(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】洗濯機及びその蒸気洗濯方法
(51)【国際特許分類】
D06F 33/36 20200101AFI20220201BHJP
【FI】
D06F33/36
(21)【出願番号】P 2019564884
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2018086394
(87)【国際公開番号】W WO2018214749
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】201710370519.2
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517417854
【氏名又は名称】青島海爾▲滾▼筒洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER DRUM WASHING MACHINE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park,No.1 Haier Road,Laoshan District,Qingdao,Shandong 266101,China
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチャン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チーロン ザオ
(72)【発明者】
【氏名】ショウジェ ピ
(72)【発明者】
【氏名】シュエウー ホウ
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147782(JP,A)
【文献】特開2013-158650(JP,A)
【文献】特開2016-073417(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104746313(CN,A)
【文献】特開2014-147781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0013729(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103981675(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の蒸気洗濯方法であって、
前記洗濯機の初期洗濯プログラムを受信するステップと、
蒸気洗濯の指令を受信したかどうかを判断するステップと、
前記蒸気洗濯の指令を受信しない場合、前記初期洗濯プログラムに従って対応する初期洗濯操作を実行するステップと、
前記蒸気洗濯の指令を受信した場合、前記初期洗濯プログラムに基づいて、少なくとも1つの蒸気洗濯プログラムを設定するステップと、を含み、
前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムに従って対応する蒸気洗濯操作を実行することができ、
少なくとも1つの前記蒸気洗濯プログラムは、前記初期洗濯操作の前に、前記蒸気洗濯プログラムに従って1回目の前記蒸気洗濯操作を実行するステップを含み、
1回目の前記蒸気洗濯操作を実行した後、前記初期洗濯操作を実行するステップをさらに含み、
少なくとも1つの前記蒸気洗濯プログラムは、
前記初期洗濯操作の時間が衣類に必要な洗濯の標準に達するように設定された閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、
前記初期洗濯操作の時間が衣類に必要な洗濯の標準に達するように設定された前記閾値よりも大きい場合に、前記初期洗濯操作の時間が2回目の前記蒸気洗濯操作を実行する要件を満たすことを判定するステップと、
前記初期洗濯操作の時間が2回目の前記蒸気洗濯操作を実行する要件を満たす場合に、前記蒸気洗濯プログラムに従って2回目の前記蒸気洗濯操作を実行するステップと、をさらに含むことを特徴とする洗濯機の蒸気洗濯方法。
【請求項2】
「前記蒸気洗濯プログラムに従って1回目の前記蒸気洗濯操作を実行する」ステップは、具体的には、
前記洗濯機内に第1の設定量の洗濯水を注入するステップと、
前記第1の設定量の前記洗濯水を第1の設定温度に加熱して、前記洗濯水を蒸気にするステップと、
前記洗濯機に第1の所定時間で前記蒸気洗濯を実行させるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸気洗濯方法。
【請求項3】
「前記蒸気洗濯プログラムに従って2回目の前記蒸気洗濯操作を実行する」ステップは、具体的には、
前記洗濯機内の洗濯水を第2の設定量にするステップと、
前記第2の設定量の前記洗濯水を第2の設定温度に加熱して、前記洗濯水を蒸気にするステップと、
前記洗濯機に第2の所定時間で前記蒸気洗濯を実行させるステップと、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の蒸気洗濯方法。
【請求項4】
「前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムに従って対応する蒸気洗濯操作を実行することができる」は、具体的には、
前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムによって設定された回転速度及び回転停止比に従って前記蒸気洗濯操作を動作することができることを特徴とする請求項1に記載の蒸気洗濯方法。
【請求項5】
洗濯水を加熱可能な加熱部を備える洗濯機であって、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の蒸気洗濯方法を実行するための制御ユニットをさらに備える、ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の技術分野に属し、具体的には、洗濯機及びその蒸気洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活条件の改善に伴って、加熱機能を有する洗濯機は人々の生活において普及されている。現在、加熱機能を有する洗濯機は、一般的に、ヒーターを利用して洗濯ドラム内の洗濯水の加熱を実現し、洗濯水を設定プログラムに必要な温度にする。洗濯水を加熱することにより活性酵素の活性を十分に活性化できるだけでなく、高温殺菌の作用を奏することもできる。
【0003】
エネルギーや電力を節約し衣類を高度洗濯するという洗濯機に対するユーザのニーズがますます高くなっている。これに伴って、一部の洗濯機は、ユーザのエネルギーや電力を節約する目的を満たすために、洗濯時間を短縮し、洗濯要件を低減させる。このような方式は、電気エネルギーを節約するが、高度洗濯の目的を達成できない。また、蒸気洗濯機能を増加することにより高度洗濯の目的を向上させる洗濯機もある。しかしながら、現在の洗濯機の蒸気洗濯は、すべて、洗濯機に配置された蒸気発生装置を用いて加熱して蒸気を発生させ、すなわち、ユーザは蒸気洗濯を選択すると、蒸気発生装置をトリガーして加熱し蒸気を作り、次に正常な洗濯、水洗及び脱水プロセスを行う。独立した蒸気発生装置を配置する必要があるため、コストを増加すると同時に、洗濯機のエネルギー消費量も増える。
【0004】
洗濯機の加熱及び蒸気洗濯の2重機能を満たすために、さらに、洗濯機の蒸気発生装置とヒーターを1つの装置に組み合わせることもできる。たとえば、特許文献1に開示されている洗濯機の加熱装置であり、該加熱装置は、洗濯ドラム内の洗濯水を加熱する目的を実現することができ、且つ該加熱装置は、ハウジング内に1つのチャンバを設置することにより、チャンバ内の水を、蒸気を作る状態に加熱し、次に蒸気を出口から洗濯ドラム内に噴霧させる。該加熱装置は、本質的に、別々に配置された1つの蒸気発生装置を洗濯機のヒーター内に集積させることに相当し、従って、本質的に、蒸気発生装置が洗濯ドラム内に蒸気を噴霧する洗濯原理を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第104746313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに基づいて、本分野は、上記問題を解決するための新しい方法を要する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
先行技術における上記問題を解決するために、すなわち、洗濯機が高度洗濯に対するユーザのニーズを満たすとともに、省エネルギーとコスト削減の目的を実現するために、本発明は、洗濯機の蒸気洗濯方法を提供する。本発明の蒸気洗濯方法は、洗濯機の初期洗濯プログラムを受信するステップと、蒸気洗濯の指令を受信したかどうかを判断するステップと、蒸気洗濯の指令を受信していない場合、前記初期洗濯プログラムに従って対応する初期洗濯操作を実行し、蒸気洗濯の指令を受信した場合、前記初期洗濯プログラムに基づいて、少なくとも1つの蒸気洗濯プログラムを設定するステップと、を含み、前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムに従って対応する蒸気洗濯操作を実行することができ、少なくとも1つの前記蒸気洗濯プログラムは、前記初期洗濯操作の前に、前記蒸気洗濯プログラムに従って1回目の前記蒸気洗濯操作を実行するステップを含み、1回目の前記蒸気洗濯操作を実行した後、前記初期洗濯操作を実行するステップをさらに含み、少なくとも1つの前記蒸気洗濯プログラムは、前記初期洗濯操作の時間が衣類に必要な洗濯の標準に達するように設定された閾値よりも大きいかどうかを判断するステップと、前記初期洗濯操作の時間が衣類に必要な洗濯の標準に達するように設定された前記閾値よりも大きい場合に、前記初期洗濯操作の時間が2回目の前記蒸気洗濯操作を実行する要件を満たすことを判定するステップと、前記初期洗濯操作の時間が2回目の前記蒸気洗濯操作を実行する要件を満たす場合に、前記蒸気洗濯プログラムに従って2回目の前記蒸気洗濯操作を実行するステップと、をさらに含む。
【0009】
上記蒸気洗濯方法の好ましい実施形態では、「前記蒸気洗濯プログラムに従って1回目の蒸気洗濯操作を実行する」ステップは、具体的には、洗濯機内に第1の設定量の洗濯水を注入するステップと、前記第1の設定量の洗濯水を第1の設定温度に加熱して、洗濯水を蒸気にするステップと、洗濯機に第1の所定時間で蒸気洗濯を実行させるステップと、を含む。
【0014】
上記蒸気洗濯方法の好ましい実施形態では、「前記蒸気洗濯プログラムに従って2回目の蒸気洗濯操作を実行する」ステップは、具体的には、洗濯機内の洗濯水を第2の設定量にするステップと、前記第2の設定量の洗濯水を第2の設定温度に加熱して、洗濯水を蒸気にするステップと、洗濯機に第2の所定時間で蒸気洗濯を実行させるステップと、を含む。
【0015】
上記蒸気洗濯方法の好ましい実施形態では、「前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムに従って対応する蒸気洗濯操作を実行することができる」は、具体的には、前記洗濯機は、前記蒸気洗濯プログラムによって設定された回転速度及び回転停止比に従って蒸気洗濯操作を動作することができる。
【0016】
本発明は、洗濯水を加熱可能な加熱部を備える洗濯機をさらに提供する。前記洗濯機は、上記蒸気洗濯方法を実行するための制御ユニットをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蒸気洗濯方法では、洗濯機の蒸気洗濯は、洗濯機のヒーターを利用して実現できる。また、蒸気洗濯のプログラムは、初期洗濯プログラムに従って設定されるものであるので、さまざまな衣類のさまざまな手入れのニーズを満たし、衣類に対する最も合理的かつ最高品質の手入れを実現することができる。具体的には、蒸気洗濯プロセスでは、ヒーターが洗濯水の加熱中にできるだけ少量のエネルギー消費で洗濯水を蒸気にするために、まず、少量の洗濯水を注入する。その後、初期洗濯プログラムに入り、初期洗濯操作が実行された後、衣類に必要な洗濯の標準に達した場合、方法は、直接終了する。そうでなければ、2回目の蒸気洗濯操作を実行する要件を満たしたときにのみ、2回目の蒸気洗濯操作を行う。上記技術案を採用した場合、本発明の方法は、毎回最小量の水を加熱して蒸気を発生させた後、洗濯効果に応じて再び加熱と蒸気発生を行うかどうかを判断し、それにより、衣類が大量の蒸気を必要としない場合に大規模な水加熱と蒸気発生を行うことを回避し、したがって、電気エネルギーを最大限に節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の洗濯機に係る蒸気洗濯方法を示す概略フローチャートである
【
図2】本発明の洗濯機に係る蒸気洗濯方法の一特定実施形態を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。当業者は、これらの実施形態が本発明の技術的原理を説明するために過ぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図しないことを理解すべきである。
【0020】
加熱機能(たとえば、ヒーターによる加熱)を有する洗濯機は、洗濯ドラム内の洗濯水に対する加熱機能を実現できる洗濯機であり、洗濯水を適切な温度又は設定された温度にすることができる。本発明は、蒸気洗濯を実現するための簡単かつ効果的な方法を提供することを目的とする。該方法は、加熱機能を有する洗濯機に適用でき、且つ該方法によれば、洗濯機の構造をほとんど変更せずに洗濯機の蒸気洗濯機能を実現できる。
【0021】
なお、本発明の加熱機能を有するヒーターは、背景技術で述べた洗濯機の加熱装置とは、実質的に異なる。具体的には、本発明は、洗濯機の加熱機能を完全に保留するだけであり、ヒーターに蒸気発生装置又は蒸気発生装置機能と同等の構造を集積していない。その代わりに対応する制御策略が設定され、ユーザが制御策略のプログラムを設定することにより、洗濯機の加熱と蒸気洗濯の2重機能が実現される。以下、
図1を参照して、本発明の蒸気洗濯方法を詳細に説明する。ヒーターは、電気ヒーター又は磁気ヒーターであってもよい。なお、ヒーターの使用に加えて、洗濯機は、加熱可能な他の任意の部材又はモジュールを配置することにより洗濯水の加熱機能を実現することができる。
【0022】
図1は、本発明の洗濯機に係る蒸気洗濯方法の概略フローチャートを示す。
図1に示すように、本発明の蒸気洗濯方法は、洗濯機の初期洗濯プログラムを受信するステップS110と、蒸気洗濯の指令を受信したかどうかを判断するステップS120と、蒸気洗濯の指令を受信しない場合、初期洗濯プログラムに従って対応する初期洗濯操作を実行し、蒸気洗濯の指令を受信した場合、初期洗濯プログラムに基づいて、少なくとも1つの蒸気洗濯プログラムを設定するステップS130と、を含む。洗濯機は、蒸気洗濯プログラムに従って対応する蒸気洗濯操作を実行することができる。
【0023】
なお、初期洗濯プログラムは、一般的な洗濯プログラム(標準洗濯プログラムとも呼ばれる)であり、たとえば、水を十分に注入して衣類に対して洗濯、濯ぎ及び脱水を行う。好ましくは、ユーザは、洗濯機を起動した後、異なる衣類に対して異なる初期洗濯プログラムを設定できる。洗濯機は、供給された蒸気洗濯の指令に従って、衣類を蒸気で洗濯するフィードバックを起動することができる。たとえば、洗濯機の操作パネルには、蒸気洗濯の機能ボタンが設置される。初期洗濯プログラムが設定された後、ユーザが操作パネル上の蒸気洗濯機能ボタンを押さない場合、蒸気洗濯機能が選択されていないことを示す。この場合、洗濯機は、直接初期洗濯プログラムに従って洗濯する。ユーザが操作パネル上の蒸気洗濯機能ボタンを押した場合、蒸気洗濯機能が選択されたことを示し、この場合、初期洗濯プログラムを実行するに先立って、蒸気洗濯の指令に従って、対応する蒸気洗濯プログラムを実行する。たとえば、異なる初期洗濯プログラムに応じた蒸気洗濯プログラムを設定し、蒸気洗濯プログラムは、主に蒸気洗濯の実行パラメータや起動・停止時間などの決定に使用される。このようにして、蒸気洗濯のプロセスにおいて、異なる衣類に対して異なる手入れ方法を選択して、衣類に対して最も合理的かつ最高品質の手入れを行うことができる。蒸気洗濯のプロセスにおいて、洗濯機のヒーターを利用して洗濯ドラム内の洗濯水を加熱して蒸気を発生させるため、独立した蒸気発生装置が省略される。これに基づいて、本発明の蒸気洗濯方法のステップS130を以下に詳細に説明する。
【0024】
ステップS130において、蒸気洗濯プログラムは、初期洗濯操作の前に、蒸気洗濯プログラムに従って1回目の蒸気洗濯操作を実行することを含む。具体的には、ユーザが蒸気洗濯機能を選択した場合、初期洗濯プログラムに基づいて実行される1回目の蒸気洗濯操作は、以下のとおりである。まず、洗濯機内に第1の設定量の洗濯水を注入し、次に、第1の設定量の洗濯水を第1の設定温度範囲に加熱して、洗濯水を蒸気にし、次に、洗濯機に第1の所定時間で蒸気洗濯を実行させる。蒸気洗濯の実行中、洗濯は、蒸気洗濯プログラムによって設定された回転速度及び回転停止比に従って実行される。第1の所定時間は、滅菌して汚れを完全に取り除くような蒸気洗濯の洗濯効果を確保するために、具体的な状況に応じて3~5分間の任意の値に設定できる。もちろん、より良い洗濯効果を達成するために、1回目の蒸気洗濯操作を複数のサブ段階に分けることもでき、サブ段階ごとにパラメータが異なってもよい。サブ段階ごとに異なるパラメータを設定することにより、蒸気洗濯の洗濯効果をさらに高めることができる。
【0025】
なお、上記「第1の設定量」の洗濯水は、洗濯機内に少量の水を注入することを意味し、たとえば、第1の設定量は、初期洗濯プログラムによる洗濯水の最大水位の1/5~1/4の任意の値である。このようにして、ヒーターは、洗濯ドラム内の水をより容易に加熱して蒸気を発生させることができる。本実施例では、蒸気洗濯が選択された後、まず、第1の設定量の洗濯水を注入し、その後、蒸気を発生可能な温度まで加熱すればよい。このとき、洗濯ドラム内の水量が比較的少ないので、洗濯水を第1の設定温度(たとえば、約50~60℃)に加熱すれば、蒸気を発生できる。このようにして、衣類に損傷を与えることなく、洗濯機の蒸気洗濯機能を実現できる。また、蒸気の発生による洗濯機のエネルギー消費も節約する。
【0026】
ステップS130において、蒸気洗濯プログラムは、初期洗濯操作の後、蒸気洗濯プログラムに従って2回目の蒸気洗濯操作を実行することをさらに含む。具体的には、1回目の蒸気洗濯操作が実行された後、初期洗濯操作を実行し、初期洗濯操作が実行されると衣類に必要な洗濯の標準に達した場合、方法は直接終了する。そうでなければ、初期洗濯操作の時間が2回目の蒸気洗濯操作を実行する要件を満たすかどうかを判断し、2回目の蒸気洗濯操作を実行する要件が満たされたときにのみ、2回目の蒸気洗濯操作を行う。初期洗濯操作の時間が2回目の蒸気洗濯操作を実行する要件を満たすかどうかを判断することは、初期洗濯操作の時間が設定された閾値よりも大きい場合、衣類に必要な洗濯の標準に達していないことを示し、この場合、2回目の蒸気洗濯操作を実行する方式によって実施され得る。つまり、初期洗濯プログラムによる洗濯機の洗濯時間により、衣類が必要な洗濯の標準に達しているかどうかを判断し、さらに2回目の蒸気洗濯操作を実行する必要があるかどうかを判断することができる。この設定された閾値は、具体的な状況に応じて設定できる。
【0027】
2回目の蒸気洗濯操作を実行するステップは、洗濯機内に洗濯水を注入して、洗濯機内の洗濯水を第2の設定量にし、その後、第2の設定量の洗濯水を第2の設定温度に加熱して、洗濯水を蒸気にし、次いで、洗濯機に第2の所定時間で蒸気洗濯を実行させることである。「第2の設定量」の洗濯水は、第1の洗濯量を基にして、洗濯機内に少量の水を再び注入して到達する水量を意味する。たとえば、第2の設定量の洗濯水は、初期洗濯プログラムに必要な水量の1/3~1/2の任意の値であってもよい。このとき、洗濯ドラム内の水量がまだ少ないので、洗濯水を第2の設定温度(たとえば、約50~60℃)に加熱すれば、蒸気を発生できる。第2の設定温度は、第1の設定温度と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0028】
上記のように設定された蒸気洗濯プログラムでは、特定の種類の衣類は、通常特定の高温耐性材料を有し、且つ蒸気洗濯が必要とされる衣類である。また、初期洗濯プログラムの設定は、衣類の種類に応じて行われ、蒸気洗濯プログラムの設定は、初期洗濯プログラムに基づいて生成されるため、設定された蒸気洗濯プログラムは、さまざまな衣類に対して最も合理的かつ最高品質の手入れを行うことができる。本実施例では、具体的な衣類の種類については説明しない。
【0029】
2回の蒸気発生後、洗濯機は、初期洗濯プログラムに入り、初期洗濯プログラムに従って後続の洗濯、濯ぎ及び脱水などの一連の洗濯段階を行い、最終的に衣類全体の洗濯プロセスを完了する。本実施例では、2回の蒸気洗濯プロセスにより、蒸気が段階的に衣類へ完全に浸透し、それにより滅菌して汚れを完全に取り除くことができる。当業者は、実際の状況に応じて3回以上の蒸気洗濯プロセスを設定してもよく、この場合は、より良い洗濯効果が得られた。
【0030】
前記のとおり、上記技術案を採用する場合、本発明の方法は、毎回最小量の水を加熱して蒸気を発生させ、その後、洗濯効果に応じて水を再び加熱して蒸気を発生させることを行うかどうかを判断し、それにより、衣類が大量の蒸気を必要としない場合に大規模な水加熱と蒸気発生を行うことを回避し、したがって、電気エネルギーを最大限に節約することができる。
【0031】
次に、
図2を参照して、本発明の蒸気洗濯方法の特定実施例を説明する。
【0032】
図2に示すように、まず、洗濯プログラムを選択し、蒸気洗濯機能が選択されたかどうかを判断する。蒸気洗濯機能が選択されない場合は、選択された標準洗濯プログラムに直接入る。蒸気洗濯機能が選択された場合は、洗濯ドラム内に注入した洗濯水がA水位に達した後、ヒーターで加熱し、且つ温度X(Xは、A水位の洗濯水に蒸気を発生させることができる温度である)に加熱したかどうかを判断する。温度Xに加熱した場合は、設定された蒸気洗濯の回転速度及び回転停止比に従って洗濯する。温度Xに加熱していない場合は、温度Xに加熱されるまで加熱し続けた後、設定された蒸気洗濯の回転速度及び回転停止比に従って洗濯する。一定時間(たとえば、5分間)実行した後、選択された標準洗濯プログラムに設定された回転速度及び回転停止比に従って実行し、且つ実行時間T(たとえば、3~5分間)が蒸気洗濯を再び行う要件を満たすかどうかを判断する。具体的には、標準洗濯プログラムは、関連するパラメータ状態(たとえば、洗濯水の清浄度)を測定することによって衣類に必要な洗濯の標準に達しているかどうかを判断し、衣類に必要な洗濯の標準に達した場合、方法は、直接終了する。実行時間Tが2回目の蒸気洗濯操作を実行する要件を満たす場合(すなわち、衣類に必要な洗濯の標準に達していない場合)、2回目の蒸気洗濯操作を行う。たとえば、洗濯水をB水位に注入し、且つ温度Y(Yは、B水位の洗濯水に蒸気を発生させることができる温度である)に加熱したかどうかを判断する。温度Yに加熱していない場合は、時間Tが要件を満たすまで(すなわち、時間Tまで実行しても衣類がきれいに洗濯されていない)洗濯し続けた後、水をB水位に注入し、且つ温度Yに加熱したかどうかを判断する。温度Yに加熱した場合は、設定された蒸気洗濯の回転速度及び回転停止比に従って洗濯する。温度Yに加熱していない場合は、温度Yに加熱するまで加熱し続けた後、設定された蒸気洗濯の回転速度及び回転停止比に従って洗濯する。一定時間(たとえば、5分間)実行した後、選択された標準洗濯プログラムに入る必要がある場合は、選択された標準洗濯プログラムに従って、洗濯プロセス全体が完了するまで、後続の洗濯、濯ぎ及び脱水などの操作を行う。毎回最小量の水を加熱して蒸気を発生させた後、洗濯効果に応じて水を再び加熱して蒸気を発生させることを行うかどうかを判断し、それにより、衣類が大量の蒸気を必要としない場合に大規模な水加熱と蒸気発生を行うことを回避し、したがって、電気エネルギーを最大限に節約することができる。
【0033】
また、本発明は、洗濯機をさらに提供し、該洗濯機は、洗濯水を加熱可能な加熱部、及び制御ユニットをさらに備える。制御ユニットは、上記実施例における蒸気洗濯方法を実行するために使用される。
【0034】
なお、制御ユニットは、洗濯機の1つの機能モジュールとして設置されてもよいし、専用モジュールとして設置されてもよく、且つ、物理的な形として他の装置又は設備に集積してもよく、個別に設置されてもよい。これらの変更や調整は、すべて本発明の基本原理から逸脱するものではなく、このため、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0035】
以上、図面に示されている好ましい実施形態を参照して、本発明の技術案を説明したが、当業者にとって明らかなように、本発明の保護範囲は、これらの特定実施形態に限定されるものではない。当業者は、本発明の原理から逸脱せずに、関連する技術的特徴に対して同等の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換による技術案は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。