(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】水上監視システム
(51)【国際特許分類】
B63B 49/00 20060101AFI20220202BHJP
B63C 9/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B63B49/00 Z
B63C9/02
(21)【出願番号】P 2021123477
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2021116324の分割
【原出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521034111
【氏名又は名称】一般社団法人日本マルチコプター協会
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 政宣
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0340006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0180741(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108545161(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106774355(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103634570(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 49/00
B63C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーと、マイクと、カメラを装備可能
で、かつ、操縦者が乗船して水上を航行可能な水上モビリティと、前記カメラから送信される映像信号を受信して表示部に表示するレシーバーと
、が通信する水上監視システムであって、
無人状態の前記水上モビリティの所作を制御するRCコントローラ
を備え、
前記レシーバーは、
前記カメラから送信される水上映像を受信することに応じて、前記表示部の表示モードを監視モードに切り替え、前記カメラから送信される水上映像と、水上での救護活動を支援する情報とを前記表示部に表示させる表示制御手段を備え、
前記水上モビリティは、
パイロットが前記表示部に表示される水上映像を視聴しながら、操作する前記RCコントローラから送信される所作信号を受信することに応じて前記水上モビリティの
水上航行を制御する制御手段と、
を備え、
前記水上モビリティはエンジンを停止した状態において、前記カメラが撮影する水上映像および前記マイクが集音する水上音を前記レシーバーに送信し、かつ、前記レシーバーから受信する音声を前記スピーカーから拡声することを特徴とする水上監視システム。
【請求項2】
前記水上モビリティにおいて、
前記制御手段は、前記RCコントローラから受信する投入指示に基づき、
救護者に対する救護を支援する救援材を水上に投入する投入部を制御することを特徴とする請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記投入部を制御して前記救援材として浮具、食料、保温シートのいずれか1つを順次前記水上に投入可能とすることを特徴とする請求項2に記載の水上監視システム。
【請求項4】
前記水上モビリティは、
異なる映像方式で水上を撮影する複数台のカメラを所定位置に装備可能とすることを特徴とする請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項5】
前記カメラのいずれか1つは、CCDカメラで構成したことを特徴とする請求項4に記載に記載の水上監視システム。
【請求項6】
前記カメラのいずれか1つは、赤外線カメラで構成したことを特徴とする請求項4に記載に記載の水上監視システム。
【請求項7】
前記カメラのいずれか1つは、全方位カメラで構成したことを特徴とする請求項4に記載に記載の水上監視システム。
【請求項8】
前記レシーバーが受信する映像を前記パイロットが装着するゴーグルが備えるスクリーンに出力する手段を備える請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項9】
前記支援する情報は、前記水上モビリティの位置情報、水温情報、気象情報、搭載される救援材の種別を含むことを特徴とする請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項10】
前記水上モビリティと、前記RCコントローラとの間で音声による通信を確立する確立手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項11】
前記RCコントローラは、前記水上モビリティとの通信モードを切り替え制御することを請求項1に記載の水上監視システム。
【請求項12】
前記RCコントローラは、音声会話通信時に、前記水上モビリティとの通信モードを5.8GHz帯から2.4GHz帯に切り替え制御することを請求項11に記載の水上監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な性能のカメラ等を搭載する水上モビリティをRCコントローラ等で遠隔操作、操縦することにより、当該カメラ等から映像や画像を遠方のレシーバーに無線転送し、該レシーバーが受信した映像等を様々なモニタ等を利用し確認することによって、水上(海・川・湖・沼・貯水ダム)での救援活動を支援する水上監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本は略全土が海に囲まれ、海辺や、海岸線から1海里程度の水域では、多種多様な海難事故も多発している。このような状況で、救助指令を受けて初動する機関は、海上保安庁の巡視船等である。また、当該巡視船に民間の漁船、プレジャーボートが加わって事故当事者を迅速に救出するシステムが確立している。
ここで、プレジャーボートよりも小型の船舶として、水上バイクあるいは水上バイクと呼ばれる特殊小型船舶が注目を浴びている。
この水上バイクや水上バイクを操縦するためには、特殊小型船舶操縦士の資格を取得する必要がある。
【0003】
現在、1つの海難事故が発生した場合における一連の救助の一例を示すと、救助要請を無線あるいは有線で受信し、海上保安庁への通報、通報を受けた海上保安庁から近海を移動中の巡視船への救助指令の発出、現場周辺の捜索、救助を行い、病院搬送等がある。
【0004】
一方、日中、有視界状況の下で、被救助者を救助するものとして、下記特許文献1が開示されている。この技術によれば、救助員の乗り込んだ救助船が近づくことのできない場所や悪天候・悪条件下においても、被救助者を迅速且つ安全に救助することができ、救助者が二次災害に遭う虞のない、被救助者の救助を可能にすると開示されている。
また、GPSの機能を備える救助艇が下記特許文献2に提案されている。
【0005】
この特許文献2によれば、海難事故等における救護者の救助を行なう救助システムにおいて、より短時間にかつ効率的に救助活動を支援するため、GPS受信機によって算出された救護者の絶対位置は、緊急の場合に無線送信機を通じて救助システム処理装置に対して送信される。
救護者の位置を受信した処理装置は、直ちに周辺に位置している、予め登録されている救助艇のうちから最も救護者に近い救助艇を自動的に選択し、救護者までの方位・距離を情報として自動送信し、発進指令を出す。発進指令を受けた救助艇は、自動的に救護者に向かって航行を開始し、救助システム処理装置によって目的地まで誘導することが記載されている。
【0006】
さらに、船舶(各種作業船・救助艇等)の沖作業、又は出入港時、或いは荒天時の救助活動等に、有人作業艇(船舶付属のボート)が使えない場合、或いはこれと併用して使用する場合等に、本船(或いは有人作業艇)上よりコントロール可能に作られたRCボートで、外洋において波浪の高い時に本体が波をかぶっても、或いは本体が急傾斜(横転)しても直ちに復元出来、エンジンストップもなく、急傾斜時のエンジンの吸・排気を可能とした全天候型のラジオコントロール無人作業艇(RCボート)が下記特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-62279号公報
【文献】特開平9-304506号公報
【文献】特開昭61-257396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、GPS機能を利用して海難事故に伴う救護者を救助するためには、相当の人員を確保して、かつ、大規模なシステムを利用しないと救護者を迅速に救助できない場合が多い。
【0009】
しかも、救護者のための救助活動は、日中、救助者が有視界の範囲の救助活動に限定されており、海水温が低い、夜中に海難事故が発生した場合には、有効な救助活動を行うことができず、迅速な救助が間に合わず尊い人命が失われてしまう場合もあった。
【0010】
また、RCの救助艇は、本船(或いは有人作業艇)上よりコントロール可能に作られたRCボートであって、あくまでもプロポを操縦する操縦者が海難現場まで移動し、日中、救助者が有視界の範囲の救助活動に限定されており、上述した課題は解決される可能性が低いと考えられる。
さらに、現存のFPVドローンには、音声を収音してレシーバーに転送する機能を備えたものは実用化されていない。
このため、FPVドローンのカメラを水上モビリティに搭載しただけでは、水上の周辺音声はPCコントローラを操作するパイロットには電送されない。
このため、水上で教護を待つ救護者と上記パイロットが双方に音声会話通信を行う環境が整備されていない。
これにより、救護者の現状を本人からリアルタイムで聞き出すことはできず救護活動が円滑に進まず、医療班への準備も損なわれてしまう事態があった。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、水上モビリティに装備するカメラから送信される映像と救護者に必要な情報をレシーバーが備える表示部に表示することで、水上で救護を待つ救護者の状態を視聴しながら、水上モビリティの近辺で待機する救護者に対する救護活動を確実に支援できる救護システムを構築できる。
また、本発明のさらなる目的は、水上モビリティと、RCコントローラとの間で音声による相互通信環境を整備することにより、救護者と救助者とがリアルタイムに音声会話できる救護システムを構築できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る水上監視システムは、スピーカーと、マイクと、カメラを装備可能で、かつ、操縦者が乗船して水上を航行可能な水上モビリティと、前記カメラから送信される映像信号を受信して表示部に表示するレシーバーと、が通信する水上監視システムであって、無人状態の前記水上モビリティの所作を制御するRCコントローラを備え、前記レシーバーは、前記カメラから送信される水上映像を受信することに応じて、前記表示部の表示モードを監視モードに切り替え、前記カメラから送信される水上映像と、水上での救護活動を支援する情報とを前記表示部に表示させる表示制御手段を備え、前記水上モビリティは、パイロットが前記表示部に表示される水上映像を視聴しながら、操作する前記RCコントローラから送信される所作信号を受信することに応じて前記水上モビリティの水上航行を制御する制御手段と、を備え、前記水上モビリティはエンジンを停止した状態において、前記カメラが撮影する水上映像および前記マイクが集音する水上音を前記レシーバーに送信し、かつ、前記レシーバーから受信する音声を前記スピーカーから拡声することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水上モビリティに装備するカメラから送信される映像と救護者に必要な情報をレシーバーが備える表示部に表示することで、水上で救護を待つ救護者の状態を視聴しながら、水上モビリティの近辺で待機する救護者に対する救護活動を確実に支援する救護システムを構築できる。
また、水上モビリティと、RCコントローラとの間で音声による相互通信環境を整備することにより、救護者と救助者とがリアルタイムに音声会話できる救護システムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】水上監視システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態を示す水上監視システムの制御方法を説明するフローチャートである。
【
図4】水上監視システムの一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態を示す水上監視システムの制御方法を説明するフローチャートである。
【
図6】本実施形態を示す水上監視システムの構成を示す図である。
【
図7】本実施形態を示す水上監視システムの構成を示す図である。
【
図8】本実施形態を示す水上監視システムに適用するその他の水上モビリティの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す水上モビリティとFPVシステムの構成を示す図である。本実施形態において、水上とは、海・川・湖・沼・貯水ダム等が含まれ、さらに、河川が氾濫して低い土地全体が浸水するような水害地域も含まれる。また、水上モビリティには、多様な性能のカメラを搭載可能であり、搭載されたカメラは、映像としての動画情報、静止画としての画像情報を後述するレシーバーに送信可能に構成されている。
【0016】
また、本実施形態では、水上で救護を待つ救護者に対するリアルな救護活動を例として説明するが、救護活動のための訓練、点検、予防にも本システムを適用可能であることはいうまでもない。
【0017】
本例は、水上モビリティ100として水上バイクを例として説明するが、水上モビリティ100は水上バイクに限定されるものではなく、RC(ラジオコントロール)コントローラで操縦制御可能な水上モビリティであれば本発明を適用可能である。
なお、水上バイクは、無人専用とせず、通常の使用においては、操縦免許を有するパイロットが操縦する有人水上モビリティとしても併用可能に構成されていてもよい。
さらに、水上モビリティ100には装備できるオプション機器として設けられており、例えば有人操縦の際、インターネット通信する機能と、インターネットでダウンロードする画像(YouTube(登録商標))を表示するモニタ機能を装備することも可能である。また、水上モビリティ100には装備できるオプション機器には、魚群探知機や水中での救護者の捜索する水中カメラが含まれる。その際、水中カメラの映像は、本実施形態におけるレシーバーに送信され、パイロットが水中映像を確認することも可能である。また、水中映像を撮影する際、水中ライトを点灯できるように構成してもよい。
また、本例では、RC(ラジオコントロール)を操作して水上モビリティ100を操縦する場合を示すが、スティック型のコントローラで操縦可能とする構成であってもよい。
【0018】
その際、有人水上モビリティは、後述する音声通信を確立するための手段として機能するマイク104やスピーカー105、カメラ101等を着脱自在に構成されるものとする。また、水上モビリティ100には、後述する救急救護活動中であることを周囲に明示するための赤色灯、サーチライトとして機能させるための照明灯、さらに後述する救護活動に必要な救援材としての浮具等が装備されているものとする。
【0019】
また、水上モビリティ100の船底部には収容部が設けられ、簡単な操作(RCコントローラ200から指示する)で救命具(浮具(発砲ウレタンかエアーバー等))を収容部から取り出して使用することが可能に構成されている。
【0020】
したがって、救護者が自らの体力で水上モビリティ100に乗り移ることが困難な場合でも、後述するように水上モビリティ100から水上に投入される浮具を身に着けて水上で救護を待つことも可能である。なお、水上モビリティ100の図示しないアクチュエータは、救護者を救命するための浮具、食料、保温シートのいずれか1つを順次あるいは選択的に水上に投入可能に構成されている。
【0021】
また、本実施形態を適用する水上モビリティ100は複数のカメラを装備可能であって、CCDカメラ101a、赤外線カメラ101bと、CCDカメラ101c、赤外線カメラ101dと、全方位カメラ101eを船体の所定位置に配置される。
【0022】
ここで、レシーバー300は、CCDカメラ101a、赤外線カメラ101bと、CCDカメラカメラ101c、赤外線カメラ101dから送信される複数の第1の画像情報、複数の第2の画像情報、全方位カメラ101eから送信される第3の画像情報を受信するレシーバー機能を備える。RCコントローラ20は、後述するスティックバーの操作指示に基づいて、水上モビリティ100の進行方向を制御する。
また、本実施形態において、水上モビリティ100を無人で操縦する手法として、パイロットが水上モビリティ100を目視した状態でRCコントローラ20を操作する第1の操縦方式と、パイロットが水上モビリティ100のカメラから送信される映像をレシーバー300で受信し、該レシーバー300に接続される表示デバイスの画面を視ながらRCコントローラ20を操作する第2の操縦方式と、レシーバー300をゴーグル一体型で構成し、該ゴーグルを装着し、該ゴーグルに設けるスクリーンを視ながらRCコントローラ20を操作する第3の操縦方式と、があり、救護状況に適応していずれかの操縦方式を選択することができる。また、これらの操縦方式を組み合わせて水上モビリティ100を操縦することも可能である。つまり、本発明は、複数台の水上モビリティ100を複数のパイロットが操縦して救護活動を行うシステムにも適用可能である。
【0023】
なお、本実施形態に示す水上モビリティ100は、上述した複数のカメラをすべて装備する必要はなく、適宜オプションとして複数のカメラを組み合わせた水上監視システムを自在に構築できるものとする。以下、レシーバー350はカメラから受信する水上の映像と救護支援に必要な情報(救護装備材の情報(浮具のサイズを含む)を含む、照明灯、赤色灯の装備、音声会話を確立する装備(マイク、スピーカー)情報)、水温情報)を表示部に表示するシステムとしてもよい。
したがって、レシーバー350を利用するシステムの場合、水上モビリティ100のカメラは、撮影した水上の映像信号をVTX送信部120、アンテナ121を介してレシーバー350に送信する。そして、レシーバー350は、水上のカメラ100が撮像した映像信号を、受信アンテナ356を介して受信し、受信した映像信号を接続されるパーソナルコンピュータ、タブレット、もしくはスマフォの画面に表示させることで、パイロットが水上の救護活動を視認することができる。
【0024】
また、すべてのカメラを装備するシステムの場合、レシーバー350のコントローラ355は、CCDカメラ101a、赤外線カメラ101bと、CCDカメラ101c、赤外線カメラ101dと、全方位カメラ101eが撮像する第1~第3の映像信号を受信して、表示部としてのスクリーン部305に投影表示するようにコントローラ355が表示制御を行う。
【0025】
さらに、レシーバー300のコントローラ355は、CCDカメラ101a、赤外線カメラ101bと、CCDカメラ101c、赤外線カメラ101dと、全方位カメラ101eから送信される各映像信号を切り替えるための切替手段としてのスイッチング(図示しない)ボタンを備え、パイロットは、当該スイッチングボタンを選択することで、スクリーン部305に表示する各カメラから送信されている各映像信号を動的に切り替えることができるように構成されている。
なお、切替えモードを備える場合は、一定の順序、且つ設定された時間間隔で各カメラから送信されている各映像信号をサイクリックに切り替える構成を備えていてもよい。
以下、水上モビリティ100は、カメラ101としてCCDカメラ1台を搭載するシステム例を説明する。なお、水上は、海上とする例を説明する。
【0026】
図1において、水上モビリティ100は、上述したように有人が乗船して操縦することも可能であるが、水上モビリティ100が無人の場合、RCコントローラ200から送信される操縦信号を受信することで、エンジンスタート、エンジンストップ、ハンドル操作、並びに後述する音声発声、音声受信する機能を実行させることができる。105はスピーカー(拡声器)で、船体の両側あるいは片側の所定位置に着脱自在に取り付けられている。
【0027】
104はマイク(集音器)で、スピーカー105と一体として設けられ、水上モビリティ100の周辺から集音できる外周音や撮像した画像信号をデジタル信号に変換して後述するレシーバー350に送信する。これにより、パイロットは、RCコントローラ200に接続されるスピーカー252で海上の水上モビリティ100が装備するマイク104が集音した周辺音声を可聴可能となる。
【0028】
また、パイロットの音声は、マイク251を介して集音した後、RCコントローラ200が特定のチャンネルを選択してデジタル音声信号として水上モビリティ100に送信される。これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、受信した音声情報をアナログ信号に処理した後、水上モビリティ100のスピーカー105から拡声した音声として出力させる。ここで、スピーカー105は、水上で使用することを想定して、進行方向に対して海水を被らないよう方向を調整できるように構成されている。スピーカー105は、横波による海水を被らないよう方向を調整できるように構成されている。また、マイク251が水中マイク機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0029】
さらに、音声処理部107がメモリを備える場合には、あらかじめ録音された救護活動に適する音声メッセージを記憶し、RCコントローラ200からの選択信号に基づいて、スピーカー105より自動音声を発出することも可能である。これにより、後述する他の実施形態では、その用途に応じた注意または警告するメッセージをスピーカー105より自動音声を発出することも可能である。
【0030】
また、マイク104も水上で使用することを想定して、風や雨による影響を最小限とするようにフードが被せてある。また、水上では波の揺れの影響を受けるので集音特性が歪み込む場合もあるため、音声処理部107により特定周波数の雑音をカットすることで鮮明な集音を可能としている。
【0031】
このように、パイロットと水上で救護を待つ救護者とは相互に音声通信可能であるため、カメラ映像を受信するレシーバー350の機能を搭載するゴーグルを装着するパイロットの場合は、水上で救助を待つ救護者と直接会話するとともに、リアル映像を視覚的に確認しながら、救護者の現在の状態、例えば怪我の程度や衰弱度等を的確に判断することができる。
【0032】
なお、
図1では、レシーバー350の一例として、パイロットが装着可能なゴーグル型のレシーバーを示し、パイロットがゴーグルを装着するための調整バンドやスイッチャーボタン等は省略してある。また、以下の説明では、レシーバー350は、水上モビリティ100から送信される映像や画像を接続される表示デバイスに表示する場合を説明する。すなわち、本発明のシステムにおいて水上モビリティから送信される動画映像、静止画像を受信するデバイスとしてのレシーバーは、いわゆるFPVゴーグルに限られるものではない。したがって、レシーバー本体と接続される表示デバイスがスマフォやPADデバイスを採用することも可能である。これにより、水上モビリティに搭載される多様なカメラから送信される動画、静止画をスマフォやPADデバイスの表示デバイスに表示させることができる。
【0033】
ここで、FPV用のカメラとして、CCDカメラで構成されるカメラ101は、一人称視点映像を取得し、所定の映像信号に変換する。
FPV用のカメラ搭載するカメラ101は、水上モビリティ100の船首近傍の所定位置に設置する。
【0034】
FPV用のカメラを搭載する水上モビリティ100は、レシーバー350と連携するモーションデバイス(図示しない)またはモーションセンサが検出するパイロットの視点移動に追従して各レンズの姿勢位置を上下左右に位置決め制御できる構成を採用してもよい。
【0035】
すなわち、コントローラ部106はレシーバー350が、一例としてゴーグルで構成される場合、各カメラ101の撮影方位をパイロットの視点移動に伴い自在調整する撮影制御を実行可能としてもよい。
【0036】
なお、レシーバー350に接続される表示デバイスには、レシーバー350が受信する映像信号の他に付加的な情報を合成表示することも可能に構成されている。
本実施形態では、水上モビリティ100と搭載するカメラ101とでFPVマシンを構成し、GPS、FPVモジュールと合わせると、FPVマシンの緯度、経度、速度、高度、進行方位などをレシーバー350の画面上で合成表示することも可能である。
【0037】
水上モビリティ100は、搭載するカメラ101が生成する映像信号または赤外線映像をレシーバー350が備える映像受信機(VRX)へ電波、例えば5.8GHzのデジタル信号で送信する。
【0038】
なお、カメラ101が5.8Ghz帯を使用する場合、個人用途では「アマチュア無線4級」以上の資格(ビジネス用途では「第三級陸上特殊無線技士」以上)が必要である。
【0039】
図2は、本実施形態を示す水上監視システムの一例を示すブロック図である。
本例は、カメラ101を装備可能な水上モビリティと、カメラ101から送信される映像信号を受信して表示部に表示するレシーバー350と、水上モビリティ100の所作を制御するRCコントローラ200と、が通信する水上監視システムを例とする。
ここで、所作とは、水上モビリティ100の進行方向を制御すること、水上モビリティ100のエンジンを制御すること、水上モビリティ100に装備される装備材を水上への投入を制御すること、水上モビリティ100に装備されるマイクやスピーカーの駆動を制御すること、水上モビリティ100に装備される赤色灯、照明灯等の点灯を制御すること、水上モビリティ100に装備されるカメラの映像モードを切り替え制御すること等が含まれる。
【0040】
ここで、本実施形態におけるFPV(First Person View)システムは、水上モビリティ100が備えるズーム機能付きのカメラ101が撮像する映像信号をレシーバー350が受信し、レシーバー350に接続される表示部351に水上の様子を映し出しながら、パイロットがRCコントローラ200を操縦することで、あたかもパイロットが水上モビリティ100に乗って操縦しているが如く、水上警戒作業を行うシステム例である。
【0041】
また、RCコントローラ200は、マイク251、スピーカー252を外部接続可能で、水上モビリティ100との間で無線通信することで、水上モビリティ100に装備するマイク104、スピーカー105を使用して相互に音声と相互にやり取りすることも可能に構成されている。ここで、音声には、救護者の肉声が含まれる。
なお、RCコントローラ200は、Bluetooth通信機能を備えるため、RCコントローラ200の近傍にパイロット以外の救援者、例えば救命士、医者も海上で救護を待つ遭難者と割り込み的に音声会話を行うことができる。これにより、可及的速やかに適正な救護活動を支援できる。
【0042】
なお、表示部351は、レシーバー350に装着可能な例を示すが、表示デバイスとして、所定のOSがインストールされたパッドデバイスであって、無線通信する機能を備えるデバイスであれば、ゴーグルに装備されるようなスクリーンに限定されるものではない。
なお、表示部351には、水上での救護活動を支援する情報、気象の情報、カメラが撮影している水上の正確な位置情報(GPSまたはRTK)、救援材の種別等の情報を表示する。これにより、パイロットが救護者の救護活動を的確にサポートすることができる。
【0043】
なお、カメラ101は、パイロットが操作するモーションデバイスや、レシーバー350に接続されるモーションセンサに基づいて、撮像方向や撮像角度を切り替えることも可能である。
これにより、パイロットは、カメラ101の映像を視認しながら、海面で救助を待つ救護者を捜索できるように構成されている。また、カメラ101で採用される転送速度は、後述する2通りの周波数帯を利用可能に構成されるものとする。
【0044】
また、カメラ101は、水上モビリティ100の船首位置周辺に設けられ、船首よりも前方の視界領域を撮像する。
【0045】
1つ目の使用可能な周波数帯は、5.8GHzとし、遅延のない映像および音声のやり取りを行う。ただし、当該5.8GHzを使用して無線通信するためには、操作者(操縦者(パイロット))は、国家資格である第3級特殊陸上無線技士以上の資格者であることが前提となる。
2つ目の使用可能な周波数帯は、総務省に免許申請が必要とされない2.4ギガHzとし映像および音声のやり取りを行う。
【0046】
したがって、2.4GHz帯を使用するカメラの場合は、市販されるCCDカメラやハンディーカメラでカメラ101を構成することが可能である。
なお、本実施形態において、2つの異なる周波数を選択的に切り替え制御するように構成してもよい。
これにより、2.4GHz帯をRCコントローラ200と水上モビリティ100との間で音声通信を確立するために専有させることで、RCコントローラ200側の通信制御負担を軽減し、確実に音声通信チャンネルを確立して音声会話通信を優先させることができる。その際、RCコントローラ200は、音声通信と水上モビリティ100の制御とを一時的にあるいは間欠的に音声通信チャンネルを優先通信するように切り替え制御する構成としてもよい。
〔水上モビリティの構成〕
【0047】
図2に示す水上モビリティ100において、102aはGPS(Global Positioning System)に基づいて測位処理を行う第1の測位処理部で、水上モビリティ100の現在位置を衛星からの位置特定信号を受信することで、現在位置を測位可能に構成されている。なお、レシーバー350はゴーグルを例とする。
【0048】
102bはリアルタイムキネマティック(Real Time Kinematic)に基づいて測位処理を行う第2の測位処理部で、固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術で、2つの受信機の間で情報をやりとりしてズレを補正することで、単独測位よりも精度の高い位置情報を得ることができるように構成されている。以下、レシーバー350の機能を備えるゴーグルを装着するパイロットがRCコントローラ200を操作して水上モビリティ100による水上救護例を説明する。
【0049】
また、本実施形態では、アンテナ103を備える水上モビリティ100を衛星や通信のRTK本体に対して中継局あるいは基地局としての機能を持たせることで、水上モビリティ100に設ける複数のカメラが撮像する種別の異なる映像信号を、VTX送信部120、アンテナ121を介してレシーバー350が受信して接続される表示部351に表示させることができる。
【0050】
103は送受信アンテナで、例えば5.8GHZのデジタル信号をレシーバー350と水上モビリティ100との間で相互に送受信可能に構成される。また、音声会話モードの際は、2.4GHzに切り替え、後述するRCコントローラ200からのプロポ信号およびマイク104が集音する音声信号をデジタル信号に変換してレシーバー350またはRCコントローラ200に送信する。
【0051】
105は防水仕様のスピーカーで、水上モビリティ100がRCコントローラ200から受信したパイロットからの音声、具体的にはデジタル信号に変換されたデジタル音声信号をアナログ信号に変換した音声を水上に向かって拡声して出力する。
【0052】
なお、スピーカー105は、アンテナ121がマイク251で集音したパイロットの音声信号を受信した後、コントローラ部106、音声処理部107を介して処理された音声を拡声する。ここで、拡声するレベルは、少なくても3段階程度強度(dB)の異なる音声出力として拡声できるように構成されている。
【0053】
これにより、救護すべき救護者を発見してから救護者と水上モビリティ100との距離が近づくことに応じて音声出力レベルを調整することができる。
【0054】
108はエンジンドライバで、RCコントローラ200のコントローラ部201がコントロールするチャンネルCH1~CH6のいずれかに応答して、エンジン109のスタートとストップ、さらには加速のレベル(エンジンスタートからエンジン全開までを段階的)を制御する。
本実施形態では、チャンネルCH6にマイク251,スピーカー252を割り付けて、選択的にマイク251またはスピーカー252を機能させる構成としている。
【0055】
110はエンジンドライバで、コントローラ部201がコントロールするチャンネルCH1~CH6のいずれかに応答して、ハンドル部111の左右の振れ角を調整して進行する方向を制御することが可能に構成されている。
【0056】
なお、本実施形態のシステム例では、複数台のカメラを水上モビリティ100に装備する場合を説明するが、1台目の水上モビリティが第1のカメラとしてのCCDカメラを1台装備し、2台目の水上モビリティが第2のカメラとしての赤外線カメラを1台装備し、2人のパイロットが協働して水上捜索活動を行い、水上で救護を待つ救護者を支援するシステムとしてもよい。
【0057】
また、複数台のカメラ(通常のビデオカメラ、赤外線カメラ)を水上モビリティ100の船首近傍の両側に配置して、レンズの視点方位(例えば360°方位調整可能)や角度を調整できるように構成してもよい。
ここで、ビデオカメラとは、ウエアブルカメラ、アクションカメラ、デジタルビデオカメラ等に準ずる映像記録装置が含まれ、SDカードやハードディスク等を搭載したカメラ装置も含まれる。
【0058】
また、本実施形態に示す水上モビリティ100には、図示しない大容量の二次電池を備えられており、エンジン109が停止しても救助活動に使用する赤色灯113、照明灯114に十分な電力を数時間供給することが可能に構成されている。
【0059】
また、当該二次電池は、エンジン109を始動することで図示しない発電機も始動して、二次電池への充電機能が装備されている。
〔RCコントローラ部の構成〕
【0060】
コントローラ部201は、アンテナ202と、海水面上を移動可能な水上モビリティ100のアンテナ103との間でRCコントロール信号のやり取りを制御してエンジン109、赤色灯113、照明灯114の駆動を制御する。
【0061】
なお、レシーバー350に接続されるセンサを利用して、カメラ101の画角度を上下、左右いずれにも調整可能に構成されている。
203は送受信部で、アンテナ202と、水面上を移動可能な水上モビリティ100のアンテナ103との間でRCコントロール信号の送受信処理を行う。
【0062】
信号処理部204は、コントローラ部201が生成する水上モビリティ100の装備品を駆動するためのアクチュエータ信号を処理した各種の駆動信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100のアンテナ103に送信する。
【0063】
205aは測位処理部で、衛星から受信する位置信号(GPS(Global Positioning System))モード(GPSモード)で測位情報を処理することで、目標地点(遭難現場、漁場監視地域、遊泳禁止区域、その他の監視区域)情報を小型船舶のGPS処理部102に通知したり、パイロットの現在位置を示す位置情報をレシーバー350に接続される表示部351に表示したりすることができる。
205bは測位処理部で、リアルタイムキネマティック(Real Time Kinematic)信号(RTKモード)に基づいて測位処理を行う。
【0064】
これにより、水上モビリティ100は、日中無人状態で航行し、GPS情報の管理の下あるいはRTKモードの管理の下で遭難現場海域として設定された目標地点へ移動し、目標地点でカメラ101を用いた救護者捜索と救護者の状態監視活動を行うことが可能となっている。
【0065】
なお、水上モビリティ100には、装備品として、赤色灯113、照明方向を制御可能な照明灯114、浮具としての救助浮き輪、救助食、保温シートが備えられ、救助先で救護者への救援をサポートすることが可能に構成されている。
【0066】
これにより、カメラ101は、暗視下、すなわち暗闇の中であっても、照明灯114で海面を照明した状態で救助すべき救護者を撮像するため、水面が暗視下でも一定の救助救護活動を支援して、迅速な人命救助を行うことができる。
【0067】
206は操作部で、左右のスティックバー206a、206bをパイロットが上下左右に操作することで、水上モビリティ100のエンジン109の始動、エンジン109の停止、エンジン109の加速、ハンドル部111の水上モビリティ100の進行方位を指示する。ここで、ハンドル部111で、水上モビリティ100の船底後部から排水する水流の方向を切り替えて進行方位を決定する。
【0068】
これにより、コントローラ部201が信号処理部204を介して所定ビットの駆動信号(デジタル制御信号)を生成させ、送受信部203を介してアンテナ202から水上モビリティ100のアンテナ103に送信することができる。
【0069】
一方、水上モビリティ100は、アンテナ103を介して受信するデジタル制御信号を送受信部112で処理した指示内容がコントローラ部106に通知して、エンジンドライバ108がエンジン109のスタート、加速(スロットル操作に従う)、ストップを行う。
【0070】
同様に、水上モビリティ100は、アンテナ103を介して受信するデジタル制御信号を送受信部112で処理した指示内容がコントローラ部106に通知されて、ハンドルドライバ110が図示しないアクチュエータを介してハンドル部111を駆動して、水上モビリティ100の進行方向を制御する。
【0071】
〔FPVシステムの構成〕
FPVシステムを構成するレシーバー350に接続される表示部351には、水上モビリティ100から送信されてくる水上の動画映像をリアルタイムで表示することができる。
【0072】
なお、ゴーグルには、図示しないモーションデバイスを接続することが可能に構成され、パイロットが操作するモーションデバイスのジェスチャー(モーション)動作を、ゴーグルを装着するパイロットの視線移動と捉えて水上モビリティ100上のカメラ101の撮像方向(上限、左右)を制御することも可能に構成されている。
【0073】
RCコントローラ200を操作するパイロットは、マイク251、スピーカー252を連動させて、水上モビリティ100から送信されてくるリアル映像を表示部350の表示画面で確認しながら、受信した音声(救護者が生存する場合に、現状を説明する会話を含む)をスピーカー252で聞き取りながら、マイク251を通して救護者と臨場感溢れる状態で直接会話することができる。なお、受信する水上で集音した音声は、上述しているように音声処理部107のDSPチップにより信号処理されている。
【0074】
次に、RCコントローラ200を操作するパイロットがマイク251を介して発生した音声信号を水上モビリティ100に送信して、水上モビリティ100のスピーカー105から拡声して発出される。なお、スピーカー105の位置は、船底から鉛直方向に延長できるように構成されている。これにより、近接した領域からやや遠方にわたり音声を発出することができる。
【0075】
このように本システムでは、救護すべき救護者とRCコントローラ200を操作するパイロットは、水上モビリティ100に乗船して遭難ポイントに救助に向かい、救護者を発見してその場で会話しているが如く振る舞うことが可能となる。
【0076】
なお、RCコントローラ200のパイロットは、水上モビリティ100から取得するGPS信号から特定される位置情報(救護すべき救護者の現在位置)表示部351に表示するとともに、当該位置情報を外部機関(消防庁レスキュー部隊、消防庁レンジャー部隊、海上保安庁)に通報することで、早急に救護者救助チームを編成させることも可能となる。
【0077】
また、RCコントローラ200のパイロットは、RCコントローラ200から水上モビリティ100の赤色灯113を点灯させる指示を行うことで、救助に向かう救護者救助チームがいち早く進むべき方位を特定し、最短距離、最短時間で遭難現場に到着する際の指標とすることもできる。
【0078】
また、パイロットは、RCコントローラ200から水上モビリティ100の照明灯114の点灯指示を行うことで、捜索海域でサーチライトとして機能させることができる。このようなサーチライトは、救助活動の一助となるばかりか、救護者にも安心感を与えることも可能となる。
コントローラ部201は、水上モビリティ100を遠隔操縦するための各種の指示を行う指示手段としてのスティックバー206a、206bを備える。
【0079】
また、RCコントローラ200のコントローラ部201は、スティックバー206a、206bによる指示に従う操縦信号を生成する信号生成機能を備える。その際、RCコントローラ200の送受信部203は、生成した操縦信号を水上モビリティ100に送信する手段として機能する。
【0080】
一方、水上モビリティ100は、水上で周辺音を集音するマイク104と、スピーカー105とを備え、コントローラ部106は、レシーバー350から受信する音声情報を音声処理部107で処理した後、スピーカー105から拡声する。
【0081】
また、送受信部112は、RCコントローラ200から航行情報を受信する機能と、マイク104が集音した集音情報をレシーバー350に送信する機能とを有する。なお、カメラ101が撮像した動画情報、静止画等は、VTX送信部120、アンテナ121を介してレシーバー350に送信される。
【0082】
さらに、コントローラ部106は、RCコントローラ200からの操作指示を受信し、カメラ101の視線方向を位置決め制御するとともに、RCコントローラ200から受信する航行情報に基づいて、水上モビリティ100の航行状態を制御する。
〔第1の監視モードに基づく水上監視システムの制御方法〕
【0083】
図3は、本実施形態を示す水上監視システムの制御方法を説明するフローチャートである。なお、S1~S24は各ステップを示し、各ステップは、コントローラ部201のCPUがROMに記憶された制御プログラムをRAMにロードして実行することで実現される。ここで、水上は、海上を例とする。
【0084】
以下、第1の監視モードにおいて、水上モビリティ100に搭載されたカメラ101の撮像方向をコントローラ部106が制御して水上監視を行うシステム例を説明する。
【0085】
また、第1の監視モードは、日中において、後述する目的地に到達するまでは、GPSモードまたはRTKモードで水上モビリティ100を最短移動させ、カメラ101が撮像する画像情報(映像信号)を送信しない例である。
これにより、無駄な電力を消費してしまう事態を回避して、照明灯114を点灯して長時間水上監視活動を支援することができる。
【0086】
また、救護者の初動捜索においては、水上モビリティ100のコントローラ部106は、図示しないドローンから通知されるGPS情報から特定される遭難海域に無人の水上モビリティ100を最短距離で到着するように移動先となる位置情報がコントローラ部201から指示されているものとする。
【0087】
さらに、本水上監視システム例では、水上モビリティ100のコントローラ部106と、RCコントローラ200のコントローラ部201と、レシーバー350のコントローラ355とが協働して救護者の救護活動を支援する。
【0088】
具体的には、水上モビリティ100のコントローラ部106とRCコントローラ200とが協働して、パイロットと救護者とが同時に音声会話するための通信を確立する。
【0089】
また、水上モビリティ100のコントローラ部106と、RCコントローラ200とが協働してパイロットからの撮像要求に基づいてカメラ100の姿勢位置を制御するための通信を確立する。
【0090】
まず、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100のエンジン109を始動する指示がなされたと判断した場合(S1でYES)、さらに、コントローラ部201は、水上監視を行う監視モードが昼間用の第1の監視モードであるか夜間用の第2の監視モードであるかを判断して(S2)、第2の監視モードであると判断した場合、後述する
図5に示すステップS32へ進む。
一方、ステップS2で、監視モードが昼間用の第1の監視モードであるとコントローラ部201が判断した場合、S3へ進む。
【0091】
次に、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のエンジン109を特定する識別コードと、該エンジン109の状態信号をON状態へ推移させるエンジンスタート信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、エンジン109の始動を指示する(S3)。
【0092】
次に、コントローラ部201は、出動モードが緊急性を要するものであるか、すなわちパイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100の赤色灯113を点灯する指示がなされたと判断した場合(S4でYES)、ステップS5へ進む。
【0093】
次に、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100の赤色灯113の点灯を指示する識別コードと、該赤色灯113の状態信号をON状態へ推移させる赤色点灯信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100へ送信する。これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、水上モビリティ100に赤色灯113の点灯を指示する(S5)。
【0094】
次に、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100のハンドル部111により水上モビリティ100の進行方位、具体的には水上モビリティ100の針路が決定されたと判断した場合(S6でYES)、ステップS7へ進む。
【0095】
次に、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のハンドル部111を右方向、左方向、直進方向を指定する識別コードと、エンジン109を加速して水上モビリティ100を推進させる制御信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100へ送信する。
これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、水上モビリティ100の水上移動を開始する(S7)。以後の移動方位は、第1の測位処理(GPS)部205aがGPS信号を追従して船首の方位を決定することで救護海域へ速やかに移動する。なお、第2の測位処理(GPS)部205bによる測位処理を利用する構成であってもよい。
【0096】
続いて、コントローラ部201は、水上モビリティ100から受信するGPS信号を受信して、水上モビリティ100の現在位置が遭難ポイント(目的地)に到着しているかどうかを判断する(S8)。
【0097】
ここで、水上モビリティ100の現在位置が救護ポイント(目的地)に到着しているとコントローラ部201が判断した場合、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のエンジンを停止する制御信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。
【0098】
これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、水上モビリティ100の移動を停止させるとともに(S9)、カメラ101の撮影モードをFPVモードに切り替える。
【0099】
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106がレシーバー350のコントローラ355からパイロットが操作する視線移動に追従して搭載される各カメラの方位を決定する方位情報を受信したと判断した場合(S10でYES)、ステップS11へ進む。以後レシーバー350のコントローラ355は、カメラ101の方位情報が更新されているかどうかを常時判断し続ける(S11)。
ここで、レシーバー350のコントローラ355がカメラ101の方位情報が更新されていると判断した場合、ステップS18へ進む。
【0100】
そして、レシーバー350のコントローラ355は、カメラ101の方位方向を決定する位置決め制御信号を生成させる。さらに、レシーバー350のコントローラ355は、生成した新たな位置決め制御信号をレシーバー350のアンテナを介して水上モビリティ100に送信して(S18)、ステップS11へ戻る。
【0101】
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、レシーバー350を装着するパイロットの視線移動に追従してカメラ101が撮像する方位方向を制御して、パイロットが注目する被写体を撮像するようにカメラ101の位置決め制御を実行する。
【0102】
一方、S11でレシーバー350のコントローラ355がカメラ101の方位情報が更新されていないと判断した場合、S12へ進む。
【0103】
そして、レシーバー350を装着するパイロットが凝視する先にカメラ101の方位を制御してパイロットが注目している被写体(例えば救護者の顔)のカメラ画像を映像信号としてレシーバー350に送信する(S12)。
【0104】
次に、パイロットが凝視している被写体(救護すべき救護者)からの応答を確認するため、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100の会話ツールによる集音指示がなされていると判断した場合(S13でYES)、コントローラ部201は、通信モードを2.4GHz帯へ切り替え、音声会話を確立させた後、ステップS14へ進む。
【0105】
そして、コントローラ部201は、マイク104,スピーカー105の会話ツールを会話状態(ON状態)とする制御信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、マイク104,スピーカー105をON状態に遷移させることができる(S14)。
【0106】
次に、パイロットは、RCコントローラ200に外部接続されるマイク251を使用して、被写体(救護者)に対するお声がけ(例えば「大丈夫ですか?」)のための音声データを、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する(S15)。例えばスピーカー105から大音量で、救護者に対して、例えば「大丈夫ですか?」を拡声して出力する。
【0107】
次に、水上モビリティ100のコントローラ部106は、パイロットにより救護者の音声を集音する指示(救護者が発声する音声を受信する指示)がなされていると判断した場合(S16でYES)、ステップS17へ進む。
【0108】
そして、水上モビリティ100のコントローラ部106がマイク104を使って集音し(S17)、コントローラ部106は、集音した救護者の音声を音声処理部107で信号処理した後、コントローラ部106は、集音した救護者の音声をアンテナ103からRCコントローラ200へ送信する。
【0109】
次に、RCコントローラ200は、コントローラ部106から受信した音声をスピーカー252(イヤホン出力でもよい)から出力させる(S19)。これにより、パイロットは、救護者の生の声を拾って、現場における救護者の状態を聴覚と視覚とを同時に用いて判断することができる。この際、水上モビリティ100のコントローラ部106は、RCコントローラ200から指示される救援材を投入する投入部を制御して、例えば救援材として浮具、食料、保温シートのいずれか1つを選択しながら水上に投入することができる。
これにより、救護者は、浮具を取得して十分な浮力を得ることで体力の消耗を格段に減らすことができる。さらには、保温シートを体に巻き付けることで体温低下を防止することもできる。
【0110】
続いて、水上モビリティ100を帰還する指示がなされていないと判断した場合は(S20でYES)、S10へ戻り、RCコントローラ200は、水上モビリティ100との間で同様の処理を繰り返すことで被写体(救護者)と会話する。
この間、救援隊が現場に到着したら、水上モビリティ100による初動救援処理は完結したものと判断する。
【0111】
一方、ステップS20で、コントローラ部201がパイロットからスティックバー206aを操作して出発位置へ帰還するための帰還指示がなされていると判断した場合、コントローラ部201は、通信モードを5.8GHz帯へ切り替え、水上モビリティ100の操作を優先させる通信を確立させた後、ステップS21へ進む。
【0112】
そして、水上モビリティ100のエンジン109を再始動するエンジンスタート信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、エンジン109を始動させる(S21)。
【0113】
なお、水上モビリティ100を帰還させる場合には、第1の測位処理(GPS)部205aまたは第2の測位処理部205bが最初の出発点へ復帰する自動復帰モードで帰還先を制御することも可能である。
【0114】
また、測位処理として第2の測位処理(RTK)部205bを利用するシステムでは、位置精度誤差が3cm程度の測位処理を行うことで正確な測位が可能となる。
【0115】
次に、コントローラ部201は、GPSモードで水上モビリティ100の帰還開始を指示する(S22)。そして、コントローラ部201は、水上モビリティ100が出発位置に戻ったことを確認したら(S23)、水上モビリティ100のエンジン109を停止させるエンジンストップ信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信して、エンジン109を停止させ(S24)、本処理を終了する。
なお、水上モビリティ100を帰還させる際、上記通信モードがRTKモードである場合、ステップS20において、水上モビリティ100を出発位置(ホームポジション)に自動帰還させる構成としてもよい。
【0116】
これにより、日中にかけて、GPS機能(RTK機能)を利用して迅速に救助すべきポイントに到着し、水上で救護を待つ救護者の表情を確認しながら会話して迅速に救護する活動を円滑に行うことができる。
また、水上において、レシーバー350がゴーグルで構成した場合、ゴーグルを装着するパイロットが救護者をゴーグル内のスクリーンで視認しながら、かつ、救護支援者との音声会話を確保しながら救護活動を確実に支援できる。
〔第1実施形態の効果〕
【0117】
第1実施形態によれば、日中において、RCコントローラを操作するパイロットは、レシーバーが受信する映像を視聴しながら、GPS機能やRTA機能を利用して迅速に救助すべき救護者の下へ水上モビリティを急行させることができる。そして、パイロットは、水上モビリティのカメラが撮影する救護者の位置を特定した状態で、水上モビリティが救護者に寄り添いながら見守り、かつ、双方向に会話して救助隊が到着するまで励ます救護支援をリモートで行うことができる。
〔第2実施形態〕
〔第2の監視モードに基づく水上監視システムの制御方法〕
【0118】
図4は、本実施形態を示す水上監視システムの一例を示すブロック図である。本例に示す水上監視システムと、
図2に示した水上監視システムとの構成の差異は、水上モビリティ100が赤外線カメラ115を備え、夜間において水上で漂う熱源(人体)を赤外線画像として処理することが可能なシステム例である。
【0119】
このように構成された水上監視システムにおいて、コントローラ部106と、コントローラ部201と、レシーバー350のコントローラ355とが協働してパイロットと救護者とが同時に音声会話するための通信を確立する。
【0120】
同様に、コントローラ部106と、コントローラ部201とレシーバー350のコントローラ355とが協働してレシーバー350から受信する赤外線カメラ115の姿勢位置を制御するための通信を確立する。
【0121】
また、水上モビリティ100と、RCコントローラ200との間で、レシーバー350のコントローラ355を操作するパイロットからの撮像要求に基づいて、赤外線カメラ115の姿勢位置を制御するための通信を確立する。
【0122】
図5は、本実施形態を示す水上監視システムの制御方法を説明するフローチャートである。なお、S31~S53は各ステップを示し、各ステップは、コントローラ部201のCPUがROMに記憶された制御プログラムをRAMにロードして実行することで実現される。
【0123】
以下、第2の監視モードにおいて、水上モビリティ100に搭載された赤外線カメラ115の撮像方向をコントローラ部106が制御して水上監視を行うシステム例を説明する。
【0124】
また、第2の監視モードでは、後述する目的地に到達するまでは、GPSモードまたはリアルタイムキネマティックモードを使用し、且つ、捜索には赤外線カメラ115が撮像する画像をレシーバー350に接続される表示デバイスでモニタしながら水上モビリティ100を移動させながら救護水域で夜中に救援者の救援活動を支援する例である。
【0125】
また、救護者の初動捜索においては、水上モビリティ100のコントローラ部106は、図示しないドローンから通知されるGPS情報またはRTK情報から特定される遭難海域に無人の水上モビリティ100を最短距離で結ぶように移動方向がRCコントローラ200から指示されているものとする。
【0126】
まず、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100のエンジン109を始動する指示がなされたと判断した場合(S31でYES)、さらに、コントローラ部201は、監視モードが第1の監視モードであるか第2の監視モードであるかを判断して(S32)、第1の監視モードであると判断した場合、前述した
図3に示すステップS2へ進む。
一方、ステップS32で、監視モードが第2の監視モードであるとコントローラ部201が判断した場合、
図5に示すS33へ進む。
【0127】
次に、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のエンジン109を特定する識別コードと、該エンジン109の状態信号をON状態へ推移させるエンジンスタート信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して送信し、水上モビリティ100にエンジン109の始動を指示する。
【0128】
さらに、レシーバー350のコントローラ355から水上モビリティ100上で赤外線カメラ115の電源をオンする指示を、アンテナ306を介して送信する(S33)。
【0129】
次に、コントローラ部201は、出動モードが緊急性を要するものであるか、すなわちパイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100の赤色灯113を点灯する指示がなされたと判断した場合(S34でYES)、ステップS35へ進む。
【0130】
そして、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100の赤色灯113の点灯を指示する識別コードと、該赤色灯113の状態信号をON状態へ推移させる赤色点灯信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100へ送信する。
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、赤色灯113を点灯させる(S35)。
【0131】
次に、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100のハンドル部111に、進行方向を決定する指示(赤外線カメラ115の方位を決定する指示)がなされたと判断した場合(S36でYES)、ステップS37へ進む。
【0132】
次に、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のハンドル部111を操作する方向を指定する識別コードと、エンジン109を加速して水上モビリティ100を推進させる制御信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。
【0133】
これにより、コントローラ部106は、水上モビリティ100の水上移動を開始させる(S37)。以後、水上モビリティ100の方位移動は、コントローラ部106がGPS信号またはリアルタイムキネマティック(RTK)信号に追従して決定することで救助水域へ自動追尾で水上モビリティ10を移動させる。
【0134】
続いて、コントローラ部201は、水上モビリティ100から受信するGPS信号を受信して、水上モビリティ100の現在位置が救助ポイント(目的地)に到着しているかどうかを判断する(S38)。ここで、水上モビリティ100の現在位置が救助ポイント(目的地)に到着していると判断した場合、ステップS39へ進む。
【0135】
そして、コントローラ部201は、信号処理部204が水上モビリティ100のエンジンを停止する制御信号を生成し、送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信する。
【0136】
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、水上モビリティ100の移動を停止させるとともに(S39)、赤外線カメラ115をFPVモードに切り替える。
【0137】
以後、レシーバー350のコントローラ355は、パイロットによるモーションセンサの視線移動を検知したと判断した場合(S40でYES)、ステップS41へ進む。
【0138】
ステップS41で、レシーバー350のコントローラ355は、レシーバー350を操作するパイロットから進行方位を変更する指示があるか否かを判断して、赤外線カメラ115の方位情報が更新されているかどうかを判断する(S41)。
【0139】
ここで、コントローラ355が赤外線カメラ115の方位情報が更新されていると判断した場合、コントローラ355は、赤外線カメラ115の視線方向を決定する位置決め制御信号を生成させ、生成された新たな位置決め制御信号を、アンテナ306を介して水上モビリティ100に送信して(S48)、ステップS41へ戻る。
【0140】
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、レシーバー350を操作するパイロットから進行方位を変更する指示に追従して赤外線カメラ115の方位方向を制御してパイロットが注視する救護者を撮像する。
【0141】
一方、S41でコントローラ355が赤外線カメラ115の方位情報が更新されていないと判断した場合、ステップS42へ進む。
【0142】
そして、水上モビリティ100のコントローラ部106は、レシーバー350を操作するパイロットから進行方位を変更する指示する方位に赤外線カメラ115の方位を合わせるように制御する。
【0143】
これを受けて、水上モビリティ100のコントローラ部106は、パイロットが注視している被写体(例えば救護者の顔)を撮像した映像信号をレシーバー350へ送信して(S42)、ステップS43へ進む。
【0144】
次に、パイロットが凝視している水上の救護者からの応答を確認するため、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して水上モビリティ100の会話ツールによる集音指示がなされていると判断した場合(S43でYES)、ここで、コントローラ部201は、通信モードを2.4GHz帯へ切り替え、音声会話を確立させた後、ステップS41へ進む。
【0145】
そして、ステップS41で、コントローラ部201は、マイク104,スピーカー105の会話ツールを会話状態(ON状態)とする制御信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100へ送信する(S44)。
【0146】
次に、パイロットは、RCコントローラ200に接続されるマイク251を使用して、被写体(救護者)に対するお声がけ(例えば「大丈夫ですか?」)のための音声データを送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100のコントローラ部106へ送信する(S45)。
これを受けて、コントローラ部106は、水上モビリティ100のスピーカー105から大音量で、例えば「大丈夫ですか?」を救護すべき者へ拡声する。なお、救護すべき相手の名前が確認済であれば、名前を先に発出した後、「大丈夫ですか?」を発出するものとする。
【0147】
S46で、コントローラ部201から救護者から音声を集音指示がなされていると判断した場合(S46でYES)、水上モビリティ100のマイク104と、スピーカー105をオン状態とする。
【0148】
そして、マイク104を使って集音した音声がコントローラ部106で信号処理された後、マイク104が水上で収容した救護者の音声を集音したら(S47)、水上モビリティ100のコントローラ部106は、送受信部112を介して集音した救護者の音声信号をRCコントローラ200へ送信する(S49)。
【0149】
これにより、パイロットは、RCコントローラ200が装備するスピーカー252から水上モビリティ100のマイク104が集音して音声処理(波の音を除去する等が含まれる)された救護者の生の音声を可聴することができる。
【0150】
続いて、コントローラ部106は、水上モビリティ100との間で同様の処理を繰り返すことで被写体(救護者)と会話する。この間、救援隊が現場に到着したら、水上モビリティ100による初動救援処理は完結したものと判断する。ここで、コントローラ部201は、通信モードを5.8GHz帯へ切り替え、水上モビリティ100の操作を優先させる通信を確立させる。
【0151】
次に、コントローラ部201は、パイロットがスティックバー206aを操作して出発位置へ復帰するための帰還指示がなされているか否かを判断する(S50)。
【0152】
ここで、コントローラ部201がパイロットからスティックバー206aを操作して出発位置へ帰還するための帰還指示をしていると判断した場合、ステップS51へ進む。
【0153】
そして、水上モビリティ100のエンジン109を再始動するエンジンスタート信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100へ送信する。
【0154】
これにより、水上モビリティ100のコントローラ部106は、エンジン109を始動させる(S51)。なお、水上モビリティ100を初動開始位置へ帰還させる場合には、第1の測位処理部205aまたは第2の測位処理部205bが最初の出発点へ復帰する自動復帰モードで帰還先を制御することも可能である。
【0155】
次は、コントローラ部201は、水上モビリティ100をGPSモードあるいはリアルタイムキネマティック(RTK)モードでの帰還を始動する(S52)。
【0156】
そして、コントローラ部201は、水上モビリティ100が出発位置に戻ったことを確認したら(S53)、水上モビリティ100のエンジン109を停止させるエンジンストップ信号を送受信部203、アンテナ202を介して水上モビリティ100に送信して、エンジン109を停止させ(S54)、本処理を終了する。
【0157】
これにより、水上モビリティ100は、日が落ちた夕方から未明にかけて、GPS機能やRTK機能を利用して迅速に救助すべきポイントに到着させ、その後、水上モビリティ100が装備する赤外線カメラ115が水上で漂う救護者を熱源画像として捉えて救護活動を円滑に行うことができる。
〔第2実施形態の効果〕
【0158】
第2実施形態によれば、水上モビリティ100は視界が悪い夜間においても、GPS機能やRTA機能を利用して迅速に救助すべきポイントに到着し、パイロットは、救護者の位置を特定した状態で、水上で漂う救護者を熱源として捉えることで、効率的に救護すべき救護者の位置を特定できる。
【0159】
また、夜中を含めて24時間体制で水上モビリティ100が救護者の救助活動をサポートすることができ、人命救助率を格段に向上させることができる。
また、レシーバー350を操作するパイロットは、水上における救護者の赤外画像を視認しながら、救護支援者との会話を確保しながら救護活動を確実に支援できる。
【0160】
なお、第1実施形態および第2実施形態を組み合わせたシステムとして、例えば水上モビリティ100がカメラ101と、赤外線カメラ115との双方を監視モードが第1の監視モードであるか、第2の監視モードであるかをコントローラ部201が判断して、水上モビリティ100とコントローラ部201との間における画像情報の送信内容を切り替えるカメラ映像制御を行う構成とすれば、日中、夜間のいずれの状況にも適応して救助活動を支援できる。
【0161】
ここで、コントローラ部201は、水上モビリティ100のカメラ装備状態を識別可能に構成されているので、カメラ101と、赤外線カメラ115のいずれか一方しか搭載されていない場合は、第1の監視モードであるか、第2の監視モードであるかを的確に判断できる。
【0162】
また、カメラ101と、赤外線カメラ115の双方を搭載する場合は、コントローラ部201が水上モビリティ100に対して第1の監視モードあるいは第2の監視モードを指定することでいずれのモードであるかを判断することもできる。
【0163】
また、救護活動は、水上モビリティ100に第3のカメラとして機能する全方位カメラを装備し、レシーバー350が受信する映像を表示デバイスに表示し、パイロットが該表示デバイスの表示を視聴しながら救護活動を行うため、全方位についてパイロットの複数の視点を活用して効率よく、かつ確実に救護活動を行うことができる。
【0164】
〔第3実施形態〕
図6は、本実施形態を示す水上監視システムの構成を示す概略図である。
本例は、複数台の水上モビリティ100を、例えば海水浴場の遊泳エリアに配置して、遊泳者を監視する水上監視システム例である。なお、水上モビリティ100の構成は第1実施形態と同様であるので、詳細な構成の説明は省略する。以下、ゴーグル型のレシーバー350をライフセーバが装着して遊泳者を監視する例を説明する。
【0165】
本例では、ビーチの監視台にライフセーバとして活動する監視員がゴーグルを装着し、RCコントローラ200を操作しながら遊泳エリア全体の遊泳者の状態を監視するシステムである。
〔第3実施形態の効果〕
【0166】
第3実施形態によれば、ビーチの監視台にライフセーバとして活動する監視員がゴーグルを装着し、遊泳エリア全体の遊泳者の状態を監視しながら、水上モビリティ100より危ない遊泳者に対して注意をパイロットの音声により喚起するようにお声がけすることができる。
【0167】
〔第4実施形態〕
図7は、本実施形態を示す水上監視システムの一例を示す概略図である。以下、ゴーグル型のレシーバー350を生け簀監視員が装着して、水上モビリティ100を洋上生け簀に接近する密猟者の侵入を阻止するためのトラップ設置作業を行う例を説明する。
【0168】
本例は、複数台の水上モビリティ100を洋上生け簀501~503の近傍に移動させ、監視小屋で見張り人がゴーグル300を装着して、RCコントローラ200を操作することで、洋上生け簀501~503の周辺を定時的あるいは生け簀を撮影するカメラ101,115が密猟者を撮像したタイミングで周回監視する水上監視システム例である。
【0169】
なお、水上モビリティ100の構成は第1実施形態と同様であるので、詳細な構成の説明は省略する。また、昼は第1の監視モードによる水上巡回を行い、夜は、上述した第2の監視モードによる水上巡回を行う。
【0170】
〔第4実施形態の効果〕
第4実施形態によれば、複数の生け簀の状態を監視する監視員がゴーグルを装着し、離生け簀より離れた集合所等から生け簀の状態の状態や不審者の接近を監視し、水上モビリティ100から明らかに不振な接近者に対して注意をパイロットの音声により喚起するように警告することもできる。なお、警告を無視するような状態を画像で認識した場合には、管轄官庁への通報を発出することも可能である。また、その現場写真を録画することで、後々の捜査資料とすることも可能である。
【0171】
なお、上記第1、第2実施形態において、第1のカメラ、第2のカメラ、第3のカメラの配置位置として、水上モビリティ100の船首に方向に第1のカメラを配置し、水上モビリティ100の操作ハンドルの近傍に第3のカメラを配置し、水上モビリティ100の船尾に第2のカメラを配置する場合について説明したが、水上モビリティ100の操作ハンドルの近傍に設ける垂直バーに対して垂直方向(上下方向)に併設設置させる構成としてもよい。
【0172】
その際、船艇から最も高度が高くなるように垂直バーのトップに第3のカメラを設置し、次に、複数の第1のカメラ、複数の第2のカメラを対向的に設ける構成としてもよい。
【0173】
また、上記各実施形態では、パイロットがRCコントローラ200を操縦して水上モビリティ100を救護ポイントまで移送させる場合について説明したが、上述したカメラ101,115を装備した水上モビリティ100を救難現場まで救難ヘリコプターで輸送し、その海域で水上モビリティ100を投下着水させることで、迅速に現場海域での捜索活動を支援するように構成してもよい。
【0174】
これにより、炎上している船体に救難要員(海猿)が近づけない状況でも、船体の周囲に近づいて損傷個所の確認や、救命すべき船員の捜索を迅速して支援することができる。
また、水上モビリティ100は、救援材として、例えば30フィートクラスのクルーザーを曳航するためのフック付きのロープを投入できるように構成してもよい。
〔第5実施形態〕
【0175】
図8は、本実施形態を示す水上監視システムに適用するその他の水上モビリティの一例を示す斜視図である。
【0176】
上記各実施形態では、水上監視システムに適用する水上モビリティの一例として水上バイクモデルを適用した場合に説明したが、以下に示す3名が乗船可能な水上モビリティを本発明に適用することができることはいうまでもない。
【0177】
本例に示す水上モビリティは、操縦桿が船体の前方所定位置に設けられ、戦闘機が扱うようなボタンが複数あり、操縦桿(コントローラスティック)を後方に引くとスロットル操作となり、左右に傾斜させることで水上モビリティの進行方位をコントロールできるように構成されている。
【0178】
そこで、上記実施形態で示した各種カメラが所定位置に設けられ、RCコントローラ200と通信することで、RCコントローラ200のスティック操作を上記コントロールスティック操作として扱えるように制御することで、上述した水上モビリティ100と同等の機能を実行させることができる。このため、本図においては、カメラと、スピーカー、マイク、アンテナ等を省略している。
〔第5実施形態の効果〕
【0179】
第5実施形態によれば、第1実施形態に示した水上モビリティ100に比べて横幅、全長ともサイズが拡張できるため、1台で相当の装備品を搭載すること、並び、救護する救護者も複数人同時に収容することも可能となる。また、
図8に示す水上モビリティは、馬力的にも大型のエンジンを採用できるため、曳航能力も高くなるため、小型船舶を複数同時に曳航することも可能であり、救護活動能力にも優れている。
【0180】
したがって、
図8に示す水上モビリティのポテンシャルをフルに活用することで多様な救護活動全般について大きな役割を果たすことができる。
【符号の説明】
【0181】
100 水上モビリティ
101a、101c カメラ(第1のカメラ)
101b、101d 赤外線カメラ(第2のカメラ)
101e 全方位カメラ(第3のカメラ)
106 コントローラ部
201 RCコントローラ部
300 ゴーグル
【要約】
【課題】水上モビリティの近辺で待機する救護者に対する救護活動を確実に支援できる救護システムを構築する。
【解決手段】
カメラを装備可能な水上モビリティと、前記カメラから送信される映像信号を受信して表示部に表示するレシーバーと、前記水上モビリティの所作を制御するRCコントローラと、が通信する水上監視システムにおいて、水上モビリティ100に装備するカメラから送信される映像をレシーバーが備える表示部に出力する際に、カメラ101から送信される水上映像と水上での救護活動を支援する情報とを表示部に表示した状態で、救護者の救護活動を支援する。
【選択図】
図2