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特許7017931位置特定データをフィルタリングするシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】位置特定データをフィルタリングするシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220202BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20220202BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017525882
(86)(22)【出願日】2015-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 US2015060083
(87)【国際公開番号】W WO2016077419
(87)【国際公開日】2016-05-19
【審査請求日】2018-11-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-10
(31)【優先権主張番号】62/079,139
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ドンホウィ,ケイトリン キュー
(72)【発明者】
【氏名】バルバグリ,フェデリコ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0303892(US,A1)
【文献】特表2013-519431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作アセンブリによる動作のために構成される医療器具と、
1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットとを含み、
該処理ユニットは、
前記遠隔操作アセンブリに指令を提供して、令される速度プロファイルに従って解剖学的通路内で前記医療器具を動かし、
前記解剖学的通路内に位置付けられる前記医療器具から空間情報のセットを受信し、
該空間情報のセットをフィルタリングして、前記命令される速度プロファイルに比例する、前記空間情報のセットからのある量の空間データ記録を選択する、
ように構成され、
記命令される速度プロファイルは、命令される第1の速度と、該第1の速度よりも大きい命令される第2の速度とを含み、
前記空間情報のセットをフィルタリングすることは、前記第2の速度が前記第1の速度よりも大きいことに基づいて、前記第2の速度についての第2の時間期間の間よりも、前記第1の速度についての第1の時間期間の間に、より少ない空間データ記録を選択することを含む
システム。
【請求項2】
前記空間情報は、位置情報又は向き情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記医療器具は、前記空間情報を追跡する電磁センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットは、
前記解剖学的通路のモデルについてのモデル空間情報のセットを受信し、
前記空間情報のセットから選択される量の空間データ記録を前記モデル空間情報のセットに位置合わせする、
ように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理ユニットは、
力センサから信号を受信し、
前記力センサから受信する信号に基づいて位置合わせ又はモデル構築における使用のために前記医療器具からの前記空間情報のセットのいずれも選択しない
ように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2014年11月13日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR FILTERING LOCALIZATION DATA」という名称の米国仮特許出願第62/079,139号の優先権及び出願日の利益を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0002】
本開示は、画像誘導手術のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、患者解剖学的構造に対して手術器具を位置特定する(localizing)方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲的医療技法は、医療処置の間に損傷される組織の量を減少させることにより、患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を減少させることを意図する。そのような最小侵襲的技法は、患者解剖学的構造にある自然開口部を通じて或いは1つ又はそれよりも多くの外科切開部を通じて行われてよい。これらの自然開口部又は切開部を通じて、臨床医は(手術、診断、治療、又は生検器具を含む)最小侵襲的医療器具を挿入して、標的組織場所に到達する。器具は、肺、結腸、腸、腎臓、心臓、循環系、又は類似器官のような解剖学的系統内の、自然に又は外科的に創られる通路を進んでよい。標的組織場所に到達するのを助けるために、医療器具の位置、向き、形状、及び/又は動きが、患者解剖学的構造の術前又は術中画像と相関させられてよい。画像誘導器具は、例えば、電磁(EM)、機械、光学、又は超音波トラッキングシステムを用いて、患者解剖学的構造に対して位置特定されて(localized)よい。一般的に、器具についてのより多くの空間情報が受信されると、位置特定(localization)の精度は増大させられる。しかしながら、器具の場所についての冗長な又は不正確な情報を受信することは、位置特定の精度を減じることがあり、或いは位置特定プロセスを遅くさせることがある。解剖学的構造に対する位置特定を改良するために、空間情報をフィルタリングする技法の改良が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施態様は、以下に続く請求項によって要約される。
【0005】
1つの実施態様では、コンピュータシステムによって実行される方法が、遠隔操作アセンブリに指令を提供して、命令される速度プロファイルに従って解剖学的通路内で器具を動かすことを含む。方法は、解剖学的通路内に位置付けられる器具から空間情報のセットを受信することや、空間情報のセットをフィルタリングして、命令される速度プロファイルに比例する量の空間データ記録(a quantity of spatial data records)を空間情報のセットから選択することも含む。
【0006】
他の実施態様では、コンピュータシステムによって実行される方法が、解剖学的通路内に位置付けられる器具から第1のセットの空間情報を受信することを含む。第1のセットの空間情報は、複数の時間期間での器具の遠位端についての位置情報を含む複数の空間データ記録を含む。方法は、複数の空間データ記録を時間的に収集される順序で順序付けることや、複数の空間データ記録のうちの第1及び第2の連続的な空間データ記録の間の空間関係を評価することも含む。方法は、評価される空間関係に基づき第1のセットの空間情報をフィルタリングすることも含む。
【0007】
他の実施態様では、コンピュータシステムによって実行される方法が、解剖学的通路内に位置付けられる器具から第1のセットの空間情報を受信することを含む。第1のセットの空間情報は、複数の時間期間での器具の遠位端についての位置情報を含む複数の空間データ記録を含む。方法は、複数の空間データ記録の各々についての信頼度係数を生成することや、生成される信頼度係数に基づき第1のセットの情報をフィルタリングすることも含む。
【0008】
他の実施態様では、コンピュータシステムによって実行される方法が、解剖学的通路内に位置付けられる器具から第1のセットの空間情報を受信することを含む。第1のセットの空間情報は、複数の時間期間での器具の遠位端についての位置情報を含む複数の空間データ記録を含む。方法は、器具内に配置される形状センサから形状データを受信することや、受信する形状データに基づき複数の空間データ記録のうちの少なくとも1つを除去することによって第1のセットの空間情報をフィルタリングすることも含む。
【0009】
本開示の特徴は、添付の図面と共に判読されるときに、以下の詳細な記述から最良に理解されるであろう。様々な構成は業界の標準的な慣行に従って原寸通りに描かれていないことが強調される。実際には、様々な構成の寸法は、議論の明瞭性のために、任意に増大させられ或いは減少させられることがある。加えて、本開示は、様々な実施例において参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰返しは単純性及び明瞭性のためであり、それ自体は議論する様々な実施態様及び/又は構成の間の関係を決定しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った、例示的な遠隔操作医療システムを示す図である。
【0011】
図2】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った、例示的な医療器具システムを示す図である。
【0012】
図3】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った、モデル患者解剖学的構造に位置合わせされた器具を示す図である。
【0013】
図4A】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った、位置合わせプロセスを行う例示的な方法を示すフローチャートである。
【0014】
図4B】空間情報をフィルタリングする例示的な方法を示すフローチャートである。
【0015】
図5A】解剖学的通路を通じて進む器具の遠位端からの位置特定信号を例示するよう空間的に配置されたデータ地点として示された空間データ記録のセットを例示している。
【0016】
図5B図5Aの空間データ記録の表である。
【0017】
図5C】解剖学的通路を通じて進む器具の遠位端からの位置特定信号を例示するよう空間的に配置されたデータと点として示された空間データ記録の他のセットを例示している。
【0018】
図6A】解剖学的通路の形状と関連付けられるセグメント化マップと共にデータ地点として示される空間データ記録のセットを例示している。
【0019】
図6B図6Bのデータ地点の部分を例示している。
【0020】
図7】この開示の実施態様に従った命令される速度を例示している。
【0021】
図8】解剖学的通路を通じて進む器具の遠位端からの位置特定信号を例示するよう空間的に配置されたデータ地点として示された空間データ記録のセットを例示している。
図9】解剖学的通路を通じて進む器具の遠位端からの位置特定信号を例示するよう空間的に配置されたデータ地点として示された空間データ記録のセットを例示している。
図10】解剖学的通路を通じて進む器具の遠位端からの位置特定信号を例示するよう空間的に配置されたデータ地点として示された空間データ記録のセットを例示している。
【0022】
図11】解剖学的通路内に位置付けられる形状センサから受信する形状プロファイルを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の原理の理解を促進させる目的のために、次に、図面に例示する実施態様を参照し、特定の言語を用いて実施態様を記載する。それにも拘わらず、開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。本発明の特徴の以下の詳細な記述では、開示の実施態様の網羅的な理解をもたらすために、様々な特定の詳細を示す。しかしながら、この開示の実施態様は、これらの特定の詳細がなくても実施されることがあることが、当業者に明らかであろう。他の場合には、本発明の実施態様の特徴を不必要に曖昧にしないよう、周知の方法、手順、コンポーネント、及び回路を詳細に記載しない。
【0024】
記載するデバイス、器具、方法に対するあらゆる変更及び更なる修正、並びに本開示の原理のあらゆる更なる用途は、本開示が関係する当業者の心に普通に思い浮かぶように十分に想定される。具体的には、1つの実施態様に関して記載する構成、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実施態様に関して記載する構成、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わせられてよいことが十分に理解される。加えて、本明細書中で提供される寸法は特定の実施態様に関するものであり、異なる大きさ、寸法、及び/又は比率を利用して本開示の着想を実施してよいことが想定される。不要な記述上の繰返しを避けるために、1つの例示的な実施態様に従って記載する1つ又はそれよりも多くのコンポーネント又は行為は、他の例示的な実施態様から適用可能なものとして用いられ或いは省略され得る。簡潔性のために、これらの実施態様の数多くの反復を別個に記載しない。単純性のために、幾つかの場合には、図面を通じて同じ参照番号を用いて、同一の又は類似の部品に言及する。
【0025】
以下の実施態様は、三次元空間内のそれらの状態に関して、様々な基部及び基部の部分を記載する。本明細書中で用いられるとき、「位置」という用語は、三次元空間(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿う3つの並進自由度)内の物体又は物体の部分の場所を指す。本明細書中で用いられるとき、「向き」という用語は、物体又は物体の部分の回転的な配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書中で用いられるとき、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の部分の位置及び少なくとも1つの回転自由度(最大で6つの自由度)における物体又は物体の部分の向きを指す。本明細書中で用いられるとき、「形状」という用語は、物体に沿って測定される姿勢、位置、又は向きのセットを指す。
【0026】
図面の図1を参照すると、例えば、診断、治療、又は手術処置を含む、医療処置における使用のための、遠隔操作医療システムが、参照番号100によって概ね示されている。記載されるように、この開示の遠隔操作医療システムは、外科医の遠隔操作制御の下にある。代替的な実施態様において、遠隔操作医療システムは、処置又は下位処置を行うようプログラムされたコンピュータの部分的な制御の下にあってよい。更に他の代替的な実施態様では、処置又は下位処置を行うようプログラムされたコンピュータの完全制御の下で完全に自動化された医療システムを用いて処置又は下位処置を行ってよい。
【0027】
図1に示すように、遠隔操作システム100は、一般的に、患者Pに様々な処置を行う際に医療器具システム104を操作する遠隔操作アセンブリ102を含む。アセンブリ102は、患者Pを位置付ける手術台O又はその付近に取り付けられる。医療器具システム104は、遠隔操作アセンブリ102に動作的に連結される。操作者入力システム106は、外科医又は他の種類の臨床医Sが、手術部位の画像又は手術部位を表す画像を見て、医療器具システム104の操作を制御するのを可能にする。
【0028】
代替的な実施態様において、遠隔操作システムは、1つよりも多くのマニピュレータアセンブリを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、数ある要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。
【0029】
操作者入力システム106は、外科医コンソールCに配置されてよく、外科医コンソールCは、普通、手術台Oと同じ室内に配置される。しかしながら、外科医Sは患者Pと異なる部屋又は完全に異なる建物内に位置し得ることが理解されるべきである。操作者入力システム106は、一般的に、医療器具システム104を操作する1つ又はそれよりも多くの制御デバイスを含む。(複数の)制御デバイスは、握り、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、手動コントローラ、音声認識デバイス、タッチスクリーン、身体動作又は存在センサ、及び同等物のような、任意の数の様々な入力デバイスのうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよい。幾つかの実施態様において、(複数の)制御デバイスは、遠隔操作アセンブリの医療器具と同じ自由度を備えることで、外科医にテレプレゼンス、即ち、器具が恰も手術部位に存在しているかのように、外科医が器具を直接的に制御しているという強い感覚を有するよう、(複数の)制御デバイスが器具と一体であるという知覚をもたらす。他の実施態様において、(複数の)制御デバイスは、関連する医療器具よりも多くの又は少ない自由度を有してよく、外科医に依然としてテレプレゼンスをもたらしてよい。幾つかの実施態様において、(複数の)制御デバイスは、6つの自由度で動く手動入力デバイスであり、手動入力デバイスは、器具を作動させるための(例えば、把持ジョーを閉じる、電極に電位を加える、医療処置を施す、及び同等のことのための)作動可能なハンドルも含んでよい。
【0030】
遠隔操作アセンブリ102は、医療器具システム104を支持し、1つ又はそれよりも多くの非サーボ制御リンク(例えば、手動で位置付けられて所定の場所に係止されてよく、一般的にセットアップ構造と呼ばれる、1つ又はそれよりも多くのリンク)の運動学的構造と、遠隔操作マニピュレータとを含んでよい。遠隔操作アセンブリ102は、制御システム(例えば、制御システム112)からの命令に応答して医療器具システム104への入力を駆動する複数のアクチュエータ又はモータを含む。モータは、医療器具システム104に連結されるときに、医療器具を自然に又は外科的に創られる解剖学的開口部内に前進させることがある、駆動システムを含む。他の電動駆動システムは、3つの線形自由度(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿う線形運動)及び3つの回転自由度(例えば、X,Y,Zデカルト軸についていの回転)を含んでよい多数の自由度において、医療器具の遠位端を動かしてよい。加えて、モータを用いて、生検デバイス又は同等物のジョー内で組織を掴む器具の関節作動可能なエンドエフェクタを作動させ得る。
【0031】
遠隔操作医療システム100は、遠隔操作アセンブリの器具に関する情報を受信する1つ又はそれよりも多くのサブシステムを備えるセンサシステム108を含んでよい。そのようなサブシステムは、位置センサシステム(例えば、電磁(EM)センサシステム)、カテーテル先端の及び/又は器具システム104のフレキシブルな本体に沿う1つ又はそれよりも多くのセグメントの位置、向き、速さ、速度、姿勢、及び/又は形状を決定する形状センサシステム、及び/又はカテーテルシステムの遠位端から画像を取り込む(キャプチャする)視覚化システムを含んでよい。
【0032】
視覚化システム(例えば、図2の視覚化システム231)は、手術部位の同時又は実時間画像が外科医に提供されるよう、(以下に詳細に記載する)視認スコープアセンブリを含んでよい。同時画像は、例えば、手術部位内に位置付けられる内視鏡によって取り込まれる二次元又は三次元画像であってよい。この実施態様において、視覚化システムは、医療器具104に一体的に又は取外し可能に連結されてよい内視鏡コンポーネントを含む。しかしながら、代替的な実施態様では、別個のマニピュレータアセンブリに取り付けられる別個の内視鏡を医療器具と共に用いて、手術部位を撮像してよい。視覚化システムは、1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサと相互作用する或いはその他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせとして実施されてよく、コンピュータプロセッサは、(以下に記載する)制御システム112のプロセッサを含んでよい。
【0033】
遠隔操作医療システム100は、センサシステム108のサブシステムによって生成される(複数の)医療器具104及び手術部位の画像又は表現を表示するディスプレイシステム110も含む。ディスプレイ110及び操作者入力システム106は、操作者がテレプレゼンスの知覚を伴って医療器具システム104及び操作者入力システム106を制御し得るよう、方向付けられてよい。
【0034】
ディスプレイシステム110は、視覚化システムによって取り込まれる医療器具及び手術部位の画像を表示してもよい。ディスプレイ110及び制御デバイスは、操作者が作業空間を恰も実質的に真実存在(true presence)において見ているかのように医療器具104及び手動制御装置を操作し得るよう、医療器具及びスコープアセンブリ内の撮像デバイスの相対位置が外科医の両眼及び両手の相対位置と類似するように、方向付けられてよい。真実存在とは、画像の表現が、器具104を物理的に操作する操作者の視点を真似る真正の透視画像(true perspective image)であることを意味する。
【0035】
代替的に又は追加的に、ディスプレイ110は、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、又はナノチューブX線映像法のような、撮像技術を用いて術前に記録され且つ/或いはモデル化される、手術部位の画像を提示してよい。提示される術前画像は、二次元、三次元、又は四次元画像を含んでよい。提示される術前又は術中画像は、二次元、三次元、又は(例えば、時間ベース又は速度ベースの情報を含む)四次元画像、及び画像を再現するための関連する画像データセットを含んでよい。
【0036】
幾つかの実施態様において、ディスプレイ110は、医療器具104の実際の場所が術前又は同時画像と位置合わせされる(registered)(即ち、動的に関係づけられる(referenced))仮想ナビゲーション画像を表示して、外科医に器具104の先端の場所での内部手術部位の仮想画像を提示してよい。器具104の先端の画像又は他の図式的若しくは文字数次式インジケータが仮想画像の上に重ね合わせられて、医療器具を制御する外科医を支援してよい。代替的に、器具104は、仮想画像中に見えなくてよい。
【0037】
他の実施態様において、ディスプレイ110は、医療器具の実際の場所が術前又は同時画像と位置合わせされる仮想ナビゲーション画像を表示して、外科医Sに外部視点からの手術部位内の医療器具の仮想画像を提示してよい。医療器具の部分の画像又は他の図式的若しくは文字数次式インジケータが仮想画像の上に重ね合わせられて、器具104を制御する外科医を支援してよい。
【0038】
遠隔操作医療システム100は、制御システム112も含む。制御システム112は、少なくとも1つのメモリ及び少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)を含み、典型的には、医療器具システム104、操作者入力システム106、センサシステム108、及びディスプレイシステム110の間の制御をもたらす、複数のプロセッサを含む。制御システム112は、本明細書中に開示する特徴に従った方法の一部又は全部を実施するようプログラムされた指令(例えば、指令を格納するコンピュータ可読媒体)も含む。制御システム112は、図1の簡略図において単一のブロックとして示されているが、システムは、2つ又はそれよりも多くのデータ処理回路を含んでよく、処理の一部は、遠隔操作アセンブリ102で又は遠隔操作アセンブリ102に近接して任意的に行われ、処理の他の部分は、操作者入力システム106及び同等物で行われる。多種多様の集中型又は分散型のデータ処理アーキテクチャが利用されてよい。同様に、プログラムされる指令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実施されてよく、或いは、プログラムされる指令は、本明細書中に記載する遠隔操作システムの多数の他の特徴に統合されてよい。1つの実施態様において、制御システム112は、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE 802.11、DECT、及びWireless Telemetryのような、無線通信プロトコルをサポートする。
【0039】
幾つかの実施態様において、制御システム112は、医療器具システム104から力及び/又はトルクフィードバックを受信する1つ又はそれよりも多くのサーボコントローラを含んでよい。フィードバックに応答して、サーボコントローラは、操作者入力システム106に信号を送信する。(複数の)サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ102に指令する信号も送信して、体の開口を介して患者内の内部手術部位に延びる(複数の)医療器具システム104を動かしてよい。任意の適切な従来的な又は特殊なサーボコントローラが用いられてよい。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ102と別個でよく或いは一体でよい。幾つかの実施態様において、サーボコントローラ及び遠隔操作アセンブリは、患者の体に近接して位置付けられる遠隔操作アームカートの部分として提供される。
【0040】
制御システム112は、(複数の)医療器具システム104にナビゲーション支援をもたらす仮想視覚化システムを更に含んでよい。仮想視覚化システムを用いる仮想ナビゲーションは、解剖学的通路の三次元構造と関連付けられて取得されるデータセットへの参照に基づく。より具体的には、仮想視覚化システムは、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、ナノチューブX線映像法、又は同等物のような、撮像技術を用いて撮像される、手術部位の画像を処理する。ソフトウェアを単独で又は手動入力との組み合わせにおいて用いて、記録される画像を、部分的又は全体的な解剖学的器官又は解剖学的領域のセグメント化された二次元又は三次元の複合表現(composite representation)に変換する。画像データセットは、複合表現と関連付けられる。複合表現及び画像データセットは、通路及びそれらの接続性の様々な場所及び形状を記述する。複合表現を生成するために用いられる画像は、術前に又は臨床処置の間に術中に記録されてよい。代替的な実施態様では、仮想視覚化システムが、標準的な表現(即ち、患者特異でない表現)又は標準的な表現及び患者特異データの混成を用いてよい。複合表現及び複合表現によって生成されるあらゆる仮想画像は、運動の1つ又はそれよりも多くの位相の間(例えば、肺の吸息/呼息周期の間)の変形可能な解剖学的領域の静止的な姿勢を提示してよい。
【0041】
画像誘導処置の間に、センサシステム108を用いて患者解剖学的構造(patient anatomy)に対する器具の近似場所を計算してよい。その場所を用いて患者解剖学的構造のマクロレベルトラッキング画像及び患者解剖学的構造の仮想内部画像の両方を生成し得る。光ファイバセンサを用いて仮想視覚化システムからの画像のような術前に記録された手術画像と共に医療器具(medical implement)を位置合わせし且つ表示することは知られている。例えば、その全文を本明細書中に参照として援用する(2011年5月13日に出願された)(「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomical Structure for Image-Guided Surgery」を開示する)米国特許出願第13/107,562は、1つのそのようなシステムを開示している。
【0042】
遠隔操作医療システム100は、照明システム、操縦制御システム、洗浄システム、及び/又は吸引システムのような、任意的な操作及びサポートシステム(図示せず)を更に含んでよい。代替的な実施態様において、遠隔操作システムは、1つよりも多くの遠隔操作アセンブリ及び/又は1つよりも多くの操作者入力システムを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、数ある要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。操作者入力システムは並置されてよく、或いは操作者入力システムは別個の場所に位置付けられてよい。多数の操作者入力システムは、1人よりも多くの操作者が様々な組み合わせにおける1つ又はそれよりも多くのマニピュレータアセンブリを制御するのを可能にする。
【0043】
図2は、遠隔操作医療システム100の医療器具システム104として用いられてよい医療器具システム200を例示している。代替的に、医療器具システム200は、非遠隔操作診査処置のために又は内視鏡のような従来的な手動制御医療器具を含む処置において用いられてよい。
【0044】
器具システム200は、器具本体204に連結されたカテーテルシステム202を含む。カテーテルシステム202は、近位端217と遠位端又は先端部分218とを有する細長いフレキシブルなカテーテル本体216を含む。1つの実施態様において、フレキシブルな本体216は、約3mmの外径を有する。他のフレキシブルな本体の外径は、より大きくてよく或いはより小さくてよい。カテーテルシステム202は、遠位端218でのカテーテル先端の又は本体216に沿う1つ又はそれよりも多くのセグメントの、位置、向き、速さ、速度、姿勢、及び/又は形状を決定するために、形状センサ222を任意的に含んでよい。遠位端218と近位端217との間の本体216の全長は、セグメント224に効果的に分割されてよい。器具システム200が遠隔操作医療システム100の医療器具システム104であるならば、形状センサ222は、センサシステム108のコンポーネントであってよい。器具システム200が手動操作され或いは非遠隔操作処置のためのその他の方法で用いられるならば、形状センサ222は、トラッキングシステム230に連結されてよく、トラッキングシステム230は、形状センサに呼び掛け(interrogate)、受信する形状データを処理する。
【0045】
形状センサ222は、(例えば、内部通路(図示せず)内に設けられる或いは外部的に取り付けられる)フレキシブルなカテーテル本体216と整列させられる光ファイバを含んでよい。1つの実施態様において、光ファイバは、約200μmの直径を有する。他の実施態様において、直径はより大きくてよく或いはより小さくてよい。
【0046】
形状センサシステム222の光ファイバは、カテーテルシステム202の形状を決定する光ファイバ曲げセンサを形成する。1つの代替では、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBGs)を含む光ファイバを用いて、1つ又はそれよりも多くの次元における構造のひずみ測定値を提供する。三次元における光ファイバの形状及び相対位置をモニタリングする様々なシステム及び方法が、(2005年7月13日に出願された)(「Fiber optic position and shape sensing device and method relating thereto」を開示する)米国特許出願第11/180,389号、(2004年7月16日に出願された)(「Fiber-optic shape and relative position sensing」を開示する)米国特許出願第12/047,056号、及び(1998年6月17日に出願された)(「Optical Fibre Bend Sensor」を開示する)米国特許第6,389,187号中に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。代替的な実施態様におけるセンサは、レイリー散乱、ラマン散乱、ブリルアン散乱、及び蛍光散乱のような、他の適切なひずみ検知技法を利用してよい。他の実施態様において、カテーテルの形状は、他の技法を用いて決定されてよい。例えば、カテーテルの遠位先端姿勢の履歴を用いて、時間の間隔に亘ってデバイスの形状を再構築し得る。他の例として、履歴的な姿勢、位置、又は向きデータが、呼吸のような交互の運動の周期に沿う器具システム既知の地点について格納されてよい。この格納されるデータを用いてカテーテルについての形状情報を発展させ得る。代替的に、カテーテルに沿って位置付けられるEMセンサのような一連の位置センサを形状検知のために用い得る。代替的に、特に、解剖学的通路が静止的であるならば、処置中の器具システム上のEMセンサのような位置センサからのデータの履歴を用いて器具の形状を提示してよい。代替的に、位置又は向きが外部磁場によって制御される無線デバイスが形状検知のために用いられてよい。無線デバイスの位置の履歴を用いてナビゲートされる通路についての形状を決定してよい。
【0047】
形状センサ222の光ファイバを用いてカテーテルシステム202の少なくとも部分の形状をモニタリングしてよい。より具体的には、光ファイバを通過する光を処理してカテーテルシステム202の形状を検出し、その情報を利用して外科処置を支援してよい。センサシステム(例えば、センサシステム108)は、カテーテルシステム202の形状を決定するために用いられる光を生成し且つ検出する呼掛けシステム(interrogation system)を含んでよい。次に、この情報を用いて医療器具システムの部分の速度及び加速度のような他の変数を決定し得る。検知は遠隔操作システムによって作動させられる自由度にのみ限定されてよく、或いは検知は受動的な(例えば、ジョイントの間の剛性部材の作動させられない曲げ)自由度及び能動的な(例えば、器具の作動させられる動き)自由度の両方に適用されてよい。
【0048】
医療器具システムは、任意的に、位置センサシステム220を含んでよい。位置センサは、外部的に生成される電磁場に晒されることがある1つ又はそれよりも多くの導電性コイルを含むセンサ220を備えるEMセンサシステムのコンポーネントであってよい。その場合、EMセンサシステム220の各コイルは、外部的に生成される電磁場に対するコイルの位置及び向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。1つの実施態様において、EMセンサシステムは、6つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びにベース地点のピッチ、ヨー、及びロールを示す3つの向き角度、又は5つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに2つのベース地点のピッチ及びヨーを示す2つの向き角度を測定するように、構成され且つ位置付けられてよい。EMセンサシステムの更なる記述は、(1999年8月11日に出願された)(「Six-Degree of Freedom Tracking System Having a Passive Transponder on the Object Being Tracked」を開示する)米国特許第6,380,732号中に提供されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0049】
トラッキングシステム230が、遠位端218の及び器具200に沿う1つ又はそれよりも多くのセグメント224の位置、向き、速さ、速度、及び/又は形状を決定するために、位置センサシステム220及び形状センサシステム222を含んでよい。トラッキングシステム230は、1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサと相互作用する或いは1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサによってその他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせとして実施されてよく、1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサは、制御システム116のプロセッサを含んでよい。
【0050】
フレキシブルな本体216は、補助的な器具226を受け入れるような大きさ及び形状とされる通路を含む。補助的な器具は、例えば、画像取込みプローブ(画像キャプチャプローブ)、生検器具、レーザアブレーションファイバ、又は他の手術、診断、若しくは治療ツールを含んでよい。補助的なツールは、メス、鈍らブレード、光ファイバ、又は電極のような、単一の作業部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ、ハサミ、又はクリップアプライヤを含んでよい。電気的にアクティブ化されるエンドエフェクタの実施例は、電気外科電極、変換器(トランスデューサ)、センサ、及び同等物を含む。様々な実施態様において、補助的なツール226は、画像取込みプローブであってよく、画像取込みプローブは、表示のために視覚化システム231によって処理される(ビデオ画像を含む)画像を取り込むフレキシブルなカテーテル本体216の遠位端218に又はその付近に立体視又は平面視カメラを備える遠位部分を含む。画像取込みプローブは、取り込まれる画像データを送信するために、カメラに連結されるケーブルを含んでよい。代替的に、画像取込み器具は、視覚化システムに繋がる、ファイバスコープのような、光ファイバの束(fiber-optic bundle)であってよい。画像取込み器具は、例えば、可視スペクトル、赤外スペクトル、又は紫外スペクトルのうちの1つ又はそれよりも多くにおいて画像データを取り込む、単スペクトル又は多スペクトルであってよい。
【0051】
補助的な器具226は、器具の遠位端を制御可能に曲げるために器具の近位端と遠位端との間に延びる、ケーブル、リンケージ、又は他の作動制御装置(図示せず)を収容してよい。操縦可能な器具は、(2005年10月4日に出願された)(「Articulated Surgical Instrument for Performing Minimally Invasive Surgery with Enhanced Dexterity and Sensitivity」を開示する)米国特許第7,316,681号及び(2008年9月30日に出願された)(「Passive Preload and Capstan Drive for Surgical Instrument」を開示する)米国特許出願第12/286,644号に詳細に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。
【0052】
フレキシブルなカテーテル本体216は、例えば、遠位端の破線描写219によって示されるように、遠位端218を制御可能に曲げるために、ハウジング204と遠位端218との間に延びる、ケーブル、リンケージ、又は他の操縦制御装置(図示せず)も収容してよい。操縦可能なカテーテルは、(2011年10月14日に出願された)(「Catheter with Removable Vision Probe」を開示する)米国特許出願第13/274,208号に詳細に記載されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。器具システム200が遠隔操作アセンブリによって作動させられる実施態様において、ハウジング204は、遠隔操作アセンブリの電動駆動要素に取り外し可能に繋がり且つ遠隔操作アセンブリの電動駆動要素から電力を受ける駆動入力部を含んでよい。器具システム200が手動で作動させられる実施態様において、ハウジング204は、握り構成、手動アクチュエータ、又は器具システムの動きを手動で制御する他のコンポーネントを含んでよい。カテーテルシステムは、操縦可能であってよく、或いは、代替的に、カテーテルシステムは操縦不能であってよく、器具曲げの操作者制御のための統合的な機構を備えない。その上又は代替的に、医療器具を配置し得る並びに標的手術場所で用い得る1つ又はそれよりも多くの管腔が、フレキシブルな本体216の壁に定められる。
【0053】
様々な実施態様において、医療器具システム200は、肺の検査、診断、生検、又は治療における使用のために、気管支鏡又は気管支カテーテルのような、フレキシブルな気管支器具を含んでよい。システム200は、結腸、腸、腎臓、脳、心臓、循環系、及び同等器官を含む、様々な解剖学的系統のうちのいずれかにおける、自然の又は外科的に創られる接続される通路を介した、他の組織のナビゲーション及び治療にも適する。
【0054】
トラッキングシステム230からの情報はナビゲーションシステム232に送信されてよく、それはナビゲーションシステム232で視覚化システム231からの情報及び/又は術前に得られるモデルと組み合わせられて、器具200の制御における使用のためにディスプレイシステム110上で外科医又は他の操作者に実時間位置情報を提供する。制御システム116は、器具200を位置付けるためのフィードバックとして位置情報を利用してよい。手術器具を手術画像と位置合わせし且つ表示するために光ファイバセンサを用いるための様々なシステムが、2011年5月13日に出願され、「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomical Structure for Image-Guided Surgery」を開示する、米国特許出願第13/107,562号に提供されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0055】
図2の実施態様において、器具200は、遠隔操作医療システム100内で遠隔操作される。代替的な実施態様において、遠隔操作アセンブリ102は、直接操作者制御によって置換されてよい。直接操作代替では、様々なハンドル及び操作者インターフェースが器具の手持ち式操作のために含められてよい。
【0056】
図3は、肺の外部の視点からの人間の肺152の解剖学的モデルの複合画像(composite image)を提供するディスプレイシステム150(例えば、ディスプレイシステム110)を描写している。そのような画像は、解剖学的通路156を通じて標的場所153に至る例示的な経路を示している。モデル肺151は、カテーテルシステム202のような、フレキシブルな器具の器具画像154と位置合わせされる。
【0057】
図4Aは、図3の複合画像のような複合画像を生成するプロセスを例示するフローチャート400を提供する。プロセス402で、患者解剖学的構造の関連部分の術前又は術中画像(例えば、CT又はMRI)が得られてよい。プロセス404で、セグメント化プロセスのようなモデル化機能を用いて、解剖学的構造(anatomy)のモデルが画像のセットから生成されてよい。手作業の及び/又はコンピュータソフトウェアベースのセグメント化プロセスを通じて、画像は、色(color)、密度(density)、強さ(intensity)、及び組織(texture)のような、特定の特徴又は計算される特性を共有する、セグメント又は要素(例えば、ピクセル又はボクセル)に分割される。このセグメント化プロセスは、得られる画像に基づき標的解剖学的構造のモデルを形成する二次元又は三次元再構築をもたらす。モデルを提示するために、セグメント化プロセスは、標的解剖学的構造を表現するボクセルのセットを描写し、次に、マーチングキューブ関数のような関数を適用して、ボクセルを取り囲む3D表面を得てよい。
【0058】
プロセス406で、操作者又は自動制御システムは、モデルを通じて標的構造又は領域(例えば、腫瘍又は閉塞)に至る経路を計画してよい。例示されていないが、経路計画プロセスは、処置400中の様々な段階に起こることがあり、そして、再び起こることがある。プロセス408で、モデルは、患者解剖学的構造と位置合わせされる。より具体的には、ボクセルを取り囲む3D表面は、患者解剖学的構造に動的に関連付けられる(referenced)。モデルは、基準系(frame of reference)と、関連するモデル座標系(model coordinate system)とを有する。モデル内で特定される解剖学的構成(anatomic
structures)の場所を、実際の患者及びインターベンショナル器具が存在する患者基準系に変換し得るよう、モデル基準系は、患者基準系と位置合わせされる。
【0059】
プロセス410で、器具は、患者解剖学的構造に対して位置特定される(localized)。より具体的には、器具が解剖学的構造を通じて動くときに、器具トラッキングシステム(例えば、システム230)は、患者解剖学的構造に対する器具の場所をトラッキングする。トラッキングシステムは、ツールの遠位端のようなツールの部分の場所をトラッキングしてよい。器具上の1つよりも多くの場所がトラッキングされてよい。プロセス412で、トラッキングされる器具は、解剖学的モデル位置合わせされ、任意的に、図3に示されるように、表示される画像が生成される。より具体的には、モデル化される解剖学的構造に対する器具の動きをトラッキングし且つ表示し得るよう、患者基準系内のインターベンショナル器具についての場所、向き、形状、動き、又は他の空間基準データを調和させて、モデル基準系に変換し得る。様々な技法を用いて器具の位置をモデルと位置合わせし得る。1つの実施例では、ICT(Iterative Closest Point)技法が用いられる。ICPは、対応する地点の間の累計差(total sum difference)が減少させられるよう、第1のセットの空間基準点が第2のセットの地点に対して変換される、技法である。変換は、2つのセットの地点が互いに最小の距離にあるよう、反復的に修正される。ICPを用いて解剖学的構造内の器具の地点と関連付けられるデータを解剖学的構造のモデルに位置合わせするとき、第1のセットの地点は、モデルを表す地点又は空間データ情報に対応する。第2のセットの地点は、器具と関連付けられる様々な種類のトラッキングシステムから得られる地点又は空間データ記録に対応する。トラッキングシステムから得られる空間データ記録は、記録が創り出される時間又は順序についての情報を提供してよく、器具についての位置、向き、形状、動き又は他の空間情報を含んでよい。器具から得られる地点は、器具の動きの故に更新されるときに、空間内の第2のセットの地点は、モデルからの第1のセットの地点に対して反復的に変換される。よって、器具がプロセス414中に標的に向かって通路を進むときに、器具はモデルと位置合わせされたままである。
【0060】
一般的に、器具についてのより多くの空間情報が受信されるときに、器具位置特定及び位置合わせの精度は増大する。しかしながら、器具の場所についての不正確な空間情報を受信することは、位置特定の精度を減少させることがあり、或いは位置特定プロセスを遅くさせることがある。例えば、トラッキングシステムのセンサシステムにおける不規則性に起因する整合性のない(inconsistent)空間データ記録が得られることがある。これらのアウトライアデータ地点(outlier data points)を用いて位置特定及び位置合わせを計算するならば、結果は不正確なことがある。他の実施例において、空間データ記録が特定の時間間隔で得られ、器具が停止させられるようになるならば、特定の解剖学的領域についてより大きなセットの空間データ記録があることがある。これはICP機能がその領域に過度の重量を与える原因となり得るし、位置合わせプロセスにおける誤差を増大させ得る。
【0061】
本明細書中に記載する原理によれば、ICP又は他の位置合わせ技法のために用いられるとき、特定の記録が取り除かれ或いはより低い重みが与えられるよう、器具のトラッキングシステムから得られる空間データ記録のセットはフィルタリングされ得る。フィルタリングは、解析のために、ある基準を満足する空間データ記録のみを選択することを含んでもよい。しかしながら、本明細書中に記載する原理は、位置合わせにおける使用に限定されず、解剖学的通路を通じる器具の動きをトラッキングすることによってモデルを構築し或いは修正することのような他の目的のために用いられてよいことが理解されよう。フィルタリングは、本明細書中に記載されるような様々な方法において行われてよい。
【0062】
図4Bは、フィルタリングされたデータを用いて位置合わせを行う例示的な方法450を示すフローチャートである。任意的なプロセス452で、空間情報のセットが患者解剖学的構造のモデルから受信される。この空間情報のセットは、患者解剖学的構造内の通路に対応する要素のセットを含んでよい。それらの要素は、例えば、ボクセル、通路中心線地点(passageway centerline points)、又はメッシュモデル(mesh model)として表されてよい。モデルからの空間情報のセットは、ボクセルを取り囲む三次元表面を含んでもよい。プロセス454で、空間情報のセットが器具トラッキングシステムから得られる。この空間情報のセットは、連続的な記録が創り出された時間又は順序についての情報を提供するトラッキングシステムから得られる空間データ記録のセットであってよく、器具についての位置、向き、形状、動き又は他の空間情報を含んでよい。プロセス456で、トラッキングシステムからの空間情報のセットは、変形された形状又は特定の空間データ記録若しくは空間データ記録のサブセットを好ましくなくさせる或いは好ましくさせることがある他の理由と関連付けられる、周期的な解剖学的運動の特定の周期中に得られる、望ましくない時間期間(例えば、古すぎる又は新しすぎる時間期間)からの、より低い信頼度(confidence)又は品質の冗長なアウトライア(outliers)であると見做される、空間データ記録への重み係数(weighting factor)を選択し、除去し、或いは提供することによって、フィルタリングされる。任意的に、プロセス458で、トラッキングシステムからの空間データ記録のフィルタリングされたセットは位置合わせされてよい。任意的に、解剖学的構造に位置合わせさた器具の画像が表示されてよい。
【0063】
図5Aは、器具(例えば、器具システム200)から得られる空間データ記録502,504,506,508に対応する空間内の地点を含む地点のセット500を例示している。図5Bは、空間データ記録502,504,506,508の表510を例示している。空間データ記録は、例えば、器具の遠位部分に配置されるセンサ(例えば、EMセンサ)から得られてよい。各空間データは、様々な時での器具の遠位部分についての空間情報をもたらす。例えば、空間データ記録502は、時間T1での器具の遠位端の位置P1及び向きO1を記載している。重み係数W1が空間データ記録502と関連付けられてよい。重み係数は、フィルタリングプロセスがデータのセットについて行われた後に適用されてよい。例えば、1の重みW1は、空間データ記録502が位置合わせの目的のために使用可能である或いは他の点で好ましくない場合がないことを示してよい。0の重みW1は、空間データ記録502が廃棄される或いは器具の位置合わせのために用いられないことを示してよい。空間データ記録502における信頼度レベルが不確定であるか或いは低いならば、0~1の間の重みW1が適用されてよい。よって、記録502は、位置合わせアルゴリズムにおいて考慮されるが、強い信頼度レベル及び1の重みを有した記録ほど強く重み付けられない。記録504が時間T1に続く時間T2で得られ、器具について新しい地点P2及び向きO2と関連付けられる。図示していないが、空間データ記録502は、時間T1での器具についての形状データ、速度データ、モータトルク、力、又は他の空間情報を含む、他のフィールドを含んでよい。
【0064】
様々な他の実施態様では、器具から得られる空間情報のセットが、フルセットの記録を位置合わせ又はモデル構築のために用いるときの不正確性に寄与する空間データ記録を含むことがある。器具から得られる空間データ記録をフィルタリングする様々な技法が、位置合わせ又はモデル化手順において用いられてよい。以下に記載するフィルタリング方法のいずれか1つ又は組み合わせを用いて空間データ記録をフィルタリングしてよい。
【0065】
(冗長データのフィルタリング)
【0066】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、或いは、冗長である減少された重み係数を、従前に得られた、よって、追加的な空間情報をもたらさない記録に適用することによって、フィルタリングされてよい。図5Cは、器具(例えば、器具システム200)から得られた記録522,524,526,528,530を含む空間データ記録に対応する、空間内の地点のセット520を例示している。フィルタリングプロセスをセット520に適用することは、記録528及び530を記録526の冗長(例えば、同一又は類似の空間情報を提供すること)として認識させることがある。冗長データ記録は、記録が規則的な時間間隔で得られるが、器具の動きがバックトラッキングされる、或いは、例えば、器具の大きさ(例えば、狭い通路内で大きすぎる)、解剖学的障害、又は命令エラーの故に、解剖学的構造内で失速させられるときに、起こることがある。従って、器具位置合わせプロセスにおけるそれらの記録の使用を最小にするよう、記録528,530は、ゼロ又はゼロに近い値で重み付けられてよい。冗長さは、様々な異なる方法において決定されてよい。1つの実施態様において、冗長さは、様々なボクセル又は他の空間容器(spatial containers)に対応する空間データ記録の間の空間関係に基づくことがある。例えば、図6Aに示すように、解剖学的モデルは、例えば、撮像された又はセグメント化された解剖学的通路に対応するボクセル601のセット(例えば、ボクセルマップ)によって表される、複数の要素で構成されてよい。器具から得られる空間データ記録のセット600内の各空間データ記録は、ボクセル601のセット内のボクセルと関連付けられ或いは調和させられてよい。よって、ボクセルマップを用いて、三次元空間内のどの領域が空間データ記録を得るためにサンプリングされたかをトラッキングし得る。例えば、ボクセルマップ601内のボクセル608は、複数604の得られた空間データ記録と関連付けられてよい。単一のボクセルと関連付けられる空間データ記録の数が1よりも大きい任意の値であってよい閾値を超えるならば、余分な空間記録は、廃棄される(例えば、ゼロの重み値を付与する)ことによって或いは低い(例えば、1よりも少ない)重み値が提供されることによって、フィルタリングされてよい。代替的に、単一のボクセルと関連付けられる重み付けられた或いは重み付けられない空間データ記録は平均化されてよい。
【0067】
他の実施態様において、冗長さは、データ記録間で測定される距離のような空間関係に基づくことがある。例えば、冗長さは、複数の空間データ記録を収集時間的に収集された順序(collection time-gathered order)で順序付けることによって決定されてよい。例えば、図6Bに示すように、第1の連続的な空間データ記録610と第2の連続的な空間データ記録612との間の距離D1が測定されてよい。距離D1が閾値よりも下である(近すぎる)ならば、第2の連続的な記録612は、第1の値610の冗長と考えられてよい。従って、第1又は第2の連続的な記録の一方が、廃棄される(例えば、ゼロの重み値を付与する)ことによって或いは低い(例えば、1よりも少ない)重み値が提供されることによって、フィルタリングされてよい。連続的な記録を評価するこのプロセスは、k次元ツリー解析を用いて最適化されることがある。
【0068】
(命令される位置フィルタリング)
【0069】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、減少された重み係数を適用することによって、或いは器具の遠隔操作命令される位置、向き、又は速度に基づき記録を選択することによって、フィルタリングされてよい。器具の命令される位置は、特定の時間期間の間に器具が進むと予測される距離の表示をもたらす。命令される速度は、その命令される位置に達するための命令される位置及び命令される時間期間(例えば、命令される位置/時間期間の差)に基づいてよい。図7に示すように、上述のような器具を用いる医療処置のために、命令される速度プロファイル700が提供されてよい。時間期間T1に亘って、器具は速度V1で動くように命令される。時間期間T2に亘って、器具はより遅い速度V2で動くように命令される。時間期間T3に亘って、器具は速度V1及びV2の間の移行期にあってよい。命令される速度プロファイルは、操作者入力システム(例えば、システム106)での操作者入力デバイスの動きから生成されてよい。器具の命令される速度に基づき、フィルタによって選択されるべき空間データ記録の量が設定されてよい。フィルタは、命令される速度プロファイルに比例する空間データ記録の量を選択してよい。例えば、器具が速く(例えば、V1で)動いているならば、動作期間中にフィルタによって選択されるべき空間データ記録セットの量(Q1)は、器具がゆっくり(例えば、V2で)動いている場合に同じ動作期間中にフィルタによって選択される量(Q2)よりも大きくてよい。ほんの一例として、V1がV2の速さの二倍(V1=2×V2)であるならば、Q1は、記録の量Q2の二倍(Q1=2×Q2)であってよい。器具の動作の速度と収集されるデータ記録の量との間の他の比例した又は比例しない関係が想定され且つ理解される。移行期間T3の間に、フィルタリングは比例した速度で継続してよく、或いは一定の速度に再び達するまで一時的に終了されてよい。様々な実施態様において、命令される位置フィルタリング技法は、器具の動きが周期的な解剖学的運動の特定の段階で失速させられ或いは信号データ記録を選択しないならば、フィルタアルゴリズムが得られる空間データ記録を選択しないように、修正されてよい。例えば、器具は、器具の遠位端が動きを遅らせ或いは妨げることがある組織と接触しているか否かを決定し得る、力センサを備えてよい。様々な実施態様において、命令される位置フィルタリング技法は、力センサから信号を受信すること、力センサから受信する信号に基づいて器具からの空間情報のセットの受信を終了することを更に含んでよい。力センサからの信号が、器具が障害物に直面したことを示すならば、フィルタアルゴリズムは、空間データ記録が位置合わせ又はモデル構築における使用のために選択されない状態に適応してよい。様々な実施態様において、器具は、患者の周期的な解剖学的運動(例えば、呼吸、心臓運動)又は肉眼で見える動作(gross movement)を検出するために用いられる、力センサ、位置センサ、向きセンサ、又は他のセンサを備えてよい。フィルタリングアルゴリズムは、運動が最小にされるときに(例えば、呼吸の完全吸息状態のときに)解析のための空間データ記録を選択してよい。図7と同様に、命令される位置及び向きプロファイルを用いて、空間データ記録をフィルタリングしてよい。空間データ記録は、器具で測定される力及び/又は器具を動かすための関連するモータトルクに基づきフィルタリングされてもよい。例えば、測定されるモータトルクが特定の姿勢を創るために予想される閾値よりも大きいならば、余分なモータトルクと関連付けられるデータは廃棄されてよい。
【0070】
(アウトライアフィルタリング)
【0071】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、減少された重み係数を適用することによって、或いは空間データ記録がアウトライア記録として特定されるか否かに基づいてデータを選択することによって、フィルタリングされてよい。図8は、器具(例えば、器具システム200)から得られる記録752,754,756を含む空間データ記録に対応する空間内の地点のセット750を例示している。フィルタリングプロセスをセット750に適用することは、記録754をアウトライアデータ地点として認識させることがある。アウトライア地点は、EMセンサのばらつき、周期的な解剖学的運動(例えば、呼吸)、又は他の患者動作、操作者操縦の非整合性(inconsistencies)、柔軟性(flexibility)若しくは柔軟性の欠如のような器具特性によって引き起こされることがある。従って、記録754は、その記録を器具位置合わせプロセスにおいて用いるのを最小にするよう、ゼロ又はゼロに近い値で重み付けられてよい。データ記録754は、位置又は向き情報を提供しているセンサ(例えば、EMセンサ)についての品質測定法(quality metric)に基づきアウトライアとして特定されてよい。センサ品質測定法は、センサの精度の表示を提供することがある。例えば、6つの自由度のEMセンサは、互いに対してある角度で取り付けられる2個の5つの自由度のEMセンサで構成されてよい。重なり合う自由度が互いに整合しないならば、センサと関連付けられる品質測定法は低い又は不十分であると決定されることがある。他の例として、光ファイバ精度は、関心の領域に近接するファイバ曲げの堅さ(tightness)の関数であってよい。曲げが極めて堅いと決定されるならば、その領域又は曲げの遠位の領域からのデータは廃棄され或いは減少させられてよい。センサノイズを用いて、データを記録する特定の時に亘るセンサ精度を決定してもよい。
【0072】
追加的に又は代替的に、データ記録754は、器具動作の測定される速さを考慮して先行データ記録からの又は後続データ記録への位置の距離又は向きの変化に基づきアウトライアとして特定されてよい。例えば、記録754と後続の連続的な記録756との間の距離758及び記録754と一対の後続の記録752との間の距離760が測定されてよい。距離758及び760が、器具の最大速度に基づき予測される距離よりも大きいならば、記録754はアウトライアとして特定されてよい。代替的に、距離758及び760が、記録754が記録される前後の器具の速度に基づき予測される距離よりも大きいならば、記録754はアウトライアとして特定されてよい。代替的に、距離758及び760が、セット内の他の記録の間の平均距離よりも大きく、器具が一貫した速度で動いているならば、記録754は、アウトライアとして特定されてよい。代替的に又は追加的に、先行する記録752及び後続の記録756と比較された記録704についての器具の間の向きが測定されてよい。向きの差がセット750ナインお他の記録の間の平均的な向きの差と実質的に異なるならば、記録754は、アウトライアとして特定されてよい。
【0073】
(信頼度フィルタリング)
【0074】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、減少された重み係数を適用することによって、或いは各空間データ記録についての信頼度値に基づき記録を選択することによって、フィルタリングされてよい。低い信頼度値の記録は、より積極的にデータセットから除去されてよい。信頼度値は、センサから又は器具上で受信する信号の変動の量に基づき各空間データ記録について決定されてよい。例えば、受信される信号から決定されるような器具の遠位端の向きの大きな変動は、空間データ地点に低い信頼度値が付与される原因となることがある。器具の遠位端の向きの変動が小さいならば、空間データ地点は、より高い信頼度値を付与されてよい。図9に示すように、データ記録800のセットは、地点802,804,806についての空間データ記録を含む。各空間データ記録802,804,806は、向き値O802,O804,O806をそれぞれ含む。解析が、向き値O806が先行する及び後続の向き値O802,O804と有意に異なるならば、データ記録806は廃棄されてよく、或いはより低い重み値が提供されてよい。
【0075】
他の例として、空間データ記録と器具についての主要な進行方向との間の距離(例えば、距離の垂直成分)の大きな変動は、空間データ地点に低い信頼度値が付与される原因となることがある。距離の変動がより小さいならば、空間データ地点はより高い信頼度値を付与されてよい。空間データ記録のセットについての信頼度値が閾値よりも下に降下するならば、低い信頼度はセット内の記録を平均化することによって順応させられることがある。信頼度値は、上述のボクセルマップと共に用いられてよい。一例として、特定の要素又はボクセルと関連付けられる記録の全てについて、データ記録は信頼度値によって重み付けられてよく、重み付けられた記録は平均化させられてよい。他の例として、特定の要素又はボクセルと関連付けられる記録の全てについて、向きが評価されてよい。変動の量は、解剖学的通路の管腔の大きさと相関することがある。換言すれば、変動が大きいならば、管腔は大きくてよい。何故ならば、器具の遠位端は、多数の方向からある場所に接近し得るからである。変動が小さいならば、管腔は小さくてよい。何故ならば、きつい(tight)通路は器具の遠位端の角形成(angulation)を制限するからである。大きな管腔は、より低い信頼度値と関連付けられることがある。十分な記録を得て位置合わせプロセスを行うために、低い信頼度値の記録が選択されなければならないならば、低い信頼度記録は平均化されてよく、或いは中間の記録がフィルタによって選択されてよい。
【0076】
(一時的なフィルタリング)
【0077】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、減少された重み係数を適用することによって、或いは各空間データ記録についての一時的な情報に基づいて記録を選択することによって、フィルタリングされてよい。例えば、より古い記録(例えば、他の空間データ記録と比べてより早期の値を備える空間データ記録)が廃棄され或いはより低い重み値が付与されてよい。外科処置が変形を引き起こす可能性が高いならば、早期の非変形状態の解剖学的構造からのより古い空間データ記録が好ましいことがある。その場合には、より新しい記録(例えば、他の空間データ記録と比べてより後の時の値を備える空間データ記録)が廃棄され或いはより低い重み値が付与されてよい。他の例として、周期的な解剖学的運動の周期内の選択的な時(例えば、呼吸周期の完全吸息と関連付けられる時)についての空間データ記録がフィルタによって選択されてよい。代替的に、記録は、選択された時から経過した時間の量に基づく重み値が提供されてよい。図10は、記録902及び904を含む空間データ記録900のセットを例示している。解剖学的通路906が、周期的な解剖学的運動の非変形状態U及び変形状態Dにおいて示されている。変形状態と関連付けられる時についての記録904よりもむしろ非変形状態と関連付けられる時についての記録902を選択するように、フィルタリングアルゴリズムが設定されてよい。
【0078】
(変形ベースのフィルタリング)
【0079】
様々な実施態様において、空間データ記録は、廃棄することによって、減少された重み係数を適用することによって、或いは空間データ記録が解剖学的変形と関連付けられるか否かに基づき記録を選択することによって、フィルタリングされてよい。この技法は、フィルタリングを用いて変形されたモデル構築するとき又は変形された解剖学的構造を術前の変形されていないモデルにどのように位置合わせするかを決定するときに特に適する。図10に示すように、解剖学的通路内に位置付けられる器具内に延在する形状センサが変形されていない形状プロファイル1000を戻してよい。解剖学的通路が器具又は通路に対する他の力によって変形させられていないならば、器具及び形状センサの更なる前進は、形状プロファイル1000からの形状を含む形状プロファイル1002を戻す。代替的に、解剖学的通路が器具又は通路に対する他の力によって変形させられているならば、器具及び形状センサの更なる前進は、変形させられた形状プロファイル1004を戻す。形状プロファイルによって観察されるような通路の変形を用いて、器具によって得られた空間データ記録をフィルタリングするか否かを決定してよい。例えば、変形されていない解剖学的構造のモデルが空間データ記録から構築されるならば、器具が変形させられたプロファイル1004にある間に得られるデータ記録がデータセットから除去されてよい。変形させられた解剖学的構造のモデルに関心があるならば、器具が変形させられたプロファイル1004にある間に得られたデータ記録が維持され或いは選択されるが、形状プロファイル1002と関連付けられる空間データ記録は除去されてよい。
【0080】
この開示のシステム及び方法は、肺の接続された気管支通路のために用いられてよい。システム及び方法は、結腸、腸、腎臓、脳、心臓、循環系、又は同等器官を含む、様々な解剖学的系統のいずれかにおける、自然の又は外科的に創られた接続された通路を介した、他の組織のナビゲーション及び治療にも適することがある。システム及び方法は、器官のトレース可能な表面の周りのナビゲーションにも適することがある。この開示の方法及び実施態様は、非外科的な用途にも適する。
【0081】
本発明の実施態様における1つ又はそれよりも多くの要素は、制御処理システム112のようなコンピュータシステムのプロセッサ上で実行するソフトウェア内で実施されてよい。ソフトウェア内で実施されるとき、本発明の実施態様の要素は、本質的に、所要のタスクを行うコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、送信媒体又は通信リンクを通じて搬送波において具現されるコンピュータデータ信号を経由してダウンロードされてよいプロセッサ可読記憶媒体又はデバイス内に格納され得る。プロセッサ可読記憶デバイスは、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納し得るあらゆる媒体を含んでよい。プロセッサ可読記憶デバイスの例は、電子回路、半導体デバイス、半導体メモリデバイス、読出し専用記憶装置(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能なプログラム可能読取り専用記憶装置(EPROM)、フロッピーディスケット、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の格納デバイスを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のような、コンピュータネットワークを介して、ダウンロードされてよい。
【0082】
提示される処理及び表示は本来的に如何なる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連付けられなくてよいことに留意のこと。様々な汎用システムが本明細書中の教示に従ったプログラムと共に用いられてよく、或いは記載する操作を行うためにより特殊な装置を構築するのが便利であると分かることがある。様々なこれらの装置のための所要の構造は、請求項中に要素として現れる。加えて、本発明の実施態様は、如何なる特定のプログラミング言語を参照して記載されてもいない。様々なプログラミング言語を用いて本明細書中に記載するような本発明の教示を実施してよいことが理解されるであろう。
【0083】
本発明の特定の例示的な実施態様を記載し且つ添付の図面中に示したが、そのような実施態様は広義の発明の例示であるに過ぎず、広義の発明に対する限定でないこと、並びに、本発明の実施態様は図示し且つ記載する特殊な構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。何故ならば、様々な他の変形が当業者の心に思い浮かぶことがあるからである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11