(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物の除去装置及び揮発性有機化合物の除去方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/44 20060101AFI20220202BHJP
B01D 53/75 20060101ALI20220202BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20220202BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220202BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220202BHJP
B01D 53/88 20060101ALI20220202BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20220202BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20220202BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B01D53/44 110
B01D53/44 130
B01D53/75 ZAB
B01D53/81
B01D53/94 150
B01D53/86 150
B01D53/94 300
B01D53/88
F27D17/00 101D
F27D17/00 104D
F27D7/02 A
F26B21/00 J
F26B21/00 K
(21)【出願番号】P 2016256748
(22)【出願日】2016-12-28
【審査請求日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2016-0032969
(32)【優先日】2016-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】李 建 衡
(72)【発明者】
【氏名】南 承 伯
(72)【発明者】
【氏名】白 承 柱
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲ヒョン▼ 佑
(72)【発明者】
【氏名】河 鍾 必
(72)【発明者】
【氏名】黄 淳 浩
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-130875(JP,A)
【文献】特開平02-245221(JP,A)
【文献】特開2010-214280(JP,A)
【文献】特開昭52-069869(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101970082(CN,A)
【文献】特開2011-062687(JP,A)
【文献】特開2001-239316(JP,A)
【文献】特開2001-056180(JP,A)
【文献】特開2008-002766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
B01D 53/73,53/86-53/90,53/94,53/96
F27D 7/00-15/02,17/00-99/00
F26B 1/00-25/22
F28F 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供するオーブンと、
前記汚染空気が流入され、前記汚染空気を冷却させる冷却部と、
前記冷却部を経た前記汚染空気が流入し、前記汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する第1フィルタと、
前記オーブンと連結され、前記オーブンから提供された前記汚染空気を送り出し、前記冷却部及び前記第1フィルタを経て外気と連通される第1管路と、
前記外気と連通され前記冷却部へと外部空気を送り渡す第2管路を含
み、
前記第2管路の一端は前記外気と連通され、前記第2管路の他端は前記オーブンと連結される揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項2】
前記冷却部は、前記外部空気と前記汚染空気を熱交換させる熱交換器を含む請求項
1に記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項3】
前記熱交換器内で前記第1管路と前記第2管路とが直接接触する請求項
2に記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項4】
前記第1管路と前記第2管路とが、互いに撚(よ)り合わされるか、または、側面同士が突き合わされて共に折り曲げられた形の少なくとも一つの折曲部を有するようにして互いに接する請求項
3に記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項5】
前記第1フィルタは、化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ、及び、触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれたいずれか一つを含む請求項
1~
4のいずれかに記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項6】
前記冷却部によって前記汚染空気
中の揮発性有機化合物の少なくとも一部が液化され、前記液化された
揮発性有機化合物を処理するドレイン装置をさらに含む請求項
1~
5のいずれかに記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項7】
前記冷却部は、前記外部空気と前記汚染空気を熱交換させる熱交換器を含み、
前記ドレイン装置と連結された回収タンク及び前記熱交換器、前記ドレイン装置及び前記回収タンクを繋げる第3管路をさらに含み、
前記第3管路の一端は前記熱交換器と連結され、前記第3管路の他端は前記第1管路と連結される請求項6に記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項8】
前記冷却部は少なくとも一つの冷却コイルを含む請求項
1~
7のいずれかに記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項9】
前記第1フィルタと隣接する第2フィルタをさらに含み、
前記冷却コイルは第1冷却コイルと第2冷却コイルを含み、
前記第1管路に沿って前記第1冷却コイル、前記第1フィルタ、前記第2フィルタ及び前記第2冷却コイルが、流れ方向に、この順に配置される請求項
8に記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項10】
前記冷却部は熱交換器及び冷却コイルを含み、前記熱交換器及び前記冷却コイルが前記第1管路に沿って配置される請求項
1~
7のいずれかに記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項11】
前記第1管路に沿って配置され、前記オーブンと前記冷却部との間に配置される前段フィルタをさらに含む請求項
1~
10のいずれかに記載の揮発性有機化合物の除去装置。
【請求項12】
オーブンでの加熱により揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する段階と、
前記提供された汚染空気を冷却させる
とともに、熱交換器を利用して外部の空気と前記汚染空気を熱交換させる段階と、
前記熱交換器を通過して温度が高くなった前記外部の空気を前記オーブンに送る段階と、
前記冷却された汚染空気をフィルタ部に流入させて前記汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する段階を含む揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項13】
前記熱交換器は、前記汚染空気を送る第1管路と、前記外部の空気を送る第2管路とが、互いに撚(よ)り合わされるか、または、側面同士が突き合わされて共に折り曲げられた形の少なくとも一つの折曲部を有するようにして互いに接している請求項12に記載の揮発性有機化合物の除去方法。
【請求項14】
前記汚染空気を冷却させることによって前記汚染空気
中の揮発性有機化合物のうち少なくとも一部が液化され、前記液化された
揮発性有機化合物を処理して貯蔵する段階をさらに含む請求項
12に記載の揮発性有機化合物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揮発性有機化合物の除去装置及び揮発性有機化合物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物(VOCs、Volatile Organic Compound)とは、蒸気圧が高いため大気中に蒸発されやすい液体または気体状の有機化合物を総称するものである。揮発性有機化合物は呼吸器から吸入されることより障害を起こす発癌物質であって、人体に白血病、中枢神経障害、染色体異常などを誘発する。また、揮発性有機化合物はオゾン層破壊、地球温暖化及び揮発性有機化合物の連鎖反応によって生成された光化学酸化物によって発生する光化学スモッグなど環境問題を発生させ得る。これに加えて揮発性有機化合物は、多くは刺激的でかつ不快な臭いを含有しており、大気に流出される際は生活環境に莫大な被害を与える。揮発性有機化合物の大部分は人間の産業活動によって人為的に多く発生し、主に石油化学工場、塗装工場及び自動車排気ガスなどの発生原因もまた多様である。このような揮発性有機化合物が有する有害性は特に人々が密集している大都市地域でより深刻に受け止められており、これを減らすために各分野で研究及び努力が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、工程中に発生する揮発性有機化合物を除去できる揮発性有機化合物の除去装置を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、高温の汚染空気が有する熱によって大気の熱汚染が発生することを防止する揮発性有機化合物の除去装置を提供することにある。
【0006】
本発明の課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、(1)揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する汚染空気供給部、(2)前記汚染空気が流入し、前記汚染空気を冷却させる冷却部、(3)前記冷却部を経た汚染空気が流入し、前記汚染空気に含まれた前記揮発性有機化合物を吸着するフィルタ部を含む。
【0008】
また、前記冷却部は外部空気と前記汚染空気を熱交換させる熱交換器を含み得る。
【0009】
また、前記冷却部は前記汚染空気を冷却させる冷却コイルを含み得る。
【0010】
また、前記冷却部によって前記汚染空気の少なくとも一部が液化され、前記液化された汚染空気を処理するドレイン装置をさらに含み得る。
【0011】
また、前記フィルタ部は少なくとも一つのフィルタを含み、前記フィルタは化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ及び触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれた一つ以上を含み得る。
【0012】
本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、(1)揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供するオーブン、(2)前記汚染空気が流入し、前記汚染空気を冷却させる冷却部、(3)前記冷却部を経た前記汚染空気が流入し、前記汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する第1フィルタ、(4)前記オーブンと連結されて前記オーブンから提供された前記汚染空気を送り渡し、前記冷却部及び前記第1フィルタを経て外気と連通される第1管路、及び、(5)前記外気と連通され前記冷却部に外部空気を送り渡す第2管路を含む。
【0013】
また、前記冷却部は前記外部空気と前記汚染空気を熱交換させる熱交換器を含み得る。
【0014】
また、前記熱交換器内で前記第1管路と前記第2管路は直接接触し得る。
【0015】
また、前記第1管路と前記第2管路は互いに撚(よ)り合わ(ツイスト)されるか、または、側面同士が突き合わされて共に折り曲げられた形の少なくとも一つ以上の折曲部を有するようにして互いに接し得る。
【0016】
また、前記第2管路の一端は前記外気と連通され、前記第2管路の他端は前記オーブンと連結され得る。
【0017】
また、前記第1フィルタは化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ、及び、触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれたいずれか一つを含み得る。
【0018】
また、前記冷却部によって前記汚染空気の少なくとも一部が液化され、前記液化された汚染空気を処理するドレイン装置をさらに含み得る。
【0019】
また、前記ドレイン装置と連結された回収タンク及び前記熱交換器、前記ドレイン装置及び前記回収タンクを繋げる第3管路をさらに含み、前記第3管路の一端は前記熱交換器と連結され、前記第3管路の他端は前記第1管路と連結され得る。
【0020】
また、前記冷却部は少なくとも一つの冷却コイルを含み得る。
【0021】
また、前記第1フィルタと隣接する第2フィルタをさらに含み、前記冷却コイルは第1冷却コイルと第2冷却コイルを含み、前記第1管路に沿って前記第1冷却コイル、前記第1フィルタ、前記第2フィルタ及び前記第2冷却コイルが順次に配置され得る。
【0022】
また、前記冷却部は熱交換器及び冷却コイルを含み、前記熱交換器及び前記冷却コイルは前記第1管路に沿って配置され得る。
【0023】
また、前記第1管路に沿って配置され、前記オーブンと前記冷却部との間に配置される前端フィルタをさらに含み得る。
【0024】
本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去方法は揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する段階、前記提供された汚染空気を冷却させる段階及び前記冷却された汚染空気をフィルタ部に流入させて前記汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する段階を含み得る。
【0025】
また、前記提供された汚染空気を冷却させる段階は熱交換器を利用して外部の空気と前記汚染空気を熱交換させる段階を含み得る。
【0026】
また、前記汚染空気を冷却させることによって前記汚染空気のうち少なくとも一部が液化され、前記液化された汚染空気を処理して貯蔵する段階をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によれば、揮発性有機化合物が含まれた汚染空気から揮発性有機化合物を吸着して除去することができる。
【0028】
高温の汚染空気が有する熱による大気熱汚染を防止することができる。
【0029】
本発明の実施形態による効果は以上で例示した内容によって制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置のブロック・工程フロー図である。
【
図2】本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の熱交換器の部分拡大図である。
【
図4】
図3の変形例による揮発性有機化合物の除去装置の熱交換器の部分拡大図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図9】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【
図11】本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点及び特徴、これらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態において明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。
【0032】
「第1」、「第2」などの表現が多様な素子、構成要素を叙述するために使用されるが、これらの素子や構成要素はこれらの用語によって制限されないことはいうまでもない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることは勿論である。
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本明細書では本発明による表示装置を例に挙げて説明するが、これに制限されず、有機発光表示装置の場合にも適用され得る。
【0034】
図1は本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置のブロック図である。
【0035】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、(1)揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する汚染空気供給部OV、(2)汚染空気が流入し、この汚染空気を冷却する冷却部RE、及び、(3)冷却部REを経た汚染空気が流入し、汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着するフィルタ部FIを含む。
【0036】
汚染空気供給部OVは、揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compound)を含む汚染空気を生成することができる。本明細書において、揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compound)は、蒸気圧が高いために、大気中へと蒸発しやすい液体及び気体状の有機化合物を総称するものとして理解することができる。例えば、揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compound)は、ベンゼン(Benzene、C6H6)、ホルムアルデヒド(Formaldehyde、HCHO)、トルエン(Toluene、C7H8)、キシレン(Xylene、C6H4(CH3))、エチレン(Ethylene、CH2=CH2)、スチレン(Styrene、C8H8)及びアセトアルデヒド(Acetaldehyde、CH3CHO)からなる群より選ばれたいずれか一つ以上の物質を含み得る。これに加えて、揮発性有機化合物(VOC)が大気中に悪臭を誘発させる臭い誘発物質を含み得る。
【0037】
汚染空気供給部OVは高温の汚染空気を排出し得る。例示的な実施形態で汚染空気の温度は100℃ないし600℃の範囲内であり得る。ただし、汚染空気の温度はこれに制限されず、本明細書において、「高温の汚染空気」とは、特定工程で加熱する過程を含むことによって発生し得る、常温より高い温度(例えば60℃以上または80℃以上)を有する気体を総称する。
【0038】
汚染空気供給部OVは、加熱機能を有するオーブンを含み得る。本明細書において、オーブンは、対象体の温度を加熱するあらゆる手段を含む装置を意味し、その具体的な加熱方法によって制限されない。
【0039】
汚染空気供給部OVから提供される汚染空気は冷却部REに流入し得る。冷却部REは汚染空気の温度を低くする役割を果たす。例示的に、冷却部REは汚染空気の温度を40℃以下に下げることができる。この過程で汚染空気の一部は凝縮されて液化され得る。本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は前記液化された汚染空気を処理するためのドレイン装置をさらに含み得る。これについての詳しい説明は後述する。
【0040】
冷却部REは、汚染空気供給部OVから流入された汚染空気の温度を低くするための手段として、熱交換器を含み得る。熱交換器は、外部の空気を利用して汚染空気を冷却させる空冷式熱交換器であり得る。これについてより詳細に説明すると、熱交換器は、外部の空気と汚染空気の熱を交換させて両者の熱平衡状態を誘導することによって、汚染空気の温度を低くすることができる。言い換えると、熱交換器の内部には、汚染空気を流入させる管路と、外部の空気が流入される管路が配置されるが、ここで、汚染空気を流入させる管路と、外部の空気が流入される管路とを接触させることによって、両者の熱交換を誘導することができる。この場合、二つの空気は混ざらず、管路を介する熱伝導によって熱平衡が誘導され得る。すなわち、汚染空気の温度が外部空気によって相対的に低くなって、外部空気の温度は汚染空気の温度によって相対的に高くなる。
【0041】
熱交換器で温度が低くなった汚染空気は後述するフィルタ部FIに流入し得る。熱交換器にて温度が高くなった外部空気は、再び外部へと排出されるか、汚染空気供給部に流入して再使用され得る。これについての詳細な説明は後述する。
【0042】
他の例示的な実施形態で、冷却部REは汚染空気供給部OVから流入された汚染空気の温度を低くするために冷却コイルを含み得る。汚染空気は冷却コイルを通過しながら冷却され得る。具体的には、フレオン(商標:フロン)などの冷媒が冷却コイルの内部を流れるようになり、高温の汚染空気は、冷却コイルの配置箇所を通過しながら温度が徐々に低くなる。このうち一部または全部が凝縮され得るのであり、液化された汚染空気を処理するためにドレイン装置をさらに含み得る。ドレイン装置については詳細に後述する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、冷却部REは、一つ以上の熱交換器及び/または一つ以上の冷却コイルを含み得る。すなわち、冷却部REは、一つまたはそれ以上の熱交換器を含んでなるか、一つまたはそれ以上の冷却コイルを含んでなる。また、冷却部REは一つ以上の熱交換器と一つ以上の冷却コイルを同時に含むこともできる。
【0044】
冷却部REを通過した汚染空気は、管路に沿ってフィルタ部FIに流入し得る。
【0045】
フィルタ部FIは汚染空気を浄化する。このためにフィルタ部FIは汚染空気に含まれた揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を濾過(filtration、吸着除去を含む)し得る。揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を濾過するために、フィルタ部FIは、有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を吸着するフィルタを含み得る。
【0046】
フィルタ部FIは、一つまたはそれ以上のフィルタを備えることができる。揮発性有機化合物VOCまたは悪臭誘発物質の種類に応じて、フィルタは、物理吸着剤または化学吸着剤を含み得る。物理吸着剤または化学吸着剤は選択的にまたは併存させて適用し得る。言い換えると、フィルタは、物理吸着剤及び化学吸着剤からなる群より選ばれたいずれか一つ以上を含み得る。
【0047】
前記した物理吸着剤または化学吸着剤は、水分を含んでなることもできる。物理吸着剤または化学吸着剤が水分を含んでなる場合、水溶性である揮発性有機化合物VOCの除去が容易になり得る。
【0048】
フィルタ部FIに適用されるフィルタは揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を捕集するために多孔性物質を含み得る。例示的に、フィルタは、高分子、ゼオライト、活性炭、金属酸化物及びセラミックのうちより選ばれたいずれか一つ以上の物質を含んでなる。このようにフィルタが多孔性物質を含んでなる場合、汚染空気に含まれた揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質が分子単位でフィルタの多孔性物質に捕集され得る。
【0049】
フィルタの濾過性能を向上させるためにフィルタは揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質の捕集を助ける触媒を含み得る。例示的には触媒は白金系酸化触媒であり得る。白金系酸化触媒は低温系酸化触媒として、酸化アルミニウム(Al2O3)と白金(Pt)を混合(各種の複合化を含む。以下同様)してなる。このような触媒は200℃ないし300℃の温度範囲で使用され得る。他の例示として、触媒はニッケル/コバルト系酸化触媒であり得る。ニッケル/コバルト系酸化触媒は、高温系酸化触媒として、酸化アルミニウム(Al2O3)と、ニッケル及びコバルトの少なくと一方とを混合した材料からなるものであり得る。このような触媒は300℃以上の温度範囲で使用され得る。
【0050】
フィルタ部FIは、前記した多様な方式のフィルタを単独で使用するか、前記方式のフィルタを複数組み合わせて使用することができる。すなわち、フィルタ部FIは、互いに異なる機能を遂行する複数のフィルタを含んでなり得る。すなわち、フィルタ部FIは、化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ、及び触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれた一つ以上のフィルタを含み得る。すなわち、フィルタ部FIは互いに異なる機能を有するフィルタの組合せを含み得る。
【0051】
フィルタ部FIが含む様々な種類のフィルタは温度適合性を有することができる。言い換えると、フィルタは特定温度で向上した濾過性能を発揮することができる。すなわち、上記のように汚染空気が直接フィルタ部FIに送り渡送り渡されるのではなく、冷却部REを介して送り渡送り渡されることによって、フィルタ部FIの浄化能力を向上させることができる。
【0052】
以下では、本発明のより具体的な実施形態について説明する。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0054】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、(1)揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供するオーブンOV1と、(2)汚染空気が流入し、汚染空気を冷却させる熱交換器EX1と、熱交換器EX1を経た汚染空気が流入し、汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する第1フィルタFI1と、(3)オーブンOV1と連結され、オーブンOV1から提供された汚染空気を送り渡送り渡し、熱交換器EX1及び第1フィルタFI1を経て外気と連通される第1管路L1と、(4)外気と連通されて熱交換器EX1に外部空気を送り渡する第2管路L2とを含む。
【0055】
オーブンOV1は揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compound)を含む汚染空気を生成することができる。
【0056】
オーブンOV1は高温の汚染空気を排出し得る。例示的な実施形態にて汚染空気の温度は100℃ないし600℃であり得る。ただし、汚染空気の温度はこれに制限されない。本明細書において、高温の汚染空気とは、特定工程で加熱する過程を含むことによって発生し得る常温より高い温度を有する気体を総称するものと理解することができる。
【0057】
オーブンOV1は対象体の温度を増加させる手段を含み得うるが、その具体的な方式は制限されない。例示的に、オーブンOV1は、液晶表示装置の製造のためのベーク工程で使用されるオーブン、特には基板上に絶縁膜やレジストパターンなどを形成するためのベーク工程で使用されるオーブンであり得る。この場合、汚染空気の温度は150℃ないし230℃であり得る。ただし、これは例示的なものであり、本発明の範囲は前記の工程及び温度に制限されない。
【0058】
オーブンOV1で生成された汚染空気は、後述する第1管路L1を介して熱交換器EX1に流入し得る。熱交換器EX1は、密閉された第1チャンバーCH1の内部に配置され得る。第1チャンバーCH1は、外部空気と遮断された空間を提供し得る。第1チャンバーCH1がこのように外部空気と遮断された空間を提供することによって、予想できない外部空気の流入及び汚染空気の流出による外部空気汚染を防止することができる。
【0059】
熱交換器EX1は、オーブンOV1から流入した汚染空気の温度を低くすることができる。すなわち、熱交換器EX1は、外部の空気を利用して汚染空気の温度を低くする空冷式熱交換器であり得る。具体的には、熱交換器EX1は、外部の空気と汚染空気との間で熱を交換させて両者の熱平衡状態を誘導することによって、汚染空気の温度を低くすることができる。これについて再度説明すると、後述する第2管路L2を介して、常温を有する外部の空気が熱交換器EX1に流入し得る。熱交換器EX1の内部にて、汚染空気が移動する第1管路L1と、外部の空気が移動する第2管路L2とが物理的に接触し得る。第1管路L1と第2管路L2の物理的接触によって両者の熱交換が起こり得る。すなわち、第1管路L1と第2管路L2との接触による熱伝導によって両者の間での熱平衡が誘導され得る。すなわち、第1管路L1と第2管路L2とが直接、または金属板などを介して間接に接触することによって、相対的に高温を有する第1管路L1の温度が低くなり、相対的に低温を有する第2管路L2の温度が高くなる。これによって、第1管路L1を通過する汚染空気の温度が低くなり、第2管路L2を通過する外部空気の温度が高くなる。すなわち、このような方式を採用することによって、汚染空気と外部空気とは、混ざらずに熱交換が行われ得る。
【0060】
熱交換器EX1内で第1管路L1と第2管路L2が接触する方式を説明するために
図3及び
図4を参照する。
【0061】
図3は本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の熱交換器の部分拡大図である。
【0062】
図3を参照すると、第1管路L1と第2管路L2は熱交換器EX1内で互いに直接的に接し得る。
【0063】
前述したように、第1管路L1と第2管路L2は、熱伝導方式により熱を交換し得る。これによって第1管路L1と第2管路L2の接触面積が広いほど熱交換が容易である。第1管路L1と第2管路L2の接触面積を広げるため、第1管路L1と第2管路L2とを、一定の長さだけ互いに、よ(撚)り合わせられる。言い換えると、相互ツイスト(twist)され得る。
【0064】
図4は、
図3の変形例による揮発性有機化合物の除去装置の熱交換器の部分拡大図である。
【0065】
図4を参照すると、第1管路L1と第2管路L2は、互いに接した状態で一つ以上の折曲部を有して延長され得る。前述したように第1管路L1と第2管路L2の接触面積を広げるために多様な方式が採用され得る。例示的には、第1管路L1と第2管路L2は一つ以上の折曲部を有して延長され得る。言い換えると、第1管路L1と第2管路L2は一定の長さで互いに接するが、接する部分が少なくても部分的に屈曲部分を含み得る。すなわち、第1管路L1と第2管路L2は、一側面で互いに突き合わされるとともに、このように互いにまとめられた状態で、ひだ状、または縮れた形状をなすように折り曲げまたは湾曲されつつ延びるようにすることで、接触する実質的な長さを増大させることができる。また、ここで、第1管路L1と第2管路L2は、互いに接触する箇所にて扁平化され、広い面積で接するようにすることができる。例えば、第1管路L1と第2管路L2は、互いに接する箇所で、断面がいずれも半円状に形成され、組み合わさった状態で断面が円形をなすのであっても良い。また、例えば、第1管路L1と第2管路L2は、共に、断面が、角を丸めた矩形状であっても良い。
【0066】
再び、
図2を参照して本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の他の構成について説明する。
【0067】
熱交換器EX1を経た汚染空気は、第1管路L1を介して第1フィルタFI1に流入し得る。第1フィルタFI1は密閉された第2チャンバーCH2内に配置され得る。第2チャンバーCH2は、外部空気から遮断された空間を提供し得る。第2チャンバーCH2がこのように外部空気と遮断された空間を提供することによって、予想できない外部空気の流入及び汚染空気の流出による空気汚染を防止することができる。
【0068】
第2チャンバーCH2は第1チャンバーCH1と連通され得る。すなわち、第1チャンバーCH1と第2チャンバーCH2が密閉された空間を共有し得る。ただし、これに制限されず、第2チャンバーCH2と第1チャンバーCH1が独立的に外部と遮断された空間を提供することもできる。
【0069】
第1フィルタFI1は流入した汚染空気を浄化する役割を果たし得る。このために第1フィルタFI1は揮発性有機化合物VOCまたは悪臭誘発物質の種類に応じて物理吸着剤または化学吸着剤を含み得る。物理吸着剤または化学吸着剤は選択的にまたは併存させて適用され得る。すなわち、第1フィルタFI1は物理吸着剤及び化学吸着剤からなる群より選ばれたいずれか一つ以上を含み得る。
【0070】
前記した物理吸着剤または化学吸着剤は水分を含んでなることもできる。物理吸着剤または化学吸着剤が水分を含んでなる場合、水溶性である揮発性有機化合物VOCの除去が容易になる。
【0071】
第1フィルタFI1は揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を捕集するために多孔性物質を含み得る。
【0072】
例示的には、第1フィルタFI1は高分子、ゼオライト、活性炭、金属酸化物及びセラミックのうちから選ばれたいずれか一つ以上の物質を含んでなる。このようにフィルタが多孔性物質を含んでなる場合、汚染空気に含まれた揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質が分子単位で、第1フィルタFI1に含まれた多孔性物質により捕集され得る。
【0073】
第1フィルタFI1の濾過性能を向上させるために、第1フィルタFI1は、揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質の捕集を助ける触媒を含み得る。例示的には触媒は白金系酸化触媒であり得る。白金系酸化触媒は低温系酸化触媒として、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)に白金(Pt)を担持させるなどして複合化してなる。このような触媒は200℃ないし300℃の温度の範囲で使用され得る。他の例示として、触媒はニッケル/コバルト系酸化触媒であり得る。ニッケル/コバルト系酸化触媒は高温系酸化触媒として、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)にニッケル及びコバルトの少なくとも一方(酸化物、水酸化物、金属などの状態のものを含む)を担持させるなどして複合化した材料からなる。このような触媒は300℃以上の温度範囲で使用され得る。
【0074】
すなわち、第1フィルタFI1は、化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ、及び、触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれた一つのフィルタであり得る。
【0075】
本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は第1管路L1及び第2管路L2を含み得る。
【0076】
第1管路L1の一端は、オーブンOV1と接続され、オーブンOV1から生成された汚染空気を送り渡送り渡し得る。すなわち、第1管路L1は汚染空気が移動する通路を提供する。第1管路L1は熱交換器EX1と連結され、オーブンOV1から生成された汚染空気を熱交換器EX1に送り渡送り渡し得る。熱交換器EX1の内部で第1管路L1の配置は前述した通りであるため、これに関する具体的な説明は省略する。引続き、第1管路L1は熱交換器EX1で冷却された汚染空気を第1フィルタFI1に送り渡し得る。すなわち、第1管路L1は第1フィルタFI1と連結され得る。第1フィルタFI1により濾過された空気は第1管路L1を介して外部に排出され得る。汚染空気の排出を円滑にするために第1管路L1の他端には第1排気ファンFano1が配置され得る。第1排気ファンFano1は第1フィルタFI1を経て浄化された汚染空気を外部に排出し得る。
【0077】
すなわち、第1管路L1の一端はオーブンOV1と連結され、第1管路L1の他端は第1排気ファンFano1と連結され得る。言い換えると、第1管路L1はオーブンOV1と接続され、熱交換器EX1と第1フィルタFI及び第1排気ファンFano1を経て外部と連通され得る。
【0078】
第2管路L2の一端及び他端のうちいずれか一つ以上は外気と連通され得る。このために第2管路L2の一端には流入ファンFaniが配置される。流入ファンFaniは外部空気を第2管路L2に流入させる役割を果たす。前述したように第2管路L2を介して流入した外部空気は熱交換器EX1に流入し得る。熱交換器EX1を通りつつ第1管路L1を移動する汚染空気と熱交換を終えた外部空気は第2管路L2を介して外気に排出され得る。第2管路L2の外気排出を容易にするために第2管路L2の他端には第2排気ファンFano2が配置され得る。すなわち、第2管路L2の一端は流入ファンFaniを介して外気と連通され、第2管路L2の他端は第2排気ファンFano2を介して外気と連通され得る。言い換えると、外部空気は、第2管路L2の一端に配置される流入ファンFaniを介して流入し、熱交換器EX1を経て第2管路L2の他端に配置される第2排気ファンFano2を介して外部に排出され得る。
【0079】
熱交換器EX1により常温と近接するように温度が低くなった汚染空気における揮発性汚染物質及び/または悪臭誘発物質が、第1フィルタFI1により濾過・吸着されることによって、外部に排出される空気は常温に近い清浄な空気であり得る。これによって、高温の熱を有する空気が排出されることによって発生する外部空気の熱汚染、及び、揮発性有機化合物及び/または悪臭誘発物質を含む空気が排出することによって発生する外部空気の汚染が防止され得る。
【0080】
以下では本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置について説明する。以下の実施形態では既に説明した構成と同じ構成に対しては同じ参照番号を使用し、重複する説明は簡略化または省略する。
【0081】
図5は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0082】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、第2管路L2の他端がオーブンOV1と連結される点が
図2の実施形態と違う点である。
【0083】
第2管路L2の他端はオーブンOV1と連結され得る。前述したように熱交換器EX1で熱交換が行われると、第1管路L1を通過する汚染空気の温度は低くなり、第2管路L2を通過する外部空気の温度は高くなる。第2管路L2の他端がオーブンOV1と連結される場合、熱交換器EX1を経て温度が高くなった外部空気をオーブンOV1で再使用することができる。これにより、高温の空気を外部に排出させることによって発生できる熱汚染の問題を防止することができ、廃熱をリサイクルすることによって工程に必要なエネルギを節約することができる。
【0084】
図6は、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の工程流れ図である。
図6を参照すると、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置はドレイン装置DRをさらに含み得る。
【0085】
前述したように熱交換器EX1により第1管路L1を移動する汚染空気の一部または全部が凝縮されて液化され得る。この場合、液化された汚染空気はドレイン装置DRを介して回収タンクに貯蔵され得る。このために本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、熱交換器EX1と連結され、液化された汚染空気をドレイン装置DRに送り渡す第3管路L3をさらに含み得る。
【0086】
ドレイン装置DRは、第1ドレイン板(DR_1)及び第2ドレイン板(DR_2)を含み得る。熱交換器EX1で冷却によって凝縮された汚染空気は、第3管路L3を介してドレイン装置DRに送り渡され得る。この過程で、液化された汚染空気は第1ドレインパン(DR_1)に貯蔵され得る。第1ドレインパン(drain pan; 例えば平皿状)(DR_1)に貯蔵された液化汚染空気は、第3管路L3を介して第2ドレインパン(DR_2)に移動することができる。図面に示していないが、第2ドレインパン(DR_2)には第2ドレインパン(DR_2)に貯蔵される液化汚染空気の水位を測定する第1水位調節センサS1が配置され得る。第2ドレインパン(DR_2)に配置される第1水位調節センサS1は第2ドレインパン(DR_2)が一定水位以上の液化汚染空気を貯蔵する際、その水位を感知することができる。第2ドレインパン(DR_2)に貯蔵された液化汚染空気は引続き第3管路L3を介して回収タンク100に貯蔵され得る。回収タンク100には回収タンク100に貯蔵される液化汚染空気の水位を感知する第2水位調節センサS2が配置され得る。第2水位調節センサS2は回収タンク100に貯蔵される液化汚染空気の量をモニターして一定水位以上の液化汚染空気が貯蔵されると、これをユーザに知らせて回収タンク100の交換を誘導することができる。
【0087】
回収タンク100に液化汚染空気が貯蔵されると、一部の液化汚染空気が再び気化して揮発性有機化合物になる。この場合、気化した揮発性有機化合物は再び第3管路L3を通って移動して、熱交換器EX1に流入する前の第1管路L1に流入し得る。すなわち、第3管路L3の一端は熱交換器EX1と連結され、第3管路L3の他端は、熱交換器EX1に流入する前の第1管路L1と連結され得る。また、再び気化した揮発性有機化合物が逆流することを防止するために、第3管路L3にはチェックバルブVが配置され得る。具体的には、チェックバルブVは第3管路L3の回収タンク100と第1管路L1との間に配置される。
【0088】
図7は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0089】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、第1管路L1上に前段フィルタ(プリフィルタ)sFIが配置される点が
図2の実施形態と違う点である。
【0090】
第1管路L1上に、前段フィルタsFIが配置され得る。具体的には、前段フィルタsFIは、オーブンOV1と熱交換器EX1との間に配置され得る。前段フィルタsFIは、第1管路L1を通過する汚染空気が熱交換器EX1に流入される前に、汚染空気を事前に一度フィルタリングする役割を果たすことができる。
【0091】
前段フィルタsFIはデミスタフィルタ(Demister Filter)及び/またはカーボンフィルタ(Carbon Filter)を含み得る。本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置が前段フィルタsFIを含む場合、第1管路L1を通過する汚染空気の微細有害粒子や悪臭誘発物質を事前に一度フィルタリングすることによって、第1フィルタFI1の負担を緩和することができ、揮発性有機化合物の除去装置の全体における濾過性能を向上させることができる。
【0092】
図8は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0093】
図8は冷却部REが熱交換器EX1の代わりに第1冷却コイルC1を含む点が
図2の実施形態と違う点である。
【0094】
第1管路L1を通る汚染空気は第1冷却コイルC1に流入され得る。第1冷却コイルC1の内部には、フロンガスなどによって冷気が送り渡される。したがって、第1冷却コイルC1の箇所を通過する気体の温度を低くすることができる。すなわち、汚染空気は、第1管路L1を通った後、第1冷却コイルC1を経て冷却された状態で第1フィルタFI1に流入し得る。第1冷却コイルC1及び第1フィルタF1を経た汚染空気は再び第1管路L1を介して外部に排出され得るのであり、このため、第1管路L1の他端に第1排気ファンFano1が配置され得るということは前述した通りである。第1冷却コイルC1を利用して汚染空気を冷却させる場合、熱交換器EX1に比べて迅速に汚染空気を冷却させることができ、外気により冷却させる場合よりも、より低い温度まで汚染空気を冷却させることができる。
【0095】
図9は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
図9を参照すると、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、第2冷却コイルC2及び第2フィルタFI2をさらに含む点が
図8の実施形態と違う点である。
【0096】
第2冷却コイルC2は第1冷却コイルC1と実質的に同じ構成を有し得る。例示的な実施形態において、第1管路L1に沿って第1冷却コイルC1、第1フィルタFI1、第2フィルタFI2及び第2冷却コイルC2が、流れ方向に、この順に配置され得る。
【0097】
第2フィルタFI2は、流入した汚染空気を浄化する役割を果たす。このために第2フィルタFI2は揮発性有機化合物VOCまたは悪臭誘発物質の種類に応じて物理吸着剤または化学吸着剤を含み得る。物理吸着剤または化学吸着剤は選択的にまたは併存させて適用され得る。言い換えると、第2フィルタFI2は物理吸着剤及び化学吸着剤からなる群より選ばれたいずれか一つ以上を含み得る。
【0098】
前記物理吸着剤または化学吸着剤は水分を含んでなることもできる。物理吸着剤または化学吸着剤が水分を含んでなる場合、水溶性である揮発性有機化合物VOCの除去が容易になる。
【0099】
第2フィルタFI2は揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質を捕集するために多孔性物質を含み得る。
【0100】
例示的に、第2フィルタFI2は高分子、ゼオライト、活性炭、金属酸化物及びセラミックから選ばれたいずれか一つ以上の物質を含んでなる。このようにフィルタが多孔性物質を含んでなる場合、汚染空気に含まれた揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質が分子単位で第2フィルタFI2に含まれた多孔性物質に捕集され得る。
【0101】
第2フィルタFI2の濾過性能を向上させるために第2フィルタFI2は揮発性有機化合物VOC及び/または悪臭を誘発する悪臭誘発物質の捕集を助ける触媒を含み得る。例示的に触媒は白金系酸化触媒であり得る。白金系酸化触媒は低温系酸化触媒として酸化アルミニウム(Al2O3)と白金(Pt)を混合してなる。このような触媒は200℃ないし300℃の温度範囲で使用され得る。他の例示として、触媒はニッケル/コバルト系酸化触媒であり得る。ニッケル/コバルト系酸化触媒は高温系酸化触媒として酸化アルミニウム(Al2O3)とニッケル/コバルトを混合した材料からなる。このような触媒は300℃以上の温度範囲で使用され得る。
【0102】
すなわち、第2フィルタFI2は化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ及び触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれた一つのフィルタであり得る。
【0103】
第1フィルタFI1と第2フィルタFI2は実質的に同じフィルタであるか、または互いに異なるフィルタであり得る。すなわち、第1フィルタFI1と第2フィルタFI2は同じフィルタであるか、または化学吸着剤を適用したフィルタ、物理吸着剤を適用したフィルタ、多孔性物質からなるフィルタ及び触媒が適用されたフィルタからなる群より選ばれた二つのフィルタの組合せであり得る。
【0104】
このように本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置が第2フィルタFI2をさらに含む場合、フィルタ部FIの濾過性能がより向上することができる。
【0105】
また、第2フィルタFI2を経た汚染空気が第2冷却コイルC2を経て外部に排出される場合、汚染空気が有する熱による外部空気の熱汚染をさらに確実に防止することができる。
【0106】
図10は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0107】
図10を参照すると、本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、熱交換器EX1と第1冷却コイルC1とをいずれも含む点が
図2の実施形態と違う点である。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は、熱交換器EX1と第1冷却コイルC1のうちのいずれか一つを含み得るが、両者を同時に含むこともできる。この場合、汚染空気は第1管路L1を介して熱交換器EX1及び第1冷却コイルC1を順次に通過し得る。熱交換器EX1と第1冷却コイルC1を重複して適用することによって、冷却部RE1の冷却性能を極大化することができ、これによって汚染空気が有する熱によって発生し得る外部空気の熱汚染を事前に遮断することができる。
【0109】
図11は本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の装置構成図である。
【0110】
図11を参照すると本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は第2フィルタFI2と第2冷却コイルC2をさらに含む点が
図10の実施形態と違う点である。
【0111】
前述したように本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置は熱交換器EX1と冷却コイルを同時に含み得る。
【0112】
第2冷却コイルC2は第1冷却コイルC1と実質的に同じ構成を有し得る。例示的な実施形態において、第1管路L1に沿って熱交換器EX1、第1冷却コイルC1、第1フィルタFI1、第2フィルタFI2及び第2冷却コイルC2が、流れ方向に、この順に配置され得る。
【0113】
このように本発明の他の実施形態による揮発性有機化合物の除去装置が第2フィルタFI2をさらに含む場合、フィルタ部FIの濾過性能がより向上することができる。
【0114】
また、第2フィルタFI2を経た汚染空気が第2冷却コイルC2を経て外部に排出される場合、汚染空気が有する熱による外部空気の熱汚染をさらに確実に防止することができる。
【0115】
以下では本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去方法について説明する。本発明の一実施形態による揮発性有機化合物の除去方法は、前述した本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置を利用することができるが、これに制限されない。以下で説明する構成の一部は上記本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置の構成と同じであり得、重複する説明を避けるために一部の構成に関する説明は省略し得る。
【0116】
本発明による一実施形態による揮発性有機化合物の除去方法は、揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する段階、提供された汚染空気を冷却させる段階及び冷却された汚染空気を第1フィルタに流入させて汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する段階を含む。
【0117】
先に、揮発性有機化合物を含む汚染空気を提供する段階が行われ得る。揮発性有機化合物は汚染空気供給部から提供され得る。例示的に汚染空気供給部はオーブンを含み得るものであり、オーブンで高温の汚染空気が生成されて提供され得る。汚染空気供給部及びオーブンは上記本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置で説明した内容と実質的に同様であり得る。したがって、これについては前述した
図1、
図2の説明をそのまま適用することができる。
【0118】
次いで、提供された汚染空気を冷却させる段階が行われる。提供された汚染空気を冷却させる段階は熱交換器EX1を介して外部空気との熱交換により汚染空気を冷却させる段階または冷却コイルCを利用して汚染空気を冷却させる段階を含み得る。熱交換器EX1及び冷却コイルCは上記本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置で説明した熱交換器EX1及び冷却コイルCと実質的に同じであり得る。したがって、これについては
図2及び
図9の説明をそのまま適用することができ、これについての詳しい説明は省略する。
【0119】
次いで、冷却された汚染空気をフィルタ部に流入させて、前記汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する段階が行われる。フィルタ部は汚染空気に含まれた揮発性有機化合物を吸着する。フィルタ部は本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置で説明したフィルタ部と実質的に同じであり得る。したがってこれについての詳しい説明は省略する。
【0120】
本発明の他の実施形態による揮発上有機化合物除去方法は提供された汚染空気を冷却させる段階に応じて発生する液化汚染空気を回収する段階をさらに含み得る。汚染空気を冷却させることによって汚染空気のうちの少なくとも一部が液化され得る。液化された汚染空気の回収は、ドレイン装置DRにより行われ得る。ドレイン装置DRは、本発明のいくつかの実施形態による揮発性有機化合物の除去装置のドレイン装置DRと実質的に同じあり得る。したがって、これについては
図6の説明をそのまま適用し得る。
【0121】
以上添付した図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、上記実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0122】
OV 汚染空気供給部
RE 冷却部
FI フィルタ部
OV1 オーブン
CH チャンバー
EX1 熱交換器
L1 第1管路
L2 第2管路
Fani 流入ファン
Fano 排気ファン
FI1 第1フィルタ
DR ドレイン装置
DR_1 第1ドレインパン
DR_2 第2ドレインパン
S 水(液)位調節センサ
V チェックバルブ
100 回収タンク
C 冷却コイル