IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 嶋田 隆一の特許一覧

特許7017758リードリレーを利用した直流電流開閉装置
<>
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図1
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図2
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図3
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図4
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図5
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図6
  • 特許-リードリレーを利用した直流電流開閉装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】リードリレーを利用した直流電流開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20220202BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20220202BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01H47/00 H
H01H47/00 J
H01H9/54 A
H01H9/54 J
H01H9/54 H
H01H33/59 C
H01H33/59 D
H01H33/59 H
H01H33/59 P
H01H33/59 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018102796
(22)【出願日】2018-05-13
(65)【公開番号】P2019197718
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-02-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714003922
【氏名又は名称】嶋田 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100114269
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貞喜
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 隆一
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191764(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170566(WO,A1)
【文献】特開2014-241187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
H01H 33/28 - 33/59
H01H 47/00 - 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と負荷との間に挿入されて使用される、リードリレーを利用した直流電流の開閉装置(以下単に「開閉装置」という。)であって、該開閉装置は、
第1のリードリレーと、
前記第1のリードリレーと直列に接続され、前記第1のリードリレーの電流を導通・遮断するMOSFETと、
前記第1のリードリレーと前記MOSFETとの直列接続回路に並列に接続される第2のリードリレーとを備え、さらに、
外部からの指令により前記MOSFETに対してオン/オフを指令する信号を与えるゲート制御回路を備えるとともに、
前記ゲート制御回路は、
前記直流電源が前記負荷に前記直流電流を供給するときは、前記第1のリードリレーがオンされた後に前記MOSFETをオンし、最後に第2のリードリレーがオンするように制御され、
前記直流電流を遮断するときは、前記第2のリードリレーがオフされた後に前記MOSFETをオフして電流を遮断した後に、電流無しの状態で第1のリードリレーをオフするように制御されることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記第1のリードリレーのオン後に前記MOSFETをオンさせるまでの時間及び前記MOSFETのオフ後に前記第1のリードリレーをオフさせるまでの時間が、前記第1のリードリレーのオン/オフ時の機械的振動によるチャタリングを起こす時間帯よりも長くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記MOSFETのドレイン-ゲート間にコンデンサ、ゲート-ソース間に抵抗をそれ接続してミラー積分回路とすることにより、ゲート電圧の変化スピードを緩やかにするとともに、前記コンデンサを電圧非線形のコンデンサにすることにより、再起電圧の上昇カーブを制御して前記MOSFETのジュール損を削減することを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第1のリードリレーの後に、ダイオード整流ブリッジを介して前記MOSFETを接続することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の開閉装置。
【請求項5】
前記MOSFETの通電損失による発熱を低減するために、前記MOSFETのゲートにスレッショルド電圧より大きな電圧を与えて低オン電圧の飽和駆動とし、さらに、前記MOSFETのオフの際には前記ゲートに負電圧を与えて完全なゲート遮断状態にすることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のリードリレーを利用した直流電流開閉装置に関し、特に高速で、長寿命、高い信頼性を持つリードリレーが、小型であるため多くの電子回路で使われているが、接点の通電能力は数Aあるのに、電力容量は数10ワットから最大100ワットであったが、これを開閉できる電流を増やすために半導体スイッチ回路を並列に接続して、オン時オフ時は半導体スイッチが通電遮断する、小型高速な直流ハイブリッド開閉装置にする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、リードリレーを利用した直流電流の開閉装置に関し、リードスイッチの長所を生かし、欠点である通電電流の遮断が出来ない点を解消しようとするものである。リードスイッチの電流遮断能力は極めて小さく、接点の消耗を考えると、直流電力の制御は限定的である。
【0003】
リードリレーの特徴は、ガラス管に封じ込まれた電極を外部からの磁界によって駆動することにあって、絶縁抵抗が非常に高く、10の12乗Ω以上であること、これをハイブリッド化することで無くさない工夫が必要である。
【0004】
従来のハイブリッド開閉器は絶縁ゲートを持ったパワー用MOSFETやIGBTなどで、直流電流のオン・オフが可能ではあるが、半導体デバイスではリードスイッチに較べれば、リーク電流が大きい。リードスイッチの特徴を失わないために、半導体スイッチにもリードスイッチを直列に接続して絶縁抵抗を確保しなければならない。
【0005】
本発明は下記特許文献1に開示された金属接点と半導体スイッチの並列接続による無アーク開閉器の原理を、高速で多頻度、高絶縁抵抗なリードリレー開閉器へ応用しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許5864006号
【文献】特開2017-059513
【文献】特開2017-126544
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記特許文献1に示された機械接点と半導体スイッチの並列による直流電流の開閉回路は、双投接点のb接点を使って半導体スイッチを制御しているので、半導体の通電はa接点からb接点までのトランスファー時間のみである。また、a接点は開極して最大の距離になってから後に遮断して再起電圧が発生するという理想の手順になっている。
しかし、遮断状態ではb接点から高抵抗ではあるがプルアップ抵抗(100kΩ以上)を介してわずかな電流が流れる。その電流はリーク電流となって、遮断時に連続してあるのでリードスイッチの特徴である高抵抗の遮断特性が無くなる問題があった。
【0008】
また、リードスイッチは駆動構造からノルマル・オープンのa接点のみの構成が基本であり、b接点が無いので、半導体スイッチのゲート駆動する回路は、別に用意する必要がある。また、リーク電流をなくする目的で半導体スイッチに直列にリーク電流遮断用のリードスイッチS1を設けるが、その駆動電源もまた別に用意する必要がある。さらにリーク電流遮断用のリードスイッチS1がオンする時の電圧で半導体スイッチにパルス的電流が流れるのを阻止する必要もあるためにゲートを完全な遮断状態にしてからリードスイッチS1をオンする必要もある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的はリードスイッチを直流ハイブリッド開閉装置に適用する場合必要な、制御シーケンス、ゲート駆動電源、タイマー回路など高信頼の絶縁電源を用意して、さらに信頼性を上げる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、直流電源と負荷との間に挿入されて使用される、リードリレーを利用した直流電流の開閉装置に関し、本発明の上記目的は、該開閉装置が、第1のリードリレー(1)と、
前記第1のリードリレー(1)と直列に接続され、前記第1のリードリレー(1)の電流を導通・遮断するMOSFET(5)と、前記第1のリードリレー(1)と前記MOSFET(5)との直列接続回路に並列に接続される第2のリードリレー(3)とを備え、さらに、外部からの指令により前記MOSFET(5)に対してオン/オフを指令する信号を与えるゲート制御回路(4)を備えるとともに、前記ゲート制御回路(4)は、前記直流電源が前記負荷に前記直流電流を供給するときは、前記第1のリードリレー(1)がオンされた後に前記MOSFET(5)をオンし、最後に第2のリードリレー(3)がオンするように制御され、前記直流電流を遮断するときは、前記第2のリードリレー(3)がオフされた後に前記MOSFET(5)をオフして電流を遮断した後に、電流無しの状態で第1のリードリレー(1)をオフするように制御されることを特徴とする開閉装置によって達成される。
【0011】
第1のリードリレーS1を半導体スイッチ回路に直列に入れて、半導体スイッチで電流の遮断完了後は速やかに第1のリードリレーS1を開放して高い絶縁抵抗を確保する。第1のリードリレーS1は通電される時間が短く、かつ半導体スイッチのプルアップ抵抗のリーク電流や洩れ電流などのほとんど電流の無い状態なので無アークで遮断できる。
負荷の開閉では、インダクタンスの大きな負荷の場合、遮断時過電圧が発生する、またコンデンサの負荷の場合、投入時ラッシュ電流が発生するが、半導体スイッチ回路S2のゲート制御回路4では様々電流・電圧制御することができる。ゲート制御回路4は例えば過電流、過電圧保護も兼ねた制御を行う、さらに電流パターン制御、再起電圧のパターン制御、過電力保護、半導体スイッチ自身の温度高保護の機能を行うこともできる。ここでは、部品数が少なく、単にドレイン-ゲート間にコンデンサC1を接続してミラー積分回路を構成して半導体スイッチのオン・オフをR1とC1で遅く制御する機能を持ったゲート制御回路を説明する。
これらの動作を一括管理するために、図には書いていないがシーケンス制御回路があって、従来の単独のリードリレーのように外部からの単独のオン・オフ信号によって、内部で決められたシーケンスが動作するプログラム化されたシーケンサーによって、順次動作することで、従来の最大のリードリレーが、耐圧1kV、通電電流2A程度、遮断電流0.1Aだったのが、電流遮断容量が上がることで、電力容量を従来の100W程度から1kW以上と大幅に増やし、直流電力を高速に開閉できる無アーク遮断のリードリレー開閉装置を実現する。
【発明の効果】
【0012】
リードリレーは小型で、長寿命で、不活性のガス中でガラス管に封じ切られているために、金属接点でありながら外部環境によらずに、水、海水などの汚染の問題がないため接点の接触不良も少ない。さらにリードリレーの駆動機構は単純なので、高速で故障が少ない。
リードリレーをハイブリッド開閉装置に用いれば、電流遮断能力のほとんど期待できないリードリレーが、半導体スイッチとのハイブリッド遮断で、通電能力電流の遮断能力を得ることができ、電力のオン・オフが高速に可能になる。
【0013】
リードリレーに本発明のハイブリッド化を適用すれば、リードリレーの利用分野が広がる。通電容量は接点部の発熱による温度上昇で決まるので、通電容量を増すには接点部の接触圧力、即ち磁界を増し、さらに冷却を行えばよい。ガラス管で不活性ガス中に封じ切られているリードスイッチを絶縁油で満たし冷却と絶縁能力を増やすことなど、さらにリードリレーの発展が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る2つのリードリレーを用い、半導体スイッチとゲート制御回路を持つハイブリッド開閉装置回路と各スイッチのオン・オフのシーケンスを示す図である。
図2】本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置の実施形態として半導体スイッチのゲートに光結合スイッチなどを付加した回路図である。
図3】本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置の各スイッチのタイムシーケンスの詳細を示す図である。
図4】本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置の電流可逆の実施形態を示す回路図である。
図5】本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置の半導体スイッチ回路S2の詳細を示し、再起電圧の上昇を電圧非線形コンデンサで始め遅く、その後急速に上昇する実施形態を示す回路図である。
図6】本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置の半導体スイッチ回路S2の詳細を示し、ゲート駆動を絶縁ゲート駆動電源でMOSFETを飽和領域でオン、負電圧でオフする実施形態を示す回路図である。
図7】本発明に係るゲート制御回路の機能をブロック図で示すものである
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔第1実施形態: 図1図1は、本発明に係るリードリレーを利用した直流電流開閉装置(以下単に「開閉装置」という。)の実施形態を示す回路図である。(請求項1)
図1は、直流電力回路において、本開閉装置は端子1,2を2線間に結合して開閉装置とする。電流は端子1から端子2へと流すことが出来る。電流を流すには、第1のリードリレーS1をオンし、その後、ゲート制御回路4により半導体スイッチ(MOSFET。以下「MOSFET」という。)5をオンする。そこで電流は端子1から端子2へと流れる。最後に第2のリードリレーS3をオンすると、第2のリードリレーS3の電流路の方が電気抵抗は小さい、又はMOSFET5のオン電圧があるためほとんどの電流は第2のリードリレーS3を流れる。大掛かりな半導体の除熱対策は不要である。
【0016】
端子1から端子2へ流れる電流を遮断するには、その逆のシーケンスで、まず第2のリードリレーS3をオフする。リードスイッチの接点が開くと接点間にアーク電圧Varcが発生、その電圧は流が数Aから100A程度では10Vから20V程度で金属の種類や条件によって異なる。
【0017】
この電圧Varcによって、第2のリードリレーS3の電流は、第1のリードリレーS1と半導体スイッチ回路S2の直列接続回路に転流する。なお、図1に示すように、ここではMOSFET5とゲート制御回路4を合わせたものを「半導体スイッチ回路S2」と呼んでいる。
その転流に要する時間Tnは第1のリードリレーS1と半導体スイッチ回路S2、第2のリードリレーS3のループ回路のインダクタンスLnは数10nH程度と電流Iarcは数Aであるので、転流時間Tn=Ln* Iarc/Varcで数10ナノ秒以下と短時間である。この時間ではアークは発生しないか、アークが発生しても、電極の温度は上がらないので電極は消耗しない。
【0018】
電流の転流、遮断の後、第2のリードリレーS3の開極が進み、第2のリードリレーS3は耐電圧を回復する。その間、第1のリードリレーS1と半導体スイッチ回路S2で通電している。第1のリードリレーS1が十分開極した後、半導体スイッチ回路S2ゲート制御回路によって、電流を遮断する。
再起電圧はMOSFET5に発生するが、近年のシリコンカーバイド半導体のMOSFETは1kVをえる高い電圧に耐える。また電流遮断時間はMOSFETの高速スイッチング特性によって数十ナノ秒であるので、誘導性の負荷の場合は、L*dI/dtの再起電圧が高くなるがバリスタなどで過電圧を吸収するのが簡単だ。
【0019】
しかし急峻な電流遮断による電子回路へのサージ対策やノイズ対策が必要である。サージ過電圧はバリスタやアレスタでカットできるがゲート制御回路4は高機能な過渡時の電圧、電流を制御する開閉装置とすることが可能である。ゲート制御回路4は、ここに電圧電流をPT、CTで検出して、アナログ制御回路でフイードバックするFB回路とオペアンプで制御する。また過電流を保護することも、異常な電圧を検出して、多彩な保護機能を持つことは従来の技術で可能である、図7にブロック線図で示すが、ここでは別な電源無しで部品数が少なく効果の大きな方法を実施形態の(請求項)を説明する。
【0020】
半導体スイッチ回路S2で電流遮断後、第1のリードリレーS1をオフするが電流がないので無アークで開極する。電流遮断後は、2つのリードリレー(S1,S3)が開極しているので、MOSFET5やゲート制御回路のリーク電流は完全に遮断されている。
【0021】
〔第2実施形態:図2図2は、本発明に係る開閉装置の第1実施形態のゲート制御回路の詳細を示す回路図である。制御のタイムシーケンスを図3に示すが、請求項に係るタイミングを示す。リードリレーは接点のオン時オフ時に機械的振動によるチャタリングを起こす時間帯があるが、その時間帯を避けるだけの時間的余裕「Td」を持たせたシーケンスで制御される。チャタリングは接点のオン時にバウンスすることで多く発生するが、オフ時も可能性があるので必要十分な時間余裕Tdを設定する。
【0022】
半導体スイッチ回路S2のゲート制御回路4光結合スイッチS21とS22の2つがMOSFETのゲートを制御する。ゲート抵抗Rgは数100Ωのゲート抵抗でMOSFETの寄生振動を抑制する。コンデンサC1と抵抗R1がMOSFET5のオン・オフの時間を遅らせるミラー積分回路を構成する。本実施例ではC1は0.02μF、R1は100Ω、R2は数100kΩである。R2は高抵抗であってC1の放電抵抗でもある。
【0023】
光結合スイッチS22は、第1のリードリレーS1がオンするときの電圧上昇でコンデンサC1を介してゲート電位が上昇して、その瞬間だけ、MOSFETに電流が流れるのを防ぐ。S22のオンのタイミングは第1のリードリレーS1のオンの直前で、コンデンサC1が充電されれば、速やかにオフされる。
図3に時間の流れと開閉装置の開状態から、閉状態、その後、開状態に至る各スイッチ状態を示す。
【0024】
請求項に係るオン・オフの速度を制御するにかかる説明は、
直流電流をMOSFET5のゲート電圧で単純に方形波によって制御すると開閉装置の電圧の上昇と降下のスピードが数10ナノ秒と速すぎるため、これを従来のアーク流遮断の数10マイクロ秒と遅くするゲート制御回路を付加する。光結合スイッチS21はそのオフでMOSFET5をオンし、S21がオンでMOSFETをオフにと制御するが、S21がオンで、R1を介してゲートはソースにつながれる。MOSFETの活性領域の高い電圧電流制御特性、トランスコンダクタンスがあるので、スレッショルド電圧Vthでのミラー積分効果で(R1×C1)の逆数で決まる再起電圧上昇スピードにすることが出来る。再起電圧Vrは、
Vr=Vth+Vth*(R1×C1)-1*Time
これは、上記特許文献2で、すでに開示されている。
【0025】
請求項に係る説明を図4で示すが本開閉装置には、直流回路であっても、電流が双方に流れる場合もある。さらに商用周波数の交流電流にも本開閉装置を適用可能にするために、第1のリードリレーS1の後に、ダイオードブリッジを介して半導体スイッチ回路S2を接続する。この場合、ダイオードブリッジには短時間のみ電流が流れるので発熱や熱除去の心配はない。
【0026】
請求項に係る説明を図5に示すが、半導体スイッチ回路S2のMOSFETを飽和駆動するためにゲートにスレッショルド電圧Vthより高いゲート電圧を与えて、MOSFETのオン電圧を低くする。損失が減り、より大きな電流を流せる。MOSFETをオフするには、ゲート電圧として負電圧を与えることで安定したゲート遮断状態にする。光結合スイッチS21を絶縁されたゲート電圧発生装置にパルス電圧、例えばプラス15VでMOSFETをオンし、マイナス7VでMOSFETをオフするが、その時、C1,R1によって電圧変化スピードを遅くすることも可能になって、サージ電圧の発生を回避することができる。しかし、遮断時間が掛かる分、MOSFET5でのジュール損が増えるので温度上昇に注意する必要がある。MOSFET5のジュール損を下げる方策としてC1として電圧非線形コンデンサを使う。セラミックコンデンサでは、静電容量が10分の1なるものがあるが、電圧非線形コンデンサは再起電圧の低い間、静電容量が大きく、高くなるにしたがってJカーブで再起電圧が高くなるので遮断時間が短くなってMOSFET5のジュール損を下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
リードリレーや水銀リレーは、小電流では長寿命で、小形で高速オン・オフが可能であるが、遮断電流はほとんど期待できなかった。本発明によれば、電流の開閉に関して、MOSFETなど半導体スイッチを使って、機械接点を開極時、無アークで開閉することが可能であるため、リードリレーによって従来の10倍以上の電力の高速オン・オフが可能になる。
【0028】
また、動作状態によって電流方向の変わる直流や交流電流でも適用可能な方法、さらに電子回路において重要な電源開閉時のノイズ発生に考慮して、ラッシュ電流制御機能、再起電圧の上昇制御をゲート制御回路により行う開閉装置を示した。このように半導体スイッチと機械接点のハイブリッド開閉装置はアークによる接点の溶融、欠損がないので開閉装置の開閉寿命を延ばし、電気的にもノイズのない開閉装置として使うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1:第1のリードリレーS1
2:半導体スイッチ回路S2
3:第2のリードリレーS3
4:ゲート制御回路
5:半導体スイッチ(MOSFET
6:ダイオードブリッジ
7:光結合スイッチ(S21,S22)
8:絶縁ゲート駆動電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7