(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】マルチパネルアンテナアレイからの送信のプリコーディング
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0456 20170101AFI20220201BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20220201BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20220201BHJP
【FI】
H04B7/0456 300
H04B7/0413 300
H04W16/28
(21)【出願番号】P 2019537150
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2017083992
(87)【国際公開番号】W WO2018127426
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2019-10-02
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ファクサー, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フレンヌ, マティアス
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/155297(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/031807(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/059567(WO,A1)
【文献】特表2015-513280(JP,A)
【文献】国際公開第2016/061382(WO,A1)
【文献】Intel Corporation,Discussion on NR codebook design[online],3GPP TSG RAN WG1 #87 R1-1611983,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_87/Docs/R1-1611983.zip>,2016年11月06日,pp. 1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0456
H04B 7/0413
H04W 16/28
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
IEEE 802.11
15
16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システムにおける使用のために設定されているワイヤレス通信デバイスによって実施される方法であって、
前記ワイヤレス通信デバイスにおいて、
マルチパネルアンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述する、前記マルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性に基づいて、前記マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するための、送信無線ノードに推奨されるべきプリコーダを決定することと、
前記決定されたプリコーダを前記送信無線ノードにシグナリングすることと
を含み
、
前記決定されたプリコーダは、前記複数のパネルの各々について、該アンテナパネルに対応するすべてのアンテナポートに、パネル特有の複素重みを適用するように設定されてい
て、
前記パネル特有の複素重みは単位振幅を有する位相シフトである、
方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の構造特性は、前記複数のパネルが配置される1つまたは複数の空間次元の各々について、前記アンテナアレイが該空間次元内で構造化されるパネルの数を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の構造特性は、前記アンテナアレイが構造化される前記複数のパネルの空間的配置を含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の構造特性を示すシグナリングを受信することをさらに含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シグナリングは無線リソース制御シグナリングである、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記シグナリングは、チャネル状態情報プロセスまたはチャネル状態情報基準信号リソースを設定する手順の間に受信される、請求項
4または
5に記載の方法。
【請求項7】
前記シグナリングは物理層シグナリングであり、
前記シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル上のダウンリンク制御情報メッセージ内に含まれる、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
前記シグナリングは、前記ワイヤレス通信デバイスがチャネル状態情報フィードバックレポートを前記送信無線ノードに送信するためのアップリンク許可を搬送するメッセージ内に含まれる、請求項
4または
7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定することは、前記1つまたは複数の構造特性に基づいてマルチパネルプリコーディングコードブックを決定することを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マルチパネルプリコーディングコードブックを決定することは、前記アンテナアレイが複数のパネルへと構造化可能である異なる可能な様式にそれぞれ対応する複数の異なる可能なプリコーディングコードブックのうちの1つとして、前記マルチパネルプリコーディングコードブックを決定することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチパネルプリコーディングコードブックを決定することは、前記1つまたは複数の構造特性に基づいて所定のプリコーディングコードブックを修正することを含む、請求項
9または
10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定することは、前記マルチパネルアンテナアレイから送信される1つまたは複数の基準信号の測定に基づいて、前記決定されたマルチパネルプリコーディングコードブックから前記プリコーダを選択することをさらに含む、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プリコーダは、パネル間プリコーディングコードブックから決定され、前記パネル間プリコーディングコードブックは、離散フーリエ変換(DFT)コードブックであり、前記方法は、
パネル内プリコーディングコードブックから選択される、推奨パネル内プリコーダを表示するインデックス、および
偏波共位相調整プリコーディングコードブックから選択される、推奨偏波共位相調整プリコーダを表示するインデックス
のうちの1つまたは複数をシグナリングすることをさらに含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記決定されたプリコーダは、例えば、前記送信の各送信層の別個のパネル間共位相調整係数を含むことによって、前記マルチパネルアンテナアレイのパネルを共位相調整する、請求項1から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のパネルは、同一のアンテナポートレイアウトおよびパネル内アンテナポートインデックスを含む少なくともいくつかのパネルを含み、前記決定されたプリコーダは、空間的に隣接するパネルに対応し、同じ前記パネル内アンテナポートインデックスを有するアンテナポートの間に同じ位相オフセットを適用する、請求項1から
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記決定されたプリコーダは、異なるパネルに対応するアンテナポートの間に、同じパネルに対応するアンテナポートに適用される位相オフセットとは異なる位相オフセットを適用する、請求項1から
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記決定されたプリコーダは、異なるアンテナパネルに対応するアンテナポートを同じ送信層に組み合わせるように設定されている、請求項1から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プリコーダを決定することは、前記複数のパネルの各々について独立して、該パネルに対応するすべてのアンテナポートに適用されるべきである、前記パネル特有の複素重みを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プリコーダは、1つまたは複数のチャネル状態情報基準信号リソースのセット上で前記マルチパネルアンテナアレイから送信される1つまたは複数のチャネル状態情報基準信号の測定に基づいて決定される、請求項1から
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ワイヤレス通信システムにおいてマルチパネルアンテナアレイを介して送信するように設定されている送信無線ノードによって実施される方法であって、
前記送信無線ノードにおいて、
前記アンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性を示すシグナリングを、ワイヤレス通信デバイスに送信すること
と、
前記シグナリングの送信に応答して、前記ワイヤレス通信デバイスが、前記マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するように前記送信無線ノードに推奨するプリコーダを示すシグナリングを、前記ワイヤレス通信デバイスから受信することと
を含み、
前記
プリコーダは、前記複数のパネルの各々について、該アンテナパネルに対応するすべてのアンテナポートに、パネル特有の複素重みを適用するように設定されてい
て、
前記パネル特有の複素重みは単位振幅を有する位相シフトである、
方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の構造特性は、前記複数のパネルが配置される1つまたは複数の空間次元の各々について、前記アンテナアレイが該空間次元内で構造化されるパネルの数を含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の構造特性は、前記アンテナアレイが構造化される前記複数のパネルの空間的配置を含む、請求項
20または
21に記載の方法。
【請求項23】
前記送信無線ノードに推奨される前記プリコーダに基づいてプリコーダを決定することと、
前記決定されたプリコーダを使用して前記マルチパネルアンテナアレイからの送信をプリコーディングすることと
をさらに含む、請求項
20から
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記プリコーダは、パネル間プリコーディングコードブックから決定され、前記方法は、前記ワイヤレス通信デバイスから、
パネル内プリコーディングコードブックから選択される、推奨パネル内プリコーダを表示するインデックス、および
偏波共位相調整プリコーディングコードブックから選択される、推奨偏波共位相調整プリコーダを表示するインデックス
のうちの1つまたは複数を示すシグナリングを受信することをさらに含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記決定されたプリコーダは、前記マルチパネルアンテナアレイのパネルを共位相調整する、請求項
23または
24に記載の方法。
【請求項26】
前記決定されたプリコーダは、異なるパネルに対応するアンテナポートの間に、同じパネルに対応するアンテナポートに適用される位相オフセットとは異なる位相オフセットを適用する、請求項
23または
24に記載の方法。
【請求項27】
ワイヤレス通信システムにおける使用のために設定されているワイヤレス通信デバイスであって、
処理回路構成およびメモリを備え、前記メモリは、前記処理回路構成によって実行可能な命令を包含し、結果、前記ワイヤレス通信デバイスは、
マルチパネルアンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述する、前記マルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性に基づいて、前記マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するための、送信無線ノードに推奨されるべきプリコーダを決定することと、
前記決定されたプリコーダを前記送信無線ノードにシグナリングすることと
を行うように設定され、
前記決定されたプリコーダは、前記複数のパネルの各々について、該アンテナパネルに対応するすべてのアンテナポートに、パネル特有の複素重みを適用するように設定されてい
て、
前記パネル特有の複素重みは単位振幅を有する位相シフトである、
ワイヤレス通信デバイス。
【請求項28】
請求項2から
19のいずれか一項に記載の方法を実施するようにさらに設定されている、請求項
27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項29】
ワイヤレス通信システム内でのマルチパネルアンテナアレイを介した送信における使用のために設定されている送信無線ノードであって、
処理回路構成およびメモリを備え、前記メモリは、前記処理回路構成によって実行可能な命令を包含し、結果、前記送信無線ノードは、
アンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性を示すシグナリングを、ワイヤレス通信デバイスに送信すること
と、
前記シグナリングの送信に応答して、前記ワイヤレス通信デバイスが、前記マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するように前記送信無線ノードに推奨するプリコーダを示すシグナリングを、前記ワイヤレス通信デバイスから受信することと
を行うように設定されており、
前記決定されたプリコーダは、前記複数のパネルの各々について、該アンテナパネルに対応するすべてのアンテナポートに、パネル特有の複素重みを適用するように設定されてい
て、
前記パネル特有の複素重みは単位振幅を有する位相シフトである、
送信無線ノード。
【請求項30】
請求項
21から
26のいずれか一項に記載の方法を実施するようにさらに設定されている、請求項
29に記載の送信無線ノード。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
送信アンテナアレイからの送信のプリコーディングは、信号の位相および/または振幅を独立して制御するように、アレイのアンテナ素子から送信されることになる信号に複素重みのセットを適用することを包含する。この複素重みのセットは「プリコーダ」または「プリコーディング行列」と呼称される。送信側無線ノードは、従来、リンク容量または品質を最大限に引き出すことを目的として、受信側無線ノードへのリンクの現在のチャネル条件に一致するようにプリコーダを選定している。空間多重化を使用してアレイのアンテナ素子から複数のデータストリームが同時に送信される場合、送信側無線ノードはまた、典型的には、チャネルを直交させ、受信側無線ノードにおけるストリーム間干渉を低減することをも目的として、プリコーダを選定する。
【0002】
閉ループ動作において、送信側無線ノードは、現在のチャネル条件を特徴付ける、受信側無線ノードからフィードバックされるチャネル状態情報(CSI)に基づいてプリコーダを選択する。これに関連して、送信側無線ノードは、各アンテナ素子から受信側無線ノードへ基準信号を送信し、受信側無線ノードは、それらの基準信号の測定に基づいてCSIを返信する。
【0003】
CSIフィードバックの送信は、プリコーディング方式に対する重大なオーバヘッドに寄与するおそれがある。知られている手法は、使用可能なプリコーダをプリコーダの固定セット、すなわち、コードブックに限定することによって、CSIフィードバックに起因するオーバヘッドに対処する。コードブック内の各プリコーダは、送信側ノードと受信側ノードの両方に既知の固有のインデックスを割り当てられる。受信側ノードは、コードブックから「最良の」プリコーダを決定し、その最良のプリコーダのインデックス(「プリコーディング行列インジケータ」(PMI)と呼称されることが多い)を推奨(送信側ノードはこれに従ってもよく、または従わなくてもよい)として送信側ノードにフィードバックする。空間多重化に推奨されるデータストリームの数(すなわち、送信ランク)のような他のCSIフィードバックとともに、インデックスのみをフィードバックすることによって、そのCSIを輸送するのに必要とされる送信リソースの数が低減する。それゆえ、この手法は、CSIフィードバックオーバヘッドを相当に低減する。
【0004】
知られている手法は、アレイのすべてのハードウェア構成要素が単一のパネルに収められる単一パネルアンテナアレイを念頭に置いてCSIフィードバックのためのプリコーダコードブックを設計する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書における1つまたは複数の実施形態は、マルチパネルアンテナアレイ向けに調整されているプリコーディングを提供する。プリコーディングは、例として、アンテナパネルが複数のパネルへと(例えば、パネルの数および/または空間的配置に関して)どのように構造化されるかに関して、種々のタイプのマルチパネルアンテナアレイが有し得る種々の構造特性を計上することができる。それゆえ、ワイヤレス通信デバイスからのプリコーディング推奨は同様に、少なくとも黙示的に、デバイスがプリコーディングされた送信を受信することになるマルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性に基づくことができる。いくつかの実施形態において、例として、計上されるプリコーダ推奨(または実際のプリコーダ)が選定されるコードブックは、マルチパネルアンテナアレイの構造特性に向けて調整されるか、または、他の様態で、当該特性に基づいて選定される。実際に、1つのそのような実施形態において、デバイスは、これらの構造特性のうちの1つまたは複数を表示する、送信無線ノードからのシグナリングを受信し、それらの構造特性に向けて調整されているプリコーディングコードブックを決定(例えば、計算または選択)し、そのコードブックから推奨するためのプリコーダを選定する。プリコーダコードブックがマルチパネルアンテナアレイに向けて調整されることによって、たとえ不均一なおよび/または未較正のパネルに直面しても、マルチパネルアンテナアレイからのコヒーレントな送信を実現することができる。
【0006】
いくつかの実施形態において、マルチパネルアンテナアレイのマルチパネル性に向けてプリコーディングを(例えば、コードブック設計に関して)調整することは、例えば、黙示的に単一パネルアレイを仮定して設計されているプリコーディング方式と比較したときに、プリコーディングの品質およびプリコーダ推奨(および全般的なCSIレポート)が改善されるという点において有利であることを証明している。特に、アンテナパネルが互いに対して較正されておらず、かつ/または、アンテナパネルのアンテナ素子の間隔に関して不一致がある場合に、離散フーリエ変換(DFT)プリコーダを複数のアンテナパネルにわたってプリコーダ適用することによって、プリコーディング性能が不満足なものになる場合があるため、これは、DFTプリコーディングに特に当てはまる。
【0007】
より詳細には、本明細書における実施形態は、ワイヤレス通信システムにおいて使用するように設定されているワイヤレス通信デバイスによって実施される方法を含む。方法は、アンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性に基づいて、マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するための、送信無線ノードに推奨されるべきプリコーダを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はまた、1つまたは複数の構造特性を示すシグナリングを受信することをも含む。いずれにせよ、方法はまた、決定されたプリコーダを送信無線ノードにシグナリングすることをも含んでもよい。
【0008】
本明細書における実施形態はまた、ワイヤレス通信システムにおいてマルチパネルアンテナアレイを介して送信するように設定されている送信無線ノードによって実施される方法をも含む。方法は、アンテナアレイが複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイの1つまたは複数の構造特性を表示するシグナリングを、ワイヤレス通信デバイスに送信することを含む。いくつかの実施形態において、方法はまた、当該シグナリングの送信に応答して、ワイヤレス通信デバイスが、マルチパネルアンテナアレイからの送信に適用するように送信無線ノードに推奨するプリコーダを示すシグナリングを、ワイヤレス通信デバイスから受信することをも含む。
【0009】
さらに、実施形態は、対応する装置、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つまたは複数の実施形態によるワイヤレス通信システムを示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態によるワイヤレス通信システムのデバイスによって実施される処理を示す図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるワイヤレス通信システムの送信無線ノードによって実施される処理を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態によるワイヤレス通信デバイスの例示的な構造ブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態によるワイヤレス通信デバイスの例示的な機能ブロック図である。
【
図6】いくつかの実施形態による送信無線ノードの例示的な構造ブロック図である。
【
図7】いくつかの実施形態による送信無線ノードの例示的な機能ブロック図である。
【
図9】4×4個の交差偏波アンテナ素子を有するアンテナアレイの一例を示す図である。
【
図10】4つの交差偏波パネルを有する2×2マルチパネルアンテナアレイの一例を示す図である。
【
図11】DFTビームの格子を形成する例示的なプリコーダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、1つまたは複数の実施形態によるワイヤレス通信システム10を示す。システム10は、マルチパネルアンテナアレイ14を介して送信を実施する、基地局の形態で示されている送信無線ノード12を含む。アレイ14は、複数のパネル14-1、14-2、...14-Nへと構造化されている。パネルは、単一の空間次元(例えば、垂直に積み重ねられるかまたは水平に整列される)または複数の空間次元において空間的に配置することができる。各パネル14-nは、このとき、1つまたは複数の空間次元に配置された1つまたは複数のアンテナ素子を有する。
【0012】
送信無線ノード12は、それぞれアレイ14の1つまたは複数のアンテナ素子に送信18の1つまたは複数の信号を供給することによって、アレイ14を介して送信18を実施することができる。無線ノード12は、いくつかの実施形態において、アレイ14からの送信18のプリコーディングの一部として、アレイのアンテナ素子に供給される信号の振幅および/または位相を独立して制御する。これに関連して、無線ノード12は、送信18にプリコーダ(例えば、プリコーディング行列)を適用する。無線ノード12は、ワイヤレスデバイス16がシグナリング20を介して無線ノード12にフィードバックする推奨に基づいて、送信18に適用すべきプリコーダを選択することができる。とりわけ、本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、アレイ14が複数のパネルへとどのように構造化されるかに関して、プリコーディングされた送信の送信を媒介する特定のマルチパネルアンテナアレイ14の構造特性に合わせて、無線ノードのプリコーディングおよび/またはデバイスのプリコーダ推奨を調整する。
図2は、これに関連していくつかの実施形態に従ってデバイス16によって実施される処理を示す。
【0013】
図2に示すように、デバイス16における処理は、アンテナアレイ14が複数のパネル14-1、14-2、...14-Nへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイ14の1つまたは複数の構造特性に基づいて、マルチパネルアンテナアレイ14からの送信18に適用するための、送信無線ノード12に推奨されるべきプリコーダを決定すること(ブロック100)を含む。1つまたは複数の構造特性は、例えば、アレイのパネルの層数、パネルが配置される1つまたは複数の空間次元の各々の中のパネルの数、および/または、パネルの空間的配置を含んでもよい。いずれにせよ、方法はまた、決定されたプリコーダを送信無線ノード12にシグナリングすること(ブロック110)をも含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、デバイス16は、それらの1つまたは複数の構造特性を表示するシグナリング22を(例えば、送信無線ノード12または何らかの他のノードから)受信するため、デバイス16は、推奨プリコーダを、これらの1つまたは複数の構造特性に基づかせることが可能である。事実、少なくともいくつかの実施形態において、デバイス16の移動性は、デバイス16が異なる様式で(例えば、異なる数のパネルおよび/またはパネルの空間的配置を用いて)複数のパネルへと構造化され得る複数の異なるタイプのマルチパネルアンテナアレイさえも含む、複数の異なるタイプのアンテナアレイから送信を(同時にまたは異なる時点において)受信することができることを意味する。それゆえ、このシグナリング22は、デバイスに、デバイス16が送信18を受信する受信元である特定のマルチパネルアンテナアレイの構造特性に関して通知することができる。
図3は、これに関連して送信無線ノード12によって実施される処理を示す。
【0015】
図3に示すように、送信無線ノード12による処理は、アンテナアレイ14が複数のパネルへとどのように構造化されるかを記述するマルチパネルアンテナアレイ14の1つまたは複数の構造特性を示すシグナリング22を、ワイヤレス通信デバイス16に送信すること(ブロック200)を含む。ここでも、1つまたは複数の構造特性は、例えば、アレイのパネルの層数、パネルが配置される1つまたは複数の空間次元の各々の中のパネルの数、および/または、パネルの空間的配置を含んでもよい。
【0016】
このシグナリング22は、無線リソース制御(RRC)シグナリング、媒体アクセス制御(MAC)シグナリング、または物理層シグナリングであってもよい。1つの実施形態において、例として、シグナリング22は、チャネル状態情報(CSI)プロセスまたはCSI基準信号(CSI-RS)リソースを設定するための手順の間の送信または受信される。ただし、他の実施形態において、シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル上のダウンリンク制御情報(DCI)内に含まれてもよい。例として、DCIメッセージは、例えば、デバイス16がCSIフィードバックレポートを送信無線ノード12に送信するためのアップリンク許可の形態で、スケジューリング情報を搬送することができる。
【0017】
いずれにしても、いくつかの実施形態における送信無線ノード12における処理は、シグナリング22の送信に応答して、ワイヤレス通信デバイス16が、マルチパネルアンテナアレイ14からの送信18に適用するように送信無線ノード12に推奨するプリコーダを示すシグナリング20を、ワイヤレス通信デバイスから受信すること(ブロック210)をさらに含むことができる。上述したように、デバイス16は、推奨されるプリコーダの当該デバイス16の決定を、アレイ14の構造特性に基づかせるため、推奨プリコーダは、無線ノード12がシグナリング22を介してデバイス16に示した1つまたは複数の構造特性を反映する。
【0018】
このとき、処理は、デバイス16によって推奨されるプリコーダに基づいて、送信18に適用すべき実際のプリコーダを決定することを伴い得る(例えば、推奨プリコーダは、送信無線ノードの裁量において、実際に使用されてもよく、または、使用されなくてもよい)。処理は、次に、決定されたプリコーダを使用してアレイ14からの送信18をプリコーディングすることと、送信18を送信することとを伴い得る。
【0019】
コードブックプリコーディングが使用される場合、アレイのパネル関連構造特性に関する調整プリコーディングは、マルチパネルアンテナアレイの構造特性を計上する、当該構造特性に会わせて調整するように設計されている、または、他の様態で当該構造特性に基づいて選定されるコードブックを使用することを包含し得る。
図2のステップ110における決定は、例として、1つまたは複数の構造特性に基づいてマルチパネルプリコーディングコードブックを決定することを包含し得る。事実、アンテナアレイが複数のパネルへと構造化可能である異なる可能な様式にそれぞれ対応する複数の異なる可能なプリコーディングコードブックが存在し得る。デバイス16は、それらの可能なコードブックのうち、特定のアレイの構造特性に対して使用すべきものを決定する必要があり得る。いずれにせよ、このとき、決定は、マルチパネルアンテナアレイ14から送信される1つまたは複数の基準信号の測定に基づいて、決定されたマルチパネルプリコーディングコードブックからプリコーダを選択することを包含し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、マルチパネルプリコーディングコードブックは、パネル間プリコーディングコードブック(例えば、パネル間共位相調整プリコーディングコードブック)であってもよい。このコードブックは、各個々のアレイ内でのプリコーディングとは対照的に、(例えば、下記により十分に記述するようなスカラーまたはベクトル量子化を介した)アレイ14の複数のパネルにわたるプリコーディングに専用のものとすることができる。パネル間プリコーディングコードブック内のプリコーダは、例として、(例えば、異なるパネルに対応するアンテナポートが同じ送信層に組み合わされるように、コヒーレントなマルチパネル送信を実施するために)アレイのパネルを共位相調整するように、プリコーディングを実施することができる。これは、アレイのパネルの不均一なおよび/または未較正の性質に起因する位相オフセットを補償することを目標とし得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、例として、複数のパネルは、同一のアンテナポートレイアウトおよびパネル内アンテナポートインデックスを有する少なくともいくつかのパネルを含む。この事例において、実際のまたは推奨されるプリコーダ(パネルを共位相調整する)は、空間的に隣接するパネルに対応するアンテナポートの間に、および、同じパネル内アンテナポートインデックスを有するアンテナポートの間に、同じ位相オフセットを適用することができる。すなわち、2つの同一のパネルを考慮し、パネルに対応するアンテナポートが、(i,0)が第1のパネルに対応するアンテナポート番号Iを意味し、(i,1)が第2のパネルに対応するアンテナポート番号Iを意味するように、iによってインデックス付けされる場合、(i,0)から(i,1)への間の位相シフトは、すべてのアンテナポートiについて同じである。
【0022】
代替的にまたは付加的に、実際のまたは推奨されるプリコーダ(パネルを共位相調整する)は、複数のパネルの各々について、そのアンテナパネルに対応するすべてのアンテナポートに、パネル特有の複素重みを適用するように設定されてもよい。このパネル特有の複素重みは、例として、単位振幅を有する位相シフトであってもよい。
【0023】
いずれにせよ、デバイス16は、推奨プリコーダを、パネル間プリコーディングコードブックへのインデックスとして、送信無線ノード12にシグナリングすることができる。デバイス16は、いくつかの実施形態において、パネル内プリコーディングコードブックから選択される推奨パネル内プリコーダを表示するインデックス、および/または、偏波共位相調整プリコーディングコードブックから選択される推奨偏波共位相調整プリコーダを表示するインデックスをさらにシグナリングすることができる。
【0024】
下記により十分に説明するように、例として、送信18に適用される全体的なプリコーディングWMPは、W1プリコーダ、W2プリコーダ、および/または、W3プリコーダに因数分解することができる。いくつかの実施形態において、推奨プリコーダは、複数の異なる可能なW3プリコーダを含むパネル間プリコーディングコードブックからの特定のW3プリコーダである。デバイス16は、W3プリコーダコードブックへのインデックス(例えば、プリコーディング行列インジケータ(PMI))をシグナリングすることによって、そのようなプリコーダを推奨することができる。コードブックは、例として、下記により十分に記述するように、LTE 4TXランク1ハウスホルダコードブック、LTE 4TXランク1ハウスホルダコードブックのサブサンプリングおよび/もしくはパンクチャされたバージョン、またはDFTコードブックであってもよい。
【0025】
デバイス16は、W1プリコーダコードブック(すなわち、パネル間プリコーディングコードブック)および/またはW2プリコーダコードブック(すなわち、偏波共位相調整プリコーディングコードブック)へのインデックスを別個にシグナリングすることができる。
【0026】
代替的に、推奨プリコーダは、特定のW3プリコーダを、特定のW2プリコーダ(例えば、後述するように特定のW23をもたらす)および/または特定のW1プリコーダと組み合わせるプリコーダであってもよい。
【0027】
いずれにしても、マルチパネルアンテナアレイのマルチパネル性に向けてプリコーディングを(例えば、コードブック設計に関して)調整することは、例えば、黙示的に単一パネルアレイを仮定して設計されているプリコーディング方式と比較したときに、プリコーディングの品質およびプリコーダ推奨(および全般的なCSIレポート)が改善されるという点において有利であることを証明することができる。特に、アンテナパネルが互いに対して較正されておらず、かつ/または、アンテナパネルのアンテナ素子の間隔に関して不一致がある場合に、離散フーリエ変換(DFT)プリコーダを複数のアンテナパネルにわたってプリコーダ適用することによって、プリコーディング性能が不満足なものになる場合があるため、これは、DFTプリコーディングに特に当てはまる。
【0028】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、コードブックベースのプリコーディングを使用した推奨プリコーディングのフィードバックを企図していることに留意されたい。本明細書における他の実施形態は、非コードブックベースのプリコーディングに拡張し、にもかかわらず、結果、CSIフィードバックは、コードブックベースのプリコーディングについて上述したのと同様に、アレイ14の1つまたは複数の構造特性に基づいて決定される。
【0029】
また、
図1は基地局の形態の無線ノード12およびUEの形態のワイヤレスデバイス16を示しているが、これはその通りである必要はない。他の実施形態において、無線ノード12がUEであってもよく、ワイヤレスデバイス16が基地局であってもよい。したがって、本明細書における実施形態は、アップリンク方向またはダウンリンク方向のいずれかに適用可能であり得る。なおさらに、本明細書における実施形態はまた、例えば、両方のノード12、16がUEであるなど、マシンツーマシン通信にも使用することができる。
【0030】
またさらに、
図1は、デバイス16を、基準信号の受信元であった同じ無線ノード12にシグナリング20を送信するものとして示されているが、これはその通りである必要はない。他の実施形態において、デバイス16は、異なる無線ノードにシグナリングを送信してもよい。
【0031】
それゆえ、一派的に、本明細書における実施形態は、任意のタイプのワイヤレス通信システム10に適用可能である。事実、IEEE802.xx、CDMA、WCDMA、GSM、LTE、UTRAN、WiMaxなどのような、当該技術分野において知られているかまたは開発され得る1つまたは複数の通信プロトコルのうちのいずれかを使用してもよい。したがって、本明細書においてLTEまたは5Gの文脈において記述されている場合があるが、本明細書において論じられている原理および概念は、他のシステムにも適用可能である。
【0032】
それゆえ、本明細書において使用されるものとしての無線ノードは、無線信号を介して別の無線ノードとワイヤレス通信することが可能な任意のタイプのノードである。無線ノードは、例えば、例としてシステム10の無線アクセスネットワーク(RAN)内の、無線ネットワークノードであってもよい。無線ネットワークノードは、例えば、基地局、中継ノードなどであってもよい。
【0033】
代替的に、無線ノードはワイヤレスデバイスであってもよく、それゆえ、ユーザ機器(UE)、移動局、ラップトップ、スマートフォン、マシンツーマシン(M2M)デバイス、狭帯域モノのインターネット(IoT)デバイスなどを参照してもよい。とは言え、ワイヤレスデバイスの形態の無線ノードがUEであってもよいが、ワイヤレスデバイスは必ずしも、デバイスを所有および/または操作する個人という意味での「ユーザ」を有するとは限らないことが留意されるべきである。ワイヤレスデバイスはまた、ワイヤレス通信デバイス、無線デバイス、無線通信デバイス、ワイヤレス端末、または単純に端末と呼称される場合もあり、文脈が他の場合を指示しない限り、これらの用語のいずれかの使用は、端末間UEまたはデバイス、マシン型デバイスまたはマシンツーマシン通信が可能なデバイス、ワイヤレス有効テーブルコンピュータ、移動端末、スマートフォン、ラップトップ組み込み型機器(LEE)、ラップトップ搭載型機器、USBドングル、ワイヤレスカスタマ構内設備(CPE)などを含むように意図されている。本明細書における論述において、マシンツーマシン(M2M)デバイス、マシン型通信(MTC)デバイス、ワイヤレスセンサ、およびセンサという用語が使用される場合もある。これらのデバイスはUEであってもよいが、一般的に、人間と直接的に対話することなくデータを送信および/または受信するように設定することができることが理解されるべきである。
【0034】
IOTシナリオにおいて、本明細書において記載されているようなワイヤレスデバイスは、監視または測定を実施し、そのような監視測定の結果を別のデバイスまたはネットワークに送信するマシンまたはデバイスであってもよく、または、当該マシンまたはデバイス内に含まれてもよい。そのようなマシンの特定の例は、電力計、産業機械、または例えば冷蔵庫、テレビなどの家庭用もしくは個人用電気製品、時計のような個人用着用品などである。他のシナリオにおいて、本明細書において記載されているようなワイヤレス通信デバイスは、車両内に含まれてもよく、車両の動作ステータスの監視および/もしくは報告または車両と関連付けられる他の機能を実施してもよい。
【0035】
上記の変形形態および修正形態に照らして、上述したようなワイヤレス通信デバイス16は、任意の機能的手段またはユニットを実装することによって、本明細書における処理のいずれかを実施することができる。1つの実施形態において、例えば、ワイヤレス通信デバイス16は、
図2に示すステップを実施するように設定されているそれぞれの回路または回路構成を含む。これに関連して、回路または回路構成は、一定の機能的処理を実施するのに専用の回路および/またはメモリと連動する1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含むことができる。読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光学記憶デバイスなどのような1つまたはいくつかのタイプのメモリを含んでもよいメモリを利用する実施形態において、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、本明細書において記載されている技法を遂行するプログラムコードを記憶する。
【0036】
図4は、1つまたは複数の実施形態によるワイヤレス通信デバイス16を示す。図示のように、ワイヤレス通信デバイス16は、処理回路構成300と、通信回路構成310とを含む。通信回路構成310(例えば、無線回路構成)は、例えば、任意の通信技術を介して1つまたは複数の他のノードに対して情報を送信および/または受信するように設定されている。通信回路構成310は、例として、ワイヤレス通信デバイス16の内部にあってもよく、または、外部にあってもよい1つまたは複数のアンテナを介して送受信することができる。処理回路構成300は、メモリ320内に記憶されている命令を実行することなどによって、例えば、
図2において上述した処理を実施するように設定されている。処理回路構成300は、これに関連して、一定の機能的手段、ユニット、またはモジュールを実装することができる。
【0037】
図5は、1つまたは複数の他の実施形態によるワイヤレス通信デバイス16を示す。図示のように、ワイヤレス通信デバイス16は、例えば、
図4内の処理回路構成300を介して、および/または、ソフトウェアコードを介して、様々な機能的の手段、ユニット、またはモジュールを実装する。例えば、
図2の方法を実施するためのこれらの機能的手段、ユニット、またはモジュールは、例として、上述したような推奨プリコーダを決定するための決定ユニットまたはモジュール410と、送信無線ノード12に決定されたプリコーダをシグナリングするためのシグナリングユニットまたはモジュール400とを含む。
【0038】
また、上記上述したような送信無線ノード12は、任意の機能的手段またはユニットを実装することによって、本明細書における処理のいずれかを実施することができる。1つの実施形態において、例えば、送信無線ノード12は、
図3のいずれかに示すステップを実施するように設定されているそれぞれの回路または回路構成を含む。これに関連して、回路または回路構成は、一定の機能的処理を実施するのに専用の回路および/またはメモリと連動する1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含むことができる。読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光学記憶デバイスなどのような1つまたはいくつかのタイプのメモリを含んでもよいメモリを利用する実施形態において、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、本明細書において記載されている技法を遂行するプログラムコードを記憶する。
【0039】
図6は、1つまたは複数の実施形態による送信無線ノード12を示す。図示のように、送信無線ノード12は、処理回路構成500と、通信回路構成510とを含む。通信回路構成510(例えば、無線回路構成)は、例えば、任意の通信技術を介して1つまたは複数の他のノードに対して情報を送信および/または受信するように設定されている。通信回路構成510は、例として、送信無線ノード12の内部にあってもよく、または、外部にあってもよいマルチパネルアンテナアレイ14を介して送受信することができる。処理回路構成500は、メモリ520内に記憶されている命令を実行することなどによって、例えば、
図3において上述した処理を実施するように設定されている。処理回路構成500は、これに関連して、一定の機能的手段、ユニット、またはモジュールを実装することができる。
【0040】
図7は、1つまたは複数の他の実施形態による送信無線ノード12を示す。図示のように、送信無線ノード12は、例えば、
図6内の処理回路構成500を介して、および/または、ソフトウェアコードを介して、様々な機能的の手段、ユニット、またはモジュールを実装する。例えば、
図3の方法を実施するためのこれらの機能的手段、ユニット、またはモジュールは、例として、シグナリング22を送信し、シグナリング20を受信し、および/または送信18を送信するための送受信ユニットまたはモジュール600を含む。また、適用すべきプリコーダを決定し、および/または送信18をプリコーディングするためのプリコーディングユニットまたはモジュール620も含まれ得る。
【0041】
当業者であれば、本明細書における実施啓太いは、対応するコンピュータプログラムをさらに含むことも諒解されよう。
【0042】
コンピュータプログラムは、ノード12または16の少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、ノード12または16に、上述したそれぞれの処理のいずれかを遂行させる命令を含む。これに関連して、コンピュータプログラムは、上述した手段またはユニットに対応する1つまたは複数のコードモジュールを含むことができる。
【0043】
実施形態は、コンピュータプログラムを包含するキャリアをさらに含む。このキャリアは、電子信号、光信号、無線信号、またはコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つを含み得る。
【0044】
一般性を損なうことなく、本明細書における1つまたは複数の実施形態がここで、時としてNew Radio(NR)または5Gの専門用語を参照しながら記述される。例えば、いくつかの実施形態は、次世代NodeB(gNB)および/またはユーザ機器(UE)を参照しながら記述される。しかしながら、これらの用語はNRまたは5G技術に限定されず、より一般的に、任意のワイヤレス技術(例えば、LTEまたは4G and beyond)に拡張されるものとする。これに関連して、下記においてgNBおよび/またはUEに関連して記述される態様は、上記で使用されているより一般的な専門用語、すなわち、無線ネットワークノード(gNBがその一例である)および無線通信デバイス(UEがその一例である)に帰属し得る。
【0045】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、マルチパネルアンテナアレイからの多入力多出力(MIMO)送信を可能にするチャネル状態情報(CSI)フィードバックのための方法を含み、より特定的には、コヒーレントおよび/または非コヒーレントなマルチパネル送信を可能にするプリコーダコードブック設計を含む。知られている手法は、単一パネルアンテナアレイを念頭に置いてCSIフィードバックのためのプリコーダコードブックを設計する。マルチパネルアンテナアレイが使用されるシステムにそのようなCSIフィードバックを直接的に適用すると、マルチパネルアンテナアレイの構造がCSIフィードバックにおいて考慮に入れられないため、性能が不満足なものになる場合がある。したがって、CSIフィードバックがマルチパネルアンテナアレイ(例えば、マルチパネルアンテナアレイの構造)を反映する場合に、より良好なシステムスループットを達成することができる。これは、送信機によって使用されているマルチパネルアンテナアレイを反映するプリコーダコードブック構造を使用することによって成し遂げることができ、そのようなマルチパネルプリコーダコードブック構造の設計が、本明細書におけるいくつかの実施形態の目的である。
【0046】
いくつかの実施形態において、ワイヤレス通信デバイス(例えば、ユーザ機器(UE))は、次世代Node B(gNB)において使用される特定のマルチパネルアンテナアレイ設定に対応するCSIフィードバックを報告するように設定されている。設定は、UEが、CSIフィードバックを計算するのに使用するためのプリコーダコードブックを決定することを可能にするコードブックパラメータのシグナリングを含む。コードブックパラメータには、コードブック内のアンテナポートの数のような他のパラメータとともに、マルチパネル設定に関係するパラメータが含まれる。いくつかの実施形態において、マルチパネルコードブックは、二次元パネル設定を念頭に置いて設計され、各次元内のアンテナパネルの数が、UEにシグナリングされる。他の実施形態において、コードブックを決定するためにアンテナパネルの空間分布が分かっている必要はなく、アンテナパネルの数のみがUEにシグナリングされる。
【0047】
コードブックパラメータのシグナリングは、無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して行うことができ、シグナリングは、例として、CSIプロセスの設定またはチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)リソースの設定の一部であり得る。そのようなRRC設定は、典型的には、コードブックが、セルまたはサービングノードに接続するときに1度設定され、設定が頻繁に変更されることが予期されないように、半静的に行われる。コードブックパラメータはまた、より動的にシグナリングされてもよい。例として、シグナリングは、物理層ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信されるダウンリンク制御情報(DCI)のような、制御情報メッセージ内に含まれてもよい。1つの例として、DCIは、CSIフィードバックレポートを送信するためのアップリンク許可を含み得、この場合、CSIレポートを計算するのに使用するためのコードブックは、アップリンク許可において表示される。
【0048】
いくつかの事例において、コードブックパラメータのセットが、RRCシグナリングを介するなどして、半静的にUEにシグナリングされ得、コードブックベースパラメータのセットのうち使用すべきものの選択は、より動的にシグナリングされ得る。さらに、コードブックパラメータはまた、媒体アクセス制御(MAC)制御要素(MAC CE)またはMACヘッダにおいてシグナリングされてもよい。いずれにせよ、コードブックパラメータがどのようにシグナリングされるかにかかわらず、UEは、コードブックパラメータに基づいて使用すべきコードブックを決定することが可能である。
【0049】
UEは次いで、決定されたコードブックを使用してCSIフィードバックを報告するように、明示的または黙示的に命令される。UEは、例として、周期的CSI報告によって設定されてもよく、これは、CSIレポートが、固定された周期性によって周期的に送信されるべきであることを意味する。UEはまた、例として、非周期的CSI報告によって設定されてもよく、これは、gNBがDCIにおいてCSI要求を送るときにのみ、CSIが、報告されることを意味する。いずれにせよ、CSIフィードバックを報告するために、gNBは最初に、複数のアンテナパネルからCSI-RSのセットを送信しなければならず、セット内の各CSI-RSは、アンテナポートから送信される。いくつかの実施形態において、CSI-RSのセットは同じCSI-RSリソースに属し、一方、他の実施形態において、異なるアンテナパネルから送信されるCSI-RSは、異なるCSI-RSリソースに属する。いくつかのさらなる実施形態において、パネルあたり複数のCSI-RSリソースが送信され、UEは最初に、各パネルに対して好ましいCSI-RSの選択を(例として、各パネルのCSI-RSリソース指標(CRI)をフィードバックすることによって)実施する。
【0050】
CSI-RS測定に基づいて、UEは、決定されたプリコーダコードブックから、達成可能な最良のスループットをもたらす1つまたは複数のプリコーダ行列を選択し、1つまたは複数のプリコーダ行列インジケータ(PMI)をgNBに返信することができる。
【0051】
より詳細には、マルチアンテナ技法は、ワイヤレス通信システムのデータレートおよび信頼性を大幅に増大させることができる。性能は、特に、送信機と受信機の両方が複数のアンテナを装備し、多入力多出力(MIMO)通信チャネルがもたらされる場合に改善される。そのようなシステムおよび/または関係する技法は、一般的にMIMOと呼称される。
【0052】
NR規格は現在、指定されようとしているところである。NRにおける中核的な構成要素は、MIMOアンテナ配備およびMIMO関連技法のサポートである。NRは、チャネル依存プリコーディングを用いて最大32個または64個のアンテナポートのための最大8層または16層の空間多重化をサポートすることになると予期される。この空間多重化モードは、好適なチャネル条件における高いデータレートを目標とする。空間多重化動作の例示が、
図8に与えられる。
【0053】
見てとれるように、シンボルベクトルsを搬送する情報が、NT(NT個のアンテナポートに対応する)次元ベクトル空間の部分空間内で送信エネルギーを分布させるようにサーブする、NT×rプリコーダ行列Wによって乗算される。プリコーダ行列は、典型的には、可能なプリコーダ行列のコードブックから選択され、典型的には、所与の数のシンボルストリームに対する、コードブック内の固有のプリコーダ行列を指定するプリコーダ行列インジケータ(PMI)を用いることによって示される。s内のr個のシンボルは各々、1つの層に対応し、rは、送信ランクと呼ばれる。このように、複数のシンボルを同じ時間/周波数リソースエレメント(TFRE)にわたって同時に送信することができるため、空間多重化が達成される。シンボルの数rは、典型的には、現在のチャネル特性に適するように適合される。
【0054】
NRは、ダウンリンクにおいてOFDMを使用する(また、アップリンクにおいてはOFDMまたはDFTプリコーディングされたOFDMを使用する)ため、サブキャリア上の特定のTFRE n(または代替的にデータTFRE数n)の受信NR×1ベクトルynは、以下によってモデル化される。
yn=HnWsn+en 式1
式中、enは、ランダムプロセスの具現化として得られるノイズ/干渉ベクトルである。プリコーダWは、周波数にわたって一定のまたは周波数選択的である、広帯域プリコーダとすることができる。
【0055】
プリコーダ行列Wは、NR×NT MIMOチャネル行列Hnの特質に一致するように選定されることが多く、いわゆるチャネル依存プリコーディングをもたらす。これはまた、一般的に閉ループプリコーディングと呼称され、本質的に、送信エネルギーの多くをUEに搬送するという意味において強力である部分空間に送信エネルギーを集束させるように努める。加えて、プリコーダ行列「または単純に「プリコーダ」)はまた、チャネルを直交させるように努めるように選択することもでき、これは、UEにおける適切な線形等化の後、層間干渉が低減されることを意味する。
【0056】
UEがプリコーダ行列Wを選択するための1つの例示の方法は、以下のように、仮説的等価チャネルのフロベニウスノルムを最大化するW
kを選択することであり得る。
式中、
は、下記のセクション0に記述するようにCSI-RSから導出される可能性があるチャネル推定値であり、
W
kは、インデックスkを有する仮説的プリコーダ行列であり、
は、仮説的等価チャネルである。
【0057】
NRダウンリンクのための閉ループプリコーディングにおいて、UEは、順方向リンク(ダウンリンク)におけるチャネル推定に基づいて、使用すべき適切なプリコーダのgNodeBに対する推奨を送信する。gNodeBは、UEの送信モードに従ってフィードバックを提供するようにUEを設定し、CSI-RSを送信することができ、UEがコードブックから選択する推奨プリコーディング行列をフィードバックするためにCSI-RSの測定値を使用するように、UEを設定することができる。大きい帯域幅をカバーする(広帯域プリコーディング)ことが想定される単一のプリコーダがフィードバックされ得る。チャネルの周波数変動をマッチングし、代わりに、例えば、いくつかのプリコーダなどの周波数選択的プリコーディングレポートを、サブバンドあたり1つフィードバックすることも有益であり得る。これは、UEに対する後続の送信においてeNodeBを支援するための、推奨プリコーダ以外の情報をフィードバックすることも網羅する、チャネル状態情報(CSI)フィードバックのより一般的な事例の一例である。そのような他の情報は、チャネル品質指標(CQI)および送信ランク指標(RI)を含んでもよい。
【0058】
UEからのCSIフィードバックを所与として、gNodeBは、プリコーディング行列、送信ランク、および変調符号化状態(MCS)を含む、UEに送信するのに使用することを所望する送信パラメータを決定する。これらの送信パラメータはUEが行う推奨とは異なってもよい。その後、ランク指標およびMCSをダウンリンク制御情報(DCI)においてシグナリングすることができ、プリコーディング行列をDCIにおいてシグナリングすることができ、または、gNodeBが、等価チャネルをそこから測定することができる復調用基準信号を送信することができる。送信ランク、および、したがって空間多重化層の数は、プリコーダWの列の数に反映される。効率的な実施のために、チャネル特性に一致する送信ランクが選択されることが重要である。
【0059】
チャネル状態情報参照シンボル(CSI-RS)
NRにおいて、ダウンリンクチャネル状態情報を推定することを意図した参照シンボルシーケンス、すなわち、CSI-RSが存在する。gNodeBから送信されるCSI-RSを測定することによって、UEは、無線伝播チャネルおよびアンテナ利得を含む、CSI-RSがトラバースしている実効チャネルを推定することができる。数学的により厳密には、これは、既知のCSI-RS信号xが送信される場合に、UEが、送信信号と受信信号との間の結合(すなわち、実効チャネル)を推定することができることを暗示する。したがって、送信において仮想化が実施されない場合、受信信号yは以下のように表現することができ、
y=Hx+e 式3
UEは実効チャネルHを推定することができる。
【0060】
NRにおいて最大32個または64個のCSI-RSポートを設定することができ、すなわち、UEは、最大32個または64個の送信アンテナポートからチャネルを推定することができる。
【0061】
指定されるCSI-RSリソースおよび干渉測定設定(例えば、ゼロ出力CSI-RSリソース)に基づいて、UEは、実効チャネルならびに雑音および干渉を推定することができ、結果としてまた、特定のチャネルに最良に一致するために推奨するためのランク、プリコーディング行列、およびMCSを決定することもできる。
【0062】
2D(単一パネル)アンテナアレイ
NRにおけるマルチアンテナ送信は、一般的に、二次元アンテナアレイによって使用されるように想定されている。そのようなアンテナアレイは、水平次元に対応するアンテナ列の数N、垂直次元に対応するアンテナ行の数M、および、異なる偏波に対応する次元の数Pによって(部分的に)記述することができ、例えば、二重偏波アンテナ素子(例えば、交差偏波アンテナ素子)についてはP=2である。したがって、アンテナの層数はNantennas=NMPである。物理的なアンテナ素子の任意の仮想化(例えば、線形写像)を参照することができるという意味において、アンテナの概念は非限定的であることが指摘されるべきである。例えば、物理的な部分要素の対が同じ信号を供給され得、したがって、同じ仮想化アンテナポートを共有し得る。
【0063】
図9において、N個の水平方向のアンテナ素子900およびM個の垂直方向のアンテナ素子900を有するN×Mアレイが、4×4交差偏波(P=2)アンテナ素子の一例について示されている。
【0064】
プリコーディングは、信号を、送信前に各アンテナの異なるビーム形成重みによって乗算することとして解釈することができる。典型的な手法は、プリコーダをアンテナ形状因子に会わせて調整すること、すなわち、プリコーダコードブックを設計するときに、N、MおよびPを考慮に入れることである。
【0065】
マルチパネルアンテナアレイ
非常に大きいアンテナアレイを構築するとき、すべてのハードウェア構成要素を単一のアンテナパネルに収めることは困難であり得る。1つの組み立て慣例は、モジュール式手法を使用し、(先行するセクションにおいて規定されるように)複数のアンテナアレイから成る、いわゆるマルチパネルアンテナアレイを構築することである。一般的な事例において、第1のパネルの右端のアンテナ素子と、第1のパネルの右に配置されている第2のパネルの左端のアンテナ素子との間の間隔は、1つのパネル内のアンテナ素子間の間隔よりも大きくなり得、これは、不均一なマルチパネルアレイに対応する。一般的に、アンテナ素子間のシームレスなコヒーレント送信に必要とされる厳密な較正は、各パネル内でのみ行われると仮定され、そのため、マルチパネルアレイの複数の異なるパネルは較正されない可能性がある。したがって、パネル間に周波数オフセット、タイミング不整合、およびLO位相オフセットが存在する場合がある。
【0066】
例えば、マルチパネルアレイは、垂直方向のパネルの数M
g、水平方向のパネルの数N
gおよび構成パネルのサイズM、N、Pにおいてパラメータ化することができる。したがって、4つのパネル00、01、10および11をもたらすMg=2、Ng=2かつP=2のマルチパネルアンテナアレイの一例が
図10に与えられる。各パネルは、例えば、
図9に示すような交差偏波アンテナ素子を有する4×4アレイなどの、N×Mアレイであり得る。
【0067】
DFTベースのプリコーダ
一般的なタイプのプリコーディングは、DFTプリコーダを使用することであり、N
1個のアンテナを有する単一偏波等間隔線形アレイ(ULA)を使用して単層送信をプリコーディングするために使用されるプリコーダベクトルは、以下のように規定される。
式中、l=0,1,...O
1N
1-1は、プリコーダインデックスであり、O
1は整数オーバーサンプリング係数である。偏波あたりN
1個のアンテナ(そのため、合計2N
1個のアンテナ)を有する二重偏波等間隔線形アレイ(ULA)のプリコーダは同様に、以下のように規定することができる。
式中、e
jφは、例えばQPSKアルファベット
から選択することができる2つの偏波間の共位相調整係数である。
【0068】
N
1×N
2個のアンテナを有する二次元等間隔平面アレイ(UPA)の対応するプリコーダベクトルは、
のように、2つのプリコーダベクトルのクロネッカー積を取ることによって作成することができ、式中、O
2は、N
2次元内の整数オーバーサンプリング係数である。各プリコーダw
2D(l,m)がDFTビームを形成し、すべてのプリコーダ{w
2D(l,m),l=0,...,N
1O
1-1;m=0,...,N
2O
2-1}がDFTビームの格子を形成する。一例が
図11に示されており、(N
1,N
2)=(4,2)、O
1=4かつO
2=4であり、第1の次元または「l次元」内の16個のビームおよび第2の次元または「m次元」内の8個のビームを有する(N
1O
1,N
2O
2)=(16,8)の格子がもたらされる。したがって、各ビームは、一対の次元パラメータlおよびmによって特性化することができる。(l.m)=(0,0)、(4,0)、(8,0)、(12,0)、(0,4)、(4,4)、(8,4)、(12,4)を有するビームは直交DFTビーム110を形成し、一方、すべての他のビームは、オーバーサンプリングされたビーム111を形成する。例を挙げると、l=2,m=1を有するDFTビーム112は、プリコーダw
2D(l=2,m=1)に対応する。
【0069】
以下のセクション全体を通じて、「DFTビーム」および「DFTプリコーダ」という用語は、相互交換可能に使用される。
【0070】
より一般的には、インデックス対(l,m)を有するビームは、送信においてプリコーディング重みw
2D(l,m)が使用されるときに最大エネルギーが送信される方向によって識別することができる。また、振幅テーパをDFTビームとともに使用して、ビームのサイドローブを低下させることもできる。振幅テーパリングを用いたN
1およびN
2次元に沿った1D DFTプリコーダは、以下のように表現することができる。
式中、0<β
i,γ
k≦1(i=0,1,...,N
1-1;k=0,1,...,N
2-1)は、振幅スケーリング係数である。β
i=1,γ
k=1(i=0,1,...,N
1-1;k=0,1,...,N
2-1)は、テーパリングされないことに対応する。DFTビーム(振幅テーパありまたはなし)は、2つの次元の各々に沿って要素間に線形位相シフトを有する。一般性を損なうことなく、隣接する要素が次元N
2に沿った隣接するアンテナ素子に対応し、N
2だけ離間したw(l,m)の要素が次元N
1に沿った隣接するアンテナ素子に対応するように、w(l,m)の要素が、
に従って順序付けされると仮定する。このとき、w(l,m)の2つの要素
と
との間の位相シフトは、以下のように表現することができる。
式中、
s
1=i
1N
2+i
2およびs
2=k
1N
2+k
2(ここで、0≦i
2<N
2、0≦i
1<N
1、0≦k
2<N
2、かつ0≦k
1<N
1)は、(i
1,i
2)が第1のアンテナ素子(またはポート)にマッピングされるビームw(l,m)の第1のエントリを示し、(k
1,k
2)が第2のアンテナ素子(またはポート)にマッピングされるビームw(l,m)の第2のエントリを示すように、ビームw(l,m)の2つのエントリを識別する整数である。
および
は実数である。振幅テーパリングが使用される場合、α
i≠1(i=s
1,s
2)であり、使用されない場合、α
i=1である。
は例えば、水平軸などの軸に沿った方向に対応する位相シフトである(「方位角」)。
は例えば、垂直軸などの軸に沿った方向に対応する位相シフトである(「仰角」)。
【0071】
それゆえ、プリコーダw(l
k,m
k)によって形成されるk番目のビームd(k)はまた、対応するプリコーダw(l
k,m
k)によって参照することもでき、すなわち、d(k)=w(l
k,m
k)である。したがって、ビームd(k)は、複素数の集合として記述することができ、集合の各要素は、ビームの要素がビームの任意の他の要素に関係付けられるように、少なくとも1つの複素位相シフトによって特性化され、ここで、
であり、式中、d
i(k)は、ビームd(k)のi番目の要素であり、α
i,nは、ビームd(k)のi番目の要素およびn番目の要素に対応する実数であり、pおよびqは整数であり、Δ
1,kおよびΔ
2,kはそれぞれ複素位相シフト
および
を決定するインデックス対(l
k,m
k)を有するビームに対応する実数である。インデックス対(l
k,m
k)は、ビームd(k)がUPAまたはULAにおいて送信または受信に使用されるときの、平面波の到来または出発の方向に対応する。ビームd(k)は、単一のインデックスkを用いて識別することができ、ここで、k=l
k+N
1O
1m
kであり、すなわち、最初に垂直もしくはN
2次元に沿って識別され、または、代替的に、k=N
2O
2l
k+m
kであり、すなわち、最初に水平もしくはN
1次元に沿って識別される。
【0072】
このとき、二重偏波ULAに対してプリコーダを拡張することは、以下のように行うことができる。
【0073】
多層送信のプリコーダ行列W
2D,DPを、以下のようにDFTプリコーダベクトルの列を付加することによって作成することができる。
式中、Rは送信層の数、すなわち、送信ランクである。ランク2のDFTプリコーダ、すなわち、m
1=m
2=mかつl
1=l
2=lの特定的な事例において、以下が得られる。
【0074】
各ランクについて、すべてのプリコーダ候補が「プリコーダコードブック」または「コードブック」を形成する。UEは、最初に、推定されるダウンリンク広帯域チャネルベースのCSI-RSのランクを決定することができる。ランクが識別された後、次いで、各サブバンドについて、UEはサブバンドにとって最良のプリコーダを見つけるために、決定されたランクのコードブック内のすべてのプリコーダを通じて探索する。例えばランク=1である事例において、UEは、すべての可能な(k,l,φ)値についてw
2D,DP(k,l,φ)を通じて探索する。ランク=2である事例において、UEは、すべての可能な(k,l,φ
1,φ
2)値について
を通じて探索する。
【0075】
典型的には、DFTビーム方向の選択および偏波共位相調整の必要とされる周波数粒度は異なり、DFTビームは典型的には、帯域幅全体に対して1度選択され得、一方で、偏波共位相調整は、サブバンドごとの選択から受益し得る。したがって、典型的な手法は、下記のように、DFTビーム選択と偏波共位相調整とを、別個の行列因子に分割することである。
【0076】
このとき、W1行列因子は帯域幅全体に対して1度報告され得、一方、W2行列因子はサブバンドごとに報告され得る。
【0077】
注記、仮定、および目的
以下において、説明を容易にするために、
図10に示すように、M
g=N
g=2であり、4つのアンテナパネル1010、1020、1030および1040がもたらされると仮定する。いくつかの実施形態は、2つ以上の任意の数のアンテナパネルに適用可能であること、ならびに、本明細書における実施形態において使用されるパネルの空間的分布は1つの例に過ぎないことが留意されるべきである。
【0078】
また以下において、パネルアレイのアンテナ素子は、以下によってインデックス付けされると仮定する。
i=M
gPNM・r
V+PNM・r
H+NM・p+M・n+m
式中、r
V=0,...,M
g-1は垂直パネルインデックスであり、r
H=0,...,N
g-1は水平パネルインデックスであり、m=0,...,M-1は1つのパネル内の垂直アンテナポートインデックスであり、n=0,...,N-1は1つのパネル内の水平アンテナポートインデックスであり、p=0,1は偏波インデックスである。すなわち、マルチパネルプリコーディング行列W
MPは、
となるように、構成パネルのプリコーディング行列W
P00、W
P10、W
P01、W
P11を積み重ねることによって構築される。これは、アンテナポートをどのように順序付けすることができるかの1つの例に過ぎないことに留意されたい。無論、異なる実施形態は、異なるアンテナ順序付けを利用してもよい。
【0079】
以下においては、クロネッカー積が使用される。2つの行列
とBとの間のクロネッカー積
は、
として規定され、
すなわち、行列BがAの各要素に乗算される。クロネッカー積の規則
は、以降広く使用される行列式を書き換えるのに有用な数学的性質である。さらに、表記I
Kは、サイズがK×Kの恒等行列を示す。
【0080】
コヒーレントなマルチパネル送信のためのコードブックを設計する動機
背景技術セクションにおいて記述されているもののようなDFTプリコーダコードブックは、各空間次元においてアンテナポートにわたって線形的に増大する位相を有するプリコーダベクトルを含む。そのようなコードブック設計は、位相較正され、各次元内で等間隔に離間したアンテナポートのアンテナ設定を黙示的に仮定する。この事例において、コードブックは、純粋な見通し線チャネルを仮定するアレイ応答に完璧に一致し、他の伝播条件について、支配的なチャネル経路の良好な表現を与える。したがって、未較正のマルチパネルアレイ、および/または、不均一なマルチパネルアレイの事例において、DFTコードブックの黙示的な仮定は破綻する。すなわち、複数のパネルのアンテナ素子にわたってDFTプリコーダを適用しても、チャネル応答の効率的な表現はもたらされ得ない。これは、いくつかの要因に起因する。
【0081】
第1に、1つのパネルの最後のアンテナ素子と、次のパネルの最初のアンテナ素子との間の間隔は、不均一なマルチパネルアレイでは、1つのパネル内のアンテナ素子間隔とは異なる。したがって、線形位相面を作成するためには、上記アンテナ素子間の位相シフトは、(DFTプリコーダの場合のような)
ではなく、
とする必要があり、ここで、kはDFTプリコーダインデックスであり、Nは1つの次元内のアンテナの数であり、Δ
panelは等間隔マルチパネルアレイ内のパネル間の距離と比較して追加されている、パネル間の距離である。
この位相差は、無論、パネル距離が分かっている場合にはコードブック内で直接的に補償することができるが、パネル間の距離は、実施態様次第であり、一般的な事例においては、分からない。
【0082】
第2に、例として、LO位相状態が異なることに起因してパネル間に追加の位相オフセットが存在する場合がある。最悪の事例においては、位相オフセットは完全にランダムであり得、したがって、[0,2π]内で均等に分布し得る。
【0083】
第3に、アンテナパネルにタイミング不整合がある場合、これは、周波数選択的位相オフセットを導入し得る。
【0084】
したがって、コヒーレントなマルチパネル送信のためのコードブックは、これらの位相オフセットを補償するべきである。
【0085】
コヒーレントなマルチパネル送信のためのコードブック設計
このセクションでは、コヒーレントなマルチパネル送信のためのコードブック設計を提示する。コードブック設計の意図するところは、先行するセクションにおいて論じた位相オフセットを補償することである。一般的に言えば、パネル間位相オフセット補償は、長さM
gN
gのベクトル
によって記述することができ、
は、パネル(r
V,r
H)に対する位相補償である。アンテナパネルに対する位相補償係数は、そのパネルに対応するすべてのアンテナポートに適用されるべきである。
【0086】
アンテナパネル内でのプリコーディングについては、例えば、ランク1プリコーダ行列の
など、DFTタイプのプリコーダが使用され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、アンテナパネルは同一場所にあり、そのため、UEと各アンテナパネルとの間の伝播特性は類似していると仮定され得、したがって、パネルごとのプリコーダの同じ選択が最適であると仮定され得る。アンテナパネルが同一場所にある事例において、マルチパネルプリコーダ行列は、以下のように表現することができる。
式中、
は、2つの行列間のクロネッカー積を示す。見てとれるように、このプリコーダ構造は、所望に応じて、4つ(この例においては)のアンテナパネルの各々にパネルごとのプリコーダW
1W
2を適用し、パネル(r
V,r
H)のすべてのアンテナポートには位相スケーリング
を適用する。この式は、以下のように、クロネッカー積の代わりに一連の行列乗算に数学的に書き換えることができる。
【0088】
この形式はより好都合に機能する。したがって、結果もたらされるプリコーダ行列は、以下の3つの行列因子に因数分解することができる。
W3:アンテナパネルの共位相調整を含む。
W1:各アンテナパネル内のDFTプリコーディングを含む。
W2:各アンテナパネル内の偏波共位相調整を含む。
【0089】
各行列因子の選択のフィードバックは、各行列因子について別個のPMIを送信することを含み得る。フィードバックはまた、すべての行列因子の選択をともに単一のPMIに符号化することをも含み得る。いくつかの実施形態において、いくつかのプリコーダ行列が選択される。例として、周波数ドメインにおいて各サブバンドについて別個の選択が行われ得る。その事例において、すべての選択されている行列を示すいくつかのPMIが、CSIフィードバックレポートに含まれ得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、W3行列因子は、広帯域周波数粒度で選択される。これは、パネル間にタイミング不整合が存在しないように、アンテナが極めて良好に較正されるときに当てはまる。他の実施形態において、W3行列因子は、代わりに、サブバンド周波数粒度で選択される。これは、アンテナパネル間に、較正する必要があるタイミング不整合が存在する場合に当てはまる。
【0091】
いくつかの実施形態において、アンテナパネルは、互いから物理的に分離されてもよく、または、異なる方向に回転されてもよい。その事例において、同じパネルごとのプリコーダを使用することは有益でない場合がある。代わりに、別個のパネルごとのプリコーダ
が各パネルに使用され、結果、マルチパネルプリコーダは、以下のように表現することができる。
【0092】
行列因子の順序の変更
「パネル間共位相調整行列因子」、「パネルごとのDFTプリコーディング行列因子」および「偏波共位相調整行列因子」の順序を変更するために、行列式を書き換えることができることが留意される。本明細書における実施形態は、行列因子順序の任意のそのような書き換えを企図している。そのような例示的な実施形態を下記に与える。
【0093】
いくつかの実施形態において、プリコーダ行列式は、以下のように、パネルごとのDFTプリコーディング行列因子が最初の行列になるように書き換えられる。
式中、
はパネルごとのDFTプリコーディング行列因子である。
【0094】
1つのそのような実施形態において、式は、以下のように、パネル間共位相調整行列因子が中央の行列になるように書き換えられる。
式中、
はパネル間共位相調整行列因子である。
【0095】
別のそのような実施形態において、パネル間共位相調整行列因子は代わりに、以下のように最後の行列因子である。
式中、
はパネルごとの偏波共位相調整行列因子であり、
はパネル間共位相調整行列因子であり、Rはプリコーダランクである。
【0096】
異なるタイプの行列因子間の順序が交換されるようにプリコーダ式を書き換える、開示されている技法は、行列因子の任意の順序を作成するために適用することができ、そのため、本明細書における実施形態は、上記行列因子の任意の順序付けに適用可能である。
【0097】
また別の実施形態において、
であり、式中、
はパネル間とパネルごととの組み合わさった偏波共位相調整行列因子である。例えば、そのような組み合わせ行列は、以下の構造を有することができる。
【0098】
そのような2つの行列タイプの組み合わせは、
が広帯域周波数粒度で選択され、一方で、他の2つの行列がサブバンドごとに選択される場合に有益であり得る。2つの行列因子を組み合わせて1つの行列因子にすることによって、PMI選択を2つの因子にわたってともに符号化することができ、これによって、PMI報告オーバヘッドを低減することができる。
【0099】
この実施形態の変形形態において、送信される各層に別個のパネル間共位相調整係数が使用され、結果、組み合わさったパネルごとの行列因子は以下の構造を有することができる。
式中、
は第1の層のパネル(r
V,r
H)のパネル間共位相調整因子であり、
は、第2の層のパネル(r
V,r
H)のパネル間共位相調整因子である。
【0100】
アナログビーム形成実施形態
前述した実施形態は、デジタルパネル実施態様が使用されるときなど、各パネルが十分に多くのアンテナポートを使用するときに適用可能である。しかしながら、例としてアナログパネル実施態様が代わりに使用される場合、パネルごとのアンテナポートの数は少ない場合がある。アンテナポートの数が少ない事例においては、パネル内でDFTプリコーダを使用する必要がない場合がある(アナログ実施態様が使用されるとき、パネル内の同じ偏波のアンテナ素子にわたるプリコーディングは典型的にはUEにとってトランスペアレントであるように行われ、したがって、コードブックに含まれる必要がない場合があるため)。したがって、いくつかの実施形態において、マルチパネルプリコーダ行列は、以下のように、2つの行列因子のみから成る。
【0101】
先行して開示されている実施形態(3つの行列因子を含む)は、適用できる場合は、この実施形態と組み合わせることもできる。
【0102】
パネル間共位相調整行列因子の詳細
次のセクションは、パネル間共位相調整行列因子wPANEL/W3がどのように選択されるかについての実施形態を包含する。
【0103】
1つの実施形態において、各共位相調整因子
は他のパネルの他の共位相調整因子から独立して選択され、いわゆるスカラー量子化が行われる。例として、
は、B-PSKおよびQ-PSKコンスタレーションに対応する集合{1,j,-1,-j}のうちの1つから選択され得る。より一般的な実施形態において、共位相調整因子は、2
K-PSKコンスタレーション、すなわち、値
を含むコンスタレーションから選択され得る。
【0104】
別の実施形態においては、パネル間共位相調整を選択するために、ベクトル量子化が使用される。すなわち、wPANELは、可能なベクトルの集合wPANEL∈{wA,wB,...}から選択され、すなわち、wPANELは、パネル間コードブックから選択される。
【0105】
4つのみのアンテナパネルについて適用可能である1つの実施形態において、LTE 4TX Rel-8ハウスホルダランク1コードブック(3GPP TS 36.211 Rel-8より)が、パネル間コードブックとして使用される。すなわち、w
PANELは、
の16個の可能な値から選択することができ、これは、以下のように規定されている。
「量
は、式
から集合{s}によって与えられる列によって規定される行列を示し、式中、Iは4×4恒等行列であり、ベクトルu
nは、表1によって与えられる。
【0106】
別の同様の実施形態において、表1において規定されているようなベクトルの集合un,n=0,1,...,15は、パネル間コードブックとして使用される。すなわち、ここではいずれにしてもランク1ベクトルにしか関心がないため、ハウスホルダ変換は適用されない。
【0107】
3つのアンテナパネルに適用可能な別の実施形態において、パネル間コードブック(長さ3のベクトルを含む)は、LTE 4TX Rel-8ハウスホルダコードブックからプリコーダを取り、各プリコーダ内の要素の1つを除去する(例えば、第4の行を除去する)ことによって生成される。
【0108】
別の実施DFTプリコーダコードブックが、パネル間コードブックに使用される。
【0109】
非コヒーレントなマルチパネル送信のためのコードブック設計
パネル間の非コヒーレントな送信について、異なるパネルに対応するアンテナポートは、単一層の送信を形成するためにコヒーレントには組み合わされない。代わりに、異なる層が各パネルから送信される。これによって、パネル間の同期の要件が緩和され、そのため、より複雑な実施態様が可能になる。
【0110】
パネル間の非コヒーレントな送信のためのコードブックは、このとき、ブロック対角行列として表現することができる(ブロックは、各パネルから送信される層の数に応じて異なるサイズであり得る)。
式中、
は、DFTプリコーダであり得る。上記の式において、すべてのアンテナパネルが送信しており、したがって、ランクの大きさは少なくともパネルの数ほどである(各パネルはこのとき、いくつかの層を送信し得る)ことに留意されたい。別の実施形態において、パネル選択構成要素がプリコーダ構造に追加され、結果、パネルの部分集合が最初のステップにおいて選択される。
式中、
は、パネルがオンであるかまたはオフであるかを制御する。
【0111】
別の実施形態において、プリコーダ行列は2つの行列因子に因数分解され、第1の行列因子は、すべてのアンテナパネルに共通である直交DFTビームの集合を含み、第2の行列因子は、DFTビーム選択を含み得るパネルごとのプリコーディングを含む。
式中、W
1は例として、以下のように2つの直交DFTビームを含む。
式中、Oはオーバーサンプリング係数であり、(l,m)は2D DFTビームインデックスである。
【0112】
このとき、W
2行列は例として、以下のような選択ベクトルを含み得る。
式中、e
kは、行kにおいて1を包含し、すべての他の行はゼロである選択ベクトルである。
【0113】
アナログビーム形成実施形態
コヒーレントの事例と同様に、非コヒーレントなコードブックが、パネルあたり相対的に少数のポートによるアナログビーム形成にも使用され得る。この事例において、2つの行列因子のみが必要とされ得、結果もたらされるプリコーダ行列は、以下の構造を有する。
すなわち、「パネルごとのDFTプリコーディング行列因子」、「W1」が式から除去され得る。
【0114】
例示の実施形態
1.送信側ネットワークノードの複数のアンテナパネルからの送信に対応するCSIフィードバックを決定するための、UEによって実施される方法であって、
a.ネットワークノードから、アンテナパネル構造(すなわち、送信側ネットワークノードにおける複数のアンテナパネルの構造的配置)のシグナリングを受信することと、
b.受信されているシグナリングに基づいてマルチパネルプリコーダコードブックを決定することと、
c.送信側ネットワークノードの複数のアンテナパネルに対応するCSI-RSのセットを測定することと、
d.測定されているCSI-RSセットに基づいて、マルチパネルプリコーダコードブックから少なくとも1つのプリコーダ行列を選択することと、
e.少なくとも1つのプリコーダ行列の選択を示す少なくとも1つのプリコーダ行列指標(PMI)をネットワークノードに送信することと
を含む、方法。
2.マルチパネルプリコーダコードブックは、
a.別個のアンテナパネルに対応するアンテナポートを同じ層に組み合わせるプリコーダ行列[コヒーレントなマルチパネル送信]、および/または
b.別個のアンテナパネルに対応するアンテナポートを別個の層に組み合わせるプリコーダ行列[非コヒーレントなマルチパネル送信]
を含む、実施形態1の方法。
3.マルチパネルプリコーダコードブックは、少なくとも2つの行列因子を含むプリコーダ行列を含み、1つの「パネル間」行列因子を適用することは、各アンテナパネルについて、当該パネルに対応するすべてのアンテナポートにパネル特有の複素重みを適用することを含む、実施形態2の方法。
4.少なくとも2つの行列因子のうちのもう一方は、各アンテナパネルに適用されるDFTプリコーダ行列因子を含む、実施形態3の方法。
5.パネル特有の複素重みは位相シフトである、実施形態3の方法。
6.パネル間行列因子は、
a.広帯域ベースで、
b.サブバンドごとに
選択される、実施形態3の方法。
7.アンテナパネル構造の受信シグナリングは、
a.アンテナパネルの数NgMg
b.各次元内のアンテナパネルの数Ng、Mg
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態1の方法。
8.パネル特有の位相シフトは、{B,Q,8}-PSKコンスタレーションからパネルごとに独立して選択される(スカラー量子化)、実施形態5の方法。
9.パネル特有の位相シフトは、
a.LTE 4TXランク1ハウスホルダコードブック、
b.サブサンプリングおよび/もしくはパンクチャされているLTE 4TXランク1ハウスホルダコードブック、または
c.DFTコードブック
であるコードブックから選択される、実施形態5の方法。
10.マルチパネルプリコーダコードブックは、独立して選択されているパネルごとのプリコーダを連結するプリコーダ行列を含む、実施形態2の方法。
11.マルチパネルプリコーダコードブックは、少なくとも2つの行列因子を含むプリコーダ行列を含み、第1の行列因子は複数のパネルにわたって共通であり、一方、第2の行列因子は、パネルごとのプリコーディングを含む、実施形態2の方法。
12.測定することは、アンテナパネルあたり1つまたは複数のCSI-RSリソースに対して測定することと、パネルごとに好ましいCSI-RSを選択することと、CSIフィードバックレポートの一部として選択を表示することとを含む、実施形態1の方法。
【0115】
以下のセクションは、マルチパネル動作をサポートするためのタイプI CSIフィードバックの拡張に関するさらなる考察を含む。
【0116】
すべてのアンテナ素子を単一の較正されたパネルに収める代わりに、複数のパネルを使用する動機は、実施態様の複雑度を低減することである。その性質によって、マルチパネルアレイは、gNBが多くのアンテナ素子およびTXRUを利用するときには適切な設計である。したがって、パネルあたりのアンテナ素子の数は多く、したがって、パネルあたり多数のアンテナポートを必要とすると仮定され得る。しかしながら、これまでのところ、NRにおいてはコヒーレントな組み合わせの32個のアンテナポートしかサポートされるように合意されておらず、これによってそのパネルあたり多くのアンテナポートがもたらされず、そのため、コヒーレントな送信が意図される方式である場合には単一パネル実施態様で十分であるはずであるため、マルチパネル実施態様が保証されるか否かは疑問である。しかしながら、最大64個のアンテナポートがサポートされ、かつ/または、非コヒーレントな送信が考慮される場合、マルチパネル実施態様は、明示的な仕様サポートを保証する、実行可能な代案であり得る。
【0117】
さらに、アンテナパネルがキャリア周波数またはサンプリングクロックタイミングに関して未較正である場合、OFDM復調後にパネル間の位相および振幅オフセットが導入されるだけでなく、ICIも導入されてコヒーレントな送信の利点が限定されるため、パネル間のコヒーレントな送信は実現不可能であり得る。結果生じる位相および振幅スケーリングはプリコーダコードブックにおいて補償することができるが、周波数およびタイミングオフセットを明示的に推定し、それらのオフセットOFDM変調(復調)において補償しなければ、ICIを軽減することはできない。したがって、コヒーレントなマルチパネル送信を有益なものにするためには、パネルは、十分良好に較正されると仮定されなければならない(ただし、パネル間の位相オフセットはICIを一切導入しないことに留意されたい)。
【0118】
したがって、マルチパネルアレイのデフォルトの動作モードが、パネル間の非コヒーレントなジョイント送信(JT)であると仮定されるべきである。
【0119】
パネル間の非コヒーレントな送信について、異なるパネルに対応するアンテナポートは、単一層の送信を形成するためにコヒーレントには組み合わされない。代わりに、各パネルのアンテナポートは、別個のCSI-RSリソースにマッピングされ、異なる層が各パネルから送信される。これによって、パネル間の同期の要件が緩和され、そのため、より複雑な実施態様が可能になる。
【0120】
UEの観点から、非コヒーレントなJT送信内の複数の層が、同じTRPに属する同じ場所にあるパネルから送信されるか、または、それらの層が異なる物理的一にある複数のTRPから送信されるかは、基本的に重要ではない。したがって、パネル間の非コヒーレントな送信は、さらに詳述するように、TRP間の非コヒーレントな送信と同じフレームワークにおいて取り扱われるべきである。
【0121】
コヒーレントな送信のためのマルチパネルコードブック設計
LTEクラスAコードブックのようなDFTプリコーダコードブックは、各空間次元においてアンテナポートにわたって線形的に増大する位相を有するプリコーダベクトルを含む。そのようなコードブック設計は、位相較正され、各次元内で等間隔に離間したアンテナポートのアンテナ設定を黙示的に仮定する。この事例において、コードブックは、純粋な見通し線チャネルを仮定するアレイ応答に完璧に一致し、他の伝播条件について、支配的なチャネル経路の良好な表現を与える。したがって、未較正のマルチパネルアレイ、および/または、不均一なマルチパネルアレイの事例において、DFTコードブックの黙示的な仮定は破綻する。すなわち、複数のパネルのアンテナ素子にわたってLTEクラスAタイプDFTプリコーダを適用しても、チャネル応答の効率的な表現はもたらされ得ない。これは、いくつかの要因に起因する。
【0122】
1つのパネルの最後のアンテナ素子と、次のパネルの最初のアンテナ素子との間の間隔は、不均一なマルチパネルアレイでは、1つのパネル内のアンテナ素子間隔とは異なる。したがって、線形位相面を作成するためには、上記アンテナ素子間の位相シフトは、(DFTプリコーダの場合のような)
ではなく、
とする必要があり、ここで、kはDFTプリコーダインデックスであり、Nは1つの次元内のアンテナの数であり、Δ
panelは等間隔マルチパネルアレイ内のパネル間の距離と比較して追加されている、パネル間の距離である。この位相差は、無論、パネル距離が分かっている場合にはコードブック内で直接的に補償することができる(したがって、追加のコードブック構成要素が導入されることは回避される)が、パネル間の距離は、実施態様次第である。
【0123】
例として、異なるLO位相状態または周波数オフセットに起因してパネル間に追加の位相オフセットが存在する場合がある。最悪の事例においては、位相オフセットは完全にランダムであり得、したがって、[0,2π]内で均等に分布し得る。
【0124】
アンテナパネルにタイミング不整合がある場合、これは、周波数選択的位相オフセットを導入し得る。
【0125】
まず、最初の2つの位相オフセットは周波数に依存せず、したがって、補償は広帯域ベースで行われ得ることに留意する。次に、タイプI単一ビームCSIフィードバックについて、第2の位相オフセットは決して[0,2π]内に均一に分布し得ないため、第1の位相オフセットを明示的に補償する必要はないことに留意する。しかしながら、ビーム組み合わせを用いるタイプII CSIフィードバックについて、各ビームに対しては困難であり、ならびに、したがって、各ビームおよびパネルの別個の位相補償因子が必要とされ得るため、第1の位相オフセットは明示的にモデル化されるべきである。
【0126】
可能性のあるタイミング不整合に起因する周波数選択的位相オフセットを補償するために、アンテナパネルのサブバンドごとの共位相調整が必要とされ得る。しかしながら、これによって予期され得る性能と比較して多量のオーバヘッドを招くことになる。本質的には、タイプIの性能のみを達成しながら、タイプIIフィードバックのオーバヘッドを被ることになる。本発明の視点において、このオーバヘッドは正当化されず、任意のタイミング不整合は、UEフィードバックに組み込まれるのではなく、gNB実施態様によって解決されるべきである。
【0127】
所見として、広帯域パネル共位相調整を使用して、不均一なパネル間隔および異なるLO位相状態を補償することができ、パネル間のタイミング不整合を補償するために、周波数選択的パネル共位相調整が必要とされる。
【0128】
1つのパネル内でのプリコーディングについて、単一パネル事例と同じコードブックが使用されるべきである。すなわち、W1がビーム選択を含み、W2が偏波共位相調整を含むW1W2構造を有する通常の「LTEクラスA」のようなコードブックが使用されるべきである。アンテナパネルはコヒーレントな送信のために同一場所にあるべきであるため、パネルは、同じ伝播環境を考えるはずであり、したがって、W1およびW2の同じ選択が、すべてのパネルについて最適になるはずである。
【0129】
パネルが、デジタル実施態様ではなくアナログビーム形成を使用する場合、W2のみを用いる「LTEクラスB」のようなコードブックも、パネルごとのコードブックとして使用され得る。
【0130】
提案として
パネル間の均一に分布する広帯域位相オフセットが、コヒーレントなマルチパネルコードブックにおいて補償されるべきである。
【0131】
1つのパネル内のプリコーディングは、単一パネルコードブックを使用するべきである。
【0132】
周波数選択的パネル共位相調整はサポートされない。
【0133】
これらの提案に基づいて、コヒーレントなマルチパネルコードブックを設計することができる。
【0134】
説明を容易にするために、
図1に示すように、M
g=N
g=2であり、結果4つのアンテナパネルが使用されると仮定する。また以下において、パネルアレイのアンテナ素子は、以下によってインデックス付けされると仮定する。
i=M
gPNM・r
V+PNM・r
v+NM・p+M・n+m
式中、r
V=0,...,M
g-1は垂直パネルインデックスであり、r
H=0,...,N
g-1は水平パネルインデックスであり、m=0,...,M-1は1つのパネル内の垂直アンテナポートインデックスであり、n=0,...,N-1は1つのパネル内の水平アンテナポートインデックスであり、p=0,1は偏波インデックスである。すなわち、マルチパネルプリコーディング行列W
MPは、
となるように、構成パネルのプリコーディング行列W
P00、W
P10、W
P01、W
P11を積み重ねることによって構築される。
【0135】
パネル間位相オフセット補償は、長さM
gN
gのベクトル
によって記述することができ、
は、パネル(r
V,r
H)に対する位相補償である。W
1およびW
2の同じ選択をすべてのパネルについて行うことができると仮定すると、マルチパネルプリコーダ行列は、以下のように表現することができる。
【0136】
提案:コヒーレントなタイプIマルチパネルコードブックについて、三元W
3W
1W
2コードブック構造を使用することを考え、ここで、
および
が、広帯域ベースで選択され、
W
1W
2は、単一パネルコードブックに従う。
注記:例えばアナログパネルなど、M=N=1の場合はW
1=Iである。
【0137】
wPANEL/W3のコードブックの設計に対するいくつかの選択肢:
スカラー量子化:wPANELの各要素が独立して符号化され、PSKコンスタレーションから選定される。この結果として性能は最良になるが、より大きいW3オーバヘッドがもたらされる。
ベクトル量子化:wPANEL内の要素がともに符号化され、コードブックから選択される。
構造化されていないコードブック:パネル間の位相および不セットは無相関であるはずであるため、LTE 4TXハウスホルダランク1コードブックのような構造化されていないコードブックが良好に作用するはずである。
2D-DFTコードブック:参照のために、これは構造化されていないコードブックよりも性能が劣るはずである。
【0138】
コヒーレントなマルチパネルコードブックの評価結果
以下のシミュレーションにおいて、異なるW3コードブック設計を比較した結果を論じる。比較のための参照およびベースラインとして、複数のパネルにわたって適用されるMgM×NgNポートレイアウトを有するLTE Rel-13/14 DFTコードブックも評価する。評価されたW3コードブック設計、および、関連付けられるオーバヘッドが以下の表に提示される。すべてのマルチパネルコードブックについて、M×Nポートレイアウトを有するLTE Rel-13/14W1W2コードブックが、パネルごとに適用される。
【0139】
図10に示すような4つの4×4パネルを有するマルチパネルアンテナが、シミュレーションに使用されている。2×2サブアレイ仮想化がパネルごとに適用されており、結果、各パネルは8つのポートを含み、これは、合計32個のポートが使用されていることを意味する。性能は、100kBのパケットサイズを有するFTP1トラフィックモデルを使用して3GPP 3D UMi(Urban Micro)シナリオにおいて評価した。残りのシミュレーションパラメータは付属書に列挙されている。
【0140】
以下の表において、異なるコードブックのW1およびW3のオーバヘッドが列挙されている。
【0141】
評価結果は、下記の表に提示されており、50%RUにおける3GPP 3D UMiシナリオでの異なるコードブックの性能が示されている。見てとれるように、複数のパネルにわたって「Rel-13」のようなコードブックを適用することはそれほど効率的ではなく、マルチパネルコードブックにと比較して相対的に不十分な性能をもたらす。マルチパネルコードブックのうちのスカラー量子化W3コードブックは無論、オーバヘッドを考慮しても最良に機能する。ハウスホルダW3コードブックは、同じオーバヘッドで比較すると、2D-DFTコードブックよりもわずかに大きい利得を与える。
【0142】
観察
Rel-13のようなコードブックを複数のアンテナパネルにわたって適用することによって、オーバーサンプリング係数を増大させることによって、コードブック性能は増大しない。
パネル共位相調整のスカラー量子化は最良の性能をもたらす。
ハウスホルダコードブックは、同じオーバヘッドでDFTよりも良好に機能する。
【0143】
調査した方式間のフィードバックオーバヘッドにおける差は数広帯域ビットのみであるため、最良に機能する方式を求めることは理に適っている。以下が提案され得る。
wPANELコードブックについて、QPSKコンスタレーションを用いたパネル共位相調整係数のスカラー量子化を使用することを検討する。
【0144】
いくつかの結論
マルチパネル動作の適用可能性、ならびに、コヒーレントなマルチパネル送信のための提案および評価されているコードブック設計に関連して、以下の観察を考慮することができる。
NRが最大32個のアンテナポートしかサポートしない場合、明示的なマルチパネルサポートが必要とされるか否かは明確でない。
パネル間に周波数および/またはタイミングオフセットが存在する場合、誘起されるICIはパネル間のコヒーレントな送信を阻害する可能性がある。
広帯域パネル共位相調整を使用して、不均一なパネル間隔および異なるLO位相状態を補償することができる。
パネル間のタイミング不整合を補償するために、周波数選択的パネル共位相調整が必要とされる。
Rel-13のようなコードブックを複数のアンテナパネルにわたって適用することによって、オーバーサンプリング係数を増大させることによって、コードブック性能は増大しない。
パネル共位相調整のスカラー量子化は最良の性能をもたらす。
ハウスホルダコードブックは、同じオーバヘッドでDFTよりも良好に機能する。
【0145】
これらの観察に基づいて、以下の提案が導き出され得る。
パネル間の均一に分布する広帯域位相オフセットが、コヒーレントなマルチパネルコードブックにおいて補償されるべきである。
1つのパネル内のプリコーディングは、単一パネルコードブックを使用するべきである。
周波数選択的パネル共位相調整はサポートされない。
コヒーレントなタイプIマルチパネルコードブックについて、三元W
3W
1W
2コードブック構造を使用することを考え、ここで、
および
が、広帯域ベースで選択され、
W
1W
2は、単一パネルコードブックに従う。
注記:例えばアナログパネルなど、M=N=1の場合はW
1=Iである。
w
PANELコードブックについて、QPSKコンスタレーションを用いたパネル共位相調整係数のスカラー量子化を使用することを検討する。