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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】収納庫
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/04 20060101AFI20220201BHJP
   A47B 77/16 20060101ALI20220201BHJP
   A47B 77/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A47B77/04 Z
A47B77/16
A47B77/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017210754
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019080807
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿樹
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135570(JP,A)
【文献】特開2016-220891(JP,A)
【文献】特開2012-137141(JP,A)
【文献】特開2012-135572(JP,A)
【文献】特開2003-164348(JP,A)
【文献】実開平05-086238(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/04
A47B 77/16
A47B 77/00
A47B 67/02
A47B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納可能なスライド式の引出を備える収納庫であって、
少なくとも両側面がステンレス製の板状部材によって形成され前記引出を収容する本体部を備え、
前記本体部は、
その両側面の前側の下部に形成され後方に向かって後退した蹴込み部と、
その両側面各々の前縁および下縁においてコの字状に曲げ加工された屈曲部と、
を有し、
当該収納庫は、
前記両側面の外側で前記蹴込み部に沿って配置され前記前縁の屈曲部と前記下縁の屈曲部との両方に当接する樹脂製の補強部材と、
前記本体部の底面の下かつ前記両側面の内側に配置され前記補強部材と連結される底面ブロックと、を備え、
前記底面ブロックは、上面に仮固定用のフックが形成されていて、
前記本体部の底面は、前記フックに対応する位置にだるま穴が形成されていて、
前記本体部は、両側面の内側に取り付けられ前記引出をスライドさせる左右一対のレールを有し、
前記底面ブロックは、下面が床に当接していて、前記フックが前記レールに当接または近接することを特徴とする収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被収納物を収納可能なスライド式の引出を備える収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンには、調理器具や調理材料、食器などを収納しておくために、多くの収納スペースが設けられている。このため天板(システムキッチンにおいてはワークトップ)の下には、引出や開き戸が設けられるのが通常である。近年では、引出などに収納される被収納物をある程度想定し、引出の大きさや仕切りの形状を工夫することにより、使い勝手の向上を図ることが行われている。
【0003】
顧客の幅広いニーズに応えるために、収納庫は木製のものやステンレス等からなる金属製のものなど各種ラインナップが取り揃えられているが、なかでも金属製の収納庫は、高級感や耐久性の高さにおいて人気があり、最近の主流となりつつある。例えば特許文献1では、被収納物を収納可能なスライド式の引出を備える収納庫が開示されている。
【0004】
特許文献1の収納庫では、ステンレス製の板状部材を折り曲げることによって、引出を収納する本体部が形成されている。特に特許文献1では、本体部の両側面の手前側の下部に、両側面の前縁の下端から下縁に至るまで後方に向かって傾斜する傾斜部を形成している。これにより、本体部の側面と一体に蹴込みを設けることができ、部品数や組付け工数の削減を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5264876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、デザイン性を向上するために、上述した特許文献1のように金属製の本体部を備える収納庫において、前側の下部を四角く切り欠いた形状の蹴込みを設けたいという要請がある。しかしながら、板厚が薄い金属板を用いて本体部を形成する場合、蹴込みとなる四角い切欠きが高さ方向および奥行き方向で大きいと、切欠きの角部に荷重が集中しやすくなるおそれがある。すると、切欠きの角部が撓み、本体部が倒れる方向に変形してしまうことが懸念される。このため、四角い切欠き形状が大きい蹴込みを設ける場合には、特許文献1の収納庫を更に改良する必要がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、金属板を切り欠いて形成される蹴込みが大きい場合であっても変形を防ぎ、デザイン性の向上を図ることが可能な収納庫を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる収納庫の代表的な構成は、被収納物を収納可能なスライド式の引出を備える収納庫であって、少なくとも両側面がステンレス製の板状部材によって形成され引出を収容する本体部を備え、本体部は、その両側面の前側の下部に形成され後方に向かって後退した蹴込み部と、その両側面各々の前縁および下縁においてコの字状に曲げ加工された屈曲部と、を有し、当該収納庫は、両側面の外側で蹴込み部に沿って配置され前縁の屈曲部と下縁の屈曲部との両方に当接する樹脂製の補強部材と、本体部の底面の下かつ両側面の内側に配置され補強部材と連結される底面ブロックと、を更に備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、本体部の蹴込み部の近傍は、側面の外側が補強部材によって補強され、側面の内側が底面ブロックによって補強される。これにより、蹴込み部近傍において、収納庫が倒れる方向の(左右方向の)荷重に対する強度が向上する。したがって、四角切欠き形状の蹴込みを設ける場合であっても、本体部が倒れる方向の変形を好適に防ぐことができ、収納庫のデザイン性の向上を図ることが可能となる。
【0010】
上記底面ブロックは、上面に仮固定用のフックが形成されていて、本体部の底面は、フックに対応する位置にだるま穴が形成されているとよい。かかる構成によれば、フックをだるま穴に嵌めることにより、底面ブロックを本体部の底面に仮固定することができる。したがって、組立時の作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0011】
上記本体部は、両側面の内側に取り付けられ引出をスライドさせる左右一対のレールを更に有し、底面ブロックは、下面が床に当接していて、フックがレールに当接または近接するとよい。かかる構成によれば、収納庫に対して左右方向の荷重がかかった際に、本体部の側面に取り付けられたレールが底面ブロックのフックに支持される。これにより、レールを介して側面がフックによって支持されるため、本体部が倒れる方向の変形を防ぐ効果を更に高めることができる。また底面ブロックが床に当接していることにより、フックを介してうけた荷重を床に逃がすことができる。したがって、荷重による本体部の底面の変形を防ぐことが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属板を切り欠いて形成される蹴込みが大きい場合であっても倒れる方向の変形を防ぎ、デザイン性の向上を図ることが可能な収納庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態にかかる収納庫を備えるキッチンを示す図である。
図2】本実施形態にかかる収納庫であるベースキャビネットの本体部の斜視図である。
図3図2の各断面図である。
図4】補強部材の詳細を示す図である。
図5】底面ブロックの詳細を示す図である。
図6】本体部の底面への底面ブロックの取付について説明する図である。
図7】本体部への各部材の取付について説明する図である。
図8】本体部の補強部材および底面ブロックが取り付けられた箇所の断面図である。
図9】本体部の前側の下部を側方から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
(キッチン)
図1は本実施形態にかかる収納庫を備えるキッチンを示す図である。キッチン100は一枚の天板110(ワークトップ)の下に複数の収納庫(キャビネット)を備えた、いわゆるシステムキッチンである。天板110は合成樹脂(人工大理石)やステンレスなどからなり、キッチン100の全体の上面を覆っている。また天板110には、組み込み式に取り付けられたコンロ112、平坦なテーブル面であり主に調理を行うのに利用される調理スペース114、天板110に一体形成されたシンク116が設けられる。
【0016】
天板110の下は、コンロ112本体が設置されているコンロキャビネット120と、調理スペース114に対応したベースキャビネット130と、シンク116が設置されているシンクキャビネット140といった各収納庫で構成される。各収納庫は収納スペースとして機能し、収納庫内の空きスペースには、コンロ112への配線や、シンク116および水栓への給排水管なども収容されている。このように、天板110の下では、天板110の上のシンク116やコンロ112といった各構成に対応した収納庫がその高さおよび奥行きを等しくして複数設けられている。
【0017】
各収納庫は、被収納物を収納するために、様々な大きさのスライド式の引出を設けている。コンロキャビネット120の中央部には幅の広い大きな引出124が配設され、鍋やボウルなどの比較的大きな調理器具を収納することが可能になっている。
【0018】
またコンロキャビネット120の下部の床近傍には、引出式の足元収納である足下収納庫126が配設されている。同様に、ベースキャビネット130には複数の引出132、134および足下収納庫136が配設され、シンクキャビネット140には引出144、および足下収納庫146が配設されている。
【0019】
(収納庫)
次に、本実施形態の収納庫について説明する。なお、以下の説明では、上述したコンロキャビネット120、ベースキャビネット130、シンクキャビネット140のうち、ベースキャビネット130を例示するが、本発明はコンロキャビネット120およびシンクキャビネット140にも適用可能である。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる収納庫であるベースキャビネット130の本体部200の斜視図であり、理解を容易にするために、図1の本体部から引出132および134、ならびに足下収納庫136を取り外した状態を示している。
【0021】
図2に示す本体部200は、ベースキャビネット130は、引出132および134、足下収納庫136(図1参照)を収容する。本体部200の右側面200aおよび左側面200b(以下、これらを総じて両側面と称する。)、背面200cは、ステンレス製の板状部材をコの字状に折り曲げることにより一体に形成される。このように本体部200をステンレス製(金属製)とすることにより、高級感や耐久性が得られ、両側面および背面200cを1枚板で構成することにより、部材数の削減、ひいてはそれらの組立工数の削減が可能となる。
【0022】
両側面200a、200bおよび背面200cの下縁にはステンレス製の底板が底面200eとして取り付けられる。なお、本実施形態においては、コの字状に折り曲げたステンレス製の1枚板により両側面および背面200cを構成したが、かかる構成は一例であり、少なくとも両側面がステンレス製の板状部材によって形成されていればよい。
【0023】
また本実施形態では、背面200cおよび底面200eにもステンレス製の板状部材を用いることとしたが、これに限定するものではない。ただし、かかる構成によれば、素材の統一感が得られるため高い意匠性が得られたり、ベースキャビネット130を廃棄する際の分別作業が容易になったりするという利点を得ることができる。
【0024】
図2に示すように、本体部200の両側面の内側には、高さ方向においてレール210が左右一対に取り付けられている。これにより、引出132および134や足下収納庫136(図1参照)の側面に設けられたプーリ(不図示)をレール210に挿入して、引出132および134や足下収納庫136をスライドさせることが可能となる。
【0025】
また図2に示すように、本体部200の両側面の外側には、レール210に対応する位置に、高さ方向においてネジ受けプレート220が左右一対に取り付けられている。これにより、両側面を構成する板状部材の厚みを低減した場合であっても、十分な強度をもってレール210をかかる両側面に取り付けることが可能となる。
【0026】
図3は、図2の各断面図である。図3(a)は図2のA-A断面図であり、図3(b)は図2のB-B断面図であり、図3(c)は図2のC-C断面図である。なお、右側面200aおよび左側面200bは左右対称に同一形状であるため、右側面200aを例示して説明する。
【0027】
本体部200の両側面の縁には屈曲部が設けられる。詳細には、図3(a)に示すように、本体部200の右側面200aの前縁202には、そこを本体部200の外側に曲げ加工し、更にその先端を右側面200aに並行になるように曲げ加工することによって、すなわち前縁202をコの字状に曲げ加工することによって屈曲部202cが形成されている。同様に、図3(b)に示すように、本体部200の右側面200aの下縁204には、そこを本体部200の外側にコの字状に曲げ加工することによって屈曲部204cが形成されている。これにより、右側面200aの剛性を十分に確保することができるため、その薄板化を図ることができる。
【0028】
また本体部200の底面200eの前縁205にも屈曲部205cを形成している。図3(c)に示すように、屈曲部205cは、前縁205を本体部200の下側にコの字状に曲げ加工することによって形成されている。これにより、両側面のみならず底面200eの剛性も向上させることができるため、その薄板化ひいては更なる軽量化を促進することが可能となる。
【0029】
更に本実施形態の本体部200では、図2に示すように、本体部200の右側面200aおよび左側面200bの前側の下部は、後方に向かってL字状に後退している。これにより、両側面それぞれの前側の下部には、四角い切欠き形状の蹴込み部206が形成されている。かかる構成により、本体部200の両側面と一体に蹴込みを設けることができるため、従来のように台輪(台座)によって蹴込みを設ける構成と比して部品数や組付け工数の削減を図ることができる。
【0030】
ここで、可能であれば蹴込み部206にも屈曲部を設けることが好ましいものの、図2からもわかるように、蹴込み部206には屈曲させることができる曲げ代がない。また、蹴込み部206に曲げ加工のための型を当てようとすると、前縁202の屈曲部202cや下縁204の屈曲部204cが邪魔になる。このため、蹴込み部206を曲げ加工して屈曲部を形成することは困難である。そこで本実施形態では、両側面の外側に、蹴込み部206に沿って配置されてそこを補強する補強部材250を設けている(図2参照)。
【0031】
図4は、補強部材250の詳細を示す図である。図4(a)は補強部材250の正面斜視図であり、図4(b)は補強部材250の背面斜視図である。補強部材250は、図4(b)に示す肉抜きされていない面が左側面200bに当接される。なお、右側面200aに対して配置される補強部材250、および左側面200bに対して配置される補強部材250の形状は左右対称である。したがって、以下の説明では、左側面200bに対して配置される補強部材250を例示する。
【0032】
図4に示す補強部材250は、樹脂製の部材であり、左側面200bの下部において、その前縁202の屈曲部202cと下縁204の屈曲部204cとの両方に当接するように配置される(図2参照)。詳細には、図4(a)および(b)に示すように、補強部材250の側面には、屈曲部202cに当接する第1当接面252aと、屈曲部204cに当接する第2当接面252bとが設けられている。第1当接面252aおよび第2当接面252bの間には、蹴込み部206に沿うL字形状の面であるL字面252cが設けられている。
【0033】
また補強部材250の正面256aには、かかる補強部材250をその厚み方向において背面256bに向かって貫通する複数のネジ穴258a、接続孔258bおよび連結孔258cが形成されている。ネジ穴258aは、左側面200bの外側への補強部材250の取付時に使用される。連結孔258cは、コンロキャビネット120等の他の収納庫の本体部と当該本体部200との連結時に使用される。接続孔258bは、後述する底面ブロック270と補強部材250とを連結(底面ブロック270に補強部材250を固定)する際に使用される。
【0034】
図5は、底面ブロック270の詳細を示す図である。図5(a)は底面ブロック270の上面斜視図であり、図5(b)は底面ブロック270の下面斜視図である。本実施形態では、本体部200に対して、上述した補強部材250に加えて図5(a)および(b)に示す底面ブロック270を更に取り付ける。
【0035】
図5(a)および(b)に示す底面ブロック270は、本体部200の底面200eの下かつ両側面の内側に配置されて補強部材250と連結される。詳細には、底面ブロック270は、複数のネジ穴272および接続孔274を有する。ネジ穴272は、底面ブロック270の上面270aから下面270bまで貫通していて、底面ブロック270を本体部200の底面200eに取り付ける際に使用される。接続孔274は、底面ブロック270の内部を幅方向に貫通していて、底面ブロック270と補強部材250とを連結する際に使用される。また本実施形態では、底面ブロック270の上面270aには仮固定用のフック276が形成されている。
【0036】
図6は、本体部200の底面200eへの底面ブロック270の取付について説明する図である。図6(a)に示すように、本体部200の底面200eには、底面ブロック270の上面270aに設けられたフック276に対応する位置にだるま穴208が形成されている。本体部200の底面200eに底面ブロック270を取り付ける際には、まず図6(a)に示す底面200eのだるま穴208に底面ブロック270のフック276を下方から挿入する。
【0037】
次に、図6(a)の矢印に示すように底面ブロック270を手前側にスライドさせる。これにより、図6(b)に示すように、フック276がだるま穴208に嵌り、底面200eの下側に底面ブロック270が仮固定される。その後、本体部200の底面200eに形成されているネジ穴209および底面ブロック270のネジ穴272(図6(a)参照)にネジ300を螺合する。これにより、本体部200の底面200eへの底面ブロック270の取付が完了する。
【0038】
上記構成によれば、フック276およびだるま穴208を用いることにより、底面ブロック270を本体部200の底面200eに容易に仮固定することができる。したがって、組付け作業時に作業員が底面ブロック270を支えている必要がなく、組付け作業を効率的に行うことが可能となる。また底面ブロック270を本体部200の底面200eに仮固定することにより、それらの位置決めを効率的に行うこともできる。
【0039】
図7は、本体部200への各部材の取付について説明する図である。なお、右側面200aおよび左側面200b、ならびにそれらに取り付けられる補強部材250は左右対称に同一の構成を有するため、以下、右側面200aおよびそこに取り付けられる各部材を例示して説明する。
【0040】
本体部200へ各部材を取り付ける際には、まず図7(a)に示すように補強部材250を破線に示す位置から矢印の方向に右側面200aに沿って移動させる。そして、右側面200aの前縁202の屈曲部202cおよび下縁204の屈曲部204c内に補強部材250を配置する。これにより、補強部材250の第1当接面252aおよび第2当接面252b(図4参照)が、右側面200aの外側において屈曲部202c・204cとそれぞれ当接する。
【0041】
次に図7(b)に示すように、底面ブロック270を取り付けた底面200e(図6(b)参照)を本体部200の内側に配置する。これにより、底面ブロック270は、本体部200の底面200eの下且つ右側面200aの内側に位置することとなる。そして、補強部材250の背面256bの外側から、接続孔258b・274にネジ300を螺合する。これにより、本体部200の右側面200aの蹴込み部206には、外側に補強部材250が配置され、内側に底面ブロック270が配置される。
【0042】
上記説明したように、本実施形態にかかる収納庫(ベースキャビネット130)では、補強部材250および底面ブロック270によって本体部200の両側面の蹴込み部206が外側および内側から補強される。これにより、蹴込み部206近傍において荷重に対する強度、特に本体部200の両側面に対して倒れる方向(左右方向)にかかる荷重に対する強度を飛躍的に高めることができる。したがって、金属板を切り欠いて形成される蹴込みが大きい場合であっても、荷重の集中による蹴込み部206ひいては本体部200の倒れる方向の変形を好適に防ぐことができ、収納庫のデザイン性の向上を図ることが可能となる。
【0043】
図8は、本体部200の補強部材250および底面ブロック270が取り付けられた箇所の断面図である。図8に示すように、本実施形態では特に、底面ブロック270は、下面270bが床(図中、ハッチングにて図示)に当接していて、フック276がレール210に当接している。
【0044】
上記構成のように底面ブロック270のフック276とレール210とが当接していることにより、右側面200aに対して本体部200の内側に向かう方向(図8では右方向)の荷重がかかると、その荷重がレール210の底面210aを介してフック276に受け止められる。これにより、本体部200の右側面200aがレール210を介してフック276に支持されるため、本体部200が倒れる方向の変形を防ぐ効果をより高めることができる。
【0045】
そして、底面ブロック270の下面270bが床に当接していることにより、本体部200の底面200eの撓み(回転)を防止し、且つフック276がレール210から受けた荷重を床に逃がすことができる。したがって、本実施形態のように底面ブロック270を設けることにより、右側面200aの倒れおよび底面200eの撓みの両方を抑制し、本体部200の強度を高めることが可能となる。なお、図8では、レール210とフック276とが当接している構成を例示したが、これに限定するものではなく、レール210とフック276とが近接している構成によっても同様の効果を得ることができる。
【0046】
図9は、本体部200の前側の下部を側方から観察した図である。説明の都合上、図9では、右側面200aおよびそれに取り付けられる部材を不図示としている。図9に示すように、本実施形態では、底面200eの屈曲部205cの内側に、断面がコの字形状の底面補強部材280を設けている。一方、底面ブロック270の前側には、段差部278が形成されている。
【0047】
本実施形態では、底面ブロック270を底面200eに取り付ける際に、底面ブロック270の段差部278を底面補強部材280に差し込んでいる。これにより、底面補強部材280と底面ブロック270の段差部278が干渉するため、仮に床(図8参照)が傾いていた場合等に底面ブロック270が床から浮いていても(不陸の状態)、底面ブロック270にかかる荷重を底面補強部材280によって受けることができる。したがって、本体部200が倒れる方向の変形をより確実に防ぐことが可能となる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、被収納物を収納可能なスライド式の引出を備える収納庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100…キッチン、110…天板、112…コンロ、114…調理スペース、116…シンク、120…コンロキャビネット、124…引出、126…足下収納庫、130…ベースキャビネット、132…引出、134…引出、136…足下収納庫、140…シンクキャビネット、144…引出、146…足下収納庫、200…本体部、200a…右側面、200b…左側面、200c…背面、200e…底面、202…前縁、202c…屈曲部、204…下縁、204c…屈曲部、205…前縁、205c…屈曲部、206…蹴込み部、208…だるま穴、209…ネジ穴、210…レール、250…補強部材、252a…第1当接面、252b…第2当接面、252c…L字面、256a…正面、256b…背面、258a…ネジ穴、258b…接続孔、258c…連結孔、270…底面ブロック、270a…上面、270b…下面、272…ネジ穴、274…接続孔、276…フック、278…段差部、280…底面補強部材、300…ネジ
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
図9