(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】新規なドーパミンD3受容体選択的リガンド及びびその調製方法並びに医薬使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20220202BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220202BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220202BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220202BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220202BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20220202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220202BHJP
C07D 209/40 20060101ALN20220202BHJP
C07D 209/42 20060101ALN20220202BHJP
C07D 209/48 20060101ALN20220202BHJP
C07D 215/38 20060101ALN20220202BHJP
C07D 217/22 20060101ALN20220202BHJP
C07D 235/04 20060101ALN20220202BHJP
C07D 235/30 20060101ALN20220202BHJP
C07D 263/56 20060101ALN20220202BHJP
C07D 263/58 20060101ALN20220202BHJP
C07D 277/62 20060101ALN20220202BHJP
C07D 277/68 20060101ALN20220202BHJP
C07D 295/13 20060101ALN20220202BHJP
C07D 307/82 20060101ALN20220202BHJP
C07D 333/66 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/36
A61P43/00 111
C07D209/40
C07D209/42
C07D209/48
C07D215/38
C07D217/22
C07D235/04
C07D235/30 A
C07D263/56
C07D263/58
C07D277/62
C07D277/68
C07D295/13
C07D307/82
C07D333/66
(21)【出願番号】P 2019567773
(86)(22)【出願日】2018-02-11
(86)【国際出願番号】 CN2018076341
(87)【国際公開番号】W WO2018153297
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2019-11-25
(31)【優先権主張番号】201710130807.0
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】10-2017-0024794
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519307414
【氏名又は名称】深▲チェン▼市霊蘭生物医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN LINGLAN BIO-PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room D13, 20th Floor, Building 6, Baoneng Science and Technology Park, Qinghu Community, Longhua Street, Longhua District, Shenzhen City, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】曹 永凱
(72)【発明者】
【氏名】張 子理
(72)【発明者】
【氏名】千 勝勲
(72)【発明者】
【氏名】金 慶満
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-518744(JP,A)
【文献】国際公開第03/028728(WO,A1)
【文献】特表2008-526715(JP,A)
【文献】特表2008-506744(JP,A)
【文献】特表2006-519258(JP,A)
【文献】特表平06-500546(JP,A)
【文献】特開平09-291033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0085978(US,A1)
【文献】特表2006-525273(JP,A)
【文献】Improving selectivity of dopamine D3 receptor ligands,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2016年,26(3),885-888
【文献】Parallel synthesis and biological screening of dopamine receptor ligands taking advantage of a click chemistry based BAL linker,Journal of Combinatorial Chemistry,2005年,7(2),309-316
【文献】Synthesis and evaluation of arylpiperazine-reverse amides as biased dopamine D3 receptor ligands,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2015年,23(17),5264-5272
【文献】Synthesis and evaluation of arylpiperazine-reverse amides as biased dopamine D3 receptor ligands,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2015年,23(17),5264-5272
【文献】イミダゾリドを用いる有機合成反応,有機合成化学協会誌,1963年,21(8),585-597
【文献】標準化学用語辞典,丸善株式会社,1991年,654頁
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 1623919-49-2,STN,2014年
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 1298630-76-8,STN,2011年
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 899926-41-1,STN,2006年
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 899926-39-7,STN,2006年
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 899926-37-5,STN,2006年
【文献】CAPLUS未収載化合物 RN 1371183-94-6,STN,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
又は式IIの化合物及びその医薬的に許容される塩又はその組成物又はその製剤の、神経変性疾患、統合失調症、不安症、うつ病、薬物嗜癖、及び薬物依存から選択される疾患を予防または治療するための医薬の製造における使用であって、
前記化合物は、選択的にドーパミンD3受容体と特異的に結合して機能し、
【化1】
式I中、n=3~
4であり、
X及びYは、CまたはNから選ばれ、且つ、X及びYは同時にNではなく、即ち、ウレイド基に結合した芳香族基は、ナフタレンまたはキノリンまたはイソキノリンであり、
ウレイド基は、ナフタレン環の1~2-位、またはキノリン環の
2-位、3-位、6-位、7-位、またはイソキノリンの
3-位、6-位、7-位に位置し、
R
2
は、ベンゼン環の2’位に位置し、R
1
は、ベンゼン環の3’位~6’位に位置し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種であ
り、
【化2】
式II中、n=3~
4であり、
Yは、NHまたはOまたはSから選ばれ、Zは、CまたはNから選ばれ、
ウレイド基は、ベンゾ五員複素環の2-位、
5-位、6-位に位置し、
R
2
は、ベンゼン環の2’位に位置し、R
1
は、ベンゼン環の3’位~6’位に位置し、R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種であ
る、
使用。
【請求項2】
前記本体構造は、
1-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,3-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,4-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,6-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-2-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(イソキノリン-3-イル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
の化合物から選ばれる1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の
使用。
【請求項3】
前記疾患は神経変性疾患である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記神経変性疾患はパーキンソン病である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
式Iの化合物を調製す
る方法であって、
(1)以下の反応式のように、ピペラジン系化合物とN-(ブロモアルキル)フタルイミドとを、K
2CO
3及びNaIの条件においてアセトニトリルで還流させ、ピペラジン-フタルイミドを生成するステップと、
【化3】
(2)以下の反応式のように、ピペラジン-フタルイミドをヒドラジン水和物のエタノール溶液で脱保護すること、またはピペラジンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応された後、脱Boc保護すること、またはピペラジンをブロモニトリルと反応させてアミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成するフェニルピペラジン-脂肪アミンの調製ステップと、
【化4】
(3)以下の反応式のように、CDIまたは塩化オキサリルまたはトリホスゲンにより、ピペラジン-脂肪族アミン及び芳香族アミンをカップリングし、式Iの化合物を生成するステップと、
【化5】
を含
み、式Iの化合物は、請求項1に定義されたとおりである、ことを特徴とす
る方法。
【請求項6】
ステップ(1)におけるピペラジン系化合物、N-(ブロモアルキル)フタルイミド、K
2CO
3、及びNaIのモル比は、1:1.05:3:0.3であり、
ステップ(2)におけるピペラジン-フタルイミドを脱保護することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン-フタルイミドとヒドラジン水和物とのモル比が1:3であり、
ステップ(2)におけるピペラジンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応させることは、ピペラジン、脂肪族アミン、トリエチルアミンのモル比が1:1:3であり、ピペラジン-脂肪アミンを脱Boc保護することは、ピペラジン-脂肪アミンとトリフルオロ酢酸のモル比が1:20であり、
ステップ(2)におけるピペラジンと反応させたてアミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン、ブロモニトリル及びK
2CO
3のモル比が1:1.05:3であり、ピペラジン-ニトリルからピペラジン-脂肪アミンへの還元は、ピペラジン-ニトリルと水素化リチウムアルミニウムとのモル比が1:2であり、
ステップ(3)におけるCDIにより式Iの化合物を生成することは、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、CDI、及びDIEAのモル比が1:1:1.4:1.6であり、
ステップ(3)における塩化オキサリルにより式Iの化合物を生成することは、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、塩化オキサリル、及びDAMPのモル比が1:1:1.2:0.05~0.1であり、
ステップ(3)におけるトリホスゲンにより式Iの化合物を生成することは、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、トリホスゲン、及びトリエチルアミンのモル比が1:1:1.2:2である、
ことを特徴とする請求項5に記載
の方法。
【請求項7】
式I又は式IIの化合物
、医薬的に許容される塩又はその組成物又は医薬製剤の、
ドーパミンD3受容体機能を研究し、D3受容体機能の機能障害に関連する疾患を予防または治療するための分子プローブ及びツール薬の製造における使用であって、
前記
化合物は、ドーパミンD3受容体に対して高い親和性、高い特異性、及び高い機能選択性を有し、式I及び式IIの化合物は、請求項1に定義されたとおりである、使用。
【請求項8】
式I又は式IIの化合物
、医薬的に許容される塩
又はその組成物又は医薬製剤の、高プロラクチン血症、錐体外路反応、及びレボドーパに関連する運動障害
及び運動異常を改善するための医
薬の製造における使用
であって、式I及び式IIの化合物は、請求項1に定義されたとおりである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬の技術分野に関し、特に、新規なドーパミンD3受容体選択的リガンド及びその調製方法並びに医薬使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーパミンはカテコールアミン系神経伝達物質であり、神経シナプスを介してドーパミン受容体に伝達され、下流側シグナル経路を活性化して運動、認知、情感等の生理的機能を調節する作用を発揮する。ドーパミン受容体は、Gタンパク質共役受容体ファミリーに属し、Gタンパク質共役受容体は、全ての薬剤標的において40%を占める。機能及び構造により、ドーパミン受容体は主に、D1類とD2類との2種類に分けられる。D1類は、D1受容体及びD5受容体を含み、主にGsとカップリングしてアデニル酸シクラーゼ及びセカンドメッセンジャーを活性化し、D2類は、D2受容体と、D3受容体及びD4受容体とを含み、アデニル酸シクラーゼ及びセカンドメッセンジャーを抑制する。D2受容体は、主にげっ歯類及び霊長類動物の尾状被殻と側坐核に分布され、他の部位では分布が低くなり、これらの領域は主に運動機能に関連する。D2受容体の分布と比べ、D3受容体は、対応する領域における分布密度が相対的に低いが、D3受容体の腹側淡蒼球、黒質、視床及び松果体の手綱(habenula)における分布は、D2受容体よりも遥かに高く、背側線条体においてD3受容体のみが分布され、D2受容体が分布されない。これらの領域は、認知、情感に緊密に関連する。従って、D3受容体は、パーキンソン病、性機能障害、統合失調症、薬物依存及び薬物嗜癖のような様々な神経精神病に緊密に関連する。D2類におけるD2受容体及びD3受容体は、非常に高い類似性及び相同性を有するため、臨床で常用される抗精神病薬はD2R和D3Rに対して低い選択性を有し、そのため、これらの医薬には、錐体外路反応、高プロラクチン血症等のような一定の副作用が存在する。錐体外路副作用を生じた全ての服薬患者において、医薬と大脳内のD2Rとが結合した割合は80%超え、現在、上記副作用は、医薬または化合物がD2Rに作用することに由来すると普遍的に考えられる。抗パーキンソン剤も、D2R及びD3Rに対して選択性が低いため、吐き気、嘔吐、精神障害及び体位性低血圧等の副作用を示す。パーキンソン病の治療の黄金標準であるレボドーパでも、長期間にわたって投与されると運動機能障害または運動異常をもたらすが、D3Rアゴニストが該副作用を引き起こさないことは、研究により明らかになる。
【0003】
D3受容体選択的リガンドは、上記有害反応を起こさず、且つ、選択的リガンドは、脳由来神経栄養因子を媒介することにより、神経保護及び神経再生の機能を果たす。統合失調症患者の脳内で中脳辺縁系のドーパミンD3受容体の発現レベルのアップレギュレートが発見されたため、D3受容体選択的阻害剤は、典型的なD2受容体阻害剤の錐体外路反応をもたらさずに統合失調症の陽性症状を改善及び治療することが期待されている。D3受容体の阻害剤は、前頭皮質アセチルコリンの放出を媒介することができるため、注意力、仕事及び社会的記憶力の調節に寄与し、すなわち、陰性統合失調症を改善する。前臨床試験により、D3受容体選択的阻害剤S333138が抗精神病の有効量の範囲内において、カタレプシー(catalepsy)という副作用が発見されていないことが分かった。更に重要なのは、非選択的リガンドと比べ、D3受容体選択的リガンドは、薬物依存及び薬物嗜癖の特性を有しない。D3受容体は、コカイン嗜癖を低減し、オピオイド、ニコチン及びアルコール依存性を効果的に治療する標的である。
【0004】
PD患者の剖検により、基底神経節のD3Rレベルが45%ダウンレギュレートされ、D2Rレベルが15~25%のみダウンレギュレートされ、非抗PD医薬を投与した場合、D3Rのレベルは48%ダウンレギュレートされ、抗PD医薬を投与した場合、D3Rレベルは25%アップレギュレートされると発見された。そのため、D3受容体選択的アゴニストは、既にパーキンソン病を治療する新たな策略となり、且つ、D3Rの選択的アゴニストは、レボドーパによる運動障害を軽減することができ、且つ、D3R選択的アゴニストを長期間にわたって投与すると、PDの運動障害を低減することができる。遺伝子ノックアウトD3受容体が長期間のうつ病及び不安症をもたらし、これも、D3受容体アゴニストが不安症及びうつ病の治療に寄与することを説明する。
【0005】
現在、臨床及び市販薬には、高選択的ドーパミンD3Rリガンドが欠如し、sigma-aldrich及びselleck等の分子ライブラリにも、高選択的D3Rのリガンドが欠如し、ドーパミンD3受容体の分布及び機能の研究を大きく阻害する。そのため、D3受容体高選択的リガンドは、ドーパミンD3受容体の機能、及び関連する神経性疾患の病因を研究する分子プローブである。
【0006】
D3受容体選択的リガンドについての研究は、学界では様々に行っているだけでなく、更に、各大手製薬会社も次々と該分野に行進する。グラクソスミスクライン(社名)により研究されたアザ[3,1,0]ビシクロヘキサン、BASF(社名)及びABT(社名)により研究された(ピペラジン)ピリジンで置換したベンゼンスルホンアミド、RHHBY.US(社名)により研究されたピペリジンピペラジン、ベンゾ(ピリジン)イソオキサゾールピペラジン、ファイザー(社名)のベンゾモルホリン類、ピエールファーブル(社名)のベンゾピランホルムアミドは、いずれも選択性が高くなく、更に機能選択性がない。研究により、アリピプラゾール同族体であるUNC0006、UNC9975及びUNC9994が、ドーパミンD2類受容体β-arrestinのシグナル経路を選択的に媒介するが、D2受容体及びD3受容体のシグナル経路に対する選択性が低いことが発見された。ドイツの科学者は、ピラゾール-3-ホルムアルドキシム化合物8bがドーパミン受容体のGαタンパク質のシグナル経路を選択的に媒介するが、同様に、D2受容体及びD3受容体に対する選択性が低いことを発見した。
【0007】
ドーパミンD3受容体選択的リガンドには、4-フェニルピペラジン-アミド系化合物があり、その親油性が高いため、水溶性及びバイオアベイラビリティーは低い。また、多くの選択的リガンドはキラル化合物であり、分離しにくく、生産コストが高く、工業化生産しにくくて臨床に使用しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の不足に対し、新規なドーパミンD3受容体選択的リガンド及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様において、本発明の実施例は、以下の本体構造を含む新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを提供する。
【化1】
(式中、n=1~6であり、
X及びYは、CまたはNから選ばれ、
ウレイド基は、ナフタレン環の1~2-位、またはキノリン環の2~8-位、またはイソキノリンの1-位、3~8-位に位置し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種である。)
【0010】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、n=1~4である。
【0012】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、ウレイド基は、キノリン環の2-位、3-位、6-位、7-位に位置する。
【0013】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、ウレイド基は、イソキノリンの3-位、6-位、7-位に位置する。
【0014】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記本体構造は、
1-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,3-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,4-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2,6-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-2-イル)ウレイド、
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(イソキノリン-3-イル)ウレイド、
の化合物から選ばれる1種である。
【0015】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、高い親和性、高い特異性、及び高い機能選択性を有する。
【0016】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、D3Rの下流側シグナル経路を選択的に媒介する。
【0017】
それに対応し、本発明は、
(1)以下の反応式のように、ピペラジン系化合物を、N-(ブロモアルキル)フタルイミド、K
2CO
3及びNaIとアセトニトリルに混合し、8~12時間還流し、ピペラジン-フタルイミドを生成するステップと、
【化2】
(2)以下の反応式のように、ピペラジン-フタルイミドを脱保護すること、またはピペラジ
ンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応された後、脱保護すること、またはピペラジ
ンをブロモニトリルと反応させた後、アミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成するステップと、
【化3】
(3)以下の反応式のように、CDIまたは塩化オキサリルまたはトリホスゲンと、前記ピペラジン-脂肪族アミン及び芳香族アミンとのカップリングにより、請求項1に記載の新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成するステップと、
【化4】
を含む上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを調製する調製方法を更に提供する。
【0018】
本発明に係る調製方法において、ステップ(1)におけるピペラジン系化合物、N-(ブロモアルキル)フタルイミド、K2CO3、及びNaIのモル比は、1:1.05:3:0.3である。
【0019】
本発明に係る調製方法において、ステップ(2)におけるピペラジン-フタルイミドを脱保護することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン-フタルイミドを無水エタノールに溶解し、ヒドラジン水和物を加え、6~8時間反応させることを含み、ここで、ピペラジン-フタルイミドとヒドラジン水和物とのモル比は1:3であり、
ステップ(2)におけるピペラジンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応させた後、脱保護することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン、脱離基が結合された脂肪族アミン、及びトリエチルアミンをアセトニトリルに溶解し、8~12時間還流し、乾燥溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー分離を行い、生成物のピペラジン-脂肪族アミンをジクロロメタンに入れ、トリフルオロ酢酸を加え、室温まで徐々に昇温し、5時間反応させることを含み、ここで、ピペラジン、脂肪族アミン、トリエチルアミン、及びトリフルオロ酢酸のモル比は1:1:3:20であり、
ステップ(2)におけるピペラジンをブロモニトリルと反応させた後、アミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン、ブロモニトリル、K2CO3をアセトニトリルに混合し、8~12時間還流し、濾過して溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーを行うことと、生成物のピペラジン-脂肪族アミンをTHFに溶解し、水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液に滴下し、室温まで徐々に昇温することとを含み、ここで、ピペラジン、脂肪族アミン、ブロモニトリル、K2CO3、及び水素化リチウムアルミニウムのモル比は1:1.05:3:2である。
【0020】
本発明に係る調製方法において、CDIにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、芳香族アミンのジクロロメタン溶液をCDIのジクロロメタン溶液に滴下し、室温で6~8時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミン、DIEAと共にアセトニトリルに溶解し、6~8時間還流反応させることを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、CDI、及びDIEAのモル比は1:1:1.4:1.6であり、
塩化オキサリルにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、DMAPのジクロロメタン溶液を塩化オキサリルのトルエン溶液とピペラジン-脂肪族アミンのジクロロメタンとの混合溶液に滴下し、室温で16~20時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミンと共にアセトニトリルに加え、6~8時間還流することを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、塩化オキサリル、及びDAMPのモル比は1:1:1.2:0.05~0.1であり、
トリホスゲンにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、窒素雰囲気下で、芳香族アミンのTHF溶液をトリホスゲンのTHF溶液に滴下し、トリエチルアミンを徐々に加え、室温で8~12時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミンと共にアセトニトリルに溶解し、6~8時間還流することを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、トリホスゲン、及びトリエチルアミンのモル比は1:1:1.2:2である。
【0021】
それに対応し、本発明は、以下の本体構造を含む新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを更に提供する。
【化5】
(式中、n=1~6であり、
Yは、NHまたはOまたはSから選ばれ、Zは、CまたはNから選ばれ、
ウレイド基は、ベンゾ五員複素環の2-位、4~
7-位に位置し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種である。)
【0022】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、n=1~4である。
【0023】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、ウレイド基は、ベンゾ五員複素環の2-位、5-位、6-位に位置する。
【0025】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記本体構造は、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド、
の化合物から選ばれる1種である。
【0026】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、高い親和性、高い特異性、及び高い機能選択性を有する。
【0027】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドにおいて、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、D3Rの下流側シグナル経路を選択的に媒介する。
【0028】
上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬使用であって、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬的に許容される塩、及びその医薬合剤または医薬製剤は、中枢神経系の疾患を予防または治療するために使用できる医薬使用。
【0029】
上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬使用であって、前記中枢神経系の疾患は、神経変性疾患、統合失調症、不安症、うつ病、薬物嗜癖、及び薬物依存を含む医薬使用。
【0030】
上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬使用であって、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、分子プローブ及びツール薬に使用される医薬使用。
【0031】
上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬使用であって、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、ドーパミンD2サブクラス受容体の分布、機能及びその機能障害に関連する疾患の予防及び治療を研究するために使用される医薬使用。
【0032】
上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの医薬使用であって、前記新規なドーパミンD3受容体選択的リガンド及び医薬的に許容される塩、又は医薬組成物または医薬製剤は、高プロラクチン血症、錐体外路反応、及びレボドーパに関連する運動障害や運動異常を改善するために使用される医薬使用。
【0033】
それに対応し、本発明は、上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドと医薬担体とを含む治療用医薬製剤を更に提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明の実施例を実施すると、以下の有益な効果を有する。本発明に係るドーパミンD3受容体の新規なリガンドは、該種類の化合物及びその医薬的に許容される塩が、神経変性疾患、特に、パーキンソン病、統合失調症、薬物依存、薬物嗜癖、不安症、うつ病等を治療及び予防するために使用できる。研究により、該ドーパミンD3受容体の新規なリガンドが、D3Rに特異的に結合する特性と、D3Rを選択的に媒介する特性とを有することは明らかになる。該種類の化合物及びその医薬的に許容される塩は、ドーパミン受容体の分布、機能及びその機能障害に関連する疾患を研究するために使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を行わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0036】
【
図1】本発明の一実施例に係るD3R特異的リガンド8iの固有機能性の用量効果曲線である。
【
図3】化合物8i及びその塩酸塩の、6-OHDAにより誘導されたPDラットロータロッド実験に対する経時的プロットである。
【
図4】化合物8i及びその塩酸塩の、6-OHDAにより誘導されたPDラットのロータロッド潜伏時間に対する影響である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案について明確かつ完全に説明し、もちろん、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的な労働を行わない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0038】
本発明は、以下の本体構造を含む新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを提供する。
【化6】
(式中、n=1~6であり、好ましくは、本発明の一実施例において、n=1~4であり、すなわち、中間鎖は、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基であってもよい。X及びYは、CまたはNから選ばれ、すなわち、ウレイド基に結合した芳香族基は、ナフタレン、キノリン、イソキノリンであってもよく、好ましくは、本発明の一実施例において、ウレイド基に結合した芳香族基はキノリン及びイソキノリンである。ウレイド基は、ナフタレン環の2-位、またはキノリン環の2~8-位、またはイソキノリン1-位、3~8-位に位置する。好ましくは、ウレイド基は、キノリン環の2-位、3-位、6-位、7-位またはイソキノリンの3-位、6-位、7-位に位置し、好ましくは、本発明の一実施例において、ウレイド基は、キノリンの2-位、3-位またはイソキノリンの3-位に位置する。R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種である。)
【0039】
本発明は、以下の本体構造を含む別の新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを更に提供する。
【化7】
(式中、n=1~6であり、好ましくは、n=1~4であり、すなわち、中間鎖は、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基であってもよく、好ましくは、本発明の一実施例において、中間鎖はブチル基である。Yは、NHまたはOまたはSから選ばれ、Zは、CまたはNから選ばれ、すなわち、芳香族基は、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェンである。ウレイド基は、ベンゾ五員複素環の2-位、5-位、6-位に位置し、好ましくは、本発明の一実施例において、ウレイド基に結合した芳香族基はベンズイミダゾールであり、ウレイド基はベンズイミダゾールの2-位に位置する。R
1及びR
2は、それぞれ独立してH、F、Cl、CF
3、OMeから選ばれる1種である。)
【0040】
本発明は、遊離のアルカロイドの形態の上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドと、有機酸または無機酸とで形成された非毒性塩を含む医薬的に許容される塩を更に提供する。医薬的に許容される塩は、無機塩(塩酸、HBr、硫酸、及びリン酸を含んでもよいが、それらに限定されない)、有機酸塩(酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、酪酸、α-/β-/γ-ヒドロキシ酪酸、吉草酸、ヒドロキシ吉草酸、カプロン酸、ヒドロキシカプロン酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、乳酸、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、グリシン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、サリチル酸、バニリン酸、クマル酸、コーヒー酸、オロチン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、オキサル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、クエン酸、イソクエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸を含んでもよいが、それらに限定されない)であってもよい。
【0041】
本発明に係る新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドは、高い親和性、高い特異性、及び高い機能選択性を有するD3Rリガンドである。「高い親和性」とは、放射性リガンド試験において、好ましくはヒトのドーパミンD3Rに結合するKi値が20nM以下であることを指す。「高い特異性」とは、放射性リガンド実験において、ヒトのD2Rに結合するKi値が、D3Rに結合するKi値の少なくとも100倍であることを指す。「高い機能選択性」とは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子試験において、D3Rのシグナル経路を選択的に活性化し、相同タンパク質D2R及びD4Rのシグナル経路を活性化しないことを指す。
【0042】
本発明は、放射性リガンド試験により、ナノモルオーダー、更にサブナノモルオーダーのD3Rの高い親和性リガンド分子であることが好ましく、D2Rに対する選択性が10000倍以上のD3Rリガンド分子であることが好ましいのに対し、文献により報告された選択性の極めて高いアリールピペラジン-アリールアミドリガンド分子が試験系で13倍及び59倍の選択性のみを有する。ルシフェラーゼレポーター遺伝子試験により、D3Rのアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストであることが好ましく、ここで、D3Rの下流側シグナル経路を選択的(部分的)に活性化し、D2R及びD4Rの下流側シグナル経路を活性化しない。そのため、該種類の化合物は、分子プローブ及びツール薬としてD2R、D3Rの生理学的分布、機能、その機能障害、及びドーパミン代謝障害に関連する疾患の研究に使用できる。ここで、「D3R機能障害に関連する疾患」とは、統合失調症、認知障害、パーキンソン病、情感/動機障害、薬物依存、薬物嗜癖、不安症、睡眠障害、及び男性の性的機能障害等のような、ドーパミンD3R機能障害により直接または間接的に引き起こされる疾患を指す。
【0043】
本発明は、少なくとも1種の上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンド、またはその医薬的に許容される塩、及びナノドラッグデリバリーシステムのようなその医薬的に許容される担体または賦形剤を含む医薬合剤または剤形を更に提供する。好ましいD3R選択的リガンド、または複数種の医薬合剤、またはその医薬製剤は、神経変性疾患、特に、パーキンソン病、統合失調症、認知障害、情感/動機障害、不安症、うつ病、薬物嗜癖、薬物依存を治療するために使用できる。本発明に係るD3R選択的リガンド、または複数種の医薬合剤、またはその医薬製剤は、D2Rに関連する高プロラクチン血症と、肢体の硬直、静座不能症、ジストニア、パーキンソン病に似た病状のような錐体外路反応との改善、長期間にわたってレボドーパを使用することによる運動障害または運動異常の改善にも使用できる。
【0044】
一般的には、本発明の治療用医薬製剤は、少なくとも1種の好ましいD3Rリガンドを含むほか、少なくとも1種の医薬担体または賦形剤を更に含む。医薬剤形は、錠剤、カプセル剤、滴丸、エアロゾル剤、丸剤、散剤、合剤、乳剤、顆粒剤、リポソーム、経皮薬剤、舌下剤、凍結乾燥粉針剤等として体現でき、一般的な製剤、徐放製剤、制御放出製剤、及び各種の微小粒子の投与システムであってもよい。医薬担体は、従来の希釈剤、吸収剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯味剤等であってもよく、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノコアシェルマイクロカプセル等を含む新規なナノ投与システムであってもよい。
【0045】
本発明は、以下のステップを含む新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの調製方法を更に提供する。
【0046】
(1)以下の反応式のように、ピペラジン系化合物を、N-(ブロモアルキル)フタルイミド、K2CO3及びNaIとアセトニトリルに混合し、8~12時間還流し、ピペラジン-フタルイミドを生成する。
【0047】
【0048】
具体的には、ピペラジン系化合物、N-(ブロモアルキル)フタルイミド、K2CO3、及びNaIのモル比は1:1.05:3:0.3である。
【0049】
(2)以下の反応式のように、ピペラジン-フタルイミドを脱保護すること、またはピペラジンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応された後、脱保護すること、またはピペラジンをブロモニトリルと反応させた後、アミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成する。
【0050】
【0051】
具体的には、ピペラジン-フタルイミドを脱保護することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン-フタルイミドを無水エタノールに溶解し、ヒドラジン水和物を加え、6~8時間反応させることを含み、ここで、ピペラジン-フタルイミドとヒドラジン水和物とのモル比は1:3である。ピペラジンを脱離基が結合された脂肪族アミンと反応させた後、脱保護することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン、脱離基が結合された脂肪族アミン、及びトリエチルアミンをアセトニトリルに溶解し、8~12時間還流し、乾燥溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー分離を行い、生成物のピペラジン-脂肪族アミンをジクロロメタンに入れ、トリフルオロ酢酸を加え、室温まで徐々に昇温し、5時間反応させることを含み、ここで、ピペラジン、脂肪族アミン、トリエチルアミン、及びトリフルオロ酢酸のモル比は1:1:3:20である。ピペラジンをブロモニトリルと反応させた後、アミンに還元することにより、ピペラジン-脂肪族アミンを生成することは、ピペラジン、ブロモニトリル、K2CO3をアセトニトリルに混合し、8~12時間還流し、濾過して溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーを行うことと、生成物のピペラジン-脂肪族アミンをTHFに溶解し、水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液に滴下し、室温まで徐々に昇温することとを含み、ここで、ピペラジン、脂肪族アミン、ブロモニトリル、K2CO3、及び水素化リチウムアルミニウムのモル比は1:1.05:3:2である。
【0052】
(3)以下の反応式のように、CDIまたは塩化オキサリルまたはトリホスゲンと、前記ピペラジン-脂肪族アミン及び芳香族アミンとのカップリングにより、請求項1に記載の新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成する。
【0053】
【0054】
具体的には、CDIにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、芳香族アミンのジクロロメタン溶液をCDIのジクロロメタン溶液に滴下し、室温で6~8時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミン、DIEAと共にアセトニトリルに溶解し、6~8時間還流反応させることを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、CDI、及びDIEAのモル比は1:1:1.4:1.6である。塩化オキサリルにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、DMAPのジクロロメタン溶液を塩化オキサリルのトルエン溶液とピペラジン-脂肪族アミンのジクロロメタンとの混合溶液に滴下し、室温で16~20時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミンと共にアセトニトリルに加え、6~8時間還流することを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、塩化オキサリル、及びDAMPのモル比は1:1:1.2:0.05~0.1である。トリホスゲンにより上述したような新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドを生成することは、窒素雰囲気下で、芳香族アミンのTHF溶液をトリホスゲンのTHF溶液に滴下し、トリエチルアミンを徐々に加え、室温で8~12時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、ピペラジン-脂肪族アミンと共にアセトニトリルに溶解し、6~8時間還流することを含み、ここで、ピペラジン-脂肪族アミン、芳香族アミン、トリホスゲン、及びトリエチルアミンのモル比は1:1:1.2:2である。
【0055】
以下、本発明の新規なドーパミンD3受容体選択的リガンドの調製過程について詳細に説明する。
【0056】
ステップS1において、アリールピペラジン-フタルイミドを合成する。
【0057】
アニリン、ビス(2-クロロエチル)アミン塩酸塩を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(diethylene glycol monomethyl ether、DGME)に混合し、6~8時間還流し、メタノール及びエーテルを適量添加し、再結晶してアリールピペラジンを取得した。アリールピペラジンを、1.05モル当量のN-(4-ブロモブチル)フタルイミド、3倍モル当量のK2CO3、及び0.3モル当量のNaIとアセトニトリルに混ぜ、6~8時間還流反応させ、濾過して溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィー分離を行い、アリールピペラジン-フタルイミドを取得した。反応式は以下のとおりである。
【0058】
【0059】
試験結果は以下のとおりである。
【0060】
2-(4-(4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3a)
【0061】
化合物3aは淡黄色結晶であった。Rf= 0.182 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 90.3%. Mp: 120-122 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.46, 3.03 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.44, 3.05 Hz, 2H), 7.09 - 6.97 (m, 2H), 6.97 - 6.87 (m, 2H), 3.73 (t, J = 7.10 Hz, 2H), 3.20 - 3.02 (m, 4H), 2.62 (d, J = 4.25 Hz, 4H), 2.50 - 2.35 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.81, 7.41 Hz, 2H), 1.66 - 1.48 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.42, 155.69 (d, JCF=245.86 Hz), 140.15 (d, JCF=8.50 Hz), 133.89, 132.11, 124.41 (d, JCF=3.55 Hz), 123.16, 122.33 (d, JCF=7.97 Hz), 118.87 (d, JCF=3.03 Hz), 116.04 (d, JCF=20.82 Hz), 58.02, 53.26, 50.52, 50.49, 37.84, 26.58, 24.19.
【0062】
2-(4-(4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3c)
【0063】
化合物3cは無色結晶として調製された。Rf= 0.125 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 86.9%. Mp: 116-118℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.45, 3.04 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.46, 3.04 Hz, 2H), 7.02 - 6.90 (m, 2H), 6.91 - 6.79 (m, 2H), 3.73 (t, J = 7.10 Hz, 2H), 3.16 - 3.03 (m, 4H), 2.68 - 2.53 (m, 4H), 2.49 - 2.34 (m, 2H), 1.74 (dt, J = 14.86, 7.46 Hz, 2H), 1.65 - 1.47 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.48, 158.31, 155.94, 148.00 (d, JCF=2.22 Hz), 133.94, 132.13, 123.21, 117.73 (d, JCF=7.59 Hz), 115.48 (d, JCF=22.14 Hz), 58.00, 53.24, 50.15, 37.86, 26.61, 24.22.
【0064】
2-(4-(4-(2,3-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3d)
【0065】
化合物3dは無色固体であった。Rf= 0.265 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 87.7%. Mp: 101-103 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (td, J = 5.27, 5.27, 2.09 Hz, 2H), 7.72 (td, J = 5.44, 5.24, 2.09 Hz, 2H), 6.95 (tdd, J = 8.17, 5.88, 2.00 Hz, 1H), 6.82 - 6.71 (m, 1H), 6.72 - 6.62 (m, 1H), 3.72 (dd, J = 13.32, 6.23 Hz, 2H), 3.19 - 3.03 (m, 4H), 2.71 - 2.54 (m, 4H), 2.48 - 2.39 (m, 2H), 1.74 (dt, J = 14.91, 7.41 Hz, 2H), 1.65 - 1.49 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.45, 151.51 (dd, J = 245.74, 11.96 Hz), 143.96 (dd, J = 247.0, 13.73 Hz), 141.98 (d, J = 5.62 Hz), 133.93, 132.11, 123.55 (dd, J = 8.53, 4.89 Hz), 123.19, 113.67, 109.87 (d, J = 17.69 Hz), 57.98, 53.16, 50.45, 50.42, 37.84, 26.58, 24.18.
【0066】
2-(4-(4-(2,4-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3e)
【0067】
化合物3eは無色固体であった。Rf= 0.156 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 66.0%. Mp: 101-103 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.44, 3.05 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 5.44, 3.05 Hz, 2H), 6.95 - 6.84 (m, 1H), 6.85 - 6.73 (m, 2H), 3.79 - 3.67 (m, 2H), 3.13 - 2.93 (m, 4H), 2.61 (s, 4H), 2.50 - 2.37 (m, 2H), 1.83 - 1.66 (m, 2H), 1.66 - 1.47 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.43, 157.81 (dd, JCF=11.78, 242.94 Hz), 155.57 (dd, JCF=11.23, 249.15 Hz), 136.75 (dd, J = 8.95, 3.35 Hz), 133.91, 132.11, 123.17, 119.35 (dd, J = 9.25, 4.25 Hz), 110.62 (dd, J = 21.32, 3.72 Hz), 104.62 (dd, J = 25.81, 0.89 Hz), 57.98, 53.23, 50.88 (d, J = 2.55 Hz), 37.83, 26.58, 24.17.
【0068】
2-(4-(4-(2,6-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3f)
【0069】
化合物3fは無色固体であった。Rf= 0.265 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 60.2%. Mp: 102-103 ℃. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.90 - 7.78 (m, 2H), 7.76 - 7.66 (m, 2H), 6.89 (td, J = 9.64, 9.27, 5.80 Hz, 1H), 6.84 - 6.71 (m, 2H), 3.73 (t, J = 7.04 Hz, 2H), 3.14 - 2.94 (m, 4H), 2.72 - 2.52 (m, 4H), 2.50 - 2.35 (m, 2H), 1.75 (dt, J = 14.30, 6.91 Hz, 2H), 1.58 (ddd, J = 14.90, 8.16, 4.43 Hz, 2H).
【0070】
2-(4-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3g)
【0071】
化合物3gは淡黄色固体であった。Rf= 0.242 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 73.1%. Mp: 141-143 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.43, 3.05 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.45, 3.04 Hz, 2H), 7.15 (t, J = 8.12 Hz, 1H), 6.86 (t, J = 2.12 Hz, 1H), 6.78 (ddd, J = 8.90, 4.92, 1.77 Hz, 2H), 3.73 (t, J = 7.10 Hz, 2H), 3.24 - 3.08 (m, 4H), 2.63 - 2.50 (m, 4H), 2.48 - 2.35 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.87, 7.44 Hz, 2H), 1.66 - 1.48 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.45, 152.33, 134.90, 133.93, 132.11, 129.99, 123.20, 119.15, 115.65, 113.79, 57.96, 53.03, 48.61, 37.83, 26.58, 24.19.
【0072】
2-(4-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3h)
【0073】
化合物3hは淡黄色固体であった。Rf= 0.25 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 75%. Mp: 111-112 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.45, 3.04 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.46, 3.04 Hz, 2H), 7.34 (dd, J = 7.89, 1.50 Hz, 1H), 7.25 - 7.16 (m, 1H), 7.03 (dd, J = 8.06, 1.46 Hz, 1H), 6.95 (td, J = 7.78, 1.51 Hz, 1H), 3.81 - 3.67 (m, 2H), 3.06 (s, 4H), 2.63 (s, 4H), 2.51 - 2.38 (m, 2H), 1.74 (dt, J = 14.85, 7.51 Hz, 2H), 1.66 - 1.50 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.42, 149.29, 133.88, 132.11, 130.58, 128.72, 127.54, 123.57, 123.16, 120.33, 58.02, 53.35, 51.18, 37.85, 26.60, 24.23.
【0074】
2-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3i)
【0075】
化合物3iは淡黄色固体であった。Rf= 0.234 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 73.8%. Mp: 138-141 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.85 (dd, J = 5.37, 3.10 Hz, 2H), 7.74 (dd, J = 5.48, 3.02 Hz, 2H), 7.27 - 7.10 (m, 2H), 6.90 - 6.76 (m, 2H), 3.73 (t, J = 6.98 Hz, 2H), 3.26 - 3.12 (m, 4H), 2.69 (s, 4H), 2.59 - 2.43 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.17, 7.09 Hz, 2H), 1.68 - 1.56 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 172.62, 153.47, 138.07, 135.84, 132.86, 128.90, 127.18, 121.43, 61.71, 56.73, 52.65, 41.52, 30.37, 27.40.
【0076】
2-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3j)
【0077】
化合物3iは無色固体であった。Rf= 0.136 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 77.7%. Mp: 121-123 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.45, 3.04 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.45, 3.05 Hz, 2H), 7.20 - 7.09 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 6.39, 3.20 Hz, 1H), 3.73 (t, J = 7.10 Hz, 2H), 3.05 (s, 4H), 2.62 (s, 4H), 2.49 - 2.39 (m, 2H), 1.74 (dt, J = 14.86, 7.47 Hz, 2H), 1.64 - 1.51 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.45, 151.30, 133.98, 133.91, 132.13, 127.42, 124.50, 123.19, 118.58, 57.97, 53.28, 51.30, 37.86, 26.60, 24.22.
【0078】
2-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3k)
【0079】
化合物3kは無色固体であった。収率: 76.5%. Mp: 106-107 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.44, 3.04 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.44, 3.05 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 2.43 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.61, 2.45 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.64 Hz, 1H), 3.73 (t, J = 7.11 Hz, 2H), 3.02 (s, 4H), 2.61 (s, 4H), 2.50 - 2.37 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.84, 7.44 Hz, 2H), 1.65 - 1.49 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.45, 148.12, 133.92, 132.14, 130.27, 129.42, 128.08, 127.59, 123.19, 121.12, 57.97, 53.25, 51.20, 37.87, 26.60, 24.22.
【0080】
2-(4-(4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3m)
【0081】
化合物3mは淡黄色固体であった。Rf= 0.219 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 75.2%. Mp: 89-91 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (dd, J = 5.45, 3.05 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.45, 3.04 Hz, 2H), 7.10 - 6.93 (m, 2H), 6.84 (t, J = 8.75 Hz, 1H), 3.73 (t, J = 7.09 Hz, 2H), 3.16 - 2.97 (m, 4H), 2.60 (d, J = 3.98 Hz, 4H), 2.49 - 2.37 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.91, 7.43 Hz, 2H), 1.64 - 1.49 (m, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.38, δ 155.25 (d, J = 249.82 Hz), 139.01 (d, J = 8.60 Hz), 133.89, 132.09, 126.56 (d, J = 10.03 Hz), 124.45 (d, J = 3.52 Hz), 123.15, 119.50 (d, J = 3.85 Hz), 116.74 (d, J = 24.30 Hz), 57.94, 53.11, 50.46, 50.42, 37.82, 26.56, 24.16.
【0082】
2-(4-(4-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3n)
【0083】
化合物3nは無色固体であった。Rf= 0.617 (CH2Cl2/EtOAc=1:1). 収率: 87.5%. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.92 - 7.79 (m, 2H), 7.76 - 7.66 (m, 2H), 7.23 - 7.01 (m, 3H), 3.73 (t, J = 7.05 Hz, 2H), 3.24 - 3.02 (m, 4H), 2.72 - 2.54 (m, 4H), 2.51 - 2.33 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 14.34, 7.33 Hz, 2H), 1.58 (dd, J = 14.85, 8.70 Hz, 2H).
【0084】
2-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)イソインドリン-1,3-ジケトン (3p)
【0085】
化合物3kは無色固体であった。Rf= 0.219 (n-ヘキサン/EtOAc = 1:1). 収率: 86.9%. Mp: 96-98 ℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (dd, J = 5.47, 3.02 Hz, 2H), 7.71 (dd, J = 5.45, 3.05 Hz, 2H), 7.33 (t, J = 7.95 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.08 - 7.00 (m, 2H), 4.12 (q, J = 7.15 Hz, 1H), 3.73 (t, J = 7.11 Hz, 2H), 3.31 - 3.13 (m, 4H), 2.70 - 2.50 (m, 4H), 2.49 - 2.38 (m, 2H), 1.75 (dt, J = 14.90, 7.47 Hz, 2H), 1.68 - 1.48 (m, 2H), 1.26 (t, J = 7.14 Hz, 1H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 168.44, 151.39, 133.92, 132.14, 131.37 (q, JCF=31.67 Hz), 129.50, 124.35 (dd, JCF=271.92 Hz), 123.19, 118.58, 115.68 (q, JCF=3.73 Hz), 112.07 (q, JCF=3.88 Hz), 60.39, 57.92, 53.01, 48.61, 37.83, 26.56, 24.17, 21.04, 14.20.
【0086】
ステップS2において、以下の3種類の方式のうちの1種により、アリールピペラジン-脂肪族アミンを合成し、反応式は以下のとおりである。
【0087】
(1)アリールピペラジン-フタルイミドを無水エタノールに溶解し、3倍モル当量のヒドラジン水和物を加え、60℃で6~8時間反応させ、TLCで反応を検出した。粗生成物を次の反応に直接使用した。
【0088】
(2)アリールピペラジン、等倍モル当量の4-(Boc-アミン基)ブチルメタンスルホナート、3倍モル当量のトリエチルアミンをアセトニトリルに溶解し、8~12時間還流し、乾燥溶媒を回収した後、カラムクロマトグラフィー分離を行い、生成物であるアリールピペラジン-脂肪族アミン(Boc保護)をジクロロメタンに加え、0℃で20倍モル当量のトリフルオロ酢酸を加え、室温まで徐々に昇温し、5時間反応させ、TLCで反応を検出した。粗生成物を次の反応に直接使用した。
【0089】
(3)アリールピペラジン、1.05倍モル当量のブロモニトリル、3倍モル当量のK2CO3をアセトニトリルに混合し、8~12時間還流し、濾過して溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーを行い、生成物であるアリールピペラジン-脂肪族アミンをTHFに溶解し、0℃で2倍モル当量の水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液に滴下し、室温まで徐々に昇温し、TLCで反応を検出した。粗生成物を次の反応に直接使用した。
【0090】
【0091】
ステップS3において、アリールピペラジン-アリールウレイドを合成する。
【0092】
芳香族アミンのジクロロメタン溶液を1.6モル当量のCDIのジクロロメタン溶液に滴下し、室温で6~8時間反応させ、溶媒を揮発乾燥し、同等のモル当量のアリールピペラジン-脂肪族アミン、1.6モル当量のDIEAと共にアセトニトリルに溶解し、6~8時間還流反応させ、TLCで反応を検出し、反応が終了した後、乾燥溶媒を回収し、酢酸エチルを加えて分散し、飽和塩化ナトリウムを加えて洗浄し、有機層を分取し、乾燥溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィー分離を行った。
【0093】
ここで、以下の反応式により、一般式Iの本体構造を有するドーパミンD3受容体選択的リガンドを取得した。
【0094】
【0095】
以下の反応式により、一般式IIの本体構造を有するドーパミンD3受容体選択的リガンドを取得した。
【0096】
【0097】
更に、一般式Iの本体構造を有するドーパミンD3受容体選択的リガンドは、以下の化合物から選ばれる1種である。
【0098】
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-2-イル)ウレイド (7i)
【0099】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.06 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.81 - 7.70 (m, 2H), 7.65 (ddd, J = 8.4, 7.0, 1.4 Hz, 1H), 7.42 (ddd, J = 8.1, 7.0, 1.1 Hz, 1H), 7.24 - 7.15 (m, 2H), 7.03 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.89 - 6.79 (m, 2H), 3.48 (s, 2H), 3.24 - 3.08 (m, 4H), 2.75 - 2.61 (m, 4H), 2.53 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.84 - 1.62 (m, 4H).
13C NMR (101 MHz, MeOD) δ 156.39, 152.17, 149.67, 145.25, 138.53, 130.06, 128.84, 127.59, 126.45, 124.82, 124.58, 117.39, 113.22, 58.15, 52.88, 48.86, 39.43, 27.72, 23.93.
【0100】
1-(4-(4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8a)
【0101】
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.66 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.47 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.75 (dd, J = 8.2, 1.3 Hz, 1H), 7.52 (dddd, J = 16.2, 14.7, 6.9, 1.4 Hz, 2H), 7.12-6.85 (m, 4H), 3.37-3.23 (m, 3H), 3.20-3.03 (m, 4H), 2.84-2.64 (m, 4H), 2.61-2.42 (m, 2H), 1.62 (dd, J = 10.0, 5.7 Hz, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 155.61 (d, JCF=245.8 Hz), 156.03, 143.93, 139.68 (d, JCF=8.6 Hz), 133.35, 128.60, 128.33, 127.55, 127.46, 127.17, 124.45 (d, JCF=3.5 Hz), 122.66 (d, JCF=8.0 Hz), 122.16, 118.85 (d, JCF=2.96 Hz), 116.08 (d, JCF=20.7 Hz), 57.92, 53.06, 50.10, 39.86, 27.84, 23.81.
【0102】
1-(4-(4-(2,3-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8d)
【0103】
1H NMR (500 MHz, CDCl3: CD3OD 8:1) δ 8.57 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.76-7.69 (m, 1H), 7.55-7.47 (m, 1H), 7.47-7.40 (m, 1H), 6.99-6.86 (m, 1H), 6.79-6.68 (m, 1H), 6.64 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 3.26 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 3.16-3.02 (m, 4H), 2.65 (d, J = 4.3 Hz, 4H), 2.49-2.34 (m, 2H), 1.63-1.46 (m, 4H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3: CD3OD 8:1) δ 156.10, 151.43 (dd, JCF=246.3, 12.1 Hz), 143.94 (dd, JCF=247.0, 13.8 Hz), 143.48, 143.39, 143.36, 141.42 (dd, JCF=3.7, 2.0 Hz), 133.70, 128.75, 127.92, 127.43, 127.34, 127.09, 126.62 (dd, JCF=4.8, 3.7 Hz), 121.62 (d, JCF=13.4 Hz), 113.71, 110.27 (d, JCF=17.7 Hz), 58.06, 52.98, 49.91, 49.88, 39.34, 27.70, 23.53.
【0104】
1-(4-(4-(2,4-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8e)
【0105】
1H NMR (300 MHz, CDCl3: CD3OD 1:1) δ 8.68 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.83-7.74 (m, 1H), 7.67-7.47 (m, 2H), 7.06-6.91 (m, 1H), 6.84 (ddd, J = 12.5, 7.0, 2.8 Hz, 2H), 3.38-3.27 (m, 2H), 3.20-3.01 (m, 4H), 2.71 (s, 4H), 2.51 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.75-1.51 (m, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3: CD3OD 1:1) δ 157.82 (dd, JCF=245.4, 12.1 Hz), 155.26 (dd, JCF=249.0, 12.1 Hz), 156.10, 143.29, 143.01, 135.88, 133.52, 128.46, 127.33, 127.22, 127.02, 126.88, 119.34 (dd, JCF=9.3, 4.2 Hz), 110.34 (dd, JCF=21.3, 4.0 Hz), 104.16 (t, JCF=24.8 Hz), 57.84, 52.71, 50.07, 39.18, 27.63, 23.23.
【0106】
1-(4-(4-(2,6-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8f)
【0107】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.66 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.51 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.94 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 8.1, 1.3 Hz, 1H), 7.58-7.38 (m, 2H), 6.90-6.67 (m, 3H), 3.29 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.10-2.92 (m, 4H), 2.62 (s, 4H), 2.40 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.55 (d, J = 3.8 Hz, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 158.38 (dd, JCF=243.5, 11.7 Hz), 156.13, 155.53 (dd, JCF=249.6, 11.7 Hz), 153.96, 143.95, 136.21 (dd, JCF=9.1, 3.0 Hz), 133.42, 128.61, 128.33, 127.55, 127.44, 127.18, 122.14, 119.43 (dd, JCF=9.2, 4.1 Hz), 110.70 (dd, JCF=21.3, 3.9 Hz), 104.67 (t, JCF=24.5 Hz), 57.78, 52.98, 50.32, 39.75, 27.76, 23.63.
【0108】
1-(4-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8g)
【0109】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.66 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.53 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 8.2, 1.0 Hz, 1H), 7.53 (ddd, J = 8.4, 6.9, 1.4 Hz, 1H), 7.50-7.41 (m, 1H), 7.34 (dd, J = 7.8, 1.2 Hz, 1H), 7.23-7.15 (m, 1H), 6.96 (dd, J = 12.0, 4.5 Hz, 2H), 3.30 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.07 (s, 4H), 2.67 (s, 3H), 2.50-2.38 (m, 2H), 1.66-1.57 (m, 2H), 1.55 (dd, J = 13.4, 6.7 Hz, 2H).
13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 156.07, 148.72, 143.97, 133.43, 130.61, 128.66, 128.63, 128.38, 127.61, 127.50, 127.46, 127.15, 123.92, 122.07, 120.30, 57.83, 53.13, 50.59, 39.74, 27.73, 23.67.
【0110】
1-(4-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8h)
【0111】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.65 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.74-7.63 (m, 1H), 7.58-7.39 (m, 2H), 7.14 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 6.81 (dd, J = 5.0, 2.8 Hz, 2H), 6.71 (dd, J = 9.2, 1.5 Hz, 1H), 3.29 (d, J = 6.2 Hz, 2H), 3.21-3.03 (m, 4H), 2.63-2.46 (m, 4H), 2.36 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.52 (s, 4H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 156.16, 151.97, 144.00, 143.96, 134.94, 133.45, 130.05, 128.64, 128.34, 127.61, 127.47, 127.23, 122.21, 119.51, 115.76, 113.89, 57.77, 52.75, 48.20, 39.80, 27.80, 23.70.
【0112】
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8i)
【0113】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.90 (s, 1H), 8.76 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.95-7.74 (m, 2H), 7.61-7.41 (m, 2H), 7.28-7.10 (m, 2H), 6.92 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 6.42 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.23-3.03 (m, 6H), 2.50 (dt, J = 3.6, 1.8 Hz, 4H), 2.35 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 1.50 (s, 4H).
13C NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ 155.26, 149.81, 144.11, 143.20, 134.44, 128.57, 128.48, 128.26, 127.18, 126.83, 126.65, 122.23, 119.13, 116.72, 57.44, 52.56, 47.97, 27.65, 23.65.
【0114】
1-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8j)
【0115】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.68 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.62-7.40 (m, 2H), 7.22-7.05 (m, 2H), 6.91 (dd, J = 7.6, 2.0 Hz, 1H), 4.88 (s, 1H), 3.33 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.10 (s, 4H), 2.75 (s, 4H), 2.60-2.46 (m, 2H), 1.62 (d, J = 7.3 Hz, 4H).
【0116】
1-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8k)
【0117】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.64 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.47 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.93 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.1, 1.2 Hz, 1H), 7.58-7.39 (m, 2H), 7.33 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.29 (s, 2H), 2.97 (s, 4H), 2.55 (s, 4H), 2.36 (s, 2H), 1.53 (s, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 156.07, 147.75, 144.08, 133.23, 130.25, 129.32, 128.55, 128.37, 128.23, 127.68, 127.58, 127.44, 127.23, 122.50, 121.00, 57.92, 53.10, 50.92, 40.08, 27.99, 24.02.
【0118】
1-(4-(4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8m)
【0119】
1H NMR (300 MHz, CDCl3:CD3OD) δ 8.64 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.47 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.79-7.70 (m, 1H), 7.60-7.44 (m, 3H), 7.02 (dt, J = 4.4, 2.1 Hz, 2H), 6.89 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.38-3.22 (m, 4H), 3.16-3.02 (m, 4H), 2.71 (s, 4H), 2.51 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.08-1.94 (m, 187), 1.68-1.53 (m, 187).
13C NMR (126 MHz, CDCl3:CD3OD) δ 155.77, 155.25(d, JCF=250.0Hz), 144.19, 144.08, 138.28 (d, JCF=9.0 Hz), 133.22, 128.60, 127.51, 127.45, 127.34, 127.26, 127.12, 124.56 (d, JCF=3.6 Hz), 122.18, 119.64 (d, JCF=3.6 Hz), 116.89 (d, JCF=24.3 Hz), 57.66, 52.89, 49.68, 49.66, 39.62, 29.68, 27.48, 23.38.
【0120】
1-(4-(4-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8n)
【0121】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.65 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 8.1, 1.3 Hz, 1H), 7.59-7.42 (m, 2H), 7.19 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.15-7.03 (m, 2H), 3.32 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.22-2.99 (m, 4H), 2.73-2.58 (m, 4H), 2.45 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 1.69-1.47 (m, 4H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 157.19 (d, JCF=251.9 Hz), 155.99, 144.04 (d, JCF=6.1 Hz), 140.22, 140.14, 133.32, 128.64, 128.43, 127.60, 127.48, 127.21, 127.01 (dq, JCF=32.4, 4.0 Hz), 123.82 (q, JCF=272.62 Hz), 122.31, 119.62 (m), 116.51 (d, JCF=22.8 Hz), 116.03 (d, JCF=3.9 Hz), 57.70, 52.81, 49.66, 49.63, 39.75, 27.66, 23.60.
【0122】
1-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(キノリン-3-イル)ウレイド (8p)
【0123】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.66 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60-7.42 (m, 2H), 7.33 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.00 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.30 (s, 2H), 3.25-3.11 (m, 4H), 2.66-2.51 (m, 4H), 2.39 (s, 2H), 1.56 (s, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 155.92, 151.05, 144.16, 144.11, 133.18, 131.37 (q, JCF=31.8 Hz), 129.54, 128.57, 128.47, 127.80 (d, JCF=271.8 Hz, CF3), 127.66, 127.45, 127.22, 122.47, 118.65, 116.05, 116.00 (q, JCF=3.8 Hz), 112.13 (q, JCF=3.79 Hz), 57.84, 52.83, 48.31, 39.99, 27.88, 23.89.
【0124】
1-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-3-(イソキノリン-3-イル)ウレイド (11i)
【0125】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.94 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.66 - 7.59 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.48 - 7.36 (m, 1H), 7.27 - 7.15 (m, 2H), 6.92 - 6.77 (m, 2H), 3.40 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.26 - 3.08 (m, 5H), 2.77 - 2.61 (m, 5H), 2.51 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.67 (d, J = 3.3 Hz, 5H).
13C NMR (101 MHz, MeOD) δ 156.40, 149.95, 149.60, 148.22, 138.33, 131.01, 128.87, 127.58, 125.86, 125.11, 124.88, 117.42, 104.92, 58.10, 52.80, 48.73, 27.88, 23.65.
【0126】
更に、一般式IIの本体構造を有するドーパミンD3受容体選択的リガンドは、以下の化合物から選ばれる1種である。
【0127】
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド (21i)
【0128】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.64 (s, 1H), 7.86 (dd, J = 7.9, 0.7 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.42-7.29 (m, 1H), 7.28-7.13 (m, 3H), 6.99-6.84 (m, 2H), 6.79 (s, 1H), 3.18 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 3.12-3.01 (m, 4H), 2.53-2.44 (m, 6H), 2.33 (s, 2H), 1.49 (s, 4H).
13C NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ 159.86, 153.78, 149.82, 149.00, 131.35, 128.55, 125.72, 122.55, 122.19, 121.29, 119.54, 116.70, 57.35, 52.55, 47.99, 27.37, 23.56.
【0129】
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド (21j)
【0130】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.79-7.68 (m, 2H), 7.45-7.34 (m, 1H), 7.30-7.19 (m, 2H), 7.19-7.02 (m, 2H), 6.93 (dd, J = 7.2, 2.4 Hz, 1H), 3.44 (s, 2H), 3.07 (s, 4H), 2.67 (s, 4H), 2.50 (s, 2H), 1.69 (d, J = 3.2 Hz, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 161.59, 154.68, 151.11, 133.98, 130.75, 127.42, 126.15, 124.58, 123.47, 121.26, 119.95, 118.57, 58.03, 53.24, 51.13, 40.07, 27.79, 24.06.
【0131】
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド (21k)
【0132】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73 (dd, J = 8.0, 1.3 Hz, 2H), 7.45-7.36 (m, 1H), 7.34 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.30-7.21 (m, 2H), 7.16 (dd, J = 8.6, 2.5 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 6.2 Hz, 2H), 3.03 (s, 4H), 2.64 (s, 4H), 2.48 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.81-1.53 (m, 4H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 161.59, 154.67, 149.26, 147.94, 130.78, 130.25, 129.36, 128.14, 127.57, 126.15, 123.48, 121.25, 121.07, 119.98, 58.04, 53.21, 51.07, 40.09, 27.81, 24.12.
【0133】
1-(ベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)ウレイド (21p)
【0134】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73 (dd, J = 8.0, 3.7 Hz, 2H), 7.46-7.22 (m, 3H), 7.14-6.96 (m, 3H), 3.44 (s, 2H), 3.35-3.19 (m, 4H), 2.76-2.58 (m, 4H), 2.51 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 1.69 (d, J = 3.4 Hz, 4H).
【0135】
生物活性試験を行うために、まず、対照化合物を合成する必要がある。
【0136】
0℃において、EDCI及びHOBTを1H-インドール-2-カルボン酸のDMF溶液に徐々に加え、4-アミノ-1ブタノールを滴下し、室温まで徐々に昇温し、撹拌して一晩置き、TLCで反応が完了したと検出した後、水を加えて分散し、酢酸エチルで抽出し、溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィー分離を行い、化合物29を取得した。ヒドロキシ化合物29は、メシラートまたは臭化物に活性化され、更に2,3-ジクロロフェニルピペラジン(または2,4-ジクロロフェニルピペラジン)と反応し、参照化合物31j及び31kを生成した。
【0137】
【0138】
N-(4-(4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-1H-インドール-2-カーボキシアミド (31j)
【0139】
化合物31jは無色固体であった。収率: 53%. 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.72-7.62 (m, 1H), 7.45 (dd, J = 8.3, 0.8 Hz, 1H), 7.27 (ddd, J = 8.2, 7.0, 1.1 Hz, 1H), 7.23-7.09 (m, 3H), 7.02 (s, 1H), 6.96 (dd, J = 7.6, 2.0 Hz, 1H), 3.48 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.10 (s, 4H), 2.72 (s, 4H), 2.52 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 1.78-1.60 (m, 4H).
13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 162.22, 150.62, 136.31, 133.84, 130.63, 127.38, 127.33, 127.26, 124.68, 124.08, 121.65, 120.18, 118.45, 111.79, 103.05, 57.83, 53.02, 50.60, 39.03, 27.06, 23.61.
【0140】
N-(4-(4-(2,4-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブチル)-1H-インドール-2-カーボキシアミド (31k)
【0141】
化合物31kは無色固体であった。収率: 54%. 1H NMR (600 MHz, CDCl3/CD3OD 8:1) δ 7.69-7.61 (m, 1H), 7.45 (dd, J = 8.3, 0.9 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.27 (ddd, J = 8.2, 7.0, 1.1 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.6, 2.5 Hz, 1H), 7.12 (ddd, J = 8.0, 7.0, 1.0 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.47 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.06 (s, 4H), 2.68 (s, 4H), 2.55-2.39 (m, 2H), 1.66 (dt, J = 11.8, 5.0 Hz, 4H). 13C NMR (151 MHz, CDCl3/CD3OD 8:1) δ 162.27, 147.40, 136.30, 130.56, 129.97, 129.10, 128.14, 127.39, 127.25, 123.93, 121.52, 120.89, 120.02, 111.69, 103.14, 57.82, 52.88, 50.44, 38.99, 27.03, 23.55.
【0142】
生物活性試験の過程及び結果は以下のとおりである。
【0143】
放射性リガンドの競合阻害性試験
【0144】
10%のウシ胎児血清、100単位のペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを含む新鮮なMEM培養基を用い、37℃、5%のCO2条件でヒト胚腎臓-293細胞を培養した。ポリアジリジンを用いてドーパミンD2受容体及びD3受容体のDNAプラスミドをそれぞれ細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションしてから4時間経た後、ウシ胎児血清を含む新鮮なMEM培養基を交換し、細胞を24時間培養し続けた。該細胞を24ウェルプレートに接種し、14~16時間培養し、または一晩培養した。培養基を廃棄した後、予冷した無血清MEMで細胞を潤湿洗浄し、放射性リガンド([3H]-スルピリド(sulpiride))及び異なる濃度の化合物を付着性細胞(adherent cells)に加え、4℃の温浴下で150分間インキュベートした。10mMのHEPESを含む予冷したMEMで細胞を3回潤湿洗浄し、結合していないリガンドを除去した。培養基を完全に除去した後、1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いて細胞を分解した。残留した放射性リガンドを液体シンチレーションカウンターで測定することで、結合した化合物の相対含有量を計算した。
【0145】
【0146】
【0147】
100nMのスクリーニングに基づき、好ましくは、D3R及びD2Rに対する親和性が大きく異なる化合物に対して、用量効果関係の研究を更に行い、化合物の対応するKi値を取得し、化合物アリールピペラジン-アリールウレイドはいずれも高いD3R親和性及び選択性を有する。ここで、8iのD3Rに対する選択性は10000倍以上であり、D3Rに対してnMレベルの親和性を有し、その最も常用の医薬的に許容される塩である塩酸塩も、高い選択性を有し、その同族体8hも、1924倍という非常に高い選択性を有し、多くの同族体または誘導体の選択性はいずれも100倍以上である。対照化合物31j及び31kと比べ、遊離のアルカロイドの形態で親和性が弱く、塩酸塩に調製されると、親和性が向上したが、D3Rに対する選択性はそれぞれ13倍及び59倍である。
【0148】
【0149】
化合物の固有機能性実験:ルシフェラーゼレポーター遺伝子試験
【0150】
ヒトのドーパミンD2、D3及びD4受容体の相補的DNAと、1つのCREによって転写制御されたルシフェラーゼレポーター遺伝子とを、ヒト胚腎臓-293細胞にトランスフェクションした。空の担体でトランスフェクションされた細胞を陰性対照とする。細胞を24ウェルプレートに接種し、2μMのホルスコリン及び異なる濃度の化合物を加え、キンピロールを加えたものを陽性対照群とする。4時間インキュベートした後、細胞分解液を用いて細胞を20分間分解してから遠心分離した。上清液を25μLのルシフェラーゼ基質と反応させ、デュアルルシフェラーゼレポーター担体キットを用いてルシフェラーゼの発現レベルを検出した。
【0151】
機能性試験において、化合物8iはD3Rの下流側シグナル経路を活性化し、キンピロールに類似する作用を果たし、D2R及びD3Rの下流側シグナル経路を不活性化した。そのため、機能選択的D3Rアゴニストであり、分子プローブまたはツール薬としてD3R、D2R、D4Rの生理学的分布、機能、その機能障害、及びドーパミン代謝障害に関連する疾患の研究に使用できる。
【0152】
神経精神病に対するD3受容体選択的リガンドの作用
【0153】
実験SDラットを実験群と対照群とにランダムに分け、行為検出を繰り返して回転行為がないと確認した後、実験を行った。実験群:ラットを、キシラジン(15mg/kg、腹腔内注射)とケタミン(100mg/kg、腹腔内注射)との混合物で麻酔した後、塩酸デシプラミン(25mg/kg、皮下注射)を用いてノルエピネフリン神経細胞を保護した。6μgの6-ヒドロキシドーパミンを2.3μLの0.9%の無菌生理食塩水に溶解し、脳部定位固定装置で脳の黒質(ブレグマを座標として、前後-5.4mm、内外±8.1mm、背腹-1.8mm)に0.5μL/minの速度で注射した。対照群に同等用量の0.9%の無菌生理食塩水を注射した。注射後に、注射器をラット体内に5分間留置し、針をゆっくり引き抜いた。ラットが蘇生した後、動物施設に入れて行動学的モデル評価を行い、6-ヒドロキシドーパミンが運動障害、情感/動機障害を誘導できるモデルの形成を確保する。中脳黒質のドーパミン損傷中に飢餓状態になりやすいため、20%のラットに高カロリーの食物を1~2週間投与した。19日後に、D3R選択的リガンドを3日間連続して腹腔内に注射し、19~20日目にロータロッドに適応させ、21~22日目にロータロッド試験を行った。
【0154】
ロータロッド実験において、D3R選択的アゴニスト8iは、6-ヒドロキシドーパミンによって誘導されたパーキンソン病ラットのロータロッド潜伏時間をある程度増加し、ラットの落下頻度を低減する作用を有し、8iの塩酸塩は、神経毒素である6-ヒドロキシドーパミンによって誘導される運動機能障害を著しく改善することができ、その作用は陽性対照薬であるアポモルフィンの作用に相当する。
【0155】
D3R選択的リガンドの溶解度試験
【0156】
【0157】
ただし、-は、化合物が不溶であるか、または完全に溶解できないことを表し、+は、化合物が完全に溶解できることを表す。
【0158】
【0159】
ただし、-は、化合物が不溶であるか、または完全に溶解できないことを表し、+は、化合物が完全に溶解できることを表す。
【0160】
以上の2つの表から、D3R選択的リガンド化合物8iが塩酸塩に調製されると、無水エタノールにおける溶解度は少なくとも1倍向上したことが分かった。
【0161】
【0162】
ただし、-は、化合物が不溶であるか、または完全に溶解できないことを表し、+は、化合物が完全に溶解できることを表す。
【0163】
以上の表から、D3R選択的リガンド化合物8iが塩酸塩に調製されると、水における溶解度は少なくとも12倍向上したことが分かった。
【0164】
以上の説明は本発明の1つの好ましい実施例に過ぎず、もちろん、これによって本発明の特許請求の範囲を限定することはできない。当業者は、上記実施例の全てまたは一部のフローを実現し、本発明の特許請求の範囲により行われる均等な変更も、発明に含まれる範囲に属することを理解できる。