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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】研磨物品を形成するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/00 20060101AFI20220201BHJP
   B24D 5/06 20060101ALI20220201BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B24D3/00 340
B24D5/06
B24D3/06 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019555429
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 US2017067683
(87)【国際公開番号】W WO2018125722
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-06-26
(31)【優先権主張番号】201611222046.3
(32)【優先日】2016-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】62/450,910
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010770
【氏名又は名称】サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】507169495
【氏名又は名称】サン-ゴバン アブラジフ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ジー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、アイウン
(72)【発明者】
【氏名】ゴサモ、イグナツィオ
(72)【発明者】
【氏名】スセク、ビビアン
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530417(JP,A)
【文献】特表2005-525242(JP,A)
【文献】特開平11-320417(JP,A)
【文献】特開2001-009734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 3/00、3/06
B24D 5/06、5/12
B24D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタル・ボンド・マトリックス及び前記メタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成するステップと、
形成後に前記物体の少なくとも一部分を溶浸させるステップと
を含み、
前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップは、同時に、前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素の前記物体を形成し、前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に接合するステップを含み、
溶浸させるステップは、前記物体の少なくとも一部分、前記コアの一部分、又は両方の一部分に、溶浸材料を付加するステップを含む、プロセス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素の少なくとも一部分を加熱するステップをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項3】
メタル・ボンド・マトリックス及び前記メタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成するステップであって、同時に、前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素の前記物体を形成し、前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に接合するステップを含む前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップと、
溶浸材料を含む少なくとも1つの溶浸材部分を形成するステップと、
前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成後に、前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素及び前記少なくとも1つの溶浸材部分を加熱して、前記前駆研磨構成要素を前記溶浸材料によって溶浸させ、少なくとも1つの研磨構成要素を前記コア上に形成するステップと
を含むプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップは、同時に複数の前駆研磨構成要素の物体を形成し、前記複数の前駆研磨構成要素を前記コアに接合するステップを含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記溶浸材料は、金属元素、金属合金、又はこれらの組合せを含む、請求項およびのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶浸材料は、Zn、Sn、Cu、Ag、Ni、Cr、Mn、Fe、Al、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項およびのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
加熱するステップは、少なくとも前記溶浸材料の溶融温度の温度で行われる、請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップは、メタル・ボンド材料及び前記研磨粒子を含む混合物に圧力を加えるステップを含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップは、単一のプレス成形動作を含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも1つの前駆研磨構成要素を前記コア上に形成するステップは、冷間プレス成形を含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
プレス成形は、少なくとも100MPa及び多くとも3000MPaを含む範囲内の圧力で行われる、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
プレス成形は、高くても200℃の温度で行われる、請求項9から11までのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの前駆研磨構成要素の前記物体は、
前記物体の総体積に対して、少なくとも10%及び多くとも50体積%の多孔度、
前記物体の総体積に対して、少なくとも2体積%及び多くとも50体積%の前記研磨粒子の含有率、並びに
前記物体の総体積に対して、少なくとも20体積%及び多くとも60体積%の前記メタル・ボンド・マトリックスの含有率を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの研磨構成要素は、前記研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも10重量%及び多くとも45重量%の前記溶浸材料の含有率、並びに前記研磨構成要素の総体積に対して、多くとも5体積%の多孔度を含む、請求項、およびからのいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、研磨物品を形成するプロセスに関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの研磨構成要素及びコアを含む研磨物品を形成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
建設業界では、建設材料を切断及び粉砕するために様々な工具を利用する。切断及び粉砕工具は、道路の古い区間を除去又は再仕上げするために必要とされる。加えて、床及び建物の正面に使用される石板などの仕上げ材料を採石及び準備するには、ドリル、切断、及び研磨のための工具が必要である。典型的には、これらの工具は、板又はホイールなどのコアに結合された研磨セグメントを含む。研磨セグメントは、典型的には、個々に形成され、次いで焼結、鑞付け、溶接などによってコアに結合される。研磨セグメントとコアとの間の結合が破損すると、研磨セグメント及び/又はコアの交換が必要になる可能性があり、その結果、休止時間及び生産性の損失が生じる。加えて、研磨セグメントの部分が作業領域から高速で放出されているとき、破損は安全上の問題を招く可能性がある。業界では、研磨工具の改善された形成を引き続き求めている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施例では、プロセスは、メタル・ボンド・マトリックス及びメタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することと、形成後に物体の少なくとも一部分を溶浸させることとを含むことができる。
【0004】
一実施例では、プロセスは、メタル・ボンド・マトリックス及びメタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することと、少なくとも1つの前駆研磨構成要素を形成しながら、溶浸材料を含む少なくとも1つの溶浸材部分を形成することと、少なくとも1つの前駆研磨構成要素及び少なくとも1つの溶浸材部分を加熱して、前駆研磨構成要素を溶浸材料によって溶浸させ、少なくとも1つの研磨構成要素をコア上に形成することとを含むことができる。
【0005】
本開示は、添付の図面を参照することによって、当業者にはよく理解され、その多数の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施例によるプロセスを含む流れ図である。
図2】一実施例による例示的な研磨物品プリフォームの図である。
図3】一実施例による例示的な研磨物品プリフォームの一部分の図である。
図4】別の実施例によるプロセスを含む流れ図である。
図5】一実施例による例示的な研磨物品の一部分の図である。
図6】本明細書の別の実施例による例示的な研磨物品の図である。
図7】一実施例によるカットオフ・ブレードの図である。
図8】一実施例による連続リムを含む切断ブレードの図である。
図9】一実施例によるカップ・ホイールの図である。
図10】一実施例によるターボ・ブレードの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
異なる図面での同じ参照記号の使用は、類似又は同一の項目を示す。
【0008】
以下は概して、コアに結合された少なくとも1つの研磨構成要素を有する研磨工具を形成するプロセスを対象とする。研磨構成要素は、研磨セグメント又は連続リムとすることができる。特に、このプロセスは、複数の前駆研磨構成要素をコア上に形成することを可能にすることができる単一のプレス成形ステップを含むことができる。このプロセスは、構成要素をコアに取り付けることを容易にするために、レーザ溶接、焼結、又は鑞付けなどの別個のステップを必ずしも必要としない。このプロセスは、コア上の少なくとも1つの前駆研磨構成要素を溶浸させて、コアに結合された少なくとも1つの研磨構成要素を有する研磨工具を形成することを含むことができる。本開示を読んだ後、実施例は研磨工具を形成する合理化されたプロセスを提供することが、当業者には理解されよう。さらに、このプロセスは、手持ち式の応用例におけるブレードに対するEN13236.2015などの安全規格に準拠する研磨工具の形成を可能にする。例示的な研磨工具には、カットオフ・ブレード又はコア・ドリルを含むことができる。
【0009】
図1は、例示的な研磨物品を形成するプロセスを示す流れ図を含む。このプロセスは、結合材料組成物を形成するステップ101から開始することができる。結合材料組成物は、遷移金属元素、合金、又はこれらの組合せなどの金属元素を含むことができる。例示的な金属元素又は合金は、鉄、鉄合金、タングステン、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、銀、及びこれらの任意の組合せを含むことができる。別法又は追加として、結合材料組成物は、セリウム、ランタン、及びネオジムなどの希土類元素を含むことができる。所望される場合、特定の応用例では、結合材料組成物は、炭化タングステンなどの耐摩耗性成分を含むことができる。所望の結合材料組成物は、異なる応用例に合わせて変動しうることが、当業者には理解されよう。一実施例によれば、結合材料組成物は、粉末の形態とすることができる。たとえば、結合材料組成物は、個々の成分の粒子又はプレアロイ粉を混ぜ合わせたものを含むことができる。粒子は、1.0ミクロン~250ミクロンとすることができる。
【0010】
ステップ103で、結合材料組成物及び研磨粒子を含む混合物を形成することができる。研磨粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、又はこれらの任意の組合せなどの超砥粒を含むことができる。特定の実施例では、超砥粒材料は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、又はこれらの任意の組合せからなることができる。
【0011】
一実施例では、充填剤などの他の材料を混合物に追加することができる。充填剤は、最終的に形成される研磨物品の特性を修正するため、又は形成プロセスを容易にするために、追加することができる。たとえば、研磨工具の耐摩耗性を改善するために、SiC、Alなどを含む充填剤を追加することができる。さらなる実施例では、充填剤は、グラファイトを含むことができる。充填剤は、最終的に形成される研磨物品内に存在してもしなくてもよい。充填剤は、粉末、顆粒、粒子、又はこれらの組合せの形態とすることができる。
【0012】
一実施例によれば、混合物は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる含有率で、充填剤を含むことができる。たとえば、充填剤の含有率は、混合物の総重量に対して、少なくとも1.5重量%、少なくとも2.5重量%、又は少なくとも4重量%など、少なくとも0.5重量%とすることができる。別の例では、充填剤の含有率は、混合物の総重量に対して、多くとも11重量%、多くとも9重量%、又は多くとも7.5重量%など、多くとも12重量%とすることができる。さらなる実施例では、充填剤の含有率は、本明細書に記載の最小又は最大の百分比のいずれかを含む範囲内とすることができる。たとえば、混合物の充填剤の含有率は、少なくとも0.5重量%及び多くとも12重量%とすることができる。
【0013】
一実施例によれば、混合物は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる含有率で、結合材料組成物を含むことができる。たとえば、混合物は、混合物の総重量に対して、少なくとも25重量%、少なくとも31重量%、少なくとも38重量%、少なくとも44重量%、少なくとも49重量%、又は少なくとも53重量%など、結合材料組成物の少なくとも20重量%を含むことができる。別の実例では、混合物は、混合物の総重量に対して、多くとも59重量%、多くとも51重量%、多くとも48重量%、又は多くとも44重量%など、結合材料組成物の多くとも65重量%を含むことができる。本開示を読んだ後、結合材料組成物の含有率は、所望される場合、異なる応用例によって変動しうることが、当業者には理解されよう。さらなる実例では、混合物は、混合物の総重量に対して、結合材料組成物の少なくとも20重量%及び多くとも65重量%を含むことができる。
【0014】
一実施例によれば、混合物は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる含有率で、研磨粒子を含むことができる。たとえば、混合物は、混合物の総重量に対して、少なくとも8重量%、少なくとも11重量%、少なくとも18重量%、少なくとも24重量%、少なくとも29重量%、又は少なくとも33重量%など、研磨粒子の少なくとも5重量%を含むことができる。別の実例では、混合物は、混合物の総重量に対して、多くとも49重量%、多くとも41重量%、多くとも38重量%、又は多くとも34重量%など、研磨粒子の多くとも55重量%を含むことができる。本開示を読んだ後、研磨粒子の含有率は、所望される場合、異なる動作によって変動しうることも、当業者には理解されよう。さらなる実施例では、混合物は、混合物の総重量に対して、研磨粒子の少なくとも5重量%及び多くとも55重量%を含むことができる。
【0015】
一実施例では、研磨粒子は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる平均粒径を有することができる。たとえば、平均粒径は、少なくとも35ミクロン、少なくとも40ミクロン、少なくとも45ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも55ミクロン、少なくとも60ミクロン、少なくとも70ミクロン、少なくとも80ミクロン、少なくとも85ミクロン、少なくとも95ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも125ミクロン、少なくとも140ミクロン、又は少なくとも180ミクロンなど、少なくとも30ミクロンとすることができる。別の実施例では、研磨粒子の平均粒径は、多くとも860ミクロン、多くとも750ミクロン、多くとも700ミクロン、多くとも620ミクロン、多くとも500ミクロン、多くとも450ミクロン、多くとも400ミクロン、多くとも350ミクロン、多くとも280ミクロン、又は多くとも250ミクロンなど、多くとも900ミクロンとすることができる。研磨粒子の平均粒径は、本明細書に開示する最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができることを理解されたい。たとえば、研磨粒子の平均粒径は、少なくとも30ミクロン及び多くとも900ミクロンを含む範囲内とすることができる。研磨粒子径は、研磨物品の応用例に応じて変動しうる。たとえば、ダイヤモンドを含む研磨粒子を必要とする特定の応用例の場合、粗い研磨粒子が所望されることがある。
【0016】
ステップ105で、前駆研磨セグメント又は連続リムなどの少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することを実行することができる。本明細書では、前駆とは、最終的に形成されたものではない物品又は物品の一部分を示すことを意図したものである。前駆研磨構成要素は、溶浸されていない研磨構成要素であると理解することができる。一実施例によれば、少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、ステップ103で得られた混合物を物体に成形し、同時に物体をコアに接合することを含むことができる。一実施例では、モールド型など、所望の形状を提供することが可能な成形デバイスを使用することができる。混合物は、モールド型内に、たとえば研磨セグメント又は連続リムに対する所望の形状を有する領域内に配置することができる。いくつかの応用例では、モールド型は、複数の前駆研磨セグメントを成形及び形成することを容易にするために、複数のセグメントを含むことができる。
【0017】
別の実施例によれば、モールド型内にコアを配置して、混合物に接触させることができる。応用例に応じて、コアは、固体の金属ディスクなど、リング、リング区間、板、カップ・ホイール体、又はディスクの形態とすることができる。コアは、薄い横断面を有するコアの場合、25CrMo4、75Cr1、C60、鋼鉄65Mn、若しくは類似の合金鋼などの熱処理形合金鋼を含むことができ、又は厚いコアの場合、St60のような簡単な構造の鋼鉄を含むことができる。コアの引張り強度は、少なくとも約600N/mmとすることができる。好適なコアは、当技術分野で知られている様々な冶金技法によって形成することができる。
【0018】
別の実施例によれば、前駆研磨構成要素を成形してコアに接合することを容易にするために、混合物に圧力を加えることができる。一実施例によれば、少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、単一のプレス成形動作を含むことができる。プレス成形には、熱間プレス成形、冷間プレス成形、静水圧プレス成形などを含むことができる。特定の実施例では、プレス成形は、冷間プレス成形を含むことができる。特定の従来のプロセスとは異なり、冷間プレス成形を実行することで、混合物を成形して、グリーン体を有する少なくとも1つの前駆研磨構成要素にし、同時にグリーン体をコアに直接接合して、研磨物品プリフォームを形成することができる。本明細書では、物体について説明するグリーンという用語は、最終的に形成されたものではない物体を指すことを意図したものである。たとえば、グリーン体とは、前駆研磨構成要素の溶浸されていない物体であると理解することができる。より詳細には、少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、単一の冷間プレス成形動作を含むことができる。特定の実施例では、単一の冷間プレス成形動作を実行して、前駆連続リムをコア上に形成し、同時にリムをコアに直接接合することができる。別の特定の実施例では、単一の冷間プレス成形動作を実行して、複数の前駆研磨セグメントを形成し、同時に複数の研磨セグメントをコアに直接接合することができる。
【0019】
図2は、コア202に直接取り付けられた複数の前駆研磨セグメント201を含む例示的な研磨物品プリフォーム200の図を含む。各前駆研磨セグメント201は、物体210を含むことができる。
【0020】
少なくとも1つの実施例によれば、冷間プレス成形などのプレス成形は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる特定の圧力で実施することができる。たとえば、圧力は、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも700MPa、又は少なくとも900MPaとすることができる。別の例では、プレス成形は、多くとも2800MPa、多くとも2500MPa、多くとも2250MPa、多くとも1850MPa、又は多くとも1500MPaなど、多くとも3000MPaの圧力で実行することができる。プレス成形は、本明細書に開示する最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内の圧力で実行することができることを理解されたい。たとえば、プレス成形は、少なくとも700MPa及び多くとも2250MPaを含む範囲内又は少なくとも900MPa及び多くとも1850MPaを含む範囲内など、少なくとも100MPa及び多くとも3000MPaを含む圧力で実行することができる。別の実施例では、プレス成形は、少なくとも100MPa及び多くとも1500MPaを含む圧力で実行することができる。
【0021】
少なくとも1つの実施例によれば、冷間プレス成形などのプレス成形は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる温度で実施することができる。たとえば、プレス成形は、多くとも200℃、多くとも165℃、多くとも115℃、又は多くとも50℃の温度で実行することができる。別の例では、温度は、少なくとも10℃とすることができる。プレス成形は、本明細書に開示する最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内の温度で実行することができることを理解されたい。たとえば、プレス成形は、少なくとも15℃及び多くとも50℃を含む範囲内など、少なくとも10℃及び多くとも200℃を含む範囲内の温度で実行することができる。少なくとも1つの実施例によれば、プレス成形は、周囲雰囲気、還元雰囲気、又は不活性雰囲気中で実行することができる。特定の実施例では、プレス成形は、室温(たとえば、15℃~32℃)において周囲雰囲気中で実行することができる。
【0022】
一実施例によれば、前駆研磨構成要素は、メタル・ボンド・マトリックス及びメタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有するグリーン体を含むことができる。メタル・ボンド・マトリックスは、本明細書に開示する任意の結合材料組成物を含むことができる。特定の実施例では、メタル・ボンド・マトリックスは、Cu、Sn、Ni、カルボニル鉄、又はこれらの組合せを含む結合材料組成物を含むことができる。
【0023】
特定の実施例によれば、メタル・ボンド・マトリックスは、式(WC)FeCr(1-w-x-y-z)によって表すことができる結合材料組成物を含むことができ、上式で、0≦w≦0.8、0≦x≦0.7、0≦y≦0.8、0≦z≦0.05、w+x+y+z≦1であり、Xは、コバルト及びニッケルなどの他の金属を含むことができる。別の特定の実施例によれば、メタル・ボンド・マトリックスは、式(WC)FeCrAg(1-v-w-x-y-z)によって表される結合材料組成物を含むことができ、上式で、0≦w≦0.5、0≦x≦0.4、0≦y≦1.0、0≦z≦0.05、0≦v≦0.1、v+w+x+y+z≦1であり、Xは、コバルト及びニッケルなどの他の金属を含むことができる。
【0024】
別の実施例によれば、前駆研磨構成要素は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる特定の多孔度を有するグリーン体を含むことができる。一実例では、前駆体の多孔度は、物体の総体積に対して、少なくとも13体積%、少なくとも20体積%、少なくとも28体積%、少なくとも34体積%、少なくとも42体積%、少なくとも48体積%、又は少なくとも50体積%など、少なくとも10%とすることができる。別の実例では、前駆体の多孔度は、物体の総体積に対して、多くとも46体積%、多くとも43体積%、多くとも38体積%、多くとも33体積%、多くとも28体積%、又は多くとも20体積%など、多くとも50体積%とすることができる。前駆体の多孔度は、本明細書に開示する最小及び最大の百分比のいずれかを含む範囲内とすることができることを理解されたい。たとえば、多孔度は、10体積%~50体積%とすることができる。別の実施例によれば、前駆研磨構成要素は、網目状に相互連結された孔を含む物体を含むことができる。
【0025】
図1を参照すると、プロセスは、少なくとも1つの前駆研磨構成要素物体の少なくとも一部分を溶浸させるステップ107へ進むことができる。一実施例によれば、溶浸は、少なくとも物体の一部分、コアの一部分、又は両方の一部分に、溶浸材料を付加することを含むことができる。図3は、研磨物品プリフォーム300の一部分の図を含む。前駆研磨セグメント301が、コア302に取り付けられている。前駆研磨セグメント301は、物体310を含み、物体310は、頂面311、側面313及び314、外周面315、並びに内周面316を含む。溶浸材料は、溶浸材料が物体に接触している限り、物体のあらゆる表面に付加することができる。たとえば、応用例を容易にするために、溶浸材料を頂面311に付加することができる。
【0026】
一実施例では、溶浸材料は、金属、金属合金、又はこれらの組合せを含むことができる。特に、溶浸材料は本質的に、金属、金属合金、又はこれらの組合せからなることができる。例示的な金属は、遷移金属元素、遷移金属元素を含む合金、又はこれらの組合せを含むことができる。特定の実施例では、溶浸材料は、Zn、Sn、Cu、Ag、Ni、Cr、Mn、Fe、Al、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。たとえば、溶浸材料は、銅を含むことができ、特定の応用例では、溶浸材料は、純銅とすることができる。別の実例では、溶浸材料は、Ag、Ni、Cr、又はこれらの組合せを含むことができる。さらなる実例では、溶浸材料は、NiCrなどの鑞付け合金、又はCu、Ag、Sn、及びTiのうちの少なくとも1つを含む合金を含むことができる。
【0027】
例示的な実施例では、溶浸材料は、銅-スズ青銅、銅-スズ-亜鉛合金、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。特に、銅-スズ青銅のスズ含有率は、35重量%以下など、20重量%以下とすることができる。いくつかの例では、銅-青銅は、スズを含まなくてもよい。さらに、銅-スズ青銅中のスズ含有率は、少なくとも3重量%など、少なくとも1重量%とすることができる。同様に、銅-スズ-亜鉛合金のスズ含有率は、15重量%以下などの、20重量%以下とすることができる。別法又は追加として、銅-スズ-亜鉛合金中のスズ含有率は、少なくとも3重量%など、少なくとも1重量%とすることができる。銅-スズ-亜鉛合金の亜鉛含有率は、1重量%以下など、2重量%以下とすることができる。銅-スズ-亜鉛合金中の亜鉛含有率は、少なくとも2重量%など、少なくとも0.5重量%とすることができる。
【0028】
さらなる実施例によれば、溶浸材料は、合金の総重量に対して、多くとも45重量%、多くとも40重量%、又は多くとも35重量%など、多くとも50重量%のスズを含む合金を含むことができる。別の実施例では、溶浸材料は、スズを含まなくてもよい。たとえば、溶浸材料は、0重量%~50重量%のスズを含む合金を含むことができる。別の実施例では、溶浸材料は、合金の総重量の多くとも20重量%の含有率で亜鉛を含む合金を含むことができる。さらに別の実施例では、溶浸材料は、亜鉛を含有しなくてもよい。さらなる実施例では、溶浸材料は、0重量%~20重量%の亜鉛を含む合金を含むことができる。
【0029】
さらなる実施例によれば、溶浸材料の融点は、少なくとも600℃、少なくとも720℃、少なくとも860℃、又は少なくとも950℃など、少なくとも580℃とすることができる。別の実施例では、溶浸材料の融点は、1200℃以下、1120℃以下、1030℃以下、980℃以下など、1200℃以下とすることができる。さらなる実施例では、溶浸材料の融点は、580℃~1200℃とすることができる。
【0030】
一実施例では、溶浸材料は、粉末を含むことができる。別の実施例では、溶浸材料は、塊状の合金とすることができる。たとえば、溶浸材料は、金属シートとすることができる。さらに別の実施例では、溶浸材料は、所望の金属成分の粉末を冷間プレス成形することによって形成することができる。粉末は、個々の成分の粒子又はプレアロイ粉を含むことができる。粒子のサイズは、約100ミクロン以下とすることができる。別法として、溶浸材料は、当技術分野で知られている他の冶金技法によって形成することができる。
【0031】
一実施例によれば、溶浸を容易にするために、前駆構成要素の物体の少なくとも一部分に熱を加えることができる。いくつかの実施例では、研磨物品プリフォームを加熱することができる。加熱は、バッチ炉又はトンネル炉などの炉内で実施することができる。加熱は、溶浸材料が付加されて、溶浸が完了するまで維持された後に、実行することができる。一実施例によれば、加熱は、少なくとも5分間から多くとも10時間にわたって実行することができる。
【0032】
熱は、溶浸を容易にすることができる温度で加えることができる。たとえば、加熱は、少なくとも溶浸材料の融点であるがメタル・ボンド・マトリックス及びコアの融点を下回る温度で実行することができる。たとえば、加熱は、少なくとも700℃、少なくとも800℃、少なくとも860℃、少なくとも900℃、少なくとも920℃、少なくとも960℃、又は少なくとも1000℃など、少なくとも600℃の温度で実行することができる。別の例では、加熱は、多くとも1260℃、多くとも1180℃、多くとも1120℃、又は多くとも1050℃など、多くとも1320℃の温度で実行することができる。加熱は、本明細書に記載の最小値及び最大値のいずれかを含む温度で実行することができることを理解されたい。たとえば、熱は、少なくとも860℃及び多くとも1320℃を含む範囲内、少なくとも900℃及び多くとも1260℃を含む範囲内、少なくとも920℃及び多くとも1180℃を含む範囲内、少なくとも960℃及び多くとも1120℃を含む範囲内、又は少なくとも980℃及び多くとも1050℃を含む範囲内など、少なくとも600℃及び多くとも1350℃を含む範囲内の温度で加えることができる。
【0033】
別の実施例によれば、加熱は、還元雰囲気、不活性雰囲気、又は周囲雰囲気中で実行することができる。典型的には、還元雰囲気は、酸素に反応するように、一定量の水素を含有することができる。
【0034】
一実施例によれば、溶浸材料が溶融するにつれて、毛管作用などによって、液体の溶浸材料を前駆研磨構成要素の孔の中へ吸い込むことができる。溶浸材料は、孔に溶浸し、実質上孔を充填して、研磨構成要素を形成することができる。一実施例によれば、研磨構成要素は、高密度の物体を有することができる。物体の多孔度は、物体の総体積に対して、多くとも4体積%又は多くとも3体積%など、多くとも5体積%とすることができる。別の実施例によれば、研磨構成要素物体の多孔度は、物体の総体積に対して、少なくとも0.001体積%又は少なくとも0.005体積%など、0より大きくすることができる。さらなる実施例では、研磨構成要素物体の多孔度は、0体積%とすることができる。
【0035】
一実施例によれば、研磨構成要素は、メタル・ボンド・マトリックス内に研磨粒子が埋め込まれた物体を含むことができる。メタル・ボンド・マトリックスは、網目状に相互連結された孔、又は溶浸材料によって部分的若しくは実質上完全に充填された孔を有することができる。結合領域は、コアと研磨構成要素との間に位置することができ、溶浸材料を含むことができる。
【0036】
一実施例によれば、研磨構成要素は、研磨物品の改善された形成を容易にすることができる特定の含有率のメタル・ボンド・マトリックスを含む物体を含むことができる。たとえば、メタル・ボンド・マトリックスの含有率は、物体の総体積に対して、少なくとも18体積%、少なくとも20体積%、少なくとも25体積%、少なくとも27.5体積%、少なくとも35体積%、又は少なくとも40体積%など、少なくとも15体積%とすることができる。別の例では、研磨構成要素の物体のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、物体の総体積に対して、多くとも52体積%、多くとも48体積%、又は少なくとも40体積%など、多くとも60体積%とすることができる。研磨構成要素は、本明細書に含まれる最小及び最大の百分比を含む含有率でメタル・ボンド・マトリックスを含む物体を含むことができることを理解されたい。たとえば、メタル・ボンド・マトリックスは、物体の総体積に対して、少なくとも15体積%及び多くとも60体積%を含む範囲内で、研磨構成要素の物体内に存在することができる。
【0037】
別の実施例によれば、物体のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも20重量%、少なくとも22重量%、又は少なくとも25重量%など、少なくとも15重量%とすることができる。別の実施例では、研磨構成要素物体のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、研磨セグメントの総重量に対して、多くとも40重量%、多くとも35重量%、又は多くとも30重量%など、多くとも45重量%とすることができる。研磨構成要素は、本明細書に含まれる最小及び最大の百分比を含む含有率でメタル・ボンド・マトリックスを含む物体を含むことができることを理解されたい。たとえば、メタル・ボンド・マトリックスは、物体の総重量に対して、少なくとも15重量%及び多くとも45重量%を含む範囲内で、研磨セグメントの物体内に存在することができる。
【0038】
一実施例によれば、研磨構成要素の物体は、改善された特性及び/又は性能を有する研磨物品の形成を容易にすることができる特定の含有率の研磨粒子を含むことができる。たとえば、研磨粒子は、物体の総体積に対して、少なくとも8体積%、少なくとも12体積%、少なくとも18体積%、少なくとも21体積%、少なくとも27体積%、少なくとも33体積%、少なくとも37体積%、又は少なくとも42体積%など、少なくとも2体積%の量で存在することができる。別の実例では、研磨粒子は、多くとも42体積%、多くとも38体積%、多くとも33体積%、多くとも28体積%、又は多くとも25体積%など、多くとも50体積%の量で存在することができる。研磨粒子は、本明細書に開示する最小及び最大の百分比のいずれかを含む含有率で、研磨構成要素の物体内に存在することができる。たとえば、研磨粒子は、2体積%~50体積%の含有率とすることができる。加えて、研磨粒子の含有率は、応用例に依存することができる。たとえば、粉砕又は研磨工具の研磨構成要素は、構成要素物体の総体積に対して、3.75~50体積%の研磨粒子を含むことができる。別法として、切断工具の研磨構成要素は、構成要素物体の総体積に対して、2体積%~6.25体積%の研磨粒子を含むことができる。さらに、コア・ドリルのための研磨構成要素は、構成要素物体の総体積に対して、約6.25体積%~20体積%の研磨粒子を含むことができる。
【0039】
別の実施例によれば、研磨構成要素の物体の研磨粒子の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも5重量%、少なくとも7重量%、又は少なくとも10重量%など、少なくとも2重量%とすることができる。別の実施例では、研磨構成要素の物体の研磨粒子の含有率は、物体の総重量に対して、多くとも10重量%、多くとも7重量%、又は多くとも5重量%など、多くとも15重量%とすることができる。さらなる実施例では、研磨構成要素物体の研磨粒子の含有率は、構成要素物体の総重量に対して、少なくとも2重量%及び多くとも15重量%の範囲内とすることができる。
【0040】
別の実施例によれば、研磨構成要素の物体は、改善された特性及び/又は性能を有する研磨物品の形成を容易にすることができる特定の含有率の溶浸材料を含むことができる。たとえば、物体は、物体の総体積に対して、少なくとも20体積%、少なくとも25体積%、又は少なくとも30体積%の溶浸材料など、少なくとも15体積%の溶浸材料を含むことができる。別の例では、物体は、物体の総体積に対して、多くとも65体積%、多くとも60体積%、多くとも55体積%、又は多くとも50体積%の溶浸材料など、多くとも70体積%の溶浸材料を含むことができる。物体は、本明細書に開示する最小及び最大の百分比のいずれかを含む含有率で、溶浸材料を含むことができることを理解されたい。たとえば、研磨構成要素の物体は、少なくとも20体積%から多くとも65体積%など、少なくとも15体積%から多くとも70体積%の含有率で、溶浸材料を含むことができる。
【0041】
別の実施例によれば、物体の溶浸材料の含有率は、物体の総重量に対して、少なくとも13重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも32重量%、少なくとも38重量%、少なくとも42重量%、又は少なくとも45重量%など、少なくとも10重量%とすることができる。別の実施例では、物体の溶浸材料の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、多くとも45重量%、多くとも41重量%、多くとも38重量%、多くとも32重量%、多くとも28重量%、又は多くとも25重量%など、多くとも50重量%とすることができる。さらなる実施例では、物体は、研磨構成要素物体の総重量の少なくとも10重量%及び多くとも45重量%の含有率で、溶浸材料を含むことができる。
【0042】
図4は、例示的な研磨物品を形成する代替のプロセスを示す流れ図を含む。プロセスは、本明細書に開示する101及び103と同じステップを含むことができる。ステップ405で、溶浸材料を含む少なくとも1つの溶浸材部分を形成しながら、少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することを実行することができる。
【0043】
一実施例によれば、前駆研磨構成要素及び溶浸材部分の同時形成を可能にするために、上述したように混合物に圧力を加える前に、混合物に溶浸材料を付与することができる。溶浸材料は、混合物に直接接触することができる。複数の前駆研磨構成要素の形成が所望されるとき、複数の溶浸材部分を同時に形成することができる。特に、各前駆研磨構成要素が、溶浸材部分に接触することができる。溶浸材料を混合物に付与した後、プロセスは、上述したように圧力を印加することに進むことができる。
【0044】
ステップ409で、少なくとも1つの前駆研磨構成要素及び溶浸材部分の形成後、前駆研磨構成要素物体の溶浸を容易にするために、熱を加えることができる。一実施例によれば、少なくとも1つの前駆研磨構成要素及び少なくとも1つの溶浸材部分に熱を加えることができる。加熱は、上述したように実行することができる。溶浸が完了した後、コア上の少なくとも1つの研磨セグメントを形成することができる。
【0045】
本明細書の実施例によれば、結合領域は、コア及び研磨構成要素のどちらとも別個の相を有する特定可能な界面層を形成することができる。結合領域は、溶浸材料を含むことができる。特に、結合領域は、溶浸材料と同じ組成を有することができる。図5は、研磨物品500の一部分の図を含む。研磨物品500は、コア502、結合領域506、及び研磨セグメント504を含む。図6は、研磨物品600の一部分の図を含む。研磨物品600は、コア602、結合領域606、及び連続リム604を含む。
【0046】
本明細書の実施例によって形成される研磨物品は、コアに結合された少なくとも1つの研磨構成要素を有する研磨工具を含むことができる。応用例に応じて、研磨物品は、コアに結合された複数の研磨セグメントを含む工具とすることができる。研磨物品はまた、コアに結合された連続リムを含む工具とすることができる。研磨物品は、コンクリートを切断するのこぎりなど、建設材料を切断する切断工具とすることができる。別法として、研磨工具は、コンクリート若しくは焼成粘土の粉砕又はアスファルトの除去などのための粉砕工具とすることができる。図7~10は、本明細書の実施例によって形成された例示的な研磨物品の写真を含む。物品は、図の順序で、カットオフ・ブレード、連続ブレード、カップ・ホイール、及びターボ・ブレードである。
【0047】
多くの異なる態様及び実施例が可能である。それらの態様及び実施例のうちのいくつかを、本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、それらの態様及び実施例は例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定するものではないことが、当業者には理解されよう。実施例は、以下に挙げる実施例のうちのいずれか1つ又は複数によって行うことができる。
【0048】
「実施例1」
メタル・ボンド・マトリックス及びメタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することと、形成後に物体の少なくとも一部分を溶浸させることと
を含むプロセス。
【0049】
「実施例2」
溶浸は、少なくとも物体の一部分、コアの一部分、又は両方の一部分に、溶浸材料を付加することを含む、実施例1に記載のプロセス。
【0050】
「実施例3」
少なくとも1つの前駆構成要素の少なくとも一部分を加熱することをさらに含む、実施例1又は2に記載のプロセス。
【0051】
「実施例4」
少なくとも1つの研磨構成要素をコア上に形成することを含む、実施例1から3までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0052】
「実施例5」
メタル・ボンド・マトリックス及びメタル・ボンド・マトリックス内に含有された研磨粒子を有する物体を含む少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することと、
少なくとも1つの前駆研磨構成要素を形成しながら、溶浸材料を含む少なくとも1つの溶浸材部分を形成することと、
少なくとも1つの前駆研磨セグメント及び少なくとも1つの溶浸材部分を加熱して、前駆研磨構成要素を溶浸材料によって溶浸させ、少なくとも1つの研磨構成要素をコア上に形成することと
を含むプロセス。
【0053】
「実施例6」
前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、同時に物体を形成し、前駆研磨構成要素をコアに接合することを含む、実施例1から5までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0054】
「実施例7」
溶浸材料は、金属又は金属合金を含む、実施例2から6までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0055】
「実施例8」
溶浸材料は本質的に、金属又は金属合金からなる、実施例2から7までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0056】
「実施例9」
溶浸材料は、遷移金属元素、遷移金属元素を含む合金、又はこれらの組合せを含む、実施例2から8までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0057】
「実施例10」
溶浸材料は、Zn、Sn、Cu、Ag、Ni、Cr、Mn、Fe、Al、又はこれらの任意の組合せを含む、実施例2から9までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0058】
「実施例11」
加熱は、少なくとも溶浸材料の溶融温度で実行される、実施例3から10までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0059】
「実施例12」
加熱は、少なくとも600℃、少なくとも700℃、少なくとも800℃、少なくとも860℃、少なくとも900℃、少なくとも920℃、少なくとも960℃、又は少なくとも1000℃の温度で実行される、実施例3から11までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0060】
「実施例13」
加熱は、多くとも1320℃、多くとも1260℃、多くとも1180℃、多くとも1120℃、又は多くとも1050℃の温度で実行される、実施例3から12までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0061】
「実施例14」
加熱は、少なくとも860℃及び多くとも1320℃を含む範囲内、少なくとも900℃及び多くとも1260℃を含む範囲内、少なくとも920℃及び多くとも1180℃を含む範囲内、少なくとも960℃及び多くとも1120℃を含む範囲内、又は少なくとも980℃及び多くとも1050℃を含む範囲内の温度で実行される、実施例3から13までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0062】
「実施例15」
加熱は、還元雰囲気、不活性雰囲気、又は周囲雰囲気中で実行される、実施例3から14までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0063】
「実施例16」
メタル・ボンド材料及び研磨粒子を含む混合物を形成することをさらに含む、実施例1から15までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0064】
「実施例17」
メタル・ボンド・マトリックスは、金属元素又は合金を含む、実施例1から16までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0065】
「実施例18」
メタル・ボンド・マトリックスは、遷移金属元素を含む、実施例1から17までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0066】
「実施例19」
少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、混合物に圧力を加えることを含む、実施例16から18までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0067】
「実施例20」
少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、単一のプレス成形動作を含む、実施例1から19までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0068】
「実施例21」
少なくとも1つの前駆研磨構成要素をコア上に形成することは、冷間プレス成形を含む、実施例1から20までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0069】
「実施例22」
プレス成形は、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも700MPa、又は少なくとも900MPaの圧力で実行される、実施例20又は21に記載のプロセス。
【0070】
「実施例23」
プレス成形は、多くとも3000MPa、多くとも2500MPa、多くとも2250MPa、多くとも1850MPa、又は多くとも1500MPaの圧力で実行される、実施例20から22までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0071】
「実施例24」
プレス成形は、少なくとも100MPa及び多くとも3000MPaを含む範囲内又は少なくとも100MPa及び多くとも1500MPaを含む範囲内の圧力で実行される、実施例20から23までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0072】
「実施例25」
プレス成形は、多くとも200℃、多くとも165℃、多くとも115℃、又は多くとも50℃の温度で実行される、実施例20から24までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0073】
「実施例26」
プレス成形は、周囲雰囲気、還元雰囲気、又は不活性雰囲気中で実行される、実施例20から25までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0074】
「実施例27」
前駆研磨構成要素の物体の多孔度は、物体の総体積に対して、少なくとも13体積%、少なくとも20体積%、少なくとも28体積%、少なくとも34体積%、少なくとも42体積%、少なくとも48体積%、又は少なくとも50体積%など、少なくとも10%である、実施例1から26までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0075】
「実施例28」
前駆研磨構成要素の物体の多孔度は、物体の総体積に対して、多くとも46体積%、多くとも43体積%、多くとも38体積%、多くとも33体積%、多くとも28体積%、又は多くとも20体積%など、多くとも50体積%である、実施例1から27までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0076】
「実施例29」
前駆研磨構成要素の物体の研磨粒子の含有率は、物体の総体積に対して、少なくとも7.5体積%、少なくとも12.5体積%、少なくとも20体積%、少なくとも27.5体積%、又は少なくとも35体積%など、少なくとも2体積%である、実施例1から28までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0077】
「実施例30」
前駆研磨構成要素の物体の研磨粒子の含有率は、物体の総体積に対して、多くとも45体積%、多くとも37.5体積%、多くとも33.5体積%、又は多くとも30体積%など、多くとも50体積%である、実施例1から29までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0078】
「実施例31」
研磨粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、又はこれらの任意の組合せを含む超砥粒を含む、実施例1から30までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0079】
「実施例32」
前駆研磨構成要素の物体のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、物体の総体積に対して、少なくとも27.5体積%、少なくとも35体積%、又は少なくとも40体積%など、少なくとも20体積%である、実施例1から31までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0080】
「実施例33」
前駆研磨構成要素の物体のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、物体の総体積に対して、多くとも52体積%、多くとも48体積%、又は少なくとも40体積%など、多くとも60体積%である、実施例1から32までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0081】
「実施例34」
研磨セグメントの研磨粒子の含有率は、2体積%~50体積%の範囲内である、実施例3から33までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0082】
「実施例35」
研磨セグメントの溶浸材料の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも13重量%、少なくとも16重量%、少なくとも18重量%、少なくとも23重量%など、少なくとも10重量%である、実施例3から34までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0083】
「実施例36」
研磨セグメントの溶浸材料の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、多くとも45重量%、多くとも41重量%、多くとも38重量%、多くとも32重量%、多くとも28重量%、又は多くとも25重量%である、実施例3から35までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0084】
「実施例37」
研磨セグメントのメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも20重量%、少なくとも22重量%、又は少なくとも25重量%など、少なくとも15重量%である、実施例3から36までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0085】
「実施例38」
研磨構成要素のメタル・ボンド・マトリックスの含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、多くとも40重量%、多くとも35重量%、又は多くとも30重量%など、多くとも45重量%である、実施例3から37までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0086】
「実施例39」
研磨構成要素の研磨粒子の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7重量%、又は少なくとも10重量%である、実施例3から38までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0087】
「実施例40」
研磨構成要素の研磨粒子の含有率は、研磨構成要素の総重量に対して、多くとも15重量%、多くとも10重量%、多くとも7重量%、又は多くとも5重量%である、実施例3から39までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0088】
「実施例41」
研磨構成要素の多孔度は、多くとも5体積%、多くとも4体積%、又は多くとも3体積%である、実施例3から40までのいずれか1つに記載のプロセス。
【0089】
これらの実施例は、現況技術からの脱却を表す。特に、本明細書の実施例は、カットオフ・ブレード及び切断ホイールなどの研磨物品を形成する合理化されたプロセスに関係する。本明細書の実施例によって形成される研磨物品が、より良好な機械的強度及び研磨物品のコアと研磨セグメントとの間の破壊又は破損に対するさらなる耐性を有することができる。代表的なカットオフ・ブレード及びカップ・ホイールは、鑞付け及びレーザ溶接などの従来の方法を使用して形成された対応する工具と比べて同等の切断及び粉砕性能、並びに焼結によって形成された工具と比べてより良好な性能を実証した。
【0090】
本明細書及び本明細書に記載する実施例の図は、様々な実施例の構造について概略的な理解を提供することを意図したものである。本明細書及び図は、本明細書に記載する構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴のすべてについての網羅的及び包括的な説明として働くことを意図したものではない。また、単一の実施例と組み合わせて別個の実施例を提供することができ、逆に、簡潔にするために単一の実施例の文脈で記載されている様々な特徴を、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供することもできる。さらに、範囲内に記載されている値への参照は、その範囲内のあらゆる値を含む。本明細書を読んだ後のみ、多くの他の実施例が当業者には明らかになるであろう。他の実施例を本開示から使用及び導出することもでき、したがって本開示の範囲から逸脱することなく、構造上の置換え、論理的な置換え、又は別の変更を加えることができる。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。利益、他の利点、及び問題に対する解決策について、特有の実施例に関連して上述した。しかし、利益、利点、問題に対する解決策、及び何らかの利益、利点、又は解決策を得ることができ又はより顕著にすることができるあらゆる特徴は、請求項のいずれか又はすべての重要、必要、又は本質的な特徴であると解釈されるべきではない。
【0091】
本説明は、図と組み合わせて、本明細書に開示する教示の理解を助けるために提供されたものである。以下の議論は、これらの教示の特有の実装例及び実施例に焦点を当てる。この焦点は、これらの教示についての説明を助けるために提供されたものであり、これらの教示の範囲又は適用可能性に対する限定であると解釈されるべきではない。しかし、この応用例では他の教示も確かに使用することができる。
【0092】
本明細書では、「含む、備える(comprises)」、「含んでいる、備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変化形は、排他的でない包含を含むことを意図したものである。たとえば、一連の特徴を含む方法、物品、又は装置は、それらの特徴に必ずしも限定されるものではなく、明示されていない又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有でない他の特徴を含むこともできる。さらに、逆の内容が明示されない限り、「又は(or)」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を指す。たとえば、条件A又はBは、Aは真であり(又は存在する)且つBは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在しない)且つBは真である(又は存在する)、及びA及びBはどちらも真である(又は存在する)、のうちのいずれか1つによって満たされる。
【0093】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載する要素及び構成要素について説明するために用いられる。これは、本発明の範囲の概略的な感覚を与えるために、便宜上用いるだけである。そうでないことを意味することが明らかでない限り、本説明は1つ又は少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、単数形は複数形も含み、又は逆も同様である。たとえば、単一の項目について本明細書に記載されているとき、単一の項目の代わりに2つ以上の項目を使用することができる。同様に、2つ以上の項目について本明細書に記載されているとき、2つ以上の項目を単一の項目に置き換えることもできる。
【0094】
別途定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者には一般に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実例は、例示のみを目的とし、限定的であることを意図したものではない。本明細書に記載されていない範囲では、特有の材料及び処理動作に関する多くの詳細は従来どおりであり、建築技術及び対応する製造技術の範囲内の参考書籍及び他の出典から見出すことができる。
【0095】
上記で開示した主題は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような修正例、改良例、及び他の実施例を包含することを意図したものであり、そのような例は本発明の本当の範囲内に入る。したがって、法令によって可能になる最大の範囲内で、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物の許容できる限り最も広範な解釈によって決定されるべきであり、上記の詳細な説明によって制限又は限定されるものではない。
図1
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図10