(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】樹脂成形装置用プランジャ及び樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/53 20060101AFI20220201BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20220201BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B29C45/53
B29C45/76
H01L21/56 T
(21)【出願番号】P 2017208021
(22)【出願日】2017-10-27
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】大滝 昭浩
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-260844(JP,A)
【文献】実開昭62-102518(JP,U)
【文献】登録実用新案第3056305(JP,U)
【文献】特開2017-114014(JP,A)
【文献】特開2012-185530(JP,A)
【文献】特開2009-170475(JP,A)
【文献】特開2013-026360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84,
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な円柱状に形成されたプランジャロッド部と、該プランジャロッド部の先端部に配され、樹脂材料を押圧可能に構成されたプランジャチップ部とを備える樹脂成形装置用プランジャであって、
前記プランジャロッド部の周面に配され、該プランジャロッド部の軸方向に作用する応力を測定可能に構成された歪ゲージを更に備え
、
前記プランジャロッド部は、軸方向の中途部に平坦な面を有しており、
前記歪ゲージは、前記プランジャロッド部の前記平坦な面に配されており、
前記プランジャロッド部は、前記歪ゲージが配された領域の剛性が、他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されている
ことを特徴とする樹脂成形装置用プランジャ。
【請求項2】
前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域は、他の領域よりも細い
ことを特徴とする請求項
1に記載の樹脂成形装置用プランジャ。
【請求項3】
前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域は、他の領域よりも肉薄に形成されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の樹脂成形装置用プランジャ。
【請求項4】
前記プランジャロッド部は、軸方向と交差する方向に貫通する貫通孔を有し、該貫通孔と整合する該プランジャロッド部の肉薄部位に前記歪ゲージが配されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の樹脂成形装置用プランジャ。
【請求項5】
前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域は、他の領域よりも剛性の低い素材により形成されている
ことを特徴とする請求項
1~
4いずれか1項に記載の樹脂成形装置用プランジャ。
【請求項6】
請求項1~
5いずれか1項に記載の樹脂成形装置用プランジャと、
前記樹脂成形装置用プランジャを複数並べて保持するプランジャホルダと
を備えることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
前記プランジャロッド部は、前記プランジャチップ部に接続される上側軸部と、前記プランジャホルダに支持される下側軸部とを備え、
前記上側軸部は、前記下側軸部に着脱可能に構成されており、
前記プランジャホルダは、前記下側軸部の基端部を収容可能な内部空間と、該下側軸部が挿通可能な開口とを有しており、
前記下側軸部は、前記基端部が前記プランジャホルダの前記内部空間に収容された状態において、該プランジャホルダの前記開口の縁部と係合可能な凹部を有しており、
前記歪ゲージは、前記下側軸部の前記基端部と前記凹部との間に配されている
ことを特徴とする請求項
6に記載の樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の成形に用いられる樹脂成形装置用プランジャ及び樹脂成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレームや電子部品基板等に実装された半導体チップ等の電子部品の周囲をトランスファ成形によって絶縁性の熱硬化性樹脂でモールドすることにより、樹脂封止型の半導体製品(樹脂成形品)を製造する樹脂成形装置として、ポット及びプランジャを複数有するマルチポット式トランスファ成形装置が知られている(特許文献1~3)。なお、トランスファ成形は、電子部品が実装されたリードフレーム等を成形金型で挟み込んだ状態で、可塑化させた樹脂(溶融樹脂)をプランジャによって成形金型のカル部→ランナ部→キャビティ部の順で加圧移動させることで、キャビティ部内にある電子部品をモールドする成形方法である。
【0003】
樹脂成形装置において、目的とするモールドを行うためには、キャビティ内へ溶融樹脂を注入する際の樹脂圧を適切に制御することが重要である。このため、特許文献1及び2のマルチポット式トランスファ成形装置では、複数のプランジャが立設されたマルチトランスファユニットの下部に1つのロードセル(樹脂成形圧センサ)を配し、このロードセルによって測定した荷重に基づいて、マルチトランスファユニットを上下動させるサーボモータのフィードバック制御を実行するよう構成されている。また、特許文献3のマルチポット式トランスファ成形装置では、複数のプランジャの下部にそれぞれロードセル(水晶式力センサ)を配し、このロードセルによって測定した荷重に基づいて、マルチトランスファユニットを上下動させるサーボモータのフィードバック制御を実行するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-26360号公報
【文献】特開2014-154807号公報
【文献】特開2008-311577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2のマルチポット式トランスファ成形装置では、1つのロードセルによってマルチトランスファユニット全体の荷重を測定するものであることから、複数のキャビティのそれぞれにおける樹脂圧を正確に測定することが困難である。このため、特許文献1及び2のマルチポット式トランスファ成形装置では、各ポットに投入される樹脂タブレットの量のばらつきや、これに伴う各プランジャによる加圧力のばらつきにより、一部のキャビティ部において、樹脂量の不足や過剰な加圧力による空気の巻き込み等に起因する成形不良が生じるおそれがあるという問題がある。
【0006】
また、特許文献3のマルチポット式トランスファ成形装置のように、各プランジャの直下にロードセル(水晶式力センサ)を配置する構成では、一般にプランジャから受ける負荷に耐え得る性能を有するロードセルはプランジャよりも大きい径を有しているため、プランジャを密集して配置させることができないという問題がある。このため、特許文献3のマルチポット式トランスファ成形装置には、実現可能性及び汎用性の観点において、改善の余地がある
【0007】
そこで、本発明は、プランジャ毎に樹脂圧を正確に測定可能で、実現可能かつ汎用性に優れた樹脂成形装置用プランジャ及び樹脂成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る樹脂成形装置用プランジャは、棒状に形成されたプランジャロッド部と、該プランジャロッド部の先端部に配され、樹脂材料を押圧可能に構成されたプランジャチップ部とを備える樹脂成形装置用プランジャであって、前記プランジャロッド部の周面に配され、該プランジャロッド部の軸方向に作用する応力を測定可能に構成された歪ゲージを更に備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る樹脂成形装置用プランジャにおいて、前記プランジャロッド部は、前記歪ゲージが配された領域の剛性が、他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されていることが好ましい。
【0010】
この場合において、前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域が、他の領域よりも細い構成としても良い。また、前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域が、他の領域よりも肉薄に形成されるとしても良い。さらに、前記プランジャロッド部が、軸方向と交差する方向に貫通する貫通孔を有し、該貫通孔と整合する該プランジャロッド部の肉薄部位に前記歪ゲージが配されるとしても良い。またさらに、前記プランジャロッド部における前記歪ゲージが配された領域が、他の領域よりも剛性の低い素材により形成されるとしても良い。
【0011】
本発明に係る樹脂成形装置は、上述した樹脂成形装置用プランジャと、前記樹脂成形装置用プランジャを複数並べて保持するプランジャホルダとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る樹脂成形装置において、前記プランジャロッド部は、前記プランジャチップ部に接続される上側軸部と、前記プランジャホルダに支持される下側軸部とを備え、前記上側軸部は、前記下側軸部に着脱可能に構成されており、前記プランジャホルダは、前記下側軸部の基端部を収容可能な内部空間と、該下側軸部が挿通可能な開口とを有しており、前記下側軸部は、前記基端部が前記プランジャホルダの前記内部空間に収容された状態において、該プランジャホルダの前記開口の縁部と係合可能な凹部を有しており、前記歪ゲージは、前記下側軸部の前記基端部と前記凹部との間に配されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プランジャ毎に樹脂圧を正確に測定可能で、実現可能かつ汎用性に優れた樹脂成形装置用プランジャ及び樹脂成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂成形装置を概略的に示す正面図である。
【
図2】上型及び下型を型締めした状態を概略的に示す断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るトランスファ機構及び下型を一部省略して概略的に示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図6】第3実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図7】第4実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図8】第5実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図9】第6実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【
図10】第7実施形態に係る樹脂成形装置用プランジャを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)10について、
図1~
図4を用いて説明する。
【0017】
第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、
図1に示すように、床面上に載置された矩形板状の下プラテン12と、下プラテン12の四隅から上方に向けて延びる4本のタイバー14と、4本のタイバー14の上端部に四隅が連結された矩形板状の上プラテン16と、4本のタイバー14が四隅を貫通し、下プラテン12及び上プラテン16の間においてタイバー14に沿って昇降可能に設けられた矩形板状の移動プラテン18と、下プラテン12と移動プラテン18との間に設けられ、移動プラテン18を昇降させる昇降型締機構20と、移動プラテン18の上面に設けられたトランスファ機構50と、上プラテン16とトランスファ機構50との間に設けられた樹脂成形金型26と、樹脂封止装置10に異常等が生じた際又は異常の発生を予知した際に警報を発する報知手段(図示せず)と、樹脂封止装置10の各種制御を実行する制御部(図示せず)とを備えている。昇降型締機構20は、油圧式又は電動式型締シリンダや、油圧式又は電動式トグルリンク型締機構等の種々の型締機構を採用することが可能である。なお、本実施形態に係る樹脂封止装置10において、これら下プラテン12、タイバー14、上プラテン16、移動プラテン18、昇降型締機構20、樹脂成形金型26及び制御部は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0018】
樹脂成形金型26は、マルチポット式の成形金型であり、
図1に示すように、上プラテン16の下面に取り付けられた上型30と、トランスファ機構50の上部に取り付けられ、上型30と共にキャビティCを形成可能な下型60とを備えている。
【0019】
上型30は、
図1及び
図2に示すように、下型60と対向して配置され、下型60との間において樹脂成形用のキャビティCを形成可能な型面32を有している。上型30の型面32には、プランジャ52a毎に形成されたカル部33aと、被封止対象となる電子部品と整合する位置に樹脂成型用のキャビティCを形成可能なキャビティ部33dと、カル部33aからキャビティ部33dに向けて溶融樹脂を流動させるランナ部33bと、ランナ部33bを流動する溶融樹脂をキャビティ部33d内に流入させるゲート部33cとが、それぞれプランジャ52aと同数(本実施形態では5つ)ずつ形成されている。なお、カル部33aとは、収容ポット形成孔部51及びプランジャ52aと整合する位置に形成された略円形状の領域をいうものとする。また、ランナ部33bは、キャビティ部33dに向けて樹脂を流動させる経路のうち、カル部33aからゲート部33cまでの領域をいうものとする。さらに、ゲート部33cは、溶融樹脂がキャビティ部33dに流入される流入口であって、ランナ部33bからキャビティ部33dまでの領域をいうものとする。
【0020】
下型60は、
図2及び
図3に示すように、上型30と対向して配置され、上型30との間において樹脂成形用のキャビティCを形成可能な金型本体62と、金型本体62の裏面(下面)側に離間して設けられたベースプレート64と、金型本体62とベースプレート64との間において金型本体62の裏面に対して進退移動可能に設けられたエジェクタ機構70と、金型本体62とベースプレート64とを連結固定しプレス型締め時に金型本体62を支持するよう設けられ、ベースプレート64の熱を金型本体62に伝達可能に構成された伝熱部材(サポートピラー)66と、エジェクタ機構70に取り付けられた離型力測定機構80とを備えている。
【0021】
金型本体62は、
図2及び
図3に示すように、その表面(上面)に型面62aを有する矩形板状の金属部材である。金型本体62の型面62aには、上型30のキャビティ部33dと整合する位置に、上型30のキャビティ部33dと共にキャビティCを形成するキャビティ部63が形成されている。ベースプレート64は、トランスファ機構50の上面に載置された矩形板状の金属部材から形成され、伝熱部材66を介して金型本体62を支持するよう構成されている。伝熱部材66は、円柱状の金属部材から形成されたサポートピラーであり、一端部(下端部)がベースプレート64の上面に固定されると共に、他端部(上端部)が金型本体62の裏面に固定されることにより、ベースプレート64から離間した位置で金型本体62を支持するよう構成されている。また、伝熱部材66は、加熱手段によって加熱されたベースプレート64の熱を金型本体62に対して伝達し、金型本体62を所定温度に加熱するよう構成されている。伝熱部材66は、1つのキャビティCに対して複数(例えば6本)設けられており、これら複数の伝熱部材66が各キャビティCの周囲を囲うように配されることにより、各キャビティCの周囲における金型本体62の撓みを抑え、バリの発生等を抑制するよう構成されている。
【0022】
エジェクタ機構70は、
図2に示すように、金型本体62とベースプレート64との間において金型本体62の裏面に対して進退移動可能に設けられたエジェクタピンホルダ42と、金型本体62の貫通孔と整合する位置に配されたエジェクタピン(ピン部材)44と、エジェクタピンホルダ42を金型本体62の裏面に対して進退移動させる駆動手段(図示せず)とを備え、エジェクタピンホルダ42を金型本体62の裏面に対して前進させることにより、エジェクタピン44を金型本体62の型面62aから突出させ、キャビティCによって成形された樹脂成形品を金型本体62の型面62aから離型させるよう構成されている。なお、本実施形態に係るエジェクタ機構70において、駆動手段は、例えば電動モーター駆動やプレスの下降動作によるエジェクタロッド突き下げ等の種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その説明を省略する。
【0023】
離型力測定機構80は、
図2に示すように、エジェクタピン44から受ける荷重に比例して変形する起歪体と、起歪体の4つの肉薄部にそれぞれ貼り付けられ、該起歪体の変形量を検出する歪ゲージ(図示せず)とを備える所謂ロバーバル型ロードセルである。これら4つの歪ゲージは、それぞれ、測定対象物(起歪体)の歪み(伸縮)に応じて電気抵抗が変化するよう構成されており、ホイートストンブリッジ回路(図示せず)を構成するよう互いに接続されている。離型力測定機構80は、エジェクタピン44の基端部と接触するよう、エジェクタピンホルダ42の裏面(下面)に垂直に取り付けられている。各離型力測定機構80は、それぞれ、隣接する他の離型力測定機構80及び伝熱部材66に干渉しないよう、複数の伝熱部材66の隙間に設けられている。離型力測定機構80は、樹脂注入時又は離型時における起歪体の変形量を歪ゲージにより検出し、この変形量に基づいて、エジェクタピン44を介して起歪体に付加された荷重、すなわち、樹脂注入時の樹脂圧及び離型時の離型力を測定するよう構成されている。また、離型力測定機構80は、樹脂注入時の樹脂圧及び離型時の離型力に異常が生じた場合には、種々の報知手段を介して異常を報知するよう構成されている。
【0024】
トランスファ機構50は、
図2及び
図3に示すように、複数(本実施形態では5本)のプランジャ52aを有するマルチポット式(マルチプランジャ式)トランスファ機構である。具体的には、トランスファ機構50は、樹脂成形金型26のキャビティC(
図2参照)と連通し、樹脂タブレット(図示せず)を収容可能な複数(本実施形態では5つ)の収容ポット形成孔部51と、収容ポット形成孔部51毎に配され、収容ポット形成孔部51内に収容された樹脂タブレットをキャビティCに向けて押し出すプランジャ52aと、複数(本実施形態では5本)のプランジャ52aを支持するプランジャホルダ59と、プランジャホルダ59を昇降させる駆動手段(図示せず)と、樹脂成形金型26及び収容ポット形成孔部51を加熱する加熱手段(図示せず)とを備えている。
【0025】
プランジャ52aは、
図4に示すように、それぞれ、棒状に形成されたプランジャロッド部53aと、プランジャロッド部53aの先端部に配されたプランジャチップ部54aとを備えている。
【0026】
プランジャロッド部53aは、
図4に示すように、収容ポット形成孔部51の内径よりも小さい外径を有する長尺な円柱状(棒状)に形成されており、基端部55aがプランジャホルダ59内において支持されている。プランジャロッド部53aの基端部55aは、径方向外側に向けて突出したフランジ状に形成されており、プランジャホルダ59に形成された係合溝59bと係合することで、プランジャホルダ59に対するプランジャ52aの抜け止めとして機能するよう構成されている。プランジャロッド部53aの基端部55aの下面は、下方に向けて凸となる曲面状に形成されており、該下面の外周縁部とプランジャホルダ59の内面との間に僅かな隙間が形成されるよう構成されている。また、プランジャロッド部53aの基端部55aよりも軸方向上方側の部位には、プランジャホルダ59の開口縁部59aに係合可能な一対の凹部56aが形成されており、該凹部56aがプランジャホルダ59の開口縁部59aと係合することで、プランジャホルダ59に対するプランジャ52aの回り止めとして機能するよう構成されている。プランジャロッド部53aは、剛性に優れた金属材から形成されている。
【0027】
プランジャチップ部54aは、
図2及び
図4に示すように、収容ポット形成孔部51の内径と概ね同径の外径を有し、かつ、収容ポット形成孔部51に沿って延在する軸方向の長さを有する円柱状に形成されている。これにより、プランジャチップ部54aは、収容ポット形成孔部51の内面にガイドされながら摺動し、収容ポット形成孔部51内に収容された樹脂タブレットをキャビティCに向けて押圧可能に構成されている。プランジャチップ部54aは、耐摩耗性及び剛性に優れた金属材から形成されている。なお、プランジャチップ部54aは、プランジャロッド部53aと一体に形成されても良いし、プランジャロッド部53aにロウ付け等により後付される構成としても良い。
【0028】
プランジャロッド部53aの周面(曲面)には、
図3及び
図4に示すように、複数(第1実施形態では4枚)の歪ゲージ22が、プランジャロッド部53aの周方向に所定の間隔をおいて貼り付けられている。これら4つの歪ゲージ22は、それぞれ、測定対象物(プランジャロッド部53a)の歪み(伸縮)に応じて電気抵抗が変化するよう構成されており、ホイートストンブリッジ回路(図示せず)を構成するよう互いに接続されている。
【0029】
プランジャ52a毎に形成されるホイートストンブリッジ回路は、それぞれ、アンプ(図示せず)及びA/D変換器(図示せず)を介してデータ収集解析手段(図示せず)と電気的に接続されている。第1実施形態では、プランジャ52a毎に配された4枚の歪ゲージ22、アンプ及びA/D変換器と、共通のデータ収集解析手段とにより、全てのプランジャ52aにおける樹脂注入時の樹脂圧を統括して測定可能な樹脂圧測定装置が構成されている。
【0030】
データ収集解析手段は、例えばパーソナルコンピュータ等からなり、4枚の歪ゲージ22の抵抗値に基づいて歪み値を算出し、この歪み値に基づいて、該歪み値と相関を有するプランジャ52aの軸方向に作用する応力、すなわち、樹脂注入時の樹脂圧を測定するよう構成されている。また、データ収集解析手段は、測定した樹脂圧に基づいて樹脂圧の異常を判定し、異常と判定した場合には、報知手段に報知信号を出力するよう構成されている。さらに、データ収集解析手段は、測定した樹脂圧に基づいて、駆動手段に対してフィードバック制御の実行信号を出力するよう構成されている。なお、データ収集解析手段における異常の検知方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、プランジャ52a毎に測定された樹脂圧の値や挙動(時間的な遷移)が予め定められた許容範囲を超えた場合又は下回った場合に、異常と判定する方法を採用しても良い。
【0031】
プランジャホルダ59は、
図3に示すように、複数のプランジャ52aを整列させた状態で支持可能なブロック状に形成されている。プランジャホルダ59は、
図4に示すように、各プランジャ52aの基端部55a及びその近傍を収容可能な内部空間を有しており、該内部空間の下部側面に、各プランジャ52aの基端部55aが係合可能な係合溝59bが形成されている。プランジャホルダ59の上面には、プランジャロッド部53aが挿通可能な開口が形成されており、該開口の開口縁部59aが、プランジャロッド部53aの凹部56aに係合するよう構成されている。
【0032】
以上の構成を備える第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、
図2に示すように、上型30及び下型60によってワーク(リードフレームや電子部品基板等)を挟み込んだ状態で、溶融樹脂(モールド材料)をプランジャ52aによって加圧し、上型30のカル部33a→ランナ部33b→ゲート部33c→キャビティ部33dの順で流動させ、熱硬化させることで、キャビティC内に配置された電子部品をモールドし、樹脂成形品を製造するよう構成されている。また、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、プランジャ52aに作用する樹脂圧を樹脂圧測定装置によってリアルタイムで測定乃至監視し、樹脂の注入異常を検知した際に、報知手段により警報を発するよう構成されている。さらに、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、樹脂圧測定装置により測定した樹脂圧に基づいて、樹脂の注入異常を検知したプランジャ52aに対する加圧力を調整するフィードバック制御を実行するよう構成されている。
【0033】
また、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、電子部品のモールド完了後、移動プラテン18を下降させることで下型60を上型30から離間させると共に、これと並行又は同期して、上型30に内蔵されたエジェクタ機構(図示せず)によって上型30の型面32から樹脂成形品を離型させるよう構成されている。さらに、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、上型30から下型60を離間させた後に、エジェクタ機構70によって下型60の型面62aから樹脂成形品を離型させるよう構成されている。また、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、下型60の型面62aから樹脂成形品を離型させる際の離型力を離型力測定機構80によってリアルタイムで測定乃至監視し、離型不良を検知した際に、報知手段により警報を発するよう構成されている。
【0034】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、棒状に形成されたプランジャロッド部53aと、プランジャロッド部53aの先端部に配され、樹脂材料を押圧可能に構成されたプランジャチップ部54aと、プランジャロッド部53aの周面に配され、プランジャロッド部53aの軸方向に作用する応力を測定可能に構成された歪ゲージ22とを備えている。
【0035】
このように、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、歪ゲージ22がプランジャ52a毎に配されることにより、樹脂注入時における樹脂圧をプランジャ単位で正確に測定乃至監視し、樹脂の注入異常を検知することが可能となるため、作業者に対して、樹脂の注入異常や、これに起因した樹脂成形品の成形不良の可能性を認知させることが可能となる。この利点は、樹脂封止装置10に対するワーク(リードフレームや電子部品基板等)及び樹脂タブレットの供給から樹脂封止後の樹脂成形品の回収までを自動で連続して実行する全自動樹脂成形システムにおいて、特に有効である。
【0036】
また、第1実施形態に係る樹脂封止装置10は、プランジャロッド部53aの周面に配した歪ゲージ22によって樹脂圧を測定するよう構成されているため、プランジャの直下に埋設する必要がある水晶圧電式ロードワッシャ等の大径の円筒形ロードセルを用いる場合と比較して、プランジャ52aを密集して配置させることが可能となる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図5を用いて説明する。なお、第2実施形態に係る樹脂封止装置において、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52bのみであるため、プランジャ52bの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0038】
第2実施形態に係るプランジャ52bは、
図5に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53bと、プランジャロッド部53bの先端部に配されたプランジャチップ部54bとを備えている。プランジャロッド部53bは、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aと異なり、歪ゲージ22が配された領域が他の領域よりも細くなるよう構成されることで、歪ゲージ22が配された領域の剛性が他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されている。具体的には、プランジャロッド部53bは、軸方向の中途部が、他の部位よりも細い角柱状となるよう切削されており、該角柱状部位の4つの平坦面57bにそれぞれ歪ゲージ22が貼り付けられている。
【0039】
第2実施形態に係るプランジャロッド部53bは、このような構成を有することにより、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aと比較して、歪ゲージ22が配された領域の変形量(歪み値)を大きくすることが可能となるため、歪ゲージ22による樹脂圧の測定精度(感度)を高めることが可能となる。
【0040】
なお、
図5では、各平坦面57bに1枚ずつ歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、4枚の歪ゲージ22は自由に配置することが可能である。例えば、一部の平坦面57bに偏って歪ゲージ22が貼り付けられる構成としても良い。また、
図6では、4つの平坦面57bによって四角柱状に形成される構成を例示したが、これに限定されず、平坦面57bの数及び位置は任意に変更することが可能である。例えば、3つ又は5つ以上の平坦面57bによって三角柱状又は五角以上の多角柱状に形成される構成としても良いし、複数の平坦面57bがプランジャロッド部53bの軸方向の位置及び周方向の位置をずらして形成される構成としても良い。
【0041】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図6を用いて説明する。なお、第3実施形態に係る樹脂封止装置においても、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52cのみであるため、プランジャ52cの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0042】
第3実施形態に係るプランジャ52cは、
図6に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53cと、プランジャロッド部53cの先端部に配されたプランジャチップ部54cとを備えている。プランジャロッド部53cは、歪ゲージ22が配された領域が他の領域よりも肉薄に形成されることで、歪ゲージ22が配された領域の剛性が他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されている。
【0043】
具体的には、プランジャロッド部53cは、軸方向の中途部に、他の部位よりも肉薄となるよう切削されたくびれが形成されており、該くびれ部位の2つの平坦面57cにそれぞれ歪ゲージ22が2枚ずつ並べて貼り付けられている。なお、
図6では、2枚の歪ゲージ22が紙面奥行方向に並べて整列されているため、紙面手前側の歪ゲージ22のみが図示されている。
【0044】
第3実施形態に係るプランジャロッド部53cにおいても、第2実施形態に係るプランジャロッド部53bと同様に、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aと比較して、歪ゲージ22が配された領域の変形量(歪み値)を大きくすることが可能となるため、歪ゲージ22による樹脂圧の測定精度(感度)を高めることが可能となる。特に、くびれ部位の厚さを他の部位の半分程度に形成した場合には、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aのおよそ2倍の測定精度(感度)を得ることができる。
【0045】
なお、
図6では、平坦面57cに2枚ずつ歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、4枚の歪ゲージ22は自由に配置することが可能である。例えば、一方の平坦面57cに3枚の歪ゲージ22を貼り付け、他方の平坦面57cに1枚の歪ゲージ22を貼り付ける構成としても良いし、片方の平坦面57cに4枚の歪ゲージ22を貼り付ける構成としても良い。また、歪ゲージ22を紙面奥行方向に並べて配置する態様に代えて、歪ゲージ22を軸方向に沿って並べる配置等の種々の配置を採用することが可能である。さらに、
図6では、くびれが1つのみ形成される構成を例示したが、これに限定されず、軸方向に並べて2以上のくびれが形成される構成としても良いし、周方向に位相をずらして2以上のくびれが形成される構成としても良い。
【0046】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図7を用いて説明する。なお、第4実施形態に係る樹脂封止装置においても、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52dのみであるため、プランジャ52dの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0047】
第4実施形態に係るプランジャ52dは、
図7に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53dと、プランジャロッド部53dの先端部に配されたプランジャチップ部54dとを備えている。プランジャロッド部53dは、歪ゲージ22が配された領域が他の領域よりも肉薄に形成されることで、歪ゲージ22が配された領域の剛性が他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されている。
【0048】
具体的には、プランジャロッド部53dは、軸方向の中途部に、軸方向と交差する方向に貫通する貫通孔58dを有し、該貫通孔58dの平坦な内面(貫通孔58dと整合するプランジャロッド部53dの肉薄部位の内面)57dに歪ゲージ22がそれぞれ2枚ずつ並べて貼り付けられている。なお、
図7では、2枚の歪ゲージ22が紙面奥行方向に並べて整列されているため、紙面手前側の歪ゲージ22のみが図示されている。
【0049】
第4実施形態に係るプランジャロッド部53dにおいても、第2及び第3実施形態に係るプランジャロッド部53b,53cと同様に、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aと比較して、歪ゲージ22が配された領域の変形量(歪み値)を大きくすることが可能となるため、歪ゲージ22による樹脂圧の測定精度(感度)を高めることが可能となる。特に、貫通孔58dの開口幅をプランジャロッド部53dの幅の半分程度に形成した場合には、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aのおよそ2倍の測定精度(感度)を得ることができる。
【0050】
なお、
図7では、貫通孔58dの互いに対向する内面57dに2枚ずつ歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、第3実施形態に係るプランジャロッド部53cと同様に、4枚の歪ゲージ22は自由に配置することが可能である。また、
図7では、貫通孔58dが1つのみ形成される構成を例示したが、これに限定されず、軸方向に並べて2以上の貫通孔58dが形成される構成としても良いし、周方向に位相をずらして2以上の貫通孔58dが形成される構成としても良い。さらに、貫通孔58d内を樹脂等で埋める構成としても良い。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図8を用いて説明する。なお、第5実施形態に係る樹脂封止装置においても、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52eのみであるため、プランジャ52eの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0051】
第5実施形態に係るプランジャ52eは、
図8に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53eと、プランジャロッド部53eの先端部に配されたプランジャチップ部54eとを備えている。プランジャロッド部53eは、歪ゲージ22が配された領域が他の領域よりも剛性の低い素材により形成されることで、歪ゲージ22が配された領域の剛性が他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されている。
【0052】
具体的には、プランジャロッド部53eは、プランジャチップ部54eに接続される上側軸部53e´と、プランジャホルダ59に支持される下側軸部53e´´´と、これら上側軸部53e´と下側軸部53e´´´との間に配された中間軸部53e´´とを備え、応力が作用する向き(すなわち軸方向)に分割された構造を有している。上側軸部53e´は、耐摩耗性に優れた高硬度材からなり、下側軸部53e´´´は、高強度材からなる。中間軸部53e´´は、上側軸部53e´及び下側軸部53e´´´よりも剛性の低い素材、例えばアルミ材等の弾性変化の大きい材料からなる。歪ゲージ22は、周方向に所定の間隔をおいて、中間軸部53e´´に貼り付けられている。
【0053】
第5実施形態に係るプランジャロッド部53eにおいても、第2~第4実施形態に係るプランジャロッド部53b~53dと同様に、第1実施形態に係るプランジャロッド部53aと比較して、歪ゲージ22が配された領域の変形量(歪み値)を大きくすることが可能となるため、歪ゲージ22による樹脂圧の測定精度(感度)を高めることが可能となる。
【0054】
なお、
図8では、周方向に90度の間隔をおいて4枚の歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、4枚の歪ゲージ22の間隔は自由に変更することが可能である。また、
図8では、中間軸部53e´´が1つのみ配される構成を例示したが、これに限定されず、軸方向に並べて2以上の中間軸部53e´´が配される構成としても良い。さらに、
図8では、単に中間軸部53e´´の周面に4枚の歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、例えば第2~第4実施形態に係るプランジャ52b~52dと同様の方法により、中間軸部53e´´が上側軸部53e´及び下側軸部53e´´´よりも細い構成や、中間軸部53e´´が上側軸部53e´及び下側軸部53e´´´よりも肉薄に形成される構成や、中間軸部53e´´に貫通孔が形成される構成等を採用することも可能である。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図9を用いて説明する。なお、第6実施形態に係る樹脂封止装置においても、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52fのみであるため、プランジャ52fの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0055】
第6実施形態に係るプランジャ52fは、
図9に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53fと、プランジャロッド部53fの先端部に配されたプランジャチップ部54fとを備えている。プランジャロッド部53fは、プランジャチップ部54fに接続される上側軸部53f´と、プランジャホルダ59に支持される下側軸部53f´´とを備え、応力が作用する向き(すなわち軸方向)に分割された構造を有している。上側軸部53f´は、下側軸部53f´´にねじ止めされており、下側軸部53f´´に対して着脱可能に構成されている。
【0056】
下側軸部53f´´は、基端部55fがプランジャホルダ59の内部空間に収容された状態において、プランジャホルダ59の開口縁部59aと係合可能な凹部56fを有している。下側軸部53f´´の基端部55fは、プランジャホルダ59に形成された係合溝59bと係合することで、プランジャホルダ59に対するプランジャ52fの抜け止めとして機能するよう構成されている。また、下側軸部53f´´の凹部56fは、プランジャホルダ59の開口縁部59aと係合することで、プランジャホルダ59に対するプランジャ52fの回り止めとして機能するよう構成されている。歪ゲージ22は、下側軸部53f´´の基端部55fと凹部56fとの間に配されている。すなわち、プランジャホルダ59の内部空間内に収容されている。
【0057】
第6実施形態に係るプランジャ52fは、このように、プランジャロッド部53fの上側軸部53f´が下側軸部53f´´に対して着脱可能に構成されているため、摩耗等によりプランジャチップ部54fの交換が必要となった場合に、下側軸部53f´´をプランジャホルダ59に装着させたまま上側軸部53f´を取り外すだけで、プランジャチップ部54fの交換を行うことが可能となる。また、歪ゲージ22が回り止め(下側軸部53f´´の凹部56f)よりも下方側の部位(プランジャホルダ59の内部空間内の部位)に配されることにより、下側軸部53f´´から上側軸部53f´を取り外す際の回転トルクが歪ゲージ22に作用することが無く、これにより、歪ゲージ22の破損を防止することができる。
【0058】
なお、
図9では、単に下側軸部53f´´の周面に4枚の歪ゲージ22が貼り付けられる構成を例示したが、これに限定されず、例えば第2~第5実施形態に係るプランジャ52b~52eと同様の方法により、歪ゲージ22が配された領域の剛性が他の領域の剛性よりも低くなるよう構成されても良い。
[第7実施形態]
最後に、第7実施形態に係る樹脂封止装置(樹脂成形装置)について、
図10を用いて説明する。なお、第7実施形態に係る樹脂封止装置においても、第1実施形態に係る樹脂封止装置10と異なる構成は、プランジャ52gのみであるため、プランジャ52gの構成のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0059】
第7実施形態に係るプランジャ52gは、
図10に示すように、棒状に形成されたプランジャロッド部53gと、プランジャロッド部53gの先端部に配されたプランジャチップ部54gと、プランジャロッド部53gの軸方向に作用する応力を測定可能に構成された樹脂圧測定機構90と、プランジャロッド部53gの軸方向に作用する応力を樹脂圧測定機構90に伝達する伝達部材92とを備えている。
【0060】
樹脂圧測定機構90は、上述した離型力測定機構80と同様に、荷重に比例して変形する起歪体と、起歪体の4つの肉薄部にそれぞれ貼り付けられ、該起歪体の変形量を検出する歪ゲージ(図示せず)とを備える所謂ロバーバル型ロードセルである。これら4つの歪ゲージは、それぞれ、測定対象物(起歪体)の歪み(伸縮)に応じて電気抵抗が変化するよう構成されており、ホイートストンブリッジ回路(図示せず)を構成するよう互いに接続されている。樹脂圧測定機構90の起歪体は、可動側端部が伝達部材92の下端部92cに連結されており、固定側端部がプランジャホルダ59の上面に垂直に固定されている。
【0061】
伝達部材92は、プランジャロッド部53gの先端部に連結された上端部92bと、起歪体の可動側端部に連結された下端部92cと、これら上端部92bと下端部92cとの間をプランジャロッド部53gと平行に延びる連結部92aとを備えている。
【0062】
以上の構成を備える樹脂圧測定機構90は、樹脂注入時におけるプランジャロッド部53gの変形が伝達部材92を介して起歪体に伝達され、該起歪体の変形量を歪ゲージにより検出することで、プランジャロッド部53g及び伝達部材92を介して起歪体に付加された荷重、すなわち、樹脂注入時の樹脂圧を測定するよう構成されている。また、樹脂圧測定機構90は、樹脂注入時の樹脂圧に異常が生じた場合には、種々の報知手段を介して異常を報知するよう構成されている。
【0063】
第7実施形態に係る樹脂封止装置では、プランジャロッド部53gと平行に延びる伝達部材92を介して樹脂圧測定機構90により樹脂圧を測定するよう構成されているため、第1~第6実施形態に係る樹脂封止装置と比較して、プランジャロッド部53gの変位量を大きくとることが可能となり、これにより、樹脂圧測定機構90による樹脂圧の測定精度(感度)を高めることが可能となる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、樹脂成形装置が樹脂封止成形を行う樹脂封止装置であるものとして説明したが、これに限定されず、例えば射出形成装置であるとしても良い。
【0066】
また、上述した実施形態では、歪ゲージ22が4枚貼り付けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、プランジャロッド部53a~53gの軸方向に作用する応力を測定可能な構成であれば、種々の構成を採用することが可能である。例えば、歪ゲージ22を3枚のみ貼り付け、ホイートストンブリッジ回路の余った端子に標準抵抗を繋げる構成としても良い。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、複数のプランジャ52a~52gが1つのプランジャホルダ59に支持された一体駆動型の構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1つのプランジャホルダ59と各プランジャ52a~52gとの間に独立駆動可能なアクチュエータをそれぞれ介在させ、プランジャホルダ59の昇降によって一体駆動させた後に、各アクチュエータを独立駆動させて各プランジャ52a~52gによる加圧力を微調整可能としたハイブリッド駆動型の駆動手段としても良い。また、プランジャ52a~52g毎にプランジャホルダ59と駆動手段とを設け、複数のプランジャ52a~52gを互いに独立して動作させる独立駆動型の構成としても良い。独立駆動型又はハイブリッド駆動型の駆動手段の場合には、歪ゲージ22により測定した樹脂圧に基づいて、プランジャ52a~52g単位でフィードバック制御を実行することが可能となる。
【0068】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0069】
10 樹脂封止装置(樹脂成形装置)、22 歪ゲージ、52a~52g プランジャ(樹脂成形装置用プランジャ)、53a~53g プランジャロッド部、54a~54g プランジャチップ部、59 プランジャホルダ