(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】織機におけるレベリング装置
(51)【国際特許分類】
D03C 1/14 20060101AFI20220201BHJP
D03C 13/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
D03C1/14 B
D03C13/00 S
(21)【出願番号】P 2017152654
(22)【出願日】2017-08-07
【審査請求日】2020-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平野 大慈
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-065834(JP,A)
【文献】実開平03-120588(JP,U)
【文献】特開昭59-043145(JP,A)
【文献】特開昭59-088945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03C1/14
D03C13/00
D03C5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の綜絖枠のそれぞれに対応して複数設けられると共に
カムボックス内に架設された支持軸により揺動可能に支持されるかたちでカムボックスに収容されたカムレバ、及び前記綜絖枠毎に設けられたバネ部材を有すると共に前記バネ部材のバネ力によって各前記綜絖枠を上方へ向けて付勢するバネ機構を含み、カムの回転に伴って各前記カムレバが揺動することで前記カムレバに連結された前記綜絖枠を下方へ変位させる織機の消極カム開口装置に用いられるレベリング装置であって、前記カムボックス内で揺動可能に設けられると共にその揺動に伴って全ての前記カムレバに対し当接可能に設けられたレベリングレバを含み、各前記カムレバにおけるカムフォロアを前記カムから離間した状態とするために前記レベリングレバを全ての前記カムレバに対し当接した当接状態から更に揺動させる
揺動操作が行われるレベリング装置において、
前記カムボックスに対し取り付け及び取り外し可能な流体圧シリンダであって、前記レベリングレバを前記カムレバへ向けて揺動させるために
前記カムボックスに対し取り付けられた取り付け状態においてロッドを進出させることで前記レベリングレバに対し押圧力を作用させる流体圧シリンダを備え、
前記レベリングレバは、前記流体圧シリンダの前記押圧力を受ける部分である板状のレバ部分であってその板厚方向を前記カムレバの並設方向に一致させると共に前記カムボックスに対し揺動可能であるように設けられたレバ部分、及び前記カムレバに対し当接する部分である当接部分であって前記レバ部分に支持された当接部分を含み、
前記レバ部分は、前記板厚方向と交差する自身の面から突出するかたちで設けられた被係合部を備え、
前記被係合部は、前記取り付け状態における前記流体圧シリンダの前記ロッドの延在方向と交差するように存在すると共に、前記取り付け状態における前記流体圧シリンダのシリンダ部側とは反対側を向く被係合面を有し、
前記流体圧シリンダは、前記ロッドの先端に取り付けられた係合部であって、前記取り付け状態での前記ロッドの後退時に前記レベリングレバにおける前記被係合面に対し係合可能
であると共に前記押圧力を作用させる状態で前記被係合面と離間するように形成された係合部を有し、
前記流体圧シリンダによる前記押圧力を受けて前記レバ部分が揺動すると共に前記レバ部分の揺動に伴って前記当接部分が揺動することで前記当接部分が前記カムレバに当接し、前記当接部分において前記レベリングレバが全てのカムレバと当接する前記揺動操作が行われる状態とされる
ことを特徴とするレベリング装置。
【請求項2】
前記流体圧シリンダは、前記レベリングレバに対し前記押圧力を作用させる押圧面を含む押圧部を有し、
前記レベリングレバは、前記押圧力を受ける受け面を含む受け部を有し、
前記押圧面及び前記受け面のうちの一方は円弧状の凸面として形成され、他方は前記一方を受け入れ可能な円弧状の凹面として形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレベリング装置。
【請求項3】
前記流体圧シリンダは、前記シリンダ部の後端に取り付けられた取付部であって、前記ロッドの後退方向を向く円弧状の当接面を含む取付部を備え、
前記カムボックスは、前記取り付け状態において前記流体圧シリンダにおける前記当接面に対し面接触可能な円弧状の支持面であって、その半径方向が前記カムレバの並設方向と直交する支持面を有し、
前記流体圧シリンダ及び前記カムボックスのうちの一方に設けられた第1の規制部と前記流体圧シリンダ及び前記カムボックスのうちの他方に設けられた第2の規制部とから成る位置規制機構であって、前記第1の規制部と前記第2の規制部との協働で前記流体圧シリンダの前記並設方向の変位を規制する位置規制機構を備え、
前記第1の規制部は、前記第2の規制部側へ延在するように形成され、
前記第2の規制部は、前記取り付け状態において前記第1の規制部を受け入れ可能であるように前記並設方向に離間した一対の規制部分を有すると共に、前記取り付け状態において前記第1の規制部を受け入れる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレベリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の綜絖枠のそれぞれに対応して複数設けられると共にカムボックス内に架設された支持軸により揺動可能に支持されるかたちでカムボックスに収容されたカムレバ、及び前記綜絖枠毎に設けられたバネ部材を有すると共に前記バネ部材のバネ力によって各前記綜絖枠を上方へ向けて付勢するバネ機構を含み、カムの回転に伴って各前記カムレバが揺動することで前記カムレバに連結された前記綜絖枠を下方へ変位させる織機の消極カム開口装置に用いられるレベリング装置であって、前記カムボックス内で揺動可能に設けられると共にその揺動に伴って全ての前記カムレバに対し当接可能に設けられたレベリングレバを含み、各前記カムレバにおけるカムフォロアを前記カムから離間した状態とするために前記レベリングレバを全ての前記カムレバに対し当接した当接状態から更に揺動させる揺動操作が行われるレベリング装置を前提とし、そのレベリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
織機における開口装置としての消極カム開口装置は周知であり、その消極カム開口装置は、各綜絖枠に対応させて設けられた複数のカムレバを備え、対応する綜絖枠に対し各カムレバがワイヤ等で連結されるように構成されている。また、その複数のカムレバは、カムボックス内において、綜絖枠の並びと同じく、織機の前後方向に並べられるかたちで設けられている。そして、そのような消極カム開口装置を備えた織機においては、消極カム開口装置におけるカムの回転に伴う各カムレバの揺動運動により、各綜絖枠が上下方向に変位するように駆動される。
【0003】
但し、消極カム開口装置を備えた織機においては、上下方向における一方の方向(例えば上方)への綜絖枠の変位は、その消極カム開口装置に備えられたバネ機構によって担われている。すなわち、消極カム開口装置は、各綜絖枠に対応させて設けられるバネ部材であってそのバネ力により前記一方の方向へ向けて対応する綜絖枠を付勢する複数のバネ部材を含むバネ機構を備えており、前記のカムレバの揺動運動は、そのバネ機構による付勢方向とは反対方向へ綜絖枠を変位させる役割を担っている。そして、そのような消極カム開口装置においては、バネ機構が各綜絖枠に対し作用させるバネ力は、その各綜絖枠に連結されたカムレバにも作用しており、各カムレバは、そのバネ力により、カムフォロアがカムに対し押接されるように付勢されている。
【0004】
そのような消極カム開口装置においては、その織機で製織する織物が異なる組織の織物に変更されるのに伴い、カムの交換が行われる。なお、消極カム開口装置において、カムを交換する際には、全てのカムレバにおけるカムフォロアをカムから離間した状態とする必要がある。そして、そのような状態を実現するためのレベリング装置が、特許文献1に開示されている。
【0005】
その特許文献1のレベリング装置について、詳しくは、そのレベリング装置は、揺動可能に設けられるレベリングレバを備えている。そのレベリングレバは、カムレバの揺動方向と平行に揺動可能に枢支された部分(レバ部分)と、そのレバ部分に支持される部分であって織機の前後方向(カムレバの並設方向)における全てのカムレバの存在範囲に亘って直線状に延在する部分(当接部分)とを有している。そして、レベリングレバは、前記当接部分を支持する前記レバ部分が揺動することで、前記当接部分においてカムレバに対し当接すると共に、その状態から更に揺動することで、その当接するカムレバを前記したバネ機構による付勢方向とは反対の方向に揺動させてそのカムレバにおけるカムフォロアをカムから離間させるように設けられている。
【0006】
その上で、レベリングレバは、その揺動方向における最も遠い位置にあるカムレバに対し前記当接部分において当接するまで揺動されることにより、全てのカムレバに対し当接した状態とされる。そして、そのような状態のレベリングレバを更に揺動させることで、全てのカムレバが前記したバネ機構による付勢方向とは反対の方向に揺動されて、各カムフォロアがカムから離間した状態とされる。
【0007】
因みに、消極カム開口装置において、前記したように全てのカムレバに対しレベリングレバが当接した状態では、前記並設方向に見て全てのカムレバの位置が揃っており、それに伴い、全ての綜絖枠の上下方向における位置が揃った状態(所謂レベリング状態)となる。したがって、前記したように機能する装置は、前述のように全てのカムレバにおけるカムフォロアをカムから離間させた状態とするための装置であるが、特許文献1においてもそうであるように、従来においてレベリング装置と称されており、また、そのカムレバを揺動させるためのレバもレベリングレバと称されている。
【0008】
また、特許文献1のレベリング装置は、前記のようなレベリングレバの揺動を実現するための構成として、油圧シリンダを備えている。そして、特許文献1のレベリング装置では、その油圧シリンダは、織機に対し固定的に(取り外し不能に)且つ揺動可能に設けられると共に、ロッドの先端部においてレベリングレバにおける前記レバ部分に対しピンによって連結されるかたちで設けられている。
【0009】
なお、特許文献1には明示されていないが、周知のように、消極カム開口装置における複数枚のカムは、織機のフレームに付設されたカムボックス内に収容されており、その各カムに対応するカムレバを支持する支持軸(特許文献1における揺動軸)も、そのカムボックス内に設けられている。その上で、特許文献1のレベリング装置では、レベリングレバがその揺動軸に支持されていることから、そのレベリングレバもカムボックス内に配置されており、さらには、そのレベリングレバに連結された油圧シリンダも、カムボックス内に配置されているとみなせる。また、特許文献1のレベリング装置では、レベリングレバを揺動させるための構成として油圧シリンダが採用されているが、それは、空気圧シリンダに置き換えることが可能である。以下では、その油圧シリンダ、空気圧シリンダを総称して流体圧シリンダとも言う。また、前記のような各カムフォロアをカムから離間した状態とするためのレベリング装置(レベリングレバ)の動作をレベリング動作と言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1は、前記のようなレベリングレバ及び油圧シリンダ(流体圧シリンダ)を含むレベリング装置を、各織機に対し専用で備えるものとして開示している。一方で、織機に対しそのようなレベリング装置を適用する上でのコスト面を考慮し、そのレベリング装置の中でも比較的に高価格な流体圧シリンダ及びその流体圧シリンダに対し作動流体を供給する供給装置を、織機毎に設けるのではなく、複数台の織機に対し兼用できるようにすることが考えられる。そして、そのように流体圧シリンダ及び供給装置を複数台の織機に対し兼用可能とする場合、レベリング装置は、その流体圧シリンダ及び供給装置が織機(カムボックス)に対し取り付け及び取り外し可能である構成とされる。なお、流体圧シリンダをカムボックスに対し取り付け及び取り外し可能とするにあたっては、次のようなことが考えられる。
【0012】
まず、消極カム開口装置においては、各カムレバは、前記したようにバネ機構のバネ力によってカムフォロアがカムに対し押接される方向へ常に付勢された状態となっている。したがって、前記のように各カムレバがレベリングレバを介して流体圧シリンダによる押圧力を受けてカムフォロアがカムから離間した状態で、流体圧シリンダがレベリングレバ(カムレバ)に対し押圧力を作用させる状態を解除すると、各カムレバは、バネ機構のバネ力により、カムフォロアがカムに押接された状態に復帰する。すなわち、消極カム開口装置は、カムレバの前記離間した状態からの復帰が、流体圧シリンダによる前記押圧力を作用させる状態を解除するのみで、そのバネ機構のバネ力により為され得るものとなっている。
【0013】
したがって、レベリング装置は、その流体圧シリンダが、少なくともレベリングレバに対し押圧力を作用させ得る構成、言い換えれば、ロッドの前進(進出)時にレベリングレバと少なくとも当接し得る構成であれば良いものである。その上で、流体圧シリンダをカムボックスに対し取り付け及び取り外し可能な構成とする場合、一般的な技術常識に基づけば、その取り付け及び取り外しが容易に行えるようにすることを考えるはずであることから、レベリングレバ及び流体圧シリンダは、前記レバ部分とロッドの先端部との係合が当接によって為される構成とされる。
【0014】
しかし、そのようなレベリング装置(レベリングレバと流体圧シリンダとが当接によって係合状態とされる構成)の場合、レベリングレバの待機位置への復帰が確実に行われないことがある。
【0015】
詳しくは、レベリングレバは、製織中においては、揺動運動するカムレバとの衝突を回避すべく、揺動方向に関し、その当接部分がカムレバから離間した位置に置かれている必要がある。したがって、レベリングレバの初期の位置である待機位置は、当接部分がカムレバの揺動範囲から離間した位置となるように設定される。その上で、レベリング動作にあたっては、前記のように流体圧シリンダによってレベリングレバが揺動され、当接部分が各カムレバに対し当接した状態とされる。さらに、前記したレベリング状態を解消するにあたっては、各カムレバが前記のように復帰方向に揺動され、それに伴い、当接部分においてその各カムレバに当接するレベリングレバも、その揺動するカムレバに押されて前記待機位置の方へ向けて揺動される。
【0016】
但し、前記のように前記待機位置は当接部分がカムレバの揺動範囲から離間した位置となるように設定されるのに対し、各カムレバはそのカムフォロアがカムに当接する位置となるまでしか揺動されない。そのため、カムレバの揺動に伴うレベリングレバの揺動は、レベリングレバが前記待機位置に達する前までしか行われない。
【0017】
そこで、レベリングレバを前記待機位置まで揺動させるために、例えば、全てのカムレバのカムフォロアがカムに当接した時点でのレベリングレバの揺動中心に対するレバ部分の延在方向が、前記揺動中心を通る水平面に対し前記並設方向に見て前記待機位置側で鋭角をなすようにレベリングレバが設けられるといった構成をレベリング装置に採用することが考えられる。そして、その構成によれば、レベリングレバは、前記時点においてその自重が自身を前記待機位置へ向けて揺動させるように作用した状態となるため、前記時点以降においては、自身の自重により前記待機位置まで揺動する。
【0018】
しかし、前記のような構成においては、レベリングレバが前記待機位置にまで戻らないといった状態が発生する場合がある。詳しくは、レベリングレバについては、前記したレベリング動作時にのみ操作されるものであることから揺動操作される頻度が低く、また、その揺動操作時における揺動の速度も遅い。そのことから、揺動軸によりレベリングレバを支持する構成を考える上で、軸受は不要と判断されるため、その構成は、レベリングレバが揺動軸に対し直接的に支持されるかたちとされる。但し、そのような構成とした場合、レベリングレバと揺動軸との間には、揺動軸に対するレベリングレバの揺動を許容する程度の若干の隙間が存在することとなる。そのため、前記時点以降において自重によりレベリングレバが前記待機位置へ向けて揺動する際には、前記した隙間によるガタが原因でレベリングレバと揺動軸との間にこじれが生じ、レベリングレバが前記待機位置にまで戻らない状態が発生することがある。
【0019】
そして、そのようにレベリングレバが前記待機位置にまで戻らない状態が発生し、そのままの状態で織機を起動させてしまうと、カムレバがレベリングレバの当接部分と衝突してしまい、カムレバ及びレベリングレバが破損するといった問題がある。
【0020】
そこで、そのような問題を鑑み、本発明は、流体圧シリンダをカムボックスに対し取り付け及び取り外し可能とする構成を採用した上で、レベリングレバを確実にカムレバの揺動範囲から離間するように退避させることができるレベリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、複数枚の綜絖枠のそれぞれに対応して複数設けられると共にカムボックス内に架設された支持軸により揺動可能に支持されるかたちでカムボックスに収容されたカムレバ、及び前記綜絖枠毎に設けられたバネ部材を有すると共に前記バネ部材のバネ力によって各前記綜絖枠を上方へ向けて付勢するバネ機構を含み、カムの回転に伴って各前記カムレバが揺動することで前記カムレバに連結された前記綜絖枠を下方へ変位させる織機の消極カム開口装置に用いられるレベリング装置であって、前記カムボックス内で揺動可能に設けられると共にその揺動に伴って全ての前記カムレバに対し当接可能に設けられたレベリングレバを含み、各前記カムレバにおけるカムフォロアを前記カムから離間した状態とするために前記レベリングレバを全ての前記カムレバに対し当接した当接状態から更に揺動させる揺動操作が行われるレベリング装置を前提とする。
【0022】
そして、前記の目的を達成すべく、本発明による前記レベリング装置は、前記カムボックスに対し取り付け及び取り外し可能な流体圧シリンダであって、前記レベリングレバを前記カムレバへ向けて揺動させるために前記カムボックスに対し取り付けられた取り付け状態においてロッドを進出させることで前記レベリングレバに対し押圧力を作用させる流体圧シリンダを備える。また、本発明においては、前記レベリングレバは、前記流体圧シリンダの前記押圧力を受ける部分である板状のレバ部分であってその板厚方向を前記カムレバの並設方向に一致させると共に前記カムボックスに対し揺動可能であるように設けられたレバ部分、及び前記カムレバに対し当接する部分である当接部分であって前記レバ部分に支持された当接部分を含み、前記レバ部分は、前記板厚方向と交差する自身の面から突出するかたちで設けられた被係合部を備え、前記被係合部は、前記取り付け状態における前記流体圧シリンダの前記ロッドの延在方向と交差するように存在すると共に、前記取り付け状態における前記流体圧シリンダのシリンダ部側とは反対側を向く被係合面を有する。
【0023】
その上で、本発明による前記レベリング装置は、前記流体圧シリンダが、前記ロッドの先端に取り付けられた係合部であって、前記取り付け状態での前記ロッドの後退時に前記レベリングレバにおける前記被係合面に対し係合可能であると共に前記押圧力を作用させる状態で前記被係合面と離間するように形成された係合部を有する。さらに、本発明による前記レベリング装置は、前記流体圧シリンダによる前記押圧力を受けて前記レバ部分が揺動すると共に前記レバ部分の揺動に伴って前記当接部分が揺動することで前記当接部分が前記カムレバに当接し、前記当接部分において前記レベリングレバが全てのカムレバと当接する前記揺動操作が行われる状態とされることを特徴とする。
【0024】
なお、前記で言う「流体圧シリンダのシリンダ部側とは反対側」とは、レベリングレバに対する位置を指す。より詳しくは、前記取り付け状態においては、流体圧シリンダのシリンダ部は、前記並設方向に見て、レベリングレバの揺動方向に関しレベリングレバの当接部分に対してカムレバが位置する側とは反対側に位置する。したがって、レベリングレバのシリンダ部側は、前記並設方向に見て当接部分に対するカムレバ側とは反対側となるため、そのシリンダ部側とは反対側は、前記並設方向に見て当接部分に対するカムレバ側となる。そのことから、レベリングレバにおける「反対側を向く被係合面」とは、前記並設方向に見て当接部分に対するカムレバ側を向く面を指す。
【0025】
また、本発明による前記レベリング装置において、前記流体圧シリンダが、前記レベリングレバに対し前記押圧力を作用させる押圧面を含む押圧部を有し、前記レベリングレバが、前記押圧力を受ける受け面を含む受け部を有し、前記押圧面及び前記受け面のうちの一方が円弧状の凸面として形成され、他方が前記一方を受け入れ可能な円弧状の凹面として形成されるものとしても良い。
【0026】
また、本発明において、前記流体圧シリンダが、前記シリンダ部の後端に取り付けられた取付部であって、前記ロッドの後退方向を向く円弧状の当接面を含む取付部を備え、前記カムボックスが、前記取り付け状態において前記流体圧シリンダにおける前記当接面に対し面接触可能な円弧状の支持面であって、その半径方向が前記カムレバの並設方向と直交する支持面を有するものとしても良い。その上で、前記レベリング装置が、前記流体圧シリンダ及び前記カムボックスのうちの一方に設けられた第1の規制部と前記流体圧シリンダ及び前記カムボックスのうちの他方に設けられた第2の規制部とから成る位置規制機構であって、前記第1の規制部と前記第2の規制部との協働で前記流体圧シリンダの前記並設方向の変位を規制する位置規制機構を備え、前記第1の規制部が、前記第2の規制部側へ延在するように形成され、前記第2の規制部が、前記取り付け状態において前記第1の規制部を受け入れ可能であるように前記並設方向に離間した一対の規制部分を有すると共に、前記取り付け状態において前記第1の規制部を受け入れる位置に配置されるものとしても良い。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、そのレベリング装置は、レベリングレバを揺動させるための流体圧シリンダがカムボックスに対し取り付け及び取り外し可能であるように構成されている。そのような構成によれば、製織工場に設置されている消極カム開口装置を備えた複数台の織機において前記のようなレベリング動作を実現可能とすべく、各織機に対しレベリング装置を適用するにあたり、各織機においてはレベリングレバのみを設ければ良く、流体圧シリンダをその各織機に対し兼用とすることができる。したがって、本発明によれば、例えば特許文献1の装置のように各織機に流体圧シリンダが専用で設けられる場合と比べ、レベリング装置を適用するための装置コストが抑えられる。
【0028】
さらに、本発明によれば、そのように構成されたレベリング装置において、流体圧シリンダは、レベリング状態の解消時におけるロッドの後退時にレベリングレバにおける前記のような被係合面に対し係合する係合部を有している。したがって、本発明のレベリング装置によれば、レベリングレバを確実にカムレバの揺動範囲から離間するように退避させることができ、前述のようなカムレバとレベリングレバの衝突を回避できる。より詳しくは、次の通りである。
【0029】
まず、流体圧シリンダに関し、機械装置における対象物を例えばロッドの進出によって一方向へ変位させるように流体圧シリンダを使用する場合であっても、一般的には、その流体圧シリンダは、そのロッドの後退も積極的に行われるように構成されている。例えば、単動式の流体圧シリンダは、ロッドを後退方向へ付勢するバネ部材を内蔵しており、ロッドが常に後退方向へ付勢されるように構成されている。また、複動式の流体圧シリンダは、ロッドを進出させるように作動流体が供給されるのに加え、ロッドを後退させるようにも作動流体が供給される構成となっている。このように、機械装置において一般的に用いられる流体圧シリンダは、少なくともロッドを進出させるように供給される作動流体の供給が停止されたときに、ロッドを後退させようとする復帰力がロッドに対し作用するように構成されている。
【0030】
そして、本発明におけるレベリング装置も、そのような構成の流体圧シリンダを採用している。すなわち、本発明のレベリング装置は、前記したレベリング状態を解消するにあたり、流体圧シリンダのレベリングレバに対する押圧力を作用させる状態を解除すると、前記復帰力の作用によってロッドが後退されて最後退位置まで積極的に戻されるようになっている。
【0031】
因みに、レベリング状態を解消する際にカムレバを介してレベリングレバに作用する消極カム開口装置におけるバネ力は、流体圧シリンダにおける前記復帰力よりもかなり大きいものとなっている。したがって、前記時点(各カムレバがそのカムフォロアにおいてカムに当接する時点)までは、流体圧シリンダのロッドもレベリングレバを介してカムレバに押される状態(カムレバから押力を受ける状態)となっており、流体圧シリンダにおける前記復帰力がレベリングレバに対し作用しない状態となっている。すなわち、レベリング状態を解消する際における前記時点までは、レベリングレバは、専ら前記バネ力によってカムレバに押されて揺動する。但し、前述のようにそのカムレバの揺動に伴うレベリングレバの揺動は前記時点までであり、前記時点以降は、カムレバによる押力(前記バネ力)がレベリングレバに作用しない状態となる。
【0032】
それに対し、本発明によるレベリング装置によれば、流体圧シリンダは、そのロッドの先端に取り付けられると共に、ロッドの後退時(より詳しくは、ロッドがレベリングレバに対し相対的に後退方向へ変位するとき)にレベリングレバにおける被係合面に対し係合状態となる係合部を有するように構成されている。しかも、流体圧シリンダは、レベリング動作時に前記待機位置にあるレベリングレバに対しロッドによって押圧力を作用させてレベリングレバを揺動させるように設けられるものであるから、レベリングレバが前記時点の位置(前記待機位置から離間した位置)にあるときには、流体圧シリンダにおいて、そのロッドは、当然ながら最後退位置から進出した状態となっている。すなわち、流体圧シリンダは、前記時点では、そのロッドが最後退位置へ向けて更に後退し得る状態となっている。
【0033】
そして、前述のように前記時点以降はカムレバによる押力がレベリングレバ(ロッド)に対し作用しない状態となるため、前記時点では、ロッドのみが前記復帰力を受けて後退方向へ変位しようとする状態(ロッドがレベリングレバに対し後退方向へ向けて相対的に変位しようとする状態)となる。その結果として、レベリングレバにおける被係合面に対し流体圧シリンダにおける係合部が係合した状態となる。その上で、流体圧シリンダにおいて前記復帰力によりロッドが更に後退することにより、被係合面において係合部と係合したレベリングレバは、係合部に押されるかたちで前記待機位置に向けて揺動される。そして、流体圧シリンダのロッドが前記復帰力によって最後退位置まで戻されることにより、レベリングレバは、前記衝突を回避し得るカムレバの揺動範囲から離間した位置まで確実に退避された状態となる。
【0034】
因みに、流体圧シリンダにおけるロッドの最後退位置とレベリングレバの前記待機位置との関係によっては、ロッドが最後退位置に戻った状態でも、レベリングレバが前記待機位置に達していない場合もある。しかし、仮に、レベリングレバがその位置に留まったとしても、前記のように前記衝突が回避されていることから、その状態で織機を起動しても問題は発生することはない。しかも、レベリングレバは、前記のようにロッドの最後退位置までの後退に伴ってカムレバの揺動範囲から離間した位置(前記時点の位置よりも前記待機位置に近い位置)にまで揺動されているため、自重によって前記待機位置まで戻る可能性が高い状態となっており、更には、自重のみで戻らない場合でも、その後に織機が起動されることに伴って発生する振動等の影響により、前記待機位置まで戻ることとなる。
【0035】
また、本発明による前記レベリング装置において、流体圧シリンダが前記のような円弧状の押圧面を含む押圧部を有すると共にレベリングレバが前記のような円弧状の受け面を含む受け部を有するようにそのレベリング装置を構成することにより、カムボックスに対する流体圧シリンダの取り付けに伴って作業者に掛かる負担を低減することができる。より詳しくは、以下の通りである。
【0036】
先ず、レベリング装置においては、レベリング動作時に流体圧シリンダがレベリングレバにおける所定の位置に対し押圧力を作用させる、すなわち、前記取り付け状態における流体圧シリンダのロッド側とレベリングレバとの当接位置が常に所定の位置であることが望まれる。そのため、流体圧シリンダがカムボックスに対し取り付け及び取り外し可能とされている場合においては、その流体圧シリンダのカムボックスに対する取り付けを行った後、少なくとも流体圧シリンダによる押圧力をレベリングレバに作用させ始めるまでは、流体圧シリンダをそのロッド側が前記所定の位置に位置決めされた状態に保持しておく必要がある。
【0037】
そこで、本発明のレベリング装置において、前記のように流体圧シリンダが円弧状の凸面(又は、凹面)として形成された押圧面を含む押圧部を有すると共にレベリングレバが円弧状の凹面(又は、凸面)として形成された受け面を含む受け部を有するようにそのレベリング装置が構成されることにより、前記取り付け状態において、例えば流体圧シリンダ側の押圧部がその押圧面においてレベリングレバ側の受け部における受け面内に受け入れられた状態とすることで、流体圧シリンダは、そのロッド側の押圧部がレベリングレバにおける受け部に対し前記所定の位置に位置決めされて保持された状態となる。したがって、そのレベリング装置によれば、前記取り付け状態において、流体圧シリンダのロッド側が前記所定の位置に位置決めされた状態で保持されるため、その保持を作業者の手で行う必要がなく、カムボックスに対し流体圧シリンダが取り付けられた状態とするにあたって作業者に掛かる負担が低減される。
【0038】
また、本発明による前記レベリング装置において、レベリングレバにおけるレバ部分が被係合面を有する被係合部であってレバ部分における板厚方向と交差する自身の面から突出する被係合部を備えるようにそのレベリング装置を構成することにより、カムボックスに対する流体圧シリンダの取り付け作業の効率化を図ることができる。より詳しくは、以下の通りである。
【0039】
レベリング装置において、流体圧シリンダは、前記取り付け状態では、レベリングレバに対し押圧力を作用させる面がレベリングレバにおけるその押圧力を受ける面に対し対向した状態とされる。なお、そのレベリングレバに対し押圧力を作用させる面は、例えば前記した押圧部における押圧面であり、また、レベリングレバにおける押圧力を受ける面は、例えば前記した受け部における受け面である。以下では、記載を簡略化すべく、その各面をその一例である押圧面、受け面と言い換えて説明する。
【0040】
そして、本発明によるレベリング装置では、流体圧シリンダは、前述のようにレベリングレバにおける被係合面と係合してレベリングレバに対し前記復帰力を作用させるための係合部の面(係合面)を有しており、前記取り付け状態においては、その係合面が被係合面と対向するような状態とされる。すなわち、流体圧シリンダは、前記取り付け状態では、押圧面が受け面に対し対向し且つ係合面が被係合面に対し対向した状態とされると共に、前記並設方向に見て押圧面と係合面との間にレベリングレバにおける受け面及び被係合面が位置した状態とされる。
【0041】
その上で、レベリングレバにおけるレバ部分が前記のような被係合部を備えるようにレベリング装置を構成することにより、流体圧シリンダは、前記並設方向に関し、その押圧面とレベリングレバの受け面との位置を一致させた状態としても、係合部がレベリングレバの被係合部を除く部分と重複しない構成となる。なお、その流体圧シリンダの構成は、前記並設方向に関し押圧面の位置を受け面の位置に合わせると共に上下方向に関し押圧部が受け部の近傍に位置するような状態であっても、少なくとも係合部の位置が被係合部と重複しないような状態とすることで、その押圧部を受け部に接近させることに伴い、係合部がレベリングレバ(被係合部)に干渉することなく係合面を被係合部における被係合面の位置よりも前記した流体圧シリンダのシリンダ部側とは反対側に位置する状態を実現し得るものである。
【0042】
したがって、前記のようなレベリングレバの構成及びそれに伴って為される流体圧シリンダの構成によれば、前記のようにして係合面を被係合面よりも前記したシリンダ部側とは反対側に位置するような状態とした上で、上下方向に関し、押圧面の位置を受け面の位置に合わせた状態で係合面の位置を被係合面の位置に合わせるだけで、前記のような押圧面と係合面との間にレベリングレバにおける受け面及び被係合面が位置した状態とすることができるため、カムボックスに対する流体圧シリンダの取り付け作業を効率良く行うことができる。
【0043】
また、本発明による前記レベリング装置において、流体圧シリンダが前記のような円弧状の当接面を含む取付部を有すると共にカムボックスが前記のような円弧状の支持面を有し、前記のような第1の規制部及び第2の規制部から成る位置規制機構を備えるようにそのレベリング装置を構成することにより、カムボックスに対する流体圧シリンダの取り付け作業が容易となる。より詳しくは、以下の通りである。
【0044】
流体圧シリンダは、レベリング動作時にレベリングレバの揺動に合わせて回動するように、回動可能な状態でカムボックスに対し支持される。その上で、その流体圧シリンダの支持状態を為すにあたっては、一般的には、その支持のための構成は、流体圧シリンダをカムボックスに対し着脱可能なピン等を介して連結するような構成とされる。それに対し、レベリング装置を前記のような構成とすれば、流体圧シリンダの当接面をカムボックスの支持面に対し当接させた状態とすると共に第1の規制部及び第2の規制部の協働で前記並設方向における支持面に対する当接面の位置のズレを規制した状態とするだけでその支持状態を為すことができるため、ピン等を介して連結する構成と比べ、カムボックスに対する流体圧シリンダの取り付け作業を容易に行うことができる。
【0045】
なお、流体圧シリンダが押圧力を作用させてレベリングレバをカムレバ側に向けて揺動させるときには、その押圧力の反力がロッドの後退方向へ向けて流体圧シリンダに対し作用する。また、レベリングレバが前記待機位置へ向けて揺動するときには、前記したカムレバによる押力又はレベリングレバの自重による力が、ロッドの後退方向へ向けて流体圧シリンダに対し作用する。すなわち、レベリングレバの揺動時においては、流体圧シリンダに対しその取付部をカムボックスの支持面へ押し付ける方向の力が作用する。したがって、前記のような支持状態について、ロッドの延在方向に関しては、流体圧シリンダの当接面がカムボックスの支持面に当接しているだけであるが、前記のようにレベリングレバの揺動時においては前記のような力が流体圧シリンダに作用するため、その当接状態が維持される。その上で、前記並設方向に関しては、前記のように第1の規制部と第2の規制部とにより支持面に対する当接面の位置のズレが規制されるため、それらの結果として、流体圧シリンダにおける前記の支持状態が安定した状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明に係る一実施形態のレベリング装置を備えた織機の概略図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態のレベリング装置の上面図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態のレベリング装置の側面図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態のレベリング装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下では、
図1~
図4に基づき、本発明の一実施形態(実施例)について説明する。
【0048】
先ず、本発明が前提とする消極カム開口装置について、織機1における消極カム開口装置20は、周知のように、綜絖枠30に対しワイヤ31を介して連結されたカムレバ23をカム21の回転に伴って揺動駆動するように構成されており、そのカムレバ23の揺動によって綜絖枠30に開口運動(上下方向の変位)を行わせる開口装置である。但し、消極カム開口装置20は、複数枚の綜絖枠30のそれぞれにワイヤ33を介して連結されたバネ機構25を備えており、綜絖枠30毎に設けられたバネ部材25aのバネ力によって各綜絖枠30を上方へ向けて付勢するように構成されている。すなわち、バネ機構25は、綜絖枠30を常に上方へ向けて付勢する付勢力をワイヤ33を介して各綜絖枠30に作用させている。したがって、消極カム開口装置20においては、綜絖枠30の上方への変位がバネ機構25の付勢力によって為されている。
【0049】
その消極カム開口装置20において、カム21及びカムレバ23は、織機1における複数枚の綜絖枠30のそれぞれに対応させて複数組設けられており、織機フレーム10の外側に設けられたカムボックス27内に配置されている。但し、その各カム21及び各カムレバ23は、カムボックス27内において、綜絖枠30の並びと同じく織機1の前後方向に並べられるかたちで設けられている。さらに、その複数のカムレバ23は、織機1の前後方向(カム21及びカムレバ23の並設方向)に軸線を向けてカムボックス27内に架設された支持軸29により、カムボックス27内において揺動可能に支持されている。
【0050】
なお、各カムレバ23は、前記のようにバネ機構25に連結された対応する綜絖枠30に対しワイヤ31で連結されている。したがって、綜絖枠30を上方へ向けて付勢する付勢力は各カムレバ23にも作用しており、各カムレバ23は、その付勢力により、対応するカム21に対しそのカムフォロア23aが押接された状態となっている。
【0051】
そのような消極カム開口装置20を備えた織機1は、カムの交換作業が行われる際に各カムレバ23のカムフォロア23aをカム21から離間した状態とするためのレベリング装置40を備えている。また、レベリング装置40は、カムボックス27内で揺動可能に設けられると共にその揺動に伴って全てのカムレバ23に対し当接可能に設けられたレベリングレバ41と、レベリングレバ41に対しロッド43aによって押圧力を作用させる流体圧シリンダ43とを備えている。なお、そのレベリング装置40において、レベリングレバ41は、初期の位置であってレベリングレバ41がカムレバ23から離間した待機位置と予め定められた位置であってカムレバ23がレベリングレバ41によってカム21から離間した状態となる作動位置との間で揺動可能に設けられている。そのレベリングレバ41の構成について、詳しくは以下の通りである。
【0052】
レベリングレバ41は、支持軸29に対し回転可能に支持される部分である一対の支持部41a、41bと、全てのカムレバ23に対し当接可能に設けられる当接部分としての当接部41cと、流体圧シリンダ43による押圧力を受ける部分である受圧部41dとを有している。
【0053】
その各構成部分について、各支持部41a、41bは、板状の部材で形成されている。そして、その一対の支持部41a、41bは、その板厚方向を前記並設方向に一致させて対向した状態で、支持軸29に対し回転可能に支持されている。但し、その一対の支持部41a、41bは、そのように支持された状態において、前記並設方向におけるカムレバ23の存在範囲を挟んで両側に位置するように、前記並設方向において離間して設けられている。
【0054】
なお、支持軸29はカムレバ23を支持する軸であることから、前記並設方向に見て、各支持部41a、41bにおける支持軸29に支持される部分は、少なくともその一部において存在範囲がカムレバ23と重複している。その上で、各支持部41a、41bは、その支持軸29に支持される部分から前記並設方向に見てカムレバ23の存在範囲外にまで延在する部分であって当接部41cを支持するための部分である延在部分41a1、41b1を有している。
【0055】
当接部41cは、前記のように離間して配置される一対の支持部41a、41b間の間隔と略同じ長さ寸法を有する部材である。なお、本実施例では、その当接部41cは、板状の部材で形成されている。そして、当接部41cは、各支持部41a、41bにおける延在部分41a1、41b1に対しその両端が前記並設方向に見て同じ位置において固定されることで、前記のように支持軸29に支持された一対の支持部41a、41bによって支持された状態となっている。したがって、当接部41cは、その支持状態において、前記並設方向におけるカムレバ23の存在範囲に亘って存在している。
【0056】
但し、当接部41cは、レベリングレバ41が前記待機位置にある状態で、その板厚方向と直交する面の短辺の方向が上下方向と平行となるような向きで支持されている。また、当接部41cは、そのように支持された状態において、レベリングレバ41の揺動方向に関し前記待機位置から前記作動位置に向けた揺動方向(作動方向)にカムレバ23が存在するように配置された状態となっている。言い換えれば、各支持部41a、41bは、支持軸29に支持された状態での延在部分41a1、41b1による支持においてそのような当接部41cの配置を実現し得るように構成されている。
【0057】
さらに、前記のように支持された状態での当接部41cの配置は、レベリングレバ41が前記待機位置にある状態において、織機1の幅方向(前記並設方向及び上下方向に対し直交する方向)及び上下方向に関しカムレバ23から離間すると共に、レベリングレバ41の前記作動方向への揺動に伴ってカムレバ23に対し当接するような位置となっている。そして、当接部41cは、そのような配置で両支持部41a、41bに支持されることで、レベリングレバ41の揺動に伴って支持軸29の軸心を中心とした円弧運動を行うと共に、レベリングレバ41の前記作動方向への揺動によりカムレバ23に対し当接する。
【0058】
なお、カムレバ23は、前記並設方向と平行な面から突出すると共にその下面が平面状に形成された突出部23bを有している。その上で、そのカムレバ23における突出部23bの下面とレベリングレバ41における当接部41cとは、当接部41cをカムレバ23に当接させるべく前記のようにレベリングレバ41が前記作動方向へ向けて揺動されることにより、当接部41cの上面が突出部23bの下面に対し面で当接した状態となるような位置関係となっている。
【0059】
受圧部41dは、板状の部材で形成されており、一対の支持部41a、41bのうちの一方の支持部41aの上端から上方に向けて延在するように設けられた部分である。なお、本実施例では、その一方の支持部41aと受圧部41dとが一体的に形成されている。言い換えれば、単一の板状の部材が支持部41aと受圧部41dとを含む構成となっている。そして、その一方の支持部41aと受圧部41dとから成る部分が、レベリングレバ41におけるレバ部分に相当する。
【0060】
また、レベリング装置40において、前記のようにレベリングレバ41に対しロッド43aによって押圧力を作用させる流体圧シリンダ43は、カムボックス27に対し取り付け及び取り外し可能に構成されている。なお、本実施例の流体圧シリンダ43は、所謂単動式の流体圧シリンダであり、ロッド43aを後退方向へ付勢するバネ部材(図示略)をシリンダ43b内に備えている。すなわち、流体圧シリンダ43においては、そのバネ部材によってロッド43aが常に後退方向へ付勢されている。
【0061】
さらに、流体圧シリンダ43は、レベリングレバ41に対し押圧力を作用させるための部分である押圧部43cを有している。その押圧部43cは、断面が半円形状の部材で形成されており、円弧状の凸面43c1を有すると共にその凸面43c1の両側に位置する半円形状の両端面及び凸面43c1の両端縁に連続する平面43c2を有するかたちとなっている。但し、その押圧部43cにおける平面43c2は、前記両端面間の方が凸面43c1の両端縁間よりも長い矩形状となっている。
【0062】
その上で、押圧部43cは、その平面43c2の中央においてロッド43aの先端面に取り付けられている。それにより、流体圧シリンダ43は、その押圧部43cの凸面43c1によってレベリングレバ41に対し押圧力を作用させるように構成されている。したがって、その凸面43c1が、流体圧シリンダ43の押圧部43cにおける押圧面に相当する。また、平面43c2は、押圧部43cをロッド43aに対し取り付け固定するための面であることから、以下では、その平面43c2を固定面と言う。
【0063】
また、流体圧シリンダ43は、カムボックス27に対し支持される部分である取付部43dであってシリンダ43bの後端(ロッド43aが突出する側とは反対側の端部)に取り付けられた取付部43dを有している。その取付部43dは、(そのようにシリンダ43bに取り付けられている状態において、)ロッド43aの延在方向に見てシリンダ43bと略同じ径の円形を為している。
【0064】
また、取付部43dは、その後端面(前記延在方向と交差する面であってシリンダ43b側とは反対側の端面)がその一部に円弧面を有するように形成されている。具体的には、取付部43dは、その径方向における一端側の厚さ(前記延在方向における大きさ)が他端側の厚さと異なるように形成され、その後端面が前記延在方向において位置の異なる2つの部分(部分端面43d1、43d2)を有するように形成されている。その上で、その後端面においては、その部分端面43d1と部分端面43d2とが円弧面43d3で繋がれている。すなわち、取付部43dの後端面は、2つの部分端面43d1、43d2と円弧面43d3とで構成されている。但し、各部分端面43d1、43d2と円弧面43d3とは、その境界が前記径方向と直交するように形成されている。
【0065】
なお、流体圧シリンダ43は、後述のように、後端面における円弧面43d3をカムボックス27の一部に当接させた状態でカムボックス27内に設置される。したがって、取付部43dにおけるその円弧面43d3が、流体圧シリンダ43における当接面に相当する。
【0066】
また、レベリングレバ41は、その受圧部41dに形成された受け部41eであって、流体圧シリンダ43による押圧力を受ける部分である受け部41eを有している。但し、その受け部41eは、前記作動方向とは反対側を向く円弧状の凹面41e1を含んでおり、その凹面41e1において前記押圧力を受ける部分である。そして、その凹面41e1は、流体圧シリンダ43における押圧部43cの押圧面43c1の曲率よりも小さい曲率で湾曲するように形成されている。それにより、その凹面41e1は、押圧部43cの押圧面43c1を受け入れ可能となっている。したがって、その凹面41e1が、レベリングレバ41の受け部41eにおける受け面に相当する。
【0067】
ところで、カムボックス27は、流体圧シリンダ43を支持するための構成として、支持体27aを有している。その支持体27aは、前記幅方向において、レベリングレバ41に対しカム21が位置する側とは反対側の位置であってレベリングレバ41から離間した位置に配置されている。但し、その支持体27aは、軸状の部材であり、その軸線を前記並設方向と平行に向けた状態で、そのような配置でカムボックス27内に設けられている。また、支持体27aは、その周面の曲率が流体圧シリンダ43における取付部43dの当接面43d1の曲率と略同じであるような径の部材である。したがって、支持体27aは、流体圧シリンダ43における当接面43d3が面で当接可能となっている。なお、図示の例では、カムボックス27の底面上に板状のベース部材が取り付けられており、支持体27aは、そのベース部材上に取り付けられている。
【0068】
また、流体圧シリンダ43は、カムボックス27内に設置された状態においてその前記並設方向の変位を規制するためのフック部43eであって、取付部43dに対し取り付けられたフック部43eを有している。より詳しくは、取付部43dには、その周面の一部に、平面状の取付面43d4が形成されている。また、その取付面43d4は、前記径方向における前記一端側に位置すると共に、前記延在方向に見て後端面における前記一端側に位置する部分端面43d1と当接面(円弧面)43d3との境界と平行を為すように形成されている。その上で、フック部43eは、その取付面43d4に対し取り付けられている。
【0069】
そのフック部43eは、板材を屈曲させてL字型を為すように形成された部材である。そして、フック部43eは、その屈曲部よりも一端側の部分を取付部43dの後端面に対向させるかたちで、その屈曲部よりも他端側の部分において取付面43d4に取り付けられている。なお、フック部43eにおける前記一端側の部分は、取付部43dの前記径方向における取付面43d4から前記境界までの距離よりも大きい長さ寸法を有している。すなわち、フック部43eは、前記径方向に関し、前記一端側の部分が前記屈曲部から取付部43dにおける前記境界よりも前記他端側にまで延在するように構成されている。
【0070】
また、カムボックス27における支持体27aは、流体圧シリンダ43がカムボックス27内に設置された取り付け状態(以下、単に「設置状態」と言う。)において、流体圧シリンダ43のフック部43eにおける前記一端側の部分が挿入される挿入孔27a1を有している。したがって、その挿入孔27a1は、前記並設方向において、レベリングレバ41の存在範囲内に存在するような位置で支持体27aに対し形成されている。また、その挿入孔27a1の直径は、フック部43eの幅寸法(前記設置状態における前記並設方向の寸法)よりも若干大きい径となっている。なお、流体圧シリンダ43のフック部43eにおける前記一端側の部分は、前記設置状態において前記のように挿入孔27a1に挿入される部分であり、フック部43eにおける挿入部43e1となっている。
【0071】
また、レベリング装置40は、その流体圧シリンダ43に対し作動流体を供給する供給装置45を備えている。その供給装置45は、所謂手動式の油圧ポンプであり、それ自体は持ち運び可能であって、レベリング動作時(レベリングレバを揺動させる際)には床面上に置いて使用されるものである。そして、その供給装置45は、ホース47によって流体圧シリンダ43に対し接続された状態で設けられる。
【0072】
その供給装置45についてより詳しくは、供給装置45は、作動流体(作動油)が貯留されたタンク45aを備えており、前記のように床面上に置かれる際に基台となるベース45b上にそのタンク45aが設けられるように構成されている。そして、その供給装置45は、そのタンク45aに接続されたホース47により、流体圧シリンダ43のシリンダ43bに対し接続されている。
【0073】
また、供給装置45は、タンク45a内の作動流体をシリンダ43bへ供給するために操作される手動レバ45cを備えている。さらに、供給装置45は、タンク45aに付設されたリリースバルブ45dであって、タンク45aからシリンダ43bに供給された作動流体を再びタンク45a内へ戻し得る状態とするためのリリースバルブ45dを備えている。なお、そのリリースバルブ45dは、シリンダ43bへ作動流体を供給する際には閉状態とされる。そして、そのようにリリースバルブ45dが閉状態とされた状態では、供給装置45は、手動レバ45cの操作に伴ってシリンダ43bへ供給された作動流体がタンク45a内に戻らない状態となる。
【0074】
そのような供給装置45について、流体圧シリンダ43におけるロッド43aを進出させる(レベリングレバ41を前記作動位置へ向けて揺動させる)べくシリンダ43bへ作動流体を供給する際には、前記のようにリリースバルブ45dが閉状態とされている上で、手動レバ45cが操作される。それにより、タンク45aからシリンダ43bに対し作動流体が供給され、流体圧シリンダ43においては、その作動流体によってロッド43aが進出した状態とされる。そして、ロッド43aがそのように進出することに伴い、レベリングレバ41が前記待機位置から前記作動位置側へ向けて揺動される。
【0075】
一方、流体圧シリンダ43におけるロッド43aを後退させる(レベリングレバ41を前記待機位置側に戻す)際には、供給装置45において、タンク45aに付設されたリリースバルブ45dが開状態とされる。それにより、供給装置45は、シリンダ43bに供給された作動流体がタンク45a内に戻り得る状態となる。また、前述のように、流体圧シリンダ43においては、ロッド43aはシリンダ43b内のバネ部材によって常に後退方向へ付勢されている。すなわち、流体圧シリンダ43においては、バネ部材の力(以下、「復帰力」と言う。)が作動流体をタンク45a側へ戻そうとする力として常に作用している。したがって、前記のようにリリースバルブ45dが開状態とされる(供給装置45が作動流体をタンク45a内に戻り得る状態とされる)ことにより、前記復帰力によってシリンダ43b内の作動流体がタンク45a側へ戻り始め、それに伴い、ロッド43aが前記のように進出した位置から最後退位置へ向けて後退する。
【0076】
また、前述のように、流体圧シリンダ43がカムボックス27に対し取り外し可能であると共に供給装置45が持ち運び可能であることから、流体圧シリンダ43をカムボックス27から取り外すことで、流体圧シリンダ43及び供給装置45をその設置されていた織機外へ持ち運ぶことが可能となる。それにより、そのレベリング装置40の一部を為す流体圧シリンダ43及び供給装置45は、複数台の織機のそれぞれにおけるレベリング装置の一部として兼用可能となっている。
【0077】
以上のような構成を有するレベリング装置40が用いられる織機1において、例えば消極カム開口装置20におけるカムの交換作業を行う際には、そのレベリング装置40を用い、各カムレバ23のカムフォロア23aをカム21から離間した状態とするためのレベリング動作が実行される。そのレベリング装置40を用いたレベリング動作について、詳しくは以下の通り。
【0078】
まず、レベリング動作を行うにあたっては、流体圧シリンダ43がカムボックス27に対し取り付けられた前記設置状態とされる。具体的には、流体圧シリンダ43は、押圧部43cにおける押圧面43c1が前記待機位置にあるレベリングレバ41の受け部41eにおける受け面41e1に対し受け入れられた状態とされると共に、取付部43dにおける当接面43d3がカムボックス27における支持体27aの周面において受けられた状態で、カムボックス27に対し取り付けられる。すなわち、レベリングレバ41の前記待機位置は、その位置にある受け面41e1から支持体27aの周面までの距離が、ロッド43aが最後退位置にある状態での流体圧シリンダ43における押圧面43c1から当接面43d3までの距離と略同じとなるような位置に設定されている。また、その前記設置状態においては、流体圧シリンダ43は、前記並設方向に関し、そのロッド43aの中心がレベリングレバ41における受圧部41dの中心と一致して配置された状態とされる。
【0079】
次いで、前記のようにリリースバルブ45dが閉状態とされた上で、供給装置45の手動レバ45cが作業者によって操作される。それにより、前記したように流体圧シリンダ43のロッド43aが進出し、そのロッド43aの進出に伴ってレベリングレバ41が前記待機位置から前記作動位置側へ向けて(前記作動方向へ向けて)揺動される。
【0080】
そして、レベリングレバ41は、その当接部41cが全てのカムレバ23の突出部23bの下面に対し当接する位置にまで揺動される。但し、製織される織物の組織(綜絖枠の開口パターン)によっては、各カムレバ23の位置は、前記並設方向に見て揃っていない(異なる位置となっている)場合がある。その場合には、レベリングレバ41は、その揺動方向において自身に近いカムレバ23から順に当接する。
【0081】
その上で、レベリングレバ41は、前記のように全てのカムレバ23に当接した状態から更に前記作動方向へ向けて揺動される。なお、カムレバ23に対し当接した状態のレベリングレバ41を更に揺動させると、カムレバ23は、それに伴って揺動されてカムフォロア23aがカム21から離間した状態となる。したがって、前記のように全てのカムレバ23に対し当接した状態からレベリングレバ41が更に揺動されることにより、全てのカムレバ23のカムフォロア23aがカム21から離間した状態とされる。
【0082】
そして、レベリングレバ41は、レベリング装置40において設定されている前記作動位置まで揺動され、その位置でその揺動が停止される。言い換えれば、レベリングレバ41が揺動によってその前記作動位置に達するまで作業者による供給装置45(手動レバ45c)の操作が継続され、レベリングレバ41が前記作動位置に達した時点でその操作が停止される。それにより、その織機1は、各カムレバ23(カムフォロア23a)がカム21から離間すると共に前記並設方向に見て全てのカムレバ23の位置が揃ったレベリング状態となる。
【0083】
なお、前記作動位置について、本実施例では、その前記作動位置を示す指標を有する指標部材27bがカムボックス27に設けられている。そして、その指標部材27bは、前記並設方向に見て、レベリングレバ41における前記作動方向を向く端面の位置がその指標の位置に一致したときに、レベリングレバ41がレベリング装置40において設定された前記作動位置に位置するように設けられている。したがって、レベリングレバ41の揺動は、前記並設方向に見て、レベリングレバ41の前記端面が指標部材27bにおける指標に対し一致した状態となるまで行われる。
【0084】
また、本実施例のレベリング装置40は、前記のように前記作動位置まで揺動されたレベリングレバ41の位置を保持するための構成を有している。具体的には、レベリングレバ41には、レベリング装置40の構成要素の1つとして設けられた位置決めピン(図示略)を嵌挿可能なピン孔41fが形成されている。また、カムボックス27にも、レベリングレバ41と対向する側壁に、前記位置決めピンを嵌挿可能なピン孔(図示略)が形成されている。但し、そのカムボックス27におけるピン孔は、レベリングレバ41が前記作動位置に位置している状態で、前記並設方向に見てレベリングレバ41のピン孔41fの位置と一致する位置に形成されている。
【0085】
したがって、前記のようにレベリングレバ41を前記作動位置まで揺動させることで、前記並設方向に見て、レベリングレバ41のピン孔41fの位置とカムボックス27のピン孔の位置とが一致した状態となる。その上で、カムボックス27におけるピン孔に対しカムボックス27の外側から前記位置決めピンを挿入し、前記位置決めピンがカムボックス27のピン孔及びレベリングレバ41のピン孔41fに挿入された状態とする。それにより、前記のように前記作動位置に位置するレベリングレバ41は、前記位置決めピンによってもその位置が保持された状態となる。
【0086】
そして、その構成によれば、前記したレベリング状態において例えばカムの交換作業を行うために、レベリングレバ41は前記作動位置においてその位置が保持されている必要があるが、その保持が、流体圧シリンダ43のみで行われる場合と比べ、安定して行われた状態となる。また、レベリングレバ41の位置が前記位置決めピンによって保持された状態となるため、流体圧シリンダ43による保持を解消することが可能となる。それにより、必要に応じて、作業中の織機におけるカムボックス27から流体圧シリンダ43を取り外し、他の織機においてその流体圧シリンダ43及び供給装置45を使用することも可能となる。
【0087】
また、製織を開始するための準備として前記したレベリング状態を解消するにあたっては、そのレベリング状態(レベリングレバ41の位置が前記のように流体圧シリンダ43及び前記位置決めピンで保持された状態)で、作業者により、先ず、前記位置決めピンがカムボックス27のピン孔及びレベリングレバ41のピン孔41fから抜き取られ、次いで、供給装置45におけるリリースバルブ45dが開状態とされる。それにより、供給装置45は、シリンダ43b内の作動流体がタンク45aに戻され得る状態となる。そして、それに伴い、流体圧シリンダ43のロッド43aが後退方向へ変位を開始する。
【0088】
より詳しくは、流体圧シリンダ43においては、ロッド43aには、前述のように後退方向へ向けた前記復帰力が作用している。また、前述のようにカムレバ23に対しバネ機構25による前記付勢力が作用していることから、前記のようにカムレバ23に対し当接した状態のレベリングレバ41にも、カムレバ23を介して前記付勢力が作用している。そして、その前記付勢力は、レベリングレバ41を前記作動位置側から前記待機位置側へ向けた方向(待機方向)へ揺動させるようにレベリングレバ41に対し作用している。したがって、レベリングレバ41とカムレバ23とが当接した状態では、その前記付勢力は、押圧部43cにおいてレベリングレバ41と当接する流体圧シリンダ43のロッド43aに対しても作用している。
【0089】
なお、レベリングレバ41の揺動及び前記のような前記作動位置での保持は、供給装置45(流体圧シリンダ43)がレベリングレバ41に対し作用させる抗力によって為される。また、その抗力は、流体圧シリンダ43に対する作動流体の供給によって発生する。それに対し、前記のようにリリースバルブ45dが開状態とされてシリンダ43b内の作動流体がタンク45aに戻され得る状態となると、その抗力が失われるため、ロッド43aは自身に作用する前記復帰力及び前記付勢力によって後退方向へ変位する。
【0090】
そして、流体圧シリンダ43のロッド43aが後退すると、それに伴い、レベリングレバ41及びカムレバ23が、前記付勢力によって前記待機方向へ向けて揺動する。その結果として、消極カム開口装置20においては、全てのカムレバ23のカムフォロア23aがカム21に対し再び当接し、押接された状態となる。それにより、織機1は、前記したレベリング状態が解消された状態となる。
【0091】
また、レベリング装置40においても、前記のように前記付勢力によってレベリングレバ41が前記待機方向へ揺動する。但し、その前記付勢力は、カムレバ23に対し作用する前記付勢力がレベリングレバ41によって受けられるかたちでレベリングレバ41に作用している。そのため、前記のように全てのカムレバ23がカム21に対し当接し、カムレバ23に作用する前記付勢力がカム21によって受けられた状態となる結果として、前記付勢力がレベリングレバ41に対し作用しない状態となる。すなわち、前記作動位置から前記待機位置までの揺動過程における途中の時点(全てのカムレバ23がカム21に当接した時点)で、レベリングレバ41は、前記付勢力を受けない状態となる。
【0092】
そこで、本発明のレベリング装置は、レベリングレバ41を前記途中の時点の位置(以下、「中間位置」と言う。)から前記待機位置へ積極的に変位させる(すなわち、レベリングレバ41をカムレバ23の揺動範囲から離間させることが積極的に行われるようにする)ための機構(退避機構)を備えている。以下では、その一例である本実施例の前記退避機構について、具体的に説明する。
【0093】
その前記退避機構は、流体圧シリンダ43が備える係合部としての係合部材43fとレベリングレバ41が備える被係合部41gとを構成要素として構成されている。その各構成要素について、係合部材43fは、板材を屈曲させてL字型を為すように形成された部材であり、板厚方向に見て矩形状を為すアーム部43f1と、アーム部43f1の一端部からそのアーム部43f1の長手方向と直交する方向(アーム部43f1の板厚方向)に延在する延在部43f2とを有するように形成されている。
【0094】
そして、係合部材43fは、押圧部43cの前記両端面のうちの一方の端面に対し、アーム部43f1の他端部において取り付けられている。但し、その取り付けは、アーム部43f1に関し、その長手方向がロッド43aの前記延在方向と一致すると共に、押圧部43cに取り付けられる前記他端部に対し前記一端部(延在部43f2側)がロッド43aとは反対側に位置するように行われている。さらに、その取り付けは、押圧部43cにおける固定面43c2の長辺方向に関し延在部43f2が押圧部43c側を向くように行われている。したがって、その延在部43f2は、その係合部材43fの取り付け状態において、ロッド43aの前記延在方向に関し、押圧部43cよりもロッド43aとは反対側に位置している。
【0095】
なお、本実施例において、流体圧シリンダ43における押圧部43cは、その固定面43c2の長辺方向における寸法が、レベリングレバ41の受圧部41dの前記並設方向における寸法よりも大きくなるように形成されている。したがって、前記設置状態では、押圧部43cの両端部が前記並設方向において受圧部41dから突出した状態となる。その上で、係合部材43fにおける延在部43f2のアーム部43f1からの延在長さ(アーム部43f1の板厚方向における寸法)は、そのように受圧部41dから突出する押圧部43cの部分の前記並設方向における寸法よりも小さくなっている。
【0096】
さらに、係合部材43fにおけるアーム部43f1の長手方向の寸法は、延在部43f2が設けられる前記一端部が前記並設方向に見てレベリングレバ41(受圧部41d)の存在範囲内に位置する大きさとなっている。したがって、前記設置状態では、前記のように押圧部43cに取り付けられた係合部材43fにおける延在部43f2は、前記並設方向においてレベリングレバ41に対向すると共にレベリングレバ41から離間している。
【0097】
また、レベリングレバ41は、前記並設方向(前記レバ部分の板厚方向)と交差する自身の側面であって受圧部41dのカムレバ23とは反対側の側面に開口するように形成されたネジ孔(図示略)を有すると共に、そのネジ孔に対しネジ部材が螺挿された構成となっている。すなわち、レベリングレバ41は、その受圧部41dの前記反対側の側面からネジ部材の頭部が突出するように構成されている。
【0098】
但し、そのネジ部材(ネジ孔)は、レベリングレバ41が前記中間位置にあるときに、前記並設方向に見て、前記設置状態にある流体圧シリンダ43におけるアーム部43f1と重複する位置に設けられている。また、ネジ部材の頭部の高さ寸法(前記並設方向の寸法)と係合部材43fにおける延在部43f2の前記延在長さとは、前記設置状態で両者の位置が前記並設方向において重複する寸法関係となっている。すなわち、そのネジ部材の頭部は、前記設置状態でレベリングレバ41が前記中間位置にある状態からさらにロッド43aが後退したときに、係合部材43fにおける延在部43f2と係合し得るレベリングレバ41の部分となっている。したがって、本実施例においては、そのネジ部材の頭部が延在部43f2と係合する被係合部41gとして機能し、そのネジ部材の頭部のうちの延在部43f2に対し係合する部分を含む面が被係合面41g1として機能する。
【0099】
そして、以上で説明した係合部材43f及び被係合部41gとから成り、延在部43f2及び被係合面41g1を含む前記退避機構をレベリング装置40が備えることにより、前述のように前記中間位置において前記付勢力がレベリングレバ41に対し作用しない状態となっても、レベリングレバ41が(自重による消極的ではなく)積極的に前記待機位置へ向けて揺動される。
【0100】
より詳しくは、前述のように流体圧シリンダ43は、そのロッド43aに対し前記復帰力が常に作用するように構成されている。したがって、レベリングレバ41が前記中間位置に達し、レベリングレバ41に対し前記付勢力が作用しなくなるのに伴ってロッド43aに対しても前記付勢力が作用しなくなっても、前記復帰力によってロッド43aの積極的な後退が継続される。そして、レベリングレバ41が前記中間位置に達した時点(以下、「中間時点」と言う。)からのロッド43aの更なる後退により、流体圧シリンダ43における延在部43f2がレベリングレバ41における被係合面41g1に対し当接して係合した状態となる。
【0101】
したがって、前記中間時点以降では前記のようにレベリングレバ41に対し前記付勢力が作用しない状態となるが、前記の係合により、その係合時点以降においてロッド43aに作用する前記復帰力がそのロッド43aを介してレベリングレバ41に作用した状態となる。それにより、前記係合時点以降では、レベリングレバ41は前記復帰力によって積極的に揺動されることとなる。そして、その前記復帰力は、流体圧シリンダ43においてロッド43aが最後退位置に達するまでレベリングレバ41に対し作用し続ける。その結果として、レベリングレバ41は、ロッド43aが最後退位置に達した時点での延在部43f2の位置にその被係合面41g1が達するまで揺動される。しかも、そのときのレベリングレバ41の位置は、その当接部41cがカムレバ23の揺動範囲から離間した状態となる前記待機位置の近傍となっている。したがって、そのような前記退避機構を備えたレベリング装置40によれば、レベリングレバ41(当接部41c)がカムレバ23の揺動範囲外まで確実に揺動された状態とされる。
【0102】
なお、前記したレベリング状態を解消するのに伴ってレベリングレバ41が前記中間位置に達すると、前記のようにレベリングレバ41に対し前記付勢力が作用しなくなるため、レベリングレバ41は、その前記付勢力による揺動が停止された状態となる。一方で、流体圧シリンダ43は、レベリング状態を解消する際には、ロッド43aがレベリングレバ41に対し押圧力を作用させていない状態(ロッド43aに対し後退方向の前記復帰力のみが作用した状態)となっている。但し、レベリング装置40においては、前述のように、前記設置状態では流体圧シリンダ43の押圧部43cにおける押圧面43c1がレベリングレバ41の受け部41eにおける受け面41e1に対し受け入れられた状態となっている。したがって、レベリングレバ41が前記中間位置に達した時点で前記のようにレベリングレバ41が一時的に停止する状態となっても、流体圧シリンダ43とレベリングレバ41との係わり合いが直ちに解消されることは無い。
【0103】
しかし、レベリング装置40は、流体圧シリンダ43における係合部材43fとレベリングレバ41における被係合部41gとがレベリング動作時に干渉するのを避けるために、前記中間時点において延在部43f2と被係合面41g1とがロッド43aの前記延在方向に離間した状態となるように構成されている。言い換えれば、前記中間時点では、前記延在方向において延在部43f2と被係合面41g1との間に間隔が存在している。そのため、前記のように、前記中間時点においてレベリングレバ41が停止した状態となると共に、流体圧シリンダ43においてロッド43aに対し前記復帰力が作用し続けてロッド43aが後退する結果として、前記中間時点以降において、レベリングレバ41とロッド43aとの間で相対移動が生じる。そして、それに伴い、前記のようにレベリングレバ41の受け部41eに受け入れられている押圧部43cがその受け入れられた状態から変位し、その押圧部43cが受け部41eから離間しようとする状態となる。
【0104】
それに対し、前記退避機構は、前記のような相対移動が生じても、前記のような受け部41eによる押圧部43cが受け入れられた状態(受け入れ状態)が維持されるように構成されている。より詳しくは、前記の相対移動(受け部41eに対する押圧部43cの変位)は前記間隔分の量だけ生じるため、前記退避機構は、その前記間隔分の前記相対移動に伴う移動量が前記受け入れ状態を維持できる程度に抑えられるように構成されている。具体的には、前記間隔は前記中間位置での延在部43f2の位置と被係合面41g1との位置関係によって定まるため、前記退避機構においては、例えば、レベリングレバ41上における被係合部41gの配置を踏まえ、前記間隔が前記受け入れ状態の維持を可能とする大きさとなるように、係合部材43fの構成(アーム部43f1の長手方向における寸法)が決定されている。
【0105】
したがって、そのような前記退避機構の構成によれば、前記中間時点以降において前記相対移動が生じたとしても、押圧部43cが受け部41eから完全に離間する前に、前記のように延在部43f2が被係合面41g1に対し係合した状態となる。その上で、その前記係合時点以降ではレベリングレバ41がロッド43aと一緒に動作する状態(前記相対移動が発生していない状態)となるため、レベリング装置40においては、前記のように前記中間時点以降において前記相対移動が生じても前記受け入れ状態が維持されたままとなる。
【0106】
そして、そのように前記退避機構が前記受け入れ状態を維持し得るように構成されていることで、前記中間位置に達したレベリングレバ41を前記のように積極的に揺動させるべくレベリングレバ41に対し前記復帰力を作用させ得る状態とすること(延在部43f2と被係合面41g1とが係合すること)が確実に行われる。
【0107】
また、レベリング装置40において、流体圧シリンダ43は、前記設置状態において前記のように押圧部43c(押圧面43c1)がレベリングレバ41における受け部41e(受け面41e1)に受け入れられた状態とされる。すなわち、レベリング装置40は、レベリングレバ41に対し円弧面状の受け面41e1を含む受け部41eが形成されると共に、流体圧シリンダ43における押圧部43cがその受け部41eに受け入れられる円弧面状の押圧面43c1を有するように形成されている。そして、そのようなレベリング装置40の構成によれば、レベリング動作を実行するにあたって作業者が行う作業、特に、流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態(前記設置状態)とする作業に関し、その作業において作業者に掛かる負担を軽減することができるといった効果が得られる。
【0108】
より詳しくは、レベリング動作時においては、流体圧シリンダがレベリングレバに対し押圧力を作用させるにあたり、その押圧力をレベリングレバにおける予め定められた所定の位置に作用させるようにした方が好ましい。そして、それを実現するにあたっては、流体圧シリンダをカムボックスに対し取り付けた状態とする作業において、流体圧シリンダをカムボックスに対し取り付けた上でロッドの先端がレベリングレバの前記所定の位置に当接している状態とし、その上で、少なくともレベリングレバに対し押圧力を作用させるまでその状態を保持しておく必要がある。
【0109】
なお、そのように当接した状態を保持するための構成をレベリング装置自体が備えていない場合には、その状態を保持するために、前記のように流体圧シリンダによってレベリングレバに対し押圧力を作用させるまで作業者が流体圧シリンダを持ち続ける必要がある。加えて、そのように流体圧シリンダを持ち続けた状態で供給装置を操作するといったことを行うこととなる。それに対し、本実施例のレベリング装置40は前記のように構成されているため、流体圧シリンダ43における押圧部43cがレベリングレバ41における受け部41eに受け入れられた状態とすることで、押圧部43c(ロッド43aの先端)がレベリングレバ41の前記所定の位置に対し当接した状態がその押圧部43cと受け部41eとの係わり合いによって保持された状態となる。したがって、そのレベリング装置40の構成によれば、流体圧シリンダ43をカムボックス27に取り付けた状態とする作業において、前記したような作業者による保持が不要となるため、その作業を作業者が容易に行え、作業者に掛かる負担が軽減されることとなる。
【0110】
また、レベリング装置40においては、レベリングレバ41は、前記した被係合面41g1を有する被係合部41gが受圧部41dの前記反対側の側面から突出するように構成されている。すなわち、そのレベリングレバ41は、その被係合部41gにおける被係合面41g1の位置が受け部41eにおける受け面41e1の位置に対し前記並設方向において重複しないように構成されている。そして、そのようなレベリングレバ41を含むレベリング装置40の構成によれば、前記のように流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態とする作業に関し、作業者がその作業を効率良く行うことができるといった効果が得られる。
【0111】
より詳しくは、レベリングレバに設けられる被係合面については、例えば本実施例の構成において、レベリングレバ41が前記した被係合部41gのようなレバ部分の側面から突出する部分を備えていない場合には、レバ部分(特に、受圧部41d)における前記作動方向を向く端面を被係合面とする必要がある。但し、その場合には、そのレベリングレバ41においては、その被係合面の位置と受け面41eの位置とが前記並設方向において一致した状態となる。そして、その場合には、流体圧シリンダ43においても、係合部材におけるアーム部の前記板厚方向に関し、その被係合面に対応する係合部の位置が受け面41eに対応する押圧部43cの位置と一致するように、その流体圧シリンダ43が構成されている必要がある。
【0112】
なお、流体圧シリンダ43を前記設置状態とするにあたっては、押圧部43cが受け部41eに挿入されることで受け入れられた状態(前記受け入れ状態)とされる。その上で、レベリングレバ41の構成が前記のような構成(係合部の位置と押圧部43cの位置とが前記板厚方向に一致する構成)である場合、前記受け入れ状態を実現するにあたり、次のようなことが考えられる。
【0113】
先ず、前記並設方向において押圧部43cの位置をレベリングレバ41の位置に合わせた状態で正面から押圧部43cを受け部41eに対し挿入させるといった手法が考えられる。しかし、その手法では、前記延在方向における押圧部43cに対するレベリングレバ41側に係合部が存在しており、その係合部がレバ部分に干渉することとなる。そのため、そのように正面からの前記挿入を行うことはできない。
【0114】
また、レベリングレバ41(レバ部分)の上方から押圧部43cを受け部41eに接近させるといった手法も考えられる。具体的には、レベリングレバ41の上方で、前記並設方向において押圧部43cの位置をレベリングレバ41の位置に合わせると共に上方から見て押圧部43cと係合部との間にレベリングレバ41が存在するような状態とする。その上で、押圧部43cを受け部41eの位置まで下降させるといった手法である。しかし、その手法でも、前述のような作用を奏する本実施例の構成では、前記挿入を行うことはできない。
【0115】
詳しくは、本実施例のレベリングレバ41においては、その受け部41eにおける受け面41e1が円弧状の凹面として形成されている。そのことから、レバ部分の前記幅方向の寸法(前記作動方向における両端面間の距離)については、その受け面41e1が形成された位置の寸法(受け面41e1と被係合面との距離)が受け面41e1よりも上方の部分(上側部分)の寸法よりも小さくなっている。また、前述のようにレベリング装置40において、前記中間位置での係合部と被係合面との間隔は、前記中間時点以降においても受け部41eに対する押圧部43cの前記受け入れ状態が維持されるような大きさとなっている。したがって、流体圧シリンダ43における押圧部43cと係合部との間隔は、レベリングレバ41における受け面41e1と被係合面との距離よりも若干大きい程度の大きさに設定されている。その結果として、その押圧部43cと係合部との間隔は、レバ部分の前記上側部分における前記幅方向の寸法と比べて小さくなっている。そのため、前記のようにレベリングレバ41(レバ部分)の上方から押圧部43cを受け部41eに接近させようとしても、レバ部分の前記上側部分に対し押圧部43c又は係合部が干渉することとなるため、そのように上方からの前記挿入を行うことはできない。
【0116】
そこで、前記受け入れ状態を実現するにあたっては、レベリングレバ41の側方から押圧部43cを受け部41eに対し接近させるといった手法で行う必要がある。具体的には、レベリングレバ41の側方(例えば、カムボックス27の側壁とレベリングレバ41との間)で、上下方向において押圧部43cの位置を受け部41eの位置に合わせると共に前記並設方向に見て押圧部43cと係合部との間にレベリングレバ41が存在するような状態とする。その上で、押圧部43cを受け部41eに向けて接近させるといった手法である。
【0117】
しかし、カムボックス27の構造において、その側壁とカムレバ23との間に余計な空間を設けない場合が多く、また、レベリングレバ41はその空間に設けられるため、レベリングレバ41とカムボックス27との間の間隔が狭い場合が多い。その場合、この手法での前記受け入れ状態を実現するための作業において行わなければならない前記の位置合わせに関し、受け部41eと押圧部43cとの位置関係を目視により把握し難い状態で作業者がその位置合わせを行うこととなるため、その結果として、その作業は、全体として効率性という点でやや劣る。
【0118】
それに対し、本実施例のレベリング装置40においては、レベリングレバ41における被係合部41gが前記のように設けられており、レベリングレバ41は、被係合面41g1の位置と受け面41eの位置とが前記並設方向において重複しないように構成されている。そして、それに伴い、流体圧シリンダ43は、その延在部43f2の位置と押圧部43cの位置とが前記板厚方向において重複しないように構成されている。そして、そのように構成されたレベリング装置40では、前記並設方向に関し、レベリングレバ41の正面において押圧部43cの位置をレバ部分の位置に合わせた状態としても、延在部43f2は、レバ部分に対し重複しない位置(受け部41eと押圧部43cとの間に存在しない位置)に配置される。したがって、そのレベリング装置40によれば、前記したようなレベリングレバ41の正面からの前記挿入が可能となる。すなわち、前記のような作業効率で劣る手法でなくても前記受け入れ状態を実現することが可能となる。それにより、流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態とする作業に関し、作業者がその作業を効率良く行うことができる。
【0119】
その上で、レベリング装置40においては、流体圧シリンダ43を前記設置状態とするにあたって、前記のように流体圧シリンダ43の押圧部43cがレベリングレバ41の受け部41eに受け入れられた状態とした後、その前記受け入れ状態を維持しつつ流体圧シリンダ43を回動させて取付部43dをカムボックス27における支持位置(支持体27aの位置)にもたらした上で、流体圧シリンダ43がカムボックス27(支持体27a)に支持された状態とするといった作業が行われる。但し、その支持状態は、レベリングレバ41の揺動に伴う流体圧シリンダ43の回動を許容するようなかたちとなっている必要がある。
【0120】
そして、本実施例では、その支持状態は、前述のように流体圧シリンダ43の取付部43dにおける円弧状の当接面43d3がカムボックス27の支持体27aの周面に受けられた状態(曲率が同じ円弧状の面である取付部43dの当接面43d3と支持体27aの周面とが面で当接した状態)とされることで為されている。すなわち、レベリング装置40は、そのような支持状態が達成されるように構成されている。そして、そのようなレベリング装置40の構成によれば、前記のように流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態とする作業に関し、作業者がその作業を容易に行うことができる。
【0121】
詳しくは、機械装置において、回動を許容する状態で流体圧シリンダを支持する構成としては、ピンを介した枢着支持による構成が一般的に採用されている。また、その構成において流体圧シリンダを着脱可能とする場合には、その支持構成は、ピンが着脱可能となるように構成される。したがって、本発明が前提とするレベリング装置においても、流体圧シリンダを着脱可能とするにあたり、そのような支持構成を採用することが考えられる。しかし、そのような支持構成では、流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態とする作業に関し、その作業の度にピンの着脱を行わなければならないため、その作業は、効率性の面でやや劣るものとなる。
【0122】
それに対し、前記のような本実施例のレベリング装置40における支持構成によれば、前記受け入れ状態とされた流体圧シリンダ43を前記のように回動させると共に取付部43dの当接面43d3を支持体27aの周面に受けられた状態とするだけで前記した支持状態が為される。したがって、本実施例のレベリング装置40によれば、前記のように流体圧シリンダ43をカムボックス27に対し取り付けた状態とする作業に関し、前記したようなピンを着脱可能とする支持構成が採用されたレベリング装置と比べ、作業者がその作業を効率的に行うことができる。
【0123】
さらに、本実施例における流体圧シリンダ43の支持構成は、前述のような支持体27aに形成された挿入孔27a1及び流体圧シリンダ43に取り付けられたフック部43eを有している。そして、その支持構成においては、その支持状態(前記設置状態)において、そのフック部43eの挿入部43e1(前記一端側の部分)が支持体27aの挿入孔27a1に挿入される。したがって、フック部43eにおける前記他端側の部分の長さ寸法は、取付部43dの当接面43d3を支持体27aの周面に当接させた状態において、挿入部43e1が支持体27aの挿入孔27a1に対し挿入可能であるような大きさに設定されている。但し、その挿入部43e1は、前記のように支持体27aの挿入孔27a1に挿入された状態において、レベリング動作に伴って流体圧シリンダ43が回動した際にその挿入孔27a1に対して干渉しない大きさとなっている。
【0124】
そして、その構成によれば、前記のような取付部43dの当接面43d3を支持体27aの周面に当接させるかたちでの支持状態を安定させることができる。
【0125】
詳しくは、前記のように面を当接させただけの支持状態では、流体圧シリンダ43がレベリングレバ41に対し押圧力を作用させた際、流体圧シリンダ43に対し作用するその反力が前記延在方向(ロッド43aの軸線方向)と平行に作用する状態であれば問題は無いが、前記設置状態において流体圧シリンダ43の姿勢が若干傾いている等により前記反力の作用する方向がその軸線方向と一致していない場合、支持体27aの周面に対し当接している当接面43d3の位置が前記並設方向にズレてしまう(当接面43d3の位置ズレが生じてしまう)可能性がある。そして、そのような当接面43d3の位置ズレが発生してしまうと、そのズレの大きさによっては、流体圧シリンダ43とレベリングレバ41との係合が外れてしまう虞がある。
【0126】
それに対し、前記のようなフック部43e及び挿入孔27a1を含む支持構成によれば、前記のような当接面43d3の位置ズレが生じようとしても、その位置ズレに伴うフック部43eの挿入部43e1の変位が、その挿入部43e1が挿入されている支持体27aの挿入孔27a1の内周面によって規制される。したがって、その構成によれば、前記のような面を当接させただけの支持構成において、流体圧シリンダ43における当接面43d3が前記のような流体圧シリンダ43とレベリングレバ41との係合が外れる程度まで位置ズレすることが防止されるため、本実施例のレベリング装置40においては、流体圧シリンダ43の支持が安定して行われた状態となる。
【0127】
このように、本実施例のレベリング装置40は、前記設置状態において、フック部43eの挿入部43e1が支持体27aの挿入孔27a1に受け入れられ、前記並設方向におけるその挿入部43e1の両側に支持体27aの挿入孔27a1の内周面の一部が存在するように構成されている。したがって、フック部43eの挿入部43e1が第1の規制部に相当し、支持体27aの挿入孔27a1が第2の規制部に相当する。その上で、その挿入孔27a1の内周面のうち、前記並設方向における挿入部43e1の両側に位置する部分が、第2の規制部における一対の規制部材に相当する。そして、その第1の規制部(挿入部43e1)及び第2の規制部(挿入孔27a1)の組み合わせが、両者の協働で前記流体圧シリンダの前記並設方向の変位を規制するレベリング装置40における位置規制機構に相当する。
【0128】
以上では、本発明による織機の消極カム開口装置に用いられるレベリング装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明したが、本発明は前記実施例において説明したものに限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0129】
(1)レベリングレバをカムレバの揺動範囲から積極的に離間させた状態とするための機構(退避機構)について、前記実施例では、その前記退避機構は、前記並設方向に関しレベリングレバ41における前記反対側の側面の側において、レベリングレバ41の被係合部41gと流体圧シリンダ43の係合部(係合部材43f)とが係合するように構成されている。具体的には、その前記退避機構は、レベリングレバ41における被係合部41gが受圧部41dの前記反対側の側面から突出するように設けられると共に、流体圧シリンダ43における係合部が押圧部43cの前記一方の端面に取り付けられるように構成されている。
【0130】
しかし、その退避機構は、前記並設方向に関し、被係合部と係合部とがレベリングレバ41におけるカムレバ23側の側面の側において係合するように構成されていても良い。例えば、前記実施例と同様に被係合部がレベリングレバの側面から突出する部分である突出部(ネジ部材の頭部)で構成されると共に係合部が前記実施例で説明したような係合部材で構成されるものとした上で、その突出部がレベリングレバのカムレバ23側の側面から突出するように設けられると共に、係合部材が押圧部の前記両端面のうちの他方の端面に取り付けられることで退避機構を構成するようにしても良い。
【0131】
さらに、その退避機構は、前記並設方向に関し、被係合部と係合部とがレベリングレバの両端面の側(両側)で係合するように構成されていても良い。例えば、前記実施例と同様に被係合部が前記の突出部(ネジ部材の頭部)で構成されると共に係合部が前記実施例と同様の係合部材で構成されるものとした上で、その突出部がレベリングレバの両側面のそれぞれから突出するように設けられると共に、係合部材が押圧部の前記両端面のそれぞれに取り付けられることで退避機構を構成するようにしても良い。
【0132】
また、退避機構は、被係合部が前記実施例のようにレベリングレバの側面から突出するように設けられて構成されたものに限らず、前述のようなレベリングレバにおける前記作動方向を向く端面が被係合面として機能するように構成されたものであっても良い。すなわち、退避機構は、係合部材における延在部をレベリングレバにおける前記作動方向を向く端面に対し当接可能に構成した上で、ロッドの後退に伴って延在部が当接することによりレベリングレバにおける前記端面が被係合面として機能するように構成されていても良い。なお、退避機構をそのように構成した場合、前記実施例のレベリング装置40の構成と比較して、流体圧シリンダの前記受け入れ状態を実現するための作業の効率性が前述のように劣ることとなる。しかし、その場合におけるその作業の効率性は、カムボックス27の内部の構成によって異なる。したがって、そのカムボックス27の内部の構成等を踏まえ、その効率性(劣る程度)がその作業において許容できる程度であれば、退避装置をそのような構成としても良い。
【0133】
また、退避機構における係合部について、前記実施例では、その係合部(係合部材43f)は、被係合部41gに対し係合する部分である延在部43f2とその延在部43f2を支持する部分であるアーム部43f1とを含む単一の部材となっている。しかし、係合部は、そのように単一の部材で形成されたものに限らず、延在部に相当する部材とアーム部に相当する部材とを別部材として形成し、それらが一体的に組み合わされるかたちで構成されたものであっても良い。
【0134】
因みに、前記実施例の係合部材43fについて、前記ではその全体が係合部に相当するとしたが、レベリングレバ41の被係合部41gと直接的に係合するのは延在部43f2のみであるため、その延在部43f2のみを係合部とみなすこともできる。すなわち、前記実施例の係合部材43fは、係合部(延在部43f2)とその係合部を支持する支持片(アーム部43f1)とを含む部材として捉えることができる。また、それは、その係合部材が前記のように2つの部材を組み合わせて構成されていても同じである。
【0135】
そして、そのように捉えた場合において、前記実施例ではその係合部(延在部43f2)がその係合部を支持する支持片(アーム部43f1)と一体的に形成されており、前記例では係合部が支持片に対し一体的に組み合わされるものとしたが、本発明における流体圧シリンダは、ロッドに対し固定的に設けられた支持片に対しその係合部が着脱可能であるように構成されていても良い。例えば、係合部を棒状の部材で形成されたものにすると共に、その係合部を支持する支持片として前記実施例の係合部材におけるアーム部と同様の板状の部材を採用する。その上で、その支持片に対し前記板厚方向に貫通する支持孔であって棒状の部材が嵌挿可能な支持孔を形成し、その支持孔に対し棒状の係合部を着脱可能(嵌脱可能)にするといった構成が考えられる。
【0136】
また、退避機構における被係合部の被係合面は、以上で説明したようなレベリングレバの側面から突出する部分の周面や、レベリングレバにおける前記作動方向を向く面のような、レベリングレバの外側に存在する面には限らない。すなわち、被係合面は、レベリングレバの一部であって前記作動方向を向く面であれば良いことから、レベリングレバに形成された孔の内周面の一部であっても良い。より詳しくは、レベリングレバに対しその前記板厚方向に貫通するように貫通孔を形成した上で、流体圧シリンダ側の係合部との関係でその貫通孔の内周面の一部が被係合面として機能するように退避機構が構成されていても良い。
【0137】
但し、そのようにレベリングレバにおける貫通孔の内周面の一部を被係合面とする場合には、係合部は、当然ながらその貫通孔内にまで延在する(貫通孔内にその一部が位置する状態となる)ように形成される。そして、その場合には、流体圧シリンダを前記設置状態とする作業を考慮し、係合部は、前述のように流体圧シリンダにおいて着脱可能となっている方が好ましい。さらに、その場合には、貫通孔の内周面との当接を考慮し、係合部を丸棒状(ピン形状)に形成する、すなわち、係合部を丸棒材(ピン)で構成する方が好ましい。
【0138】
なお、前記実施例のレベリング装置40は、レベリング動作時において流体圧シリンダ43の係合部材43fとレベリングレバ41とがレベリングレバ41の揺動方向に関し係合しないように構成されている。したがって、前記実施例の構成に基づけば、前記のように被係合面がレベリングレバにおける貫通孔の内周面の一部であると共に係合部がピンで構成されている本例の場合には、流体圧シリンダは、レベリングレバに対し押圧力を作用させ得るようにそのロッドの先端側の部分(前記実施例で言う押圧部43c)でレベリングレバに対し当接している押接状態において、レベリングレバにおける貫通孔の位置との関係で、そのピンが貫通孔の内周面に当接しないように構成される。言い換えれば、レベリング装置は、前記押接状態において、被係合面を含む貫通孔とピン(係合部)との位置関係がそのように両者が当接しない位置関係となるように構成される。
【0139】
しかし、被係合面及び係合部が前記本例のように構成されている場合において、その場合の前記押接状態でのレベリングレバにおける貫通孔と流体圧シリンダにおけるピンとの位置関係は、前記のような位置関係には限らない。例えば、その位置関係は、前記押接状態において係合部が貫通孔の内周面における被係合面と対向する部分(対向面)に当接するような位置関係であっても良い。そして、その場合には、前記実施例と同様に、流体圧シリンダがそのロッドの先端側に設けられた押圧部でレベリングレバに対し当接する構成であるならば、流体圧シリンダは、前記押接状態では、その押圧部に加え、ピンにおいてもレベリングレバ(貫通孔の前記対向面)に当接した状態となる。すなわち、その状態では、流体圧シリンダは、その押圧部とピンとでレベリングレバに対し押圧力を作用させることとなる。したがって、その場合には、流体圧シリンダは、係合部を含むピンの一部(前記対向面と当接する面を含む部分)が押圧部として機能するように構成されたものとなる。
【0140】
また、被係合面及び係合部が前記本例のように構成されている場合において、流体圧シリンダが前記のピンのみでレベリングレバと当接する構成とすることも可能である。すなわち、流体圧シリンダにおけるロッドの先端側の部分からピンまでの前記延在方向における距離が、レベリングレバにおける前記作動方向とは反対側を向く面(前記設置状態で前記延在方向においてロッドと対向する面)から前記対向面までの距離よりも大きくなるようにレベリング装置が構成されていても良い。そして、その場合には、流体圧シリンダは、その押圧部が係合部を含むピンにのみ存在するように構成されたものとなる。さらに、その構成においては、貫通孔内に前記実施例の受け部41eに相当する凹部を形成することも可能である。
【0141】
また、前記のように流体圧シリンダにおけるピンが押圧部も含むように構成されている場合において、そのピンが貫通孔における被係合面及び前記対向面に対し常に当接しているようにレベリング装置が構成されていても良い。具体的には、流体圧シリンダにおけるピンの直径に対し、レベリングレバにおける貫通孔をその被係合面と前記対向面との間隔がその直径と略一致するように形成する(例えば、その直径と略同径の丸孔とする)ようにレベリング装置を構成しても良い。
【0142】
なお、着脱可能なピンが係合部を含むように流体圧シリンダを構成した場合、流体圧シリンダを前記設置状態とする作業は、流体圧シリンダにおける前記した支持片のピンを支持するための孔(支持孔)とレベリングレバにおける貫通孔との位置を合わせた状態とし、その上でピンを挿入するといったかたちで行われる。しかし、その位置を合わせた状態では、支持片により貫通孔の位置が目視で確認し難い状態となっていることが考えられる。
【0143】
そこで、その作業(ピンの挿入)の効率性を考慮する場合には、前記並設方向に見て前記の支持孔の内周面が貫通孔の内周面よりも内側に位置する状態でそのピンの挿入作業が行えるようにレベリング装置が構成されているのが好ましい。具体的には、貫通孔は、その被係合面と前記対向面との間隔がピンの直径よりも大きい孔として形成されているのが好ましい。その上で、流体圧シリンダの先端側の部分の構成と貫通孔が形成されたレベリングレバの構成との関係で、レベリングレバにおける前記作動方向とは反対側を向く前記した面から前記対向面までの距離が流体圧シリンダにおけるロッドの先端側の部分からピンまでの前記延在方向における距離よりも小さくなるようにレベリング装置が構成されているのが好ましい。
【0144】
なお、レベリング装置がそのように構成されている場合、そのレベリング装置においては、前記実施例と同様に、前記押接状態でピン(係合部)と貫通孔における被係合面とが離間した状態となる。すなわち、本発明においては、レベリング装置は、流体圧シリンダがロッドの先端側の部分においてレベリングレバに対し押圧力を作用させた状態で、前記設置状態における前記ロッドの前記延在方向に関し、被係合面と係合部とが離間するようにレベリング装置が構成されているのが好ましい。
【0145】
また、前記のように係合部を含むピンがレベリングレバに対し押圧力を作用させるように流体圧シリンダを構成する場合、その流体圧シリンダは、着脱可能であるピンが安定して支持された状態となるように、そのピンを両端で支持するように構成されているのが好ましい。具体的には、流体圧シリンダを、そのピンの両端を支持するための構成として、前記した支持片(前記実施例で言うアーム部43f1)をロッドの先端側の部分において一対備えるように構成すれば良い。但し、流体圧シリンダにおけるその一対の支持片は、前記設置状態においてその間にレベリングレバが配置されるように流体圧シリンダにおいて設けられる。
【0146】
(2)前述のように、レベリング装置は、前記設置状態においては、流体圧シリンダがレベリングレバに対し当接する状態(レベリングレバに対し押圧力を作用させ得る状態)に保持されている必要がある。そのために前記実施例では、レベリング装置40は、流体圧シリンダ43における押圧部43cがレベリングレバ41における受け部41eに受け入れられることで、前記設置状態において流体圧シリンダ43がそのロッド43aの先端側でレベリングレバ41によって支持されるように構成されている。具体的には、そのレベリング装置40においては、流体圧シリンダ43が円弧面(凸面)として形成された押圧面43c1を含む押圧部43cを有し、レベリングレバ41が円弧面(凹面)として形成された受け面41e1を含む受け部41eを有している。しかし、本発明のレベリング装置は、そのように構成されたものに限らない。
【0147】
詳しくは、前記実施例と同様に前記設置状態において流体圧シリンダがロッドの先端側でレベリングレバによって支持されるように構成される場合であっても、その構成は、流体圧シリンダ及びレベリングレバにおける凸面と凹面との関係が前記実施例の構成とは逆に構成されていても良い。具体的には、流体圧シリンダにおける押圧部の押圧面を円弧状の凹面に形成すると共に、レベリングレバにおける受け部の受け面を円弧状の凸面に形成しても良い。
【0148】
また、流体圧シリンダを前記状態に保持するための保持構成は、以上で説明したような流体圧シリンダ及びレベリングレバのうちの一方に形成された凸面が他方に形成された凹面に対し受け入れられるような構成(凸面と凹面とで流体圧シリンダとレベリングレバとが係合状態となる構成)には限らない。例えば、その保持構成は、前記設置状態にある流体圧シリンダの方へ突出するようにレベリングレバに形成された部分であって流体圧シリンダの一部分(ロッドの先端部等)を支持できるように形成された部分をレベリングレバが有し、その両部分によって流体圧シリンダとレベリングレバとを係合状態とすることが可能な構成であっても良い。
【0149】
また、以上で説明した例では、その保持構成は、いずれも前記設置状態において流体圧シリンダをレベリングレバによって支持する構成となっている。しかし、その保持構成は、そのような構成に限らず、例えば、レベリングレバとは独立した保持部材をカムボックス内に設け、その保持部材によって流体圧シリンダの先端側もカムボックスに対し支持された状態とするように構成されていても良い。
【0150】
さらには、本発明によるレベリング装置は、以上のような保持構成を備えるように構成されたものに限らない。すなわち、本発明のレベリング装置は、保持構成を備えず、レベリング動作時において作業者が流体圧シリンダを手で持って前記状態に保持するように用いられるものであっても良い。
【0151】
(3)流体圧シリンダを回動可能な状態でカムボックスにおいて支持するための支持構成について、前記実施例では、その支持構成は、流体圧シリンダ43が円弧面(凹面)として形成された当接面43d3を含む取付部43dを有し、レベリングレバ41がその当接面43d3と曲率が同じ円弧面(凸面)として形成された周面を含む支持体27aを有するように構成されている。また、その支持構成は、カムボックスに対する流体圧シリンダの前記並設方向の変位を規制するための位置規制機構であって支持体27aに形成された挿入孔27a1と流体圧シリンダ43に取り付けられるフック部43eとから成る位置規制機構を含んでいる。しかし、本発明のレベリング装置において、その支持構成は、そのように構成されたものには限らない。
【0152】
詳しくは、その支持構成は、前記実施例と同様に流体圧シリンダにおける取付部とカムボックスにおける支持体とが円弧状の凹凸面で当接する構成であるとしても、その凹面と凸面との関係が前記実施例の構成とは逆であるように構成されていても良い。具体的には、その支持構成は、流体圧シリンダにおける取付部の当接面が円弧状の凸面に形成されると共に、カムボックスにおける支持体がその周面に円弧状の凹面を有するように構成されていても良い。
【0153】
また、支持構成に含まれる位置規制機構についても、その構成は、前記実施例のように構成されたものには限らず、例えば、前記実施例の構成とは逆の構成、すなわち、カムボックス側の支持部がフック部を有すると共に、そのフック部(挿入部)が挿入可能な挿入孔を流体圧シリンダに形成した構成であっても良い。なお、その構成の場合には、そのフック部における挿入部が第1の規制部に相当すると共に挿入孔の内周面の一部が第2の規制部に相当するという点では前記実施例と同じであるが、前記実施例とは逆に、第1の規制部がカムボックス側に設けられると共に、第2の規制部が流体圧シリンダ側に設けられる構成となる。
【0154】
さらに、位置規制機構は、以上のようなフック部と挿入孔との組み合わせで構成されるものに限らない。例えば、位置規制機構は、流体圧シリンダ及びカムボックスのうちの一方に対し取り付けられると共に前記設置状態においてその一方の側から他方の側へ延在するように設けられた平板状の部材(平板部材)と、その平板部材の端部を受け入れ可能な中空部を有する部材であって前記設置状態において前記平板部材の端部を受け入れるように前記他方に設けられた中空状の部材(中空部材)との組み合わせで構成されていても良い。
【0155】
その構成の場合には、前記設置状態において、前記他方の側の前記中空部材に受け入れられた前記一方の側の前記平板部材の前記並設方向における位置が前記中空部材における中空部の内周面(前記並設方向において前記平板部材の両側に位置する面)によって規制され、それにより、流体圧シリンダの前記並設方向の変位が規制されることとなる。そして、この構成の場合、その前記一方における前記平板部材の端部が第1の規制部に相当し、前記他方における中空部が第2の規制部に相当する。その上で、その前記他方における中空部の内周面のうち前記並設方向において前記平板部材の両側に位置する面が、第2の規制部における一対の規制部材に相当する。
【0156】
また、そのように前記平板部材の端部が前記中空部材の中空部に受け入れられるように位置規制機構が構成される場合において、その構成は、前記の例のように前記他方の側の部材(前記中空部材)における中空部を有する部分(前記の例では、その部分=前記中空部材)が前記他方に取り付けられるように構成されたものに限らない。その構成は、前記他方にも前記設置状態において前記一方の側へ延在する板材を設け、その板材が前記一方の側の端部に第1の規制部を受け入れ可能な中空部を有するように構成しても良い。
【0157】
また、支持構成は、前記一方における前記設置状態において前記他方と対向する部分を凸状の球面(凸球面)に形成すると共に、前記他方に前記一方の前記凸球面を受け入れ可能な凹状の球面(凹球面)を形成し、前記凹球面に前記凸球面が受け入れられることで流体圧シリンダがカムボックスに対し支持されるように構成されていても良い。なお、そのように前記他方の前記凹球面に前記一方の前記凸球面が受け入れられた状態、すなわち、両球面が当接した状態では、流体圧シリンダの回動が許容されるのに加え、両球面に含まれる前記並設方向における円弧面同士の当接により、流体圧シリンダの前記並設方向の変位も規制された状態となる。したがって、その支持構成では、前記のような位置規制のための専用の部材(部分)を設けること無く、流体圧シリンダの前記並設方向の変位が規制された状態となる。
【0158】
また、支持構成は、以上で説明したような流体圧シリンダ側の円弧面とカムボックス側の円弧面との当接によって流体圧シリンダを回動可能に支持する構成に限らず、流体圧シリンダとカムボックスにおける支持体とが着脱可能なピンで連結される構成であっても良い。具体的には、流体圧シリンダを、その後端から前記延在方向と平行に延びる板状の取付片を有するように構成する。また、カムボックスにおける支持体を、前記並設方向に関しレベリングレバの受圧部と略同じ位置で受圧部の方へ延びる板状の支持片を有するように構成する。その上で、前記設置状態において、その流体圧シリンダにおける取付片と支持体における支持片とがそれぞれに形成された孔に挿入されるピンであって着脱可能なピンにより連結される構成であっても良い。
【0159】
なお、そのような構成とする場合、前記のように取付片と支持片とを連結した状態でピンが抜け落ちないように、その連結状態で取付片及び支持片に対するピンの軸線方向の変位を不能とする抜け止めのための構成がピンに施されている必要がある。そして、ピンをそのように抜け止めされた状態とすることで、支持片に対する取付片の前記軸線方向の位置も規制された状態となる。したがって、そのようにピンを抜け止め状態とする構成によれば、先に説明した位置調整機構を有する構成と同様に、その支持構成において、支持体(カムボックス)に対する流体圧シリンダの前記並設方向の変位が規制された状態となる。
【0160】
しかし、流体圧シリンダを前記設置状態とする取り付け作業の効率性を考慮すると、その支持構成は、流体圧シリンダとカムボックスとが回動方向における円弧面(球面の一部である円弧面も含む)同士で当接するように構成されているのが好ましい。すなわち、本発明において、レベリング装置は、流体圧シリンダ及びカムボックスが前記設置状態でその対向する部分に回動方向における円弧面(一方が凹面で形成され、他方が凸面で形成される)を有するように構成されているのが好ましい。
【0161】
(4)前記実施例では、レベリング動作時にレベリングレバに対し押圧力を作用させる(レベリングレバを揺動させる)流体圧シリンダとして、シリンダ内に設けられたバネ部材によってロッドが後退方向に常時付勢されている単動式の流体圧シリンダが採用されている。しかし、本発明のレベリング装置における流体圧シリンダは、そのような単動式の流体圧シリンダに限らず、ロッドの進出及び後退がシリンダに供給される作動流体によって行われる複動式の流体圧シリンダであっても良い。
【0162】
なお、復動式の流体圧シリンダの場合、ロッドを積極的に後退させるためのシリンダに作動流体を供給する操作を行わない限りはロッドが後退しない。したがって、レベリング状態からそれを解消するためにレベリングレバを揺動可能な状態としただけでは、前記付勢力がカムレバ及びレベリングレバを介して流体圧シリンダのロッドに受けられた状態となる。そして、その状態のロッドを後退させるための前記操作を行うことで、そのロッドの後退に伴い、レベリングレバが前記付勢力によって前記作動位置から前記待機位置に向けて揺動する。なお、そのロッドの後退に伴うレベリングレバの揺動の態様、及びロッドとレベリングレバとの係合等については、前記実施例の通りである。
【0163】
(5)また、カムボックス内における流体圧シリンダの配置及び流体圧シリンダがレベリングレバに対し押圧力を作用させる方向は、前記実施例で説明したものに限らない。詳しくは、織機の消極カム開口装置において、形状やカムに対する配置等のカムレバの構成は、前記実施例で説明したものには限らない。また、カムレバのカムフォロアをカムから離間した状態とするためのカムレバの揺動方向はそのカムレバの構成によって決まるが、その揺動方向へカムレバを揺動させるためのレベリングレバの揺動方向は、そのレベリングレバの配置に応じた方向に設定される。すなわち、カムレバの構成が同じであっても、レベリングレバの配置によってはその揺動方向が異なるように設定される。さらに、それらを踏まえて揺動方向が設定されたレベリングレバを前記作動方向へ揺動させる上で、その揺動のために流体圧シリンダがレベリングレバに対し押圧力を作用させる方向は、レベリングレバのどの部分に対しその押圧力を作用させるかによって決まる。
【0164】
このように、流体圧シリンダがレベリングレバに対し押圧力を作用させる方向は、前記したカムレバの構成やレベリングレバの配置及びレベリングレバに対し押圧力を作用させる位置等の条件に応じた方向とされる。すなわち、その押圧力を作用させる方向は、それらの条件に応じて適宜に設定されるものであり、前記実施例において例示された方向に限定されるものではない。また、流体圧シリンダの配置は、そのように押圧力を作用させる方向が設定されることで、それに応じて決定されるものである。
【0165】
なお、本発明は、上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0166】
1 織機
10 織機フレーム
20 消極カム開口装置
21 カム
23 カムレバ
23a カムフォロア
23b 突出部
25 バネ機構
25a バネ部材
27 カムボックス
27a 支持体
27a1 挿入孔
27b 指標部材
29 支持軸
30 綜絖枠
31、33 ワイヤ
40 レベリング装置
41 レベリングレバ
41a、41b 支持部
41a1、41b1 延在部分
41c 当接部
41d 受圧部
41e 受け部
41e1 凹面(受け面)
41f ピン孔
41g 被係合部
41g1 被係合面
43 流体圧シリンダ
43a ロッド
43b シリンダ部
43c 押圧部
43c1 凸面(押圧面)
43c2 平面(固定面)
43d 取付部
43d1、43d2 部分端面
43d3 円弧面(当接面)
43d4 取付面
43e フック部
43e1 挿入部
43f 係合部材
43f1 アーム部
43f2 延在部
45 供給装置
45a タンク
45b ベース
45c 手動レバ
45d リリースバルブ
47 ホース