(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】有枠式鋳型造型ラインおよび鋳造ライン
(51)【国際特許分類】
B22C 11/00 20060101AFI20220202BHJP
B22C 25/00 20060101ALI20220202BHJP
B22D 47/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B22C11/00 A
B22C25/00
B22D47/02
(21)【出願番号】P 2018085118
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】金森 敬
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-18853(JP,A)
【文献】特開2011-45921(JP,A)
【文献】特開2007-69238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 11/00-25/00,
B22D 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上鋳枠付上鋳型と下鋳枠付下鋳型とを型合せした状態で注湯する有枠式鋳型を造型する有枠式鋳型造型ラインであって、
搬入されてマッチプレートに重ね合わされた上鋳枠および下鋳枠を使用して、前記上鋳枠付上鋳型および前記下鋳枠付下鋳型とを造型する有枠式鋳型造型装置と、
造型に使用され位置決めされた前記マッチプレートの上方に所定の間隔を設けて水平方向に沿って延在し、前記有枠式鋳型造型装置で造型された前記上鋳枠付上鋳型が複数並べられる上鋳型搬出経路と、
複数並べられた前記上鋳枠付上鋳型を、前記上鋳型搬出経路上を1ピッチずつ搬送する上鋳型搬出装置と、
前記造型に使用された前記マッチプレートの下方に所定の間隔を設けて、かつ前記上鋳型搬出経路に対して同一垂直平面内で平行な方向に沿って延在し、前記有枠式鋳型造型装置で造型された前記下鋳枠付下鋳型が複数並べられる下鋳型搬出経路と、
複数並べられた前記下鋳枠付下鋳型を、前記下鋳型搬出経路上を1ピッチずつ搬送する下鋳型搬出装置と、
を備えた有枠式鋳型造型ライン。
【請求項2】
前記上鋳型搬出経路および前記下鋳型搬出経路の搬送方向の搬送終了端に設けられ、搬送された前記上鋳枠付上鋳型と前記下鋳枠付下鋳型とを上下方向に相対移動して型合せして前記有枠式鋳型とする型合せ装置をさらに備え、
前記型合せ装置は、前記型合せした前記有枠式鋳型を、前記上鋳型搬出経路および前記下鋳型搬出経路の搬送方向の延長線上に搬出する請求項1に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項3】
前記型合せ装置は、
機枠と、
前記機枠に固定された昇降装置に設けられ、前記上鋳枠付上鋳型を上下方向に昇降可能に支持する第一支持フレームと、
前記第一支持フレームに前記第一支持フレームに対して上下方向の相対移動可能に設けられ、前記下鋳枠付下鋳型を支持する第二支持フレームと、
前記第二支持フレームの下方に設けられ、前記上鋳枠付上鋳型および前記下鋳枠付下鋳型が重ねられた前記有枠式鋳型が載置される有枠式鋳型支持台と、
前記機枠に設けられ、前記下鋳枠付下鋳型を支持する前記第二支持フレームの下降を規制して、前記下鋳枠付下鋳型と前記上鋳枠付上鋳型とを型合せする規制位置に位置決めする位置規制装置と、
を備えた請求項2に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項4】
前記位置規制装置は、
前記下鋳枠付下鋳型を支持する前記第二支持フレームの下降を規制して前記下鋳枠付下鋳型の下端部が前記有枠式鋳型支持台に接触しない位置に位置決めされる第一規制位置と、
前記上鋳枠付上鋳型を支持する前記第一支持フレームと前記第二支持フレームとの下降を規制して前記上鋳枠付上鋳型および前記下鋳枠付下鋳型が重ねられた前記有枠式鋳型が前記有枠式鋳型支持台に載置される位置に位置決めされる第二規制位置と、
が設けられている請求項3に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項5】
前記有枠式鋳型から取り外されて重ねられた状態の空鋳枠を上鋳枠と下鋳枠とに分離する空鋳枠分離装置と、
前記上鋳型搬出経路に対して平行に延在し、分離された複数の前記上鋳枠が並べられる上鋳枠返還経路と、
前記上鋳枠返還経路の下方に前記上鋳枠返還経路に対して同一垂直平面内で平行な方向に沿って延在し、分離された複数の前記下鋳枠が並べられる下鋳枠返還経路と、をさらに備え、
前記空鋳枠分離装置は、前記有枠式鋳型から取り外されて重ねられた状態の空鋳枠を搬送する空上下鋳枠返還経路の搬送終了端に対応する位置であって、かつ前記上鋳枠返還経路および前記下鋳枠返還経路の搬送開始端に対応する位置に設けられ、
前記上鋳枠返還経路には、複数並べられた前記上鋳枠を、前記上鋳枠返還経路上を1ピッチずつ前記上鋳型搬出経路と逆方向に搬送する上鋳枠返還装置を備え、
前記下鋳枠返還経路には、複数並べられた前記下鋳枠を、前記下鋳枠返還経路上を1ピッチずつ前記下鋳型搬出経路と逆方向に搬送する下鋳枠返還装置を備える請求項4に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項6】
前記型合せ装置は、前記上鋳型搬出経路および前記下鋳型搬出経路の搬送方向の前記搬送終了端に対応する位置から前記上鋳枠返還経路および前記下鋳枠返還経路の前記搬送開始端に対応する位置に移動して、前記空鋳枠分離装置となる横移動装置をさらに備え、
前記型合せ装置が、前記上鋳枠返還経路および前記下鋳枠返還経路の前記搬送開始端に対応する位置に移動した場合、
前記第一支持フレームは、前記有枠式鋳型から取り外されて重ねられた状態の前記空鋳枠から前記上鋳枠を分離するために支持し、かつ支持した前記上鋳枠を搬出するために前記上鋳枠返還経路に整列し、
前記第二支持フレームは、前記上鋳枠が分離されて残された前記下鋳枠を支持し、かつ支持した前記下鋳枠を搬出するために前記下鋳枠返還経路に整列する
請求項5に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項7】
前記型合せ装置は、前記上鋳型搬出装置の搬送される前記上鋳枠付上鋳型の受け側を構成する上鋳型側クッションシリンダと、前記下鋳型搬出装置の搬送される前記下鋳枠付下鋳型の受け側を構成する下鋳型側クッションシリンダと、を一体に備え、
前記型合せ装置が、前記上鋳枠返還経路および前記下鋳枠返還経路の前記搬送開始端に対応する位置に移動した際に、
前記上鋳型側クッションシリンダは、前記上鋳枠返還装置の搬送される前記上鋳枠の送り側を構成する空上鋳枠側プッシャーシリンダであり、
前記下鋳型側クッションシリンダは、前記下鋳枠返還装置の搬送される前記下鋳枠の送り側を構成する空下鋳枠側プッシャーシリンダである、
請求項6に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項8】
前記位置規制装置は、前記下鋳枠付下鋳型と前記第二支持フレームとの合計荷重である第一荷重が加えられたときに前記下鋳枠付下鋳型を前記第一規制位置に位置決めし、
前記第一荷重より大きな第二荷重が加えられたときに前記第二規制位置に前記有枠式鋳型を位置決めする請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項9】
前記下鋳型搬出経路は、前記マッチプレートの下方であって前記上鋳型搬出経路に対して所定の作業間隔を空けて配設されている請求項1に記載の有枠式鋳型造型ライン。
【請求項10】
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の有枠式鋳型造型ラインを備え、
前記有枠式鋳型に溶湯を注湯する注湯エリアが、前記上鋳型搬出経路および前記下鋳型搬出経路の搬送方向に沿った同一線上に配置され、
注湯された前記有枠式鋳型を搬送しながら冷却する冷却エリアと、冷却された注湯済み前記有枠式鋳型を壊して鋳物と上下の鋳枠とを取り出す枠ばらし装置とが、前記上鋳枠返還経路および前記下鋳枠返還経路の搬送方向に沿った同一線上に配置されている鋳造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上鋳枠および下鋳枠を有枠式鋳型造型装置に搬入して造型された上鋳枠付上鋳型および下鋳枠付下鋳型を、搬送して型合せする有枠式鋳型造型ラインおよび有枠式鋳型造型ラインを含む鋳造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有枠式鋳型鋳造ラインを示す特許文献1には、型合せされた有枠式鋳型、注湯された有枠式鋳型、鋳型を取り外された上下の鋳枠をそれぞれ台車に載置して搬送するループ状の循環搬送経路と、循環搬送経路の一部に平行に設けられた造型ラインと、からなる鋳造ラインが記載されている。
造型ラインでは、一つの造型装置に、上鋳枠および下鋳枠の一方を交互に搬入し、造型装置に別のラインで配置された模型定盤と搬入された上鋳枠および下鋳枠の一方と盛枠とを重合し、重合された重合枠に鋳物砂を充填させて上鋳枠付上鋳型または下鋳枠付下鋳型を造型している。そして、上鋳枠付上鋳型と下鋳枠付下鋳型とを型合せして有枠式鋳型としている。この造型ラインで使用される有枠式鋳型造型装置は、スクイズ圧力を高く設定することができ、鋳型強度を上げて鋳型から作られる鋳物品の精度を向上させている。
【0003】
なお、本明細書において、「有枠式鋳型」とは、造型の際に使用された鋳枠が、注湯の際には鋳型に取り付けられた状態で、注湯後鋳物が冷却された後に、鋳型から鋳枠が取り外される鋳型をいう。また、「無枠式鋳型」とは、造型の際に使用された鋳枠が、鋳型造型された後であって注湯される前に外され、鋳枠が無い状態で注湯される鋳型をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、造型後の上鋳枠付上鋳型および下鋳枠付下鋳型を同じ搬送路上で前後させて交互に搬送し、型合せ装置(枠合せ装置)で、下鋳型に上鋳型を重ね有枠式鋳型とし、造型ラインに平行に設けられた循環搬送経路の注湯エリアに横移動させて搬出される。
そのため、造型ラインに上鋳枠および下鋳枠が搬入されてから型合せされるまでは、搬送される上鋳枠と下鋳枠の搬送方向の長さを合計した長い搬送スペースが必要であり、そのための設備コストを要した。そこで、さらなる設備コスト低減に寄与できる有枠式鋳型造型ラインおよび鋳造ラインの開発が必要であった。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、有枠式鋳型を造型する際の設備を、省スペースを図り、安価な設備とすることができる有枠式鋳型造型ラインとその有枠式鋳型造型ラインを使用した鋳造ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の構成上の特徴は、上鋳枠付上鋳型と下鋳枠付下鋳型とを型合せした状態で注湯する有枠式鋳型を造型する造型ラインであって、位置決めしたマッチプレートの上方に前記上鋳枠および前記下鋳枠の一方を搬入し、前記マッチプレートの下方に上鋳枠および前記下鋳枠の他方を搬入して前記有枠式鋳型を造型する有枠式鋳型造型装置と、造型に使用され位置決めされた前記マッチプレートの上方に所定の間隔を設けて水平方向に沿って延在し、前記有枠式鋳型造型装置で造型された前記上鋳枠付上鋳型が複数並べられる上鋳型搬出経路と、複数並べられた前記上鋳枠付上鋳型を、前記上鋳型搬出経路上を1ピッチずつ搬送する上鋳型搬出装置と、前記造型に使用された前記マッチプレートの下方に所定の間隔を設けて、かつ前記上鋳型搬出経路に対して同一垂直平面内で平行な方向に沿って延在し、前記有枠式鋳型造型装置で造型された前記下鋳枠付下鋳型が複数並べられる下鋳型搬出経路と、複数並べられた前記下鋳枠付下鋳型を、前記下鋳型搬出経路上を1ピッチずつ搬送する下鋳型搬出装置と、を備えたことである。(本明細書において、「1ピッチ」とは、上鋳枠または下鋳枠の搬送方向に沿った1つ分の長さをいう。搬送される場合、前記1つ分の長さだけ所定時間毎に間欠させて送られる。)
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、造型された上鋳枠付上鋳型と、下鋳枠付下鋳型とを、上下方向に離れて水平方向に沿って延在する上鋳型搬出経路と下鋳型搬出経路とにより搬送するので、上鋳枠付上鋳型と、下鋳枠付下鋳型とを同じ一本の搬送経路に搬送方向に沿って交互に並べた場合と比べて半分の長さの短い搬送経路とすることができ、省スペースを図ることができ、設備コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の有枠式鋳型造型ラインの実施形態を示す平面概要図である。
【
図2】有枠式鋳型造型装置について、一部を断面で示す正面概要図である。
【
図3】有枠式鋳型造型ラインの主に上鋳枠搬入経路、上鋳型搬出経路、下鋳型搬入経路および下鋳型搬出経路を示す概要図である。
【
図4】有枠式鋳型造型ラインの主に上鋳枠返還経路および下鋳枠返還経路を示す概要図である。
【
図5】上鋳型搬出経路および下鋳型搬出経路における中子入れ作業位置を示す図である。
【
図10】第二荷重が作用した場合の位置規制装置の作動状態を示す断面図である。
【
図11】型合せ装置において下鋳枠付下鋳型が、第一規制位置に位置決めされた工程を示す図である。
【
図12】下鋳枠付下鋳型に上鋳枠付上鋳型を重ねた工程を示す図である。
【
図13】搬送台車に有枠式鋳型が載置され、搬送される工程を示す図である。
【
図14】上下重ねられた空鋳枠が、空鋳枠分離装置に搬入された工程を示す図である。
【
図15】分離された上鋳枠と下鋳枠とが、上鋳枠返還経路または下鋳枠返還経路に夫々搬入される工程を示す図である。
【
図16】鋳型搬出位置に位置決めされた型合せ装置を示す図である。
【
図19】位置規制装置の別例の作動状態を示す図である。
【
図20】型合せ装置および空鋳枠分離装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例)
本件発明にかかる有枠式鋳型造型ラインの実施形態を図に基づいて以下に説明する。
有枠式鋳型造型ライン1は、
図1に示すように、有枠式鋳型造型装置2、上鋳枠搬入経路3、下鋳枠搬入経路4、上鋳型搬出経路5、下鋳型搬出経路6、空鋳枠用トラバーサ7、上鋳枠返還経路8、下鋳枠返還経路9、型合せ装置10および空鋳枠分離装置10Aを備えている。
【0011】
なお、本明細書において、有枠式鋳型造型装置2において、枠セット・プレート外しステーション21から造型ステーション22に向う方向をX方向とし、X方向に直角な水平方向である上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向をY方向とする。
【0012】
(有枠式鋳型造型装置)
有枠式鋳型造型装置2は、枠セット・プレート外しステーション21、造型ステーション22、鋳物砂充填装置23、スクイズ装置24および鋳枠横移動装置25を備えている。
【0013】
(枠セット・プレート外しステーション)
枠セット・プレート外しステーション21は、
図2に示すように、上鋳枠搬入経路3および下鋳枠搬入経路4の搬送終了端3E,4Eに設けられ、昇降ローラ台211、ターンテーブル212、上盛枠支持装置213を備えている。
【0014】
(昇降ローラ台)
昇降ローラ台211は、
図2に示すように、基台BSに昇降可能にガイドされて枠セット・プレート外しステーション21の下方に設けられている。昇降ローラ台211は、基台BSのガイド穴に摺動自在に支持される昇降支持シリンダ211aを有している。昇降支持シリンダ211aの上端には、X方向に延在する一対の水平フレーム211bが設けられている。水平フレーム211bには内側に各対となった複数のローラ片211cが回動自在に支承されている。
【0015】
(ターンテーブル)
ターンテーブル212は、下鋳枠搬入経路4の上方に設けられている。ターンテーブル212は、マッチプレートMPを保持するもので、枠セット位置WSPとマッチプレート待機位置MWPとに、異なったマッチプレートMPを位置決め可能となっている。
【0016】
このターンテーブル212は、夫々水平方向に延在する支持フレーム212aが回動可能に回転軸の両側に設けられている。両側の支持フレーム212aには、マッチプレートMPを支持するマッチプレート掛止部(図略)が夫々設けられている。
【0017】
(上盛枠支持装置)
上盛枠支持装置213は、
図3に示すように、構造枠1aの天フレーム1a1に上端が固定されて垂下し、下端に掛止爪が形成された二対の垂下掛止部213aを備えている。掛止爪は、Y方向に対向する垂下掛止部213a間で内側に向かって先端が突出する鈎状に形成され、上盛枠UMを掛止する。
【0018】
(造型ステーション)
造型ステーション22は、
図2に示すように、反転装置221と、シャトルシリンダ99の駆動により鋳物砂充填装置23と交互に切り替えて造型位置に位置決めされるスクイズ装置24とを備えている。
【0019】
(反転装置)
反転装置221は、上盛枠UMおよび上鋳枠UFを重ねた上鋳枠側重合枠(図示せず)と下盛枠DMおよび下鋳枠DFを重ねた下鋳枠側重合枠(図示せず)とを上下反転させる。
反転装置221は、
図2に示すように、回動軸221aと、一対の垂直壁部221bと、ローラ部材221cと、下盛枠保持部221dとを備えている。
回動軸221aは、天フレーム1a1の両端より所定の間隔をおいて垂下された垂下支持部材(図略)に回動可能に支承されている。
回動軸221aには、揺動シリンダ(図略)が連結され、揺動シリンダの駆動によって回動軸は180度の範囲で正逆方向に回動する。
一対の垂直壁部221bは、一対の回動軸221aの内側に夫々一体に支持されている。
【0020】
ローラ部材221cは、
図2に示すように、反転される前の垂直壁部221bの下部に設けられている。複数のローラ部材221cは、一対の垂直壁部221bの内側に対向して回動可能に設けられ、水平方向に沿って並設されている。
【0021】
下盛枠保持部221dは、対向する垂直壁部221bの内側にローラ部材221cよりも下方の位置に突出して設けられている。下盛枠DMは、下盛枠保持部221dの支持縁部(図略)と係止部(図略)との間で移動可能となっており、反転されて下盛枠保持部221dが上方位置に位置決めされた際に、下鋳枠DFに重なって下鋳枠側重合枠を形成する。
【0022】
(鋳物砂充填装置)
鋳物砂充填装置23は、
図1および
図2に示すように、一度に成型する鋳型造型に必要な鋳物砂FSを1単位として収納し、上下盛枠UM,DMのいずれかの上面に当接して、上鋳枠側造型空間内または下鋳枠側造型空間内に鋳物砂FSを投入するホッパー231を備えている。
【0023】
(スクイズ装置)
スクイズ装置24は、
図1および
図2に示すように、天フレーム1a1の上面でX方向に延在する搬送レール241上を移動する車輪242を備える支持フレーム243を有している。支持フレーム243の上部中央には、昇降装置(スクイズシリンダ)244が固定されている。昇降装置(スクイズシリンダ)244は、下方に突出するピストン部を備え、ピストン部の下端部には、下盛枠DMの内周に嵌入するスクイズ部材245が設けられている。
スクイズ装置24は、スクイズ部材245を、下盛枠DMの内周に嵌入することで、上鋳枠側重合枠CPM内および下鋳枠側重合枠DPM内の鋳物砂FSを上下方向から同時にスクイズする。
【0024】
スクイズされた上鋳枠側重合枠および下鋳枠側重合枠は、鋳枠横移動装置25により、枠セット・マッチプレート外しステーション21に移動する。枠セット・マッチプレート外しステーション21では、
図3に示すように、昇降ローラ台211の下降により、マッチプレートMPが外されて上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとに分けられる。
上鋳枠付上鋳型UFMは、上鋳型搬出経路5に載置され、下鋳枠付下鋳型DFMは、下鋳型搬出経路6に載置され、夫々型合せ装置10に向って搬送される。
【0025】
(鋳枠横移動装置)
鋳枠横移動装置25は、
図2に示すように、X方向に延在する一対のガイドフレーム25aを備えている。ガイドフレーム25aには、反転装置221のローラ部材221cが下方に位置決めされたときに整列可能になる整列ローラ部25bが設けられている。
【0026】
整列ローラ部25bの上には、重ねられた重合枠(図示せず)をクランプ・アンクランプするクランプ台車25cが水平移動可能に設けられている。クランプ台車25cは、ガイドフレーム25aの一端部に設けられた水平シリンダ装置25dによって駆動される。クランプ台車25cには、基端部が回動可能に支承されたクランプ爪部25c1が設けられ、クランプ爪部25c1の先端部は重合枠の被係止部(図略)に係止可能になっている。クランプ台車25cは、クランプ爪部25c1により係止した重合枠を造型ステーション22と枠セット・マッチプレート外しステーション21との間を移動させる。
【0027】
(上鋳枠搬入経路・下鋳枠搬入経路)
上鋳枠搬入経路3および下鋳枠搬入経路4は、空鋳枠用トラバーサ7に上鋳枠UFおよび下鋳枠DFが搬入される鋳枠搬入位置7EPに隣接する搬送開始端3S,4Sより、有枠式鋳型造型装置2の枠セット・プレート外しステーション21まで延在している。上鋳枠搬入経路3および下鋳枠搬入経路4に夫々対応して並べられた上鋳枠UFおよび下鋳枠DFは、後述する上鋳枠搬入装置34および下鋳枠搬入装置44により枠セット・プレート外しステーション21に向って搬送される。
【0028】
(上鋳枠搬入経路)
上鋳枠搬入経路3の搬送終了端3Eは、枠セット・プレート外しステーション21において、ターンテーブル212に保持されたマッチプレートMPの上方に位置するよう配置されている。
上鋳枠搬入経路3は、
図2および
図3に示すように、Y方向に延在する第一上部ローラコンベヤ31で構成される。上鋳枠搬入経路3には複数の上鋳枠UFがY方向に沿って一列に並べられて貯留され、造型工程に応じて上鋳枠UFが一台ずつ枠セット位置WSPに供給される。上鋳枠UFは、上鋳枠搬入装置34によって、ターンテーブル212によりマッチプレートMPが位置決めされる位置よりも、上方の位置に、所定間隔を空けて搬入される。第一上部ローラコンベヤ31は、Y方向に沿って延在する一対の第一上部ローラフレーム31aを備えている。第一上部ローラフレーム31aは、構造枠1aの天フレーム1a1に上端が固定されて対に構成された複数の垂下柱(図示せず)に支持されている。第一上部ローラフレーム31aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ31cが回転自在に軸支されている。対向するローラ31cは、後述する上鋳枠UFの両端部に所定幅で突出する掛止フランジUF1が載置されるようになっている。
【0029】
第一上部ローラフレーム31aの造型ステーション22に隣接する側の部分には、ローラフレーム退避装置32が設けられている。ローラフレーム退避装置32は、枠セット位置WSPで形成された上鋳枠側重合枠および下鋳枠DFが、造型ステーション22に移動する際に、上盛枠UMおよび上鋳枠UFと第一上部ローラフレーム31aとが接触するのを防止する。
【0030】
(下鋳枠搬入経路)
下鋳枠搬入経路4の搬送終了端4Eは、
図3に示すように、枠セット・プレート外しステーション21において、ターンテーブル212に保持されたマッチプレートMPの下方に位置するよう配置されている。
下鋳枠搬入経路4は、Y方向に延在する第一下部ローラコンベヤ41で構成される。第一下部ローラコンベヤ41は、
図3に示すように、Y方向に沿って延在する一対の第一下部ローラフレーム41aを備えている。第一下部ローラフレーム41aは、基台BSに下端が固定されて対に構成された複数の支持柱(図略)に支持されている。第一下部ローラフレーム41aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸(図示せず)が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ41cが回転自在に軸支されている。対向するローラ41cは、上端に後述する下鋳枠DFの両端部に所定幅で突出する掛止リブDF1が載置されるようになっている。対向するローラ41c間は、上下に昇降する昇降ローラ台211が通過可能な幅を空けて形成されている。
【0031】
(上鋳型搬出経路・下鋳型搬出経路)
上鋳型搬出経路5は、上鋳枠搬入経路3に、
図3に示すように、下鋳型搬出経路6は、下鋳枠搬入経路4に、枠セット・プレート外しステーション21を間に挟んで夫々連続している。有枠式鋳型造型装置2で造型された上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとが、対応する上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6に夫々並べられ、後述する上鋳型搬出装置54および下鋳型搬出装置64により後述する型合せ装置10に向って搬送される。上鋳型搬出経路5と下鋳型搬出経路6との間は、所定の作業間隔を空けるように、夫々の高さ位置が設定されている。作業として、例えば、作業者による中子入れ作業を挙げることができる。
【0032】
(上鋳型搬出経路)
上鋳型搬出経路5は、
図3に示すように、Y方向に延在する第二上部ローラコンベヤ51で構成される。上鋳型搬出経路5には複数の上鋳枠付上鋳型UFMがY方向に沿って一列に並べられていく。上鋳型搬出経路5の搬送開始端5Sは、ターンテーブル212によりマッチプレートMPが位置決めされる位置よりも、上方の位置に、配置されている。第二上部ローラコンベヤ51は、Y方向に沿って延在する一対の第二上部ローラフレーム51aを備えている。第二上部ローラフレーム51aは、構造枠1aの天フレーム1a1に上端が固定されて対に構成された複数の垂下柱(図示せず)に支持されている。第二上部ローラフレーム51aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ51cが回転自在に軸支されている。対向するローラ51cは、後述する上鋳枠UFの両端部に所定幅で突出する掛止フランジUF1が載置されるようになっている(
図2参照)。
上鋳型搬出経路5の搬送方向下流側には、
図1、
図3および
図6に示すように、湯口カップ穴形成装置PGHが設けられている。湯口カップ穴形成装置PGHは、上鋳枠付上鋳型UFMに設けられる湯口カップ穴UFM1を形成する。湯口カップ穴形成装置PGHは、公知技術であるので説明を省略する。湯口カップ穴形成装置として、例えば、特開2010-179358号公報に記載されたものを挙げることができる。
上鋳型搬出経路5の搬送終了端5Eには、
図1および
図3に示すように、ガス抜き穴形成装置GVHが設けられている。ガス抜き穴形成装置GVHは、上鋳枠付上鋳型UFMにガス抜き穴UFM2を形成する。ガス抜き穴形成装置GVHは、公知技術であるため、説明を省略する。ガス抜き穴形成装置として、例えば、特開2015-131332号公報に記載のものを挙げることができる。
【0033】
(下鋳型搬出経路)
下鋳型搬出経路6は、上鋳型搬出経路5に対して、同一の垂直平面内で平行に延在している。下鋳型搬出経路6は、Y方向に延在する第二下部ローラコンベヤ61で構成される。第二下部ローラコンベヤ61は、Y方向に沿って延在する一対の第二下部ローラフレーム61aを備えている。第二下部ローラフレーム61aは、基台BSに下端が固定されて対に構成された複数の支持柱61bに支持されている。第二下部ローラフレーム61aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ61cが回転自在に軸支されている。対向するローラ61cは、上端に後述する下鋳枠DFの両端部に所定幅で突出する掛止リブDF1が載置されるようになっている(
図2参照)。
【0034】
(空鋳枠用トラバーサ)
上鋳枠搬入経路3および下鋳枠搬入経路4の搬送開始端3S,4Sに隣接する鋳枠搬入位置7EPと後述する上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送終了端8E,9Eに隣接する空鋳枠搬出位置7OPとには、その間を連絡して上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを搬送する空鋳枠用トラバーサ7が設けられている。空鋳枠用トラバーサ7は、空鋳枠搬出位置7OPに搬送された上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを、鋳枠搬入位置7EPに横移動させる。
空鋳枠用トラバーサ7は、
図7に示すように、保持フレーム71、上部ローラ桟72、下部ローラ桟73、車輪74、レール75、デッキ部76を備えている。
【0035】
保持フレーム71は、矩形状に形成され平らに寝かせて置かれた台部フレーム71aと、台部フレーム71aの四つの隅部より立設された四本の支柱フレーム71bと、四本の支柱フレーム71bの上端に隅部が固定された矩形状の天井フレーム71cと、を備えている。
【0036】
上部ローラ桟72は、上鋳枠搬入経路3の搬送方向(Y方向)に二本ずつ並ぶ支柱フレーム71bの間に夫々横架されている。対向する上部ローラ桟72には、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸72aが内側に向かって突出するように対に設けられている。回転軸72aには、複数の円盤状のローラ72bが回転自在に軸支されている。上部ローラ桟72の高さ位置は、上鋳枠搬入経路3および上鋳枠返還経路8と同じ位置に設定されている。対向する複数の円盤状のローラ72bには、上鋳枠UFの両端部に所定幅で突出する掛止フランジUF1が載置されるようになっている。
【0037】
下部ローラ桟73は、下鋳枠搬入経路4の搬送方向(Y方向)に二本ずつ並ぶ支柱フレーム71bの間に夫々横架されている。対向する下部ローラ桟73には、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸73aが内側に向かって突出するように対に設けられている。回転軸73aには、複数の円盤状のローラ73bが回転自在に軸支されている。下部ローラ桟73の高さ位置は、下鋳枠搬入経路4および下鋳枠返還経路9と同じ位置であって、上部ローラ桟72より下方に設定されている。対向する複数の円盤状のローラ73bには、下鋳枠DFの両端部に所定幅で突出する掛止リブDF1が載置されるようになっている。
【0038】
台部フレーム71aの両側面には、Y方向に突出する回転軸が二対ずつ設けられ、各回転軸には車輪74が回転可能に軸支されている。車輪74は、減速装置を介して電動モータ71a2の駆動軸に正逆回転可能に連結されている。車輪74は、鋳枠搬入位置7EPと空鋳枠搬出位置7OPとの間に敷設されたレール75上を転動する。レール75は、基台BSより立ち上げられた直方体状のデッキ部76の上面に設けられている。
【0039】
保持フレーム71には、
図3に示すように、上鋳枠側プッシャーシリンダ341(上鋳枠搬入装置・上鋳型搬出装置)および下鋳枠側プッシャーシリンダ441(下鋳枠搬入装置・下鋳型搬出装置)が一体に設けられている。
【0040】
(上鋳枠搬入装置および下鋳枠搬入装置・上鋳型搬出装置および下鋳型搬出装置)
上鋳枠搬入装置34と上鋳型搬出装置54とは、
図3に示すように、連続する上鋳枠搬入経路3と上鋳型搬出経路5との上に並べられた上鋳枠UFと上鋳枠付上鋳型UFMとを同時に搬送するため、一対の上鋳枠側プッシャーシリンダ341と上鋳型側クッションシリンダ542(後述)とにより構成されている。
【0041】
同様に、下鋳枠搬入装置44と下鋳型搬出装置64とは、連続する下鋳枠搬入経路4と下鋳型搬出経路6との上に並べられた下鋳枠DFと下鋳枠付下鋳型DFMとを同時に搬送するため、一対の下鋳枠側プッシャーシリンダ441と下鋳型側クッションシリンダ642(後述)とにより構成されている。
【0042】
上鋳枠側プッシャーシリンダ341と下鋳枠側プッシャーシリンダ441とは、空鋳枠用トラバーサ7の保持フレーム71に固定され、空鋳枠用トラバーサ7の移動に伴って移動する。上鋳枠側プッシャーシリンダ341と下鋳枠側プッシャーシリンダ441とは、鋳枠搬入位置7EPに対向する位置と、空鋳枠搬出位置7OPに対向する位置との間で移動する。
【0043】
送り側である上鋳枠側プッシャーシリンダ341は、
図1に示すように、上鋳枠返還経路8の搬送終了端8Eに隣接する空鋳枠搬出位置7OPに対向して位置決めされた場合に、上鋳枠返還装置84の受け側の空上鋳枠側クッションシリンダ842となる。同様に、送り側である下鋳枠側プッシャーシリンダ441は、下鋳枠返還経路9の搬送終了端9Eに隣接する空鋳枠搬出位置7OPに対向して位置決めされた場合に、下鋳枠返還装置94の受け側の空下鋳枠側クッションシリンダ942となる。
【0044】
このようにプッシャーシリンダとクッションシリンダとを兼用するシリンダは、公知技術であるため、説明を省略する。プッシャーシリンダとクッションシリンダとを兼用するシリンダとして、例えば、特開平9-19763号公報に記載の電動サーボ式シリンダを挙げることができる。
【0045】
上鋳枠側プッシャーシリンダ341は、
図3に示すように、保持フレーム71に上鋳枠搬入経路3の搬送方向に沿って軸心が固定された円筒状の上鋳枠側シリンダ部341aと上鋳枠側シリンダ部341aから上鋳枠搬入経路3の搬送方向に前進後退する上鋳枠側ピストン部341bとを備えている。上鋳枠側ピストン部341bは、図略の駆動装置により、鋳枠搬入位置7EPから上鋳枠搬入経路3の搬送開始端3Sまで上鋳枠UFを移動させる1ピッチのストロークを有している。
【0046】
上鋳枠側プッシャーシリンダ341が空上鋳枠側クッションシリンダ842となったとき、上鋳枠返還経路8の搬送終了端8Eに搬送された上鋳枠UFを受け、搬送終了端8Eの上鋳枠UFの自由移動を規制して、上鋳枠返還経路8上の複数の上鋳枠UFを後述する空上鋳枠側プッシャーシリンダ841とともに挟持して、空鋳枠搬出位置7OPまで搬送される1ピッチの距離を搬送する。
【0047】
下鋳枠側プッシャーシリンダ441は、
図3に示すように、保持フレーム71に下鋳枠搬入経路4の搬送方向に沿って軸心が固定された円筒状の下鋳枠側シリンダ部441aと下鋳枠側シリンダ部441aから下鋳枠搬入経路4の搬送方向に前進後退する下鋳枠側ピストン部441bとを備えている。下鋳枠側ピストン部441bは、図略の駆動装置により、鋳枠搬入位置7EPから下鋳枠搬入経路4の搬送開始端4Sまで下鋳枠DFを移動させる1ピッチのストロークを有している。
【0048】
下鋳枠側プッシャーシリンダ441が、空下鋳枠側クッションシリンダ942となったとき、下鋳枠返還経路9の搬送終了端9Eに搬送された下鋳枠DFを受け、搬送終了端9Eの下鋳枠DFの自由移動を規制して、下鋳枠返還経路9上の複数の下鋳枠DFを後述する空下鋳枠側プッシャーシリンダ941とともに挟持して、空鋳枠搬出位置7OPまでの1ピッチの距離を搬送する。
【0049】
上鋳枠搬入経路3の搬送終了端3Eは、上鋳型搬出経路5の搬送開始端5Sと重複する位置であり、枠セット位置WSP・プレート外し位置MOPに一致する。下鋳枠搬入経路4の搬送終了端4Eについても同様である。
【0050】
(上鋳型側クッションシリンダ・下鋳型側クッションシリンダ)
上鋳型側クッションシリンダ542と下鋳型側クッションシリンダ642は、型合せ装置10の機枠11に一体に固定されている。型合せ装置10の移動に伴って移動する。上鋳型側クッションシリンダ542と下鋳型側クッションシリンダ642とは、鋳型搬出位置17OPに対向する位置と、空鋳枠搬入位置17EPに対向する位置との間で移動する。
鋳型搬出位置17OPは、搬送終了端5E,6Eに対応する位置に相当し、空鋳枠搬入位置17EPは、搬送開始端8S,9Sに対応する位置に相当する。
【0051】
受け側である上鋳型側クッションシリンダ542は、型合せ装置10が空鋳枠搬入位置17EP(搬送開始端に対応する位置)に移動されて、上鋳枠返還経路8の搬送開始端8Sに隣接する空鋳枠搬入位置17EPに対向して位置決めされた場合に、上鋳枠返還装置84の送り側の空上鋳枠側プッシャーシリンダ841となる。同様に、受け側である下鋳型側クッションシリンダ642は、下鋳枠返還経路9の搬送開始端9Sに隣接する空鋳枠搬入位置17EP(搬送開始端に対応する位置)に対向して位置決めされた場合に、下鋳枠返還装置94の送り側の空下鋳枠側プッシャーシリンダ941となる。
【0052】
上鋳型側クッションシリンダ542は、
図3に示すように、機枠11に上鋳型搬出経路5の搬送方向に沿って軸心が固定された円筒状の上鋳型側シリンダ部542aと上鋳型側シリンダ部542aから上鋳型搬出経路5の搬送方向に前進後退する上鋳型側ピストン部542bとを備えている。上鋳型側ピストン部542bは、図略の駆動装置により、鋳型搬出経路5の搬送終了端5Eから鋳型搬出位置17OPまで上鋳枠UFを移動させる1ピッチのストロークを有している。
【0053】
下鋳型側クッションシリンダ642は、機枠11に下鋳型搬出経路6の搬送方向に沿って軸心が固定された円筒状の下鋳型側シリンダ部642aと下鋳型側シリンダ部642aから下鋳型搬出経路6の搬送方向に前進後退する下鋳型側ピストン部642bとを備えている。その他の構成は、上鋳型側クッションシリンダ542と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
(型合せ装置および空鋳枠分離装置)
前記型合せ装置10は、
図3および
図8に示すように、機枠11と、昇降装置12と、第一支持フレーム13と、第二支持フレーム14と、台車載置台15と、位置規制装置16と、トラバーサ装置17と、を備えている。機枠11には、上鋳型側クッションシリンダ542、下鋳型側クッションシリンダ642が一体に固定されている。
【0055】
(機枠)
機枠11は、矩形状に形成され平らに寝かせて置かれた台部フレーム11aと、台部フレーム11aの四つの隅部より立設された四本の支柱フレーム11bと、四本の支柱フレーム11bの上端に隅部が固定された矩形状の天井フレーム11cと、を備えている。
台部フレーム11aの両側面には、Y方向に突出する回転軸が二対ずつ設けられ、各回転軸には転動輪11a1が回転可能に軸支されている。転動輪11a1は、減速装置を介して電動モータ11dの駆動軸に正逆回転可能に連結されている。転動輪11a1は、空鋳枠搬入位置17EPと鋳型搬出位置17OPとの間に敷設されたレール171上を転動する。レール171は、基台BSより立ち上げられた直方体状の台車載置台15の上面に設けられている。台部フレーム11a、転動輪11a1、レール171および電動モータ11dにより主にトラバーサ装置17を構成する。
天井フレーム11cには、中央部に昇降装置12が設けられている。
【0056】
(昇降装置)
昇降装置12は、昇降シリンダ部12aと、昇降シリンダ部12aから下方に向って前進後退する昇降ピストン部12bを備えている。
昇降シリンダ部12aには、油流通パイプを介して油圧ポンプ12cが連通されている。昇降シリンダ部12aと油圧ポンプ12cの間には、電磁切替弁12dが設けられ、図略の制御装置による電磁切替弁12dの切替えにより昇降装置12の作動が制御される。
昇降ピストン部12bの下端には、第一支持フレーム13が固定されている。
【0057】
(第一支持フレーム)
第一支持フレーム13は、矩形板状の支持板13aと、支持板13aのY方向に延在する両端部より所定長さで垂下する一対の垂直板13bと、各垂直板13bに支持されY方向に延在する一対の上部ローラ横材13cと、垂直板13bの側面に二対ずつ固定され夫々円筒状に形成されたガイド筒13dとを備えている。ガイド筒13dは、垂直方向の軸心を有し、後述する第二支持フレーム14の棒状支持部14aが摺動可能に嵌入される。
【0058】
対向する上部ローラ横材13cには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。回転軸には、複数の円盤状のローラ13c1が回転自在に軸支されている。上部ローラ横材13cは、第一支持フレーム13の上昇端において、上鋳型搬出経路5および上鋳枠返還経路8に整列する(並んだ位置に位置決めされる)。対向する複数の円盤状のローラ13c1には、上鋳枠UFの両端部に所定幅で突出する掛止フランジUF1が載置されるようになっている。
【0059】
(第二支持フレーム)
第二支持フレーム14は、上下方向に延在し、ガイド筒13dに摺動可能に嵌入された四本の棒状支持部14aを備えている。Y方向に並んだ棒状支持部14aの下端部には、下部ローラ横材14cが対に設けられている。下部ローラ横材14cには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。回転軸には、複数の円盤状のローラ14c1が回転自在に軸支されている。下部ローラ横材14cは、第二支持フレーム14の上昇端において、下鋳型搬出経路6および下鋳枠返還経路9に整列する。下部ローラ横材14cは、第二支持フレーム14の下降端において、保持された下鋳枠DFが台車載置台15に搬入された搬送台車FCに載置される位置に設定されている。対向する複数の円盤状のローラ14c1には、下鋳枠DFの両端部に所定幅で突出する掛止リブDF1が載置されるようになっている。
【0060】
下部ローラ横材14cの上端部であって、Y方向に並んだ棒状支持部14aの外側には、上部ローラ横材13cの下端面に対向する位置に、上方に向って所定の長さで突出する棒状のストッパ14c2が二対ずつ設けられている。上部ローラ横材13cから加えられる荷重が、ストッパ14c2を介して下部ローラ横材14cに伝達される。
【0061】
四本の棒状支持部14aがガイド筒13dの上部に突出する上端部には、Y方向に並んだ棒状支持部14aの間に掛止ストッパ14a1が横架されている。掛止ストッパ14a1は、X方向に所定の長さ突出し、機枠11に一対固定された位置規制装置16の上端部に当接するようになっている。
【0062】
(位置規制装置)
機枠11のY方向に並んだ支柱フレーム11b間には、上下方向の中間位置に対向して横架桟11eが設けられている。位置規制装置16は、対向する横架桟11eに夫々固定されている。位置規制装置16は、
図9に示すように、筒状支持部16aと、筒状支持部16aに貫通される長棒状支持部16bと、コイルばね16cとを備えている。筒状支持部16aは、中間位置にフランジ部16a1が周設されている。筒状支持部16aは、横架桟11eに上下方向の軸心を有して形成された係合穴11e1に係合される。筒状支持部16aが係合穴11e1に係合された場合、フランジ部16a1は、係合穴11e1の上端縁に当接して筒状支持部16aの下方移動を規制する。
【0063】
長棒状支持部16bは、筒状支持部16aよりも所定長さ長く形成され、長棒状支持部16bの下端部には、長棒状支持部16bが上方へ抜け出すのを防止する円盤状の下部ストッパ16b1が固定されている。長棒状支持部16bの上端部には、上部ストッパ16b2が固定されている。上部ストッパ16b2は、筒状支持部16aの掛止穴16a2の上端縁に当接可能な径でかつコイルばね16cの内径より小さく形成された小径部16b2aと、後述するコイルばね16cの上端部を当接させる大径部16b2bの二段に形成されている。
【0064】
コイルばね16cは、筒状支持部16aの外径より大きい内径で形成されている。フランジ部16a1の上端と上部ストッパ16b2の大径部16b2bの下端との間で、筒状支持部16aの上部に外嵌されている。コイルばね16cは、予め圧縮された状態で外嵌され、圧縮された状態の弾発力が下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14との合計荷重による重力よりも大きくなるよう設定されている。
【0065】
長棒状支持部16bは、筒状支持部16aよりも所定長さ分上方に突出した位置が第一規制位置FRPとなっており、この突出した状態でコイルバネ16cに支持される。下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14との合計荷重よりも大きな力が上部ストッパ16b2に作用した場合、コイルばね16cは、短く圧縮され、長棒状支持部16bは、上部ストッパ16b2の小径部16b2aが筒状支持部16aの上端部に当接する位置である第二規制位置SRPまで下降するよう構成されている。
【0066】
(台車載置台)
台車載置台15は、第二支持フレーム14の下方に支柱フレーム11bに対して一体に設けられている。台車載置台15には、Y方向に延在する一対のレール部15aが設けられている。レール部15aには、有枠式鋳型WMDが載置される搬送台車FCが載置可能になっている。台車載置台15と、台車載置台15に位置決めされた搬送台車FCとにより、有枠式鋳型支持台が構成される。
【0067】
トラバーサ装置17により、型合せ装置10が鋳型搬出位置17OPに位置合せした場合、レール部15aは、
図3に示すように、台車搬送経路19の注湯エリアPAに向う搬送レール19aに整列し、型合せ装置10が空鋳枠分離装置10Aとして空鋳枠搬入位置17EP(空上下鋳枠返還経路18の搬送終了端18Eに対応する位置であり、かつ搬送開始端8S,9Sに対応する位置)に位置合せした場合、レール部15aは、台車搬送経路19の枠ばらし装置FGAからの空上下鋳枠返還経路18の搬送レール19aに整列する(
図17参照)。
【0068】
枠ばらし装置FGAにおいて、上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMが重ねられ、鋳型搬出位置17OPに位置決めされた有枠式鋳型WMDは、搬送台車FCに載置されて台車搬送経路19上を台車搬送装置194により搬出される。鋳型UFM,DFMから外された上下鋳枠WUD(重ねられた状態)は、台車搬送装置194により空鋳枠搬入位置17EPに搬入される。
【0069】
(台車搬送装置)
台車搬送装置194は、公知技術であるため説明を省略する。台車搬送装置として、例えば、国際公開WO2011/108071号公報に記載の台車搬送装置を挙げることができる。
空鋳枠分離装置10Aより空鋳枠用トラバーサ7まで、上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9が延在する。
【0070】
(上鋳枠返還経路)
上鋳枠返還経路8は、
図4に示すように、Y方向に延在する第三上部ローラコンベヤ81で構成される。上鋳枠返還経路8には複数の上鋳枠UFがY方向に沿って一列に並べられて貯留される。第三上部ローラコンベヤ81は、上鋳枠搬入経路3の第一上部ローラコンベヤ31および上鋳型搬出経路5の第二上部ローラコンベヤ51と同じ高さ位置に平行に位置決めされている。第三上部ローラコンベヤ81は、Y方向に沿って延在する一対の第三上部ローラフレーム81aを備えている。第三上部ローラフレーム81aは、構造枠1aの天フレーム1a1に上端が固定されて対に構成された複数の垂下柱に支持されている。第三上部ローラフレーム81aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ81cが回転自在に軸支されている。対向するローラ81cは、上鋳枠UFの両端部に所定幅で突出する掛止フランジUF1が載置されるようになっている。
【0071】
(下鋳枠返還経路)
下鋳枠返還経路9は、上鋳枠返還経路8に対して同一垂直平面内で平行な方向に延在している。下鋳枠返還経路9は、Y方向に延在する第三下部ローラコンベヤ91で構成される。第三下部ローラコンベヤ91は、Y方向に沿って延在する一対の第三下部ローラフレーム91aを備えている。第三下部ローラフレーム91aは、基台BSに下端が固定されて対に構成された複数の支持柱に支持されている。第三下部ローラフレーム91aには、X軸方向に沿って延在する複数の回転軸(図示せず)が内側に向かって突出するように対に設けられている。各回転軸には夫々円盤状のローラ91cが回転自在に軸支されている。対向するローラ91cは、下鋳枠DFの両端部に所定幅で突出する掛止リブDF1が載置されるようになっている。
【0072】
(上鋳枠返還装置・下鋳枠返還装置)
上鋳枠返還装置は、上鋳枠返還経路8に並べられた複数の上鋳枠(空上鋳枠)UFを空上鋳枠側プッシャーシリンダ841と空上鋳枠側クッションシリンダ842とで挟持して1ピッチずつ搬送するものである。
下鋳枠返還装置は、下鋳枠返還経路9に並べられた複数の下鋳枠(空下鋳枠)DFを空下鋳枠側プッシャーシリンダ941と空下鋳枠側クッションシリンダ942とで挟持して1ピッチずつ搬送するものである。
【0073】
空上鋳枠側プッシャーシリンダ941は、上鋳型側クッションシリンダ542が兼用するものであり、空上鋳枠側クッションシリンダ942は、上鋳枠側プッシャーシリンダ341が兼用するものであるため、説明を省略する。
【0074】
空下鋳枠側プッシャーシリンダ941は、下鋳型側クッションシリンダ642が兼用するものであり、空下鋳枠側クッションシリンダ942は、下鋳枠側プッシャーシリンダ441が兼用するものであるため、説明を省略する。
【0075】
(下鋳枠、マッチプレート、上鋳枠)
下鋳枠DFは、
図1に示すように、例えば、鋳鉄製部材より矩形の枠状に形成されている。Y方向に沿って延在するように配置される二辺の外壁には、所定幅で外側に突出する掛止リブDF1が外壁に沿って対に形成されている。
【0076】
マッチプレートMPは、いずれも図略の中央に穴部が形成された矩形状の支持枠と、支持枠の穴部に沿って形成された係止縁に係止された模型保持板とを有している。
上鋳枠UFは、例えば、鋳鉄製部材より矩形の枠状に形成されている。上鋳枠UFの外周壁には、所定幅で外側に突出する掛止フランジUF1が周設されている。
【0077】
(鋳造ライン)
鋳造ラインCLは、
図17に示すように、有枠式鋳型造型ライン1を含み、さらに搬送台車FCに有枠式鋳型WMDや上下に重ねられた上下鋳枠WUDを載置して搬送する台車搬送経路19と、搬送台車FCを搬送方向に駆動させる台車搬送装置194を備えている。台車搬送経路19には、注湯エリアPA、トラバーサ19b、冷却エリアCA、枠ばらし装置FGAが設けられている。
【0078】
台車搬送経路19および台車搬送装置194は、公知技術であるため、説明を省略する。台車搬送経路および台車搬送装置の例として、例えば、国際公開WO2011/108071号公報に記載の台車搬送装置を挙げることができる。台車搬送経路19上では、搬送台車FCに載置された有枠式鋳型WMDが、所定時間毎に1ピッチずつ間欠的に割り出されて搬送される。
【0079】
注湯エリアPAは、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向に沿った同一線上に設けられている。注湯エリアPAでは、注湯位置に定められた有枠式鋳型WMDに、注湯装置PSにより溶融状態の金属、例えば、鋳鉄を順次注湯する。注湯された有枠式鋳型WMDは、同様に1ピッチずつ搬送され、注湯済み有枠式鋳型WMDとして注湯エリアPAの下流側にある冷却エリアCAにおいて枠ばらし装置FGAに至るまで搬送されながら冷却される。注湯エリアPAの下流側にある冷却エリアCAに移る際には、搬送経路を移り替るトラバーサ19bを経由して冷却エリアCAに移動する。
【0080】
枠ばらし装置FGAは、上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送方向に沿った同一線上に配置されている。枠ばらし装置FGAは、公知技術であるため、説明を省略する。枠ばらし装置として、例えば、特開2007-330997に記載された枠ばらし装置を挙げることができる。また、トラバーサ19bは、公知技術であるため、説明を省略する。但し、本実施形態における枠ばらし装置は、冷却済みの有枠式鋳型WMDが搬入された延長線上に、取り外された上下鋳枠WUDが搬出される。
有枠式鋳型造型ライン1の型合せ装置10で形成された有枠式鋳型WMDは、搬送台車FCに載置されて台車搬送経路19上を搬送される。枠ばらし装置FGAで、鋳型が壊されて鋳物と上下鋳枠WUD(上下鋳枠が重ねられた状態)とが分けられ、上下鋳枠は、空上下鋳枠返還経路18を経て有枠式鋳型造型ライン1の空鋳枠分離装置10Aに搬入される。
【0081】
(制御装置)
上鋳枠搬入装置34、下鋳枠搬入装置44、上鋳型搬出装置54、下鋳型搬出装置64、上鋳枠返還装置84、下鋳枠返還装置94、型合せ装置10、空鋳枠分離装置10A,空鋳枠用トラバーサ7、および台車搬送装置194等は、図略の制御装置によって作動が制御されている。
【0082】
(作動)
上記のように構成された有枠式鋳型造型ラインの作動について、図面に基づいて以下に説明する。
初期状態として、送り側の上鋳枠側プッシャーシリンダ341および下鋳枠側プッシャーシリンダ441の各ピストン部341b、441bは、後退位置にあって、鋳枠搬入位置7EPに位置決めされた上鋳枠UFおよび下鋳枠DFの後端部に当接している。
【0083】
受け側の上鋳型側クッションシリンダ542および下鋳型側クッションシリンダ642は、各ピストン部542b,642bが前進位置にあって、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6に夫々並べられた最前部の上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMに当接している。
【0084】
まず、制御装置は、送り側の上鋳枠側プッシャーシリンダ341および下鋳枠側プッシャーシリンダ441について、夫々のピストン部341b、441bを前進させることで、鋳枠搬入位置7EPに位置決めされた上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを同期させて搬送開始端3S,4Sに夫々搬入させる。受け側の上鋳型側クッションシリンダ542および下鋳型側クッションシリンダ642では、並べられて最前列に位置決めされた上鋳枠付上鋳型および下鋳枠付下鋳型に夫々のピストン部を当接しながら、鋳型搬出位置17OPに移動させる。
【0085】
有枠式鋳型造型装置2の枠セット・プレート外しステーション21では、上鋳枠搬入経路3および下鋳枠搬入経路4から上鋳枠UFおよび下鋳枠DFが枠セット位置WSPに搬入され位置決めされる。
【0086】
有枠式鋳型造型装置2では、マッチプレートMPと搬入された上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを使って、上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMが造型される。上鋳枠付上鋳型UFMは、上鋳型搬出経路5に並べられ、下鋳枠付下鋳型DFMは、下鋳型搬出経路6に並べられる。
【0087】
制御装置は、上鋳型搬出経路5に並べられた上鋳枠付上鋳型UFMと、下鋳型搬出経路6に並べられた下鋳枠付下鋳型DFMとを、型合せ装置10に向って1ストロークずつ間欠的に搬送する。
【0088】
制御装置は、上鋳型搬出経路5の搬送終了端5Eに搬送された上鋳枠付上鋳型UFMと、下鋳型搬出経路6の搬送終了端6Eに搬送された下鋳枠付下鋳型DFMとを、型合せ装置10に搬入する。
【0089】
上鋳枠付上鋳型UFMは、
図8に示すように、上鋳枠側プッシャーシリンダ341および上鋳型側クッションシリンダ542により、型合せ装置10の第一支持フレーム13の上部ローラ横材13c上に移動されて位置決めされる。下鋳枠付下鋳型DFMは、下鋳枠側プッシャーシリンダ441および下鋳型側クッションシリンダ642により、型合せ装置10の第二支持フレーム14の下部ローラ横材14c上に移動されて位置決めされる。
【0090】
次に、制御装置は、
図11に示すように、昇降装置12を駆動させて、第一支持フレーム13および第二支持フレーム14を下降させる。第二支持フレーム14は、掛止ストッパ14a1が、位置規制装置16に掛止されて、第一規制位置FRPに位置決めされる。
【0091】
位置規制装置16には、下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14との合計荷重が長棒状支持部16bに付加される。長棒状支持部16bを付勢するコイルばね16cは、予め圧縮された状態で設けられ、圧縮された状態の弾発力が下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14との合計荷重による重力よりも大きくなるよう設定されている。そのため、位置規制装置16は、長棒状支持部16bが筒状支持部16aより上方に突出した状態で、下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14とを保持する。第一規制位置FRPにおいて、下鋳枠付下鋳型DFMは、搬送台車FCの台表面より所定間隔を空けて保持される。これによって、搬送台車FCの台表面に鋳物砂等が残っていても、その影響を受けることなく、下鋳枠付下鋳型DFMは、傾いた状態で保持されない。第一規制位置FRPにおいて、下鋳枠付下鋳型DFMに上鋳枠付上鋳型UFMが互いに正対した状態で型合せされる。第一支持フレーム13は、第二支持フレーム14が位置規制装置16に掛止された段階で、その下降が停止される。
【0092】
制御装置は、昇降装置12を作動させて、第一支持フレーム13をさらに下降させる。第一支持フレーム13は、第二支持フレーム14に上方から接近し、
図12に示すように、上部ローラ横材13cの下端部が、下部ローラ横材14cの上部に設けられたストッパ14c2に当接する。上部ローラ横材13cの下端部が、下部ローラ横材14cの上部のストッパ14c2に当接した際、上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとが型合せされる。
【0093】
制御装置は、さらに第一支持フレーム13を下降させ、第二支持フレーム14に荷重を負荷させる。これによって、第二支持フレーム14を下方へ向わせる力が、コイルばね16cの弾発力を上回り、長棒状支持部16bの上方への突出部分が筒状支持部16aの中に後退する。小径部16b2aの下端が、筒状支持部16aの上端に当接するまで、第二支持フレーム14は下降する。この下降端の位置が、第二規制位置SRPであり、型合せされた上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFM(有枠式鋳型WMD)が、搬送台車FC上に載置される(
図13参照)。
【0094】
制御装置は、台車搬送装置194を作動させ、有枠式鋳型WMDを注湯エリアPAに向って1ピッチずつ搬送する。注湯エリアPAへ向う台車搬送経路9は、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向の延長線上にある。注湯エリアPAで注湯された注湯済み有枠式鋳型WMDは、冷却エリアCAを搬送されている間に冷却される。冷却エリアCAは、注湯エリアPAとは逆方向に注湯済み有枠式鋳型WMDが搬送されるためトラバーサ19bを介して移動される。冷却エリアCAにおいても、台車搬送装置194により1ピッチずつ搬送される。
【0095】
冷却された注湯済み有枠式鋳型WMDは、枠ばらし装置FGAにおいて、鋳型が壊されて、上下鋳枠WUDと、鋳物とが分けられる。上下鋳枠WUD(空鋳枠)は、上鋳枠UFと下鋳枠DFとが重ねられた状態で搬送され、空鋳枠分離装置10Aに搬入される(
図14参照)。
本実施形態の空鋳枠分離装置10Aは、型合せ装置10が、トラバーサ装置17によって空鋳枠搬入位置17EPに位置決めされて空鋳枠分離装置10Aとなったものである。
【0096】
制御装置は、昇降装置12を作動させて、第二支持フレーム14を第二規制位置SRPに位置決めさせる(
図14参照)。下鋳枠DFの掛止リブDF1を下部ローラ横材14cに載置させ、上鋳枠UFの掛止フランジUF1を上部ローラ横材13cに載置させる。
【0097】
制御装置は、昇降装置12を駆動させて、第一支持フレーム13を上昇させ、第一支持フレーム13の上部ローラ横材13cを、上鋳枠返還経路8の第三上部ローラコンベヤ81に整列させる。同時に、第二支持フレーム14の下部ローラ横材14cを、下鋳枠返還経路9の第三下部ローラコンベヤ91に整列させる。これによって、重ねられていた上鋳枠UFと下鋳枠DFとは、分離される。そして、上鋳枠UFは、上鋳枠返還経路8に、下鋳枠DFは、下鋳枠返還経路9に夫々並べられる。
【0098】
制御装置は、空上鋳枠側プッシャーシリンダ841および空上鋳枠側クッションシリンダ842により、上鋳枠返還経路8に並べられた上鋳枠UFを1ピッチずつ空鋳枠用トラバーサ7に向って搬送する。制御装置は、空下鋳枠側プッシャーシリンダ941および空下鋳枠側クッションシリンダ942により、下鋳枠返還経路9に並べられた下鋳枠DFを1ピッチずつ空鋳枠用トラバーサ7に向って搬送する。
搬送終了端8E,9Eに搬送された上鋳枠、下鋳枠は、空鋳枠用トラバーサ7の空鋳枠搬出位置7OPに搬出され、空鋳枠用トラバーサ7によって鋳枠搬入位置7EPに移動される。
以下、同様な工程が行われる。
【0099】
上記のように構成された有枠式鋳型造型ライン1によると、上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとを型合せした状態で注湯する有枠式鋳型WMDを造型する有枠式鋳型造型ライン1であって、搬入されてマッチプレートMPに重ね合わされた上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを使用して、上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMとを造型する有枠式鋳型造型装置2と、造型に使用され位置決めされたマッチプレートMPの上方に所定の間隔を設けて水平方向に沿って延在し、有枠式鋳型造型装置2で造型された上鋳枠付上鋳型UFMが複数並べられる上鋳型搬出経路5と、を備えている。
複数並べられた上鋳枠付上鋳型UFMを、上鋳型搬出経路5上を1ピッチずつ搬送する上鋳型搬出装置(上鋳枠側プッシャーシリンダ341および上鋳型側クッションシリンダ542)と、造型に使用されたマッチプレートMPの下方に所定の間隔を設けて、かつ上鋳型搬出経路5に対して同一垂直平面内で平行な方向に沿って延在し、有枠式鋳型造型装置2で造型された下鋳枠付下鋳型DFMが複数並べられる下鋳型搬出経路6と、複数並べられた下鋳枠付下鋳型DFMを、下鋳型搬出経路6上を1ピッチずつ搬送する下鋳型搬出装置(下鋳枠側プッシャーシリンダ441および下鋳型側クッションシリンダ642)と、を備えたことである。
【0100】
(本明細書において、「1ピッチ」とは、上鋳枠または下鋳枠の搬送方向に沿った1つ分の長さをいう。搬送される場合、前記1つ分の長さだけ所定時間毎に間欠させて送られる。)
【0101】
これによると、造型された上鋳枠付上鋳型UFMと、下鋳枠付下鋳型DFMとを、上下方向に離れて水平方向に沿って延在する上鋳型搬出経路5と下鋳型搬出経路6とにより搬送するので、上鋳枠付上鋳型UFMと、下鋳枠付下鋳型DFMとを同じ一本の搬送経路に搬送方向に沿って交互に並べた場合と比べて半分の長さの短い搬送経路とすることができ、省スペースを図ることがきる。
【0102】
また、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向の搬送終了端5E,6Eに対応する位置(鋳型搬出位置17OP)設けられ、搬送された上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとを上下方向に相対移動させて型合せして有枠式鋳型WMDとする型合せ装置10をさらに備え、型合せ装置10は、型合せした有枠式鋳型WMDを、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向の延長線上に搬出する。
【0103】
これによると、型合せされた有枠式鋳型WMDは、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の延長線上に搬出するので、有枠式鋳型WMDを搬送方向に対して横方向にスライドさせて搬送経路を移すための横移動装置を必要としないので、設備コストの低減を図ることができる。
【0104】
また、型合せ装置10は、機枠11と、機枠11に固定された昇降装置12に設けられ、上鋳枠付上鋳型UFMを上下方向に昇降可能に支持する第一支持フレーム13と、第一支持フレーム13に第一支持フレーム13に対して上下方向の相対移動可能に設けられ、下鋳枠付下鋳型DFMを支持する第二支持フレーム14と、第二支持フレーム14の下方に設けられ、上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMが重ねられた有枠式鋳型WMDが載置される有枠式鋳型支持台(台車載置台15および搬送台車FC)と、機枠11に設けられ、下鋳枠付下鋳型DFMを支持する第二支持フレーム14の下降を規制して、下鋳枠付下鋳型DFMと上鋳枠付上鋳型UFMとを型合せする規制位置(第一規制位置FRP)に位置決めする位置規制装置16と、を備えた。
【0105】
これによると、昇降装置12により第一支持フレーム13および第二支持フレーム14が下降した場合、下鋳枠付下鋳型DFMを支持する第二支持フレーム14の下降が位置規制装置16によって規制され、規制位置(第一規制位置FRP)に位置決めされる。このように、複数の昇降装置(アクチュエータ)を使用することなく、一つの昇降装置12で型合せ動作を行なうことができるので、設備コストの低減を図ることができる。この場合、規制位置において、型合せされた有枠式鋳型WMDが同時に搬送台車FC上に載置される。
【0106】
また、位置規制装置16は、下鋳枠付下鋳型DFMを支持する第二支持フレーム14の下降を規制して下鋳枠付下鋳型DFMの下端部が有枠式鋳型支持台(台車載置台15に位置決めされた搬送台車FC)に接触しない位置に位置決めされる第一規制位置FRPと、上鋳枠付上鋳型UFMを支持する第一支持フレーム13と第二支持フレーム14との下降を規制して上鋳枠付上鋳型UFMおよび下鋳枠付下鋳型DFMが重ねられた有枠式鋳型WMDが有枠式鋳型支持台(台車載置台15に位置決めされた搬送台車FC)に載置される位置に位置決めされる第二規制位置SRPと、が設けられている。
【0107】
これによると、上鋳枠付上鋳型UFMが重ねられる前の下鋳枠付下鋳型DFMは、有枠式鋳型支持台(台車載置台15に位置決めされた搬送台車FC)に接触しない第一規制位置FRPに位置決めされ、下鋳枠付下鋳型DFMに上鋳枠付上鋳型UFMが重ねられた場合に有枠式鋳型支持台(台車載置台15に位置決めされた搬送台車FC)上の第二規制位置SRPに位置決めされる。
そのため、有枠式鋳型支持台(台車載置台15に位置決めされた搬送台車FC)上に鋳物砂FSが残っていても、型合せをする際の下鋳枠付下鋳型DFMは、鋳物砂FSの影響を受けず傾かないので、上鋳枠付上鋳型UFMと下鋳枠付下鋳型DFMとを正対させて型合せすることができる。
【0108】
また、有枠式鋳型WMDから取り外されて重ねられた状態の空鋳枠を上鋳枠UFと下鋳枠DFとに分離する空鋳枠分離装置10Aと、上鋳型搬出経路5に対して平行に延在し分離された複数の上鋳枠UFが並べられる上鋳枠返還経路8と、上鋳枠返還経路8の下方に上鋳枠返還経路8に対して同一垂直平面内で平行な方向に沿って延在し、分離された複数の下鋳枠DFが並べられる下鋳枠返還経路9と、をさらに備え、空鋳枠分離装置10Aは、有枠式鋳型WMDから取り外されて重ねられた状態の空鋳枠を搬送する空上下鋳枠返還経路18の搬送終了端18Eであって、かつ上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送開始端8S,9Sに対応する位置(空鋳枠搬入位置17EP)に設けられ、上鋳枠返還経路8には、複数並べられた上鋳枠UFを、上鋳枠返還経路8上を1ピッチずつ上鋳型搬出経路5と逆方向に搬送する上鋳枠返還装置(空上鋳枠側プッシャーシリンダ841および空上鋳枠側クッションシリンダ842)を備え、下鋳枠返還経路9には、複数並べられた下鋳枠DFを、下鋳枠返還経路9上を1ピッチずつ下鋳型搬出経路6と逆方向に搬送する下鋳枠返還装置(空下鋳枠側プッシャーシリンダ941および空下鋳枠側クッションシリンダ942)を備える。
【0109】
これによると、空鋳枠分離装置10Aにより分離された上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを、上鋳枠返還経路8と下鋳枠返還経路9とにより上下に分けて搬送するので、上鋳枠UFと、下鋳枠DFとを一本の同じ搬送経路に搬送方向に沿って交互に並べた場合と比べて半分の長さの短い搬送経路とすることができ、省スペースを図ることができる。
【0110】
また、型合せ装置10は、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向の搬送終了端5E,6Eに対応する位置(鋳型搬出位置17OP)から上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送開始端8S,9Sに対応する位置(空鋳枠搬入位置17EP)に移動して、空鋳枠分離装置10Aとなる横移動装置(トラバーサ装置17)をさらに備え、型合せ装置10が、上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送開始端8S,9Sに対応する位置(空鋳枠搬入位置17EP)に移動した場合、第一支持フレーム13は、有枠式鋳型WMDから取り外されて重ねられた状態の空鋳枠から上鋳枠UFを分離するために支持し、かつ支持した上鋳枠UFを搬出するために上鋳枠返還経路8に整列し、第二支持フレーム14は、上鋳枠UFが分離されて残された下鋳枠DFを支持し、かつ支持した下鋳枠DFを搬出するために下鋳枠返還経路9に整列する。
これによると、型合せ装置10が空鋳枠分離装置10Aに兼用できるので、専用の空鋳枠分離装置が不要となり、設備コストの極めて大きな低減を図ることができる。
【0111】
また、型合せ装置10は、上鋳型搬出装置の搬送される上鋳枠付上鋳型UFMの受け側を構成する上鋳型側クッションシリンダ542と、下鋳型搬出装置64の搬送される下鋳枠付下鋳型DFMの受け側を構成する下鋳型側クッションシリンダ642と、を一体に備え、型合せ装置10が、上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送開始端8S,9Sに対応する位置(空鋳枠搬入位置17EP)に移動した際に、上鋳型側クッションシリンダは、上鋳枠返還装置84の搬送される上鋳枠UFの送り側を構成する空上鋳枠側プッシャーシリンダ841であり、下鋳型側クッションシリンダ642は、下鋳枠返還装置94の搬送される下鋳枠DFの送り側を構成する空下鋳枠側プッシャーシリンダ941である。
【0112】
これによると、型合せ装置10における上鋳型側クッションシリンダ542と空鋳枠分離装置10Aにおける空上鋳枠側プッシャーシリンダ841とを兼用し、型合せ装置10における下鋳型側クッションシリンダ642と空鋳枠分離装置10Aにおける空下鋳枠側プッシャーシリンダ941とを兼用するので、設備コストの低減を図ることができる。
【0113】
また、位置規制装置16は、下鋳枠付下鋳型DFMと第二支持フレーム14との合計荷重である第一荷重が加えられたときに下鋳枠付下鋳型DFMを第一規制位置FRPに位置決めし、第一荷重より大きな第二荷重が加えられたときに第二規制位置SRPに有枠式鋳型WMDを位置決めする。
これによると、位置規制装置16は、荷重の大きさだけで位置決めできる簡素な構造とすることができ、設備コストの低減を図ることができる。
【0114】
また、下鋳型搬出経路6は、マッチプレートMPの下方であって上鋳型搬出経路5に対して所定の作業間隔を空けて配設されている。
これによると、造型された下鋳枠付下鋳型DFMについて、例えば、中子入れ等の作業を、容易かつ確実に行なうことができる。
【0115】
また、鋳造ラインCLは、有枠式鋳型造型ライン1を備え、有枠式鋳型WMDに溶湯を注湯する注湯エリアPAが、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向に沿った同一線上に配置され、注湯された有枠式鋳型WMDを搬送しながら冷却する冷却エリアCAと、冷却された注湯済み鋳型を壊して鋳物と上下の鋳枠UF,DFとを取り出す枠ばらし装置FGAとが、上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9の搬送方向に沿った同一線上に配置されている。
【0116】
これによると、上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6から有枠式鋳型WMDとして注湯エリアPAに搬送される場合に、有枠式鋳型WMDを上鋳型搬出経路5および下鋳型搬出経路6の搬送方向に対して横にスライドさせて搬送経路を移す専用の装置を必要としない。また、枠ばらし装置FGAから搬送された空鋳枠が上鋳枠返還経路8および下鋳枠返還経路9に分離されて搬送される場合に、分離された上鋳枠UFおよび下鋳枠DFを搬送されてきた搬送方向に対して横にスライドさせて搬送経路を移す専用の装置を必要としない。このように横にスライドさせる専用の装置を不要とし、設備コストの低減を図ることができる。
【0117】
なお、本実施形態では、「搬送終了端に対応する位置」を搬送終了端5E,6Eに隣接する位置(鋳型搬出位置17OP)としたが、これに限定されず、例えば、搬送終了端自体の位置を搬送終了端に対応する位置としてもよい。「搬送開始端に対応する位置」を搬送開始端8S,9Sに隣接する位置(空鋳枠搬入位置17EP)としたが、これに限定されず、例えば、搬送開始端自体の位置を搬送開始端に対応する位置としてもよい。
また、位置規制装置16をコイルばね16cの弾発力を利用した構造としたが、これに限定されず、例えば、
図18および
図19に示すように、油圧シリンダと油圧シリンダを作動させる油圧回路からなるものでもよい。この場合、位置規制装置116のように、油圧供給側および油圧排出側の両方に圧力調整弁116a,116bが設けられた油圧シリンダ1161により長棒状支持部1162を付勢するものでもよい。油圧シリンダ1161は、油圧ポンプ1163に連通され、油圧ポンプ1163と油圧シリンダ1161との間には、逆止弁116a1が並列されたノーマルオープンの圧力調整弁116aが設けられている。長棒状支持部1162に所定の圧力より大きな圧力が加わった場合に、油圧排出側のノーマルクローズの圧力調整弁116bにより減圧される。
【0118】
また、型合せ装置10と空鋳枠分離装置10Aとを、トラバーサ装置17によって兼用するものとしたが、これに限定されず、例えば、
図20に示すように、鋳型搬出位置17OPに型合せ装置110を、空鋳枠搬入位置17EPに空鋳枠分離装置110Aを夫々設けてもよい。この場合、搬送台車FCのみトラバース構造117によって空鋳枠搬入位置17EPから、鋳型搬出位置17OPに移動させるよう構成する。空鋳枠分離装置110Aの位置規制装置116は、第二支持フレーム14の下降を第二規制位置のみに規制するよう構成されている。その他の構成は、型合せ装置10と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0119】
また、上鋳型搬出装置と上鋳枠返還装置とにおいて、プッシャーシリンダとクッションシリンダとを兼用するシリンダを電動サーボ式シリンダとしたが、これに限定されず、例えば、油圧回路により作動する油圧シリンダでもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…有枠式鋳型造型ライン、2…有枠式鋳型造型装置、3…上鋳枠搬入経路、341…上鋳枠側プッシャーシリンダ(上鋳型搬出装置)、3E…搬送終了端、3S…搬送開始端、4…下鋳枠搬入経路、441…下鋳枠側プッシャーシリンダ(下鋳型搬出装置)、4E…搬送終了端、4S…搬送開始端、5…上鋳型搬出経路、542…上鋳型側クッションシリンダ(上鋳型搬出装置)、5E…搬送終了端、5S…搬送開始端、6…下鋳型搬出経路、642…下鋳型側クッションシリンダ(下鋳型搬出装置)、6E…搬送終了端、6S…搬送開始端、8…上鋳枠返還経路、841…空上鋳枠側プッシャーシリンダ(上鋳枠返還装置)、842…空上鋳枠側クッションシリンダ(上鋳枠返還装置)、8E…搬送終了端、8S…搬送開始端、9…下鋳枠返還経路、941…空下鋳枠側プッシャーシリンダ(下鋳枠返還装置)、942…空下鋳枠側クッションシリンダ(下鋳枠返還装置)、9E…搬送終了端、9S…搬送開始端、10…型合せ装置、10A…空鋳枠分離装置、11…機枠、12…昇降装置、13…第一支持フレーム、14…第二支持フレーム、15…台車載置台(有枠式鋳型支持台)、16…位置規制装置、17…トラバーサ装置(横移動装置)、17EP…空鋳枠搬入位置(搬送開始端に対応する位置)、17OP…鋳型搬出位置(搬送終了端に対応する位置)、CL…鋳造ライン、DF…下鋳枠、DFM…下鋳枠付下鋳型、FRP…第一規制位置(規制位置)、FS…鋳物砂、MP…マッチプレート、SRP…第二規制位置、UF…上鋳枠、UFM…上鋳枠付上鋳型、WMD…有枠式鋳型、WSP…枠セット位置。