(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】バッテリアッセンブリ及び荷役作業車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20220201BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20220201BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220201BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20220201BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20220201BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20220201BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20220201BHJP
【FI】
H01M50/209
B66F9/075 C
H01M10/44 P
H01M50/249
H01M50/284
H01M50/51
H01M50/512
(21)【出願番号】P 2017241959
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-04-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-222554(JP,A)
【文献】特開2014-026870(JP,A)
【文献】特開2009-211835(JP,A)
【文献】特開2009-004323(JP,A)
【文献】特開2014-154241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
B66F 9/075
H01M 10/44
H01M 50/249
H01M 50/284
H01M 50/51
H01M 50/512
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式の荷役作業車に搭載され、動力用モータに電力を供給するバッテリアッセンブリにおいて、
複数のバッテリが厚み方向に並んで配置され、それらのバッテリが電気的に並列接続されたバッテリモジュールと、
複数の前記バッテリモジュールが前記バッテリの厚み方向に並んで配置されているとともに、複数の前記バッテリモジュールが電気的に直列接続されたバッテリサブユニットであって、それらバッテリモジュールを保持するフレームを有するバッテリサブユニットと、
前記バッテリサブユニット内に配置され、前記複数のバッテリの充放電状態を管理するバッテリ管理装置の少なくとも一部を構成する管理機器と、
前記管理機器が組み付けられたユニットをBMSモジュールとしたとき、当該BMSモジュールと前記バッテリモジュールとの間の隙間に配置されたダミーウェイトとを備え、
前記BMSモジュールのうち前記バッテリの厚み方向と平行な部分の寸法は、前記バッテリモジュールのうち前記バッテリの厚み方向と平行な部分の寸法以下であり、かつ、前記バッテリの厚み寸法の自然数倍であ
り、
さらに、前記ダミーウェイトは、前記バッテリと略同一の外形寸法を有するバッテリアッセンブリ。
【請求項2】
電気的に直列接続された第1の前記バッテリサブユニット及び第2の前記バッテリサブユニットを備えているとともに、それら2つの前記バッテリサブユニットは上下方向に積層されており、
さらに、前記管理機器は、2つの前記バッテリサブユニットのうち上段のバッテリサブユニット内に配置されている請求項1に記載のバッテリアッセンブリ。
【請求項3】
前記管理機器は、前記バッテリサブユニットの長手方向端部より当該バッテリサブユニットの長手方向中央側に配置されている請求項1又は2に記載のバッテリアッセンブリ。
【請求項4】
電動式の荷役作業車において、
動力用の電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバッテリアッセンブリと
を備える荷役作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電動式の荷役作業車に搭載されるバッテリアッセンブリ等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のバッテリアッセンブリは、バッテリモジュールの上部にバッテリ管理装置が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオンバッテリ等は、充放電を管理するためのバッテリ管理装置を必ず必要とする。本願は、電動式の荷役作業車に適したバッテリアッセンブリの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
バッテリアッセンブリは、複数のバッテリ(11)が厚み方向に並んで配置され、それらのバッテリ(11)が電気的に並列接続されたバッテリモジュール(12)と、複数のバッテリモジュール(12)がバッテリ(11)の厚み方向に並んで配置されているとともに、複数のバッテリモジュール(12)が電気的に直列接続されたバッテリサブユニット(13)であって、それらバッテリモジュール(12)を保持するフレーム(15)を有するバッテリサブユニット(13)と、バッテリサブユニット(13)内に配置され、複数のバッテリ(11)の充放電状態を管理するバッテリ管理装置(14)の少なくとも一部を構成する管理機器(14A、14B)とを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、通常、1つのバッテリでは、荷役作業車を稼働させるに十分な電力を供給することができない。このため、当該バッテリアッセンブリでは、荷役作業車を稼働させるに必要な電流値を確保するために、複数のバッテリ(11)が電気的に並列接続されたバッテリモジュール(12)が構成されている。
【0007】
さらに、当該バッテリアッセンブリでは、荷役作業車を稼働させるに必要な電圧値を確保するために、複数のバッテリモジュール(12)が電気的に直列接続されてバッテリサブユニット(13)が構成されている。
【0008】
バッテリモジュール(12)を構成するバッテリの個数、及びバッテリサブユニット(13)を構成するバッテリモジュール(12)の個数は、荷役作業車毎に決まる仕様である。これに対して、管理機器(14A、14B)は、荷役作業車の仕様によらず、概ね同一の機器にて構成される。
【0009】
そして、当該バッテリアッセンブリでは、バッテリサブユニット(13)内に管理機器(14A、14B)が配置されているので、バッテリの個数及びバッテリモジュール(12)の個数が荷役作業車の仕様に応じて変更された場合であっても、当該バッテリアッセンブリでは、同一のフレーム(15)にてバッテリモジュール(12)を構成でき得る。
【0010】
つまり、当該バッテリアッセンブリでは、荷役作業車の仕様によらず、フレーム(15)や管理機器等の構成部品が共用部品となるので、当該バッテリアッセンブリの製造原価上昇が抑制され得る。
【0011】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施形態に係るバッテリアッセンブリを示す模式図である。
【
図3】実施形態に係るバッテリアッセンブリの分解模式図である。
【
図4】Aは実施形態に係るバッテリモジュールを示す模式図である。Bは実施形態に係るバッテリを示す模試図である。
【
図5】実施形態に係るバッテリモジュールの分解模試図である。
【
図6】実施形態に係るベースフレーム等を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係るBMSモジュールを示す模式図である。
【
図8】実施形態に係るダミーウェイトを示す模式図である。
【
図9】実施形態に係るバッテリアッセンブリを示す模式図である。
【
図10】実施形態に係るバッテリモジュールを示す模式図である。
【
図11】実施形態に係るバッテリモジュールを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0014】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りがある場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0015】
(第1実施形態)
1.荷役作業車の概要
本実施形態は、
図1に示されるように、リーチ式フォークリフトに荷役作業車1を適用したものである。荷役作業車1は、荷役装置3及び車両本体5等を少なくとも備える。荷役装置3は、貨物を上げ下ろしするための装置である。
【0016】
車両本体5には、動力用の電動モータ7及びバッテリアッセンブリ10が搭載されている。電動モータ7は、走行用の動力又は荷役用動力を発生させる。バッテリアッセンブリ10は、電動モータ7に電力を供給する電力源である。
【0017】
2.バッテリアッセンブリの構成
2.1 バッテリアッセンブリの概要
1つのバッテリアッセンブリ10は、
図2及び
図3に示されるように、複数(本実施形態では、2つ)のバッテリサブユニット13及び1つのバッテリ管理装置14等を少なくとも備える。
【0018】
各バッテリサブユニット13は、
図4Aに示されるように、複数のバッテリモジュール12がバッテリ11(
図4B参照)の厚み方向に並んで配置されたものである。各バッテリモジュール12は、複数(本実施形態では、6つ)のバッテリ11が厚み方向に並んで配置され、それらのバッテリ11が電気的に並列接続されたものである。
【0019】
なお、各バッテリ11は、
図4Bに示されるように、板状の六面体形状に構成されている。本実施形態における「バッテリ11の厚み方向」とは、バッテリ11の最小外形寸法、つまり紙面左右方向の外形寸法と平行な方向をいう。
【0020】
各バッテリ11には、図示しない2つの端子(正極端子及び負極端子)が設けられている。それらの端子は、当該バッテリ11の同一側面に設けられている。そして、各バッテリサブユニット13を構成する複数のバッテリ11は、各端子が同一側に位置するように並べられている。
【0021】
各バッテリモジュール12を構成する複数のバッテリ11は、ブスバー(図示せず。)等の帯板状の金属部材により電気的に接続されている。なお、バッテリアッセンブリ10が供給可能な最大電流値は、バッテリモジュール12を構成するバッテリ11の個数により決定される。
【0022】
各バッテリサブユニット13を構成する複数のバッテリモジュール12は、
図5に示されるように、フレーム15により保持されている。つまり、複数のバッテリモジュール12は、フレーム15により一体化されて1つの部品を構成している。
【0023】
フレーム15は、2本のブラケット15A、2つのサイドプレート15B、及びリアプレート15C等を有して構成されている。2本のブラケット15Aは、各バッテリ11の端子側に配置されている。
【0024】
各ブラケット15Aは、バッテリサブユニット13の長手方向と平行な方向に延びる梁状の部材である。各サイドプレート15Bは、バッテリサブユニット13の長手方向両端それぞれに配置された板状の部材である。
【0025】
リアプレート15Cは、複数のバッテリ11を挟んでブラケット15Aと反対側に配置された板状の部材である。2本のブラケット15A、2つのサイドプレート15B、及びリアプレート15Cは、ボルト等の機械的締結具又は溶接にて連結されている。
【0026】
各バッテリサブユニット13を構成する複数のバッテリモジュール12は、電気的に直列接続されている。さらに、2つのバッテリサブユニット13も電気的に直列接続されている。
【0027】
つまり、バッテリアッセンブリ10を構成する複数のバッテリモジュール12は、互いに電気的に直列接続されている。したがって、バッテリアッセンブリ10が出力可能な最大電圧は、バッテリモジュール12の個数によって決まる。
【0028】
2つのバッテリサブユニット13は、
図3に示されるように、上下方向に積層されている。以下、上段に配置されたバッテリサブユニット13を第1バッテリサブユニット131という。下段に配置されたバッテリサブユニット13を第2バッテリサブユニット132という。2つのバッテリサブユニット13を総称する際には、バッテリサブユニット13と記す。
【0029】
第1バッテリサブユニット131の外径寸法と第2バッテリサブユニット132の外径寸法とは同一である。つまり、第1バッテリサブユニット131を構成可能な最大バッテリモジュール12の個数と第2バッテリサブユニット132を構成可能な最大バッテリモジュール12の個数とは同一である。
【0030】
本実施形態に係る各バッテリサブユニット13は、最大4つのバッテリモジュール12を収納できる。そして、第1バッテリサブユニット131では3つのバッテリモジュール12が収納されている。第2バッテリサブユニット132では4つのバッテリモジュール12が収納されている。
【0031】
第1バッテリサブユニット131と第2バッテリサブユニット132とは、2本の柱フレーム16Aにより保持されている。2本の柱フレーム16Aは、
図6に示されるように、下端部がベースフレーム16Bに固定された板状の部材である。
【0032】
各柱フレーム16Aの上端は、連結フレーム16Cにより連結されている。連結フレーム16Cは、水平方向に延びる梁状の部材である。当該連結フレーム16Cには、バッテリアッセンブリ10を吊り上げるためのアイボルト16Dが少なくとも1本(本実施形態では、2本)設けられている。
【0033】
図3に示すカバー17Aは、第1バッテリサブユニット131及び第2バッテリサブユニット132を水平方向から覆う部材である。カバー17Aの上部は、トップカバー17Bにより閉塞される。
【0034】
2.2 バッテリ管理装置
バッテリ管理装置14は、複数のバッテリ11の充放電状態を管理する。なお、本実施形態に係るバッテリ11は、リチウムイオンバッテリである。通常、複数のリチウムイオンバッテリにて電力源を構成する際には、バッテリ管理装置14が必要とされる。
【0035】
バッテリ管理装置14は、
図7に示されるように、コントローラ基板14A、ヒューズやコンタクタ等の開閉器14B等を少なくとも有している。以下、これら14A、14Bを管理機器14A、14Bと記す。
【0036】
本実施形態では、管理機器14A、14Bは、枠フレーム18に組み付けられて一体化(ユニット化)されている。つまり、本実施形態に係るバッテリ管理装置14は、1つのユニットとしてバッテリアッセンブリ10に組み込まれている。以下、当該ユニット(本実施形態では、バッテリ管理装置14)をBMSモジュール14ともいう。
【0037】
BMSモジュール14は、
図3に示されるように、第1バッテリサブユニット131内に配置された状態でフレーム15に固定されている。なお、BMSモジュール14のフレーム15への固定方法は後述する。
【0038】
BMSモジュール14が配置された位置は、第1バッテリサブユニット131の長手方向端部より当該第1バッテリサブユニット131の長手方向中央側である。換言すれば、BMSモジュール14は、バッテリサブユニット13の長手方向中央、又は当該中央に近い位置に配置されている。
【0039】
すなわち、本実施形態に係る第1バッテリサブユニット131は、4つ(偶数個)のバッテリモジュール12が収納可能である。第1バッテリサブユニット131には、収納可能なバッテリモジュール12の個数より少ない個数(本実施形態では、3つ)のバッテリモジュール12が収納されている。
【0040】
このため、第1バッテリサブユニット131には、1つのバッテリモジュール12に相当する空間が空き空間として発生する。そして、BMSモジュール14が配置された空間のうちバッテリ11の厚み方向と平行な部分の寸法Wo(
図3参照)は、バッテリモジュール12のうちバッテリ11の厚み方向と平行な部分の寸法と同じである。
【0041】
したがって、BMSモジュール14のうちバッテリ11の厚み方向と平行な部分の寸法W1(
図7参照)は、バッテリモジュール12のうちバッテリ11の厚み方向と平行な部分の寸法(以下、バッテリモジュール幅という。)以下となる。
【0042】
具体的には、BMSモジュール14のうちバッテリ11の厚み方向と平行な部分の寸法W1(以下、BMS幅という。)は、バッテリ11の厚み寸法Tb(
図4B参照)の自然数倍であって、バッテリモジュール幅以下となる。
【0043】
バッテリモジュール幅は、バッテリ11の厚み寸法Tbにバッテリモジュール12を構成するバッテリ11の個数(以下、構成個数という。)が乗算された値である。したがって、BMS幅がバッテリモジュール幅より小さい場合、バッテリモジュール幅とBMS幅との差は、バッテリ11の厚み寸法Tbの自然数倍となる。
【0044】
本実施形態に係るBMS幅は、構成個数から自然数(本実施形態では、1)が減算された値にバッテリ11の厚み寸法Tbが乗算された値である。つまり、本実施形態に係る上記「空き空間」には、BMSモジュール14が存在しない空間、つまり隙間が発生する。
【0045】
本実施形態では、BMSモジュール14とバッテリモジュール12との間、つまり、上記「空き空間」のうちBMSモジュール14が存在しない空間(隙間)には、
図8に示すダミーウェイト19が少なくとも1つ配置されている。
【0046】
ダミーウェイト19は、バッテリ11と略同一の外形寸法を有する金属製の錘部材である。したがって、ダミーウェイト19の個数は、バッテリモジュール幅とBMS幅との差をバッテリ11の厚み寸法Tbで除算した値に等しい。
【0047】
3.バッテリ、BMSモジュール及びダミーウェイトのフレームへの固定構造
3.1 フレーム
図5に示されるように、2本のブラケット15Aそれぞれには、複数の貫通穴15Dが設けられている。各ブラケット15Aに設けられた複数の貫通穴15Dそれぞれは、当該ブラケット15Aの長手方向に沿って直列並んで設けられている。
【0048】
隣り合う貫通穴15Dのピッチ寸法、つまり隣り合う貫通穴15Dの中心間寸法は、バッテリ11の厚み寸法Tbにスペーサ20(
図10参照)の厚み寸法が加算された長さである。なお、各貫通穴15Dは、長径方向がブラケット15Aの長手方向と一致する長穴である。
【0049】
図9に示されるように、リアプレート15Cにも複数の貫通穴15Eが設けられている。各貫通穴15Eは、リアプレート15Cの幅方向(
図9では上下方向)中央付近において、当該リアプレート15Cの長手方向に沿って直列並んで設けられている。
【0050】
幅方向とは、リアプレート15Cの長手方向及び当該リアプレート15Cの厚み方向と直交する方向をいう。隣り合う貫通穴15Eのピッチ寸法は、バッテリ11の厚み寸法Tbにスペーサ20の厚み寸法が加算された長さである。なお、各貫通穴15Dは、長径方向がリアプレート15Cの長手方向と一致する長穴である。
【0051】
3.2 ダミーウェイトの固定構造
ダミーウェイト19には、
図8に示されるように、2本のボルト19A及び1本のボルト19B、並びに複数のロッド15R(
図5参照)が貫通する複数の貫通穴19Cが設けられている。
【0052】
2本のボルト19Aは貫通穴15Dに挿入され、ボルト19Bは貫通穴15Eに挿入される。各ボルト19A、19Bが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、当該ボルト19A、19Bにはナット(図示せず。)が締め込まれる。
【0053】
つまり、ダミーウェイト19は、複数のロッド15Rが各貫通穴19Cを貫通し、かつ、各ボルト19A、19Bが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、それらボルト19A、19Bにナットが締め込まれてフレーム15に固定される。
【0054】
なお、各ロッド15Rの長手方向端部には、ナット(図示せず。)が締め込まれている。これにより、各ロッド15Rに張力が発生するため、各ロッド15Rは、2つのサイドプレート15Bに固定された状態となる。
【0055】
3.3 BMSモジュールの固定構造
BMSモジュール14の固定構造もダミーウェイト19の固定構造とほぼ同様である。すなわち、
図7に示されるように、4本のボルト14C及び2本のボルト14D、並びに複数のロッド15Rが貫通する複数の貫通穴14Eが設けられている。
【0056】
4本のボルト14Cは貫通穴15Dに挿入され、2本のボルト14Dは貫通穴15Eに挿入される。各ボルト14C、14Dが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、当該ボルト19A、19Bにはナット(図示せず。)が締め込まれる。
【0057】
つまり、BMSモジュール14は、複数のロッド15Rが各貫通穴14Eを貫通し、かつ、各ボルト14C、14Dが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、それらボルト14C、14Dにナットが締め込まれてフレーム15に固定される。
【0058】
3.4 バッテリの固定構造
図10及び
図11に示されるように、複数のロッド15Rは、各バッテリ11を厚み方向に貫通している。隣り合うバッテリ11間にはスペーサ20が配置されている。各スペーサ20には、ロッド15Rが貫通する貫通穴20H(
図12A~
図13B参照)が設けられている。
【0059】
つまり、各スペーサ20は、少なくとも1本(本実施形態では、2本)のロッド15Rによりフレーム15に支持されている。本実施形態では、複数種類のスペーサ20を有している。
【0060】
具体的には、
図12A~
図13Bに示されるように、4種類(第1スペーサ20A~第4スペーサ20D)のスペーサ20がバッテリ11の固定構造に用いられている。第1スペーサ20A及び第2スペーサ20Bには、ブラケット15Aに隣接した2本のロッド15Rが貫通している。第3スペーサ20C及び第4スペーサ20Dには、リアプレート15Cに隣接した2本のロッド15Rが貫通している。
【0061】
第1スペーサ20Aには、
図12Aに示されるように、2本のブラケット15Aそれぞれに設けられた貫通穴15Dに挿入可能なボルト20Eが設けられている。第2スペーサ20Bには、ボルト20Eに相当するボルト等の突起部は設けられていない(
図12B参照)。
【0062】
第3スペーサ20Cには、
図13Aに示されるように、リアプレート15Cに設けられた貫通穴15Eに挿入可能なボルト20Fが設けられている。第4スペーサ20Dには、ボルト20Fに相当するボルト等の突起部は設けられていない(
図13B参照)。
【0063】
第1スペーサ20Aは、
図10に示されるように、予め決められた複数のバッテリ11を一単位として、当該単位毎に配置されている。第3スペーサ20Cも第1スペーサ20Aと同様に、
図11に示されるように、予め決められた複数のバッテリ11を一単位として、当該単位毎に配置されている。
【0064】
本実施形態に係る上記「予め決められた複数」とは、1つのバッテリモジュール12を構成するバッテリ11の個数である。つまり、本実施形態に係る第1スペーサ20A及び第3スペーサ20Cは、6つのバッテリ11を一単位として、当該単位毎に配置されている。
【0065】
そして、各ボルト20Eは貫通穴15Dに挿入され、各ボルト20Fは貫通穴15Eに挿入される。各ボルト20E、20Fが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、当該ボルト20E、20Fにはナット(図示せず。)が締め込まれる。
【0066】
つまり、各バッテリ11は、複数のロッド15Rが貫通した状態で各ボルト20E、20Fが貫通穴15D、15Eに挿入された状態で、それら各ボルト20E、20Fにナットが締め込まれてフレーム15に固定される。
【0067】
4.本実施形態に係るバッテリアッセンブリの特徴
通常、1つのバッテリ11では、荷役作業車1を稼働させるに十分な電力を供給することができない。このため、荷役作業車1を稼働させるに必要な電流値を確保するために、バッテリアッセンブリ10では、複数のバッテリ11が電気的に並列接続されたバッテリモジュール12が構成されている。
【0068】
さらに、当該バッテリアッセンブリ10では、荷役作業車1を稼働させるに必要な電圧値を確保するために、複数のバッテリモジュール12が電気的に直列接続されてバッテリサブユニット13が構成されている。
【0069】
バッテリモジュール12を構成するバッテリの個数、及びバッテリサブユニット13を構成するバッテリモジュール12の個数は、荷役作業車1毎に決まる仕様である。これに対して、BMSモジュール14は、荷役作業車1の仕様によらず、概ね同一の機器にて構成される。
【0070】
そして、本実施形態に係るバッテリアッセンブリ10では、バッテリサブユニット13内にBMSモジュール14が配置されているので、バッテリ11の個数及びバッテリモジュール12の個数が荷役作業車1の仕様に応じて変更された場合であっても、同一のフレーム15にてバッテリモジュール12を構成でき得る。
【0071】
つまり、当該バッテリアッセンブリ10では、荷役作業車1の仕様によらず、フレーム15及びBMSモジュール14が共用部品となるので、当該バッテリアッセンブリ10の製造原価上昇が抑制され得る。
【0072】
BMSモジュール14は、第1バッテリサブユニット131内に配置されている。これにより、第2バッテリサブユニット132、つまり下段のバッテリサブユニット13の質量が上段のバッテリサブユニット13の質量より大きくなる。
【0073】
したがって、本実施形態に係るバッテリアッセンブリ10は、BMSモジュール14が下段のバッテリサブユニット13内に配置された構成に比べて、バッテリアッセンブリ10の重心位置が低くなる。延いては、バッテリアッセンブリ10及び荷役作業車1の安定性を高めることができ得る。
【0074】
BMSモジュール14は、バッテリサブユニット13の長手方向端部より当該バッテリサブユニット13の長手方向中央側に配置されている。これにより、バッテリサブユニット13の重心位置が、当該バッテリサブユニット13の長手方向中央から大きくずれしまうことが抑制される。
【0075】
すなわち、仮に、BMSモジュール14がバッテリサブユニット13の長手方向一端に存在すると、バッテリサブユニット13の重心位置は、当該バッテリサブユニット13の長手方向中央から長手方向他端側に大きくずれしまう可能性がある。
【0076】
これに対して、BMSモジュール14がバッテリサブユニット13の長手方向中央に近い位置に存在する場合には、モーメントアームが小さくなるため、バッテリサブユニット13の重心位置が、当該バッテリサブユニット13の長手方向中央から大きくずれしまうことが抑制される。
【0077】
BMS幅はバッテリモジュール幅以下である。これにより、バッテリアッセンブリ10を設計する際に、設計者は、BMSモジュール14をバッテリサブユニット13内に容易に配置することが可能となる。
【0078】
BMS幅は、構成個数から自然数(本実施形態では、1)が減算された値にバッテリ11の厚み寸法Tbが乗算された値である。これにより、設計者は、荷役作業車1の仕様が異なることにより、構成個数が変更した場合であっても、BMSモジュール14(BMS幅)を変更するとなく、ダミーウェイト19の個数を変更することにより、容易に当該仕様の荷役作業車1に対応することができ得る。
【0079】
BMSモジュール14の固定構造とダミーウェイト19の固定構造とが同じであるので、BMSモジュール14及びダミーウェイト19の配置位置が特定位置に限定されてしまうことが抑制される。
【0080】
延いては、本実施形態に係るバッテリアッセンブリ10では、BMSモジュール14を構成するバッテリ11の並列数の変更があった場合であっても、ダミーウェイト19の数を変えるだけ当該変更に容易に対応できる。
【0081】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、バッテリ11の厚み方向が水平方向と一致するように、複数のバッテリ11が並べられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、バッテリ11の厚み方向が鉛直方向と一致するように、複数のバッテリ11が並べられた構成でもよい。
【0082】
上述の実施形態では、構成個数が偶数であり、BMS幅がバッテリ11の厚み寸法Tbの奇数倍であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、構成個数が奇数であり、BMS幅がバッテリ11の厚み寸法Tbの偶数倍であってもよい。
【0083】
上述の実施形態に係るBMSモジュール14は、第1バッテリサブユニット131内に配置されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、第2バッテリサブユニット132内にBMSモジュール14が配置された構成であってもよい。
【0084】
上述の実施形態に係るBMSモジュール14は、バッテリサブユニット13の長手方向端部より当該バッテリサブユニット13の長手方向中央側に配置されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、バッテリサブユニット13の長手方向端部にBMSモジュール14が配置された構成であってもよい。
【0085】
上述の実施形態では、バッテリサブユニット13が2つ設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、1又は3以上のバッテリサブユニット13が設けられたバッテリアッセンブリ10であってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、荷役作業車1の一例としてリーチ式フォークリフトが記載されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、上述の実施形態に係るバッテリアッセンブリ10はカウンター式フォークリフトにも適用可能である。
【0087】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1… 荷役作業車 3… 荷役装置 5… 車両本体 7… 電動モータ
10… バッテリアッセンブリ 11… バッテリ
12… バッテリモジュール 13… バッテリサブユニット
14… バッテリ管理装置(BMSモジュール) 15… フレーム