(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】スタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/20 20060101AFI20220202BHJP
B23K 11/00 20060101ALI20220202BHJP
B23K 11/14 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
B23K9/20 F
B23K11/00 530
B23K11/14 315
(21)【出願番号】P 2018088789
(22)【出願日】2018-05-02
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000228981
【氏名又は名称】日本スタッドウェルディング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】木全 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 豊
(72)【発明者】
【氏名】荒川 与志忠
(72)【発明者】
【氏名】白石 剛
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-152020(JP,A)
【文献】特開平07-171683(JP,A)
【文献】特開2017-113777(JP,A)
【文献】実開平06-019978(JP,U)
【文献】特開平11-000763(JP,A)
【文献】特開2015-044226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/20
B23K 11/00
B23K 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッド供給装置から、フィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ空気搬送で溶接ガンに供給するスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置であって、
フィードチューブの出口側に回転自在に配設される回転シリンダと、該回転シリンダを回転駆動する
、往復動アクチュエータと、該往復動アクチュエータによってリンクを介して操作される回転用ハンドと、該回転用ハンドによって間欠的に操作させる、回転シリンダの円盤状部に端部が突出状態で植え込まれた植込みピンとにより構成した駆動機構とを備え、
回転シリンダに複数のスタッド保留部を形成してなり、該スタッド保留部のそれぞれは、回転シリンダの回転に伴って順次、フィードチューブから送られるスタッドを第1の位置で受け入れて保留するとともに、駆動機構により回転シリンダが所定角度回転されるに伴い第2の位置に移動したときに、保留していたスタッドを溶接ガンに送り出すようにし、かつ、前記一つのスタッド保留部が第2の位置に移動したときに、他のスタッド保留部のいずれかがフィードチューブから送られるスタッドを第1の位置で受け入れて保留するものである
ことを特徴とするスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置。
【請求項2】
前記回転シリンダにおける回転中心から回転半径方向に離れた部位に凹部又は凸部を形成し、スタッド保留部が第1の位置又は第2の位置に移動したときに該凹部又は凸部に係合して回転シリンダの回転を止める係止部材を設けてなることを特徴とする請求項1に記載のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車製造工場等で使用されるスタッド溶接機においては、「フィーダー」と呼ばれるスタッド供給装置から、フィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ自動的に空気搬送で溶接ガンに供給し、溶接を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、スタッド供給装置は、大型の機械設備であり、溶接ガンの近傍に設置することが困難なため、溶接ガンの機動性等も考慮して、
図19に示すように、スタッド供給装置(フィーダー)101と溶接ガン103との間を10m程度の長さのフィードチューブ102を介して接続することが一般的であった。
【0004】
このため、スタッド供給装置101から、長尺のフィードチューブ102を介して、スタッドを1本ずつ自動的に空気搬送で溶接ガン103に供給するのに、通常、2秒程度の時間がかかり、生産性を向上するに当たってのボトルネックになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来のスタッド溶接機におけるスタッドの供給に関する問題点に鑑み、スタッド供給装置から、長尺のフィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ自動的に空気搬送で溶接ガンに供給する場合において、スタッドの供給に必要となる実質的な供給時間を短縮することができるようにしたスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置は、スタッド供給装置から、フィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ空気搬送で溶接ガンに供給するスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置であって、フィードチューブの出口側に回転自在に配設される回転シリンダと、該回転シリンダを回転駆動する駆動機構とを備え、回転シリンダに複数のスタッド保留部を形成してなり、該スタッド保留部のそれぞれは、回転シリンダの回転に伴って順次、フィードチューブから送られるスタッドを第1の位置で受け入れて保留するとともに、駆動機構により回転シリンダが所定角度回転されるに伴い第2の位置に移動したときに、保留していたスタッドを溶接ガンに送り出すようにし、かつ、前記一つのスタッド保留部が第2の位置に移動したときに、他のスタッド保留部のいずれかがフィードチューブから送られるスタッドを第1の位置で受け入れて保留するものであることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記回転シリンダにおける回転中心から回転半径方向に離れた部位に凹部又は凸部を形成し、スタッド保留部が第1の位置又は第2の位置に移動したときに該凹部又は凸部に係合して回転シリンダの回転を止める係止部材を設けてなるものとすることができる。
【0009】
また、前記駆動機構を、往復動アクチュエータと、該往復動アクチュエータによってリンクを介して操作される回転用ハンドと、該回転用ハンドによって間欠的に操作させる、回転シリンダの円盤状部に端部が突出状態で植え込まれた植込みピンとにより構成してなるものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置によれば、複数のスタッド保留部のそれぞれが第1の位置から第2の位置に移動され、第1の位置で受け入れて保留していたスタッドが、第2の位置で順次に溶接ガンに送り出されるので、スタッドの供給に必要となる実質的な供給時間を、複数のスタッド保留部から保留していたスタッドを溶接ガンに送り出す時間になるようにして短縮することができ、生産性を向上するに当たってのボトルネックになっていたスタッド溶接機におけるスタッドの供給に関する問題点を解消することができる。
【0011】
また、前記回転シリンダにおける回転中心から回転半径方向に離れた部位に凹部又は凸部を形成し、スタッド保留部が第1の位置又は第2の位置に移動したときに該凹部又は凸部に係合して回転シリンダの回転を止める係止部材を設けてなるものとすることにより、スタッド保留部を第1の位置又は第2の位置にそれぞれ確実に位置決めすることができ、スタッドの保留、排出装置によるスタッドの受け入れ、保留、送り出しを円滑に行うことができる。
【0012】
また、前記駆動機構を、往復動アクチュエータと、該往復動アクチュエータによってリンクを介して操作される回転用ハンドと、該回転用ハンドによって間欠的に操作させる、回転シリンダの円盤状部に端部が突出状態で植え込まれた植込みピンとにより構成してなるものとすることにより、駆動機構を簡易で、かつ、誤動作のない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスタッドの保留、排出装置を具備するスタッド溶接機の概略システム構成図である。
【
図2】同スタッドの保留、排出装置の全体斜視図である。
【
図3】同スタッドの保留、排出装置の要部のみを示し、(a)は一側から見た斜視図、(b)は他側から見た斜視図である。
【
図4】同スタッドの保留、排出装置で用いられる回転シリンダを示し、(a)は全体斜視図、(b)は正面図でスタッドを受取・送給可能な状態図、(c)は待機状態図である。
【
図5】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す斜視図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつシリンダロック状態にある図である。
【
図6】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す斜視図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつシリンダロックが解除状態で駆動機構が作動準備に入る状態図である。
【
図7】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す斜視図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつシリンダロックが解除状態で駆動機構が作動準備完了の状態図である。
【
図8】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す斜視図で、回転シリンダが駆動機構により待機位置から90°回転される途中の状態図である。
【
図9】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す斜視図で、回転シリンダが駆動機構により待機位置から90°回転され、かつシリンダロック状態にある図である。
【
図10】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが待機位置にあり、駆動機構が作動準備完了の状態図である。
【
図11】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつシリンダロックが解除状態で駆動機構により待機位置から回転される直前の状態図である。
【
図12】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが駆動機構により待機位置から90°回転され、かつシリンダロック状態にある図である。
【
図13】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を横断面で示す作動説明図である。
【
図14】同スタッドの保留、排出装置を一側から見た作動説明図である。
【
図15】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつ変形例に係るシリンダロック機構がシリンダロック状態にある図である。
【
図16】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが待機位置にあり、かつ変形例に係るシリンダロック機構がシリンダロック解除状態にある図である。
【
図17】同スタッドの保留、排出装置の内部構造を示す縦断面図で、回転シリンダが駆動機構により待機位置から90°回転され、かつ変形例に係るシリンダロック機構がシリンダロック状態にある図である。
【
図18】同スタッドの保留、排出装置の変形例を説明する模式図である。
【
図19】従来のスタッド溶接機の概略システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1~
図17に、本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置の一実施例を示す。
【0016】
<スタッド溶接機の概略説明>
図1に示されるように、本実施形態のスタッド溶接機1は、スタッド供給装置(直進フィーダー)2から、例えば、10m程度の長さの長尺のフィードチューブ3を介して、図示されないスタッドボルト(以下、単に「スタッド」と称する。)を1本ずつ自動的に空気搬送で溶接ガン4に供給するために、フィードチューブ3の出口側に、スタッドの保留、排出装置5を設けるようにし、このスタッドの保留、排出装置5から送り出されたスタッドを、搬送路6を介して溶接ガン4に供給するようにしたものである。
【0017】
<スタッドの保留、排出装置の構造説明>
次に、スタッドの保留、排出装置5の詳細構造について以下に説明する。
【0018】
図2に示されるように、スタッドの保留、排出装置5は、主として、溶接ガン4に隣接配置されるボディー11と、ボディー11の内部に組み込まれる回転シリンダ12と、回転シリンダ12を駆動するための駆動機構13とを備えている。
【0019】
<ボディーの説明>
ボディー11は、フィードチューブ3から送られるスタッドの送り方向に所定間隔をあけて配される一側端板部15及び他側端板部16と、一側端板部15及び他側端板部16のそれぞれの端部同士を連結するようにスタッドの送り方向と直交する方向に所定間隔をあけて配される第1連結板部17及び第2連結板部18とを有し、溶接ガン4が配置される側とその反対側の両方に開口された略箱形状に形成されている。
【0020】
図3(a)に示されるように、一側端板部15には、スタッドを受け入れるためのスタッド受入部21が形成されるとともに、ボディー11の内部に向けて圧縮空気を噴出するための圧縮空気噴出部22が形成されている。
また、一側端板部15におけるスタッド受入部21と圧縮空気噴出部22との間の部分には、軸受部23が形成されている。
【0021】
一側端板部15においては、スタッド受入部21の中心と圧縮空気噴出部22の中心とが軸受部23の中心を挟んで対称な位置関係となるように、スタッド受入部21、圧縮空気噴出部22及び軸受部23が配置されている。
【0022】
図3(b)に示されるように、他側端板部16には、スタッドを送り出すためのスタッド送出部24が一側端板部15に設けられた圧縮空気噴出部22と対向するように形成されるとともに、一側端板部15に形成された軸受部23に対向するように軸受部25が形成されている。
【0023】
図2に示されるように、一側端板部15とフィードチューブ3の出口側端部とは、スタッド受入部21(
図3(a)参照)とフィードチューブ3の出口とが対向するように、フィードチューブアダプタ26を介して接続されている。
また、他側端板部16におけるスタッド送出部24(
図3(b)参照)が形成されている部分は、フィードジョイント27及びダクト28を介して溶接ガン4に接続されており、フィードジョイント27及びダクト28によってスタッドの搬送路6が構成されている。
【0024】
<回転シリンダの説明>
図4(a)に示されるように、回転シリンダ12は、主として、スタッドの送り方向に沿って延びる回転軸線を有する回転シリンダ本体29と、回転シリンダ本体29の回転軸線と同心をなすように回転シリンダ本体29の回転中心部分に貫通状態で嵌合・固定される回転支軸30とにより構成されている。
回転シリンダ12においては、回転支軸30の一端部が一側端板部15の軸受部23(
図3(a)参照)によって支持されるとともに、回転支軸30の他端部が他側端板部16の軸受部25(
図3(b)参照)によって支持されており、ボディー11に対し回転シリンダ12が回転自在とされている。
【0025】
<スタッド保留部の説明>
回転シリンダ本体29には、その回転中心部分に嵌合・固定される回転支軸30に平行な中心軸線を有する断面円形状の複数(本例の場合2つ)のスタッド保留部31,32がそれぞれ当該回転シリンダ本体29を貫通するように形成されている。
【0026】
回転シリンダ本体29に形成された2つのスタッド保留部31,32は、いずれも、各々のスタッド保留部31,32の中心が、回転支軸30を中心とする所定ピッチ円直径の仮想円上にあり、かつ回転シリンダ本体29の円周方向に等角度間隔(本例の場合、180°間隔)で配置されている。
そして、
図4(b)に示されるように、2つのスタッド保留部31,32のうち一方のスタッド保留部31がスタッド受入部21と向い合うと同時に他方のスタッド保留部32が圧縮空気噴出部22(スタッド送出部24)と向い合い、また、他方のスタッド保留部32がスタッド受入部21と向い合うと同時に一方のスタッド保留部31が圧縮空気噴出部22(スタッド送出部24)と向い合うことができるように、所定ピッチ円直径の大きさが定められている。
【0027】
図4(b)に示されるように、スタッド保留部31又はスタッド保留部32がスタッド受入部21と向い合う第1の位置を、「スタッド受取位置」と称するとともに、スタッド保留部32又はスタッド保留部31が圧縮空気噴出部22(スタッド送出部24)と向い合う第2の位置を、「スタッド送給位置」と称する。
また、
図4(b)に示される状態から、
図4(b)中矢印方向に回転シリンダ12が90°回転するに伴い移動した状態、すなわち
図4(c)に示されるような状態の位置を、「待機位置」と称する。
【0028】
図4(a)に示されるように、回転シリンダ本体29における一側端部及び他側端部には、回転シリンダ本体29の中間部よりも部分的に径方向外側に張り出すような一側円盤状部33及び他側円盤状部34がそれぞれ形成されている。
一側円盤状部33の外周部には、円弧状に切り欠かれた一対の切欠き部35が回転シリンダ本体29の回転中心を基準に対称配置されている。
【0029】
図5に示されるように、ボディー11における一側端板部(
図5~
図9において図示省略)には、一側円盤状部33の外周部と近接状態で対向するように一対の近接スイッチ36,37が取り付けられている。
【0030】
一対の切欠き部35の配置及び一対の近接スイッチ36,37の取付位置は、以下の(1)~(3)の3つの条件を満足するように定められる。
(1)
図5に示されるように、スタッド保留部31,32が待機位置に位置しているときには、一対の近接スイッチ36,37のうちの一方の近接スイッチ36が、一側円盤状部33の外周部における切欠き部35が形成されている部分以外の部分に近接してONとなり、他方の近接スイッチ37が切欠き部35と対向してOFFとなる。
(2)
図8に示されるように、スタッド保留部31が待機位置とスタッド受取位置との間に位置している一方で、スタッド保留部32が待機位置とスタッド送給位置との間に位置しているときには、一対の近接スイッチ36,37の両方が一側円盤状部33の外周部における切欠き部35が形成されている部分以外の部分に近接して、一対の近接スイッチ36,37の両方がONとなる。なお、スタッド保留部32が待機位置とスタッド受取位置との間に位置している一方で、スタッド保留部31が待機位置とスタッド送給位置との間に位置しているときにも同様に、一対の近接スイッチ36,37の両方がONとなる。
(3)
図9に示されるように、スタッド保留部31がスタッド受取位置に位置していると同時にスタッド保留部32がスタッド送給位置に位置しているときには、一方の近接スイッチ36が切欠き部35と対向してOFFとなり、他方の近接スイッチ37が、一側円盤状部33の外周部における切欠き部35が形成されている部分以外の部分に近接してONとなる。なお、スタッド保留部32がスタッド受取位置に位置していると同時にスタッド保留部31がスタッド送給位置に位置しているときにも同様に、一方の近接スイッチ36がOFFとなり、他方の近接スイッチ37がONとなる。
【0031】
こうして、一方の近接スイッチ36がONで他方の近接スイッチ37がOFFのときには、スタッド保留部31,32が
図5に示されるような待機位置に位置していることを検知することができる。
また、両方の近接スイッチ36,37がONのときには、
図8に示されるように、スタッド保留部31が待機位置とスタッド受取位置との間に位置している一方で、スタッド保留部32が待機位置とスタッド送給位置との間に位置していることを検知することができる。もしくは、スタッド保留部32が待機位置とスタッド受取位置との間に位置している一方で、スタッド保留部31が待機位置とスタッド送給位置との間に位置していることを検知することができる
また、一方の近接スイッチ36がOFFで他方の近接スイッチ37がONのときには、
図9に示されるように、スタッド保留部31がスタッド受取位置に位置していると同時にスタッド保留部32がスタッド送給位置に位置していることを検知することができる。もしくは、スタッド保留部32がスタッド受取位置に位置していると同時にスタッド保留部31がスタッド送給位置に位置していることを検知することができる。
【0032】
<駆動機構の説明>
図10に示されるように、駆動機構13は、主として、ボディー11の一側端板部15寄りの下方に配設される、往復動アクチュエータとしてのエアシリンダ41と、エアシリンダ41の先端側に連結されてボディー11の第2連結板部18に設けられた所要の収容スペースに組み込まれるリンク42と、ボディー11の一側端板部15と回転シリンダ本体29との間に配設される回転用ハンド43と、回転シリンダ本体29の一側円盤状部33に端部が突出状態で植え込まれる複数(本例では4つ)の植込みピン44とにより構成されている。
なお、エアシリンダ41は、シリンダ取付ベース45上にピン46を介して揺動自在に取り付けられるシリンダ設置台47に設置されており、ボディー11から離れる方向にピン46を支点として傾動自在とされている。
【0033】
図5及び
図10に示されるように、エアシリンダ41のロッド先端部には、所定間隔をあけて対向する2つの山部を有する先端金具48が取り付けられている。
リンク42の一端部は、先端金具の2つの山部の間に差し込まれた状態でそれら山部に連結ピン49を介して連結されている。
リンク42の他端部は、連結ピン50を介してボディー11の第2連結板部18に連結されている。
【0034】
回転用ハンド43は、リンク42の中間部から回転シリンダ12の回転支軸30の近傍に向けて延びるようなアーム形状に形成されている。
回転用ハンド43の基端部は、連結ピン51を介してリンク42の中間部に連結されている。
回転用ハンド43の先端部には、回転シリンダ本体29に向かって突出し植込みピン44に係合して引っ掛かるような形状の爪部43aが形成されている。
【0035】
ボディー11には、回転用ハンド43に当接するようにプランジャ52が組み込まれている。
プランジャ52は、図示による詳細説明は省略するが、本体に内蔵されたスプリングの弾性反発力を先端側に突出したピンを介して回転用ハンド43に伝えるようにしたものである。
回転用ハンド43は、プランジャ52によって回転シリンダ本体29に向けて付勢されており、回転用ハンド43の爪部43aが、回転シリンダ本体29の一側円盤状部33の盤面に押し付けられている。
【0036】
図4(a)に示されるように、4つの植込みピン44は、回転シリンダ本体29の回転中心から回転半径方向に所定距離だけ離れた位置で、回転シリンダ本体29の回転中心回りに90°間隔で配置されている。
【0037】
図5~
図9に示されるように、4つの植込みピン44においては、回転用ハンド43から各植込みピン44に向かって押上げ方向に、回転用ハンド43の爪部43aが各植込みピン44に係合するように、回転シリンダ本体29の回転中心との距離及び回転シリンダ本体29の回転中心回りの配置が定められている。
【0038】
駆動機構13においては、
図5に示されるように、スタッド保留部31,32が待機位置に位置し、回転用ハンド43から植込みピン44に向かって押上げ方向に、回転用ハンド43の爪部43aが植込みピン44に係合しているときに、
図6に示されるように、エアシリンダ41が収縮作動すると、先端金具48及びリンク42を介して回転用ハンド43が引き下げられ、回転用ハンド43の爪部43aが植込みピン44を乗り越えようとする。
このとき、回転用ハンド43は、プランジャ52を押す方向に傾動され、これによってプランジャ52が押し縮められ、回転用ハンド43を押し戻すような力がプランジャ52に蓄えられる。
図7に示されるように、回転用ハンド43の爪部43aが植込みピン44を乗り越えると、回転用ハンド43はプランジャ52によって押し戻される。
そして、エアシリンダ41が伸長作動すると、先端金具48及びリンク42を介して回転用ハンド43が押し上げられ、
図8~
図9に示されるように、回転用ハンド43から植込みピン44に向かって押上げ方向に回転用ハンド43の爪部43aが植込みピン44に係合し、押し上げられる回転用ハンド43の爪部43aによって植込みピン44が押し上げられ、これによって回転シリンダ12が
図8中矢印方向に90°回転される。
【0039】
ところで、
図10~
図12に示されるように、駆動機構13においては、エアシリンダ41が伸縮作動する際に、ボディー11の第2連結板部18側の連結ピン50を支点にリンク42が上下方向に回動し、このとき、エアシリンダ41の先端金具48側の連結ピン49は、ボディー11から離れる方向に膨らむ円弧状の軌跡を描くように移動するため、エアシリンダ41にはピストンロッドを曲げるような力が作用しようとする。
駆動機構13において、エアシリンダ41は、ボディー11から離れる方向にピン46を支点として傾動自在とされているので、上記のように、ピストンロッドを曲げるような力がエアシリンダ41に作用しても、これを受け流すようにエアシリンダ41が傾動してその力の影響をなくすことができ、エアシリンダ41のピストンロッドの変形や、ピストンロッド回りに配されるシール材等の偏摩耗等の不具合を未然に防ぐことができる。
【0040】
<シリンダロック機構の説明>
図5に示されるように、スタッドの保留、排出装置5は、さらに、回転シリンダ12の回転を止めるシリンダロック機構55を備えている。
シリンダロック機構55は、ボディー11の一側端板部(
図5~
図9において図示省略)と回転シリンダ本体29との間に配設され、かつリンク42を挟んで回転用ハンド43と隣り合うように配設されるストップハンド56と、前述した駆動機構13の構成部品として用いられる4つの植込みピン44とにより構成されている。
なお、ストップハンド56が、本発明における「係止部材」に、一側円盤状部33の盤面から突出された植込みピン44の端部が、本発明における「凸部」に相当する。
【0041】
ストップハンド56は、リンク42の中間部から回転シリンダ12の回転支軸30の近傍に向けて延びるようなアーム形状に形成されている。
ストップハンド56の基端部は、連結ピン51を介してリンク42の中間部に連結されている。
ストップハンド56の先端部には、植込みピン44に係合して引っ掛かるような形状の段部56aが形成されている。
【0042】
ボディー11には、前述したプランジャ52と同様のプランジャ(図示省略)がストップハンド56に当接するように配設され、該プランジャによってストップハンド56が回転シリンダ本体29に向けて付勢されている。
【0043】
シリンダロック機構55においては、
図5に示されるように、スタッド保留部31,32が待機位置に位置し、ストップハンド56から植込みピン44に向かって押上げ方向に、ストップハンド56の段部56aが植込みピン44に係合しているときに、
図6に示されるように、エアシリンダ41が収縮作動すると、先端金具48及びリンク42を介してストップハンド56が引き下げられ、ストップハンド56の段部56aと植込みピン44との係合が解除される。
駆動機構13の作動説明で述べたように、
図8~
図9に示されるように、回転用ハンド43から植込みピン44に向かって押上げ方向に爪部43aが植込みピン44に係合した状態でエアシリンダ41が伸長作動すると、先端金具48及びリンク42を介して回転用ハンド43が押し上げられて回転シリンダ12が
図8中矢印方向に90°回転されるが、回転シリンダ12が90°回転されると、
図9に示されるように、回転用ハンド43と共に押し上げられたストップハンド56の段部56aが植込みピン44と係合して回転シリンダ12の回転を止めることができるようになっている。
【0044】
図13(a)~(d)に示されるように、フィードチューブアダプタ26には、フィードチューブ3から送られるスタッド60がフィードチューブアダプタ26を通過したことを検知するための近接スイッチ61が付設されている。
また、フィードジョイント27には、回転シリンダ12から送り出されるスタッド60がフィードジョイント27を通過したことを検知するための近接スイッチ62が付設されている。
また、一側端板部15における圧縮空気噴出部22が形成されている部分と図示されないコンプレッサ等の圧縮空気供給源とは、配管アダプタ63、配管継手64及びエアホース65を介して接続されている。
【0045】
<スタッドの保留、排出装置の動作説明>
次に、上記のように構成されるスタッドの保留、排出装置5の動作について、主に
図13及び
図14を用いて以下に説明する。
なお、以下の動作は、一方のスタッド保留部31がスタッド受取位置に、他方のスタッド保留部32がスタッド送給位置に、それぞれ位置している状態から始まる。
【0046】
図13(a)に示されるように、スタッド供給装置2(
図1参照)から送給されたスタッド60は、フィードチューブ3、フィードチューブアダプタ26内を通り、スタッド受入部21を通過して、回転シリンダ12におけるスタッド保留部31に受け入れられて保留される。
図14(a)~(b)に示されるように、エアシリンダ41が収縮作動するに連動して、回転用ハンド43とストップハンド56とが下方へ移動する。
その後、
図14(b)~(c)に示されるように、エアシリンダ41が伸長作動すると、回転用ハンド43が植込みピン44を押し上げて回転シリンダ12を90°回転させる。
回転シリンダが90°回転すると、ストップハンド56が植込みピン44に当接して回転シリンダ12の回転を止める。
こうして、スタッド60を保留しているスタッド保留部31を、
図13(b)及び
図14(c)に示されるように、スタッド送給に備える待機位置に確実に位置決めすることができる。
【0047】
スタッド送給命令が入ると、
図14(c)~(d)に示されるように、エアシリンダ41が収縮作動するに連動して、回転用ハンド43とストップハンド56とが下方へ移動する。
その後、
図14(d)~(e)に示されるように、エアシリンダ41が伸長作動すると、回転用ハンド43が植込みピン44を押し上げて回転シリンダ12を90°回転させる。
回転シリンダが90°回転すると、ストップハンド56が植込みピン44に当接して回転シリンダ12の回転を止める。
こうして、スタッド60を保留しているスタッド保留部31を、
図13(c)及び
図14(e)に示されるように、スタッド60を送給できるスタッド送給位置へと移動させて確実に位置決めすることができるとともに、スタッド保留部32を、スタッド供給装置2から送り出される次のスタッド60を受け取ることができるスタッド受取位置へと移動させて確実に位置決めすることができる。
【0048】
そして、
図13(d)及び
図14(f)に示されるように、スタッド保留部31に保留されているスタッド60は、圧縮空気噴出部22に組み込まれた配管アダプタ63の圧縮空気噴出口から噴出される圧縮空気によって押し出されて、フィードジョイント27を介して溶接ガン4へと送り出される。
なお、スタッド保留部31からスタッド60が溶接ガン4へと送り出されたことは、近接スイッチ62のON信号により検知される。
上記のように溶接ガン4へとスタッド60を送り出すと同時に、スタッド保留部32には、スタッド供給装置2から送り出された次のスタッド60がフィードチューブ3及びフィードチューブアダプタ26を介して供給される。
なお、スタッド保留部32に次のスタッド60が供給されたことは、近接スイッチ61のON信号により検知される。
【0049】
以下、同様の動作を繰り返すようにする。
ここで、溶接ガン4によるスタッド溶接時間(通常、1.5秒程度)に応じて、スタッド保留部31に保留していたスタッド60を溶接ガン4に送り出すタイミングと、スタッド保留部32にスタッド60を受け入れ、保留するタイミングとを、調整することができる。
【0050】
<作用効果の説明>
本実施形態のスタッド溶接機1におけるスタッドの保留、排出装置5によれば、2つのスタッド保留部31,32のそれぞれがスタッド受取位置(第1の位置)からスタッド送給位置(第2の位置)に移動され、スタッド受取位置で受け入れて保留していたスタッド60が、スタッド送給位置で順次に溶接ガン4に送り出されるので、スタッド60の供給に必要となる実質的な供給時間を、スタッド保留部31,32から保留していたスタッド60を溶接ガン4に送り出す時間になるようにして短縮することができ、生産性を向上するに当たってのボトルネックになっていたスタッド溶接機1におけるスタッド60の供給に関する問題点を解消することができる。
【0051】
また、シリンダロック機構55により、スタッド保留部31,32をスタッド受取位置又はスタッド送給位置に確実に位置決めすることができ、スタッドの保留、排出装置5によるスタッド60の受け入れ、保留、送り出しを円滑に行うことができる。
【0052】
以上、本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0053】
例えば、上記の実施形態のシリンダロック機構55に代えて、
図15~
図17に示されるシリンダロック機構70を採用することができる。
この変形例に係るシリンダロック機構70は、
図15に示されるように、主として、一側円盤状部33の外周面に球冠状に窪ませて形成される複数(本例では4つ)の凹部71と、凹部71と係合可能にボディー11の第2連結板部18に組み込まれるボール72と、リンク42の他端側に配設される駒73と、リンク42の他端部に突出形成されるフック部74とにより構成されている。
なお、凹部71が本発明における「凹部」に、ボール72が本発明における「係止部材」に相当する。
【0054】
4つの凹部71は、回転シリンダ本体29の回転中心から回転半径方向に一側円盤状部33の略半径分の距離だけ離れた位置で、回転シリンダ本体29の回転中心回りに90°間隔で配置されている。
4つの凹部71においては、スタッド保留部31,32が待機位置に位置しているときから回転シリンダが90°回転する毎に、ボール72が4つの凹部71に順次に係合するように、回転シリンダ本体29の回転中心と各凹部71との距離及び回転シリンダ本体29の回転中心回りの配置が定められている。
【0055】
駒73は、ボール72を支えるボール受座部75と、フック部74と係合可能な爪状の係合子76と、回転シリンダ本体29の回転軸線に沿う方向に長い長孔77とを有し、回転シリンダ本体29の回転軸線に沿う方向に遊びを持たせた状態で連結ピン78を介して第2連結板部18に回動自在に支持されている。
また、駒73は、図示されないばね等の付勢手段によってボール受座部75を押し上げる方向に付勢されるとともに、係合子76をリンク42に押し付ける方向に付勢されている。
【0056】
この変形例に係るシリンダロック機構70においては、
図15に示されるように、スタッド保留部31,32が待機位置に位置し、ボール72が凹部71に係合しているときに、
図16に示されるように、エアシリンダ41が伸長作動すると、先端金具48、リンク42、フック部74及び係合子76を介して回転力が駒73に伝達され、これによって駒73が連結ピン78回りに
図16において反時計回りに回動されてボール受座部75が押し下げられる。
これにより、凹部71とボール72との係合が解除され、シリンダロックが解除される。
【0057】
さらに、エアシリンダ41が伸長作動すると、
図16~
図17に示されるように、回転用ハンド43によって回転シリンダ12が
図16中矢印方向に90°回転されるとともに、フック部74と係合子76との係合が外れて、図示されない付勢手段から駒73に作用する付勢力によってボール受座部75を押し上げられ、これによってボール72が押し上げられて凹部71に係合し、シリンダロック状態となる。
【0058】
なお、
図17に示されるような状態から、エアシリンダ41の収縮作動により、
図15に示されるような状態に戻る際に、フック部74が係合子76に当接して、リンク42の動きが駒73によって止められることになるが、駒73は回転シリンダ本体29の回転軸線に沿う方向に遊びを持たせた状態で連結ピン78によって支持されているので、係合子76がフック部74に押されて駒73がリンク42から離れるように移動し、フック部74が係合子76を越えると、図示されない付勢手段から駒73に作用する付勢力によって駒73がリンク42側に押されて、再びフック部74と係合子76とが係合することになる。
【0059】
この変形例に係るシリンダロック機構70によっても、上記のシリンダロック機構55と同様に、スタッド保留部31,32をスタッド受取位置又はスタッド送給位置に確実に位置決めすることができ、スタッドの保留、排出装置5によるスタッド60の受け入れ、保留、送り出しを円滑に行うことができる。
【0060】
また、上記の実施形態においては、回転シリンダ12に2つのスタッド保留部31,32を設ける態様例を示したが、これに限定されるものではなく、回転シリンダ12に3つ以上のスタッド保留部を設けることも可能であり、例えば、
図18(a)~(d)に示されるように、回転シリンダ12に4つのスタッド保留部81,82,83,84を設けるようにしても、上記の実施形態と基本的に同じ作用効果を得ることができる。
【0061】
図18(a)に示されるように、回転シリンダ12に形成された4つのスタッド保留部81,82,83,84は、いずれも、各々のスタッド保留部81,82,83,84の中心が、回転支軸30を中心とする所定ピッチ円直径の仮想円上にあり、かつ回転シリンダ本体29の円周方向に等角度間隔(本例の場合、90°間隔)で配置されている。
また、ボディー11に設けられるスタッド受入部21と圧縮空気噴出部22(スタッド送出部24)との関係については、スタッド受入部21に対し圧縮空気噴出部22が回転シリンダ12の回転方向に90°ずれた位置に配されている。
【0062】
図18(a)~(d)に示されるように、4つのスタッド保留部81,82,83,84のそれぞれは、上記の実施形態の説明で述べた駆動機構13と同様の図示されない駆動機構により、回転シリンダ12が90°ずつ回転されるに伴って、順次、フィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置で受け入れて保留するとともに、駆動機構13により回転シリンダ12が90°回転されるに伴いスタッド送給位置に移動したときに、保留していたスタッド60を溶接ガン4に送り出す。
【0063】
さらに、例えば、
図18(a)~(b)に示されるように、スタッド保留部81がスタッド受取位置からスタッド送給位置に移動したときに、他のスタッド保留部82,83,84のいずれか、この場合、スタッド保留部84が、フィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置で受け入れて保留する。
また、
図18(b)~(c)に示されるように、スタッド保留部84がスタッド受取位置からスタッド送給位置に移動したときに、他のスタッド保留部81,82,83のいずれか、この場合、スタッド保留部83が、フィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置で受け入れて保留する。
また、
図18(c)~(d)に示されるように、スタッド保留部83がスタッド受取位置からスタッド送給位置に移動したときに、他のスタッド保留部81,82,84のいずれか、この場合、スタッド保留部82が、フィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置で受け入れて保留する。
【0064】
要するに、回転シリンダ12に3つ以上のスタッド保留部(81~84)を形成する場合であっても、3つ以上のスタッド保留部(81~84)のそれぞれが、回転シリンダ12の回転に伴って順次、フィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置(第1の位置)で受け入れて保留するとともに、例えば上記の実施形態の駆動機構13と同様の駆動機構により回転シリンダ12が所定角度回転されるに伴いスタッド送給位置(第2の位置)に移動したときに、保留していたスタッド60を溶接ガン4に送り出すようにし、かつ、3つ以上のスタッド保留部(81~84)のうちの一つのスタッド保留部がスタッド送給位置に移動したときに、他のスタッド保留部のいずれかがフィードチューブ3から送られるスタッド60をスタッド受取位置で受け入れて保留するように構成すればよい。
【0065】
また、上記の実施形態においては、スタッド保留部31,32に受け入れたスタッド60の逆方向の移動を防止するトラップ手段90を、
図13(d)において一点鎖線で示される領域に備えるようにすることができる。
このトラップ手段90は、スタッド保留部31,32の内周壁に配設した板ばね部材からなり、板ばね部材をスタッド60の通路となる内周壁の壁面から若干突出して設けることにより、スタッド60が順方向に移動して通過する際には板ばね部材が押圧されてスタッド60の通過を許容するが、スタッド60が逆方向に移動しようとしても板ばね部材に引っ掛かってスタッド60の逆方向の移動を防止するようにしている。
これにより、スタッドの保留、排出装置5によるスタッド60の受け入れ、保留、送り出しを円滑に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のスタッド溶接機におけるスタッドの保留、排出装置は、スタッド供給装置から、長尺のフィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ自動的に空気搬送で溶接ガンに供給する場合において、スタッドの供給に必要となる実質的な供給時間を短縮することができるという特性を有していることから、スタッド供給装置から、フィードチューブを介して、スタッドを1本ずつ空気搬送で溶接ガンに供給するスタッド溶接機の用途に好適に用いることができ、産業上の利用可能性が大である。
【符号の説明】
【0067】
1 スタッド溶接機
2 スタッド供給装置
3 フィードチューブ
4 溶接ガン
5 スタッドの保留、排出装置
11 ボディー
12 回転シリンダ
13 駆動機構
29 回転シリンダ本体
31 スタッド保留部
32 スタッド保留部
41 エアシリンダ(往復動アクチュエータ)
42 リンク
43 回転用ハンド
44 植込みピン(凸部)
56 ストップハンド(係止部材)
60 スタッド
71 凹部
72 ボール(係止部材)