(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】疎水性表面を有するバッテリー用セパレーター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/451 20210101AFI20220202BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20220202BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20220202BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20220202BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20220202BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20220202BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20220202BHJP
C23C 16/32 20060101ALI20220202BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/457
H01M50/489
H01M50/434
H01M50/411
H01M50/403 D
H01M50/403 E
C23C16/40
C23C16/32
C23C16/34
(21)【出願番号】P 2016207100
(22)【出願日】2016-10-21
【審査請求日】2019-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2015-0148155
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】クワック ウォン スブ
(72)【発明者】
【氏名】パク ミン サン
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-089323(JP,A)
【文献】国際公開第2008/029922(WO,A1)
【文献】特開2007-273123(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153954(WO,A1)
【文献】特開2014-207059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
C23C 16/32-16/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と前記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、前記第1の表面と前記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートと、前記多孔性ポリマーシートの前記第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及び前記ポアの内部表面にある耐熱性無機物層と、を含み、
前記第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及び前記ポアの内部表面は前記耐熱性無機物層上に疎水性官能基を有する疎水性コーティングされた疎水性層を有するが、前記疎水性層は前記耐熱性無機物層に比べて大きい接触角を有することを特徴とする、二次電池用セパレーター。
【請求項2】
前記疎水性官能基はフッ素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項3】
前記疎水性コーティングされたセパレーターは含水率が3000ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項4】
前記耐熱性無機物層は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、シリコン、チタン及びジルコニウムからなるグループから選択される少なくとも一つの金属元素の原子と、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つの非金属元素の原子と、を含む分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項5】
前記耐熱性無機物層は1~50nmの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項6】
前記ポアの内部表面に形成される耐熱性無機物層の厚さは前記多孔性ポリマーシートの第1の表面又は第2の表面に形成される耐熱性無機物層の厚さより薄いことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項7】
前記耐熱性無機物層はポアの内部に部分的に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セパレーター。
【請求項8】
第1の表面と前記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、前記第1の表面と前記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートに対して金属化合物及び非金属化合物を蒸気相で交互に供給して原子層蒸着法によって前記第1及び第2の表面並びに前記ポアの内部表面に耐熱性無機物層を形成する段階と、
前記耐熱性無機物層上に疎水性官能基を有する前駆体を供給して原子層蒸着法によって前記第1の表面又は第2の表面のうち、少なくとも一つの表面及び前記ポアの内部表面の耐熱性無機物層上に疎水性処理する段階と、を含むことを特徴とする、疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項9】
前記疎水性官能基はフッ素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項8に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項10】
前記疎水性官能基を有する前駆体は、ハロゲン、アミン及びアルコキシ基から選択される少なくとも一つの脱離基を有する炭素数1~20のフッ化炭化水素と、
n-オクタデシルシラン、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン又はヘキサメチルシラザンからなるグループから選択される少なくとも一つのシラン化合物と、
CFR
1=CR
2R
3で表現されるフッ素含有工程ガスと、
(前記式において、R
1、R
2、及びR
3は互いに独立してフッ素原子又は一価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素であるか、又はR
1、R
2及びR
3のうち少なくとも二つ以上は二価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素であり、残りはフッ素原子又は一価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素である。)からなるグループから選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項8に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項11】
前記疎水性官能基を取り入れる原子層蒸着法は複数回行われることを特徴とする、請求項8に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項12】
前記耐熱性無機物層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる無機金属酸化物から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項8~
11のいずれか1項に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項13】
前記耐熱性無機物層は金属化合物蒸気を供給して蒸着した後にパージする段階、及び前記非金属化合物蒸気を供給して蒸着した後にパージする段階を繰り返して形成されることを特徴とする、請求項8~
11のいずれか1項に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項14】
前記多孔性ポリマーシートは金属化合物と反応可能な核を有することを特徴とする、請求項8~
11のいずれか1項に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項15】
前記金属化合物と反応可能な核はヒドロキシ基及びアミン基からなるグループから選択される少なくとも一つの官能基であることを特徴とする、請求項
14に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項16】
前記金属化合物と反応可能な核はプラズマ処理又はコロナ処理によって生成されることを特徴とする、請求項
14に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【請求項17】
前記非金属化合物は、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つを含む化合物で、金属化合物と反応可能な官能基を有する化合物であることを特徴とする、請求項8~
11のいずれか1項に記載の疎水性を有する二次電池セパレーターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー用セパレーター及びその製造方法に関し、より具体的には、表面が疎水性処理されたバッテリー用セパレーター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般のリチウムイオン二次電池は、リチウム複合酸化物を含む陽極と、リチウムイオンの吸蔵及び放出可能な材料を含む陰極と、陽極と陰極の間に介在するセパレーター及び非水電解液と、を備える。このようなリチウムイオン二次電池は上記陽極と陰極及びセパレーターを介在して積層された電極、又は上記積層後に巻かれて柱状の巻回電極として形成される。
【0003】
上記セパレーターは、陽極と陰極の間を電気的に絶縁する役割、及び非水電解液を支持する役割を担う。このようなリチウムイオン二次電池のセパレーターとしては多孔性ポリオレフィンを使用することが一般的である。多孔性ポリオレフィンは優れた電気絶縁性及びイオン透過性を示すもので、上記リチウムイオン二次電池やコンデンサー等のセパレーターとして広く利用されている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、高い出力密度及び容量密度を有する一方で、非水電解液として有機溶媒を利用しているため、短絡や過充電等の異常状態に伴う発熱によって非水電解液が分解し、最悪の場合には発火する場合がある。このような事態を防止するため、リチウムイオン二次電池はいくつかの安全機能を有するが、そのうちの一つとしてセパレーターのシャットダウン(shut down)機能が挙げられる。
【0005】
上記セパレーターのシャットダウン機能とは、電池が異常発熱を起こしたとき、セパレーターのポアが樹脂材料の熱溶融等によって閉塞して非水電解液中のイオン伝導を抑制することで、電気化学反応の進行をストップさせる機能をいう。
【0006】
一般にシャットダウン温度が低いほど安全性が高いと知られているが、ポリエチレンがセパレーターの成分として利用されている理由の一つには適当なシャットダウン温度を有するという点がある。このようなセパレーターとして、例えば、多孔質化及び強度の向上のために一軸延伸或いは二軸延伸した樹脂フィルムが利用されている。
【0007】
しかし、シャットダウンされると、セパレーターのメンブレン自体にシュリンク(shrink)がともに発生し、この際、陽極と陰極が接触して内部ショート等の二次的な問題を起こす場合がある。したがって、セパレーターの耐熱性を向上させることで熱収縮を減少させて安全性を向上させることが求められている。
【0008】
このようなシュリンクによる内部ショート等の問題を防止するために、ポリオレフィン系有機セパレーター上に、又は電極(正極や負極)上に無機粒子等の非導電性粒子を含む層(多孔膜)を積層することが提案されており、また、多孔性ポリオレフィン系基材の表面及びポアの内部に原子層蒸着法(atomic layer deposition、ALD)により酸化無機膜を蒸着したセパレーター(日本特許公開第2012-181921号)が公知されている。
【0009】
しかし、ポリオレフィン等の多孔質基材上に多孔質層を形成する場合、湿式法によって形成され、また、セパレーターに含まれた無機物が親水性を有するため、セパレーターは気孔に多くの水分を保有しやすい。このような水分は電解液と反応を起こしてガスを発生させるか、又は水分が原因でリチウムイオンが消費されて電池全体のサイクル寿命を著しく低下させる等、電池に悪影響を及ぼす。
【0010】
したがって、セパレーターには優れたサイクル特性を安定的に発現するために含水率を低く維持する必要があり、セパレーターの含水率を低く維持すべく、無機粒子に官能基を取り入れる技術(韓国特許公開第2014-0003429号)、無機粒子に表面改質剤を取り入れる技術(韓国特許第1223081)、無機粒子の表面にカップルリング剤をコーティングする技術(韓国特許第1358761)、及びセパレーターの表面にPVdFを含む層を取り入れる技術(日本特許公開第2014-026946号)等が公知されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、一具現例により、ポアの内部まで親水性無機酸化物を含むALD方法によって製造されたセパレーターの含水率を改善させて電池寿命を長期化し、安定的な電池運用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一見地によると、二次電池用セパレーターを提供し、上記セパレーターは、第1の表面と上記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、上記第1の表面と上記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートと、上記多孔性ポリマーシートの上記第1の表面又は第2の表面の少なくとも一つの表面及び上記ポアの内部表面に原子層蒸着法(ALD)によって形成された耐熱性無機物層と、を含み、上記第1の表面又は第2の表面の少なくとも一つの表面及び上記ポアの内部表面は上記耐熱性無機物層上に疎水性官能基を有する疎水性コーティングされた疎水性層を有し、且つ上記疎水性層は上記耐熱性無機物層に比べて大きい接触角を有するものであってもよい。
【0013】
上記疎水性官能基はフッ素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つであってもよい。
【0014】
上記疎水性コーティング層が適用された分離膜は含水率3000ppm以下であることが好ましい。
【0015】
上記耐熱性無機物層は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、シリコーン、チタン、バナジウム、亜鉛、タンタル、ハフニウム及びジルコニウムからなるグループから選択される少なくとも一つの金属元素の原子と、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つの非金属元素の原子と、を含む分子を含んでもよい。
【0016】
一方、上記耐熱性無機物層は1~50nmの厚さを有してもよい。
【0017】
上記耐熱性無機物層はポアの内部に部分的に形成されることができ、また、ポアの内部表面に形成される耐熱性無機物層の厚さは上記多孔性ポリマーシートの第1の表面又は第2の表面に形成される耐熱性無機物層の厚さより薄くてもよい。
【0018】
本発明の他の見地によると、疎水性表面を有する二次電池用セパレーターの製造方法を提供し、上記方法は、第1の表面と上記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、上記第1の表面と上記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートに対して金属化合物及び非金属化合物を蒸気相で交互に供給して原子層蒸着法によって上記第1の表面及び第2の表面並びに上記ポアの内部表面に耐熱性無機物層を形成する段階と、上記耐熱性無機物層上に疎水性官能基を有する前駆体を供給して原子層蒸着法によって上記第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及び上記ポアの内部表面の耐熱性無機物層上に疎水性層を形成する段階と、を含む。
【0019】
上記疎水性官能基は、フッ素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つであることができる。このような疎水性官能基を有する前駆体は、ハロゲン、アミン又はアルコキシ基の脱離基を有する炭素数1~20のフッ化炭化水素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つの化合物、例えば、n-オクタデシルシラン、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルシラザンを有することができる。また、CFR1=CR2R3で表され、上記式においてR1、R2及びR3は互いに独立してフッ素原子又は一価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素であるか、又はR1、R2及びR3のうち少なくとも二つ以上は二価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素であり、残りはフッ素原子又は一価のフッ素を有する炭素数1~10の炭化水素であるフッ素含有工程ガスであってもよい。
【0020】
一方、上記疎水性官能基を取り入れる段階は原子層蒸着法によって行われることが好ましく、複数回行って形成することができる。
【0021】
本発明のさらに別の見地によると、第1の表面と上記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、上記第1の表面と上記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートに対して金属化合物及び非金属化合物を蒸気相で交互に供給して原子層蒸着法によって上記第1の表面及び第2の表面並びに上記ポアの内部表面に耐熱性無機物層を形成する二次電池セパレーターを製造する製造段階と、上記二次電池セパレーターにエネルギーを加えて、上記第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及び上記ポアの内部表面の耐熱性無機物層の表面に疎水性化合物の前駆体を供給し、吸着して反応ガスとの表面反応で薄膜を成長させて、上記第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及び上記ポアの内部表面の耐熱性無機物層上に疎水性層を形成する段階と、を含む疎水性表面を有する二次電池用セパレーターの製造方法を提供する。
【0022】
一方、本発明で提供される疎水性表面を有する二次電池用セパレーターの製造方法において、上記耐熱性無機物層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化亜鉛等の無機金属酸化物から選択される少なくとも一つで形成されることができる。
【0023】
上記耐熱性無機物層は、金属化合物蒸気を供給して蒸着した後にパージする段階、及び上記非金属化合物蒸気を供給して蒸着した後にパージする段階を繰り返すことで形成される。
【0024】
上記多孔性ポリマーシートは金属化合物と反応可能な核を有することができ、上記金属化合物と反応可能な核はヒドロキシ基及びアミン基からなるグループから選択される少なくとも一つの官能基であってもよい。ここで、上記金属化合物と反応可能な核はプラズマ処理又はコロナ処理によって生成されることができる。
【0025】
また、上記非金属化合物は、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つを含む化合物であり、金属化合物と反応可能な官能基を有する化合物であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
ALDによって多孔性シートのポアの内部にまで酸化無機膜が形成される場合は含湿量が高いが、本発明によると、多孔性シートの表面はいうまでもなくポアの内部に形成された酸化無機膜の表面に疎水性処理を行うことにより、ALDによって製造された分離膜の含水率を顕著に改善させることができる。
【0027】
上述した効果は、本発明の一具現例によるものであり、記載されていない様々な効果が本発明の各具現例から得られることを本発明の属する技術分野の通常の技術者であれば理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による多孔性基材の表面に耐熱性無機物層が形成され、上記耐熱性無機物層に疎水化処理されて疎水性層が形成されたセパレーターの断面を概念的に示した図面である。
【
図2】実施例1、実施例2及び比較例1の接触角測定イメージを示す図面である。
【
図3】実施例1、実施例2及び比較例1の接触角測定イメージを示す図面である。
【
図4】実施例1、実施例2及び比較例1の接触角測定イメージを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ALD(atomic layer deposition)法によって多孔質のシート表面に耐熱性コーティング層を形成して二次電池のセパレーター(separator、分離膜)を製造するにあたって、ALD工程を利用してセパレーターの表面を疎水化することができ、これによってセパレーターの含水率を顕著に改善することができることを確認し、本発明を完成した。
【0030】
本発明の一具現例によるセパレーターは多孔性シートの表面に原子層蒸着法によって形成された耐熱性無機物層を含む。
【0031】
本発明のセパレーターは、陽極と陰極を隔離して陽極が接触するため電流が短絡することを防止し、イオンを通過させる機能をするもので、上記セパレーターとしては強度が優れた物質で形成された多孔性基材を使用する。上記基材は、第1の表面と上記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、上記第1の表面と上記第2の表面間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートであれば本発明で適切に使用することができる。
【0032】
より好ましくは、上記基材は、典型的にはイオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の樹脂材料を使用することができる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の合成樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド系樹脂等を利用することができる。このうち、ポリオレフィン多孔質シートは優れた電気絶縁性、イオン透過性を示すため、上記二次電池等のセパレーターとして広く利用されている。
【0033】
上記ポリオレフィン多孔質シートとしては、特に限定するものではないが、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、高分子量ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタルレート、ポリエチレンテレフタルレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド及びポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。
【0034】
二次電池は、高い出力密度、容量密度を有する一方で、非水電解液として有機溶媒を利用しているため、短絡や過充電等の異常発熱状態に伴う発熱によって非水電解液が分解し、最悪の場合には発火に至る場合もある。
【0035】
このような現象を防止するため、電池が異常発熱を起こしたときにセパレーターのポアが樹脂材料の融点近くで熱溶融することでポアを防いで電流を遮断するシャットダウン機能が求められる。一般にシャットダウン温度が低いほど安全性が高いが、上記のようなポリオレフィン樹脂は適当なシャットダウン温度を有するもので、二次電池のセパレーターとして適切に使用することができる。また、ポリオレフィン系の多孔質シートを使用することが、陽極と陰極の分離性に優れ、内部短絡や開放回路電圧の低下をより一層減少させることができる。
【0036】
上記のようなポリオレフィン系樹脂材は、シャットダウン機能の面では好ましいが、シャットダウンされた場合には、セパレーターがシュリンク(shrink)して陽極と陰極が接触するため内部ショート等の二次的な問題を起こす場合がある。したがって、ポリオレフィン樹脂系のセパレーターには、耐熱性を向上させることで熱収縮を減少させ、安全性を向上させることが求められている。
【0037】
よって、本発明のセパレーターはポリオレフィン系樹脂からなる基材の耐熱性を向上させてセパレーターのシュリンクを抑制するため、一具現例として、基材の表面(一面又は両面)及びポアの内部表面に耐熱性無機物層を含む。
【0038】
上記耐熱性無機物層は、基材を構成する材料より耐熱性を有する材質で形成されることが好ましい。このような耐熱性無機物層は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、シリコーン、チタン及びジルコニウムからなるグループから選択される少なくとも一つの金属元素の原子と、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つの非金属元素の原子と、を含む分子を含むことが好ましい。より具体的には、上記耐熱性無機物層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化亜鉛から選択される少なくとも一つのセラミックからなることができる。
【0039】
上記耐熱性無機物層は、
図1に示すように、基材の表面(片面又は両面)に形成されることはいうまでもなく、基材のポアの内部にも形成されることが好ましい。上記耐熱性無機物層が多孔性基材の表面に形成されることにより、異常高温環境下でも基材の表面に形成された耐熱性無機物層によってセパレーターのシュリンクを抑制することができるとともに、ポアの内部にも耐熱性無機物層が形成されることで基材の表面にのみ耐熱性無機物層が形成された場合に比べてセパレーターの耐熱性をより向上させることができる。また、ポアの内部表面に非水電解質との濡れ性のよい耐熱コーティング層が形成されることで、ポアに対する電解液の親和性をさらに向上させることができる点においても好ましい。
【0040】
本発明の一具現例によると、上記ポアの内部に形成される耐熱性無機物層はポアの内部に部分的に形成することができる。このように耐熱性無機物層がポアの内部に部分的に形成されることにより、電池が異常発熱を起こしたとき、セパレーターの微多孔が樹脂材料の融点近くで熱溶融することでポアを防いで電流を遮断するシャットダウン機能を効果的に発現することができ、セパレーターの表面及びポアの内部に形成された耐熱性無機物層がネットワーク構造で連結されてセパレーターのシュリンクを抑制することができる。
【0041】
上記基材の耐熱性無機物層は原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition.ALD)によって形成されることができる。原子層蒸着法によって耐熱性無機物層を形成することで基材の表面にはいうまでもなく、ポアの内部にも耐熱性無機物層を形成することができる。
【0042】
多孔性基材の表面に耐熱性無機物層を形成する方法は、特に限定されず、通常のALD法を適用することができる。具体的には、第1の表面と上記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、上記第1の表面と上記第2の表面の間を連通させる複数のポアを含む多孔性ポリマーシートに対して上記第1の表面及び第2の表面並びに上記ポアの内部表面に金属化合物蒸気を供給して、これによって基材と金属化合物の反応によって基材の表面に金属化合物が形成される。
【0043】
ここで、上記金属化合物との反応のために、基材の表面に予め金属化合物が反応することができる官能基を核として形成することができる。上記核として提供される官能基は、特に限定されないが、ヒドロキシ基及びアミン基等を挙げることができる。このような官能基は基材の表面をプラズマ処理、コロナ処理及びUVの照射等の方法によって形成することができる。例えば、ポリオレフィン多孔性基材に過酸化水素や水素プラズマを処理して基材の表面及びポアの表面にヒドロキシ基を形成することができる。
【0044】
上記のような官能基が形成された基材に対して金属を含む前駆体として金属化合物を供給する。上記金属前駆体としての金属化合物は、耐熱性を提供することができる金属であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、シリコーン、チタン及びジルコニウムからなるグループから選択される少なくとも一つの金属を含む金属化合物を挙げることができる。具体的には、AlCl3、TMA(Tri-methyl-Aluminum)、Al(CH3)2Cl、Al(C2H5)3、Al(OC2H5)3、Al(N(C2H5)2)3、Al(N(CH3)2)3、SiCl4、SiCl2H2、Si2Cl6、Si(C2H5)H2、Si2H6、TiF4、TiCl4、TiI4、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(N(CH3)2)4、Ti(N(C2H5)2)4、Ti(N(CH3)(C2H5))4、VOCl3、Zn、ZnCl2、Zn(CH3)2、Zn(C2H5)2、ZnI2、ZrCl4、ZrI4、Zr(N(CH3)2)4、Zr(N(C2H5)2)4、Zr(N(CH3)(C2H5))4、HfCl4、HfI4、Hf(NO3)4、Hf(N(CH3)(C2H5))4、Hf(N(CH3)2)4、Hf(N(C2H5)2)4、TaCl5、TaF5、TaI5、Ta(O(C2H5))5、Ta(N(CH3)2)5、Ta(N(C2H5)2)5、TaBr5からなるグループで選択されたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0045】
具体的に、ヒドロキシ基が形成された基材にトリメチルアルミニウムを供給することで相互に反応して基材及びポアの表面に存在する酸素にジメチルアルミニウムが結合し、副産物としてメタンが生成される。
【0046】
続いて、上記金属化合物の付着のために供給された金属化合物蒸気と官能基との反応によって生成された副産物及び未反応蒸気を除去した後、非金属化合物を基材に蒸気相で供給する。このような蒸気は上記基材上の金属化合物と反応して耐熱性無機物層を形成する。
【0047】
この際、供給される非金属化合物は、上記金属と結合して耐熱性無機物層を形成することができるものであれば特に限定されず、炭素、窒素、硫黄及び酸素からなるグループから選択される少なくとも一つの元素を含む化合物を使用することができる。このような上記非金属化合物としては、例えば、水、酸素、オゾン、過酸化水素、アルコール、NO2、N2O、NH3、N2、N2H4、C2H4、HCOOH、CH3COOH、H2S、(C2H5)2S2、N2Oプラズマ、水素プラズマ、酸素プラズマ、CO2プラズマ、NH3プラズマ等を挙げることができ、上記基材の表面に形成された官能基と同一の官能基を形成することができるものを使用することがより好ましい。
【0048】
具体的に、上記非金属化合物としては水蒸気を使用することができ、基材の表面に酸素によって結合したジメチルアルミニウムは、供給された水蒸気が基材の表面のジメチルアルミニウム基と反応してアルミニウムオキシドを形成し、副産物としてメタンを形成する。
【0049】
このようなALD工程により、アルミナの単分子層が基材の表面及びポアの内部表面に形成される。これによって形成された単分子層はÅ単位の厚さを有するため、上記のようなALD工程を複数回繰り返すことで所定厚さの耐熱性無機物層を形成することができる。
【0050】
このようなALD法によって形成された耐熱性無機物層は、特に限定されないが、10~50nmの厚さを有することが好ましい。上記耐熱性無機物層は上記ポアの内部表面の厚さが上記多孔性ポリマーシートの第1の表面又は第2の表面に形成される厚さより薄くてもよい。
【0051】
基材の表面に形成されて耐熱性を提供する無機物は水分との親和力があり、特にALDによって耐熱性無機物層を形成する場合にはポアの内部にまで無機物層が形成されるため、セパレーターに水分を有するようにすることができる。このような水分は電池反応中に電解液と反応を起こしてガスを発生させるか、又は水分が原因でイオンが消費されて電池全体のサイクル寿命が顕著に低下する等、電池に悪影響を及ぼす。そのため、セパレーターには水分を含ませないことが好ましい。
【0052】
したがって、本発明は一具現例として、
図1に示すように、上記耐熱性無機物層は疎水性官能基を取り入れて疎水性処理されることが好ましい。このような疎水性官能基は、基材の表面にはいうまでもなく、ポアの内部にまで取り入れることが好ましい。
【0053】
本発明において「疎水性」とは、ALDによって多孔性ポリマーシートの表面に形成された耐熱性無機物層に比べて相対的に疎水性を有すること、すなわち、耐熱性無機物層に比べて大きな接触角を有することを意味する。より好ましくは上記疎水性処理によって形成された疎水性層は45度以上の接触角を有することであり、さらに好ましくは60度以上130度以下の接触角を有することである。
【0054】
このようにポアの内部にまで疎水性基を取り入れるために、本発明は、一具現例として、上記ALD法による耐熱性無機物層上に疎水性基を有する前駆体化合物を蒸気相で取り入れてALD法によって疎水性基を形成させることで疎水化処理する方法を提供する。
【0055】
これは耐熱性無機物層を形成するために適用したALD工程をそのまま利用してALDの連続工程によって疎水化処理するもので、別途の処理を必要とせず、ポアの内部にまで疎水性基を取り入れることができ、含水率を顕著に低くすることができる。また、これによって形成される疎水性層は、Å単位の薄い厚さを有する疎水化のための膜を形成することができる。
【0056】
上記疎水化処理のために取り入れる前駆体化合物は、疎水性官能基を有し、フッ素及びシランからなるグループから選択される少なくとも一つであり得る。このような疎水性官能基を有する前駆体としては、ハロゲン、アミン又はアルコキシ基のような脱離基を含み、フッ化炭化水素及びシランからなるグループから選択される疎水性官能基を有する化合物のうち少なくとも一つを含む前駆体であり得る。
【0057】
例えば、これに限定されるものではないが、このような前駆体としては、n-オクタデシルシラン、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロキシオクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、化学式1のようなアルキルシラン、
【化1】
式2~8のようなアルコキシドシラン、
【化2】
式9及び10のようなハライドシラン、
【化3】
式11~14のようなシラザン、
【化4】
式15のようなシロキサン等を挙げることができる。
【化5】
【0058】
また、他の疎水性官能基を有する前駆体としてフッ素を含む工程ガスを使用することができ、これに限定されるものではないが、例えば、CFR1=CR2R3(R1、R2及びR3は、互いに独立してフッ素原子又は一価のフッ素を有する有機基であるか、又はR1、R2及びR3のうち少なくとも二つは二価のフッ素を有する有機基であり、残り一つはフッ素原子又は一価のフッ素を有する有機基であることができる。)で示される工程ガスであることができる。
【0059】
このような前駆体化合物を使用して疎水化処理を行うことで基材の表面及びポアの内部表面にn-オクタデシルシラン、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルシラン、ヘキサメチルシラザン、トリメチルシラン、PVDF、テプロン等のようなフッ化炭化水素、及びシランからなるグループから選択される疎水性官能基を有する化合物のうち、少なくとも一つを含む疎水性表面を有する耐熱性無機物層が形成される。
【0060】
このようなALDによる疎水化処理は疎水性を提供するのに適切な程度の厚さを有するように複数回行うことができる。
【0061】
上記疎水性コーティング層を適用した分離膜は含水率3000ppm以下であることが好ましい。
【0062】
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。以下の実施例は本発明の理解を助けるためのもので、これによって本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
ポリオレフィン系微細多孔膜の製造のために、重量平均分子量が3.8×105である高密度ポリエチレンを使用し、希釈剤としてはジブチルフタレートと動粘度40℃が160cStであるパラフィンオイルを1:2で混合使用し、ポリエチレンと希釈剤の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。
【0064】
上記組成物をT-ダイが装着された二軸コンパウンダーを利用して240℃に圧出し、180℃に設定された区間を通過させて相分離を誘発し、キャスティングロールを利用してシートを製造した。延伸比はMD、TDが各7.5倍、延伸温度は131℃である逐次二軸延伸を通じて製造され、熱固定温度は130℃、熱固定幅は1-1.3-1.1に製造された。
【0065】
製造された分離膜に対して物性を測定したところ、最終厚さ25μm、気体透過度(Gurley)100sec、気孔率60%及びポアサイズ22nmであり、130℃の収縮率が縦横方向にそれぞれ25%、28%であった。
【0066】
上記多孔性高分子基材をin-line酸素プラズマ設備を使用して1.9kW、基材とプラズマスリット距離3mm、プラズマスリットギャップ(slit gap)2mm、ラインスピード(line speed)10m/minの条件で処理した。
【0067】
上記プラズマ処理された多孔性高分子基材を100℃のチャンバ内に装着した後、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)、アルゴン(Ar)、水分(H2O)、アルゴン(Ar)をそれぞれ1秒、5秒、3秒、15秒の露出時間で多孔性高分子基材の表面に順次取り入れて、これを92回繰り返してアルミニウム酸化物(Al2O3)膜を形成することで耐熱層を形成した。
【0068】
上記アルミニウム酸化物工程が終了した直後、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシランを5分間取り入れて最終疎水性膜を形成した。
【0069】
上記得られた分離膜の特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0070】
[実施例2]
上記実施例1で上記耐熱層が取り入れられた高分子基材を92回のアルミニウム酸化物工程が終了した直後、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシランを20分間取り入れて最終疎水性膜が形成された耐熱層の導入を終了したことを除いては実施例1と同一に実施して疎水性処理された耐熱性コーティング層を有する分離膜を製造した。
【0071】
上記で得られた分離膜の特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0072】
[比較例1]
上記実施例1で上記耐熱層が取り入れられた高分子基材を92回のアルミニウム酸化物工程が終了した直後、別途の疎水性物質導入工程を行わずに終了したことを除いては実施例1と同一に実施して耐熱性コーティング層を有する分離膜を製造した。
【0073】
上記得られた分離膜の特性を評価し、その結果を表1に示した。
【0074】
さらに、実施例1、2、及び比較例1の接触角測定イメージを
図3~
図5に示した。
【表1】
【0075】
表1に示した物性は次のような方法で測定した。
【0076】
(1)気体透過度(Gurley densometer)
気体透過度は、100mLの一定の体積の気体が約1~2psigの一定した圧力で、1in2の一定の面積を通過するのにかかる時間(単位:秒(second))を示すもので、気孔測定器(Gurley densometer:Toyoseiki社)から測定された。
【0077】
(2)蒸着厚さ
ALD成膜法による複合微細多孔膜上の無機金属化合物蒸着厚さの場合、同一の蒸着条件でSiのウェハ上に無機金属化合物を蒸着した後、リフレクトメーター(reflectometer)により厚さを測定した値を代用した。
【0078】
(3)収縮率
ガラス板の間にテフロン(登録商標)シート紙を入れて、測定しようとする複合微細多孔膜に7.5mg/mm2の力が加えられるようにし、200℃のオーブンに1時間放置後、縦方向及び横方向の収縮を測定して最終面積収縮を%で計算した。
【0079】
(4)Contact angle
Kruss社の接触角測定器DSA100を使用してDI水(DI water)3μlを速度(rate)600μl/minでドージング(dosing)して測定した。
【0080】
(5)含水率
含水率測定のための試料は、60℃、90%RH恒湿チャンバで24時間経過後に100~500mgの試料を秤量して準備した。
【0081】
試料の水分決定方法は、Karl Fischer水分定量法を利用しており、これは次のKarl Fischer反応を基礎とする。
H2O+I2+[RNH]SO3CH3+2RN→[RNH]SO4CH3+2[RNH]I
【0082】
Metrohm 870 KF Titrino plus及び756 KF Coulometerを使用して、Fluka HYDRANAL(登録商標)-Water Standard KF-Ovenの標準物質としてtiterを決定し、滴定液は、Fluka社 HYDRANAL(登録商標)-Coulomat AG-Ovenで滴定して水分含量を測定して、下記の数式で水の含量を計算し、当該値をppm単位に換算して可視化した。
【数1】