(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】床材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220202BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20220202BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
E04F15/02 C
B32B27/16 101
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2016134612
(22)【出願日】2016-07-06
【審査請求日】2018-12-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】菅 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】松村 彰一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優
【合議体】
【審判長】森次 顕
【審判官】奈良田 新一
【審判官】有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-213211(JP,A)
【文献】特開2015-145103(JP,A)
【文献】特開2014-185302(JP,A)
【文献】特開2006-316578(JP,A)
【文献】特開2004-225456(JP,A)
【文献】特開2006-316578(JP,A)
【文献】特開2010-84391(JP,A)
【文献】特開2007-278005(JP,A)
【文献】特開昭59-8869(JP,A)
【文献】特開昭60-52681(JP,A)
【文献】特開平4-176954(JP,A)
【文献】特開2005-60504(JP,A)
【文献】特開2007-138464(JP,A)
【文献】特開2003-165929(JP,A)
【文献】特開2008-62217(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104804637(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1212572(KR,B1)
【文献】特開2001-123113(JP,A)
【文献】特開2000-104016(JP,A)
【文献】特開2010-106654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層及び形状安定化層を含む床材本体と、前記床材本体の上に表面保護層を有する床材であって、前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含
み、前記表面保護層に用いる樹脂としては電離放射線硬化性樹脂からなり、前記表面保護層の表面粗さRyが10以上50未満である、床材(但し、木材を含む床材を除く)。
【請求項2】
前記形状安定化層がガラス繊維を含むガラスシートである、請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記床材本体が表層及び化粧層を更に含み、前記表層が熱可塑性樹脂からなる、請求項1または2に記載の床材。
【請求項4】
前記表面保護層の硬度が、6B~4Hである、請求項1~3のいずれか1に記載の床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の床材が広く用いられている。中でも樹脂層を含む床材は、足裏や靴裏によって踏みつけられた際に傷付き易く且つ汚れ易い。このため、樹脂層を含む床材の特性として、耐傷付き性及び防汚性が求められる。なお、耐傷付き性は、床材の表面に擦り傷などが生じ難い性質を、防汚性は、汚れ難い性質又は汚れを簡単に除去できる性質を、それぞれ意味する。電離放射線硬化性樹脂は、耐傷付き性に優れた特性を有する為、様々な基材の被覆に使用されており、床材表面のコーティングなどにも使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、非塩素系の熱可塑性樹脂からなる基体シート上に、絵柄印刷層を介して、1層以上の非塩素系の熱可塑性樹脂の層からなり、その表面が電子線又は紫外線硬化性樹脂による再塗装適性を有する透明樹脂層が設けられてなることを特徴とする床用シートが開示されており、耐摩耗性や耐久性の付与等などが検討されている。
【0004】
また、特許文献2には、(A)光硬化性(メタ)アクリレート系樹脂、(B)光硬化性ポリシロキサン系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(C)光硬化性シリコーンブロック(メタ)アクリレート系樹脂、および(D)光重合開始剤を含有してなることを特徴とする汚染除去性に優れた光硬化性(メタ)アクリレート系樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-13587号公報
【文献】特許第3945628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の床用シートにおいては、防汚性や汚染除去性が十分ではなく、更なる改善が求められるところである。一方、特許文献2の光硬化性樹脂組成物は、従来の光硬化性樹脂組成物と比べて汚染除去性に優れるとされるが、特許文献2の光硬化性樹脂組成物は摺動性が高く、防滑性が求められる床材の用途には適さない。
【0007】
本発明の課題は、防汚性及び汚染除去性に優れると共に、防滑性に優れる床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、樹脂層を含む床材本体と、前記床材本体の上に表面保護層を有する床材であって、前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含む、床材、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防汚性及び汚染除去性に優れると共に、防滑性に優れる床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の床材の1つの実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1の床材を厚さ方向で切断した断面図である。
【
図3】本発明の床材の1つの実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記の課題について検討したところ、表面保護層に、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を使用することにより、防汚性、汚染除去性、防滑性に優れることを見出した。
【0012】
本発明の床材が、防汚性及び汚染除去性に優れると共に、防滑性に優れるメカニズムについては下記のように推測できる。本発明の床材は、防汚性に優れる電離放射線硬化性樹脂組成物に電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類が含まれるため、シリコン及びフッ素の官能基の有する摺動性及び撥水・撥油性によって電離放射線硬化性樹脂表面に汚れ物質が付着し難く、付着した汚れ物質も除去し易い。また、防滑性については、表面保護層表面に防滑性粒子による微細な凹凸が形成されるので、人が踏んだ際に足裏や靴底にめり込んで、適当な防滑性を有することができるためと推定される。シリコン及びフッ素を含む樹脂が電離放射線硬化性であるため、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化時に微細な凹凸を形成する防滑性粒子表面に電離放射線硬化性樹脂組成物として一体的に強固に固着することとなる。また、電離放射線硬化性樹脂を主成分としているため、防滑性粒子及び防滑性粒子表面の表面に固着している電離放射線硬化性樹脂組成物は、床材を人が踏んだ際に足裏や靴底に剥落し難くなる。このことにより、防滑性粒子表面の剥落による防滑性の低下と、シリコン及びフッ素を含む樹脂の剥落による防汚性の低下を共に防ぐことができる。また、シリコンオイルやフッ素樹脂などのようなシリコン及びフッ素樹脂組成物を電離放射線硬化性樹脂に混合した場合と異なり、ブリードによって防滑性が低下することも無い。
【0013】
本発明の床材は、床材本体と、前記床材本体の上に表面保護層を有する。本明細書において、上側とは、床材が床面に敷設される際に床面から遠い側を指し、表側ともいう。また、下側とは、床材が床面に敷設される際に床面に近い側を指し、裏側ともいう。
【0014】
図1は、本発明の床材の1つの実施形態を示す平面図であり、
図2は、その床材を厚み方向で切断した断面図の拡大である。図示例の床材1は、平面視長尺帯状に形成されている。長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の床材1は、通常、ロールに巻かれて保管及び運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本発明の床材は、長尺帯状に限られず、平面視正方形状などの枚葉状に形成されていてもよい(図示せず)。
【0015】
本発明において、床材本体2は、床材の強度および重量を構成する主たる部分である。本発明において、床材本体2は、合成樹脂成分を含有する樹脂層22を含むものである。床材本体2は、樹脂層22を含むものであれば本分野において公知のものを使用することができ、例えば、
図2のように床材本体2は、基材層21、形状安定化層23、化粧層24、表層3などの層を任意に組み合わせた構造のものが挙げられる。
【0016】
樹脂層22の合成樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂、各種エラストマー、ゴムなどが挙げられ、加工性や柔軟性、コストなどの観点から塩化ビニル樹脂が好ましい。合成樹脂成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0017】
塩化ビニル樹脂としては、ペースト塩化ビニル系樹脂、サスペンション塩化ビニル系樹脂などが用いられる。
【0018】
ペースト塩化ビニル系樹脂は、例えば、乳化重合法で得られるペースト状の塩化ビニル系樹脂であり、可塑剤により、適宜粘度を調整できる。ペースト塩化ビニル系樹脂は、多数の微粒子集合体からなる粒子径が0.1~10μm(好ましくは1~3μm)の微細粉末であり、好ましくは、前記微細粉末の表面に界面活性剤がコーティングされている。ペースト塩化ビニル系樹脂の平均重合度は1000~2000程度が好ましい。
【0019】
サスペンション塩化ビニル系樹脂は、例えば、懸濁重合法で得られる塩化ビニル系樹脂である。サスペンション塩化ビニル系樹脂は、粒子径が好ましくは20μm~100μmの微細粉末である。サスペンション塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、700~1500程度が好ましく、700~1100程度がより好ましく、700~1000程度がさらに好ましい。ただし、前記粒子径は、体積基準の粒度分布におけるメディアン径(D50)である。
【0020】
前記各塩化ビニル系樹脂は、K値60~95程度のものが好ましく、K値65~80程度のものがより好ましい。
【0021】
樹脂層22中の合成樹脂成分の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、5~100質量%とすることができる
【0022】
樹脂層22は、任意に添加剤を含むことができ、添加剤としては、充填剤、可塑剤、難燃材、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤などが挙げられる。
【0023】
樹脂層22は、非発泡でもよいし、発泡されていてもよい。樹脂層22が発泡されている場合、良好なクッション性を床材に付与する観点から、発泡倍率は1.05倍以上が好ましく、1.1倍以上がより好ましく、柔らかくなりすぎるのを防止する観点から10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましい。即ち、樹脂層22の発泡倍率は、1.05~10倍が好ましく、1.1倍~5倍がより好ましい。
【0024】
樹脂層22が複数ある場合において、樹脂層22の物性(材質、発泡の有無、厚さなど)は、それぞれ同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0025】
基材層21は、床材の最も下側に位置する層であって、敷設時の床材を床面に接着させる接着剤(以下、床面接着剤という)との接着強度を高め、床材の反りなどを抑制することを目的とした層である。基材層21としては、特に限定されないが、例えば、不織布、織布、紙、フェルトなどの従来公知のシート材を用いることができる。不織布や織布を構成する繊維の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
【0026】
形状安定化層23は、経時的な収縮や膨張による、床材の寸法変化を抑制するための層である。床材1の表面保護層4は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化成形時に収縮する。床材1は、樹脂製であるため、木材や石材、セラミックなどの他の材質の床材と異なり、収縮時に反りやすい。さらに、防汚性を増す為、防滑性粒子5の表面を表面保護層4の樹脂で被覆するのが望ましく、充分に防滑性粒子5を被覆するためには表面保護層4の層厚を厚くする必要がある。
図4に防滑性粒子の被覆イメージを示す。表面保護層の層厚Tを厚くした場合、表面保護層4は、硬化時により大きく収縮するため床材1がより反りやすくなる。床材が反ると、床面への敷設が困難となったり、目地部側面が露出すると歩行が困難なったり、目地が汚れるなどの不具合が生じる場合がある。これらの不具合を防ぐ為には、形状安定化層23を設けるのが望ましい。
【0027】
形状安定化層23は、床材1の全体の厚みの略中央の位置に設けることが好ましい。この位置に形状安定化層23を設けることにより、床材1の寸法安定性を高め、床材1の端部の反りを防止できる。また、表面保護層4の硬化収縮による反りを効果的に抑制する観点から、形状安定化層を2層以上設けることが好ましい。形状安定化層を2層以上とする態様例を
図3に示す。
図3に示す例では、形状安定化層23は、第1形状安定化層231、第2形状安定化層232の2層からなり、それら形状安定化層231,232を挟んで第1樹脂層221、第2樹脂層222及び第3樹脂層223が積層されている。たとえば、第1形状安定化層231と第2形状安定化層232との間隔は、1.0~2.0mm、好ましくは、1.2~1.6mmである。床材の反りを抑制するためには、第1形状安定化層231が、床材の全体の厚みの中央よりやや下に位置し、第2形状安定化層232の2層が、床材の全体の厚みの中央よりも上に位置していることが好ましい。
【0028】
形状安定化層23としては、不織布または織布などが挙げられる。不織布や織布を構成する繊維の材質は、特に限定されるものではないが、合成樹脂繊維、無機繊維、天然繊維などが挙げられる。合成樹脂繊維としては、ポリエステル、ポリオレフィンなどが挙げられ、無機繊維としては、ガラス、カーボンなどが挙げられ、天然繊維としては、パルプなどが挙げられる。寸法安定性の観点から、ガラス繊維を含むガラスシートが好適に用いられ、ガラスシートとしては、たとえば、ガラスマットなどのガラス繊維不織布、または、ガラスクロスなどのガラス繊維織布、が好ましい。繊維の材質は、単独で使用してもよいし、ガラス繊維とパルプとを混合させるなど2種以上を使用してもよい。不織布や織布の目付けは、特に限定されるものではないが、床材の寸法安定性をよくする観点から、10g/m2以上が好ましく、20g/m2以上がより好ましく、適度の柔軟性や加工性を担保する観点から、100g/m2以下が好ましく、50g/m2以下がより好ましい。即ち、不織布や織布の目付けは、10~100g/m2が好ましく、20~50g/m2がより好ましい。
【0029】
前記ガラス繊維不織布は、複数のガラス繊維が無秩序に上下方向(厚み方向)に重なり又は絡み合い且つそれらが接着剤などのバインダーにてバインドされて又はそれら自身がバインドし合って層を成しているもの、或いは、複数のガラス繊維がある程度の規則性を以て上下方向に重なり又は絡み合い且つそれらが接着剤などのバインダーにてバインドされて又はそれら自身がバインドし合って層を成しているものである。
【0030】
前記バインダーとしては、ガラス繊維に対する接合性の高いものが好ましく、ガラス繊維及び後述する接合樹脂に対する接合性の高いものがより好ましい。このようなバインダーとしては、例えば、1液型接着剤、2液型接着剤、熱硬化型接着剤、ホットメルト型接着剤、紫外線硬化型接着剤などの電子線硬化型接着剤などが挙げられる。具体的には、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合系、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる1種又は2種以上の混合物が例示される。ガラス繊維の太さは、例えば、直径5μm~30μmであり、好ましくは、直径8μm~20μmであり、長さは、例えば、10mm~30mmである。
【0031】
また、ガラスシートの目付量は、特に限定されないが、好ましくは10g/m2~100g/m2であり、より好ましくは20g/m2~50g/m2である。ガラスシートの厚み又は目付量が小さすぎると、床材1の引張り強度及び寸法安定性を十分に向上できず、一方、大きすぎると、接合樹脂がガラスシートの開口内にまで十分に行き渡らないおそれがある。なお、ガラスシートの密度は、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm3~0.5g/cm3である。
【0032】
前記ガラス繊維不織布及びガラス繊維織布などのガラスシートは、ガラス繊維の間に無数の開口を有する。この各開口は、概念的には、隣接するガラス繊維の間の隙間がガラスシートの厚み方向に連続して繋がったものである。
【0033】
前記ガラスシートは、無数の開口を有するので、ガラスシートの面内には、ガラスシートの表面側から裏面側に通じる通気路が確保されている。前記ガラスシートの開口率が大きいと、ガラスシートの通気性が高くなり、反対に前記開口率が小さいと、ガラスシートの通気性が低くなる。本明細書では、このような点を考慮して、ガラスシートの通気性を測定することによって、前記開口率を評価するものとする。なお、前記開口率は、ガラスシートの表面の単位面積当たりに占める開口総面積をいう。
【0034】
接合性の向上させるためには、通気度の大きいガラスシート、すなわち、開口率が比較的大きいガラスシートを用いることが好ましい。一方で、ガラスシートによる強度及び寸法変化抑制効果を床材1に付与するためには、ガラスシートの開口率にもある程度の上限がある。このような観点から、前記ガラスシートの通気度は、好ましくは100ml/cm2・sec~550ml/cm2・secであり、より好ましくは200ml/cm2・sec~450ml/cm2・secである。
【0035】
尚、ガラスシートの通気度は、JIS L 1096の通気性試験方法に準じて、株式会社東洋精器製作所製のフラジール型通気性試験機を用いて、測定対象のガラスシートを3枚重ねた状態で測定される値である。尚、3枚重ねた状態で測定する理由は、好適な開口率のガラスシートの場合、通気性が高すぎるため、それを1枚又は2枚を重ねた状態では、前記測定方法にて通気度を測定することが困難である場合があるからである。
【0036】
また、ガラスシートに接合樹脂が付着されている所謂「樹脂付きガラスシート」を形状安定化層23に用いると、ガラスシートガラスシートが有する接合樹脂を介して、その裏面及び表面に隣接する層を強固に接合することができるので好ましい。前記接合樹脂は、ガラス繊維の表面全体に付着されてもよく、或いは、多くのガラス繊維の表面全体に付着され且つ残るガラス繊維の表面の一部分に付着されていてもよい。また、接合樹脂は、ガラス繊維の表面に均一に付着されていてもよく、或いは、不均一に付着されていてもよい。
【0037】
樹脂付きガラスシートの通気度の好適な範囲は、樹脂付きでないものよりも小さく、具体的数値では、好ましくは80ml/cm2・sec~500ml/cm2・secであり、より好ましくは100ml/cm2・sec~400ml/cm2・secの範囲となるように設定することが好ましい。
【0038】
前記樹脂付きガラスシートの接合樹脂としては、ガラス繊維、ガラス繊維に接する樹脂層の何れにも接合するものであれば特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。具体的には、ガラス繊維に接する樹脂層と同種の樹脂とするのが望ましく、ガラス繊維に接する樹脂層が塩化ビニル系樹脂を主成分樹脂とする場合は、塩化ビニル系樹脂を含むことが好ましい。
【0039】
形状安定化層23の厚みは、特に限定されるものではないが、床材の反りを抑制し、寸法安定性をよくする観点から、0.1mm以上が好ましく、また、床材の厚みが厚くなりすぎず、床材に含まれる樹脂成分量が少なくならないようにする観点から、1.0mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.7mm以下がさらに好ましい。即ち、形状安定化層の厚みは、0.1~1.0mmが好ましく、0.1~0.8mmがより好ましく、0.1~0.7mmがさらに好ましい。なお、形状安定化層23が樹脂付きガラスシートの場合にはこの限りでなく、例えば、0.4~1.0mmとすることができる。
【0040】
前記のとおり、表面保護層4の層厚Tは防滑性粒子5を被覆するために充分な層厚とする必要がある。しかしながら、表面保護層4の層厚Tを増していくと、表面保護層4の収縮力が増していく為、床材1は反り易くなっていく。特に防滑性に優れる床材を提供するために防滑性粒子5の粒子径を大きくすると、表面保護層4の層厚Tを厚くする必要があるので、床材1はより反り易くなる。床材1の形状安定化層23を以上のような構成とすることによって、本発明の表面保護層4の層厚Tを、防滑性粒子を被覆するために充分な層厚にした場合であっても、床材1の反りを抑制して平面性を維持することが可能となる。一般的に、接着剤で施工する通常の床材の場合、床材が床面に接着剤で固定されるので、床材の反りを抑えることができる。しかし、粘着剤で施工する簡易置敷き床材の場合、粘着剤では床材の反りを抑制することが困難なので、敷設後に端部が上方へ反ると、美観を損なうとともに、目地に段差が生じて汚れが溜まり防汚性が劣ることとなる。形状安定化層23を備える態様の床材1は、反りを抑制することができるので、通常の接着剤で施工する床材のみならず、簡易置敷き床材としても好適に用いることができる。
【0041】
化粧層24は、床材1に意匠性を付与するための層である。化粧層24は、床材本体2の表側に設けられることが好ましい。化粧層24としては、意匠性を付与するものであれば特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性樹脂などにより形成され、表面にデザイン印刷が転写されているものや、着色されているものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂、各種エラストマー、ゴムなどが挙げられ、表層3との密着性の観点から塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0042】
表層3は、床材1に耐久性、耐磨耗性、耐傷付き性などを付与する層である。表層3は、表面保護層4が摩耗した場合における床材本体2の摩耗防止や、表面保護層4を剥がれ難くするためのものである。表層3としては、特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性樹脂および可塑剤などにより形成され、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂、各種エラストマー、ゴムなどが挙げられ、柔軟性や加工性、耐久性、コストの観点などから塩化ビニル樹脂が好ましい。塩化ビニル樹脂は、ペースト塩化ビニル系樹脂、サスペンション塩化ビニル系樹脂などが用いられる。熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。可塑剤としては、安息香酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤などが使用される。可塑剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0043】
表面保護層4は、床材1の最も表側に位置する層であって、床材本体2を保護する層である。表面保護層4は、透明又は不透明でもよいが、表面保護層4の裏面側に設けられた化粧層24などの意匠を視認できるようにするため、透明であることが好ましい。表面保護層4は、耐傷付き性を発揮しつつ、表面保護層全体がもろくならず、耐衝撃性にも優れるという理由から、層厚が2~50μmであることが好ましく、5~35μmであることがより好ましい。特に、層厚が3μm以上で十分な耐傷性が得られ、層厚が35μm以下で床材全体の剛性が高くなりすぎず、割れにくく、加工性がしやすくなる。
【0044】
本発明において、表面保護層4は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含む。
【0045】
本発明の表面保護層4に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、荷電粒子線又は電磁波の中でモノマーなどを架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、電子線又は紫外線などを照射することにより、架橋、硬化した樹脂を指し、公知の方法で電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線または光を照射して得ることができるものである。電離放射線硬化性樹脂は、例えば、硬化性モノマー又はオリゴマーが電離放射線により硬化した樹脂である。前記硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、電離放射線によって硬化可能であれば特に限定されず、前記硬化性モノマーとしては、表面保護層4に要求される硬度や光沢、耐汚染性などの特性を有し、塗工に適当な従来公知の単官能モノマーや2官能モノマー、3官能以上の多官能モノマーを1種単独で又は2種以上併用できる。前記硬化性オリゴマーとしては、表面保護層4に要求される硬度や光沢、耐汚染性などの特性を有し、塗工に適当なビスフェノールA型、ノボラック型、ポリブタジエン型のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル型のウレタン(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを1種単独で又は2種以上併用できる。比較的強固な表面保護層4を形成でき且つ汎用的であることから、紫外線によって硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーを用いることが好ましい。
【0046】
硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合基又はエポキシ基等を有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0047】
前記硬化性モノマーの具体例としては、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物などが挙げられる。前記硬化性オリゴマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、コロイダルシリ力と(メタ)アクリロイルアルコキシシランを縮合して得られる有磯無機ハイブリッド(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和結合を有する単官能(メタ)アクリレートまたは多官能(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシなどが挙げられる。
【0048】
これらの中では、適度な柔軟性を有し、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れた床材1を形成でき、さらに、床材本体2との密着性に優れていることから、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0049】
前記硬化性モノマー又はオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、例えば、200~10000の範囲内などが挙げられる。
【0050】
本発明で使用される、電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が重合した硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種類と防滑性粒子とを含み、必要に応じて、その他の成分を含んで形成されている。他の成分としては、シリコン変性されていない電離放射線硬化性樹脂、フッ素変性されていない電離放射線硬化性樹脂、重合開始剤、その他の各種添加剤などが挙げられる。電離放射線により硬化する樹脂としては、加工性の良さ及び汎用的であることから、光硬化性樹脂を用いることが好ましく、紫外線硬化性樹脂を用いることがより好ましい。
【0051】
たとえば、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、シリコン変性されていない電離放射線硬化性樹脂とを混ぜて使用する場合、両者とも、光硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂を選定することによって、製造時の作業性に優れるので好ましい。電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、フッ素変性されていない電離放射線硬化性樹脂とを混ぜて使用する場合も同様である。
【0052】
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、シリコン変性されているので、ブリードアウトすることがなく、防滑性粒子に強固に結合することができ、硬化後に剥がれを抑制し、床材としての耐久性に優れる。
【0053】
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂及び電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、硬化反応に利用できる官能基を1個以上含むことができ、好ましくは2個以上含むことができる。特に、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートであり得る。前記多官能(メタ)アクリレートは、エポキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホン酸基またはイソシアネート基を含むことができる。
【0054】
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が重合した硬化性樹脂を合わせた含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中0.1質量%~5質量%が好ましく、0.3質量%~3質量%がより好ましい。0.1質量%以上で防汚性が確保でき、質重量%以下だと床材の防滑性を損なうことがない。
【0055】
また、電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂及び電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体を用いると、重合性が良いため、好適である。
【0056】
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリシロキサンからなる片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の一つである。電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、たとえば電離放射線硬化性ポリシロキサン系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であり、ポリシロキサン中の官能基とウレタン(メタ)アクリレート樹脂中の官能基が化学的に反応し結合したものをいう。(メタ)アクリル基は、1~6つ有するものが好ましく、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
【0057】
本発明で用いられるシリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、電離放射線硬化性ポリシロキサン系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好適であり、1種または2種以上のポリジアルキルシロキサン系ウレタン(メタ)アクリレートを使用することができる。好ましくはポリジメチルシロキサン系ウレタン(メタ)アクリレートであり、たとえばイソシアネート類とシリコーンポリオール類とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とを反応させることにより合成され、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH2=CH-CO-)またはメタクリロイル基(CH2=C(CH3)-CO-)を有し、ウレタン結合(-NH-COO-)と、ポリジアルキルシロキサン結合、好ましくはポリジメチルシロキサン結合(-(-Si(CH3)2 -O-)n-)を有する。これらは公知の方法により合成することができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
【0058】
一方、本発明で用いられるフッ素変性(メタ)アクリレートは、パーフルオロ基を有する化合物を(メタ)アクリレートと反応させることによって製造できる。例えば、前記硬化性フッ素系化合物は、パーフルオロポリオール、パーフルオロポリエーテルポリオール、カルボン酸を有するパーフルオロポリエーテル二塩基酸、及びエポキシ基を有するパーフルオロポリエーテルエポキシ化合物等のようなパーフルオロ基を有する化合物を、カルボン酸を有する変性(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及びイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートと反応させることにより形成される多官能(メタ)アクリレートであり、2-(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-9-メチルデシル)-1,2-エポキシプロパン、(メタ)アクリル酸-2,2,2-トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸-2-トリフルオロメチル等のオリゴマーまたはプレポリマーを含むことができる。
【0059】
本発明で用いられる電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂及び電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、電離放射線硬化性樹脂組成物が硬化する際に、同時に硬化して一体化して表面硬度の高い光硬化樹脂層を形成する。このため、表面にシリコンやフッ素がブリードアウトすることなく良好で持続的な防汚性表面を得ることができる。さらに、これらの変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、分子内にウレタン結合を有する為、水素結合による適度な靱性を有し、床材に必要な耐屈曲性に優れる。
また、本発明の表面保護層4の表面に滑性を付与し、耐擦傷性等を向上させることができる。同時に滑りやすくなるという課題が生じる。
【0060】
シリコン変性されていない電離放射線硬化性樹脂、フッ素変性されていない電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知のものを使用することができる。これら電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線によって硬化する電子放射線硬化性の、モノマー及びオリゴマーの少なくとも一方が重合してなる、硬化性樹脂を、含んでおり、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
【0061】
電離放射線硬化性の、モノマー又はオリゴマーとしては、分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の、重合性不飽和結合基又はエポキシ基等を有する、モノマー又はオリゴマーが、挙げられる。電離放射線硬化性モノマーの具体例としては、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物などが、挙げられる。電離放射線硬化性オリゴマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のアクリレート;不飽和ポリエステル;エポキシなどが、挙げられる。これらの電離放射線硬化性の、モノマー又はオリゴマーは、単独で使用でき、又は、2種以上を併用できる。汎用的であり、加工性に優れることから、紫外線によって硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーを用いることが好ましい。
【0062】
特に、電離放射線硬化性の、モノマー又はオリゴマーとしては、分子中に(メタ)アクリレート基を有する、モノマー又はオリゴマーを用いるのが好ましく、更には、ウレタン(メタ)アクリレートを用いるのがより好ましい。
【0063】
電離放射線硬化性の、モノマー又はオリゴマーの、分子量は、特に限定されないが、例えば200~10000の範囲内であるのが好ましい。
【0064】
電離放射線硬化性の、モノマー又はオリゴマーは、通常、重合開始剤が添加されて使用される。重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、その他のチオキサント系化合物などが、挙げられる。
【0065】
防滑性粒子5は、表面保護層4に防滑性を付与する粒子であり、表面保護層4に配合することにより、表面保護層4の表面に微細な凹凸が生じ、表面保護層4上に乗る足裏が滑り難くなる。防滑性粒子5としては、例えば、1種または2種以上の無機粒子を使用することができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ガラス、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、窒化珪素、炭化珪素、ゼオライト、シラスバルーン、珪藻土、二酸化ケイ素、ダイヤモンドなどの粉粒体が挙げられ、耐久性やコストの観点から好ましくはアルミナである。なお、本発明の床材1には、表面保護層4に、光触媒粒子を含有させないことが好ましい。光触媒粒子は光活性作用を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化銅等よりなり、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルなどの活性酸素を生成する粒子である。本発明の床材1は、光触媒粒子が生成した活性酸素によって、酸化・分解されて耐久性低下し、表面保護層4から防滑性粒子5が剥落しやすくなり、防汚性、防滑性が低下しやすくなる。したがって、電離放射線硬化性樹脂組成物中の光触媒粒子の含有量は、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0066】
防滑性粒子5の形状は、楕円体や球などの球状、多角形、鱗片状、不定形等が挙げられるが、球状は、角が丸まっているので、防汚性と防滑性の両立の観点から好ましい。防滑性粒子5の平均粒子径は、好ましくは2μm~100μmであり、より好ましくは5μm~80μmであり、さらに好ましくは15μm~60μmである。防滑性を付与しつつも防汚性を阻害しない観点から、防滑性粒子5の平均粒子径と表面保護層4の厚さとの比(粒子径μm/厚さμm)は、好ましくは0.1~10であり、より好ましくは0.5~5であり、さらに好ましくは0.8~3である。本明細書における防滑性粒子5の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定により測定されたものを指す。これによって、表面保護層4の表面に微細な凹凸が形成され、防汚性と防滑性を両立させることができる。
【0067】
また、
図4に示すように、防滑性粒子5は、防汚性の観点から、表面保護層4の中に埋没していることが好ましく、凸部においても、防滑性粒子5の表面に表面保護層4が薄く被覆している被覆部5aが形成されることが好ましい。防滑性粒子5が表面保護層4から露出してしまうと、露出した箇所において汚れが付着し易くなり、防汚性が悪化することとなる。たとえば、被覆部5aの厚みは、1μm~10μmであり、好ましくは、4~8μmである。被覆部5aの厚みが、下限値よりも小さいと、被覆部5aが剥がれ易くなり、上限値よりも大きいと、防滑性粒子5による凹凸の形成が困難となる。
【0068】
電離放射線硬化性樹脂組成物中の防滑性粒子5の含有量は、粘度等加工性の観点から、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~45質量%であり、さらに好ましくは12~30質量%である。防滑性粒子5の含有量は、防滑性粒子5を2種以上使用した場合においては合計量を指す。
【0069】
電離放射線硬化性樹脂組成物には、電離放射線重合開始剤が添加されることが好ましい。電離放射線重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系電離放射線重合開始剤、アセトフェノン系電離放射線重合開始剤、ベンゾフェノン系電離放射線重合開始剤、チオキサントン系電離放射線重合開始剤などが挙げられる。
【0070】
ベンゾイン系電離放射線重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0071】
アセトフェノン系電離放射線重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール(別名、2,2-ジメトキシ-2- フェニルアセトフェノン)、ジエトキシアセトフェノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル- ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル- トリクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1- オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2- ヒドロキシ-2- メチルプロパン-1- オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2- ヒドロキシ-2- メチルプロパン-1- オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)- フェニル(2-ヒドロキシ-2- プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4- (メチルチオ)フェニル]-2- モルホリノプロパン-1などが挙げられ、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましく用いられる。
【0072】
ベンゾフェノン系電離放射線重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3'- ジメチル-4- メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0073】
チオキサントン系電離放射線重合開始剤としては、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソンなどが挙げられる。
【0074】
電離放射線重合開始剤は、電離放射線硬化性脂組成物全体100質量部に対して、0.1~10質量部、好ましくは1~8質量部、さらに好ましくは2~6質量部の割合で用いられる。
【0075】
その他、電離放射線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、任意に添加剤を含むことができ、添加剤としては、溶剤、レベリング剤、防滑性粒子以外の微粒子、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤、重合禁止剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、艶消し剤、消泡剤、沈降防止剤、熱安定剤、(メタ)アクリレート系モノマー、硬化性樹脂を含む組成物などが挙げられる。
【0076】
溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、グリコール類、セロソルブ類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0077】
本発明で必要に応じて用いられる(メタ)アクリレート系モノマーとしては、具体的には、アルキレンポリオールや低重合率のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸とのエステルで、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2(2- エトキシエトキシ)エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0078】
本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物は、床材1の床材本体2上に、ゴムないしスポンジロールコーター、スプレー、バキュームコーターなどの塗装機を用いて塗布され、塗布面に電子線または光、好ましくは紫外線を照射してウェット状態の塗膜を硬化させることにより、汚染除去性に優れた硬化塗膜(被膜)が得られる。本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物の塗装回数は、特に制限はなく、一回または二回以上でもよい。
【0079】
この電離放射線の照射は、従来公知の照射方法により行なうことができる。たとえば200kV、3~10Mradの条件で電子線照射して塗膜を硬化させることができる。また、光照射の光は、紫外線または可視光線であり、光照射は、従来公知の照射方法により行なうことができる。たとえば高圧水銀ランプは、80~120W/cm1灯で、ベルトスピードは5~20m/分であり、灯数を増すことにより、ベルトスピードを早くすることができる。また、W/cmの能力を増すことにより、ベルトスピードを早くすることができる。
【0080】
表面保護層4の硬度は、表面保護層4の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物を25μmの膜厚でガラス板上に塗布して硬化させたものの鉛筆硬度で評価することができ、耐久性、傷つき難さ、耐衝撃性の観点から好ましくは6B~4Hである。鉛筆硬度の測定は、鉛筆硬度試験(JIS K 5600-5-4)に準じて、評価する。
【0081】
表面保護層4の硬度は、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋密度などを適切に設計することによって実現され、上記の硬度となるような架橋密度とすることが好ましい。
【0082】
表面保護層4の表面粗さは、防滑性と防汚性を兼ね備えるという観点から、次のようなRa、Ry、Rpkの各値が好ましい。Raは、好ましくは1.85~13であり、より好ましくは1.9~8であり、さらに好ましくは1.9~5である。Ryは、好ましくは9~70であり、より好ましくは10~50であり、さらに好ましくは10~30である。Rpkは、好ましくは2~30であり、より好ましくは3~20であり、さらに好ましくは3.5~12である。本明細書における表面粗さは、JIS B0601-1994に準じて表面粗さ測定機により測定されたものから算出される。Ra、Ry、Rpkの各値が下限値以上であれば防汚性を高めることができ、上限値以下であれば歩行に違和感が無く、防滑性が良好である。
【0083】
表面保護層4には、防滑性を付与する観点から、エンボスを施してもよい。エンボス加工は、床材1の表面に所望の凹凸形状を付与するために行う。例えば、表面保護層4を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸形状を有するエンボス版で加圧・賦形し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。エンボス加工の凹凸形状としては、特に限定されず、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地、その他、図示しないが定形の凸部が規則的又は不規則的配列で突設されたもの、不定形の凸部が不規則的配列で突設されたもの等が挙げられるが、防滑性の付与という観点から、砂目や梨地などの指向性の無い模様がどの方向にも防滑性を均一に発揮することができるので好ましい。また、エンボスの深度は、防滑性の付与という観点から、たとえば、0.01~0.5mm、より好ましくは0.05mm~0.3mmであり、さらに好ましくは0.1mm~0.2mmが好ましい。
【0084】
表面保護層4は、透明でもよいし、不透明でもよいが、床材本体2の意匠を視認できる程度に透明であることが好ましい。
【0085】
表面保護層4の厚さTは、特に限定されるものではないが、5~150μmが好ましく、10~70μmがより好ましく、15~40μmがさらに好ましい。本明細書において、表面保護層の厚さは、
図4に示すように、防滑性粒子5により隆起した分の厚さを含むものではない。
【実施例】
【0086】
[電離放射線硬化性樹脂組成物の調製]
実施例1~8
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂「UV No.119LT-DX(中国塗料社製)」に表4~6記載ののアルミナを表4~6に記載の質量比となるように添加して、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0087】
比較例1
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有しない電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂「UV No.146B(中国塗料社製)」を電離放射線硬化性樹脂組成物として使用した。
【0088】
参考例1
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有しない電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂「UV No.118LT(中国塗料社製)」を電離放射線硬化性樹脂組成物として使用した。
【0089】
比較例2
アルミナを添加しない以外は実施例2と同様にして調製した。
【0090】
参考例2
電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂「No.119LT-DX(中国塗料社製)」に代えて、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含有しない電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂「U1102(大日精化社製)」を使用した以外は実施例2と同様にして調製した。
【0091】
[床材の作製]
実施例1、2、3、4、5、8、比較例1、2、参考例1、2
構成表1から表面保護層を除く床材中間品を、公知の方法で熱と圧力をかけて作製し、この床材中間品の表面に、鏡面あるいはエンボスを押した。ここで、鏡面を押すとは鏡面状のフラットな板やロールで押すことを指し、エンボスを押すとは凹凸が形成される板やロールで押すことを指す。次いで、前記のとおり調製した電離放射線硬化性樹脂組成物を、床材中間品の表層上にナチュラルロールコート法により均一な厚みで塗布した後、直ちに空気中において有電極紫外線ランプで紫外線を照射することにより、表面保護層を形成した。実施例2~5、比較例2については鏡面仕上げとエンボス仕上げの二種類のサンプルを作製し、実施例1、8、比較例1、参考例1、2については、鏡面仕上げとした。なお、表1で使用したガラスシートの目付量は30g/m2であり、通気度は299ml/cm2・secであり、エンボス仕上げにおけるエンボス深度は0.1mmであった。なお、この通気度は、ガラスシートを3枚重ねて測定した値である。
【0092】
【0093】
実施例6
構成を表1に代えて表2とした以外は実施例8と同様にして床材を作製した。但し、実施例6の床材は参考例である。
【0094】
【0095】
実施例7
構成を表1に代えて表3とした以外は実施例8と同様にして床材を作製した。なお、表3で使用したガラスシートは、表1で使用したものと同じである。
【0096】
【0097】
<BHM試験>
実施例1、比較例1、参考例1の床材について、縦×横=18cm×28cmの長方形状に裁断しそれぞれ3枚のサンプルを作製した。この3枚のサンプルの表面保護層とは反対側の面を、縦×横×高=52cm×52cm×45cmの立方体状の中空容器の内壁に貼り付けた。この中空容器内に、縦横高=5cm×5cm×5cmの立方体状のゴム片を6個入れ、この容器を時計回りに15分間回転(回転速度:63回転/分)させ、次に、反時計回りに15分間回転(回転速度:63回転/分)させた。回転停止後、サンプルを取り出し、その表面の汚れ状態を目視で観察し、写真撮影した。
続いて各サンプルの表面を乾燥した状態で紙拭き(乾拭)及び、水で濡らした状態で紙拭き(水拭)し、汚れを拭き終わるまでの時間(10分間以内に拭き取れないものは拭き取り不可とする。)と拭きとった後の汚れ状態を目視で観察し、写真撮影した。
清掃後の表面の防汚性および汚染除去性を、目視で以下の基準で評価した。その結果を表4に示す。また、
図5に、各例の試験直後および拭き取り後の状態を示す。
◎:ヒールマークがつかない
○:ヒールマークがつくが紙拭き・水拭きで短時間で拭きとれるもの
△:ヒールマークがつくが紙拭き・水拭きで時間をかければ拭きとれるもの
×:紙拭き・水拭きした後でもわずかにヒールマークがのこるもの
【0098】
【0099】
<防滑性>
実施例2~5、比較例2、参考例2の床材について、表5に示す各種靴で滑り性の官能評価を実施した。試験結果は以下の基準に基づき、8名の測定結果から平均値を算出した。結果を表5に示す。なお、表中の「乾燥」は、サンプルの乾燥状態での防滑性を指し、「水」は、サンプル表面に対して均一に水を散布した湿潤状態での防滑性を指す。
1:滑りやすい
2:やや滑りやすい
3:やや滑りにくい
4:滑りにくい
5:滑らない
【0100】
【0101】
<反り試験>
実施例6~8の床材について、実施例6,7は、450mm×450mm、実施例8は、500mm×500mmの寸法の床材を用いて反りを測定した。反りの測定は、5℃、23℃、35℃における反りをJIS A1454 14に準拠して測定した。具体的には、試料を磨きガラス板上に表面を上にして置き、恒温室内(5、23,35±2℃、湿度50±10%)に24時間静置して調整した試料を磨きガラス板上に載せ、試料の四隅とガラス板との間隙を1/10mmスケール付きルーペを用いて反り値を測定し、その平均値を反り値とした。なお、反り値のプラスは、端部が上方に反った値(上反り値)を、マイナスは、端部が下方に反った値(下反り値)を示す。その結果を表6に示す。
【0102】
【0103】
<表面粗さ>
実施例2~5、比較例2、参考例2について、JIS B0601-1994に準じて表面粗さ測定機(サーフコム130A(東京精密社製))を用いて以下の条件で、表面粗さを測定した。Ra、Ry、Rpkの各値は、サンプルの縦方向と横方向について値をそれぞれ算出し、平均値を算出したものである。さらに、前記と同様の基準で防汚性および汚染除去性を評価した。結果を表7に示す。なお、表7の防滑性評価は、表5のサンダル、乾燥状態において、3.0を超えるものを◎、2.5~3.0を○、2.5未満を×として評価している。
測定長さ:12.5mm
カットオフ:2.5mm
測定速度:1.5mm/s
測定レンジ:±40μm(一部レンジオーバーするのは±400μm)
【0104】
【0105】
実施例1、比較例1、参考例1から、表面保護層に電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が含有されていると、防汚性および汚染除去性に優れていることがわかる。
【0106】
実施2~5および比較例2から、表面保護層に防滑性粒子が含有されていると、防滑性に優れていることがわかる。
【0107】
床材の反りについては適度なマイナス値であることが好ましいが、実施例6~8を対比すると、床材本体中にガラスシートを2枚含む実施例8が特に好ましいものであった。
【0108】
表7より、Raが、1.85~13、Ryが、9~70、Rpkが、2~30の範囲を満足する実施例2~5は、防汚性および汚染除去性と、防滑性とのバランスがよいことがわかる。このうち、実施例3が特に好ましいものであった。
【0109】
本発明は、上記の実施態様および実施例によりなんら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の実施態様を取り得る。
【符号の説明】
【0110】
1 床材
2 床材本体
21 基材層
22 樹脂層
221 第1樹脂層
222 第2樹脂層
223 第3樹脂層
23 形状安定化層
231 第1形状安定化層
232 第2形状安定化層
24 化粧層
3 表層
4 表面保護層
5 防滑性粒子
5a 被覆部
T 表面保護層の厚さ