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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
H05K7/20 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021168449
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2021-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519441062
【氏名又は名称】山本 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100148725
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 昭男
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-80643(JP,A)
【文献】特開2011-18791(JP,A)
【文献】特開2006-41097(JP,A)
【文献】特開2006-239509(JP,A)
【文献】特開2016-98800(JP,A)
【文献】特開2010-73161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、前記回転体の軸周りに設けられた羽根部材とを有し、前記回転体を中心とした前記羽根部材の回転によって風を送るファンと、
前記ファンとヒートシンクの間において、前記ファンに近接した近接位置と、前記近接位置よりも前記ファンから遠隔した遠隔位置との間を移動可能に配置され、前記ファンと対向する位置に、前記風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタが設けられたフィルタユニットと、
前記フィルタユニットに駆動力を付与し、前記近接位置と前記遠隔位置の間を移動させる駆動部と、
前記羽根部材の外周側端部から延設され、前記羽根部材とともに回転して前記近接位置に位置した前記フィルタユニットに設けられた前記フィルタから前記塵埃を掻き落とす掻落し部材と、
前記掻落し部材によって掻き落とされた前記塵埃を排出する塵埃排出口と、
前記フィルタユニットの移動に応じ、前記フィルタユニットが前記近接位置に位置するとき、前記塵埃排出口に前記風を通す第1通風路に切り替え、前記フィルタユニットが前記遠隔位置に位置するとき、前記ヒートシンクに前記風を通す第2通風路に切り替える、切替部と、
を有する冷却装置。
【請求項2】
前記切替部は、
前記駆動力を変換した第1回転力が入力される第1回転軸と、前記第1回転軸に設けられて前記第1通風路を開閉する第1開閉板と、
前記駆動力を変換した第2回転力が入力される第2回転軸と、前記第2回転軸に設けられて前記第2通風路を開閉する第2開閉板とを有し、
前記フィルタユニットが前記近接位置に位置するとき、前記第1開閉板が前記第1通風路を開状態にし、前記第2開閉板が第2通風路を閉状態にし、
前記フィルタユニットが前記遠隔位置に位置するとき、前記第1開閉板が前記第1通風路を閉状態にし、前記第2開閉板が第2通風路を開状態にする、
請求項1に記載の冷却装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンからヒートシンクに風を送ってヒートシンクの放熱を促し、ヒートシンクに接続された電子部品を冷却する冷却装置がある。冷却装置に関しては、放熱性が低下しないように、ヒートシンクに付着又は堆積した塵埃を除去する技術が知られている。例えば、特開2010-80643号公報には、送風口とヒートシンクの間に、開口部材を設けた冷却装置が開示される。冷却装置は、埃除去モードにされると、開口部材に設けられた送風口よりも小さい面積の開口が送風口とヒートシンクの間に位置し、当該開口が送風路を一時的に狭めることによって送風口から流出される気流の流速を局部的に上昇させ、気流によってヒートシンクに付着又は堆積した塵埃を除去する。また、冷却装置は、冷却モードにされると、送風口とヒートシンクの間から当該開口を外すことによって気流が送風口全体からヒートシンクに吹き付けられ、ヒートシンクを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-80643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷却装置では、塵埃が強固にヒートシンクに付着又は堆積すると、局部的に流速を上昇させた風を当てるだけでは塵埃が吹き飛ばず、ヒートシンクの放熱性の低下を抑制できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、ヒートシンクに送られる風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタから強固に付着又は堆積した塵埃をより確実に除去することができ、ヒートシンクの放熱性の低下を抑制することができる、冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の冷却装置は、ファン、フィルタユニット、駆動部、掻落し部材、塵埃排出口、及び切替部を有する。前記ファンは、回転体と、前記回転体の軸周りに設けられた羽根部材とを有し、前記回転体を中心とした前記羽根部材の回転によって風を送る。前記フィルタユニットは、前記ファンとヒートシンクの間において、前記ファンに近接した近接位置と、前記近接位置よりも前記ファンから遠隔した遠隔位置との間を移動可能に配置され、前記ファンと対向する位置に、前記風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタが設けられる。前記駆動部は、前記フィルタユニットに駆動力を付与し、前記近接位置と前記遠隔位置の間を移動させる。前記掻落し部材は、前記羽根部材の外周側端部から延設され、前記羽根部材とともに回転して前記近接位置に位置した前記フィルタユニットに設けられた前記フィルタから前記塵埃を掻き落とす。前記塵埃排出口は、前記掻落し部材によって掻き落とされた前記塵埃を排出する。前記切替部は、前記フィルタユニットの移動に応じ、前記フィルタユニットが前記近接位置に位置するとき、前記塵埃排出口に前記風を通す第1通風路に切り替え、前記フィルタユニットが前記遠隔位置に位置するとき、前記ヒートシンクに前記風を通す第2通風路に切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒートシンクに送られる風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタから強固に付着又は堆積した塵埃をより確実に除去することができ、ヒートシンクの放熱性の低下を抑制することができる、冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る、塵埃排出モードにされた冷却装置の本体部の構成の一例を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る、冷却装置の蓋板の正面図である。
図3A】本発明の実施形態に係る、冷却装置のブラシの構成の一例を示す図である。
図3B】本発明の実施形態に係る、冷却装置のフィルタユニットのフィルタの構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る、塵埃排出モードにされた冷却装置のフィルタユニットの構成の一例を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る、冷却モードにされた冷却装置の本体部の構成の一例を示す正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る、冷却モードにされた冷却装置のフィルタユニットの構成の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態の構成)
以下、図面を参照しながら、実施形態の構成を説明する。
【0010】
図1は、冷却装置1の塵埃排出モードにされた本体部2の正面図である。図2は、冷却装置1の蓋板3の正面図である。
【0011】
冷却装置1は、本体部2と、本体部2に被着する蓋板3と、本体部2を制御する制御装置4を有する。冷却装置1には、ヒートパイプHを介して冷却対象物が接続される。冷却対象物は、例えば、情報端末に設けられた演算装置等の電子部品である。
【0012】
本体部2は、ケース10、ファン20、掻落し部材30、ヒートシンク40、塵埃排出口50、フィルタユニット60、駆動部70、及び切替部80を有する。
【0013】
ケース10は、ベース板11及び側板12を有する。側板12は、ベース板11から立設され、長さ方向一方側におけるファン20の外周に沿った部位と、両側部とを取り囲むように延在する。ケース10では、長さ方向他方側の他端部13が、開放される。側板12には、蓋板3が被着される。
【0014】
ファン20は、例えば遠心ファンによって構成される。ファン20は、ベース板11の長さ方向一方側に設置される。ファン20は、制御装置4から供給された電流によって軸周りに回転可能な回転体21と、回転体21の軸周りに設けられた複数の羽根部材22とを有する。ファン20は、蓋板3の吸気口90を介して軸方向に外気を吸入し、回転体21を中心とした羽根部材22の回転によって遠心方向に風を送る。
【0015】
図3Aは、冷却装置1のブラシの構成の一例を示す図である。
【0016】
図3Aに示すように、掻落し部材30は、例えば弾性を有する樹脂等を材質としたブラシによって構成される。掻落し部材30は、互いに反対側の羽根部材22の各々の外周側端部から延設される。掻落し部材30は、回転体21の軸周りに羽根部材22とともに回転し、近接位置Pに位置したフィルタユニット60に設けられたフィルタ61から塵埃を掻き落とす。
【0017】
図1に戻り、ヒートシンク40は、排気口41が外部に露出するように、他端部13に設置される。ヒートシンク40の幅方向一方側の側壁とケース10の側板12の間には、後述する第1通風路V1をなす空間が設けられる。ヒートシンク40は、間隔を空けて複数設けられた放熱用フィンを有し、放熱用フィンの間を風が通り抜けることによって放熱が促される。
【0018】
塵埃排出口50は、他端部13において、ヒートシンク40の幅方向一方側と隣り合うように設けられ、掻落し部材30によって掻き落とされた塵埃を外部に排出する。
【0019】
フィルタユニット60は、矩形筒形状を有し、ファン20とヒートシンク40の間において、ファン20に近接した近接位置Pと、近接位置Pよりもファン20から遠隔した遠隔位置D(図5)との間を移動可能に配置される。フィルタユニット60は、塵埃排出モードにおいて近接位置Pに位置し、冷却モードにおいて遠隔位置Dに位置する。フィルタユニット60の幅方向一方側の側壁とケース10の側板12の間には、第1通風路V1をなす空間が設けられる。
【0020】
フィルタユニット60の長さ方向一方側には、ファン20から送られた風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタ61が設けられる。フィルタ61は、例えば樹脂等を材質とし、掻落し部材30の軌道Rの一部に沿った湾曲形状を有し、フィルタユニット60が近接位置Pにあるとき、回転体21を中心に回転した掻落し部材30が摺動可能にされる。
【0021】
より好ましくは、フィルタ61は、スムーズに摺動されるように、掻落し部材30が摺動を開始する摺動方向開始端部62において、掻落し部材30が浅く当たり、摺動方向中央部63に向かうにつれて掻落し部材30が深く当たるように曲率が調整された湾曲形状を有する。より具体的には、フィルタ61は、摺動方向開始端部62において曲率が大きく、摺動方向中央部63に向かうにつれて漸次曲率が小さくなる湾曲形状を有する。フィルタ61は、摺動方向にクロソイド曲線によって規定される曲率で湾曲する湾曲形状を有してもよい。
【0022】
図3Bは、冷却装置1のフィルタユニット60のフィルタ61の構成の一例を示す図である。図3Bに示すように、フィルタ61は、網目構造を有し、摺動抵抗を小さくすることができるように、摺動方向に沿うように設けられた複数の横桟64が外側に設けられ、また、塵埃をより確実に捕捉できるように、摺動方向に直交するように設けられた複数の縦桟65が横桟64の内側(横桟64よりもヒートシンク40側)に連設される。
【0023】
図1に戻り、駆動部70は、一方側の側板12の外側に設けられた永久磁石71と、制御装置4から電流が供給され、磁力によって永久磁石71と吸引又は反発して駆動力を生じさせる電磁石72と、電磁石72が装着され、ベース板11の背後に重なるように設けられた背板73と、背板73とフィルタユニット60を連結する連結ピン74とを有する。駆動部70は、永久磁石71と電磁石72によって生じた駆動力によって背板73を一方又は他方に移動させ、連結ピン74を介してフィルタユニット60を近接位置P又は遠隔位置Dに移動させる。
【0024】
切替部80は、フィルタユニット60の移動に応じ、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、塵埃排出口50に風を通す第1通風路V1に切り替え、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、ヒートシンク40に風を通す第2通風路V2(図5)に切り替える。切替部80は、第1ピニオンギア81、延出片82、第1回転軸83、第1開閉板84、第2ピニオンギア85、第2回転軸86、第2開閉板87、開口部88、及び回転板89を有する。
【0025】
第1通風路V1は、幅方向一方側に設けられ、ファン20から、フィルタユニット60と側板12の間、及びヒートシンク40と側板12の間を介して塵埃排出口50に連通する。
【0026】
図4は、フィルタユニット60の側面図である。図4に示すように、フィルタユニット60の幅方向一方側には、蓋板3に設けられた第1ラックギア92と噛合する第1ピニオンギア81が、蓋板3と平行になるように設けられる。
【0027】
フィルタユニット60には、上下壁の各々が幅方向一方側に延出した延出片82が設けられる。延出片82の各々には、第1ピニオンギア81と連結する第1回転軸83が軸支される。第1回転軸83には、第1通風路V1を開閉する第1開閉板84が連設される。フィルタユニット60が駆動力によって移動すると、第1ピニオンギア81と第2ラックギア93が駆動力を第1回転力に変換して第1回転軸83に入力し、第1回転軸83が第1回転力を第1開閉板84に伝達し、第1開閉板84は、第1回転軸83の軸周りに回転する。
【0028】
第1開閉板84は、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、第1通風路V1を開状態にし、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、第1通風路V1を閉状態にする。また、第1開閉板84は、フィルタユニット60が近接位置Pに位置し、ヒートシンク40とフィルタユニット60の間に間隙Gが生じるとき、間隙Gの入口G1を閉塞する。
【0029】
第2通風路V2は、ファン20から、フィルタ61を介してフィルタユニット60の内側を通ってヒートシンク40に連通する。
【0030】
フィルタユニット60の幅方向他方側には、蓋板3に設けられた第2ラックギア93と噛合する第2ピニオンギア85が設けられる。
【0031】
フィルタユニット60の内側には、第2ピニオンギア85と連結する第2回転軸86がフィルタユニット60の両側壁に軸支される。第2回転軸86には、第2通風路V2を開閉する第2開閉板87が連設される。フィルタユニット60が駆動力によって移動すると、第2ピニオンギア85と第2ラックギア93が駆動力を第2回転力に変換し、第2回転軸86が第2回転力を第2開閉板87に伝達し、第2開閉板87は、第2回転軸86の軸周りに回転する。
【0032】
第2開閉板87は、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、第2通風路V2を閉状態にし、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、第2通風路V2を開状態にする。
【0033】
フィルタユニット60の幅方向一方側、かつ第2回転軸86よりも長さ方向一方側の側壁には、フィルタユニット60内と第1通風路V1を連通する開口部88が設けられる。
【0034】
第2回転軸86には、開口部88を開放及び閉塞可能な回転板89が設けられる。第2開閉板87が回転して第2通風路V2を閉状態にすると、回転板89も第2回転軸86の軸周りに回転し、開口部88を開放し、フィルタユニット60内と第1通風路V1を連通させる。一方、第2開閉板87が回転して第2通風路V2を開状態にすると、回転板89も第2回転軸86の軸周りに回転し、開口部88を閉塞する。
【0035】
蓋板3は、ファン20に対応する位置に設けられて内部に外気を吸い込むための吸気口90と、ヒートシンク40にヒートパイプHを装着できるように開放する開放部91とを有する。また、蓋板3の裏面には、凹部内にギア歯が側方を向くように配置された第1ラックギア92と、長さ方向に延在する第2ラックギア93が設けられる。
【0036】
制御装置4は、メモリ及びメモリに記憶されたプログラムを読み込んで処理する処理装置を有し、ファン20のON/OFFや、回転速度を制御する。また、制御装置4は、駆動部70に、塵埃除去モード又は冷却モードへの切替えを指示する。例えば、制御装置4は、冷却対象物を搭載する情報端末の電源回路と接続され、情報端末の電源のOFF検知したとき、情報端末の電源のONを検知したとき、又は冷却モードの累積運転時間が閾値に達したとき等の所定条件の下、駆動部70に、塵埃除去モードへの切替えを指示する。また、制御装置4は、情報端末の電源のONを検知することによって塵埃除去モードに切り替えてから所定時間経過したとき、駆動部70に、冷却モードへの切替えを指示する。
【0037】
(作用)
続いて、冷却装置1の作用について、説明する。
【0038】
冷却装置1は、情報端末内に設置される。ヒートシンク40は、ヒートパイプHを介して情報端末の演算装置に装着される。また、制御装置4も、情報端末の電源回路と接続される。
【0039】
制御装置4は、情報端末の電源のONを検知すると、駆動部70に、塵埃除去モードへの切替えを指示する。より具体的には、制御装置4は、電磁石72に電流を供給して反発力によって永久磁石71から引き離し、背板73及び連結ピン74を介してフィルタユニット60を近接位置Pに位置させる。
【0040】
フィルタユニット60の移動に応じ、第1ピニオンギア81及び第1回転軸83が回転すると、第1開閉板84が開き、第1通風路V1は、開状態にされる。第1開閉板84が開くと、ヒートシンク40とフィルタユニット60の間の間隙Gの入口G1は、閉塞される。また、第2ピニオンギア85及び第2回転軸86が回転すると、第2開閉板87が閉じ、第2通風路V2は、閉状態にされる。第2回転軸86の回転によって回転板89が開口部88を開放すると、フィルタユニット60内と第1通風路V1は、連通する。
【0041】
制御装置4は、回転体21に電流を供給し、羽根部材22及び掻落し部材30を回転させる。フィルタ61に付着又は堆積した塵埃は、掻落し部材30によって掻き落とされる。フィルタユニット60の外側に掻き落とされた塵埃は、ファン20によって送られた風に乗り、第1通風路V1を介して排出される。フィルタユニット60内に掻き落とされた塵埃は、フィルタ61から流入した風に乗り、開口部88から第1通風路V1に押し出され、第1通風路V1を介して排出される。
【0042】
図5は、冷却モードにされた本体部2の正面図である。図6は、フィルタユニット60の側面図である。
【0043】
所定時間が経過すると、制御装置4は、駆動部70に、冷却モードへの切替えを指示する。より具体的には、図5に示すように、制御装置4は、電磁石72に電流を供給して吸引力によって永久磁石71に吸着させ、背板73及び連結ピン74を介してフィルタユニット60を遠隔位置Dに位置させる。
【0044】
図6に示すように、フィルタユニット60の移動に応じ、第1ピニオンギア81及び第1回転軸83が回転すると、第1開閉板84が閉じ、第1通風路V1は、閉状態にされる。また、第2ピニオンギア85及び第2回転軸86が回転すると、第2開閉板87が開き、第2通風路V2は、開状態にされる。第2回転軸86の回転によって回転板89が開口部88を閉塞すると、フィルタユニット60内と第1通風路V1は、遮断される。
【0045】
制御装置4が電流を供給すると、ファン20は、回転体21を中心に羽根部材22が回転し、風を送る。フィルタ61は、風に含まれる塵埃を捕捉する。フィルタユニット60は、フィルタ61によって塵埃を捕捉し、第2通風路V2を介し、塵埃の捕捉によって清浄化された風をヒートシンク40に通す。ヒートシンク40は、風を排気口41から排気し、放熱する。
【0046】
すなわち、冷却装置1は、回転体21と、回転体21の軸周りに設けられた羽根部材22とを有し、回転体21を中心とした羽根部材22の回転によって風を送るファン20と、ファン20とヒートシンク40の間において、ファン20に近接した近接位置Pと、近接位置Pよりもファン20から遠隔した遠隔位置Dとの間を移動可能に配置され、ファン20と対向する位置に、風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタ61が設けられたフィルタユニット60と、フィルタユニット60に駆動力を付与し、近接位置Pと遠隔位置Dの間を移動させる駆動部70と、羽根部材22の外周側端部から延設され、羽根部材22とともに回転して近接位置Pに位置したフィルタユニット60に設けられたフィルタ61から塵埃を掻き落とす掻落し部材30と、掻落し部材30によって掻き落とされた塵埃を排出する塵埃排出口50と、フィルタユニット60の移動に応じ、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、塵埃排出口50に風を通す第1通風路V1に切り替え、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、ヒートシンク40に風を通す第2通風路V2に切り替える、切替部80と、を有する。
【0047】
また、切替部80は、駆動力を変換した第1回転力が入力される第1回転軸83と、第1回転軸83に設けられて第1通風路V1を開閉する第1開閉板84と、駆動力を変換した第2回転力が入力される第2回転軸86と、第2回転軸86に設けられて第2通風路V2を開閉する第2開閉板87とを有し、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、第1開閉板84が第1通風路V1を開状態にし、第2開閉板87が第2通風路V2を閉状態にし、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、第1開閉板84が第1通風路V1を閉状態にし、第2開閉板87が第2通風路V2を開状態にする。
【0048】
実施形態によれば、冷却装置1は、フィルタ61によってヒートシンク40の塵埃の付着又は堆積を防ぎ、フィルタ61に強固に付着又は堆積した塵埃をより確実に除去することができ、ヒートシンク40の放熱性の低下を抑制することができる。
【0049】
なお、実施形態では、掻落し部材30が、互いに反対側の羽根部材22の各々の外周側端部から延設されるが、これに限定されない。掻落し部材30は、いずれの羽根部材22から延設されてもよいし、2つに限定されることなく、1つ又は3つ以上設けられてもよい。
【0050】
なお、実施形態では、フィルタ61は、網目構造を有するが、網目構造を有する横桟64及び縦桟65の各々に、外側へ向けた植毛を設け、掻落し部材30が植毛の先端部に捕捉された塵埃を掻き落とすように構成してもよい。これにより、冷却装置1は、掻落し部材30がフィルタ61を摺動する際に生じる摺動抵抗を減少させることができ、掻落し部材30の摩耗を抑制することができる。
【0051】
なお、実施形態では、第1ピニオンギア81及び第1ラックギア92と、第2ピニオンギア85及び第2ラックギア93とによって駆動力を回転力に変換しているが、これに限定されない。第1ピニオンギア81及び/又は第2ピニオンギア85に変えて摩擦力の大きいゴム等の円形部材を設け、蓋板3との摩擦によって駆動力を回転力に変換する構成としてもよい。
【0052】
なお、実施形態では、フィルタユニット60に開口部88が設けられるが、フィルタユニット60内に掻き落とされた塵埃は、ヒートシンク40を介して排出されてもよく、開口部88は、必ずしも設けなくてもよい。
【0053】
なお、実施形態では、駆動力は、永久磁石71と電磁石72によって生じるが、これに限定されない。駆動力は、バネ、人力等によって生じさせてもよい。
【0054】
本発明の実施形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・冷却装置
2・・・本体部
3・・・蓋板
4・・・制御装置
10・・ケース
20・・ファン
21・・回転体
22・・羽根部材
30・・掻落し部材
40・・ヒートシンク
50・・塵埃排出口
60・・フィルタユニット
61・・フィルタ
70・・駆動部
80・・切替部
83・・第1回転軸
84・・第1開閉板
86・・第2回転軸
87・・第2開閉板
D・・・遠隔位置
P・・・近接位置
V1・・第1通風路
V2・・第2通風路


【要約】
【課題】 ヒートシンクに送られる風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタから強固に付着又は堆積した塵埃をより確実に除去することができ、ヒートシンクの放熱性の低下を抑制することができる、冷却装置を提供する。
【解決手段】 冷却装置1は、フィルタユニット60、掻落し部材30、及び切替部80を有する。掻落し部材30は、羽根部材22の外周側端部から延設され、近接位置Pに位置したフィルタユニット60に設けられたフィルタ61から塵埃を掻き落とす。切替部80は、フィルタユニット60が近接位置Pに位置するとき、塵埃排出口50に風を通す第1通風路V1に切り替え、フィルタユニット60が遠隔位置Dに位置するとき、ヒートシンク40に風を通す第2通風路V2に切り替える。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6