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特許7017755放送波受信装置、放送受信方法、及び、放送受信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】放送波受信装置、放送受信方法、及び、放送受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04H 60/33 20080101AFI20220202BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20220202BHJP
   H04H 60/78 20080101ALI20220202BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20220202BHJP
【FI】
H04H60/33
G10L15/10 500N
H04H60/78
H04H40/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018010038
(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公開番号】P2019129413
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505040903
【氏名又は名称】株式会社見果てぬ夢
(73)【特許権者】
【識別番号】397033548
【氏名又は名称】株式会社クオラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】下山 二郎
(72)【発明者】
【氏名】松下 幸生
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-338323(JP,A)
【文献】特開2008-269107(JP,A)
【文献】特開2007-286209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0349904(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106649712(CN,A)
【文献】特開2003-219288(JP,A)
【文献】特開2017-111760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H 60/33
G10L 15/10
H04H 60/78
H04H 40/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局からの放送波を受信するアンテナと、
前記放送波を少なくとも音声に変換する変換部と、
前記音声を出力する出力部と、
ユーザの音声を集音するマイクと、
前記マイクが集音したユーザの音声に関する情報を前記放送局に送信する送信部とを備え
前記送信部は、前記アンテナを介して、特定の周波数帯を用いて、放送波に前記ユーザの音声を重畳して、前記放送局に送信する
放送波受信装置。
【請求項2】
前記放送波受信装置は、前記放送局と通信ネットワークを介して接続されており、
前記送信部は、前記通信ネットワークを介して、前記ユーザの音声が文字列に変換されたテキストデータを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の放送波受信装置。
【請求項3】
前記放送波受信装置は、更に、
特定のキーワードを受け付ける受付部と、
前記ユーザの音声に前記特定のキーワードが含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記ユーザの音声に前記特定のキーワードが含まれると判定した場合に、当該ユーザの音声に関する情報を送信するよう前記送信部に指示する制御部とを、備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の放送波受信装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記出力部から出力された前記放送局からの放送波に基づく音声の中に予め定められた文言がある場合に、当該文言に後続する音声を前記特定のキーワードとして受け付ける
ことを特徴とする請求項に記載の放送波受信装置。
【請求項5】
前記放送波受信装置は、更に、
前記ユーザの感情を特定する特定部を備え、
前記送信部は、前記特定部が特定した前記ユーザの感情を前記放送局に送信する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の放送波受信装置。
【請求項6】
前記放送波受信装置は、更に、
ユーザの音声から当該ユーザの感情を推定するための推定モデルを記憶する記憶部を備え、
前記特定部は、前記マイクが集音したユーザの音声と、前記推定モデルとを用いて前記ユーザの感情を特定する
ことを特徴とする請求項に記載の放送波受信装置。
【請求項7】
放送局からの放送波をアンテナにより受信する受信ステップと、
前記放送波を少なくとも音声に変換する変換ステップと、
前記音声をスピーカから出力する出力ステップと、
ユーザの音声をマイクにより集音する集音ステップと、
前記マイクが集音したユーザの音声に関する情報を前記放送局に送信する送信ステップとを含み、
前記送信ステップは、前記アンテナを介して、特定の周波数帯を用いて、放送波に前記ユーザの音声を重畳して、前記放送局に送信する
放送受信方法。
【請求項8】
コンピュータに、
放送局からの放送波をアンテナにより受信する受信機能と、
前記放送波を少なくとも音声に変換する変換機能と、
前記音声をスピーカから出力する出力機能と、
ユーザの音声をマイクにより集音する集音機能と、
前記マイクが集音したユーザの音声を前記放送局に送信する送信機能とを実現させ
前記送信機能は、前記アンテナを介して、特定の周波数帯を用いて、放送波に前記ユーザの音声を重畳して、前記放送局に送信する
放送受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を受信する放送波受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送を行う側は、放送を行っている内容について、ユーザからの感想を貰って、その後の番組の作成や進行に役立てることを行っている。当該感想は、例えば、アンケートや番組に関連するウェブサイトへの書き込みを利用して得ることができる。特許文献1には、各ユーザが放送中のテレビ番組に関する感情を示す選択肢の中からユーザ自身の感情に合致する選択肢を選択する入力を携帯端末に行い、それらの入力された感情を取りまとめて、各携帯端末にフィードバックする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-126377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザは各々の感情を自身の端末に入力するという手間があるという問題がある。また、感情の選択だけでは、より深い内容を放送側は認識することができないという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、携帯端末等の情報処理端末に対してユーザが特に意識して入力操作を行うことなく、番組を視聴したユーザの感想を放送側にフィードバックすることができる放送波受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決すべく、本発明の一態様に係る放送波受信装置は、放送局からの放送波を受信するアンテナと、放送波を少なくとも音声に変換する変換部と、音声を出力する出力部と、ユーザの音声を集音するマイクと、マイクが集音したユーザの音声に関する情報を放送局に送信する送信部とを備える。
【0007】
また、上述の課題を解決すべく、本発明の一態様に係る放送受信方法は、放送局からの放送波を受信する受信ステップと、放送波を少なくとも音声に変換する変換ステップと、音声をスピーカから出力する出力ステップと、ユーザの音声をマイクにより集音する集音ステップと、マイクが集音したユーザの音声に関する情報を放送局に送信する送信ステップとを含む。
【0008】
また、上述の課題を解決すべく、本発明の一態様に係る放送受信プログラムは、コンピュータに、放送局からの放送波を受信する受信機能と、放送波を少なくとも音声に変換する変換機能と、音声をスピーカから出力する出力機能と、ユーザの音声をマイクにより集音する集音機能と、マイクが集音したユーザの音声を放送局に送信する送信機能とを実現させる。
【0009】
また、上記放送波受信装置において、放送波受信装置は、放送局と通信ネットワークを介して接続されており、送信部は、通信ネットワークを介して、ユーザの音声が文字列に変換されたテキストデータを送信することとしてもよい。
【0010】
また、上記放送波受信装置において、送信部は、アンテナを介して、特定の周波数帯を用いて、放送波にユーザの音声を重畳して、放送局に送信することとしてもよい。
【0011】
また、上記放送波受信装置において、放送波受信装置は、更に、特定のキーワードを受け付ける受付部と、ユーザの音声に特定のキーワードが含まれるか否かを判定する判定部と、判定部がユーザの音声に特定のキーワードが含まれると判定した場合に、当該ユーザの音声に関する情報を送信するよう送信部に指示する制御部とを、備えることとしてもよい。
【0012】
また、上記放送波受信装置において、受付部は、出力部から出力された放送局からの放送波に基づく音声の中に予め定められた文言がある場合に、当該文言に後続する音声を特定のキーワードとして受け付けることとしてもよい。
【0013】
また、上記放送波受信装置において、放送波受信装置は、更に、ユーザの感情を特定する特定部を備え、送信部は、特定部が特定したユーザの感情を放送局に送信することとしてもよい。
【0014】
また、上記放送波受信装置において、放送波受信装置は、更に、ユーザの音声から当該ユーザの感情を推定するための推定モデルを記憶する記憶部を備え、特定部は、マイクが集音したユーザの音声と、推定モデルとを用いてユーザの感情を特定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る放送波受信装置は、放送の内容を視聴したユーザの感想を自動的に、放送側にフィードバックすることができる。したがって、放送側は放送時にリアルタイムでユーザの感想などを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】放送システムの概要を示す概要図である。
図2】放送波受信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】放送システムにおける装置間のやり取りを示すシーケンス図である。
図4】放送波受信装置の動作を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る放送システムの概要を示す概要図である。
図6】実施の形態2に係る放送波受信装置の動作を示すフローチャートである。
図7】放送波受信装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る放送波受信装置について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0018】
<実施の形態1>
<概要>
放送システム1は、放送波を発信し、その放送波に基づく放送を見たあるいは聞いたユーザの所感が自動的に、放送側にフィードバックされるシステムである。図1に示すように、放送システム1は、放送波受信装置100と、放送発信装置200と、電波塔300と、放送局端末400と、モニター410と、ネットワーク500とを含む。なお、放送波受信装置100の台数は、1つに限るものではなく、ユーザそれぞれが所持するものであってよく、複数存在してよい。
【0019】
放送システム1は、ここでは、ラジオ放送のシステムとするが、放送システム1は、ラジオ放送に限定するものではなく、各種の放送に対応してよく、例えば、テレビ放送などであってもよい。
【0020】
放送システム1において、情報を発信するパーソナリティ20が話した内容が、放送発信装置200により、放送波に変換され、電波塔300から所定の周波数にのせて放送される。放送波受信装置(以下、AIラジオとも呼称する)100は、電波塔300から発信された放送を受信し、音声にして出力する。これにより、ユーザ10は、ラジオ放送を聞くことができる。
【0021】
AIラジオ100は、ユーザ10が話した内容を、マイクを通して集音する。AIラジオ100は、ユーザが話した内容を、テキストデータに変換し、ネットワーク500を介して、放送側が管理する放送局端末400に送信する。放送局端末400は、受信したテキストデータを、モニター410に表示する。これにより、パーソナリティ20は、リアルタイムで、流している放送内容に対するユーザ10の生の声を認識することができ、番組作りに役立てることができる。また、ユーザ10の方も、番組に対する感想を話すだけで、放送側に伝達することができる。
【0022】
例えば、図1に示す例では、パーソナリティ20が「今、○○が流行ってますね~」という放送内容に対して、ユーザ10が、「へえ、そうなんだ。興味ある~」という感想を抱いている。ユーザ10が話した内容は、文字列に変換され、モニター410に表示される。したがって、パーソナリティ20は、自身が話した内容に対して、ユーザからの共感を得ていることを認識することができる。また、モニター410に示すように、他のユーザが抱いた感想として、「どこで買うのかな?」という感想を見て、それに対する情報を発信したりすることができるようになる。
【0023】
このように、放送システム1においては、放送を受け取った側の感想、生の声が、放送側に自動でフィードバックされる。よって、放送システム1は、より面白い番組作りに供与することができる。
【0024】
<構成>
図2は、AIラジオ100の構成例を示すブロック図である。AIラジオ100は、ラジオ放送を受信して、音声を出力することができる情報処理装置である。図2に示すように、AIラジオ100は、受信部110と、スピーカ120と、マイク130と、記憶部150と、ネットワーク通信部160と、制御部170とを備え、各部は、バス180を介して互いに通信可能に接続されている。AIラジオ100は、従来のラジオが有する機能を有し、更に、従来のラジオが有する機能に加えて、ユーザの声を集音して、テキストデータに変換して、送信する構成を有する。なお、AIラジオ100の形状は、箱型等のラジオに限定するものではなく、ラジオ放送を受信できれば、どのような形状であってもよく、例えば、ペン型などであってもよい。
【0025】
受信部110は、放送波を受信する機能を有する。受信部110は、アンテナを含み、予め指定された周波数の信号を受信し、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部170に伝達する。
【0026】
スピーカ120は、音声を出力する機能を有する。スピーカ120は、受信部110が受信した放送波に基づく音声であって、制御部170からの伝達された音声信号に基づく音声を出力する。
【0027】
マイク130は、AIラジオ100の周囲の音声を集音する機能を有する。マイク130は、集音した音声を、制御部170に伝達する。
【0028】
入力部140は、AIラジオ100のユーザからの入力を受け付ける機能を有する。入力部140は、例えば、AIラジオ100に備えられたハードキーや、タッチパネル等を利用したソフトウェアキーにより実現することができる。入力部140は、入力内容を制御部170に伝達する。入力部140は、例えば、受信したい放送波の周波数の入力を受け付ける。
【0029】
ネットワーク通信部160は、ネットワーク500を介して、外部の他の装置と通信を実行する機能を有する。ここでは、ネットワーク通信部160は、制御部170からの指示に従って、マイク130が集音した音声をテキストデータに変換したデータを、放送局端末400に送信する。ネットワーク通信部160は、有線、無線のいずれでネットワーク500と接続されてよく、通信が実行できれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0030】
記憶部150は、AIラジオ100が動作上必要とする各種のプログラム、データ、パラメータ等を記憶する記憶媒体である。記憶部150は、これらのプログラム、データを記憶できるものであればよく、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができる。記憶部150は、音声の内容や、音声の内容からユーザの感情を解析する解析プログラムや、解析内容をテキストデータに変換する変換プログラムなどを記憶している。
【0031】
制御部170は、AIラジオ100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部170は、記憶部150に記憶されている各種プログラムを実行することにより、AIラジオ100の各部を制御する。
【0032】
制御部170は、マイク130から伝達される周囲の音声を集音した音声信号を解析する解析部171として機能する。解析部171は、音声信号中から、放送波の音声を除去し、AIラジオ100のユーザの音声を特定する。解析部171による解析は、従来の音声解析技術を利用することにより実現することができる。
【0033】
制御部170は、音声信号中から特定したユーザの音声を、文字列に変換する文字変換部172としても機能する。音声を文字列に変換する手法としては、従来からある音声認識技術を用いて実現することができる。
【0034】
制御部170は、文字変換部172として変換して得られた文字列を、所定のウェブページにアップロードするアップロード部173としても機能する。アップロード部173は、受信部110が受信した放送波に対応する放送局が開設しているウェブサイトであって、ユーザの感想を受け付けるためのウェブサイトに対して、生成した文字列をアップロードする。ここでいうアップロードとは、少なくとも生成した文字列を、放送局端末400に送信することをいい、放送局端末400が開設するウェブサイトに直接書き込む処理を含んでもよい。
【0035】
以上が、AIラジオ100の構成である。
【0036】
なお、放送発信装置200は、従来の放送装置と同様の構成を有し、同様に機能するものであればよいため、詳細については、説明を省略する。また、放送局端末400についても、ネットワーク500を介して、AIラジオ100と通信する機能を有し、受信したデータを表示する表示処理を実行できる情報処理装置であればよく、例えば、一般的なPC、タブレット端末、スマートフォンなどにより実現することができるものであるため、詳細な説明を省略する。
【0037】
<動作>
図3は、放送システム1に係る各装置間のやり取りを示すシーケンス図である。ここでは、放送発信装置200と電波塔300とを併せて放送局と呼称する。
【0038】
放送局は、パーソナリティ20がマイクに向かって話した音声を受け付ける(ステップS301)。
【0039】
放送局は、予め定めた周波数にのせて、音声を放送波として送信する(ステップS302)。放送局から発信された放送波は、直接または中継局を介して、ユーザのAIラジオ100まで送達する。
【0040】
AIラジオ100は、放送波を受信する。AIラジオ100は受信した放送波に基づく音声を出力する(ステップS303)。音声を出力している間、AIラジオ100は、周囲の音声を集音する(ステップS304)。周囲の音声には、AIラジオ100に対応するユーザの音声も含まれる。AIラジオ100は、周囲した音声を文字列に変換する。そして、AIラジオ100は、変換した文字列を示すテキストデータを放送局端末400に送信する(ステップS305)。
【0041】
放送局端末400は、受信したテキストデータを文字列に表示する(ステップS306)。このようにして、放送の内容を視聴したユーザの感想が自動的に放送局側にフィードバックされることになる。
【0042】
次に、本実施の形態に係るAIラジオ100の動作を説明する。図4は、AIラジオ100の動作を示すフローチャートである。
【0043】
受信部110は、電波塔300からの放送波を受信する(ステップS401)。放送波を受信すると、受信部110は、予め指定されている所定の周波数領域の信号を抽出して、デジタル信号に変換し、制御部170に伝達する。制御部170は、伝達されたデジタル信号を出力できるよう音声信号に変換して、スピーカ120に伝達する。スピーカ120は、伝達された音声信号を外部に出力(報知)する(ステップS402)。
【0044】
AIラジオ100のマイク130は、周囲の音声を集音する(ステップS403)。マイク130は、集音した音声をデジタル信号に変換して、制御部170に伝達する。
【0045】
制御部170は、マイク130が集音した周囲の音声から、ユーザの音声が含まれているか否かを解析する(ステップS404)。マイク130が集音した周囲の音声は、放送波に基づく音声や、周囲の環境音なども含まれる。そこで、一例として、制御部170は、伝達された周囲の音声に対して、所定の周波数帯を除去(フィルタリング)して、雑音となる周囲の環境音を除去するとともに、放送波に基づく音声については、受信部110が受信した放送波の音声と比較して一致する成分を除去する。これにより、マイク130から集音した音声にユーザの音声のみが残る状態とすることができ、その結果、制御部170は、マイク130が集音した周囲の音声に、ユーザの音声が含まれているか否かを判定することができる。
【0046】
制御部170は、周囲の音声がユーザの音声を含むと判断した場合には(ステップS404のYES)、当該音声をテキストデータの文字列に変換する(ステップS405)。
【0047】
制御部170は、テキストデータに変換したデータを、放送局に対応するウェブページにアップロードする(ステップS406)。これにより、放送局端末400に接続されたモニター410には、ユーザが発した音声の内容を示す文章が表示されることになる。その文章には、ユーザの放送に対する感想などが含まれ得ることから、放送を行っているパーソナリティは、自身が流している番組に対するユーザのレスポンスの内容を認識することができる。
【0048】
制御部170は、AIラジオ100に対して、ユーザが電源を切る操作をしたか否かを、入力部140からの電源OFFの入力があったか否かに基づいて判断する(ステップS407)。電源が切られていない場合には(ステップS407のNO)、AIラジオ100は、ステップS401の処理に戻る。電源が切られた場合には(ステップS407のYES)、放送の受信を終了し、電源を切って終了する。以上が、AIラジオ100の動作の説明である。
【0049】
なお、本フローチャートにおけるステップS401とS402、及び、ステップS403~S406の処理は、並行して実行されてよい。
【0050】
<まとめ>
上記実施の形態1に示したように、放送波受信装置100は、ユーザの発した音声を文字列に変換して、放送局端末400に送信することができる。したがって、放送を発信する側に対して、ユーザの抱いた感想をリアルタイムにフィードバックすることができる。
【0051】
<実施の形態2>
上記実施の形態1においては、AIラジオ100は、ユーザ10の発した声の全てをテキストデータに変換して放送局端末400にアップロードすることになる。しかしながら、その場合に、ユーザが発した全ての会話が挙げられることになり、パーソナリティは、全ての内容を追えなくなる。
【0052】
<概要>
図5は、本実施の形態2に係る放送システム1の概要を示す概要図である。本実施の形態2において、放送システム1は、ユーザの感想をフィードバックする点においては、実施の形態1と共通するが、放送波受信装置100は、ユーザの発言のうち特定の会話のみをフィードバックする点において異なる。
【0053】
図5に示すように、パーソナリティ20は、ユーザからの感想が欲しい場合には、ユーザの感想を拾うためのキーワードを話す。図5の場合であれば、「キーワード“Aについて”」との文言が該当する。
【0054】
そして、ユーザ10は、パーソナリティ20が話した「皆、Aについてどう思うかな?キーワード“Aについて”に続けてしゃべってね」との音声に対して、「う~ん、そうだなあ、“Aについて”面白いと思う」という感想を述べたとする。すると、放送波受信装置100は、ユーザ10が発した音声のうち、キーワードである“Aについて”に続く文言のみを文字列に変換して、放送局端末400に送信する。
【0055】
すると、モニター410には、パーソナリティ20が欲しい感想部分のみの情報が表示されることになる。図5の場合であれば、ユーザ10の「面白いと思う」という部分だけが、アップロードされることになる。
【0056】
以下、当該構成を実現するための手法について説明する。
【0057】
<構成>
本実施の形態2におけるシステム構成は、実施の形態1に示したものと同一であり、その差異は、AIラジオ100の制御部170が実行する処理が異なる。
【0058】
具体的には、制御部170は、実施の形態1に示した機能に加えて、更に、以下の機能を有する。制御部170は、解析部171として、パーソナリティ20が発した音声のうち、特定の言葉が含まれているか否かを判定する機能を有する。図5に示す例では、「キーワード」が特定の言葉となる。特定の言葉は、予めAIラジオ100の記憶部150に記憶しておく。そして、制御部170は、パーソナリティ20が発した音声から、特定の言葉である「キーワード」に続く言葉を、一時的なキーワードとして記憶部150に記憶する。そして、制御部170は、ユーザ10が発した音声の中から、一時的に記憶したキーワードがあるか否かを判定し、当該キーワードが含まれていた場合にのみ、当該キーワードに続く文言を文字列に変換して放送局端末400に送信する。
【0059】
<動作>
図6は、実施の形態2に係るAIラジオ100の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートにおいて、図4に示したフローチャートと異なる点は、ステップS404~S406の処理に換えて、ステップS604~S607の処理を実行する点にあり、それ以外については、同様の処理になるので、説明を省略する。
【0060】
周囲の音声を集音する(ステップS403)と、ステップS604において、AIラジオ100の制御部170は、マイク130が集音した音声中に特定の音声が含まれるか否かを判定する(ステップS604)。当該特定は、マイク130が集音した音声を示す音声信号中に、予め記憶部150に記憶されている特定の音声に対応する音声を示す音声信号と所定以上の相関を有する信号が含まれるか否かに基づいて実行することができる。
【0061】
制御部170は、マイク130が集音した音声中に、特定の音声が含まれると判定した場合に(ステップS604のYES)、当該特定の音声に続く音声(文言)を、キーワードとして設定する。即ち、特定したキーワードを、一時的に記憶部150に記憶する(ステップS605)。そして、ステップS401の処理に戻る。
【0062】
マイク130が集音した音声に、特定の音声が含まれていない場合に(ステップS604のNO)、制御部170は、マイク130が集音した音声に、キーワードが含まれているか否かを判定する(ステップS606)。当該判定は、当該特定は、マイク130が集音した音声を示す音声信号中に、予め記憶部150に記憶されているキーワードに対応する音声を示す音声信号と所定以上の相関を有する信号が含まれるか否かに基づいて実行することができる。
【0063】
マイク130が集音した音声中にキーワードが含まれていた場合に(ステップS606のYES)、制御部170は、キーワードに続く音声を文字列に変換する。そして、制御部170は、変換した文字列を、ネットワーク500を介して、放送局端末400にアップロードするようネットワーク通信部160に指示する。そして、ステップS407の処理に移行する。なお、マイク130が集音した音声中にキーワードが含まれていない場合には、(ステップS606のNO)、そのままステップS407の処理に移行する。
【0064】
以上が、実施の形態2に係るAIラジオ100の動作である。
【0065】
<まとめ>
本実施の形態2に係る放送波受信装置100は、ユーザ10が発した特定の発言だけを特定して、放送側(放送局端末400)にフィードバックすることができる。したがって、放送側(パーソナリティ20)は、ユーザの全ての発言を確認する必要がなく、放送の発信側が望む情報だけを獲得することができる放送波受信装置100を提供することができる。
【0066】
<補足>
上記実施の形態に従って、放送波受信装置100について説明したが、放送波受信装置100は、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、放送システム1が取り得る他の態様について説明する。
【0067】
(1)上記実施の形態においては、ユーザの感想は、ネットワーク通信部160がネットワーク500を介して、放送局端末400に送信することとしているがこれはその限りではない。AIラジオ100は、特定の周波数帯の信号に、ユーザの感想を示す音声を重畳して、放送局と同様に、無線で送信する構成としてもよい。即ち、AIラジオ100は、放送を受信して、放送を返信するという構成としてもよい。この場合、放送局端末400は、当該特定の周波数帯を受信して複合し、音声を文字列に変換する構成を備え、当該文字列を表示する構成としてもよい。
【0068】
(2)上記実施の形態2においては、AIラジオ100は、特定のキーワードに反応して、ユーザ10の特定の会話のみをアップロードする構成となっていたが、これはその限りではない。キーワードを設定せずにAIラジオ100は、ユーザ10が発した会話のうち、放送側にとって重要と思われる内容を発しているときの文言をアップロードすることとしてもよい。
【0069】
当該構成は、例えば、ユーザの会話を文字列に変換し、その文字列に対して、重要かどうかを判定するための深層学習を利用した推定モデルを記憶部150に記憶しておき、その推定モデルを利用して重要か否かを判定して、文字列をアップロードする構成により実現することとしてもよい。また、あるいは、音声の周波数帯や音量などの解析をすることにより、ユーザの感情を特定し、その感情の起伏の激しいときの会話を特定して、変換された文字列をアップロードする構成としてもよい。
【0070】
(3)上記実施の形態においては、AIラジオ100は、ユーザの音声を変換した文字列を、放送局端末400にアップロードすることとしたが、これは、ユーザの音声を変換した文字列に限るものではない。AIラジオ100は、ユーザの発した音声から、ユーザのそのときに抱いている感情を特定し、その感情を示す情報をアップロードすることとしてもよい。当該感情の特定には、現存する音声による感情認識技術を利用することができる。これによって、パーソナリティ20は、番組を視聴しているユーザの大まかな感情を認識することができ、番組の進行や、今後の番組の構成に役立てることができる。
【0071】
(4)上記実施の形態においては、ラジオ放送を一例として説明したが、これはその限りではないことは、上述した通りである。例えば、放送システム1は、テレビ放送に流用することもできるし、災害時のユーザ10の実際の安否確認にも利用することができる。例えば、放送側が、「生きていたら返事してください」という放送を流して、ユーザ10が「Bです。生きています」とAIラジオ100に向かって話すことで、放送側は、Bさんが生きていることを認識し、その旨を放送で様々な聴衆に伝えることができる。
【0072】
(5)上記実施の形態において、AIラジオ100は、更に、AIラジオ100を保持するユーザの声色を判定する機能を有してもよい。当該判定は、マイク130が収集した音声に含まれる人の声の、周波数や声量、音圧などから特定することとしてよく、当該特定には、深層学習を用いたユーザの声の推定モデルを記憶部150に記憶しておくことで実現することができる。ユーザの声色を判定することで、ユーザの声の抽出精度を向上させることができる。
【0073】
(6)上記実施の形態においてAIラジオ100は、自動でユーザの音声を解析して、放送局端末400にアップロードすることとしているが、発話障害を有するユーザの場合には、音声による入力ができない。そこで、AIラジオ100は、更にユーザからの手入力を受け付けて、受け付けた内容をアップロードする構成を有してもよい。当該手入力の機能として、手書き入力により実現することとしてもよい。当該入力の手段としては、例えば、タッチパッドやタッチパネルなどを利用することができる。なお、このとき、AIラジオ100、あるいは、放送局端末400のいずれかは手書き入力された内容をデジタルテキストデータに変換するOCR(Optical Character Recognition/Reader)機能を有してもよい。
【0074】
(7)上記実施の形態において、放送システム1に係る各装置の各機能部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。また、当該回路は、再構築可能な回路(例えば、FPGA:Field Programmable Gate Away)により実現されてもよい。放送波受信装置100を回路により構成する場合、例えば、図7に示すように、受信回路110aと、スピーカ120と、マイク130と、入力回路140aと、記憶回路150aと、ネットワーク通信回路160aと、制御回路170aとから構成されてよく、各回路は、上記実施の形態に示した各機能部と同様の機能を実現する。
【0075】
AIラジオ100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、放送波受信装置100は、各機能を実現するソフトウェアである制御プログラム(解析プログラム、文字列変換プログラム、アップロードプログラム等)の命令を実行するCPU、制御プログラムおよび各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記制御プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記委任状送信プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0076】
なお、上記制御プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0077】
(8)本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 放送システム
100 放送波受信装置(AIラジオ)
110 受信部
120 スピーカ
130 マイク
140 入力部
150 記憶部
160 ネットワーク通信部
170 制御部
171 解析部
172 文字変換部
173 アップロード部
200 放送発信装置
300 電波塔
400 放送局端末
500 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7