl滴をウエルごとに沈着させる。次のフルオロフォアを本実施例において使用する:Atto633-カルボン酸(すなわちAtto633-COOHまたはAtto633)(供給者:ATTO-TEC;ドイツ)、Atto633-アミン(すなわちAtto633由来アミン誘導体)(供給者:ATTO-TEC;ドイツ)、Dye634-カルボン酸(すなわちDye634-COOHまたはDye634)(供給者:Dyomics、ドイツ)、Dye634-アミン(すなわちDye634由来アミン誘導体)(供給者:Dyomics、ドイツ)、Dye630-アミン(すなわちDye630由来アミン誘導体)(供給者:Dyomics、ドイツ)、APC(アロフィコシアニン)(供給者Febico;台湾)、B-フィコエリトリン(Febico;台湾)。これらのマイクロプレートの各ウエルの底は、当業者によってそれ自体が公知の分子吸着能力を有する。したがって得られた各ウエルの表面は、当業者によってそれ自体が公知の飽和溶液で飽和させる;ウエルは飽和溶液を満たし、飽和溶液を除去し、ウエルを次いで乾燥させ;これらのウエルの再水和ステップ後、次いでルミノール(ELISTAR ETA C Ultra ELISA(Cyanagen、イタリア)(実施例2参照)を含有する基質溶液を50μL/ウエルの割合で添加する。蛍光画像は、フルオロフォアに対する適切なフィルターを有するChemidoc(商標)MP System(Bio-Rad)を使用して、上に記載のプロトコール(すなわち、滴を沈着させる、飽和、乾燥、再水和のステップの後、およびルミノールを含有する基質溶液を添加した後)のさまざまなステップで行う。
【0395】
結果
図1は、さまざまなフルオロフォアの使用および上に記載のプロトコールのさまざまなステップにおいて生じた画像を記載している。
【0396】
4種のフルオロフォアで得られた蛍光は、プレートへの滴の沈着の終了時に完全に可視である。この蛍光は、飽和溶液(飽和後のスポットを参照)の排除後にAtto633-アミン、アロフィコシアニンおよびB-フィコエリトリンについて継続する。それはAtto633-アミンにおよびB-フィコエリトリンについて、ルミノールを含有する基質溶液を添加した後にも継続され、アロフィコシアニンについては非常に弱い。同様の結果がDye634-アミンおよびDye630-アミン(結果未記載)で得られる。反対に、残存蛍光はDye634-カルボン酸で洗浄ステップの終了時に可視でなく、基質溶液を添加した後にさらに強くAtto633-カルボン酸についても同様である(結果未記載)。
【0397】
したがってAtto633-アミン、Dye634-アミン、Dye630-アミンおよびB-フィコエリトリンは、本発明による耐性対照マーカーである。
【0398】
さらに下の実施例2に例示のとおり、BSAにカップリングされたDye634も本発明による耐性対照マーカーである。
【0399】
[実施例2]
目的の分析物の検出での耐性対照フルオロフォアの存在の影響の欠如
材料および方法
(i)マイクロプレートの調製
ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、ドイツ)の各ウエル内で、スポッターロボットを捕捉リガンド(複数可)および出願書に記載の方法を使用して選択したフルオロフォアを含有する溶液の50nL滴を行で(rows)沈着させるために使用する。
【0400】
捕捉リガンド溶液は、
- 抗体検出検査の一部として1つもしくは複数の合成ペプチドを伴う組換えタンパク質からできていてよい抗原もしくは抗原の混合物のいずれか、
- または抗原検出検査の場合は探索マーカーに対する抗体もしくは抗体の混合物
であってよい。
【0401】
これらの捕捉リガンド溶液は、選択されたフルオロフォア、例えばAtto633-アミン(Atto-tec、ドイツ)または、BSAにカップリングされたNHS-エステル(N-ヒドロキシサクシニミドエステル)形態でDye634(Dyomics、ドイツ)から当業者によって公知のプロトコールを使用して得られたDye634-BSA複合体を含有する;これらのフルオロフォアをそれぞれについて決定した好適な用量で添加する;Dye634-BSAについて示される用量はDye634-BSA複合体の濃度に対応する。これらのマイクロプレートの各ウエルの底は、当業者によってそれ自体が公知のこれらのさまざまなタンパク質に対する吸着能力を有する。
【0402】
したがって得られたスポットを当業者によってそれ自体が公知の飽和溶液で飽和させる。次にプレートを乾燥させる。
【0403】
(ii)分析方法の実施
分析方法の実施の際に使用した種々の要素の記載:
レポーター
ストレプトアビジンPOD(S-POD)レポーターは、当業者にそれ自体が公知のNakane and Kawaoi [J Histochem Cytochem (1974) Vol. 22, No. 12. pp. 1084-1091]によって記載された方法によりペルオキシダーゼ(Roche ドイツ)とカップリングさせたストレプトアビジン(Roche、ドイツ)である。
洗浄溶液
10mM Tris緩衝溶液pH7.4は、218mM NaCl、0.1%Tween20(商標)(Sigma社の商標)、0.002%Proclin 300(商標)(Supelco社の商標)を含有する。
発色基質
ELISTAR ETA C Ultra ELISA発色基質(Cyanagen、イタリア)は2種の溶液:XLSE024Lルミノールエンハンサー溶液(A)およびXLSE024P過酸化物溶液(B)から作られている。
【0404】
実行したさまざまなステップの内容:
検査プロトコールは次のステップを含む。
ステップ1:
1.マイクロプレート(スポットを含む)の各ウエルに以下のものを分配する。
- 試料40μl:試料は例えば血清または対照試料であってよい。
- 希釈剤40μl
2.混合物を40分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
3.少なくとも300μlの洗浄溶液での3回連続洗浄を行う。
4.次にインキュベーションステップを検出リガンドの存在下で行い、次いでポイント3と同条件で洗浄する。
5.次いでレポーターのインキュベーションステップを行い、次いで洗浄する。
6.最後に、発色基質溶液BおよびAそれぞれ25μlの添加を含む最終発色ステップを行う。
7.混合物を1分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
8.読み取りを蛍光を測定するためにChemidoc(商標)リーダーで、化学ルミネッセンスを測定するためにQview(商標)リーダーで行う。読み取りの結果を画像分析系によって直接的に処理し、相対光単位(RLU)に記録する;相対蛍光強度(RFI)も同様。
【0405】
結果
各データは3回反復の平均に対応する;蛍光値はバックグラウンドノイズを引いた後の蛍光シグナルレベルに対応する。
【0406】
検出される目的のマーカーの特異的抗体溶液に添加したAtto633-アミンフルオロフォアで得た結果;
【0407】
【表1】
【0408】
表1に示す結果は、フルオロフォア用量0.35μg/ml以下について分析物の検出へのAtto633-アミンフルオロフォアの存在の影響の欠如を示している。分析物の検出限界の算出は、1.2μg/mlの用量までのフルオロフォアの存在の影響の欠如を示している。捕捉リガンドの存在は、分析の終了時に非常に顕著で完全に検出可能なままである蛍光をごくわずかに改変するだけである(表2参照)。
【0409】
【表2】
【0410】
検出される目的のマーカーの特異的抗体溶液に添加されたDye634-BSAフルオロフォアで得られた結果:
表3に示す結果は、フルオロフォア用量6μg/ml以下について分析物の検出へのAtto 634-BSAの存在の影響の欠如を示しており、この用量は、分析の終了時での蛍光の検出および本出願に記載のデータ処理方法の実施と共用できる。
【0411】
【表3】
【0412】
検出される抗体に対応する抗体溶液に添加されたAtto633-アミンフルオロフォアで得られた結果:
表4に示す結果は、フルオロフォア用量0.1μg/ml以下について分析物の検出へのAtto633-アミンフルオロフォアの存在の影響の欠如を示している。捕捉リガンド(表5参照)の存在は蛍光を改変するが、シグナルは非常に顕著で、分析の終了時に完全に検出可能であり、本出願に記載のデータ処理方法を実行するために使用可能なままである。
【0413】
【表4】
【0414】
【表5】
【0415】
検出される抗体に対応する抗体溶液に添加されたDye634-BSAフルオロフォアで得られた結果
【0416】
【表6】
【0417】
表6に示す結果は、フルオロフォア用量に関わらず分析物の検出へのDye634-BSAフルオロフォアの存在の影響の欠如を示している。分析の終了時に得られた蛍光シグナルは、完全に検出可能であり、本出願に記載のデータ処理方法を実行するために使用できる。
【0418】
[実施例3]
試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にする耐性対照マーカーの使用
材料および方法
(i)マイクロプレートの調製
ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、ドイツ)の各ウエル内で、スポッターロボットを捕捉リガンド(複数可)および出願書に記載の方法を使用して選択したフルオロフォアを含有する溶液の50nL滴を行で沈着させるために使用する。
捕捉リガンド溶液は、
- 抗体検出検査の一部として1つもしくは複数の合成ペプチドを伴う組換えタンパク質からできていてよい抗原もしくは抗原の混合物のいずれか、
- または抗原検出検査の場合は探索マーカーに対する抗体もしくは抗体の混合物
であってよい。
【0419】
これらの捕捉リガンド溶液は、選択されたAtto633-アミンフルオロフォア(Atto-tec、ドイツ)を0.1から0.5μg/mLに含まれる好適な用量で含有する。これらのマイクロプレートの各ウエルの底は、当業者によってそれ自体が公知のこれらのさまざまなタンパク質に対する吸着能力を有する。
【0420】
それにより得られたスポットは、当業者によってそれ自体が公知の飽和溶液で飽和させる。プレートを次に乾燥させる。
【0421】
(ii)分析方法の実施
分析方法の実施の際に使用される種々の要素の記載:
【0422】
I.レポーター
ストレプトアビジン-POD(S-POD)レポーターは、当業者によりそれ自体が公知のP. Nakane and A. Kawaoi [J Histochem Cytochem (1974) Vol. 22, No. 12. pp. 1084-1091]によって記載された方法によりペルオキシダーゼ(Roche ドイツ)とカップリングされたストレプトアビジン(Roche、ドイツ)である。
【0423】
II.希釈剤
a)希釈ステップ1
50mM Tris緩衝溶液、pH7.5:150mM NaCl、20mM EDTA、500μg/mLマウスIgG(Meridian)、15%ウシの乳汁(100%スキム)、10%ヒツジ血清、0.095%NaN3を含有。
b)コンジュゲート1の希釈
50mM Tris緩衝溶液、pH7.5:150mM NaCl 20mM EDTA、0.1%Chaps、10%グリセロール、0.095%NaN3を含有。
c)コンジュゲート2の希釈
50mMクエン酸緩衝溶液、pH6.7:150mM NaCl、5.6mM EDTA、2%Triton、10%ヒツジ血清、500μg/mLマウスIgG、0.5%Proclin300(商標)(Supelco社の商標)、15%ウシの乳汁(100%スキム)、10%グリセロール、0.095%NaN3を含有。
d)ストレプトアビジン-PODレポーターの希釈
50mMクエン酸緩衝溶液、pH6.7:2053mM NaCl、0.5%Tween20(商標)(Sigma社の商標)、0.5%Proclin300(商標)(Supelco社の商標)、7%ウシの乳汁(100%スキム)、20%グリセロールを含有。
e)洗浄溶液
10mM Tris緩衝溶液、pH7.4:218mM NaCl、0.1%Tween20(商標)(Sigma社の商標)、0.002%Proclin300(商標)(Supelco社の商標)を含有。
f)発色基質
ELISTAR ETA C Ultra ELISA発色基質(Cyanagen、イタリア)は2種の溶液:XLSE024Lルミノールエンハンサー溶液(A)およびXLSE024P過酸化物溶液(B)から作られている。
【0424】
III.反応ディッシュ
免疫学的反応は1ウエル当たり最大容積392μLを有しポリスチレンで作られている96ウエルマイクロプレート(Greiner、ドイツ)で行う。
【0425】
IV.試料
使用した陰性試料(血清または血漿)は、リールのフランス血液局に由来する。
【0426】
V.光学ベンチ
使用した光学ベンチは、次の要素:
- 波長620nmを軸とした赤色光を発し、マイクロプレートの下面を均一に照らすように組み立てられた照明システム、
- マイクロプレートの表面全体を画像化できるように生成されたテレセントリック対物レンズ、
- テレセントリック対物レンズの出力レンズ(output lens)とカメラとの間に挿入されたフィルターホイール、
- 0.001秒間から250秒間の間に含まれる露出時間で画像を撮る能力を有するカメラ、
- マイクロプレートを含むすべての要素を支持し、位置付ける支持シャーシ
から作られている。光学ベンチは、マイクロプレートの下面から画像を取るように研究され、組み立てられている。対物レンズの開発は、マイクロプレートウエルの内面が明らかであるように開発されている。
フィルターホイールは2枚の異なるフィルター:
- フルオロフォアによって放出される光に対応するシグナルだけが通過できるようにする波長680nmを軸とするフィルター、
- 400nmから700nmまでのすべての波長が通過できるようにするフィルター
を有することができる。
【0427】
実行されるさまざまなステップの内容:
検査プロトコールは以下のステップを含む。
ステップ1:
1.マイクロプレート(スポットを含む)の各ウエルに以下のものを連続的に分配する。
+ ステップ1の希釈物20μl
+ 第1のステップ由来のアッセイされる分析物の検出リガンドを含むコンジュゲート1の希釈物20μl
+ 試料40μl
2.混合物を40分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
3.連続3回の洗浄を少なくとも400μlの洗浄液で行う。
ステップ2:
4.各反応ウエル中に分配されるのは第2のステップ由来のアッセイされる分析物の検出リガンドを含有するコンジュゲート2の希釈物50μlである。
5.混合物を15分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
6.洗浄ステップ(ポイント3と同じ)を実行する。
ステップ3:
7.S-PODレポーター50μLを各反応ウエルに分配する。
8.混合物を15分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
ステップ4:
9.発色溶液「B」25μLを各反応ウエルに分配する。
10.発色溶液「A」25μLを各反応ウエルに分配する。
10.混合物を1分間、37℃で撹拌しながらインキュベートする。
11.蛍光シグナルの取得を10秒間行う。
12.ルミネッセンスシグナルの取得を180秒間行う。
【0428】
結果
A)分析方法後の耐性対照マーカーの持続性
12ウエル中に存在する9個のスポットそれぞれの耐性対照マーカーの蛍光シグナルは、はっきりと同定可能であり、図2において分析方法の終了時に完全に測定可能である。
【0429】
B)分析方法の終了時にリーディンググリッドを再定義する重要性:理論的位置と比較してリーディンググリッドを定義すること対、耐性対照マーカーによる蛍光によって放出されるシグナルからリーディンググリッドを定義すること、による蛍光によって得られた目的の領域の比較。
【0430】
図3では、実線白丸はスポットの理論的位置を示し、点線白丸は検出された実際の位置を示す。スポットはそれらの期待される理論的な位置と比較して明らかにシフトしている。
この画像は、耐性対照マーカーを通じて検出された実際のスポットの位置を常に標的化できるようにし、分析物の検出リガンドの検出マーカーによって放出されるシグナルの読み取りに誤差を生じない、方法の妥当性を実証している。
【0431】
C)分析方法の終了時のリーディンググリッドの再定義の重要性:理論的位置と比較してリーディンググリッドを定義すること対、耐性対照マーカーによる蛍光によって放出されるシグナルからリーディンググリッドを定義すること、による化学ルミネッセンスによって得られた目的の領域の比較。
【0432】
実際のスポット位置(点線)を耐性対照マーカーによって生成されるシグナルに基づいて得て、図4で本明細書において示す化学ルミネッセンスによる分析物のリガンドの検出マーカーのシグナルの取得画像に適用した。スポットの理論的位置調整は実線で示され、実際の位置と比較したシフトを明らかに示している。
【0433】
予測される理論的位置(実線)に置かれた画素の化学ルミネッセンスでの中央値と蛍光によって実際に検出された位置(点線)との比較を表7に示す。
【0434】
【表7】
【0435】
シグナルを生成するスポットを含有する領域の分析は、同じスポットの理論的存在領域よりも有意に高い結果を提供する。シグナルの定量および得られた結果の正確度は、したがって、耐性対照マーカーにより検出された実際の位置調整グリッドでそれ自体を基準とすることによって改善される。
【0436】
D)スポットの完全性の検証を伴わない偽結果を生じる場合がある、分析方法後に変質したスポットの例
実際のスポット(点線)の位置を耐性対照マーカーによって生成されるシグナルに基づいて得て、本明細書で示す化学ルミネッセンスによる分析物のリガンドの検出マーカーのシグナルの取得画像に適用する(図5参照)。スポットの理論的位置調整は実線で示される。
【0437】
画像(図5参照)ではウエルの中央に位置付けられたスポットは変形される。それを囲む白色破線はソフトウェアがスポットの実際の形状を検出したことを示しており、得られた結果を検証する前にその完全性を分析できるようにする。この場合、スポットの実際の形状の真円周囲長はこのスポットを除外し、偽の分析値を生じないようにできる。
(1) 少なくとも1つの試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法であって、
a)分析される試料を固体支持体のコンパートメントのスポットの存在下に置くステップであって、前記スポットまたは複数の前記スポットのうちの少なくとも1個が、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび分析物の少なくとも1つの捕捉リガンドを含むステップ、
b)分析物の少なくとも1つの検出リガンドを前記コンパートメントのスポットの存在下に置くステップであって、分析物の前記検出リガンドが直接または間接検出マーカーにカップリングされている、ステップ、
c)分析物の少なくとも1つの検出リガンドが間接検出マーカーにカップリングされている場合、前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポット(の存在下に置くステップ、
d)ステップc)において使用される前記レポーターが間接検出マーカーにカップリングされている場合、ステップc)において使用される前記レポーターにカップリングされている前記間接検出マーカーのレポーターを前記コンパートメントのスポットの存在下に置くステップ、
e)前記コンパートメント中の少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成される少なくとも1つのシグナルを検出するステップ、
f)ステップe)において検出された少なくとも1つのシグナルの位置から少なくとも1つのリーディンググリッドを定義するステップ、
g)任意選択で、分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するステップ、ならびに
h)任意選択で、ステップf)において定義されたリーディンググリッドでステップg)において検出されたシグナルを読み取るステップ
を含む方法。
(2) 分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルがルミネッセントシグナルであることを特徴とする、上記(1)に記載の方法。
(3) 前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つがフルオロフォアであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つがフルオロフォアであり、その励起スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの検出マーカーによって放出されるまたはそれに対応する前記シグナルの発光スペクトルに重複せず、その発光スペクトルが、分析物の前記検出リガンドの前記検出マーカーのまたはそれに対応する前記発光スペクトルに重複しないまたは部分的に重複することを特徴とする、上記(3)に記載の方法。
(5) - 分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルが、ペルオキシダーゼと、ルミノール、ルミノールの類似物および/またはルミノールもしくはルミノールの類似物の誘導体との反応によって得られた化学ルミネッセンス化合物によって放出される光であり、
- 耐性対照マーカーによって生成された前記シグナルが波長375から550nmまで以外で放出される光である
ことを特徴とする、上記(1)から(4)の一項に記載の方法。
(6) 耐性対照マーカーを選択するための方法であって、
a)検査されるマーカーを固体支持体の表面に沈着させて、少なくとも1個のスポットを形成させるステップ、
b)任意選択で、前記固体支持体の表面を飽和させるステップ、
c)任意選択で、前記固体支持体の表面を乾燥させるステップ、
d)
(i)1回または複数回の洗浄ステップを実施するステップ、
(ii)前記スポットを少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置くステップ、
(iii)前記スポットを少なくとも1つのレポーターの存在下に置くステップ、
(iv)前記スポットを少なくとも1つの基質の存在下に置くステップ
のうちの少なくとも1つを実行するステップ、
e)ステップd)の終了時にシグナルを生成するマーカーを選択するステップ
を含む方法。
(7) 試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体であって、前記固体支持体が、少なくとも1個のスポットを含む少なくとも1つのコンパートメントを含み、前記スポットが、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含み、前記耐性対照マーカーが、検出方法の終了時に検出可能なシグナルを生成するように、少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーであることを特徴とする固体支持体。
(8) 前記耐性対照マーカーまたは複数の前記耐性対照マーカーのうちの1つが、請求項6に記載のおよび/または請求項3から5の一項に記載の方法を介して選択される耐性対照マーカーであることを特徴とする、請求項7に記載の支持体。
(9) 試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための固体支持体を調製するための方法であって、
a)固体支持体の少なくとも1つのコンパートメントの表面に、少なくとも1つの耐性対照マーカーおよび少なくとも1つの捕捉リガンドを含む混合物を沈着させて、スポットを得るステップであって、前記耐性対照マーカーが検出方法の終了時に検出可能シグナルを生成するように、少なくとも1つの分析物を検出するための方法の実行の際に固体支持体の表面の前記スポットに少なくとも部分的に固定されたままであるマーカーである、ステップ、
b)ステップa)をn-1回(nは1以上の整数である)繰り返して、前記コンパートメントの表面の分析物を検出する目的でn個のスポットを得るステップ、
c)任意選択で、前記コンパートメントの表面を飽和させるステップ、ならびに
d)任意選択で、前記コンパートメントの表面を乾燥させるステップ
を含む方法。
(10) 前記捕捉リガンドが、抗体、抗原、核酸およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、上記(9)に記載の方法。
(11) 前記耐性対照マーカーがフルオロフォアであることを特徴とする、上記(9)または(10)に記載の方法。
(12) 試料中の少なくとも1つの分析物を検出するためのデバイスであって、
- 固体支持体で少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルおよび分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成されるシグナルを検出するための手段であって、照明システム、テレセントリック対物レンズ、フィルターホイールおよびカメラを含む手段、ならびに
- 少なくとも1つの耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの位置からリーディンググリッドを定義するため、および分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルを前記リーディンググリッドで読み取るための手段
を含むデバイス。
(13) 試料中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法を確実にするために分析物を検出することを目的とする少なくとも1個のスポット中の少なくとも1つの耐性対照マーカーの使用であって、
- 試料および検出される分析物の少なくとも1つの検出リガンドの存在下に置かれた後に、前記スポットの質をチェックすること、ならびに/または
- 前記耐性対照マーカーによって生成されるシグナルの位置から定義されるリーディンググリッド上で検出され、分析方法の終了時に検出される分析物の検出リガンドの少なくとも1つの検出マーカーによって生成される前記シグナルの読み取り
を含むことを特徴とする使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6