(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】自動車のための液体容器および液体容器を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20220201BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20220201BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B29C45/14
B29C51/10
(21)【出願番号】P 2020523345
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2018078852
(87)【国際公開番号】W WO2019081410
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】102017125264.9
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・ボフィエー
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-280496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059477(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0102026(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009059100(DE,A1)
【文献】特開2017-219189(JP,A)
【文献】米国特許第05344038(US,A)
【文献】米国特許第06613408(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B29C 45/14
B29C 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 液体(6)を貯蔵するための貯蔵容積(4)を備え、
- 前記貯蔵容積(4)を少なくとも部分的に区切る少なくとも1つのシェル(8、10)を備える、自動車のための液体容器であって、
- 前記シェル(8、10)は、少なくとも部分的に射出成形プロセスにおいて製造されており、
- 前記シェル(8、10)は、バリア膜(12、32)を有し、
- 前記シェル(8、10)は、少なくとも部分的にまたは完全に熱可塑性繊維強化複合材料で形成される補強要素(14、34)を有し、
- 前記シェル(8、10)は、少なくとも部分的にまたは完全に射出成形材料で形成される単一パートまたはマルチパートの支持構造物(16、36)を有し、
- 前記バリア膜(12、32)は、前記補強要素(14、34)に一体的に接合され、かつ
- 前記バリア膜(12、32)および前記補強要素(14、34)はそれぞれ、前記支持構造物(16、36)に一体的に接合され、
- 前記支持構造物(16、36)が、前記バリア膜(12、32)から遠い前記補強要素(14、34)の面の一部分のみを覆う、自動車のための液体容器。
【請求項2】
- 前記補強要素(14、34)は、少なくとも部分的にもしくは完全に、前記バリア膜(12、32)と前記支持構造物(16、36)との間に配置され、かつ/または
- 前記バリア膜(12、32)は、部分的にもしくは完全に前記補強要素(14、34)の面(44)をカバーし、かつ/または
- 前記支持構造物(16、36)は、前記補強要素(14、34)の面(46)を少なくとも部分的にもしくは完全にカバーする、請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
- 前記シェル(8)は、第1の半シェル(8)であり、それは、第2の半シェル(10)と一緒に、前記貯蔵容積(4)を区切り、かつ
- 前記第2の半シェル(10)は、バリア膜(32)、補強要素(34)および支持構造物(36)を備える壁構成を有する、請求項1または2に記載の液体容器。
【請求項4】
- 前記補強要素(14、34)は、熱可塑性プラスチック材料マトリクス(20)に埋め込まれる強化用繊維(18)を有し、前記強化用繊維(18)は、ガラス繊維および/もしくはアラミド繊維および/もしくは炭素繊維もしくは類似のものを備え、または前記強化用繊維(18)は、ガラス繊維および/もしくはアラミド繊維および/もしくは炭素繊維もしくは類似のものから成り、かつ/または
- 前記補強要素(14、34)は、熱可塑性プラスチック材料マトリクス(20)に埋め込まれる強化用繊維(18)を有し、前記熱可塑性プラスチック材料マトリクス(20)は、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイドもしくは類似のものを備えまたはそれらから成り、かつ/または
- 前記補強要素(14、34)は、長繊維を用いて強化された繊維強化複合プラスチック材料を備えるまたはそれから成る、かつ/または
- 前記支持構造物(16、36)は、HDPEもしくは耐衝撃性に改良されたポリアミドを備えまたはそれらから成り、かつ/または
- 前記補強要素(14、34)は、有機シートを備えまたは有機シートから成り、かつ/または
- 前記補強要素(14、34)は、一方向に強化されたストリップを備えまたは一方向に強化されたストリップである、請求項1から3のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項5】
- 前記支持構造物(16、36)は、PA6を備えまたはPA6から成り、前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化PA6を備え、または前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化PA6から成り、前記バリア膜(12、32)は、PA6を備えるまたはPA6から成るカバー層(22、24)を有し、前記バリア膜の前記カバー層(22、24)は、前記バリア膜(12、32)の中央層(26)を封入し、前記バリア膜の前記中央層(26)は、EVOHを備えまたはEVOHから成り、または
- 前記支持構造物(16、36)は、HDPEを備えまたはHDPEから成り、前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化HDPEを備え、または前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化HDPEから成り、前記バリア膜(12、32)は、HDPEを備えるまたはHDPEから成るカバー層(22、24)を有し、前記バリア膜(12、32)の前記カバー層(22、24)は、前記バリア膜(12、32)の中央層(26)を封入し、前記中央層(26)は、EVOHを備えまたはEVOHから成り、前記バリア膜(12、32)の接着促進層は、それぞれの場合に前記中央層(26)と関連するカバー層(22、24)との間に配置され、前記接着促進層はそれぞれ、LLDPEを備えまたはLLDPEから成り、または
- 前記支持構造物(16、36)は、前記HDPEを備えまたは前記HDPEから成り、前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化PA6を備え、または前記補強要素(14、34)は、ガラス繊維強化PA6から成り、前記バリア膜(12、32)は、HDPEを備えるまたはHDPEから成るカバー層(22、24)を有し、前記バリア膜(12、32)の前記カバー層(22、24)は、前記バリア膜(12、32)の中央層(26)を封入し、前記中央層(26)は、EVOHを備えまたはEVOHから成り、前記バリア膜(12、32)の接着促進層は、それぞれの場合に前記中央層(26)と関連するカバー層(22、24)との間に配置され、前記接着促進層はそれぞれ、LLDPEを備えまたはLLDPEから成り、接着促進層は、前記補強要素(14、34)と前記バリア膜(12、32)との間にかつ/または前記補強要素(14、34)と前記支持構造物(16、36)との間に提供され、前記接着促進層は、LDPEもしくはLLDPEを備えまたはLDPEもしくはLLDPEから成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項6】
- 前記補強要素(14、34)は、実質的に平面のプレート(14、34)であり、それは、前記貯蔵容積を区切るベース側もしくはカバー側の壁の一部であり、
- 前記支持構造物(16、36)は、前記貯蔵容積(4)を区切る前記ベース側もしくはカバー側の壁から側壁(30)への、少なくとも部分的に湾曲した移行部(28)を形成し、または
- 前記補強要素(14、34)は、自由曲面の様式で、空間において1つ、2つもしくは3つの方向に湾曲し、前記貯蔵容積を区切るベース側もしくはカバー側の壁の一部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項7】
液体(6)を貯蔵するための貯蔵容積(4)と、前記貯蔵容積(4)を少なくとも部分的に区切る少なくとも1つのシェルと、を備える液体容器を製造するための方法において、
- バリア膜(12、32)を提供する方法ステップと、
- 少なくとも部分的にまたは完全に熱可塑性繊維強化複合材料で形成される補強要素(14、34)を提供する方法ステップと、
- 前記バリア膜(12、32)を前記補強要素(14、34)に一体的に接続する方法ステップと、
- 支持構造物(16、36)を射出成形する方法ステップであって、前記支持構造物(16、36)は、前記補強要素(14、34)に一体的に接続され、前記支持構造物(16、36)は、前記バリア膜(12、32)に一体的に接続される、方法ステップと、
を含
み、
- 前記支持構造物(16、36)が、前記バリア膜(12、32)から遠い前記補強要素(14、34)の面の一部分のみを覆う、液体容器を製造するための方法。
【請求項8】
- 前記バリア膜(12、32)を提供する方法ステップは、次の方法ステップ、
- 前記バリア膜(12、32)を熱成形する方法ステップおよび
- 前記バリア膜(12、32)を射出成形ツール(55)内に位置決めしかつ固定する方法ステップを含み、
- 前記バリア膜(12、32)は、前記バリア膜(12、32)が、前記射出成形ツール(55)内に位置決めされる前に、かつ/または前記バリア膜(12、32)が、前記射出成形ツール(55)内に位置決めされた後に、熱成形され
る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
- 前記バリア膜(12、32)は、ロールツーロールフィードイン(60)を使用して前記射出成形ツール(55)内に位置決めされ、かつ/または
- 前記バリア膜は、保持枠(66)を使用して前記射出成形ツールに固定され、かつ/または
- 前記バリア膜(12、32)は、前記射出成形ツール(55)内に負の圧力を発生させることによって固定されかつ熱成形される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バリア膜(12、32)を前記補強要素(14、34)に一体的に接続する方法ステップは、次の方法ステップ、
- 前記補強要素(14、34)を前記補強要素(14、34)の熱可塑性プラスチック材料マトリクス(20)の融点以上の温度まで加熱する方法ステップであって、
- 前記補強要素(14、34)は、前記バリア膜(12、32)の提供前にかつ/または提供中に加熱される、方法ステップと、
- 前記バリア膜(12、32)を受け取る第1のツール半分(56)と第2の、特にノズル側の、ツール半分(58)との間の領域内に前記補強要素(14、34)を移動させる方法ステップであって、
- 前記補強要素(14、34)は、加熱中にまたは加熱後に前記ツール半分(56、58)間で移動される、方法ステップと、
- 加熱された前記補強要素(14、34)を前記第1のツール半分(56)から遠い前記バリア膜(12、32)の面に押し付けることによって、前記補強要素(14、34)を前記バリア膜(12、32)に一体的に接続する方法ステップと、
を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
- 加熱された前記補強要素(14、34)が、押し付けられるとき、前記バリア膜(12、32)は、前記バリア膜(12、32)の前の熱成形からの残留熱を有し、かつ/または
- 前記バリア膜(12、32)は、加熱された前記補強要素(14、34)が押し付けられる前に加熱デバイス(52)によって加熱される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための液体容器および液体容器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、液体容器は、燃料、排気後処理のための水性尿素溶液、またはエンジンを冷却するためもしくは水噴射のための水などの動作液体を貯蔵するのに役立つ。
【0003】
特に、プラスチック材料燃料容器は、すべての動作条件の下で衝突安全性、最大許容燃料蒸発放出、および燃料漏れの防止に関して複数の法規定を満たさなければならない。これは従来、共押し出しブロー成形によって製造される多層壁構成を通じて達成される。この文脈において、例えばEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)透過バリアが、サンドイッチ構造の様式で2つの面上のHDPE(高密度ポリエチレン)層によって封入され、LDPE(低密度ポリエチレン)の接着促進層がオプションとして、中央のEVOHバリア層を外側のHDPEカバー層に接続するために使用される。
【0004】
同時に、このタイプのプラスチック材料燃料容器は、燃料消費およびそれ故にまた自動車の二酸化炭素放出もさらに低減するために、できる限り低い重量を有すべきであるという要件がある。
【0005】
しかしながら、必要とされる最小の壁厚を達成するための伸張プロセスの結果として、押し出しブロー成形によって製造されるプラスチック材料燃料容器についての重量節減の見込みは、プロセスに基づいて著しく制限されており、必要とされる最小の壁厚は、例えば製造すべき容器についての寸法安定性要件および火災要件から生じる。
【0006】
射出成形を通じて、より均一な壁厚は、必要とされる最小の壁厚が、少ない材料の使用で達成可能であるような方法で、射出成形によって製造されるプラスチック材料燃料容器の重量が、共押し出しブロー成形によって製造されるプラスチック材料燃料容器と比較して全体的に低減可能であるような方法で、達成可能である。それ故に、射出成形によって製造されるプラスチック材料燃料容器の壁厚は、例えば3mmのこともあり、一方共押し出しブロー成形によって製造される比較可能なプラスチック材料燃料容器は、5mmの壁厚を有する。さらに、プラスチック材料燃料容器の機能部品は、射出成形によってコスト効率よく一体化することができる。
【0007】
液体容器、特にプラスチック材料燃料容器の製造における1つの課題は、炭化水素放出を最小限にするためのバリア機能も満たし、同時に動作中の寸法安定性および衝突安全性についての機械的部品要件も満たす壁を製造することである。
【0008】
この文脈において、相反する目標が、機械的特性に関して生じる。一方では、プラスチック材料燃料容器は、実質的にその固有重量および受け取る液体の静荷重下で変形すべきでなく、80℃の温度に至るまで壁のたるみを防止することが必要である。プラスチック材料燃料容器の高剛性が、それ故に必要とされる。他方では、-40℃を上限とする低温においてさえ、燃料ブラッダの構造的一体性が、衝突シナリオにおいて燃料が漏れ出るのを防止するために確保されるような方法で、衝突応力下での高い変形能が、提供されるべきである。
【0009】
炭化水素放出を最小限にするためのバリア機能に関して、HDPEのベース材料およびEVOHのバリア層を用いた、共押し出しブロー成形から知られている5または6層の壁構成は、射出成形によって容易に実施することができない。単相として、必要とされるバリア機能も満たし、上述の機械的要件も満たすベース材料は、知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に対して、本発明は、上述の要件を少なくとも部分的に満たし、特に軽量で、寸法的に安定で、衝突安全で、最小化された放出の液体容器を可能にする、自動車のための液体容器および自動車のための液体容器を製造するための方法を特定するという技術的問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の技術的問題は、請求項1に記載の液体容器および請求項7に記載の方法の各々によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属項および以下の記述から生じる。
【0012】
本発明の第1の態様は、液体を貯蔵するための貯蔵容積を備え、貯蔵容積を少なくとも部分的に区切る少なくとも1つのシェルを備える、自動車のための液体容器に関し、シェルは、少なくとも部分的に射出成形プロセスにおいて製造されており、シェルは、バリア膜を有し、シェルは、少なくとも部分的にまたは完全に熱可塑性繊維強化複合材料で形成される補強要素を有し、シェルは、少なくとも部分的にまたは完全に射出成形材料で形成される単一パートまたはマルチパートの支持構造物を有し、バリア膜は、補強要素に一体的に接合され、バリア膜および補強要素はそれぞれ、支持構造物に一体的に接合される。
【0013】
射出成形材料は、目標とされる様式で機能的に最適化される要素と組み合わされるので、寸法的に安定で、衝突安全で、放出の観点から最小化される、より軽量な液体容器が、特定可能である。この文脈において、バリア機能は、マリア膜に起因している。補強要素および支持構造物は、液体容器を寸法的に安定でかつ衝突安全にする。
【0014】
液体容器は、燃焼機関によって駆動される自動車のためのプラスチック材料燃料容器であってもよい。
【0015】
バリア膜は、シェルを通り抜ける炭化水素の透過を最小限にするための透過バリアとしてセットアップされてもよい。バリア膜は、単層または多層で構成されてもよい。
【0016】
液体容器、特にプラスチック材料容器は、約4mm以下の壁厚を有してもよい。液体容器は、パイプ末端または類似のものなどの、補強リブまたは一体化された末端形状を有してもよく、その領域では、壁厚は、局所的に4mmよりも大きいということが、理解されることになる。
【0017】
液体容器の支持構造物は、射出成形材料を備えるまたは射出成形材料から成ってもよく、支持構造物が、射出成形材料を使用してバリア膜および補強要素上にバック射出するまたは成形することによって少なくとも部分的にまたは完全に製造されていることが可能である。
【0018】
支持構造物は、バリア膜および支持構造物上に単体で密着して位置決めされて形成されてもよい。別法として、支持構造物は、バリア膜および/または補強要素に一体的に接続される、互いに間隔のあいた、言い換えれば局所材料成形またはバック射出の、複数の別個のセグメントを有してもよい。材料の使用はそれ故に、構造的に重要な領域に集中させることができる。
【0019】
シェルは、単一の補強要素を有すると規定されてもよい。シェルは、2つ以上の補強要素を有すると規定されてもよい。シェルはそれ故に、液体容器の衝突安全性および寸法安定性を確保するために、目標とされる様式で局所的に強化することができる。
【0020】
補強要素または少なくとも1つの補強要素は、自動車での液体容器の最終の取り付け状態において容器ベースを形成するシェルの領域に配置されると規定されてもよい。貯蔵液体の荷重下での容器ベースのたるみはそれ故に、防止することができる。
【0021】
液体容器のさらなる実施形態では、補強要素は、少なくとも部分的にまたは完全に、バリア膜と支持構造物との間に配置される。一体的接続に加えて、補強要素はそれ故にさらに、ポジティブフィット方式で(in a positive fit)、少なくとも部分的に、バリア膜と支持構造物との間で受け取ることができ、またはサンドイッチ構造の様式で2つの面上で、少なくとも部分的に、バリア膜と支持構造物との間に封入するもしくは埋め込むことができる。バリア膜、支持構造物および補強要素の間での信頼できる密着はそれ故に、確保することができる。
【0022】
別法としてまたは加えて、バリア膜は、部分的にまたは完全に補強要素の面をカバーすると規定されてもよい。それに応じて、例えば、バリア膜に面している補強要素の面は、全域にわたってバリア膜によってカバーされ、バリア膜は特に、補強要素に密着して(flush against)または補強要素に対して遊びなしで位置決めされると規定されてもよい。バリア膜と支持構造物との間での信頼できる密着はそれ故に、確保することができる。
【0023】
別法としてまたは加えて、支持構造物は、補強要素の面を少なくとも部分的にまたは完全にカバーすると規定されてもよい。それに応じて、例えば、バリア膜に面している補強要素の面は、全域にわたって支持構造物によってカバーされ、支持構造物は特に、補強要素に密着してまたは補強要素に対して遊びなしで位置決めされると規定されてもよい。補強要素と支持構造物との間での信頼できる密着はそれ故に、確保することができる。
【0024】
別法として、支持構造物は、バリア膜から遠い補強要素の面を部分的にだけカバーすると規定されてもよい。例えば、補強要素は、エッジにおいて重なる様式で支持構造物によって取り囲まれてもよく、一方バリア膜から遠い補強要素の面の一部は、露出され、支持構造物によってカバーされない。それ故に、支持構造物の材料の使用は、低く保つことができ、重量は、節約することができる。
【0025】
液体容器のさらなる実施形態では、シェルは、第1の半シェルであり、それは、第2の半シェルと一緒に、貯蔵容積を区切り、第2の半シェルは、バリア膜、補強要素および支持構造物を備える壁構成を有する。第1の半シェルおよび第2の半シェルは、互いに形状が異なってもよいということが、理解されることになる。
【0026】
第1の半シェルは、下部シェルであってもよく、それは、最終の取り付け状態では、車両内で道路側に配置される。第2の半シェルは、上部シェルであってもよく、それは、道路から遠い液体容器の側で、車両側に配置される。
【0027】
半シェルは、周囲を取り巻くカラーに沿って一体的に相互接続され、特に一緒に溶接されてもよい。
【0028】
液体容器のさらなる実施形態では、単に第1のシェルは、補強要素を有し、一方第2のシェルは、補強要素を有さないと規定されてもよい。それ故に、液体容器の寸法安定性および衝突安全性について、例えば単一の補強要素または複数の補強要素を使用して液体容器の下部シェルを強化することは、すでに単に構造的に十分であってもよい。
【0029】
半シェルのバリア層は、実質的に閉じたバリアブラッダを形成してもよく、それは、貯蔵容積を実質的に完全に封入する。この文脈において、文言「実質的に完全に」は、自動車における液体容器が一般に、駆動システムに貯蔵液体を提供するために、1つもしくは複数の引き出し開口および/または充填開口および/または換気開口を有するという事実を考慮する。さらに、電線を通過させるためのまたはエンコーダモジュールのための開口または壁の隙間が、提供されてもよい。このタイプの開口の領域では、バリア層は、局所的に中断されるまたは除去される。バリア層が実質的に完全に貯蔵容積を封入するという文言は、特に半シェル間の接続領域における透過経路の防止を記述する。それに応じて、半シェルの壁を貫通する末端開口が、提供されてもよい。パイプ末端または類似のものなどの、このタイプの末端開口および関連する末端形状は、射出成形によって製造されてもよく、それ故に半シェルの一体部分であってもよい。
【0030】
液体容器のさらなる実施形態では、補強要素は、熱可塑性プラスチック材料マトリクスに埋め込まれる強化用繊維を有し、強化用繊維は、ガラス繊維および/もしくはアラミド繊維および/もしくは炭素繊維もしくは類似のものを備え、または強化用繊維は、ガラス繊維および/もしくはアラミド繊維および/もしくは炭素繊維もしくは類似のものから成る。補強要素はそれ故に、液体容器についての適用シナリオおよび位置に従って、予想される動作荷重および周囲条件に最適に適応することができる。
【0031】
別法としてまたは加えて、補強要素は、熱可塑性プラスチック材料マトリクスに埋め込まれる強化用維維を有し、プラスチック材料マトリクスは、ポリアミド(例えばPA6、PA66、PA12もしくはポリフタルアミド(PPA))、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE))、ポリウレタン(PU、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU))、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または類似のものを備えるまたはそれらから成ると規定されてもよい。このようにして、補強要素は、液体容器についての適用シナリオおよび位置に従って、予想される動作荷重および周囲条件に最適に適応することができる。
【0032】
別法としてまたは加えて、補強要素は、長繊維を用いて強化された繊維強化複合プラスチック材料を備えるまたはそれから成ると規定されてもよい。補強要素はそれ故に、液体容器についての適用シナリオおよび位置に従って、予想される動作荷重および周囲条件に最適に適応することができる。
【0033】
別法としてまたは加えて、支持構造物は、HDPEまたは耐衝撃性に改良されたポリアミドを備えるまたはそれから成ると規定されてもよい。補強要素はそれ故に、液体容器についての適用シナリオおよび位置に従って、予想される動作荷重および周囲条件に最適に適応することができる。
【0034】
別法としてまたは加えて、補強要素は、有機シートを備えるまたは有機シートから成ると規定されてもよい。有機シートを備えるまたは有機シートから成る2つ以上の補強要素が、提供されてもよい。もし有機シートが、使用されるならば、既存のすでに知られている材料の組み合わせおよび半製品に頼ってもよい。
【0035】
別法としてまたは加えて、補強要素は、一方向に強化されたストリップを備えるまたはそれであると規定されてもよい。それ故に、例えば、カーボンファブリックストリップの1つまたは複数の層が、補強要素として使用されてもよい。このタイプのストリップまたはテープの全体的に柔軟な構造の結果として、ストリップまたはテープは、シェルの提供される輪郭に簡単な様式で適応することができる。
【0036】
一方向に強化されたストリップは、液体容器を支持構造物に締結するためのストラップを形成するために、横方向にシェルから出ることができる。それ故に、例えば、ストリップの反対側の端部は、容器を支持構造物上に締結するまたは事前に固定することを可能にするために、2つの面上でシェルから出てもよい。バリア膜、支持構造物および補強要素はそれぞれ、互いへの信頼できる一体的接続を確保するために、相互に化学的にかつ熱的に相性が良い材料を有すると規定されてもよい。
【0037】
例えば、支持構造物が、材料PA6(ポリアミド6)を備えまたはそれから成り、補強要素が、ガラス繊維強化PA6を備えるまたは補強要素が、ガラス繊維強化PA6から成り、バリア膜が、PA6を備えるまたはPA6から成るカバー層を有し、バリア膜のカバー層が、バリア膜の中央層を封入し、バリア膜の中央層が、EVOHを備えるまたはEVOHから成る、液体容器が、特定されてもよい。
【0038】
別法として、支持構造物が、材料HDPEを備えまたは材料HDPEから成り、補強要素が、ガラス繊維強化HDPEを備えるまたは補強要素が、ガラス繊維強化HDPEから成り、バリア膜が、HDPEを備えるまたはHDPEから成るカバー層を有し、バリア膜のカバー層が、バリア膜の中央層を封入し、中央層が、EVOHを備えるまたはEVOHから成り、バリア膜の接着促進層が、それぞれの場合に中央層と関連するカバー層との間に配置され、接着促進層がそれぞれ、LLDPEを備えるまたはLLDPEから成る、液体容器が、特定されてもよい。
【0039】
別法として、支持構造物が、材料HDPEを備えまたは材料HDPEから成り、補強要素が、ガラス繊維強化PA6を備えるまたは補強要素が、ガラス繊維強化PA6から成り、バリア膜が、HDPEを備えるまたはHDPEから成るカバー層を有し、バリア膜のカバー層が、バリア膜の中央層を封入し、中央層が、EVOHを備えまたはEVOHから成り、バリア膜の接着促進層が、それぞれの場合に中央層と関連するカバー層との間に配置され、接着促進層がそれぞれ、LLDPEを備えまたはLLDPEから成り、接着促進層が、補強要素とバリア膜との間にかつ/または補強要素と支持構造物との間に提供され、接着促進層が、LDPEもしくはLLDPEを備えるまたはLDPEもしくはLLDPEから成る、液体容器が、特定されてもよい。
【0040】
補強要素は、実質的に平面のプレートであってもよく、それは、貯蔵容積を区切るベース側のまたはカバー側の壁の一部であり、支持構造物は、貯蔵容積を区切るベース側またはカバー側の壁から側壁への、少なくとも部分的に湾曲した移行部を形成する。それに応じて、支持構造物は、ベース側またはカバー側の壁と側壁との間に移行部を形成するために、射出成形によって製造される、大きく湾曲した領域を有してもよい。補強要素の変形はそれ故に、不要とすることができる。
【0041】
別法として、補強要素は、自由曲面の様式で、空間内で1つ、2つまたは3つの方向に湾曲し、貯蔵容積を区切るベース側またはカバー側の壁の一部であると規定されてもよい。補強要素はそれ故に、液体容器のそれぞれ必要とされる形状に、または最終の取り付け状態において利用可能な設置スペースに適応することができる。
【0042】
第2の態様は、液体容器を製造するための方法に関し、
- バリア膜を提供する方法ステップと、
- 少なくとも部分的にまたは完全に熱可塑性繊維強化複合材料で形成される補強要素を提供する方法ステップと、
- バリア膜を補強要素に一体的に接続する方法ステップと、
- 支持構造物を射出成形する方法ステップであって、支持構造物は、補強要素に一体的に接続され、支持構造物は、バリア膜に一体的に接続される、方法ステップと、を含む。
【0043】
方法ステップの上記のリストの順序は、実際のプロセスのための方法ステップの順序を規定しない。バリア膜および補強要素はそれ故に、同時にまたは連続して提供されてもよい。これは、以下に提示されるすべての方法ステップに等しく当てはまり、それらは、順序の観点から理にかなった範囲内で自由に組み合わすことができかつ/または同時に行われてもよい。
【0044】
射出成形材料は、目標とされる様式で機能的に最適化された要素と組み合わされるので、寸法的に安定で、衝突安全であり、かつ放出の観点から最小化される、軽量液体容器が、製造可能である。この文脈において、バリア機能は、実質的にバリア膜に起因している。貯蔵容積を封入するすべてのさらなる構成要素は原理的に、バリア効果を有するが、しかしこれは、バリア膜のバリア効果よりも劣るということが、理解されることになる。補強要素および支持構造物は、本発明による方法によって製造される液体容器を寸法的に安定でかつ衝突安全にする。
【0045】
液体容器の貯蔵容積は、実質的に2つの相互接続される半シェルによって区切られ、第1の半シェルは、貯蔵容積に面している面上に配置される内部バリア膜を有し、第2の半シェルは同様に、貯蔵容積に面している面上に配置される内部バリア膜を有すると規定されてもよい。このようにして、バリア膜は、機械的応力および環境の影響から確実に保護することができる。
【0046】
別法として、液体容器の貯蔵容積は、実質的に2つの相互接続される半シェルによって区切られ、第1の半シェルは、貯蔵容積に面している面上に配置される内部バリア膜を有し、第2の半シェルは、貯蔵容積から遠い面上に配置される外部バリア膜を有すると規定されてもよい。このようにして、バリア膜の1つ、具体的には内部バリア膜は、機械的応力および環境の影響から確実に保護することができる。プラスチック材料燃料容器の場合、これは例えば、最終の設置状態において道路に面する下部シェルであってもよく、バリア膜の内部配置は、例えば石の衝突に対してバリア膜を保護する。外部バリア膜は、貯蔵容積内に突き出ている機能ユニットが、バリア膜の構造的一体性を損なうことなく締結可能であるような方法で、関連する半シェルの、外部バリア膜から遠い内面に機能ユニットを付着することを可能にする。プラスチック材料燃料容器の場合、これは特に、最終の設置状態において、道路から遠いプラスチック材料容器の面上に配置される上部シェルであってもよい。このタイプの上部シェルについて、石の衝突からの外部バリア膜への損傷は、下部シェルが、バリア膜と道路との間に配置され、それ故にバリア層を道路から遮蔽するので、あまり起こりそうにない。
【0047】
別法として、液体容器の貯蔵容積は、実質的に2つの相互接続される半シェルによって区切られ、第1の半シェルは、貯蔵容積から遠い面上に配置される外部バリア膜を有し、第2の半シェルは同様に、貯蔵容積から遠い面上に配置される外部バリア膜を有すると規定されてもよい。結果として、それぞれの場合、機能ユニットは、バリア膜の構造的一体性を損なうことなく、貯蔵容積に面している半シェルの内面上に配置することができる。
【0048】
バリア膜の外部配置および/または内部配置にかかわりなく、バリア膜は、実質的に閉じたバリアブラッダを形成してもよく、バリアブラッダは、プラスチック材料燃料容器の場合、単に液体供給および/もしくは引き出しのためまたは換気のための開口の領域において局所的に中断される。特に、2つの半シェル間の縫い目場所の領域では、バリア膜は、実質的にギャップなしで互いに対して位置決めすることができまたは一緒に溶接することができる。
【0049】
別法として、2つの半シェル間の縫い目場所の領域では、バリア膜は、互いにある距離にあって、透過経路を形成してもよい。プラスチック材料燃料容器の場合、このタイプの透過経路は、法的に規定される放出限度を満たすために、できる限り狭くかつ細長く形成すべきである。それ故に、例えば、横断面図において考察されるように、透過経路の長さは、透過経路の幅の2倍以上であり、透過経路の幅は、透過経路を区切るバリア膜と幅に対して横方向に測定される長さとの間の距離に対応すると規定されてもよい。
【0050】
本方法のさらなる実施形態では、バリア膜を提供する方法ステップは、以下の方法ステップ、
- バリア膜を熱成形する方法ステップと、
- バリア膜を射出成形ツール内に位置決めしかつ固定する方法ステップと、を含み、
- バリア膜は、バリア膜が射出成形ツール内に位置決めされる前にかつ/またはバリア膜が射出成形ツール内に位置決めされた後に熱成形される。
【0051】
それに応じて、位置決めする前に、バリア膜はすでに、部分的にまたは完全に成形またはバック射出のために提供される金型に導入されてもよい。このために、バリア膜は、射出成形ツールとは別のデバイスを使用して射出成形ツールの外側で加熱され、造形される。例えば、バリア膜は、特に赤外線ラジエータまたは類似のものを使用して、接触しない様式で加熱され、加熱後または加熱中に熱成形されてもよい。それ故に、射出成形ツール内でのバリア膜の熱成形は、完全にまたは少なくとも部分的に不要とすることができる。
【0052】
従って、バリア膜を射出成形のために提供される形状にするバリア膜の造形は、バリア膜が、射出成形ツール内で象眼として単に成形されるまたはバック射出されるような方法で、射出成形ツールとは別のデバイス内で行われてもよい。別法として、バリア膜は、射出成形ツールとは別のデバイス内で事前に造形され、射出成形ツール内でのさらなる造形プロセスにおける成形またはバック射出のために提供される形状にされてもよい。それ故に、バリア膜は、部分的に事前に造形された象眼として射出成形ツール内に位置決めし、ツール半分に対して熱成形することができる。
【0053】
別法として、バリア膜は、射出成形ツール内で完全に熱成形されると規定されてもよい。射出成形ツールとは別の、バリア膜を造形するための追加のデバイスは、それ故に不要とすることができる。
【0054】
本方法のさらなる実施形態では、バリア膜は、ロールツーロールフィードイン(roll-to-roll feed-in)を使用して射出成形ツール内に位置決めされる。この文脈において、バリア膜を射出成形ツール内に送り込むために、少なくとも2つのロールが、バリア膜を射出成形ツールのツール半分間の領域内に搬送するために、射出成形ツールのツール半分に関して横方向に配置されてもよい。この文脈において、第1のロールは、関連するツール半分の第1の面に割り当てられ、一方第2のロールは、第1の面から遠いツール半分の第2の面に割り当てられる。ロールツーロールフィードインは、特に射出成形ツール内でのその後の熱成形プロセスのためにバリア膜に事前に張力を付与することを可能にする。
【0055】
別法としてまたは加えて、バリア膜は、保持枠を使用して射出成形ツールに固定されると規定されてもよい。保持枠は、ツール半分に締結される、保持枠を開閉するためのアクチュエータを有してもよい。それ故に、バリア膜は、簡単な様式で射出成形ツールのツール半分上に積極的にかつ/または非積極的に固定することができる。
【0056】
別法としてまたは加えて、バリア膜は、射出成形ツール内に負の圧力を発生させることによって固定され、熱成形されると規定されてもよい。それ故に、バリ膜がその上に保持され、造形され、特に熱成形されることになるツール半分は、関連するツール半分のツール表面に対してバリア膜を吸引するための真空孔を有してもよい。真空孔に対する代替案としてまたは真空孔に加えて、バリ膜がその上に保持され、造形され、特に熱成形されることになるツール半分は、少なくとも部分的にまたは完全に空気透過多孔質材料から成ってもよい。
【0057】
本方法のさらなる実施形態では、バリア膜を補強要素に一体的に接続する方法ステップは、以下の方法ステップ、
- 補強要素のプラスチック材料マトリクスの融点以上の温度まで補強要素を加熱する方法ステップであって、
- 補強要素は、バリア膜の提供の前にかつ/または提供中に加熱される、方法ステップと、
- バリア膜を受け取る第1のツール半分と、第2の、特にノズル側のツール半分との間の領域内に補強要素を移動させる方法ステップであって、
- 補強要素は、加熱中にまたは加熱後にツール半分間に移動される、方法ステップと、
- 加熱された補強要素を第1のツール半分から遠いバリア膜の面に押し付けることによって補強要素をバリア膜に一体的に接続する方法ステップと、を含む。
【0058】
バリア膜は、加熱された補強要素の押圧中にバリア膜を受け取るツール半分と補強要素との間に配置されるので、補強要素は、バリア膜を受け取るツール半分と直接接触しない。このようにして、補強要素の冷却は、バリア膜が、バリア膜を受け取るツール半分から補強要素を熱的に絶縁するという点において、ツール半分に対するそれの直接接触と比較して、低減することができる。このようにして、一方では、バリア膜と補強要素との間の信頼できる一体的接続が、形成可能である。他方では、その上、補強要素が、バリア膜を支持するツール半分との接触によって冷却されないので、補強要素と射出成形ツール内に射出される射出成形材料との間の一体的接続の形成が、促進される。
【0059】
さらに、ツール半分の表面へのバリア膜の片側接触を通じて、バリア膜の冷却および固定は、射出成形ならびに関連する高温およびせん断力からの膜への損傷のリスクが、低減されるような方法で、達成することができる。
【0060】
バリア膜および/または補強要素はそれぞれの場合、赤外線ラジエータまたは類似のものなどの、非接触加熱デバイスによって加熱することができる。補強要素を加熱するための赤外線ラジエータはそれに応じて、補強要素に割り当てられてもよい。
【0061】
補強要素を加熱するための非接触加熱デバイスは、補強要素が、射出成形ツールのツール半分間の領域内に移動される前に加熱されるような方法で、射出成形ツールからある距離に配置されてもよい。このようにして、補強要素は、次の射出成形サイクルのために、実行中の射出成形サイクルと同時に準備することができる。
【0062】
別法としてまたは加えて、非接触加熱デバイスは、補強要素を握りかつ移動させるためのハンドル上に配置されてもよい。それ故に、補強要素は、射出成形ツールのツール半分間の領域内に移動される前にかつ特に実行中の射出成形サイクルと同時に加熱することができ、またその上補強要素が、射出成形ツールの開いたツール半分間の領域内に移動される間にさらに加熱することもできる。このようにして、待機位置からツールの金型半分間の押圧位置への補強要素の運送時間は、補強要素をさらに加熱するためにまたは待機位置から押圧位置への提供中の温度の下落を防止するために使用することができる。この文脈において、押圧位置は、射出金型の金型半分間での補強要素の位置であり、そこから補強要素は、バリア膜に押し付けるためにバリア膜の方へ移動させることができまたは逆もまた同様である。待機位置は、射出成形ツールの外側での補強要素の位置であり、そこでは、補強要素は、次の射出成形サイクルのために1つの射出成形サイクル中に容易に保持される。
【0063】
バリア膜を加熱するためのさらなる赤外線ラジエータが、バリア膜に割り当てられてもよい。
【0064】
バリア膜を加熱するための非接触加熱デバイスは、バリア膜が、射出成形ツールのツール半分上に位置決めされるとき、射出成形ツールの金型半分間で移動可能であってもよい。バリア膜はそれ故に、加熱される補強要素の押圧の前に加熱デバイスによって加熱することができる。
【0065】
それ故に、バリア膜を加熱するための加熱デバイスの熱入力は、残留熱に加えてバリア膜に導入可能であり、残留熱は、バリア膜の前の熱成形から生じる。信頼できる一体的接続がそれ故に、バリア膜と補強要素との間に形成可能である。
【0066】
別法として、バリア膜は、追加のまたは新たな加熱がバリア膜の熱成形後に必要とされることなく、単に前の熱成形からの残留熱の結果として、加熱される補強要素への一体的接続のために十分な温度を有してもよい。
【0067】
補強要素およびバリア膜は、単一の共同使用される赤外線ラジエータを介して加熱されてもよい。
【0068】
以下では、本発明は、実施形態を例示する図面を通じてより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図2】本発明によるさらなる液体容器の横断面図である。
【
図3】本発明による方法の方法ステップを示す図である。
【
図4】本発明による方法のさらなる方法ステップを示す図である。
【
図5】本発明による方法のさらなる方法ステップを示す図である。
【
図6】本発明による方法のさらなる方法ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、自動車のための液体容器2を示す。今の場合、液体容器2は、プラスチック材料燃料容器2である。液体容器2は、液体6を貯蔵するための貯蔵容積4を有する。今の場合、液体6は、燃焼機関によって駆動される自動車のための燃料6である。
【0071】
液体容器2は、第1の半シェル8および第2の半シェル10を有し、それらは、貯蔵容積4を区切る。半シェル8、10はそれぞれ、射出成形によって製造されている。以下では、半シェル8、10の構造的壁構成が、例として半シェル8について述べられる。
【0072】
半シェル8は、バリア膜12を有し、それは、貯蔵容積4から環境U内への炭化水素の透過を最小限にするための透過バリアとしてセットアップされる。
【0073】
半シェル8は、補強要素14を有し、それは、熱可塑性繊維強化材料で形成される。
【0074】
半シェル8はさらに、支持構造物16を有し、それは、射出成形材料で形成される。
【0075】
今の場合、半シェル8は、バリア膜12および補強要素14が、象眼として射出成形ツール内に位置決めされ、支持構造物16の射出成形材料を使用して成形されているという点において、射出成形によって製造されている。
【0076】
バリア膜12は、補強要素14に一体的に接続される。このために、バリア膜12および補強要素14は、加熱され、一緒に溶接されている。
【0077】
バリア膜12は、支持構造物16に一体的に接続される。バリア膜12は、射出成形によって支持構造部16に溶接されている。
【0078】
補強要素14は、支持構造物16に一体的に接続される。補強要素14は、射出成形によって支持構造物16に溶接されている。
【0079】
支持構造物16へのバリア膜12および補強要素14の各々の溶接は、射出成形ツール内で補強要素14およびバリア膜12上に支持構造物16の射出成形材料を成形することによって達成されている。
【0080】
バリア膜12と補強要素14との間の溶接は、支持構造物16を成形する前に製造されている。詳細Zから分かるように、補強要素14は、少なくとも部分的に、バリア膜12と支持構造物16との間に配置される。
【0081】
本発明のさらなる実施形態では、シェルは、複数の補強要素を有してもよく、それらは、互いに重なり合うまたは互いに間隔をあけて配置されてもよいということが、理解されることになる。本発明のさらなる実施形態では、支持構造物は、マルチパートに形成されてもよく、例えば、互いに間隔のあいた、バリア膜および/または補強要素上への射出成形材料の局所的成形の別個のセグメントを有してもよいということが、さらに理解されることになる。
【0082】
今の場合、補強要素14は、熱可塑性プラスチック材料マトリクス20に埋め込まれる強化用繊維18を有する。今の場合、ガラス繊維18が、強化用繊維18として提供される。本発明の代替実施形態では、別法としてまたは加えて、アラミド繊維および/または炭素繊維が、強化用繊維として使用されてもよい。
【0083】
今の場合、補強要素14の熱可塑性プラスチック材料マトリクス20は、ポリアミド(PA)から成る。今の場合、補強要素14は、長繊維を用いて強化される。今の場合、支持構造物16は同様に、ポリアミド(PA)から成る。
【0084】
具体的には、今の場合、支持構造物16は、材料PA6から成り、補強要素14は、ガラス繊維強化PA6から成る。バリア膜12は、カバー層22、24を有し、それらは、PA6から成り、バリア膜12の中央層26を封入し、中央層26は、EVOHから成る。
【0085】
補強要素14は、実質的に平面のプレート14である。半シェル8の補強要素14はそれ故に、貯蔵容積4を区切る、半シェル8のベース側の壁の一部である。
【0086】
支持構造物16は、貯蔵容積4を区切る、液体容器2のベース側の壁から側壁30への湾曲した移行部28を形成する。
【0087】
半シェル10は同様に、バリア膜32、補強要素34および支持構造物36から成る壁構成を有する。
【0088】
液体容器2は、知られた様式で、ポンプ、レバーエンコーダ、バルブまたは類似のものなどの、貯蔵容積内に配置される機能ユニットを有してもよく、それらは、明瞭さを改善するために、ここでは図示されないということが、理解されることになる。
【0089】
図2は、本発明による液体容器38のさらなる構成の横断面図である。繰り返しを避けるために、
図2に関しては、
図1の上述の実施形態との違いだけが、論じられ、類似の参照番号は、類似の特徴に割り当てられる。
【0090】
図2の変形では、半シェル8、10のバリア膜12、32は、半シェル8、10間に形成される接続領域40内に延び、半シェル8、10は、周囲を取り囲むカラー42に沿って一緒に溶接されている。
【0091】
バリア膜12、32は同様に、バリア膜12、32が、実質的に閉じたバリアブラッダを形成するような方法で、接続領域40内で一体的に相互接続される。この文脈において、文言「実質的に閉じた」は、プラスチック材料燃料容器38である、図示される液体容器38が、充填、換気および液体引き出しのための必須の入口および出口開口を有し、それらの領域内では、バリア層が、流体移動を可能にするために、それぞれの場合に中断されるまたは除去されるという事実を考慮する。さらに、電線を通過させるためのまたはエンコーダモジュールのための開口または壁の隙間が、提供されてもよい。
【0092】
図2から分かるように、補強要素14の第1の面44は、バリア膜12によって完全にカバーされてもよい。さらに、第1の面44から遠い補強要素14の面46は、支持構造物16によって完全にカバーされる。
【0093】
図2の変形では、補強要素14はそれに応じて、バリア膜12と支持構造物16との間に完全に埋め込まれ、それ故に環境の影響から保護される。これは、半シェル10の補強要素34に等しく当てはまり、それは同様に、支持構造物36およびバリア膜32によって完全に封入される。
【0094】
【0095】
図3は、例えば
図1および
図2に示されるような、本発明による液体容器2または38を製造するためのデバイス48を示す。
【0096】
デバイス48は、第1の加熱デバイス50および第2の加熱デバイス52を有する。デバイス48はその上、射出金型または射出成形ツール55を備える射出成形デバイス54を有し、それは、第1の金型半分56および第2の金型半分58を有し、それらはまた、同意語としてツール半分56、58と呼ばれることもある。
【0097】
デバイス48はさらに、ロールツーロール膜フィードイン60を有する。膜フィードイン60は、第1のロール62および第2のロール64を有し、それらはそれぞれ、射出成形ツール55に関して横方向にまたは射出成形ツール55の第1の金型半分56に関して横方向に配置される。
【0098】
本発明による液体容器2、38の製造中に、第1の半シェル8または第2の半シェル10を製造するためのバリア膜12、32および補強要素14、34が、最初に提供される。バリア膜12、32および補強要素14、34は、同時にまたは時間的に連続して提供されてもよい。
【0099】
バリア膜12、32が、提供されるとき、バリア膜12が最初に、ロールツーロール膜フィードイン60を使用して金型半分56、58から形成される射出成形ツール55内に位置決めされ、固定される。バリア膜12、32は、密封要素66を使用して第1の金型半分56に関して固定することができる。
【0100】
バリア膜12、32は、加熱デバイス52を使用して加熱される。加熱デバイス52は、赤外線ラジエータ52の形の非接触加熱デバイスである。
【0101】
同時に、補強要素14、34は、加熱デバイス50を使用して加熱され、それは同様に、赤外線ラジエータ51を有する。
【0102】
次の方法ステップでは、バリア膜12、32は、バリア膜12、32が、熱成形によって提供される形状になるような方法で、第1の金型半分56のツール表面68に接触して熱成形される。加熱された補強要素14、34は、保持デバイス70を使用して金型半分56、58間を移動される。
【0103】
バリア膜12、32は、ツール表面68の領域に真空を生じさせることによって熱成形され、これは、金型半分56が、少なくとも部分的に多孔質の空気透過材料から形成されるという点において可能になる。この文脈において、金型半分56に対して位置決めされるバリア膜12、32は、密封要素66を使用してツール表面68に接触する環境Uから密封され、バリア膜12、32の信頼できる真空ベースの熱成形を可能にする。
【0104】
金型半分56、58間に位置決めされた補強要素14、34は、加熱された状態にあり、バリア膜12、32に押し付けられ、それは同様に、補強要素14、34をバリア膜12、32に溶接し、それ故に一体的に接続するために、前の熱成形から加熱される。補強要素14、34は、押圧デバイス69を使用してバリア膜12、32上に押し付けられる(
図5)。
【0105】
金型半分56、58が、閉じられた後、支持構造物16または36が、開口72を介して補強要素14、34およびバリア膜12、32上に成形される。射出成形プロセスの後、この様式で製造された半シェル8、10は、本発明によるプラスチック材料燃料容器2、38を形成するために、射出成形ツール55から取り外し、さらなる、類似的に製造される金型半分8、10に溶接することができる。
【符号の説明】
【0106】
2 液体容器/プラスチック材料燃料容器
4 貯蔵容積
6 液体/燃料
8 第1の半シェル
10 第2の半シェル
12 バリア膜
U 環境
14 補強要素
16 支持構造物
Z 詳細
18 強化用繊維/ガラス繊維
20 プラスチック材料マトリクス
22 カバー層
24 カバー層
26 中央層
28 湾曲した移行部
30 側壁
32 バリア膜
34 補強要素
36 支持構造物
38 液体容器/プラスチック材料燃料容器
40 接続領域
42 取り囲むカラー
44 第1の面
46 遠い面
48 デバイス
50 第1の加熱デバイス
51 赤外線ラジエータ
52 第2の加熱デバイス
54 射出成形デバイス
55 射出成形ツール
56 第1の金型半分/第1のツール半分
58 第2の金型半分/第2のツール半分
60 膜フィードイン
62 第1のロール
64 第2のロール
66 密封要素/保持枠
68 ツール表面
69 押圧デバイス
70 保持デバイス
72 開口