(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】マッチングコンピュータ、マッチング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220201BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2017137052
(22)【出願日】2017-07-13
【審査請求日】2020-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517247929
【氏名又は名称】岩田 美樹
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 哲
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 涼子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 美樹
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-297940(JP,A)
【文献】特開2002-259532(JP,A)
【文献】特開2001-290873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0167701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが共同利用する商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記商品に係る商品情報を取得する商品情報取得手段と、
当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行う商品検索手段と、
前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするマッチング処理手段と、を備え、
前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と活動拠点とを含み、
前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例の関係にある商品を検索すること、を特徴とす
るマッチングコンピュータ。
【請求項2】
複数のユーザが共同利用する商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記商品に係る商品情報を取得する商品情報取得手段と、
当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行う商品検索手段と、
前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするマッチング処理手段と、を備え、
前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と前記商品に対する希望分量とを含み、
前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記商品に対する希望分量の比が略比例の関係にある商品を検索すること、を特徴とす
るマッチングコンピュータ。
【請求項3】
複数のユーザが共同利用する商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記商品に係る商品情報を取得する商品情報取得手段と、
当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行う商品検索手段と、
前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするマッチング処理手段と、を備え、
前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額、活動拠点及び前記商品に対する希望分量を含み、
前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額、前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間及び前記商品に対する希望分量の総和が略等価値の関係にある商品を検索すること、を特徴とす
るマッチングコンピュータ。
【請求項4】
前記マッチング処理手段は、前記当該複数のユーザのそれぞれが前記抽出された商品に係る商品情報の閲覧要求を行った場合に、前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザに開示すること、を特徴とする請求項1乃至
3に記載のマッチングコンピュータ。
【請求項5】
前記マッチング処理手段は、前記当該複数のユーザのそれぞれが属性情報の閲覧要求を行った場合に、前記希望条件に合致する商品の検索を行い、前記抽出された商品に係る商品情報をそれぞれのユーザにリコメンドすること、を特徴とする請求項1乃至
3に記載のマッチングコンピュータ。
【請求項6】
前記商品が不動産物件であること、を特徴とする請求項1乃至
5に記載のマッチングコンピュータ。
【請求項7】
マッチングコンピュータが、
複数のユーザによって共同利用される商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するステップと、
前記商品に係る商品情報を取得するステップと、
当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行うステップと、
前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするステップと、を備え、
前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と活動拠点とを含み、
前記商品の検索を行うステップは、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例の関係にある商品を検索することを特徴とするマッチング方法。
【請求項8】
マッチングコンピュータに対して、
複数のユーザによって共同利用される商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報とを取得するステップと、
前記商品に係る商品情報を取得するステップと、
当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行うステップと、
前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするステップと、を実行させ、
前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と活動拠点とを含み、
前記商品の検索を行うステップは、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例の関係にある商品を検索することを特徴とするマッチングコンピュータのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッチングコンピュータ、マッチング方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産の共同購入のマッチングに関する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載されている技術は、売却希望が出されている不動産物件に対して、不動産購入希望者の購入希望条件を分析して、不動産物件と購入希望者とのマッチングを行う。特許文献1には、広い土地面積を有する不動産物件に対して、その土地を分筆することで不動産購入希望者とのマッチングを実現する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不動産物件に限らず一般的に商品やサービス(以下、総称して商品をいう)の共同利用を希望する者が増加してきた。商品の共同利用のニーズが高まるにつれ、共同利用の候補となる商品の選択肢が拡がることが望まれている。また、共同利用希望者の中から相手選びの選択肢が拡がることも望まれている。本発明は、共同利用する商品の選択肢を拡げるとともに、共同利用希望者の相手選びの選択肢を拡げるマッチングの仕組みを提供することを目的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマッチングコンピュータは、複数のユーザが共同利用する商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するユーザ情報取得手段と、前記商品に係る商品情報を取得する商品情報取得手段と、当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行う商品検索手段と、前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするマッチング処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明のマッチングコンピュータは、前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と活動拠点とを含み、前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例の関係にある商品を検索すること、を特徴とする。
【0007】
本発明のマッチングコンピュータは、前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額と前記商品に対する希望分量とを含み、前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額の比と前記商品に対する希望分量の比が略比例の関係にある商品を検索すること、を特徴とする。
【0008】
本発明のマッチングコンピュータは、前記希望条件には、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額、活動拠点及び前記商品に対する希望分量を含み、前記商品検索手段は、前記当該複数のユーザそれぞれの費用負担限度額、前記当該複数のユーザそれぞれの活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間及び前記商品に対する希望分量の総和が略等価値の関係にある商品を検索すること、を特徴とする。
【0009】
本発明のマッチングコンピュータは、前記マッチング処理手段は、前記当該複数のユーザのそれぞれが前記抽出された商品に係る商品情報の閲覧要求を行った場合に、前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザに開示すること、を特徴とする。
【0010】
本発明のマッチングコンピュータは、前記マッチング処理手段は、前記当該複数のユーザのそれぞれが属性情報の閲覧要求を行った場合に、前記希望条件に合致する商品の検索を行い、前記抽出された商品に係る商品情報をそれぞれのユーザにリコメンドすること、を特徴とする。
【0011】
本発明のマッチングコンピュータは、前記商品が不動産物件であること、を特徴とする。
【0012】
本発明のマッチング方法は、複数のユーザによって共同利用される商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報を取得するステップと、前記商品に係る商品情報を取得するステップと、当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行うステップと、前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするステップと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のマッチングコンピュータのプログラムは、マッチングコンピュータに対して、複数のユーザによって共同利用される商品に係る希望条件と前記複数のユーザの属性情報とを取得するステップと、前記商品に係る商品情報を取得するステップと、当該複数のユーザの希望条件を単数人格化して前記希望条件に合致する商品の検索を行うステップと、前記検索によって抽出された商品に係る商品情報と前記当該複数のユーザの属性情報をそれぞれのユーザにリコメンドして、前記抽出された商品と前記当該複数のユーザとをマッチングするステップと、を実行させることを特徴とする
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、商品の共同利用を希望する複数のユーザの希望条件を単数人格化することで、希望する商品の検索対象を拡張して、希望に合った商品を利用する機会を拡大することが可能になる。すなわち、共同利用する商品の選択肢を拡げるとともに、共同利用を希望するユーザの相手選びの選択肢を拡げることが可能になる。また、商品の検索にあたっては、ユーザ間の費用負担限度額の比と活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例の関係を満たす商品を抽出することでユーザの間で公平感のある商品をリコメンドすることが出来る。また、ユーザ間の費用負担限度額の比と商品に対する希望分量の比が略比例の関係を満たす商品を抽出することによってもユーザの間で公平感のある商品をリコメンドすることが出来る。さらに、ユーザそれぞれの費用負担限度額、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間及び商品に対する希望分量の総和が略等価値の関係にある商品を検索することは、費用負担限度額の比と距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比が略反比例しない場合であっても、商品の希望分量の割合を調整することによって、ユーザの間で全体として公平感のある商品をリコメンドすることが出来る。
【0015】
また、本発明によれば、商品の共同利用を希望する複数のユーザそれぞれに商品情報をリコメンドして、ユーザが互いに了承した場合にそれぞれのユーザの属性情報を開示してもよいし、ユーザの属性情報を公開して、その属性情報から商品の共同利用を一緒に行う候補者を探して、ユーザが互いに了承した場合に商品の検索を行って商品情報をリコメンドしてもよい。このように商品情報をリコメンドする手順や条件を固定化しないことによって、属性情報の取り扱いに関する考えがユーザごとに異なっているとしても、それぞれのユーザの意図を無視して属性情報が無暗に開示されることがないようにすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】不動産マッチングの全体システム構成図である。
【
図3】第1実施形態の不動産マッチングの一例である。
【
図4】第1実施形態の概略処理フローチャートである。
【
図6】第1実施形態の他の概略処理フローチャートである。
【
図7】第1実施形態の他のリコメンドの一例である。
【
図8】第1実施形態のマッチングコンピュータの内部構成例である。
【
図9】第1実施形態のユーザ情報データベースの一例である。
【
図10】第1実施形態の不動産情報データベースの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態として、不動産物件の共同利用に係るマッチング処理を説明するが、本発明の「商品」は不動産物件に限らず、自動車やバイクのほかに駐車場などのシェアリングが可能な商品やサービスであってもよい。また、「共同利用」は、共同購入や共同賃貸であってもよい。以下、本発明の実施形態では、商品の一例として、不動産物件の共同利用に関するマッチングの例を説明する。
【0018】
図1を参照して、本発明の実施形態の全体システム概要を説明する。
図1において、ユーザ端末1と2は、賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザAとBが使用する端末である。マッチングコンピュータ10は、賃貸住宅を含む各種の不動産物件の取引を媒介する不動産会社Cが運用しているコンピュータである。マッチングコンピュータ10は、ユーザ情報データベース15と不動産情報データベース16を備えている。不動産流通データベース20は、市場に流通している不動産物件の情報を不動産会社Cのマッチングコンピュータ10に提供するデータベースである。ユーザ端末1.2、マッチングコンピュータ10、不動産流通データベース20は、インターネット3を介して接続されている。
【0019】
賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザAとBは、それぞれユーザ端末1と2からインターネット3を介して不動産会社Cのマッチングコンピュータ10にアクセスして、希望する賃貸住宅の検索を行う。賃貸住宅の検索は、不動産会社Cの店頭において、不動産会社Cの社員がマッチングコンピュータ10を操作して、当該賃貸住宅の検索を行ってもよい。マッチングコンピュータ10は、不動産会社Cが独自に収集したユーザ情報と不動産物件情報をそれぞれユーザ情報データベース15と不動産データベース16にそれぞれ記憶している。不動産情報の検索については、不動産流通機構Dが運営している不動産流通データベース20に記憶されている不動産物件の情報を検索出来るようになっている。
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。第1実施形態は、商品に対するユーザの負担金額と活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間との関係に基づくマッチングである。第2実施形態は、商品に対するユーザの負担金額と希望分量の関係に基づくマッチングである。第3実施形態は、商品に対するユーザの負担金額、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間及び希望分量の関係に基づくマッチングである。
【0021】
[第1実施形態]
次に、
図2を参照して第1実施形態の不動産マッチングの概念を説明する。
図2は、賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザA、Bと、その希望条件に合う共同利用が可能な賃貸住宅とをマッチングするイメージを示す。ユーザAは端末1を操作してマッチングコンピュータ10に自身の希望条件を登録する。希望条件として、活動拠点a(ユーザAの勤務地)の場所位置と費用負担限度額10万円を登録する。ユーザBも同様に端末2を操作してマッチングコンピュータ10にアクセスして、希望条件として、活動拠点b(ユーザBの勤務地)の場所位置と費用負担限度額15万円を登録する。
【0022】
不動産会社Cのマッチングコンピュータ10は、ユーザAとBの二人の希望条件を単数人格化して不動産物件の検索を行う。これは、ユーザAとBの複数人格の希望条件を単数人格の希望条件としてひとまとめに取り扱う。マッチングコンピュータ10は、ユーザAとBそれぞれの費用負担限度額の比と活動拠点aとbからの距離の比が略反比例の関係を満たす不動産物件を抽出する。この例では、費用負担限度額の比が10万円:15万円であるから、例えば、活動拠点aからの距離と活動拠点bからの距離が、それぞれ15の倍数キロメートルと10の倍数キロメートルとなる線の周辺地帯「X」の上に位置する不動産物件を検索する。また、ユーザAとBそれぞれの費用負担限度額を合算して、合算した費用負担限度額以内の不動産物件を検索する。この例では、賃貸料を合算すると、10万円+15万円=25万円となるから、賃貸料が25万円以内の不動産物件を検索する。そして、「X」の線上に位置する不動産物件のうち、ユーザAとBそれぞれの希望エリアに共通するエリアの中に位置する賃貸料25万円以内の不動産物件を候補物件としてユーザAとBそれぞれにリコメンドする。なお、
【0023】
図3は、候補物件のイメージの例である。候補地1が目黒の場合は、ユーザAとBそれぞれの活動拠点まで所要時間(距離に相当)が新宿まで13分・東京まで19分になり、その比は10:15である。また、候補地2が巣鴨の場合には、新宿まで14分・東京まで20分となり、その比は10:15である。ここで、費用限度額の比と距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の比は厳密な反比例関係である必要はなく、物件検索においては、例えば、±○キロメートルや、±○~○%のバッファを持たせる。このバッファのサイズについては、物件の希望条件を登録するときに、予め許容値を指定出来るようになっている。
【0024】
次に、
図4を参照して、マッチングコンピュータ10の処理手順を説明する。賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザAとBがそれぞれユーザ端末1と2を操作して不動産会社Cのマッチングコンピュータ10にアクセスすると、マッチングコンピュータ10は不動産物件の検索メニュー画面をユーザ端末に表示させる。このメニュー画面は階層的に構成されており、ユーザ端末1と2に不動産物件の希望条件を入力する入力フォーム画面がそれぞれのユーザ端末に表示される。
【0025】
ユーザAがユーザ端末1の画面に表示された入力フォーム画面から、賃貸住宅の共同利用に関する希望条件として、活動拠点a(この場合は勤務地)を新橋、費用負担限度額を10万円として入力する。同様に、ユーザBがユーザ端末2の画面に表示された入力フォーム画面から、賃貸住宅の共同利用に関する希望条件として、活動拠点b(この場合は勤務地)を池袋、費用負担限度額を15万円として入力する。ここで、活動拠点a、bは、新橋や池袋といった地域エリアを指定してもよいし、勤務先の住所を指定してもよい。また、ユーザA、Bは希望エリアを入力してもよい。希望エリアは、新宿区内、23区内、中央線沿線などであってもよい。マッチングコンピュータ10はこの入力された希望条件をユーザ情報データベース15に登録する(S401)。
【0026】
次に、マッチングコンピュータ10は、活動拠点aとbのそれぞれの位置を算出する(S402)。例えば、登録された活動拠点aとbの住所情報から緯度経度をそれぞれ算出する。この例では、新橋駅の住所情報と池袋駅の住所情報をもとに活動拠点の緯度経度をそれぞれ算出する。
【0027】
次に、マッチングコンピュータ10は、登録された希望条件のうち、ユーザAとBの費用負担限度額の金額比と、活動拠点aとbからの距離の比が反比例の関係を満たす位置を計算で求める。この場合、費用負担限度額の多いユーザBの活動拠点を起点に計算する。ユーザAの費用負担限度額10万円とユーザBの費用負担限度額15万円の合算金額は25万円である。この合算金額に対するユーザAの費用負担限度額の割合を求めて、次に、活動拠点である池袋と新橋の緯度経度の差分にこの割合を乗算した数値を、計算の起点である池袋の緯度経度から差し引く。マッチングコンピュータ10は、経度についても同様の計算を行う(S403)。
【0028】
次に、マッチングコンピュータ10は、算出した緯度経度の場所位置が信濃町エリアであったとき、信濃町エリアが、ユーザAとBそれぞれが登録した希望エリアに含まれているか否かを確認する。ユーザAとBが登録した希望エリアがそれぞれ新宿区と23区内であれば、マッチングコンピュータ10は、信濃町エリアがユーザAとBの希望条件に該当すると判断する。
【0029】
次に、マッチングコンピュータ10は、不動産情報データベース16に記憶されている不動産物件の中から信濃町エリアにおいて、賃貸料が25万円以内かつ共同利用可能な賃貸住宅を抽出する(S404)。このとき、ユーザAとBの希望条件のうち、賃貸料以外の希望として間取りや駐車場の有無などの情報を検索条件に加えてもよい。
【0030】
次に、マッチングコンピュータ10は、抽出した信濃町エリアの賃貸住宅の物件情報をユーザ端末1と2にそれぞれ通知する。このとき、ユーザAの端末1に対しては、「Bさんと共同で借りるならこの物件」というふうに物件情報と共同利用希望者をリコメンドする。一方、ユーザBの端末2に対しては「Aさんと共同で借りるならこの物件」というふうにリコメンドする(S405)。
【0031】
マッチングコンピュータ10は、ユーザAの端末1とユーザBの端末2に対して、ユーザA、Bが互いに属性情報を開示し合うか否かを問い合わせるようにしてもよい。ユーザA、Bの双方が端末1と端末2から、属性情報の開示に同意する旨の返事を行うと、マッチングコンピュータ10は、端末1と端末2のそれぞれに互いの属性情報を開示する(S406)。開示する属性情報の中に氏名や連絡先のメールアドレスを含めるようにして、ユーザAとBが連絡を直接取り合うことが出来るようにしてもよい。
【0032】
図5は、物件情報のリコメンドの一例を示す例である。例えば、マッチングコンピュータ10は、ユーザAの端末1に対して、抽出した賃貸住宅の物件情報と共同利用希望者のユーザBに関する情報をリコメンドする。物件情報としては、住所、地図、建物の外観写真、賃貸料、間取り、駐車有無、最寄り駅からの所要時間などを画面に表示させるようにしてもよい。共同利用希望者のユーザBに関する情報は、ユーザ情報データベース15に記憶されているユーザの属性情報の中から、年齢、性別、職業などの情報を用いる。また、共同利用希望者のユーザBに連絡を希望するか否かを選択出来るようになっている。なお、ユーザの属性情報については、最初から全ての項目を開示してもよいし、ユーザが互いに同意した場合に、開示する項目を段階的に拡げていくようにしてもよい。属性情報の取り扱いに関しては、ユーザごとに考えが異なるので、ユーザ情報を登録するときに、どのタイミングでどこまでの属性情報を開示するのかを指定出来るようになっている。
【0033】
次に、
図6、
図7を参照して、マッチングコンピュータ10の他の処理手順を説明する。前述した
図4、
図5の例は、物件検索後にユーザの属性情報を開示する手順であるが、
図6、
図7の例は、共同利用希望者の候補となる相手探しを行った後に物件を検索する手順である。
【0034】
図6において、ユーザAがユーザ端末1を操作してマッチングコンピュータ10にアクセスすると、マッチングコンピュータ10は賃貸住宅の共同利用希望者の検索メニュー画面をユーザ端末1に表示させる。この検索メニュー画面は階層的に構成されており、まず共同利用希望者の一覧がユーザ端末1に表示される。ユーザ端末1、2に表示されるのは、年齢、性別、職業、希望エリアなどの属性情報であり、これらの属性情報は、各ユーザが公開を許可した情報が予めユーザ情報データベース15に登録されているものとする(S601)。
【0035】
次に、ユーザAが、端末1に表示される共同利用希望者の一覧を見て、自分と同じ希望エリアを登録している人や、年齢、性別、趣味嗜好が自分の希望に近い人の中から、賃貸住宅の共同利用のパートナー候補者として、一緒に物件検索を行うことの打診を行う。そして、打診された相手側から同意する旨の連絡があった場合に、具体的に物件を検索する手順に進む(S602)。
【0036】
図7を参照して、ユーザ端末1における手順の一例を説明する。
図7において、ユーザAが、ユーザ端末1に表示された共同利用希望者の一覧を見て、ユーザBにチェックマークを付けたあと「はい」をクリックすると、ユーザBのユーザ端末2には、ユーザAからの共同利用に関する打診と、ユーザAの属性情報が表示される。ユーザBがその打診に同意する旨の返信を行うと、それ以降に、ユーザA、Bが互いに希望条件を入力して、物件検索に進むことが出来るようになっている。
【0037】
図6に戻って、物件の検索と物件情報のリコメンドに係る手順については、前述した手順と同様に行うことが出来る。つまり、ユーザAがユーザ端末1の画面に表示された入力フォーム画面から、賃貸住宅の共同利用に関する希望条件として、活動拠点a(この場合は勤務地)を新橋、費用負担限度額を10万円として入力する。同様に、ユーザBがユーザ端末2の画面に表示された入力フォーム画面から、賃貸住宅の共同利用に関する希望条件として、活動拠点b(この場合は勤務地)を池袋、費用負担限度額を15万円として入力する(S603)と、マッチンングコンピュータ10は、ユーザ端末1、2から入力された希望条件を満たす物件を検索して該当する物件を抽出し(S604)、ユーザ端末1、2にそれぞれ物件情報をリコメンドする(S605)。
【0038】
次に、
図8を参照して、マッチングコンピュータ10の内部構成例を説明する。
図6において、マッチングコンピュータ10は、ユーザ情報取得部11、不動産情報取得部12、検索部13、マッチング処理部14、ユーザ情報データベース15、不動産情報データベース16を備えている。このほか、図示はしていないが、インターネット3との間の通信インタフェース、入力コンソール、ディスプレイを備えている。コンピュータ10は、CPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェアと、これらのハードウェアを制御するソフトウェアによってその機能が実行される。
【0039】
ユーザ情報取得部11は、ユーザA、Bが端末1、2をそれぞれ操作して入力される物件の希望条件とユーザ自身の属性情報を取得する。このうち希望条件は、勤務先などの活動拠点の場所、戸建又はマンションの別、間取り、駐車場、希望エリア、費用負担限度額などの情報である。ここで、活動拠点は、勤務先の地域エリアにある新宿駅や品川駅といったターミナル駅としてもよい。また、希望エリアは、東京都内、23区内、中央線沿線などとしてもよい。
【0040】
ユーザ情報取得部11は、ユーザAとBの住所、氏名、性別、年齢、職業、現住所、趣味、嗜好などユーザの属性情報を取得する。これらの希望条件と属性情報の取得にあたっては、ユーザの端末1、2がインターネット3を介してマッチングコンピュータ10に接続したときに、マッチングコンピュータ10に予め組み込まれているプログラムがユーザの端末1、2に対して入力フォームの画面を表示させるようにしてもよい。また、不動産会社Cの店舗において、マッチングコンピュータ10を操作してこれらの不動産情報を直接して入力してもよい。取得したユーザ情報は、ユーザ情報データベース15に記憶される。なお、ユーザの希望条件と属性情報は、物件検索に先立ってマッチングコンピュータ10に予め登録するようにしてもよいし、マッチングコンピュータ10にアクセスする都度登録するようにしてもよい。
【0041】
不動産情報取得部12は、図示しない不動産オーナの端末からインターネット3を介して売却物件や賃貸物件に関する情報を取得する。不動産に関する物件情報としては、住所、所有者名、連絡先、売却金額又は賃貸料、戸建又はマンション、間取り、共同利用の可否、駐車場、最寄り駅、交通機関などの情報である。これらの不動産物件情報は、不動産オーナの端末からインターネット3を介して取得してもよいし、不動産会社Cの店頭でマッチングコンピュータ10を操作して不動産情報を直接入力してもよい。取得した不動産物件情報は、不動産情報データベース16に記憶される。
【0042】
検索部13は、不動産情報データベース16に記憶されている不動産物件情報の中から、ユーザ情報取得部12が取得したユーザの希望条件に合致する不動産物件を検索して該当する不動産物件を抽出する。この検索において、ユーザAの希望条件とユーザBの希望条件を単数人格化する。ユーザAとBの希望条件のうち、それぞれの費用負担限度額の比とそれぞれの活動拠点からの距離の比が反比例の関係にある不動産物件を検索する。ここで、活動拠点からの距離は、距離そのものではなく活動拠点からの移動時間で表わされるものであってもよい。
【0043】
マッチング処理部14は、検索部13が検索し抽出した不動産物件を、インターネット3を介してユーザ端末1と2にそれぞれ通知する。そのとき、不動産物件の物件情報を通知するとともに、その不動産物件の共同利用候補者をリコメンドする。ユーザAの端末1に対してはユーザBの属性情報をリコメンドし、ユーザBの端末2に対してはユーザAの属性情報をリコメンドする。そして、ユーザ端末1、2に不動産物件の共同利用に対して同意するか否かを選択出来るようにして、ユーザA、Bが共にその不動産物件の共同利用に同意した場合に、その不動産物件とユーザA、Bとのマッチングが成立する。
【0044】
マッチング処理部14は、多様なバリエーションでリコメンドを行うことが出来る。例えば、ユーザ端末1と2の両方に不動産物件の物件情報の概要を通知して、ユーザAとBが共に、その不動産物件の詳細情報の閲覧要求を行った場合に、互いの属性情報をそれぞれリコメンドするようにしてもよい。或いは、費用負担限度額の多い方のユーザに不動産物件の物件情報の概要を通知して、そのユーザがその不動産物件の詳細情報の閲覧要求を行った場合に、他方のユーザに自分の属性情報がリコメンドされるようにしてもよい。或いは、費用負担限度額の多い方のユーザに不動産物件の物件情報と、他方のユーザの属性情報を通知して、そのユーザが、他方のユーザに自分の属性情報をリコメンドするか否かを決定出来るようにしてもよい。
【0045】
ユーザ情報データベース15は、ユーザ情報取得部11が取得したユーザ情報を記憶するデータベースである。
図9にユーザ情報データベース15の構成例を示す。ユーザ情報としては、氏名、年齢、性別、趣味、嗜好、職業、活動拠点、連絡先などの属性情報と、費用負担限度額、希望エリア、希望する間取りなどの希望条件を取り扱う。
【0046】
不動産情報データベース16は、不動産情報取得部13が取得した不動産情報を記憶するデータベースである。
図10に不動産情報データベース16の構成例を示す。不動産情報としては、戸建て又はマンション、住所、交通機関、間取り、売却金額又は賃貸料、共同利用の可否、不動産オーナの連絡先等の情報を取り扱う。
【0047】
マッチングコンピュータ10は、そのほか図示していない表示部、操作部、記憶部、制御部を備えている。
【0048】
表示部は、ユーザ情報や不動産情報の登録画面、不動産物件の検索画面、検索結果画面を表示する。表示部は、例えば液晶パネルを用いることが出来る。
【0049】
操作部は、ユーザ情報や不動産情報の登録や不動産物件の検索を行う際のキー操作を行う。操作部は、例えばマウスやキーボード、タッチパネルを用いることが出来る。
【0050】
記憶部は、ユーザ情報データベース15と不動産情報データベース16を記憶する。また、マッチングコンピュータ10の動作を制御する各種プログラムを格納している。
【0051】
制御部は、CPU等の制御デバイスであり、記憶部にインストールされているプログラムに従って動作する。制御部は、このプログラムを実行することで、情報処理に係る汎用機能と連携して、ユーザ端末に対する登録画面の入力フォーム、ユーザ情報や不動産情報の入力フォーム、ユーザ端末に対する不動産物件の検索フォーム、検索時のガイダンス出力、物件検索とその後の商品情報や共同利用希望者に係るリコメンドとマッチング処理等の一連の処理を行う。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の不動産マッチングは、商品に対するユーザの負担金額と希望分量との関係に基づいてマッチングを行う。ここで、希望分量は、商品が不動産の場合には、例えば、ユーザが希望する物件の広さを表す。具体的には、○○平方メートル、○坪、○畳、○部屋などと表わすことが出来る。また、日当たりの時間が○時間というふうに表わしてもよい。
【0053】
図11は、賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザA、Bと、その希望条件に合う賃貸住宅とをマッチングするイメージを示す。ユーザAは端末1を操作してマッチングコンピュータ10に自身の希望条件を登録する。希望条件として、費用負担限度額10万円を登録する。ユーザBも同様に端末2を操作してマッチングコンピュータ10にアクセスして、希望条件として、費用負担限度額15万円を登録する。また、希望分量にとして部屋の広さを15平方メートル以上、8畳以上などの広さを示す希望分量を予め登録しておいてもよい。
【0054】
マッチングコンピュータ10は、ユーザAとBの二人の希望条件を単数人格化して不動産物件の検索を行う。マッチングコンピュータ10は、ユーザAとBそれぞれの費用負担限度額の比が略比例の関係を満たす不動産物件を抽出する。ユーザAとBの費用負担限度額を合算すると、10万円+15万円=25万円となる。マッチングコンピュータ10は、賃貸料が25万円以内の不動産物件の中から、広さの比が10万円:15万円=2:3の周辺地帯「Y」の上に位置する不動産物件を検索する。そして、16平方メートル:24平方メートルにシェリング可能な物件を抽出した場合に、候補物件としてユーザAとBそれぞれにリコメンドする。
【0055】
図12は、候補物件のイメージの例である。候補地1が目黒の場合は、ユーザAとBそれぞれの部屋の広さが16平方メートルと24平方メートルになり、その比は費用限度額の比と同じ10:15である。また、候補地2が巣鴨の場合には、2部屋と3部屋のシェアリングが可能な物件の例を示す。ここで、費用限度額と広さの比は厳密な比例関係である必要はなく、物件検索においては、例えば、±○平方メートルや±○%のバッファを持たせようにしてもよい。
【0056】
第2実施形態のマッチングコンピュータ10の内部構成は、第1実施形態におけるマッチングコンピュータ10の内部構成例と共通しているが、検索部13が一部異なる。第2実施形態の検索部13は、ユーザAの希望条件とユーザBの希望条件を単数人格化して、ユーザAとBの希望条件のうち、それぞれの費用負担限度額の比とそれぞれの希望する物件の広さの比が略比例の関係にある不動産物件を検索する
【0057】
なお、物件検索の手順は、第1実施形態の
図5、6で説明したように、物件検索後にユーザを結び付けるような手順でもよいし、
図7、8で説明したように、ユーザを結び付けた後に物件検索を行うような手順でもよい。
【0058】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の不動産マッチングは、商品に対する負担金額、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間及び希望分量(広さ)の総和が略等価値にある物件を検索する。商品が不動産の場合を例にとると、ユーザA、Bそれぞれの費用負担限度額をX、Yとして、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間をa、bとして、希望する物件の広さをc、dとした場合に、X:Y=bc:adの関係、つまり、(X*a/c)=(Y*b/d)の関係にある物件を検索する。これは、商品に対する負担金額と活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間が略反比例の関係にならないでズレが生じたとき、或いは費用負担限度額と物件の広さが略比例の関係にならいでズレが生じたときであっても、ユーザの間が全体として略等価値になる関係を満たす物件を検索することで、ユーザ間の公平性を確保することが出来る。
【0059】
図13は、賃貸住宅の共同利用を希望しているユーザA、Bと、その希望条件に合致する物件をマッチングするイメージを示す。マッチングコンピュータ10は、ユーザAとBの二人の希望条件を単数人格化して不動産物件の検索を行う。ユーザAとBそれぞれの費用負担限度額の比と活動拠点aとbからの距離の比が略反比例の関係を満たす不動産物件を抽出する。この例では、費用負担限度額の比が10万円:15万円であるから、例えば、活動拠点aからの距離と活動拠点bからの距離の比が略3:2となる周辺地帯に位置する不動産物件を検索する。ここで、活動拠点からの距離の比が3:2を満たさないときであっても、物件の広さを加味することで、ユーザA、Bの双方に公平となる物件を抽出することが出来る。この例では、ユーザAは、費用負担金額10万円、活動拠点からの距離24キロメートル、広さ16平方メートルになるのに対して、ユーザBは、費用負担金額15万円、活動拠点からの距離20キロメートル、広さ20平方メートルであるから、マッチングコンピュータ10は、ユーザA、Bの双方にとって略等価値で公平な物件情報をリコメンドすることが出来る。
【0060】
また、マッチングコンピュータ10は、ユーザA、Bの費用負担限度額の比が10万円:15万円であるとき、物件の広さが略2:3となる物件を検索して該当物件が存在しない場合に、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間の割合を調整することで、ユーザA、Bの双方にとって略等価値で公平な物件情報をリコメンドすることも出来る。
【0061】
図14は、候補物件のイメージの例である。候補地1が目黒の場合は、ユーザAは活動拠点である東京までの移動時間が24分、広さ8畳で、一方、ユーザBは、活動拠点である新宿までの移動時間が20分、広さ10畳という物件である。また、候補地2が巣鴨の場合は、ユーザAは活動拠点である東京までの移動時間が24分、広さ20平方メートルで、一方、ユーザBは、活動拠点である新宿までの移動時間が20分、広さ10畳という物件である。
【0062】
第3実施形態のマッチングコンピュータ10の内部構成は、第1実施形態におけるマッチングコンピュータ10の内部構成例と共通しているが、検索部13が一部異なる。第3実施形態における検索部13は、第1実施形態における検索部13と第2実施形態における検索部13を組み合わせたものである。第3実施形態の検索部13は、ユーザAの希望条件とユーザBの希望条件を単数人格化して、ユーザAとBの希望条件のうち、それぞれの費用負担限度額と、活動拠点からの距離若しくは道のり又は移動にかかる時間と、希望分量(広さ)の総和が略等価値の関係にある不動産物件を検索する。
【0063】
なお、物件検索の手順は、第1実施形態の
図5、6で説明したように、物件検索後にユーザの結び付けるような手順でもよいし、
図7、8で説明したように、ユーザを結び付けた後に物件検索を行うような手順でもよい。
【0064】
以上、本実施形態として、不動産物件に係るマッチングの例を説明したが、本発明は不動産物件に限定されず、共同利用を目的とする施設やサービスにも幅広く適用することが出来る。
【0065】
また、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップなどの各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、順序を変更して実現することが出来る。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 ユーザ端末
2 ユーザ端末
3 インターネット
10 マッチングコンピュータ
15 ユーザ情報データベース
16 不動産情報データベース
20 不動産流通データベース