(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】介護用ベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 7/057 20060101AFI20220201BHJP
A61G 7/02 20060101ALI20220201BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A61G7/057
A61G7/02
A61H33/00 310H
(21)【出願番号】P 2020036714
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2020-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501192761
【氏名又は名称】京華堂實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】唐上文
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-153949(JP,A)
【文献】実開昭63-046138(JP,U)
【文献】特開2003-159286(JP,A)
【文献】特開2019-048037(JP,A)
【文献】特開平11-226060(JP,A)
【文献】特開2001-346848(JP,A)
【文献】特開2000-005264(JP,A)
【文献】特開2001-276163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00- 7/16
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台頭部と、寝台後端部と、及び対向する両側に設ける支持フレームとによってなる寝台フレームと、
該寝台頭部と該寝台後端部との間に設けられ、緊張、弛緩、垂下状態となる機能を有する防水性メッシュマットと、
対向する両側に設けた該支持フレームに、それぞれ回動自在に軸支され、且つ開閉の動作を行なうとともに、表面に空気を注入する複数の球体を独立して設置する可動寝台板と
、
対向する両側に設ける該支持フレームに均一の間隔で掛け渡して設ける複数の支持桿と、
を含んでなることを特徴とする介護用ベッド。
【請求項2】
前記寝台後端部の外部表面に制御パネルを設けるとともに、前記寝台後端部内部に制御機能を有する伝動機構を設けることを特徴とする請求項1に記載の介護用ベッド。
【請求項3】
前記伝動機構が、上連動桿と下連動桿と減速モータとを含み、該上連動桿が該防水性メッシュマットを巻き取り、該上連動桿と該下連動桿とが両端にそれぞれ歯車とチェーンを具え、該上連動桿の両側に設けた歯車が電磁弁固定部材を具え、
該下連動桿が従動歯車と、螺刻領域と、スライドブロック組立体と、及び該歯車の回転を制限する固定ピンとをさらに具え、
該スライドブロック組立体が該螺刻領域に歯合するラックを具えて該下連動桿上で位置をシフトし、
該減速モータが選択的に連動させる第1ギアホイールと第2ギアホイールとを具え、該第1ギアホイールが該従動歯車に歯合して該下連動桿の回転を制御するとともに、該チェーンの牽引によって該上連動桿を同期して回転させること、
を特徴とする請求項
2に記載の介護用ベッド。
【請求項4】
前記伝動機構が、第2ギアホイールと、左右対称に設ける第1プーリーセットと第2プーリーセットとをさらに含み、
該第1プーリ
ーセットが、同軸で設置する第1歯車と第1プーリーと、第1内プーリー7と第1外プーリーと第1固定プーリーとを具え、
該第2プーリーセットが、同軸で設置する第2歯車と第2プーリーと第2内プーリーと第2外プーリーと第2固定プーリーとを具え、
該第1プーリーセットと該第2プーリーセットとにおける全てのプーリーにそれぞれワイヤ材を掛け渡し、かつ該ワイヤ材の一端が複数の該支持桿の内の一方の側に位置する支持桿を貫通して固定されて位置決めされるとともに、該ワイヤ材の他端が複数の該支持桿のそれぞれにすべての支持桿を貫通して複数の該支持桿の内の一方の側に位置する支持桿上に位置決めされることを特徴とする請求項
2に記載の介護用ベッド。
【請求項5】
前記伝動機構が、さらに第1スプロケット装置と第2スプロケット装置と連動歯車とを含み、
該第1スプロケット装置が第1連動歯車と第1可動寝台板歯車と、第1チェーンとを含み、かつ該第2スプロケット装置が第2連動歯車と第2可動寝台板歯車と第2チェーンとを含んでなり、
該連動歯車と該第2連動歯車とを同軸で設け、該第2連動歯車が該第1連動歯車に歯合して伝導し、
該第1可動寝台板歯車と該第2可動寝台板歯車とに該寝台フレーム1の対向する両側の支持フレームがそれぞれ貫通して固定されることを特徴とする請求項
2に記載の介護用ベッド。
【請求項6】
前記介護用ベッドが、さらに気体供給手段を含んでなり、該気体供給手段がガスボンベか、もしくは空気圧縮手段であることを特徴とする請求項1に記載の介護用ベッド。
【請求項7】
前記介護用ベッドが、該寝台フレーム下方に設置する空気注入式バスタブを含んでなり、該空気注入式バスタブが、空気注入方式によって底部のマット体と該マット体を囲繞して立設される周壁とが沐浴空間を形成することを特徴とする請求項1に記載の介護用ベッド。
【請求項8】
前記空気注入式バスタブを可動式便器に換えて該寝台フレーム下方に設置することを特徴とする請求項
7に記載の介護用ベッド。
【請求項9】
前記可動寝台板が、単一の可動寝台板であって、かつ該寝台フレームに対向して設ける該支持フレームの内の任意の一方に設けて、一方の側に回転して開閉する形式の可動寝台板であることを特徴とする請求項1に記載の介護用ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、介護用ベッドに関し、詳しくは、長期にわたってベッドに寝たきりになることに起因する、もしくは長時間座ることで発生する身体局部の血行不全に起因する褥瘡の発生を減少させ、また、身体の洗浄、もしくは排便、排尿を容易ならしめる介護用ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
長期にわたりベッドに寝たきりになる患者、もしくは高齢者は、その一切の生活のための動作について、家族、又は介護者の手助けを必要とする。また、寝たきりによって発生する褥瘡を防ぐためには常に身体を寝返りさせ、かつリハビリを行なわなければならない。さらに被介護者が体をきれいにしようとした場合、もしくは排便、排尿をする場合などは、介護をする家族が大変な思いをして被介護者の身体を移動させなければならない。但し、患者の身体を移動させることは困難なものであるのみならず、移動させる過程において転倒したり、他の物体にぶつかったりして怪我をするという極めて大きなリスクが潜在的に存在する。
【0003】
目下、介護サービスの分野において、すでに沐浴補助器具の提供、もしくは介護者を派遣して在宅沐浴の手助けをするサービスが提供されるようになった。然しながら、被介護者の身体を移動させる際に怪我をさせるかもしれないというリスクは、依然として存在する。さらには、被介護者の自尊心に対する配慮についても十分に達成できてはおらず、人道的という点については、改善の余地があり完璧とはいえない。
【0004】
そこで、上述する状況に鑑み、介護者、もしくは家族が、長期にわたってベッドに寝たきりの患者、被介護者を随時ベッドから離し、または患者、被介護者を吊り上げてベッドから離なす時間を設定し、床ずれを防ぐための操作を容易に行うことができるようにするために、または直接ベッドの構造部に対して操作を行なうことで患者、被介護者の身体の洗浄、もしくは排便、排尿を行なうために便利で、人道的な配慮を具えた介護用のベッドを開発することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、長期にわたりベッドに寝たきりになる患者、被介護者に対して介護者や家族が行なう介護を容易ならしめ、かつ患者、被介護者の沐浴、排便、排尿などを直接行なうことができ、使用上の利便性を具えた介護用ベッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明による介護用ベッドは、寝台頭部と寝台後端部と及び対向する両側に設ける支持フレームとによってなる寝台フレームと、該寝台頭部と該寝台後端部との間に設けられ、緊張、弛緩、垂下状態となる機能を有する防水性メッシュマットと、対向する両側に設けた該支持フレームに、それぞれ回動自在に軸支され、且つ開閉の動作を行なう一組の可動寝台板と、空気注入方式によって底部のマット体と該マット体を囲繞して立設される周壁とが沐浴空間を形成する
空気注入式バスタブと、を含んでなる
【0007】
。
前記介護用ベッドは、対向する両側に設ける該支持フレームに均一の間隔で掛け渡して設ける複数の支持桿を更に含む。
【0008】
前記寝台後端部の外部表面に制御パネルを設けるとともに、前記寝台後端部内部に制御機能を有する伝動機構を設ける。
【0009】
前記伝動機構が、上連動桿と下連動桿と減速モータとを含み、該上連動桿が該防水性メッシュマットを巻き取り、該上連動桿と該下連動桿とが両端にそれぞれ歯車とチェーンを具え、該上連動桿の両側に設けた歯車が電磁弁固定部材を具える。また、該下連動桿が従動歯車と、螺刻領域と、スライドブロック組立体と、及び該歯車の回転を制限する固定ピンとをさらに具える。該スライドブロック組立体は該螺刻領域に歯合するラックを具えて該下連動桿上で位置をシフトし、該減速モータが選択的に連動させる第1ギアホイールを具え、該第1ギアホイールが該従動歯車に歯合して該下連動桿の回転を制御するとともに、該チェーンの牽引によって該上連動桿を同期して回転させる。
【0010】
前記伝動機構が、減速モータに間接的に連動する第2ギアホイールと、及び左右対称に設ける第1プーリーセットと第2プーリーセットとをさらに含む。また、該第1プーリー―セットが、同軸で設置する第1歯車と第1プーリーと、第1内プーリーと、第1外プーリーと、第1固定プーリーとを具え、かつ該第2プーリーセットが、同軸で設置する第2歯車と第2プーリーと、第2内プーリーと、第2外プーリーと、第2固定プーリーとを具える。また、該第1プーリーセットと該第2プーリーセットとにおける全てのプーリーにそれぞれワイヤ材を掛け渡し、かつ該ワイヤ材の一端が複数の該支持桿の内の一方の側に位置する支持桿を貫通して固定されて位置決めされるとともに、該ワイヤ材の他端が複数の該支持桿のそれぞれにすべての支持桿を貫通して複数の該支持桿の内の一方の側に位置する支持桿上に位置決めされる。
【0011】
前記伝動機構は、さらに第1スプロケット装置と第2スプロケット装置と連動歯車とを含み、かつ該第1スプロケット装置が第1連動歯車と第1可動寝台板歯車と、第1チェーンとを含み、かつ該第2スプロケット装置が第2連動歯車と第2可動寝台板歯車と第2チェーンとを含んでなり、該連動歯車と該第2連動歯車とを同軸で設け、該第2連動歯車が該第1連動歯車に歯合して伝導する。また、該第1可動寝台板歯車と該第2可動寝台板歯車とに該寝台フレーム1の対向する両側の支持フレームがそれぞれ貫通して固定される。
【0012】
前記介護用ベッドは、さらに気体供給手段を含んでなり、該気体供給手段がガスボンベか、もしくは空気圧縮手段から任意に選択される。
【0013】
また、この発明による介護用ベッドは、前記空気注入式バスタブを可動式便器に換えて該寝台フレーム下方に設置することができる。
【0014】
前記可動寝台板が、単一の可動寝台板であって、かつ該寝台フレームに対向して設ける該支持フレームの内の任意の一方に設けて、一方の側に回転して開閉する形式の可動寝台板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明による介護用ベッドの外観を示した斜視図である。
【
図2】
図1に開示する介護用ベッドを分解した状態を示した説明図である。
【
図3】この発明における防水性メッシュマットの開放、収納の動作を示した説明図である。
【
図4】この発明における可動寝台板と支持桿との構造を示した説明図である。
【
図5】この発明における支持桿の集合と開放の動作を示した説明図である。
【
図6】この発明における可動寝台板の開閉の動作を示した説明図である。
【
図7】この発明の便器を設けた実施の形態を示した説明図である。
【
図8】他の実施の形態による介護用ベッドを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
図1、2に開示するように、この発明による介護用ベッドは、寝台頭部11と寝台後端部12と及び対向する両側に設けられる支持フレーム13とによってなる寝台フレーム1と、寝台頭部11と寝台後端部12との間にベルトコンベア形式で設けられ、かつ制御によって緊張、弛緩、垂下状態となる防水性メッシュマット2と、寝台フレーム1の長手方向の対向する両側に設けた支持フレーム13に、寝台板の荷重を分散させるべく均等の間隔で分布させて掛け渡して設ける複数の支持桿3(実施例においては4本設ける形態を例として挙げる)と、寝台フレーム1の長手方向の対向する両側に設けた支持フレーム13に、それぞれ表面に空気を注入する複数の球体を独立して設置する可動寝台板4と、及び空気注入式バスタブ5と、を含んでなる。空気注入式バスタブ5は、空気注入方式によって底部のマット体51とマット体51を囲繞して立設される周壁52とが沐浴空間を形成し、患者、被介護者がベッドを離れることなく全面的な身体の洗浄をできるようにする
【0017】
また、この発明による介護用ベッドは、寝台後端部12の外部表面に設ける制御パネル6と、及び寝台後端部12に内設する伝動機構7(斜視図においては開示しない)と、をさらに具える。制御パネル6で制御する機能には、防水性メッシュマット2を制御する機能と、可動寝台板4の開閉を制御する機能と、及び空気注入式バスタブ5の必要とする空気と水の注入、排出の制御と、を含む。
【0018】
図3に、防水性メッシュマット2を制御する機能について開示する。伝動機構7の具体的な構造は、防水性メッシュマット2をリール方式で巻き取る上連動桿71と、及び下連動桿72とを具え、上連動桿71と下連動桿72とは両端にそれぞれ中心に玉軸受を設けた歯車711、721を具え、さらにチェーン73を設ける。また、上連動桿71の両側に設けた歯車711は電磁弁固定部材712を具え、制御を受けて空転するか、又は上連動桿71と連動する。
【0019】
下連動桿72は、従動歯車722と、螺刻領域723と、スライドブロック組立体724とをさらに具える。スライドブロック組立体724は、螺刻領域723に歯合するラック725を具え、下連動桿72上で位置をシフトすることができる。さらに、歯車721の回転を制限する固定ピン726を具える。また、第1ギアホイール741を連動させる減速モータ74を具える。第1ギアホイール741は従動歯車722に歯合して下連動桿72の回転を制御する。同時に、チェーン73の牽引の作用によって上連動桿71に同期して回転する。
【0020】
上述する構成によれば、防水性メッシュマット2を制御して緊張させる場合、減速モータ74が起動すると防水性メッシュマット2が時計回りの方向に回転し、第1ギアホイール741を連動させ、かつ従動歯車722とチェーン73とを回転させ、さらに上連動桿71を連動させて回転させ、防水メッシュマット2を緊張させる効果が得られる。最後に、固定ピン726を歯車721に挿入して固定し、位置決めし、さらに歯車711上の電磁弁固定部材712で上連動桿71を固定し、歯車711が空転する状態とする。
【0021】
逆に、防水性メッシュマット2を制御して弛緩状態とする場合、上述する一連の動作を逆の順序で行なう。即ち、歯車711上の固定ボルト712が外れ、上連動桿71が開放され、さらに歯車711とサイド連動すると、減速モータ74が時計回りの逆方向に回転し、防水性メッシュパッド2が連動して弛緩する。この場合、同期して下連動桿72が回転し、かつスライドブロック組立体724上の固定ピン726が歯車721から離れ(図面の右側方向)、防水性メッシュパッド2を弛緩させる効果が得られる。また、さらに引き続き回転すると、防水性メッシュパッド2が垂下する効果が得られる。
【0022】
図4、5を合わせて参照し、可動寝台板4を開放、または閉鎖する機能について説明する。可動寝台板4の下方には複数の支持桿3が設けられて支持の作用を提供する。よって、可動寝台板4を開閉する前に、開閉の動作が妨げられないように支持桿3の収納、または設置の動作を行なわなければならない。
【0023】
伝動機構7は上述する部材以外に、減速モータ74に間接的に連動し、かつ制御される第2ギアホイール742と、及び左右対称に設ける第1プーリーセット75と第2プーリーセット76とをさらに含む。第1プーリー―セット75は、同軸で設置する第1歯車751と、第1プーリー752と、第1内プーリー753と、第1外プーリー754と、及び第1固定プーリー755と、を含んでなる。同様に、第2プーリーセット76も、同軸で設置する第2歯車761と、第2プーリー762と、第2内プーリー763と、第2外プーリー764と、及び第2固定プーリー765と、を含んでなる。
【0024】
第1プーリーセット75と第2プーリーセット76とにおける全てのプーリーは、ワイヤ材756、766を掛け渡す。ワイヤ材756の一端は、第1プーリー752から第1外プーリー754を経て第1固定プーリー755を取り巻き複数の支持桿3の内の一方の側に位置する支持桿3を貫通して固定する。ワイヤ材756の他端は第1プーリー752から第1内プーリー753を経て複数の支持桿3のそれぞれにすべての支持桿3を貫通して固定し、循環する連動作用を形成する。同様に、他のワイヤ材766も同じ方式で設置する。係る設置方式によって、減速モータ74がスライドブロック組立体724を連動させて移動させ(図面においては左方向に向かう)、ラック725が第2ギアホイール742に至るまで移動すると、第1歯車751が回転して第1プーリー752が連動する。さらに第2歯車761が連動して歯合する第1プーリーセット75に伝動するとともに、第1プーリーセット75が歯合する第2プーリーセット76に連続して伝導し、係る作用によって複数の支持桿3の展開と集合を同期して制御する作用を達成する。
【0025】
支持桿3を集合させる動作について、減速モータ74に連動して下連動桿72がスライドブロック組立体724を駆動し移動させると(図面においては右方向に向かう)、ラック725に連動して第2ギアホイール742が時計回りの方向に回転し、歯合する第1ギアホイール751と第1プーリー752とが時計回りとは逆方向に回転し、第2歯車761と第2プーリー762と第2外プーリー764とが時計回りの方向に回転する。この場合第1プーリーセット75と第2プーリーセット76とが同期して内側に位置するワイヤ材756、766を引っ張り、複数の支持桿3の内の一方の側に位置する支持桿3が他の支持桿3の方向に寄って集合し、さらに全ての支持桿3が接して併置された状態となって集合の動作が完成する。逆の場合は、集合した支持桿3を展開する動作となる。即ち、減速モータ74に連動して第2ギアホイール742が時計回りの逆方向に回転すると、第1プーリーセット75と第2プーリーセット76とが同期して外側に位置するワイヤ材756、766を引っ張り、接して併置された状態の支持桿3の全てが、一方の側に位置する支持桿3から外方向に引っ張られ、かつ全ての支持桿3が順次引っ張り出されて展開の動作が完成する。
【0026】
図6に開示するように、複数の支持桿3の集合、展開の動作が完成すると、さらに一歩進んで可動寝台板4の開閉の動作を制御する。即ち、伝動機構7は、上述する部材以外に、さらに第1スプロケット装置77と、第2スプロケット装置78と、及び連動歯車79とを含む。第1スプロケット装置77は、第1連動歯車771と、第1可動寝台板歯車772と、及び第1チェーン773とを含み、第2スプロケット装置78は、第2連動歯車781と、第2可動寝台板歯車782と、及び第2チェーン783とを含んでなる。連動歯車79と第2連動歯車781とは同軸で設け、第2連動歯車781は、さらに第1連動歯車771に歯合して伝導する。また、第1可動寝台板歯車772と、第2可動寝台板歯車782とに、寝台フレーム1の対向する両側の支持フレーム13がそれぞれ貫通して固定され、係る構成によって連動の作用を達成し、かつ可動寝台板4の開放、閉鎖の動作を制御する。
【0027】
開放の動作については、減速モータ74によって第1ギアホイール741が時計回りの方向に回転すると、歯合する従動歯車722が同期して回転し、下連動桿72を連動させ、かつスライドブロック組立体724を牽引して図面の左方向に移動させる。さらに、スライドブロック組立体724のラック725が連動歯車79に接触して歯合すると、第2連動歯車781を連動させ、同時に第1連動歯車771を連動させる。次いで、第1チェーン773と第2チェーン783とによって第1可動寝台板歯車772と第2可動寝台板歯車782とがそれぞれ引っ張られ、2枚の可動寝台板4が、それぞれ下方に向かって回転し、90度に至ると回転が停止して位置決めされる。
【0028】
逆に、閉鎖する動作については、減速モータ74によって第1ギアホイール741が時計回りの逆方向に回転すると、下連動桿72上のスライドブロック組立体724を駆動して元の位置に復帰させ、さらにラック725が最終的に連動歯車79から離れる。同時に第2連動歯車781が第1連動歯車771を連動させ、第1チェーン773と第2チェーン783とが第1可動寝台板歯車772と第2可動寝台板歯車782とをそれぞれ引っ張ることから、2枚の可動寝台板4が、それぞれ上方に向かって回転し、90度に至ると回転が停止して位置決めされる。
【0029】
空気注入式バスタブ5は、
図1に開示するように空気注入方式によって、底部のマット体51とマット体51を囲繞して立設される周壁52とによって形成される沐浴空間を具えるのみならず、さらに空気注入・排気口53と、水注入・排水口54とを具える。また、使用する上での利便性を得るために、寝台フレーム1は、さらに気体供給手段8を含んでなり、この発明を実施する場合には、例えばガスボンベ、もしくは空気圧縮手段などを採用して気体供給の目的を達成する。気体供給手段8は、必要に応じて寝台頭部11か、もしくは寝台後端部12の下方を選択的に選んで設置し、空機注入式バスタブ5の空気注入に供する。即ち、気体供給手段8によって迅速な空気の注入を達成し、使用上の利便性を得る。
【0030】
上述する介護用ベッドによれば、平常の使用時において患者、被介護者は寝台フレーム1上に横たわる。患者、被介護者の身体を洗浄する場合は、防水性メッシュマット2を制御して完全に弛緩した状態とする。次いで、患者、被介護者の身体を支え、かつ支持桿3を制御して寝台後端部12に向かって寄せて集合させる。さらに、2枚の可動寝台板4を制御して中央線から下方に向かって90度回転させて開放状態とする。この場合、寝台フレーム1下方の空気注入式バスタブ5は気体が注入されていない状態にあるため、気体注入手段8から迅速に気体を注入して沐浴の空間を形成する。さらに、適宜な温度の洗浄用水を必要とする量だけ注入する。次いで、防水性メッシュマット2制御してゆっくり弛緩させ、垂下した状態とし、最終的に患者、被介護者の全身を空気注入式バスタブ5内に入れて腰を下ろした状態とすることで、家族、介護者による患者、被介護者への全身の洗浄作業の進行が容易になる。
【0031】
身体の洗浄が完了した後は、先ず防水性メッシュマット2を制御して緊張した状態とし、患者、被介護者の身体が空気注入式バスタブ5から離れてから、注入式バスタブ5内の洗浄に使った水を放出し、かつ注入した空気を抜いて収納の処理を行ない、本来の位置に戻して位置決めする。この場合、同時に介護者、又は家族は、患者、被介護者の身体を拭くことができる。注入式バスタブ5内の空気が完全に抜けてから、再度2枚の可動寝台板4を制御して、上述とは逆方向に反転させて元の位置に復帰させ閉鎖する。同時に、複数の支持桿3を可動寝台板4下方に均一に分布する元の位置に復帰させて十分な支持の作用を提供する。この場合、必要に応じて防水性メッシュマット2と可動寝台板4との間に綿布マット、もしくはシーツなどを敷いてもよく、これによって横臥する際の心地よさが得られるとともに、剰余の水分の吸収効果を高める効果が得られ、患者、被介護者の背中の乾燥を達成することができる。最後に、防水性メッシュマット2に適宜な緊張を回復させることで、患者、被介護者の重量を可動寝台板4上に完全に載せることができる。
【0032】
図7に開示するように、この発明による介護用ベッドは、患者、被介護者に入浴による身体洗浄の利便性を提供するのみならず、寝台フレーム1の下方に設置する上述の空気注入式バスタブ5を可動式便器9に交換して設置する実施の形態によって、排便、排尿を容易ならしめることができる。即ち、患者、被介護者がベッドを離れることなく、入浴、排便、排尿、もしくは身体の洗浄を行なうことができる。
【0033】
空気注入式バスタブ5、可動式便器9は、使用後に洗浄した後、空気を抜いた状態で寝台フレーム1の下方に置くことができるため、その他の収納のための空間を占めない。使用時には迅速に空気を注入して再度使用することができる。
【0034】
最後に、
図8に開示するように、この発明における可動寝台板4は、2枚一組として設ける実施の形態以外に、単一の可動寝台板4とし、かつ寝台フレーム1に対向して設ける支持フレーム13の内の任意の一方に設けて、一方の側に回転して開閉する可動寝台板4の実施の形態としてもよい。
【0035】
この発明における寝台フレーム1は、綿布マット、もしくはシーツなどを随時敷き、また交換することができ、かつ敷いたり、交換したりする動作が容易で便利である。防水性メッシュマット2は、完全に緊張した状態において患者、被介護者の身体を支持することができ、可動寝台板4に接触させて宙吊りの状態にさせることはない。この場合、防水性メッシュマット2と可動寝台板4との間に綿布マット、もしくはシーツなどを敷き、また交換することができ、かつ敷いたり、交換したりする動作が容易である。
【0036】
以上の説明をまとめると明らかなように、本願の発明人は長期にわたりベッドに横臥する患者、被介護者を重視し、一般の寝台では得ることのできない快適さと、人体工学に適った横臥の効果が得られるように考慮し、また寝返りや身体の活動が困難な状況下で全面的な身体の洗浄が得られないという従来の寝台の欠点を克服した。この発明を実施して得られる介護用寝台は、上述する欠点を解決して患者、被介護者を満足させられるのみならず、介護者や家族の負担を大幅に軽減することができる。最も重要な点は、全ての動作が寝台の上で行われることであって、このため患者、被介護者を移動させたり、ベッドから離れさせたりする必要がなく、同時に操作も極めて容易で利便性が得られる。
【0037】
以上はこの発明の好ましい実施の形態に係る説明にすぎない。よって、本願の明細書、特許請求の範囲の記載を応用した形態の変化、修正などであって、かつ均等の効果有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0038】
1 寝台フレーム
11 寝台頭部
12 寝台後端部
13 支持フレーム
2 防水性メッシュマット
3 支持桿
4 可動寝台板
5 空気注入式バスタブ
51 マット体
52 周壁
53 空気注入・排気口
54 水注入・排水口
6 制御パネル
7 伝動機構
71 上連動桿
711 歯車
712 電磁弁固定部材
72 下連動桿
721 歯車
722 従動歯車
723 螺刻領域
724 スライドブロック組立体
725 ラック
726 固定ピン
73 チェーン
74 減速モータ
741 第1ギアホイール
742 第2ギアホイール
75 第1プーリーセット
751 第1歯車
752 第1プーリー
753 第1内プーリー
754 第1外プーリー
755 第1固定プーリー
756 ワイヤ材
76 第2プーリーセット
761 第2歯車
762 第2プーリー
763 第2内プーリー
764 第2外プーリー
765 第2固定プーリー
766 ワイヤ材
77 第1スプロケット装置
771 第1連動歯車
772 第1可動寝台板歯車
773 第1チェーン
78 第2スプロケット装置
781 第2連動歯車
782 可動寝台板歯車
783 第2チェーン
79 連動歯車
8 気体供給手段
9 可動式便器