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特許7017644働き甲斐指標化システム、働き甲斐指標化方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】働き甲斐指標化システム、働き甲斐指標化方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20220201BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20220201BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220201BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
G16Y20/40
G16Y40/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020551685
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2018038909
(87)【国際公開番号】W WO2020079820
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-05-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-232258(JP,A)
【文献】特開2014-219972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/10
G16Y 20/40
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムであって、
前記会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得する第1取得手段と、
前記会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得する第2取得手段と、
取得した前記第1データ及び前記第2データを解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じて、前記会社の役員と従業員との関係性を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記会社の働き甲斐を指標化する指標化手段と、
を備えることを特徴とする働き甲斐指標化システム。
【請求項2】
前記解析手段は、前記第1データにおける特定の言動を解析するとともに、前記第2データにおける特定のキーワードを解析する、
ことを特徴とする請求項1に記載の働き甲斐指標化システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記関係性を一又は複数の項目に基づいて判定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の働き甲斐指標化システム。
【請求項4】
会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムが実行する働き甲斐指標化方法であって、
前記働き甲斐指標化システムのコンピュータが、前記会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得するステップと、
前記働き甲斐指標化システムのコンピュータが、前記会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得するステップと、
前記働き甲斐指標化システムのコンピュータが、取得した前記第1データ及び前記第2データを解析するステップと、
前記働き甲斐指標化システムのコンピュータが、前記解析の結果に応じて、前記会社の役員と従業員との関係性を判定するステップと、
前記働き甲斐指標化システムのコンピュータが、前記判定の結果に応じて、前記会社の働き甲斐を指標化するステップと、
を備えることを特徴とする働き甲斐指標化方法。
【請求項5】
会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムのコンピュータに、
前記会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得するステップ、
前記会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得するステップ、
取得した前記第1データ及び前記第2データを解析するステップ、
前記解析の結果に応じて、前記会社の役員と従業員との関係性を判定するステップ、
前記判定の結果に応じて、前記会社の働き甲斐を指標化するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoT(Internet of Things)に関連し、技術分野はIPC分類においてG06Q等に該当する。本発明は、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システム、働き甲斐指標化方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革等が提唱されており、働き甲斐のある会社が注目されている。働き甲斐の例としては、全体としては、適切な労働時間、多様で柔軟な働き方、雇用形態によらない公正な待遇等が挙げられる。また、従業員としては、各従業員の連帯感、従業員による役員等の経営陣への信頼、各従業員が自身の仕事内容にやりがいやほこりを持つ等が挙げられる。また、経営陣としては、組織目標の達成、個人能力の有効活用等が挙げられる。
【0003】
働き甲斐に関連する技術の一例として、従業員の実際の勤務状況と、勤務計画とを比較することにより、この従業員の勤務状況が計画通りに遂行されるように勤務状況を管理し、働き方の改善を促すものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-191716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、従業員の勤務状況を管理するものに過ぎず、そもそもの勤務計画が適切なものであるかどうかを評価することや従業員がこの会社に対して働き甲斐を感じているかどうかを評価することは困難であった。
【0006】
本発明は、会社で生じたリアルコミュニケーションと、デジタルコミュニケーションとから役員と従業員との間の関係性を評価することにより、働き甲斐を指標化することを容易にすることが可能な働き甲斐指標化システム、働き甲斐指標化方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
本発明の態様に従えば、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムであって、会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得する第1取得手段と、会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得する第2取得手段と、取得した第1データ及び第2データを解析する解析手段と、解析手段の解析結果に応じて、会社の役員と従業員との関係性を判定する判定手段と、判定手段の判定結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化する指標化手段と、を備えることを特徴とする働き甲斐指標化システムが提供される。
本発明の態様に従えば、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムが実行する働き甲斐指標化方法であって、働き甲斐指標化システムのコンピュータが、会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得するステップと、働き甲斐指標化システムのコンピュータが、会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得するステップと、働き甲斐指標化システムのコンピュータが、取得した第1データ及び第2データを解析するステップと、働き甲斐指標化システムのコンピュータが、解析の結果に応じて、会社の役員と従業員との関係性を判定するステップと、働き甲斐指標化システムのコンピュータが、判定の結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化するステップと、を備えることを特徴とする働き甲斐指標化方法が提供される。
本発明の態様に従えば、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムのコンピュータに、会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得するステップ、会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得するステップ、取得した第1データ及び第2データを解析するステップ、解析の結果に応じて、会社の役員と従業員との関係性を判定するステップ、判定の結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化するステップ、を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムが提供される。
【0008】
本発明は、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムであって、
前記会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得する第1取得手段と、
前記会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得する第2取得手段と、
取得した前記第1データ及び前記第2データを解析する解析手段と、
解析結果に応じて、前記会社の役員と従業員との関係性を判定する判定手段と、
判定結果に応じて、前記会社の働き甲斐を指標化する指標化手段と、
を備えることを特徴とする働き甲斐指標化システムを提供する。
【0009】
本発明によれば、会社での働き甲斐を指標化する働き甲斐指標化システムは、前記会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得し、前記会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得し、取得した前記第1データ及び前記第2データを解析し、解析結果に応じて、前記会社の役員と従業員との関係性を判定し、判定結果に応じて、前記会社の働き甲斐を指標化する。
【0010】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、働き甲斐を指標化することを容易にすることが可能な働き甲斐指標化システム、働き甲斐指標化方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、働き甲斐指標化システム1の概要を示す図である。
図2図2は、働き甲斐指標化システム1の全体構成図である。
図3図3は、コンピュータ10が実行する働き甲斐指標化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
[働き甲斐指標化システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である働き甲斐指標化システム1の概要を説明するための図である。働き甲斐指標化システム1は、コンピュータ10から構成され、リアルコミュニケーション(例えば、従業員間の会話やスキンシップ、役員と従業員との間の会話やスキンシップ)と、デジタルコミュニケーション(例えば、社内メール、個人メール、社内SNS(Social Networking Service)、個人SNS)とに基づいて、会社の働き甲斐を指標化するシステムである。
【0015】
なお、働き甲斐指標化システム1は、役員や従業員等のユーザが所持するユーザ端末(スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やその他の端末や装置類等)や会社が所有する会社端末(携帯端末やその他の端末や装置類等)が含まれていてもよい。また、カメラ等の撮影装置やマイク等の集音装置等といったその他の装置類が含まれていてもよい。
【0016】
コンピュータ10は、図示していないユーザ端末や会社端末、撮影装置又は集音装置等と、公衆回線網やイントラネット等のプライベートネットワークや近距離無線通信等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0017】
コンピュータ10は、会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得する。リアルコミュニケーションは、上述した通り、会話やスキンシップ等の言動が挙げられ、加えて、会話中の表情や顔色や視線や身振りや手振りや体の姿勢や相手との物理的な距離等の非言語コミュニケーションも含まれる。
【0018】
会社に設置された集音装置や各役員や各従業員が所持する集音装置等が、役員や従業員が発した音声を集音する。コンピュータ10は、この音声を音声データとして取得することにより、役員や従業員の音声を取得する。また、会社に設置された撮影装置等が、会社の光景(例えば、始業前、終業後、会話中、仕事中、打ち合わせ中、会議中、休憩中等における役員や従業員)を動画や静止画等の画像として撮影する。コンピュータ10は、この画像を画像データとして取得することにより、会社の光景を取得する。
【0019】
その結果、コンピュータ10は、第1データとして、音声データ及び画像データを取得する。なお、コンピュータ10が取得する第1データは、上述した例に限らず、その他のリアルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0020】
コンピュータ10は、会社で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得する。デジタルコミュニケーションは、上述した通り、社内又は個人メールの内容(例えば、送受信先、題名、本文、添付ファイル、送受信頻度)や社内又は個人SNSの投稿内容(例えば、投稿先、題名、本文、添付ファイル、投稿頻度、投稿者名)が挙げられる。
【0021】
コンピュータ10は、自身又は会社のメールサーバ等を介して送受信されたメールを取得する。また、コンピュータ10は、予め許可されたユーザ端末にアクセスし、送受信されたメールを取得する。また、コンピュータ10は、自身又は会社のサーバを介して投稿されたSNSの投稿内容を取得する。また、コンピュータ10は、予め許可されたユーザ端末やSNSサーバにアクセスし、投稿されたSNSの投稿内容を取得する。
【0022】
その結果、コンピュータ10は、第2データとして、メールの内容及びSNSの投稿内容を取得する。なお、コンピュータ10が取得する第2データは、上述した例に限らず。その他のデジタルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0023】
コンピュータ10は、取得した第1データ及び第2データを其々解析する。
【0024】
コンピュータ10は、音声認識や画像解析を実行することにより、第1データを解析する。コンピュータ10は、例えば、音声データに対して、スペクトラムアナライザ等により音声認識し、音声波形に基づいて、音声データに含まれる音声を認識する。また、コンピュータ10は、例えば、画像データに対して、画像の特徴点(形状、輪郭等)や特徴量(画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値)を抽出し、抽出した特徴点や特徴量に基づいて、画像データに含まれる会社の光景を解析する。
【0025】
コンピュータ10は、データ分析を実行することにより、第2データを解析する。コンピュータ10は、例えば、メールの内容やSNSの投稿内容に対して、メールの送受信先の解析、メールの題名及び本文やSNSの題名及び本文に対する形態素解析や構文解析、画像が添付されている場合における画像解析、音声が添付されている場合における音声認識、送受信日時に基づいた送受信頻度の解析、投稿日時に基づいた投稿頻度の解析等をデータ分析として実行する。
【0026】
コンピュータ10は、第1データ及び第2データの解析結果に応じて、会社の役員と従業員との間の関係性を判定する。コンピュータ10は、第1データ及び第2データの解析結果に応じて、役員と従業員との間における信用度、尊敬度、公正度、連帯感等の複数の項目に対して、其々、点数形式又は標準偏差形式の何れか又は双方により、数値を算出する。
【0027】
コンピュータ10は、判定結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化する。コンピュータ10は、各項目に対して算出したスコアにおける点数の最低値、最高値、総和あるいは平均を、働き甲斐の指標として指標化する。あるいは、コンピュータ10は、各項目に対して算出したスコアの標準偏差の最低値、最高値あるいは平均を、働き甲斐の指標として指標化する。
【0028】
なお、コンピュータ10は、複数の項目ではなく、いずれかの項目の点数あるいは標準偏差を、働き甲斐の指標として指標化してもよい。
【0029】
働き甲斐指標化システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0030】
コンピュータ10は、上述した第1データを取得する(ステップS01)。コンピュータ10は、上述した通り、音声データや画像データを取得することにより、第1データを取得する。なお、第1データは、音声データや画像データに限られるものではなく、その他のリアルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0031】
コンピュータ10は、上述した第2データを取得する(ステップS02)。コンピュータ10は、上述した通り、社内又は個人メールや社内又は個人SNSの投稿内容を取得することにより、第2データを取得する。なお、第2データは、メールやSNSに限られるものではなく、その他のデジタルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0032】
コンピュータ10は、取得した第1データ及び第2データを其々解析する(ステップS03)。
【0033】
コンピュータ10は、上述した解析を実行することにより、リアルコミュニケーションにおける特定の言動(例えば、称賛、サポート、配慮、連帯感、公平性、誠実等に関連する言動)、リアルコミュニケーションの頻度やタイミング(例えば、数時間毎、半日毎、一日毎、始業時、終業時、残業時、会議中、打ち合わせ中、出退勤時)、リアルコミュニケーションの対象(例えば、従業員間、役員から従業員、従業員から役員、役員から役員、役員又は従業員から取引先、取引先から役員又は従業員)を解析する。
【0034】
また、コンピュータ10は、上述した解析を実行することにより、デジタルコミュニケーションにおける特定のキーワード(例えば、称賛、サポート、配慮、連帯感、公平性、誠実等に関連する記載)、デジタルコミュニケーションの頻度やタイミング(例えば、数時間毎、半日毎、一日毎、始業時、終業時、残業時、会議中、打ち合わせ中、出退勤時)、デジタルコミュニケーションの対象(例えば、従業員間、役員から従業員、従業員から役員、役員から役員、役員又は従業員から取引先、取引先から役員又は従業員)を解析する。
【0035】
コンピュータ10は、第1データ及び第2データの解析結果に応じて、会社の役員と従業員との間の関係性を判定する(ステップS04)。コンピュータ10は、上述した解析結果に基づいて、役員と従業員との間における信用度、尊敬度、公正度、連帯感等の複数の項目を、関係性として判定する。以下の説明において、信用度、尊敬度、公正度、連帯感の各項目を用いるものとして説明する。コンピュータ10は、上述した解析結果に応じて、信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々に対して、点数形式又は標準偏差形式の何れか又は双方により、数値を算出する。
【0036】
コンピュータ10は、例えば、解析の結果、信用度が86点、尊敬度が73点、公正度が59点、連帯感が70点といったように、点数形式で各項目の数値を算出する。あるいは、コンピュータ10は、例えば、解析の結果、信用度が65、尊敬度が59、公正度が46、連帯感が50といったように、標準偏差形式で各項目の数値を算出する。
【0037】
コンピュータ10は、判定結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化する(ステップS05)。コンピュータ10は、上述した各項目に対して算出した点数の最低値、最高値、総和あるいは平均を、働き甲斐の指標として指標化する。あるいは、コンピュータ10は、上述した各項目に対して算出した標準偏差の最低値、最高値あるいは平均を、働き甲斐の指標として指標化する。
【0038】
なお、コンピュータ10は、複数の項目ではなく、いずれか一つの項目の点数あるいは標準偏差を、働き甲斐の指標として指標化してもよい。
【0039】
以上が、働き甲斐指標化システム1の概要である。
【0040】
[働き甲斐指標化システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である働き甲斐指標化システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である働き甲斐指標化システム1のシステム構成を示す図である。図2において、働き甲斐指標化システム1は、コンピュータ10から構成され、上述したリアルコミュニケーションと、上述したデジタルコミュニケーションとに基づいて、会社の働き甲斐を指標化するシステムである。
【0041】
なお、働き甲斐指標化システム1は、上述したユーザ端末や会社端末、撮影装置、集音装置等のその他の装置類が含まれていてもよい。
【0042】
コンピュータ10は、図示していないユーザ端末や会社端末、撮影装置、集音装置等と、公衆回線網やイントラネット等のプライベートネットワークや近距離無線通信等を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信を実行する。
【0043】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記録部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0044】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、第1データ取得モジュール20、第2データ取得モジュール21を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、解析モジュール40、判定モジュール41、指標化モジュール42を実現する。
【0045】
[働き甲斐指標化処理]
図3に基づいて、働き甲斐指標化システム1が実行する働き甲斐指標化処理について説明する。図3は、コンピュータ10が実行する働き甲斐指標化処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0046】
第1データ取得モジュール20は、会社で生じたリアルコミュニケーションを示す第1データを取得する(ステップS10)。ステップS10において、第1データ取得モジュール20は、会社に設置された集音装置、各役員や各従業員が所持する集音装置等により集音した音声を音声データとして取得する。また、第1データ取得モジュール20は、会社に設置された撮影装置等により撮影した動画や静止画等の画像を画像データとして取得する。リアルコミュニケーションは、上述した通り、会話やスキンシップ等の言動が挙げられ、加えて、上述した非言語コミュニケーションによるものも含まれる。
【0047】
集音装置は、役員や従業員の音声を集音し、この集音した音声を音声データとして、コンピュータ10に送信する。第1データ取得モジュール20は、この音声データを受信することにより、集音装置が集音した音声を取得する。また、撮影装置は、会社の光景(例えば、始業前、終業後、会話中、仕事中、打ち合わせ中、会議中、休憩中等における役員や従業員)を動画や静止画等の画像として撮影し、この撮影した画像を画像データとして、コンピュータ10に送信する。第1データ取得モジュール20は、この画像データを受信することにより、撮影装置が撮影した画像を取得する。
【0048】
その結果、第1データ取得モジュール20は、第1データとして音声データ及び画像データを取得する。なお、第1データ取得モジュール20が取得する第1データは、上述した例に限らず、その他のリアルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0049】
第2データ取得モジュール21は、会話で生じたデジタルコミュニケーションを示す第2データを取得する(ステップS11)。ステップS11において、第2データ取得モジュール21は、役員や従業員が送受信した社内メールや個人メール、役員や従業員が社内SNSや個人SNSに投稿した投稿内容を取得する。第2データ取得モジュール21が取得するメールの内容としては、例えば、送受信先(送信先アドレス、受信先アドレス)、題名、本文、添付ファイルが挙げられる。また第2データ取得モジュール21が取得するSNSの投稿内容としては、例えば、投稿先(SNSの名称やURL)、題名、本文、添付ファイル、投稿頻度、投稿者名が挙げられる。
【0050】
第2データ取得モジュール21は、自身又は会社のメールサーバ等を介して、送受信されたメールを取得する。また、第2データ取得モジュール21は、予め許可されたユーザ端末にアクセスし、送受信されたメールを取得する。また、第2データ取得モジュール21は、自身又は会社のサーバ等を介して投稿されたSNSの投稿内容を取得する。また、コンピュータ10は、予め許可されたユーザ端末やSNSサーバにアクセスし、投稿されたSNSの投稿内容を取得する。
【0051】
その結果、第2データ取得モジュール21は、第2データとして、メール及びSNSの投稿内容を取得する。なお、第2データ取得モジュール21が取得する第2データは、上述した例に限らず、その他のデジタルコミュニケーションに関連するものであってもよい。
【0052】
解析モジュール40は、取得した第1データ及び第2データを其々解析する(ステップS12)。ステップS12において、解析モジュール40は、第1データに対して音声認識や画像解析を実行する。また、解析モジュール40は、第2データに対して、データ分析を実行する。
【0053】
解析モジュール40が第1データに対して実行する解析内容について説明する。
【0054】
解析モジュール40は、取得した音声データに対して、音声認識することにより、この音声データに含まれる音声を認識する。解析モジュール40は、音声として、例えば、「山田君予定の進捗はどうだ?」や「田中君契約とれたな」等を認識する。解析モジュール40は、この音声に含まれる対象者の氏名や特定の会話の内容を解析する。上述した例では、対象者の氏名が、山田君、田中君であり、会話の内容として、「進捗はどうだ?」が、配慮に関連する会話であり、「契約とれたな」が、称賛に関連する会話であるものと解析する。また、解析モジュール40は、音声データを取得した時刻に基づいて、リアルコミュニケーションの頻度やタイミングを解析する。
【0055】
解析モジュール40は、取得した画像データに対して、画像解析をすることにより、この画像データに含まれる役員や従業員の行動を解析する。解析モジュール40は、画像として、例えば、役員(上野)が従業員(田中)の肩に手をおいて、和やかに話しかけている状況や、役員(上野)と従業員(山田)とが握手しながら、和やかに話しかけている状況を解析する。解析モジュール40は、この画像における役員や従業員の氏名や行動の内容を解析する。上述した例では、対象者の氏名が、上野から田中であり、行動の内容として、配慮、サポートに関連する行動であるものと解析し、対象者の氏名が、上野から山田であり、行動の内容として、称賛、誠実、公平性に関連する行動であるものと解析する。また、解析モジュール40は、画像データを取得した時刻に基づいて、リアルコミュニケーションの頻度やタイミングを解析する。
【0056】
解析モジュール40は、音声データと画像データとに基づいて、第1データに対する解析内容を特定する。上述した例では、解析モジュール40は、音声データ及び画像データの解析結果に基づいて、役員から従業員に対して、配慮に関する会話、配慮、サポートに関連する行動が行われたと解析し、その頻度又はタイミングを解析する。また、解析モジュール40は、役員から従業員に対して、称賛に関連する会話、称賛、誠実、公平性に関連する行動が行われたと解析し、その頻度又はタイミングを解析する。
【0057】
解析モジュール40が実行する第2データに対して実行する解析内容について説明する。
【0058】
解析モジュール40は、取得したメールに対して、データ分析をすることにより、このメールに含まれる特定のキーワードを解析する。解析モジュール40は、例えば、「題名:歓迎会」、「本文:この度、田中さんと山田さんの歓迎会を開催いたします。日時、場所、会費、連絡先」のメールに対して、メールの送受信先、題名、本文における特定のキーワード、画像又は音声が添付されている場合にはこの画像又は音声、送受信日時を解析する。解析モジュール40は、このメールに対して、キーワードとして「歓迎会」、「田中さん」、「山田さん」を解析し、メールの内容として、連帯感に関連する内容であるものと解析し、その頻度又はタイミングを解析する。
【0059】
また、解析モジュール40は、取得したSNSの投稿内容に対して、データ分析をすることにより、このSNSの投稿内容に含まれる特定のキーワードを解析する。解析モジュール40は、例えば「題名:歓迎会」、「本文:この度、私と山田さんの歓迎会を開催していただきました。入社して間もない私たちを温かく迎えてくださいましたこと、心から感謝申し上げます。」「添付:画像1」の投稿内容に対して、SNSの投稿先、題名、本文における特定のキーワード、添付された画像、投稿日時を解析する。解析モジュール40は、SNSの投稿内容として、キーワードとして、「歓迎会」、「私」、「田中さん」、「感謝」を解析し、SNSの投稿内容として、信用度、尊敬度、連帯感に関連する内容であるものと解析し、その頻度を解析する。
【0060】
判定モジュール41は、第1データ及び第2データの解析結果に応じて、会社の役員と従業員との間の関係性を判定する(ステップS13)。ステップS13において、判定モジュール41は、第1データにおける上述した信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々の項目に対しての点数形式又は標準偏差形式の何れか又は双方により、数値を算出する。
【0061】
例えば、判定モジュール41は、第1データにおける言動と、信用度、尊敬度、公正度又は連帯感の各項目と、各項目におけるスコア(正のスコア)とを対応付けたデータベースを参照する。判定モジュール41は、今回解析した第1データにおける言動に対応付けられた各項目と、各項目のスコアとに基づいて、信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々のスコアを算出する。また、各項目に加えて、ハラスメント行為に該当する言動に対してもスコア(負のスコア)を対応付けておき、ハラスメント行為に該当する言動が存在した場合、ハラスメント行為のスコアを算出する。また、判定モジュール41は、第1データにおける頻度やタイミングと、各項目と、各項目におけるスコアとを対応付けたデータベースを参照し、上述した言動と同様に、其々のスコアを算出する。判定モジュール41は、今回取得した第1データに対する信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々のスコアとして、信用度が80、尊敬度が70、公正度が60、連帯感が60を算出する。
【0062】
例えば、判定モジュール41は、第2データにおける特定のキーワードと、信用度、尊敬度、公正度又は連帯感の各項目と、各項目におけるスコア(正のスコア)とを対応付けたデータベースを参照する。判定モジュール41は、今回解析した第2データにおけるキーワードに対応付けられた各項目と、各項目のスコアとに基づいて、信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々のスコアを算出する。また、各項目に加えて、ハラスメント行為に該当する言動に対してもスコア(負のスコア)を対応付けておき、ハラスメント行為に該当するキーワードが存在した場合、ハラスメント行為のスコアを算出する。また、判定モジュール41は、第2データにおける頻度又はタイミングと、各項目と、各項目におけるスコアとを対応付けたデータベースを参照し、上述したキーワードと同様に、其々のスコアを算出する。判定モジュール41は、今回取得した第2データに対する信用度、尊敬度、公正度、連帯感の其々のスコアとして、信用度が70、尊敬度が80、公正度が55、連帯感が65を算出する。
【0063】
記録モジュール30は、今回の判定結果を記録する(ステップS14)。ステップS14において、記録モジュール30は、今回算出した各項目と、各項目のスコアと、日時とを対応付けて記録する。このとき、記録モジュール30は、第1データにおける判定結果と、第2データにおける判定結果とを別個に記録する。
【0064】
指標化モジュール42は、判定結果に応じて、会社の働き甲斐を指標化する(ステップS15)。ステップS15において、指標化モジュール42は、所定の期間(例えば、1年間、半年間、1か月間)において、記録モジュール30が記録した判定結果に基づいて、会社の働き甲斐を指標化する。指標化モジュール42は、この期間における各項目のスコアの点数の最低値、最高値、総和あるいは平均値を、働き甲斐の指標として指標化する。例えば、指標化モジュール42は、信用度が86点、尊敬度が73点、公正度が59点、連帯感が60点であった場合、働き甲斐の指標を、最低値である59点、最高値である86点、総和である278点、平均値である70点の何れかを働き甲斐の指標として指標化する。あるいは、指標化モジュール42は、この期間における各項目のスコアの標準偏差の最低値、最高値あるいは平均値を、働き甲斐指標として指標化する。例えば、指標化モジュール42は、信用度が65、尊敬度が59、公正度が46、連帯感が60であった場合、働き甲斐の指標を、最低値である59、最高値である65、平均値である58の何れかを働き甲斐の指標として指標化する。
【0065】
なお、指標化モジュール42は、複数の項目ではなく、いずれか一つの項目の点数あるいは標準偏差を、働き甲斐の指標として指標化してもよい。また、指標化モジュール42は、上述した項目に併せて、ハラスメントのスコアを加味して働き甲斐の指標を指標化してもよい。例えば、ハラスメントのスコアが-20である場合、指標化する際、指標化したスコアからこのハラスメントのスコアを減算等したものを指標化する。
【0066】
以上が、働き甲斐指標化処理である。
【0067】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
1 働き甲斐指標化システム、10 コンピュータ
図1
図2
図3