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特許7017609核燃料構造体および取り外し可能な陰極材料を用いた核燃料構造体の製作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】核燃料構造体および取り外し可能な陰極材料を用いた核燃料構造体の製作方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/60 20060101AFI20220201BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20220201BHJP
   C25C 3/36 20060101ALI20220201BHJP
   C25C 7/02 20060101ALI20220201BHJP
   C25C 7/06 20060101ALI20220201BHJP
   G21C 19/34 20060101ALI20220201BHJP
   G21C 19/46 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
G21C3/60
G21F9/28 571A
G21F9/28 571E
C25C3/36
C25C7/02 308Z
C25C7/06 302
G21C19/34 200
G21C19/46 200
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020124578
(22)【出願日】2020-07-21
(62)【分割の表示】P 2017564560の分割
【原出願日】2016-06-02
(65)【公開番号】P2020173278
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】14/750,086
(32)【優先日】2015-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ゲイリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,キース・エイチ
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501332(JP,A)
【文献】特表2015-503035(JP,A)
【文献】米国特許第04995948(US,A)
【文献】特開2010-013668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/00-19/50
23/00
G21F 9/00- 9/36
G21C 3/00- 3/64
21/00-21/18
C25C 1/00- 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料構造体を製作する方法であって、
接続構造体(235、236、250)で上側ブレード(231)を下側ブレード部分(233)に固定することにより陰極板(150)を製造することと、
陰極組立体(1300)内の金属酸化物を、前記金属酸化物の金属を前記陰極組立体(1300)の前記陰極板(150)に析出させるように還元することと、
前記析出した金属を伴う前記陰極板(150)を処理して前記核燃料構造体を製造することと、
を含み、
前記上側ブレード(231)は導電性材料を含み、
前記接続構造体(235、236、250)は、前記接続構造体(235、236、250)が前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)に固定するときに、前記下側ブレード部分(233)と前記上側ブレード(231)の電気的連続性をもたらすように構成されており、
前記下側ブレード部分(233)は、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含み、
前記接続構造体(235、236、250)は、前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)から取り外すために前記下側ブレード部分(233)から接続解除されるように構成されている、
方法。
【請求項2】
前記還元することは、
前記金属酸化物を伴う前記陰極組立体(1300)を電解質に浸すこと、および
前記陰極組立体(1300)に通電すること
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属酸化物は、
使用済み核燃料、
酸化プルトニウム、および
酸化ウラン
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理することは、
前記析出した金属を伴う前記陰極板(150)を前記陰極組立体(1300)から取り出すことを含み、
前記核燃料構造体は燃料棒である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記取り出すことは、前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)から取り外すことを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
陰極板であって、
導電性材料を含む前記陰極板(150)の上側ブレード(231)と、
前記上側ブレード(231)に接続された前記陰極板(150)の下側ブレード部分(233)と、
電気的連続性をもたらしながら前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)に固定するように構成された接続構造体(235、236、250)であり、前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)から取り外すために前記下側ブレード部分(233)から接続解除されるように構成された接続構造体(235、236、250)と、
を備え、
前記接続構造体(235、236、250)は導電性であって導電性材料を含み、前記下側ブレード部分(233)はウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合わせを含む陰極板(150)。
【請求項7】
前記上側ブレード(231)は、前記上側ブレード(231)の底面と上部表面との間で細長く、前記上側ブレード(231)の底面は前記下側ブレード(233)の上面の上にあり、前記上側ブレード(231)の底面は、前記下側ブレード部分(233)の上面に面している、
請求項6に記載の陰極板。
【請求項8】
前記下側ブレード部分(233)は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレード(239)の形をとり、
前記接続構造体(235、236、250)は、複数の接続構造体部分を含み、前記複数の接続構造体部分は、前記複数の下側ブレード(239)のうちの対応する1つを前記上側ブレード(231)に固定するようにそれぞれ構成されている、
請求項6に記載の陰極板(150)。
【請求項9】
前記複数の接続構造体部分のそれぞれが、セラミック外側部分、および前記上側ブレード(231)と前記複数の下側ブレード(239)のうちの前記対応する1つとに接触する導電性部分を含む多層構造体(235)、ナットおよびボルト(250)、ならびにナイフ接点(236)のうちの1つである、
請求項8に記載の陰極板(150)。
【請求項10】
前記複数の下側ブレード(239)のうちの1つ以上が、
0インチ超および前記上側ブレード(231)の厚さ未満の厚さ、
互いに異なる幅を有する2つの部分、ならびに
前記複数のブレードのうちの前記1つ以上により画定された少なくとも1つの開口
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の陰極板(150)。
【請求項11】
前記上側ブレード(231)の前面および後面のうちの少なくとも一方に沿って互いに間隔をおいて配置された1つ以上のセラミックスペーサ(155)をさらに備え、
前記後面は、前記前面とは反対側にある、
請求項6に記載の陰極板(150)。
【請求項12】
陰極バスケット組立体(100)であって、
上側バスケット組立体(111)と、
前記上側バスケット組立体(111)に接合された下側バスケット組立体(112)と、
前記陰極バスケット組立体(100)内に吊り下げられた、請求項11に記載の前記陰極板(150)と
を備え、
前記上側バスケット組立体(111)は、前記上側ブレード(231)を囲んでおり、
前記1つ以上のセラミックスペーサ(155)は、前記上側ブレード(231)を前記上側バスケット組立体(111)から電気的に絶縁しており、
前記下側ブレード部分(233)は、前記下側バスケット組立体(112)に直接接触することなしに前記下側バスケット組立体(112)により部分的に密閉されており、
前記下側バスケット組立体(112)は、前記陰極板(150)を前記陰極バスケット組立体(100)から取り出すために前記上側バスケット組立体(111)から取り外されるように構成されている、
陰極バスケット組立体(100)。
【請求項13】
前記陰極板(150)の前記下側ブレード部分(233)は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレード(239)の形をとり、
前記下側バスケット組立体(112)は、バスケット区画(207)を画定する仕切り(206)を含み、
前記複数の下側ブレード(239)は、前記下側バスケット組立体(112)に直接接触することなしに前記バスケット区画(207)のうちの対応する1つの内部にある、
請求項12に記載の陰極バスケット組立体(100)。
【請求項14】
前記下側ブレード部分(233)の基部と前記下側バスケット組立体(112)の底部との間にある少なくとも1つのセラミック底部構造体をさらに備え、
前記少なくとも1つのセラミック底部構造体は、前記下側ブレード部分(233)と前記下側バスケット組立体(112)の物理的な分離状態を維持するように構成されている、
請求項12に記載の陰極バスケット組立体(100)。
【請求項15】
前記陰極バスケット組立体(100)は、
電解質および金属酸化物を含有する混合物が前記下側バスケット組立体(112)内にあり、前記下側ブレード部分(233)に接触している場合に、
金属を前記下側ブレード部分(233)に析出させるように構成されており、
前記陰極バスケット組立体(100)は、前記金属酸化物を前記金属に還元し、前記金属を前記下側ブレード部分(233)に析出させるために前記混合物に通電し、
前記金属酸化物は、酸化プルトニウムおよび酸化ウランのうちの少なくとも一方を含む、請求項12に記載の陰極バスケット組立体(100)。
【請求項16】
陰極板(150)を製造する方法であって、
接続構造体(235、236、250)で上側ブレード(231)を下側ブレード部分(233)に固定することを含み、
前記上側ブレード(231)は導電性材料を含み、
前記接続構造体(235、236、250)は、前記接続構造体(235、236、250)が前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)に固定するときに、前記下側ブレード部分(233)と前記上側ブレード(231)の電気的連続性をもたらすように構成されており、
前記下側ブレード部分(233)は、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含み、
前記接続構造体(235、236、250)は、前記下側ブレード部分(233)を前記上側ブレード(231)から取り外すために前記下側ブレード部分(233)から接続解除されるように構成されている、
方法。
【請求項17】
前記下側ブレード部分(233)は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレード(239)であり、
前記接続構造体(235、236、250)は、複数の接続構造体部分を含み、
前記上側ブレード(231)を前記下側ブレード部分(233)に固定することは、前記複数の接続構造体部分で前記上側ブレード(231)を前記複数の下側ブレード(239)に固定することを含み、
前記複数の接続構造体部分のそれぞれが、下地金属を伴うセラミックスペーサ(155)、およびナイフ接点(236)のうちの一方である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
陰極バスケット組立体(100)を製造する方法であって、
請求項17に記載の前記方法により陰極板(150)を製造することと、
下側バスケット組立体(112)を上側バスケット組立体(111)に接合して、接合組立体を形成することと、
前記陰極板(150)を前記接合組立体内に吊り下げることと
を含み、
前記上側バスケット組立体(111)は、前記上側ブレード(231)を囲んでおり、
前記下側ブレード部分(233)は、前記下側バスケット組立体(112)により部分的に密閉されており、
前記上側ブレード(231)および前記下側ブレード部分(233)は、それぞれ前記上側バスケット組立体(111)および前記下側バスケット組立体(112)から電気的に絶縁されており、
前記下側バスケット組立体(112)は、前記陰極板(150)を前記接合組立体から取り出すために前記上側バスケット組立体(111)から取り外されるように構成されている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、陰極板、陰極バスケット組立体、および/または陰極板および/または陰極バスケット組立体を製造する方法に関する。特に、本開示は、後の処理に使用される材料から製造されたブレードを含む陰極板、陰極板を含む陰極バスケット組立体、および/または陰極板および/または陰極バスケット組立体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解酸化還元などの電気化学プロセスが、金属酸化物を対応する金属(未酸化)状態に還元するために使用されうる。そのようなプロセスは、純粋ではない供給材料から高純度金属(1つ以上)を回収するために、および/または酸化金属鉱石から金属(1つ以上)を抽出するために使用されうる。例えば、電気メッキと同様のプロセスにおいて、金属酸化物(例えば、酸化ウランおよび/または酸化プルトニウム)を金属(例えば、ウランおよび/またはプルトニウム)に転換する電解酸化還元プロセスが陰極バスケット組立体内で行われうる。プロセスは、一般的に、金属酸化物に適合した溶融電解質に陰極および陽極と共に金属酸化物を浸すことを含み、金属酸化物は、陰極が金属酸化物に電気的に接触するように陰極バスケット組立体内に収容される。陽極および陰極(および陰極を介して金属酸化物)を帯電させることによって、金属酸化物は、溶融電解質による電解変換およびイオン交換によって還元されうる。これに伴い、金属(すなわち、還元した金属酸化物)が、電気化学プロセスにより陰極の一部に電解析出しうる。加えて、電気化学プロセスにより酸化ウランおよび/または酸化プルトニウムからウランおよび/またはプルトニウムを抽出する場合、転換金属は、反応炉の燃料としての使用のために後で処理されうる。
【0003】
従来の電解酸化還元プロセスでは、電解析出した金属は、陰極のうち金属が析出した部分から金属を物理的に取り除く(例えば、削り取る、研削する、または引き剥がす)ことにより回収されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012087399号パンフレット
【発明の概要】
【0005】
一部の例示的な実施形態は、核燃料構造体の製作方法に関する。
【0006】
一部の例示的な実施形態は、陰極板および/または陰極板を含む陰極バスケット組立体に関する。
【0007】
他の例示的な実施形態は、陰極板および/または陰極板を含む陰極バスケット組立体を製作する方法に関する。
【0008】
一部の例示的な実施形態は、取り外し可能な陰極材料を用いる構造体を製作する方法に関する。
【0009】
例示的な実施形態によると、核燃料構造体を製作する方法が、陰極組立体内の金属酸化物を、金属酸化物の金属を陰極組立体の陰極板に析出させるように還元することと、析出した金属を伴う陰極板を処理して核燃料構造体を製造することと、を含みうる。
【0010】
還元することは、金属酸化物を伴う陰極組立体を電解質に浸すこと、および陰極組立体に通電することのうちの少なくとも一方を含みうる。
【0011】
金属酸化物は、使用済み核燃料、酸化プルトニウム、および酸化ウランのうちの少なくとも一方を含みうる。
【0012】
処理することは、析出した金属を伴う陰極板を陰極組立体から取り出すことを含みうる。核燃料構造体は、燃料棒でありうる。
【0013】
陰極板は、上側ブレードおよび下側ブレード部分を含みうる。取り出すことは、下側ブレード部分を上側ブレードから取り外すことを含みうる。
【0014】
例示的な実施形態によると、陰極板が、導電性材料を含む上側ブレードと、上側ブレードに接続された下側ブレード部分と、電気的連続性をもたらしながら下側ブレード部分を上側ブレードに固定するように構成された接続構造体と、を含みうる。接続構造体は、下側ブレード部分を上側ブレードから取り外すために下側ブレード部分から接続解除されるように構成されうる。
【0015】
下側ブレード部分の材料が、上側ブレードの導電性材料とは異なりうる。
【0016】
下側ブレード部分は、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含みうる。
【0017】
下側ブレード部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレードの形をとりうる。接続構造体は、複数の接続構造体部分を含みうる。複数の接続構造体部分は、複数の下側ブレードのうちの対応する1つを上側ブレードに固定するようにそれぞれ構成されうる。
【0018】
複数の接続構造体部分のそれぞれが、セラミック外側部分、および上側ブレードおよび複数の下側ブレードのうちの対応する1つに接触する導電性部分を含む多層構造体、ナットおよびボルト、ならびにナイフ接点のうちの1つでありうる。
【0019】
複数の下側ブレードのうちの1つ以上が、0インチ超および上側ブレードの厚さ未満の厚さ、互いに異なる幅を有する2つの部分、ならびに複数の下側ブレードのうちの1つ以上により画定された少なくとも1つの開口のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0020】
陰極板は、上側ブレードの前面および後面のうちの少なくとも一方に全て沿って互いに間隔をおいて配置された1つ以上のセラミックスペーサをさらに含みうる。後面は、前面とは反対側でありうる。
【0021】
例示的な実施形態によると、陰極バスケット組立体が、上側バスケット組立体と、上側バスケット組立体に接合された下側バスケット組立体と、陰極バスケット組立体内に吊り下げられた、上述した陰極板と、を含みうる。上側バスケット組立体は、上側ブレードを囲みうる。1つ以上のセラミックスペーサは、上側ブレードを上側バスケット組立体から電気的に絶縁しうる。下側ブレード部分は、下側バスケット組立体に直接接触することなしに下側バスケット組立体により部分的に密閉されうる。下側バスケット組立体は、陰極板を陰極バスケット組立体から取り出すために上側バスケット組立体から取り外されるように構成されうる。
【0022】
陰極板の下側ブレード部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレードの形をとりうる。下側バスケット組立体は、バスケット区画を区分する仕切りを含みうる。複数の下側ブレードは、下側バスケット組立体に直接接触することなしにバスケット区画のうちの対応する1つの内部にありうる。
【0023】
陰極バスケット組立体は、下側ブレード部分の基部と下側バスケット組立体の底部との間にある少なくとも1つのセラミック底部構造体をさらに含みうる。少なくとも1つのセラミック底部構造体は、下側ブレード部分と下側バスケット組立体の物理的な分離状態を維持するように構成されうる。
【0024】
下側ブレード部分は、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含みうる。陰極バスケット組立体は、金属酸化物中の電解質を含有する混合物が下側バスケット組立体内にあり、下側ブレード部分に接触している場合に、金属を下側ブレード部分に析出させるように構成されており、陰極バスケット組立体は、金属酸化物を金属に還元し、金属を下側ブレード部分に析出させるために混合物に通電し、金属酸化物は、酸化プルトニウムおよび酸化ウランのうちの少なくとも一方を含みうる。
【0025】
例示的な実施形態によると、陰極板を製造する方法が、接続構造体で上側ブレードを下側ブレード部分に固定することを含みうる。上側ブレードは、導電性材料を含みうる。接続構造体は、接続構造体が下側ブレード部分を上側ブレードに固定するときに、下側ブレード部分と上側ブレードの電気的連続性をもたらすように構成されうる。接続構造体は、下側ブレード部分を上側ブレードから取り外すために下側ブレード部分から接続解除されるように構成されうる。
【0026】
下側ブレード部分の材料が、上側ブレードの導電性材料とは異なりうる。下側ブレード部分は、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含みうる。
【0027】
下側ブレード部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレードでありうる。接続構造体は、複数の接続構造体部分を含みうる。上側ブレードを下側ブレード部分に固定することは、複数の接続構造体部分で上側ブレードを複数の下側ブレードに固定することを含みうる。
【0028】
複数の接続構造体部分のそれぞれが、下地金属を伴うセラミックスペーサ、およびナイフ接点のうちの一方でありうる。
【0029】
例示的な実施形態によると、陰極バスケット組立体を製造する方法が、上述した方法により陰極板を製造することと、下側バスケット組立体を上側バスケット組立体に接合して接合組立体を形成することと、陰極板を接合組立体内に吊り下げることと、を含みうる。上側バスケット組立体は、上側ブレードを囲みうるし、下側ブレード部分は、下側バスケット組立体により部分的に密閉されうる。上側ブレードおよび下側ブレード部分は、上側バスケット組立体および下側バスケット組立体から電気的に絶縁されうるし、上側ブレードおよび下側ブレード部分は、それぞれ上側バスケット組立体および下側バスケット組立体から電気的に絶縁されうる。下側バスケット組立体は、陰極板を接合組立体から取り出すために上側バスケット組立体から取り外されるように構成されうる。
【0030】
例示的な実施形態によると、構造体を製作する方法が、金属酸化物を金属に還元するために、陰極バスケット組立体内の少なくとも1つの下側ブレードに接触する混合物に通電することによって、陰極バスケット組立体内に吊り下げられた陰極板の少なくとも1つの下側ブレードに金属を析出させることと、少なくとも1つの下側ブレードを陰極板から分離させることと、を含みうる。混合物は、電解質および金属酸化物を含みうる。陰極板は、接続構造体で少なくとも1つの下側ブレードに固定された上側ブレードを含み、接続構造体は、接続構造体が少なくとも1つの下側ブレードを上側ブレードに固定するときに、上側ブレードと少なくとも1つの下側ブレードの電気的連続性をもたらすように構成されうる。接続構造体は、少なくとも1つの下側ブレードから接続解除されるように構成されうる。陰極バスケット組立体は、上側バスケット組立体に接合された下側バスケット組立体を含みうる。上側バスケット組立体は、上側ブレードに直接接触することなしに上側ブレードを囲みうる。下側バスケット組立体は、陰極板が陰極バスケット組立体内に吊り下げられているときに、少なくとも1つの下側ブレードに直接接触することなしに少なくとも1つの下側ブレードの底部分を密閉する。陰極バスケット組立体の下側バスケット組立体は、混合物を充填されうる。
【0031】
方法は、金属を析出させ、少なくとも1つの下側ブレードを陰極板から分離した後に、少なくとも1つの下側ブレードを燃料棒に処理することをさらに含みうる。少なくとも1つの下側ブレードは、ウラン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含みうる。金属酸化物は、酸化プルトニウムおよび酸化ウランのうちの少なくとも一方を含みうる。接続構造体は、少なくとも1つの下側ブレードと上側ブレードを物理的な分離状態に維持するように構成されうる。
【0032】
上側ブレードは、ステンレス鋼でありうる。
【0033】
少なくとも1つのブレードは、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレードでありうる。下側バスケット組立体は、バスケット区画を画定する仕切りを含みうる。陰極板をバスケット組立体内に吊り下げることは、複数の下側ブレードが下側バスケット組立体に接触しないように、複数の下側ブレードをバスケット区画のうちの対応する1つの内部に配置することを含みうる。
【0034】
本明細書における非限定的な実施形態の各種の特徴および利点は、添付図面と共に詳細な説明を検討すると、より明らかになるであろう。添付図面は、例示を目的として提供されているにすぎず、請求項の範囲を限定すると解釈されるものではない。添付図面は、明示的に記載されていない限り、縮尺に従って描かれているとみなされるべきではない。理解しやすいように、図面の各種の寸法が強調されていることがある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】従来の陰極バスケット組立体を示している。
図1B】従来の陰極バスケット組立体に使用できる陰極板を示している。
図1C】電解酸化還元システム(EORS)の例を示している。
図1D】電解酸化還元システム(EORS)の別の例を示している。
図2A】一部の例示的な実施形態による陰極板を示している。
図2B】一部の例示的な実施形態による陰極板を示している。
図2C】一部の例示的な実施形態による陰極板を示している。
図2D】例示的な実施形態による陰極板のナイフ接点の例を示している。
図3】例示的な実施形態による陰極板の下側ブレードの例を示している。
図4】例示的な実施形態による陰極バスケット組立体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一部の例示的な実施形態を示す添付図面を参照して、例示的な実施形態について、さらに十分に記述する。しかし、例示的な実施形態は、多くの異なる形で具体化されてもよく、本明細書で明らかにされる実施形態に限定されるとみなされるものではなく、むしろ、それらの例示的な実施形態は、本開示が、十分かつ完全なものとなり、例示的な実施形態の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面では、複数の図面中の同様の参照数字が同様の要素を指しており、よって、それらの説明を省略することがある。
【0037】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に(on)ある」、「接続される(connected to)」、「結合される(coupled to)」、または「覆う(covering)」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接的に上にあり、接続され、結合され、または覆ってもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、別の要素または層に対して「直接上にある」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しない。本明細書を通じて、同様の数字は同様の要素を指す。本明細書において、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のいずれかおよび1つ以上の全ての組合せを含む。
【0038】
本明細書では、各種の要素、部品、領域、層および/またはセクションを第1、第2、第3などの用語を使用して記述するが、それらの要素、部品、領域、層、および/またはセクションが、これらの用語により限定されるものではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層、またはセクションを別の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。よって、以下で議論される第1の要素、部品、領域、層、またはセクションが、例示的な実施形態の教示から逸脱することなしに、第2の要素、部品、領域、層、またはセクションと呼ばれることもある。
【0039】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」など)は、本明細書では、図に示すような、1つの要素または特徴と(1つ以上の)他の要素または特徴との関係を記述するための説明を容易にするために用いられうる。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用または動作中の装置の様々な向きを含むことを意図していることを理解されたい。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」にあると記述される要素は、他の要素または特徴の「上方」に配される。よって、用語「下方(below)」は、上および下の両方の方向を含みうる。装置を、それ以外の方向に向ける(90度回転させる、または他の方向に回転させる)ことができ、したがって、本明細書で使用される空間的に相対的な記述はそれに応じて解釈される。
【0040】
本明細書で用いられる術語は、各種の実施形態の記述のみを目的とし、例示的な実施形態への限定を意図していない。本明細書で用いられるように、文脈上で別途明確に指示されていない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は複数形も含むものとする。「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組の存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0041】
本明細書では、例示的な実施形態について、例示的な実施形態の理想的な実施形態(および中間構造)の概略的な図示である断面図を参照して記述する。よって、例えば、製造技術および/または精度などに伴って、図示の形状からの変形が想定される。よって、例示的な実施形態は、本明細書に示す領域の形状に限定されるとみなされるものではなく、例えば製造により生じる、形状の変更を含むことが予定される。よって、図に示す領域は、性質上概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0042】
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書に定義される用語などの用語は、関連する技術の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるものであり、理想的な意味または形式的すぎる意味には、本明細書においてそのように明示的に定義されていない限り解釈されないことを理解されたい。
【0043】
図1Aは、従来の陰極バスケット組立体を示している。図1Bは、従来の陰極バスケット組立体に使用できる陰極板を示している。図1Cは、電解酸化還元システム(EORS)の例を示している。図1Dは、電解酸化還元システム(EORS)の別の例を示している。以下では、図1A図1B図1C、および図1Dを参照して従来の電解酸化還元プロセスおよびEORSの態様について記述するが、より詳細な説明が米国特許第8,800,439号に提供されており、その全体を参照することにより、その内容の全てがここに組み込まれる。
【0044】
図1Aを参照すると、従来の陰極バスケット組立体100が、上側部分111(すなわち上側バスケット組立体)および下側部分112(すなわち下側バスケット組立体)を含みうるし、それらの部分は、図1Cおよび図1Dを参照して後述する電解酸化還元システム(EORS)1000および1005における使用に対応して異なる構造を有しうる。
【0045】
上側部分111は、中空であり密閉されうるし、または還元システムにおける使用を許容するような任意の他の所望の形状および長さであってもよい。下側部分112は、酸化物および/または電解還元用の他の材料を内部に配置できる、バスケットまたは他の筐体110を形成しうる。下側部分112は、下側部分112を複数のセクション(例えば、バスケット区画107)に区分して、還元される材料を下側部分112において分離および/または分配する仕切り106を含みうる。
【0046】
下側部分112と上側部分111は、下側部分112に配置されうるように材料が通る隙間または他の開口を画定するように十分に区分されうる。図1Aに示すように、上側部分111と下側部分112は、陰極バスケット組立体100の平坦面に沿って酸化物投入用の隙間または開口を画定するように、共有されるシート金属面115に沿ってリベット箇所116で接合されうる。上側部分111と下側部分112は、リベット箇所116または任意の他の適当な接続部によってフレキシブルに機械的に接続されうる。上側バスケット組立体111(すなわち上側部分)と下側バスケット組立体112(すなわち下側部分)の間の開口は、陰極バスケット組立体100の内側に配置されうる陰極板150を露出させる。陰極板150については、図1Bを参照してより詳細に記述する。陰極板150を前側に露出させる開口は、陰極板150の後側を露出させるように陰極バスケット組立体100の後側に画定されてもよい。
【0047】
下側部分112は、電解質と相互作用するように、および/または電解質と接触するように構造化されうる。例えば、下側部分112は、陰極板150の露出した部分の下方に示されている酸化物充填口130を含みうる。酸化物充填口130は、陰極バスケット組立体100のうち下側部分112の平坦面に沿って配置された透過性材料を含む部分でありうる。酸化物充填口130の透過性材料は、還元される材料(例えば、酸化プルトニウムまたは酸化ウラン)が電解質またはバスケット110の外側に物理的に分散しないように材料を保持しながら、電解質が下側部分112に入り込むことを許容する。酸化物充填口130の透過性材料としては、例えば、不活性膜および微細多孔性金属板(例えば、多孔性ステンレス鋼板)など、電離した電解質に強く、同電解質の通過を可能にする多くの材料が挙げられうる。下側部分112の酸化物充填口130の透過性材料は、酸化物または還元金属が下側部分112から漏れることを許容しない筐体を形成するために、シート金属エッジ115および底部に接合されうる。このようにして、下側部分112は、溶融電解質が固化または閉塞しうる領域を減らしながら、還元用材料(例えば、数キログラムの還元用材料)を保持するための空間を提供し、フレキシブルかつ商業的な規模で還元を許容しうる。バスケット110は、酸化物充填口130の透過性材料と電解質の相互作用のための大きな表面積を提供する平坦な形状を有するように示されているが、所望の機能性および内容量に基づいて任意の方法で、形状決定され、配置され、サイズ決定されてもよい。
【0048】
下側部分112は、下側部分112が電解質に浸されているときに、上側部分111が電解質レベルよりも上方に存在することを確実にするように、上側部分111から垂直にずらされうる。上側部分111は、バスケット110の上側部分111および下側部分112が組立体支持体140から延在し、組立体支持体140により支持されるように、組立体支持体140に接合しうる。組立体支持体140は、陰極バスケット組立体100を電解質の上方に支持しうる。例えば、組立体支持体140は、上方から電解質容器1050内に延在する陰極バスケット組立体を支持するように、図1Cおよび図1Dを参照して後述する電解酸化還元システム(EORS)1000または1005の天板1108に重なるように延在しうる。下側部分112は、電離した高温の電解質内に延在しうるが、上側部分111からの分離によって、上側部分111および陰極バスケット組立体100の残り部分への熱および/または腐食材の移動が抑制され、損傷および磨耗が抑制されうる。
【0049】
図1Aおよび図1Bに示すように、従来の陰極バスケット組立体100は、陰極板150をさらに含む。陰極板150は、組立体支持体140を貫通し、および/または同支持体により支持され、バスケット110内に延存しうる。陰極板150は、かなりの長さでバスケット110内に延在し、下側セクション112内の電解質に浸漬され、下側セクション112に保持されている還元される酸化物材料に直接接触するように下側セクション112内に延在しうる。図1Bに示すように、陰極板150は、バスケット110に適合して嵌るか、または同バスケットに合致するような、形状または構造を含みうる。図1Aおよび図1Bは、バスケット110が3つのバスケット区画107を含み、陰極板150が、3つのバスケット区画107に適合して嵌るようにサイズ決定された3つの下側ブレード部分123を含む例を示しているが、対応するバスケット区画107および下側ブレード部分123の数は、特に限定されず、変更されてもよい。
【0050】
従来の電解酸化還元プロセス中、陰極板150は、陰極板150が接触しうる、バスケット110内の電解質または酸化物材料から陰極板150への間接電流および陰極板150から電解質または酸化物材料への間接電流を除いて、バスケット110から電気的に絶縁される。そのような絶縁は、陰極板150をバスケット110から物理的に分離するなど、いくつかの方法で実現されうる。図1Aに示すように、陰極板150は、バスケット110に直接接触することなしにバスケット110の中央部分に延在しうる。陰極板150は、接続解除位置DLで陰極バスケット組立体100の上部から接続解除されうる。
【0051】
図1Bに示すように、1つ以上のセラミックスペーサ155(例えば、絶縁パッドまたはバンド)が、陰極板150をバスケット110から電気的に絶縁しながらも、バスケット110内で適切に並ぶように陰極板150に配置されうる。セラミックスペーサ155が上側部分111の内側面に当接して着座する場合、および/または、セラミック材料などの断熱材でもある材料から製造される場合、セラミックスペーサ155は、加えて、陰極板150の上部へのまたはバスケット110の上側部分111への熱移動を妨げうる。さらに、陰極板150の支持体180が組立体支持体140に載っている場合、絶縁パッドまたはバッファ170(図1Aを参照)が、陰極板150の支持体180と組立体支持体140との間に挟まれて、2つの構造を互いに電気的に絶縁しうる。
【0052】
上側部分111、シート金属エッジ115、ならびに下側部分112の仕切りおよび底部を含むバスケット110と、陰極板150とは、作用する電解質により生じうる腐食または熱損傷に対して強く、還元されている材料と実質的に反応しない、導電性材料から製作されうる。例えば、ステンレス鋼、またはタングステン、モリブデン、タンタルなどの別の非反応性金属の合金もしくは材料が、バスケット110および陰極板150に使用されうる。絶縁材170、セラミックスペーサ155、および取扱い構造を除く、陰極バスケット組立体100の他の部品が、等しく導電性でありうる。
【0053】
陰極板150およびバスケット110の材料が、さらに、強度および剛性を高めるように製作および形状決定されうる。例えば、補剛用ヘムまたはリブ151が、反りもしくは他の歪みおよび/または陰極板150とバスケット110の間の位置ずれのリスクを下げるように、陰極板150またはシート金属エッジ115に形成されうる。図1Aに示すように、リフトハンドル181が、陰極板150の取り出し、移動、または他の取扱いを独立して許容するために支持体180に接続されうる。例えば、陰極板150は、バスケット110のみを残して、ハンドル181によってユーザにより陰極組立体100から取り出されうる。このことは、陰極板150を選択的に洗浄、修理、または交換する、および/または材料をバスケット110に挿入するか、もしくはバスケットから回収する際に有利になりうる。リフトハンドル181は、ユーザの感電、ならびに例示的な電解還元システムを流れる他の不要な電流を制限および/または防止するように、陰極板150および支持体180から電気的に絶縁される。
【0054】
陰極組立体支持体140は、さらに、バスケット110および場合によっては陰極板150を含む、陰極組立体100の取り出し/挿入、そうでなければ取扱いまたは移動のためのリフトバスケットポスト190を含みうる。リフトバスケットポスト190は、陰極組立体支持体140の両側に配置され、および/または陰極バスケット組立体100の残り部分から絶縁されうる。EORS1000および/または1005(図1Cおよび図1Dを参照)など、より大型の還元システムに使用するときには、個々の陰極バスケット組立体100、ならびにバスケット110および陰極板150を含むそれらの全ての副次部品は、リフトバスケットポスト190によって各種の位置で、自動または手動で移動され取り扱われうる。
【0055】
図1Aに示すように、陰極バスケット組立体100は、陰極バスケット組立体100が機械的かつ電気的に接続して電力を受け取りうる、1つ以上の陰極組立体コネクタ185aおよび185bを含みうる。陰極組立体コネクタ185aおよび185bは、標準プラグおよび/またはケーブルなど、あるいは、例示的な陰極バスケット組立体100では、例示的な電力分配システムの受電用フォーク型コネクタ127内に着座するように形状決定されたナイフエッジ接点など、各種の形状およびサイズでありうる。図1Aおよび図1Bは、2対の陰極組立体コネクタ185aおよび185bが陰極バスケット組立体100の両側に配置されて、組立体に電力も供給する例を示しているが、陰極組立体コネクタ185aおよび185bの数は、特に限定されず、必要に応じて調節されてもよい。加えて、一部の例では、陰極バスケット組立体100は、陰極バスケット組立体100の一方の側にのみ陰極組立体コネクタ185aおよび185bを含んでもよい。
【0056】
陰極組立体コネクタ185aおよび185bは、陰極バスケット組立体100内の各種の部品に電気的に接続し、同部品に適切な還元電位を提供しうる。例えば、分離した2対の陰極組立体コネクタ185aおよび185bは、別々の電源に接続し、異なる電力、電流、電圧、極性などを組立体100の別々の部品に提供しうる。図1Bに示すように、内側コネクタ185aは、支持体180によって陰極板150に接続しうる。内側コネクタ185aは、電気的接触を伴わずに絶縁材170および組立体支持体140を貫通して、陰極板150を互いの部品から絶縁しうる。外側コネクタ185bは、組立体支持体140およびバスケット110に直接接続しうる。このようにして、異なる電流、電圧、極性などが、陰極板150およびバスケット110に、両者の間の電気的短絡を伴わずに提供されうる。陰極板150が陰極バスケット組立体100に組み付けられるときに、コネクタ185aおよび185bは、ナイフ接点127に挿入されうる。
【0057】
図1Cを参照すると、電解酸化還元システム(EORS)1000が、ヒータ1051と接触しているか、そうでなければ同ヒータにより加熱される電解質容器1050を含む。ヒータ1051は、容器1050内の電解質を溶融および/または溶解させるために使用されうる。電解質容器1050は、ハロゲン塩、または還元される材料のタイプに基づいて選ばれる、可動性の酸化物イオンを提供する可溶性酸化物を含有する塩など、適切な電解質を充填されうる。電解質の非限定的な例としては、Ca系電解質(例えば、CaCl2およびCaO、またはCaF2およびCaO、または何らかの他のCa系電解質)、またはリチウム系電解質混合物(例えば、LiClおよびLi2O)が挙げられる。電解質は、希土類酸化物、または酸化ウランもしくは酸化プルトニウムなどのアクチニド酸化物、または使用済み核燃料などの複合酸化物を還元する際に使用されうる。
【0058】
EORS1000は、他の部品を収容し、組み付け、そうでなければ支持および構造化するために、いくつかの支持および構造部材を含みうる。例えば、1つ以上の側方支持体1104が、天板1108まで延在し、同天板を支持しうるし、同天板は、電解質容器1050へのアクセスを許容するように同容器の上方にある開口(不図示)を含みうる。天板1108は、さらに、天板1108に接続する、同天板の周りにあるグローブボックス(不図示)によって、支持および/または絶縁されうる。いくつかの規格化された電気接点1480(図1Dを参照)および冷却源/ガス排気管が、陽極および陰極部品が、EORS1000によって、モジュール位置で支持され、動作可能となるように、天板1108にまたは同天板の周りに設けられうる。図1Bにおいて記述したナイフ接点127は、電流が、ナイフ接点127を通って、ナイフ接点127に接続されたコネクタ185aおよび185bの一方に入るように、電気接点1480の1つに接続されうる。ナイフ接点127を通過する電流は、陰極板150を通過しうる。リフトバー1105および/またはガイドロッド1106を含むリフトバスケットシステムが、電解質容器1050内の溶融電解質内に延在する陰極組立体1300に接続し、および/または同組立体を吊り下げうる。そのようなリフトバスケットシステムは、EORS1000の残り部分および関連する部品を移動させることなしに、陰極組立体1300の選択的なリフトまたは他の操作を許容しうる。EORSは、ガイドロッドおよびリフトバーと共に働いて、227からナイフ接点185aの外にバスケット(陰極バスケット組立体)を均一にリフトするギヤボックス1107を含みうる。ギヤボックス1107は、モータ(不図示)により駆動されうる。
【0059】
図1Cでは、EORSは、いくつかの陽極組立体1200と交互し、各種の支持体要素により支持され、電解質容器1050内に延在する、いくつかの陰極組立体1300を含む。組立体は、さらに、EORS1000の対応する供給源への規格化された接続部により電力供給され、または冷却されうる。図1Cには10個の陰極組立体1300および11個の陽極組立体1200を示しているが、EORS1000では、エネルギー源、還元される材料の量、生産される金属の所望の量などに応じて、任意数の陽極組立体1200および陰極組立体1300が使用されうる。
【0060】
図1Dは、アクセスのために電解質容器1050の外に陰極バスケット組立体1300のみを選択的にリフトするように持ち上げたリフトバー1105およびガイドロッド1106を含むバスケットリフティングシステムを有し、反応性の金属酸化物または生産された還元金属を陰極組立体1300からロードまたはアンロードすることを許容する、代替的な構成のEORS1005を示している。図1Dの構成では、いくつかのモジュール状の電気接点1480が、天板1108の開口の周りのモジュール位置に並べて示されている。例えば、電気接点1480は、EORS1000内において陰極バスケット組立体1300および/または陽極組立体1200のいくつかの異なる配列および位置を許容するナイフエッジ接点でありうる。
【0061】
図1Cに示すように、バスバー1400、陽極電力ケーブル1410、および/または陰極電力ケーブル1420を含む電源供給システムが、電気接点(不図示)を通じて陽極組立体1200および/または陰極組立体1300に個別の電荷を供給しうる。動作中、電解質容器1050内の電解質が、還元される酸化物に適合した液体電解質材料を加熱および/または溶解させること、そうでなければ供給することによって、液化されうる。液化した電解質材料の動作温度が、使用される材料に基づいて、凡そ400~1200℃の範囲に及びうる。例えば、Nd2O3、PuO2、UO2、使用済み酸化物核燃料または希土類鉱石などの複合酸化物などの、酸化物材料が、酸化物材料が電解質および陰極組立体1300に接触するように、液体電解質内に延在する陰極組立体1300内にロードされうる。
【0062】
陰極組立体1300および陽極組立体1200は、反対の電荷または極性を提供するように電源に接続されうるし、電気化学的に発生した所望の還元電位が、陰極で金属酸化物に流れ込む還元電子により陰極で確立されるように、電流制御された電気化学プロセスが生じる。還元電位の発生によって、陰極組立体1300内の酸化物材料中の酸素が解放され、酸化物イオンとして液体電解質内に溶出する。酸化物材料中の還元金属は、陰極組立体1300に留まる。陰極組立体での電解反応は、式(1)により表されうる。
【0063】
(金属酸化物)+2e-→(還元金属)+O2- (1)
ここで、2e-は、陰極組立体1300により供給される電流である。
【0064】
陽極組立体1200では、電解質中に溶出した負の酸素イオンが、負の電荷を陽極組立体1200に移動させ、酸素ガスに転換しうる。陽極組立体での電気分解反応は、式(2)により表されうる。
【0065】
2O2-→O2+4e- (2)
ここで、4e-は、陽極組立体1200を通過する電流である。
【0066】
例えば、溶融Li系塩が電解質として使用される場合、上記の陰極反応は、式(3)により表現されうる。
【0067】
(金属酸化物)+2e-+2Li+→(金属酸化物)+2+2Li→(還元金属)+2Li++O2- (3)
しかし、この特定の反応順序が生じないことがあり、陰極組立体1300が、リチウムの析出が生じる電位よりも低い負の電位に維持される場合などには、中間的な電極反応が可能である。
【0068】
図2Aから図2Cは、一部の例示的な実施形態による陰極板を示している。簡略にするために、図1Bの従来の陰極板150の対応する特徴と同じか、または実質的に同じである、図2Aから図2Cの陰極板の特徴については、詳細に記述されないことがある。しかし、図2Aから図2Cの陰極板と従来の陰極板150との間の違いについては、より詳細に記述する。
【0069】
図2Aを参照すると、例示的な実施形態では、陰極板が、上側ブレード231と、上側ブレード231に接続された下側ブレード部分233とに分割されうる。参照文字234が分割に相当する。上側ブレード231は、ステンレス鋼または、タングステン、モリブデン、タンタルなどの別の非反応性金属の合金もしくは材料などの導電性材料を含みうる。よって、上側ブレード231の材料が、図1Bにおいて記述した従来の陰極板150の材料と同じでありうるが、例示的な実施形態は、これに限定されない。
【0070】
下側ブレード部分233は、上側ブレード231の材料とは異なる導電性材料を含みうる。一部の用途では、下側ブレード部分233は、ウラン、ジルコニウム、ウランおよび/またはジルコニウムを含むブレンド合金(例えば、U-Zr、U-Pu-Zrなど)、またはそれらの組合せで作られてもよく、またはそれらを含んでもよい。しかし、下側ブレード部分233は、それらの材料に限定されない。
【0071】
下側ブレード部分233は、下側ブレード部分233に電解析出する金属により形成される生成物に内包されうる材料を含んでもよく、または同材料から成ってもよい。この点に関して、図2Aから図2Cの陰極板は、図1Bの従来の陰極板150とは異なる。図1Bの従来の陰極板150の場合、陰極板150に析出した金属は、物理的に取り除かれた後に、陰極板150のうち金属が物理的に取り除かれる部分から生じる不純物を除去するために処理される。対照的に、下側ブレード部分233に析出した金属は、下側ブレード部分233から物理的に取り除かれなくてもよい。これは、図2Aから図2Cの陰極板は、陰極板に電解析出した金属により形成される最終生成物に内包されうる材料を含んでもよく、または同材料から成ってもよいためである。これに伴い、下側ブレード部分233に対応する不純物を除去する後の処理が、限定および/または回避されうる。これは、下側ブレード部分233の材料は、最終生成物中の不純物とみなされないためである。
【0072】
例えば、ウランおよび/またはプルトニウムが酸化ウランおよび/または酸化プルトニウムから抽出され、従来の陰極板150(図1Bを参照)に電解析出する用途では、従来の電気化学プロセスの後の処理は、転換金属を陰極板150(図1Bを参照)から物理的に取り除くことと、電解精錬処理を行って、転換金属から不純物を除去することと、転換金属を塩プレスまたは溶融精錬機内で処理して電解質を取り除くことと、ウランおよび/またはジルコニウムをさらに付加して最終合金組成物を得ることと、燃料スラグなどの核燃料構造体を鋳造するために、付加したウランおよび/またはジルコニウムと共に転換金属を誘導炉内に配置することとを含みうる。
【0073】
対照的に、例示的な実施形態による陰極板の場合、ウランおよび/またはプルトニウムが下側ブレード部分233に電解析出したときに、下側ブレード部分233は、ウラン、ジルコニウム、ウランおよび/またはジルコニウムを含むブレンド合金、またはそれらの組合せで作られてもよく、またはそれらを含んでもよい。したがって、下側ブレード部分233の材料が、転換金属により形成される最終生成物中の不純物ではないように選択されうる。これに伴い、形成された転換金属(例えば、ウランおよび/またはプルトニウム)を含む下側ブレード部分233は、転換金属を陰極板から物理的に削り取る代わりに、陰極板から取り外されうる。その後、下側ブレード部分233の材料(例えば、ウラン、ジルコニウム、それらのブレンド合金、および/またはそれらの組合せ)が、核燃料構造体中の不純物ではない材料から形成されるか、または同材料を含みうるため、形成された転換金属を含む下側ブレード部分233から不純物を除去する処理は、抑制および/または回避されうる。形成された転換金属を含む下側ブレード部分233は、小片に細分化され、塩プレスまたは溶融精錬機内に配置されて電解質を取り除かれうる。電解質が取り除かれた後に、一部の材料(例えば、ウランおよび/またはジルコニウム)が、最終合金ターゲット組成物を得るために、析出した金属と下側ブレード部分233のブレンドに付加されうるが、陰極板150を要する従来の電気化学プロセスが行われた場合に付加されていたであろう材料の量よりも少ない材料を付加すればよい。最後に、析出した金属、下側ブレード部分233の材料、および付加材料のブレンドに基づく最終合金ターゲット組成物は、燃料スラグを鋳造するために誘導炉内で処理されうる。
【0074】
後の処理に使用される材料(例えば、金属燃料に使用されるウラン、ジルコニウム、またはブレンド合金)から製作された下側ブレード部分233を含む陰極板を使用することによって、陰極ブレードの析出した金属の物理的な取り除きは排除されうる。代わりに、下側ブレード部分233は、単純に陰極板から取り外されうるし、析出した転換金属を伴うブレードは、最終生成物(例えば、燃料スラグ)の処理材料供給流に直接取り入れられうる。したがって、陰極処理の処理能力が向上しうるし、廃棄材料流中の不純物(例えば、ステンレス鋼)の量が抑制または排除されうる。不純物を除去するための電解精錬処理が省略されうる。
【0075】
例示的な実施形態では、下側ブレード部分233に金属を析出させ、析出した金属を伴う下側ブレード部分233を取り外した後に、新たな処理を開始するために新たな下側ブレード部分233を上側ブレード部分231に接続することができる。次いで、新たな下側ブレード部分233に接続された上側ブレード部分231を含む陰極板を、新たな下側ブレード部分233に金属を析出させるために別のバッチの酸化物と共に陰極バスケット組立体(図4を参照)にロードすることができる。
【0076】
示していないが、図2Aから図2Cの陰極板の下側部分233は、図1Bの陰極板150に示した補剛用ヘムもしくはリブ151と同じか、または類似する補剛用ヘムもしくはリブを含みうる。下側ブレード部分233は、上側ブレード231と直接接触しうる。代わりに、下側ブレード部分233は、上側ブレード231から垂直方向に間隔をおいて配置されうる。例えば、図2Bに示すように、下側ブレード部分233は、下側ブレード部分233と上側ブレード231の間に境界面245があるように、上側ブレード231に直接接触しうる。下側ブレード部分233は、上側ブレード231に接触しうるが、下側ブレード部分233を切断せずに下側ブレード部分233を上側ブレード231から機械的に取り外せるようにも構成されうる。
【0077】
下側ブレード部分233は、下側ブレード部分233と上側ブレード231の電気的連続性をもたらしながら下側ブレード部分233を上側ブレード231に固定するように構成された少なくとも1つの接続構造体によって、上側ブレード231に接続されうる。接続構造体は、下側ブレード部分233を上側ブレード231から取り外すために下側ブレード部分233から接続解除されるように構成されうる。利用される接続構造体のタイプは、下側ブレード部分233が上側ブレード231に接続されている間に、接続構造体が下側ブレード部分233と上側ブレード231の電気的連続性をもたらしうる限り、特に限定されない。
【0078】
図2Aから図2Cの陰極板の1つが陰極バスケット組立体(図4を参照)内に配置されるときに、接続構造体は、陰極板が陰極バスケット組立体から電気的に絶縁されることを確実にするものである。図2Aに示すように、接続構造体は、電気絶縁部分(例えば、セラミック層)および下地導電性部分(例えば、ステンレス鋼などの金属層)を含むクランプなど、多層構造体235の形をとる固定具でありうる。多層構造体235の導電性部分は、上側ブレード231と下側ブレード部分233の電気的連続性をもたらすために、それぞれ上側ブレード231および下側ブレード部分233の前側と後側の両方に接触しうる。また、電気絶縁部分(例えば、セラミック層)は、陰極板が陰極バスケット組立体内にあるときに、多層構造体235を陰極バスケット組立体から絶縁しうる。言い換えれば、多層構造体235の外側部分が、電気絶縁部分であってもよく、上側ブレード231のセラミックスペーサ155と同様に、陰極板が陰極バスケット組立体内にあるときに、陰極板を陰極バスケット組立体から電気的に絶縁するセンタリング用ガイドとして使用されてもよい。
【0079】
多層構造体235は、一端が下側ブレード部分233のうち塩レベル232の上方の部分に接続し、他端が上側ブレード231の底部分に接続するように取り付けられうる。塩レベル232は、図2Dを参照して後述するように、図2Aの陰極板が陰極バスケット組立体内に配置されるときに電解質が下側ブレード部分233に接触するレベルに対応する。
【0080】
多層構造体235の代わりに、接続構造体は、代わりに、フック、ナットおよびボルト接続、ナイフ接点などの異なる手段によって上側ブレード231を下側ブレード部分233に接続してもよい。図2Aは、下側ブレード部分233と上側ブレード231の間のナイフ接点を形成するコネクタ236の形をとる接続構造体を示している。下側ブレード部分233と上側ブレード231の間のナイフ接点236については、図2Dを参照して後述する。図2Aには示していないが、接続構造体がフックを含むときには、フックの一端が上側ブレード231または下側ブレード部分233の一方に固定されてもよく、他端(すなわち、フック部)が、上側ブレード231または下側ブレード部分233の他方に画定された穴に挿入されてもよい。
【0081】
図2Cは、接続構造体が上側ブレード231と下側ブレード部分233の間のナットおよびボルト接続250の形をとる点を除いて、図2Aに示す陰極板と同様の陰極板を示している。ナットおよび/またはボルトが、陰極板が陰極バスケット組立体内にあるときに、陰極板が陰極バスケット組立体から電気的に絶縁されることを確実にするように、ナットおよびボルト接続250に使用するナットおよび/またはボルトの外側面が電気絶縁材料(例えば、セラミック)を含みうる。加えて、ナットおよびボルトは、陰極板が陰極バスケット組立体内にあるときに、ナットおよびボルトが陰極バスケット組立体から間隔をおいて配置されるように、サイズ決定されうる。
【0082】
下側ブレード部分233は、水平方向で互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレード239を含みうる。接続構造体は、複数の下側ブレード239のうちの対応する1つを上側ブレード231に固定するようにそれぞれ構成された複数の接続構造体部分を含みうる。複数の接続構造体部分のそれぞれが、セラミック外側部分、および上側ブレードと複数の下側ブレードのうちの対応する1つとに接触する導電性部分を含む多層構造体、ナットおよびボルト、ならびにナイフ接点のうちの1つでありうる。例えば、図2Aに示すように、複数の多層構造体235またはナイフ接点236が、複数の下側ブレード239を上側ブレード231に固定しうる。代わりに、図2Bおよび図2Cに示すように、複数の下側ブレード239のそれぞれが、上側ブレード231および境界面245(図2Bを参照)に直接接続されてもよく、または少なくとも1つのナットおよびボルト接続250を用いて上側ブレード231に接続されてもよい。
【0083】
図2Dは、例示的な実施形態による陰極板のナイフ接点の例を示している。図2Aにおける上側ブレード231と下側ブレード233の間のナイフ接点236は、図2Dに示すように実装されうる。ナイフ接点236は、上側ブレード231の底部分に接続されたコンタクタ247を含みうる。コンタクタ247は、下側ブレード部分233の複数の下側ブレード239のうちの1つが、コンタクタ247に接触するように溝に挿入され、所定位置に固定(例えば、クランプ留めまたはボルト留め)されうるように、溝を画定しうる。コンタクタ247は、上側ブレード231と同じ導電性材料で形成されうる。複数の下側ブレード239のうちの1つがコンタクタ247に挿入されるときに、コンタクタ247は、下側ブレード239を上側ブレード231に固定し、下側ブレード239と上側ブレード231の電気的連続性をもたらしうる。
【0084】
複数の下側ブレード239のそれぞれの基部部分が、1つ以上のセラミックスペーサ237に接続されうる。セラミックスペーサ237は、陰極板が陰極バスケット組立体内に配置されるときに、複数の下側ブレード239をバスケット110から電気的に絶縁しうる。代わりに、セラミックスペーサ237は、バスケットの一部でもよい。例えば、セラミックスペーサ237は、図1Bに示したバスケット区画107の底部に配置されてもよい。セラミックスペーサ237がバスケットの一部であるとき、図2Aから図2Cの陰極板は、陰極板が陰極バスケット組立体内に配置されるときに、セラミックスペーサ237の上部に配置されうる。
【0085】
図2Aから図2Cは、下側ブレード部分233が3つの下側ブレード239を含む陰極板の例をそれぞれ示しているが、例示的な実施形態は、これに限定されず、下側ブレード部分233の下側ブレード239の数は、変更されてもよい。下側ブレード239のそれぞれのサイズは、下側ブレード239が、図4に示す陰極バスケット組立体の仕切り206により画定されたバスケット区画207のうちの対応する1つに配置されうるように、決定されうる。
【0086】
例えば、図2Aから図2Cおよび図4を参照すると、各ブレード239は、0インチよりも大きく約1/8インチまでの範囲の厚さ、約6インチの範囲または約4インチから約8インチの範囲の幅W1、および約22インチまたは約20インチから約25インチの範囲の高さH1を有しうる。しかし、ブレードの寸法は、所望に応じて変更されうる。陰極板が陰極バスケット組立体内に配置されるときに塩レベル232に対応するブレード239の高さH2は、約19インチでもよく、または約17インチから約22インチの範囲でもよい。しかし、高さH2は、陰極バスケット組立体のバスケットにロードされる酸化物の量およびバスケットに浸透する電解質の量に依存しうる。
【0087】
図3は、例示的な実施形態による陰極板の下側ブレードの例を示している。
【0088】
図3を参照すると、図2Aから図2Cの下側ブレード部分233の形状および構造に各種の変更が施されうる。図3の下側ブレード部分243は、図2Aから図2Cの下側ブレード部分233の下側ブレード239に施されうる変更の一部を示している。
【0089】
例えば、図3の左側のブレード239aにより示されるように、陰極板のブレード239の1つ以上が、図2Aから図2Cのブレード239よりも薄い厚さを有しうる。ブレード239aの厚さが、0インチよりも厚く、上側ブレード231の厚さ未満でありうる。ブレード239aの厚さを薄くすることで、ブレード239aの材料およびブレード239aに電解析出した転換金属に基づく最終ブレンド要件に占めるブレード239aの量が抑制される。
【0090】
図3の中間のブレード239bにより示されるように、陰極板のブレード239の1つ以上が、互いに異なる幅の2つの部分を含みうる。例えば、中間のブレード239により示されるように、ブレード239の1つ以上が、図2Aから図2Cおよび図4のブレード239および/または図3のブレード239aおよび239cの幅W1よりも小さな幅W1’を有する部分を含みうる。図3では、W1’は、0インチよりも大きく、約6.3インチ未満でありうる。ブレード239bの幅をある部分で小さくすることで、ブレード239bの材料およびブレード239bに電解析出した転換金属に基づく最終ブレンド要件に占めるブレード239bの量が抑制される。
【0091】
図3の右側のブレード239cにより示されるように、陰極板のブレード239の1つ以上が、少なくとも1つの開口を画定しうる。例えば、ブレード239の1つ以上は、穴または互いに間隔をおいて配置された複数の穴を画定しうる。穴または複数の穴の代わりに、少なくとも1つのスリットがブレード239cに形成されてもよい。少なくとも1つの穴またはスリットをブレード239cに形成することで、ブレード239cの材料およびブレード239cに電解析出した転換金属に基づく最終ブレンド要件に占めるブレード239cの量が抑制される。
【0092】
別の選択肢が、下側ブレード239の1つ以上をブレンド合金(例えば、U-Zr合金)から形成することである。下側ブレード239の1つ以上を第1の元素および第2の元素の合金により形成することによって、下側ブレードおよび析出した転換金属の合計重量に対する第1の元素および/または第2の元素の比が、下側ブレードが第1の元素または第2の元素のみで作られた場合よりも小さくなりうる。
【0093】
上述したように、一部の例示的な実施形態による陰極板は、燃料構造体を製作する方法に使用されうる。方法は、金属酸化物の金属を陰極組立体の陰極板に析出させるように陰極組立体の金属酸化物(例えば、使用済み核燃料、酸化プルトニウム、および/または酸化ウラン)を還元することと、析出した金属を伴う陰極板を処理して核燃料構造体を製作することとを含みうる。金属酸化物を還元することは、金属酸化物を伴う陰極組立体を電解質に浸すことと、陰極組立体に通電して金属酸化物の金属を陰極板に析出させることとを含みうる。金属を陰極板に析出させた後に、析出した金属を伴う陰極板は、陰極組立体から取り出され、核燃料棒などの核燃料構造体に処理されうる。用語「核燃料構造体に処理される」は、例えば、図2Aから図2Cのブレード239(または図3のブレード239a~239cに基づく変形例)のうちの1つの少なくとも10重量%を核燃料構造体に内包することを含みうる。
【0094】
例示的な実施形態によると、陰極板を製造する方法が、接続構造体(例えば、ナイフ接点236、ナットおよびボルト接続250、多層構造体235など)で上側ブレード231を下側ブレード部分233に固定することを含みうる。上側ブレードは、導電性材料を含みうる。接続構造体は、接続構造体が下側ブレード部分を上側ブレードに固定するときに、下側ブレード部分と上側ブレードの電気的連続性をもたらすように構成されうる。接続構造体は、下側ブレード部分233を上側ブレード231から取り外すために下側ブレード部分233から接続解除されるように構成されうる。下側ブレード部分233は、互いに間隔をおいて配置された複数の下側ブレード239でもよいし、接続構造体は、複数の接続構造体部分を含んでもよい。上側ブレード231を下側ブレード部分233に固定することは、複数の接続構造体部分で上側ブレード231を複数の下側ブレード239に固定することを含みうる。各接続構造体部分は、ナイフ接点236、または下地金属を伴うセラミックスペーサの形をとる多層構造体235でもよい。
【0095】
例示的な実施形態では、下側バスケット組立体を上側バスケット組立体に接合して接合組立体を形成し、陰極板を接合組立体内に吊り下げることによって、陰極バスケット組立体が製造されうる。上側バスケット組立体は、上側ブレードを囲みうる。下側ブレード部分は、下側バスケット組立体により部分的に密閉されうるし、上側ブレードおよび下側ブレード部分は、それぞれ上側バスケット組立体および下側バスケット組立体から電気的に絶縁されうる。下側バスケット組立体は、陰極板を接合組立体から取り出すために上側バスケット組立体から取り外されるように構成されうる。
【0096】
図4は、例示的な実施形態による陰極バスケット組立体を示している。
【0097】
図4を参照すると、図2Aから図2Cの陰極板または図3に基づく陰極板の変形例が陰極バスケット組立体内に配置されるときに、図2Aから図2Cの陰極板または図3に基づく変形例の配置構成は、図1Aに示したような陰極バスケット組立体の陰極板150と同じか、または同様でありうる。言い換えれば、陰極バスケット組立体が従来の陰極板150の代わりに例(例えば、図2Aから図2Cの陰極板または図3に基づく変更例のうちの1つ)による陰極板を含むときを除いて、図4の陰極バスケット組立体は、本出願の図1Aにおいて議論した陰極バスケット組立体と同じか、または同様でありうる。
【0098】
図4の陰極バスケット組立体は、上側部分111(上側バスケット組立体とも称する)に接合した下側部分(下側バスケット組立体とも称し、図1Aの下側部分112を指す)を含みうる。図2Aから図2Cを参照して上述した上で議論した陰極板または図3に基づく変形例のうちの1つが、図4に示す陰極バスケット組立体に挿入されうる。上側部分111は、陰極板を囲みうる。セラミックスペーサ155(図2Aを参照)は、陰極板の上側ブレード231を上側部分111から電気的に絶縁しうる。陰極板の下側ブレード部分233は、下側部分に直接接触することなく下側部分により密閉されうる。陰極バスケット組立体の下側部分は、高さH3およびバスケットフレーム高さH4の下側バスケットセクションを含む。陰極バスケット組立体の下側部分は、陰極板を陰極バスケット組立体から取り出すために上側部分111から取り外されうる。
【0099】
下側バスケット組立体は、バスケット区画207を画定する複数の仕切り206を含みうる。仕切り206により画定されたバスケット区画207は、図1Aを参照して前に議論した仕切り106により画定されたバスケット区画107と同じか、または実質的に同じでありうる。陰極板の下側ブレード239は、互いに間隔をおいて配置され、下側ブレード239が、下側バスケット組立体に電気的に接触することなしに対応するバスケット区画207に嵌りうるように、サイズ決定されうる。
【0100】
少なくとも1つのセラミック底部構造体が、下側ブレード部分233の基部と下側バスケット組立体の底部との間にありうる。少なくとも1つのセラミック底部構造体は、下側ブレード部分233と下側バスケット組立体の物理的な分離状態を維持するように構成されうる。例えば、図2Aを参照して上述したセラミックスペーサ237は、下側ブレード239に固定される代わりに下側ブレード部分233の底部またはバスケットの一部に固定されうる。例えば、セラミックスペーサ237は、バスケット区画207内にあり、下側ブレード239を図4の陰極バスケット組立体のバスケットから絶縁しうる。バスケット下側セクションの高さH3は、バスケットフレームの高さH4未満でありうる。高さH3と高さH4の違いによって、陰極バスケット組立体が、酸化物をバスケット区画207内にロードされるように、陰極バスケット組立体の上側部分と下側部分の間に開口を画定することが可能になる。下側ブレード部分233または243がバスケット下側セクション内にあるときのクリアランスを提供し、下側バスケットセクションに付加された酸化物を収容するために、バスケット下側セクションの長さLが、下側ブレード部分233または243の厚さよりも十分に大きい。
【0101】
塩レベル232は、塩レベルが下側ブレード部分233の上部に隣接するように、上側バスケット組立体111と下側バスケット組立体112の間の開口(図1Aを参照)の真下でありうる。図2Aから図2Cの陰極板のコネクタ185aおよび185bは、本出願の図1Aのナイフ接点127と同じか、または実質的に同じナイフ接点227に挿入されうる。また、上側ブレード231は、上側ブレード231の前面および後面の少なくとも一方に沿って互いに間隔をおいて配置された1つ以上のセラミックスペーサ155を含みうる。上側ブレード231の後面は、上側ブレード231の前面とは反対側でありうる。セラミックスペーサ155は、陰極板が陰極バスケット組立体内に置かれるときに、上側ブレード231をバスケット110から電気的に絶縁するために使用されうる。陰極板が陰極バスケット組立体に挿入されたときに陰極バスケット組立体から電気的に絶縁されない場合、陰極バスケット組立体の所期の機能が妨げられる。
【0102】
陰極バスケット組立体は、金属を下側ブレード部分233に析出させるように構成されうる。金属酸化物が、下側ブレード部分233のブレード239に接触するように陰極バスケット組立体の下側部分に付加されうる。電解質が、陰極バスケット組立体の下側部分に浸透し、電解質が塩ライン232まで達するようにバスケット区画206に浸透しうる。液体電解質は、ハロゲン塩または、還元される材料のタイプに基づいて選ばれる、可動性の酸化物イオンを提供する可溶性酸化物を含有する塩などでありうる。例えば、CaCl2およびCaO、またはCaF2およびCaO、または何らかの他のCa系電解質、またはLiClおよびLi2Oなどのリチウム系電解質混合物が、希土類酸化物、または酸化ウランもしくは酸化プルトニウムなどのアクチニド酸化物、または使用済み核燃料などの複合酸化物を還元する際に使用されうる。しかし、例示的な実施形態は、これらに限定されず、他の酸化物および/または電解質が使用されてもよい。陰極バスケット組立体は、金属酸化物を金属に還元し、金属を下側ブレード部分233に析出させるために、電解質および金属酸化物を含有する混合物が下側ブレード部分233に接触するときに混合物に通電するように構成されうる。金属酸化物は、酸化プルトニウムおよび酸化ウランのうちの少なくとも一方を含みうるが、これに限定されない。
【0103】
上で議論したように、例示的な実施形態による陰極板では、下側ブレード部分233は、下側ブレード部分233に電解析出した金属により形成される生成物に内包されうる材料を含んでもよく、または同材料から成ってもよい。金属が下側ブレード部分233に電解析出し、金属を含むブレード239が取り外されるときに、金属を含むブレード239は、金属を含むブレード239の組成物が所望の最終合金組成物と一致するかどうかを判定するために評価されうる。以下では、非限定的な例について記述する。
【0104】
例1-純粋なブレードによる処理
表1には、下側ブレードに使用される様々な材料についてブレードの体積および質量の計算値を纏めている。図2Aから図2C図3および図4の下側ブレード239、239a、239b、および239cは、表1のブレード寸法に限定されない。比較データとして、ステンレス鋼に基づく比較例も提供されている。
【0105】
【表1】

頂点高さ(ブレード間の切断部の頂点)または塩高さのいずれかを深さとして、厚さ×幅×深さによりブレード体積を推定した。ステンレス鋼、ウラン、またはジルコニウムの密度から凡その質量を計算した(U-Zr合金は、初期評価について選択されなかった)。
【0106】
1つのバスケット区画内の1つのブレードの質量を表す1つのブレードのみを表1に表している。バスケット組立体内の3つのブレード全ての全体質量を得るために、ブレード質量が等しいと仮定して、使用するブレードの数で表1の値を乗算した。
【0107】
PuO2の1つの標準缶が、最大質量7kgの酸化物を有しうるし、その酸化物は、電気化学プロセスにより質量6.2kgのプルトニウムを伴う金属に還元されうる。例示的な2つのプルトニウム燃料含有率を実現するために付加したウランおよびジルコニウムの質量を以下の表2に示している。
【0108】
【表2】

表2を参照すると、6.2kgのプルトニウム(Pu)を含む低Pu含有率燃料組成物の場合、16.15%のPu、73.85%のU、および10%のZrの組成比を有するために、低Pu含有率燃料組成物は、28.2kgのウラン(U)および3.8kgのジルコニウム(Zr)を必要としうる。6.2kgのプルトニウム(Pu)を含む高Pu含有率燃料組成物の場合、高Pu含有率燃料組成物は、21.79%のPu、68.21%のU、および10%のZrの組成比を有するために、19.3kgのウラン(U)および2.8kgのジルコニウム(Zr)を必要としうる。6.2kgのプルトニウムは、7kgの1つのPuO2標準缶から還元されうる金属の量に基づく。
【0109】
7kgのPuO2を投入する場合、ウランまたはジルコニウムのブレードは、燃料中の最終量のうちのある割合を構成しうる。その割合は、高含有率または低含有率のそれぞれに応じて、表3に示されている。表3の値は、表1の塩レベルでの質量/表2のそれぞれの濃縮度の質量により得られる。
【0110】
【表3】

表3を参照すると、ブレード(図2Aのブレード239を参照)が完全にウラン(U)で作られる場合、表1に基づけば、ブレードは、約5.35kgのウラン(U)でありうるし、浸漬部分は、4.57kgのウランでありうる。表2に示したように、低Pu含有率[LE]燃料が、28.2kgのウラン(U)を有しうるし、高Pu含有率[HE]燃料が、19.3kgのウラン(U)を有しうる。よって、ブレードの浸漬部分における4.57kgのウラン(U)は、低Pu含有率[LE]燃料の組成物の16.2%(4.57/28.2)を占め、高Pu含有率燃料[HE]の23.7%(4.57/19.3)を占めうる。2つまたは3つのブレードが使用される場合、割合は、表3の2倍または3倍となる。
【0111】
ジルコニウム(Zr)ブレードの場合、ブレードは1.83kgでありうるし、浸漬部分は1.56kgでありうる。表2に示したように、低Pu含有率[LE]燃料が、3.8kgのジルコニウムを有しうるし、高Pu含有率[HE]燃料が、2.8kgのジルコニウム(Zr)を有しうる。よって、ブレードの浸漬部分における1.56kgのジルコニウム(Zr)は、低Pu含有率[LE]燃料の組成物の41.0%(1.56/3.8)を占め、高Pu含有率燃料[HE]の55.7%(1.56/2.8)を占めうる。2つまたは3つのブレードが使用される場合、割合は、表3の2倍または3倍となる。
【0112】
表3を参照すると、ブレードがウランで作られる場合、1つのUブレード/1つのバスケット区画の構成の場合、ウランブレードが、最終燃料混合物中のウランの23%未満を占めうる。2つのUブレード/2つの区画の構成では、ウランブレードは、ウランの47.3%未満を占め、3つのUブレード/3つの区画の構成では、ブレードにより付加されたウランは、71%未満である。ブレードがジルコニウムで作られる場合、1つのZrブレード/1つのバスケット区画によって、ジルコニウムブレードは、最終燃料合金中のジルコニウムの55.7%未満を占める。2つのZrブレード/2つの区画の構成では、ジルコニウムブレードは、低含有率燃料合金中のジルコニウムの82.1%未満を占めるが、高含有率燃料の場合に最終燃料合金中に使用されるよりも多くのジルコニウムを占め、3つのZrブレード/3つの区画の構成では、ブレードにより付加されるジルコニウムは、高含有率合金と低含有率合金の両方に必要とされる質量を超える。
【0113】
要約すると、表2は、ブレードがウランで作られる場合には、処理には2つまたは3つのブレード/区画の構成で十分でありうるが、ブレードがジルコニウムで作られる場合には、LE燃料の2つのブレード/区画処理を除いて十分ではないことを示している。ジルコニウムブレードによる処理では、追加の変更が用いられうる。
【0114】
表1~表3のデータは、各バスケット区画206が約8kgの許容荷重を有しうる例の場合であるが、図4の各バスケット区画206の許容荷重は、それぞれ8kg超でもよく、または8kg未満でもよい。
【0115】
例2
ウラン処理の場合、入来するブレンドU-Pu酸化物の50/50の比率が、ウラン金属の等しい部分をもたらす。最終合金のUブレード/ブレンドウランの組合せを表4に示している
【0116】
【表4】

表4の値は、組み合わされたウラン質量(ブレード+ブレンド)を表2のそれぞれの濃縮度のウラン質量で除算することにより得られる。組み合わされたウラン質量は、50/50ブレンド質量(または6.2kg)を伴うブレード(表1の質量)である。
【0117】
1つのUブレード/1つの区画では、ウランブレードが、最終燃料混合物中のウランの55.8%未満を占め、2つのUブレード/2つの区画の構成では、ウランブレードは、ウランの79.5%未満を占める。3つのUブレード/3つの区画の構成では、ブレードにより付加されたウランは、最終燃料中に必要とされるウランの70.6%を提供し、低含有率燃料を可能にするが、高含有率燃料にはより多くが必要とされる。
【0118】
入来する供給材料ブレンドは、より多くのウラン含有率(66/33、70/30または75/25)を有し、追加のバスケット区画およびバスケットが利用されうる。追加のウランが、ブレンドに付加されてもよい。
【0119】
材料(例えば、ウラン、ジルコニウム、ウランおよびジルコニウムを含むブレンド合金など)で作られた下側ブレード部分を含む陰極板を採用することによって、従来の電気化学プロセスにおける金属陰極からのU-Puの物理的な取り除き(例えば、削り取り、引き剥がし、研削)、および後の不純物除去処理(例えば、電解精錬)または他の困難な除去法を排除しうる。耐食用または他の機能のために受金属に材料の薄層を置くために、電気メッキが一般的に行われる。電気メッキ材料の除去は、一般的に行われない。上側ブレードと下側ブレードに分割されたブレードによって、ウラン、ジルコニウムまたは合金から作られたブレードの下側ブレードは、上側ブレードに機械的にクランプ留め、ねじ留めまたはボルト留めされうる。機械的な取付けによって、析出した合金を伴うブレードの取り除きが、物理的な取り除き(削り取りなど)の代わりに機械的な(クランプ解除またはボルト解除)手段により可能となる。これによって、金属を還元する電気化学プロセスに使用される陰極を処理する取り除き工程が簡略化される。
【0120】
多くの例示的な実施形態を本明細書に開示してきたが、他の変形例も可能であることを理解されたい。そのような変形例は、本開示の主旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、当業者にとって自明であろうそのような変更の全ては、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
100 陰極バスケット組立体
106 仕切り
107 バスケット区画
110 バスケット、筐体
111 上側部分、上側バスケット組立体
112 下側部分、下側セクション、下側バスケット組立体
115 シート金属面、シート金属エッジ
116 リベット箇所
123 下側ブレード部分
127 受電用フォーク型コネクタ、ナイフ接点
130 酸化物充填口
140 陰極組立体支持体
150 陰極板
151 補剛用ヘムまたはリブ
155 セラミックスペーサ
170 絶縁材、絶縁パッド、バッファ
180 支持体
181 リフトハンドル
185a ナイフ接点、陰極組立体コネクタ、内側コネクタ
185b 外側コネクタ
190 リフトバスケットポスト
206 仕切り、バスケット区画
207 バスケット区画
227 ナイフ接点
231 上側ブレード、上側ブレード部分
232 塩レベル、塩ライン
233 下側ブレード部分、下側ブレード、下側部分
235 多層構造体
236 ナイフ接点、コネクタ
237 セラミックスペーサ
239、239a、239b、239c 下側ブレード
243 下側ブレード部分
245 境界面
247 コンタクタ
250 ナットおよびボルト接続
1000、1005 電解酸化還元システム(EORS)
1050 電解質容器
1051 ヒータ
1104 側方支持体
1105 リフトバー
1106 ガイドロッド
1107 ギヤボックス
1108 天板
1200 陽極組立体
1300 陰極バスケット組立体
1400 バスバー
1410 陽極電力ケーブル
1420 陰極電力ケーブル
1480 電気接点
DL 接続解除位置
H1、H2、H3、H4 高さ
L 長さ
W1、W1’ 幅
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4