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特許7017798ベルト角度制限装置、背負ベルト、背鐶、及びランドセル
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  • 特許-ベルト角度制限装置、背負ベルト、背鐶、及びランドセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ベルト角度制限装置、背負ベルト、背鐶、及びランドセル
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
A45F3/04 400C
A45F3/04 400J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020022172
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021126284
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2020-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000152664
【氏名又は名称】株式会社日乃本錠前
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-275166(JP,A)
【文献】実開平06-019539(JP,U)
【文献】実開昭58-026329(JP,U)
【文献】特開2001-242974(JP,A)
【文献】登録実用新案第3148308(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドセルの背負ベルトと背鐶の鐶との接続部に設けられるベルト角度制限装置であって、
前記接続部に外設される装置本体と、
前記装置本体から突出するキャップと、
前記キャップに当接されて前記キャップを前記背鐶の本体と前記鐶とを接続するアーム端部のスリーブへ当接状態に維持させる伸縮部と、を備えることを特徴とするベルト角度制限装置。
【請求項2】
前記装置本体は前記背負ベルトの表裏を外側から挟み込んで前記背負ベルトに固定される請求項1に記載のベルト角度制限装置。
【請求項3】
前記装置本体は前記背負ベルトの一面に固定される請求項1又は請求項2に記載のベルト角度制限装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト角度制限装置を備える背負ベルト。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト角度制限装置と、
前記スリーブが形成された前記アームと、
前記鐶と、を備える背鐶。
【請求項6】
前記スリーブには前記キャップの頭頂部を嵌め込む凹部が設けられる請求項5に記載の背鐶。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト角度制限装置を備えるランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ランドセルに設けられる背負ベルトの姿勢を維持するためのベルト角度制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ランドセルは、ランドセルの背板面の上端部から下端部に環状に取り付けられた左右一対の背負ベルトに使用者の腕が通されて両肩に掛けられる。背負ベルトの上端は、背板部分の上端部に面接触して固定された背鐶(セカン)に固定される。
近年では、背負ったランドセルが下方に垂れ下がり重く感じることを軽減するため、背負ベルトの上部が上方に若干立ち上げられるよう背鐶の構造を工夫したものが普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-214593号公報
【文献】特開2017-12349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背負ベルトの上端部を上方に立ち上げたまま保持する1つの方法として、背鐶の鐶を背板面に沿って上方に直立させた状態を保持すること挙げられる。
また、同時に、出荷時やロッカーへの収納時等、よりコンパクトにランドセルを収納するために、必要時には直立状態を解除して前後に傾倒可能であることも必要である。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、背負い時には背負ベルトの立ち上がり部の直立状態が維持され、必要時には前方又は後方に鐶の傾倒が可能なベルト角度制限装置、背負ベルト、背鐶及びランドセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るベルト角度制限装置は、ランドセルの背負ベルトと背鐶の鐶との接続部に設けられるベルト角度制限装置であって、前記接続部に外設される装置本体と、前記装置本体から突出するキャップと、前記背鐶の本体と前記鐶とを接続するアーム端部のスリーブへの前記キャップによる当接状態を維持させる伸縮部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、背負い時には背負ベルトの立ち上がり部の直立状態が維持され、必要時には前方又は後方に鐶の傾倒が可能なベルト角度制限装置、背負ベルト、背鐶及びランドセルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る制限装置を備えるランドセルを背板側からみた図。
図2】(A)第1実施形態に係るベルト角度制限装置周辺部を背負者の背中側からみた部分正面図、(B)同・ベルト角度制限装置周辺の側面図、(C)同・(B)のII-II線に沿って制限装置周辺部を切断して背負者の背中側からみた部分正面断面図、(D)同・(A)のI-I線に沿って制限装置周辺部を切断した側面断面図。
図3】(A)納品時のランドセルの収納態様を示す概略側面図、(B)背負ベルトをスリーブから背板に沿って直立させるベルト角度制限装置の図2(A)に図示のI―I線に沿った側面断面図、(C)背負ベルトをランドセル蓋側に掛け回したときの図2(A)に図示のI―I線に沿ったベルト角度制限装置の側面断面図。
図4】(A)ランドセルのロッカーへの収納態様を示す概略側面図、(B)ベルト角度制限装置を背板側に傾倒させたときのベルト角度制限装置の図2(A)に図示のI―I線に沿った側面断面図、(C)背負ベルトを前側に折り畳んだときの制限装置の側面断面図。
図5】(A)第1実施形態に係るベルト角度制限装置が適用可能な背鐶の変形例の正面図、(B)変形例のベルト角度制限装置が装着された背鐶の正面図。
図6】第1実施形態に係るベルト角度制限装置が適用可能な背鐶の第2の変形例を示す側面断面図。
図7】(A)第2実施形態に係るベルト角度制限装置であってキャップが縁部を越えた状態を示す側面断面図、(B)同・凹部内にキャップが嵌め込まれた状態を示す側面断面図。
図8】(A)第3実施形態に係るベルト角度制限装置周辺部を背負者の背中側からみた部分正面図、(B)同・冠側からみた部分裏面図、(C)同・側面からみた部分側面図、(D)同・側面からみた側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、以下の実施形態において、上下、左右、前後の表現は、使用者がランドセルを背中に担いだ状態を基準にしたものである。また、各図において、適宜、ランドセルの前方(つまり使用者の背中に接触する側)を矢印FW、後方(つまりランドセル本体側)を矢印BWでそれぞれ示す。なお、各図では、簡単のため、一部の構成を適宜省略する。
【0010】
[ランドセル100及び背鐶50の概説]
まず、図1を用いて、実施形態に係る制限装置10が装着されたランドセル100について概説する。
図1は実施形態に係る制限装置10を備えるランドセル100を背板12側からみた図である。
ランドセル100では、図1に示されるように、皮革製又は合成樹脂製等の有蓋有底角筒状のランドセル本体13の背板12上辺に冠(かぶせ)14の端辺が縫合される。冠14はランドセル本体13の開口部を覆って、ランドセル本体13の底部外面で施錠される。背板12の左右中心線C上の上部には、実施形態に係る背鐶50が配設される。背鐶50は、左右一対の背負ベルト15の各長手方向上端部を揺動可能に固定するものである。
【0011】
背鐶50は、正面形状がほぼ横長楕円状の合成樹脂製の背鐶本体部16と、この背鐶本体部16内に配設された左右一対のアーム18と、左右のアーム18それぞれに形成されたスリーブ19に軸支される鐶21と、アーム18相互の中間部でこれらアーム18の背後に配設されて学習机のフック等にランドセル100を吊持させる吊り鐶25と、を具備している。
【0012】
背鐶本体部16は、背板12の上部中央部に固定される有底偏平角筒形状を有するベース16b(図2(b))の正面開口部に、フロントカバー16aが合わさって構成される。フロントカバー16aの外面上部では、円弧板状の補強板24が背板12を挟み込んでリベット留めされて背鐶本体部16を補強している。ベース16bの開口縁部とフロントカバー16aとの突合部には、背鐶本体部16の上端側において左右一対のアーム挿入孔が設けられる。この左右一対のアーム挿入孔のそれぞれには、アーム18が挿入されて背鐶本体部16の内部で揺動可能に軸支される。
【0013】
アーム18は、外部に突出したその上端辺が筒状に丸められるように折り返される等によって、鐶21を通すスリーブ19を形成している。鐶21は、一本の金属棒が数か所で屈曲又は湾曲して全体として四角形又は三角形など閉じた図形状に成形される。鐶21は、下側の辺がスリーブ19内に通され前後に揺動可能にされ、上側の辺に背負ベルト15の端部が接続される。この背負ベルト15の端部には、ベルト角度制限装置(以下、単に「制限装置」という)20が取り付けられる。
【0014】
(第1実施形態)
次に、図2図4を用いて、第1実施形態に係る制限装置10を備える背鐶50について説明する。
図2(A)は第1実施形態に係る制限装置10周辺部を表側からみた部分正面図、図2(B)は図2(A)の制限装置10周辺部の側面図である。
なお、背鐶50において、背板12に接触する面を裏面、使用者の背中に向かい合う面を表面と呼ぶ。また、以下では「側面断面図」とは、図2(A)のI-I線に沿って切断したときの側面断面図を指す。
【0015】
背負ベルト15は、図2(A),(B)に示されるように、鐶21の一辺に掛けられて折り返されて合わせ縫われることで鐶21に接続される。鐶21が長方形に形成されている場合、背負ベルト15と鐶21との接続部は、スリーブ上端面19aに対向する。背負ベルト15には、制限装置10が、鐶21の一辺を背負ベルト15ごと前後から挟み込むように装着され、前後から背負ベルト15ごと貫通するリベット17で留められる。制限装置10は、スリーブ19と鐶21との接続部から対向するスリーブ19に向けて、装置本体11内部から突出するキャップ23によってスリーブ19に当接する。
【0016】
ここで、図2(C)は図2(B)のII-II線に沿って制限装置10周辺部を切断して表面側からみた部分正面断面図、図2(D)は図2(A)のI-I線に沿って制限装置10周辺部を切断した側面断面図である。
キャップ23は、図2(C)に示されるように、フランジ部分で装置本体11の内壁に掛けられて、平坦な頭頂面を有するその頭頂部が装置本体11の突出孔から突出する。装置本体11内部では、固定板26によって一端が固定されたバネ(伸縮部)27がキャップ23に当接されている。キャップ23は、このバネ27によって、スリーブ19に向けて弾性的に押し出されている。
【0017】
また、スリーブ19は、スリーブ上端面19aが平坦で、前後の両側面がこのスリーブ上端面19aに略直角に屈曲して下端部でアーチ形状を有して互いに接続されている。つまり、スリーブ19の左右の側面又は断状は、長方形の下端辺が下方に半円状に突出している形状を有している。このスリーブ上端面19aにキャップ23の平坦な頭頂面が押し当てられることで、制限装置10が背負ベルト15とともにスリーブ19から上方に直立する。
【0018】
制限装置10を前後傾けるためには、スリーブ上端面19aと前後の側面とで形成される角部でキャップ23をバネ力に反して装置本体11内部に押し込む力が必要になる。よって、バネ27によるこのバネ力が前後に制限装置10が傾倒することへの抗力になり、制限装置10は、スリーブ上端面19aから上方に直立する姿勢に維持される。
【0019】
また、図3(A)は、納品時のランドセル100の収納態様を示す図、図3(B)は、背負ベルト15を冠14側に回す前の制限装置10の側面断面図、図3(C)は、背負ベルト15を冠14側に掛け回したときの制限装置10の側面断面図である。
【0020】
ランドセル100は、例えば納品時に箱詰めされる際に、背負ベルト15に折り曲げ痕を付けずにコンパクトに収納する必要がある。そこで、一般的には、図3(A)に示されるように、背負ベルト15を冠14側に回して冠14の表面に沿わせて箱31に収納する。
【0021】
このとき、制限装置10が直立したままであると、冠14の湾曲に沿おうとする背負ベルト15が制限装置10との接続部周辺で急激に屈曲してしまう。よって、このような収納時には、制限装置10が冠14側にスリーブ上端面19a後傾することが求められる。
つまり、制限装置10は、背負い時には図3(B)に示されるような直立状態が好ましい一方で、背負ベルト15を冠14側に巻き回す際には、適度な力で冠14側に傾倒可能であることが望ましい。
【0022】
第1実施形態に係る制限装置10では、図3(C)に示されるように、バネ27のキャップ23を押し出そうとする復元力に逆らって制限装置10を冠14側に傾倒させようとすると、キャップ23が角部に押されて装置本体11内に押し込まれる。そして、制限装置10は回転して冠14側へ傾倒する。
【0023】
また、図4(A)は、ランドセル100のロッカー35への収納態様を示す図、図4(B)は、制限装置10を前側に傾倒させたときの制限装置10の側面断面図、図4(C)は、背負ベルト15を前側に折り畳んだときの制限装置10の側面断面図である。
【0024】
背負ベルト15は、図4(A)に示されるようなランドセル100のロッカー35への収納時又は床面への横倒し置きの際等に、背板12の下敷きになる。このとき、制限装置10がスリーブ上端面19aから直立したままであると、背負ベルト15が折れ曲がり背負ベルト15を傷めてしまう。よって、制限装置10に所定以上の力を加えた際には、背板12側に前傾可能であることが好ましい。
【0025】
第1実施形態に係る制限装置10は、後傾させる場合と同様に、一定以上の力で前傾させようとすることで、図4(B)に示されるように、前傾可能である。つまり、一定以上の力でキャップ23がスリーブ上端面19aと前側の側面との角部で装置本体11内に押し込まれる。この角部を超えて制限装置10が前傾すると、図4(C)に示されるようにキャップ23は少し突出を取り戻し、制限装置10は軽い力で前方から下方に向けて回転する。制限装置10は、スリーブ19の下面である半円部分に沿って回転し、制限装置10ごと背板12の下敷きになることができる。
【0026】
次に、図5(A),(B)及び図6を用いて、第1実施形態に係る制限装置10及びアーム18の変形例について説明する。
アーム18の形状、制限装置10の形状、及びこれらの配置関係は、図2に示した例に限定されない。既知のランドセルには多様な背鐶形状又はベルト形状が用いられている。よって、ランドセルの背負いやすさや、既存部品の形状を考慮し、これら制限装置10の形状等には当然に多少の変形が加えられうる。
【0027】
例えば、図5(A)は、制限装置10が適用可能な変形例に係る背鐶50aの正面図である。
背鐶50aの左右のアーム18aは、図5(A)に示されるように、それぞれ左右外側に向けて屈曲していてもよい。このように左右のアーム18aがそれぞれ外側に屈曲することで、左右のスリーブ上端面19aが左右外側を向き、左右の背負ベルト15が左右外側に膨らむようにランドセル100に接続されることになる。
【0028】
また、図5(B)は、変形例の制限装置10aが装着された背鐶50の正面図である。
図5(B)に示されるように、アーム18及びこのアーム18のスリーブ19は、左右中心線Cに平行に延び、背負ベルト15a及び装置本体11aを左右外側に向けて屈曲させてもよい。この場合も、制限装置10aの機能を維持したまま、背負ベルト15aは左右外側に膨らませることができる。
【0029】
また、図6は、制限装置10が適用可能な第2の変形例に係る背鐶50bを示す側面断面図である。
背鐶50bのアーム18は、図6に示されるように、スリーブ19Aのスリーブ上端面19bが予め前方に傾斜していてもよい。この場合、背負ベルト15はアーム18との当接部分において前傾することになる。
なお、図2(D)又は図6等のスリーブ19の断面形状は一例であり、キャップ23の弾性を有した当接により背負ベルト15の回転を制限可能な形状であれば自由にこの断面形状を設計できる。
【0030】
以上のように、第1実施形態に係る制限装置10によれば、ランドセル100の背負い時には背負ベルト15の端部を背板12面に沿った直立状態に維持することができる。一方、収納時等の必要時には背負ベルト15の端部を前傾又は後傾させることができる。
よって、収納時又は伏せ置き時に背負ベルト15に折り曲げ負荷をかけずに、ランドセル100の背負い時には軽い体感で使用者の負担を軽減することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図7(A),(B)は、第2実施形態に係る制限装置10周辺部の側面断面図である。
図7(A)は、制限装置10のキャップ23が縁部32を越えた状態を示す側面断面図、図7(B)は、縁部32内にキャップ23が嵌め込まれた状態を示す側面断面図である。
【0032】
第2実施形態に係る制限装置10は、図7(A),(B)に示されるように、スリーブ上端面19aにキャップ23を保持するための縁部32が形成される。
第2実施形態では、縁部32がスリーブ上端面19aの前後端部又は四方に形成されて、キャップ23を嵌め込む凹部33が形成されたとみることもできる。
【0033】
例えば、バネ27の弾性力が不十分であると、キャップ23は容易に装置本体11に押し込まれ、僅かな衝撃で制限装置10がスリーブ上端面19aから外れて前傾又は後傾してしまう。そこで、スリーブ上端面19aに凹部33を設けて、キャップ23のスリーブ上端面19aからの外れやすさを調整することができる。スリーブ上端面19aからのキャップ23の外れやすさは、縁部32の高さを調整することで容易に調整することができる。
なお、縁部32はスリーブ上端面19aの前端又は後端のいずれかのみであってもよい。
【0034】
なお、スリーブ上端面19aに縁部32を設けること以外は、第2実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0035】
このように、第2実施形態に係る制限装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、背負ベルト15の直立状態の維持具合を調節することができる。
【0036】
(第3実施形態)
図8(A)~(D)は、第3実施形態に係る制限装置10b周辺部の概略構成図である。
図8(A)は制限装置10b周辺部を表側からみた部分正面図、図8(B)は制限装置10b周辺部を裏側からみた部分裏面図、図8(C)は制限装置10b周辺部を側面からみた部分側面図、図8(D)は、図8(C)の背鐶50周辺部分の側面断面図である。
【0037】
第3実施形態に係る制限装置10bは、制限装置10bが背負ベルト15を前後に挟み込まずに取り付けられる。
例えば、制限装置10bは、図8(A)~(D)に示されるように、背負ベルト15の片面に取り付けられる。
【0038】
ランドセル100の背板12側、特に背負ベルト15と鐶21の接続部周辺は、使用者の視野に入りやすい領域である。この領域に使用者の目に入りやすい態様で制限装置10bを取り付けると、煩雑で機械的な印象を与えることがある。また、鐶21の上辺と下辺との距離が短い設計の場合には、制限装置10bを第1実施形態のように取り付けることが困難になることがある。また、例えば、背負ベルト15をより背板12側に配置させて使用者の背中へ積極的に密着させる等、他の理由で第1実施形態等とは異なる取り付け態様が求められることがある。
【0039】
そこで、第3実施形態では、背負ベルト15の鐶21への通し部分を装置本体11で挟み込むのに代えて、図8(A)~(D)に示されるように、背負ベルト15の一面に取り付ける。
制限装置10bは、図8(B)に示されるように、リベット孔を有する取付板11b(11)に、バネ27を収納するボックス形状の装置本体11c(11)が一体形成されて構成される。制限装置10bを冠14側に設けると、図8(A)に示されるように、背板12側からランドセル100を見た場合に制限装置10bの装着感が軽減される。また、第3実施形態に係る制限装置10bでは、制限装置10bの装着を想定していなかった既成のランドセル100にも、リベット17等による後付けで装着することができる。
【0040】
なお、図8(A)~(D)では、装置本体11cは背負ベルト15の冠14側の一面に取り付けられているが、制限装置10bは背板12側の一面に取り付けられてもよい。また、設計によっては左右の側面又は鐶21に装置本体11cが設けられる等、キャップ23をスリーブ19に当接することで背負ベルト15の動きを制限するものであればその取り付け態様は限定されない。
【0041】
なお、制限装置10bが背負ベルト15を前後に挟み込まずに取り付けられること以外は、第3実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0042】
このように、第3実施形態に係る制限装置10bによれば、背負ベルト15を前後で挟み込む取り付け態様が好ましくない場合であっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0043】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の制限装置10によれば、鐶21の回転の容易さを制限することで、背負い時には背負ベルト15の立ち上がり部の直立状態が維持され、必要時には前方又は後方に鐶21の傾倒が可能になる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0045】
例えば、バネは装置本体の内部に設けたが、キャップにスリーブに向かって突出させる弾性力を付与することができれば、その態様は限定されない。
【符号の説明】
【0046】
100…ランドセル、50(50b,50a)…背鐶、10(10a)…制限装置、10b…制限装置、11(11a,11b,11c)…装置本体、11b…取付板、12…背板、13…ランドセル本体、14…冠、15(15a)…背負ベルト、16(16a,16b)…背鐶本体部(フロントカバー,ベース)、17…リベット、18(18a)…アーム、19…スリーブ、19a…スリーブ上端面、19b…スリーブ上端面、21…鐶、23…キャップ、24…補強板、25…吊り鐶、26…固定板、27…バネ(伸縮部)、31…箱、32…縁部、33…凹部、35…ロッカー、C…左右中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8