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特許7017636LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物及びその用途
<図1>
  • 特許-LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物及びその用途 図1
  • 特許-LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物及びその用途 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220201BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20220201BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220201BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220201BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08G59/42
C08K3/013
H01L23/30 R
H01L23/30 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020535013
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2020072357
(87)【国際公開番号】W WO2020238261
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】201910463559.0
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516344801
【氏名又は名称】天津徳高化成新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TECORE SYNCHEM INC
【住所又は居所原語表記】Room 201, Bld.13, Marine Innovation Park No.4668 Tanggu Xinbei Rd., Binhai New Area Tianjin 300451 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼▲暁▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】于会云
(72)【発明者】
【氏名】▲単▼秋菊
(72)【発明者】
【氏名】孫▲緒▼▲ジュン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲亜▼▲凱▼
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/073606(WO,A1)
【文献】特開2012-186322(JP,A)
【文献】特開2007-149905(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135557(WO,A1)
【文献】特開2018-119032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エポキシ樹脂と、第2エポキシ樹脂と、酸無水物と、無機酸化物ビーズと、有機ポリマー微粒子と、黒色色材とを含
前記第1エポキシ樹脂の質量が10~61部であり、第2エポキシ樹脂の質量が10~60部であり、酸無水物の使用量が第1エポキシ樹脂及び第2エポキシ樹脂のエポキシ基と等モル比であり、無機酸化物ビーズの質量が5~60部であり、有機ポリマー微粒子の質量が第1エポキシ樹脂、第2エポキシ樹脂、酸無a水物及び無機酸化物ビーズの合計質量の0.1%~1%であり、黒色色材の質量が第1エポキシ樹脂、第2エポキシ樹脂、酸無水物及び無機酸化物ビーズの合計質量の0.01%~0.1%であり、
前記第1エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルイソシアヌレートのうちの少なくとも1種であり、
前記第2エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはエポキシシリコーン複合エポキシ樹脂であり、
前記無機酸化物ビーズの一般式は、Na (1-x-y-z-u) (1-x-y-z-u)/2 ・Si 2x ・M1 3y/2 ・M2 ・Zr 2u であり、そのうち、M1=B、Al、M2=Mg、Ca、Sr、Zn、各元素の含有量は、0.4≦x≦0.7、0.1≦y≦0.3、z≦0.3、u≦0.3、x+y+z+u≧0.9であり、そのうち、z、uと1-x-y-z-uは、同時にゼロにすることは不可能であり、前記無機酸化物ビーズの中心粒径が5~30μmである、ことを特徴とするLEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物。
【請求項2】
前記脂環式エポキシ樹脂は、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,または、4-エポキシシクロヘキシルメチルであり、
前記グリシジルイソシアヌレートは、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレートまたはモノグリシジルイソシアヌレートである、ことを特徴とする請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸無水物は、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二酸無水物、水添ピロメリット酸二酸無水物、無水マレイン酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、メチルナジック酸無水物、水添メチルナジック酸無水物、グルタル酸無水物、チルシクロヘキセンテトラカルボン酸二酸無水物のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機ポリマー微粒子は、有機シリコンポリマー微粒子としてフェノール樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子のうちの少なくとも1種であり、前記有機ポリマー微粒子の平均粒径が5μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
物前記黒色色材は、ナノカーボンブラック、ナノ酸化銅及びナノ酸化マンガンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の組成。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の、LEDディスプレイの表面実装式RGBディスクリートデバイスの封止における使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビッグサイズのディスプレイが4K、8Kの高精細表示効果へ発展するにつれ、LEDデバイスがコンパクト化する傾向があり、チップサイズ及びランプビーズのピッチが同期に縮小されている。従来のLED封止用材料は、以下の点で、材料及び技術に多くの欠陥を示している。
【0003】
(1)五面発光型のEMCランプビーズは、従来の液状エポキシ樹脂注入型の反射カップデバイスに比べて、サイズがより小さく、ピッチがより密であり、切断後のリードまたはピンの露出リスクが大きい。且つ、封止層の薄型化に伴って、チップに対する保護効果が徐々に弱まる。従って、チップに対する気密保護性を強化する必要があるため、封止用材料が高い信頼性、特に湿気抵抗性を有するように要求されている。しかしながら、従来の封止用材料は、湿気抵抗性が低いため、チップの信頼性が低下してしまう。
【0004】
(2)発光デバイスのサイズの縮小要求を満たすように、薄型化基板を用い、従来の封止用材料が基板の大きな反りを引き起こしやすく、後続の切断プロセスに不利である。
【0005】
(3)RGB表示デバイスは、封止樹脂が光減衰に対する良好な抵抗性を有するように要求されている。有機シリコーン樹脂の光減衰に対する抵抗性がエポキシ樹脂より優れる一方で、有機シリコーン樹脂の硬度が低く、基板に対する接着力が小さく、気密性が悪く、従って、高い信頼性要求が実現されにくい。しかしなから、普通のエポキシ樹脂は、光減衰に対する抵抗性が悪く、光学要求を満たしにくい。
【0006】
(4)ディスプレイデバイスとしては、R、G及びBという3つの色のチップは、現在用いられる封止用材料により、各角度からの出光が不均一であり、視野角に対する大きな角度から見られた色にひどい偏差が生じ、RGBチップをディスプレイに組み立てると、画面の色が一致しない。これらの光学的欠陥が十分にひどく、それにより、RGBデバイスの幅広い応用が制限されている。
【0007】
(5)光半導体デバイスとしては、封止樹脂が良好な透光性を有するように要求されており、しかしながら、従来の封止用材料は、透明性が高いほど、反りがひどい一方、反りが小さいほど、透明性が低いという問題が存在する。現在、透光性と反りとの矛盾を解決するレポートがない。
【0008】
コンパクト化した高密度のディスプレイの応用に対して、コントラスト及び放熱性の向上も必然的な要求である。
【0009】
中国特許CN105229808Aは、無機質充填剤を加えて反り問題を解決することを提出し、無機質充填剤は、チップを封止保護するための封止用材料ではなく、光半導体装置において金属リードフレーム及び光半導体デバイスを囲んで形成されるリフレクタ材料として応用される。該特許が解決する課題は、封止用材料を射出成形した後に生じた反りではなく、該リフレクタの位置するホルダ自体の生じた反り問題である。該特許に開示されているエポキシ樹脂組成物は、強い反射作用を有する必要があるので、透光性を有さない。
【0010】
特許CN105518882Aは、光散乱性有機フィラーを用いることで、光出力効率を向上させるという目的を実現する。その発明目的を実現するために、用いられる有機フィラーの平均粒径が5~15μmである。平均粒径が大きすぎ、光波波長との差が大きすぎると、光の透過に有利であるものの、散乱効果が低下してしまう。
【0011】
特許CN109243313Aは、ディスプレイのコントラストを向上させるように、エポキシ樹脂の合計重量1‰~6‰の黒色色材が配合される。黒色色材の添加量が多すぎると、LEDデバイスの放熱及び透光性に影響を与える。黒色色材の添加量が0.1%を超える場合、発光チップの明るさが1%以下に低下するため、ディスプレイ分野における応用が制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術の欠陥を解消するために、光減衰が低く、反りに対する抵抗性、湿気に対する抵抗性が良好であり、各角度からの出光が均一であり、コントラストが高いLEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物の用途を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の技術的解決手段の概述は、以下のとおりである。
LEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物であって、第1エポキシ樹脂と、第2エポキシ樹脂と、酸無水物と、無機酸化物ビーズと、有機ポリマー微粒子と、黒色色材とを含むことを特徴とする。
【0015】
前記第1エポキシ樹脂の質量が10~61部であり、第2エポキシ樹脂の質量が0~60部であり、酸無水物の使用量が第1エポキシ樹脂及び第2エポキシ樹脂のエポキシ基と等モル比であり、無機酸化物ビーズの質量が5~60部であり、有機ポリマー微粒子の質量が第1エポキシ樹脂、第2エポキシ樹脂、酸無水物及び無機酸化物ビーズの合計質量の0.1%~1%であり、黒色色材の質量が第1エポキシ樹脂、第2エポキシ樹脂、酸無水物及び無機酸化物ビーズの合計質量の0.01%~0.1%である。
【0016】
前記第1エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルイソシアヌレートのうちの少なくとも1種であり、
前記脂環式エポキシ樹脂は、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチルまたはダイセルCELLOXIDE8000である。
【0017】
前記グリシジルイソシアヌレートは、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレートまたはモノグリシジルイソシアヌレートである。
【0018】
前記第2エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはエポキシシリコーン複合エポキシ樹脂である。
【0019】
前記酸無水物は、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二酸無水物、水添ピロメリット酸二酸無水物、無水マレイン酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、メチルナジック酸無水物、水添メチルナジック酸無水物、グルタル酸無水物、チルシクロヘキセンテトラカルボン酸二酸無水物のうちの少なくとも1種である。
【0020】
前記無機酸化物ビーズの一般式は、Na(1-x-y-z-u)(1-x-y-z-u)/2・Si2x・M13y/2・M2・Zr2uであり、そのうち、M1=B、Al、M2=Mg、Ca、Sr、Zn、各元素の含有量は、0.4≦x≦0.7、0.1≦y≦0.3、z≦0.3、u≦0.3、x+y+z+u≧0.9であり、そのうち、z、uと1-x-y-z-uは、同時にゼロにすることは不可能であり、前記無機酸化物ビーズの中心粒径が5~30μmである。
【0021】
7.前記有機ポリマー微粒子は、有機シリコンポリマー微粒子フェノール樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子のうちの少なくとも1種であり、前記有機ポリマー微粒子の平均粒径が5μm以下である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【0022】
前記黒色色材は、ナノカーボンブラック、ナノ酸化銅及びナノ酸化マンガンのうちの少なくとも1種である。
【0023】
上記組成物の、LEDディスプレイの表面実装式RGBディスクリートデバイスの封止における応用。
【発明の効果】
【0024】
本発明の利点は、以下のとおりである。
1)反りを減少させ、
2)湿気抵抗性を大幅に向上させ、
3)所定の光散乱作用を有し、出光の配光効果を実現し、
4)複合体の熱伝達率を向上させる効果を有し、
5)LEDデバイスのコントラストを向上させる効果を有し、
6)上述した性能を向上させるとともに、デバイスの良好な透過率を維持する。
【0025】
本発明の封止樹脂組成物は、ディスプレイ用の表面実装式ディスクリートデバイスRGBデバイスに応用することができ、該デバイスは、1組のR、G及びBチップを含む五面出光型の独立光源を含み、4組のRGBチップを含むモジュール化光源(4in1)を含んでも良い。本発明の封止組成物は、以上のデバイスの封止に応用されると、デバイスの湿気抵抗性、出光均一性を向上させ、コントラストを向上させるとともに、封止プロセスに生じた反りを減少させることができる。本封止樹脂組成物は、RGBデバイスにおける青色光源に対して、さらに低光減衰の特性を有し、RGBデバイスの耐用年数を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の封止樹脂組成物で封止されたLEDディスプレイの表面実装式ディスクリートRGBデバイスの模式図である。
図2】封止樹脂組成物で封止されたLEDディスプレイの表面実装式の4組のRGBチップを含むモジュール化光源のディスクリートデバイス(4in1)の正面図の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、特定の実施例を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0028】
本発明で用いられる各成分物質は、以下のとおりである。
【0029】
第1エポキシ樹脂:
脂環式エポキシ樹脂
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物:商品名EHPE-3150、エポキシ当量177、ダイセル化工株式会社製、略語EHPE-3150、
3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル:商品名CELLOXIDE 2021P、エポキシ当量125、ダイセル化工株式会社製、略語CELLOXIDE 2021P、
ダイセルCELLOXIDE 8000:エポキシ当量100、ダイセル化工株式会社製、略語CELLOXIDE 8000。
【0030】
グリシジルイソシアヌレート:
トリグリシジルイソシアヌレート:TGIC-D、エポキシ当量100、常州市牛塘化工厂有限公司製、略語TGIC-D。
【0031】
ジグリシジルイソシアヌレート:エポキシ当量120、略語DGIC。
【0032】
モノグリシジルイソシアヌレート:エポキシ当量185、略語MGIC。
【0033】
第2エポキシ樹脂:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1002、エポキシ当量600~700、三菱化学株式会社製、略語JER1002。
【0034】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1004、エポキシ当量875~975、三菱化学株式会社製、略語JER1004。
【0035】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1007、エポキシ当量1750~2200、三菱化学株式会社製、略語JER1007。
【0036】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1009、エポキシ当量2400~3300、三菱化学株式会社製、略語JER1009。
【0037】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1010、エポキシ当量3000~5000、三菱化学株式会社製、略語JER1010。
【0038】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:JER1003F、エポキシ当量700~800、三菱化学株式会社製、略語JER1003F。
【0039】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-301、エポキシ当量450~500、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-301。
【0040】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-302、エポキシ当量600~700、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-302。
【0041】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-303、エポキシ当量800~900、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-303。
【0042】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-304、エポキシ当量900~1000、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-304。
【0043】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-901、エポキシ当量450~500、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-901。
【0044】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-902、エポキシ当量600~650、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-902。
【0045】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-903、エポキシ当量70~750、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-903。
【0046】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-904、エポキシ当量780~850、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-904。
【0047】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NPES-905、エポキシ当量930~960、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPES-905。
【0048】
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YX-8000、エポキシ当量205、三菱化学株式会社製、略語YX-8000。
【0049】
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YX-8040、エポキシ当量1000、三菱化学株式会社製、略語YX-8040。
【0050】
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YX-8034、エポキシ当量290、三菱化学株式会社製、略語YX-8034。
【0051】
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YL-6753、エポキシ当量180、三菱化学株式会社製、略語YL-6753。
【0052】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-170、エポキシ当量160~180、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-170。
【0053】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-175、エポキシ当量160~180、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-175。
【0054】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-176、エポキシ当量170~190、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-176。
【0055】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-185、エポキシ当量170~190、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-185。
【0056】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-187、エポキシ当量175~185、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-187。
【0057】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:NPEF-500、エポキシ当量164~170、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語NPEF-500。
【0058】
エポキシシリコーン複合エポキシ樹脂:
エポキシシリコーン複合エポキシ樹脂:ERS-Si1200、エポキシ当量1100~1200、三菱化学株式会社製、略語ERS-Si1200。
【0059】
エポキシシリコーン複合エポキシ樹脂:ERS-Si1700、エポキシ当量200、三菱化学株式会社製、略語ERS-Si1700。
エポキシシリコーン複合エポキシ樹脂:XP833、エポキシ当量300、三菱化学株式会社製、略語XP833。
【0060】
酸無水物:
テトラヒドロフタル酸無水物(THPA):酸無水物当量152、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製、略語THPA。
【0061】
無水フタル酸:酸無水物当量148、南亜塑膠工業股▲分▼有限公司製。
【0062】
無水トリメリット酸:酸無水物当量92。
【0063】
ピロメリット酸二酸無水物:酸無水物当量218、楽恒化工有限公司製。
【0064】
水添ピロメリット酸二酸無水物:酸無水物当量224。
【0065】
無水マレイン酸:酸無水物当量98。
【0066】
メチルテトラヒドロフタル酸無水物:酸無水物当量166、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0067】
ヘキサヒドロ無水フタル酸:酸無水物当量154、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0068】
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:酸無水物当量168、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0069】
ナジック酸無水物:酸無水物当量164、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0070】
ドデセニルコハク酸無水物:酸無水物当量266、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0071】
メチルナジック酸無水物:酸無水物当量178、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0072】
水添メチルナジック酸無水物:酸無水物当量180、濮陽惠成電子材料股▲分▼有限公司製。
【0073】
グルタル酸無水物:酸無水物当量114、遼陽恒業化工有限公司製。
【0074】
メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二酸無水物:酸無水物当量132。
【0075】
無機酸化物ビーズ:
無機酸化物ビーズ-1:化学組成Si0.551.1・B0.20.3・Ca0.150.15・Zr0.10.2、中心粒径D50=20μm、略語無機酸化物ビーズ-1。
【0076】
無機酸化物ビーズ-2:化学組成Na0.10.05・Si0.51.0・B0.10.15・Zr0.30.6、中心粒径D50=10μm、略語無機酸化物ビーズ-2。
【0077】
無機酸化物ビーズ-3:化学組成Na0.040.02・Si0.61.2・B0.160.24・Zr0.20.4、中心粒径D50=5μm、略語無機酸化物ビーズ-3。
【0078】
無機酸化物ビーズ-4:化学組成Si0.40.8・Al0.30.45・Ca0.10.1・Mg0.20.2、中心粒径D50=12μm、略語無機酸化物ビーズ-4。
【0079】
無機酸化物ビーズ-5:化学組成Si0.61.2・Al0.10.15・Ca0.20.2・Zn0.10.1、中心粒径D50=15μm、略語無機酸化物ビーズ-5。
【0080】
無機酸化物ビーズ-6:化学組成Na0.060.03・Si0.561.12・Al0.280.42・Ca0.10.1、中心粒径D50=25μm、略語無機酸化物ビーズ-6。
【0081】
無機酸化物ビーズ-7:化学組成Si0.71.4・Al0.050.075・B0.150.225・Mg0.10.1、中心粒径D50=30μm、略語無機酸化物ビーズ-7。
【0082】
無機酸化物ビーズ-8:化学組成Si0.450.9・Al0.20.3・B0.10.15・Ca0.150.15・Zn0.10.1、中心粒径D50=8μm、略語無機酸化物ビーズ-8。
【0083】
無機酸化物ビーズ-9:化学組成Na0.040.02・Si0.61.2・Al0.10.15・Ca0.260.26、中心粒径D50=25μm、略語無機酸化物ビーズ-9。
【0084】
無機酸化物ビーズ-10:化学組成Si0.51.0・B0.30.45・Mg0.10.1・Sr0.10.1、中心粒径D50=15μm、略語無機酸化物ビーズ-10。
【0085】
無機酸化物ビーズ-11:化学組成Si0.61.2・Al0.20.3・Mg0.150.15・Sr0.050.05、中心粒径D50=24μm、略語無機酸化物ビーズ-11。
【0086】
無機酸化物ビーズ-12:化学組成Si0.61.2・Al0.20.3・Zr0.20.4、中心粒径D50=30μm、略語無機酸化物ビーズ-12。
【0087】
無機酸化物ビーズの調製方法は、目標配合比率で各元素の粉状前駆体(酸化物、炭酸塩、水酸化物を含む)原料を量り、ボールミリングし、混合し、加圧濾過させ、乾燥させてから、高温焼結し、粗粉砕し、二次ボールミリングし、噴霧乾燥させ、固定成分の無機酸化物ビーズを得ることである。
【0088】
無機酸化物ビーズ:アルミナ、中心粒径D50=5μm、江蘇聯瑞新材料股▲分▼有限公司製、略語アルミナ。
【0089】
無機酸化物ビーズ:酸化カルシウム、中心粒径D50=10μm、略語酸化カルシウム。
【0090】
無機酸化物ビーズ:酸化マグネシウム、中心粒径D50=15μm、略語酸化マグネシウム。
【0091】
無機酸化物ビーズ:シリカ、中心粒径D50=20μm、江蘇聯瑞新材料股▲分▼有限公司製、略語シリカ。
【0092】
有機ポリマー微粒子-有機シリコンポリマー微粒子:
有機ポリマー微粒子:KMP-590、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径2μm、信越化工株式会社製、略語KMP-590。
【0093】
有機ポリマー微粒子:KMP-597、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径2μm、信越化工株式会社製、略語KMP-597。
【0094】
有機ポリマー微粒子:KMP-701、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径3.5μm、信越化工株式会社製、略語KMP-701。
【0095】
有機ポリマー微粒子:KMP-600、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径5μm、信越化工株式会社製、略語KMP-600。
【0096】
有機ポリマー微粒子:KMP-605、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径2μm、信越化工株式会社製、略語KMP-605。
【0097】
有機ポリマー微粒子:X-52-7030、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径0.8μm、信越化工株式会社製、略語X-52-7030。
【0098】
有機ポリマー微粒子:X-52-854、有機シリコンポリマー微粒子、平均粒径0.8μm、信越化工株式会社製、略語X-52-854。
【0099】
有機ポリマー微粒子-フェノール樹脂:
有機ポリマー微粒子:フェノール樹脂、数平均分子量20000~50000、平均粒径1um、略語フェノール樹脂-1。
【0100】
有機ポリマー微粒子:フェノール樹脂、数平均分子量30000~80000、平均粒径3um、略語フェノール樹脂-2。
【0101】
有機ポリマー微粒子:フェノール樹脂、数平均分子量50000~100000、平均粒径5um、略語フェノール樹脂-3。
【0102】
有機ポリマー微粒子-ポリスチレン微粒子:
有機ポリマー微粒子:ポリスチレン微粒子、平均粒径0.5um、略語ポリスチレン微粒子-1。
【0103】
有機ポリマー微粒子:ポリスチレン微粒子、平均粒径2um、略語ポリスチレン微粒子-2。
【0104】
有機ポリマー微粒子:KM-503、ポリスチレン微粒子、平均粒径3μm、東莞市科邁新材料有限公司製、略語KM-503。
【0105】
有機ポリマー微粒子:KM-5030、ポリスチレン微粒子、平均粒径3μm、東莞市科邁新材料有限公司製、略語KM-5030。
【0106】
有機ポリマー微粒子-ポリメチルメタクリレート微粒子:
有機ポリマー微粒子:LD-015、ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径1.5μm、東莞市宣成化工科技有限公司。
【0107】
有機ポリマー微粒子:KMR-3EA、ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径3μm、日本綜研化学株式会社製、略語KER-3EA。
【0108】
有機ポリマー微粒子:KMR-3TA、ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径3μm、日本綜研化学株式会社製、略語KMR-3TA。
【0109】
黒色色材:ナノカーボンブラック2300#、平均粒径15nm、三菱化学株式会社。
【0110】
黒色色材:ナノ酸化銅、平均粒径40nm、北京徳科島金科技有限公司。
【0111】
黒色色材:ナノ酸化マンガン、平均粒径50nm、上海比客新材料科技有限公司。
【0112】
本発明の実施例は、当業者が本発明をよく理解するためのものであり、本発明に対するいかなる制限ではない。
【0113】
本発明における実施例及び比較例に従って調製される封止樹脂組成物は、以下の方法でその各性能をテストする。
【0114】
青色光減衰:青色光チップとリードが溶接された六角形基板を成形装置の金型に配置し、次に、調製された封止樹脂組成物を成形装置で予熱して金型キャビティに押し出し、チップを埋め込み、六角形基板のリードを露出させる。このサンプルは150℃で4時間硬化する必要がある。次に、積分球を使用して、特定の電流で点灯したときのこの埋め込みチップの初期光束をテストする。テストする必要がある一連の封止樹脂組成物をこの方法によりテスト対象サンプルに調製し、次に、このサンプルを直列接続し、200mA電流(加速テスト)を用いて室温で200時間連続点灯し、特定の電流で残っている光束を再度テストする。(初期光束-残留光束)/初期光束によりこの単一サンプルの青色光減衰が得られる。各封止樹脂組成物の各テストのサンプル数は3個以上であり、平均値を採用している。
【0115】
このテストで使用された積分球装置は、杭州遠方光電信息股▲分▼有限公司製のアルミニウムベース付き測光積分球R98である。
【0116】
成形収縮率:調製された封止樹脂組成物粉末又は顆粒又はブロックを20g量り、150℃で特定の金型に注入して硬化させる。金型キャビティは、直径60mm、厚さ約3mmの円形である。硬化した成形樹脂を取り出し、室温で24時間放置する。次に、硬化した樹脂の縦方向の直径を測定し、その平均値を求め、その直径と金型の直径との差を金型の直径で割って、金型収縮率を得る。各封止樹脂組成物の各テストのサンプル数は3個以上であり、平均値を採用している。
【0117】
吸水率:金型収縮率に使用されるサンプルを調製する場合の金型及び射出成形条件と同様に、直径60mm、厚み約3mmのサンプルを得る。150℃の条件で4時間硬化を続ける。サンプルを取り出し、室温で放置した後、サンプルの質量を量って初期重量とする。次に、沸騰したお湯に入れて1時間沸騰させ続け、サンプルを取り出し、水をふき取り、サンプルの質重を量る。2つの質量の差を初期質量で割ると、サンプルの吸水率を得る。各封止樹脂組成物の各テストのサンプル数は3個以上であり、平均値を採用している。
【0118】
出光率:得られた封止樹脂組成物をキャビティの辺長30mm、深さ0.40mmの金型に押し出し、150℃で2分間硬化させた後、150℃のオーブンに移して4時間硬化させ、辺長約30mm*30mm、厚さ0.40mmのサンプルを得て、分光光度計を使用して、450nmでの光透過率をテストして、出光率とする。
【0119】
出光均一性:調製された封止樹脂組成物を、射出成形方法によって赤色LEDチップ上に封止し、次に、このチップの放射強度分布データ、つまりさまざまな角度での放射強度をテストして、出光効果を判定する。
【0120】
チップ表面温度:青色光チップとリードが溶接された六角形基板を成形装置の金型に配置し、次に、調製された封止樹脂組成物を成形装置で予熱して金型キャビティに押し出し、チップを1mmの埋め込み厚さで埋め込み、六角形基板のリードを露出させる。このサンプルは150℃で4時間硬化する必要がある。次に、テストする必要がある一連の封止樹脂組成物をこの方法によりテスト対象サンプルに調製し、次に、このサンプルを直列接続し、200mA電流(加速テスト)を用いて室温で1時間連続点灯し、赤外線サーマルイメージャーでこの条件下でチップ表面温度をテストする。この単一サンプルの青色光減衰を得る。各封止樹脂組成物の各テストのサンプル数は3個以上であり、平均値を採用している。
【0121】
赤外線サーマルイメージャーは、東莞市不凡電子有限公司製のRX-500である。
【0122】
本発明の実施例で調製したLEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物(略して封止樹脂組成物という)及び比較例における封止樹脂組成物の調製方法は以下の通りであった。
【0123】
各実施例の配合比を表1に示し、第1エポキシ樹脂(第2エポキシ樹脂がある場合は、追加されている)、酸無水物、無機酸化物ビーズ、有機ポリマー微粒子及び黒色色材を取り、よく混合してから、二軸押出機を使用して、100℃で均一に混練した後、冷却して粉砕して、粉末状の封止樹脂組成物を得た。
【0124】
本発明の実施例1~11のテスト結果を表2に示す。
【0125】
本発明の比較例では、各物質を表3に示す配合比で混合し、二軸押出機を用いて100℃の温度で均一に混練した後、冷却して粉砕して、粉末状の封止樹脂組成物を得た。
【0126】
本発明の比較例1~9のテスト結果を表3に示す。
【0127】
表1の実施例1~3、7~11の結果から、エポキシ樹脂の全成分が第1エポキシ樹脂である場合、得られた封止樹脂組成物は、顕著な青色光耐性を有することが分かった。
【0128】
実施例4~6では、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を併用した場合、得られた封止樹脂組成物は、青色光減衰が良好であった。
【0129】
実施例1のEHPE-3150を第1エポキシ樹脂CELLOXIDE 2021P、CELLOXIDE 8000、DGIC又はMGICで置き換えることにより、類似した青色光減衰に対する抵抗性能が得られた。
【0130】
比較例1では、第2エポキシ樹脂(JER1002)を全て主剤としたため、得られた比較例の封止樹脂組成物は、青色光減衰性能が悪かった。
【0131】
第2エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂NPES-301、NPES-303、NPES-304、NPES-901、NPES-902、NPES-903、NPES-904、NPES-905、JER1004、JER1007、JER1009、JER1010、及びJER1003F;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂YX-8000、YX-8040、YX-8034及びYL-6753;ビスフェノールF型エポキシ樹脂NPEF-170、NPEF-175、NPEF-176、NPEF-185、NPEF-187、及びNPEF-500;エポキシシリコーン複合エポキシ樹脂ERS-Si1200、ERS-Si1700、及びXP833)でJER1002を置き換えると、類似した青色光減衰に対する抵抗性能が得られた。
【0132】
実施例1、2及び6、並びに比較例2、7の結果から、封止樹脂組成物が無機酸化物ビーズ1を含むため、封止樹脂組成物の成形収縮率、吸水率が大幅に低下し、そして、無機酸化物ビーズの含有量が増加すると、低下の程度はさらに増加し、また、高い出光率を維持しながら、かなりの透明性を維持することが分かり、これは、発光LEDデバイスにとって非常に重要であった。
【0133】
実施例2、3、5、9及び10から、無機酸化物ビーズ-2、無機酸化物ビーズ-3、無機酸化物ビーズ-4、無機酸化物ビーズ-5及び無機酸化物ビーズ-6を含むため、封止樹脂組成物の成形収縮率、吸水率が大幅に低下し、且つ、出光率が高く、透明性が良好であることが分かった。
【0134】
無機酸化物ビーズ-7、無機酸化物ビーズ-8、無機酸化物ビーズ-9、無機酸化物ビーズ-10、無機酸化物ビーズ-11、又は無機酸化物ビーズ-12で実施例1の無機酸化物ビーズ-1を置き換える場合も、類似した効果が得られた。
【0135】
比較例2では、無機酸化物ビーズを添加していないため、得られた封止樹脂組成物は、成形収縮率が高く、吸水率も悪かった。
【0136】
比較例3では、通常の無機酸化物ビーズであるシリカを用いたため、得られた封止樹脂組成物の成形収縮率、吸水率も大幅に低下したものの、出光率が非常に低く、発光デバイスにとっては、添加しても作用がなく、そして、RGBディスプレイの用途には適していなかった。
【0137】
比較例1及び比較例7により、有機ポリマー微粒子を使用しない場合にも、封止樹脂組成物は、一定の均一な出光効果を有していることがわかった。したがって、本発明で使用される無機酸化物ビーズは、各角度からの出光のバランスをとるのにも役割を果たす。
【0138】
実施例1、2、7及び8から、有機ポリマー微粒子KMP-590が含まれる場合、封止樹脂組成物の出光曲線形状は、滑らかな円弧形であることから、各角度からの出光が均一であることを示し、有機ポリマー微粒子KMP-590は、各角度からの出光のバランスをとる役割を果たすことが分かった。
【0139】
実施例3~5から、有機ポリマー微粒子としてフェノール樹脂-1、KM-503及びKMR-3EAを添加して得られた封止樹脂組成物では、出光曲線も滑らかな円弧形であることがわかった。これは、有機ポリマー微粒子であるフェノール樹脂-1、KM-503、及びKMR-3EAも各角度からの出光のバランスをとる役割を果たすことを示している。
【0140】
比較例7から、有機ポリマー微粒子を添加していない封止樹脂組成物は、各角度で測定した出光強度の差が大きく、曲線形状がジグザグになり、各角度で均一に出光できないことがわかった。
【0141】
有機ポリマー微粒子KMP-597、KMP-701、KMP-600、KMP-605、X-52-7030、X-52-854、フェノール樹脂-2、フェノール樹脂-3、ポリスチレン微粒子-1、ポリスチレン微粒子-2、KM-5030、LD-015及びKMR-3TAで実施例1の有機ポリマー微粒子KMP-590を置き換えると、得られた封止樹脂組成物の出光曲線は、類似した効果を奏することができる。
【0142】
また、実施例2、実施例7及び実施例8から、有機ポリマー微粒子KMP-590が多いと、封止樹脂組成物の吸水率が大幅に向上し、信頼性不良のリスクが高まることがわかった。したがって、有機ポリマー微粒子を単独で使用することはできず、吸水性の増加によるリスクを解消するには、無機酸化物ビーズと複合する必要があった。
【0143】
実施例1~11では、黒色色材であるナノスケールカーボンブラック2300#(平均粒子径15nm)及び黒色色材であるナノスケール酸化銅(平均粒子径40nm)をそれぞれ使用することによって、出光率及びより低いチップ表面温度を確保しながら、コントラストを改善する効果を達成させた。
【0144】
比較例9では、黒色色材であるナノカーボンブラック2300#を過剰に添加すると、出光率が大幅に低下した一方、黒色色材が吸熱して封止デバイス内に熱が蓄積し、長期点灯すると、温度が上昇し、長く使用されているLEDデバイスの故障のリスクが高まった。
【0145】
実施例1の黒色色材であるナノカーボンブラック2300#(平均粒子径15nm)の代わりにナノ酸化マンガン(平均粒子径50nm)を用いても、類似した効果が得られた。
【0146】
無水トリメリット酸、ピロメリット酸二酸無水物、水添ピロメリット酸二酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナディック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、メチルナジック酸無水物、水添メチルナジック酸無水物、無水グルタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二酸無水物を実施例1における無水マレイン酸に置き換えた場合も、類似した効果が得られた。
【0147】
上記の結果から、本発明のLEDディスプレイの表面実装式ディスクリートデバイス用の封止樹脂組成物は、青色光減衰に対して抵抗性を有し、吸水性が低いという特徴があり、それにより、小型・薄型化デバイスの気密保護及び信頼性を向上させることが分かる。また、このエポキシ樹脂組成物の成形収縮率を低減させるため、小ピッチ・高密度チップ実装後の反りを効果的に抑制し、実装工場の作業性の問題を改善する。
【0148】
適用経験の観点から、本発明の封止樹脂組成物は、R、G及びBチップの各角度からの出光強度のバランスを取ることにより、封止化されたチップセットからスクリーンを構成し前面のホワイトバランスを調整した後、視野角に対する大きな角度によって引き起こされる色偏差がなくなる。適切な黒色色材を高精度で追加することにより、チップの温度上昇を引き起こさずにコントラストを改善できる。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
注:
1)I類:滑らかな弧形であり、各角度からの出光量が均一である。
【0153】
2)II類:ぎざぎざ状であり、各角度からの出光量の差が巨大である。
【0154】
3)III類:中心角度がやや凹んだ弧形であり、中心角度からの出光量がやや低い。
【0155】
4)*:出光率が低いため、青色光減衰及び出光曲線形状を測定できない。
【0156】
5)表1及び表3において、括号内の数字がエポキシ樹脂または酸無水物のモル数を表す。
【0157】
本発明は、第1及び第2エポキシ樹脂系をスクリーニングし、酸無水物を加え、さらに無機酸化物ビーズを導入する。本発明は、発光デバイスの光透過率を配慮すると、スクリーニングされた無機酸化物ビーズを用い、高い透過率を有する。且つ無機酸化物ビーズの含有量が第1エポキシ樹脂、第2エポキシ樹脂及び無機酸化物ビーズの5~60部に占める。無機酸化物ビーズの熱伝達係数が一般的にエポキシ樹脂より大きく、従って一定の程度で該組成物の放熱効果をさらに向上させる。
【0158】
本発明は、さらに出光の配光効果(出光均一性)を強化させるために、無機酸化物ビーズを追加するとともに、有機ポリマー微粒子を複合することを提出し、該有機ポリマー微粒子が、R、G及びBという3つのチップから出した光を混合する役割を果たすことができ、各角度からの出光を大きな角度でバランスよく表示できる。組み立て済みのビッグサイズのディスプレイに対して、前面のホワイトバランスを調整した後、側面の大きな角度から赤色の有無を観察する。
【0159】
本発明は、コントラストを向上させる目的を達成させるように、黒色色材を追加することを提出するが、黒色色材が熱量を吸収して発光デバイスの温度が高くなり、且つ黒色色材の添加量が多い場合、発光デバイスの透光性が急激に低下する特徴に鑑みて、黒色色材の使用量が0.1%重量以下に厳しく制限される。
【0160】
それにより、光減衰が低く、反りに対する抵抗性、湿気に対する抵抗性が良好であり封止樹脂組成物を取得し、出光のバランスを取り、コントラスト及び放熱性を向上させ、端末使用者の体験を向上させることができる。
【0161】
本発明の封止されたLEDデバイスは、封止層の厚みが一般的に0.2~0.6mmである。
図1
図2