(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】歯科上部構造を歯科インプラントに取付けるためのアダプタ及びアダプタを備える歯科アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
(21)【出願番号】P 2017561267
(86)(22)【出願日】2016-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2016066819
(87)【国際公開番号】W WO2017016893
(87)【国際公開日】2017-02-02
【審査請求日】2019-07-08
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506260386
【氏名又は名称】ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ハウス, エイドリアン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-505645(JP,A)
【文献】国際公開第2015/066438(WO,A1)
【文献】特開2012-071139(JP,A)
【文献】特開2015-123323(JP,A)
【文献】特表2005-529679(JP,A)
【文献】特表2014-516731(JP,A)
【文献】特開平02-220642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科上部構造(50)等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラント(30)または歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタ(1,1’)であって、
アダプタ(1,1’)を前記第1の歯科コンポーネント(50)に取付けるための歯冠取付け部(2,2’)と、
アダプタ(1,1’)を前記第2の前記歯科コンポーネント(30)に取付けるための根尖取付け部(4)と、
前記歯冠取付け部(2,2’)と前記根尖取付け部(4)との間に配置される中間部(6)とを備え、
前記根尖取付け部(4)は突出部であり、前記突出部は、アダプタ(1,1’)の根尖端部を画定し、前記第2の歯科コンポーネント(30)の対応する窪み(32)に受取られるように構成され、
前記突出部は、前記第2の歯科コンポーネント(30)にアダプタ(1,1’)を取付けた状態でアダプタ(1,1’)が前記第2の歯科コンポーネント(30)に対して回転可能であるように回転対称であ
り、
アダプタ(1,1’)は、前記歯冠取付け部(2,2’)から前記根尖取付け部(4)に向かう方向にアダプタ(1,1’)を貫通して延在する貫通穴(12)を更に備える、アダプタ(1,1’)。
【請求項2】
歯科上部構造(50)等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラント(30)または歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタ(1,1’)であって、
アダプタ(1,1’)を前記第1の歯科コンポーネント(50)に取付けるための歯冠取付け部(2,2’)と、
アダプタ(1,1’)を前記第2の歯科コンポーネント(30)に取付けるための根尖取付け部(4)と、
前記歯冠取付け部(2,2’)と前記根尖取付け部(4)との間に配置される中間部(6)とを備え、
前記中間部(6)は、前記第1の歯科コンポーネント(50)の根尖部(24)に当接するための歯冠軸受表面(8)、及び、前記第2の歯科コンポーネント(30)の歯冠部(36)に当接するための前記歯冠軸受表面(8)に対向する根尖軸受表面(10)を有し、
前記中間部(6)は、少なくとも、前記根尖取付け部(4)から前記歯冠取付け部(2,2’)に向かう方向及び前記歯冠取付け部(2,2’)から前記根尖取付け部(4)に向かう方向に弾性変形可能または塑性変形可能である、アダプタ(1,1’)。
【請求項3】
歯科上部構造(50)等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラント(30)または歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタ(1,1’)であって、
アダプタ(1,1’)を前記第1の歯科コンポーネント(50)に取付けるための歯冠取付け部(2,2’)と、
アダプタ(1,1’)を前記第2の歯科コンポーネント(30)に取付けるための根尖取付け部(4)と、
前記歯冠取付け部(2,2’)と前記根尖取付け部(4)との間に配置される中間部(6)とを備え、
前記歯冠取付け部(2,2’)及び/または前記根尖取付け部(4)は、少なくとも前記根尖取付け部(4)から前記歯冠取付け部(2,2’)に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能である、アダプタ(1,1’)。
【請求項4】
前記歯冠取付け部(2,2’)及び/または前記根尖取付け部(4)は、少なくとも前記根尖取付け部(4)から前記歯冠取付け部(2,2’)に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能である、請求項1または2に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項5】
前記中間部(6)は、前記第1の歯科コンポーネント(50)の根尖部(24)に当接するための歯冠軸受表面(8)、及び、前記第2の歯科コンポーネント(30)の歯冠部(36)に当接するための前記歯冠軸受表面(8)に対向する根尖軸受表面(10)を有し、
前記中間部(6)は、少なくとも、前記根尖取付け部(4)から前記歯冠取付け部(2,2’)に向かう方向及び前記歯冠取付け部(2,2’)から前記根尖取付け部(4)に向かう方向に弾性変形可能または塑性変形可能である、請求項1、または請求項1に従属する請求項4に記載のアダプタ(1,1’)
【請求項6】
前記中間部(6)は、実質的に環状形状を有し、前記環状部は、好ましくは、前記歯冠取付け部(2,2’)から前記根尖取付け部(4)に向かう方向に実質的に垂直である
面内に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項7】
前記歯冠取付け部(2,2’)、前記根尖取付け部(4)、及び前記中間部(6)は、同じ材料、好ましくは金属またはポリマーで作られる、請求項1~
6のいずれか1項に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項8】
前記中間部(6)は、前記中間部(6)全体にわたって前記歯冠取付け部(2,2’)から前記根尖取付け部(4)に向かう方向に実質的に一定の厚さを有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項9】
前記歯冠軸受表面(8)は少なくとも1つの凸状部を有し、前記根尖軸受表面(10)は少なくとも1つの対応する凹状部を有するか、及び/または、前記歯冠軸受表面(8)は少なくとも1つの凹状部を有し、前記根尖軸受表面(10)は少なくとも1つの対応する凸状部を有する、請求項2または5、または請求項2
に従属する請求項4、または
請求項5
に従属する請求項6~
8のいずれか1項に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項10】
前記歯冠取付け部(2)は、前記歯科上部構造(50)の根尖部(24)内に形成される対応するキャビティ(28)内に受取られるように構成される突出部(16)を有する少なくとも1つの可撓性要素(14)を含むスナップフィット配置構成を有する、請求項1~
9のいずれか1項に記載のアダプタ(1)。
【請求項11】
前記歯冠取付け部(2’)は、前記歯科上部構造(50)の対応する窪みに受取られ、摩擦嵌合によって前記窪みに保持されるように構成される突出部を有する、請求項1~
9のいずれか1項に記載のアダプタ(1’)。
【請求項12】
カラーコード等のマーキングを有する、請求項1~
11のいずれか1項に記載のアダプタ(1,1’)。
【請求項13】
歯科上部構造(50)
、及び請求項1~
12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのアダプタ(1,1’)を備える歯科アセンブリ。
【請求項14】
歯科インプラント(30)または歯科インプラント類似物
、及
び請求項1~
12のいずれか1項に記載の
少なくとも1つのアダプタ(1,1’)を備える歯科アセンブ
リ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科上部構造を歯科インプラントに取付けるためのアダプタに関する。更に、本発明は、歯科上部構造及び少なくとも1つのこうしたアダプタを備える歯科アセンブリならびに歯科インプラント及びこうしたアダプタを備える歯科アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科ブリッジ等の歯科上部構造は、部分的にまたは完全に歯のない患者を処置するために広く使用される。これらの上部構造は、アダプタを使用してまたは使用しないで患者の顎の骨内に留置された歯科インプラントに取付けられる。一般に、これらの2つのアプローチの前者の場合、アダプタは、顎の骨内に配置されたインプラント上にねじ込まれ、歯科上部構造は、アダプタにセメントで接着される。セメントで接着することによるアダプタへの歯科上部構造の取付けは、上部構造とインプラントとの間の嵌合不良または位置ずれを補償し、したがって、上部構造のラボ内ミリングをサポートするのを助ける。こうして、セメント接着式取付けは、不具合/公差補償特徴を提供する。
【0003】
しかし、歯科上部構造を1つ又は複数のアダプタに取付けるためのセメントの使用は、患者の口の中に炎症を引起すリスクを負い、したがって、臨床的観点から不利である。更に、上部構造が1つ又は複数のアダプタに取付けられてしまうと、上部構造の配置または配向の調整を、取付け部を破壊せずに行うことができない。
【0004】
この炎症リスクを最小にするため、セメント接着ステップは、臨床環境において非常に注意深く行われなければならず、したがって、処置プロシージャを骨の折れるものにする。
【0005】
アダプタの使用なしで歯科インプラントに取付けられる歯科上部構造の場合、セメント接着式取付けがないため、先に参照したような不具合/公差補償フィーチャは全く存在しない。したがって、上部構造とインプラントとの間の考えられる嵌合不良または位置ずれは、例えば、上部構造における応力ピークによって、高い破断のリスクをもたらす。
【0006】
したがって、上部構造とインプラントとの間の嵌合不良または位置ずれが補償されることを可能にし、したがって、これらのコンポーネントの破断等の損傷のリスクを最小にする、歯科上部構造を1つまたは複数の歯科インプラントに取付けるための確実でかつ効率的なアプローチについての必要性が残ったままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタを提供することが本発明の目的であり、アダプタは、第1の歯科インプラントコンポーネントと第2の歯科インプラントコンポーネントとの間、例えば、上部構造とインプラントとの間の位置ずれまたは嵌合不良が確実にかつ効率的に補償されることを可能にする。更に、本発明は、こうしたアダプタを備える歯科アセンブリを提供することを目指す。これらの目標は、請求項1から3のいずれか1項の技術的特徴を有するアダプタによって、また、請求項14及び15のいずれか1項の特徴を有する歯科アセンブリによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項から得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタを提供し、アダプタは、アダプタを歯科上部構造に取付けるための歯冠取付け部と、アダプタを第2の歯科コンポーネントに取付けるための根尖取付け部と、歯冠取付け部と根尖取付け部との間に配置される中間部とを備える。根尖取付け部は突出部であり、突出部は、アダプタの根尖端部を画定し、コンポーネントの対応する窪みに受取られるように構成される。突出部は、第2の歯科コンポーネントにアダプタを取付けた状態でアダプタが第2の歯科コンポーネントに対して回転可能であるように回転対称である。
【0009】
本明細書で、オブジェクト、例えば前記突出部は、軸(すなわち、対称軸)の周りの前記突出部の任意の角度だけの回転が、オブジェクトをそれ自身の上にマッピングする場合、回転対称である。
【0010】
本明細書で、用語「歯科上部構造(dental superstructure)」は、歯科ブリッジ、例えば、Nobel BiocareによるNobelProcera(登録商標)インプラントブリッジ等の複数歯レストレーションを指す。
【0011】
突出部は、歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向の周りに、すなわち、アダプタの長手方向の周りに回転対称である。
【0012】
例えば、第1の歯科コンポーネントが歯科上部構造であり、第2の歯科コンポーネントが歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物である場合、歯科上部構造は、アダプタの根尖取付け部を歯科インプラント/歯科インプラント類似物に取付けること、すなわち、突出部を歯科インプラント/歯科インプラント類似物の対応する窪みに挿入すること、及び、歯科上部構造をアダプタの歯冠取付け部に取付けることによって、アダプタを介して歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物に取付けられる。代替的に、アダプタは、アダプタの歯冠取付け部を上部構造に取付けることによって上部構造に最初に取付けられ得、その後、アセンブリが、アダプタの根尖取付け部を歯科インプラント/歯科インプラント類似物に取付けること、すなわち、突出部を歯科インプラント/歯科インプラント類似物の対応する窪みに挿入すること、及び、歯科上部構造をアダプタの歯冠取付け部に取付けることによって、歯科インプラント/歯科インプラント類似物に取付けられ得る。
【0013】
歯冠取付け部は、以下で詳細に述べるように、歯科上部構造に取付けるためのスナップフィットまたは摩擦嵌合配置構成を有してもよい。
【0014】
歯科インプラント/歯科インプラント類似物にアダプタを取付けた状態で、アダプタは、突出部の回転対称の構成によって歯科インプラント/歯科インプラント類似物に対して自由に回転可能である。したがって、この回転が自由であることによって、上部構造とインプラントとの間の位置ずれ及び嵌合不良が補償され得る。特に、歯科上部構造が、複数の歯科インプラントに、前記インプラントの少なくとも1つのインプラントと前記上部構造との間で本発明による少なくとも1つのアダプタを使用して取付けられる場合、上部構造またはインプラントにおける応力ピークなしで上部構造の正確でかつ確実な嵌合が保証され得る。したがって、より高い公差の可能性があるため、歯科上部構造は、例えば、ラボ内ミリングによって単純でかつ費用効果的な方法で製造され得る。
【0015】
第2の態様によれば、本発明は、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタを提供し、アダプタは、アダプタを歯科上部構造に取付けるための歯冠取付け部と、アダプタを第2の歯科コンポーネントに取付けるための根尖取付け部と、歯冠取付け部と根尖取付け部との間に配置される中間部とを備える。中間部は、第1の歯科コンポーネントの根尖部に当接するための歯冠軸受表面、及び、第2の歯科コンポーネントの歯冠部に当接するための歯冠軸受表面に対向する根尖軸受表面を有する。中間部は、少なくとも、根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向及び歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向に弾性変形可能または塑性変形可能である。
【0016】
そのため、中間部は、アダプタの長手方向に沿って弾性変形可能または塑性変形可能であり、長手方向は、第1の歯科コンポーネント、例えば歯科上部構造を第2の歯科コンポーネント、例えば歯科インプラント/歯科インプラント類似物に取付ける方向である。
【0017】
中間部は、少なくともアダプタの長手方向に沿って弾性変形可能または塑性変形可能であるため、第1の歯科コンポーネント、例えば歯科上部構造と第2のインプラントコンポーネント、例えばインプラントとの間の位置ずれまたは嵌合不良は補償される。したがって、上部構造、アダプタ、及びインプラントにおける応力蓄積は防止され得る。更に、中間部は、変形可能荷重部材として働き、上部構造、アダプタ、及びインプラント内で、例えば患者の咀嚼運動中に起こる場合があるどんな応力をも均一に分散させ得る。こうして、これらのコンポーネントの任意のコンポーネントの破断のリスクが著しく低減される。
【0018】
更に、アダプタを介してインプラントに上部構造を取付けるまたは固定するとすぐに中間部が弾性変形または塑性変形するとき、上部構造とインプラントとの間のギャップは、中間部によって確実にシールされ、したがって、ギャップ内への細菌の侵入を防止し、炎症または感染のリスクを更に低減する。
【0019】
歯科上部構造が、以下で詳細に述べるように、ねじの使用によってアダプタを介して歯科インプラントに固定される場合、変形可能中間部は、固定荷重部材として更に働き、ねじの緩みを防止し、したがって、上部構造のとりわけ確実な嵌合を保証する。
【0020】
中間部は、0.05~0.50mm、好ましくは0.10~0.40mm、より好ましくは0.15~0.30mmの範囲内の、アダプタの長手方向の厚さ、例えば、歯冠軸受表面と根尖軸受表面との間の距離を有する場合がある。特に好ましくは、中間部は、0.2mmの厚さを有する。
【0021】
中間部は、金属、例えば、チタン、チタン合金、またはステンレス鋼等の延性材料、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、強化ポリマー等のようなポリマーで作られてもよい。チタンは、中間部のために特に好ましい材料である。
【0022】
1つの好ましい実施形態において、中間部は、金属、特にチタンで作られ、0.05~0.50mm、好ましくは0.10~0.40mm、より好ましくは0.15~0.30mmの範囲内の厚さを有する。特に好ましくは、中間部は、チタンで作られ、0.2mmの厚さを有する。
【0023】
第3の態様によれば、本発明は、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物等の第2の歯科コンポーネントに取付けるためのアダプタを提供し、アダプタは、アダプタを第1の歯科コンポーネントに取付けるための歯冠取付け部と、アダプタを第2の歯科コンポーネントに取付けるための根尖取付け部と、歯冠取付け部と根尖取付け部との間に配置される中間部とを備える。歯冠取付け部及び/または根尖取付け部は、少なくとも根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向、すなわち、アダプタの長手方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能である。
【0024】
したがって、歯科上部構造とインプラントとの間のどんな位置ずれまたは嵌合不良も、歯冠取付け部及び/または根尖取付け部の弾性変形または塑性変形によって補償される。こうして、例えば、上部構造、アダプタ、またはインプラントにおける応力蓄積または応力ピークの形成が回避され、したがって、これらのコンポーネントの任意のコンポーネントに対する破断等の損傷のリスクを最小にし得る。
【0025】
1つの好ましい実施形態において、歯冠取付け部及び根尖取付け部は共に、少なくとも根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能である。
【0026】
歯冠取付け部及び/または根尖取付け部は、中空または管状シリンダ等の中空または管状本体として形成されてもよく、0.05~0.80mm、好ましくは0.10~0.60mm、より好ましくは0.20~0.50mmの範囲内の、アダプタの長手方向に垂直な方向に、好ましくは一定の壁厚を有する。
【0027】
歯冠取付け部及び/または根尖取付け部は、金属、例えば、チタン、チタン合金、またはステンレス鋼等の延性材料、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、強化ポリマー等のようなポリマーで作られてもよい。チタンは、歯冠取付け部及び/または根尖取付け部のために特に好ましい材料である。
【0028】
1つの好ましい実施形態において、歯冠取付け部及び/または根尖取付け部は、金属、特にチタンで作られ、0.10~0.50mmの範囲内の厚さを有する。
【0029】
同様に、本発明の第1及び第2の態様によるアダプタの場合、歯冠取付け部及び/または根尖取付け部は、少なくとも根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能であってもよい。こうして、歯科上部構造と1つまたは複数のインプラントとの間に特に高い自由度が保証され、したがって、上部構造、アダプタ、及びインプラントに対する損傷のリスクを更に最小にし得る。
【0030】
本発明の第1の態様によるアダプタの場合、中間部は、歯科上部構造の根尖部に当接するための歯冠軸受表面、及び、歯科インプラントの歯冠部に当接するための歯冠軸受表面に対向する根尖軸受表面を有してもよい。中間部は、先に詳述したように、少なくとも、根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向及び歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向に弾性変形可能または塑性変形可能であってもよい。同様に、この構成は、1つまたは複数のインプラントに対する歯科上部構造の配置について特に高い自由度を提供し、したがって、これらのコンポーネントにおける応力のどんな蓄積も最小にする。
【0031】
更に、こうした中間部に加えて、本発明の第1の態様によるアダプタは、少なくとも根尖取付け部から歯冠取付け部に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能または塑性変形可能である歯冠取付け部及び/または根尖取付け部を有してもよい。
【0032】
特に、少なくともアダプタの長手方向に沿って弾性変形可能または塑性変形可能である中間部、ならびに、少なくともアダプタの長手方向に垂直な全ての方法に弾性変形可能または塑性変形可能である歯冠取付け部及び/または根尖取付け部を有する本発明のアダプタの場合、歯科上部構造及び歯科インプラントの位置ずれまたは嵌合不良が、3つ全てに次元で確実に補償されることが特に確実に保証され得る。
【0033】
本発明のアダプタの中間部は、アダプタの残りの部分の外側表面から外方に、例えば、アダプタの長手方向に実質的に垂直な方向に延在してもよい。
【0034】
本発明のアダプタの中間部は、実質的に環状形状を有してもよい。環状部は、好ましくは、歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向、すなわちアダプタの長手方向に実質的に垂直である面内に存在する。歯冠軸受表面及び根尖軸受表面は、中間部の環状部の、それぞれ、上側表面及び下側表面を画定してもよい。
【0035】
こうした環状形状は、例えば、インプラントに対する上部構造の取付けまたは固定中に、または、患者の咀嚼運動中に、アダプタに作用する力の特に均一でかつ均質な分布を可能にする。したがって、上部構造、アダプタ、及びインプラントにおけるどんな応力蓄積も、特に確実に防止され得る。
【0036】
本発明のアダプタは、歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向、すなわち、アダプタの長手方向にアダプタを貫通して延在する貫通穴を更に備えてもよい。この場合、歯科上部構造は、アダプタ内に形成される貫通穴を通過するねじによって、アダプタを介してインプラントに固定され得る。特に、歯科上部構造は、ねじ頭を保持するためのねじ座を有する貫通穴を備えてもよい。ねじのねじ山付き下側部は、歯科インプラント内に形成されるねじ山付きボアに挿入されてもよいため、上部構造は、ねじによってアダプタを介してインプラントに確実に取付けられ得る。
【0037】
アダプタにこうした貫通穴を設けることによって、上部構造とインプラントとの間の可逆的な固定接続、すなわち、容易に解除され得る接続が得られる。したがって、1つまたは複数のインプラントに対して1つまたは複数のアダプタあるいは上部構造を位置決めするときのどんな誤差または偏差も、単純でかつ非破壊的な方法で補正され得る。
【0038】
更に、上部構造をインプラントに確実にかつ安全に取付けるためにセメントが全く必要とされないため、患者の口の中の炎症のリスクが最小にされ得る。
【0039】
ねじは、15~50Ncm、好ましくは20~45Ncm、より好ましくは25~40Ncmの範囲内の締付けトルクによって歯科インプラントに固定可能であってもよい。特に好ましくは、締付けトルクは35Ncmである。
【0040】
歯冠取付け部、根尖取付け部、及び中間部は、異なる材料で作られてもよい。代替的に、歯冠取付け部、根尖取付け部、及び中間部は、同じ材料で作られてもよい。
【0041】
非制限的な例として、本発明による、チタンまたはチタン合金で作られた、アダプタあるいはアダプタの一部または一部分のヤング率は、少なくとも105GPaであってもよい。前記ヤング率は、同様に、105GPaと120GPaとの間にあってもよい。
【0042】
歯冠取付け部、根尖取付け部、及び中間部の1つ、2つ、または全ては、金属、例えば、チタン、チタン合金、またはステンレス鋼等の延性材料、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、強化ポリマー等のようなポリマーで作られてもよい。本発明のアダプタ全体は、こうした材料で作られてもよい。
【0043】
本発明のアダプタは、例えば、ミリング、例えばCNCミリングまたはCNCターニング等のサブトラクティブ法によって、射出成形によって、または選択的レーザ焼結によって製造されてもよい。こうして、アダプタは単純な方法で製造され得、製造コストは更に低減され得る。
【0044】
本発明のアダプタの中間部は、中間部全体にわたって歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向に実質的に一定の厚さを有してもよい。こうして、中間部全体にわたって、咀嚼力等の外部力の特に均一な分布が保証され得る。
【0045】
本発明のアダプタの歯冠取付け部は、歯科上部構造の根尖部内に形成される対応するキャビティ内に受取られるように構成される突出部を有する、可撓性アーム等の少なくとも1つの可撓性要素を含むスナップフィット配置構成を有してもよい。こうして、アダプタは、上部構造に確実に取付けられ得る。
【0046】
スナップフィット配置構成は、それぞれの突出部を有する少なくとも1つの可撓性要素を含んでもよい。スナップフィット配置構成は、2つ以上の可撓性要素、3つ以上の可撓性要素、または4つ以上の可撓性要素等の、それぞれの突出部を有する複数の可撓性要素を含んでもよい。可撓性要素の突出部は、歯科上部構造の根尖部内に形成される1つまたは複数の対応する対応するキャビティ内に受取られてもよい。複数の可撓性要素、例えば、3つの可撓性要素を有することは、上部構造に対してアダプタの自己センタリングを可能にする。
【0047】
スナップフィット配置構成は、5~150N、好ましくは7~100N、より好ましくは10~50Nの範囲内の保持力によって、歯科上部構造に関連して歯冠取付け部を保持してもよい。
【0048】
上述したスナップフィット配置構成を有する歯冠取付け部を備えるアダプタは、有利には、患者の口に導入される臨床アダプタとして使用され得る。スナップフィット配置構成は、アダプタに対する、したがって同様にインプラントに対する上部構造の特に確実な取付けを保証する。したがって、アダプタは、上部構造に対してその位置に安全に保持され、患者の口の中への上部構造の留置を容易にする。
【0049】
代替的に、本発明のアダプタの歯冠取付け部は、摩擦嵌合によって歯科上部構造に取付けられるように構成されてもよい。特に、歯冠取付け部は、歯科上部構造の対応する窪み内に受取られるように構成される突出部であってもよい。突出部は、突出部と窪みとの間の摩擦によってこの窪み内に保持されてもよい。
【0050】
こうした摩擦嵌合の場合、歯科上部構造に関連する歯冠取付け部の保持力は、5~150N、好ましくは7~100N、より好ましくは10~50Nの範囲内にあってもよい。
【0051】
摩擦嵌合によって上部構造に取付けられるように構成される歯冠取付け部を有するアダプタは、有利には、例えば、上部構造の生産フェーズ中に使用されるラボラトリまたはラブアダプタとして使用され得る。特に、アダプタと上部構造との間の摩擦嵌合は、アダプタが、異なる製造ステップ中に、例えば、上部構造が異なる装置に取付けられるまたそこから取外されるときに、単純な方法で上部構造から取除かれることを可能にする。更に、上部構造からのアダプタの取除きが容易であるため、アダプタは、ラボラトリにおいて再使用され得る。
【0052】
ラボアダプタの根尖取付け部及び中間部は、臨床アダプタの、それぞれの根尖取付け部及び中間部と実質的に同一であってもよい。
【0053】
先に詳述したように、本発明のアダプタの中間部は、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントの根尖部に当接するための歯冠軸受表面、及び、歯科インプラント等の第2の歯科コンポーネントの歯冠部に当接するための歯冠軸受表面に対向する根尖軸受表面を有してもよい。歯冠軸受表面は少なくとも1つの凸状部を有してもよく、根尖軸受表面は少なくとも1つの対応する凹状部を有してもよい、及び/または、歯冠軸受表面は少なくとも1つの凹状部を有してもよく、根尖軸受表面は少なくとも1つの対応する凸状部を有してもよい。この場合、中間部は、アダプタの長手方向に、湾曲した、ねじれた、起伏する、または波形の形状を有し、この部分がこの方向に特に確実にかつ効率的に変形可能であることを保証する。
【0054】
歯冠軸受表面は、1つだけの、すなわち、単一の凸状部を有してもよく、根尖軸受表面は、1つだけの対応する凹状部を有してもよい、及び/または、歯冠軸受表面は、1つだけの、すなわち、単一の凹状部を有してもよく、根尖軸受表面は、1つだけの対応する凸状部を有してもよい。この場合、中間部は、湾曲したまたはねじれた形状を有する。
【0055】
代替的に、歯冠軸受表面は、1つまたは複数の凸状部及び1つまたは複数の凹状部を有してもよく、根尖軸受表面は、1つまたは複数の対応する凹状部及び1つまたは複数の対応する凸状部を有してもよく、したがって、中間部に、アダプタの周囲、好ましくは全周に沿って延在する場合がある起伏するまたは波形の形状を提供する。中間部のこうした起伏するまたは波形の形状は、中間部に作用する咀嚼力等の外部力が、中間部全体にわたって均一に分散されることを保証する。
【0056】
本発明のアダプタは、カラーコード等のマーキングを有してもよい。こうしたマーキングは、アダプタの不正な使用が防止されることを保証する。例えば、カラーコード等のマーキングは、歯冠取付け部及び/または根尖取付け部の外径を示してもよい。このマーキングは、同様に、臨床アダプタの代わりにラボアダプタを使用することを回避するのに役立ち得る。更に、アダプタは、例えば、患者の口の中に取付けられた状態で、視覚的によりよいその外観のためにマーキングされてもよい、カラー化されてもよい、またはカラーコード化されてもよい。
【0057】
本発明によるアダプタは、歯科ブリッジ、例えば、Procera(登録商標)インプラントブリッジ等の歯科上部構造を歯科インプラントに取付けるのに適し、先に詳細に述べた技術的利点を提供する。
【0058】
しかし、本発明のアダプタは、同様に有利には、単一歯レストレーション等の他のコンポーネント、開閉トレイ印象ポスト等の印象採得コンポーネント、口内走査またはデスクトップ走査ロケータ、ヒーリングアバットメント、テンポラリレストレーションまたはファイナルレストレーションを、歯科インプラント(一般に、「歯科コンポーネント(dental component)」と呼ばれる)に取付けるために使用され得る。同様にこの場合、本発明のアダプタは、位置ずれまたは嵌合不良が補償されることを可能にし、したがって、これらの歯科コンポーネントの任意の歯科コンポーネントに対する破断等の損傷のリスクを著しく低減する。
【0059】
上記コンポーネントは、例えば、セラミック、金属、ポリマー、または複合材料で作られてもよい。
【0060】
本発明は、歯科上部構造等の第1の歯科コンポーネントを歯科インプラント等の第2の歯科コンポーネントに取付けるための、少なくとも2つのアダプタ、好ましくは上述した本発明のアダプタを備えるセットを更に提供し、少なくとも2つのアダプタのそれぞれは、アダプタを歯科上部構造に取付けるための歯冠取付け部と、アダプタを第2の歯科コンポーネントに取付けるための根尖取付け部と、歯冠取付け部と根尖取付け部との間に配置される中間部とを備える。少なくとも2つのアダプタの1つのアダプタの根尖取付け部及び中間部は、少なくとも2つのアダプタの他のアダプタの、それぞれ、根尖取付け部及び中間部と実質的に同一であり、少なくとも2つのアダプタの1つのアダプタの歯冠取付け部は、少なくとも2つのアダプタの他のアダプタの歯冠取付け部と異なる。
【0061】
少なくとも2つのアダプタの1つのアダプタの歯冠取付け部は、歯科コンポーネントの根尖部内に形成される対応するキャビティ内に受取られるように構成される突出部を有する少なくとも1つの可撓性要素を含むスナップフィット配置構成を有し、少なくとも2つのアダプタの他のアダプタの歯冠取付け部は、前記歯科コンポーネントの対応する窪み内に受取られるように構成される突出部である。
【0062】
上述した少なくとも2つのアダプタの1つのアダプタは、有利には、臨床アダプタとして使用され得、これらの少なくとも2つのアダプタの他のアダプタは、有利には、ラボアダプタとして使用され得る。
【0063】
少なくとも2つのアダプタの他のアダプタの歯冠取付け部は、摩擦嵌合によって歯科上部構造に取付けられるように構成されてもよい。
【0064】
上記少なくとも2つのアダプタの少なくとも1つのアダプタは、カラーコード等のマーキングを有してもよい。こうして、臨床アダプタ及びラボアダプタが混同(mix up)されないことが確実に保証され得る。
【0065】
本発明は、上述した本発明の歯科上部構造及び少なくとも1つのアダプタを備える歯科アセンブリを更に提供する。好ましくは、歯科アセンブリは、少なくとも2つのこうしたアダプタ、より好ましくは少なくとも3つのこうしたアダプタ、そして更により好ましくは少なくとも4つのこうしたアダプタを備える。
【0066】
更に、歯科アセンブリは、少なくとも1つの歯科インプラント、好ましくは少なくとも2つの歯科インプラント、より好ましくは少なくとも3つの歯科インプラント、そして更により好ましくは少なくとも4つの歯科インプラントを備えてもよい。
【0067】
本発明の歯科アセンブリは、本発明のアダプタについて先に詳細に既に述べた効果及び利点を提供する。
【0068】
更に、本発明は、歯科インプラントまたは歯科インプラント類似物等の第1の歯科コンポーネント、及び、第2の歯科コンポーネントを第1の歯科コンポーネントに取付けるための、好ましくは上述した本発明によるアダプタを備える歯科アセンブリを提供し、アダプタは、アダプタを歯科上部構造に取付けるための歯冠取付け部と、アダプタを第1の歯科コンポーネントに取付けるための根尖取付け部と、歯冠取付け部と根尖取付け部との間に配置される中間部とを備える。根尖取付け部は突出部であり、突出部は、アダプタの根尖端部を画定し、第1の歯科コンポーネントの対応する窪みに受取られるように構成され、突出部は、アダプタが、第1の歯科コンポーネントにアダプタを取付けた状態でアダプタが第1の歯科コンポーネントに対して回転可能であるように構成される。
【0069】
歯科アセンブリは、少なくとも2つの歯科インプラント、好ましくは少なくとも3つの歯科インプラント、そしてより好ましくは少なくとも4つの歯科インプラントを備えてもよい。歯科アセンブリは、少なくとも2つのアダプタ、好ましくは少なくとも3つのアダプタ、そしてより好ましくは少なくとも4つのアダプタを備えてもよい。
【0070】
歯科アセンブリは、歯科上部構造を更に備えてもよい。
【0071】
歯科インプラントにアダプタを取付けた状態で、アダプタは、歯科インプラントに対して回転可能である。したがって、アダプタとインプラントとの間においてこの回転が自由であることによって、上部構造とインプラントとの間の位置ずれ及び嵌合不良が補償され得る。特に、歯科上部構造が、複数のアダプタを使用して複数の歯科インプラントに取付けられる場合、上部構造またはインプラントにおける応力ピークなしで上部構造の正確でかつ確実な嵌合が保証され得る。したがって、より高い公差の可能性があるため、歯科上部構造は、例えば、ラボ内ミリングによって単純でかつ費用効果的な方法で製造され得る。
【0072】
本発明の歯科インプラントは、上述したようなねじのねじ山付き部分を受取るためのねじ山付きボアを有してもよく、アダプタは、先に詳述したように、歯冠取付け部から根尖取付け部に向かう方向にアダプタを貫通して延在する貫通穴を有してもよい。こうして、歯科上部構造及びアダプタは、先に詳細に述べたように、可逆的方法でインプラントに固定され、炎症のリスクを更に低減し得る。
【0073】
本発明の歯科上部構造は、例えば、セラミック、金属、ポリマー、または複合材料で作られてもよい。
【0074】
本発明の歯科インプラントは、チタン、チタン合金、またはステンレス鋼等の金属、あるいは、セラミックまたはPEEK等のポリマーで作られてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
以降で、本発明の非制限的な例が図面を参照して説明される。
【0076】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの斜視図である。
図1(b)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの側面図である。
図1(c)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの
図1(b)の領域Yの拡大図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの
図1(b)のラインA-Aに沿って切取った断面図である。
図2(b)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの上面図である。
図2(c)は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの
図2(a)の領域Zの拡大図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの斜視図である。
図3(b)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの側面図である。
図3(c)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの
図3(b)の領域Yの拡大図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの
図3(b)のラインA-Aに沿って切取った断面図である。
図4(b)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの上面図である。
図4(c)は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの
図4(a)の領域Zの拡大図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明のアダプタが取付けられる本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の透明上面図である。
図5(b)は、本発明のアダプタが取付けられる本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の
図5(a)のラインC-Cに沿って切取った断面図である。
図5(c)は、本発明のアダプタが取付けられる本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の
図5(b)の領域Yの拡大図である。
【
図6】
図6(a)は、
図5に示す本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の
図5(a)のラインA-Aに沿って切取った断面図である。
図6(b)は、
図5に示す本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の透明上面図である。
図6(c)は、
図5に示す本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の
図5(b)の領域Zの拡大図である。
図6(d)は、
図5に示す本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分の斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明の第1の実施形態による、アダプタによって歯科インプラントに取付けた状態での、
図5及び6の歯科上部構造の一部分の図である。
図7(b)は、本発明の第2の実施形態による、アダプタによって歯科インプラントに取付けた状態での、
図5及び6の歯科上部構造の一部分の図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の一実施形態による歯科上部構造の、下顎のモデルに取付けた状態での斜視図である。
図8(b)は、本発明の一実施形態による歯科上部構造の斜視図であり、歯科上部構造に取付けられた本発明による5つのアダプタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本発明の好ましい実施形態は、ここで、添付図面を参照して述べられる。
【0078】
図1及び2は、歯科上部構造を歯科インプラントに取付けるための本発明の第1の実施形態によるアダプタ1を示す。
【0079】
アダプタ1は、アダプタ1を歯科上部構造(
図7及び8参照)に取付けるための歯冠取付け部2と、アダプタ1を歯科インプラント(
図7参照)に取付けるための根尖取付け部4と、歯冠取付け部2と根尖取付け部4との間に配置される中間部6とを備える。根尖取付け部4は突出部であり、突出部は、アダプタ1の根尖端部を画定し、歯科インプラント(
図7参照)の対応する窪みに受取られるように構成される。突出部は、インプラントにアダプタ1を取付けた状態でアダプタ1が歯科インプラントに対して回転可能であるように回転対称である。特に、突出部は、円形断面を有するシリンダとして形成される。
【0080】
アダプタ1全体は、金属、好ましくはチタンまたはチタン合金で作られる。アダプタは、例えば、ミリングによって、射出成形によって、ターニングによって、または選択的レーザ焼結によって形成されてもよい。
【0081】
図1(a)に示すように、中間部6は、実質的に環状形状を有し、環状部は、歯冠取付け部2から根尖取付け部4に向かう方向に実質的に垂直である
面内に存在する。
図1(a)、1(b)、及び2(a)に示すように、中間部6は、歯冠取付け部2及び根尖取付け部4を含むアダプタ1の残りの部分の外側表面から実質的に直角に延在する。
【0082】
中間部6は、歯科上部構造の根尖部に当接するための歯冠軸受表面8、及び、歯科インプラントの歯冠部に当接するための歯冠軸受表面8に対向する根尖軸受表面10を有する(
図1(a)、1(b)、2(a)、2(b)、及び7(a)参照)。中間部6は、中間部6全体にわたって歯冠取付け部2から根尖取付け部4に向かう方向に実質的に一定の厚さ、すなわち、歯冠軸受表面8と根尖軸受表面10との間の一定距離を有する。好ましくは、中間部6の厚さは、約0.2mmである。
【0083】
先に詳述したように、アダプタ1全体、したがって同様に、中間部6は、金属、好ましくはチタンで作られる。更に、中間部6は、約0.2mmの一定の小さな厚さを有してもよい。代替的に、中間部は、いろいろなまたは変化する厚さを有してもよい。例えば、中間部は、2つ以上の異なる厚さを有してもよい。したがって、中間部6は、根尖取付け部4から歯冠取付け部2に向かう方向及び歯冠取付け部2から根尖取付け部4に向かう方向に、すなわち、アダプタ1の長手方向に沿って弾性変形可能である。
【0084】
歯冠取付け部2及び根尖取付け部4は、
図1(a)及び2(b)に概略的に示すように、実質的に円形断面を有する、中空本体、特に中空シリンダとして形成される。歯冠取付け部2及び根尖取付け部4の壁厚は、0.1~0.5mmの範囲内にあり、好ましくは0.2mmである。更に、歯冠取付け部2及び根尖取付け部4は、先に示したように、金属、好ましくはチタンで作られる。そのため、歯冠取付け部2及び根尖取付け部4は、根尖取付け部4から歯冠取付け部2に向かう方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能である。
【0085】
先に提供した説明から続くように、本発明の第1の実施形態によるアダプタ1は、回転対称突出部を根尖取付け部4として有し、中間部6は、アダプタ1の長手方向軸に沿って弾性変形し、歯冠取付け部2及び根尖取付け部4は、アダプタ1の長手方向軸に垂直な全ての方向に弾性変形可能である。
【0086】
したがって、アダプタ1は、歯科上部構造を歯科インプラントに取付けると、最大の自由を提供し、位置ずれまたは嵌合不良が3方向全てに確実に補償されることを可能にする。したがって、歯科上部構造、アダプタ、または歯科インプラントにおける応力蓄積または応力ピークの形成が回避され、したがって、これらのコンポーネントの任意のコンポーネントに対する破断等の損傷のリスクを最小にし得る。
【0087】
アダプタ1は、歯冠取付け部2から根尖取付け部4に向かう方向にアダプタ1を貫通して延在する貫通穴12を更に備える(
図1(a)、2(a)、及び2(b)参照)。したがって、歯科上部構造は、アダプタ1の上部構造及び貫通穴12を通してねじを通過させ、歯科インプラント内に画定されるねじ山付きボアにねじを挿入することによってアダプタ1を介して歯科インプラントに固定され得る(
図7(a)参照)。
【0088】
したがって、アダプタ1及び歯科上部構造は、可逆的な方法で歯科インプラントに固定され得る。固定式接続のためにセメントが全く必要とされないため、患者の口の中の炎症のリスクが同様に最小にされる。
【0089】
図1及び2に示すように、アダプタ1は、歯科上部構造の根尖部内に形成される1つまたは複数の対応するキャビティ内に受取られるように構成されるそれぞれの突出部16を有する3つの可撓性要素14、すなわち可撓性アームを含むスナップフィット配置構成を有する(
図1(a)、1(c)、2(a)、2(c)、5(b)6(c)、及び7(a)参照)。可撓性要素14は、
図1(a)~1(c)及び
図2(a)に示すように、歯冠取付け部2の壁内の周囲材料を切取ることによって形成される。可撓性要素14は、ほぼ中間部6のレベルまたは高さでアダプタ1の残りの部分に接続され、この接続部から、根尖取付け部4から歯冠取付け部2に向かう方向に延在する。
【0090】
スナップフィット配置構成は、7~100Nの範囲内の保持力によって、歯科上部構造に関連して歯冠取付け部2を保持するように構成される。
【0091】
したがって、歯冠取付け部2は、スナップフィット配置構成を通して歯科上部構造に安全に取付けられ、患者の口に導入される臨床アダプタとしてのアダプタ1の確実な使用を可能にし得る。
【0092】
図3及び4は、本発明の第2の実施形態によるアダプタ1’を示す。第2の実施形態の根尖取付け部及び中間部は、第1の実施形態によるアダプタ1の、それぞれ、根尖取付け部4及び中間部6と同一である。したがって、その反復する詳細説明は省略される。
【0093】
第2の実施形態によるアダプタ1’は、歯冠取付け部2’が異なる取付け構造を有する点で第1の実施形態によるアダプタ1と異なるだけである。特に、第1の実施形態によるアダプタ1について使用されるスナップフィット配置構成ではなく、第2の実施形態によるアダプタ1’の歯冠取付け部2’は、摩擦嵌合配置構成を有する。
【0094】
図3(a)~3(c)、4(a)、及び4(c)に示すように、この摩擦嵌合配置構成は3つの可撓性要素18、すなわち、3つの可撓性アームを含む。可撓性要素18は、歯冠取付け部2’から周囲材料を切取ることによって形成される。第1の実施形態によるアダプタ1の可撓性要素14と対照的に、これらの可撓性要素18は、歯冠取付け部2’の歯冠端においてアダプタ1’の残りの部分に接続される(
図3(a)~3(c)ならびに
図4(a)及び4(c)参照)。可撓性要素18は、この接続部から、歯冠取付け部2’から根尖取付け部に向かう方向に延在する。
【0095】
摩擦嵌合配置構成は、7~100Nの範囲内の保持力によって、歯科上部構造に関連して歯冠取付け部2’を保持するように構成される。
【0096】
可撓性要素18を有する歯冠取付け部2’は、歯科上部構造の対応する窪み内に受取られるように構成される突出部である。可撓性要素18によって生成される摩擦力または保持力によって、アダプタ1’は、歯科上部構造と接続状態で保持されるが、非破壊的方法でそこから容易に取除かれ得る。したがって、アダプタ1’は、有利には、ラボラトリまたはラボアダプタとして使用され得る。特に、アダプタ1’は、製造プロセスにおける異なるステップ中に、例えば、上部構造が異なる装置に取付けられるまたそこから取外されるときに、歯科上部構造からのアダプタ1’の取除くことを可能にする。
【0097】
第1の実施形態によるアダプタ1及び第2の実施形態によるアダプタ1’は、臨床目的及びラボラトリ目的のためにアダプタのセットで共に使用され得る。
【0098】
図5及び6は、第1及び第2の実施形態による、アダプタ1、1’の歯冠取付け部2、2’を受取るための取付け構造を含む本発明の一実施形態による歯科上部構造の一部分20を示す。
【0099】
図5(a)、5(b)、6(a)、6(b)、及び6(d)に示すように、上部構造の部分20は、部分20の側部表面から根尖部24まで部分20を通って延在する貫通穴22を有する。貫通穴22は、ねじ座26であって、ねじ座26上にねじ頭を載せるための、ねじ座26を備える(
図7参照)。
【0100】
歯科上部構造は、
図7を参照して以下に詳細に述べるように、上部構造の歯冠側から、すなわち、部分20の側部表面から貫通穴22にねじを導入し、上部構造の部分20の根尖部24に取付けられるアダプタ1、1’の貫通穴12を通してねじを通過させ、歯科インプラント内に形成されるねじ山付きボアにねじを挿入することによって歯科インプラントに固定され得る。ねじのねじ頭は、貫通穴22内に設けられるねじ座26上に載る。
【0101】
歯科上部構造の部分20の側部表面内への貫通穴22の歯冠開口の配置は、この開口が上部構造に対する上面視では見ることができないという利点を提供する。歯科上部構造の代替の実施形態において、貫通穴22は、上部構造の根尖部24から歯冠端まで実質的に真っ直ぐな線に沿って延在してもよい。
【0102】
歯科上部構造の根尖部24は、
図5(a)、5(b)、及び6(c)に示すように、本発明の第1の実施形態に従って、アダプタ1の可撓性要素14の突出部16を受取るための環状キャビティ28を持つように形成される。したがって、臨床アダプタ1の歯冠取付け部2は、貫通穴22の根尖端内で安全に保持され得る(
図7(a)参照)。
【0103】
しかし、その一部分20が
図5及び6に示される歯科上部構造は、同様に、本発明の第2の実施形態によるアダプタ1’と組合せて使用され得る。この場合、歯冠取付け部2’は、貫通穴22の根尖端によって形成される窪みに挿入され、可撓性要素18によって、貫通穴22の根尖端の内壁に印加される摩擦力によって所定の位置に保持される(
図7(b)参照)。
【0104】
図7は、
図5及び6に示す歯科上部構造の部分20が、第1の実施形態によるアダプタ1(
図7(a))によってまた第2の実施形態によるアダプタ1’(
図7(b))によって歯科インプラント30に取付けられる状態を示す。
【0105】
図7に示すように、インプラント30は、根尖取付け部4を受取るための、インプラント30の歯冠端に形成されるアダプタ1、1’の根尖取付け部4に対応する窪み32を有する。更に、インプラント30は、インプラント30の根尖方向に窪み32の下に延在するねじ山付きボア34を有する。更に、インプラント30は、患者の顎の骨にインプラント30をねじ込むための外側ねじ山付き部35を有する。
【0106】
インプラント30は、金属、例えば、チタン、チタン合金、またはステンレス鋼で作られる。インプラント30は、同様に、セラミックまたはPEEK等のポリマーで作られ得る。
【0107】
歯科上部構造、
図7に示す部分20をインプラント30に取付けるとき、アダプタ1、1’は、インプラント30の対応する窪み32に根尖取付け部4を挿入することによってインプラント30に取付けられる。インプラント30にアダプタ1、1’を取付けた状態で、アダプタ1、1’の根尖軸受表面10は、インプラント30の歯冠部36に当接する。更に、歯科上部構造は、貫通穴22の根尖端に歯冠取付け部2、2’を挿入することによってアダプタ1、1’に取付けられる。アダプタ1、1’に歯科上部構造を取付けた状態で、歯冠軸受表面8は、上部構造の根尖部24に当接する。
【0108】
歯冠取付け部2、2’は、アダプタ1の場合(
図7(a)参照)、アダプタ1の可撓性要素14の突出部16と環状窪み28との係合によって、また、アダプタ1’の場合(
図7(b)参照)、可撓性要素18によって加えられる摩擦力による摩擦嵌合によって、根尖部24と接続状態で保持される。
【0109】
歯科上部構造、アダプタ1、1’、及びインプラント30を、この取付けられた状態で安全に固定するため、ねじ40は、歯科上部構造の貫通穴22の歯冠開口を通して挿入され、貫通穴22の根尖開口を通過させられ、アダプタ1、1’の貫通穴12を通過させられ、インプラント30のねじ山付きボア34に挿入される。
図7において、ねじ40は、半分挿入された状態で示される。完全に挿入された状態において、ねじ40の下側ねじ山付き部42は、ねじ山付きボア34内に完全に受取られ、ねじ40のねじ頭44はねじ座26上に載り、それにより、歯科上部構造、アダプタ1、1’、及びインプラント30を、それらの相対的位置でしっかり保持する。
【0110】
先に詳述したように、アダプタ1、1’の根尖取付け部4は、回転対称である突出部、すなわち、円形断面を有するシリンダである。そのため、ねじ40を締める前に、アダプタ1、1’は、インプラント30の対応する窪み32内で自由に回転可能である。更に、中間部6は、アダプタ1、1’の長手方向に沿って弾性変形可能であり、歯冠取付け部2、2’及び根尖取付け部4は、アダプタ1、1’の長手方向に垂直な全ての方向に弾性変形可能である。したがって、歯科上部構造及びインプラント30のどんな位置ずれまたは嵌合不良も、3つ全ての方向に確実に補償され得る。
【0111】
図8は、アダプタ1、1’を通して、
図7に示すインプラント30等のそれぞれのインプラントに取付けるための、5つの部分20(
図5~7参照)を有する歯科上部構造50を示す。
【0112】
歯科上部構造50は、例えば、チタンフレーム等の金属フレーム及び金属フレームを覆うポーセレンベニアを有する、複数の歯レストレーションである。例えば、NobelProcera(登録商標)インプラントブリッジは、歯科上部構造50として使用されてもよい。一実施形態において、歯科上部構造50はセラミックで作られる。歯科上部構造50は、同様に、ベニアを接着されていない全輪郭レストレーションであり得る。
【0113】
図8(b)は、5つのラボアダプタ1’が部分20の貫通穴22のそれぞれの根尖端部に挿入された状態の歯科上部構造50の斜視底面図を示す。先に詳述したように、アダプタ1’は、摩擦嵌合によって上部構造50に対するそれらの位置に保持される。
【0114】
図8(a)は、歯科上部構造50が、顎の骨のモデル60に設けられるアダプタ1’及び対応する歯科インプラント(図示せず)または歯科インプラント類似物によって患者の下顎の骨のモデル60に取付けられる状態を示す。特に、
図8(a)は、2つの部分20aであって、貫通穴22の歯冠開口が上部構造50の歯冠端表面に配置される、2つの部分20a、及び、1つの部分20bであって、貫通穴22の歯冠開口が上部構造50の側部表面に配置される、1つの部分20bを示す(
図5~7も参照)。
【0115】
更に、
図8(a)は、
図7を参照して先に詳細に説明したように、
図7に示すねじ40等のねじを貫通穴22の歯冠開口に挿入し、ねじを締めて、歯科上部構造50、アダプタ1’、及びインプラントをこの取付けられた状態にしっかり固定するためのねじドライバツール70を示す。
【0116】
歯科上部構造50は、顎の骨のモデル60について
図8(a)に示した方法と実質的に同じ方法で患者の顎の骨に固定され得る。特に、
図7に示すインプラント30等の歯科インプラントは、顎の骨にねじ込まれ得る。これらのインプラントが顎の骨にオッセオインテグレーションされると、歯科上部構造50は、先に詳述したように、対応するアダプタ1及びねじによってインプラントに固定される。しかし、この場合、第2の実施形態によるラボアダプタ1’ではなく第1の実施形態による臨床アダプタ1が使用されるため、アダプタ1は、スナップフィットによって上部構造50に対するその位置に保持されて、患者がアダプタを飲込むことを回避する。
【0117】
根尖取付け部4の回転可能配置、ならびに、アダプタ1、1’の歯冠取付け部2’、根尖取付け部4、及び中間部6の変形能によって、歯科上部構造50とインプラントとの間のどんな位置ずれまたは嵌合不良も、3つ全ての方向に確実にかつ効率的に補償され得る。
【0118】
更に、変形可能中間部6は、上部構造50、アダプタ1、1’、及びインプラントにおける応力蓄積を低減し、上部構造50、アダプタ1、1’、及びインプラント内で咀嚼力等の応力を均一に分散する荷重部材として働く。更に、変形可能中間部6は、同様に、ねじ40の緩みを防止し、上部構造50とインプラントとの間のギャップを確実にシールし(
図7参照)、したがって、細菌が上部構造50とインプラントとの間の接続部に蓄積することを防止する。