(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】シリコンベースの生体光組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 41/00 20200101AFI20220201BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220201BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20220201BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220201BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20220201BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20220201BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20220201BHJP
A61K 31/473 20060101ALI20220201BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220201BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220201BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220201BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220201BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220201BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220201BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220201BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220201BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220201BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220201BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A61K41/00
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/70 401
A61K31/352
A61K31/365
A61K31/404
A61K31/473
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/42
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/06
A61P17/10
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2016572259
(86)(22)【出願日】2015-06-09
(86)【国際出願番号】 IB2015001761
(87)【国際公開番号】W WO2015189712
(87)【国際公開日】2015-12-17
【審査請求日】2018-05-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-03
(32)【優先日】2014-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】320014134
【氏名又は名称】広東科洛克生物医薬集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ピエルガリーニ, レミジオ
(72)【発明者】
【氏名】ロウピス, ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ジャウォルスカ, ヨンナ
(72)【発明者】
【氏名】デベミー, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】デスロージャーズ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チェニテ, アブデラティフ
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】岡崎 美穂
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/040176(WO,A1)
【文献】特表2005-527493(JP,A)
【文献】特表平9-505066(JP,A)
【文献】特表平11-506769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K41/00
A61K47/00-47/69
A61K8/00-8/99
BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/CA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン相および界面活性剤相を含む生体光組成物であって、ここで、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つのアニオン性発色団を含み、ここで、該アニオン性発色団がキサンテン染料であり、そしてここで、該生体光組成物が、60~95%の間のシリコーン相および5~40%の間の界面活性剤相を含み、そして0.5mmから20mmの間の厚さを有するシリコーンベースの膜の形態であり、
ここで、該界面活性剤がポリエチレングリコール-プロピレングリコール((PEG)-(PPG))、ポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG)-(PLA)、ポリエチレングリコール-ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PEG)-(PLGA)およびポリエチレングリコール-ポリカプロラクトン(PEG)-(PCL)の少なくとも一つの配列を含み、そして
ここで、該アニオン性発色団が、エオシンY、エオシンB、エリスロシンB、フルオレセイン、ローズベンガルおよびフロキシンBから選択されるキサンテン染料である、生体光組成物
、であって、
前記界面活性剤相が前記シリコーン相において乳化される、
生体光組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤がブロックコポリマーを含み、該ブロックコポリマーが少なくとも一つの疎水性ブロックおよび少なくとも一つの親水性ブロックを含む、請求項1に記載の生体光組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤相が感熱ゲル化可能な界面活性剤を含む、請求項
2に記載の生体光組成物。
【請求項4】
前記シリコーン相がポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の生体光組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤がポロクサマーである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の生体光組成物。
【請求項6】
前記シリコーン相が、Sylgard(登録商標)184を、5~100重量%の範囲の量で含む、請求項1に記載の生体光組成物。
【請求項7】
前記シリコーン相がSylgard(登録商標)527をさらに含む、請求項
6に記載の生体光組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤相がセチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)から選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の生体光組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤相が、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)および増粘剤から選択される安定剤をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の生体光組成物。
【請求項10】
皮膚処置のための生体光組成物であって、
シリコーン相および界面活性剤相を含み、そしてここで、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つのアニオン性発色団を含み、ここで、該アニオン性発色団がキサンテン染料であり、そしてここで、該生体光組成物が、60~95%の間のシリコーン相および5~40%の間の界面活性剤相を含み、そして0.5mmから20mmの間の厚さを有するシリコーンベースの膜の形態であり、
ここで、該界面活性剤がポリエチレングリコール-プロピレングリコール((PEG)-(PPG))、ポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG)-(PLA)、ポリエチレングリコール-ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PEG)-(PLGA)およびポリエチレングリコール-ポリカプロラクトン(PEG)-(PCL)の少なくとも一つの配列を含み、そして
ここで、該アニオン性発色団が、エオシンY、エオシンB、エリスロシンB、フルオレセイン、ローズベンガルおよびフロキシンBから選択されるキサンテン染料であり、
該生体光組成物が標的皮膚組織の上に配置され、そして
該生体光組成物が、該少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光に照射されることを特徴とする、生体光組成物
であって、
前記界面活性剤相が前記シリコーン相において乳化される、
生体光組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
この出願は、2014年6月9日に出願された米国仮出願第62/009,870号の利益を主張し、その開示は、参照により全体が本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
光線療法は最近、手術、治療および診断における使用を含む、医学および美容の両分野で幅広い用途があることが認識されている。例えば、光線療法は、低い侵襲性でがんおよび腫瘍を治療するため、抗菌治療として標的部位を殺菌するため、創傷治癒を促進するため、および顔の皮膚の若返りのために使用されている。
【0003】
光線力学療法は、光線療法の一つのタイプで、標的組織に感光剤を適用し、次に、その間に光増感剤が標的組織によって吸収される所定時間経過後、標的組織を光源に暴露させることを伴う。しかし、このようなレジメンには、患者への全身性もしくは局所的な毒性、または非標的組織への損傷を含む、望ましくない副作用が伴う場合が多い。さらに、このような既存のレジメンは、例えば、感光剤の標的組織への選択性不良のために、低い治療有効性を示すことがよくある。
【0004】
シリコーンはアルキルシロキサンまたはオルガノシロキサンに基づく化合物であり、ポリジメチレンシロキサン(PDMS)を含み、生体適合性として認識されており、ここ60年間医療用とでの使用が成功している(Curtisら、In Biomaterials Science 2nd Edition, 2004)。PDMSベースの組成物は刺激がなく、非感作性であり、米国および欧州規制当局によって課される厳しい基準を満たしているため、パーソナルケアおよび皮膚への局所適用で広く使用されている。
【0005】
従って、光線療法において有益な、新規の改善されたシリコーンベースの組成物およびその使用方法を提供することが本開示の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】Curtisら、In Biomaterials Science 2nd Edition, 2004
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、光線療法において有益なシリコーンベースの生体光組成物および方法を提供する。特に、本開示の生体光組成物はシリコーンマトリックスおよび少なくとも一つの発色団を含み、ここで、少なくとも一つの発色団は生体光組成物内に光を吸収し、そこから放射することができ、ヒトまたは動物組織の美容的または医学的治療に有用であり得る。
【0008】
ある態様では、シリコーン相および界面活性剤相を含むシリコーンベースの生体光組成物を提供し、ここで界面活性剤相は界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤相はシリコーン相に乳化される。特定の実施形態では、シリコーン相は連続相である。いくつかの実施形態では、界面活性剤相はブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは少なくとも一つの疎水性ブロックおよび少なくとも一つの親水性ブロックを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、界面活性剤相は感熱ゲル化可能(thermogellable)である。
【0009】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、界面活性剤はポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール((PEG)-(PPG))の少なくとも一つの配列を含む。さらなる実施形態では、界面活性剤は式(PEG)-(PPG)-(PEG)のトリブロックコポリマーまたはポロクサマー(poloxomer)である。さらに別の実施形態では、界面活性剤はプルロニックF127である。
【0010】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、界面活性剤はポリエチレングリコール-ポリ乳酸((PEG)-(PLA))の少なくとも一つの配列を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はポリエチエレングリコール-ポリ(乳酸-c-グリコール酸)((PEG)-(PLGA))の少なくとも一つの配列を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はポリエチエレングリコール-ポリカプロラクトン((PEG)-(PCL))の少なくとも一つの配列を含む。さらなる実施形態では、界面活性剤は式A-B-AまたはB-A-B(式中、AはPEGであり、BはPLAもしくはPLGAもしくはPCLである)のトリブロックコポリマーまたはポロクサマーである。
【0011】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、シリコーン相はシリコーンを含む。特定の実施形態では、シリコーンはシリコーンエラストマーであってもよい。特定の実施形態では、シリコーンはポリジメチルシロキサンを含む。特定の実施形態では、シリコーンはSylgard(登録商標)184を含む。特定の実施形態では、シリコーンはSylgard(登録商標)184とSylgard(登録商標) 527との混合物を含む。さらなる実施形態では、シリコーンは約15%のSylgard(登録商標)184と約85%のSylgard(登録商標)527との混合物を含む。特定の実施形態では、Sylgard(登録商標) 184とSylgard(登録商標) 527との混合物は皮膚への適用に十分に適し得る弾性および粘着性を有する膜形態のためのシリコーンベースの生体光組成物を提供する。特に、弾性によってシリコーンベースの生体光膜の操作が非常にし易くなり、粘着性(tackiness)(粘着性(stickiness))により本開示に提供され得るように、膜を、治療手順中に配置される場所に留まらせることができる。
【0012】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は80重量%のシリコーン相および約20重量%の界面活性剤相を含む。いくつかの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、約60/40重量%、または約65/55重量%、または約70/30重量%、または約75/25重量%、または約80/20重量%、または約85/15重量%または約90/10重量%のシリコーン相/界面活性剤相重量%組成物を含む。
【0013】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、少なくとも一つの発色団は水溶性であり、界面活性剤相に可溶化している。少なくとも一つの発色団は発蛍光団であってもよい。特定の実施形態では、発色団は光を吸収および/または放射できる。いくつかの実施形態では、発色団によって吸収されおよび/または放射される光は、電磁スペクトルの可視領域にある。いくつかの実施形態では、発色団によって吸収されおよび/または放射される光は、約400 nm~約750 nmの範囲にある。特定の実施形態では、発色団は、約500 nm~約700 nmの光を放射できる。一部の実施形態では、発色団または発蛍光団はキサンテン染料である。キサンテン染料はエオシンY、エオシンB、エリスロシンB、フルオレセイン、ローズベンガルおよびフロキシンBから選択することができる。
【0014】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物の界面活性剤相は安定剤をさらに含む。さらなる実施形態では、安定剤はゼラチン、ヒドロキシエチルセルロースエーテル(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはその他のいずれかの増粘剤を含む。
【0015】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、少なくとも実質的に透光性である。シリコーンベースの生体光組成物は透明であり得る。一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、可視領域の少なくとも約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の透光性を持つ。好ましくは、前記組成物を通した光透過は、少なくとも一つの発色団の不在下で測定される。
【0016】
特定の実施形態では、組成物は膜の形態である。他の実施形態では、組成物は広げることができるゲル(spreadable gel)の形態である。
【0017】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、界面活性剤相はさらに酸化剤を含む。酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素および過酸化ベンゾイル等の過酸化物、または他のいずれかの酸化剤等を含み得、少なくとも一つの発色団の光吸収および/または放射特性を調節することができ、または発色団を酸化または分解することができる。例えば、当該組成物の単一の使用を望む特定の実施形態では、過酸化物は単一の処理時間以内に少なくとも一つの発色団を確実に分解するために、界面活性剤相に含まれてもよい。
【0018】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、例えば、シリコーンベースの生体光膜の形態のシリコーンベースの生体光組成物は約0.1 mm~約50 mm、約0.5 mm~約20 mm、または約1 mm~約10 mm、または約1 mm ~約5 mmの厚みを有する。いくつかの実施形態では、生体光組成物は約0.1 mm~約50 mm、約0.5 mm~約20 mm、または約1 mm~約10 mm、または1 mm~約5 mmの厚みで適用されるゲルの形態である。
【0019】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、例えばシリコーンベースの生体光膜の形態のシリコーンベースの生体光組成物は膜の片側または両側を覆う取り除くことができるカバーを有する。取り除くことができるカバーははぎ取ることができる。取り除くことができるカバーは紙またはホイル等の材料のシートまたはフィルムを含んでいてもよい。特定の実施形態では、取り除くことができるカバーは不透明であり、処理時間まで照射から膜を保護することができる。カバーは部分的に取り除くことができる。特定の実施形態では、カバーは、治療の間に更なる照射から膜を保護するために、処理時間の後に膜の表面に再度適用することができる。
【0020】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、界面活性剤相はシリコーン相内に均一に分布し、ナノおよび/またはマイクロの大きさである。界面活性剤相はマイクロエマルジョンされると考えられ得る。界面活性剤相は視認することができない。言い換えれば、膜は一つの相として見える。
【0021】
本開示の任意の態様または実施形態のシリコーンベースの生体光組成物は、組織の美容的または医学的処置のためにも使用されうる。一部の実施形態では、美容的処置は、皮膚の若返りおよびコンディショニングであり、医学的処置は創傷治癒、歯周治療またはにきび治療または、湿疹、乾癬または皮膚炎を含むその他の皮膚疾患の治療である。いくつかの態様では、シリコーンベースの生体光膜は炎症を調節するため、コラーゲン合成を調節するため、または血管新生を促進するために使用される。
【0022】
本開示は、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を標的組織に適用し、および当該組成物に光を照射することを含む生体光治療のための方法も提供する。
【0023】
一つの態様から、皮膚疾患の生体光治療の方法であって、当該方法は本開示のシリコーンベースの生体光組成物を標的皮膚組織上にもしくは標的皮膚組織の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体光組成物が、前記皮膚疾患の治癒を促進する波長および強度で蛍光を放射する。皮膚疾患は、湿疹、乾癬または皮膚炎から選択されうる。
【0024】
別の態様から、にきびの生体光治療の方法であって、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を標的皮膚組織上にもしくは標的皮膚組織の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体光組成物はにきびを治療する波長および強度で蛍光を放射する。
【0025】
別の態様から、創傷治癒を促進する方法であって、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を創傷上にもしくは創傷の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体光組成物は創傷治癒を促進する波長および強度で蛍光を放射する。
【0026】
別の態様から、生体光の組織を修復する方法であって、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を標的組織上にもしくは標的組織の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体光組成物は組織修復を促進する波長および強度で蛍光を放射する。
【0027】
別の態様から、皮膚の若返りを促進する方法であって、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を標的皮膚組織上にもしくは標的皮膚組織の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体光組成物は皮膚の若返りを促進する波長および強度で蛍光を放射する。皮膚の若返りを促進することはコラーゲン合成を促進することを含み得る。
【0028】
別の態様から、瘢痕化を予防または治療する方法であって、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を組織瘢痕上にもしくは組織瘢痕の全面に配置し、少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を当該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は瘢痕化を減らすまたは予防する波長および強度で蛍光を放射する。
【0029】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は照射後も所定の位置に放置される。特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は再照射される。一部の実施形態では、照射中または照射後、発色団は少なくとも部分的に光退色する。特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、発色団が少なくとも部分的に光退色するまで照射される。
【0030】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、当該光は約400 nm~約750 nmの間のピーク波長を有する。光は、約400 nm~約500 nmの間のピーク波長を有しうる。
【0031】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、光はランプ等の直接光源からのものである。ランプはLEDランプであってもよい。特定の実施形態では、光は周辺光源からのものである。
【0032】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、前記シリコーンベースの生体光組成物は約1分~75分超、約1分~約75分、約1分~約60分、約1分~約55分、約1分~約50分、約1分~約45分、約1分~約40分、約1分~約35分、約1分~約30分、約1分~約25分、約1分~約20分、約1分~約15分、約1分~約10分、または約1分~約5分間、直接光源によって照射される。
【0033】
さらなる態様から、組織修復のため、創傷治癒のため、瘢痕を予防または治療するため、皮膚の若返りのため、にきび、湿疹、乾癬または皮膚炎等の皮膚疾患を治療するため、炎症を調節するため、またはコラーゲン合成を調節するために上述の組成物の使用を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
シリコーン相および界面活性剤相を含む生体光組成物であって、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、組成物。
(項目2)
前記界面活性剤相がシリコーン相において乳化される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記界面活性剤がブロックコポリマーを含む、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記ブロックコポリマーが少なくとも一つの疎水性ブロックおよび少なくとも一つの親水性ブロックを含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記界面活性剤相が感熱ゲル化可能な界面活性剤を含む、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記界面活性剤が水溶性である、項目1~5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
前記界面活性剤がポリエチレングリコール-プロピレングリコール((PEG)-(PPG))の少なくとも一つの配列を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記界面活性剤がポロクサマーである、項目1~7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記ポロクサマーがプルロニックF127である、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記シリコーン相がSylgard(登録商標)184を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
シリコーン相におけるSylgard(登録商標)184の含有量が5~100重量%である、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記シリコーン相がSylgard(登録商標)527をさらに含む、項目10または項目11に記載の組成物。
(項目13)
約60~95重量%のシリコーン相、および約5~40重量%の界面活性剤相、または約80重量%のシリコーン相および約20重量%の界面活性剤相を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
前記界面活性剤が(PEG)-(PLA)または(PEG)-(PLGA)または(PEG)-(PCL)の少なくとも一つの配列を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
前記発色団が可視領域の光を吸収および/または放射する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記界面活性剤相がアニオン性またはカチオン性界面活性剤をさらに含む、項目1~15のいずれかに記載の組成物。
(項目17)
前記アニオン性またはカチオン性界面活性剤がセチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)から選択される、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記界面活性剤相がアニオン性界面活性剤を含む、項目1~15のいずれか一項に記載の組成物。
(項目19)
前記アニオン性界面活性剤がSDSを含む、項目18に記載の組成物。
(項目20)
前記発色団がカチオン性発色団である、項目1~19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
前記カチオン性発色団がシアニン、アクリジン、ピロニンYおよびそれらの誘導体から選択される、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記発色団がアニオン性発色団である、項目1~19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目23)
前記アニオン性発色団がキサンテン染料である、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記界面活性剤相が安定剤をさらに含む、項目1~23のいずれか一項に記載の組成物。
(項目25)
前記安定剤がゼラチン、HEC、CMCまたは任意のその他の増粘剤を含む、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記組成物がゲルの形態である、項目1~25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目27)
前記組成物が膜の形態である、項目1~25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目28)
前記組成物がフィルムの形態である、項目1~25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目29)
前記組成物が広げることができる、項目1~25のいずれかに記載の組成物。
(項目30)
皮膚疾患の生体光治療のための方法であって、
標的皮膚組織の上に組成物を配置することであって、該組成物がシリコーン相および界面活性剤相を含み、該界面活性剤相が該界面活性剤相に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、配置すること、および
該少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を該組成物に照射することを含む、方法。
(項目31)
前記組成物が、前記皮膚疾患の治癒を促進する波長および強度で蛍光を放射する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記皮膚疾患が、にきび、湿疹、乾癬または皮膚炎から選択される、項目31に記載の方法。
(項目33)
創傷治癒を促進するための方法であって、
創傷の上に組成物を配置することであって、該組成物がシリコーン相および界面活性剤相を含み、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、配置すること、および
該少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を該組成物に照射することを含む、方法。
(項目34)
前記組成物が創傷治癒を促進する波長および強度で蛍光を放射する、項目33に記載の方法。
(項目35)
皮膚の若返りを促進するための方法であって、
標的皮膚組織の上に組成物を配置することであって、該組成物がシリコーン相および界面活性剤相を含み、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、配置すること、および
該少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を該組成物に照射することを含む、方法。
(項目36)
前記組成物が皮膚の若返りを促進する波長および強度で蛍光を放射する、項目35に記載の組成物。
(項目37)
瘢痕を予防するかまたは治療するための方法であって、
標的皮膚組織の上に組成物を配置することであって、該組成物がシリコーン相および界面活性剤相を含み、該界面活性剤相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、配置すること、および
該少なくとも一つの発色団の吸収スペクトルと重複する波長を有する光を該シリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む、方法。
(項目38)
前記生体光組成物が、前記瘢痕を治療する波長および強度で蛍光を放射する、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記組成物が照射後に取り除かれる、項目30~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記シリコーンベースの生体光組成物が、照射後に所定の位置に放置される、項目30~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記発色団が、照射後に少なくとも部分的に光退色する、項目30~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記発色団が、照射後に光退色する、項目30~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記組成物が、前記発色団が少なくとも部分的に光退色するまで照射される、項目30~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記発色団が可視領域の光を吸収および/または放射することができる、項目30~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記発色団がキサンテン染料である、項目30~44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記キサンテン染料が、エオシンY、エオシンB、エリスロシンB、フルオレセイン、ローズベンガルおよびフロキシンBから選択される、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記光が約400 nm~約750 nmの間のピーク波長を持つ、項目30~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記光が約400 nm~約500 nmの間のピーク波長を持つ、項目30~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
シリコーン相および高分子電解質相を含む組成物であって、該高分子電解質相が界面活性剤に可溶化した少なくとも一つの発色団を含む、組成物。
【0034】
本発明のさらなる態様および利点は、以下の図に関連した説明を参照することでよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】0~5分間の照射の間に膜の形態におけるシリコーンベースの生体光組成物を含む本開示の一つの実施形態の発光スペクトルを示す。
【
図2】5~10分間の照射の間の、
図1の膜の発光スペクトルを示す。
【
図3】10~15分間の照射の間の、
図1の膜の発光スペクトルを示す。
【
図4】パネルAおよびB指示された時間を超えた
図1の膜の光退色を示す。
【
図5】本記載のシリコーンベースの生体光組成物による処置後の、皮膚線維症性マウス-ヒト皮膚移植モデルにおける瘢痕の真皮の厚みの減少を示すグラフを表す。
【
図6】本記載のシリコーンベースの生体光組成物による処置後の、皮膚線維症性マウス-ヒト皮膚移植モデルにおけるコラーゲン配向指数(collagen orientation index)(COI)で測定した時の改善したコラーゲンリモデリングを示すグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(1) 概要
本開示は、シリコーンベースの生体光組成物、およびその使用を提供する。これらの組成物を使用した生体光治療は、局所的シリコーン組成物の有益な効果を、当該組成物に照射したときに発色団(複数可)によって生成される蛍光によって誘発される光生体刺激(photobiostimulation)と組み合わせる。さらに、特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光膜を使用した光線療法は、例えば、コラーゲン合成を促進することにより皮膚を若返らせる、創傷治癒を促進する、瘢痕を予防または治療する、にきび、湿疹、乾癬などの皮膚疾患を治療する、および歯周炎を治療する。
【0037】
(2) 定義
本開示のさらなる詳細の記述を続ける前に、特定の組成物または過程段階はさまざまに異なりうるという理由から、本開示はこれらに限定されないことが理解されるべきである。本書および添付した請求項で使用する時、文脈により明らかにそうでないことが示されていない限り、単数形(「a」、「an」、および「the」)には、複数の対象物が含まれることに注意する必要がある。
【0038】
本書で使用される場合、与えられた値または範囲の文脈での「約」という用語は、与えられた値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内の値または範囲を指す。
【0039】
「および/または」は本書で使用される場合、もう一方のあるなしに関わらず、二つの特定された特徴または構成要素のそれぞれの特定開示として解釈されるべきことをここで指摘しておくことは便利である。例えば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本書に個別に提示されたかのように、(i)A、(ii)B、(iii)AおよびBのそれぞれの特定開示として解釈されるものとする。
【0040】
「生体光」とは、生体関連の文脈での、光子の生成、操作、検出および適用を意味する。すなわち、生体光組成物は、主に光子の生成および操作のために、その生理的効果を発揮する。
【0041】
「局所適用」または「局所使用」とは、例えば、皮膚、粘膜、膣、口腔、内部の手術創部など、体の表面に適用されることを意味する。
【0042】
「乳濁液」は一つの液体相を第二の液体相中に一時的または恒久的に分散することを指すものとして理解される。一般的に、相の一つは水溶液であり、他方の相は水不混和性液体である。水不混和性液体は一般的に連続相と呼ばれる。本開示では、連続相はシリコーンを含み、シリコーン相と呼ばれる。さらに本開示では、水相は界面活性剤を含み、界面活性剤相と呼ばれる。
【0043】
「発色団」、および「光活性剤」という用語は、本明細書では互換的に使用される。発色団とは、光照射に接触した時、光を吸収することができる化合物を意味する。発色団は容易に光励起を受け、そのエネルギーをその他の分子に移動するかまたは光(蛍光)として放射することができる。
【0044】
「光退色(photobleaching)」または「光退色(photobleach)」とは、発色団の光化学的破壊を意味する。発色団は完全にまたは部分的に光退色しうる。
【0045】
「作用光」という用語は、特定の光源(例えば、ランプ、LED、またはレーザー)から放射され、物質(例えば、発色団または光活性剤)によって吸収されることができる光エネルギーを意味することを意図する。「作用光」および「光」という用語は本明細書では互換的に使用される。好適実施形態では、作用光は可視光である。
【0046】
「皮膚の若返り」とは、皮膚の一つ以上の老化の兆候を、減少、縮小、遅延または逆転する、または皮膚の状態を一般的に改善する過程を意味する。例えば、皮膚の若返りとして、皮膚の明度の増加、毛穴サイズの減少、小皺またはしわの低減、薄く透けた皮膚の改善、堅さの改善、たるんだ肌の改善(骨量の減少によってできたものなど)、乾燥肌(痒いことがある)の改善、そばかすの低減または回復、しみ、クモ状静脈、粗くざらざらした肌、伸ばした時に消える小皺の低減または予防、たるんだ皮膚の低減、またはしみで覆われた肌の改善が挙げられる。本開示によると、本開示の組成物、方法および使用の特定の実施形態によって、上記の状態の一つ以上を改善でき、老化の兆候の一つ以上を、減少、縮小、遅延または逆転さえも行いうる。
【0047】
「創傷」とは、例えば、急性、亜急性、遅延または治癒困難創傷、および慢性創傷を含む、任意の組織の傷害を意味する。創傷の例には、開放創および閉鎖創の両方を含みうる。創傷には、例えば、切断、やけど、切開、切除、病変、裂傷、擦り傷、穿刺または穿通創傷、手術創、切断、挫傷、血腫、圧挫損傷、潰瘍(例えば、圧力、糖尿病性、静脈または動脈など)、瘢痕化、および歯周炎(歯周組織の炎症)によって生じる創傷が含まれる。
【0048】
本主題の特徴および利点は、添付の図で示される、選択された実施形態の以下の詳細な説明を踏まえてさらに明らかになる。明らかとなるように、開示および請求された主題は、すべて本請求の範囲を逸脱することなく、さまざまな点での変更が可能である。従って、図面および説明は、制限的ではなく例示的性質を持つとして見なされるべきであり、主題の全範囲は請求項に記述される。
【0049】
(3) シリコーンベースの生体光組成物
本開示は広い意味でシリコーンベースの生体光組成物およびシリコーンベースの生体光組成物を使用する方法を提供する。シリコーンベースの生体光組成物は、広い意味で、特定の波長の光(例えば、光子)で活性化されうる。本開示の様々な実施形態に記載のシリコーンベースの生体光組成物はシリコーン相および界面活性剤相を含み、少なくとも一つの発色団が界面活性剤相に可溶化している。いくつかの実施形態では、界面活性剤相はシリコーン相中に乳化されている。シリコーンベースの生体光組成物の発色団は光で活性化され得る。この活性化によって、光エネルギーの分散が加速し、それ自体治療効果を維持する光をもたらし、かつ/または当該組成物に含まれるその他の作用物質(agent)の光化学的活性化をもたらす(例えば、当該化合物が組成物に存在している、または組成物と接触しているときに、過酸化物(オキシダントまたは酸化剤)の崩壊プロセスが加速し、一重項酸素等の酸素ラジカルの形成をもたらす)。このことによって、発色団の崩壊がもたらされ得、いくつかの実施形態では、例えば、膜の形態のシリコーンベースの生体光組成物が単回使用のためであることを確実にする。
【0050】
発色団が特定波長の光子を吸収する時、それは励起される。これは不安定な状態であり、分子は基底状態に戻ろうとして過剰のエネルギーを放出する。一部の発色団については、基底状態に戻る時、過剰エネルギーを光として放射することが好ましい。この過程は、蛍光発光と呼ばれる。放射された蛍光のピーク波長は、変換過程のエネルギー損失のために、吸収波長と比べて長波長に向かって移行する。これはストークスシフトと呼ばれる。適切な環境では(例えば、生体光組成物中では)、このエネルギーの大部分は、生体光組成物のその他の構成要素または直接治療部位に移動される。
【0051】
理論に束縛されるものではないが、光活性化された発色団によって放射される蛍光は、生物細胞および組織によって認識され、好ましいバイオモジュレーションにつながりうる、そのフェムト秒、ピコ秒、またはナノ秒の放射特性のために治療特性を持ちうると考えられる。さらに、一般的に、放射された蛍光は、より長い波長を持つため、活性化光よりも深く組織中に浸透する。一部の実施形態では組成物を通過する活性化光を含む、このような広い範囲の波長で組織を照射することは、細胞および組織に対して多様でかつ補完的な効果を持ちうる。つまり、発色団は、組織への治療的効果のために本開示のシリコーンベースの生体光組成物に使用される。これは、これらの光活性剤の別個の用途で、単純な染料として、または光重合の触媒としての発色団の使用とは異なる。
【0052】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物はマスクまたは創傷包帯として局所使用することができる。いくつかの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は粘着性である。これらのシリコーンベースの生体光組成物の粘着性質は治療部位から容易に取り除くことができ、それゆえ、使用を便利で容易にする。追加的にまたは代替的に、本開示のシリコーンベースの生体光組成物はは機能的特性および構造的特性を持ち、これらの特性は組成物を定義および記述するためにも使用されうる。発色団、界面活性剤、シリコーンおよびその他の任意選択的成分を含む本開示のシリコーンベースの生体光組成物の個別構成要素が以下に詳述される。
【0053】
(a) 発色団
適切な発色団は、蛍光化合物(または染料)(「蛍光色素」または「発蛍光団」としても知られる)でありうる。その他の染料グループまたは染料(生物学的および組織学的染料、食品着色料、カロテノイドおよびその他の染料)も使用しうる。適した光活性剤は、一般に安全と認められる(GRAS)ものでありうる。有利なことに、皮膚またはその他の組織による忍容性が良好でない光活性剤を本開示の生体光組成物に含めることができ、特定の実施形態にあるように、光活性剤は、シリコーン連続相の乳濁液の界面活性剤相内に被包されている。
【0054】
特定の実施形態では、発色団は、光の適用に際して部分的または完全な光退色を受けるものである。一部の実施形態では、発色団は、約380~800 nm、380~700 nm、400~800 nmまたは380~600 nmの波長など、可視スペクトルの範囲の波長で吸収する。その他の実施形態では、発色団は、約200~800 nm、200~700 nm、200~600 nmまたは200~500 nmの波長で吸収する。一つの実施形態では、発色団は、約200~600 nmの波長で吸収する。一部の実施形態では、発色団は、約200~300 nm、250~350 nm、300~400 nm、350~450 nm、400~500 nm、450~650 nm、600~700 nm、650~750 nmまたは700~800 nmの波長の光を吸収する。
【0055】
当業者には当然のことながら、特定の発色団の光特性は、発色団の周囲の媒体に応じて変化しうる。従って、本書で使用される場合、特定の発色団の吸収および/または放射波長(またはスペクトル)は、本開示の生体光組成物で測定される波長(またはスペクトル)に対応する。
【0056】
本明細書に開示されたシリコーンベースの生体光組成物は、少なくとも一つの追加的発色団または第二の発色団を含みうる。発色団を組み合わせることは、組み合わされた染料分子による光吸収を増加し、吸収およびフォトバイオモジュレーションの選択性を高めうる。これは、新しい感光性および/または選択的発色団混合物の生成の複数の可能性を作り出す。そのため、特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は一つを上回る発色団を含み、光で照射すると、発色団の間でエネルギー移動を生じることができる。共鳴エネルギー移動として知られるこの過程は、励起された「供与体」発色団(本明細書では第一の発色団とも呼ばれる)がその励起エネルギーを「受容体」発色団(本明細書では第二の発色団とも呼ばれる)に移動させる、よく見られる光物理的過程である。共鳴エネルギー移動の効率および有向性は、供与体および受容体発色団のスペクトル特性に依存する。特に、発色団間のエネルギーの流れは、吸収および放射スペクトルの相対的位置付けおよび形状を反映する、スペクトルの重複に依存する。より具体的には、エネルギー移動が起こるためには、供与体発色団の放射スペクトルが、受容体発色団の吸収スペクトルと重複しなければならない。
【0057】
エネルギー移動は、それ自体、供与体放射の減少またはクエンチングおよび励起状態の存続時間の減少を通して現れ、受容体放射強度の増加も伴う。エネルギー移動効率を高めるために、供与体発色団は光子を吸収し、光子を放射する優れた能力を有するはずである。さらに、供与体発色団の放射スペクトルと受容体発色団の吸収スペクトルとの間の重複が多いほど、供与体発色団はより良く受容体発色団にエネルギーを移動することができる。
【0058】
したがって、発色団の混合物を含む実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも約80%、50%、40%、30%、20%、または10%重複する放射スペクトルを持つ。一つの実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも約20%重複する放射スペクトルを持つ。一部の実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも1~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35~45%、50~60%、55~65%、60~70%または70~80%重複する放射スペクトルを持つ。
【0059】
本明細書で使用される場合、スペクトルの重複%は、スペクトル四半値全幅(FWQM)で測定された、供与体発色団の放射波長範囲と受容体発色団の吸収波長範囲との重複%を意味する。一部の実施形態では、第二の発色団は可視スペクトルの範囲の波長で吸収する。特定の実施形態では、第二の発色団は、約50~250、25~150または10~100 nmの範囲内の、第一の発色団の吸収波長よりも比較的長い吸収波長を持つ。
【0060】
発色団は、組成物または界面活性剤相の重量あたり約0.001~40%の量で存在し得る。特定の実施形態では、少なくとも一つの発色団はシリコーンベースの生体光組成物または界面活性剤相の重量あたり約0.001~3%、0.001~0.01%、0.005~0.1%、0.1~0.5%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。
【0061】
存在する場合、第二の発色団はシリコーンベースの生体光組成物または界面活性剤相の重量あたり約0.001~40%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、第二の発色団は、シリコーンベースの生体光組成物または界面活性剤相の重量あたり約0.001~3%、0.001~0.01%、0.005~0.1%、0.1~0.5%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団または発色団の組み合わせの重量あたりの合計重量は、シリコーンベースの生体光組成物または界面活性剤相の重量あたり約0.005%~1%、0.05~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40.001%の量でありうる。
【0062】
使用される発色団の濃度は、シリコーンベースの生体光組成物からの生体光活性の望ましい強度および持続時間に基づいて、また望ましい医学的または美容的効果に基づいて選択されうる。例えば、キサンテン染料などの一部の染料は、それより後は濃度をさらに増加しても実質的により高い放射蛍光を提供しない「飽和濃度」に達する。飽和濃度を超えて発色団の濃度をさらに増加させると、マトリックスを通過する活性化光の量を減少させうる。そのため、特定の用途に対して活性化光よりも多くの蛍光が必要な場合、高い濃度の発色団を使用しうる。しかし、放射される蛍光と活性化光のと間にバランスが必要な場合、飽和濃度に近いまたはそれより低い濃度を選択しうる。
【0063】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物に使用されうる適した発色団としては、以下が挙げられるがこれに限定されない。
【0064】
クロロフィル染料
例示的なクロロフィル染料としては、クロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィリン、細菌クロロフィルa、細菌クロロフィルb、細菌クロロフィルc、細菌クロロフィルd、プロトクロロフィル、プロトクロロフィルa、両親媒性クロロフィル誘導体1および両親媒性クロロフィル誘導体2が挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
キサンテン誘導体
例示的なキサンテン染料としては、エオシンB、エオシンB(4',5'-ジブロモ,2',7'-ジニトロ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシンY、エオシンY(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)メチルエステル、エオシン(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン,モノアニオン)p-イソプロピルベンジルエステル、エオシン誘導体(2',7'-ジブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(4',5'-ジブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(2',7'-ジクロロ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(4',5'-ジクロロ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(2',7'-ジヨード-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(4',5'-ジヨード-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(トリブロモ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン誘導体(2',4',5',7'-テトラクロロ-フルオレセイン,ジアニオン)、エオシン、エオシンセチルピリジニウム塩素イオン対、エリスロシンB(2',4',5',7'-テトラヨード-フルオレセイン,ジアニオン)、エリスロシン、エリスロシンジアニオン、エリチオシンB、フルオレセイン、フルオレセインジアニオン、フロキシンB(2',4',5',7'-テトラブロモ-3,4,5,6-テトラクロロ-フルオレセイン,ジアニオン)、フロキシンB(テトラクロロ-テトラブロモ-フルオレセイン)、フロキシンB、ローズベンガル(3,4,5,6-テトラクロロ-2',4',5',7'-テトラヨードフルオレセイン,ジアニオン)、ピロニンG、ピロニンJ、ピロニンY、ローダミンなどのローダミン染料(4,5-ジブロモ-ローダミンメチルエステル、4,5-ジブロモ-ローダミンn-ブチルエステル、ローダミン101メチルエステル、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミン6Gヘキシルエステル、テトラブロモ-ローダミン123、およびテトラメチル-ローダミンエチルエステルを含む)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0066】
メチレンブルー染料
例示的なメチレンブルー誘導体には、1-メチルメチレンブルー、1,9-ジメチルメチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット、ブロモメチレンバイオレット、4-ヨードメチレンバイオレット、1,9-ジメチル-3-ジメチル-アミノ-7-ジエチル-アミノ-フェノチアジン、および1,9-ジメチル-3-ジエチルアミノ-7-ジブチル-アミノ-フェノチアジンが含まれるがこれに限定されない。
【0067】
アゾ染料
例示的なアゾ(またはジアゾ)染料としては、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド(ピグメントレッド1)、アマランス(アゾルビンS)、カルモイシン(アゾルビン、フードレッド3、アシッドレッド14)、アルーラレッドAC(FD&C40)、タートラジン(FD&Cイエロー5)、オレンジG(アシッドオレンジ10)、ポンソー4R(フードレッド7)、メチルレッド(アシッドレッド2)、およびムレキシド-プルプル酸アンモニウムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0068】
本開示の一部の態様では、本明細書に開示のシリコーンベースの生体光組成物の一つ以上の発色団は、アシッドブラック1、アシッドブルー22、アシッドブルー93、アシッドフクシン、アシッドグリーン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン5、アシッドマゼンタ、アシッドオレンジ10、アシッドレッド26、アシッドレッド29、アシッドレッド44、アシッドレッド51、アシッドレッド66、アシッドレッド87、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド101、アシッドレッド103、アシッドローセイン(Acid roseine)、アシッドルビン、アシッドバイオレット19、アシッドイエロー1、アシッドイエロー9、アシッドイエロー23、アシッドイエロー24、アシッドイエロー36、アシッドイエロー73、アシッドイエローS、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコール可溶性エオシン、アリザリン、アリザリンブルー2RC、アリザリンカルミン、アリザリンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンパープリン、アルミノン、アミドブラック10B、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アントラセンブルーSWR、オーラミンO、アゾカルミンB(Azocannine B)、アゾカルミンG、アゾイックジアゾ5、アゾイックジアゾ48、アズールA、アズールB、アズールC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、ベーシックフクシン、ベーシックグリーン4、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、ビエブリッヒスカーレット、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カルミン、カルミン酸、セレスチンブルーB、チャイナブルー、コチニール、コエレスチンブルー、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコリント、コンゴレッド、コットンブルー、コットンレッド、クロセインスカーレット、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルバイオレット、ダリア、ダイアモンドグリーンB、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトイエロー7、エオシンB、エオシンブルーイッシュ、エオシン、エオシンY、エオシンイエローイッシュ、エオシノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンB、エチルエオシン、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンスブルー、ファーストブルーB、ファーストグリーンFCF、ファーストレッドB、ファーストイエロー、フルオレセイン、フードグリーン3、ガレイン、ガラミンブルー、ガロシアニン、 ゲンチアナバイオレット、ヘマテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ヘリオファーストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ヘマテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ホフマンバイオレット、インペリアルレッド、インドシアニングリーン、イングレインブルー、イングレインブルー1、イングレインイエロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルンエヒトロート、Lac、ラッカイン酸、ラウトバイオレット、ライトグリーン、リサミングリーンSF、ルクソールファーストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスターブラウン、マルチウスイエロー、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズールA、メチレンアズールB、メチレンアズールC、メチレンブルー、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット10B、モルダントブルー3、モルダントブルー10、モルダントブルー14、モルダントブルー23、モルダントブルー32、モルダントブルー45、モルダントレッド3、モルダントレッド11、モルダントバイオレット25、モルダントバイオレット39、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラルグリーン3(クロロフィリン)、ナチュラルレッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッド16、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ニトロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ニュークリアファーストレッド、オレンジG、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、ピクリン酸、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソー・デ・キシリジン、ポンソーS、プリムラ、プルプリン、ピロニンB、フィコビリン、フィコシアニン、フィコエリスリン、フィコエリスリンシアニン(PEC)、フタロシアニン、ピロニンG、ピロニンY、キニン、ローダミンB、ロザニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニンO、スカーレットR、スカーレットレッド、シャルラッハR、シェラック、シリウスレッドF3B、ソロクロムシアニンR、ソルブルブルー、スピリットソルブルエオシン、サルファーイエローS、スイスブルー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイジンレッド、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアグリーンB、ビタミンB、ウォーターブルーI、ウォーターソルブルエオシン、キシリジンポンソー、またはイエローイッシュエオシンのいずれかから独立して選択されうる。
【0069】
特定の実施形態では、適用部位で生体光の相乗作用を提供するために、本開示のシリコーンベースの生体光組成物には、上記の発色団のいずれか、またはその組み合わせが含まれる。
【0070】
いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、発色団の組み合わせの相乗効果とは、生体光効果がその個別の効果の合計よりも大きいことを意味する。有利なことに、これは、生体光組成物の反応性の増加、より速いまたは改善された治療時間につながりうる。また、光への暴露時間、使用される光源の出力、および使用される光の波長など、治療条件を、同じまたはより良い治療結果を達成するために変更する必要はない。つまり、発色団の相乗的組み合わせの使用は、光源へのより長い暴露時間、より高い出力の光源、または異なる波長の光源を必要とすることなく、同じまたはより良い治療を可能にしうる。
【0071】
一部の実施形態では、組成物は、第一の発色団としてエオシンY、および第二の発色団として、ローズベンガル、フルオレセイン、エリスロシン、フロキシンB、クロロフィルのいずれか一つ以上を含む。これらの組み合わせは、一部にはこれらの吸収スペクトルと放射スペクトルとの重複または近接のために、活性化された時、互いにエネルギーを移動させることができるので、相乗効果を持つと考えられる。この移動されたエネルギーは、次に蛍光として放射される、かつ/または活性酸素種の生成につながる。この吸収されて再放射された光は、組成物全体に伝達され、治療部位中へも伝達されると考えられる。
【0072】
さらなる実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は例えば以下の相乗的な組み合わせを含むことができる。エオシンYとフルオレセイン、フルオレセインとローズベンガル、エリスロシンとエオシンY、ローズベンガルまたはフルオレセインとの組み合わせ、フロキシンBとエオシンY、ローズベンガル、フルオレセイン、エリスロシンの一つ以上との組み合わせ。
【0073】
シリコーンベースの生体光組成物中の発色団の組み合わせの相乗効果によって、活性化光(LEDからの青い光など)によって通常は活性化され得ない発色団が、活性化光によって活性化される発色団からのエネルギー移動を通して活性化されうる。このようにして、光活性化された発色団の異なる特性を利用し、必要な美容療法または医学的療法に従って調整できる。
【0074】
例えば、ローズベンガルは、分子酸素の存在下で活性化された時、高収率の一重項酸素を生成できるが、放射された蛍光に関しては低い量子収率を持つ。ローズベンガルは、540 nmのあたりにピーク吸収を持つので、緑色の光によって活性化されうる。エオシンYは高い量子収率を持ち、青い光によって活性化されうる。ローズベンガルとエオシンYを組み合わせることによって、治療的蛍光を放射し、青い光で活性化された時に一重項酸素を生成できる組成物が得られる。この場合、青色光はエオシンYを光活性化し、エオシンYはそのエネルギーの一部をローズベンガルに移動するだけでなく、一部のエネルギーを蛍光として放射する。
【0075】
一部の実施形態では、1または複数の発色団は、光活性化時のその放射蛍光が電磁スペクトルの緑、黄、オレンジ、赤および赤外部分の一つ以上の中にあり、例えば約490 nm~約800 nmの範囲内のピーク波長を持つように選択される。特定の実施形態では、放射蛍光は、0.005~約10 mW/cm2、約0.5~約5 mW/cm2の間の出力密度を持つ。
【0076】
(b) 界面活性剤相
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は界面活性剤相を含む。界面活性剤は合計組成物の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、または30%の量で存在し得る。特定の実施形態では、界面活性剤相はブロックコポリマーを含む。本明細書で使用されるとき「ブロックコポリマー」という用語は異なるホモポリマーの2つ以上のブロック(またはセグメント)から成るコポリマーを指す。ホモポリマーという用語は単一のモノマーから成るポリマーを指す。ブロックコポリマーの多くの変形例が可能であり、A-B構造を有する単一のジブロックポリマー、およびA-B-A, B-A-BまたはA-B-C構造を有するトリブロックコポリマーを含み、かつより複雑なブロックコポリマーが知られている。さらに、本明細書で他に示されないかぎり、モノマーの繰り返し数および種類またはブロックコポリマーを構成する繰り返し単位は特に制限されていない。例えば、モノマーの繰り返し単位を「a」および「b」として示す場合、本明細書では、このコポリマーは(a)m(b)nの平均的な組成を有するランダムコポリマーだけでなく、組成 (a)m(b)nのジブロックコポリマー、および組成 (a)l(b)m(a)nのトリブロックコポリマー等を含むことを意味する。上の式では、l、mおよびnは繰り返し単位の数を表し、正数である。
【0077】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、ブロックコポリマーは生体適合性である。ポリマーおよびその分解産物が、非発がん性および非免疫原性を含む細胞または有機体に対して、実質的に非毒性であり、実質的な毒性作用がなく有機体(患者)等の生物学的システムで除去されているか別の方法で分解されている点で、ポリマーは「生体適合性」である。
【0078】
特定の実施形態では、界面活性剤相のブロックコポリマーはポロクサマーと呼ばれるトリブロックコポリマーの群に由来する。ポロクサマーはA-B-Aブロックコポリマーであり、ここでAセグメントは親水性ポリエチレングリコール(PEG)ホモポリマーであり、Bセグメントは疎水性ポリプロピレングリコール(PPG)ホモポリマーである。PEGは、その分子量に依存して、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても知られている。さらにPPGは、その分子量に依存して、ポリプロピレンオキシド(PPO)としても知られている。ポロクサマーはBASF Corporationから市販されている。ポロクサマーは、粘度が再び低下する点まで温度を上昇させるにつれて粘度が増加する特性を有する、逆熱性ゼラチン組成物を生成する。ブロックの相対的なサイズに依存して、コポリマーは固体、液体またはペーストであることができる。本開示の特定の実施形態では、ポロクサマーはプルロニック(登録商標) F127 (ポロクサマー407としても知られる)である。シリコーンベースの生体光組成物のいくつかの実施形態では、合計組成物の1~40重量%の量のプルロニック(登録商標) F127を含んでいてもよい。シリコーンベースの生体光組成物のいくつかの実施形態では、1~5重量%、2.5~7.5重量%、5~10重量%、7.5~12.5重量%、10~15重量%、12.5~17.5重量%、15~20重量%、20~25重量%、25~30重量%、30~35重量%、35~40重量%のプルロニックを含んでいてもよい。特定の実施形態では、プルロニック(登録商標) F127はシリコーンベースの生体光組成物の2~8重量%の量で存在する。
【0079】
本開示の特定の実施形態では、界面活性剤相は少なくともA-B単位を含むブロックコポリマーを含み、ここでAはPEGであり、Bはポリ乳酸(PLA)またはポリグリコール酸(PGA)またはポリ(乳酸-co-グリコール酸) (PLGA)またはポリカプロラクトン(PCL)またはポリジオキサノン(PDO)である。
【0080】
PEGブロックはポリマーに対して親水性を与えるため、PEGブロックの長さまたはポリマー中のPEGの合計量の増加によって、ポリマーをもっと親水性にする傾向がある。ポリマーのその他の構成要素の量および割合に依存して、望ましい全体的な親水性および任意の発色団の性質および化学官能基がポリマーの形成に含まれ得、当業者は、望ましい物理的および化学的特徴を有するポリマーを得るために、使用されるPEGブロックの長さ(またはMW)および/またはポリマーに組み込まれるPEGの合計量を容易に調節することができる。
【0081】
ポリマー中のPEGの合計量は約80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、約60重量%以下、約55重量%以下、または約50重量%以下であってもよい。特定の実施形態では、PEGの合計量は約55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、または約70重量%である。特定しない限り、ポリマーの特定の構成要素の重量%は、ポリマーの合計重量がその構成要素のモノマーの特定の割合から構成されることを意味する。例えば、65重量%のPEGは、ポリマーの重量の65%がPEGモノマーから構成されることを意味し、そのモノマーは様々な長さのブロックへと結合し、そのブロックは、ランダム分布を含めポリマーの長さに沿って分布される。
【0082】
ブロックコポリマー中に存在するPPGまたはPLAまたはPLGAまたはPCLまたはPDOの合計量は約50重量%以下、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、または約20重量%以下であってもよい。
【0083】
界面活性剤相はまた、ゼラチンおよび/またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)およびカルボキシメチルセルロース(CMD)等の改変セルロース、および/またはキサンタンガム、グアーガム、および/またはスターチなどの多糖類、および/または任意のその他の増粘剤等の増粘剤または安定剤を含んでいてもよい。本開示の特定の実施形態では、安定剤または増粘剤はゼラチンを含みうる。例えば、界面活性剤相は約0~5重量%、約5~25重量%、約0~15重量%、または約10~20重量%のゼラチンを含んでいてもよい。
【0084】
界面活性剤および/または安定剤は生体光膜の光透過性に及ぼす効果に従って、選択してもよい。シリコーンベースの生体光組成物は、少なくとも一つの発色団を活性化するのに十分な光を伝達できるべきで、活性化された発色団によって蛍光が放射される実施形態では、界面活性剤相はさらに、放射された蛍光を組織に伝達できるべきである。
【0085】
(c) シリコーン相
本開示の シリコーンベースの生体光組成物はシリコーンの連続相を含む。シリコーンはSi原子に直接結合する2つの有機基を有する(-Si-O-)繰り返し単位から成る鎖を含む合成ポリマーである。特定の実施形態では、シリコーンはポリジメチルシロキサン(PDMS)流体(Me2SiO)nまたはPDMSベースのゲルまたはPDMSベースのエラストマーである。
【0086】
PDMSポリマーの非限定的な例はは、Sylgard および特にSylgard 182、Sylgard 184、Sylgard 186、およびSylgard 527という商標で販売されているものを含む。
【0087】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物のシリコーン相は、Sylgard(登録商標) 184シリコーンエラストマーキット等の市販のキットを使用して調製することができる。キットは2部の液体構成要素から成り、ベース(パートA)および硬化剤または触媒(パートB)であり、両方ともポリジメチルシロキサンに基づいている。10(A)/1(B)の比で混合すると、混合物は柔軟な透明のエラストマーに硬化する。
【0088】
Sylgard 184は、ポリジメチルシロキサンおよび有機的に改変されたシリカを含むシリコーンエラストマーである。Sylgard 184は、ベース(パートA)を硬化剤(パートB)と組み合わせることによって調製される。ベースは、>約60重量%のジメチルビニル末端ジメチルシロキサン、約30~60重量%のジメチルビニル化シリカおよびトリメチル化シリカ、ならびに約1~5重量%のテトラ(トリメチルシロキシ)シランを含む。硬化剤は、約40~70重量%のジメチル、メチル水素シロキサン、約15~40重量%のジメチルビニル末端ジメチルシロキサン、約10~30重量%のジメチルビニル化シリカおよびトリメチル化シリカ、ならびに約1~5重量%のテトラメチル テトラビニル シクロテトラシロキサンを含む。
【0089】
別の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物のシリコーン相はSylgard(登録商標) 527シリコーンゲルキットを使用して調製することができ、2部のAとBとを1(A)/1(B)の比で混合すると、柔らかく粘着性のあるゲルを調製することができる。SylgardのパートAおよびパートBは、約85~100重量%のジメチルビニル末端ジメチルシロキサンおよび約1~5重量%のジメチル、メチル水素シロキサンを含む。
【0090】
他の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は整調可能な柔軟性をもたらすように調製してもよく、例えば、整調できる柔軟性を有するシリコーンベースの生体光膜が望ましい。本開示の整調可能なシリコーンベースの生体光膜を生成する一つの方法はSylgard(登録商標) 184およびSylgard(登録商標) 527等の市販されているPDMSの異なる比を組み合わせることによる。いくつかの実施形態では、シリコーン相はシリコーン相の5~100重量%の量のSylgard(登録商標)184を含む。本開示の特定の実施形態では、Sylgard(登録商標)184はシリコーン相の約5~10重量%、10~15重量%、15~20重量%、20~25重量%、25~30重量%、30~35重量%、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%、70~75重量%、75~80重量%、80~85重量%、85~90重量%、90~95重量%または95~100重量%の量で存在する。本開示の特定の実施形態では、シリコーン相はSylgard(登録商標) 527を含む。本開示の特定の任意の実施形態では、Sylgard (登録商標) 527はシリコーン相の約5~10重量%、10~15重量%、15~20重量%、20~25重量%、25~30重量%、30~35重量%、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%、70~75重量%、75~80重量%、80~85重量%、85~90重量%、90~95重量%または95~100重量%の量で存在する。
【0091】
一つの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物のシリコーン相は15%のSylgard 184および85%のSylgard 527を使用した混合物である。
【0092】
(d)酸化剤および抗菌剤
特定の実施形態によると、本開示のシリコーンベースの生体光組成物またはこれらのシリコーンベースの生体光組成物の界面活性剤相は、酸素を豊富に含む化合物などの一つ以上の追加的構成要素を、酸素ラジカル源として任意選択的に含みうる。酸素を豊富に含む化合物として、限定されないが、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、および過酸化尿素等の過酸化物が挙げられる。過酸化物化合物は、2つの酸素原子を含み、そのそれぞれが他方およびラジカルまたは一部の元素に結合されている鎖状の構造である、過酸化基(R-O-O-R)を含むオキシダントである。本開示のシリコーンベースの生体光組成物に光が照射されると、発色団がより高いエネルギー状態に励起される。発色団の電子がより低いエネルギー状態に戻る時、より低いエネルギーレベルの光子を放射し、そのためより長い波長の光の放射を生じる(ストークスシフト)。このエネルギーの一部は酸化剤に移動し得、一重項酸素等の酸素ラジカルを形成し得る。これらの酸素ラジカルは発色団の分解の一因となり得る。
【0093】
過酸化水素(H2O2)は強力な酸化剤で、水と酸素に分解して、いかなる持続的な有毒残渣化合物も形成しない。過酸化水素がシリコーンベースの生体光組成物で使用されうる濃度の適切範囲は、約0.1%~約3%、約0.1~1.5%、約0.1%~約1%、約1%、約1%未満である。
【0094】
尿素過酸化水素(過酸化尿素、過酸化カルバミドまたはペルカルバミドとしても知られる)は、水溶性であり、約35%の過酸化水素を含む。過酸化尿素が本開示のシリコーンベースの生体光組成物で使用されうる濃度の適切範囲は、約0.25%未満、または約0.3%未満、0.001~0.25%、または約0.3%~約5%である。過酸化尿素は、熱または光化学で反応し加速されうる緩徐放出形式で、尿素と過酸化水素とに分解する。
【0095】
過酸化ベンゾイルは、過酸化基で結合された2つのベンゾイル基(カルボン酸のHを除去した安息香酸)から成る。過酸化ベンゾイルがシリコーンベースの生体光組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約2.5%~約5%である。
【0096】
抗菌剤は、微生物を死滅させるか、その成長または蓄積を阻害し、本開示のシリコーンベースの生体光組成物とともに任意選択的に含まれ得る。本開示の方法および組成物での使用に適切な抗菌剤には、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化ベンゾイル、フェノールならびに塩素化フェノールおよび塩素化フェノール化合物、レゾルシノールおよびその誘導体、ビスフェノール化合物、安息香酸エステル(パラベン)、ハロゲン化カルボニリド(halogenated carbonilide)、高分子抗菌剤、チアゾリン、トリクロロメチルチオイミド、天然抗菌剤(「天然精油」とも呼ばれる)、金属塩、ならびに広域スペクトル抗生物質が含まれるがこれに限定されない。
【0097】
本開示で使用しうる特定のフェノールおよび塩素化フェノール抗菌剤には、フェノール、2-メチルフェノール、3-メチルフェノール、4-メチルフェノール、4-エチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、4-n-プロピルフェノール、4-n-ブチルフェノール、4-n-アミルフェノール、4-tert-アミルフェノール、4-n-ヘキシルフェノール、4-n-ヘプチルフェノール、モノ-およびポリ-アルキルおよび芳香族ハロフェノール、p-クロロフェニル、メチルp-クロロフェノール、エチルp-クロロフェノール、n-プロピルp-クロロフェノール、n-ブチルp-クロロフェノール、n-アミルp-クロロフェノール、sec-アミルp-クロロフェノール、n-ヘキシルp-クロロフェノール、シクロヘキシルp-クロロフェノール、n-ヘプチルp-クロロフェノール、n-オクチル、p-クロロフェノール、o-クロロフェノール、メチルo-クロロフェノール、エチルo-クロロフェノール、n-プロピルo-クロロフェノール、n-ブチルo-クロロフェノール、n-アミルo-クロロフェノール、tert-アミルo-クロロフェノール、n-ヘキシルo-クロロフェノール、n-ヘプチルo-クロロフェノール、o-ベンジルp-クロロフェノール、o-ベンジル-m-メチルp-クロロフェノール、o-ベンジル-m,m-ジメチルp-クロロフェノール、o-フェニルエチルp-クロロフェノール、o-フェニルエチル-m-メチルp-クロロフェノール、3-メチルp-クロロフェノール、3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-エチル-3-メチルp-クロロフェノール、6-n-プロピル-3-メチルp-クロロフェノール、6-イソ-プロピル-3-メチルp-クロロフェノール、 2-エチル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-sec-ブチル-3-メチルp-クロロフェノール、2-イソ-プロピル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-ジエチルメチル-3-メチルp-クロロフェノール、6-イソ-プロピル-2-エチル-3-メチルp-クロロフェノール、2-sec-アミル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、2-ジエチルメチル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-sec-オクチル-3-メチルp-クロロフェノール、p-クロロ-m-クレゾールp-ブロモフェノール、メチルp-ブロモフェノール、エチルp-ブロモフェノール、n-プロピルp-ブロモフェノール、n-ブチルp-ブロモフェノール、n-アミルp-ブロモフェノール、sec-アミルp-ブロモフェノール、n-ヘキシルp-ブロモフェノール、シクロヘキシルp-ブロモフェノール、o-ブロモフェノール、tert-アミルo-ブロモフェノール、n-ヘキシルo-ブロモフェノール、n-プロピル-m,m-ジメチルo-ブロモフェノール、2-フェニルフェノール、4-クロロ-2-メチルフェノール、4-クロロ-3-メチルフェノール、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,4-ジクロロ-3,5-ジメチルフェノール、3,4,5,6-テトラブロモ(tetabromo)-2-メチルフェノール、5-メチル-2-ペンチルフェノール、4-イソプロピル-3-メチルフェノール、パラ-クロロ-メタキシレノール(PCMX)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、および5-クロロ-2-ヒドロキシジフェニルメタンが含まれるがこれに限定されない。
【0098】
レゾルシノールおよびその誘導体も、抗菌剤として使用できる。特定のレゾルシノール誘導体には、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、n-プロピルレゾルシノール、n-ブチルレゾルシノール、n-アミルレゾルシノール、n-ヘキシルレゾルシノール、n-ヘプチルレゾルシノール、n-オクチルレゾルシノール、n-ノニルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、フェニルプロピルレゾルシノール、p-クロロベンジルレゾルシノール、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタン、4'-クロロ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタン、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタン、および4'-ブロモ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタンを含むがこれに限定されない。
【0099】
本開示に使用しうる特定のビスフェノール抗菌剤には以下が含まれるがこれに限定されない:2,2'-メチレン ビス-(4-クロロフェノール)、2,4,4'トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(Ciba Geigy(ニュージャージー州、フローハムパーク)からTriclosan(登録商標)という商標で販売されている)、2,2'-メチレン ビス-(3,4,6-トリクロロフェノール)、2,2'-メチレン ビス-(4-クロロ-6-ブロモフェノール)、ビス-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルフィド、およびビス-(2-ヒドロキシ-5-クロロベンジル)スルフィド。
【0100】
本開示で使用しうる特定の安息香酸(benzoie)エステル(パラベン)には、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、メチルパラベンナトリウム、およびプロピルパラベンナトリウムが含まれるがこれに限定されない。
【0101】
本開示に使用しうる特定のハロゲン化カルバニリドとして Ciba-Geigy(ニュージャージー州フローラムパーク)からTriclocarban(登録商標)という商標で販売されている3-(4-クロロフェニル)-1-(3,4-ジクロロフェニル)尿素等の3,4,4'-トリクロロカルバニリド、3-トリフルオロメチル-4,4'-ジクロロカルバニリド、および3,3',4-トリクロロカルバニリドが含まれるがこれに限定されない。
【0102】
本開示で使用しうる特定の高分子抗菌剤には、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、およびポリ(イミノイミドカルボニル イミノイミドカルボニル イミノヘキサメチレン塩酸塩)(Vantocil(登録商標) IBという商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0103】
本開示で使用しうる特定のチアゾリンには、Micro-Check(登録商標)という商標で販売されているもの、および2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Vinyzene(登録商標) IT-3000 DIDPという商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0104】
本開示で使用しうる特定のトリクロロメチルチオイミドとして、N-(トリクロロメチルチオ)フタルイミド(Fungitrol(登録商標)という商標で販売されている)、およびN-トリクロロメチルチオ-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド(Vancide(登録商標)という商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0105】
本開示で使用しうる特定の天然抗菌剤には、アニス、レモン、オレンジ、ローズマリー、ウィンターグリーン、タイム、ラベンダー、クローブ、ホップ、ティーツリー、シトロネラ、小麦、大麦、レモングラス、ニオイヒバ、シダーウッド、シナモン、フリーグラス(fleagrass)、ゼラニウム、ビャクダン、スミレ、クランベリー、ユーカリ、クマツヅラ、ペパーミント、安息香、バジル、フェンネル、モミ、バルサム、メントール、オクメア・オリガナム(ocmea origanuin)、ヒダスティス(hydastis)、カラデンシス(carradensis)、ベルベリダシアエ・ダセアエ(Berberidaceac daceae)、ラタフィアエ・ロンガ(Ratanhiae longa)、およびウコンの油を含むがこれに限定されない。また、このクラスの天然抗菌剤には、抗菌性の利益を提供することがわかっている植物油の重要な化学成分も含まれる。これらの化学物質には、アネトール、カテコール、カンフェン、チモール、オイゲノール、ユーカリプトール、フェルラ酸、ファルネソール、ヒノキチオール、トロポロン、リモネン、メントール、サチチル酸メチル、カルバコール、テルピネオール、ベルベノン、ベルベリン、ラタニア抽出物、カリオフェレン・オキシド、シトロネル酸、クルクミン、ネロリドール、およびゲラニオールが含まれるがこれに限定されない。
【0106】
本開示で使用しうる特定の金属塩には、周期表の3a~5a、3b~7bおよび8のグループの金属塩が含まれるがこれに限定されない。金属塩の特定の例には、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、銀、金、銅、ランタン、スズ、水銀、ビスマス、セレニウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、タリウム、イッテルビウム、ルテチウムの塩、およびその混合物が含まれるがこれに限定されない。金属イオンベースの抗菌剤の例は、HealthShield(登録商標)という商標で販売されている、HealthShield Technology社(マサチューセッツ州ウェイクフィールド)製のものである。
【0107】
本開示で使用されうる特定の広域スペクトル抗菌剤には、本明細書の抗菌剤のその他のカテゴリーで記載されたものを含むがこれに限定されない。
【0108】
本開示の方法で使用しうる追加的抗菌剤には、ピリチオン(特にピリチオン含有亜鉛複合体で、Octopirox(登録商標)という商標で販売されているものなど)、ジメチルジメチルオール ヒダントイン(dimethyidimethylol hydantoin)(Glydant(登録商標)という商標で販売)、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(Kathon CG(登録商標)という商標で販売)、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素(Germall 115(登録商標)という商標で販売)、ジアゾリジニル尿素(Germall 11(登録商標)という商標で販売)、ベンジルアルコールv2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(Bronopol(登録商標)という商標で販売)、ホルマリンまたはホルムアルデヒド、ヨードプロペニル ブチルカルバメート(Polyphase P100(登録商標)という商標で販売)、クロロアセトアミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリル グルタロニトリル(1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン)(Tektamer(登録商標)という商標で販売)、グルタルアルデヒド、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox(登録商標)という商標で販売)、フェネチルアルコール、o-フェニルフェノール/o-フェニルフェノールナトリウムヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム(Suttocide A(登録商標)という商標で販売)、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(Nuosept C(登録商標)という商標で販売)、ジメトキサン、チメロサール(thimersal)、ジクロロベンジルアルコール、カプタン、クロルフェネネシン、ジクロロフェン、クロロブタノール、ラウリン酸グリセリル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(Ciba-Geigy(ニュージャージー州フローラムパーク)からTriclosan(登録商標)という商標で販売)、および2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジブロモ-ジフェニルエーテルが含まれるがこれに限定されない。
【0109】
(4) シリコーンベースの生体光組成物の光学的特性
特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、実質的に透明または透光性である。シリコーンベースの生体光組成物の透過率%は、例えば、Perkin-Elmer Lambda 9500シリーズUV-可視分光光度計を使用して、250 nm~800 nmの波長範囲で測定できる。一部の実施形態では、可視領域内の透過率が測定されて平均化される。一部のその他の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物の透過率は発色団を除外して測定される。透過率は厚さに依存するため、各サンプルの厚さを分光光度計に装填する前にキャリパーで測定できる。透過率値は、以下によって正規化できる。
【数1】
ここで、t
1=実際の検体の厚さ、t
2=透過率測定値を正規化しうる厚さ。当技術分野では、透過率測定値は通常、1 cmに正規化される。
【0110】
一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、可視領域内で、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、または75%を超える透過率を持つ。一部の実施形態では、透過率は可視領域内で、40%、41%、42%、43%、44%、または45%を超える。いくつかの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は約40~100%、45~100%、50~100%、55~100%、60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、または95~100%の光線透過率を有する。
【0111】
(5) シリコーンベースの生体光組成物の形態
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は少なくとも一つの発色団を含むシリコーンベースの生体膜の形態であってもよい。
【0112】
本開示のシリコーンベースの生体光膜は変形可能であってもよい。それらは弾性または非弾性(すなわち、可撓性または剛性)でありうる。例えば、シリコーンベースの生体光膜は、使用の容易さとスピードを提供するために、剥離形態(「剥離可能」)でありうる。特定の実施形態では、剥離形態の引裂強度および/または引張強度は、その接着強度よりも大きい。このことはシリコーンベースの生体光膜の使い勝手のよさを助けることができる。当業者であれば、粘着性、可撓性、弾性、引張強度、および引裂強度などの剥離シリコーンベースの生体光組成物の特性は、適切なPDMSベースの組成物を選択し、その相対的割合を適合させることによるなど、当技術分野で知られている方法によって決定および/または調節できることを認識する。
【0113】
シリコーンベースの生体光組成物は事前形成された形状で提供してもよい。特定の実施形態では、事前形成された形状は、フィルム、フェイスマスク、パッチ、包帯、または絆創膏を含むがこれに限定されない形態である。特定の実施形態では、事前形成された形状は、サイズに合わせて切り取ることによって、個別使用者に対してカスタマイズできる。特定の実施形態では、切り取りを容易にするため、事前形成された形状の周縁の周りにミシン目が提供されている。特定の実施形態では、事前成形は、手動で、または3D印刷などの機械的手段で実施できる。3D印刷の場合、創傷または顔など処置するエリアのサイズを撮像し、次に撮像した治療エリアのサイズおよび形状に一致するように粘着性シリコーンベースの生体光組成物を構築または形成するように3Dプリンターを構成する。
【0114】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、被験体の体の望ましい部分への適用のための形状および/またはサイズで構成できる。例えば、シリコーンベースの生体光組成物は、生体光治療を受ける体の望ましい部分に対応するように成形およびサイズ調節できる。このような皮膚の望ましい部分は、皮膚、頭、額、頭皮、鼻、頬、唇、耳、顔、首、肩、脇の下、腕、肘、手、指、腹部、胸、腹、背中、臀部、仙骨、生殖器、脚、膝、足、足の指、爪、髪、任意の骨ばっている隆起部、およびその組み合わせなどから成る群から選択できるがこれに限定されない。従って、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、被験体の体の皮膚の任意の部分に適用するために成形およびサイズ調節できる。例えば、シリコーンベースの生体光組成物は靴下、帽子、手袋の形状またはミトン型の形状であることができる。シリコーンベースの生体光組成物が弾性、半剛性または剛性の形状である実施形態では、組織上にいかなる残渣も残さずに剥離することができる。
【0115】
特定の実施形態では、シリコーンベースの 生体光組成物は、事前形成しうる、弾性で剥離可能なフェイスマスクの形態で提供される。その他の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、これも事前形成しうる、非弾性(剛性)のフェイスマスクの形態である。マスクは、目、鼻および口の一つ以上のための開口部を持つことができる。さらなる実施形態では、開口部は、覆いで保護されているか、または鼻、唇または目などの露出した皮膚は、例えばカカオバターを使用して保護される。特定の実施形態では、事前形成されたフェイスマスクは、例えば、上部顔面部分および下部顔面部分など、複数の部分の形態で提供される。特定の実施形態では、光源への顔の不均一な近接は、例えば、マスクの厚さを調節することにより、またはマスクの異なるエリア内の発色団の量を調節することにより、または光に最も近接した皮膚をブロックすることにより、補正される。特定の実施形態では、事前形成された形状は、フリーサイズの形態である。
【0116】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は創傷包帯または絆創膏の形態である。それは、瘢痕の形成を予防しまたは限定するために創傷に使用されてもよいし、瘢痕の外観が見えないようにするために、既存の瘢痕に使用されてもよい。
【0117】
特定の態様では、マスク(またはパッチ)は、事前形成されておらず、例えば、マスク(またはパッチ)を構成するシリコーンベースの生体光組成物を、皮膚または標的組織上に広げることによって、またはその他の方法として、組成物を標的組織上に、塗りつける、軽く塗る、または転がすことによって適用される。次に適用後に、それは、乾燥すること、あるいは皮膚または組織への適用時の温度の変化を誘導することなど、これに限定されない手段によって、剥離形態へと変換され得る。使用後、マスク(またはパッチ)は次に、皮膚または組織上に何の薄片も残すことなく、好ましくは拭き取ったり洗ったりすることなく、剥がすことができる。
【0118】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、例えば、シリコーンベースの生体光膜、マスクまたは包帯の形態で与えられるとき、約0.1 mm~約50 mm、約0.5 mm~約20 mm、または約1 mm~約10 mmの厚みを有する。当然のことながら、厚さは、使用目的に基づいて異なる。いくつかの実施形態では、厚みは約0.1~1 mmの範囲にある。一部の実施形態では、厚みは、約0.5~1.5 mm、 約1~2 mm、 約1.5~2.5 mm、 約2~3 mm、 約2.5~3.5 mm、 約3~4 mm、 約3.5~4.5 mm、 約4~5 mm、 約4.5~5.5 mm、 約5~6 mm、 約5.5~6.5 mm、 約6~7 mm、 約6.5~7.5 mm、 約7~8 mm、 約7.5~8.5 mm、 約8~9 mm、 約8.5~9.5、 約9~10 mm、 約10~11mm、 約11~12 mm、 約12~13 mm、 約13~14 mm、 約14~15 mm、 約15~16 mm、 約16~17 mm、 約17~18 mm、 約18~19 mm、 約19~20 mm、 約20~22mm、 約22~24mm、 約24~26mm、 約26~28mm、 約28~30mm、 約30~35mm、 約35~40mm、 約40~45mm、 約45~50mmのの範囲である。
【0119】
シリコーンベースの生体光組成物の引張強度は、使用目的に基づいて異なる。引張強度は、引張試験を行ない、力および変位を記録することによって決定できる。次にこれらは応力(断面積を使用して)およびひずみに変換される。応力ひずみ曲線の最も高い点が、「極限引張強度」である 一部の実施形態では、例えばシリコーンベースの生体光膜の形態にあるとき、引張強度は、500N容量卓上機械的試験システム(#5942R4910、Instron(登録商標))と5N最大静的ロードセル(#102608, Instron)を使用して特性決定できる。サンプルを固定するために、空気圧式 サイドアクショングリップ を使用できる(#2712-019、Instron)。一部の実施形態では、破損するまで一定の伸長速度(例えば、約2 mm/分)を加えることができ、引張強度は、応力対ひずみデータのプロットから計算される。一部の実施形態では、引張強度は、ASTM D638、ASTM D882およびASTM D412など、米国材料試験協会の引張試験法に記述されているもの、またはそれと同等のものを使用して測定できる。
【0120】
いくつかの実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、少なくとも約50 kPa、少なくとも約100 kPa、少なくとも約200 kPa、少なくとも約300 kPa、少なくとも約400 kPa、少なくとも約500 kPa、少なくとも約600 kPa、少なくとも約700 kPa、少なくとも約800 kPa、少なくとも約900 kPa、少なくとも約1 MPa、少なくとも約2 Mpa、または少なくとも約3 MPa、または少なくとも約5 MPa、または少なくとも約6 Mpaの引張強度を有する。一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物の引張強度は最大約10 MPaである。
【0121】
シリコーンベースの生体光組成物の引裂強度は、使用目的に応じて異なる。シリコーンベースの生体光組成物の引裂強度特性は、例えば、シリコーンベースの生体光膜の形態で与えられるとき、500N容量卓上機械的試験システム(#5942R4910、Instron)と5N最大静的ロードセル(#102608、Instron)を使用して試験できる。サンプルを固定するために、空気圧式 サイドアクショングリップ を使用できる(#2712-019、Instron)。サンプルは、破損するまで一定の伸長速度(例えば、約2 mm/分)で試験できる。本発明によると、引裂強度は、破損時の力を平均厚さで割ったものとして計算される(N/mm)。
【0122】
一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、約0.1 N/mm~約5 N/mmの引裂強度を持つ。一部の実施形態では、引裂強度は、約0.1 N/mm~約0.5 N/mm、約0.25 N/mm~約0.75 N/mm、約0. 5 N/mm~約1.0 N/mm、約0.75 N/mm~約1.25 N/mm、約1.0 N/mm~約1.5 N/mm、約1.5 N/mm~約2.0 N/mm、約2.0 N/mm~約2.5 N/mm、約2.5 N/mm~約3.0 N/mm、約3.0 N/mm~約3.5 N/mm、約3.5 N/mm~約4.0 N/mm、約4.0 N/mm~約4.5 N/mm、約4.5 N/mm~約5.0 N/mmである。
【0123】
シリコーンベースの生体光組成物の接着強度は、使用目的に応じて異なる。接着強度は、ASTM D-3330-78、PSTC-101に従って決定でき、シリコーンベースの生体光組成物を試験パネルから特定の取り外し角度と速度で取り外すために必要な力の指標である。一部の実施形態では、所定サイズのシリコーンベースの生体光組成物、例えば、シリコーンベースの生体光膜が、清潔なガラス試験プレートの表面に水平に貼り付けられる。硬いゴムローラーを使用して、シリコーンベースの生体光膜の片をしっかりと貼り付け、すべての不連続部および封入空気を除去する。次に、ガラスプレートからのシリコーンベースの生体光膜の片の取り外し角度が180度になるように、シリコーンベースの生体光膜の片の自由端を、それ自体にほぼ接触するまで折り返す。シリコーンベースの生体光膜の片の自由端を、接着試験機スケール(例えば、Instron引張試験機またはHarvey引張試験機)に取り付ける。次に、試験プレートを所定の一定速度でスケールから遠ざけることのできる引っ張り試験機のあご(jaw)に、該プレートを挟む。シリコーンベースの生体光膜がガラス表面から剥がされる時のスケール読み取り値(kg)を記録する。
【0124】
一部の実施形態では、接着強度は、シリコーンベースの生体光組成物の静止摩擦を考慮して測定できる。本開示のシリコーンベースの生体光組成物の一部の実施形態では、接着特性は、その静止摩擦または静摩擦(stiction)のレベルに関連がある。これらの場合、接着強度は、シリコーンベースの生体光膜等のシリコーンベースの生体光組成物のサンプルを試験表面上に置き、サンプルに既知の下向きの力(例えば、重り)を加えながらサンプルの一端を約0°の角度(表面に実質的に平行)で引っ張り、サンプルが表面から滑る重量を測定することによって測定できる。垂直抗力Fnは、表面に対して垂直(perpendicular)(垂直(normal))方向に、各表面によってもう一方の表面に加えられる力であり、サンプルと重りの総合重量に、重力定数(g)(9.8m/s2)を掛けることによって計算される。次に、サンプルが表面から滑るまで、重りが乗っているサンプルはてんびんから引き離され、スケール上で重量が記録される。スケール上で記録された重量は、摩擦に打ち勝つために必要な力と等しい。次に、スケール上で記録された重量にgを掛けることによって、摩擦力(Ff)が計算される。Ff≦μFn (クーロンの摩擦則)から、Ff / Fnで割って摩擦係数μを得ることができる。次に材料を表面から剥ぎ取るために必要な応力(接着強度)は、材料の重量に摩擦係数を掛けることによって、摩擦係数μから計算できる。
【0125】
一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、その引張強度もしくはその引裂強度より小さな接着強度を持つ。
【0126】
一部の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、約0.01 N/mm~約0.60 N/mmの接着強度を持つ。一部の実施形態では、接着強度は、約0.20 N/mm~約0.40 N/mm、または約0.25 N/mm~約0.35 N/mmである。一部の実施形態では、接着強度は、約0.10 N/mm未満、約0.15 N/mm未満、約0.20 N/mm未満、約0.25 N/mm未満、約0.30 N/mm未満、約0.35 N/mm未満、約0.40 N/mm未満、約0.45 N/mm未満、約0.55 N/mmまたは約0.60 N/mm未満である。
【0127】
(6) 使用方法
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、美容的および/または医学的利益を持ちうる。それらは、皮膚の若返りおよび皮膚のコンディショニングを促進するため、にきび、湿疹、皮膚炎または乾癬などの皮膚疾患の治療を促進するため、または組織修復を促進するため、炎症を調節するため、コラーゲンの合成を調節するため、瘢痕化を減少または回避するため、または歯周炎ポケットを含む創傷治癒の促進のために使用できる。特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は急性炎症を治療するために使用することができ、急性炎症は、それ自体疼痛、熱、発赤、腫脹、および機能喪失として表し得、昆虫刺される(例えば蚊、ハチ、スズメバチ)、ツタウルシなどによる、アレルギー反応に、または手術を伴う治療後に見られるものが挙げられる。
【0128】
従って、特定の実施形態では、本開示は急性炎症を治療する方法を提供する。
【0129】
特定の実施形態では、本開示は、皮膚の若返りを提供するため、皮膚状態を改善するため、皮膚疾患を治療するため、瘢痕化を防止または治療するため、および/または創傷治癒および/または組織修復を加速するための方法を提供し、当該方法は、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を、治療を必要とする皮膚または組織のエリアに適用し、組成物中に存在する発色団(複数可)の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光をシリコーンベースの生体光組成物に照射することを含む。
【0130】
本開示の方法では、任意の作用光の供給源を使用できる。任意のタイプのハロゲン、LEDまたはプラズマアークランプまたはレーザーが適切でありうる。作用光の適した供給源の主要特性は、この供給源は組成物中に存在する一つ以上の光活性因子を活性化するために適切な波長(または複数の波長)の光を放射することである。一つの実施形態では、アルゴンレーザーが使用される。別の実施形態では、チタンリン酸カリウム(KTP)レーザー(例えば、GreenLight(商標)レーザー)が使用される。また別の実施形態では、光硬化デバイスなどのLEDランプが作用光の供給源である。また別の実施形態では、作用光の供給源は、約200~800 nmの波長を持つ光源である。別の実施形態では、作用光の供給源は、約400~600 nmの波長を持つ可視光の供給源である。別の実施形態では、作用光の供給源は、約400~700 nmの波長を持つ可視光の供給源である。また別の実施形態では、作用光の供給源は青い光である。また別の実施形態では、作用光の供給源は赤い光である。また別の実施形態では、作用光の供給源は緑色の光である。さらに、作用光の供給源は、適切な出力密度を持つべきである。非平行光源(LED、ハロゲン、またはプラズマランプ)の適切な出力密度は、約0.1 mW/cm2~約200 mW/cm2の範囲である。レーザー光源の適切な出力密度は、約0.5 mW/cm2~約0.8 mW/cm2の範囲である。
【0131】
本開示の方法の一部の実施形態では、被験者の皮膚表面で光は、約0.1 mW/cm2~約500 mW/cm2、または0.1~300 mW/cm2、または0.1~200 mW/cm2のエネルギーを持ち、与えられるエネルギーは、治療されている状態、光の波長、皮膚から光源までの距離、および生体光材料の厚さに少なくとも依存する。特定の実施形態では、被験者の皮膚で光は、約1~40 mW/cm2、または20~60 mW/cm2、または40~80 mW/cm2、または60~100 mW/cm2、または80~120 mW/cm2、または100~140 mW/cm2、または30~180 mW/cm2、または120~160 mW/cm2、または140~180 mW/cm2、または160~200 mW/cm2、または110~240 mW/cm2、または110~150 mW/cm2、または190~240 mW/cm2である。
【0132】
シリコーンベースの生体光組成物内の発色団(複数可)の活性化は、照射時ほぼ即時に起こりうる(フェムトまたはピコ秒)。本開示のシリコーンベースの生体光組成物の吸収、反射および再放射の相乗効果、および治療されている組織とのその相互作用を利用するために、長い暴露期間は有益でありうる。一つの実施形態では、組織もしくは皮膚またはシリコーンベースの生体光組成物の作用光への暴露時間は、0.01分~90分の間の期間である。別の実施形態では、組織もしくは皮膚またはシリコーンベースの生体光組成物の作用光への暴露時間は、1分~5分の間の期間である。一部のその他の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、1分~3分の間の期間にわたって照射される。特定の実施形態では、光は、1~30秒、15~45秒、30~60秒、0.75~1.5分、1~2分、1.5~2.5分、2~3分、2.5~3.5分、3~4分、3.5~4.5分、4~5分、5~10分、10~15分、15~20分、または20~30分の期間にわたって適用される。治療時間は、最大約90分、約80分、約70分、約60分、約50分、約40分または約30分の範囲でありうる。当然のことながら、線量を維持するために、治療領域に送達されるフルエンス率を調節することによって治療時間を調節できる。例えば、送達されるフルエンスは、約4~約60 J/cm2、約10~約60 J/cm2、約10 ~約50 J/cm2、約10~約40 J/cm2、約10~約30 J/cm2、約20~約40 J/cm2、約15 J/cm2 ~25 J/cm2、または約10 ~約20 J/cm2でありうる。
【0133】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、特定の間隔で再照射されうる。また別の実施形態では、作用光の供給源は、適切な暴露時間の間、治療エリアの上方で連続的な動きをしている。また別の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、シリコーンベースの生体光組成物が少なくとも部分的に光退色するかまたは完全に光退色するまで、照射されうる。
【0134】
特定の実施形態では、発色団(複数可)は、太陽および頭上からの照明からのものを含む周辺光によって光励起できる。特定の実施形態では、発色団(複数可)は、電磁スペクトルの可視領域の光によって光活性化できる。光は、太陽光、電球、LED装置、テレビ、コンピュータ、電話、携帯デバイスにおけるなどの電子表示スクリーン、携帯デバイスルにおけるフラッシュライトなど、任意の光源によって放射できる。本開示の方法では、任意の光源を使用できる。例えば、周辺光と直接太陽光または直接人工光との組み合わせを使用しうる。周辺光には、LED電球、蛍光電球などの頭上からの照明、および間接太陽光を含みうる。
【0135】
本開示の方法では、シリコーンベースの生体光組成物は、光の適用後に皮膚から取り除かれうる。その他の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、組織上に長時間配置されたままとなり、状態を治療するのに適切な時間、直接または周辺光で再活性化される。
【0136】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光膜等のシリコーンベースの生体光組成物は膜の片側または両側を覆う取り外し可能なカバーを有する。取り外し可能なカバーは引き剥がすことができる。取り外し可能なカバーは、紙またはホイル等の材料のシートまたはフィルムを含んでいてもよい。特定の実施形態では、取り外し可能なカバーは半透明であり、処理時間まで、照射から膜を保護することができる。カバーは部分的に取り外すことができる。特定の実施形態では、カバーは、処理時間後、処理中にさらなる照射から膜を保護するために、膜の表面に再度適用することができる。
【0137】
本開示の方法の特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、顔などの組織に、1週間に1回、2回、3回、4回、5回または6回、毎日、またはその他の任意の頻度で塗布されうる。合計治療時間は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または適切と考えられるその他の任意の長さでありうる。特定の実施形態では、治療される合計組織エリアは、別々のエリア(頬、額)に分けられ、各エリアを別々に治療しうる。例えば、シリコーンベースの生体光組成物を第一の部分に局所的に塗布し、その部分を光で照射し、その後生体光組成物を取り除きうる。次に、シリコーンベースの生体光組成物が第二の部分に塗布され、照射されて、取り除かれる。最後に、シリコーンベースの生体光組成物が第三の部分に塗布され、照射されて、取り除かれる。
【0138】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、瘢痕の修正を最適化するために、創傷閉鎖の後に使用できる。この場合、シリコーンベースの生体光組成物は、週1回または、医師によって適切と見なされる間隔など、定期的な間隔で適用されうる。
【0139】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、治療された皮膚の状態を維持するために、切除を伴う皮膚若返り治療の後に使用できる。この場合、シリコーンベースの生体光組成物は、週1回または、医師によって適切と見なされる間隔など、定期的な間隔で適用されうる。
【0140】
本開示の方法では、追加的構成要素をシリコーンベースの生体光組成物と任意選択的に含めるか、またはシリコーンベースの生体光組成物との組み合わせで使用しうる。このような追加的構成要素には、治癒因子、抗微生物剤、酸素を豊富に含む作用物質、しわ充填剤(例えば、ボトックス、ヒアルロン酸およびポリ乳酸)、真菌剤(fungal agent)、抗菌剤、抗ウイルス剤、および/またはコラーゲン合成を促進する作用物質を含むがこれに限定されない。これらの追加的構成要素は、本開示のシリコーンベースの生体光組成物の局所適用の前、それと同時、および/またはその後に、皮膚に局所的に適用されうる。適切な治癒因子は、適用部位における組織の治癒または再生過程を促進または亢進する化合物を含む。本開示のシリコーンベースの生体光組成物の光活性化の間、治療部位で皮膚または粘膜によるこのような追加構成要素の分子吸収の増加がありうる。治癒因子もまた、シリコーンベースの生体光組成物から生じる生体光効果を調節することができる。適切な治癒因子には、グルコサミン、アラントイン、サフロン、コラーゲン合成を促進する作用物質、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、および成長因子などの創傷治癒因子が含まれるがこれに限定されない。
【0141】
(i) 皮膚の若返り
本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、皮膚の若返りの促進、または皮膚状態および外観の改善において有益でありうる。真皮は、皮膚の2番目の層で、皮膚の構造要素である結合組織を含む。異なる機能を持つさまざまなタイプの結合組織がある。エラスチン線維は、皮膚に弾力性を与え、コラーゲンは皮膚に強度を与える。
【0142】
真皮と表皮の間の接合点は、重要な構造である。真皮・表皮接合部は、連結して指のような表皮隆起を形成する。表皮の細胞は、真皮の血管から栄養素を受け取る。表皮隆起は、これらの血管および必要な栄養素に曝される表皮の表面積を増加させる。
【0143】
皮膚の老化には、皮膚への著しい生理学的変化が伴う。新しい皮膚細胞の生成は減速し、真皮・表皮接合部の表皮隆起は平らになる。エラスチン線維の数は増加するが、その構造および結合力は減少する。皮膚の老化と共に、コラーゲンの量および真皮の厚さも減少する。
【0144】
コラーゲンは、皮膚の細胞外基質の主な構成要素で、構造骨組を提供する。老化過程の間、コラーゲン合成の減少およびコラーゲン線維の不溶化は、真皮の菲薄化および皮膚の生物力学特性の低下に寄与する。
【0145】
皮膚の生理学的変化は、しばしば経時老化、内因性老化、および光老化と呼ばれる、顕著な老化症状をもたらす。皮膚はより乾燥し、粗さおよび落屑が増加し、外観がくすみ、最も明瞭には小皺およびしわが現れる。皮膚の老化のその他の症状または兆候には、薄く透けた皮膚、(こけた頬と落ち込んだ眼窩並びに手および首の堅さの顕著な喪失につながる)下層脂肪の減少、骨量の減少(骨量減少のために骨が皮膚から後退し、皮膚のたるみを生じる)、乾燥肌(痒い場合がある)、皮膚を冷却するために十分に汗をかくことの不能、望ましくない顔の毛、そばかす、しみ、クモ状静脈、荒れてガサガサの肌、伸ばすと消える小皺、たるんだ皮膚、および/またはしみの多い顔が含まれるがこれに限定されない。
【0146】
真皮・表皮接合部は、表皮の角化細胞を、真皮の下部にある細胞外基質から分離する基底膜(basement membrane)である。この膜は、角化細胞と接触している基底板(basal lamina)、および細胞外基質と接触している下層網状板の2つの層から構成される。基底板は、構造ネットワークおよび細胞付着のための生体接着特性を提供する役割を果たす分子であるIV型コラーゲンおよびラミニンを豊富に含む。
【0147】
ラミニンは、基底膜にのみ存在する糖タンパク質である。これは、非対称な十字の形状に配置され、ジスルフィド結合で一緒に保持された3つのポリペプチド鎖(アルファ、ベータおよびガンマ)から成る。3つの鎖は、ラミニン1およびラミニン5を含む、ラミニンの12の異なるイソ型を生じる、異なるサブタイプとして存在する。
【0148】
真皮は、α-インテグリンおよびその他のタンパク質から成る、角化細胞上にある特定接合部である半接着斑に、角化細胞の基底膜の所でVII型コラーゲン原線維によって固定されている。ラミニン、および特にラミニン5は、基底角化細胞における半接着斑膜貫通タンパクとVII型コラーゲンとの間の実際の固定点を構成する。
【0149】
ラミニン5合成およびVII型コラーゲンの発現は、老化した皮膚では減少することが証明されている。これによって、真皮と表皮の間の接触が失われ、皮膚が弾力性を失い、垂れ下がるようになる。
【0150】
最近、表情じわと一般的に呼ばれる別のタイプのしわが、一般的認知を得た。皮膚が顔の表情を作る顔の筋肉の元の状態に戻ることができないため、表情しわは、特に真皮での復元力の低下から生じる。
【0151】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および本開示の方法は、皮膚の若返りを促進する。特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、皮膚の明度、毛穴サイズの減少、痣(blotchiness)の減少、皮膚の色合いを均一にする、乾燥の減少、および皮膚の引き締めなどの皮膚コンディショニングを促進し得る。特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、コラーゲン合成を促進する。特定のその他の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、小皺またはしわの出現、薄く透けた皮膚、(こけた頬と落ち込んだ眼窩並びに手および首の堅さの顕著な喪失につながる)下層脂肪の減少、骨量の減少(骨量減少のために骨が皮膚から後退し、皮膚のたるみを生じる)、乾燥肌(痒い場合がある)、皮膚を冷却するために十分に汗をかくことができない、望ましくない顔の毛、そばかす、しみ、クモ状静脈、荒れてガサガサの肌、伸ばすと消える小皺、たるんだ皮膚、またはまだらな顔色が含まれるがこれに限定されない皮膚老化の一つ以上の兆候を減少、軽減、遅延または逆転さえしうる。特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、毛穴サイズの減少を誘発し、皮膚小区分の彫りを高め、かつ/または皮膚の半透明性を高めうる。
【0152】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、コラーゲン促進剤と併せて使用されうる。コラーゲン合成を促進する作用物質(すなわち、コラーゲン合成促進剤)には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、小さな化学分子、天然産物および天然産物からの抽出物が含まれる。
【0153】
例えば、ビタミンC、鉄、およびコラーゲンの摂取は、皮膚または骨のコラーゲン量を効果的に増加させ得ることが発見された。例えば、米国特許出願公開第20090069217号を参照。ビタミンCの例には、L-アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸を乳化剤などでコーティングして得られるアスコルビン酸製剤、およびこれらビタミンCの2つ以上を任意の割合で含む混合物が含まれる。さらに、アセロラまたはレモンなど、ビタミンCを含む天然産物も使用されうる。鉄製剤の例には、硫酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、またはピロリン酸第二鉄などの無機鉄、ヘム鉄、フェリチン鉄、またはラクトフェリン鉄などの有機鉄、およびこれらの鉄の2つ以上を任意の割合で含む混合物が含まれる。さらに、ほうれん草またはレバーなど、鉄を含む天然産物も使用されうる。さらに、コラーゲンの例には、ウシまたはブタなど、哺乳類の骨、皮膚などを酸またはアルカリで処理することで得られる抽出物、ペプシン、トリプシン、またはキモトリプシンなどのプロテアーゼで抽出物を加水分解することで得られるペプチド、およびこれらのコラーゲンの2つ以上を任意の割合で含む混合物が含まれる。植物起源から抽出されたコラーゲンも使用されうる。
【0154】
(ii) 皮膚疾患
本開示のシリコーンベースの生体光組成物及び方法は皮膚疾患の治療に使用することができ、皮膚疾患として、以下に限定されないが、紅斑症、毛細血管拡張症、化学線毛細血管拡張症、基底細胞癌、接触性皮膚炎、隆起性皮膚線維肉腫、性器疣贅、化膿性汗腺炎、メラノーマ、メルケル細胞癌、貨幣状皮膚炎、伝染性軟属腫(molloscum contagiosum)、乾癬、乾癬性関節炎、酒さ、疥癬、頭皮乾癬、脂腺癌、扁平上皮癌、脂漏性皮膚炎、脂漏性角化症、帯状疱疹、癜風、疣贅、皮膚がん、天疱瘡、日焼け、皮膚炎、湿疹、発疹、膿痂疹、慢性単純性苔癬、鼻瘤、口囲皮膚炎、鬚毛部仮性毛包炎(pseudofolliculitis barbae)、多形性紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫、光線性角化症、紫斑病、円形脱毛症、アフタ性口内炎、薬疹、乾燥肌、肌荒れ、乾燥症、尋常性魚鱗癬、真菌症、単純ヘルペス、間擦疹、ケロイド、角化症、稗粒腫、伝染性軟属腫、ばら色粃糠疹、掻痒症、蕁麻疹、ならびに血管腫瘍および形態異常(malformation)が挙げられ得る。皮膚炎には、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、全身性剥脱性皮膚炎、およびうっ滞性皮膚炎が含まれる。皮膚がんには、黒色腫、基底細胞癌、および扁平上皮癌が含まれる。
【0155】
(iii) にきびおよびにきび跡
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、にきびを治療するために使用しうる。本明細書で使用される場合、「にきび」とは、皮膚腺または毛包の炎症によって生じる皮膚の疾患を意味する。本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、発現前の早期段階またはにきびの病変が目に見える後期の段階で、にきびを治療するために使用できる。軽度、中程度および重度のにきびは、シリコーンベースの生体光組成物および方法の実施形態で治療できる。にきびの発現前の早期段階は、毛嚢脂腺器官にある皮脂腺からの皮脂または真皮油(dermal oil)の過剰分泌で通常始まる。皮脂は、毛包の管を通して皮膚表面に達する。管の中および皮膚上での過剰量の皮脂の存在は、毛包管からの皮脂の正常な流れを妨害または停滞させる傾向があり、そのため皮脂の濃縮化および固化を起こして、面皰として知られる固体の栓を作る。にきびの発症の正常な順序では、毛包口の過角化が刺激されて、それにより管のブロックが完了される。通常の結果は、丘疹、膿疱、または嚢胞で、これらは二次感染を引き起こす細菌で汚染されていることがよくある。にきびは、面皰、炎症性丘疹、または嚢胞の存在によって具体的に特徴付けられる。にきびの外観は、わずかな皮膚過敏から、陥凹および外観を損なう瘢痕の発現までに及びうる。従って、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、皮膚過敏、陥凹、瘢痕の発現、面皰、炎症性丘疹、嚢胞、過角化、およびにきびに関連した皮脂の濃厚化および硬化の一つ以上を治療するために使用できる。
【0156】
一部の皮膚疾患は、発赤、顔面紅潮、灼熱感、落屑、吹き出物、丘疹、膿疱、面皰、斑、結節、小疱、水疱、毛細血管拡張症、クモ状静脈、ただれ、表面の過敏または痛み、痒み、炎症、赤、紫もしくは青い斑点もしくは変色、ほくろ、および/または腫瘍を含む様々な症状を呈する。
【0157】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、さまざまなタイプのにきびを治療するために使用されうる。にきびの一部のタイプには、例えば、尋常性座瘡、嚢腫性座瘡、萎縮性座瘡、臭素座瘡、塩素座瘡、集簇性座瘡、化粧品性座瘡、洗剤性座瘡、流行性座瘡、夏季座瘡、電撃性座瘡、ハロゲン座瘡、硬結性座瘡、ヨード座瘡、座瘡ケロイド、機械的座瘡、丘疹性座瘡、ポマード座瘡、月経前座瘡、膿疱性座瘡、壊血病性座瘡、腺病性座瘡、蕁麻疹様座瘡、痘瘡状座瘡、毒物性座瘡、プロピオン酸座瘡、表皮剥離性座瘡、グラム陰性座瘡、ステロイド座瘡および結節嚢胞性座瘡が含まれる。
【0158】
特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、全身または局所的な抗生物質治療と併せて使用される。例えば、にきびを治療するために使用される抗生物質としては、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ミノサイクリン、ドキシサイクリンが挙げられ、これらも本開示の組成物および方法と一緒に使用されうる。シリコーンベースの生体光組成物の使用は、抗生物質治療に必要な時間を減少させるか、または用量を減少させることができる。
【0159】
(iv) 創傷治癒
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、創傷を治療し創傷治癒を促進し、組織を促進するために使用されうる。本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法によって治療されうる創傷としては、例えば、異なる方法で始まり(例えば、長期間のベッド休養による圧力潰瘍、外傷または手術によって誘発された創傷、やけど、糖尿病または静脈不全に関連した潰瘍、歯周炎などの状態によって誘発された創傷)、および異なる特性を持つ皮膚および皮下組織への傷害が挙げられる。特定の実施形態では、本開示は、例えば、やけど、切開、切除、病変、裂傷、剥離、刺創または穿通創、手術創、挫傷、血腫、圧挫損傷、切断、痛みおよび潰瘍の治療ならびに/または治癒を促進するためのシリコーンベースの生体光組成物および方法を提供する。
【0160】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、耐久性のある構造的、機能的、および美容的閉合を作るための順序正しくタイムリーな一連のイベントをたどらなかった創傷である、慢性皮膚潰瘍または創傷を治療する、および/または慢性皮膚潰瘍または創傷の治癒を促進するために使用されうる。慢性創傷の大部分は、その病因に基づいて、圧力潰瘍、神経障害性(糖尿病性足部)潰瘍および血管性(静脈性または動脈性)潰瘍の3つのカテゴリーに分類できる。
【0161】
例えば、本開示は、糖尿病性潰瘍の治療および/または治癒の促進のためのシリコーンベースの生体光組成物および方法を提供する。糖尿病患者は、神経性および血管性の両方の合併症のために、足およびその他の潰瘍形成を起こしやすい。末梢神経障害は、足および/または脚の感覚の変化または完全喪失を起こす可能性がある。進行した神経障害を持つ糖尿病患者は、鋭さと鈍さとを識別する能力をすべて失う。神経障害患者は、足への切り傷または外傷に、数日または数週間、全く気が付かないことがある。進行した神経障害を持つ患者は、持続的な圧力損傷を感じる能力を失い、その結果、組織虚血および壊死が起こり、例えば足底潰瘍形成につながりうる。微小血管疾患は、糖尿病の重大な合併症の一つで、潰瘍形成にもつながりうる。特定の実施形態では、慢性創傷の治療のためのシリコーンベースの生体光組成物および方法が本書に提供されており、慢性創傷は、糖尿病の神経性および/または血管性の合併症による糖尿病性足潰瘍および/または潰瘍形成によって特徴付けられる。
【0162】
その他の例では、本開示は、圧力潰瘍の治療および/または治癒の促進のためのシリコーンベースの生体光組成物および方法を提供する。圧力潰瘍は床擦れ、褥瘡性潰瘍および坐骨結節潰瘍を含み、患者にかなりの痛みおよび不快感を起こさせる可能性がある。圧力潰瘍は、皮膚に長時間圧力が加えられた結果として起こる可能性がある。従って、個人の体重または質量のために、患者の皮膚に圧力がかかる可能性がある。圧力潰瘍は、皮膚のエリアへの血液供給が、2時間または3時間を超えて妨害または遮断された時に発症する可能性がある。影響を受けた皮膚エリアは、赤くなり、痛みおよび壊死が起こる可能性がある。治療しない場合、皮膚が破れて開き、感染する可能性がある。従って圧力潰瘍は、例えば、長時間ベッドに横になる、車椅子に座る、および/またはギブス包帯を装着することからの圧力下にある皮膚のエリアに起こる皮膚潰瘍である。圧力潰瘍は、人が寝たきり、意識を失った、痛みを感じることができない、または動けない時に起こる可能性がある。圧力潰瘍は、臀部エリア(仙骨または腸骨稜上)、または足のかかとなど、体の骨張った隆起部に起こることがよくある。
【0163】
創傷治癒過程には3つの明確な段階がある。第一に、創傷が起こった時から最初の2~5日までに典型的に起こる炎症段階では、血小板が凝集して顆粒を沈着し、フィブリンの沈着を促進し、成長因子の放出を刺激する。白血球が創傷部位に移動し、破片を消化して創傷から外に移し始める。この炎症段階の間、単球もマクロファージに変換され、これは血管新生および線維芽細胞の生成を刺激するために成長因子を放出する。
【0164】
第二に、典型的には2日~3週間までに起こる増殖段階では、肉芽組織が形成され、上皮形成および収縮が開始される。この段階の重要な細胞タイプである線維芽細胞は、増殖してコラーゲンを合成し、創傷を満たして、その上で上皮細胞が成長する強い基質(matrix)を提供する。線維芽細胞がコラーゲンを生成すると、血管形成が近くの血管から拡大し、肉芽組織を生じる。肉芽組織は、典型的には創傷の基部から成長する。上皮形成には、創傷を密封するために、上皮細胞の、創傷表面からの移動を伴う。上皮細胞は、類似のタイプの細胞に接触する必要性によって促進され、これらの細胞がその上を移動するグリッドとして機能するフィブリン鎖のネットワークによって誘導されている。筋線維芽細胞と呼ばれる収縮性細胞が創傷中に現れ、創傷の閉鎖を助ける。これらの細胞は、コラーゲン合成および収縮性を示し、肉芽創では一般的である。
【0165】
第三に、3週間から数年まで起こりうる創傷治癒の最終段階のリモデリング段階では、瘢痕中のコラーゲンが繰り返し分解および再合成を受ける。この段階の間、新しく形成された皮膚の引張強度が増加する。
【0166】
しかし、創傷治癒の速度が増すと、瘢痕形成の関連増加がよく起こる。瘢痕化は、大部分の成体動物およびヒト組織における治癒過程の結果である。瘢痕組織は、通常、機能品質が劣るため、それを置き換える組織と同一ではない。瘢痕のタイプには、萎縮性、肥厚性およびケロイド性瘢痕、および瘢痕拘縮が含まれるがこれに限定されない。萎縮性瘢痕は平らで、谷または穴として周辺の皮膚よりも下にくぼんでいる。肥厚性瘢痕は、元の病変の境界内に留まっている隆起した瘢痕であり、異常なパターンで配列された過剰なコラーゲンを含むことがよくある。ケロイド性瘢痕は、元の創傷の縁を超えて広がる隆起した瘢痕であり、周辺の正常皮膚に部位特異的な方法で侵入し、異常な様式で配置された渦巻き状コラーゲンをしばしば含む。
【0167】
それに対して、正常皮膚は、バスケットウィーブパターンに配列されたコラーゲン線維から成り、これは真皮の強度と弾性の両方に寄与する。従って、より滑らかな創傷治癒過程を達成するためには、コラーゲン生成を刺激するだけでなく、瘢痕形成を減少させる方法でそれを行うアプローチが必要である。
【0168】
本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法の特定の実施形態は、実質的に均一な上皮形成の形成の促進、コラーゲン合成の促進、制御された収縮の促進によって、および/または瘢痕組織の形成の低減によって、創傷治癒を促進し得る。特定の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、実質的に均一な上皮形成の形成を促進することによって創傷治癒を促進しうる。一部の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、コラーゲン合成を調節もしくは促進し得る。一部のその他の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、制御された収縮を促進し得る。特定の実施形態では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物および方法は、例えば、瘢痕組織の形成を減少させることによって、創傷治癒を促進し得る。
【0169】
本開示の方法では、本開示のシリコーンベースの生体光組成物は、陰圧補助創傷閉鎖デバイスおよびシステムと組み合わせても使用しうる。
【0170】
特定の実施形態では、シリコーンベースの生体光組成物は、最大1、2または3週間、所定の位置に保たれ、さまざまな間隔で、周辺光を含みうる光を照射される。この場合、シリコーンベースの生体光組成物は、光への暴露と暴露の間、不透明材料で覆われるか、または光に暴露したままにしうる。
【0171】
(6) キット
本開示は、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を調製するため、および/または本開示のシリコーンベースの生体光組成物を形成するために必要な任意の構成要素を提供するためのキットも提供する。
【0172】
一部の実施形態では、キットは、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を作るために使用できる構成要素または組成物を含む容器を含む。一部の実施形態では、キットは、本開示のシリコーンベースの生体光組成物を含む。本開示のシリコーンベースの生体光組成物を構成する様々な構成要素が、別々の容器中に提供されうる。例えば、界面活性剤相はシリコーン相とは別の容器に提供され得る。このような容器の例は、二重チャンバーシリンジ、取り外し可能な仕切り付きの二重チャンバー容器、パウチ付きの子袋、および複数区画ブリスターパックである。別の例は、別の構成要素の容器内に注入できるシリンジ中に構成要素の一つを提供することである。
【0173】
その他の実施形態では、キットは、本開示のシリコーンベースの生体光組成物の治療を増強するための全身性薬物を含む。例えば、キットは、(例えばにきび治療または創傷治癒のための)全身性または局所性抗生物質、ホルモン治療、または陰圧デバイスを含みうる。
【0174】
その他の実施形態では、キットは、シリコーンベースの生体光組成物の構成要素を混合し、または適用するための手段を備える。
【0175】
キットの特定の実施形態では、キットは、シリコーンベースの生体光組成物の発色団を活性化するために適切な波長を持つ携帯光などの光源をさらに含みうる。携帯光は、電池式または再充電式でありうる。
【0176】
本開示によるシリコーンベースの生体光組成物の使い方についての書面指示をキットに含め得るか、または本開示のシリコーンベースの生体光組成物を構成しているシリコーンベースの生体光組成物または構成要素を含む容器に含めるか付属させうる。
【0177】
同等のシリコーンベースの生体光組成物、方法およびキットの確認は、通常の実施者の技能の十分に範囲内であり、本開示の教えを考慮すると、通常の実験以上のものを必要としない。
【0178】
この開示を見直した後、当業者であれば変形および変更を考え付く。開示された特徴は、本明細書で開示されたその他の一つ以上の特徴との任意の組み合わせおよびサブコンビネーション(複数の依存性組み合わせおよびサブコンビネーションを含む)で、実施されうる。その任意の構成要素を含め、上に記載または例示された様々な特徴は、その他のシステムに組み合わせまたは組み込みうる。さらに、特定の特徴は、省略するか、または実施しなくても良い。変化、置換、代替の例は、当業者であれば究明可能であり、本明細書に開示された情報の範囲を逸脱することなく行なうことができる。本明細書に引用されたすべての参考文献は、参照によりその全体が組み込まれ、本明細書の一部となる。
【0179】
本開示の実施は、以下の実施例からさらにより完全に理解されるが、これらは例示目的のみで本書に提示されており、いかなる方法でも本開示を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0180】
実施例
実施例1:シリコーンベースの生体光組成物(25%のプルロニックF127)
25%重量%プルロニックF127溶液(界面活性剤相)の調製
プルロニックの感熱ゲル化(thermogelling)溶液の典型的な調製には、計測した体積の冷たい、脱イオン化した水(約4℃)に、測定した質量のプルロニックF-127を溶解することを含んだ。プルロニックの濃度はH2Oの体積あたりの重量で表される。
【0181】
そのため、ストックの感熱ゲル化プルロニックの溶液(25% w/v)の調製のために、磁気攪拌下で、質量25.00 gのプルロニックF-127を250 mLのエルレンマイヤーフラスコ中の100 mLのH2Oに添加した。溶液を有するエルレンマイヤーは、その後、プルロニックF-127に完全に溶解するまで、約1時間、攪拌しながら氷浴(2~4℃)で冷却した。次いで、得られた溶液を約4℃の冷蔵庫に保管した。
【0182】
ゲル化試験を行い、室温(約22℃)で約5分後に、溶液がハイドロゲルに形成されたことを示した。
【0183】
シリコーン15/85(シリコーン相)の調製
シリコーンベースの生体光組成物のためのシリコーン15/85構成要素を15%のSylgard-184エラストマーキットと85%のSylgard-527ゲルキットとを混合することによって調製した。そのため、シリコーン15/85の典型的な混合物は、2.667 gのSylgard-184(Sylgard-184キットの2.423 gのパートAおよびSylgard-184キットの0.244 gのパートBから成る)を、15.151 gのSylgard-527(Sylgard-527キットの7.574 gのパートAおよびSylgard-527キットの7.577 gのパートBから成る)と完全に混合することによって調製された。液体形態で保持するために、シリコーン15/85混合物を約4℃に冷却した。
【0184】
シリコーンベースの生体光組成物の調製
シリコーンベースの生体光組成物を形成するために、0.327 mgのエオシンYおよび0.327 gのフルオレセインを含む2.0 mLの冷たいプルロニックF127感熱ゲル化溶液を、新しく調製した9.221 gのシリコーンベース15/85混合物に、完全に微細な乳濁液を作製するために、強く攪拌しながら添加した。その後、シリコーンベースの生体光膜を形成するために、得られた混合物をペトリ皿に投じた。2 mm厚の膜を得るために、投じる量を調節した。投じたシリコーンベースの生体光膜の混合物を次いでインキュベーター中の多湿雰囲気下で、40℃で5時間硬化した。
【0185】
界面活性剤相とシリコーン相とを完全に混合したときに形成された乳濁液は、非常に微細であり、非常に安定したマイクロエマルジョンまたはゲルであった。特定の理論に縛られることはないが、マイクロエマルジョンのこれらの特性はシリコーンの疎水性性質およびプルロニックF127の界面活性剤特性から生じ得ることが考えられた。ペトリ皿に投じて硬化後、得られたシリコーンベースの生体光膜は均一で柔軟性があった。その後、当該膜に試験を実施し、膜のサンプルをリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液に24時間浸漬したときに、発色団(エオシンYおよびフルオレセイン)がシリコーンベースの生体光膜から浸出するかどうかを評価し、発色団の浸出は観察されなかった。
【0186】
第二の実験では、0.123 mgのエオシンYおよび0.123 mgのフルオレセインを含む0.75 mLのプルロニックF127感熱ゲル化溶液を、(上述のように調製された)6.744 gのシリコーン15/85に強く攪拌しながら添加した。得られた均一なマイクロエマルジョンは非常に微細であり、非常に安定していた。2 mm厚を得るために、マイクロエマルジョンのアリコットをペトリ皿に投じ、インキュベーター中の多湿雰囲気下で、40℃で5時間硬化した。
【0187】
450 nmのピーク放射波長(400~470nmの範囲のピーク波長、出力密度30~150mW/cm2)を有する光で5分間照射する間に。この第二の実験から調製されたシリコーンベースの生体光膜を通じて、およびそれによって放射された光をSP-100分光放射計(SP-100、ORB Optronix)で計測した。
図1~4を見れば分かるように、5分間隔で照射して15分後でも発色団は完全に光退色されていなかった。
【0188】
実施例2:DHFのサイトカインおよび成長因子
実施例1(二番目の実験)のシリコーンベースの生体光膜によって媒介される生物学的効果のより詳細な画像を得るために、ヒトサイトカイン抗体アレイ(RayBio C-Series、RayBiotech, Inc.)を実施した。分泌された細胞-細胞シグナル伝達タンパク質として広く定義されているサイトカインは、炎症、自然免疫、アポトーシス、血管新生、細胞成長および分化に重要な役割を担っている。複数のサイトカインを同時に検出することは、細胞活性を研究する強力なツールを提供する。サイトカインによる細胞プロセスの制御は複雑でダイナミックなプロセスであり、複数のタンパク質が関与していることが多い。ポジティブおよびネガティブなフィードバックループ、多指向性効果、および重複性機能、複数のサイトカインの空間および時間的発現または相乗的相互作用、さらには膜結合受容体の可溶性形態の放出を経由する制御は、全て、サイトカインシグナル伝達の効果を調節する一般的な機序である。
【0189】
DHF(ヒト皮膚線維芽細胞(Derman Human Fibroblast))およびTHP1(ヒト急性単球性白血病細胞)をin vitroモデルとして使用し、炎症性サイトカイン、ケモカインおよび成長因子の分泌に対する、シリコーンベースの生体光膜によって放射された光と組み合わせた青色光の効果を研究した。過剰で未制御の炎症は宿主に有害であり、とりわけ創傷治癒のプロセスの障害になり得る。本研究の目的はシリコーンベースの生体光膜(複数可)によって放射される蛍光と組み合わせた青色光が炎症促進性サイトカインおよびケモカインの生成を下方制御し、治癒プロセスを改善/加速することができることを実証することであった。
【0190】
端的には、TGF β-1の非毒性濃度を使用してDHF細胞を刺激し、IFNγおよびLPSを使用してPMAで処理されたTHP-1細胞を刺激した。実施例1(二番目の実験)の膜を次いで細胞培養物より5 cm上に配置し、青色光(450nm)を照射した。
【0191】
細胞培地を照射から24時間後に回収し、製造者指示(ヒトサイトカイン抗体アレイ、RaybiotechからのRayBio C-series)に従ってアレイされた抗体膜とともにインキュベートした。シグナルはImage J(登録商標)ソフトウェアで定量した。各実験で、XTTアッセイ(細胞生存率アッセイ)を実施して細胞生存率に対する分泌されたサイトカインの量を正規化した(全ての場合で生存率は、処理が非毒性であることを示す90%超であった。) 全てのサンプルは四つ組で行った。
【0192】
DHFおよびTHP-1細胞におけるサイトカインおよび成長因子分泌に対する照射した膜の効果を以下の表1および2に要約する。
【0193】
【0194】
【0195】
サイトカイン/ケモカインアレイアッセイの結果から、実施例1のシリコーンベースの生体光膜による処理が炎症促進性サイトカイン(TNFアルファ、IL-6、IL-8、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IFNγ等)および炎症促進性ケモカイン(MCP-1、-2、RANTES、GRO等)の産生をネガティブに調節したことが明らかになった。この結果では、シリコーンベースの生体光膜を使用する処理がDHF細胞における成長因子(TGF-ベータ1、およびPDGF-BB等)の分泌をネガティブに調節できたことを実証した。
【0196】
実施例3:シリコーンベースの生体光膜によって照射したときのDHF細胞における増殖レベル
実施例1(二番目の実験)のシリコーンベースの生体光膜によって媒介される生物学的効果および創傷治癒プロセスにおけるその関連についてより詳細な画像を得るために、ヒト皮膚線維芽細胞(DHF)実験システムで細胞増殖を評価した。組織では、傷を負ってから4~5日以内に、マトリックス生成細胞、すなわち線維芽細胞を肉芽組織に移動した。創傷部位への線維芽細胞の移動および創傷部位内の増殖は、創傷の肉芽形成および継続した治癒の必要条件である。線維芽細胞はその後、瘢痕組織の構築およびそのリモデリングに関与する。このように、生存可能で活発に分裂する線維芽細胞は治癒の進行に欠かせない存在である。
【0197】
本実験は細胞生存率を測定するためにXTTアッセイを使用した。XTTに基づいた方法によって、増殖細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を測定する。端的には、生存可能な細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼは、XTTのテトラゾリウム環を還元し、水溶性のオレンジ色の誘導体を生成する。得られるオレンジ色の溶液の吸光度を分光光度的に測定する。対照細胞に対する細胞数の増加または減少により、それに伴いオレンジ色の誘導体の量が変化し、このことは生存可能な分裂細胞の数の変化を示している。
【0198】
DHF細胞を実施例1のシリコーンベースの生体光膜で5分間照射した。処理から24時間後にXTT溶液を当該細胞に添加した。4時間後、オレンジ色の上清の吸光度を分光光度的に測定した。照射されていない対照と比較して、活発に増殖する線維芽細胞の数の差を計算した。
【0199】
XTTアッセイでは、対照(未処理の細胞)に比べ、実施例1のシリコーン膜が、試験条件下でDHFの増殖を調節しなかったことを示した。
【0200】
実施例4:瘢痕化を予防するための、本明細書のシリコーンベースの生体光感熱ゲルの評価
肥厚性瘢痕(HTS)は筋線維芽細胞に関与する過剰な皮膚線維化(fibrosis)から生じる。肥厚性瘢痕は皮膚を損傷した後に発現する。外観を害する特徴に加え、瘢痕は痒み、硬直、疼痛がある可能性がある。コラーゲン、およびその他の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の過剰な産生および/またはECMの不十分な分解およびリモデリングが瘢痕形成の主要な原因である。これらの現象は、損傷に対する炎症応答が長引くと発生する。HTSでは、成長因子TGFβ1およびPDGFが線維芽細胞によって過剰発現する。これらの成長因子はHTSの主要なタンパク質である(Avouac JらInhibition of activator protein 1 signaling abrogates transforming growth factor b-mediated activation of fibroblasts and prevents experimental fibrosis. Arthritis Rheumatism, 2012, volume 64:1642-4652; Trojanowska M, Role of PDGF in fibrotic diseases and systemic sclerosis. Rheumatology, 2008, volume 47: v2-v4)。TGFb1は過剰なコラーゲン分泌およびコラゲナーゼ等のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の減少が原因となる(Cutroneo KR. TGF-beta-induced fibrosis and SMAD signaling: oligo decoys as natural therapeutics for inhibition of tissue fibrosis and scarring., Wound Rep Regen 2007, volume 15: S54-60; Chen ZC, Raghunath M. Focus on collagen: In vitro systems to study fibrogenesis and antifibrosis - state of the art. Fibrogenesis Tissue Repair, 2009, volume 2: 7)。PDGFは線維芽細胞の強力なケモアトラクタントであり、線維症の治療のために相応しい標的を構成する(Beyer C, Distler JHW. Tyrosine kinase signaling in fibrotic disorders. Translation of basic research to human disease. Biochem Biophys Acta, 2013, volume 1832: 897-904)。HTSはMMP-2の高発現およびMMP-9の低発現を有する(Gauglitz GGらHypertrophic scarring and keloids: pathomechanisms and current and emerging treatment strategies. Mol Med, 2011; volume 17: 113-125)。
【0201】
実験デザイン
a)タンパク質の分泌-炎症性メディエーター、サイトカイン、成長因子
ヒト皮膚線維芽細胞(DHF)細胞培養モデルはin vitroモデルとして、発色団エオシンYおよびフルオレセインを含むシリコーンベースの生体光膜に非コヒレントの青色光を放射する作用光源を照射することからなる治療の効果であって、炎症性メディエーター、または成長因子として機能するかあるいは組織のリモデリング(マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤)に関与する様々なタンパク質の分泌に対して有し得る効果を研究するために使用された。
【0202】
この実験モデルでは、細胞を、可視の青色光(KLOX Multi-LEDライト)と共に上述のシリコーンベースの生体光膜を使用して、5cm離れたところから5分間照射した。照射中の細胞が受け取る青色光および蛍光線量を表3に表す。
【0203】
【0204】
DHF細胞をガラス底の皿(約2 mm厚)で培養した。照射を行う1時間前に、非毒性濃度のTGFβ1 (5 ng/ml)で細胞を処理し、肥厚性瘢痕の形成プロセスで典型的に観察される過剰増殖状態を誘導した。TGFβ1は照射後に細胞培地で保持され、アッセイが実施されている全時間を通して瘢痕化状態を模倣した。上述のシリコーンベースの生体光膜をガラス皿の片側に適用し(すなわち皿の外側表面に)、可視青色光(KLOX Thera(商標)ランプ)を使用して5cm離れたところから照射した。また、細胞を光単独で処理をし、これを内部対照として機能させ、光単独の場合と比べて、光とエオシンYおよびフルオレセイン発色団を含むシリコーンベースの生体光膜との併用が生物学的効果を及ぼすことを確認した。処理後の24時間で上清を回収し、アレイを実施し、処理から生じる炎症性サイトカイン、ケモカインおよび成長因子の生成プロファイルを評価した。各抗体アレイについて分析したタンパク質のリストを以下の表4および5に表す。
【0205】
抗体アレイのプロファイル
【0206】
【0207】
【0208】
当該処理の潜在的な細胞毒性を評価するために、また、処理された細胞培養物からの上清の乳酸脱水素酵素(LDH)の活性をスクリーニングした。LDHは細胞が損傷を受けたときに培地に放出される細胞内酵素である。これは細胞毒性のマーカーである。アッセイではNADをNADHに還元するLDH活性を定量する。NADHは比色分析によって特に検出する。
【0209】
b)細胞増殖(DHF細胞培養)
【0210】
処理を行う前に、G1フェーズにシンクロナイズするために、細胞を飢餓状態にした(血清およびホルモンを取り除いた培地)。シンクロナイゼーションの後、DHFをシリコーンベースの生体光感熱ゲルおよび青色光の(5cm離れたところから14.4 J/cm2の強度での)照射を含む処理に供した。CyQUANT直接細胞増殖アッセイを使用して、処理から24時間後、48時間後、72時間語に細胞の増殖をモニタリングした。
【0211】
c)皮膚線維症のマウス-ヒト皮膚移植モデルシステムを使用したIn vivo試験
創傷治癒の促進および瘢痕化を予防するために本開示のシリコーンベースの生体光組成物の治療の潜在能を評価するために、in vivoのマウスモデルシステム、より具体的には、皮膚線維症のマウスモデルを使用し、ここで、分層のヒト皮膚を、ヌードマウスの背中の全層の切除された創傷に移植し、ヒトHTSに似て、厚みがあり、隆起した、収縮した瘢痕を発生させた(Montazi MらA nude mouse model of hypertrophic scar shows morphologic and histologic characteristics of human hypertrophic scar. Wound Rep Reg, 2013, volume 21: 77-87を参照)。
【0212】
(エオシンYおよびフルオレセインを含む)シリコーンベースの生体光組成物(上述の実施例1、実験番号2のように調製した)および可視青色光(KLOX Multi LEDライト)の照射を含む治療を評価するために、生体光組成物-光の照射による処置を(ポリマー化されていないゲルまたはポリマー化された膜のいずれかの形態で)適用した。このとき、実施例4のin vitroの実験に記載される照射時間および距離を使用したが、このin vivoシステムでは、生体光組成物を皮膚移植創傷に対し局所的に(物理的接触)適用した。光-生体光組成物による処置は、ハロタン経鼻適用によって軽い全身麻酔下で、マウスへの移植後7日目に開始した。処置は3週間、週に2回行った。最後の処置から1週間後にマウスを屠殺した。対照の動物は処置を受けず、別の群は青色光のみを照射した。創傷は、マウスを処置後4週間で安楽死させる前に毎週デジタル写真によってモニターし、切除した異種移植片を調べた。
【0213】
瘢痕の厚みおよび血管分布の定量はヘマトキシリン&エオシン(H&E)で染色した断面画像で行った。Image Jを使用して、真皮の厚みの測定は、表皮-真皮接合部と真皮-脂肪層接合部との間の距離である真皮の厚みについて、高出力の画像で行った。サンプルごとに3つの測定値を取った。血管分布の程度は、真皮の5つの高出力領域(HPF)の血管の数を数えることによって評価した。
【0214】
(当技術で公知の)マッソン3色染色法を使用して、真皮のコラーゲン線維を検出した。染色された検体を調べるために偏光顕微鏡法を使用して、コラーゲン繊維を緑色として観察し、核は黒色で現れ、細胞質およびケラチンは赤色で現れた。
【0215】
結果
a)DHF細胞における炎症性メディエーターの産生の産生時の青色光の照射処理によるシリコーンベースの生体光膜の効果
【0216】
処理後24時間で上清を回収し、炎症性サイトカインアレイを実施し、KLOX Multi-LEDライトと組み合わせた(エオシンYおよびフルオレセインを含む)シリコーンベースの生体光膜での処理における炎症性サイトカイン産生プロファイルを評価した。アレイの結果は表6に要約されている。
【0217】
LDH活性の分析から、シリコーンベースの生体光膜照射サンプルの全てでは、処理の有意な細胞毒性作用は観察されないことが示された。
【0218】
【表6】
瘢痕化の病因に関連するDGF-BBおよびTGFb1および重要な成長因子 これらの因子を有意に減少させる処理の能力は有益である。さらに、いくつかの炎症促進性メディエーターの減少が、処理細胞対対照細胞に供された細胞でも観察され、特定の抗炎症性サイトカインが処理された細胞で、例えばIL-10が増加した。
b)細胞増殖(DHF細胞培養物)
表6(上述)に見ることができるように、本開示のシリコーンベースの生体光膜で誘導された成長因子に関するデータを参照すると、誘導された成長因子の多くは、細胞増殖に関与する成長因子であることとは対照的に、血管形成に関与している。さらに、実施例4で実施した細胞増殖アッセイの結果から、シリコーンベースの生体光膜は細胞増殖を誘発しなかったことも示している。線維芽細胞の増殖に与える効果の欠如は、肥厚性瘢痕化が過剰増殖性障害として特徴付けられれば、肥厚性瘢痕化において利益があると考えることができる。
【0219】
c)皮膚線維症のマウス-ヒト皮膚移植モデルシステムを用いたIn vivo試験
形態学的に、全体的に群間で、または平面面積測定法によって測定された創面収縮で有意な差は確認できなかった。しかしながら、生着後4週間で、(ポリマー化されていないゲルとして適用された)シリコーンベースの生体光組成物+光、および、シリコーンベースの生体光膜+光処理群で、対照群と光のみの群の両方に比べ、再上皮化の改善と共に、瘢痕の厚みに有意な減少が組織学的に測定された(1.35±0.07、1.35±0.08対1.69±0.13、2.07±0.08mm. P<0.05)。これらの結果は
図5の画像形式でも表している。
【0220】
シリコーンベースの生体光組成物を使用した処置の効果に関して、コラーゲン繊維束および配向(マッソン3色染色法に基づく)の形態学的な改善は、ゲル+光、および膜+光の処置群対対照群および光のみの群において、加速したコラーゲンのリモデリングに関連していた(コラーゲン配向指数、0.18±0.04、0.21±0.06対0.50±0.08、0.52±0.08. P<0.05)。これらの結果は
図6の画像形式でも表している。
【0221】
in vivoの皮膚線維症のマウス-ヒト皮膚移植モデルからの上述の所見に基づいて、これらのデータは、肥厚性瘢痕化等のヒト線維増殖性障害における創傷治癒および線維症の減少の加速について、本開示のシリコーンベースの生体光組成物の潜在能を示している。
【0222】
当然ながら、本発明は本明細書に記述および図示された特定の実施形態に限定されず、添付の請求項で定義される本発明の範囲内に入るすべての変更および変形が含まれる。