(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】船荷証券等管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220201BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20220201BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G06Q10/08 302
B41J5/30 Z
H04N1/387 110
(21)【出願番号】P 2018191160
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】515157482
【氏名又は名称】信永海運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】長島 啓浩
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-310037(JP,A)
【文献】特開2004-302723(JP,A)
【文献】特開2003-234889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B41J 5/30
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷の付随情報に係る書類であって、船荷証券等(船荷証券および貨物運送状。以下同じ)の一部を構成する積荷付随書類の電子画像データを取得する電子画像データ取得部と、
積荷付随書類に対応する船荷証券等の識別情報である船荷証券等識別情報の入力を受け付ける第一船荷証券等識別情報受付部と、
第一船荷証券等識別情報受付部で受け付けた船荷証券等識別情報を当該電子画像データの所定の位置に付する船荷証券等識別情報付与部と、
当該船荷証券等識別情報を含むファイル名である船荷証券等識別付ファイル名にて当該電子画像データを保存する船荷証券等識別付ファイル保存部と、
印刷すべき船荷証券等の識別情報の入力を受け付ける第二船荷証券等識別情報入力受付部と、
第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報で識別される船荷証券等の表紙を構成する、船荷証券等表紙情報を取得する船荷証券等表紙情報取得部と、
当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データを生成する船荷証券等表紙印刷出力用データ生成部と、
第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報を含む前記船荷証券等識別付ファイル名にて保存された電子画像データを抽出する電子画像データ抽出部と、
当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データと、当該抽出した電子画像データとを1セットとして印刷することにより、船荷証券等一式を印刷する船荷証券等印刷部とを有する、
船荷証券等管理システム。
【請求項2】
前記第一船荷証券等識別情報受付部は、
前記電子画像データ取得部にて取得した電子画像データを表示する電子画像データ表示手段と、
当該電子画像データの所定の位置にテキスト挿入枠を設定するテキスト挿入枠設定手段と、
当該テキスト挿入枠への船荷証券等識別情報の入力を受けつけるテキスト挿入受付手段と、
を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の船荷証券等管理システム。
【請求項3】
前記船荷証券等識別情報付与部は、
船荷証券等識別情報を所定の位置に付した船荷証券等識別付電子画像データを保存する船荷証券等識別付電子画像データ保存手段
を備え、
前記船荷証券等識別付ファイル保存部は、
前記船荷証券等識別付電子画像データの所定の位置に付された船荷証券等識別情報をOCR等にて読込むOCR読込手段と、
読み込んだ船荷証券等識別情報から、前記船荷証券等識別付ファイル名を生成する船荷証券等識別付ファイル名生成手段と
を備える
ことを特徴とする、請求項2に記載の船荷証券等管理システム。
【請求項4】
積荷の付随情報に係る書類であって、船荷証券等(船荷証券および貨物運送状。以下同じ)の一部を構成する積荷付随書類の電子画像データを取得する電子画像データ取得ステップと、
積荷付随書類に対応する船荷証券等の識別情報である船荷証券等識別情報の入力を受け付ける第一船荷証券等識別情報受付ステップと、
第一船荷証券等識別情報受付部で受け付けた船荷証券等識別情報を当該電子画像データの所定の位置に付する船荷証券等識別情報付与ステップと、
当該船荷証券等識別情報を含むファイル名である船荷証券等識別付ファイル名にて当該電子画像データを保存する船荷証券等識別付ファイル保存ステップと、
印刷すべき船荷証券等の識別情報の入力を受け付ける第二船荷証券等識別情報入力受付ステップと、
第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報で識別される船荷証券等の表紙を構成する、船荷証券等表紙情報を取得する船荷証券等表紙情報取得ステップと、
当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データを生成する船荷証券等表紙印刷出力用データ生成ステップと、
第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報を含む前記船荷証券等識別付ファイル名にて保存された電子画像データを抽出する電子画像データ抽出ステップと、
当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データと、当該抽出した電子画像データとを1セットとして印刷することにより、船荷証券等一式を印刷する船荷証券等印刷ステップとからなる、
船荷証券等管理システムの動作方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海運会社が発行する船荷証券等の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海運業務においては、海運会社は貨物を引き受けた証明として、荷送人に対し船荷証券を発行する。荷送人は当該船荷証券を、直接にまたは銀行などの決済機関を通して間接的に、荷受人に譲渡する。そして、当該船荷証券を受け取った荷受人は、荷揚げ地で、荷物引換証として当該船荷証券を提示することにより、当該貨物の受け取りが可能となる。
【0003】
この船荷証券には、海運会社が作成又は入力する船荷証券に加え、荷送人から送付されてくる(ただし、荷送人に代わりその代行業者などから送付されてくることもある。以下同じ)貨物内容の明細等の付属文書が添付される場合がある。この場合、船荷証券は付属文書を含めた一式で有効となるため、海運会社においては、荷送人から送付されてきた当該付属文書を厳重に管理し、船荷証券を発行する際に一式に組み合わせる必要がある。
【0004】
しかしながら、船荷証券を発行するのは船積みの際であるのに対し、当該付属文書は事前に荷送人から送付されてくる。このため、当該付属文書は受領後、厳重に管理した状態におき、船荷証券発行の際に適切な付属文書を選択し一式として組み合わせる必要がある。この作業はミスが許されないうえ、船積みの確定後は迅速に作業をしなければならばない。さらには、船荷証券が付属文書を含め一式であることを証するため、割印を付すなどの煩雑な作業もあった。
【0005】
従来は、このような船荷証券を付属文書含め一式とする作業を、手作業で行っていたため、現場の大きな負担となるばかりか、一式とすべき付属文書の間違いや漏れなど作業ミスの可能性があることも問題となっていた。
【0006】
なお、船荷証券と同内容であるが有価証券としての性質は持たない文書に、貨物運送状があるが、この貨物運送状についても同様の状況であった。本発明は船荷証券と貨物運送状の両方又はいずれかを取り扱うことができる。以下、船荷証券等とは船荷証券及び貨物運送状のことを指す。また、以下の船荷証券についての説明は、特段の場合を除き貨物運送状についてもあてはまるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-92111公報
【文献】特開平11-238072公報
【0008】
特許文献1においては、船荷証券をインターネット上で印刷することができるシステムについて開示されている。具体的には、荷主がインターネット等のネットワークを介してサーバへアクセスし、Webページにより提供される船荷証券を閲覧し、所望する船荷証券に対して海上貨物運賃を支払った上で、海上貨物運賃支払済みで発行可能となった船荷証券を選択すると、所定フォーマットの印刷データがネットワークを介して送信されてくる発明が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、紙文書から電子文書を生成して保管する作業の利便性の向上を図る発明が開示されている。具体的には、紙文書を光学的に読み取ることによって生成した文書画像を入力して文字認識処理を実行し、電子文書を生成するOCR部と、OCR部で生成した電子文書に基づいて、書誌事項を生成する書誌事項抽出部と、電子文書を分類して保管するための複数の分類条件および書誌事項抽出部で生成した書誌事項に基づいて、複数の保管先候補の中から電子文書の保管先を決定し、決定した保管先に電子文書を保管する保管処理部を備えている発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1には船荷証券をインターネット上で印刷することができるシステムについて開示されているが、船荷証券の一式とすべき付属文書の管理方法については記載がない。ましてや船荷証券等を付属文書含め一式とする作業を効率化するために好適な構成については一切の記載がない。
【0011】
また、特許文献2には文書を電子化し、OCRで文書を分類し、管理する構成は記載されているが、海運業務や船荷証券に関しての記載はない。ましてや船荷証券等を付属文書含め一式とする作業を効率化するために好適な構成については一切の記載がない。
【0012】
このような次第であるから、前述した船荷証券等を付属文書含め一式とする作業を手作業で行うことによる現場の大きな負担や、一式とすべき付属文書の間違いや漏れなど作業ミスの問題については、有効な解決策が示されていない状況と言えた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上のような課題を解決するために、本発明は、積荷の付随情報に係る書類であって、船荷証券等(船荷証券および貨物運送状。以下同じ)の一部を構成する積荷付随書類の電子画像データを取得する電子画像データ取得部と、積荷付随書類に対応する船荷証券等の識別情報である船荷証券等識別情報の入力を受け付ける第一船荷証券等識別情報受付部と、第一船荷証券等識別情報受付部で受け付けた船荷証券等識別情報を当該電子画像データの所定の位置に付する船荷証券等識別情報付与部と、当該船荷証券等識別情報を含むファイル名である船荷証券等識別付ファイル名にて当該電子画像データを保存する船荷証券等識別付ファイル保存部と、印刷すべき船荷証券等の識別情報の入力を受け付ける第二船荷証券等識別情報入力受付部と、第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報で識別される船荷証券等の表紙を構成する、船荷証券等表紙情報を取得する船荷証券等表紙情報取得部と、当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データを生成する船荷証券等表紙印刷出力用データ生成部と、第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報を含む前記船荷証券等識別付ファイル名にて保存された電子画像データを抽出する電子画像データ抽出部と、当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データと、当該抽出した電子画像データとを1セットとして印刷することにより、船荷証券等一式を印刷する船荷証券等印刷部とを有する、船荷証券等管理システムを提案する。
【0014】
さらに、本発明は、前記第一船荷証券等識別情報受付部は、前記電子画像データ取得部にて取得した電子画像データを表示する電子画像データ表示手段と、当該電子画像データの所定の位置にテキスト挿入枠を設定するテキスト挿入枠設定手段と、当該テキスト挿入枠への船荷証券等識別情報の入力を受けつけるテキスト挿入受付手段とを備えることを特徴とする船荷証券等管理システムを提案する。
【0015】
さらに、本発明は、前記船荷証券等識別情報付与部は、船荷証券等識別情報を所定の位置に付した船荷証券等識別付電子画像データを保存する船荷証券等識別付電子画像データ保存手段を備え、前記船荷証券等識別付ファイル保存部は、前記船荷証券等識別付電子画像データの所定の位置に付された船荷証券等識別情報をOCR等にて読込むOCR読込手段と、読み込んだ船荷証券等識別情報から、前記船荷証券等識別付ファイル名を生成する船荷証券等識別付ファイル名生成手段とを備えることを特徴とする船荷証券等管理システムを提案する。
【発明の効果】
【0016】
主に上記のような構成をとる本発明を採用することによって、荷送人から送付されてくる積荷に付随する書類を、船荷証券等に付属文書として含め一式とする作業を手作業で行なう必要がなくなり、現場の大きな負担の解消となる。また、付属文書として一式とすべき積荷付随書類の間違いや漏れなど作業ミスの可能性を根絶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図12】船荷証券等識別付ファイル保存部スクリーンショット
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面と共に説明する。実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は、主に請求項1に対応する。実施形態2は主に請求項2に対応する。実施形態3は主に請求項3に対応する。そのほかの請求項は、請求項1乃至3を異なる観点から保護するものであり、上記実施形態によって同時に説明されている。
【0019】
以下の実施形態はいずれも海運業務における船荷証券等についての実施形態であるが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
<<実施形態1>>
<実施形態1 発明の概要>
【0020】
実施形態1においては、本件発明のもっとも基本的な実施形態について述べる。
図1は本実施形態の概要図である。システム全体を概観すると、本実施形態は、電子画像データ取得部(101)と、第一船荷証券等識別情報受付部(102)と、船荷証券等識別情報付与部(103)と、船荷証券等識別付ファイル保存部(104)と、第二船荷証券等識別情報入力受付部(105)と、船荷証券等表紙情報取得部(106)と、船荷証券等表紙印刷出力用データ生成部(107)と、電子画像データ抽出部(108)と、船荷証券等印刷部(109)とからなる。以下、各構成について述べる。
<実施形態1 発明の構成>
<実施形態1 電子画像データ取得部>
【0021】
電子画像データ取得部は、積荷付随書類の電子画像データを取得する。ここで積荷付随書類とは、
図10に示されるような、積荷の明細書などの付属文書であり、船荷証券等の一部を構成する文書である。この積荷付随書類は、荷送人からFAXなどで送付されてくる。したがって、電子画像データ取得部は、コピー複合機やスキャナ等の読取機器等を用い、FAXなどで送付されてきた紙書類を読み取らせることによって構成できる。また、インターネットFAXの場合は、直接電子データとして受け取る構成としてもよいし、メールやFTPによるアップロードなどで受け取る場合は、指定のフォルダなどから直接電子データとして取得する構成としてもよい。もちろんFAX受信を電子データ化するシステムを利用し、データ化されたPDFファイルなどを直接取得する構成としてもよい。これらは当業者の適宜なしえるところである。なお、取得した電子画像データを保存できるようにしておき、後記の第一船荷証券等識別情報受付部への船荷証券等識別情報の入力を、時間をおいて、まとめて実行するような構成としてもよい。
【0022】
また、電子画像データとは、もとの紙書類のレイアウト等を含む内容を構成するデータを幅広く指す。PDF又はJPEG、ビットマップファイル、TIFFなどが考えられるがこれに限らない。もちろん、コピー複合機やスキャナ等のメーカーのオリジナルファイル形式でも構わない。なお、本実施形態ではメーカーのオリジナルファイル形式である。
<実施形態1 第一船荷証券等識別情報受付部>
【0023】
第一船荷証券等識別情報受付部は、積荷付随書類に対応する船荷証券等の識別情報である船荷証券等識別情報の入力を受け付ける。船荷証券等の識別情報とは、例えば、本実施形態では船荷証券番号である。もちろん、船荷証券番号でなくてもシステム内の管理番号であっても、積荷付随書類と船荷証券等とを紐づけることができる情報であればよい。
【0024】
受け付けの方法は、当業者が適宜決定してよいが、積荷付随書類の画像データを表示したうえで、ユーザ指定の船荷証券番号等の入力または選択を受け付けるのがよいだろう。なお、ここでユーザとは、代表的には海運業者の担当者である。というのも積荷付随書類がいずれの船荷証券等と一式を構成するかは、担当者の責任において識別・判断されるべきだからである。
<実施形態1 船荷証券等識別情報付与部>
【0025】
船荷証券等識別情報付与部は、第一船荷証券等識別情報受付部で受け付けた船荷証券等識別情報を当該電子画像データの所定の位置に付する。所定の位置とは、例えば、画像データの右上部やそのほかのヘッダ部やフッタ部が考えられる。これは、後で画像データを船荷証券等一式として印刷する際に、積荷付随書類に船荷証券等の識別情報が付されるようにするためである。本実施形態では
図11に示される通り、右上に船荷証券番号を付してある(右上の船荷証券番号YOKKHH1808XXX8はサンプル)。
【0026】
識別情報を付する方法については、様々な態様が考えられる。例えば、PDFであればPDF加工ライブラリやPDF加工ソフトの機能を用いて上書き等することが考えられるし、メーカーのオリジナルファイルであればその仕様に従えばよい。JPEGやビットマップ、TIFFファイルなどのデータを直接操作する方法で実装してもよい。これら細部をどのように実装するかは当業者の適宜なしえるところである。例えば、ページごとに別番号を付すことができるような構成としてもよい。ページごとに別番号を付すことができれば、複数の荷送人の積荷付随書類をまとめてスキャン等して電子画像データを取り込んでしまった場合でも、別々の船荷証券番号として処理でき、便利である。
<実施形態1 船荷証券等識別付ファイル保存部>
【0027】
船荷証券等識別付ファイル保存部は、第一船荷証券等識別情報受付部で受けつけた船荷証券等識別情報を含むファイル名である船荷証券等識別付ファイル名にて、当該電子画像データを保存する。例えば、本実施形態では、船荷証券番号を含むファイル名にて所定のフォルダに保存する。なお、船荷証券等識別情報を含むとは、当該船荷証券等を特定できる情報を広く含む。例えば船荷証券番号に紐づいているシステム内の整理番号等であっても、その整理番号は船荷証券番号と紐づいているのだから、それは船荷証券を識別するための情報が含まれているといえる。このように「船荷証券等識別情報を含む」とは、船荷証券番号の文字列をそのまま含むことなどに限定されないことは当然である。なお、本実施形態では船荷証券番号の文字列をそのまま含む構成である。
図12が船荷証券番号の文字列をそのまま含むファイル名のフォルダのスクリーンショットである(船荷証券番号はサンプル)。なお、ここではページごとに別ファイルとしてもよい。
【0028】
船荷証券等識別付ファイルの物理的な保存先は同一の電子機器内のメモリやハードディスクでもよいし、外付けハードディスクやファイルサーバ、クラウド上のサーバの記憶領域等であってもよい。また、この保存の工程で、ファイル形式をPDF等の扱いやすい形式に変換してもよい。
<実施形態1 第二船荷証券等識別情報入力受付部>
【0029】
第二船荷証券等識別情報入力受付部は、印刷すべき船荷証券等の識別情報の入力を受け付ける。この入力受付の方法は、船荷証券の一覧表示画面を構成し当該一覧からユーザに選択をさせる方法が最も好適であろう。本実施形態でも、海運基幹システムのデータベースに接続し、一覧表示画面を実装している。
図13および
図14がその画面キャプチャーである。横に長いため2図面に分けている。本実施形態では、画面上部の検索フォームに船名を入力するなどして船荷証券のレコードを検索することで、同じ船に積まれた船荷証券を一括で印刷でき、とても便利である。もちろん、一覧画面ではなく、印刷対象となる船荷証券番号のテキスト入力方式や、前記船荷証券等識別付ファイルを選択する方式で実装しても構わない。
<実施形態1 船荷証券等表紙情報取得部>
【0030】
船荷証券等表紙情報取得部は、第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報で識別される船荷証券等の表紙を構成する、船荷証券等表紙情報を取得する。船荷証券等表紙とは、船荷に係る基本情報を記載した船荷証券一式の先頭部分の文書である。付属文書がない場合は、船荷証券そのものとなる。
【0031】
この船荷証券等表紙情報は、通常、海運業者の基幹システムにて管理されている。また、多くの場合リレーショナルデータベース等で、船荷証券等識別情報のテキスト情報をキーとして記録されている。本発明では、船荷証券等識別情報をキーとする船荷証券等表紙情報のデータ格納部をその構成に含んでいないが、これは本発明のようなサブシステムが、外部にあるメインシステムである基幹システム等にアクセスしデータを取得してくることが通常であるからである。なお、本実施形態では基幹システムのデータベースからデータを取得してきている。他にもCSVファイルを基幹システムからエクスポートし、本システムにて当該ファイルを読み込む構成なども考えられる。これらの点は設計事項であり、当業者が適宜なしえるところである。
<実施形態1 船荷証券等表紙印刷出力用データ生成部>
【0032】
船荷証券等表紙印刷出力用データ生成部は、当該船荷証券等表紙情報の印刷出力用データを生成する。例えば、帳票印刷を行うためのコンポーネントを使用してレイアウトされた印刷データを生成するように実装する方法が考えられる。
図15が実際の船荷証券の表紙部分である(積荷付随書類がない場合は、この表紙が船荷証券である)。もちろん、エクセルフォーマットやXMLおよびCSS等を用いて実装しても構わない。
<実施形態1 電子画像データ抽出部>
【0033】
電子画像データ抽出部では、第二船荷証券等識別情報入力受付部で受付けた船荷証券等識別情報を含むファイル名(船荷証券等識別付ファイル名)にて保存された電子画像データを抽出する。船荷証券等識別情報から、ファイル名(ファイルパス)が判断できるので、当該ファイルパスの電子画像データを取得すればよい。
<実施形態1 船荷証券等印刷部>
【0034】
船荷証券等印刷部は、船荷証券等表紙情報の印刷出力用データと、抽出した電子画像データ(すなわち、船荷証券を構成する積荷付随書類)とを1セットとして印刷することにより、船荷証券等一式を印刷する。この際、船荷証券等表紙及び船荷証券等を構成する積荷付随書類の各ページに、全ページ数及び現在ページ数を付するように構成すると、より好適である。このように構成すれば、船荷証券等のページ抜けなどが即座に認識できるからである。
【0035】
なお、ここで印刷とは、PDFプリンタなど仮想プリンタを通して、電子ファイルを作成することを含む。例えばPDFファイルを作成して特定のフォルダに置く構成や、電子メールやインターネットFAX等に送信する構成にしてもよい。
【0036】
また、船荷証券等の正本、副本等を同時に複数部印刷できるようにしてもよい。さらに、送り状や請求書を合わせて印刷してもよい。この際、送り状や請求書を船荷証券一式に含める必要があるのであれば、当該送り状や請求書も含めて連続して1セットで印刷できる構成とすればよい。
<実施形態1 ハードウェア構成>
【0037】
図2は、本実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、タッチパネル、プリンタ、スキャナ装置その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。そして、メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。さらにこのプログラムを記録した記憶媒体としてもよい。また、本実施形態は、一または複数の装置との組み合わせによりシステムとして実現可能である。なお、これらの点は本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。なお、
図2では不揮発性メモリに記録された各プログラムおよび各データが、メインメモリに読み込まれて演算処理がなされること、およびメインメモリ上でなされた演算結果が不揮発性メモリに記録され得ることを示している。
<実施形態1 処理の流れ>
【0038】
図3は、本実施形態の最も基本的な構成の処理の流れを示す図である。すなわち、本実施形態は、電子画像データ取得ステップ(301)と、第一船荷証券等識別情報受付ステップ(302)と、船荷証券等識別情報付与ステップ(303)と、船荷証券等識別付ファイル保存ステップ(304)と、第二船荷証券等識別情報入力受付ステップ(305)と、船荷証券等表紙情報取得ステップ(306)と、船荷証券等表紙印刷出力用データ生成ステップ(307)と、電子画像データ抽出ステップ(308)と、船荷証券等印刷ステップ(309)とからなる。
<実施形態1 効果>
【0039】
以上の構成を有する本実施形態によって、船荷証券等を構成する積荷付随文書の整理が容易となり、また、船荷証券等印刷時に船荷証券等の識別情報を指定するだけで、関連する当該積荷付随文書が、もれなく印刷されるため、作業負担の大きな軽減と作業ミス防止になる。また、船荷証券等一式の各ページに、船荷証券番号と全ページ数及び現在ページ数が付されるため、船荷証券等が一式であることを証するための割印を付すなどの煩雑な作業も不要とできる。また、取得した電子画像データを保存しておけるように構成した場合、第一船荷証券等識別情報受付部への船荷証券等識別情報の入力を、時間をおいて後ほどまとめて実行できるほか、電子画像データ取得作業のユーザ(例えば事務担当者)と、船荷証券等識別情報入力のユーザ(例えば顧客ごとの営業担当者)とを別々に配置しつつも、一連の処理をシステムで一元管理でき、便利である。
<<実施形態2>>
<実施形態2 発明の概要>
【0040】
実施形態2においては、本件発明の第2の基本的な実施形態について述べる。
図4は本実施形態の概要図である。システム全体を概観すると、本実施形態は、第一船荷証券等識別情報受付部(402)が、電子画像データ表示手段(403)と、テキスト挿入枠設定手段(404)と、テキスト挿入受付手段(405)とを備えることを特徴とする。
<実施形態2 発明の構成>
<実施形態2 電子画像データ表示手段>
【0041】
電子画像データ表示手段では、前記電子画像データ取得部にて取得した電子画像データをディスプレイ上に表示する。もっとも簡単な実装方法としては、例えばコピー複合機やスキャナ等のメーカーのオリジナルファイル編集ソフトや、PDF加工ソフト、PDFビューワーコンポーネントを用いた画面表示が考えられる。
<実施形態2 テキスト挿入枠設定手段>
【0042】
テキスト挿入枠設定手段は、電子画像データの所定の位置にテキスト挿入枠を設定する。本実施形態では、電子画像データの電子画像右上部に挿入枠を設定している。
図16がその例であり、右上の枠内にテキスト入力する(
図16では入力済み)。なお、枠部分は入力個所をユーザにわからせるために表示されているだけで、画像として保存されることはない。このテキスト挿入枠は、複合機メーカーのスキャン画像編集ソフトや、PDF加工ソフトなどのフォーマット機能を用いて設定するのが簡単でよいが、これに限らない。JPEGやビットマップ、TIFFファイルなどの特定範囲の座標を設定する方法で実装してもよい。
<実施形態2 テキスト挿入受付手段>
【0043】
テキスト挿入受付手段は、テキスト挿入枠への船荷証券等識別情報の入力を受けつける。すなわち、本実施形態では船荷証券番号を、テキスト挿入枠で設定された位置に挿入する。本実施形態では、複合機メーカーのスキャン画像編集ソフトやPDF加工ソフトのフォーマット機能で設定された入力個所にユーザがテキストを入力するようになっているが、船荷証券番号を一覧から選択して入力できるようなサブシステムを構築しても良い。
<実施形態2 ハードウェア構成>
【0044】
図5は、実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。また、本実施形態のプログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。また、本実施形態は、一または複数の装置との組み合わせによりシステムとして実現可能である。これらの点は本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。なお、
図5では不揮発性メモリに記録された各プログラムおよび各データが、メインメモリに読み込まれて演算処理がなされること、およびメインメモリ上でなされた演算結果が不揮発性メモリに記録され得ることを示している。
<実施形態2 処理の流れ>
【0045】
図6は、本実施形態の最も基本的な構成の処理の流れを示す図である。すなわち、本実施形態は、第一船荷証券等識別情報受付ステップ(602)が、電子画像データ表示サブステップ(603)と、テキスト挿入枠設定サブステップ(604)と、テキスト挿入受付サブステップ(605)とを備えることを特徴とする。
<実施形態2 効果>
【0046】
以上の構成を有する本実施形態によって、船荷証券等を構成する積荷付随文書の整理が容易となり、また、船荷証券等印刷時に証券の識別情報を指定するだけで、関連する当該積荷付随文書が、もれなく印刷されるため、作業負担の大きな軽減と作業ミス防止になる。特に、電子画像データ表示をしながら、船荷証券等識別情報を入力する構成とすることにより、積荷付随文書と船荷証券等の対応付けが、より誤りなく行えるようになる。
<<実施形態3>>
<実施形態3 発明の概要>
【0047】
実施形態3においては、本件発明の第3の基本的な実施形態について述べる。
図7は本実施形態の概要図である。システム全体を概観すると、本実施形態は、船荷証券等識別情報付与部(706)が船荷証券等識別付電子画像データ保存手段(707)を備え、船荷証券等識別付ファイル保存部(708)が、OCR読込手段(709)と、船荷証券等識別付ファイル名生成手段(710)とを有することを特徴とする。
<実施形態3 発明の構成>
<実施形態3 電子画像データ保存手段>
【0048】
電子画像データ保存手段は、船荷証券等識別情報を所定の位置に付した船荷証券等識別付電子画像データを保存する。ここではファイル名は複合機メーカーのスキャン画像編集ソフトや、PDF加工ソフトのデフォルトのファイル名称などで保存される。このファイル名称は後述のOCR読込手段にて、画像データ中の船荷証券等識別情報を読み取ることによって、船荷証券等識別情報付きのファイル名に変換される。なお、物理的な保存先は同一の電子機器内のメモリやハードディスクでもよいし、外付けハードディスクやファイルサーバ、クラウド上のサーバの記録領域であってもかまわない。
<実施形態3 OCR読込手段>
【0049】
OCR読込手段は、前記電子画像データ保存手段によって保存されたファイルの船荷証券等識別付電子画像データの所定の位置に付された船荷証券等識別情報をOCRにて読込む。ここでOCRとは、電子画像ファイルの内容から文字認識を行い、テキスト情報を抽出することである。すなわち本実施形態では、画像データの右上部に付された船荷証券番号を読み取る。なお、PDFなどでは、文字を画像としてデータ保存する場合と、レイアウトを含むテキスト情報でデータ保存する場合がある。OCRは前者のデータから文字列を読み取るものが一般的だと考えられるが、後者のデータを読み取る方式でも構成が可能であるところ、本発明ではいずれの場合もOCR等として同様に扱うものとする。
【0050】
本実施形態では、OCR読込部は、実施形態2の電子画像データ保存手段の保存先となる所定のフォルダを監視し、フォルダ以下のすべてのファイルについて、自動でOCRを実行している。なお、電子画像データ保存手段の保存先は複数のフォルダにわたっていてもよい。例えば営業拠点ごとに異なるファイルサーバ上のフォルダを作ってもよいし、担当者ごとにフォルダを作ってもよい。これらの構成はOCRのフォルダの監視先を複数指定することによって実現できる。
<実施形態3 船荷証券等識別付ファイル名生成手段>
【0051】
船荷証券等識別付ファイル名生成手段は、OCR読込手段にて、読み込んだ船荷証券等識別情報から、前記船荷証券等識別付ファイル名を生成する。本実施形態では、船荷証券番号を含むファイル名を生成する。ただし、船荷証券等識別情報を含むとは、当該船荷証券等識別情報を特定できる情報を広く含む。例えば船荷証券番号に紐づいている社内の整理番号等であっても、その整理番号は船荷証券番号と紐づいているのだから、そこには船荷証券等識別情報が含まれているといえる。このように「船荷証券等識別情報を含む」とは、証券識別の番号文字列をそのまま含むことのみに限定されないことは前述の通りである。
<実施形態3 ハードウェア構成>
【0052】
図8は、実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。また、本実施形態のプログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。また、本実施形態は、一または複数の装置との組み合わせによりシステムとして実現可能である。これらの点は本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。なお、
図8では不揮発性メモリに記録された各プログラムおよび各データが、メインメモリに読み込まれて演算処理がなされること、およびメインメモリ上でなされた演算結果が不揮発性メモリに記録され得ることを示している。
<実施形態3 処理の流れ>
【0053】
図9は、本実施形態の最も基本的な構成の処理の流れを示す図である。すなわち、本実施形態は、船荷証券等識別情報付与ステップ(906)が船荷証券等識別付電子画像データ保存サブステップ(907)を備え、船荷証券等識別付ファイル保存ステップ(908)が、OCR読込サブステップ(909)と、船荷証券等識別付ファイル名生成サブステップ(910)とを有することを特徴とする。
<実施形態3 効果>
【0054】
以上の構成を有する本実施形態によって、船荷証券等を構成する積荷付随文書の整理が容易となり、また、船荷証券等印刷時に船荷証券の識別情報を指定するだけで、関連する当該積荷付随文書が、もれなく印刷されるため、作業負担の大きな軽減と作業ミス防止になる。特に、第一船荷証券等識別情報受付部と船荷証券等識別情報付与部を、複合機メーカーのスキャン画像編集ソフトやPDF加工ソフト等を活用して構成し、船荷証券等識別付ファイル保存部をOCR読み取りソフト・コンポーネント等を活用して構成することにより、市販のフリーソフト等を組み合わせて活用することでシステムが構築でき、コストパフォーマンスに優れる。
【0055】
さらに重要な点は、本実施形態では、積荷付随文書の電子画像データに船荷証券等識別情報を付与する構成(第一船荷証券等識別情報受付部及び船荷証券等識別情報付与部)と、船荷証券等識別情報を付与した電子画像データをOCRで読み込み、船荷証券等識別付ファイル名を生成し、当該ファイル名で再保存する構成(船荷証券等識別付ファイル保存部)とが分離されている点である。これにより、双方のシステム構成を、依存関係を気にせず構築することができる。
【0056】
例えば、海運会社の営業拠点が全国各地に点在している(本社および営業拠点はインターネット上でつながっている)として、ある拠点では、積荷付随文書の電子画像データ化と当該電子画像データへの船荷証券等識別情報の付与をPDF加工ソフトで実施しているとする。他の拠点では、積荷付随文書の電子画像データ化と当該電子画像データへの船荷証券等識別情報の付与を複合機メーカーの画像読み取り・加工ソフトで実施していたとする。このような場合でも、船荷証券等識別情報を所定の位置に付与した画像ファイルを所定のフォルダ、例えば各営業拠点のファイルサーバや本社のファイルサーバ等に置き、これをOCRで読み取るようにすれば一元的に管理することができる。すなわち、積荷付随書類の電子画像データ化と当該電子画像データへの船荷証券等識別情報の付与については各営業拠点がすでに有しているシステムやソフトウェアを活用できるのであって、システムの導入が低コストかつ迅速であり、柔軟性も高いという非常に大きなメリットがあるのである。