(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】青果物の熟度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 29/12 20060101AFI20220202BHJP
G01N 29/46 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G01N29/12
G01N29/46
(21)【出願番号】P 2020199890
(22)【出願日】2020-11-12
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2019217476
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597127742
【氏名又は名称】株式会社ロジパック
(72)【発明者】
【氏名】柴田 恭孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌史
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-056319(JP,A)
【文献】特開平10-115603(JP,A)
【文献】特開平03-095455(JP,A)
【文献】特開平07-239320(JP,A)
【文献】特開2019-039811(JP,A)
【文献】特開平03-012551(JP,A)
【文献】特開2002-122536(JP,A)
【文献】特開2017-134585(JP,A)
【文献】特開2014-211418(JP,A)
【文献】特開2008-151538(JP,A)
【文献】特開2018-004412(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003506(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0079644(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01N 33/00 - G01N 33/46
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01J 3/00 - G01J 9/04
B07C 1/00 - B07C 99/00
A01G 2/00 - A01G 24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともワンボードコンピュータとモニタとアンプ及び温度セン
サを内蔵して構成した小型の筐体上部に、青果物を載置するための受け皿と、前記ワンボードコンピュータより出力される低域側50Hzから高域側800Hzの間の青果物の特性に合った任意の周波数帯域の1秒間のスイープ信号を前記アンプで増幅し当該スイープ信号を空気振動すなわち音として青果物に加えるためのスピーカと、青果物内を通過した前記スイープ信号音を受信すべく前記スピーカと対向した位置にマイクを配置して構成し、モニタ画面上の計測開始ボタンを押すことによりワンボードコンピュータでは前記マイクにて受信したスイープ信号音を入力して共振ピーク周波数を検出することにより青果物固有の共振周波数を求め、予め判明している青果物固有の完熟時における共振周波数と前記測定中の青果物の共振周波数とを比較演算して熟度を求め、更には温度センサにて測定した外気温による熟度の進行状態を補正して完熟までの日数を求め、その結果をモニタにて表示することを特徴とした、青果物の熟度測定装置。
【請求項3】
マイクにて受信した入力信号に重畳したノイズ成分の除去すなわちS/N比の向上にあっては、マイクにて受信した入力信号を数値化してFFT演算による解析処理とディープラーニングによるAI処理の何れか一方の処理又は両方の処理を行うことにより、判別する周波数帯を選択して入力誤差を補正することを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の青果物の熟度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追熟することにより美味しく食することができるメロン、キウイ、リンゴ等の果実や、トマト、アボカド等の野菜の追熟型青果物の熟度を非破壊的に測定する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メロン、キウイ、リンゴ等の果実や、トマト、アボカド等の野菜の追熟型青果物の熟度を判断する手段として、生産者や流通業者が当該青果物の色や感触及び指で叩いた時の音等を判断して行ってきた。しかしながら近年においては前記経験値による判断ができる熟練者が減り、測定装置を導入して機械的に判断を行うことが多くなっている。
【0003】
上記測定装置として、例えば特許文献1に記載の公報(発明の名称:果実の熟度の非破壊測定方法)では、波長が450~1500nmのレーザー光を波長可変レーザー装置より果実に照射して吸光度を算出し、該吸光度を当該果実の熟度の指標値とすることを特徴とする装置について記載され、特許文献2に記載の公報(発明の名称:果実及び果菜類熟度判定装置)では、装置が検査装置部と判定装置部にて構成され、該検査装置部に載置した被検体に、先端部に衝撃球を取り付けたアームを手で引き上げて放すことにより衝撃を与え、その時に発生する振動音をマイクロホンで捉えてFFT演算解析することにより固有周波数を求め、前記検査装置部に内蔵の電子天秤で計測した被検体の重量値による補正を行うことにより得られた固有振動数を当該果実の熟度の判定値とすることを特徴とする装置について記載され、特許文献3に記載の公報(発明の名称:青果物の熟度測定方法)では、永久磁石と電磁コイルで構成する振動発生器より適度な周波数間隔で青果物に振動を与え、該青果物の直上に配置したレーザードップラー振動計にて検出して復調した信号と、青果物に与えた振動を検出する加速度センサからの信号をFFTにて演算解析することにより二次共振ピーク周波数を求め、更に該二次共振ピーク周波数のゲインから3dB低下した周波数より粘性係数と弾性係数を求めて熟度の判定値を得る方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-101124
【文献】特開平7-239320
【文献】特開平11-281625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置及び方法による測定では、高価なレーザー発振器や検出器を使用して光経路を構成する必要があり、小型化及び安価に製造することができないという問題点があった。また特許文献2に記載の装置及び方法による測定では、打音信号のS/N比を向上すべく検査装置部と判定装置部を分離した構造のため装置の小型化が図れず、被検体に衝撃を与える手段として先端部に衝撃球を取り付けたアームを手で引き上げて放す方法のために測定のばらつきや測定効率が低下するという問題点があった。また特許文献3に記載の装置及び方法による測定では、永久磁石と電磁コイルで構成する振動発生器より青果物の表皮に機械的な振動を与える方法のため、判別可能な副次共振ピーク周波数を得るべく20Hz~3KHzまでの広範囲な周波数で測定する必要があり、更には粘性係数と弾性係数とから熟度判定を行うなど測定方法が煩雑であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、検査装置部と判定装置部とが一体化して小型化され、被検体である青果物を受け皿に載置して計測開始ボタンを押すだけで簡単に熟度の測定ができ、更には高価な測定器材を使用せずに安価に製造することができる、青果物の熟度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の青果物の熟度測定装置は、少なくともワンボードコンピュータとモニタとアンプ及び温度センサを内蔵して構成した小型の筐体上部に、青果物を載置するための受け皿と、前記ワンボードコンピュータより出力される低域側50Hzから高域側800Hzの間の青果物の特性に合った任意の周波数帯域の1秒間のスイープ信号を前記アンプで増幅し当該スイープ信号を空気振動すなわち音として青果物に加えるためのスピーカと、青果物内を通過した前記スイープ信号音を受信すべく前記スピーカと対向した位置にマイクを配置して構成し、モニタ画面上の計測開始ボタンを押すことによりワンボードコンピュータでは前記マイクにて受信したスイープ信号音を入力して共振ピーク周波数を検出することにより青果物固有の共振周波数を求め、予め判明している青果物固有の完熟時における共振周波数と前記測定中の青果物の共振周波数とを比較演算して熟度を求め、更には温度センサにて測定した外気温による熟度の進行状態を補正して完熟までの日数を求め、その結果をモニタにて表示する装置とする。
【0008】
熟度の測定精度の向上にあっては、上記受け皿の下部に重量センサを配置して青果物の重量を測定し、マイクにて受信した入力信号の共振ピーク周波数を検出することにより、得られた共振周波数に当該青果物の重量値による補正を行う。
【0009】
マイクにて受信した入力信号に重畳したノイズ成分の除去すなわちS/N比の向上にあっては、マイクにて受信した入力信号を数値化してFFT演算による解析処理とディープラーニングによるAI処理の何れか一方の処理又は両方の処理を行うことにより、判別する周波数帯を選択して入力誤差を補正する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の青果物の熟度測定装置を使用すれば、少なくともワンボードコンピュータとモニタとアンプ及び温度センサを内蔵して構成した小型の筐体上部に、青果物を載置するための受け皿と、スイープ信号音を青果物に加えるためのスピーカと、青果物内を通過したスイープ信号音を受信するためのマイクを配置しただけの構造であるため、装置全体が一体化して小型化されるという効果を奏する。
また共振周波数を求めるための測定器材が安価なスピーカとマイクのみであるため、装置全体も安価に製造することができるという効果を奏する。更には青果物を熟度測定装置にセットした後、モニタ画面上の計測開始ボタンを押すだけの操作で簡単に測定結果が得られるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の青果物の熟度測定装置の第一実施例のブロック図及び測定方法を示した図である。
【
図2】本発明の青果物の熟度測定装置の第二実施例のブロック図及び測定方法を示した図である。
【
図3】マイク出力のチェック端子で計測した、食べごろまで7日のメロンのスイープ信号波形である。
【
図4】マイク出力のチェック端子で計測した、食べごろまで5日のメロンのスイープ信号波形である。
【
図5】マイク出力のチェック端子で計測した、食べごろまで3日のメロンのスイープ信号波形である。
【
図6】マイク出力のチェック端子で計測した、食べごろまで1日のメロンのスイープ信号波形である。
【
図7】マイク出力のチェック端子で計測した、食べごろ当日のメロンのスイープ信号波形である。
【
図8】本発明の青果物の熟度測定装置のモニタ画面の表示例である。
【
図9】1秒間における50Hzから800Hzのスイープ信号波形である。
【
図10】
図9においてAで示される範囲の拡大波形である。
【
図11】
図10において50Hzの開始点より10msec毎に分割した周波数範囲とその周波数分解能の一覧表である。
【
図12】C言語による通常のFFT演算プログラムのコア部の一例である。
【
図13】Python言語による本発明で用いるFFT演算プログラムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の青果物の熟度測定装置を実施するための第一実施例を
図1及び
図8を用いて説明する。該図において青果物の熟度測定装置1の本体は、
少なくともワンボードコンピュータ2とモニタ3とアンプ4及び温度センサ
5と、更に前記電子部品を駆動するための電源(図示せず)を小型の筐体に内蔵して構成した装置とする。前記ワンボードコンピュータ2は、CPUとメモリとI/OポートとA/DコンバータとD/Aコンバータ及びクロック等の各回路で構成する。なお前記モニタ3は、LCDモニタが好ましいがこれに限定することなく、LEDモニタや有機ELモニタ等であっても構わない。また電源は、AC駆動のスイッチング電源又はバッテリのいずれであっても構わない。
【0013】
更に上記筐体上部には、青果物として例えばアールスフェボリット種のメロン(以後、単にメロンと称す)10を載置するための受け皿11と、前記ワンボードコンピュータ2より出力されるスイープ信号を前記アンプ4で増幅し当該スイープ信号を空気振動すなわち音としてメロン10に加えるためのスピーカ6と、メロン10内を通過した前記スイープ信号音を受信すべく前記スピーカ6と対向した位置にマイク7を配置して青果物の熟度測定装置1の全体を構成する。
【0014】
上記スピーカ6とマイク7は、両測定器材の左右の間隔と高さを自由に調節することができるスタンド(図示せず)に取り付けると共に、該スタンドを熟度測定装置1の筐体上面に設置する。
【0015】
スピーカ6より出力したスイープ信号音をメロン10に加える際において、該スイープ信号音が外部に漏洩するのを極力防止するため、スピーカ6の開口部周囲にスポンジ等の遮音材12を配設するのが好ましい。なお前記遮音材12の素材は例示したものに限定することなく、どのような素材であっても構わない。更にスピーカ6の背面部にはグラスウール等を詰めた箱(図示せず)に入れるとより効果的となる。
【0016】
また受け皿11は、青果物であるメロン10を安定して載置すると共に、スイープ信号音が筐体上部からマイク7に直接伝導するのを防止するため、発砲ゴムや発泡樹脂等を成形して構成する。なお前記受け皿11の素材は例示したものに限定することなく、どのような素材であっても構わない。
【0017】
上述の青果物の熟度測定装置1でメロン10の熟度を測定する場合、メロン10を受け皿11に載置し、スピーカ6とマイク7を当該メロン10の略中央部の高さにおいて左右に対向するように挟んでセットする。次にモニタ画面13上の「START」と表示されている計測開始ボタン14を押すと、ワンボードコンピュータ2に内蔵のD/Aコンバータよりメロン10の特性に合った100Hzから500Hzの1秒間のスイープ信号が出力される。該スイープ信号はアンプ4にて電力増幅され、スピーカ6よりメロン10にスイープ信号音を加える。
【0018】
上記スイープ信号音はメロン10の内部を伝導して対向位置にあるマイク7にて受信し、ワンボードコンピュータ2に内蔵のA/Dコンバータに入力される。該A/Dコンバータでは、アナログ信号であるスイープ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号の共振ピーク周波数を検出することにより当該メロン10に固有の共振周波数を求める。本測定におけるメロン10の共振ピーク周波数は一次共振周波数であるが、青果物の種類によっては二次共振周波数や三次共振周波数等の場合があるため、被検体である青果物の種類に応じた共振ピーク周波数を検出する。
【0019】
被検体である青果物には、完熟した際の共振周波数が予め判明しており、例えば本例のアールスフェボリット種のメロンでは一次共振周波数で200Hzとされている。従って、メロンの完熟時における固有の一次共振周波数と測定中のメロン10の一次共振周波数とを比較演算して当該メロン10の熟度を求め、更には温度センサ5にて測定した外気温による熟度の進行状態(外気温が高いと熟度の進行が進み、外気温が低いと熟度の進行が遅れるという要素)を補正して完熟までの日数を求める。
【0020】
図3から
図7は、マイク出力のチェック端子8にて、同一メロン10を未熟から完熟まで数日置きにオシロスコープにて測定したスイープ信号波形である。該波形は100Hzから500Hzまでの周波数帯域でスイープしたサイン波のピーク値を結んだエンベロープ波形を示している。なお、100Hz以下及び500Hz以上での波形はノイズ成分である。
【0021】
図3では、測定中のメロン10の一次共振周波数が230Hzを示しており、温度補正を加えた熟度計算式より食べごろまで7日との結果が得られる。
図4では、測定中のメロン10の一次共振周波数が220Hzを示しており、温度補正を加えた熟度計算式より食べごろまで5日との結果が得られる。
図5では、測定中のメロン10の一次共振周波数が210Hzを示しており、温度補正を加えた熟度計算式より食べごろまで3日との結果が得られる。
図6では、測定中のメロン10の一次共振周波数が205Hzを示しており、温度補正を加えた熟度計算式より食べごろまで1日との結果が得られる。そして
図7では、測定中のメロン10の一次共振周波数がちょうど200Hzを示しており、温度補正を加えた熟度計算式より食べごろ当日との結果が得られる。
【0022】
上記にて得られた測定結果はモニタ3にて表示する。
図8の表示例では熟度の値自体は表示せずに食べごろまでの日数を表示している。モニタ画面13の中央上部にタイトルとして「メロン食べごろ判定」の表示があり、その下には計測開始ボタン14として「START」の表示があり、更に上部右隅には外気温を示す気温表示19がある。前記測定結果は、「START」表示の下に食べごろまでの日数表示20として「食べごろまであと○.○日」と表示すると共に、熟度グラフ15において完熟ポイント16の位置と現在ポイント17の位置を矢印で視覚表示する。なお該モニタ画面13の表示構成は一表示例であり、どのような表示構成であっても構わない。
【0023】
次に本発明の青果物の熟度測定装置を実施するための第二実施例を
図2及び
図8を用いて説明する。本実施例は、上述の第一実施例より更に熟度の測定精度の向上を図るためのものである。該図において青果物の熟度測定装置1の本体構成及び全体構成は第一実施例と同様であるが、スピーカ6とマイク7の設置位置及び方法が異なっている。
【0024】
マイク7は、受け皿11の中央部に開けた穴内に配置すると共に、該受け皿11の下部には重量センサ9を配置して熟度測定装置1の筐体上面に設置する。またスピーカ6は、両測定器材の上下の間隔を自由に調節することができるスタンド(図示せず)に取り付けると共に、該スタンドを熟度測定装置1の受け皿11の上面に設置する。
【0025】
上述の青果物の熟度測定装置1でメロン10の熟度を測定する場合、メロン10を受け皿11に載置し、スピーカ6を当該メロン10の略中央部において上下に対向するように挟んでセットする。次にモニタ画面13上の「START」と表示されている計測開始ボタン14を押すと、第一実施例と同様の測定処理を行って当該メロン10の一次共振周波数を求め、メロンの完熟時における固有の一次共振周波数と測定中のメロン10の一次共振周波数とを比較演算して当該メロン10の熟度を求め、更には温度センサ5にて測定した外気温による熟度の進行状態による温度補正と、前記一次共振周波数に重量センサ9にて計測した当該青果物の重量値による補正を加えた熟度計算式より完熟までの日数を求める。
【0026】
上記にて得られた測定結果の表示構成は第一実施例と同様であるが、上部右隅には気温表示18の下に重量表示19のある点のみが異なる。
【0027】
またマイク7にて受信した入力信号に重畳したノイズ成分が大きく当該ノイズ成分の除去すなわちS/N比を向上させる場合、マイク7にて受信した入力信号を数値化してFFT演算による解析処理とディープラーニングによるAI処理の何れか一方の処理又は両方の処理を行うことにより、判別する周波数帯を選択して入力誤差が補正でき、共振ピーク周波数の検出による共振周波数が求め易くなる。
【0028】
上述の各実施例では、青果物としてアールスフェボリット種のメロン10の場合について説明したが、他のいかなる追熟型青果物であっても共振周波数が低域側50Hzから高域側800Hzの範囲にあるため、同様の方法にて熟度測定が行える。なお青果物の種類によっては上述のメロン10のように大きいもののほか、キウイのように小さいもの又はリンゴのように中程度のものなどがあるため、スピーカ6は青果物の大きさに合わせて数種類用意しておくのが好ましい。
【0029】
次にFFT演算による計測精度向上について説明する。
図9は1秒間における50Hzから800Hzのスイープ信号波形である。低域側では波形が表れているが中域から広域側にかけては密状態のため、
図10では
図9においてAで示される範囲の拡大波形を表している。該スイープ信号を音響分野で標準的な44.1KHzでサンプリングを行うと通常は周波数分解能は1Hzとなるが、1秒間のスイープ信号の経過時間に応じた周波数は判っているため、データを時間別に細分化して個々にFFT演算を実施し、その周波数範囲も細分化した個々のデータに合わせて周波数範囲を規定する。
【0030】
1秒間のスイープ信号を44.1KHzでサンプリングを行うと、44100個のデータが得られ、これをサンプリング順に従って10msec毎100組に分けると各441個のデータが得られる。
図10において▲1▼から▲12▼にかけて10msec毎12組の範囲を規定すると、例えば▲1▼の周波数範囲は50.0Hzから57.5Hzとなる。実際には計測のタイミングずれが起きることもあるためFFT演算の周波数範囲を上下各10%拡張して45.0Hzから63.25Hzとすると、(63.25-45.0)/441=0.04138(Hz)となり、理論値ではあるが周波数分解能が向上することになる。
【0031】
図12はC言語による通常のFFT演算プログラムのコア部の一例であり、
図13はPython言語による本発明で用いるFFT演算プログラムの一例である。本発明では、ライブラリの豊富さなどによりPython言語を使用している。該FFT演算プログラムにおいて1秒間のスイープ信号を10msec毎100組に分けて得られた441個のデータをサンプリング順に従って100回演算を行っている。実装するワンボードコンピュータ2の処理速度によっては、高速化のため10msec毎における441回の演算を間引きして演算しても構わない。なお、
図12及び
図13で示したプログラムは一例であり、これに限定するものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 熟度測定装置
2 ワンボードコンピュータ
3 モニタ
4 アンプ
5 温度センサ
6 スピーカ
7 マイク
8 チェック端子
9 重量センサ
10 メロン
11 受け皿
12 遮音材
13 モニタ画面
14 計測開始ボタン
15 熟度グラフ
16 完熟ポイント
17 現在ポイント
18 気温表示
19 重量表示
20 食べごろまでの日数表示