IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図1
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図2
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図3
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図4
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図5
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図6
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図7
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図8
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図9
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図10
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図11
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図12
  • 特許-ジブ格納のためのジブ連結システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ジブ格納のためのジブ連結システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/70 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
B66C23/70 H
B66C23/70 B
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018034257
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2018172217
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】62/466,132
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ハル, ウィリアム エドワード
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-52911(JP,A)
【文献】特開2002-128469(JP,A)
【文献】特開昭61-2693(JP,A)
【文献】特開平8-12271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/70
B66C 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブをブームに連結するためのジブ連結システムであって、
引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体と、
引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システムと、
前記ロック部材に動作可能に接続された第1端、及びロックピンを有する第2端を有しているケーブルと、
を備え、
前記ロック部材の前記伸展位置から前記引込位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材に係合し、前記ロック部材の前記引込位置から前記伸展位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材から係合解除されるようにされた、ジブ連結システム。
【請求項2】
前記ロックピンが前記連結部材と係合されているときは前記連結部材は前記ロックピンに対する動きに抗して保持され、前記ロックピンが前記連結部材から係合解除されているときは前記連結部材は伸展位置と引込位置の間で可動である、請求項1に記載のジブ連結システム。
【請求項3】
前記連結部材は、それぞれ位置決め開口部を有する第1連結ピン及び第2連結ピンを備える、請求項1に記載のジブ連結システム。
【請求項4】
前記ケーブルは2つのケーブルを含んでおり、各ケーブルの前記ロックピンは、第1連結ピン及び第2連結ピンの位置決め開口部にそれぞれ選択的に係合するように構成されている、請求項3に記載のジブ連結システム。
【請求項5】
前記連結部材を前記引込位置と前記伸展位置との間で動かすように構成されている連結アクチュエータを更に備えている、請求項1に記載のジブ連結システム。
【請求項6】
前記格納連結組立体は、前記ロック要素を前記引込位置から前記伸展位置へ動かすように構成されているロック要素アクチュエータを更に備えている、請求項1に記載のジブ連結システム。
【請求項7】
前記格納連結組立体は、前記ロック部材を前記引込位置へ押圧する付勢要素を更に備え、前記ロック要素アクチュエータは前記付勢要素からの付勢力に逆らって前記ロック部材を動かすように構成されている、請求項6に記載のジブ連結システム。
【請求項8】
前記格納連結組立体は、前記ロック部材に接続されている支持板を更に備え、前記ケーブルの前記第1端は前記支持板を介して前記ロック部材に接続されている、請求項7に記載のジブ連結システム。
【請求項9】
前記連結部材が前記引込位置にあるときに、前記ロックピンが前記連結部材の外面に押し付けられ、前記ロックピンと前記連結部材の間の接触からの反力が前記ケーブル及び前記支持板を介して与えられて前記ロック部材を前記伸展位置に保持する、請求項8に記載のジブ連結システム。
【請求項10】
前記連結部材が前記伸展位置にあるときに、前記ロックピンが、前記支持板及び前記ケーブルを介して与えられる前記付勢要素の前記付勢力を受けて前記連結部材の位置決め開口部の中へ押される、請求項8に記載のジブ連結システム。
【請求項11】
建設車両のためのブーム組立体であって、
基部区分及びブームノーズを有しているブームと、
前記基部区分に対して格納状態と張出状態の間で可動であるジブと、
前記ジブを前記ブームに連結するように構成されているジブ連結システムであって、
引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体、
引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システム、及び、
前記ロック部材に動作可能に接続された第1端、及びロックピンを有する第2端を有しているケーブル、を備え、
前記ロック部材の前記伸展位置から前記引込位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材に係合し、前記ロック部材の前記引込位置から前記伸展位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材から係合解除される、ジブ連結システムと、
を備えている、ブーム組立体。
【請求項12】
前記基部区分は、前記ロック部材が前記伸展位置にあるときに前記ロック部材を受け入れるように構成されている開口部を有する格納ラグを備えている、請求項11に記載のブーム組立体。
【請求項13】
前記ブームノーズは開口部を有するブームラグを備え、前記ジブの取り付け端は開口部を有するジブラグを備え、前記ブームラグの前記開口部と前記ジブラグの前記開口部は、前記連結部材が前記伸展位置にあるときに前記連結部材を受け入れるべく整列されるように構成されている、請求項12に記載のブーム組立体。
【請求項14】
前記ジブは、前記ロック部材が前記伸展位置にあるときに、前記ブームラグと前記ジブラグを整列させるように前記ロック部材を中心に枢動可能である、請求項13に記載のブーム組立体。
【請求項15】
前記連結部材は、それぞれ位置決め開口を有する第1連結ピン及び第2連結ピンを備え、前記ケーブルは2つのケーブルを含み、各ケーブルの前記ロックピンは第1連結ピン及び第2連結ピンの位置決め開口部にそれぞれ選択的に係合するように構成されている、請求項11に記載のブーム組立体。
【請求項16】
前記格納連結組立体は、前記ロック部材を前記引込位置へ押圧する付勢要素を更に備えている、請求項11に記載のブーム組立体。
【請求項17】
前記連結部材が前記引込位置にあるとき、前記ロックピンが前記連結部材の外面に押し付けられ、前記ロックピンと前記連結部材の間の接触からの反力が前記ケーブルを介して与えられて前記ロック部材を前記付勢要素からの付勢力に逆らって前記伸展位置に保持する、請求項16に記載のブーム組立体。
【請求項18】
前記連結部材が前記伸展位置にあるときに、前記ロックピンが、前記ケーブルを介して与えられる前記付勢要素の前記付勢力を受けて前記連結部材の位置決め開口部の中へ押される、請求項16に記載のブーム組立体。
【請求項19】
前記ブームは、伸縮式ブームであり、更に、前記基部区分内に入れ子にされた1つ又はそれ以上の伸縮区分を備えており、前記ブームノーズは最も外側に延びている伸縮区分である、請求項11に記載のブーム組立体。
【請求項20】
移動式クレーンであって、
基部区分、ブームノーズ、及び前記基部区分に対して格納状態と張出状態の間で可動であるジブ、を有しているブーム組立体と、
前記ジブを前記ブームに連結するように構成されているジブ連結システムであって、
引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体、
引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システム、及び、
前記ロック部材に動作可能に接続された第1端、及びロックピンを有する第2端を有しているケーブル、を備え、
前記ロック部材の前記伸展位置から前記引込位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材に係合し、前記ロック部材の前記引込位置から前記伸展位置への動きによって前記ロックピンが前記連結部材から係合解除させる、ジブ連結システムと、
を備えている移動式クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、概括的にはジブ格納に関し、また厳密にはジブをブーム上に格納するためのジブ連結システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンの様な吊り上げ車両は、基部区分と、基部区分から伸張可能で基部区分の中へ収縮可能な1つ又はそれ以上の入れ子式にされた伸縮区分と、から成る伸縮式ブームを有しているものである。一部のブーム構成では、ブーム延伸部又はジブが伸縮式ブームのブームノーズへ取り付けられているものがある。
【0003】
図1を参照して、一部の移動式クレーンでは、ジブ110は非使用時にブーム114の基部区分112の側面又は上面に沿って格納されていることがある。格納構成では、ジブ110は、その基底部116を概ねブームノーズ118に隣接させ、またその先端部120を基部区分112の基底部122付近に位置付けて、置かれている。
【0004】
典型的には、ジブ張出部は、ジブ110の先端120又はその付近と基部区分112の基底部122又はその付近との第1格納接続部124、及び、ジブ先端部120とジブ基底部116の間の中間区域と基部区分112の基底部122とブームノーズ118の間の中間区域とに配置されている第2格納接続部126、を手段として格納されることになる。
【0005】
既知のジブ格納配列では、第1格納接続部124が図2に示されている様に解放されると、ジブ110を第2格納接続部126周りに枢動させてジブ110の基底部116の一部分をブームノーズ118の一部分との整列へと動かしてゆくことができる。ジブ基底部116の一部分とブームノーズ118の一部分は互いに接続され、枢軸接合部128の働きをすることができる。
【0006】
ジブ基底部の一部分とブームノーズ118の一部分が接続された状態で、第2格納接続部126は解放され、ジブ110は枢軸接合部128周りに枢動することができる。その結果、ジブ基底部116をブームノーズ118とブーム114の軸に沿って整列させてジブ基底部116をブームノーズ118に固定させ、ブーム114を延伸することができる。
【0007】
以上の既知のジブ格納配列の1つの欠点は、ジブ110を格納位置から動作位置へ動かすとき(即ち、ジブ110がブームノーズ118に接続されブームノーズ118に設置されるとき)、仮に第2格納接続部が解放された後に枢軸接合部128の接続が定着されていなければジブ110はブーム114から脱着してしまうかもしれない、ということである。逆に、ジブ110を動作可能位置から格納位置へ動かすとき、仮に枢軸接合部128の解放に際し第2格納接続部126が定着されていなければ、ジブ110はブームから脱着してしまうかもしれない。
【0008】
上述の欠点の解決を図ろうと努力がなされてきた。例えば、タナカらへの米国特許第8,522,988号は、一対のピンの引込拘束手段を含んでいる。具体的には、タナカらは、上述の枢軸接合部に対応する箇所の上側枢軸ピン及び下側枢軸ピンを開示している。上側枢軸ピンと下側枢軸ピンは、ジブをブームノーズに連結する場合には互いから離れて伸展位置へ可動であり、またジブをブームノーズから連結解除する場合には互いに向かって引込位置へ可動である。タナカらは、更に、上述の第2格納接続部に対応する箇所の上側連結ピン及び下側連結ピンを開示している。枢軸ピンと同様、上側連結ピンと下側連結ピンは、互いから離れて伸展位置へ可動でありそれによりジブはブームに連結できるようになり、また互いに向かって引込位置へ可動でありそれによりジブをブームから連結解除できるようになる。
【0009】
タナカらでは、ピン引込拘束手段の一方が第1拘束部材を含み、ピン引込拘束手段の他方が第2拘束部材を含んでいる。第1拘束部材と第2拘束部材は、枢軸ピンと連結ピンが伸展位置にあるときに枢軸ピンと連結ピンの間に形成されているギャップの中へばねによってそれぞれ押される枢動アームである。従って第1拘束手段及び第2拘束手段は枢軸ピン及び連結ピンの引込を阻止することができる。
【0010】
加えて、第1拘束手段及び第2拘束手段は、各々、ばね接続部とは反対側の端がそれぞれの制御ケーブルに接続されている。第1拘束部材の制御ケーブルは反対側の端を上側連結ピンに接続されていて、上側連結ピンの伸展位置への動きが、制御ケーブルに、第1拘束部材の枢動アームを付勢力に逆らって引いて上側枢軸ピンと下側枢軸ピンの間のギャップから抜けさせるよう仕向けるようになっている。第2拘束部材の制御ケーブルは反対側の端を上側枢軸ピンに接続されていて、上側枢軸ピンの伸展位置への動きが、制御ケーブルに、第2拘束部材の枢動アームを付勢力に逆らって引いて上側連結ピンと下側連結ピンの間のギャップから抜けさせるよう仕向けるようになっている。
【0011】
こうして、連結ピンの伸展位置への動きが、第1拘束部材を枢動させて上側枢軸ピンと下側枢軸ピンの間のギャップから抜けさせ、それにより枢軸ピンが引っ込めるようにする。同様に、枢軸ピンの伸展位置への動きが、第2拘束部材を枢動させて上側連結ピンと下側連結ピンの間のギャップから抜けさせ、それにより連結ピンが引っ込めるようにする。この方式で、タナカらは、枢軸ピンか又は連結ピンの少なくとも一方のブームへの接続を常に維持しようと努めている。
【0012】
しかしながら、以上に説明されている配列は、機械的に複雑であり、可動部品同士の間に数多くの接続を必要とする。例えば、各制御ケーブルは、ケーブルを既定方向に引くために各端を枢動アーム又は連結ピン又は枢軸ピンの何れかに接続されている必要がある。加えて、典型的に環境に曝される可動部品の数及びその様なシステムが典型的に使用されている作業環境のせいで、以上のピン引込拘束システムは、十分に耐久性があるとは限らず、頻繁な整備が必要になることもあり得る。これは機械の休止時間を生じさせ点検保守費用の増加を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第8,522,988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、格納状態から張出状態への移動中及びその逆の移動中もジブをブームと接続した状態に維持し、しかも構成要素がより少なく、機械的複雑性がより軽減されたジブ連結システムを提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態によれば、ジブをブームに連結するためのジブ連結システムが、引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体と、引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システムと、ロック部材に動作可能に接続された第1端及びロックピンを有する第2端を有しているケーブルと、を含んでいる。ロック部材の伸展位置から引込位置への動きによってロックピンが連結部材に係合し、ロック部材の引込位置から伸展位置への動きによってロックピンが連結部材から係合解除される。
【0016】
別の実施形態によれば、建設車両のためのブーム組立体が、基部区分及びブームノーズを有しているブームと、基部区分に対して格納状態と張出状態の間で可動であるジブと、ジブをブームに連結するように構成されているジブ連結システムと、を含んでいる。ジブ連結システムは、引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体と、引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システムと、ロック部材に動作可能に接続された第1端及びロックピンを有する第2端を有しているケーブルと、を含んでいる。ロック部材の伸展位置から引込位置への動きによってロックピンが連結部材に係合し、ロック部材の引込位置から伸展位置への動きによってロックピンが連結部材から係合解除される。
【0017】
更に別の実施形態によれば、移動式クレーンが、基部区分、ブームノーズ、及び基部区分に対して格納状態と張出状態の間で可動であるジブ、を有しているブーム組立体と、ジブをブームに連結するように構成されているジブ連結システムと、を含んでいる。ジブ連結システムは、引込位置と伸展位置の間で可動であるロック部材を有している格納連結組立体と、引込位置と伸展位置の間で可動である連結部材を有している張出枢軸連結システムと、ロック部材に動作可能に接続された第1端及びロックピンを有する第2端を有しているケーブルと、を含んでいる。ロック部材の伸展位置から引込位置への動きによってロックピンが連結部材に係合し、ロック部材の引込位置から伸展位置への動きによってロックピンが連結部材から係合解除される。
【0018】
本開示の他の目的、特徴、及び利点は、次に続く説明が添付図面と関連付けて考察されることから明らかになるものであり、図面中、同様の番号は、同様の部分、要素、構成要素、段階、及びプロセスを指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】伸縮式ブームへ取り付けられている、格納位置にある既知のジブを示している。
図2】格納位置と動作位置の間の中間位置へ動かされた図1の既知のジブを示している。
図3】ここに説明されている或る実施形態による、ブームを有する吊り上げ車両の、ジブが格納位置にある状態の斜視図である。
図4】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態での、ジブと共に使用するためのジブ連結システムの側面図である。
図5】ここに説明されている或る実施形態による、張出状態での、図4のジブ連結システムの側面図である。
図6】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態での、図3のジブ連結システムの格納連結組立体の拡大図である。
図7】ここに説明されている或る実施形態による、張出状態での、図3のジブ連結システムの格納連結組立体の拡大図である。
図8】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態での、図4のジブ連結システムの張出枢軸連結組立体の拡大斜視図である。
図9】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態での、図4のジブ連結システムの張出枢軸連結組立体の別の拡大斜視図である。
図10】ここに説明されている或る実施形態による、張出状態での、図4のジブ連結システムの張出枢軸連結組立体の拡大斜視図である。
図11】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態から張出状態へ動けるように枢動可能にブームノーズに接続されているジブの斜視図である。
図12】ここに説明されている或る実施形態による、格納状態から張出状態へ動けるように枢動可能にブームに接続されているジブの別の斜視図である。
図13】ここに説明されている或る実施形態による、ブームの基部区分に接続されているジブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は様々な形態の具現化の余地があるが、1つ又はそれ以上の実施形態が図面に示されており、以下では、本開示は例示のみを目的とするものと考えられるべきであり本開示を説明され示されている何れかの特定の実施形態に限定しようとするものではないとの了解の下に、それら1つ又はそれ以上の実施形態を説明してゆく。
【0021】
図3は、ここに説明されている或る実施形態による、ブーム組立体12を有している建設車両10の斜視図である。建設車両10は例えば移動式クレーンであってもよい。ブーム組立体12は基部区分16を有しているブーム14を含んでいる。一実施形態では、ブーム14は、伸縮式ブームであり、基部区分16の中に入れ子にされていて基部区分16から外へ及び基部区分16の中へ伸縮運動するように構成されている1つ又はそれ以上の伸縮区分18を含んでいる。一実施形態では、伸縮式ブーム14は油圧式ブームであり、個々のブーム区分18は油圧ピストン(図示せず)の様なリニアアクチュエータによって伸張及び収縮されるように駆動される。
【0022】
ブーム組立体12は、更に、ブームの遠位端即ちブームノーズ22に選択的に接続されるように構成されているブーム延伸部又はジブ20を含んでいる。ジブ20は、一実施形態ではラチスジブである。一般的に、ジブ20は、ブーム14に対して、格納状態(図3)とブーム14の長さを延伸するためにジブ20がブームノーズ22上に設置されている張出状態(図示せず)の間で可動である。格納状態では、ジブ20は、概ねブーム14に平行して位置付けられていて、ここでは概して格納連結部と呼称されている1つ又はそれ以上の連結部にて基部区分16に固定されている。張出状態では、ジブ20は、ここでは概して張出枢軸連結組立体と呼称されている別の連結部にてブームノーズ22に固定されている。
【0023】
図3及び図4を参照して、ここに説明されている或る実施形態によれば、ジブ20は、ジブ連結システム24を用いてブーム14に固定されていて、ジブ連結システム24の動作によって格納状態と張出状態の間で可動である。図4は、ここに説明されている或る実施形態による、ジブ連結システム24とジブ20の一部分を示している側面図である。図4を参照して、ジブ連結システム24は、概して、格納連結組立体26、張出枢軸連結組立体28、及び格納連結組立体26と張出枢軸連結組立体28の間を延びている1つ又はそれ以上のケーブル30、を含んでいる。
【0024】
図5は、ここに説明されている或る実施形態によるジブ連結システム24の別の側面図である。図4及び図5を参照して、以下に更に説明されている様に、格納連結組立体26は、ロック状態(図4)とロック解除状態(図5)の間で動くように動作可能であり、逆も然りである。同様に、張出枢軸連結組立体28も、ロック状態(図5)とロック解除状態(図4)の間で動くことができ、逆も然りである。一実施形態では、1つ又はそれ以上のケーブル30は、プッシュプル型ケーブルであり、格納連結組立体26の作動に応じて動かされる(即ち、押される又は引かれる)ようになっていてもよい。一実施形態では、1つ又はそれ以上のケーブル30の各ケーブルは、実質的に固定されたスリーブ内で滑動するように構成されているケーブルによって形成されていてもよい。
【0025】
図6は、ここに説明されている或る実施形態による、ロック状態にある格納連結組立体26及びジブ20の一部分の斜視図である。図7は、ここに説明されている或る実施形態による、ロック解除状態にある格納連結組立体26及びジブ20の一部分の斜視図である。図6及び図7を参照して、一実施形態では、格納連結組立体26は、ボルト、ピン、又は類似物として形成されていてもよいロック部材32を含んでいる。一実施形態では、ロック部材32は形状が実質的に円筒形である。ロック部材32は、図6に示されているロック状態に対応する伸展位置と図7に示されているロック解除状態に対応する引込位置の間で可動である。
【0026】
一実施形態では、格納連結組立体26は、更に、ロック部材32を既定方向に押すようにロック部材32に動作可能に連結されている付勢要素34を含んでいる。例えば、図6及び図7に示されている実施形態では、付勢要素34は、ロック部材32を図7に示されている引込位置に向かって押す。付勢要素34は、例えばコイルばねであってもよい。別の実施形態では、付勢要素34は、例えばねじりばねとすることもできるであろう。
【0027】
格納連結組立体26は、更に、ロック部材32に動作可能に接続されている支持板36を含んでいてもよい。一実施形態では、支持板36は、付勢要素34の一端のための座の役目をしている。また、一実施形態では、支持板36がロック部材32と共に動くように、支持板36はロック部材32へ固定的に取り付けられていてもよい。加えて、1つ又はそれ以上のケーブル30の第1端38が支持板36へ取り付けられていて、ロック部材32及びひいては支持板36の動きが1つ又はそれ以上のケーブル30の動きを引き起こすようになっていてもよい。但し、本開示はこの構成に限定されないものと理解している。例えば、付勢要素34は、ロック部材32に接続されている座にて支持されていてもよく、また1つ又はそれ以上のケーブル30は、ロック部材32、板、又はロック部材32に接続されている座とは別の類似の取り付け構成要素に、直接取り付けられていてもよい。
【0028】
図7に更に明確に示されている様に、一実施形態では、支持板36は、ロック部材32に固定的に取り付けられている第1部分40、及び第1部分40から外方に延びている第2部分42を含んでいてもよい。例えば、図6及び図7に示されている実施形態では、第1部分40はロック部材32が支持板36への取り付けのために通って延びるカラー40として形成され、第2部分42はカラー40から外方に延びる板として形成されている。但し本開示はこの構成に限定されないものと理解している。
【0029】
なおも図6及び図7を参照して、格納連結組立体26は、更に、ロック部材32が取り付けられるブラケット44を含んでいてもよい。一実施形態では、ブラケット44は、伸展位置でロック部材32が通って突き出る開口部を有している上端46を随意的に含んでいる。ブラケット44の上端46は、更に、付勢要素34のもう一方の端のための座として機能する。
【0030】
格納連結組立体26は、更に、ロック部材アクチュエータ48を含んでいる。一実施形態では、ロック部材アクチュエータ48は、例えば、ロック部材32を少なくとも一方の方向に駆動するための、ソレノイド又は空気圧式若しくは油圧式のピストンシリンダーシステムの様な、リニアアクチュエータであってもよい。例えば、ロック部材アクチュエータ48は、ロック部材32を引込位置(図7)から伸展位置(図6)へ駆動するようになっていてもよい。一実施形態では、ロック部材アクチュエータ48はそうして付勢要素24からの付勢力に逆らってロック部材32を伸展位置に保持することができる。例えば、ロック部材アクチュエータ48は、ロック部材32を伸展位置に保持する位置にロックされるか又は係合されるようになっていてもよい。代わりに又は加えて、以下に更に説明されている様に、ロック部材アクチュエータ48への電源が切れると、ロック部材32が、(支持板36を介して)少なくとも1つのケーブル30と張出枢軸連結組立体28の間の実質的に剛性な接続により、付勢力に逆らってその伸展位置に保持されるようになっていてもよい。また、以下に説明されている様に、張出枢軸連結組立体28がそのロック状態へ動かされると、ロック部材32は付勢要素34の付勢力を受けてその引込位置へ動くようになっていてもよい。
【0031】
とはいえ、ロック部材アクチュエータ48は以上に説明されている実施例に限定されず、ロック部材32を少なくとも一方の方向に駆動するのに適した他のアクチュエータも構想される。例えば、ロック部材アクチュエータ48は、パワースクリュー又は類似のねじ部配列によりロック部材32を駆動するように構成されていてもよい。また、図6に示されている様に、一実施形態では、ロック部材アクチュエータ48はロック部材32に係合しロック部材32を駆動するように構成されているアーム49を含んでいる。ロック部材アクチュエータ48は、ブーム14の一部分に、具体的には基部区分16に取り付けられていてもよい。ロック部材アクチュエータ48は、動力供給されて伸展する及び/又は引っ込むようになっていてもよいし、手動で一方向又は両方向に駆動されるようになっていてもよい。一実施形態では、ロック部材アクチュエータ48は付勢要素34の力を受けて引き込まれるようになっていてもよい。
【0032】
格納連結組立体26は、ブラケット44を介し既知の適した締結具を使用してジブ20に接続されていてもよい。従って、一実施形態では、ロック部材32、付勢要素34、及び支持板36が直接又は間接にブラケット44に取り付けられていて、ブラケット44自体がジブ20に接続されていてもよい。加えて、ロック部材アクチュエータ48のアーム49は、格納連結組立体26のロック状態では、ブラケット44の中へ突き出るようになっていてもよい。
【0033】
図8及び図9は、ここに説明されている或る実施形態による、ロック解除状態にある、ジブ20の取り付け端50の張出枢軸連結組立体28を示している。図10は、ここに説明されている或る実施形態による、ロック状態にある張出枢軸連結組立体28を示している。
【0034】
図8図10を参照して、張出枢軸連結組立体28は、概して、連結部材52と、連結部材52を駆動するように構成されている連結アクチュエータ54と、連結部材52に選択的に係合するように構成されている1つ又はそれ以上のケーブル30の第2端58のロックピン56と、を含んでいる。
【0035】
一実施形態では、連結部材52は連結ピン又は連結ボルト60を含んでいる。連結ピン60は互いに対して実質的に反対方向に伸展位置(図10)と引込位置(図8及び図9)の間で動くように連結アクチュエータ54によって作動される。連結ピン60を伸展位置と引込位置の間で駆動するのに如何なる適した単数又は複数のアクチュエータが使用されてもよいものと理解しているが、両方の連結ピン60を同時に駆動することのできるアクチュエータが採用されることが望ましい。例えば、一実施形態では、連結アクチュエータ54は、対向する連結ピン60の各連結ピン60に動作可能に接続されているねじの切られたロッドである。各連結ピン60は、ねじの切られたロッド54にねじ込み可能に係合するように構成されたねじの切られた開口部を有している耳部62を含んでいてもよい。したがって、ねじの切られたロッド54の一方の方向への回転によって耳部62はねじの切られたロッド54に沿って移動し、その結果、連結ピン60が駆動される。一実施形態では、ねじの切られたロッド54は、一方の連結ピン60の耳部62へねじ込み可能に接続されている右ねじ部の区分と他方の連結ピン60の耳部62へねじ込み可能に接続されている左ねじ部の第2区分と、を含んでいて、ねじの切られたロッド54の一方の方向への回転によって連結ピン60が互いに反対の方向に駆動するようになっている。
【0036】
1つ又はそれ以上のケーブル30の第2端58は、それぞれの連結ピン60に選択的に係合するように構成されているロックピン56を含んでいる。例えば、各連結ピン60は、以下に説明されている様に、格納連結組立体26の動きに応じてロックピン56を受け入れるように構成されている位置決め開口部64を含んでいる。位置決め開口部64は、ロックピン56が位置決め開口部64に受け入れられると連結ピン60の動きを制限するように、小さいクリアランスでロックピン56を受け入れるサイズであるのが望ましい。一実施形態では、ジブ連結システム24は2つのケーブル30を含んでいて、各ケーブル30は支持板36に接続された第1端38とロックピン56を有する第2端58を有している。1つのケーブル30のロックピン56は一方の連結ピン60の位置決め開口部64に選択的に係合するように構成されており、また、もう1つのケーブル30のロックピンは他方の連結ピン60の位置決め開口部64に選択的に係合するように構成されている。
【0037】
図8図10を更に参照して、張出枢軸連結組立体28はジブ20の取り付け端50にてジブ20に接続される。一実施形態では、各連結ピン60は、ジブ20のそれぞれの取り付けスリーブ66に滑動可能に配置されていて、以上に詳述されている様に連結アクチュエータ54による作動に応じて伸展位置と引込位置の間を滑動可能であってもよい。ジブ20は、更に、各取り付けスリーブ66と関連付けられている1つ又はそれ以上のラグ68を含んでいて、各ラグ68は、例えば連結ピン60が伸展位置に入ったときに、関連付けられている連結ピン60をその中に選択的に受け入れるように構成されたピン開口部70を有していてもよい。各取り付けスリーブ66は、更に、ケーブル30及び/又はロックピン56の一部分を受け入れる横開口部72(図8)を含んでいてもよい。横開口部72と関連付けられている連結ピン60の位置決め開口部64は、連結ピン60が伸展位置にあるときに整列するように構成されている。横開口部72は、更に、ロックピン56を保持する働きをして横開口部72内でのロックピン56の滑動を可能にさせるようになっていてもよい。
【0038】
一実施形態では、連結ピン60は形状が実質的に円筒形であり、ラグ68の開口部70は対応する形状をしていて、連結ピン60が回転してジブ20をブーム14上の張出位置へ枢動させられるようになっている。一実施形態では、位置決め開口部64は、少なくとも部分的に円筒形の形状をした連結ピン60を貫いて延びているのであってもよい。代わりに又は加えて、連結ピン60は、位置決め開口部64が形成されている延長部と共に形成されていてもよい。
【0039】
図11及び図12は、ここに説明されている或る実施形態による、ブーム14側のブームノーズ22を示している斜視図である。図11及び図12を参照して、ブームノーズ22は、連結ピン60が伸展されたときに連結ピン60を選択的に受け入れるように構成されているブームラグ開口部76を有するブームラグ74を含んでいる。したがって、ジブラグ68とブームラグ74は、各自のラグ開口部70、76と共に、伸展位置にある連結ピン60を受け入れるように実質的に整列させることができる。この方式では、ジブ20を、ジブ20及びブームノーズ22の1つの辺にてブームノーズ22に枢動可能に連結させることができる。この枢動可能な接続を介して、ジブ20を格納状態から張出状態へ又はその逆に動かすことができる。一実施形態では、ブームノーズ22は上側及び下側のジブラグ68と整列するように構成されている上側及び下側のブームラグ74を含んでいる。連結ピン60は、ジブ20及びブームノーズ22の上側及び下側のラグの中へ延びるように構成されている上側及び下側の連結ピン60として形成されていてもよい。
【0040】
図13は、ブーム14の基部区分16側の格納ラグ78を示している斜視図である。格納ラグ78は、ロック部材32が伸展位置へ作動されたときにロック部材32を受け入れるように構成されている開口部を含んでいる。この方式では、ジブ20を格納のためにブーム14の基部区分16に連結又はロックさせることができる。格納ラグ78の開口部は、ロック部材32の形状に対応して実質的に円筒形をしていて、ジブ20がロック部材32周りで、完全格納状態(又は輸送位置)とジブラグ68がブームラグ74との接続のために連結ピン60を介して整列される位置との間で枢動できるようにしていてもよい。
【0041】
「上側」及び「下側」という用語は、例示を目的に使用されており、本開示はその様な構成に限定されないものと理解している。例えば、一実施形態では、ブームラグ74がブームノーズ22の左右の側に見られるということもあり得る。
【0042】
動作において、ジブ20は当初は図3に示されている様にブーム14の基部区分16に平行して又は基部区分16の上に格納状態で保持されているだろう。図4図6、及び図13を参照して、格納状態では、ロック部材32は伸展した状態にあり、よってブーム14の基部区分16側の格納ラグ78の開口部を通って突き出ている。図6に最もよく示されている様に、ロック部材32は、伸展位置では、ロック部材アクチュエータ48によってブラケット44の上端に向かって上昇しており、付勢要素34にはロック部材32を図5に示されている引込位置に向かって押すように荷重が掛かっている。同様に、ロック部材32に接続されている支持板36も上昇位置にあり1つ又はそれ以上のケーブル30を同じく上昇位置に保持している。
【0043】
図4図8、及び図9を参照して、ジブ20が格納状態にある状態で、張出時枢動組立体28の連結ピン60は引込位置にある。加えて、ジブ30の取り付け端50は、ブームノーズ22から離間され及び/又はブームノーズ22に平行して位置決めされているだろう。更に、各ケーブル30の第2端58のロックピン56は連結ピン60の位置決め開口部64の外に位置付けられている。一実施形態では、ロックピン56は、付勢要素34によって支持板36へ加えられる付勢力が次いでケーブルへひいてはロックピン56に押圧力を加えることによって、ロックピン60の外面へ押し付けられる。ロックピン56が連結ピン60の外面に押し付けられて保持されているので、ロック部材32の下方への移動は、ロックピン56、ケーブル30、そして支持板36を介した反力によって阻止される。伸展位置にあるアクチュエータ48の位置もロック部材32の下方への移動を阻止する。
【0044】
ジブ20を張出状態へ動かすには、ジブ20を格納連結組立体26にてロック部材32周りに枢動させてジブ20の取り付け端50をブームノーズ22に向かって動かす。特に図11及び図12を参照して、ジブ20をロック部材32周りで枢動させてジブラグ68とブームラグ74を、各自の開口部70、76共々、互いに整列させるようにする。この位置では、ロック部材の下方への移動即ち引込は、ケーブル30の反力が付勢要素34からの付勢力に逆らって支持板36及びロック部材へ作用しているせいでなおも制止されている。
【0045】
図5及び図8図10を見て、ジブラグ68とブームラグ74が整列した状態で、連結ピン60を作動させて図8及び図9での引込位置から図5及び図10に示されている伸展位置へ動かす。連結ピン60の伸展位置への動きは、位置決め開口部64をロックピン56に対して動かし、やがて位置決め開口部64とロックピン56が実質的に整列する。この時点で、ロック部材アクチュエータ48は引っ込むことができるように係合解除される。整列した後、ロック部材アクチュエータ48及びロック部材32が引込位置へ動かされたら、ロックピン56は、ケーブル30を通しての付勢要素34の力を受けて、図10に示されている様に連結ピン60の位置決め開口部64の中へ押され又は押し進められる。これより図5及び図7を参照して、同時発生的に、上記の様に、付勢要素34からの付勢力を受けてロック部材32と支持板36はロック部材アクチュエータ48と共に引込位置へ動かされる。ロック部材32が引っ込められた状態で格納連結組立体26はロック解除状態にあり、一方、張出枢軸連結組立体28は連結ピン60が伸展した状態でロック状態にある。ロックピン56が位置決め開口部64内にある状態で、連結ピン60の動きは実質的に制止されている。
【0046】
連結ピン60が伸展されジブラグ68及びブームラグ74の開口部に係合されていて、しかも格納連結組立体26のロック部材32が引き込まれ基部区分16の格納ラグ78から係合解除された状態で、ジブ20を連結ピン60周りで枢動させて、ジブ20の取り付け端50をブームノーズ22と実質的に軸方向で整列させれば、ジブ20を動作のためにブームノーズ22に固定させることができる。
【0047】
ジブ20を張出状態から格納状態へ動かすには、ジブ20を連結ピン60周りでブームノーズ22から基部区分16に向けて、ロック部材32が格納ラグ78と実質的に整列するまで枢動させる。ロック部材アクチュエータ48を作動させてロック部材32を付勢要素34からの付勢力に逆らって伸展位置へ駆動させれば、その結果、ロック部材32は格納ラグ78の開口部の中へ伸展し、格納連結組立体26はロック状態に入る。ロック部材32の伸展位置への動きは支持板36及びケーブル30の第1端38の動きを生じさせる。従って、支持板36がケーブル30に引く力を掛け、ケーブル30の第2端58のロックピン56を連結ピン60の位置決め開口部64から引っ込ませ又は係合解除させることになる。
【0048】
ロック部材アクチュエータ48をブーム14上に取り付けることによって、ロック部材32は、ジブ20の枢動に伴ってアクチュエータ48から離れて及びアクチュエータ48に向かって枢動することができる、ということが認識されるだろう。アクチュエータ48がロック部材32を伸展位置へ駆動させるために、ロック部材32はアクチュエータ48及び格納ラグ78と実質的に整列する位置へ枢動される。この方式では、ロック部材32が伸展位置へ作動されたときにロック部材32が格納ラグ78に係合してジブ20を基部区分16に連結しようとすることが確約される。
【0049】
ロックピン56が連結ピン60から外されると、連結アクチュエータ54を動作させて連結ピン60を、連結ピン60がブームラグ開口部76から後退する引込位置へ作動させることができる。その結果、ジブ20をロック要素32を中心に枢動させてジブ20の取り付け端50をブームノーズ22から離れさせることができる。その場合、追加の格納連結装置を動作させてジブ20を格納状態に定着させるようにしてもよい。
【0050】
こうして、以上の実施形態では、ジブを少なくとも1つの連結組立体によって常にブームに連結させたままブーム上で格納状態から張出状態へ又はその逆に動かすことができる。格納連結組立体と1つ又はそれ以上のケーブルと張出枢軸連結組立体の間の相互作用的及び相互接続的な関係により、格納連結組立体と張出枢軸連結組立体の同時連結解除は実質的に制止される。加えて、以上の実施形態では、1つ又はそれ以上のケーブルは格納連結組立体からしか駆動されない。つまりは、1つ又はそれ以上のケーブルは第1端からしか押したり引いたりされないので、その分、ジブ連結システムの部品が減り複雑性が軽減されることになる。
【0051】
以上の実施形態の何れかに関して記載されている特徴は、以上の他の実施形態の何れかに記載されている特徴と共に実施され、又は共に使用され、又は以上の他の実施形態の何れかに記載されている特徴と置き換えられてもよいものと理解している。更に、幾つかの特徴の説明が一部の実施形態では省略されていることもあり、その場合、類似又は同一の特徴が他の実施形態の中で論じられているものと理解している。また、以上に説明されているジブ連結システムは、ケーブルの第2端のロックピンをジブの中間区域のロック部材と相互作用するように構成するといった具合に、実質的に入れ換えることもできるものと理解している。
【0052】
ここに参照されている全ての特許は、本開示の本文内にそういうものとして明確に指示されていようがいまいが、これによりここにその全体を参考文献として援用する。
【0053】
本開示では、原文の冠詞「a」又は「an」の対訳である「一」、「或る」という語は単数形及び複数形のどちらも含むものと捉えられたい。逆に、複数物品への何らかの言及は、該当する場合には、単数形を含むものとする。加えて、限定するわけではないが、「上側の」、「下側の」、「上昇した」、「下降した」、「最上部」、「底部」、「~より上」、「~より下」、「~に平行して」、「左」、及び「右」の様な、方向又は相対的な配置向きを指す用語は、例示を目的に使用されており、ここに記載されている主題の範囲はその様な配置向き又は相対的な位置決めに限定されないものと理解している。
【0054】
上記からは、本開示の新規性のある概念の真髄及び範囲から逸脱することなく数多くの修正型及び変形型が達成され得るということが観取されるであろう。示されている特定の実施形態に関しては何らの限定も意図されず、また推察されてもならない、ということを理解しておきたい。本開示は、付随の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲の範囲内に入る全てのその様な修正型を網羅するものとする。
【符号の説明】
【0055】
10 建設車両
12 ブーム組立体
14 ブーム
16 ブーム基部区分
18 ブーム伸縮区分
20 ジブ
22 ブームノーズ
24 ジブ連結システム
26 格納連結組立体
28 張出枢軸連結組立体
30 ケーブル
32 ロック部材
34 付勢要素
36 支持板
38 ケーブルの第1端
40 支持板の第1部分
42 支持板の第2部分
44 ブラケット
46 ブラケットの上端
48 ロック部材アクチュエータ
49 ロック部材アクチュエータのアーム
50 ジブの取り付け端
52 連結部材
54 連結アクチュエータ
56 ロックピン
58 ケーブルの第2端
60 連結ピン
62 連結ピンの耳部
64 位置決め開口部
66 取り付けスリーブ
68 ジブラグ
70 ジブラグ開口部
72 横開口部
74 ブームラグ
76 ブームラグ開口部
78 格納ラグ
110 ジブ
112 ブーム基部区分
114 ブーム
116 ジブ基底部
118 ブームノーズ
120 ジブ先端部
122 ブーム基部区分の基底部
124 第1格納接続部
126 第2格納接続部
128 枢軸接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13