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特許7017753装入物の表面プロフィール検出装置及び操業方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】装入物の表面プロフィール検出装置及び操業方法
(51)【国際特許分類】
   F27D 21/00 20060101AFI20220202BHJP
   C21B 7/24 20060101ALI20220202BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20220202BHJP
   G01B 15/04 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
F27D21/00 A
C21B7/24 302
C21B5/00 312
G01B15/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017233551
(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公開番号】P2019100648
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】593207271
【氏名又は名称】株式会社WADECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱野 早衛
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069951(US,A1)
【文献】国際公開第2015/133005(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 17/00-99/00
C21B 3/00-15/04
G01B 15/00-15/08
F23G 5/00
F23G 5/40- 5/42
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の頂部近傍の開口から、容器内の装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置において、
前記検出波の発振及び検波を行うための送受信器と、前記送受信器ごとに接続するアンテナとを備える1つまたは複数の送受信手段と、
前記アンテナを前記開口に向けて取り付けた回転板と、
前記回転板の中心に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸を、その軸線を中心に回動させるための駆動源とを備えるとともに、
前記回転板を回動させながら前記送受信手段による送受信を行い、前記装入物の表面を円に沿って線状に走査することを特徴とする装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項2】
前記アンテナの軸線と、前記回転軸の軸線との交差角度が可変であることを特徴とする請求項1記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項3】
前記送受信器が複数であり、前記検出波による前記装入物の表面を走査する走査円の直径が互いに異なっていることを特徴とする請求項1または2記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項4】
前記送受信器が複数で、それぞれ前記アンテナにて同時に検出波の送受信を行うことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項5】
前記送受信手段が無線信号伝送器と接続しており、送受信情報を無線により外部と通信することを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項6】
前記検出波が、マイクロ波またはミリ波であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項7】
前記開口と前記回転板との空間に、前記開口及び前記回転板の両方に対向する反射板を、配置したことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項8】
前記容器が高炉、溶融炉、焼却炉またはホッパーであることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項9】
請求項1~の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置を用いて装入物の表面プロフィールを測定し、前記表面プロフィールを基に前記装入物を補給することを特徴とする操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉内の鉄鉱石やコークス、溶融炉内の金属類、焼却炉内のごみ類、ホッパー内の穀物等の貯蔵物(以下、まとめて「装入物」ともいう。)の表面プロフィールを検出する検出装置に関する。また、本発明は、これら装入物の表面プロフィールを基に、装入物を補給して安定な操業を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高炉では、鉄鉱石やコークスの堆積状態を適正にして、炉内のガスの流れを安定させることにより、燃料費低減や炉体の長寿命化が可能となる。適正な堆積状態を得るためには、これら装入物の表面プロフィールを短時間で正確に測定し、予め求めておいた理論的な堆積状態となるように装入物を補給する必要がある。表面プロフィールの測定方法として従来では、図9に示すように、炉壁1を貫通して炉内に挿入されるランス10の先端に装着したアンテナ11から装入物20の表面に向けて検出波M1を発射し、装入物20の表面からの反射検出波M2をアンテナ11で受信し、ミキシングして得られるビート波の周波数により、アンテナ11から装入物20の表面までの距離を測定する方法が一般的であり、ランス10を移動させながら測定することにより装入物20の表面プロフィールを求めている。
【0003】
しかしながら、上記のランス式検出装置では、ランス10が直線状に移動するため、装入物20の線状の表面プロフィール、即ち2次元の表面プロフィールしか得られない。また、ランス10は炉の内径ほどの長さが必要であり、高荷重になるため、炉内に長く挿入しておくと自重により垂れ下がって炉から抜けなくなり、移動の際にもストロークも大きいため、炉外に大きなスペースが必要になる。更に、ランス10を移動させるための駆動ユニットが別途必要であり、設備費や運転コストが高くなる。加えて、装入物の補給に際してランス10が邪魔になるため、プロフィール測定中に装入物を補給することができず、測定した表面プロファイルに応じた迅速な装入操作ができない。
【0004】
そこで本出願人は、図10に示すように、 検出波送受信手段31のアンテナ32と、反射板33とを対向配置した検出装置30を提案している。この検出装置30では、反射板33が、高炉1の炉内側への傾斜角度Xが可変であり、更には、アンテナ32の開口部の中心を通るアンテナ軸線を中心にした回動角度Yも可変であり、傾斜角度Xと回動角度Yとを制御することにより、図中符号Mで示す検出波は、装入物20の表面を同心円状、あるいは螺旋状に走査することができ、3次元表面プロフィールを検出することができる。しかも、反射板33の傾斜角度X及び回動角度Yを高速で可変できるため、短時間で測定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5391458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された検出装置30では、傾斜角度Xと回動角度Yとを同時に、かつ、正確に、高速で制御しなければならず、傾斜角度X及び回動角度Yの制御に用いる反射板33の駆動装置や制御装置への負担も大きい。
【0007】
そこで本発明は、反射板並びにその駆動装置や制御装置を備えることなく、簡易な装置構成でありながらも、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出できる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、下記の装入物の表面プロフィール検出装置及び操業方法を提供する。
(1)容器の頂部近傍の開口から、容器内の装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置において、
前記検出波の発振及び検波を行うための送受信器と、前記送受信器ごとに接続するアンテナとを備える1つまたは複数の送受信手段と、
前記アンテナを前記開口に向けて取り付けた回転板と、
前記回転板の中心に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸を、その軸線を中心に回動させるための駆動源とを備えるとともに、
前記回転板を回動させながら前記送受信手段による送受信を行い、前記装入物の表面を円に沿って線状に走査することを特徴とする装入物の表面プロフィール検出装置。
(2)前記アンテナの軸線と、前記回転軸の軸線との交差角度が可変であることを特徴とする上記(1)記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(3)前記送受信器が複数であり、それぞれ異なる前記スリットに取り付けられており、前記検出波による前記装入物の表面を走査する走査円の直径が互いに異なっていることを特徴とする上記(1)または(2)記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(4)前記送受信器が複数で、それぞれ前記アンテナにて同時に検出波の送受信を行うことを特徴とする上記(1)~(3)の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
)前記送受信手段が無線信号伝送器と接続しており、送受信情報を無線により外部と通信することを特徴とする上記(1)~()の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
)前記検出波が、マイクロ波またはミリ波であることを特徴とする上記(1)~()の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
)前記開口と前記回転板との空間に、前記開口及び前記回転板の両方に対向する反射板を、配置したことを特徴とする上記(1)~()の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
)前記容器が高炉、溶融炉、焼却炉またはホッパーであることを特徴とする上記(1)~()の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
)上記(1)~()の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置を用いて装入物の表面プロフィールを測定し、前記表面プロフィールを基に前記装入物を補給することを特徴とする操業方法。
尚、以降において装入物の表面プロフィール検出装置を「検出装置」と略称することがある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な装置構成でありながらも、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出できる検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の検出装置の第1実施形態を示す概略図である。
図2図1のAA矢視図である。
図3図1の検出装置による検出波の装入物表面での走査様式を示す図である。
図4】回転板の他の例を示す断面図である。
図5】本発明の検出装置の第2実施形態を、図1に従って示す概略図である。
図6図5のAA矢視図である。
図7図5の検出装置による検出波の装入物表面での走査様式を、図3に従って示す図である。
図8】本発明の検出装置の第3実施形態を示す概略図である。
図9】従来のランス式検出装置を示す概略図である。
図10】特許文献1の検出装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明するが、ここでは高炉を例にして説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明の検出装置を、高炉1の軸線に沿って示す概略断面図であり、図2図1のAA矢視図である。高炉1には、装入物である鉄鉱石とコークスとが、交互に層をなして堆積している。
【0013】
本発明の検出装置は、送受信手段100と、送受信手段100を取り付けた回転板120と、回転板120を回動させるための駆動源130とを備えており、高炉1の炉頂近傍の開口2に設置される。
【0014】
回転板120は、図2に示すように円板であり、その中心に駆動源130の回転軸131が取り付けられている。回転軸131は、その軸線を中心にして駆動源130により図中矢印Rで示すように回動し、それに伴って回転板120も同方向に、回転軸131を中心に回動する。また、回転軸131にはエンコーダ140が連結しており、回転軸131の回動角度がエンコーダ140により検出される。
【0015】
送受信手段100は、検出波Mの発振及び検波を行うための送受信器101と、送受信器101に接続するアンテナ102とを備えており、アンテナ102を高炉1の開口2に向けて回転板120のスリット121(図2参照)に取り付けられている。尚、図示の例では、送受信器101とアンテナ102とが直結しているが、送受信器101を回転板120の板上適所に配置し、導波管や同軸ケーブルでアンテナ102と接続してもよい。
【0016】
検出波Mとしては、炉内が高温で、浮遊物も多く存在していることなどからマイクロ波やミリ波を用いることが好ましい。特に、ミリ波はマイクロ波よりも波長が短く、指向性が高いことなどから好ましい。
【0017】
検出波Mの送受信は、例えばFM-CW方式で行うことができる。即ち、図1に示すように、送受信器101で発振された検出波Mはアンテナ102から送信され(送信波)、開口2を通じて炉内へと送られた後、装入物20の表面で反射され、その反射波がアンテナ102に入射して送受信器101で検波され、送信波と反射波との周波数差(ビート周波数)からアンテナ102と装入物20の表面との間の距離が測定される。従って、駆動源130により回転板120を回転させながら送受信手段100による検出波Mの送受信を行うことにより、図3に示すように、検出波Mは装入物20の表面を円に沿って走査し、走査円Sの各位置において装入物20による反射波を検出し、走査円Sに沿った装入物20までの距離情報が得られる。一方、エンコーダ140により回転軸131の回動角度が検出されるため、走査円S上の検出波Mの位置情報が得られる。そして、距離情報と位置情報とから、装入物20の表面プロフィールとして、走査円Sに沿った堆積高さのプロフィールが得られる。
【0018】
図3に示す走査円Sの直径は、任意に変えることができる。例えば、図1に示すように、検出波Mの伝搬軸と、回転軸131の軸線Cとがなす交差角度θにより変えることができる。アンテナ102から送信される検出波Mの伝搬軸は、アンテナ102の開口中心Acを通る線(アンテナ軸線)と一致すると見做せるため、回転板120にアンテナ102を取り付ける際に、アンテナ軸線の回転板120への傾斜角度θを調整する。
【0019】
また、回転板120は、図4に示すように、断面が円弧状で、その半径に沿ってスリット121が形成されたものでもよい。この湾曲した回転板120は、駆動源130側が凸となるように設置される。スリット121にはアンテナ102が取り付けられるが、取付位置におけるスリット121の接線Kと、アンテナ軸線とが垂直、即ちアンテナ102の回転板120への傾斜角度θ′が90°の状態で取付けてもよい。この場合も、アンテナ軸線と回転軸131の軸線Cとの交差角度θが、アンテナ102のスリット121への取付位置により変わり、走査円Sの直径を変えることができる。
【0020】
上記では検出波Mを一本の直線で示したが、実際には検出波Mはある広がりをもってアンテナ102から送信されるため、装入物20以外、例えば図1に示す開口2の周壁2aや側壁1aでも反射され、その反射波が検出される。また、装入物20の表面でも、走査円Sの周辺の装入物以外の物体(例えばランス)による反射波が検出されることがある。そこで、例えば「メディアンフィルタ処理」と称される補正を行うことが好ましい。
【0021】
このメディアンフィルタ処理は、測定値(a、b、・・・、m、n)を小さい値から大きな値に順に並べ、その中間値をXとするとき、各測定値と中間値Xとの差分(a-X、b-X、・・・m-X、n-X)を求め、差分が予め設定した閾値よりも大きい測定値(例えばaとm)を削除して新たな集合を作り、この新たな集合を実際の測定値として取り扱う手法である。本発明でもメディアンフィルタ処理することにより、本来の走査円上の高さよりも極端に高い、または低いものの測定値を除くことができる。
【0022】
再び図1を参照して説明すると、上記の送受信手段100による距離情報を、回転板120に取付けた無線信号伝送装置150で外部の演算回路(図示せず)に伝送するとともに、気密容器160に付設した無線信号伝送装置150により回転軸131の位置情報を演算回路に伝送することもできる。また、外部の制御手段(図示せず)からの送受信器101や回転軸131の動作を制御する制御信号を受信する。回転演算手段送受信手段100は回転板120とともに回転するため、無線伝送することにより、距離情報を演算回路に送るための配線が不要になる。
【0023】
上記の送受信手段100や回転板120等の各部品は、耐熱耐圧性の気密容器160に収容される。回転板120は、その円周端部を支持板161により摺動可能に支持してもよい。
【0024】
気密容器160は高炉1の開口2に取り付けられるが、この開口2を通じて、炉内の浮遊物や鉄鉱石片、コークス片が侵入する。そこで、検出波Mを透過する材料、例えばセラミック製の非通気性の隔壁170で開口2を塞ぐことが好ましい。また、隔壁170に浮遊物等が付着するため、開口2側にセラミック製のフィルタ180を付設し、気密容器160の取付部162に設けた貫通孔163を通じて隔壁170とフィルタ180との間の空間に窒素ガス(N)等を供給し、炉内側に噴出させてもよい。尚、フィルタ180としては、例えば、宇部興産株式会社製の「チラノ繊維」からなる織布を用いることができる。このチラノ繊維は、シリコン、チタンまたはジルコニウム、炭素、酸素から成るセラミックス繊維である。
【0025】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態は、検出波Aによる走査円Sが一つの場合であるが、走査円Sを複数の同心円にすることにより、走査線Sに沿った堆積高さのプロフィールが複数得られ、各々のプロフィールを合成することで、装入物20の表面プロフィールをより正確に知ることができる。
【0026】
本実施形態では、図7に示すように、検出波Mによる走査円Sを3つの同心円Sa、Sb、Scとする場合を例にして説明する。その装置構成を図5に、図1に従って示すが、ここでは送受信手段100、回転板120及び駆動源130の周辺についてのみ記載して説明する。図示されるように、回転板120には3つの送受信手段100a、100b、100cが取り付けられている。3つの送受信手段100a、100b、100cでは、それぞれのアンテナ102a、102b、102cから3つの検出波Ma、Mb,Mcが送信されるが、それぞれ回転軸131の軸線Cとの交差角度θが異なっており、送受信手段100aにおける検出波Maとの交差角度をθa、送受信手段100bにおける検出波Mbとの交差角度をθb、送受信手段100cにおける検出波Mcとの交差角度をθcとする。尚、図の例では、回転軸131の軸線Cと、検出波Ma,Mb、Mcとの交差位置が異なっているが、同一になるようにアンテナ102a、102b、102cの回転板120との傾斜角度を調整してもよい。これにより、開口2の開口面積を小さくすることができる。
【0027】
また、図6に示すように、回転板120には、面上を3等分する位置にそれぞれスリット121a、121b、121cが形成されており、各スリットそれぞれに送受信手段100a、100b、100cのアンテナ102a、102b、102cが取り付けられている。その際、回転板120が平坦な円板である場合には、同図の点線で示す同一円上にて、各送受信手段のアンテナ102a、102b、102cを、それぞれの交差角度θa、θb、θcとなるように角度調整して取り付ける。また、図4に示したように、回転板120が湾曲面の場合は、スリット121a、121b、121cへのアンテナ102a、102b、102cの取付位置、即ち回転軸131からの離間距離を互いに変えればよい。
【0028】
図7に示すように、3つの送受信手段100a、100b、100cがそれぞれ、互いに直径の異なる3つの走査円Sa、Sb、Scにて装入物20の表面を走査するため、装入物20の堆積状態をより正確に知ることができる。
【0029】
尚、3つの送受信手段100a、100b、100cによる走査は、3つ同時でもよいし、スイッチにより切り替えて順に行うこともできる。即ち、図5に示すように、送受信器101a、101b、101cのそれぞれにアンテナ102a、102b、102cを接続して送受信手段100a、100b、100cとして同時に送受信してもよいし、図示は省略するが、送受信器101を一つとし、アンテナ102a、102b、102cを接続してスイッチでアンテナを切替えて送受信を順に行うこともできる。
【0030】
(第3実施形態)
上記の第1実施形態及び第2実施形態はともに、高炉1の開口2の直上に検出装置を設置した状態を示しているが、炉内からの熱を避けるために、図8に示すように、開口2の直上に、開口2に対して例えば45°傾斜する金属製の反射板200を設置し、反射板200と検出装置とを対向配置することもできる。尚、図8は、図1に示す検出装置を用いた場合を示す。また、図5に示すように複数の走査円Sa、Sn、Scで走査する検出装置を用いることもできる。
【0031】
図示される検出装置においても、送受信手段100のアンテナ101から送信される検出波は、図中Mで示すように、反射板200で反射されて開口2を通じて炉内へと進み、装入物(図示せず)の表面で反射されて、その反射波が反射板200で反射して送受信手段100へと至り、受信される。
【0032】
以上、本発明に関して高炉1における装入物20、即ち鉄鉱石やコークスの表面プロフィールの検出装置について説明したが、この検出装置はそのままの構成で、溶融炉における溶融金属の表面プロフィール、焼却炉におけるごみの表面プロフィール、ホッパーにおける穀物等の各種貯蔵物の表面プロフィールの検出にも応用することができる。
【0033】
(操業方法)
本発明はまた、上記の検出装置で検出した装入物の表面プロフィールを、安定した高炉1等の操業を行うのに適した理論上の表面プロフィールに近づけて装入物の補給を行い、より安定した操業を行うことを含む。
【0034】
例えば、高炉1では、検出装置で検出した表面プロフィールを基に、理論堆積状態よりも少ない箇所には多く、多い箇所には少なく鉄鉱石やコークスを補給して操業を行う。
【符号の説明】
【0035】
1 高炉
2 開口部
20 装入物
100、100a、100b、100c 送受信手段
101、101a、101b、101c 送受信器
102、102a、102b、102c アンテナ
120 回転板
121、121a、121b、121c スリット
130 駆動源
131 回転軸
140 エンコーダ
150 無線信号伝送装置
160 気密容器
170 隔壁
200 反射板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10