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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】救助具
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/00 20060101AFI20220202BHJP
   A61G 1/044 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A61G1/00 702
A61G1/044
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018008456
(22)【出願日】2018-01-01
(65)【公開番号】P2019118773
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2019-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-17
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505168023
【氏名又は名称】有限会社清水防水布
(73)【特許権者】
【識別番号】592012650
【氏名又は名称】足立建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088753
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】清水 正文
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】畔津 圭介
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-223236(JP,A)
【文献】特開平9-299494(JP,A)
【文献】特開平9-238981(JP,A)
【文献】登録実用新案第3103731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G1/00-1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地により形成され身体を包み込めるサイズを有する身体包囲シート手段と、
該身体包囲シート手段により包囲した身体を固定する身体固定ベルト手段と、
前記身体包囲シート手段に固着され、大腿部を固定する一対の大腿部固定手段と、
前記身体包囲シート手段に両端部が固定された複数本のベルトを有し、前記身体包囲シート手段により包まれた身体の釣支を可能とする釣支ベルト手段を備えて形成され、
前記身体包囲シート手段が、身体を包み込めるサイズを有する矩形の第1のシート基体と、該第1のシートに固着された第2のシート基体を含んで構成され、
前記第1のシート基体が、一端部に足部の収容を可能とする袋状のポケット部を備え、
前記第1のシート基体の長手方向の両側に、担架を形成する握りポールの挿通を可能とする挿通部が形成され、
前記第2のシート基体が、少なくとも、身体の顔面、頭部、胸部、胴部を包み込めるサイズを有しており、顔面と頭部を包む第1のシート部位と、胴部を包む第2のシート部位を含んで構成され、
前記身体固定ベルト手段が、胸部を固定する胸部固定用の第1の横ベルトと、胴部を固定する胴部固定用の第2の横ベルトと、下肢部を固定する第3の横ベルトを備え、前記各横ベルトの端部は前記第2のシート基体に固定され、
前記大腿部固定手段が、前記第1のシート基体に固着し、身体の各大腿部を包囲するサイズを有し各大腿部を包囲して巻着し固定する一対の帯布部を含んで構成され、該帯布部は大腿部を包み込んだ状態で巻着して大腿部を固定する巻着手段を備えていることを特徴とする救助具。
【請求項4】
前記握りポールが、複数本のパイプを連結して形成され、連結の解除が可能に形成されていることを特徴とする請求項に記載の救助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下空間に繋がるマンホール(人孔)から地下空間にいる被救助者(負傷者)を救出するのに好適な救助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マンホール等の深い穴などの中で作業を行う作業者が着衣し、作業者の安全及び救出を図る安全ベストが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5102472号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される安全ベストは、布地によりベスト状に形成されたベスト本体と、ベスト本体の胴回りに水平に固定される横ベルトと、前部より肩部を介して背部に回り込んで横ベルトに固定される左右の縦ベルトと、縦ベルトの両方の肩部分から延設される支持ベルトを備え、ベスト本体の内側で、かつ袖口に隣接して、柔軟で強度のある広がり面を保持する緩衝帯を胴周方向に設けて形成されている
【0005】
特許文献1における安全ベストによれば、マンホール内での安全な作業を実施でき、落下事故が起きた場合には衝撃が少なく、またマンホール内で作業者が意識を失い、あるいは重傷を負って動けなくなった場合に、マンホール内より救出が可能であるとしている。しかしながら、この安全ベルトにあっては、少なくとも、次の(1)(2)の問題点があった。
(1)例えば、下水道管渠内などの地下の閉鎖空間で作業を行う際に、大水の発生あるいは有害性ガスの発生などの不意の事故によってマンホール内で作業者が意識を失うか、あるいは重症を負って自力で移動できなくなる場合、作業者(被救助者)自身は身体を制することができない状態にあるため、被救助者の身体、例えば頸部は通例前屈し、また、マンホールの口径は70cm程度と狭いため、被救助者が安全ベストを着用していても、狭くかつ深いマンホールより被救助者を迅速に引き上げるのには相当の困難性がともなう。
(2)不意の事故によって地下空間において負傷した作業者を引き上げる場合、安全ベストにより作業者の胴体部が保護状態にあっても、胴体部以外の身体の他の身体部位を保護した状態で被救助者を引き上げることはできない。
【0006】
地下空間に繋がるマンホールから被救助者(負傷者)を救出する救助具を提供するに当たっては、被救助者の引上げ方法が悪いと、被救助の容態を悪化させ悪影響を及ぼすことになるので、少なくとも、次の条件を満たすことが求められる。
(1)被救助者の引き上げ姿勢を略垂直な状態に置いて、狭くかつ深いマンホールより被救助を迅速に引き上げ救出できること。
(2)被救助者をマンホールより救出する際に、被救助者の全身を包み被救助者の健康状態が安定した状態で引き上げることができ、被救助者に苦痛を与えることなく安全に救出できること。
(3)被救助者を救助する救助者が地下の閉鎖空間において救助具を持ち運びできる程度に軽量であり、また、未使用状態での大きさが携帯バッグ(ショルダーバッグ)に収容できる程度にコンパクトであること。
(4)地下の閉鎖空間の深い位置(例えば、横坑内の奥)において被救助者が負傷している場合、地下の閉鎖空間の深い位置からマンホール近傍まで救助者が被救助者を担架搬送できる手段を具備していること。
【0007】
したがって、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、被救助者の引き上げ姿勢を略垂直な状態に置いて、狭くかつ深いマンホールより迅速に被救助者を引き上げ救出できる救助具を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、被救助者をマンホールより救出する際に、被救助者の全身を包み被救助者の健康状態が安定した状態で引き上げることができ、被救助者に苦痛を与えることなく安全に救出できる救助具を提供することにある。
【0009】
本発明のもう一つ他の目的は、被救助者を救助する救助者が地下の閉鎖空間において救助具を持ち運びできる程度に軽量であり、また、未使用状態での大きさが携帯バッグ(ショルダーバッグ)に収容できる程度にコンパクトな救助具を提供することにある。
【0010】
本発明のさらにもう一つ他の目的は、地下の閉鎖空間の深い位置において被救助者が負傷している場合、地下の閉鎖空間の深い位置からマンホール近傍まで救助者が被救助者を担架搬送できる手段を具備する救助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に係る発明は、布地により形成され身体を包み込めるサイズを有する身体包囲シート手段と、
該身体包囲シート手段により包囲した身体を固定する身体固定ベルト手段と、
前記身体包囲シート手段に固着され、大腿部を固定する一対の大腿部固定手段と、
前記身体包囲シート手段に両端部が固定された複数本のベルトを有し、前記身体包囲シート手段により包まれた身体の釣支を可能とする釣支ベルト手段を含んで構成されている救助具である。
【0012】
前記身体包囲シート手段は、身体を包み込めるサイズを有する矩形の第1のシート基体と、該第1のシートに固着された第2のシート基体を含んで構成され、該第2のシート基体は、少なくとも、身体の顔面、頭部、胸部、胴部を包み込めるサイズを有している。
【0013】
前記第1のシート基体は、一端部に足部の収容を可能とする袋状のポケット部を備えている。
【0014】
前記第1のシート基体の長手方向の両側には、担架を形成する握りポールの挿通を可能とする挿通部が形成されている。
【0015】
前記第2のシート基体は、顔面と頭部を包む第1のシート部位と、胴部を包む第2のシート部位を含んで構成されている。
【0016】
前記身体固定ベルト手段は、胸部を固定する胸部固定用の第1の横ベルトと、胴部を固定する胴部固定用の第2の横ベルトと、下肢部を固定する第3の横ベルトを備え、前記各横ベルトの端部は前記第2のシート基体に固定されている。
【0017】
前記大腿部固定手段は、前記第1のシート基体に固着されている。
【0018】
また、前記大腿部固定手段は、身体の各大腿部を包囲するサイズを有し各大腿部を包囲して巻着し固定する一対の帯布部を含んで構成され、該帯布部は大腿部を包み込んだ状態で巻着して大腿部を固定する巻着手段を備えている。
【0019】
前記釣支ベルト手段は、前記のとおり前記身体包囲シート手段に両端部が固定された複数本のベルトにより構成され、該ベルトを結束して身体の釣支を可能とする。
【0020】
したがって、本願に係る発明は、
布地により形成され身体を包み込めるサイズを有する身体包囲シート手段と、
該身体包囲シート手段により包囲した身体を固定する身体固定ベルト手段と、
前記身体包囲シート手段に固着され、大腿部を固定する一対の大腿部固定手段と、
前記身体包囲シート手段に両端部が固定された複数本のベルトを有し、前記身体包囲シート手段により包まれた身体の釣支を可能とする釣支ベルト手段を備えて形成され、
前記身体包囲シート手段が、身体を包み込めるサイズを有する矩形の第1のシート基体と、該第1のシートに固着された第2のシート基体を含んで構成され、
前記第1のシート基体が、一端部に足部の収容を可能とする袋状のポケット部を備え、
前記第1のシート基体の長手方向の両側に、担架を形成する握りポールの挿通を可能とする挿通部が形成され、
前記第2のシート基体が、少なくとも、身体の顔面、頭部、胸部、胴部を包み込めるサイズを有しており、顔面と頭部を包む第1のシート部位と、胴部を包む第2のシート部位を含んで構成され、
前記身体固定ベルト手段が、胸部を固定する胸部固定用の第1の横ベルトと、胴部を固定する胴部固定用の第2の横ベルトと、下肢部を固定する第3の横ベルトを備え、前記各横ベルトの端部は前記第2のシート基体に固定され、
前記大腿部固定手段が、前記第1のシート基体に固着し、身体の各大腿部を包囲するサイズを有し各大腿部を包囲して巻着し固定する一対の帯布部を含んで構成され、該帯布部は大腿部を包み込んだ状態で巻着して大腿部を固定する巻着手段を備えていることを特徴とする救助具とすることが好適である。
【0021】
さらに、前記挿通部に挿通され、前記挿通部より露出する両端が担架のハンドグリップ部を形成する前記握りポールを備えるようにするとよい。
【0022】
前記握りポールは、複数本のパイプを連結して形成でき、連結の解除が可能に形成するとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以上のごとく構成され、次に記載される効果を奏する。
(1)被救助者の引き上げ姿勢を略垂直な状態に置いて、狭くかつ深いマンホールより迅速に被救助を引き上げ救出できる救助具が得られる。
(2)被救助者をマンホールより救出する際に、被救助者の全身を包み被救助者の健康状態が安定した状態で引き上げることができ、被救助者に苦痛を与えることなく安全に救出できる救助具が得られる。
(3)被救助者を救助する救助者が地下の閉鎖空間において持ち運びできる程度に軽量であり、また、未使用状態での大きさが携帯バッグ(ショルダーバッグ)に収容できる程度にコンパクトである救助具が得られる。
(4)地下の閉鎖空間の深い位置において被救助者が負傷している場合、地下の閉鎖空間の深い位置からマンホール近傍まで救助者が被救助者を担架搬送できる手段を具備している救助具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る救助具の構成を示し、救助具を展開して示す斜視略図である。
図2図1に示す救助具の主要な構成を示し、救助具を展開して示す斜視略図である。
図3図1に示す救助具を構成する身体包囲シート手段、身体固定ベルト手段および大腿部固定手段の要部を示す斜視略図である。
図4図1に示す救助具を構成する身体包囲シート手段、身体固定ベルト手段および大腿部固定手段の構成メンバを分離して示す斜視略図である。
図5図1に示す救助具に被救助者を仰向けに寝かせ、足部を第1のシート基体に形成されたポケット部に収容し、被救助者の大腿部の一方に大腿部固定手段を巻装している状態を示す斜視図である。
図6図1示す救助具の使用状態を示し、被救助者を仰向けに寝かせた状態を示す斜視図である。
図7図6に示す状態から被救助者を身体包囲シート手段と身体固定ベルト手段と大腿部固定手段を用いて胸部、胴部、大腿部を固定した状態を示す斜視図である。
図8図7の状態から2本の釣支ベルトを結束させた状態を示す斜視図である。
図9図8の状態から身体包囲シート手段により頭部、顔面を包んだ状態を示す斜視図である。
図10図9の状態から頭部、顔面を補助ベルトを用いて包み込む状態を示す斜視図である。
図11図10の状態から被救助者を身体包囲シート手段により包み込み固縛ひもで固縛した状態を示す斜視図である。
図12図11の状態から被救助者を垂直に釣り上げている状態を示す斜視図である。
図13図1に示す救助具が担架として転用できることを示す斜視図である。
図14図1に示す救助具を用いて坑内において実際に被救助者を救助している状態を示す略図である。
図15図1に示す救助具を折り畳み、握りポールの連結を解除し3本のパイプに分離して、全ての部材を携帯バッグ(ショルダーバッグ)に収容し持ち運ぶ様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る救助具は、布地により形成され身体を包み込めるサイズを有する身体包囲シート手段と、該身体包囲シート手段により包囲した身体を固定する身体固定ベルト手段と、前記身体包囲シート手段に固着され、大腿部を包囲して固定する一対の大腿部固定手段と、前記身体包囲シート手段に両端部が固定され、前記身体包囲シート手段により包まれた身体の釣支を可能とする釣支ベルト手段を含んで構成されている。
【0026】
前記身体固定ベルト手段は、胸部を固定する胸部固定用の第1の横ベルトと、胴部を固定する胴部固定用の第2の横ベルトと、下肢部を固定する第3の横ベルトを備え、前記各横ベルトの端部は前記第2のシート基体に固定して形成することができる。
【0027】
前記第1の横ベルトは、嵌脱自在なバックルを備え、該バックルを嵌装して第1の横ベルトを形成することができる。
【0028】
前記第2の横ベルトと前記第3の横ベルトは、係着面と係着受面を備え、前記係着面と前記係着受面は面ファスナーにより着脱自在に形成され、前記係着面と前記係着面を係着させて前記第2の横ベルトおよび前記第3の横ベルトを形成することができる。
【0029】
前記大腿部固定手段は、身体の各大腿部を包囲するサイズを有し各大腿部を巻着する一対の帯布部を含んで構成され、該帯布部は大腿部を包み込んだ状態で巻着(係着)して大腿部を固定する巻着(係着)手段を備えている。
【0030】
前記巻着手段は、係着面と係着受面を備え、前記係着面と前記係着受面は面ファスナーにより着脱自在に形成され、前記係着面と前記係着面を係着させて前記大腿部固定手段を形成する。
【実施例
【0031】
以下、本発明の実施例を、添付図面とともに説明する。
【0032】
図1図4において、救助具1は、布地により形成され身体を包み込めるサイズを有する身体包囲シート手段2と、該身体包囲シート手段により包囲した身体を固定する身体固定ベルト手段3と、前記身体包囲シート手段に固着され、大腿部を包囲して固定する一対の大腿部固定手段6と、前記身体包囲シート手段に両端部が固定され、前記身体包囲シート手段により包まれた身体の釣支を可能とする釣支ベルト手段8を含んで構成されている。
【0033】
前記身体包囲シート手段2は、身体を包み込めるサイズを有する矩形の第1のシート基体20と、該第1のシートに固着された第2のシート基体30を含んで構成されている。
【0034】
前記第1のシート基体20は、一端部に足部の収容を可能とする袋状のポケット部22を備え、前記第1のシート基体20の長手方向の両側に、担架を形成する握りポール9の挿通を可能とする挿通部24が形成されている。
【0035】
符号26,27は、前記第1のシート基体20に端部が固定されたショルダーベルトであり、担架として用いる場合に使用する。該ショルダーベト26,27は、嵌脱自在なバックル26A,26B、27A,27Bを備え、該バックル26Aと26B、27Aと27Bを嵌装してショルダーベルト26,27を形成し、救助時に救助者の肩、首に掛けわたして使用する。符号28(28A,28B,28C,28D),29(29A,29B,29C,29D)は固縛ひもである。
【0036】
前記第2のシート基体30は、伸張性・保温性・クッション性のあるシート部材により形成され、少なくとも、身体の顔面、頭部、胸部、胴部を包み込めるサイズを有しており、顔面と頭部を包む第1のシート部位31と、胴部を包む第2のシート部位32を含んで構成されている。
【0037】
前記身体固定ベルト手段3(3A,3B)は、胸部を固定する胸部固定用の第1の横ベルト35と、胴部を固定する胴部固定用の第2の横ベルト36、37、38、と、下肢部を固定する第3の横ベルト39を備え、前記各横ベルトの端部は前記第2のシート基体に固定されている。
【0038】
前記第1の横ベルト35は、嵌脱自在なバックル35A,35Bを備え、該バックル35A,35Bを嵌装して第1の横ベルトを形成する。
【0039】
前記第2の横ベルト36,37,38と前記第3の横ベルト39は、係着面(36A,37A,38A,39A)と係着受面(36B,37B,38B,39B)を備え、前記係着面と前記係着受面は面ファスナーにより着脱自在に形成され、前記係着面と前記係着面を係着させて前記第2の横ベルト36、37、38および前記第3の横ベルト39を形成する。
【0040】
前記大腿部固定手段6(6A,6B)は、前記第1のシート基体20に固着し、身体の各大腿部を包囲するサイズを有し各大腿部を巻着する一対の帯布部61.62を含んで構成され、該帯布部は伸張性・保温性・クッション性のあるシート部材により形成され、大腿部を包み込んだ状態で巻着して大腿部を固定する巻着手段64,66を備えている。
【0041】
前記巻着手段64、66は、係着面(64A,66A)と係着受面(64B,66B)を備え、前記係着面と前記係着受面は面ファスナーにより着脱自在に形成され、前記係着面と前記係着面を係着させて前記大腿部固定手段6(6A,6B)を形成する。
【0042】
前記釣支ベルト手段8は、前記身体包囲シート手段2に両端部が固定された複数本のベルトにより構成され、該ベルトを結束して身体の釣支を可能とする。
【0043】
さらに、前記挿通部24に挿通され、前記挿通部より露出する両端が担架のハンドグリップ部91を形成する前記握りポール9を備えている。
【0044】
前記握りポール9は、図1図2に示すように同長の3本の中空パイプ93,94,95を連結して形成される。左右の前記パイプ93.95の一端部には貫通孔が形成されている。また、中央の前記パイプ94は、前記パイプ93,95よりやや小径に形成され、前記パイプ94の両端の内部には、コイルばね96と該コイルばね96により付勢されたパイプ連結用の連結子97が配設されている。該連結子の先端は前記パイプ94の貫通孔より突出するように組み込まれている。前記連結子97を前記コイルばね96に抗しながら前記パイプ94の内方に押し込み、その状態で前記パイプ94の端部を左右の前記パイプ93,95に嵌挿し、前記パイプ93,95の貫通孔より前記連結子97の先端が露出するように前記連結子97を係入して3本の前記パイプ93,94,95を連結し前記握りポール9を形成する。また、連結を解除する場合には、前記連結子97を前記コイルばね96に抗しながら前記パイプ94側に押し込み、前記連結子97の先端と前記パイプ93,95の貫通孔との係入を解き、その状態で前記握りポール93、4を引き抜けば前記握りポールの連結の解除が可能である。
【0045】
符号41,42は補助ベルトである。この補助ベルト41,42を用いて頭部、顔面を前記身体包囲シート手段2により包み込む。前記補助ベルトは、係着面(41A,42A)と係着受面(41B,42B)を備え、前記係着面と前記係着受面は面ファスナーにより着脱自在に形成され、前記係着面と前記係着面を係着させて前記補助ベルトを形成する。
【0046】
(被救助者を引き上げる救助具として使用する場合)
被救助者を引き上げる救助具として使用する場合について、図5乃至図12図14を用いて説明する。
(1)救助具1の前記身体包囲シート手段2に被救助者を仰向けに寝かせ、被救助者の足部を前記第1のシート基体20に形成された前記ポケット部22に収容し、大腿部固定手段6により被救助者の大腿部を巻着し固定する(図5図6参照)。
(2)前記第2のシート部位32を用いて被救助者を包み(巻装し)、前記身体固定ベルト手段3によって胸部、胴部、大腿部を固定し、2本の前記釣支ベルト8A,8Bを結束させる(図7図8参照)。
(3)前記身体包囲シート手段2の第1のシート部位31により頭部、顔面を包む(図9参照)。
(4)頭部、顔面を前記補助ベルト41,42を用いて前記身体包囲シート手段2により包み込む(図10
(5)固縛ひも28,29を用いて前記身体包囲シート手段2を固縛する(図11参照)。
(6)前記釣支手段8にフックを掛け止めし、フックの上部にロープをかけて釣上げ手段により被救助者を垂直に釣り上げ被救助者の引き上げ姿勢を略垂直な状態に置いてマンホール200から被救助者を引き上げる(図12図14参照)。
【0047】
(被救助者を搬送する担架として救助具を使用する場合)
被救助者を搬送する担架として救助具1を使用する場合について、図13図14を用いて説明する。
(1)3本のパイプを連結して前記握りポール9を形成し、前記挿通部24A、24Bに前記握りポールを挿通し、前記握りポールの両端を前記挿通部より露出させ担架のハンドグリップ部91を確保する。
(2)救助具1の前記身体包囲シート手段2に被救助者を仰向けに寝かせる。
(3)ショルダーベルト26,27は、バックル(26A,26B、27A,27B)を備え、該バックル26Aと26B、27Aと27B)を嵌装して形成されたショルダーベルト26,27を救助者の肩、首に掛けわたす。
(4)救助者2名が前記握りポール9のハンドグリップ91を持って救助具を前後から持ち上げ、被救助者を好適な位置まで搬送する。
【0048】
(携帯バッグに収容し持ち運ぶ場合)
救助具を折り畳み、さらに、握りポールの連結を解除し3本のパイプに分離して、全ての部材を携帯バッグ(ショルダーバッグ)に収容し持ち運ぶ(図15)。
【符号の説明】
【0049】
1 救助具
2 身体包囲シート手段
3 身体固定ベルト手段
6 大腿部固定手段
8 釣支手段
9 握りポール
20 第1のシート基体
22 ポケット部
24 挿通部
26 ショルダーベルト
27 ショルダーベルト
28 固縛ひも
29 固縛ひも
30 第2のシート基体
31 第1のシート部位
32 第2のシート部位
35 第1の横ベルト
35A バックル
35B バックル(係合受部)
36 第2の横ベルト
36A 係着面
36B 係着受面
37 第2の横ベルト
37A 係着面
37B 係着受面
38 第2の横ベルト
38A 係着面
38B 係着受面
39 第3の横ベルト
39A 係着面
39B 係着受面
41 補助ベルト
41A 係着面
41B 係着受面
42 補助ベルト
42A 係着面
42B 係着受面
61 帯布部
62 帯布部
64 巻着手段
64A 係着面
64B 係着受面
66 係着手段
66A 係着面
66B 係着受面
91 ハンドグリップ部
100 携帯バッグ
200 マンホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15