(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】金属検出装置を検査するための方法、および、金属検出装置
(51)【国際特許分類】
G01V 3/10 20060101AFI20220201BHJP
G01N 27/82 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G01V3/10 F
G01N27/82
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017211533
(22)【出願日】2017-11-01
【審査請求日】2020-10-06
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511241516
【氏名又は名称】メトラー-トレド・セーフライン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】ダレン・バターワース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ブラックバーン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-014866(JP,A)
【文献】米国特許第05994897(US,A)
【文献】特開2007-047065(JP,A)
【文献】特開平02-126180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 -99/00
G01N27/72 -27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口および出口開口(2A,2B)を有する金属検出装置(9)を検査するための方法であって、
前記入口開口および出口開口(2A,2B)は、移送経路(90)に隣接しており、
製品(P)が、前記移送経路(90)に沿ってコイルシステム(6)を通って移動可能であり、
前記コイルシステム(6)は、検出区域(60)を形成し、
前記コイルシステム(6)は、送信機コイル(61)と、第1および第2の受信機コイル(62,63)と、を備え、
前記第1および第2の受信機コイル(62,63)は、前記送信機コイル(61)に印加される電流が前記第1の受信機コイル(62)に第1のコイル信号を誘導するとともに前記第2の受信機コイル(63)に第2のコイル信号を誘導するような寸法を有しており、
前記第1のコイル信号および前記第2のコイル信号は、前記移送される製品(P)中に金属(C)が存在する場合に、互いに相殺せず、そのことが、前記金属検出装置(9)の信号処理経路(4,5)内に入力信号を生じさせ、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの検査デバイス(7)を備え、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、前記検出区域(60)を通って移動可能な少なくとも1つの検査物(79)を備え、
前記方法は、
a)第1の移送軸線(ca)に沿って前記検出区域(60)を通って前記検査物(79)を移動させ、第1の入力信号を測定する工程と、
b)同一または類似の検査物(79)を第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って前記検出区域(60)を通って移動させ、第2のまたはさらなる入力信号を測定する工程と、
c)前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第1の閾値(th1)を、前記第1の入力信号の振幅が前記第1の閾値(th1)を超えるように決定する工程と、
d)前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を、前記第2のまたはさらなる入力信号の振幅が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を超えるように決定する工程と、
e)関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)を選択する工程と
を備え
、
前記第1の閾値(th1)は、前記第1の移送軸線(ca)について決定され、そのために、前記検査物(79)は前記最小振幅を有する前記入力信号を提供し、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)のついての前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記信号振幅が前記第1の閾値(th1)を超えている第1の差(M1)に応じて決定されるか、または、前記第1の閾値(th1)に応じて決定される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の検査物(79)に加えて、異なる特定を有するさらなる複数の検査物が、前記検出区域の所定の感度が存在する領域において、前記移送軸線(ca;ta;・・・)のうちの少なくとも1つに沿って移動され、
関連する前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)が、最小振幅を有する前記入力信号を提供する前記検査物(79)について決定されるか、あるいは、複数の閾値が検査物(79)ごとに決定される
方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
少なくとも1つの第1の、少なくとも1つの第2の、または、少なくとも1つのさらなる閾値(th1x,th1y;th2x,th2y;・・・)が、少なくとも前記第1の検査物(79)について、関連する前記第1,第2のまたはさらなる移動軸線(ca;ta;・・・)に関して、また、少なくとも第1および第2の動作周波数(fx,fy)に関して決定される
方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)についての前記第2の、または、さらなる第2の、または、さらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記第1の閾値(th1)に重み付け係数qを乗算することによって決定され、
前記重み付け係数qは、好ましくは、前記第1の移送軸線(ca)について測定された前記入力信号の前記振幅に対する、関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号の前記振幅の比に対応している
方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法であって、
関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)を超える第2のまたはさらなる差(M2,M3;・・・)を取得するために、前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)についての前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記第1の差(M1)に重み付け係数qを乗算することによって決定され、
前記重み付け係数qは、好ましくは、前記第1の移送軸線(ca)について測定された前記入力信号の前記振幅に対する、関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号の前記振幅の比に対応している
方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項
5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の移送軸線(ca)が、前記金属検出装置(9)の前記入口開口(2A)から前記出口開口(2B)まで延在する前記検出区域(60)の中心軸線であることと、
異なる前記第2およびさらなる移送軸線(ta,・・・)が、前記第1の軸線(ca)から等間隔で配置されるとともに、前記第1の軸線(ca)と平行であるかまたは該第1の軸線(ca)に対して等しく傾いて配置されることと、
のうちの少なくとも一方を満たす
方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項
6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記コイルシステム(6)は、円錐状または円柱状の検出区域(60)、または、矩形断面を有する検出区域(60)を形成し、
1つ、または、異なる複数の検査物(79)が、前記検出区域(60)において、前記第1の移送軸線(ca)に沿って、または、前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動可能であるか、移動され、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)は、前記検出区域(60)の周囲において前記コイルシステム(6)の内部または外部に位置する検査軸線である
方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項
7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca,ta,・・・)に沿って前記検査物(79)を案内するように構成された案内デバイス(71)を備え、
前記検査デバイス(7)が、各移送軸線(ca;ta;・・・)に割り当てられるか、または、少なくとも1つの検査デバイス(7)が、前記移送軸線(ca,ta,・・・)のうちの少なくとも2つの間で移動可能であるか、もしくは、移動され、
前記案内デバイスは、好ましくは、チューブであり、
前記チューブ内において、前記検査物(79)は、空気圧および重力のうちの少なくとも一方によって、前記割り当てられた移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前後に移動されることができる
方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項
8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記検査デバイス(7)は、保持デバイス(31)に取り付けられ、
前記保持デバイス(31)によって、前記検査デバイス(7)は、前記検査物(79)が前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動可能な第1の位置と、前記検査物(79)が前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)に沿って移動可能な第2のまたはさらなる位置と、の間で移動される
方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法であって、
前記保持デバイス(31)は、駆動ユニット(32)に結合され、
前記駆動ユニット(32)によって、前記保持デバイス(31)は、前記第1,第2のまたはさらなる位置の間で、手動操作によって、または、自動的に移動可能であるか、移動される
方法。
【請求項11】
請求項
9または請求項
10に記載の方法であって、
前記金属検出装置(9)は、制御ユニット(5)を備え、
前記制御ユニット(5)によって前記駆動ユニット(32)が制御されることと、
前記検査デバイス(7)の位置に応じて、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が適用されることと、
のうちの少なくとも一方を満たす
方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項
11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの位置センサ(33)を備え、
前記少なくとも1つの位置センサ(33)によって、前記検査デバイス(7)の位置が感知され、制御
ユニット(5)へ信号が送られ、
前記制御
ユニット(5)は、関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)を選択する
方法。
【請求項13】
入口開口および出口開口(2A,2B)を有する金属検出装置(9)を検査するための方法であって、
前記入口開口および出口開口(2A,2B)は、移送経路(90)に隣接しており、
製品(P)が、前記移送経路(90)に沿ってコイルシステム(6)を通って移動可能であり、
前記コイルシステム(6)は、検出区域(60)を形成し、
前記コイルシステム(6)は、送信機コイル(61)と、第1および第2の受信機コイル(62,63)と、を備え、
前記第1および第2の受信機コイル(62,63)は、前記送信機コイル(61)に印加される電流が前記第1の受信機コイル(62)に第1のコイル信号を誘導するとともに前記第2の受信機コイル(63)に第2のコイル信号を誘導するような寸法を有しており、
前記第1のコイル信号および前記第2のコイル信号は、前記移送される製品(P)中に金属(C)が存在する場合に、互いに相殺せず、そのことが、前記金属検出装置(9)の信号処理経路(4,5)内に入力信号を生じさせ、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの検査デバイス(7)を備え、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、前記検出区域(60)を通って移動可能な少なくとも1つの検査物(79)を備え、
前記方法は、
a)第1の移送軸線(ca)に沿って前記検出区域(60)を通って前記検査物(79)を移動させ、第1の入力信号を測定する工程と、
b)同一または類似の検査物(79)を第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って前記検出区域(60)を通って移動させ、第2のまたはさらなる入力信号を測定する工程と、
c)前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第1の閾値(th1)を、前記第1の入力信号の振幅が前記第1の閾値(th1)を超えるように決定する工程と、
d)前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を、前記第2のまたはさらなる入力信号の振幅が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を超えるように決定する工程と、
e)関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)を選択する工程と
を備え、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca,ta,・・・)に沿って前記検査物(79)を案内するように構成された案内デバイス(71)を備え、
前記検査デバイス(7)が、各移送軸線(ca;ta;・・・)に割り当てられるか、または、少なくとも1つの検査デバイス(7)が、前記移送軸線(ca,ta,・・・)のうちの少なくとも2つの間で移動可能であるか、もしくは、移動され、
前記案内デバイスは、好ましくは、チューブであり、
前記チューブ内において、前記検査物(79)は、空気圧および重力のうちの少なくとも一方によって、前記割り当てられた移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前後に移動されることができる、方法。
【請求項14】
入口開口および出口開口(2A,2B)を有する金属検出装置(9)を検査するための方法であって、
前記入口開口および出口開口(2A,2B)は、移送経路(90)に隣接しており、
製品(P)が、前記移送経路(90)に沿ってコイルシステム(6)を通って移動可能であり、
前記コイルシステム(6)は、検出区域(60)を形成し、
前記コイルシステム(6)は、送信機コイル(61)と、第1および第2の受信機コイル(62,63)と、を備え、
前記第1および第2の受信機コイル(62,63)は、前記送信機コイル(61)に印加される電流が前記第1の受信機コイル(62)に第1のコイル信号を誘導するとともに前記第2の受信機コイル(63)に第2のコイル信号を誘導するような寸法を有しており、
前記第1のコイル信号および前記第2のコイル信号は、前記移送される製品(P)中に金属(C)が存在する場合に、互いに相殺せず、そのことが、前記金属検出装置(9)の信号処理経路(4,5)内に入力信号を生じさせ、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの検査デバイス(7)を備え、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、前記検出区域(60)を通って移動可能な少なくとも1つの検査物(79)を備え、
前記方法は、
a)第1の移送軸線(ca)に沿って前記検出区域(60)を通って前記検査物(79)を移動させ、第1の入力信号を測定する工程と、
b)同一または類似の検査物(79)を第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って前記検出区域(60)を通って移動させ、第2のまたはさらなる入力信号を測定する工程と、
c)前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第1の閾値(th1)を、前記第1の入力信号の振幅が前記第1の閾値(th1)を超えるように決定する工程と、
d)前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を、前記第2のまたはさらなる入力信号の振幅が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を超えるように決定する工程と、
e)関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)を選択する工程と
を備え、
前記検査デバイス(7)は、保持デバイス(31)に取り付けられ、
前記保持デバイス(31)によって、前記検査デバイス(7)は、前記検査物(79)が前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動可能な第1の位置と、前記検査物(79)が前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)に沿って移動可能な第2のまたはさらなる位置と、の間で移動される、方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項
14のいずれか一項に記載の方法にしたがって動作する金属検出装置(9)であって、
少なくとも1つの検査物(79)を有する少なくとも1つの検査デバイス(7)と、
制御ユニット(
5)と、
を備え、
第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が決定されている関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って検査物(79)が移動可能であるか、移動されるときはいつでも、前記制御ユニット(
5)によって、前記信号処理経路(4)において、前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が選択され得るとともに適用可能である
金属検出装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の金属検出装置(9)であって、
2つ以上の位置の間で、手動操作によって移動可能であるか、または、好ましくは前記制御ユニット(5)の制御下で自動的に移動可能である検査デバイス(7)を備え、
前記検査物(79)は、前記2つ以上の位置の間で、前記関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って移動可能である
金属検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、金属検出装置を検査するための方法、および、この方法にしたがって動作する金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]金属検出装置は、望ましくない金属混入を検出および排斥するために使用される。適正に設置され、動作される場合、それは、金属混入を低減し、食物の安全性を向上する助けとなる。ほとんどの近代的な金属検出器は、「平衡コイルシステム」を備える検査ヘッドを利用する。このデザインの検出器は、生鮮製品および冷凍製品などの種々様々な製品中の鉄、非鉄金属およびステンレス鋼を含む全ての金属混入タイプを検出することができる。
【0003】
[0003]金属検出装置は、典型的には、異なるサイズまたは等しいサイズの断面積を有する入口開口および出口開口を有する金属筐体を備えている。この入口開口および出口開口は、検査対象物が移動する、筐体内の移動経路を規定する。
【0004】
[0004]「平衡コイル」の原理にしたがって動作する金属検出装置は、典型的には、非金属のフレームすなわちヨークに巻かれた3つのコイルを備えている。このコイルシステムは、少なくとも1つの送信機コイルと、少なくとも1つの第1の受信機コイルおよび少なくとも1つの第2の受信機コイルと、を備えている。それぞれの受信機コイルは、入口開口と出口開口との間で筐体内の検出区域を境界付ける。検出区域は、移動経路に沿って変化するか、または、一定の断面形状を有している。円柱状の検出区域を有するシステムは、典型的には、2つの受信機コイルの間で受信機コイルが中央に配置された状態で、同一寸法を有する複数のコイルを使用する。円錐状検出区域を有するシステムは、典型的には2つの受信機コイルの間で受信機コイルが中央からずれて配置された状態で、互いにサイズが異なる複数のコイルを使用する。これらの両方のシステムにおいて、コイルは、少なくとも1つの送信機コイルが交流電流によって印加された場合に、それによって生成される電磁場が、第1の受信機コイルに第1の電圧を誘導し、第2の受信機コイルに第2の電圧を誘導し、検査対象物に金属が存在しない場合に、第1の電圧と第2の電圧とが互いに打ち消し合うように構成される。
【0005】
[0005]金属の粒子がコイル構造を通過すると、高周波電磁界が、まず、一方の受信機コイルの近傍で乱され、次いで、他方の受信機コイルの近傍で乱される。金属の粒子がこれらの受信コイルを通って運ばれると、各受信コイルに誘導された電圧が変化する。不安定な状態のこの変化は、受信機コイルの出力のところで信号を発生させる。この信号は、増幅され処理されることができ、その後、金属異物の存在を検出するために使用することができる。
【0006】
[0006]信号処理経路は、典型的には、受信した信号を、互いに90°離れた個別の2つの成分に分割する。結果として得られるベクトルは、大きさと位相角とを有している。これは、典型的には、コイルシステムを通って運ばれる製品および異物についてのものである。金属異物を識別するために、「製品効果」は、取り除かれるか、低減される必要がある。次いで、製品の位相が既知であれば、対応する信号ベクトルが低減され得る。したがって、望まれない信号を信号スペクトルから除去することによって、異物に由来する信号に対する感度が高まる。
【0007】
[0007]したがって、望まれない信号を信号スペクトルから除去するために求められる方法は、製品、異物および他の外乱が磁界に異なる影響を与え、その結果として生じる信号の位相が異なることを利用している。
【0008】
[0008]由来が異なる信号成分の位相を位相検出器によって区別することによって、製品および異物に関する情報を得ることができる。位相検出器(例えば、周波数混合器またはアナログ乗算回路)は、信号入力(例えば、受信機コイルからの信号)と、送信機ユニットによって受信機ユニットに提供される基準信号と、の位相差を表す電圧信号を生成する。このため、製品信号成分の位相と一致するように基準信号の位相を選択することによって、位相差および対応する製品信号が、位相検出器のゼロの出力のところで得られる。異物に由来する信号成分の位相が製品信号成分の位相と異なる場合、次いで、異物の信号成分が検出され得る。しかしながら、異物の信号成分の位相が製品信号成分の位相に近い場合、次いで、異物の検出を失敗してしまう。なぜなら、異物の信号成分は、製品信号成分とともに抑制されるからである。
【0009】
[0009]したがって、公知のシステムでは、送信機周波数は、金属異物の信号成分の位相が製品信号成分の位相に対してずれるように選択可能である。
【0010】
[0010]米国特許第8587301号は、最小サイズの金属粒子の信号成分の位相および振幅が製品信号の位相および振幅と最も異なる好ましい送信機周波数を決定することができる金属検出システムを作動させるための方法を開示している。
【0011】
[0011]したがって、金属検出装置を検査し、最適化するために、様々な異物についての検査を実施する必要がある。しかしながら、これは、長時間を要する。さらに、特に処理された製品の頻繁な変化を考慮すれば、定期的にチューニングが実施されなければならない。
【0012】
[0012]欧州特許出願第15200786.0号は、金属検出装置を検査するための検査デバイスを開示している。1つ以上の検査物が製品軸線(これに沿って製品が検出区域を通って移動する)に平行または同様に傾斜した検査軸線に沿って通過される。各検査物は、小塊に嵌め込まれ、ガイドチューブ内を一端から他端まで自由に移動することができる。検査物によって生じる信号を評価することによって、金属検出装置の感度をチェックすることができる。
【0013】
[0013]検査物を検査軸線(これは、製品軸線からオフセットされている)に沿って移送することによって、製品が移送される状態で金属検出装置を検査することができる。そのような検査デバイスの欠点は、金属検出装置の感度が検出区域の他の領域(これは、検査デバイスが設置される領域よりも重要になり得る)において測定されないことである。
【0014】
[0014]しかしながら、異なる感度を示す、検出区域の様々な領域について、装置のユーザは、検出区域の特定の領域において感度に適応される検査物を使用することができる。しかしながら、単一の検査物は、例えば、金属検出装置の製造者によって移送される際に、検出区域の異なる感度を示す各領域において検査を実施するのには適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
[0015]したがって、本発明は、金属検出装置を検査するための改善された方法、および、この方法にしたがって動作する改善された金属検出装置を提供する目的に基づいている。
【0016】
[0016]本発明の方法によれば、完全な検出区域にわたって、あるいは、金属検出装置の適正な性能のために重要な選択された各領域において、金属検出装置の感度を検査することができるであろう。
【0017】
[0017]特に、本発明の方法によれば、金属検出装置は、単一の検査物について最悪の条件下で検査可能であろう。
【0018】
[0018]さらに、本発明の方法によれば、場合によっては処理された製品内に生じる全ての異物についての追加的な労力を実質的に必要とすることなく、金属検出装置の性能を最適化することが可能になるであろう。
【0019】
[0019]本発明の装置によれば、最小の労力で検査を便利に実施することができるであろう。さらに、既に使用されている場合であっても、任意の金属検出システムにおいて本発明の方法を実施することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
[0020]本発明の上記および他の目的は、請求項1に定義される金属検出装置を検査するための改善された方法、および、この方法にしたがって動作する請求項14に定義される金属検出装置によって達成される。
【0021】
[0021]この方法によれば、移送経路に隣接する入口開口および出口開口を有する金属検出装置を検査することができる。この移送経路に沿って、検出区域を規定するコイルシステムを通って製品が移動され得る。コイルシステムは、送信機コイルと、第1および第2の受信機コイルと、を備えている。第1および第2の受信機コイルは、送信機コイルに印加される電流が第1の受信機コイルに第1のコイル信号を誘導するとともに、第2の受信機コイルに第2のコイル信号を誘導するような寸法を有する。検出区域を通って移動可能な少なくとも1つの検査物を備える少なくとも1つの検査デバイスで、この第1および第2のコイル信号は、移送される製品内に金属が存在する場合には、互いに相殺せず、このことは、金属検出装置の信号処理経路内に入力信号を生じさせる。
【0022】
[0022]本方法は、
a)第1の移送軸線に沿って検出区域を通って検査物を移動させ、第1の入力信号を測定する工程と、
b)類似の検査物、好ましくは同一の検査物を第2のまたはさらなる移送軸線に沿って検出区域を通って移動させ、第2のまたはさらなる入力信号を測定する工程と、
c)第1の移送軸線に沿って移動される検査物に適応される第1の閾値を、第1の入力信号の振幅が第1の閾値を超えるように決定する工程と、
d)第2のまたはさらなる移送軸線に沿って移動される検査物に適応される第2のまたはさらなる閾値を、第2のまたはさらなる入力信号の振幅が第2のまたはさらなる閾値を超えるように決定する工程と、
e)検査物が、関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線に沿って移動されるときはいつでも、信号処理経路において第1、第2のまたはさらなる閾値を選択する工程と
を備えている。
【0023】
[0023]本発明の方法によれば、単一の検査物が検出区域の様々な領域にある状態で金属検出装置を検査することができ、その結果、単一の検査デバイスおよび単一の検査物を使用する場合であっても、金属検出装置の性能が完全に検査され得る。
【0024】
[0024]本発明の方法によれば、特に、検出区域の低感度または最低感度を示す領域で金属検出装置の性能を検査することができる。したがって、本発明の方法は、検出区域の高感度の領域において金属検出装置を検査することに限定されない。一方、他の領域における検査は無視され、この場合、故障または不適切なキャリブレーションに起因して感度が不十分になる可能性がある。
【0025】
[0025]低下した感度の領域において金属検出装置を検査することによって、好ましくは最低感度の領域において、必要な性能の存在が確認され得る。誤判定の検査を避けることができる。
【0026】
[0026]さらに、金属検出装置の検査は、検出区域の異なる感度を示す複数の領域において、単一の検査物について、あるいは、複数の類似の検査物について実施され得る。したがって、ユーザは、金属検出装置の完全な検査のために、多数の類似の検査物について、単一の検査物、または、一組の検査物を使用することができる。
【0027】
[0027]さらに、好ましくは、少なくとも、関連する第1、第2および/またはさらなる移送軸線について、および、少なくとも第1および第2の動作周波数について、少なくとも第1の検査物に関して少なくとも1つの第1の閾値、少なくとも1つの第2の閾値、または、少なくとも1つのさらなる閾値が決定される。したがって、一組の動作周波数について、対応する一組の閾値が提供される。
【0028】
[0028]検査は、手動操作で、あるいは、自動的に実施され得る。本発明の金属検出装置では、検出区域の様々な領域について予め定められた一組の閾値のうちから適切な閾値が自動的に選択される。さらに、検査デバイスは、複数の位置の間で自動的に移動されてもよい。この場合、検査物は、検出区域の特定の領域において金属検出装置を自動的にそれぞれ検査するための関連する移送軸線に沿って移動されてもよい。
【0029】
[0029]好ましい実施形態では、複数の検査物を有するセットが提供される。これらは、異なる特性を有しており、検出区域の略等しい感度を示す1つ以上の領域に適用され得る。検査物は、任意の種類であってもよく、それには、鉄系、非鉄系(例えば、アルミニウム)、非磁性ステンレス鋼の種類が含まれる。検査物の同一のセットは、適切な閾値が事前決定された後、任意の移送軸線、または、特定の感度を有する領域に適用され得る。
【0030】
[0030]検査物のセットのうちの様々な検査物は、同一の移送軸線に沿って順次移動されてもよく、あるいは、特定の検査物についての感度が略等しくなる異なる移送軸線に沿って移動されてもよい。第1の実施形態では、等しい感度を有する領域または各移送軸線について、関連する第1、第2のまたはさらなる閾値の差、または、閾値が、検査物について決定される。これによって、入力信号に最小の振幅が提供される。その結果、最小信号を提供する検査物が検出され得る場合、より大きい信号を提供する他の検査物も検出され得ることが保証される。
【0031】
[0031]他の重要な実施形態では、検査物のセットのうちの検査物のそれぞれの1つについて、閾値が決定される。次いで、好ましくは、検査物のセットのうちの各検査物について、様々な周波数について検査が実施される。したがって、決定された閾値を超える周波数範囲が決定される。各検査物についての決定された周波数範囲に基づいて、金属検出装置は、例えば決定された周波数範囲の中心周波数または2つ以上の周波数領域の交点を選択することによって、最適化され得る。このプロセスは、ユーザが介入することなく自動的に実施されてもよい。
【0032】
[0032]したがって、検査物のセットについて、金属検出装置の感度は、製品において発生し得る全ての異物に関してより正確に検査され得る。上述したように、検査は、金属検出装置を最適化することと組み合わせられてもよい。検査に失敗する場合、警告信号または警告レポートが生成されてもよく、あるいは、例えば移送周波数をステッピングするとともに関連する閾値を超えるまで検査を繰り返すことによって、修正するための測定が自動的に行われてもよい。様々な移送周波数について閾値を超えない場合、改善されたレポートが発行されてもよい。予め定められた閾値を設けることによって、検査全体が効率的に、かつ、少ない労力で実行され得る。
【0033】
[0033]さらなる好ましい実施形態では、第1の移送軸線について第1の差(マージン)および第1の閾値が決定される。そのために、検査物または検査物のセットは、最小の振幅を有する入力信号、または、最小の振幅を有する対応する入力信号を提供する。次いで、第2のまたはさらなる移送軸線についての第2のまたはさらなる差が、第1の差または第1の閾値に応じて決定される。
【0034】
[0034]したがって、異なる移送軸線についての複数の検査が、実施されるか、実施され得る。その後、第1の移送軸線は、関連する複数の入力信号の振幅を比較することによって決定され、この移送軸線は、最小の入力信号が記録されるために、選択される。代替的に、検出区域の中心軸線(これは、入口開口および出口開口と、それらの中心点のところで直交する)は、典型的には、最低感度を示すので、この中心軸線は、第1の移送軸線として選択され得る。
【0035】
[0035]次いで、第2のまたはさらなる移送軸線についての第2のまたはさらなる閾値が様々な方法で決定されてもよい。
【0036】
[0036]第2のまたはさらなる移送軸線についての第2の、または、さらなる第2の、または、さらなる閾値は、好ましくは、第1の閾値に重み付け係数qを乗算することによって決定される。重み付け係数qは、好ましくは、第1の移送軸線について測定された入力信号の振幅に対する、関連する第2のまたはさらなる移送軸線について検査物に関して測定された入力信号の振幅の比に対応する。
【0037】
[0037]代替形態として、第2のまたはさらなる移送軸線についての第2のまたはさらなる閾値が、第1の差に重み付け係数qを乗算することによって決定される。重み付け係数qは、好ましくは、第2のまたはさらなる差を取得するために、第1の移送軸線について測定された入力信号の振幅に対する、関連する第2のまたはさらなる移送軸線について検査物に関して測定された入力信号の振幅の比に対応する。第2のまたはさらなる差によって、関連する第2のまたはさらなる移送軸線について測定された入力信号が第2のまたはさらなる閾値を超える。したがって、第2のまたはさらなる閾値は、関連する第2のまたはさらなる移送軸線について検査物に関して測定された入力信号の振幅から、計算された第2のまたはさらなる差を減算することによって決定される。
【0038】
[0038]したがって、より感度の高い領域について、閾値差は、好ましくは増大され、最も好ましくは、増大した感度、または、測定された信号強度の比に比例して増大される。
【0039】
[0039]本発明の方法は、任意の金属検出システムにおいて適用され得る。この場合、製品は、検出区域を例えば、水平方向または鉛直方向に横切る。好ましい実施形態では、コイルシステムは、円錐状または円柱状の検出区域、または、矩形断面を有する検出区域を形成する。1つまたは複数の異なる検査物は、第1の移送軸線に沿って、または、第2のもしくはさらなる移送軸線に沿って移動されてもよい。これらの移送軸線は、検出区域の周囲のコイルシステムの内側または外側に位置する検査軸線である。
【0040】
[0040]好ましい実施形態では、異なる第2およびさらなる移送軸線が、第1の軸線から等間隔に配置され、また、第1の軸線と平行または第1の軸線に対して等しく傾いて配置される。このようにして、複数の検査デバイスを使用して、製品内に潜在的に存在する異物の全体範囲にわたって金属検出装置の性能を検査することができる。
【0041】
[0041]検査デバイスは、好ましくは、案内デバイスを備えている。案内デバイスは、関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線に沿って検査物を案内するように構成される。特定の検査デバイスが各移送軸線に割り当てられてもよく、あるいは、少なくとも1つの検査デバイスが、検査を実施するために、移送軸線のうちの少なくとも2つの間で移動可能であってもよい。
【0042】
[0042]案内デバイスは、好ましくは、チューブであり、この場合、検査物は、空気圧または重力によって駆動されて前後に移動されてもよい。
【0043】
[0043]さらなる好ましい実施形態では、検査デバイスは、保持デバイスに取り付けられる。これによれば、検査デバイスは、検査物が第1の移送軸線に沿って移動可能な第1の位置と、検査物が第2のまたはさらなる移送軸線に沿って移動可能な第2のまたはさらなる位置と、の間で移動され得る。
【0044】
[0044]保持デバイスは、好ましくは、駆動ユニットに結合される。それによって、保持デバイスは、第1、第2のまたはさらなる位置の間で移動可能であるか、移動される。
【0045】
[0045]金属検出装置は、好ましくは、制御ユニットを備えている。それによって、駆動ユニットが制御され、および/または、第1、第2のまたはさらなる閾値が検査デバイスの位置に応じて信号処理経路において適用される。
【0046】
[0046]他の好ましい実施形態では、金属検出装置は、少なくとも1つの位置センサを備えている。それによって、検査デバイスの位置が、感知され、制御ユニットに伝えられる。制御ユニットは、関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線に沿って検査物が移動されるときはいつでも、信号処理経路において第1、第2のまたはさらなる閾値を選択する。
【0047】
[0047]検査デバイスが駆動ユニットの制御下で自動的に移動される場合、駆動ユニットも、対応する閾値を自動的に設定してもよい。しかしながら、駆動デバイスが手動操作で移動される場合、次いで、検査デバイスによって到達される位置は、好ましくは、関連する位置センサによって感知される。
【0048】
[0048]本発明の目的および利点のいくつかについて述べたが、他の目的および利点は、以下の説明を添付図面と共に考慮すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の方法にしたがって動作する金属検出装置9を概略的に示しており、金属検出装置9は、検査物79を有する少なくとも1つの検査デバイス7を備えており、検査デバイス7は、検査物79が第1の移送軸線すなわち中心軸線caに沿って移動可能である第1の位置、および、検査物79が第2の移送軸線すなわち検査軸線taに沿って移動可能な第2の位置から移動可能である。
【
図2】
図1の本発明の金属検出装置9の好ましい実施形態を示している。
【
図3】例えば
図2に示されるように金属検出装置9の検出区域内で水平方向軸線に沿って移動されている検査物79について記録された相対信号強度の図を示している。
【
図4】例えば
図1または
図2に示されるように、まず、金属検出装置9の中心軸線caに沿って移動され、次いで、検査軸線taに沿って移動されている3つの検査物79A,79B,79Cのセットについて記録された信号の振幅を示している。
【
図5】
図5Aはガイドチューブ71を備える検査デバイス7を示しており、ガイドチューブ71は、接続具70に接続されるとともに、
図5Bに示されるように小塊78内に埋め込まれた検査物79を包囲している。
図5Bはガイドチューブ71および接続具70の中心軸線に沿った平面で切断されている、
図5Aの検査デバイス7の断面図を示している。
図5Cは
図5Aの検査デバイス7を分解図で示している。
【
図6】保持デバイス31と駆動デバイス32とを備える
図2の金属検出装置9を示しており、保持デバイス31と駆動デバイス32とによって、検査デバイス7は、検査物79が移送経路90の中心軸線caに沿って移動可能な第1の位置と、検査デバイス7が検査軸線taに沿って移動可能な第2の位置と、の間で移動可能である。
【
図7】円錐状の移送経路90を備える本発明の金属検出装置9の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
[0049]
図1は、本発明の金属検出装置9を概略的に示している。この金属検出装置9は、送信機ユニット1と、第1の受信機コイル62と第2の受信機コイル63とを有する平衡コイルシステム6と、信号処理ユニットを有する受信機ユニット4と、制御ユニット5(例えば、標準的なコンピュータシステム)と、を備えている。制御ユニット5は、標準的なインタフェースと、入力デバイスと、出力デバイスと、好ましくは、キーボードおよびモニタと、を備えている。制御ユニット5には、プログラム55が実装されており、プログラム55によって、測定プロセス、キャリブレーションプロセスおよび検査プロセスが制御可能である。
図1は、さらに、コンベア8を模式的に示している。コンベア8上では、金属異物Cを含有していることがある製品Pが、金属検出装置9の移送経路90を通って(
図2参照)、また、平衡コイルシステム6によって区切られる検出区域60を通って、製品軸線paに沿って移送される。
【0051】
[0050]送信機ユニット1は、動作周波数を有する信号をパワーアンプ12の入力に提供する周波数発生器11を備えている。パワーアンプ12は、例えば、クラスA規格またはクラスB規格にしたがって動作する。パワーアンプ12の出力は、送信機コイル61に接続されており、また、スイッチバンク14を選択的に介してコンデンサC1,C2,C3に接続されている。選択可能なコンデンサC1,C2,C3によれば、送信機コイル61は、周波数発生器11のところで制御ユニット5によって選択される送信機周波数に変化され得る。送信機コイル61に適用される送信機信号は、第1の受信機コイル62に第1のコイル信号を誘導するとともに、第2の受信機コイル63に第2のコイル信号を誘導する。第1のコイル信号および第2のコイル信号は、金属Cが製品P内に存在する場合には、互いに相殺しない。その代わりに、移送される製品P内に金属Cが存在する場合には、受信機コイル62,63の信号は、異なる信号を提供する。この信号は、受信機ユニット4の信号処理経路において入力信号として処理される。この入力信号は、例えば、受信機ユニット4で増幅されるとともにフィルタリングされ、制御ユニット5に送られる。好ましくは、制御ユニット5において、入力信号は、閾値と比較される。入力信号が閾値を超えた場合、異物または検査物が検出され、信号が送られる。
【0052】
[0051]
図1は、さらに、1つ以上の検査デバイス7を模式的に示している。検査デバイス7は、関連する移送軸線caまたはtaに沿って移動され得る検査物79を備えている。
図5Bに示されるように、検査デバイスは、好ましくは、中空チューブ71を備えている。検査物79は、中空チューブ71に沿って前後に移動することができ、好ましくは、空気圧によって推進される。単一の検査デバイス7が、第1の移送軸線ca(例えば、検出区域60の中心軸線)と、第2の移送軸線ta(すなわち、検出区域60の周囲において選択される検査軸線)と、の間で移動可能であってもよい。代替的に、第1の検査物79を有する第1の検査デバイス7が、検査軸線taのところにしっかりと設置されてもよく、一方、第2の検査物79を有する移動可能な第2の検査デバイス7が、個別に設けられてもよい。
【0053】
[0052]したがって、本発明によれば、単一の検査デバイス7の同一の検査物79、または、2つ以上の検査デバイス7の類似の複数の検査物79が、検査目的で使用されてもよい。ただし、中心軸線caの領域および検査軸線taの領域における金属検出装置9の感度は、異なっている。検出区域60の異なる領域における同一または類似の検査物の適用性を確保するために、移送軸線ca,taおよび固有の検査物ごとに、個々の閾値が決定される。この目的のために、検査物79は、検出区域60を通って第1の移送軸線caに沿って移動され、第1の入力信号が測定される。このために、第1の入力信号の振幅が第1の差M1だけ第1の閾値th1を超えるように第1の閾値th1が決定される(
図4参照)。次いで、同一または類似の検査物79が、検出区域60を通って第2の移送軸線taに沿って移動され、第2の入力信号が測定される。このために、第2の入力信号の振幅が第2の差M2だけ第2の閾値th2を超えるように第2の閾値th2が決定される。その後、決定された第1の閾値th1または第2の閾値th2は、検査物79が関連する第1の移送軸線caまたは第2の移送軸線taに沿って移動されるときはいつでも、受信機ユニット4の信号処理経路において適用される。関連する閾値th1またはth2は、移送軸線caまたはta(これに沿って検査物79が現在移動されている)について、手動操作によって、または、自動的に選択され得る。好ましい実施形態(
図6参照)では、検査デバイス7の位置は、位置センサ33によって検出される。
【0054】
[0053]金属検出装置9のために検査物79のセットが使用される場合、次いで、最小信号を提供する検査物79のみのために、あるいは、検査物79のセットの各検査物79のために、移送軸線についての閾値が決定されてもよい。決定された閾値を使用して、金属検出装置9は、潜在的な異物Cの全体範囲にわたって少ない労力で検査され得る。さらに、決定された閾値を使用することによって、金属検出装置9は、特定の異物C用に最適化され得る。様々な種類の金属異物について、関連する入力信号が関連する閾値を越える送信機周波数の範囲が決定されてもよい。2つの特定の異物Cが対象である場合、次いで、それらの異物Cについて決定される周波数範囲の交点において送信機周波数が選択される。
【0055】
[0054]したがって、好ましい実施形態では、関連する第1の移送軸線、第2の移送軸線またはさらなる移送軸線ca;ta;・・・について、また、少なくとも第1の動作周波数fxおよび第2の動作周波数fyについて、少なくとも第1の検査物79に関して、少なくとも1つの第1の閾値、少なくとも1つの第2の閾値および/または少なくとも1つのさらなる閾値th1x,th1y;th2x,th2y;・・・が決定される。最も好ましくは、閾値は、全ての検査物、全ての移送軸線および全ての動作周波数の組み合わせの全てまたは一部について提供される。
【0056】
[0055]これらのプロセスの全ては、自動的に実行され得るので、金属検出装置9の検査および最適化は、迅速かつ少ない労力で行われ得る。
【0057】
[0056]
図2は、統合型の制御ユニット5と、移送経路90と、矩形断面を有する検出区域60と、を備える
図1の本発明の金属検出装置9の好ましい実施形態を示している。第1の移送軸線(これに沿って検査物79が移動可能である)は、中心軸線caである。第2の移送軸線(これに沿って検査物79が移動可能である)は、検査軸線taである。検査軸線taは、中心軸線caの左に約30mmだけオフセットされている。
【0058】
[0057]
図3は、例えば、
図2に示されるように、金属検出装置9の検出区域60内において水平方向軸線に沿って移動された検査物79について記録された相対信号強度の二次元図を示している。記録された線は、検出区域60を通って延在する放物面の放物線にほぼ対応している。放物線の頂点のところに位置する中心軸線caは、図のx軸に対して直交する方向に延在する。相対信号強度ssRELは、中心点または中心軸線caのところで最小であり、そこから左右に行くと増加することが分かる。
図2に示されるように、検査軸線taは、中心軸線caの左側に30mmのところに設けられる。この検査軸線に沿って、感度すなわち相対信号強度ssRELは、約2.5の係数で増加する。したがって、検査軸線taおよび同一または類似の検査物79について第2の閾値th2を取得するために、中心軸線caについて提供された第1の閾値th1には、好ましくは係数2.5が乗算される。
【0059】
[0058]
図4は、例えば
図1または
図2に示されるように、まず、金属検出装置9の中心軸線caに沿って移動され、次いで、検査軸線taに沿って移動された3つの検査物79A,79B,79Cのセットについて記録された信号振幅を示している。次いで、第1の検査物79Aによって提供される最小の入力信号s79Aについて、第1の差M1が適切な方法で決定される。
【0060】
[0059]一例として、第1の差M1は、入力信号s79Aを、選択された係数(例えば、10)で除算することによって決定される。入力信号s79Aの測定された振幅から第1の差M1を減算することによって、第1の閾値th1が決定される。
【0061】
[0060]決定された第1の閾値th1は、将来的な用途のために制御ユニット5に保存される。第1の検査物97Aを検査軸線taに沿って移動させることによって記録された入力信号s*79Aについての第2の差M2は、入力信号s*79A,s79Aの振幅の比を第1の差M1に乗算することによって決定される。
【0062】
[0061]
図4の図表では、好ましい実施形態において、さらなる検査物79B,79Cによって提供される信号について閾値th22,th23も決定されることを示している。閾値th21,th22,th23および対応する検査物79A,79B,79Cのセットによれば、本発明の金属検出装置9は、対象の全ての材料について完全に検査され得る。
【0063】
[0062]
図5Aおよび
図5Bは、空間図および断面図での検査デバイス7の一例を示している。
図5Cは、
図5Aの検査デバイス7を分解図で示している。検査デバイス7は、中空の円筒状ガイドチューブ71を備えている。ガイドチューブ71は、基端のところで接続具70に接続されるとともに小塊78内に埋め込まれた検査物7を取り囲む。先端のところで、ガイドチューブ71は、2つの排気穴を有する通気ポート711と、ネジ部と、を備えている。ネジ部には、端部ストッパ75が挿入される。端部ストッパ75は、ネジ付きボルトであってもよい。端部ストッパ75は、小塊78のための端部ストッパとしての機能を果たし、好ましくは、小塊78の移動経路の所望の長さに到達するために調節され得る。角度付けられた接続具70は、ガイドチューブ71が保持される第1の接続部701と、エアカップリングに接続され得るか、または、エアホースに直接的に接続され得る第2の接続部702と、を備えている。空気圧、真空または重力を適用することによって、小塊78は、ガイドチューブ71の基端と先端との間で前後に移動され得る。
【0064】
[0063]
図6は、保持デバイス31と駆動デバイス32とを備える
図2の金属検出装置9を示している。保持デバイス31および駆動デバイス32によって、検査デバイス7は、検出区域60の中心軸線caに沿って検査物79が移動可能である第1の位置と、検出区域60の周囲のところに位置する検査軸線taに沿って検査物79が移動可能である第2の位置と、の間で移動可能である。検査デバイス7は、現在、中心軸線caと整合されているので、第2の位置では破線で示されている。この好ましい実施形態では、駆動デバイス32は、検査デバイス7が所望の位置に移動され得るように制御ユニット5の制御下で動作される。このために、閾値th1またはth2が決定され、適用される。決定された閾値th1またはth2を使用して、同一または類似の検査物79について将来の検査を自動的に実行することができる。しかしながら、検査は、自動的に実行されてもよく、あるいは、制御ユニット5のタッチパネルに表示されたコマンド領域を触ることによってコマンドを入力することができるユーザ、および/または、検査デバイス7を手動操作で移動させることができるユーザの制御下で実行されてもよい。
【0065】
[0064]位置センサ33によって検査デバイス7の位置も検出され得る。検査デバイス7が手動操作によって、制御ユニット5とは独立して移動される場合、次いで、位置センサ33は、検査デバイス7が、関連する位置(例えば、中心軸線の位置)まで移動されるとすぐに、制御ユニット5に信号を供給するであろう。
【0066】
[0065]上述したように、本発明の方法は、任意の金属検出装置において実施され得る。
図7は、円錐状の移送経路90を備える本発明の金属検出装置9の断面図を示している。この金属検出装置9は、鉛直包装用途(すなわち、挿入されてシールパッケージになる前に、機内製品の検査を行うために)において、金属が混入した製品を検出するように構成される。この装置は、例えば検量者とバッグメーカーとの間の制限された空間に設置することができる高さを最小化するように構成される。
【0067】
[0066]金属検出装置1は、入口開口2Aと出口開口2Bとを有する筐体99を備えている。入口開口2Aおよび出口開口2Bは、製品Pが移動され得る円錐状の移送経路90を区切る。
【0068】
[0067]金属検出装置9は、中央集中コンピュータシステムに接続され得る制御ユニット5を備えている。金属検出装置9は、自律的に、または、中央集中コンピュータシステムの制御下で動作してもよい。中央集中コンピュータシステムは、1つまたは複数の金属検出装置9を制御してもよく、また、適用パラメータを提供し、測定結果を収集してもよい。
【0069】
[0068]検査物を推進させるために、空気圧制御装置900が設けられる。空気圧制御装置900は、好ましくは、手動操作によって、または、ローカル制御ユニット5、もしくは、制御バスを介した中央集中コンピュータシステムの制御下で動作され得る空気圧装置(例えば、圧力発生装置、真空発生装置および弁手段(図示せず))を備えている。空気圧制御装置900は、例えば、1つ以上のエアポンプ、および/または、例えばベンチュリ管の原理にしたがって動作する1つ以上の真空発生装置を備えていてもよい。圧力発生装置および真空発生装置は、好ましくは、特定の圧力または真空をパルス状に適用することができるようにするための制御手段または切換手段を備えている。空気圧設備、および、この空気圧設備を制御するための装置は、例えば、Festo AG(www.festo.us参照)から入手可能である。空気圧制御装置900は、好ましくはパルスで、選択された検査間隔で(例えば、15分または30分ごと)検査装置の接続部702に圧力または真空を提供するように構成される。
[形態1]
入口開口および出口開口(2A,2B)を有する金属検出装置(9)を検査するための方法であって、
前記入口開口および出口開口(2A,2B)は、移送経路(90)に隣接しており、
製品(P)が、前記移送経路(90)に沿ってコイルシステム(6)を通って移動可能であり、
前記コイルシステム(6)は、検出区域(60)を形成し、
前記コイルシステム(6)は、送信機コイル(61)と、第1および第2の受信機コイル(62,63)と、を備え、
前記第1および第2の受信機コイル(62,63)は、前記送信機コイル(61)に印加される電流が前記第1の受信機コイル(62)に第1のコイル信号を誘導するとともに前記第2の受信機コイル(63)に第2のコイル信号を誘導するような寸法を有しており、
前記第1のコイル信号および前記第2のコイル信号は、前記移送される製品(P)中に金属(C)が存在する場合に、互いに相殺せず、そのことが、前記金属検出装置(9)の信号処理経路(4,5)内に入力信号を生じさせ、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの検査デバイス(7)を備え、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、前記検出区域(60)を通って移動可能な少なくとも1つの検査物(79)を備え、
前記方法は、
a)第1の移送軸線(ca)に沿って前記検出区域(60)を通って前記検査物(79)を移動させ、第1の入力信号を測定する工程と、
b)同一または類似の検査物(79)を第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って前記検出区域(60)を通って移動させ、第2のまたはさらなる入力信号を測定する工程と、
c)前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第1の閾値(th1)を、前記第1の入力信号の振幅が前記第1の閾値(th1)を超えるように決定する工程と、
d)前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動される前記検査物(79)に適応される第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を、前記第2のまたはさらなる入力信号の振幅が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;・・・)を超えるように決定する工程と、
e)関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)を選択する工程と
を備える方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記第1の検査物(79)に加えて、異なる特定を有するさらなる複数の検査物が、前記検出区域の所定の感度が存在する領域において、前記移送軸線(ca;ta;・・・)のうちの少なくとも1つに沿って移動され、
関連する前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1;th2;・・・)が、最小振幅を有する前記入力信号を提供する前記検査物(79)について決定されるか、あるいは、複数の閾値が検査物(79)ごとに決定される
方法。
[形態3]
形態1または形態2に記載の方法であって、
少なくとも1つの第1の、少なくとも1つの第2の、または、少なくとも1つのさらなる閾値(th1x,th1y;th2x,th2y;・・・)が、少なくとも前記第1の検査物(79)について、関連する前記第1,第2のまたはさらなる移動軸線(ca;ta;・・・)に関して、また、少なくとも第1および第2の動作周波数(fx,fy)に関して決定される
方法。
[形態4]
形態1ないし形態3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の閾値(th1)は、前記第1の移送軸線(ca)について決定され、そのために、前記検査物(79)は前記最小振幅を有する前記入力信号を提供し、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)のついての前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記信号振幅が前記第1の閾値(th1)を超えている第1の差(M1)に応じて決定されるか、または、前記第1の閾値(th1)に応じて決定される
方法。
[形態5]
形態4に記載の方法であって、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)についての前記第2の、または、さらなる第2の、または、さらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記第1の閾値(th1)に重み付け係数qを乗算することによって決定され、
前記重み付け係数qは、好ましくは、前記第1の移送軸線(ca)について測定された前記入力信号の前記振幅に対する、関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号の前記振幅の比に対応している
方法。
[形態6]
形態4に記載の方法であって、
関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号が前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)を超える第2のまたはさらなる差(M2,M3;・・・)を取得するために、前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)についての前記第2のまたはさらなる閾値(th2;th3;・・・)は、前記第1の差(M1)に重み付け係数qを乗算することによって決定され、
前記重み付け係数qは、好ましくは、前記第1の移送軸線(ca)について測定された前記入力信号の前記振幅に対する、関連する前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)について測定された前記入力信号の前記振幅の比に対応している
方法。
[形態7]
形態1ないし形態6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の移送軸線(ca)が、前記金属検出装置(9)の前記入口開口(2A)から前記出口開口(2B)まで延在する前記検出区域(60)の中心軸線であることと、
異なる前記第2およびさらなる移送軸線(ta,・・・)が、前記第1の軸線(ca)から等間隔で配置されるとともに、前記第1の軸線(ca)と平行であるかまたは該第1の軸線(ca)に対して等しく傾いて配置されることと、
のうちの少なくとも一方を満たす
方法。
[形態8]
形態1ないし形態7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記コイルシステム(6)は、円錐状または円柱状の検出区域(60)、または、矩形断面を有する検出区域(60)を形成し、
1つ、または、異なる複数の検査物(79)が、前記検出区域(60)において、前記第1の移送軸線(ca)に沿って、または、前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)に沿って移動可能であるか、移動され、
前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta;・・・)は、前記検出区域(60)の周囲において前記コイルシステム(6)の内部または外部に位置する検査軸線である
方法。
[形態9]
形態1ないし形態8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの検査デバイス(7)は、関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca,ta,・・・)に沿って前記検査物(79)を案内するように構成された案内デバイス(71)を備え、
前記検査デバイス(7)が、各移送軸線(ca;ta;・・・)に割り当てられるか、または、少なくとも1つの検査デバイス(7)が、前記移送軸線(ca,ta,・・・)のうちの少なくとも2つの間で移動可能であるか、もしくは、移動され、
前記案内デバイスは、好ましくは、チューブであり、
前記チューブ内において、前記検査物(79)は、空気圧および重力のうちの少なくとも一方によって、前記割り当てられた移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前後に移動されることができる
方法。
[形態10]
形態1ないし形態9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記検査デバイス(7)は、保持デバイス(31)に取り付けられ、
前記保持デバイス(31)によって、前記検査デバイス(7)は、前記検査物(79)が前記第1の移送軸線(ca)に沿って移動可能な第1の位置と、前記検査物(79)が前記第2のまたはさらなる移送軸線(ta,・・・)に沿って移動可能な第2のまたはさらなる位置と、の間で移動される
方法。
[形態11]
形態10に記載の方法であって、
前記保持デバイス(31)は、駆動ユニット(32)に結合され、
前記駆動ユニット(32)によって、前記保持デバイス(31)は、前記第1,第2のまたはさらなる位置の間で、手動操作によって、または、自動的に移動可能であるか、移動される
方法。
[形態12]
形態10または形態11に記載の方法であって、
前記金属検出装置(9)は、制御ユニット(5)を備え、
前記制御ユニット(5)によって前記駆動ユニット(32)が制御されることと、
前記検査デバイス(7)の位置に応じて、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が適用されることと、
のうちの少なくとも一方を満たす
方法。
[形態13]
形態1ないし形態12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記金属検出装置(9)は、少なくとも1つの位置センサ(33)を備え、
前記少なくとも1つの位置センサ(33)によって、前記検査デバイス(7)の位置が感知され、制御ニット(5)へ信号が送られ、
前記制御ニット(5)は、関連する前記第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って前記検査物(79)が移動されるときはいつでも、前記信号処理経路(4)において前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)を選択する
方法。
[形態14]
形態1ないし形態13のいずれか一項に記載の方法にしたがって動作する金属検出装置(9)であって、
少なくとも1つの検査物(79)を有する少なくとも1つの検査デバイス(7)と、
制御ユニット(9)と、
を備え、
第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が決定されている関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って検査物(79)が移動可能であるか、移動されるときはいつでも、前記制御ユニット(9)によって、前記信号処理経路(4)において、前記第1、第2のまたはさらなる閾値(th1,th2,・・・)が選択され得るとともに適用可能である
金属検出装置。
[形態15]
形態14に記載の金属検出装置(9)であって、
2つ以上の位置の間で、手動操作によって移動可能であるか、または、好ましくは前記制御ユニット(5)の制御下で自動的に移動可能である検査デバイス(7)を備え、
前記検査物(79)は、前記2つ以上の位置の間で、前記関連する第1、第2のまたはさらなる移送軸線(ca;ta;・・・)に沿って移動可能である
金属検出装置。
【符号の説明】
【0070】
1…送信機ユニット
2A…入口開口
2B…出口開口
4…受信機ユニットの信号処理経路
5…制御ユニットの信号処理経路
6…平衡コイルシステム
7…検査デバイス
9…金属検出装置
11…周波数発生器
12…パワーアンプ
14…スイッチバンク
31…保持デバイス
32…駆動デバイス
33…位置センサ
55…プログラム
60…検出区域
61…送信機コイル
62…第1の受信機コイル
63…第2の受信機コイル
71…ガイドチューブ
75…端部ストッパ
78…小塊
79,79A,79B,79C…検査物
90…移送経路
C…金属異物
ca…中心軸線
C1,C2,C3…コンデンサ
Fx…第1の動作周波数
Fy…第2の動作周波数
M1…第1の差
M2…第2の差
P…製品
S79A…最小入力信号
ssrel…相対信号強度
ta…検査軸線
th1x,th1y,th2x,th2y,Th21,th22,th23…閾値