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特許7017606飛行システム、飛行体、制御装置、及び、方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】飛行システム、飛行体、制御装置、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20220201BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220201BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220201BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20220201BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G01C21/34
B64C39/02
B64C13/18 Z
G05D1/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020119813
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016848
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2020-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】大和 拓海
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/020607(WO,A1)
【文献】特開平11-149993(JP,A)
【文献】特開2019-175477(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
B64C 39/02
B64C 13/18
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体と、前記飛行体を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行
前記飛行推奨エリアマップと対応付けられた前記天気は、前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアの前記天気である、
ことを特徴とする飛行システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアマップと、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップと、に基づいて、前記飛行体の前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行システム。
【請求項3】
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の飛行システム。
【請求項4】
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行システム。
【請求項5】
飛行体と、前記飛行体を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含む、
ことを特徴とする飛行システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアマップと、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップと、に基づいて、前記飛行体の前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする請求項に記載の飛行システム。
【請求項7】
飛行体と、前記飛行体を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の前記飛行ルートを決定し、
前記飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行する、
ことを特徴とする飛行システム。
【請求項8】
前記取得部は、発雷確率を表す情報と、前記飛行体が備える蓄電池の蓄電残量を表す情報と、をさらに取得し、
前記決定部は、取得された前記情報で表される前記発雷確率と前記蓄電残量とにさらに基づいて前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項9】
前記飛行体である第1飛行体と異なる第2飛行体及び第3飛行体をさらに備え、
前記第1飛行体と前記第2飛行体とは、雷によって生じた稲妻を撮像する撮像装置を備え、
前記取得部は、前記第1飛行体で得られた前記稲妻の画像である第1画像、前記第1画像の撮像点である第1点を表す情報、及び、前記第1画像の撮像方向である第1方向を表す情報と、前記第2飛行体で得られた前記稲妻の画像である第2画像、前記第2画像の撮像点である第2点を表す情報、及び、前記第2画像の撮像方向である第2方向を表す情報と、をさらに取得し、
取得された前記第1画像、前記第1点を表す情報、及び、前記第1方向を表す情報と、前記第2画像、前記第2点を表す情報、及び、前記第2方向を表す情報と、に基づいて前記稲妻の発生点を特定し、前記第1飛行体、前記第2飛行体、及び、前記第3飛行体の内で、特定された前記発生点から予め定められた距離以下の距離を飛行する1又は複数の飛行体を特定する特定部をさらに備え、
前記決定部は、特定された前記1又は複数の飛行体の飛行ルートを、前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて決定し、
特定された前記1又は複数の飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行する、
ことを特徴とする請求項3からのいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項10】
前記避雷設備によって落雷から保護される前記保護範囲は、前記避雷設備が備える受雷部の位置によって定まる範囲であり、
前記第1飛行体は、前記撮像装置で前記避雷設備を撮像し、
前記取得部は、前記撮像装置で得られた前記避雷設備の複数の撮像画像と、前記複数の撮像画像の撮像点を表す情報と、前記複数の撮像画像の撮像方向を表す情報と、をさらに取得し、
取得された前記複数の撮像画像と、前記複数の撮像画像の前記撮像点、及び、前記撮像方向と、に基づいて、前記避雷設備が備える前記受雷部の位置を算出し、算出された前記位置に基づいて前記保護範囲内の前記エリアを更新する更新部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項に記載の飛行システム。
【請求項11】
飛行ルートに従って飛行する飛行体であって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の前記飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項12】
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の前記飛行ルートを決定し、
決定された前記飛行ルートに従って飛行させる制御を前記飛行体に行う制御部をさらに備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項13】
飛行システム又は制御装置が実行する方法であって、
前記飛行システム又は前記制御装置が、天気を表す情報を取得する取得ステップと、
前記飛行システム又は前記制御装置が、天気と、前記天気において飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定ステップと、を含み、
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定ステップでは、前記飛行システム又は前記制御装置が、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の前記飛行ルートを決定し、
前記飛行システム又は前記制御装置が、決定された前記飛行ルートに従って飛行させる制御を前記飛行体に行う制御ステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行システム、飛行体、制御装置、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天気が変化すると、飛行体の新たな飛行ルートを決定する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-133704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のシステムは、変化後の天気に応じて設定される飛行体の速度から到着時刻を予測し、予測された到着時刻に基づいて飛行ルートを決定するため、変化後の天気において安全性を向上できるルートに飛行ルートを決定できない。このため、特許文献1のシステムには、天気に応じて飛行体の飛行時の安全性を向上できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような点に鑑み、その目的とするところは、天気に応じて飛行体の飛行時の安全性を向上できる飛行システム、飛行体、制御装置、及び、方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る飛行システムは、
飛行体と、前記飛行体を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る飛行システム、飛行体、制御装置、及び、方法によれば、天気に応じて飛行体の飛行時の安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係る飛行システムの一構成例を表すシステム構成図である。
図2】飛行システムが備える制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図3】実施例1に係る飛行システムが備える制御装置が実行する飛行命令処理の一例を表すフローチャートである。
図4】実施例1に係る飛行システムが備える制御装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
図5】飛行システムが備える制御装置が記憶するマップテーブルの一例を表す図である。
図6】避雷設備の保護範囲の一例を表す図である。
図7】実施例1に係る飛行システムが備える制御装置が実行する変更命令処理の一例を表すフローチャートである。
図8】飛行体の一外観例を表す外観構成図である。
図9】飛行体が備える制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図10】飛行体が実行する飛行制御処理の一例を表すフローチャートである。
図11】実施例2に係る飛行システムが備える制御装置が実行する飛行命令処理の一例を表すフローチャートである。
図12】飛行システムが備える制御装置が記憶する保護範囲テーブルの一例を表す図である。
図13】実施例2に係る飛行システムが備える制御装置が実行する変更命令処理の一例を表すフローチャートである。
図14】実施例3に係る飛行システムの一構成例を表すシステム構成図である。
図15】飛行システムが備える制御装置が実行する避雷制御処理の一例を表すフローチャートである。
図16】実施例3に係る飛行システムが備える制御装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
図17】飛行システムが備える制御装置が記憶する画像テーブルの一例を表す図である。
図18】飛行システムが備える制御装置が実行する更新処理の一例を表すフローチャートである。
図19】実施例4に係る飛行システムが備える制御装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1について添付図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本発明の実施例1に係る飛行システム1は、物品の配送先を表す情報を入力する、図1に示すような制御装置100と、当該物品を格納し、かつ、制御装置100の制御に従って配送先まで飛行する飛行体600と、を備える。このため、飛行システム1は、配送システムとも称される。
【0011】
制御装置100は、サーバ機であり、予め定められた配送地域内で物品の配送を行う配送業者の営業所に設置されている。制御装置100は、図2に示すようなCPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103a、ハードディスク103b、データ通信回路104a、ビデオカード105a、表示装置105b、入力装置105cを備える。
【0012】
CPU101は、ROM103a又はハードディスク103bに保存されたプログラムを実行することで、制御装置100の全体制御を行う。RAM102は、CPU101によるプログラムの実行時において、処理対象とされるデータを一時的に記憶する。本実施例では、制御装置100は、1つのCPU101を備えるとして説明するが、これに限定される訳ではなく、複数のCPUを備えても良い。
【0013】
ROM103a及びハードディスク103bは、各種のプログラムを記憶している。また、ハードディスク103bは、プログラムの実行に用いられる各種のデータやデータが保存されたテーブルをさらに記憶している。制御装置100は、ハードディスク103bの代わりに、フラッシュメモリを備えても良い。
【0014】
データ通信回路104aは、NIC(Network Interface Card)であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)及び5G(5th Generation)といった通信規格に従って、インターネットINに接続された不図示の基地局と電波を用いたデータ通信を行う。このようにして、制御装置100のデータ通信回路104aは、インターネットINに接続された飛行体600とデータ通信を行う。
【0015】
ビデオカード105aは、CPU101から出力されたデジタル信号に基づいて画像をレンダリングすると共に、レンダリングされた画像を表す画像信号を出力する。表示装置105bは、EL(Electroluminescence)ディスプレイであり、ビデオカード105aから出力された画像信号に従って画像を表示する。制御装置100は、ELディスプレイの代わりに、PDP(Plasma Display Panel)又はLCD(Liquid Crystal Display)を備えても良い。入力装置105cは、キーボード、マウス、タッチパッド、及び、ボタンのいずれか1つ以上であり、配送業者の従業員の操作に応じた信号を入力する。
【0016】
配送業者の営業所に物品が運び込まれると、当該営業所に勤務する従業員は、物品を梱包する段ボールに貼られた伝票を読み、物品の配送先の住所を確認する。その後、従業員は、物品を飛行体600に格納させてから、制御装置100の入力装置105cに、配送先の住所を入力させる操作を行う。
【0017】
制御装置100の入力装置105cが従業員の操作に応じた信号を入力すると、制御装置100のCPU101は、入力された配送先までの飛行を飛行体600に命じる、図3に示すような飛行命令処理を実行する。これにより、ハードディスク103bは、複数の飛行推奨エリアマップを予め記憶部する、図4に示すような情報記憶部190として機能する。飛行推奨エリアマップには、予め定められた天気において飛行体600の飛行が、飛行中の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載されている。本実施例において、予め定められた天気は、「雷を伴う雨」、「雷を伴う雪」、及び、「晴れ」を含むとして説明するが、これに限定される訳では無い。
【0018】
また、制御装置100のCPU101は、入力された信号に基づいて、物品の配送先の住所を表す情報を取得し、かつ、配送地域の天気を表す情報を取得する取得部110として機能する。また、CPU101は、情報記憶部190が記憶する複数の飛行推奨エリアマップから、取得された情報で表される天気において飛行体600の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップを選択する選択部120として機能する。さらに、CPU101は、選択された飛行推奨エリアマップに基づいて飛行体600の飛行ルートを決定する決定部130、及び、決定された飛行ルートに従って飛行させる制御を飛行体600に行う制御部140として機能する。
【0019】
情報記憶部190は、飛行推奨エリアマップに関する情報が保存される、図5に示すようなマップテーブルを予め記憶している。マップテーブルには、複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、予め定められた天気の名称を表す情報と、当該天気用の飛行推奨エリアマップを識別するマップID(IDentification)と、が対応付けられて予め保存されている。
【0020】
本実施例では、図5のマップテーブルには、予め定められた天気の名称「雷を伴う雨」を表す情報と、当該天気用の飛行推奨エリアマップ(以下、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアマップという)のマップID「MTR」と、が対応付けられて予め保存されている。「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアマップには、当該天気において飛行体600の飛行が飛行中の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリア(以下、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアという)が有する複数の頂点の緯度、経度、及び、高度が記載されている。飛行推奨エリアは、3次元のエリアであり、当該飛行推奨エリアと異なるエリアよりも、当該天気において飛行体600が安全に飛行できるエリアを含む。
【0021】
「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアは、図6に示すような避雷設備LEによって落雷から飛行体600が保護される3次元の保護範囲PA内のエリアを含んでいる。避雷設備LEは、例えば、ビル、マンション、空港、又は、駅といった施設Bの屋上、屋根、又は、外壁に設置されている。避雷設備LEは、避雷針であり、落雷を受ける受雷部Rと、受雷部Rに接続され、雷電流が流れる引き下げ導線ELと、を備える。引き下げ導線ELは、地面、河川若しくは湖沼の水面、及び、海面を含む地表面と接地されており、雷電流を地表面へ流して拡散させる。
【0022】
本実施例において、避雷設備LEの保護範囲PAは、保護角法により定まる円錐形状の範囲であり、受雷部Rの最も高度が高い上端点を頂点とし、予め定められた保護角度で決まる頂角を有し、かつ、地表面を底面とするとして説明を行う。また、本実施例において、説明を簡単にするため、避雷設備LEの保護範囲PAを定める保護角度は、地表面からの高さに関わらず45度に定められているとして説明を行う。
【0023】
また、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアは、例えば、橋の下、道路及び線路の高架下、並びに、トンネル内の範囲であり、かつ、雨から飛行体600が保護される3次元の保護範囲内のエリアを含んでいる。
【0024】
また、本実施例では、図5のマップテーブルには、予め定められた天気の名称「雷を伴う雪」を表す情報と、当該天気用の飛行推奨エリアマップ(以下、「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアマップという)のマップID「MTS」と、が対応付けられて予め保存されている。「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアマップには、当該天気において飛行体600の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリア(以下、「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアという)が記載されている。「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアは、避雷設備LEの保護範囲PA内のエリアと、例えば、橋、高架、又は、トンネルによって飛行体600が雪から保護される3次元の保護範囲内のエリアと、を含んでいる。
【0025】
さらに、本実施例では、マップテーブルには、予め定められた天気の名称「晴れ」を表す情報と、当該天気用の飛行推奨エリアマップ(以下、「晴れ」用の飛行推奨エリアマップという)のマップID「MF」と、が対応付けられて予め保存されている。「晴れ」用の飛行推奨エリアマップには、当該天気において飛行体600の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリア(以下、「晴れ」用の飛行推奨エリアという)が記載されている。
【0026】
情報記憶部190は、飛行体600の飛行が禁止された3次元の飛行禁止エリアが有する複数の頂点の緯度、経度、及び、高度が記載されている飛行禁止エリアマップをさらに予め記憶している。本実施例において、飛行禁止エリアは、法律により定められた空港を含む重要施設の周辺地域の上空の空域(以下、重要施設の空域という)を含むとして説明する。重要施設の周辺地域は、重要施設から予め定められた距離だけ離れた境界線よりも内側の地域である。また、飛行禁止エリアは、予め定められた密度以上の人口密度を有する人口集中地区の上空の空域(以下、人口集中地区の空域という)と、地表面から150メートル以上の高度の空域(以下、高空域という)と、を含むとして説明するが、これらに限定される訳では無い。
【0027】
「晴れ」用の飛行推奨エリアは、飛行禁止エリアから少なくとも予め定められた距離Dだけ離れたエリアに予め設定されている(但し、D>0)。このように「晴れ」用の飛行推奨エリアが設定されているのは、例えば、風に煽られる等して、飛行体600が飛行禁止エリアに侵入することを抑制するためである。
【0028】
これに対して、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリアの内で、避雷設備LEの保護範囲PA内のエリアは、保護範囲PA内に飛行禁止エリアの一部又は全部が含まれる場合に、当該飛行禁止エリアから距離D’だけ離れたエリアに予め設定されている(但し、D>D’>0)。このように飛行推奨エリアが設定されているのは、避雷設備LEが設置されている飛行禁止エリアから距離Dだけ離れたエリアに飛行推奨エリアが設定される場合と比べて、避雷設備LEの保護範囲PA内の飛行推奨エリアをより広くし、かつ、飛行体600による飛行禁止エリアへの侵入を抑制できるようにするためである。
【0029】
「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアの内で、避雷設備LEの保護範囲PA内のエリアは、同様に、当該保護範囲PAに一部又は全部が含まれている飛行禁止エリアから距離D’だけ離れたエリアに予め設定されている。
【0030】
図3の飛行命令処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、入力装置105cによって入力された信号に基づいて、配送先の住所を表す情報を取得する。次に、取得部110は、情報記憶部190から、取得された住所を表す情報と予め対応付けて記憶されている緯度、経度、及び、高度を表す情報を取得する(ステップS01)。
【0031】
次に、制御装置100の決定部130は、情報記憶部190が予め記憶している営業所の緯度、経度、及び、高度を表す情報を読み出す。その後、決定部130は、例えば、道路及び河川といった飛行体600が飛行可能な部分ルートに関する情報が保存されている不図示の部分ルートテーブルを、情報記憶部190から読み出す。部分ルートテーブルには、複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、部分ルートであるエッジの始点ノードの緯度、経度、及び、高度と、当該エッジの終点ノードの緯度、経度、及び、高度と、当該エッジの距離を表す情報と、が対応付けられて予め保存されている。
【0032】
次に、制御装置100の決定部130は、営業所、複数のエッジの始点ノード及び終点ノード、並びに、配送先の緯度、経度、及び、高度を用いて、例えば、ダイクストラ法といった経路探索アルゴリズムを実行する。これにより、決定部130は、部分ルートを組み合わせることで、営業所から配送先へ到る全体ルートを複数決定する。次に、決定部130は、決定された複数の全体ルートの内で、総飛行距離が短い順に1番目からN番目までの全体ルートを(但し、Nは自然数)、飛行体600に飛行させる飛行ルートの候補である候補ルートに決定する(ステップS02)。
【0033】
その後、制御装置100の取得部110は、情報記憶部190が予め記憶している天気予報サーバのURL(Uniform Resource Locator)を読み出す。次に、取得部110は、配送地域の天気予報を表す情報の送信を求める送信リクエストを生成する。その後、取得部110は、生成された送信リクエストを、読み出されたURLを宛先として、データ通信回路104aへ出力する。
【0034】
天気予報サーバは、送信リクエストを受信すると、送信リクエストの受信日時から、当該受信日時よりも予め定められた時間だけ遅い日時までの予報期間を決定し、決定された予報期間における配送地域の天気予報を表す情報を返信する。制御装置100のデータ通信回路104aが天気予報を表す情報を受信すると、制御装置100の取得部110は、データ通信回路104aから天気予報を表す情報を取得し、取得された情報から、予想された天気の名称を表す情報を取得する(ステップS03)。
【0035】
その後、制御装置100の選択部120は、図5のマップテーブルから、ステップS03で取得された天気の名称を表す情報と対応付けられたマップIDを選択し、選択されたマップIDで識別される飛行推奨エリアマップを情報記憶部190から読み出す(ステップS04)。また、選択部120は、情報記憶部190から飛行禁止エリアマップを読み出す。
【0036】
次に、制御装置100の決定部130は、読み出された飛行推奨エリアマップから、飛行推奨エリアが有する複数の頂点の緯度、経度、及び、高度を取得する。また、決定部130は、読み出された飛行禁止エリアマップから、飛行禁止エリアが有する複数の頂点の緯度、経度、及び、高度を取得する(ステップS05及びS06)。
【0037】
その後、制御装置100の決定部130は、始点ノード及び終点ノードの緯度、経度、及び、高度と、飛行推奨エリアが有する複数の頂点の緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、飛行推奨エリアを通るエッジ(以下、推奨エッジという)を特定する。同様に、制御装置100の決定部130は、飛行禁止エリアを通るエッジ(以下、禁止エッジという)を特定する。
【0038】
その後、制御装置100の決定部130は、ステップS02で決定されたN個の候補ルートから、禁止エッジを含む候補ルートを除外することで(ステップS07)、飛行禁止エリアを通るルートと異なるルートに候補ルートを限定する。
【0039】
次に、制御装置100の決定部130は、除外後の複数の候補ルートのそれぞれについて、候補ルートの総飛行距離と推奨エッジの総距離とを、不図示の部分ルートテーブルに保存されたエッジの距離に基づいて算出する。
【0040】
その後、制御装置100の決定部130は、候補ルートの総飛行距離に占める推奨エッジの総距離の割合(以下、推奨割合という)を算出し、算出された推奨割合を候補ルートの評価値とする(ステップS08)。このように評価値が算出されるのは、推奨割合が高い程、ステップS03で取得された情報で表される天気において、飛行体600の飛行時の安全性をより向上できるため、候補ルートが飛行ルートにより適していると評価できるからである。
【0041】
その後、制御装置100の決定部130は、算出された評価値に基づいて、除外後の複数の候補ルートから候補ルートを1つ選択し、選択された候補ルートを飛行ルートに決定する(ステップS09)。本実施例では、より適切であると評価された候補ルート程、より高い評価値が算出されるため、決定部130は、最も高い評価値が算出された候補ルートを飛行ルートに決定する。
【0042】
その後、制御装置100の制御部140は、決定された飛行ルートを表す情報を含み、当該飛行ルートに従って飛行するように命じる飛行命令を生成する。次に、制御部140は、生成された飛行命令を、飛行体600を宛先として、データ通信回路104aへ出力することで(ステップS10)、決定された飛行ルートを飛行させる制御を飛行体600に行う。その後、制御部140は、飛行命令処理の実行を終了する。
【0043】
飛行命令処理の実行を終了すると、制御装置100のCPU101は、天気予報が変化した場合に、変化後の予想天気に応じたルートへ飛行ルートを変更することを命じる、図7に示すような変更命令処理を実行する。
【0044】
変更命令処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、配送先へ飛行体600が到着したことを告げる到着報告を、データ通信回路104aが受信したか否かを判別する(ステップS11)。このとき、取得部110は、到着報告が受信されていないと判別すると(ステップS11;No)、図3のステップS03で説明した処理を実行する。これにより、取得部110は、天気予報を表す情報を再度取得し、取得された情報から、予想された天気の名称を表す情報を取得する(ステップS12)。
【0045】
次に、制御装置100の取得部110は、今回取得された情報で表される天気の名称が、前回取得された情報で表される天気の名称と同一であるか否かに基づいて、予想された天気が変化したか否かを判別する(ステップS13)。このとき、取得部110は、前回の天気の名称と今回の天気の名称とが一致するため、天気が変化しなかったと判別すると(ステップS13;No)、ステップS12から上記処理を繰り返す。
【0046】
これに対して、制御装置100の取得部110は、前回の天気の名称と今回の天気の名称とが一致しないため、天気が変化したと判別すると(ステップS13;Yes)、飛行位置の返信を求めるリクエストを、飛行体600を宛先としてデータ通信回路104aへ出力する。その後、制御装置100のデータ通信回路104aが飛行体600の飛行位置を表す緯度、経度、及び、高度を表す情報を受信すると、制御装置100の取得部110は、受信された情報をデータ通信回路104aから取得する(ステップS14)。
【0047】
次に、制御装置100の決定部130は、取得された飛行体600の緯度、経度、及び、高度を表す情報を用いて、図3のステップS02で説明した処理と同様の処理を実行する。これにより、決定部130は、飛行体600の飛行位置から配送先へ到る新たな候補ルートをN個決定する(ステップS15)。その後、決定部130は、図3のステップS04からS10で説明した処理を実行する(ステップS16からS22)。これにより、選択部120は、変化後の天気に応じた飛行推奨エリアマップを選択し、決定部130は、選択された飛行推奨エリアマップに基づいて新たな飛行ルートを決定し、制御部140は、決定された新たな飛行ルートを含む新たな飛行命令を出力する。
【0048】
その後、到着報告が受信されるまで、上記ステップS11から上記処理が繰り返される。制御装置100の取得部110は、到着報告が受信されたと判別すると(ステップS11;Yes)、変更命令処理の実行を終了する。
【0049】
飛行体600は、例えば、ドローン等の無人航空機であり、飛行体600の姿勢及び飛行を制御する、図8に示すような立方形状の制御装置610を備える。
【0050】
本実施例において、制御装置610が有する複数の面の内で、基準となる面を前面といい、当該前面の法線方向に平行で、かつ、制御装置610の外側に向かう方向を、飛行体600の前方向という。また、制御装置610が有する複数の面の内で、前面に垂直な面の1つを上面といい、当該上面の法線方向に平行で、かつ、制御装置610の外側に向かう方向を、飛行体600の上方向という。
【0051】
飛行体600は、制御装置610の前面から右前方向及び左前方向、並びに、制御装置610の後面から左後方向及び右後方向にそれぞれ突出したプロペラアーム621及び622、並びに、623及び624を備える。さらに、飛行体600は、プロペラアーム621から624の先端にそれぞれ設置されたプロペラ631から634と、制御装置610の制御に従ってプロペラ631から634を回転させる不図示のモータと、を備える。
【0052】
また、飛行体600は、物品を梱包する直方体形状の段ボールの側面の内の1つが有する4辺を囲持する第1囲持枠641aと、第1囲持枠641aによって囲持される面(以下、第1囲持面という)と対向する側面(以下、第2囲持面という)が有する4辺を囲持する第2囲持枠641bと、を、制御装置610の下方に備える。さらに、飛行体600は、物品の第1囲持面及び第2囲持面の法線方向に延設され、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを吊持し、かつ、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとの移動方向を延設方向とするガイドレール642a及び642bを、制御装置610の下面に備える。
【0053】
またさらに、飛行体600は、制御装置610の制御に従って、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを互いに近づく方向へ移動させることで、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとに物品を囲持させる不図示のモータを備える。この不図示のモータは、制御装置610の制御に従って、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを互いに遠ざかる方向に移動させることで、囲持された物品を第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとに開放させる。
【0054】
さらに、飛行体600は、制御装置610の下面から下方向に突出しており、制御装置610を支持する支持脚643を備えている。
【0055】
またさらに、飛行体600は、制御装置610の前面に設けられたLiDAR(Light Detection and Ranging)センサ651と、制御装置610の後面に設けられた不図示のLiDARセンサと、を備える。
【0056】
前面のLiDARセンサ651は、飛行体600の前方向を基準の方位とした場合に、当該基準の方位となす方位角が-90度から+90度まで、かつ、飛行体600の前方向となす仰角が-90度から+90度までの範囲に含まれる複数の方向へレーザー光を照射する。前面のLiDARセンサ651は、照射されたレーザー光の反射光を受光し、レーザー光の照射から反射光の受光までの時間に基づいて、レーザー光が反射された複数の反射点までの距離を計測する。次に、前面のLiDARセンサ651は、レーザー光の照射方向と計測された距離とに基づいて、飛行体600の中心点を原点とし、前方向をX軸方向、右方向をY軸方向、下方向をZ方向とするXYZ座標系における座標値を、複数の反射点について算出する。その後、前面のLiDARセンサ651は、算出された複数の反射点の座標値を、制御装置610へ出力する。
【0057】
後面のLiDARセンサは、飛行体600の後方向を基準の方位とした場合に、当該基準の方位となす方位角が-90度から+90度まで、かつ、飛行体600の後方向となす仰角が-90度から+90度までの範囲に含まれる複数の方向へ赤外線のレーザー光を照射する。また、後面のLiDARセンサは、照射されたレーザー光の複数の反射点についてXYZ座標系における座標値を算出し、算出された複数の反射点の座標値を制御装置610へ出力する。
【0058】
前面のLiDARセンサ651及び後面のLiDARセンサが複数の反射点の座標値を制御装置610へ出力するのは、制御装置610が、障害物を含む、飛行体600を基準とした全方向にある物体のXYZ空間における座標値及びサイズ等を特定するためである。
【0059】
制御装置610は、図9に示すようなCPU611、RAM612、ROM613a、フラッシュメモリ613b、データ通信回路614a、GPS(Global Positioning System)回路616、入出力ポート618、及び、駆動回路619を備える。
【0060】
飛行体600が備える制御装置610のCPU611、RAM612、及び、ROM613aの構成及び機能は、図2に示した制御装置100が備えるCPU101、RAM102、及び、ROM103aの構成及び機能と同様である。本実施例では、制御装置610は、1つのCPU611を備えるとして説明するが、これに限定される訳ではなく、複数のCPUを備えても良い。
【0061】
フラッシュメモリ613bは、プログラムの実行に用いられる各種のデータやデータが保存されたテーブルを記憶している。制御装置610は、フラッシュメモリ613bの代わりに、ハードディスクを備えても良い。
【0062】
データ通信回路614aは、NICであり、例えば、LTE及び5Gといった通信規格に従って、インターネットINを介して接続される制御装置100と無線でデータ通信する。
【0063】
GPS回路616は、GPS衛星から発せられたGPS信号を受信し、受信されたGPS信号に基づいて飛行体600の位置を表す緯度、経度、及び、高度を計測し、計測された緯度、経度、及び、高度を表す信号を出力する。制御装置610は、GPS回路616ではなく、準天頂衛星から発せられた信号を受信し、受信された信号に基づいて緯度、経度、及び、高度を計測する不図示のQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)回路を備えても良い。
【0064】
入出力ポート618は、前面のLiDARセンサ651及び後面のLiDARセンサとそれぞれ接続された不図示のケーブルに接続されている。入出力ポート618は、前面のLiDARセンサ651及び後面のLiDARセンサがそれぞれ出力する座標値を表す信号をCPU611へ入力する。
【0065】
駆動回路619は、図8に示したプロペラ631から634を回転させる不図示のモータにそれぞれ接続された不図示のケーブルと、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを移動させる不図示のモータに接続されたケーブルと、に接続されている。駆動回路619は、CPU611が出力する信号に従って、プロペラ631から634を回転させる不図示のモータ、又は、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを移動させる不図示のモータを駆動させる。
【0066】
飛行体600のデータ通信回路614aが、図3のステップS10で出力された飛行命令を受信すると、飛行体600のCPU611は、飛行命令に従って飛行するために、プロペラ631から634を回転させる制御を行う、図10に示すような飛行制御処理を実行する。
【0067】
また、図10の飛行制御処理の実行中に、飛行体600のデータ通信回路614aが、図7のステップS14で出力された飛行位置の返信を求めるリクエストを受信すると、CPU611は、飛行制御処理を実行するスレッドと異なるスレッドで、不図示の第1応答処理を実行する。第1応答処理の実行が開始されると、CPU611は、GPS回路616から出力された信号を取得し、飛行体600の緯度、経度、及び、高度を表す情報を生成し、生成された情報を、飛行体600の飛行位置を表す情報とする。その後、CPU611は、飛行位置を表す情報を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路614aへ出力した後に、不図示の第1応答処理の実行を終了する。
【0068】
図10の飛行制御処理の実行が開始されると、飛行体600のCPU611は、データ通信回路614aから飛行命令を取得し(ステップS21)、飛行命令から飛行ルートを表す情報を取得する(ステップS22)。
【0069】
次に、飛行体600のCPU611は、GPS回路616から出力される信号を取得し、取得された信号で表される飛行体600の緯度、経度、及び、高度を特定する。その後、CPU611は、特定された飛行体600の緯度、経度、及び、高度と、飛行ルートに含まれる1又は複数の未到着のノードの内で最も飛行体600に近いノードの緯度、経度、及び、高度と、の相違を縮小させる飛行をするための制御信号を生成する。その後、CPU611は、生成された制御信号を、プロペラ631から634を回転させる不図示のモータを駆動させる駆動回路619へ出力する(ステップS23)。
【0070】
その後、飛行体600のCPU611は、データ通信回路614aが新たな飛行命令を受信したか否かを判別する(ステップS24)。このとき、CPU611は、新たな飛行命令が受信されていないと判別すると(ステップS24;No)、未到着のノードが存在するか否かに基づいて、飛行体600が配送先へ到着したか否かを判別する(ステップS25)。
【0071】
このとき、飛行体600のCPU611は、未到着のノードが存在するため、飛行体600が配送先へ到着していないと判別すると(ステップS25;No)、ステップS23から上記処理を繰り返す。
【0072】
ステップS24において、飛行体600のCPU611は、新たな飛行命令が受信されたと判別すると(ステップS24;Yes)、ステップS21から上記処理を繰り返す。これにより、CPU611は、飛行ルートを、変更前の天気に応じたルートから、新たな飛行命令に含まれる変更後の天気に応じたルートに変更し、変更後の飛行ルートを飛行する。
【0073】
その後、ステップS25において、飛行体600のCPU611は、未到着のノードが存在しないため、飛行体600が配送先へ到着したと判別すると(ステップS25;Yes)、制御装置100を宛先として到着報告をデータ通信回路614aへ出力する(ステップS26)。
【0074】
次に、飛行体600のCPU611は、飛行体600を着陸させるための制御信号を生成して駆動回路619へ出力する(ステップS27)。その後、CPU611は、第1囲持枠641aと第2囲持枠641bとを互いに遠ざかる方向に移動させるための制御信号を駆動回路619へ出力する。これにより、CPU611は、第1囲持枠641a及び第2囲持枠641bに物品を開放させる(ステップS28)。
【0075】
その後、飛行体600のCPU611は、飛行ルートを逆行して営業所まで帰還するための制御信号を駆動回路619へ出力した後に(ステップS29)、飛行制御処理の実行を終了する。
【0076】
これらの構成によれば、飛行システム1は、飛行体600と、飛行体600を制御する制御装置100と、を備える。また、飛行システム1の制御装置100は、予報された天気の名称を表す情報を取得する取得部110を備える。さらに、制御装置100は、天気の名称と、当該天気において飛行体600の飛行が飛行中の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップのマップIDと、が複数対応付けられている、図5のマップテーブルを記憶する情報記憶部190を備える。またさらに、制御装置100は、マップテーブルにおいて、取得された情報で表される天気の名称と対応付けられた飛行推奨エリアマップのマップIDを選択する選択部120と、選択されたマップIDで識別される飛行推奨エリアマップに基づいて飛行体600の飛行ルートを決定する決定部130と、を備える。また、飛行システム1の飛行体600は、決定された飛行ルートに従って飛行する。これらのため、飛行システム1は、天気に応じて飛行体600の飛行時の安全性を向上できる。
【0077】
これらの構成によれば、制御装置100の情報記憶部190は、飛行体600の飛行が禁止された飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶している。また、制御装置100の決定部130は、飛行禁止エリアマップと、図5のマップテーブルにおいて、取得部110で取得された情報で表される天気の名称と対応付けられたマップIDで識別される飛行推奨エリアマップと、に基づいて、飛行体600の飛行ルートを決定する。これらのため、制御装置100は、天気に応じて飛行体600の飛行時の安全性を向上させながら、飛行体600の飛行禁止エリアへの侵入を抑制できる。
【0078】
これらの構成によれば、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリア、及び、「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアは、避雷設備LEによって落雷から保護される保護範囲PA内のエリアを含む。このため、飛行システム1は、雷を伴う天気においても飛行体600の飛行時の安全性を向上できる。
【0079】
さらに、これらの構成によれば、制御装置100の決定部130は、飛行体600の飛行が禁止された飛行禁止エリアを通るルートと異なるルートとなるように、「雷を伴う雨」の飛行推奨エリア又は「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアに基づいて飛行ルートを決定する。また、「雷を伴う雨」用の飛行推奨エリア、及び、「雷を伴う雪」用の飛行推奨エリアは、「晴れ」用の飛行推奨エリアよりも、飛行禁止エリアに近い。飛行禁止エリアは、重要施設の空域、及び、人口集中地区の空域を含み、重要施設の周辺地域、及び、人口集中地区には、通常、重要施設、人口集中地区の施設、及び、人命を保護するために避雷設備LEが複数設置されている。これらのため、飛行システム1は、これらの避雷設備LEによって飛行体600の飛行時の安全性を向上させながら、飛行体600の飛行禁止エリアへの侵入を抑制できる。
【0080】
<実施例1の変形例1>
実施例1では、制御装置100のデータ通信回路104aは、天気予報サーバから配送地域の天気予報を表す情報を受信し、取得部110は、受信された情報から、予想された天気の名称を表す情報を取得すると説明した。しかし、これに限定される訳では無く、制御装置100のデータ通信回路104aは、配達地域で観測された最新の天気を表す情報を、不図示のサーバから取得し、取得部110は、受信された情報から、観測された最新の天気の名称を表す情報を取得しても良い。
【0081】
<実施例1の変形例2>
本変形例では、予め定められた天気は、「雷を伴う雨」、「雷を伴う雪」、及び、「晴れ」を含むと説明したが、これに限定される訳では無く、予め定められた天気は、どのような天気であっても良い。例えば、予め定められた天気は、「雷を伴う曇り」、「雷を伴う晴れ」、「雷を伴う雹」、「雷を伴う霰」、及び、「雷を伴う霙」を含んでも良い。また、予め定められた天気は、「曇り」、「雨」、「雪」、「雹」、「霰」、及び、「霙」、並びに、「強風を伴う晴れ」を含んでも良い。
【0082】
また、予め定められた天気は、飛行体600の飛行に適した天気(以下、好天という)と異なる天気(以下、悪天という)であっても良い。悪天は、例えば、予め定められた確率よりも高い確率で雷が発生する天気、予め定められた風速よりも速い速度で風が吹く天気、予め定められた単位時間当たりの降雨量よりも多い量の雨が降る天気、及び、予め定められた単位時間当たりの降雪量よりも多い量の雪が降る天気の1つ以上を含んで良い。この場合、制御装置100は、予報された天気の名称と対応付けられたマップIDで識別される飛行推奨エリアマップに基づいて飛行体600の飛行ルートを決定するため、予報された天気が悪天であっても、飛行体600の飛行時の安全性の低下を抑制しながら、飛行体600の飛行ルートを悪天のルートに決定できる。よって、例えば、飛行ルートを、悪天の空域を迂回する迂回ルートに決定する場合と比べて、制御装置100は、飛行ルートの自由度を向上させることができるので、飛行ルートを、迂回ルートよりも総飛行距離の短いルートに決定できる可能性を向上させることができる。
【0083】
実施例1では、雷を伴う天気の名称として、「雷を伴う雨」及び「雷を伴う雪」を具体例として挙げて説明したが、これに限定される訳では無く、雷を伴う天気の名称は、「雷を伴う曇り」、「雷を伴う晴れ」、「雷を伴う雹」、「雷を伴う霰」、及び、「雷を伴う霙」をさらに含んでも良い。また、実施例1では、雷を伴う天気と異なる天気の名称として「晴れ」を具体例として挙げて説明したが、これに限定される訳では無く、「曇り」、「雨」、「雪」、「雹」、「霰」、及び、「霙」、並びに、「強風を伴う晴れ」をさらに含んでも良い。
【0084】
<実施例1の変形例3>
実施例1では、避雷設備LEが備える受雷部Rは、避雷針であると説明したが、これに限定される訳では無く、水平導体、架空地線、又は、メッシュ導体であっても良い。この場合、避雷設備LEの保護範囲は、水平導体、架空地線、又は、メッシュ導体上のP個の点をそれぞれ頂点とし(但し、Pは自然数)、予め定められた保護角度で決まる頂角を有し、かつ、地表面を底面とするP個の円錐形状の保護範囲PAを合成した範囲とすれば良い。
【0085】
また、実施例1では、避雷設備LEは、例えば、ビル、マンション、空港、又は、駅といった施設Bの屋上、屋根、又は、外壁に設置されていると説明したが、これに限定される訳ではない。避雷設備LEは、一軒家、学校、病院、教会、又は、電波塔の屋上、屋根、又は、外壁に設置されていても良い。また、避雷設備LEは、庭、公園、若しくは、滑走路に設置されていても良い。
【0086】
実施例1では、避雷設備LEの保護範囲を定める保護角度は、地表面からの高さに関わらず45度であると説明したが、これに限定される訳ではなく、60度であっても良いし、実験により定められる好適な角度であっても良い。また、保護角度は、地表面からの高さが高くなる程、狭い角度に定められていても良い。さらに、避雷設備LEの保護範囲PAは、回転球体法により定まる3次元の範囲であっても良い。
【0087】
<実施例1の変形例4>
実施例1では、より適切であると評価された候補ルート程、より高い評価値が算出されるため、制御装置100の決定部130は、最も高い評価値が算出された候補ルートを飛行ルートに決定すると説明したが、これに限定される訳では無い。決定部130は、予め定められた値以上の評価値が算出された複数の候補ルートから、予め定められた規則又はソフトウェア乱数に基づいて1つの候補ルートを選択し、選択された候補ルートを飛行ルートに決定しても良い。また、制御装置100の決定部130は、より適切であると評価される候補ルート程、より低い評価値を算出し、最も低い評価値が算出された候補ルートを飛行ルートに決定しても良い。
【0088】
<実施例1の変形例5>
実施例1では、飛行体600は、無人航空機であると説明したが、これに限定される訳ではなく、無人飛翔体であっても良い。また、飛行体600は、必ずしも無人である必要はなく、制御装置100による制御を除き、自律して飛行する物体であれば、人が乗っていても良い。
【0089】
<実施例1の変形例6>
実施例1では、制御装置100は、情報記憶部190を備えると説明したが、これに限定される訳では無い。本変形例に係る制御装置100は、情報記憶部190を備えない。本変形例に係る制御装置100は、例えば、NAS(Network Attached Storage)であり、かつ、情報記憶部190の機能と同様の機能を有する不図示の情報記憶装置とインターネットINを介して接続されている。本変形例に係る飛行システム1は、情報記憶装置を備えても良いし、情報記憶装置を備えなくても良い。
【0090】
制御装置100の選択部120は、情報記憶装置が記憶する複数の飛行推奨エリアマップから、取得部110が取得した情報で表される天気の名称に対応付けられたマップIDを選択し、選択されたマップIDで識別される飛行推奨エリアマップを情報記憶部190から読み出す。また、選択部120は、情報記憶装置が記憶する飛行禁止エリアマップを読み出し、決定部130は、読み出された飛行推奨エリアマップと、飛行禁止エリアマップと、に基づいて飛行体600の飛行ルートを決定する。
【0091】
<実施例1の変形例7>
実施例1では、図1の飛行システム1が備える制御装置100のCPU101は、図3の飛行命令処理、及び、図7の変更命令処理を実行することで、図4に示した取得部110、選択部120、決定部130、及び、制御部140として機能すると説明した。また、制御装置100のハードディスク103bは、情報記憶部190として機能すると説明した。
【0092】
しかし、これに限定される訳では無く、図3の飛行命令処理、及び、図7の変更命令処理は、制御装置100のCPU101と、図9に示した飛行体600の制御装置610が備えるCPU611と、で、分散実行されても良い。このため、制御装置100のCPU101は、取得部110、選択部120、決定部130、及び、制御部140のいずれか1つ以上の機能部として機能せず、飛行体600のCPU611が、当該1つ以上の機能部として機能しても良い。また、制御装置100のハードディスク103bは、情報記憶部190として機能せず、飛行体600のフラッシュメモリ613bが、情報記憶部190に相当する不図示の機能部として機能しても良い。
【0093】
<実施例1の変形例8>
実施例1では、図1の飛行システム1は、制御装置100及び飛行体600を備えると説明したが、これに限定される訳ではない。飛行システム1は、制御装置100を備えず、図9に示した飛行体600が備える制御装置610が、実施例1に係る制御装置100の機能を発揮しても良い。つまり、飛行体600の制御装置610が備えるCPU611が、図3の飛行命令処理、及び、図7の変更命令処理を実行しても良い。これにより、飛行体600のCPU611が、図4に示した制御装置100の取得部110、選択部120、決定部130、及び、制御部140とそれぞれ同様の機能を有する不図示の取得部、選択部、決定部、及び、制御部として機能しても良い。また、飛行体600の制御装置610が備えるフラッシュメモリ613bが、図4に示した制御装置100の情報記憶部190と同様の機能を有する不図示の情報記憶部として機能しても良い。
【0094】
<実施例2>
実施例1では、制御装置100の決定部130は、総飛行距離と飛行推奨エリアを通るエッジの総距離とに基づいて、複数の候補ルートから飛行ルートを決定すると説明したが、これに限定される訳ではない。
【0095】
本実施例では、制御装置100の決定部130は、発雷確率と、飛行体600が備える蓄電池の蓄電残量と、にさらに基づいて飛行ルートを決定する。以下、実施例1と同様の構成については、実施例1で用いた符号と同一の符号を用いて説明するが、本実施例と実施例1との相違について主に説明する。
【0096】
本実施例に係る飛行体600は、リチウムイオン電池であり、プロペラ631から634を回転させる不図示のモータに電力を供給する不図示の蓄電池を備えている。また、飛行体600は、蓄電池の蓄電残量を計測するインピーダンス・トラック方式の不図示の電池残量計IC(Integrated Circuit)を備えている。電池残量計ICは、不図示のケーブルを介して、図9に示した制御装置610の入出力ポート618に接続されており、入出力ポート618は、電池残量計ICから出力された測定結果を表す信号をCPU611へ入力する。
【0097】
飛行体600のデータ通信回路614aが、蓄電残量を表す情報の送信を求めるリクエストを制御装置100から受信すると、飛行体600のCPU611は、電池残量計ICから出力された信号に基づいて蓄電池の蓄電残量を特定する。次に、飛行体600のCPU611は、特定された蓄電残量を表す情報を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路614aへ出力する。
【0098】
本実施例に係る制御装置100のCPU101は、図11に示すような飛行命令処理を実行する。制御装置100の情報記憶部190は、図11の飛行命令処理の実行に用いられる避雷設備LEの保護範囲PAに関する情報が予め保存されている、図12に示すような保護範囲テーブルを予め記憶している。保護範囲テーブルには、複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、避雷設備LEを識別する設備IDと、当該避雷設備LEが備える受雷部Rの上端点の位置を緯度、経度、及び、高度で表す情報と、が対応付けられて予め保存されている。このような情報が保護範囲テーブルに保存されているのは、本実施例において、避雷設備LEの保護範囲PAは、円錐形状の範囲であり、受雷部Rの上端点を頂点とし、かつ、予め定められた頂角を有する範囲だからである。
【0099】
制御装置100のCPU101は、図11の飛行命令処理の実行を開始すると、図3のステップS01からS07と同様の処理を実行する(ステップS41からS47)。これにより、配送地域の天気予報を表す情報が取得され、予想された天気に応じた飛行推奨エリアマップが選択され、選択された飛行推奨エリアマップと、飛行禁止エリアマップと、に基づいて、営業所から配送先までの飛行禁止エリアを通らない複数の候補ルートが決定される。
【0100】
次に、制御装置100の決定部130は、ステップS43で取得された情報で表される天気の名称に「雷」が含まれるか否かに基づいて、予想された天気が雷を伴う天気か否かを判別する(ステップS48)。このとき、決定部130は、天気の名称に「雷」が含まれるため、予想された天気が雷を伴う天気であると判別すると(ステップS48;Yes)、ステップS43で取得された天気予報を表す情報から発雷確率を表す情報を取得する(ステップS49)。
【0101】
次に、制御装置100の決定部130は、蓄電残量を表す情報の送信を求めるリクエストを、飛行体600を宛先としてデータ通信回路104aへ出力する。その後、データ通信回路104aが蓄電残量を表す情報を受信すると、取得部110は、受信された情報をデータ通信回路104aから取得する(ステップS50)。
【0102】
次に、制御装置100の決定部130は、図12の保護範囲テーブルに保存された複数のレコードを読み出し、読み出された複数のレコードに保存されている受雷部Rの上端点の位置を表す情報を取得する。次に、決定部130は、情報記憶部190が予め記憶する保護角度を表す情報を読み出す。その後、決定部130は、読み出された保護角度を表す情報と、取得された複数の頂点の位置を表す情報と、に基づいて、複数の保護範囲PAをそれぞれ表す方程式を算出する。次に、決定部130は、算出された複数の方程式に基づき、図6に示すような、他の保護範囲PAと重ならない単一保護範囲PSを表す方程式と、複数の保護範囲PAが互いに重なる重複保護範囲PDを表す方程式と、を算出する。
【0103】
単一保護範囲PSは、1つの避雷設備LEによって落雷から保護されるが、重複保護範囲PDは、複数の避雷設備LEによって落雷から保護される。このため、飛行体600が重複保護範囲PDを飛行すると、単一保護範囲PSを飛行する場合と比べて、飛行体600が落雷から保護される確率が高く、安全性が高い。しかし、単一保護範囲PSは、重複保護範囲PDよりも高度が高い空域を含むため、このような空域を飛行体600が飛行すると、重複保護範囲PDを飛行する場合と比べて、飛行体600の電力消費量が少ない場合がある。飛行体600が飛行する空域が地表面に近づく程、飛行体600は、障害物や危険を回避するために飛行高度を変化させる回数が増えるためである。
【0104】
その後、制御装置100の決定部130は、始点ノード及び終点ノードの緯度、経度、及び、高度と、単一保護範囲PSを表す方程式と、に基づいて、単一保護範囲PSを通るエッジ(以下、単一保護エッジという)を特定する。同様に、決定部130は、重複保護範囲PDを通るエッジ(以下、重複保護エッジという)を特定する。
【0105】
また、決定部130は、終点ノードの高度から始点ノードの高度を減算することで、エッジを飛行するために飛行体600が上昇させる高度(以下、上昇高度という)を算出する。
【0106】
次に、制御装置100の決定部130は、飛行禁止エリアを通る候補ルートが除外された複数の候補ルートのそれぞれについて、エッジの距離の総和を算出することで、総飛行距離を算出する。また、決定部130は、当該複数の候補ルートのそれぞれについて、エッジの上昇高度の総和を算出することで、総上昇高度を算出する。
【0107】
さらに、制御装置100の決定部130は、複数の候補ルートのそれぞれについて、総飛行距離に占める単一保護エッジの総距離の割合(以下、単一保護割合という)と、総飛行距離に占める重複保護エッジの総距離の割合(以下、重複保護割合という)と、を算出する。
【0108】
その後、制御装置100の決定部130は、算出された総飛行距離が短い程、高い第1の個別評価値を算出する。このように第1の個別評価値が算出されるのは、候補ルートの総飛行距離が短い程、候補ルートの飛行により飛行体600が消費する電力量が少なく、かつ、配送効率が高いため、飛行体600の飛行ルートにより適しているからである。本実施例では、決定部130は、総飛行距離の逆数を第1の個別評価値として算出すると説明するが、これに限定される訳ではない。また、配送効率は、飛行体600が単位時間当たり配送する物品の数量で表されると説明するが、これに限定される訳では無い。
【0109】
また、制御装置100の決定部130は、算出された総上昇高度が低い程、高い第2の個別評価値を算出する。このように第2の評価値が算出されるのは、候補ルートの総上昇高度が低い程、候補ルートの飛行中に飛行体600が高度を変化させるために消費する電力量が少ないため、飛行体600の飛行ルートにより適しているからである。本実施例では、決定部130は、総上昇高度に予め定められた正の定数C0を加算した値の逆数を第2の個別評価値として算出すると説明するが、これに限定される訳ではない。
【0110】
さらに、制御装置100の決定部130は、算出された単一保護割合が大きい程、高い第3の個別評価値を算出する。このように第3の個別評価値が算出されるのは、単一保護割合が大きい程、候補ルートの飛行中に飛行体600が落雷から保護される確率が高いため、飛行体600の飛行ルートにより適しているからである。また、決定部130は、算出された重複保護割合が大きい程、高い第4の個別評価値を算出する(ステップS51)。本実施例では、決定部130は、単一保護割合に予め定められた正の定数C1を加算した値を第3の評価値とし、重複保護割合に予め定められた正の定数C2を加算した値を第4の評価値とすると説明するが、これらに限定される訳ではない。
【0111】
次に、制御装置100の決定部130は、情報記憶部190が予め記憶する正の第1から第4の重付係数を読み出す。その後、決定部130は、ステップS50で取得された情報で表される蓄電残量が少ない程、第1の個別評価値の重み付けに用いられる第1の重付係数と、第2の個別評価値の重み付けに用いられる第2の重付係数と、第3の個別評価値の重み付けに用いられる第3の重付係数と、を補正前よりも大きい値に補正する第1補正を行う。このような第1補正が第1の個別評価値と第2の個別評価値とに行われるのは、第1の個別評価値は、総飛行距離に基づいて算出され、第2の個別評価値は、総上昇高度に基づいて算出され、総飛行距離及び総上昇高度は、飛行体600が消費する電力量と相関関係を有するからである。また、このような第1補正が第3の個別評価値に行われ、第4の個別評価値に行われないのは、第3の個別評価値と第4の個別評価値とは、それぞれ単一保護エッジの総距離と重複保護エッジの総距離とに基づいて算出され、飛行体600が単一保護エッジを飛行すると、重複保護エッジを飛行する場合と比べて、飛行体600の電力消費量が少ない場合があるからである。
【0112】
また、制御装置100の決定部130は、ステップS49で取得された情報で表される発雷確率が大きい程、第1補正が行われた第3の重付係数と、第4の個別評価値の重み付けに用いられる第4の重付係数と、を補正前よりも大きい値に補正する第2補正を行う(ステップS52)。このような第2補正が行われるのは、第3の個別評価値は、単一保護割合に基づいて算出され、第4の個別評価値は、重複保護割合に基づいて算出され、単一保護割合及び重複保護割合は、飛行ルートの飛行中に飛行体600が落雷からの保護される確率と相関関係を有するからである。決定部130は、第1補正の後に第2補正を行うと説明したが、これに限定される訳ではなく、第2補正の後に第1補正を行っても良い。すなわち、決定部130は、第2補正が行われた第3の重付係数を第1補正しても良い。
【0113】
その後、制御装置100の決定部130は、補正後の第1から第4の重付係数を用いて、第1から第4の個別評価値を重み付けし、重み付けされた第1から第4の個別評価値の総和を算出する。次に、決定部130は、算出された総和を、ステップS43で取得された情報で表される天気において候補ルートが飛行体600の飛行ルートとしてどの程度適当であるかを表す評価値とする(ステップS53)。
【0114】
ステップS48において、制御装置100の決定部130は、天気の名称に「雷」が含まれないため、予想された天気が雷を伴わない天気であると判別すると(ステップS48;No)、図3のステップS08の処理を実行することで、複数の候補ルートについて評価値を算出する(ステップS54)。
【0115】
ステップS53又はステップS54の処理が実行された後、制御装置100の決定部130は、図3のステップS09及びS10の処理を実行することで、評価値に基づいて飛行ルートを決定し、決定された飛行ルートを表す情報を含む飛行命令を出力する(ステップS55及びS56)。その後、決定部130は、飛行命令処理の実行を終了する。
【0116】
飛行命令処理の実行を終了すると、本実施例に係る制御装置100は、図13に示すような変更命令処理を実行する。変更命令処理の実行が開始されると、制御装置100は、到着報告をデータ通信回路104aが受信したか否かを判別する(ステップS61)。このとき、制御装置100は、到着報告が受信されていないと判別すると(ステップS61;No)、図7のステップS12及びS13で説明した処理を実行することで、予想された天気が変化したか否かを判別する(ステップS62及びS63)。このとき、制御装置100は、天気が変化しなかったと判別すると(ステップS63;No)、ステップS62から上記処理を繰り返す。
【0117】
これに対して、制御装置100は、天気が変化したと判別すると(ステップS63;Yes)、図7のステップS14からS19の処理を実行することで、飛行体600の飛行位置から配送先へ到る新たな候補ルートを、変化後の天気に応じて複数決定する(ステップS64からS69)。
【0118】
次に、制御装置100は、図11のステップS48からS56の処理を実行することで、複数の新たな候補ルートの評価値を算出し、算出された評価値に基づいて複数の新たな候補ルートから新たな飛行ルートを決定し、決定された新たな飛行ルートを含む新たな飛行命令を出力する(ステップS70からS78)。
【0119】
その後、制御装置100は、上記ステップS61から上記処理を繰り返し、到着報告が受信されたと判別すると(ステップS61;Yes)、変更命令処理の実行を終了する。
【0120】
これらの構成によれば、制御装置100の取得部110は、発雷確率を表す情報と、飛行体600が備える不図示の蓄電池の蓄電残量を表す情報と、を取得する。また、制御装置100の決定部130は、飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、取得された情報で表される発雷確率及び蓄電残量と、に基づいて飛行体600の飛行ルートを決定する。ここで、避雷設備LEの保護範囲PAは、円錐形状であり、受雷部Rの上端点を頂点とし、地表面を底面とする範囲である。このため、保護範囲PA内の飛行推奨エリアを飛行体600が飛行すると、当該保護範囲PAよりも上空の空域を飛行すると比べて、地表付近の障害物等を回避するために飛行体600が消費する電力量が多い場合がある。しかし、制御装置100は、飛行推奨エリアと、発雷確率及び蓄電残量と、に基づいて飛行体600の飛行ルートを決定するため、飛行体600の飛行時の安全性を発雷確率に応じて向上させながら、飛行体600の蓄電残量に応じて飛行による消費電力量を削減できるルートに飛行ルートを決定できる。
【0121】
これらの構成によれば、制御装置100の決定部130は、複数の候補ルートについて、総飛行距離、総上昇高度、及び、単一保護割合に基づく第1から第3の個別評価値を算出し、蓄電残量が少ない程、第1から第3の重付係数を補正前よりも大きい値に補正する第1補正を行う。また、制御装置100の決定部130は、重複保護割合に基づく第4の個別評価値を算出し、発雷確率が高い程、第1補正が行われた第3の重付係数、及び、第4の重付係数を補正前よりも大きい値に補正する。さらに、制御装置100の決定部130は、補正された第1から第4の重付係数で重み付けられた第1から第4の個別評価値の総和を候補ルートの評価値として算出し、算出された評価値に基づいて複数の候補ルートから飛行ルートを決定する。
【0122】
ここで、単一保護範囲PSは、図6に示したように、重複保護範囲PDよりも高度が高い空域を含むため、このような空域を飛行体600が飛行する場合と比べて、重複保護範囲PDを飛行する場合の方が、落雷から保護される確率が高いが、地表付近の障害物等を回避するために飛行体600で消費される電力量が多い場合がある。しかし、制御装置100は、蓄電残量に応じて消費電力量に関する第1から第3の個別評価値を第1補正し、かつ、発雷確率に応じて雷天時の安全性に関する第3の個別評価値及び第4の個別評価値の重付係数を第2補正する。これらのため、制御装置100は、雷天時における飛行体600の飛行時の安全性を向上させながら、蓄電残量の不足により飛行体600が飛行不能となることを抑制できる飛行ルートを決定できる。
【0123】
<実施例2の変形例1>
実施例2では、より適切であると評価された候補ルート程、より高い評価値が算出されると説明したが、これに限定される訳では無く、本変形例では、より適切であると評価された候補ルート程、より低い評価値が算出される。
【0124】
このために、本変形例に係る制御装置100の決定部130は、総飛行距離が短い程、低い第1の個別評価値を算出し、総上昇高度が低い程、低い第2の個別評価値を算出し、単一保護割合が大きい程、低い第3の個別評価値を算出する。また、決定部130は、飛行体600の蓄電残量が少ない程、第1から第3の重付係数を補正前よりも小さい値に補正する。また、決定部130は、重複保護割合が大きい程、低い第4の個別評価値を算出し、発雷確率が高い程、第3の重付係数及び第4の重付係数を補正前よりも小さい値に補正する。
【0125】
さらに、制御装置100の決定部130は、補正された第1から第4の重付係数で重み付けられた第1から第4の個別評価値の総和を候補ルートの評価値として算出し、算出された評価値が最も小さい候補ルートを飛行ルートに決定する。
【0126】
<実施例2の変形例2>
実施例2では、制御装置100の決定部130は、候補ルートの総上昇高度が低い程、高い第2の個別評価値を算出すると説明した。また、決定部130は、候補ルートの単一保護割合が大きい程、高い第3の個別評価値を算出し、重複保護割合が大きい程、高い第4の個別評価値を算出すると説明した。
【0127】
しかし、これらに限定される訳では無く、制御装置100の決定部130は、候補ルートの総上昇回数が少ない程、高い第2の個別評価値を算出しても良い。また、決定部130は、候補ルートにおける飛行体600の総方向変更回数が少ない程、高い第2の個別評価値を算出しても良い。このように第2の評価値が算出されるのは、総方向変更回数が少ない程、候補ルートの飛行中に飛行体600が障害物等を回避するために消費する電力量が少ないため、そのような候補ルートは、飛行体600の飛行ルートにより適しているからである。
【0128】
制御装置100の決定部130は、候補ルートにおける総方向変更回数を計数するために、互いに接続する2つのエッジの組み合わせの全てについて、2つのエッジの方向ベクトルを算出し、算出された2つの方向ベクトルがなす2つの角度の内で小さい方の角度を算出する。次に、決定部130は、予め定められた角度以上の角度が算出されたエッジの組み合わせを計数し、計数された値を総方向変更回数とすれば良い。
【0129】
また、制御装置100の決定部130は、候補ルートに含まれる単一保護エッジの総距離が長い程、又は、単一保護エッジの総数が多い程、高い第3の個別評価値を算出しても良い。また、決定部130は、候補ルートに含まれる重複保護エッジの総距離が長い程、又は、総数が多い程、高い第4の個別評価値を算出しても良い。
【0130】
<実施例2の変形例3>
実施例2では、飛行体600は、リチウムイオン電池である蓄電池を備えると説明したが、これに限定される訳では無く、鉛蓄電池又はニッケル水素電池を備えても良い。また、実施例2では、飛行体600は、インピーダンス・トラック方式の電池残量計ICを備えると説明したが、これに限定される訳では無く、電圧測定方式、クーロン・カウンタ方式、又は、電池セル・モデリング方式の電池残量計ICを備えても良い。
【0131】
<実施例3>
実施例1では、飛行システム1は、制御装置100と飛行体600とを備え、制御装置100は、天気予報が変化した場合に、変化後の予想天気に応じたルートへ飛行体600の飛行ルートを変更すると説明した。
【0132】
しかし、これに限定される訳では無く、本変形例に係る飛行システム1は、制御装置100と、飛行体600と、図14に示すような飛行体700及び800と、を備える。本変形例に係る制御装置100は、飛行体600から800で得られた撮像画像に基づいて稲妻の発生点を特定し、飛行体600から800の内で、当該発生点から予め定められた距離L以下の距離を飛行する1又は複数の飛行体の飛行ルートを、雷天に応じたルートへ変更する。以下、実施例1と同様の構成については、実施例1で用いた符号と同一の符号を用いて説明するが、本実施例と実施例1との相違について主に説明する。
【0133】
このため、本変形例に係る飛行体600は、単眼のデジタルカメラであり、飛行体600の前方が撮像範囲に含まれるように光軸及び画角を調整された不図示の撮像装置を1つ備えている。撮像装置は、不図示のケーブルを介して、図9に示した制御装置610の入出力ポート618に接続されており、予め定められた周期で撮像を行い、撮像により得られた撮像画像を表す信号を、入出力ポート618を介して出力する。
【0134】
飛行体600のCPU611は、入出力ポート618を介して撮像画像を表す信号を入力されると、入力された信号に基づいて撮像画像を表す情報を生成する。また、CPU611は、例えば、OS(Operating System)が管理するシステム日時を取得し、取得された日時を撮像日時とする。また、CPU611は、GPS回路616から信号を取得し、取得された信号で表される緯度、経度、及び、高度を表す情報を、撮像点を表す情報とする。さらに、CPU611は、飛行中のエッジの終点ノードの緯度、経度、及び、高度と、始点ノードの緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、飛行体600の進行方向を表す方向ベクトルを算出し、算出された方向ベクトルを、撮像方向を表す情報とする。撮像方向を表す情報がこのように算出されるのは、本実施例において、撮像装置は、飛行体600の前方向を撮像方向とし、飛行体600は、飛行体600の前方向が進行方向となるように飛行するためである。
【0135】
次に、飛行体600のCPU611は、撮像画像に対して、例えば、テンプレートマッチングを行うことで、雷によって生じた稲妻に対応する画像領域を検出する。CPU611は、稲妻に対応する画像領域を検出すると、撮像画像を表す情報と、撮像日時を表す情報と、撮像点を表す情報と、撮像方向を表す情報と、を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路614aへ出力する。
【0136】
また、図10の飛行制御処理の実行中に、飛行体600は、飛行位置の返信を求めるリクエストを制御装置100から受信すると、実施例1で説明した第1応答処理を実行することで、飛行体600の飛行位置を表す情報を制御装置100へ返信する。
【0137】
さらに、飛行制御処理の実行中に、飛行体600が配送する物品の配送先の返信を求めるリクエストを、飛行体600のデータ通信回路614aが制御装置100から受信すると、飛行体600のCPU611は、飛行制御処理を実行するスレッドと異なるスレッドで、不図示の第2応答処理を実行する。第2応答処理の実行が開始されると、CPU611は、図10のステップS22で取得された飛行ルートを表す情報から配送先を表す情報を取得する。次に、CPU611は、配送先を表す情報を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路614aへ出力した後に、不図示の第2応答処理の実行を終了する。
【0138】
飛行体700及び800の構成及び機能は、飛行体600の構成及び機能と同様である。
【0139】
本実施例に係る制御装置100のCPU101は、飛行体600から800のいずれかから、撮像画像を表す情報をデータ通信回路104aが受信すると、図15に示すような避雷制御処理を実行する。これにより、CPU101は、撮像画像に基づいて稲妻の発生点を特定する、図16に示すような特定部115として機能する。
【0140】
制御装置100の情報記憶部190は、避雷制御処理に用いられる撮像画像に関する情報が保存される、図17に示すような画像テーブルを予め記憶している。画像テーブルには、複数のレコードが保存され、各レコードには、撮像画像を識別する画像IDと、当該撮像画像の撮像日時を表す情報、撮像点を表す情報、及び、撮像方向を表す情報と、が対応付けられて保存される。
【0141】
避雷制御処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、データ通信回路104aから、撮像画像を表す情報と、撮像日時を表す情報と、撮像点を表す情報と、撮像方向を表す情報と、を取得する。
【0142】
次に、制御装置100の取得部110は、撮像画像を表す情報を情報記憶部190に保存し、撮像画像を識別する画像IDを生成する。その後、取得部110は、取得された撮像画像の画像IDと、撮像日時を表す情報と、撮像点を表す情報と、撮像方向を表す情報と、を対応付けて、図17の画像テーブルに保存する(ステップS81)。
【0143】
次に、制御装置100の取得部110は、画像テーブルにおいて、ステップS81で取得された撮像画像(以下、第1画像という)の撮像日時(以下、第1日時という)と同じ日時に得られた撮像画像(以下、第2画像という)が、情報記憶部190に保存されている否かを判別する(ステップS82)。この判別をするため、取得部110は、第1日時と同じ日時を表す情報に対応付けられており、かつ、第1画像の画像IDと異なる画像IDが、図17の画像テーブルに保存されているか否かを判別する。
【0144】
第2画像が保存されているか否かの判別が行われるのは、第1画像の稲妻が発生した点の特定に、第1画像と、第1画像の撮像点(以下、第1点という)と異なる点で当該稲妻を撮像することにより得られた画像と、が用いられるからである。すなわち、本実施例では、飛行体600から800は撮像装置を1つ備えるため、第1日時と同じ日時に得られた第2画像は、飛行体600から800の内で第1画像を得た飛行体である第1飛行体と異なる第2飛行体によって、第1点と異なる撮像点で、第1画像の稲妻を撮像することにより得られた画像であり、稲妻の発生点の特定に第1画像と共に用いられるからである。
【0145】
ステップS82において、制御装置100の取得部110は、第1日時と同じ日時を表す情報に対応付けられており、かつ、第1画像の画像IDと異なる画像IDが保存されていないと判別すると、第2画像が存在しないと判別する(ステップS82;No)。その後、取得部110は、稲妻の発生点を特定することが困難であると判別し、避雷制御処理の実行を終了する。
【0146】
これに対して、制御装置100の取得部110は、第2画像が存在すると判別すると(ステップS82;Yes)、第2画像を表す情報を情報記憶部190から取得する。また、取得部110は、画像テーブルにおいて、第2画像の画像IDと対応付けられた撮像点(以下、第2点という)を表す情報と、第2画像の画像IDと対応付けられた撮像方向(以下、第2方向という)を表す情報と、を取得する(ステップS83)。
【0147】
次に、制御装置100の特定部115は、第1画像に対して、例えば、テンプレートマッチングを行うことで稲妻に対応する画像領域を検出する。その後、特定部115は、検出された画像領域に含まれる複数の点の内で、第1画像において最も下側の点を、落雷地点又は稲妻の最も地表面に近い点に対応する点と特定する。このように落雷地点等に対応する点が特定されるのは、飛行体600から800の内で第1画像を得た飛行体の下方向に撮像対象が位置する程、撮像対象に対応する画像領域は、第1画像において下側に位置するためである。特定部115は、稲妻に対応する画像領域の任意の点を特定しても良く、例えば、稲妻の最も地表面から遠い点に対応する点、又は、落雷地点若しくは稲妻の最も地表面に近い点と稲妻の最も地表面から遠い点との中間点に対応する点を特定しても良い。
【0148】
その後、制御装置100の特定部115は、情報記憶部190から、飛行体600から800が備える不図示の撮像装置の焦点距離を含む内部パラメータを読み出す。次に、特定部115は、撮像装置の内部パラメータと、特定された点の第1画像における位置と、第1点を表す情報と、第1方向を表す情報と、に基づいて、第1点から稲妻へ向かう直線又は半直線を表す方程式を算出する(ステップS84)。
【0149】
同様に、制御装置100の特定部115は、稲妻が地表面に到達した点又は稲妻が最も地表面に近づいた点に対応する点を第2画像から特定する。また、特定部115は、内部パラメータと、特定された点の第2画像における位置と、第2点を表す情報と、第2方向を表す情報と、に基づいて、第2点から稲妻へ向かう直線又は半直線を表す方程式を算出する(ステップS85)。
【0150】
その後、制御装置100の特定部115は、ステップS84及びS85で算出した方程式に基づいて、第1点から稲妻へ向かう直線又は半直線と、第2点から稲妻へ向かう直線又は半直線と、の交点を算出し、算出された交点を稲妻の発生点と特定する(ステップS86)。
【0151】
次に、制御装置100の特定部115は、飛行体600から800を宛先として、飛行位置の返信を求めるリクエストと、配送先の返信を求めるリクエストと、をデータ通信回路104aへ出力する。その後、データ通信回路104aが、飛行体600から800から、配送先を表す情報と、飛行位置を表す情報と、を受信すると、特定部115は、これらの情報を取得する(ステップS87)。
【0152】
次に、制御装置100の特定部115は、情報記憶部190が予め記憶する予め定められた距離Lを表す情報を読み出す。距離Lの好適な値は、当業者が実験により定めることができる。その後、特定部115は、飛行体600から800の飛行位置を表す情報に基づいて、飛行体600から800の内で、ステップS86で特定された稲妻の発生点から距離L以下の距離を飛行する1又は複数の飛行体を特定する(ステップS88)。
【0153】
その後、ステップS88で特定された1又は複数の飛行体のそれぞれについて、図7のステップS15からS21の処理が実行される。これにより、制御装置100の決定部130は、雷を伴う天気の名称に対応付けられた飛行推奨エリアマップに基づいて、それぞれの飛行位置から配送先へ到る新たな飛行ルートを決定する(ステップS89)。
【0154】
次に、制御装置100の制御部140は、ステップS88で特定された1又は複数の飛行体のそれぞれを宛先として、それぞれの新たな飛行ルートを表す情報を含む新たな飛行命令を出力した後に(ステップS90)、避雷制御処理の実行を終了する。
【0155】
ステップS88で特定された1又は複数の飛行体のそれぞれは、図10の飛行制御処理の実行中に新たな飛行命令を受信すると、雷天に応じた新たな飛行ルートに従って飛行する。
【0156】
これらの構成によれば、飛行システム1は、稲妻を撮像する撮像装置を備えた飛行体600から800を備える。また、制御装置100の取得部110は、飛行体600から800のいずれかである第1飛行体で得られた稲妻の画像である第1画像と、第1画像の撮像点である第1点を表す情報と、第1画像の撮像方向である第1方向を表す情報と、を取得する。また、取得部110は、第1飛行体と異なる第2飛行体で得られた稲妻の画像である第2画像と、第2画像の撮像点である第2点を表す情報と、第2画像の撮像方向である第2方向を表す情報と、を取得する。さらに、制御装置100の特定部115は、第1画像、第1点、及び、第1方向と、第2画像、第2点、及び、第2方向と、に基づいて稲妻の発生点を特定する。また、さらに、制御装置100の決定部130は、飛行体600から800の内で、稲妻の発生点から予め定められた距離L以下の距離を飛行する1又は複数の飛行体の飛行ルートを、雷を伴う天気に対応付けられた飛行推奨エリアマップに基づいて決定する。これにより、予想された天気が雷を伴う天気でないにもかかわらず雷が発生した場合でも、飛行システム1は、飛行体600から800の飛行時の安全性を向上できる。また、物品を配送する飛行体600から800の撮像装置で得られた撮像画像に基づいて稲妻の発生点を特定するため、飛行システム1は、稲妻の発生点の特定に専用される飛行体及びシステムを必要としない。このため、飛行システム1の製造コスト、設置コスト、及び、維持コストが低減される。
【0157】
<実施例3の変形例1>
実施例3では、飛行体600から800は、飛行体600から800の前方が撮像範囲に含まれるように光軸及び画角が調整された撮像装置を備えると説明したが、これに限定される訳では無い。飛行体600から800は、飛行体600から800の右方、左方、又は、後方が撮像範囲に含まれるように光軸及び画角が調整された撮像装置を備えても良い。また、飛行体600から800は、前方が撮像範囲に含まれる撮像装置、右方が撮像範囲に含まれる撮像装置、後方が撮像範囲に含まれる撮像装置、及び、左方が撮像範囲に含まれる撮像装置のいずれか2つ以上を備えても良い。
【0158】
実施例3では、飛行体600のCPU611は、飛行中のエッジの始点ノードの緯度、経度、及び、高度と、終点ノードの緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、飛行体600の進行方向を表す方向ベクトルを算出すると説明した。しかし、これに限定される訳では無く、CPU611は、予め定められた周期でGPS回路616から出力される信号を取得し、今回に取得された信号で表される緯度、経度、及び、高度から前回に取得された信号で表される緯度、経度、及び、高度を減算することで、飛行体600の進行方向を表す方向ベクトルを算出しても良い。
【0159】
また実施例3では、飛行体600の不図示の撮像装置は飛行体600の前方向を撮像方向とし、飛行体600は飛行体600の前方向が進行方向となるように飛行し、飛行体600のCPU611は、飛行体600の進行方向を表すベクトルを、撮像装置の撮像方向を表す情報とすると説明した。しかし、これに限定される訳では無く、撮像装置は飛行体600の前方向を撮像し、飛行体600は飛行体600の後方向が進行方向となるように飛行し、CPU611は、進行方向と逆の方向を表すベクトルを、撮像装置の撮像方向を表す情報としても良い。また、撮像装置は飛行体600の前方向を撮像し、飛行体600は飛行体600の右方向又は左方向が進行方向となるように飛行しても良い。
【0160】
<実施例4>
実施例2では、図12に示した保護範囲テーブルには、避雷設備LEの保護範囲PAに関する情報が予め保存されていると説明したが、これに限定される訳ではない。本実施例に係る制御装置100のCPU101は、飛行体600で得られた動画像に基づいて、避雷設備LEの保護範囲PAに関する情報の追加及び削除を保護範囲テーブルに行う、図18に示すような更新処理を実行する。以下、実施例2と同様の構成については、実施例2で用いた符号と同一の符号を用いて説明するが、本実施例と実施例2との相違について主に説明する。
【0161】
本実施例に係る飛行体600は、実施例3で説明した不図示の撮像装置を備えている。撮像装置は、予め定められた周期で飛行体600の前方を撮像し、撮像により得られた撮像画像を表す信号を、入出力ポート618を介して出力する。
【0162】
本変形例に係る飛行体600のCPU611は、図10に示した飛行制御処理の実行を開始すると、飛行制御処理を実行するスレッドと異なるスレッドで、飛行ルートの動画像を生成する不図示の動画像生成処理を実行する。CPU611は、動画像生成処理の実行を開始すると、動画像のフレームの順番を表すカウンタを値「1」で初期化する。次に、入出力ポート618を介して撮像装置から信号が入力されると、CPU611は、入力された信号に基づいて、飛行ルートの撮像画像を表す情報を生成する処理を実行する。次に、CPU611は、生成された情報を、動画像を構成する1番目のフレームを表す情報としてフラッシュメモリ613bへ保存する。
【0163】
また、飛行体600のCPU611は、実施例3で説明した処理を行うことで、撮像点を表す情報、及び、撮像方向を表す情報を取得する。その後、CPU611は、カウンタで表されるフレームの順番を表す情報と、撮像点を表す情報、及び、撮像方向を表す情報と、を対応付けて、フラッシュメモリ613bへ保存する。その後、カウンタの値を値「1」だけインクリメントした後に、飛行制御処理の実行が終了されるまで、撮像画像を表す情報を生成する処理から上記処理を繰り返す。
【0164】
飛行体600のCPU611は、飛行制御処理の実行が終了されると、飛行を終えた飛行ルートを表す情報を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路614aへ出力する。また、CPU611は、フラッシュメモリ613bに保存されたフレームを表す情報を含んだ動画像を表す情報を生成し、生成された情報を、制御装置100を宛先として出力する。その後、CPU611は、フラッシュメモリ613bに保存されたフレームの順番を表す情報と、撮像点を表す情報、及び、撮像方向を表す情報を出力した後に、動画像生成処理の実行を終了する。
【0165】
制御装置100のデータ通信回路104aが、飛行ルートの飛行中に得られた動画像を表す情報を受信すると、CPU101は、図18の更新処理を実行する。これにより、CPU101は、飛行ルートの飛行中に得られた動画像に基づいて、飛行ルートが通る保護範囲PA内の飛行推奨エリアを更新する、図19に示すような更新部119として機能する。
【0166】
更新処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、飛行ルートを表す情報と、飛行ルートの飛行中に得られた動画像を表す情報と、をデータ通信回路614aから取得する。また、取得部110は、動画像のフレームの順番を表す情報と、撮像点を表す情報、及び、撮像方向を表す情報と、をデータ通信回路614aから互いに対応付けて取得する(ステップS101)。
【0167】
次に、制御装置100の取得部110は、ステップS101で取得された飛行ルートを表す情報に基づいて、図12の保護範囲テーブルから、飛行ルートが通る保護範囲PAを特定する。また、取得部110は、特定された保護範囲PAを定める受雷部Rを備えた避雷設備LEの設備IDと、当該受雷部Rの上端点の位置を緯度、経度、及び、高度で表す情報と、を複数取得する(ステップS102)。
【0168】
その後、制御装置100の更新部119は、動画像の1番目のフレームを処理対象とする(ステップS103)。次に、更新部119は、情報記憶部190が予め記憶する受雷部Rのテンプレートを読み出す。その後、更新部119は、処理対象のフレームから受雷部Rに対応する画像領域を検出するために、読み出されたテンプレートを用いてテンプレートマッチングを行う。次に、更新部119は、受雷部Rに対応する画像領域が、処理対象のフレームから検出されたか否かを判別する(ステップS104)。
【0169】
このとき、制御装置100の更新部119は、受雷部Rに対応する画像領域が処理対象のフレームから検出されたと判別すると(ステップS104;Yes)、処理対象のフレームよりも予め定められた順番Mだけ前のフレームが存在するか否かを判別する(ステップS105)。このとき、更新部119は、順番Mだけ前のフレームが存在すると判別すると(ステップS105;Yes)、ステップS104と同様の処理を実行することで、順番Mだけ前のフレームから受雷部Rに対応する画像領域が検出されたか否かを判別する(ステップS106)。
【0170】
このとき、制御装置100の更新部119は、受雷部Rに対応する画像領域が順番Mだけ前のフレームから検出されたと判別すると(ステップS106;Yes)、処理対象のフレームで検出された画像領域に含まれる複数の点の内で、処理対象のフレームにおいて最も上側の点を、受雷部Rの上端点に対応する点と特定する。このように上端点に対応する点が特定されるのは、撮像対象が飛行体600の上方向に位置する程、撮像対象に対応する画像領域は、飛行体600で得られた撮像画像において上側に位置するためである。同様に、更新部119は、順番Mだけ前のフレームにおける受雷部Rに対応する画像領域から受雷部Rの上端点に対応する点を特定する。
【0171】
次に、制御装置100の更新部119は、受雷部Rの上端点に対応する点の処理対象のフレームにおける位置と、順番Mだけ前のフレームにおける位置と、の相違である視差を算出する。次に、更新部119は、ステップS101で取得された情報から、処理対象とするフレームの順番を表す情報に対応付けられた撮像点を表す情報及び撮像方向を表す情報を取得する。また、更新部119は、処理対象とするフレームの順番よりもMだけ前の順番を表す情報に対応付けられた撮像点を表す情報及び撮像方向を表す情報を取得する(ステップS107)。
【0172】
その後、制御装置100の更新部119は、飛行体600が備える撮像装置の焦点距離を含む内部パラメータを情報記憶部190から読み出す。次に、更新部119は、算出された視差と、読み出された内部パラメータと、取得された撮像点を表す情報及び撮像方向を表す情報と、に基づいて、受雷部Rの上端点の位置を算出する(ステップS108)。
【0173】
その後、制御装置100の更新部119は、算出された受雷部Rの上端点の位置が、ステップS102において、図12の保護範囲テーブルから取得された上端点の位置のいずれかと一致するか否かを判別する(ステップS109)。
【0174】
このとき、更新部119は、動画像に基づいて算出された上端点の位置が、保護範囲テーブルから取得された上端点の位置のいずれかと一致すると判別すると(ステップS109;Yes)、図12の保護範囲テーブルに保存された情報で表される位置に受雷部Rが存続していると判別する(ステップS110)。
【0175】
その後、制御装置100の更新部119は、処理対象のフレームが最終フレームであるか否かを判別し(ステップS111)、最終フレームでないと判別すると(ステップS111;No)、次の順番のフレームを処理対象のフレームとする(ステップS112)。その後、ステップS104に戻り上記処理を繰り返す。
【0176】
これに対して、制御装置100の更新部119は、動画像に基づいて算出された受雷部Rの上端点の位置が、保護範囲テーブルから取得された上端点の位置のいずれとも一致しないと判別すると(ステップS109;No)、受雷部Rを備える避雷設備LEが新設されたと判別する(ステップS113)。次に、更新部119は、新設されたと判別された避雷設備LEの設備IDを生成し、生成された設備IDと、動画像に基づいて算出された避雷設備LEの上端点の位置を表す情報と、を対応付けて、図12の保護範囲テーブルに追加する(ステップS114)。その後、制御装置100の更新部119は、ステップS111の処理を実行する。
【0177】
ステップS104若しくはS106において、受雷部Rに対応する画像領域が検出されなかったと判別された場合(ステップS104;No若しくはステップS106;No)、又は、ステップS105において、処理対象のフレームよりも順番Mだけ前のフレームが存在しないと判別された場合(ステップS105;No)、制御装置100の更新部119は、ステップS111の処理を実行する。
【0178】
ステップS111において、処理対象のフレームが最終フレームであると判別されると(ステップS111;Yes)、制御装置100の更新部119は、ステップS102で取得された設備IDで識別される避雷設備LEの全てが、ステップS110で存続すると判別されたか否かを判別する(ステップS115)。このとき、制御装置100の更新部119は、避雷設備LEの全てが存続すると判別されたと判別すると(ステップS115;Yes)、更新処理の実行を終了する。
【0179】
これに対して、避雷設備LEの全てが存続すると判別された訳ではないと判別すると(ステップS115;No)、ステップS102で取得された設備IDで識別される避雷設備LEの内で、存続すると判別された避雷設備LEと異なる避雷設備LEが撤去されたと判別する(ステップS116)。
【0180】
その後、制御装置100の更新部119は、撤去されたと判別された避雷設備LEの設備IDが保存されたレコードを、図12の保護範囲テーブルから削除した後に(ステップS117)、更新処理の実行を終了する。
【0181】
その後、制御装置100の更新部119は、更新後の保護範囲テーブルに保存された複数の受雷部Rの上端点の位置を表す情報に基づいて、複数の保護範囲PAを算出する。次に、選択部120は、図5のマップテーブルにおいて、雷を伴う天気の名称に対応付けられたマップIDを複数選択する。その後、更新部119は、選択された複数のマップIDでそれぞれ識別される複数の飛行推奨エリアマップに記載された保護範囲PA内の飛行推奨エリアを、更新後の保護範囲テーブルに基づいて算出された保護範囲PA内の飛行推奨エリアで更新する。
【0182】
すなわち、制御装置100の更新部119は、更新後の保護範囲テーブルに基づいて算出された保護範囲PA内の飛行推奨エリアの内で、飛行推奨エリアマップに記載された保護範囲PA内の飛行推奨エリアのいずれとも異なる飛行推奨エリアを、飛行推奨エリアマップに追加する。このような追加が行われるのは、ステップS113において、新設されたと判別された避雷設備LEの保護範囲PA内の飛行推奨エリアを、飛行推奨エリアマップに追加するためである。
【0183】
また、制御装置100の更新部119は、飛行推奨エリアマップに記載された保護範囲PA内の飛行推奨エリアの内で、更新後の保護範囲テーブルに基づいて算出された保護範囲PA内の飛行推奨エリアのいずれとも異なる飛行推奨エリアを、飛行推奨エリアマップから削除する。このような削除が行われるのは、ステップS116において、撤去されたと判別された避雷設備LEの保護範囲PA内の飛行推奨エリアを、飛行推奨エリアマップから削除するためである。
【0184】
その後、制御装置100は、更新後の飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップを用いて、図3に示した飛行命令処理、又は、図7に示した変更命令処理を実行する。これにより、制御装置100の選択部120は、更新された後の飛行推奨エリアマップを天気に応じて選択し、決定部130は、選択された更新後の飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップに基づいて飛行体600の飛行ルートを決定する。
【0185】
これらの構成によれば、避雷設備LEによって落雷から保護される保護範囲PAは、避雷設備LEが備える受雷部Rの位置によって定まる範囲である。また、飛行体600は、不図示の撮像装置で避雷設備LEを撮像し、制御装置100の取得部110は、撮像装置で得られた複数の撮像画像と、複数の撮像画像の撮像点の位置を表す情報と、複数の撮像画像の撮像方向を表す情報と、を取得する。さらに、制御装置100の更新部119は、取得された複数の撮像画像と、複数の撮像画像の撮像点、及び、撮像方向と、に基づいて、受雷部Rの位置を算出し、算出された位置に基づいて保護範囲PA内の飛行推奨エリアを更新する。このため、例えば、作業員が、保護範囲PAを定める避雷設備LEの存続、新設、及び、撤去を確認し、確認結果に基づいて保護範囲PA内の飛行推奨エリアを更新する必要が無くなる又は少なくできるので、制御装置100は、保護範囲PA内の飛行推奨エリアの更新に要する人的コストを低減できる。
【0186】
これらの構成によれば、制御装置100の更新部119は、飛行体600が飛行ルートを飛行中に得た撮像画像に基づいて、避雷設備LEが備える受雷部Rの位置を算出する。また、更新部119は、算出された受雷部Rの位置を表す情報が、図12の保護範囲テーブルに保存されていないと、算出された受雷部Rの位置を表す情報を保護範囲テーブルに追加する。さらに、更新部119は、保護範囲テーブルに保存された受雷部Rの位置を表す情報の内で、撮像画像に基づいて算出されなかった位置を表す情報を削除する。このため、保護範囲テーブルに保存された受雷部Rの位置を表す情報が誤っている場合には、誤った情報で表される位置は、撮像画像に基づいて算出されないため、制御装置100は、誤った情報を保護範囲テーブルから削除できる。また、撮像画像に基づいて算出された位置を表す情報は、保護範囲テーブルに保存されていないため、制御装置100は、算出された位置を表す情報を保護範囲テーブルに追加できる。このため、制御装置100は、保護範囲テーブルに保存された誤った位置を表す情報を、算出された位置を表す情報で訂正できる。
【0187】
<実施例4の変形例1>
実施例4では、飛行体600が備える不図示の撮像装置は、単眼のデジタルカメラであり、制御装置100は、当該撮像装置で得られた動画像を構成する処理対象のフレームと、処理対象のフレームよりも順番Mだけ前のクレームと、の視差に基づいて、受雷部Rの上端点の位置を算出すると説明した。
【0188】
しかし、これに限定される訳では無く、制御装置100は、動画像を構成する複数のフレームを用いて、例えば、Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)又はSfM(Structure from Motion)といった画像処理を実行することで、受雷部Rの上端点の位置を算出しても良い。
【0189】
また、これに限定される訳では無く、飛行体600が備える不図示の撮像装置は、双眼のステレオカメラであり、2枚で1組の撮像画像を生成し、制御装置100は、当該撮像装置で得られた2枚の撮像画像の視差に基づいて、受雷部Rの上端点の位置を算出しても良い。
【0190】
実施例4では、飛行体600が備える不図示の撮像装置は、飛行体600の前方向を撮像すると説明したが、これに限定される訳では無く、飛行体600の後方向、右方向、左方向、又は、上方向を撮像しても良い。
【0191】
本発明の実施例1から4、実施例1の変形例1から8、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1は、互いに組み合わせることができる。
【0192】
実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る機能を実現するための構成を備えた制御装置100、並びに、実施例1の変形例7及び8のいずれかに係る機能を実現するための構成を備えた制御装置610として提供できることはもとより、複数の装置で構成されるシステムであって、実施例1から4、実施例1の変形例1から8、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る機能を実現するための構成をシステム全体として備えたシステムとして提供することもできる。
【0193】
本発明の実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る機能を実現するための構成を予め備えた制御装置100として提供できる。また、プログラムの適用により、既存の制御装置を実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る制御装置100として機能させることもできる。すなわち、上記実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかで例示した制御装置100による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行することで、実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る制御装置100として機能させることができる。
【0194】
本発明の実施例1の変形例7及び8のいずれかに係る機能を実現するための構成を予め備えた制御装置610として提供できる。また、プログラムの適用により、既存の制御装置を実施例1の変形例7及び8のいずれかに係る制御装置610として機能させることもできる。すなわち、上記実施例1の変形例7及び8のいずれかで例示した制御装置610による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行することで、実施例1の変形例7及び8のいずれかに係る制御装置610として機能させることができる。
【0195】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD(Compact Disc)-ROM、又は、DVD(Digital Versatile Disc)-ROMなどの記録媒体に収納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。
【0196】
本発明に係る方法は、実施例1から4、実施例1の変形例1から7、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る制御装置100、並びに、実施例1の変形例7及び8のいずれかに係る制御装置610を用いて実施できる。また、本発明に係る方法は、実施例1から4、実施例1の変形例1から8、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る飛行システム1を用いて実施できる。さらに、本発明に係る方法は、実施例1から4、実施例1の変形例1から8、実施例2の変形例1から3、実施例3の変形例1、及び、実施例4の変形例1のいずれかに係る飛行体600を用いて実施できる。
【0197】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0198】
(付記)
(付記1)
飛行体と、前記飛行体を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、を備え、
前記飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行する、
ことを特徴とする飛行システム。
【0199】
(付記2)
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアマップと、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップと、に基づいて、前記飛行体の前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の飛行システム。
【0200】
(付記3)
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の飛行システム。
【0201】
(付記4)
前記天気は、雷を伴う天気を含み、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、避雷設備によって落雷から保護される保護範囲内のエリアを含み、
前記記憶部は、前記飛行体の飛行が禁止されている飛行禁止エリアが記載された飛行禁止エリアマップをさらに記憶しており、
前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアは、前記雷を伴う天気と異なる天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに記載された前記飛行推奨エリアよりも、前記飛行禁止エリアに近く、
前記決定部は、前記飛行禁止エリアを通るルートと異なる複数の候補ルートから、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて前記飛行体の飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の飛行システム。
【0202】
(付記5)
前記取得部は、発雷確率を表す情報と、前記飛行体が備える蓄電池の蓄電残量を表す情報と、をさらに取得し、
前記決定部は、取得された前記情報で表される前記発雷確率と前記蓄電残量とにさらに基づいて前記飛行ルートを決定する、
ことを特徴とする付記3又は4に記載の飛行システム。
【0203】
(付記6)
前記飛行体である第1飛行体と異なる第2飛行体及び第3飛行体をさらに備え、
前記第1飛行体と前記第2飛行体とは、雷によって生じた稲妻を撮像する撮像装置を備え、
前記取得部は、前記第1飛行体で得られた前記稲妻の画像である第1画像、前記第1画像の撮像点である第1点を表す情報、及び、前記第1画像の撮像方向である第1方向を表す情報と、前記第2飛行体で得られた前記稲妻の画像である第2画像、前記第2画像の撮像点である第2点を表す情報、及び、前記第2画像の撮像方向である第2方向を表す情報と、をさらに取得し、
取得された前記第1画像、前記第1点を表す情報、及び、前記第1方向を表す情報と、前記第2画像、前記第2点を表す情報、及び、前記第2方向を表す情報と、に基づいて前記稲妻の発生点を特定し、前記第1飛行体、前記第2飛行体、及び、前記第3飛行体の内で、特定された前記発生点から予め定められた距離以下の距離を飛行する1又は複数の飛行体を特定する特定部をさらに備え、
前記決定部は、特定された前記1又は複数の飛行体の飛行ルートを、前記雷を伴う天気に対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて決定し、
特定された前記1又は複数の飛行体は、決定された前記飛行ルートに従って飛行する、
ことを特徴とする付記3から5のいずれか一つに記載の飛行システム。
【0204】
(付記7)
前記避雷設備によって落雷から保護される前記保護範囲は、前記避雷設備が備える受雷部の位置によって定まる範囲であり、
前記第1飛行体は、前記撮像装置で前記避雷設備を撮像し、
前記取得部は、前記撮像装置で得られた前記避雷設備の複数の撮像画像と、前記複数の撮像画像の撮像点を表す情報と、前記複数の撮像画像の撮像方向を表す情報と、をさらに取得し、
取得された前記複数の撮像画像と、前記複数の撮像画像の前記撮像点、及び、前記撮像方向と、に基づいて、前記避雷設備が備える前記受雷部の位置を算出し、算出された前記位置に基づいて前記保護範囲内の前記エリアを更新する更新部をさらに備える、
ことを特徴とする付記6に記載の飛行システム。
【0205】
(付記8)
飛行ルートに従って飛行する飛行体であって、
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において前記飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の前記飛行ルートを決定する決定部と、を備える、
ことを特徴とする飛行体。
【0206】
(付記9)
天気を表す情報を取得する取得部と、
天気と、前記天気において飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定部と、
決定された前記飛行ルートに従って飛行させる制御を前記飛行体に行う制御部と、を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【0207】
(付記10)
飛行システム又は制御装置が実行する方法であって、
前記飛行システム又は前記制御装置が、天気を表す情報を取得する取得ステップと、
前記飛行システム又は前記制御装置が、天気と、前記天気において飛行体の飛行が飛行時の安全性に基づいて推奨される飛行推奨エリアが記載された飛行推奨エリアマップと、を対応付けて複数記憶する記憶部において、取得された前記情報で表される前記天気と対応付けられた前記飛行推奨エリアマップに基づいて、前記飛行体の飛行ルートを決定する決定ステップと、
前記飛行システム又は前記制御装置が、決定された前記飛行ルートに従って飛行させる制御を前記飛行体に行う制御ステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0208】
1:飛行システム
100、610:制御装置
101、611:CPU
102、612:RAM
103a、613a:ROM
103b:ハードディスク
104a、614a:データ通信回路
105a:ビデオカード
105b:表示装置
105c:入力装置
110:取得部
115:特定部
119:更新部
120:選択部
130:決定部
140:制御部
190:情報記憶部
600、700、800:飛行体
613b:フラッシュメモリ
616:GPS回路
618:入出力ポート
619:駆動回路
621から624:プロペラアーム
631から634:プロペラ
641a:第1囲持枠
641b:第2囲持枠
642a、642b:ガイドレール
643:支持脚
651:LiDARセンサ
B:施設
EL:引き下げ導線
IN:インターネット
LE:避雷設備
PA:保護範囲
PD:重複保護範囲
PS:単一保護範囲
R:受雷部
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