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特許7017774紙媒体価値付与システム、紙媒体価値保証サーバ、及び紙媒体価値付与方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】紙媒体価値付与システム、紙媒体価値保証サーバ、及び紙媒体価値付与方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/04 20120101AFI20220202BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20220202BHJP
【FI】
G06Q20/04 314
G06Q20/38 310
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017561178
(86)(22)【出願日】2017-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2017000973
(87)【国際公開番号】W WO2017122767
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2020-01-10
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2016/050824
(32)【優先日】2016-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518190684
【氏名又は名称】株式会社ライトワン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 憲嗣
(72)【発明者】
【氏名】青木 義照
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-085598(JP,A)
【文献】特開2004-102562(JP,A)
【文献】特開2007-316835(JP,A)
【文献】特開2007-048256(JP,A)
【文献】特開2004-062545(JP,A)
【文献】特開2002-222377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0287026(US,A1)
【文献】特開2006-107225(JP,A)
【文献】特開2006-338539(JP,A)
【文献】特開2007-066293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体に価値を付与する、システムであって、
認証サーバと、第1紙媒体の画像特徴量を取得する認証要求者端末と、1以上の紙媒体それぞれの前記画像特徴量及び前記1以上の紙媒体それぞれの価値情報を含む紙媒体情報を管理する管理計算機と、を含み、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれに対応する価値保証期間を示す情報と、認証領域を示す情報と、を含み、
前記画像特徴量は、紙を生成する過程で生じる当該紙に固有の物理的性質を示し、
前記管理計算機は、前記紙媒体情報を前記認証サーバに送信し、
前記認証要求者端末は、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証サーバに送信し、
前記認証サーバは、
前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体に対応する価値情報を取得し、
前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報に含まれる画像特徴量と、の比較結果に基づいて、前記第1紙媒体が前記紙媒体情報に登録されているか否かの第1判定を実行し、
前記第1紙媒体の価値が第1所定値未満である場合、
前記第1判定の結果に基づいて、前記第1紙媒体の認証処理を実行し、
前記第1紙媒体の認証処理の結果が成功であれば、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行
前記第1紙媒体の価値が前記第1所定値以上である場合、
前記第1判定の結果に基づく認証処理と、時刻情報及び位置情報の少なくとも一方に基づく前記第1紙媒体の認証処理と、を実行し、
前記時刻情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証サーバが受信した時刻が、前記第1紙媒体に対応する価値保証期間に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記位置情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証要求者端末が前記認証サーバに送信した時刻における前記認証要求者端末の位置が、前記第1紙媒体に対応する認証領域に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記第1判定の結果に基づく認証処理の認証結果と、前記少なくとも一方に基づく認証処理の認証結果と、が成功である場合、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれのIDを含み、
前記認証要求者端末は、前記第1紙媒体のIDである第1IDを取得して、前記認証サーバに送信し、
前記認証サーバは、
前記紙媒体情報に前記第1IDが含まれる場合、前記第1判定において、前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報において前記第1IDに対応する画像特徴量と、を比較し、
前記紙媒体情報に前記第1IDが含まれない場合、前記第1判定において、前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報に含まれる画像特徴量それぞれと、を比較する、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、
前記認証サーバは、
前記第1紙媒体の価値が前記第1所定値より大きい第2所定値以上である場合、
前記第1判定の結果に基づく認証処理と、前記時刻情報に基づく認証処理と、前記位置情報に基づく認証処理と、を実行し、
前記第1判定の結果に基づく認証処理の認証結果と、前記時刻情報に基づく認証処理の認証結果と、前記位置情報に基づく認証処理の認証結果と、が成功である場合、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行する、システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記画像特徴量は、紙媒体の紙繊維パターンを示す、システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれに対して前記価値保証処理が実行されたか否かを示す価値保証情報をさらに含み、
前記認証サーバは、
前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体の価値保証情報を取得し、
前記取得した価値保証情報から、前記第1紙媒体に対して既に前記価値保証処理が実行されたと判定した場合、前記第1紙媒体の認証処理の結果が失敗であると判定する、システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれに対して認証処理が実行された回数を示す照合回数情報を含み、
前記認証サーバは、
前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体の照合回数情報を取得し、
前記取得した照合回数情報を所定の条件と比較した結果、前記第1紙媒体に対して認証処理が実行された回数が多いと判定した場合、前記第1紙媒体の認証処理の結果が失敗であると判定する、システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれについて、前記認証要求者端末を操作するオペレータのオペレータ情報をさらに含み、
前記認証要求者端末は、前記認証要求者端末に入力された第1オペレータ情報を、前記認証サーバに送信し、
前記認証サーバは、
前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体のオペレータ情報を取得し、
前記第1オペレータ情報と、前記取得したオペレータ情報と、が一致しない場合、前記第1紙媒体の認証処理の結果が失敗であると判定する、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記オペレータ情報は、前記システムを操作するオペレータの生体情報である、システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記認証要求者端末は、前記第1紙媒体の画像をさらに保持し、
前記管理計算機は、
前記認証要求者端末から前記第1紙媒体の画像を受信し、
前記受信した画像に基づく、前記第1紙媒体のオペレータによる認証結果の入力を、前記オペレータから受け付け、
前記オペレータによる認証結果を前記認証サーバに送信し、
前記認証サーバは、前記第1紙媒体が前記紙媒体情報に登録されていないこと、及び前記オペレータによる認証結果が失敗であること、の少なくとも一方が成立した場合、前記第1紙媒体の認証処理の結果が失敗であると判定する、システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記1以上の紙媒体それぞれの価値情報は、当該紙媒体に付与された仮想通貨金額を示す第1種情報を含み、
前記第1紙媒体に対する前記価値保証処理は、前記取得した価値情報に含まれる第1種情報を前記認証要求者端末に送信することである、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
仮想通貨保有者と前記仮想通貨保有者の仮想通貨残高との対応を示す仮想通貨残高情報を保持する仮想通貨管理サーバに接続され、
前記管理計算機は、前記1以上の紙媒体それぞれに付与される仮想通貨金額及び当該仮想通貨金額が減算される仮想通貨保有者を含む残高保留要求を、前記仮想通貨管理サーバに送信し、
前記仮想通貨管理サーバは、
前記残高保留要求に含まれる仮想通貨金額それぞれを、前記仮想通貨残高情報の、当該仮想通貨金額に対応する仮想通貨保有者の仮想通貨残高それぞれから減算し、
前記減算した仮想通貨金額それぞれを保留状態にし、
前記保留状態にした仮想通貨金額である保留残高それぞれに対して、前記保留残高を引き出すための保留残高引出情報を生成し、
前記生成した保留残高引出情報それぞれを、前記保留残高と対応付けて、前記仮想通貨残高情報に格納し、
前記生成した保留残高引出情報を前記管理計算機に送信し、
前記管理計算機は、前記紙媒体情報に含まれる前記1以上の紙媒体それぞれの第1種情報として、当該紙媒体に対応する保留残高引出情報を、前記認証サーバに送信する、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、
前記第1紙媒体の認証処理の結果が成功である場合、
前記認証要求者端末は、前記認証サーバから受信した第1種情報である第1保留残高引出情報と、前記第1保留残高引出情報に対応する保留残高を移動させる移動先を示す移動先情報と、を前記仮想通貨管理サーバに送信し、
前記仮想通貨管理サーバは、
前記仮想通貨残高情報から、前記第1保留残高引出情報に対応する保留残高を取得し、
前記取得した保留残高を前記移動先情報が示す移動先に移動させ、
前記仮想通貨残高情報から、前記第1保留残高引出情報と、前記第1保留残高引出情報に対応する保留残高と、を削除する、システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一つに記載のシステムであって、
前記認証サーバは、ネットワークを介して互いに接続されたブロックチェーンを構成する複数の計算機からなる、システム。
【請求項14】
紙媒体の価値を保証する、サーバであって、
認証要求者端末に接続され、
プロセッサと、記憶装置と、を含み、
1以上の紙媒体それぞれの画像特徴量と、前記1以上の紙媒体それぞれの価値情報と、を含む紙媒体情報を管理し、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれに対応する価値保証期間を示す情報と、認証領域を示す情報と、を含み、
前記画像特徴量は、紙を生成する過程で生じる当該紙に固有の物理的性質を示し、
前記プロセッサは、
前記紙媒体情報から、第1紙媒体に対応する価値情報を取得し、
前記認証要求者端末から、前記第1紙媒体の画像特徴量を取得し、
前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報に含まれる画像特徴量と、の比較結果に基づいて、前記第1紙媒体が前記紙媒体情報に登録されているか否かの第1判定を実行し、
前記第1紙媒体の価値が第1所定値未満である場合、
前記判定の結果に基づいて、前記第1紙媒体の認証処理を実行し、
前記第1紙媒体の認証処理の結果が成功であれば、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行し、
前記第1紙媒体の価値が前記第1所定値以上である場合、
前記第1判定の結果に基づく認証処理と、時刻情報及び位置情報の少なくとも一方に基づく前記第1紙媒体の認証処理と、を実行し、
前記時刻情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を認証サーバが受信した時刻が、前記第1紙媒体に対応する価値保証期間に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記位置情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証要求者端末が認証サーバに送信した時刻における前記認証要求者端末の位置が、前記第1紙媒体に対応する認証領域に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記第1判定の結果に基づく認証処理の認証結果と、前記少なくとも一方に基づく認証処理の認証結果と、が成功である場合、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行する、サーバ。
【請求項15】
紙媒体価値付与システムが紙媒体に価値を付与する、方法であって、
前記紙媒体価値付与システムは、認証サーバと、第1紙媒体の画像特徴量を取得する認証要求者端末と、1以上の紙媒体それぞれの前記画像特徴量及び前記1以上の紙媒体それぞれの価値情報を含む紙媒体情報を管理する管理計算機と、を含み、
前記紙媒体情報は、前記1以上の紙媒体それぞれに対応する価値保証期間を示す情報と、認証領域を示す情報と、を含み、
前記画像特徴量は、紙を生成する過程で生じる当該紙に固有の物理的性質を示し、
前記方法は、
前記管理計算機が、前記紙媒体情報を前記認証サーバに送信し、
前記認証要求者端末が、前記第1紙媒体の画像特徴量を、前記認証サーバに送信し、
前記認証サーバが、
前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体に対応する価値情報を取得し、
前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報に含まれる画像特徴量と、の比較結果に基づいて、前記第1紙媒体が前記紙媒体情報に登録されているか否かの第1判定を実行し、
前記第1紙媒体の価値が第1所定値未満である場合、
前記判定の結果に基づいて、前記第1紙媒体の認証処理を実行し、
前記第1紙媒体の認証処理の結果が成功であれば、
前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行し、
前記第1紙媒体の価値が前記第1所定値以上である場合、
前記第1判定の結果に基づく認証処理と、時刻情報及び位置情報の少なくとも一方に基づく前記第1紙媒体の認証処理と、を実行し、
前記時刻情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証サーバが受信した時刻が、前記第1紙媒体に対応する価値保証期間に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記位置情報に基づく認証処理において、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証要求者端末が前記認証サーバに送信した時刻における前記認証要求者端末の位置が、前記第1紙媒体に対応する認証領域に含まれないと判定した場合、当該認証処理の結果が失敗であると判定し、
前記第1判定の結果に基づく認証処理の認証結果と、前記少なくとも一方に基づく認証処理の認証結果と、が成功である場合、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体価値付与システム、紙媒体価値保証サーバ、及び紙媒体価値付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の発展に伴い、仮想通貨や電子マネー等の電子決済サービスが普及している。一方、人々は元来、紙幣や商品券のような紙媒体を介して取引を行っており、このような紙媒体を用いた取引に対する需要は、人々の間に未だ根強く残っている。つまり、価値を有する視認可能な有体物である紙媒体を授受することにより、取引による価値交換が確実に実行された安心感を覚える人々が相当数存在する。また、紙媒体は容易に入手可能であり、かつ取扱いが容易である反面、偽造も容易である。
【0003】
このような紙媒体を介した取引の安全性を高めるためには、紙媒体の偽造を防止し、紙媒体の原本性を担保する必要がある。紙媒体の原本性を担保するための技術として、特開2004-102562号公報(以下、特許文献1)がある。特許文献1に記載の技術は、紙を形成する植物繊維が不定形に絡み合った状態で植物繊維が作り出すランダムなパターンが示す特徴量を用いて、紙の原本性を担保する。
【0004】
また、特開2003-85598号公報(以下、特許文献2)に記載の技術は、商品券に設けられた金属繊維を含むセキュリティ媒体の特徴データと、商品券の一連番号と、を対応付けてデータセンタに格納し、商品券使用時に、使用される商品券の特徴データと、データセンタに格納された、使用される商品券の一連番号に対応する特徴データと、を比較して、使用される商品券が真正なものであるかを確認する。
【0005】
また、特開2007-66293号公報(以下、特許文献3)に記載の技術は、ランダム埋込みパターン(例えば、着色繊維)を有する紙を証券に使用し、証券の発行時にパターンを記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-102562号公報
【文献】特開2003-85598号公報
【文献】特開2007-66293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
紙媒体を用いて支払を行う場面において特許文献2及び特許文献3に記載の技術を適用すると、紙媒体の原本性を担保するために予め紙媒体に特殊な加工を施す必要があり、支払者はこれらの特殊な加工が施された紙媒体を事前に入手する必要がある。つまり、特許文献2及び特許文献3に記載の技術では、紙媒体の加工及び入手に、手間及び費用がかかる。
【0008】
このため、紙媒体に特殊な加工をすることなく、個々の紙媒体の原本性を担保することが必要とされている。特許文献2及び特許文献3では、予め加工がされた紙を用いており、紙媒体に特殊な処理を事前に施すことなく価値情報(支払金額)を付与し、かつ当該紙媒体を受け取った受領者が当該紙媒体を高精度に認証することは考慮されていない。また、このような紙媒体に特殊な加工をしない紙媒体の認証を課題とするものではない。
【0009】
より具体的には、特許文献2に記載の技術は、「商品券のセキュリティ性を高め、しかもその流通管理を通信回線を通じて迅速に行うことを可能に」することを目的としているのであって、本発明の目的の一つである、紙媒体に特殊な処理を事前に施すことなく価値情報を付与すること、を目的としていない。また、特許文献3に記載の技術は、「潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムを提供する」ことを目的としているのであって、本発明の目的の一つである、紙媒体に特殊な処理を事前に施すことなく価値情報を付与すること、を目的としていない。このため、特許文献2及び特許文献3に記載の発明は、本願発明が目的とする、紙媒体に特殊な加工をすることなく、個々の紙媒体の原本性を担保するものではない。
【0010】
また、例えば、仮想通貨の価値を受け渡す場合、仮想通貨保有者が仮想通貨を現実通貨に交換し、交換した現実通貨を受領者に受け渡す、又は受領者が仮想通貨のアカウントを登録し、仮想通貨保有者から仮想通貨を受け取る必要があった。
【0011】
仮想通貨保有者にとって、仮想通貨を現実通貨に交換する手間が発生するため、仮想通貨の利点が失われる。また、受領者にとって、仮想通貨のアカウントを登録する手間が発生する。
【0012】
上述の例では、仮想通貨保有者が仮想通貨を現実通貨へ交換することなく、かつ受領者が紙媒体を受け取ることにより、取引を実行することが望まれる。つまり、価値の受渡人(上述の例の仮想通貨保有者)が紙媒体に価値情報(上述の例の仮想通貨残高)を付与し、当該紙媒体を受け取った認証要求者(上述の例の受領者)が当該紙媒体を高精度に認証することが望まれる。ひいては、価値移動即ち取引を、誰とでも円滑にかつ安全に実行することが望まれる。
【0013】
また、仮想通貨に限らず、あらゆる価値の受け渡しにおいても同様の課題が生じる。例えば、ある特定の地域で利用可能な地域通貨(地域商品券)において、地域通貨の初期保有者(地域商品券の発行体)が、紙媒体に地域通貨を付与、即ち紙媒体に商品券としての価値を付与し、顧客を介して当該紙媒体を受け取った店舗が当該紙媒体を高精度に認証することが望まれる。
【0014】
そこで本発明の一態様は、紙媒体に特殊な処理を事前に施すことなく価値情報(支払金額)を付与し、かつ受領者が受け取った当該紙媒体を高精度に認証することを目的とする。ひいては、どのような二者間においても、価値移動即ち取引を、円滑にかつ安全に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、例えば、以下の構成を採用する。紙媒体に価値を付与する、システムであって、認証サーバと、第1紙媒体の画像特徴量を取得する認証要求者端末と、1以上の紙媒体それぞれの前記画像特徴量及び前記1以上の紙媒体それぞれの価値情報を含む紙媒体情報を管理する管理計算機と、を含み、前記画像特徴量は、紙を生成する過程で生じる当該紙に固有の物理的性質を示し、前記管理計算機は、前記紙媒体情報を前記認証サーバに送信し、前記認証要求者端末は、前記第1紙媒体の画像特徴量を前記認証サーバに送信し、前記認証サーバは、前記第1紙媒体の画像特徴量と、前記紙媒体情報に含まれる画像特徴量と、の比較結果に基づいて、前記第1紙媒体が前記紙媒体情報に登録されているか否かの判定を実行し、前記判定の結果に基づいて、前記第1紙媒体の認証処理を実行し、前記第1紙媒体の認証処理の結果が成功である場合、前記紙媒体情報から、前記第1紙媒体に対応する価値情報を取得し、前記第1紙媒体に対して、前記取得した価値情報に基づく価値保証処理を実行する、システム。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、紙媒体に特殊な処理を事前に施すことなく価値を付与し、価値が付与された紙媒体を高精度に認証することができる。ひいては、どのような二者間においても、価値移動即ち取引、を円滑にかつ安全に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1における紙媒体価値付与システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施例1における紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の例を示す概要図である。
図3】実施例1における認証要求者テーブルの一例である。
図4】実施例1における認証要求者履歴テーブルの一例である。
図5】実施例1における紙媒体テーブルの一例である。
図6】実施例1における紙媒体照合履歴テーブルの一例である。
図7】実施例1において、認証要求者端末情報の新規登録処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】実施例1における、認証サーバによる認証要求者情報チェック処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】実施例1における紙媒体画像登録処理及び紙媒体価値登録処理の一例を示すシーケンス図である。
図10】実施例1における認証サーバ及び管理用端末による認証処理の一例を示すシーケンス図である。
図11】実施例1におけるシステム管理処理の一例を示すシーケンス図である。
図12】実施例1における認証要求者端末の全体処理の一例を示すフローチャートである。
図13】実施例1における撮影処理の一例を示すフローチャートである。
図14】実施例1における紙媒体画像送信処理の一例を示すフローチャートである。
図15】実施例1における認証サーバによる紙媒体画像認証処理の一例を示すフローチャートである。
図16】実施例1における管理用端末による紙媒体認証処理の一例を示すフローチャートである。
図17】実施例1における認証要求者端末の画面遷移の一例を示す図である。
図18A】実施例1における認証要求者端末の起動画面の一例である。
図18B】実施例1における認証要求者端末の画面遷移の第二階層に含まれる表示画面の例である。
図18C】実施例1における認証要求者端末の紙媒体撮影処理画面群に含まれる表示画面の例である。
図18D】実施例1における認証要求者端末の紙媒体画像送信処理画面群に含まれる表示画面の例である。
図18E】実施例1における認証要求者端末の紙媒体状況確認画面の一例である。
図18F】実施例1における認証要求者端末の設定情報画面の一例である。
図19】実施例2における紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の例を示す概要図である。
図20】実施例2における仮想通貨管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図21】実施例2における紙媒体画像登録処理及び紙媒体価値登録処理の一例を示すシーケンス図である。
図22】実施例2における認証サーバ及び管理用端末による認証処理の一例を示すシーケンス図である。
図23】実施例3における紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。
【0019】
本実施形態は、紙媒体価値付与システムを説明する。本実施形態における紙媒体は、例えば、印字や印画がされていない紙媒体、金額情報が印字されている紙媒体、及び絵画や書道の作品等のあらゆる紙媒体を含む。本実施形態の紙媒体価値付与システムは、紙媒体の画像情報と、当該紙媒体の価値情報の入力を受け付け、当該紙媒体に価値を付与する。紙媒体の画像情報とは、紙を生成する過程(印刷を除く)で生じる当該紙に固有の物理的性質を示す情報である。つまり、当該画像情報は印字や印画によって変化しない情報である。
【0020】
例えば、印字や印画がされていない紙媒体の画像情報と、価値情報の一例である仮想通貨残高の移動金額情報と、が紙媒体価値付与システムに登録された場合、当該紙媒体に当該移動金額が付与される。これにより、元来無価値であった当該紙媒体は、当該移動金額の価値を有する紙媒体になる。
【0021】
また、例えば、美術品である紙媒体の画像情報と、価値情報の一例である当該美術品の作者名、作品名、及び当該美術品の鑑定証明情報等を含む原本性証明情報と、が紙媒体価値付与システムに登録された場合、当該美術品は当該原本性証明情報が示す価値を有する紙媒体になる。
【0022】
紙媒体価値付与システムは、認証要求対象である第1紙媒体の画像情報と、予め登録された紙媒体の画像情報と、の比較結果に基づいて、第1紙媒体の認証処理を実行する。紙媒体価値付与システムは、認証処理の結果が成功であった場合に、予め登録された第1紙媒体に対応する価値情報に基づく価値保証処理を実行する。
【0023】
本実施形態の紙媒体価値付与システムは、上述の処理により、あらゆる紙媒体に特殊な処理を施すことなく価値を付与し、当該紙媒体の価値が付与された紙媒体を高精度に認証することができる。また、二者間での取引、即ち価値移動を円滑にすることができる。
【実施例1】
【0024】
図1は、本実施例の紙媒体価値付与システムの構成例を示す。本実施例の紙媒体価値付与システムは、認証サーバ100、認証要求者端末200、及び管理用端末300を含む。紙媒体価値付与システムに含まれる各装置は、インターネット等のネットワーク400を介して相互に接続されている。
【0025】
認証サーバ100は、紙媒体の画像情報及び価値情報を保持し、認証要求者端末200からの要求に応じて紙媒体の認証を実行する。認証サーバ100は、例えば、認証センタに設置される。
【0026】
認証サーバ100は、プロセッサ(CPU)101、メモリ102、補助記憶装置103、入出力インターフェース104、及び通信インターフェース105を有する計算機によって構成される。
【0027】
プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムを実行する。メモリ102は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサ101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0028】
補助記憶装置103は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置103から読み出されて、メモリ102にロードされて、プロセッサ101によって実行される。
【0029】
なお、図1においてメモリ102に格納されているデータの一部又は全部が補助記憶装置103に格納されていてもよい。同様に、図1において補助記憶装置103に格納されたているデータの一部又は全部がメモリ102に格納されていてもよい。
【0030】
入出力インターフェース104は、キーボードやマウスやスキャナなどが接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。また、入出力インターフェース104は、ディスプレイ装置やプリンタなどが接続され、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースでもある。
【0031】
通信インターフェース105は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信インターフェース105は、例えば、USB等のシリアルインターフェースを含む。
【0032】
プロセッサ101が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワーク400を介して認証サーバ100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置103に格納される。このため、認証サーバ100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0033】
メモリ102は、登録情報チェックプログラム111、紙媒体画像登録プログラム112、紙媒体画像認証プログラム113、価値保証プログラム114、管理情報操作プログラム115を格納する。例えば、プロセッサ101は、登録情報チェックプログラム111に従って動作することで、登録情報チェック部として機能し、紙媒体画像登録プログラム112に従って動作することで、紙媒体画像登録部として機能する。メモリ102に格納されている他のプログラムについても同様である。
【0034】
登録情報チェックプログラム111は、認証要求者端末200から受信した、認証要求者端末200の端末情報の登録処理及びチェック処理を行う。紙媒体画像登録プログラム112は、管理用端末300から受信した紙媒体画像及び紙媒体の価値情報の登録処理を行う。
【0035】
紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求者端末200から受信した紙媒体画像の認証処理を実行する。価値保証プログラム114は、認証が成功した紙媒体画像に対して価値保証処理を実行する。管理情報操作プログラム115は、管理用端末300からの要求に応じて、補助記憶装置103に格納された管理情報の操作処理を実行する。
【0036】
補助記憶装置103は、認証要求者テーブル120、認証要求者履歴テーブル130、紙媒体テーブル140、及び紙媒体照合履歴テーブル150を保持する。認証要求者テーブル120は、認証要求者IDの更新情報を保持する。認証要求者履歴テーブル130は、認証要求者の情報を保持する。
【0037】
紙媒体テーブル140は、管理用端末300の指示に従って登録された紙媒体の情報を保持する。紙媒体照合履歴テーブル150は、認証要求者端末200からの要求に従って実施された、紙媒体の照合履歴の情報を保持する。
【0038】
なお、本実施形態では、補助記憶装置103が保持する各データがテーブル構造で表現されている例を説明する。しかし、本実施形態において、紙媒体価値付与システムの各装置が使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。例えば、テーブル、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0039】
認証要求者端末200は、プロセッサ(CPU)201、メモリ202、補助記憶装置203、入出力インターフェース204、通信インターフェース205、及びカメラ206を有する計算機によって構成される。認証要求者端末200は、例えば、データ通信機能を有するスマートフォン、タブレット端末、又はPOS端末等であり、紙媒体の認証要求者が保有する端末である。
【0040】
プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、及び通信インターフェース205それぞれの説明は、プロセッサ101、メモリ102、補助記憶装置103、及び通信インターフェース105それぞれの説明と同様であるため、省略する。また、認証要求者端末200は、自身の位置情報を取得するGPS等を含んでもよい。
【0041】
入出力インターフェース204は、認証要求者からの入力を受けるインターフェースであり、例えば、ディスプレイ装置の表示画面に重畳して設けられるタッチパネルや、音声が入力されるマイク等を含む。また、入出力インターフェース204は、プログラムの実行結果を認証要求者が視覚や聴覚で認識可能に出力するインターフェースであり、ディスプレイ装置やスピーカ等を含む。カメラ206は、認証要求者からの指示に従って、画像を撮影する装置である。カメラ206は、例えば、可視光カメラ及び赤外線カメラを含む。
【0042】
メモリ202は、端末情報登録要求プログラム211、紙媒体画像撮影プログラム212、紙媒体画像送信プログラム213、及び紙媒体状況確認プログラム214を含む。端末情報登録要求プログラム211は、認証サーバ100に対して、認証要求者端末200の端末情報の登録処理及びチェック処理を実行する要求を送信する。紙媒体画像撮影プログラム212は、カメラ206を用いて、紙媒体画像を撮影し、撮影した紙媒体画像を後述する紙媒体画像記憶領域215に格納する。
【0043】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像記憶領域215が保持する紙媒体画像を、認証サーバ100に送信する。紙媒体状況確認プログラム214は、紙媒体画像記憶領域215を参照して、紙媒体画像の認証状況を出力する。
【0044】
補助記憶装置203は、紙媒体画像記憶領域215を含む。紙媒体画像記憶領域215は、紙媒体画像撮影プログラム212が撮影した紙媒体画像と、当該紙媒体画像の認証状況と、を格納する。
【0045】
管理用端末300は、プロセッサ(CPU)301、メモリ302、補助記憶装置303、入出力インターフェース304、及び通信インターフェース305を有する計算機によって構成される。管理用端末300は、例えば、システム管理施設に設置される。なお、認証センタとシステム管理施設は同一の施設であってもよい。また、管理用端末300は、例えば、データ通信機能を有するスマートフォン、又はタブレット端末等であってもよい。この場合、例えば、受渡人が管理用端末300を保有する。
【0046】
プロセッサ301、メモリ302、補助記憶装置303、入出力インターフェース304、及び通信インターフェース305それぞれの説明は、プロセッサ101、メモリ102、補助記憶装置103、入出力インターフェース104、及び通信インターフェース105それぞれの説明と同様であるため、省略する。
【0047】
メモリ302は、紙媒体登録要求プログラム311、紙媒体認証登録プログラム312、管理情報操作要求プログラム313、及び価値保証プログラム314を含む。紙媒体登録要求プログラム311は、認証サーバ100に対して、紙媒体画像と紙媒体の価値情報の登録を要求する。紙媒体認証登録プログラム312は、認証サーバ100又は認証要求者端末200から受信した紙媒体画像の認証処理を実行する。
【0048】
管理情報操作要求プログラム313は、認証サーバ100に対して、補助記憶装置103に格納された各テーブルが示す管理情報の操作を要求する。価値保証プログラム314は、認証が成功した紙媒体画像に対して価値保証処理を実行する。
【0049】
補助記憶装置303は、認証結果記憶領域315を含む。認証結果記憶領域315は、紙媒体画像と、当該紙媒体画像の認証結果と、を格納する。
【0050】
本実施形態の紙媒体価値付与システムに含まれる装置それぞれは、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
【0051】
図2は、本実施例の紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の概要の一例を示す。まず、管理用端末300は、紙媒体の受渡人から紙媒体の画像情報及び価値情報の入力を受け付け、入力された情報を認証サーバ100に送信する。認証サーバ100は、受信した紙媒体の画像情報と価値情報とを対応付けて保持する。これにより、当該紙媒体に価値が付与される。
【0052】
例えば、紙媒体に仮想通貨残高を付与する場合、付与対象の仮想通貨残高は、紙媒体の価値情報の一例である。また、例えば紙媒体に美術品としての原本性証明情報を付与する場合、原本性証明情報は紙媒体の価値情報の一例である。また、例えば、紙媒体に美術品としての鑑定額を付与する場合、鑑定額は紙媒体の価値情報の一例である。
【0053】
また、受渡人とは別のシステム管理者が管理用端末300に紙媒体の画像情報及び価値情報を入力してもよい。この場合、例えば、認証サーバ100に紙媒体の画像情報及び価値情報が登録された後、紙媒体はシステム管理者から受渡人へと受け渡される。
【0054】
続いて、取引を実行するために紙媒体が受渡人から認証要求者へと受け渡される。認証要求者は、認証要求者端末200を用いて、受け取った紙媒体の認証を行う。認証要求者端末200は、認証要求者から紙媒体の画像情報の入力を受け付け、入力された情報を認証サーバ100に送信する。
【0055】
認証サーバ100は、認証サーバ100が保持する画像情報から、受信した画像情報と一致する画像を検索する。認証サーバ100は、一致した画像情報に対応する価値情報を取得し、取得した価値情報が示す価値を紙媒体に保証する処理を実行する。
【0056】
具体的には、紙媒体に仮想通貨残高が付与された場合、認証サーバ100から認証要求者端末200への当該仮想通貨残高を引き出すための鍵の送信処理は、当該紙媒体に対する価値保証処理の一例である。また、紙媒体が美術品であり、当該紙媒体に原本性証明情報が付与された場合、認証サーバ100による美術品の原本性証明データ作成処理は、当該紙媒体に対する価値保証処理の一例である。
【0057】
なお、認証要求者と受取人との間に、1以上の取引仲介者が介在してもよい。取引仲介者それぞれは、取引仲介者それぞれが有する認証要求者端末200を用いて、紙媒体認証を認証サーバ100に要求する。取引仲介者それぞれは、認証が成功した場合に次の受取人に紙媒体を受け渡す。なお、認証サーバ100は、取引仲介者からの認証要求に対しては、紙媒体の認証処理のみを実施し、価値保証処理を実行しない。
【0058】
図3は、認証要求者テーブル120の一例である。認証要求者テーブル120は、例えば、認証要求者の識別情報を格納する認証要求者ID欄121、及び認証要求者IDの更新回数を格納する更新回数欄122を含む。
【0059】
図4は、認証要求者履歴テーブル130の一例である。認証要求者履歴テーブル130は、例えば、認証要求者ID欄131、更新番号欄132、パスワード欄133、名称欄134、住所欄135、代表者名欄136、振込口座欄137、連絡先欄138、及び登録日時欄139を含む。認証要求者履歴テーブル130に格納される情報は、例えば、認証要求者端末200から送信された情報である。
【0060】
認証要求者ID欄131は、認証要求者の識別情報を格納する。更新番号欄132は、対応する認証要求者IDの実行済みの更新処理の識別情報を格納する。パスワード欄133は、認証要求者端末200の認証サーバ100へのログインパスワードを格納する。名称欄134は、認証要求者の名称を格納する。住所欄135は、認証要求者の住所を格納する。
【0061】
代表者名欄136は、認証要求者が所属する組織の代表者名を格納する。振込口座欄137は、認証要求者の振込先口座の銀行コード、預金種別コード、口座番号等の振込先口座情報を格納する。連絡先欄138は、認証要求者の電話番号やメールアドレス等の連絡先を格納する。登録日時欄139は、対応する認証要求者IDが登録された日時を格納する。
【0062】
図5は、紙媒体テーブル140の一例である。紙媒体テーブル140は、例えば、紙媒体ID欄141、画像情報欄142、価値情報欄143、価値発行者ID欄144、認証要求者ID欄145、価値保証状況欄146、価値保証番号欄147、照合回数欄148、有効期間欄149、利用制限コード欄161、認証要求者情報欄162、及び受渡人情報欄163を含む。
【0063】
紙媒体ID欄141は、紙媒体の識別情報を格納する。画像情報欄142は、紙媒体画像及び紙媒体画像の特徴量を格納する。なお、本実施形態における紙媒体画像の特徴量は、紙を生成する過程(印刷を除く)で生じる当該紙に固有の物理的性質に従う情報を含む。ある紙媒体の印字内容が別の紙媒体に複写された場合であっても、双方の紙媒体の当該特徴量は異なる。従って、当該特徴量を用いた認証を実行することにより、紙媒体価値付与システムは、あらゆる紙媒体の認証処理を正確に実行することができる。
【0064】
例えば、紙媒体を構成する紙繊維パターンを示す特徴量は、当該特徴量の一例であり、紙を生成する過程で生じる物理的性質を示す。例えば、紙媒体上に印字がされたり汚れが生じたりしても、紙繊維パターンは変化せず、当該紙媒体の認証処理を正確に実行することができる。なお、紙に特殊な繊維パターン等を埋め込まずとも、紙には植物繊維が不定形に重なりあったランダムパターンが存在する。当該ランダムパターンを当該紙繊維パターンとして用いることにより、事前に特殊な加工が施されていない紙媒体であっても、認証処理を正確に実行することができる。
【0065】
価値情報欄143は、紙媒体の価値情報を格納する。紙媒体に仮想通貨残高が付与された場合には、価値情報欄143は付与された仮想通貨残高を格納する。また、紙媒体が美術品であり、紙媒体に原本性証明情報が付与された場合には、価値情報欄143は、例えば、当該原本性証明情報を格納する。
【0066】
価値発行者ID欄144は、管理用端末300を用いて紙媒体画像及び価値情報の登録要求を送信した価値発行者、を識別する情報を格納する。図2の例では、価値発行者は受渡人と同一である。認証要求者ID145は、紙媒体の認証を許可された認証要求者IDの識別情報を格納する。価値保証状況欄146は、対応する紙媒体に対して価値保証処理が実行されたか否かを示す情報を格納する。価値保証番号欄147は、対応する紙媒体に対する実行済みの価値保証処理を識別する情報を格納する。
【0067】
照合回数欄148は、対応する紙媒体に対して認証処理が実行された回数を格納する。有効期間欄149は、対応する紙媒体の有効期間を格納する。なお、有効期間欄149が示す有効期間は、始期及び終期の少なくとも一方によって指定されている。有効期間が始期又は終期の一方によって指定されている場合、他方についての制限がないことを示す。利用制限コード欄161は、対応する紙媒体の利用制限コードを格納する。利用制限コードは、対応する紙媒体の認証を否認するためのコード、及び対応する紙媒体の認証についての注意メッセージを管理用端末300に送信するためのコードを含む。
【0068】
認証要求者情報欄162は、例えば、認証要求者の生体情報(手のひら静脈、指紋、又は瞳孔等)等の、認証要求者を特定する情報を格納する。受渡人情報欄163は、例えば、受渡人の生体情報や、受渡人の印鑑の印影等の、受渡人を特定する情報を格納する。認証要求者ID、認証要求者情報、及び受渡人情報それぞれは、紙媒体価値付与システムを操作するオペレータのオペレータ情報の一例である。
【0069】
なお、紙媒体テーブル140は、例えば、認証有効場所欄をさらに含んでもよい。認証有効場所欄は、例えば、対応する紙媒体の認証が有効である場所の範囲を示す情報を格納する。つまり、認証サーバ100は、紙媒体の認証要求を送信した時点における認証要求者端末200の位置が、当該紙媒体に対応する認証有効場所欄が示す場所の範囲に含まれない場合には、当該認証要求に対する認証結果を否認とする。
【0070】
図6は、紙媒体照合履歴テーブル150の一例である。紙媒体照合履歴テーブル150は、例えば、紙媒体ID欄151、照合番号欄152、認証要求者ID欄153、認証要求者端末ID欄154、撮影日時欄155、紙媒体画像欄156、及び否認理由欄157を含む。
【0071】
紙媒体ID欄151は、紙媒体の識別情報を格納する。照合番号欄152は、紙媒体画像の認証処理の識別情報を格納する。認証要求者ID欄153は、認証処理を要求した認証要求者の識別情報を格納する。認証要求者端末ID欄154は、認証処理を要求した認証要求者端末200の識別情報を格納する。撮影日時欄155は、紙媒体画像の撮影日時を格納する。紙媒体画像欄156は、認証処理の対象となった紙媒体画像を格納する。否認理由欄157は、認証処理における結果が否認であった場合における否認理由を格納する。
【0072】
図7は、認証要求者端末200の端末情報が認証サーバ100に新規登録される処理の一例を示す。端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者からの入力に従って、アプリケーションを起動し、端末情報新規登録用の起動画面を出力する(S701)。なお、本実施形態の認証要求者端末200によって実行されるアプリケーションは、例えば、ネイティブアプリケーションであってもよいし、ブラウザベースのWebアプリケーションであってもよい。
【0073】
端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者からの指示に従って、新規登録画面を出力する(S702)。新規登録画面の一例は、図18Bを用いて後述する。認証要求者は、新規登録画面の指示に従って、認証要求者IDとパスワードとを入力する。端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者によって入力された認証要求者IDとパスワードとを含む端末情報登録要求を認証サーバ100に送信する(S703)。
【0074】
登録情報チェックプログラム111は、端末情報登録処理を実行する(S704)。具体的には、以下の処理が実行される。登録情報チェックプログラム111は、受信した端末情報登録要求に含まれる認証要求者IDを認証要求者ID欄121及び認証要求者ID欄131に格納し、受信した端末情報登録要求に含まれるパスワードをパスワード欄133に格納し、現在日時を登録日時欄139に格納する。また、登録情報チェックプログラム111は、更新番号を発行し、発行した更新番号を更新番号欄132に格納し、更新回数欄122の値をインクリメントする。
【0075】
また、ステップS703において、端末情報登録要求プログラム211は、さらに、認証要求者の名称、住所、代表者名、振込口座情報、連絡先、等の情報の入力を、認証要求者から受け付け、当該情報を認証サーバ100に送信してもよい。このとき、ステップS704において、登録情報チェックプログラム111は、認証要求者履歴テーブル130の対応するセルに受信した情報を格納する。
【0076】
登録情報チェックプログラム111は、ステップS704における登録結果を示す端末情報登録応答を、認証要求者端末200に送信する(S705)。端末情報登録要求プログラム211は、メニュー画面を出力する(S706)。メニュー画面の一例は、図18Bを用いて後述する。但し、受信した端末情報登録応答が示す登録結果がエラーである場合には、端末情報登録要求プログラム211は、メニュー画面を出力せず、例えば、当該エラーを示す内容を入出力インターフェース(表示画面)204に出力し、その後ステップS702に遷移する。
【0077】
図8は、認証サーバ100による、認証要求者端末200の端末情報チェック処理の一例を示す。端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者からの入力に従って、アプリケーションを起動し、起動画面を出力する(S801)。
【0078】
認証要求者は、起動画面の指示に従って、認証要求者IDとパスワードとを入力する。端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者によって入力された認証要求者IDとパスワードとを含む端末情報チェック要求を認証サーバ100に送信する(S802)。登録情報チェックプログラム111は、受信した端末情報登録要求に含まれる認証要求者IDとパスワードそれぞれを、認証要求者ID欄131に格納された認証要求者IDとパスワード欄133に格納されたパスワードそれぞれと比較して、登録情報のチェック処理を実施する(S803)。
【0079】
登録情報チェックプログラム111は、ステップS803の端末情報チェック処理の処理結果を示す端末情報チェック応答を、認証要求者端末200に送信する(S804)。端末情報登録要求プログラム211は、メニュー画面を入出力インターフェース204に出力する(S805)。但し、受信した端末情報チェック応答が示す処理結果がエラーである場合には、端末情報登録要求プログラム211は、メニュー画面を出力せず、当該エラーを示す内容を入出力インターフェース204(表示画面)に出力する。
【0080】
図9は、認証サーバ100が紙媒体の画像及び価値を登録する処理の一例を示す。紙媒体登録要求プログラム311は、受渡人から1以上の紙媒体画像の入力を受け付ける(S901)。なお、入力される各紙媒体画像それぞれは、当該紙媒体の一部又は全部の画像である。紙媒体登録要求プログラム311は、入力された紙媒体画像それぞれに対して、下記のステップS902からステップS907の処理を繰り返す。
【0081】
紙媒体登録要求プログラム311は、受渡人から当該紙媒体の価値の入力を受け付ける(S902)。紙媒体登録要求プログラム311は、当該紙媒体画像と、S902で入力された当該紙媒体画像の価値と、S902における入力を行った受渡人のIDである価値発行者IDと、を含む紙媒体登録要求を、認証サーバ100に送信する(S903)。
【0082】
なお、紙媒体登録要求プログラム311は、ステップS902において、受渡人から、さらに認証要求者ID、有効期間、認証要求者情報、受渡人情報、認証有効時間、及び認証有効場所等の入力を受け付けてもよい。このとき、紙媒体登録要求プログラム311は、ステップS903において、入力された情報をさらに紙媒体登録要求に含める。
【0083】
続いて、紙媒体画像登録プログラム112は、受信した紙媒体登録要求に含まれる紙媒体画像から、画像の特徴量を抽出する(S904)。なお、ステップS901において紙媒体登録要求プログラム311が特徴量抽出処理を行い、ステップS903において紙媒体登録要求プログラム311が抽出した特徴量を紙媒体登録要求に含めてもよい。この場合、ステップS904が省略される。
【0084】
紙媒体画像登録プログラム112は、紙媒体IDを発行し、発行した紙媒体IDと抽出した特徴量と紙媒体登録要求に含まれる情報とを対応付けて紙媒体テーブル140に格納する(S905)。
【0085】
なお、例えば、抽出した特徴量と同一又は類似する特徴量を有する紙媒体の情報が紙媒体テーブル140に既に格納されている場合、紙媒体画像登録プログラム112は、ステップS905における登録処理を実行しない。具体的には、例えば、2つの特徴量の差のノルムが所定の閾値以下である場合に、紙媒体画像登録プログラム112は、2つの特徴量が同一又は類似であると判定する。
【0086】
紙媒体画像登録プログラム112は、ステップS905における登録結果を示す紙媒体登録応答を、管理用端末300に送信する(S906)。紙媒体登録要求プログラム311は、受信した紙媒体登録応答が示す登録結果を、入出力インターフェース304に出力する(S907)。
【0087】
図10は、紙媒体価値付与システムによる認証処理の一例を示す。紙媒体画像撮影プログラム212は、カメラ206を用いて1以上の認証要求対象の紙媒体の画像を撮影する(S1001)。紙媒体画像撮影プログラム212は、各紙媒体画像を認証状況と対応付けて、紙媒体画像記憶領域215に格納する。なお、ステップS1001の時点における各紙媒体画像の認証状況は「送信待ち」である。
【0088】
以下、ステップS1001において撮影された各紙媒体画像に対して、以下のステップS1002~S1015の処理が実行される。また、ステップS1001において撮影された複数の紙媒体画像に対して一括して、ステップS1002~S1015の処理が実行されてもよい。
【0089】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像を含む紙媒体画像チェック要求を認証サーバ100に送信する(S1002)。なお、紙媒体画像送信プログラム213は、例えば、紙媒体チェック要求送信時の認証要求者端末200の位置情報を、紙媒体画像チェック要求に含めてもよい。紙媒体画像認証プログラム113は、受信した紙媒体画像チェック要求に含まれる紙媒体画像を、紙媒体画像欄156に格納する(S1003)。紙媒体画像認証プログラム113は、当該紙媒体画像を受信した旨を示す紙媒体画像チェック応答を認証要求者端末200に送信する(S1004)。
【0090】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像チェック応答を受信し、紙媒体画像記憶領域215内の当該紙媒体画像の認証状況を「送信済み」に変更する(S1005)。なお、例えば、ステップS1002において紙媒体画像を含む紙媒体画像チェック要求を送信してから所定時間が経過した場合、紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像記憶領域215内の当該紙媒体画像の認証状況を「送信エラー」に変更する。
【0091】
紙媒体画像認証プログラム113は、受信した紙媒体画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量と、紙媒体テーブル140に登録されている各紙媒体画像の特徴量と、を用いて、当該紙媒体画像の認証処理を行う(S1006)。即ち、紙媒体画像認証プログラム113は、受信した紙媒体画像と一致する紙媒体画像を紙媒体テーブル140から検索し、受信した紙媒体画像に対応する紙媒体IDを特定する。ステップS1006における認証処理の詳細は、図15を用いて後述する。
【0092】
なお、ステップS1002において、紙媒体画像送信プログラム213が紙媒体画像チェック要求に含まれる紙媒体画像の特徴量を抽出し、抽出した特徴量を紙媒体画像チェック要求に含めてもよい。
【0093】
紙媒体画像認証プログラム113は、管理用端末300に、受信した紙媒体画像と、特定した紙媒体IDと、認証結果と、を含む紙媒体認証通知を管理用端末300に送信する(S1007)。なお、ステップS1007における認証結果は、例えば、認証が成功したか否かを示す情報を含み、認証が成功した場合には、当該紙媒体画像と同一であると認証された紙媒体テーブル140内の画像情報をさらに含む。また、認証が失敗した(否認された)場合、ステップS1007~S1009及びステップS1011~S1012の処理は省略されてもよい。
【0094】
紙媒体認証登録プログラム312は、受信した紙媒体画像を、認証結果記憶領域315に格納し、さらに、例えば、受渡人からの入力に従って、紙媒体画像の認証処理を実行する(S1008)。なお、ステップS1008における認証処理の詳細は、図16を用いて後述する。紙媒体認証登録プログラム312は、ステップS1008における認証結果を、受信した画像に対応付けて、認証結果記憶領域315に格納する。
【0095】
紙媒体認証登録プログラム312は、ステップS1008における認証結果を含む紙媒体認証結果登録要求を認証サーバ100に送信する(S1009)。紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体認証結果を登録する(S1010)。具体的には、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体認証結果登録要求が示す認証結果に基づいて紙媒体テーブル140及び紙媒体照合履歴テーブル150を更新する。
【0096】
紙媒体画像認証プログラム113は、認証結果の登録が完了した旨を示す紙媒体認証結果登録応答を、管理用端末300に送信する(S1011)。紙媒体認証登録プログラム312は、ステップS1008における認証結果を、入出力インターフェース304に出力する(S1012)。
【0097】
価値保証プログラム114は、認証結果が成功であった場合のみ、紙媒体テーブル140を参照して、紙媒体に対する価値保証処理を実行する(S1013)なお、ステップS1013の代わりに、ステップS1008の後に、価値保証プログラム314が、価値保証処理を実行し、処理結果をステップS1009における紙媒体認証結果登録要求に含めて、認証サーバ100に送信してもよい。
【0098】
続いて、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1010で登録された認証結果を含む紙媒体認証結果通知を、認証要求者端末200に送信する(S1014)。紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体認証結果通知が示す認証結果に従って、紙媒体画像記憶領域215内のS1002で送信した紙媒体の認証状況を更新する(S1015)。具体的には、例えば、紙媒体画像送信プログラム213は、認証結果が成功であった場合に当該紙媒体画像の認証状況を「認証済(OK)」に変更し、認証結果が失敗であった場合に当該紙媒体画像の認証状況を「認証済(NG)」に変更する。
【0099】
なお、管理用端末300における認証処理、即ちステップS1007~S1009、ステップS1011、及びステップS1012の処理は、省略されてもよい。このとき、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1010において、ステップS1006の認証処理による認証結果を登録する。
【0100】
また、例えば、一定時間ごと又はステップS1006における一定件数の紙媒体画像の認証処理が実行されるごとのバッチ処理により、管理用端末300における認証処理が実行されてもよい。このとき、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1010において、ステップS1009の紙媒体認証結果登録要求の受信を待たずに、ステップS1006の認証処理による認証結果を登録する。
【0101】
また、管理用端末300による認証処理の後に、認証サーバ100による認証処理が実行されてもよい。以下、この場合における、上述した処理との相違点を説明する。紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1004の後にステップS1006の処理を実行せず、ステップS1007において管理用端末300に当該紙媒体の画像を含む紙媒体認証通知を管理用端末300に送信する。
【0102】
ステップS1009で受信した紙媒体認証結果登録応答が示す認証結果が成功である場合、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1006の紙媒体認証処理を実行し、ステップS1010において処理結果を登録する。紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1009で受信した紙媒体認証結果登録応答が示す認証結果失敗である場合、ステップS1006の処理を実行せず、ステップS1010において認証が失敗した旨の認証結果を登録し、ステップS1011の処理を実行しない。
【0103】
図11は、管理用端末300によるシステム管理処理の一例を示す。以下、管理用端末300が受渡人からの入力を受け付ける例を説明する。管理情報操作要求プログラム313は、受渡人から管理用のログイン画面表示命令を受け付け(S1101)、認証サーバ100にログイン画面取得要求を送信する(S1102)。管理情報操作プログラム115は、ログイン画面の表示に必要な情報を含むログイン画面取得応答を管理用端末300に送信する(S1103)。
【0104】
管理情報操作要求プログラム313は、受信したログイン画面取得応答に含まれる情報を用いて、ログイン画面を出力する(S1104)。管理情報操作要求プログラム313は、受渡人から、管理用のログインIDとパスワードの入力を受け付ける(S1105)。管理情報操作要求プログラム313は、S1105で入力されたログインIDとパスワードを含むログイン要求を認証サーバ100に送信する(S1106)。
【0105】
管理情報操作プログラム115は、受信したログインIDとパスワードが正当であるか否かを判定し、ログイン結果を示すログイン応答を管理用端末300に送信する(S1107)。なお、管理情報操作プログラム115は、受信したログインIDとパスワードが正当であると判定した場合、管理画面の表示に必要な情報をログイン応答に含める。また、管理情報操作プログラム115は、受信したログインIDとパスワードが正当でないと判定した場合、エラー画面の表示に必要な情報をログイン応答に含め、管理情報操作要求プログラム313はログイン応答に含まれる情報を用いてエラー画面を出力する。
【0106】
以下のステップS1108以降の処理は、ログインが成功した場合にのみ行われる処理である。管理情報操作要求プログラム313はログイン応答に含まれる情報に従って、管理画面を表示する(S1108)。例えば、管理画面は、補助記憶装置103が保持する各テーブルの情報を含む管理情報の登録、参照、及び変更等の操作についての入力を受け付けるための領域を含む。また、管理画面は、ログアウト要求の入力を受け付けるための領域を含む。
【0107】
また、管理画面は、紙媒体画像表示処理の実行指示の入力を受け付けるための領域、及び価値保証処理の実行指示の入力を受け付けるための領域をさらに含み、これらの領域は、後述する図16の処理で利用される。
【0108】
管理情報操作要求プログラム313は、受渡人から、管理情報の登録、参照、又は変更操作の入力を受け付ける(S1109)。管理情報操作要求プログラム313は、当該操作内容を含む、管理情報操作要求を認証サーバ100に送信する(S1110)。管理情報操作プログラム115は、受信した管理情報操作要求が示す操作内容に従った管理情報の操作結果を含む、管理情報操作応答を管理用端末300に送信する(S1111)。管理情報操作要求プログラム313は、受信した管理情報操作応答に含まれる操作結果を表示する(S1112)。
【0109】
管理情報操作要求プログラム313は、受渡人から、ログアウト要求を受け付ける(S1113)。管理情報操作要求プログラム313は、ログアウト要求を認証サーバ100に送信する(S1114)。管理情報操作プログラム115は、ログイン画面の表示に必要な情報を含むログアウト応答を管理用端末300に送信する(S1115)。管理情報操作要求プログラム313は、受信したログアウト応答に含まれる情報に従って、ログイン画面を出力する(S1116)。
【0110】
図12は、認証要求者端末200の全体処理の一例を示す。図12の処理は、図7及び図8における認証要求者端末200の処理に対応する。認証要求者端末200が起動されると、端末情報登録要求プログラム211は起動画面を出力し、例えば、認証要求者からの指示に従って、認証要求者端末200の情報が認証サーバに登録済か否かを判定する(S1201)認証要求者端末200の情報が認証サーバ100に未登録の場合(S1201:なし)、端末情報登録要求プログラム211は、新規登録画面を出力し(S1202)、認証要求者IDとパスワードの入力を受け付ける。
【0111】
認証要求者端末200の情報が認証サーバ100に登録済の場合(S1201:あり)、認証要求者IDとパスワードの入力を受け付け、ステップS1203に遷移する。端末情報登録要求プログラム211は、認証要求者IDとパスワードとを含む端末情報チェック要求を認証サーバ100に送信する(S1203)。
【0112】
端末情報登録要求プログラム211は、端末情報認証処理の処理結果を認証サーバ100から受信する(S1204)。認証が成功した場合(S1204:OK)、ステップS1205に遷移する。認証が失敗した場合(S1204:NG)、ステップS1201に遷移する。
【0113】
端末情報登録要求プログラム211は、メニュー画面を出力し、認証要求者からの要求に従って、メニューを選択する(S1205)。メニュー画面の詳細は、図18Bを用いて後述する。メニュー画面から「紙媒体画像撮影」ボタンが操作された場合(S1205:紙媒体撮影)、紙媒体画像撮影プログラム212は、紙媒体画像の撮影処理を実行し(S1206)、撮影処理の終了後にステップS1205に戻る。
【0114】
メニュー画面から「紙媒体画像送信」ボタンが操作された場合(S1205:紙媒体画像送信)、紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像の送信処理を実行し(S1207)、送信処理の終了後にステップS1205に戻る。メニュー画面から「紙媒体状況確認」ボタンが操作された場合(S1205:紙媒体状況確認)、紙媒体状況確認プログラム214は、状況確認処理を実行し(S1208)、状況確認処理の終了後にステップS1205に戻る。
【0115】
メニュー画面から「設定情報」ボタンが操作された場合(S1205:設定情報)、紙媒体状況確認プログラム214は、設定情報画面を表示し(S1209)、例えば、認証要求者からの指示に従って、ステップS1205に戻る。メニュー画面から「終了」ボタンが操作された場合(S1205:終了)、認証要求者端末200による処理が終了する。
【0116】
図13は、認証要求者端末200による撮影処理(S1206)の一例を示す。図13の処理は、図10におけるステップS1001の処理に対応する。紙媒体画像撮影プログラム212は、紙媒体撮影画面を出力する(S1301)。紙媒体撮影画面の詳細は、図18Cを用いて後述する。紙媒体撮影画面において認証要求者が「キャンセル」ボタンを操作した場合(S1301:キャンセル)、紙媒体画像撮影プログラム212は撮影処理を終了する。
【0117】
紙媒体撮影画面において認証要求者が紙媒体の撮影を実行した場合(S1301:撮影)、紙媒体画像撮影プログラム212は、紙媒体撮影確認画面を出力する(S1302)。紙媒体撮影確認画面の詳細は図18Cを用いて後述する。紙媒体撮影確認画面において認証要求者が「保存」ボタンを操作した場合(S1302:保存)、紙媒体画像撮影プログラム212は撮影した紙媒体画像の認証状況を「送信待ち」として、撮影日時を含む紙媒体画像と認証状況とを紙媒体画像記憶領域215に格納する。
【0118】
図14は、認証要求者端末200による紙媒体画像の送信処理(S1207)の一例を示す。図14の処理は、図10におけるステップS1005の処理に対応する。紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像送信確認画面を出力する(S1401)。紙媒体画像送信確認画面の詳細は、図18Dを用いて後述する。
【0119】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体送信確認画面を介して、認証要求者から指示を受け付ける(S1402)。紙媒体画像送信確認画面において認証要求者が「キャンセル」ボタンを操作した場合又は画像を選択しなかった場合(S1402:NO)、紙媒体画像送信プログラム213は送信処理を終了する。
【0120】
紙媒体画像送信確認画面において認証要求者が1以上の画像を選択した場合(S1402:YES)、紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像送信画面を出力する(S1403)。紙媒体画像送信画面の詳細は図18Bを用いて後述する。
【0121】
続いて、紙媒体画像送信プログラム213は、ステップS1402で選択された各未送信画像に対して、ステップS1405及びステップS1406の処理を実行し(S1404)、ステップS1401に遷移する。
【0122】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体画像送信画面において認証要求者が「キャンセル」ボタンを操作したか否かを判定する(S1405)。キャンセルボタンが操作された場合(S1405:YES)、紙媒体画像送信プログラム213は、実行中の画像送信処理及び全ての未送信画像の送信処理を中止し、ステップS1401に遷移する。キャンセルボタンが選択されなかった場合(S1405:NO)、紙媒体画像送信プログラム213は当該未送信画像を認証サーバ100に送信する(S1406)。
【0123】
図15は、認証サーバ100による紙媒体画像認証処理の一例を示す。図15の処理は、図10におけるステップS1003以降の認証サーバ100の処理に対応する。紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求者端末200から受信した紙媒体画像のチェック処理を実施する(S1501)。
【0124】
ステップS1501において、例えば、紙媒体画像認証プログラム113は、照合番号を発行する。紙媒体画像認証プログラム113は、発行した照合番号(以下、第1照合番号と呼ぶ)を照合番号欄152に、紙媒体画像を送信した認証要求者端末200にログイン中の認証要求者IDを認証要求者ID欄153に、紙媒体画像を送信した認証要求者端末200のIDを認証要求者端末ID欄154に、受信した紙媒体画像に含まれる撮影日時を撮影日時欄155に、受信した紙媒体画像をメモリ202又は補助記憶装置203にそれぞれ格納する。その後、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体画像を受信した旨を認証要求者端末に通知する。
【0125】
続いて、紙媒体画像認証プログラム113は、受信した紙媒体画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量と、紙媒体テーブル140の画像情報欄142に格納されている各紙媒体画像の特徴量と、を比較し、受信した紙媒体画像の認証を実施する(S1502)。
【0126】
ステップS1502における紙媒体画像認証処理の一例を説明する。紙媒体画像認証プログラム113は、例えば、受信した紙媒体画像の特徴量と、紙媒体テーブル140に格納されている特徴量それぞれと、の差のノルムを算出する。紙媒体画像認証プログラム113は、算出したノルムそれぞれを所定の減少関数に代入した値を、画像の類似度として算出する。つまり、特徴量の差のノルムが小さいほど、2つの画像はより類似している。
【0127】
なお、例えば、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体画像と併せて紙媒体IDを受信した場合、例えば、紙媒体テーブル140を検索し、受信した紙媒体IDと同一の紙媒体IDを有する紙媒体画像のみに対して、受信した紙媒体画像との類似度を算出してもよい。なお、文字や二次元コード等の紙媒体IDを示す情報が紙媒体に印字又は印画されている場合、紙媒体画像認証プログラム113は、文字認識や二次元コードの復号等を行って、紙媒体画像から紙媒体IDを抽出してもよい。
【0128】
受信した紙媒体IDと同一の紙媒体IDが紙媒体テーブル140に存在しない場合、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体IDを受信しなかったものとして再度ステップS1502の処理を実施してもよいし、同一紙媒体IDが存在しなかった旨の否認理由を第1照合番号に対応する否認理由欄157に記録してステップS1508に遷移してもよい。受信した紙媒体IDと同一の紙媒体IDが紙媒体テーブル140に存在する場合、紙媒体画像認証プログラム113は、当該紙媒体IDに対応する照合回数欄148の値をインクリメントし、第1照合番号に対応する紙媒体ID欄151に当該紙媒体IDを格納する。
【0129】
続いて、紙媒体画像認証プログラム113は、算出した類似度それぞれが所定の認証閾値以上であるか否かを判定する(S1503)。算出した全ての類似度が所定の認証閾値未満である場合(S1503:NO)、受信した紙媒体画像と類似する紙媒体画像が紙媒体テーブル140に登録されていない旨を示す否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納し(S1504)、ステップS1508に遷移する。
【0130】
所定の認証閾値以上である類似度が存在する場合(S1503:YES)、紙媒体画像認証プログラム113は、最大の類似度を選択する。紙媒体画像認証プログラム113は、選択した類似度に紙媒体テーブル140において対応する紙媒体画像(以下、当該紙媒体を第1紙媒体、第1紙媒体の画像を第1紙媒体画像と呼ぶ)の紙媒体IDと、受信した紙媒体画像と、認証が成功したことを示す認証結果と、を含む紙媒体認証通知を管理用端末300に送信する。なお、当該紙媒体IDに対応する利用制限コード欄161に注意メッセージを示す値が格納されている場合、紙媒体画像認証プログラム113は、当該値が示す注意メッセージを、紙媒体認証通知に含める。紙媒体画像認証プログラム113は、管理用端末300から管理用端末300による認証結果を受信し、当該認証結果が成功であるか否かを判定する(S1505)。
【0131】
なお、所定の認証閾値以上である類似度が存在する場合(S1503:YES)、紙媒体画像認証プログラム113は、第1紙媒体画像に対応する照合回数欄148の値をインクリメントし、第1紙媒体画像に対応する紙媒体IDの値を紙媒体ID欄141から取得し、取得した紙媒体IDの値を、第1照合番号に対応する紙媒体ID欄151に格納する。
【0132】
なお、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1503において、第1紙媒体画像の、認証要求者ID欄145、価値保証番号欄147、照合回数欄148、有効期間欄149、利用制限コード欄161、認証要求者情報欄162、及び受渡人情報欄163の少なくとも1つの情報を用いた認証処理をさらに行ってもよい。紙媒体画像認証プログラム113は、当該認証処理が成功である場合のみ、紙媒体認証通知を管理用端末300に送信する。
【0133】
なお、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1502~S1503における紙媒体画像の類似度を用いた認証処理に加え、以下に説明する情報を用いた認証処理を実行してもよい。紙媒体画像認証プログラム113は、当該認証処理において少なくとも1つの否認理由が記録された場合には、紙媒体認証通知を管理用端末300に送信せず、ステップS1508に遷移する。紙媒体画像認証プログラム113は、当該認証処理をさらに実行することにより、より高いセキュリティレベルを確保することができる。以下、当該認証処理について説明する。
【0134】
第1紙媒体画像の認証要求者ID欄145の値がnull値でない場合、紙媒体画像認証プログラム113は、例えば、紙媒体画像を送信した認証要求者の認証要求者IDと、当該認証要求者ID欄145に格納された認証要求者IDとを比較する。紙媒体画像認証プログラム113は、当該比較において認証要求者IDが一致しない場合、認証要求者が一致しない旨を示す否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。
【0135】
第1紙媒体画像の照合回数欄148が示す照合回数が所定の閾値以上である場合、紙媒体画像認証プログラム113は、例えば、第1紙媒体に対して許容された回数を超過した照合が実施された旨を示す否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。なお、当該閾値は、紙媒体ごとに異なってもよく、紙媒体ごと当該閾値が異なる場合、例えば、各閾値は紙媒体テーブル140内に紙媒体IDと紐づけて格納されている。
【0136】
第1紙媒体画像の価値保証番号欄147の値がnull値でない場合、紙媒体画像認証プログラム113は、当該紙媒体に既に価値保証済みである旨を示す否認理由を第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。
【0137】
第1紙媒体画像の有効期間欄149の値がnull値でない場合、紙媒体画像認証プログラム113は、例えば、現在日時と第1紙媒体画像の有効期間欄149が示す日時とを比較して、現在日時が有効期間内であるか否かを判定する。現在日時が有効期間内でない場合、紙媒体画像認証プログラム113は、認証時刻が有効期間内でない旨を示す否認理由を第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。
【0138】
利用制限コード欄161に否認理由を示す値が格納されている場合、紙媒体画像認証プログラム113は、当該値が示す否認理由を、第1照合番号欄に対応する否認理由欄157に格納する。
【0139】
認証要求者情報欄162の値がnull値でない場合、例えば、紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求者端末200に認証要求者情報送信要求を送信する。認証要求者情報が手のひら静脈である場合、紙媒体画像撮影プログラム212は、認証要求者からの指示に従って、カメラ206を用いて認証要求者の手のひら静脈の画像を撮影する。紙媒体画像送信プログラム213は撮影した画像を認証サーバ100に送信する。
【0140】
紙媒体画像認証プログラム113は、受信した手のひら静脈の画像と、認証要求者情報欄162に格納された手のひら静脈の画像と、を比較する。紙媒体画像認証プログラム113は、当該比較において手のひら静脈の画像が一致しないと判定した場合、認証要求者情報が一致しない旨を示す否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。
【0141】
なお、認証要求者情報が、例えば、紙媒体に押印された印鑑のように、紙媒体上に印画されている場合、紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求者情報送信要求を送信せず、紙媒体から認証要求者情報を抽出すればよい。
【0142】
受渡人情報欄163がnull値でない場合の処理は、認証要求者情報欄162の値がnull値でない場合の処理と同様である。
【0143】
紙媒体テーブル140が認証有効場所欄を含み、かつ紙媒体画像送信プログラム213が第1紙媒体についての紙媒体画像チェック要求を送信した時刻における認証要求者端末200の位置が、認証有効場所欄が示す場所の範囲に含まれない場合、例えば、紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求が認証有効場所で実行されなかった旨を示す否認理由を第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する。
【0144】
なお、紙媒体画像認証プログラム113は、第1紙媒体に対応する価値情報に応じて、実行する認証処理を変更してもよい。例えば、第1紙媒体が商品券である場合、紙媒体画像認証プログラム113は、第1紙媒体の価値情報(商品券金額)が高いほど、多くの認証処理を実行してもよい。具体的には、例えば、第1紙媒体の金額が1000円以下である場合には、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体画像の類似度のみによる認証処理を実行する。例えば、第1紙媒体の金額が1000円超かつ10000円以下である場合には、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体画像の類似度による認証処理に加え、紙媒体画像チェック要求受信時刻による認証処理を実行する。例えば、第1紙媒体の金額が10000円超である場合には、紙媒体画像認証プログラム113は、紙媒体画像の類似度による認証処理及び紙媒体画像チェック要求受信時刻による認証処理に加え、紙媒体画像チェック要求送信時刻における認証要求者端末200の位置情報による認証処理を実行する。
【0145】
フローチャートの説明に戻る。ステップS1505において、管理用端末300からの認証結果が失敗である場合(S1505:NO)、紙媒体画像認証プログラム113は、管理用端末300における認証結果が失敗である旨を示す否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納する(S1506)。なお、紙媒体画像認証プログラム113は、管理用端末300から具体的な否認理由を受信した場合には、受信した否認理由を、第1照合番号に対応する否認理由欄157に格納してもよい。
【0146】
管理用端末300からの認証結果が成功である場合(S1505:YES)、価値保証プログラム114は、第1紙媒体画像に対応する価値情報を価値情報欄143から取得し、価値保証処理を実行する(S1507)。価値保証プログラム114は、ステップS1508において、例えば、価値保証番号を発行し、発行した価値保証番号を第1紙媒体画像に対応する価値保証番号欄147に格納し、第1紙媒体画像に対応する価値保証状況欄146の値を「価値保証済」に変更する。なお、ステップS1507の価値保証処理は、管理用端末300によって実行されてもよい。
【0147】
紙媒体画像認証プログラム113は、認証要求者端末200に対して、認証結果を含む紙媒体認証結果通知を、認証要求者端末200に送信する(S1508)。なお、紙媒体画像認証プログラム113は、認証を否認した場合には、否認理由を紙媒体認証結果通知にさらに含めてもよい。
【0148】
図16は、管理用端末300による紙媒体認証処理の一例を示す。以下、受渡人が管理用端末300を操作する例を説明する。図16の処理は、図10におけるステップS1008、S1009、S1011、及びS1012の処理に対応する。管理情報操作要求プログラム313は、ログイン画面を出力する(S1601)。管理情報操作要求プログラム313は、例えば、受渡人からログインIDとパスワードの入力を受け付け、入力されたログインIDとパスワードの組み合わせが正当であるか否かを判定する(S1602)。
【0149】
入力されたログインIDとパスワードの組み合わせが正当でない場合(S1602:ログイン失敗)、ステップS1601に戻る。入力されたログインIDとパスワードの組み合わせが正当である場合(S1602:ログイン成功)、管理情報操作要求プログラム313は、管理画面を出力する(S1603)。
【0150】
管理情報操作要求プログラム313は、受渡人からログアウト要求を受け付けた場合(S1603:ログアウト)、ログアウト処理を実行し、ログアウト画面を出力し(S1604)、認証処理を終了する。ステップS1601~S1604の処理は、図11のステップS1101~S1108、S1113~S1116の処理と同様であるため詳細を省略する。
【0151】
受渡人が紙媒体画像表示処理の実行を指示した場合(S1603:画像表示)、紙媒体認証登録プログラム312は、紙媒体画像表示画面を出力する(S1605)。紙媒体画像表示画面は、例えば、認証結果記憶領域315に格納された紙媒体画像を表示する領域と、各紙媒体画像の管理用端末300による認証結果を表示する領域と、管理用端末300による認証処理が実行されていない各紙媒体画像の認証結果が入力される領域と、利用制限コードが示す注意メッセージを表示する領域と、キャンセルボタンと、を含む。
【0152】
受渡人によってキャンセルボタンが選択された場合(S1607:キャンセル)、ステップS1603に遷移する。受渡人によって1以上の紙媒体画像の認証結果が入力された場合(S1607:認証結果)、紙媒体認証登録プログラム312は、入力された認証結果それぞれを、認証結果記憶領域315の当該1以上の紙媒体画像に、対応付けて格納し(S1608)、ステップS1603に遷移する。
【0153】
上述のステップS1607において、受渡人の目視による認証結果が手動処理で入力されているが、自動処理で実行されてもよい。例えば、紙媒体に予め受渡人の印鑑が押印され、補助記憶装置303に紙媒体と印影との対応情報が格納されている場合、紙媒体認証登録プログラム312は、紙媒体画像から印影を抽出し、当該対応情報内に抽出した印影と同一の印影が存在するか否かを判定することによって認証処理を行ってもよい。認証サーバ100による認証処理に加え、管理用端末300が別の認証処理を行うことにより、認証のセキュリティレベルが向上する。
【0154】
ステップS1603において、受渡人が価値保証処理の実行を指示した場合(S1603:価値保証)、価値保証プログラム314は、価値保証処理を実行し(S1606)、ステップS1603に遷移する。
【0155】
以下、ステップS1606における処理の一例を説明する。価値保証プログラム314は、例えば、認証結果記憶領域315から認証結果が成功である紙媒体画像を取得して、表示する。表示された紙媒体画像から受渡人によって1以上の紙媒体画像が選択された場合、価値保証プログラム314は、当該1以上の紙媒体画像の紙媒体IDを含む、価値情報送信要求を認証サーバ100に送信する。
【0156】
価値保証プログラム314は、認証サーバ100から当該1以上の紙媒体画像それぞれの紙媒体テーブル140に含まれる価値情報を受信し、当該1以上の紙媒体画像それぞれに対して価値保証処理を実行する。なお、管理用端末300は、紙媒体IDと価値情報の組み合わせを示す情報を保持してもよく、この場合、価値保証プログラム314は、価値情報送信要求を送信せず、管理用端末300内の当該情報を用いて価値保証処理を実行してもよい。
【0157】
図17は、認証要求者端末200の画面遷移の一例を示す。認証要求者端末200の表示画面は、第一階層1701、第二階層1702、紙媒体撮影処理画面群1703、紙媒体画像送信処理画面群1704、紙媒体状況確認画面1780、及び設定情報画面1790を含む。
【0158】
第一階層1701は、認証要求者端末200の起動時に表示される起動画面1710を含む。第二階層1702は、第一階層1701に含まれる起動画面1710から遷移する画面群であり、認証要求者端末200の端末情報を認証サーバ100に新規登録するための新規登録画面1720、及び認証要求者端末200が実行する処理を選択するためのメニュー画面1730を含む。なお、認証要求者端末200が、新規登録画面1720を用いた端末情報登録処理が正常に終了した旨の通知を認証サーバ100から受信した場合、表示画面が新規登録画面1720からメニュー画面1730に遷移してもよい。
【0159】
紙媒体撮影処理画面群1703は、メニュー画面1730から遷移する画面群であり、紙媒体画像の撮影を実行するための紙媒体撮影画面1740、及び撮影した紙媒体画像を表示する紙媒体撮影確認画面1750を含む。紙媒体画像送信処理画面群1704は、メニュー画面1730から遷移する画面群であり、認証サーバ100に送信する紙媒体画像を表示する紙媒体画像送信確認画面1760、及び紙媒体画像の送信状況を表示する紙媒体画像送信画面1770を含む。紙媒体状況確認画面1780は、紙媒体画像の認証状況を表示する。設定情報画面1790は、設定情報を表示する。
【0160】
図18Aは、起動画面1710の一例である。起動画面1710は、例えば、認証要求者ID入力領域1711、パスワード入力領域1712、ログインボタン1713、及び新規登録画面遷移ボタン1714を含む。認証要求者ID入力領域1711は、認証要求者IDの入力を受け付ける。パスワード入力領域1712は、パスワードの入力を受け付ける。
【0161】
認証要求者ID入力領域1711に認証要求者IDが、パスワード入力領域1712にパスワードが、それぞれ入力された状態でログインボタン1713が選択されると、認証サーバ100へのログイン処理が実行される。ログインが成功すると、メニュー画面1730に遷移する。新規登録画面遷移ボタン1714は、新規登録画面1720へ遷移するためのボタンである。
【0162】
図18Bは、第二階層1702に含まれる表示画面の例である。新規登録画面1720は、例えば、認証要求者ID入力領域1721、パスワード入力領域1712、及び登録ボタン1723を含む。認証要求者ID入力領域1721は、認証要求者IDの入力を受け付ける。パスワード入力領域1722は、パスワードの入力を受け付ける。
【0163】
認証要求者ID入力領域1721に認証要求者IDが、パスワード入力領域1722にパスワードが、それぞれ入力された状態で登録ボタン1723が選択されると、認証要求者端末200の情報が認証サーバ100に送信される。なお、新規登録画面1720は、認証要求者の名称、住所、代表者名、振込口座情報、連絡先、等の情報の入力を受け付けるために領域を、さらに含んでもよい。
【0164】
メニュー画面1730は、例えば、紙媒体撮影画面1740に遷移するための紙媒体撮影画面遷移ボタン1731、紙媒体画像送信確認画面1760に遷移するための紙媒体画像送信確認画面遷移ボタン1732、紙媒体状況確認画面1780に遷移するための紙媒体状況確認画面遷移ボタン1733、設定情報画面1790に遷移するための設定情報画面遷移ボタン1734、及び起動画面1710に遷移する又は認証要求者端末200をシャットダウンするための終了ボタン1735を含む。
【0165】
図18Cは、紙媒体撮影処理画面群1703に含まれる表示画面の例である。紙媒体撮影画面1740は、例えば、画像表示領域1741、撮影ボタン1742、及びキャンセルボタン1743を含む。画像表示領域1741はカメラ206のレンズが捉えた画像を表示する。撮影ボタン1742は、画像表示領域1741に表示された画像の撮影を実行し、紙媒体撮影確認画面1750に遷移するためのボタンである。キャンセルボタン1743は、紙媒体撮影処理を中止し、メニュー画面1730に遷移するためのボタンである。
【0166】
紙媒体撮影確認画面1750は、例えば、撮影画像表示領域1751、保存ボタン1752、及びキャンセルボタン1753を含む。撮影画像表示領域1751は、撮影ボタン1742が選択されたことにより撮影された画像を表示する。保存ボタン1752は、撮影画像表示領域1751に表示された画像を紙媒体画像記憶領域215に保存するためのボタンである。キャンセルボタン1753は、紙媒体撮影画面1740に遷移するためのボタンである。なお、キャンセルボタン1753が選択された場合に、メニュー画面1730に遷移してもよい。
【0167】
図18Dは、紙媒体画像送信処理画面群1704に含まれる表示画面の例である。紙媒体画像送信確認画面1760は、例えば、送信待ち画像表示領域1761、送信ボタン1762、及びキャンセルボタン1763を含む。送信待ち画像表示領域1761は、例えば、認証状況が「送信待ち」であって、紙媒体画像記憶領域215に含まれる紙媒体画像を表示する。
【0168】
送信ボタン1762は、送信待ち画像表示領域1761に表示された画像の送信処理を実行し、紙媒体画像送信画面1770に遷移するためのボタンである。キャンセルボタン1763は、メニュー画面1730に遷移するためのボタンである。なお、紙媒体送信待ち画像表示領域1761は、表示された各画像に対応するチェックボックスをさらに含んでもよく、送信ボタン1762が選択された場合、チェックボックスにチェックが入れられた画像のみに対して送信処理が実行される。
【0169】
紙媒体画像送信画面1770は、例えば、送信状況表示領域1771、及びキャンセルボタン1772を含む。送信状況表示領域1771は、例えば、認証状況が「送信中」、「送信済」、又は「送信エラー」であって、紙媒体画像記憶領域215に格納された、紙媒体画像、及び当該紙媒体画像の送信状況を表示する。キャンセルボタン1772は、紙媒体画像送信確認画面1760に遷移するためのボタンである。なお、キャンセルボタン1772が選択された場合に、メニュー画面1730に遷移してもよい。
【0170】
図18Eは、紙媒体状況確認画面1780の一例である。紙媒体状況確認画面1780は、例えば、認証状況表示領域1781、及びキャンセルボタン1782を含む。認証状況表示領域1781は、例えば、認証状況が「送信中」、「送信済」、「送信エラー」、「認証済(OK)」、又は「認証済(NG)」であって、紙媒体画像記憶領域215に含まれる紙媒体画像、及び当該紙媒体画像の認証状況を表示する。キャンセルボタン1782は、メニュー画面1730に遷移するためのボタンである。
【0171】
図18Fは、設定情報画面1790の一例である。設定情報画面1790は、例えば、バージョン情報表示領域1791、認証要求者名称表示領域1792、及びキャンセルボタン1793を含む。バージョン情報表示領域1791は、紙媒体価値付与システムのバージョン情報を表示する。認証要求者名称表示領域1792は、認証要求者の名称を表示する。キャンセルボタン1793は、メニュー画面1730に遷移するためのボタンである。
【0172】
以上、本実施例において、受渡人は、管理用端末300に、紙媒体の画像情報と紙媒体の価値情報とを入力し、認証サーバ100は管理用端末に入力された、画像情報に含まれる画像特徴量と、価値情報と、を予め登録する。認証サーバ100は、認証要求者端末200から受信した紙媒体画像が示す特徴量と、予め登録された特徴量と、を比較し、比較結果に基づく認証処理を実行する。認証処理が成功した場合、認証サーバ100は、予め登録された対応する価値情報を用いた価値保証処理を実行する。
【0173】
これにより、本実施例の紙媒体価値付与システムは、あらゆる紙媒体に特殊な処理を施すことなく価値を付与し、当該紙媒体を高精度に認証することができる。例えば、特に管理用端末300が、受渡人が所持するスマートフォン等の携帯端末である場合には、受渡人は、特殊な加工を施すことなくその場で、あらゆる紙媒体を、高精度に認証が可能な価値媒体へと変化させることができる。また、本実施例の紙媒体価値付与システムが用いられることにより、受渡人と認証要求者との間での紙媒体の移動によって両者間での取引が成立するため、両者間の取引、即ち価値移動を容易に実行することができる。
【0174】
また、紙媒体価値付与システムは、受渡人が指定した任意の価値情報を紙媒体に付与することができる。これにより、紙媒体価値付与システムは、例えば、高額な価値(例えば、仮想通貨残高や商品券金額等)を紙媒体に付与することができ、この場合、当該紙媒体は、同等の価値を有する紙幣等の現実通貨と比較して可搬性に優れている。
【0175】
また、例えば、紙媒体価値付与システムは、任意の印字状態の紙媒体に対して価値を付与し、正確に当該紙媒体の認証を実行することができる。これにより、例えば、紙媒体価値付与システムが、金額情報が印字されていない紙媒体に高額の価値を付与した場合等においては、当該紙媒体の価値を人間が目視で判断することはできないため、高額の価値が付与された紙媒体であっても盗難等のリスクを軽減することができる。
【実施例2】
【0176】
本実施例の紙媒体価値付与システムは、仮想通貨残高を紙媒体に付与する処理を実行する。本実施例では、価値情報の一例として、紙媒体に付与されている仮想通貨残高を引き出すための鍵が用いられる。
【0177】
図19は、本実施例の紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の概要の一例を示す。本実施例の価値付与システムは、仮想通貨を管理する仮想通貨管理サーバ500をさらに含む。本実施例の仮想通貨管理サーバ500は、ネットワーク400を介して認証サーバ100、認証要求者端末200、及び管理用端末300に接続されている。仮想通貨管理サーバ500の詳細は図20を用いて後述する。なお、認証サーバ100が仮想通貨管理サーバ500の処理を行ってもよい。
【0178】
管理用端末300は、紙媒体の画像情報及び価値情報と、紙媒体に移動させる仮想通貨残高と、の入力を受渡人から受け付け、入力された移動残高を含む残高保留要求を、仮想通貨管理サーバ500に送信する。仮想通貨管理サーバ500は、受渡人の仮想通貨残高から残高保留要求に含まれる移動残高を減算し、移動残高を保留状態にする。仮想通貨管理サーバ500は、保留状態の移動残高、即ち保留残高を引き出すための保留残高引出鍵を作成し、管理用端末300に送信する。なお、保留残高引出鍵は、対応する保留残高を示す情報を含む。保留残高は、保留残高引出鍵のみによって引き出すことができる。
【0179】
続いて、管理用端末300は、入力された画像情報と受信した保留残高引出鍵とを認証サーバ100に送信する。認証サーバ100は、受信した紙媒体の画像情報と保留残高引出鍵とを対応付けて保持する。これにより、当該紙媒体に移動残高が付与される。
【0180】
なお、受渡人とは別のシステム管理者が管理用端末300に紙媒体の画像情報及び紙媒体に移動させる残高を入力してもよい。この場合、例えば、認証サーバ100に紙媒体の画像情報及び紙媒体に移動させる残高が登録された後、紙媒体はシステム管理者から受渡人へと受け渡される。
【0181】
続いて、紙媒体が受渡人から認証要求者へと受け渡される。認証要求者は、認証要求者端末200を用いて、受け取った紙媒体の認証を行う。認証要求者端末200は、認証要求者から認証要求対象の紙媒体の画像情報の入力を受け付け、認証サーバ100に送信する。
【0182】
具体的には、認証サーバ100は、認証サーバ100が保持する画像情報から、受信した画像情報と一致する画像情報を検索する。当該一致する画像情報が存在する場合、認証サーバ100は、当該画像情報に対応する保留残高引出鍵を取得する。認証サーバ100は、取得した保留残高引出鍵を認証要求者端末200に送信する、価値保証処理を実行する。
【0183】
認証要求者端末200は、認証要求者の指示に従って、保留残高鍵を含む保留残高移動要求を仮想通貨管理サーバ500に送信する。仮想通貨管理サーバ500は、保留残高移動鍵に対応する保留残高を認証要求者に移動させる。具体的には、仮想通貨管理サーバ500は、当該保留残高を認証要求者の仮想通貨残高に移動させる処理、又は当該保留残高に相当する現実通貨の金額を認証要求者の銀行口座に振り込むための振込データを作成する処理等を実行する。
【0184】
なお、認証要求者と受取人との間に、1以上の取引仲介者が介在してもよい。取引仲介者それぞれは、取引仲介者それぞれが有する認証要求者端末200を用いて、紙媒体認証を認証サーバ100に要求する。取引仲介者それぞれは、認証が成功した場合に次の受取人に紙媒体を受け渡す。なお、認証サーバ100は、取引仲介者からの認証要求に対しては、紙媒体の認証処理のみを実施し、価値保証処理を実行しない。
【0185】
図20は、仮想通貨管理サーバ500の構成例を示す。仮想通貨管理サーバ500は、プロセッサ(CPU)501、メモリ502、補助記憶装置503、入出力インターフェース504、及び通信インターフェース505を有する計算機によって構成される。仮想通貨管理サーバ500は、例えば、仮想通貨管理業者が保有する。また、仮想通貨管理サーバ500は、特定の仮想通貨管理業者によって保有されなくてもよく、例えば、分散型のコンピュータネットワークにより接続された複数の計算機により構成されてもよい。
【0186】
プロセッサ501、メモリ502、補助記憶装置503、入出力インターフェース504、及び通信インターフェース505それぞれの説明は、プロセッサ101、メモリ102、補助記憶装置103、入出力インターフェース104、及び通信インターフェース105それぞれの説明と同様であるため、省略する。
【0187】
メモリ502は、仮想通貨残高管理プログラム511と保留残高引出鍵生成プログラム512とを格納する。仮想通貨残高管理プログラム511は、後述する仮想通貨残高テーブル520に格納された仮想通貨残高の登録、更新、参照等の管理処理を実行する。保留残高引出鍵生成プログラム512は、保留残高引出鍵を生成する。
【0188】
補助記憶装置503は、仮想通貨残高テーブル520を保持する。仮想通貨残高テーブル520は、仮想通貨を保有する顧客の識別情報(仮想通貨管理サーバ500へのログインID)、当該識別情報に対応するパスワード、当該顧客の仮想通貨残高、当該顧客の保留状態の仮想通貨残高、及び保留状態の仮想通貨残高それぞれを引き出すための保留残高引出鍵を関連付けて保持する。
【0189】
図21は、本実施例において、認証サーバ100が紙媒体の画像及び価値を登録する処理の一例を示す。紙媒体登録要求プログラム311は、受渡人から1以上の紙媒体画像の入力を受け付ける(S2101)。なお、入力される各紙媒体画像は、当該紙媒体の一部又は全部の画像である。紙媒体登録要求プログラム311は、入力された紙媒体画像それぞれに対して、下記のステップS2102~S2111の処理を繰り返す。以下、受渡人が管理用端末300を操作する例を説明する。
【0190】
紙媒体登録要求プログラム311は、当該紙媒体に移動させる仮想通貨の残高、受渡人の仮想通貨管理サーバ500へのログインID、及びパスワードの入力を、受渡人から受け付ける(S2102)。紙媒体登録要求プログラム311は、入力された移動残高、ログインID、及びパスワードを含む残高保留要求を仮想通貨管理サーバ500に送信する(S2103)。
【0191】
仮想通貨残高管理プログラム511及び保留残高引出鍵生成プログラム512は、残高保留処理を実行する(S2104)。具体的には、仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高テーブル520から、受信した残高保留要求に含まれるログインIDとパスワードの組み合わせを特定する。仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高テーブル520の特定した組み合わせに対応する仮想通貨残高から、受信した残高保留要求に含まれる移動残高を減算し、減算した移動残高を保留状態にする。
【0192】
保留残高引出鍵生成プログラム512は、保留状態にした残高、即ち保留残高に対応する保留残高引出鍵を生成し、生成した保留残高引出鍵を、受渡人の当該保留残高と紐づけて、仮想通貨残高テーブル520に格納する。なお、保留残高引出鍵生成プログラム512は、仮想通貨残高テーブル520に既に格納されている保留残高引出鍵と異なる保留残高引出鍵を生成する。
【0193】
なお、ステップS2104において、受信した識別情報とパスワードの組み合わせが仮想通貨残高テーブル520に含まれない場合、又は受渡人の仮想通貨残高が受信した移動残高より少ない場合、保留残高引出鍵生成プログラム512は、保留残高引出鍵を生成せず、エラーメッセージを管理用端末300に送信する。
【0194】
続いて、仮想通貨残高管理プログラム511は、保留残高引出鍵を管理用端末300に送信する(S2105)。紙媒体登録要求プログラム311は、当該紙媒体画像と、受信した保留残高引出鍵と、S2102における入力を行った受渡人のIDである価値発行者IDと、を含む紙媒体登録要求を、認証サーバ100に送信する(S2106)。
【0195】
なお、紙媒体登録要求プログラム311は、ステップS2102において、受渡人から、さらに認証要求者ID、有効期間、認証要求者情報、受渡人情報等の入力を受け付けてもよい。このとき、紙媒体登録要求プログラム311は、ステップS2106において、入力された情報をさらに紙媒体登録要求に含める。
【0196】
続いて、紙媒体画像登録プログラム112は、受信した紙媒体登録要求に含まれる紙媒体画像から、画像特徴量を抽出する(S2107)。なお、ステップS2101において紙媒体登録要求プログラム311が特徴量抽出処理を行い、ステップS2106において紙媒体登録要求プログラム311が抽出した特徴量を紙媒体登録要求に含めてもよい。この場合、ステップS2107が省略される。
【0197】
紙媒体画像登録プログラム112は、紙媒体IDを発行し、発行した紙媒体IDと抽出した特徴量と紙媒体登録要求に含まれる情報とを対応付けて紙媒体テーブル140に格納する(S2108)。なお、価値情報欄143には、残高引出鍵が格納される。
【0198】
なお、例えば、抽出した特徴量と同一又は類似する特徴量を有する紙媒体の情報が紙媒体テーブル140に既に格納されている場合、紙媒体画像登録プログラム112は、ステップS2108における登録処理を実行しない。具体的には、例えば、2つの特徴量の差のノルムが所定の閾値以下である場合に、紙媒体画像登録プログラム112は、2つの特徴量が同一又は類似であると判定する。
【0199】
紙媒体画像登録プログラム112は、ステップS2108における登録結果を示す紙媒体登録応答を、管理用端末300に送信する(S2109)。紙媒体登録要求プログラム311は、受信した紙媒体登録応答が示す登録結果を、入出力インターフェース304に出力する(S2110)。紙媒体登録要求プログラム311は、仮想通貨管理サーバ500に、受信した紙媒体登録応答を転送する(S2111)。
【0200】
仮想通貨残高管理プログラム511は、受信した紙媒体登録応答が示す登録結果を参照する。登録が完了しなかったことが判明した場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高テーブル520の当該保留残高を対応する仮想通貨残高に加算し、当該保留残高及び当該保留残高に対応する保留残高引出鍵を、仮想通貨残高テーブル520から削除する。なお、仮想通貨残高管理プログラム511は、ステップS2105の処理から所定時間が経過しても、紙媒体登録応答を受信しない場合、登録が完了しなかったものとして、上述の保留残高及び保留残高引出鍵の削除処理を実行してもよい。
【0201】
図22は、紙媒体価値付与システムによる認証処理の一例を示す。ステップS1001~ステップS1012の処理は、図10と同様であるため、説明を省略する。ステップS1001において撮影された各紙媒体画像に対して、以下のステップS1002~S1012、及びステップS2213~S2217の処理が実行される。以下、ステップS1001~S1012が終了後の処理について説明をする。
【0202】
価値保証プログラム114は、認証結果が成功であった場合のみ、紙媒体テーブル140を参照して、認証が成功した紙媒体に対応する保留残高引出鍵を、価値情報欄143から取得する(S2213)。
【0203】
また、価値保証プログラム114は、価値保証番号を発行し、特定した紙媒体IDに対応する価値保証番号欄147に発行した価値保証番号を格納する。価値保証プログラム114は、特定した紙媒体IDに対応する価値保証状況欄146の値を「価値保証済」に変更する。
【0204】
続いて、紙媒体画像認証プログラム113は、ステップS1010で登録された認証結果を含む紙媒体認証結果通知を、認証要求者端末200に送信する(S2214)。なお、認証結果が成功であった場合には、紙媒体画像認証プログラム113は、取得した保留残高引出鍵を、紙媒体認証結果通知にさらに含める。認証サーバ100が、保留残高引出鍵を認証要求者端末200に送信することは、本実施例における価値保証処理の一例である。
【0205】
紙媒体画像送信プログラム213は、紙媒体認証結果通知が示す認証結果に従って、当該紙媒体の認証状況を更新する(S2215)。具体的には、例えば、紙媒体画像送信プログラム213は、認証結果が成功であった場合に紙媒体画像記憶領域215内の当該紙媒体画像の認証状況を「認証済(OK)」に変更し、認証結果が失敗であった場合に紙媒体画像記憶領域215内の当該紙媒体画像の認証状況を「認証済(NG)」に変更する。また、紙媒体画像送信プログラム213は、認証結果が成功であった場合に、認証要求者からの要求に応じて、当該紙媒体の認証状況と併せて残高引出鍵を表示してもよい。
【0206】
続いて、紙媒体画像送信プログラム213は、認証要求者からの要求に応じて、保留残高引出鍵を含む保留残高移動要求を仮想通貨管理サーバ500に送信する(S2216)。なお、保留残高を認証要求者の仮想通貨残高に加算する場合、紙媒体画像送信プログラム213は、認証要求者の仮想通貨管理サーバ500へのログインIDとパスワードの入力を、認証要求者から受け付け、入力されたログインIDとパスワードを保留残高移動要求に含める。
【0207】
また、認証要求者の銀行口座等に保留残高に相当する現実通貨が振り込まれる場合、紙媒体画像送信プログラム213は、認証要求者の振込先口座情報(銀行コード、口座番号、認証要求者の連絡先等)の入力を認証要求者から受け付け、入力された振込先口座情報を保留残高移動要求に含める。
【0208】
認証要求者の銀行口座等に保留残高に相当する現実通貨が振り込まれる場合、紙媒体画像送信プログラム213は、振込先口座情報の代わりに認証要求者の認証サーバ100への認証要求者IDを保留残高移動要求に含めてもよい。このとき、仮想通貨残高管理プログラム511は、受信した認証要求者IDを認証サーバ100に送信する。管理情報操作プログラム115は、認証要求者履歴テーブル130の当該認証要求者IDに対応する振込口座欄137から振込先口座情報を取得し、管理用端末300に送信する。
【0209】
続いて、仮想通貨残高管理プログラム511は、保留残高移動処理を実行する(S2217)。認証要求者の銀行口座等に保留残高に相当する現実通貨が振り込まれる場合、ステップS2217において、以下の処理が実行される。
【0210】
仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高管理プログラム511は、振込先口座情報に対応する振込データを作成する。振込データが正常に作成された場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高テーブル520の当該保留残高鍵及び当該保留残高鍵に対応する保留残高を削除する。なお、振込データが正常に作成されてから、所定期間が経過しても当該振込データに対応する振込が実行されなかった場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、削除した保留残高鍵及び保留残高を元に戻し、当該振込データを削除する。振込データが正常に作成されなかった場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、認証要求者端末200にエラーメッセージを送信する。
【0211】
保留残高が認証要求者の仮想通貨残高に加算される場合、ステップS2217において、以下の処理が実行される。仮想通貨残高管理プログラム511は、受信したログインIDとパスワードの組み合わせが、仮想通貨残高テーブル520に存在するか否かを判定する。
【0212】
当該組み合わせが存在する場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、仮想通貨残高テーブル520の当該保留残高鍵に対応する保留残高を、受信したログインIDに対応する仮想通貨残高に加算し、当該保留残高鍵及び当該保留残高鍵に対応する保留残高を削除する。当該組み合わせが存在しない場合、仮想通貨残高管理プログラム511は、認証要求者端末200にエラーメッセージを送信する。
【0213】
なお、ステップS2214において、認証結果が成功であった場合に、認証サーバ100は、保留残高引出鍵を紙媒体認証結果通知に含めず、当該保留残高引出鍵から保留残高を示す情報を取得し、取得した保留残高を示す情報を紙媒体認証結果通知に含めてもよい。
【0214】
このとき、ステップS2216において、認証要求者端末200は、受信した紙媒体認証結果通知を保留残高移動要求に含める。仮想通貨管理サーバ500は、認証要求者端末200から受信した紙媒体認証結果通知を認証サーバ100に送信して、認証サーバ100は受信した紙媒体認証結果通知が正当であるか否かを判定する。認証サーバ100は、正当であると判定した場合、当該紙媒体に対応する保留残高引出鍵を仮想通貨管理サーバ500に送信し、ステップS2217に遷移する。
【0215】
認証サーバ100は、正当でないと判定した場合、エラーメッセージを仮想通貨管理サーバ500に送信し、仮想通貨管理サーバ500はエラーメッセージを認証要求者端末200に送信する。このような処理により、保留残高引出鍵が認証サーバ100の外部に流出しないため、セキュリティレベルを高めることができる。
【0216】
また、本実施例において、仮想通貨管理サーバ500が保留残高引出鍵を生成せず、保留残高引出鍵の代わりに、紙媒体に付与された仮想通貨、即ち保留残高そのものがやりとりされてもよい。
【0217】
以上、本実施例の紙媒体価値付与システムは、あらゆる紙媒体に仮想通貨の価値を移動させ、かつ当該紙媒体の認証処理を正確に実行することができる。ひいては、本実施例の紙媒体価値付与システムによって、受渡人は、自身が保有する仮想通貨残高を、仮想通貨を保有している認証要求者に対しても、安全に渡すことができるため、円滑な取引が実現される。
【実施例3】
【0218】
本実施例の紙媒体価値付与システムは、紙媒体に商品券としての価値を付与する処理を実行する。なお、商品券は紙型の前払式支払手段の一例であり、本実施例の紙媒体価値付与システムは、あらゆる紙型の前払式支払手段としての価値を紙媒体に付与することができる。
【0219】
図23は、本実施例の紙媒体価値付与システムにおいて実行される処理全体の概要の一例を示す。認証サーバ100は認証センタ又は商品券の発行体に設置され、認証要求者端末200は、商品券が利用される店舗に設置され、管理用端末300は商品券の発行体に設置される。
【0220】
まず、管理用端末300は、商品券の発行体のシステム管理者から紙媒体の画像情報、及び価値情報である商品券金額の入力を、システム管理者から受け付け、入力された情報を認証サーバ100に送信する。認証サーバ100は、受信した紙媒体の画像情報と金額情報とを対応付けて保持する。これにより、当該紙媒体に商品券の金額が示す価値が付与される、即ち当該紙媒体が当該金額の価値を有する商品券になる。
【0221】
続いて、紙媒体が発行体から顧客へと受け渡される。続いて、顧客は、店舗スタッフに紙媒体を受け渡し、商品を購入する。店舗スタッフは、認証要求者端末200を用いて、受け取った紙媒体の認証を行う。認証要求者端末200は、認証要求者から紙媒体の画像情報の入力を受け付け、入力された情報を認証サーバ100に送信する。
【0222】
認証サーバ100は、認証サーバ100が保持する画像情報から、受信した画像情報と一致する画像情報を検索する。当該一致する画像情報が存在する場合、認証サーバ100は、当該画像情報に対応する金額情報を取得し、取得した金額に対応する振込データを作成する、価値保証処理を実行する。
【0223】
なお、具体的には、価値保証プログラム114が以下のようにして、価値保証処理を実行する。価値保証プログラム114は、認証処理において特定された紙媒体IDに対応する、名称欄134から名称を、振込口座欄137から振込先口座情報を、価値情報欄143から商品券金額を、それぞれ取得する。価値保証プログラム114は、特定した紙媒体IDと、取得した名称、振込先口座番号、及び商品券金額と、を紐づけた、振込データを作成する。
【0224】
また、価値保証プログラム114は、価値保証番号を発行し、特定した紙媒体IDに対応する価値保証番号欄147に発行した価値保証番号を格納する。価値保証プログラム114は、特定した紙媒体IDに対応する価値保証状況欄146の値を「価値保証済」に変更する。価値保証プログラム114は、例えば、定期的に又は管理用端末300からの要求に応じて、生成した振込データを管理用端末300に送信する。
【0225】
なお、認証要求者と受取人との間に、1以上の取引仲介者が介在してもよい。取引仲介者それぞれは、取引仲介者それぞれが有する認証要求者端末200を用いて、紙媒体認証を認証サーバ100に要求する。取引仲介者それぞれは、認証が成功した場合に次の受取人に紙媒体を受け渡す。なお、認証サーバ100は、取引仲介者からの認証要求に対しては、紙媒体の認証処理のみを実施し、価値保証処理を実行しない。
【0226】
上述した処理により、本実施例の紙媒体価値付与システムは、あらゆる紙媒体に商品券としての価値を付与し、かつ当該紙媒体の認証処理を正確に実行し、さらに店舗への振込データを作成することができる。
【0227】
なお、本実施形態では、クライアントサーバ方式における紙媒体価値付与システムを説明しているが、紙媒体価値付与システムは、例えば、ブロックチェーンのようなP2P方式で実現されてもよい。この場合、例えば、各所に設置された複数の端末(ノード)それぞれが、認証サーバ100、認証要求者端末200、管理用端末300、及び仮想通貨管理サーバ500の機能の一部又は全てを担う。
【0228】
認証サーバ100として機能する、ネットワークを介して接続された複数の端末が存在する(当該複数の端末それぞれは認証サーバ100の一部の機能を担う)場合、例えば、当該複数の端末でブロックチェーンを構成し、紙媒体の受渡履歴をブロックチェーンのブロックに記録してもよい。これにより、特に受渡人と認証要求者との間に取引仲介者がいる場合において、紙媒体の流通過程をより正確性に保証することができる。また、例えば、仮想通貨管理サーバ500として機能する複数の端末が存在する(当該複数の端末それぞれは仮想通貨管理サーバ500の一部の機能を担う)場合、例えば、当該複数の端末でブロックチェーンを構成し、仮想通貨の取引履歴をブロックチェーンのブロックに記録してもよい。
【0229】
また、前述したように、認証サーバ100は、価値保証処理として紙媒体の原本性証明を実行してもよい。具体的には、例えば識別番号が記載された紙幣が本実施形態の紙媒体である場合、例えば、認証サーバ100の紙媒体テーブル140には、紙幣の識別番号である紙媒体IDと、紙幣に記載された識別番号を含む紙幣の一部又は全部の画像情報と、が対応付けられて格納されている。認証サーバ100は、認証要求者端末200から、紙幣に記載された識別番号を含む紙幣の一部又は全部の画像情報と、紙媒体テーブル140に格納された当該識別番号に対応する画像情報と、間の認証を実行し、認証が成功した場合に、当該紙幣の原本性証明を実行する。当該処理により、認証サーバ100は、紙幣識別器としても機能する。
【0230】
また、本実施形態の紙媒体価値付与システムに用いられる媒体は、紙媒体に限られない。例えば、布、石、及び木などの媒体が、紙媒体の代わりに用いられてもよい。つまり、認証サーバ100には、紙媒体の画像の代わりに、布、石、及び木などの媒体の画像及び当該画像に対応づけられた価値が予め登録され、認証サーバ100は、受信した当該媒体の画像について認証処理及び価値保証処理を実行してもよい。この場合、布、石、及び木などの画像特徴量として、布、石、及び木などに固有の物理的性質を示す情報(印字や印画によって変化しない情報、例えば形状パターン等)が用いられる。
【0231】
以下、本実施形態と先行技術文献との差異を説明する。特許文献1に記載の技術は、各種被検査紙の原本性を担保するための技術であり、紙媒体に対して価値を付与し認証を実行する本実施形態の紙媒体価値付与システムとは技術的思想が異なる。特許文献2に記載の技術は、事前にセキュリティ媒体が埋め込まれた商品券の決済を実行する技術であり、事前に特殊な処理が施されていない紙媒体に価値情報を付与する本実施形態の紙媒体価値付与システムとは技術的思想が異なる。特許文献3に記載の技術は、特殊紙を使用した偽造不能なハードコピー証券を発行するシステムであり、事前に特殊な処理が施されていない紙媒体に価値情報を付与する本実施形態の紙媒体価値付与システムとは技術的思想が異なる。
【0232】
なお、特許文献1に記載の技術は、極めて詐称が困難である紙の識別照合技術を「何処でも手軽にという利便性」及び「低コスト」という要素を満たしつつ、実現することを目的としている。一方、特許文献2に記載の技術は、事前にセキュリティ媒体が埋め込まれた商品券を用いており、これは特許文献1に記載の技術の目的に反しているため、特許文献1に記載の技術と特許文献2に記載の技術とを組み合わせることは容易ではない。また、特許文献3に記載の技術は、「潜在的顧客が証券の買付けのため申し込み、証券を買付け、買付けた証券の受託機関への移管、買付け偽造不能ハードコピー証券のプリントアウト及び印刷された偽造不能ハードコピー証券のシステムへの再流通に便利な様々な場所に設置された複数の発行機を備えた証券発行システムを提供する」ことを目的としており、これは特許文献1に記載の技術の目的と異なるため、特許文献1に記載の技術と特許文献3に記載の技術とを組み合わせる動機づけがない。
【0233】
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【0234】
本出願は、平成28年(2016年)1月13日に出願された国際特許出願であるPCT/JP2016/050824の優先権を主張し、その内容を参照することにより、本出願に取り込む。
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