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特許7017936耐衝撃性アンダーボディシールド材及び物品、ならびにそれらの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】耐衝撃性アンダーボディシールド材及び物品、ならびにそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/10 20060101AFI20220202BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 5/06 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 5/20 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220202BHJP
   B29C 41/12 20060101ALI20220202BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20220202BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B32B5/10
B32B27/18 Z
B32B27/12
B32B27/32 Z
B32B5/06 Z
B32B5/20
B32B5/26
B29C41/12
B62D25/20 N
B32B27/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017564567
(86)(22)【出願日】2016-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 US2016036962
(87)【国際公開番号】W WO2016201279
(87)【国際公開日】2016-12-15
【審査請求日】2019-06-10
(31)【優先権主張番号】62/175,004
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514102858
【氏名又は名称】ハンファ アズデル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤンカイ
(72)【発明者】
【氏名】メッシナ,アンソニー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,マーク・オゥ
【審査官】橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0021718(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0070019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0008869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0059010(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0149268(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0010760(US,A1)
【文献】米国特許第08080486(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B29B11/16
15/08-15/14
B29C41/00-41/36
41/46-41/52
70/00-70/88
C08J5/04-5/10
5/24
B62D25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーボディシールド組成物であって、
熱可塑性ポリマー樹脂で互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む多孔性熱可塑性コア層を備え、前記多孔性熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際に前記多孔性熱可塑性コア層の厚みを増加させて膨張後の多孔性コア層を提供可能な微粒子状の膨張剤を含み、前記多孔性熱可塑性コア層は、20質量%~90質量%の前記熱可塑性ポリマー樹脂と、30質量%~70質量%の前記強化繊維と、2質量パーセント~20質量パーセントの前記微粒子状の膨張剤と、を含み、前記膨張後の多孔性コア層は0%超~最大95%の空隙率を含み、前記熱可塑性ポリマー樹脂におけるメルトフローインデックスは、2013年付けのASTM D1238,condition Lを用いて測定して300g/10分以上であり、
前記膨張後のコア層の第1表面上に配置されたポリオレフィンコポリマーフィルムを備え、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムは少なくとも10ミルの厚みを有し、
前記膨張後のコア層の第2表面上に配置された接着剤層と、
前記接着剤層の上に配置されたポリエステル不織布スクリムとを備え、
前記膨張後のコア層、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムおよび前記ポリエステル不織布スクリムは共に、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能なアンダーボディシールド物品を提供し、SAE J400の手順は、1/8インチのスチール製支持部に前記アンダーボディシールド物品が取り付けられて前記アンダーボディシールド物品の前記ポリオレフィンコポリマーフィルムに、個々に90度の角度で直径8から16mmの路面砂利を用いた衝撃物を当て、前記路面砂利は8秒間隔で70psiの圧力で供給され、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムへの損傷は前記膨張後のコア層からの前記ポリオレフィンコポリマーフィルムの剥離または前記ポリオレフィンコポリマーフィルムの亀裂を含む、アンダーボディシールド組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィンコポリマーフィルムはポリプロピレンコポリマーフィルムである、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマー樹脂はポリプロピレンであり、前記強化繊維はガラス繊維であり、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムはポリプロピレンコポリマーフィルムである、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項4】
前記微粒子状の膨張剤は、前記多孔性熱可塑性コア層内に4質量パーセントから最大20質量パーセント存在する、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項5】
前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、金属繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマー樹脂は、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン配合樹脂、ポリビニルポリマー樹脂、ブタジエンポリマー樹脂、アクリルポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレンポリマー樹脂、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、及びコポリマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー樹脂である、請求項5に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項7】
前記多孔性熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び前記微粒子状の膨張剤を含み、前記フィルムはポリプロピレンコポリマーフィルムであり、2013年付けのASTM D1238,condition Lを用いて測定した前記熱可塑性コア層の前記ポリプロピレンのメルトフローインデックスは、325g/10分であり、前記膨張後のコア層の坪量は1200gsmであり、前記アンダーボディシールド組成物はSAE J400試験で前記ポリプロピレンコポリマーフィルムに損傷がない状態で少なくとも100サイクルに耐えることができ、ポリプロピレンとガラス繊維との割合は前記多孔性熱可塑性コア層において55:45である、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィンコポリマーフィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、前記多孔性熱可塑性コア層の前記第1表面上に直接配置され、前記膨張後のコア層は坪量900gsmを有し、前記ポリオレフィンコポリマーフィルムはポリプロピレンコポリマーフィルムであり、前記ポリプロピレンコポリマーフィルムの厚みは4mmであり前記ポリプロピレンコポリマーフィルムの坪量は225gsmである、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【請求項9】
前記ポリオレフィンコポリマーフィルムは、前記コア層の厚みを減少させる場合に、より多くの衝撃物に耐えるように構成されている、請求項1に記載のアンダーボディシールド組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2015年6月12日出願の米国特許仮出願第62/175,004号に関連し、また同出願の利益及び優先権を主張するものであり、その開示内容全体は、あらゆる目的において参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、耐衝撃性を付与するアンダーボディシールド材に関する。より詳細には、本明細書に記載する特定の実施形態は、耐衝撃性アンダーボディシールドに使用可能なアンダーボディシールド材を目的とし、当該耐衝撃性アンダーボディシールドは、耐衝撃性を共に付与可能なコア層及びフィルムを含む。
【背景技術】
【0003】
自動車用部材及び建設用材料として使用する物品は、通常、数多くの相反する厳しい性能規定に適合するように設計されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、多層組立体及びその構成要素に使用可能な材料に従った特定の構成について記載しているが、当該構成により、2012年10月23日付けのSAE Standard J400(以後、「グラベロメーター試験」と呼ぶ)(2014年7月1日付けのASTM D3170-14と類似)に従い試験した際、耐衝撃性が付与される。例えば、上記材料を用いて複合物品を製造することができるが、当該物品は、グラベロメーター試験条件に基づいて規定する場合、物品に物質的な損傷または影響を何ら受けずに、50個以上の個々の衝撃物、例えば100個以上の個々の衝撃物に耐えることが可能である。一態様では、以下のアンダーボディシールド組成物を提供する。アンダーボディシールド組成物は熱可塑性コア層を含み、当該コア層は、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、及びコア層の第1表面上に配置されたフィルムを含む。膨張後のコア層及びフィルムは共に、フィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能なアンダーボディシールド物品を提供する。
【0005】
特定の実施形態では、フィルムは、ホモポリマーフィルムまたはコポリマーフィルムであり、例えば、耐衝撃性改質のホモポリマーフィルムまたはコポリマーフィルムである。その他の実施形態では、ホモポリマーはポリオレフィンである。一部の実施例では、熱可塑性ポリマーは、コア層内において50重量パーセント以上で存在する。その他の実施形態では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みである。一部の実施例では、膨張剤は、コア層内において4重量パーセント以上で存在する。その他の実施例では、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、合成有機繊維、無機繊維、天然繊維、鉱物繊維、金属繊維、金属無機繊維、金属合成繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、熱可塑性ポリマーはポリマー樹脂であり、当該ポリマー樹脂は、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン配合樹脂、ポリビニルポリマー樹脂、ブタジエンポリマー樹脂、アクリルポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレンポリマー樹脂、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、及びコポリマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施例では、熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維及び微粒子状の膨張剤を含み、また、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムである。その他の実施例では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、コア層の第1表面上に直接配置される。一部の実施例では、組成物は、コア層の第1表面の反対側にあるコア層の第2表面上に配置されたスクリムを含んでいてもよい。特定の実施例では、スクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、黒鉛繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属合成繊維、及び金属無機繊維を含む。その他の実施例では、組成物は、スクリム上に配置された別のスキン層を含む。一部の実施形態では、熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び微粒子状の膨張剤を含み、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムであり、スクリムはポリエステル不織布スクリムである。特定の実施例では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、コア層の第1表面上に直接配置され、またスクリムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、コア層の第2表面上に直接配置される。一部の実施例では、スクリムは、1つまたは複数のストリップとしてコア層の第2表面上に配置される。その他の実施形態では、組成物は更に、コア層と接合した別のコア層を含み、当該別のコア層は、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。一部の実施例では、別のコア層は更に、別のコア層の厚みを増加可能な膨張剤を含む。その他の実施形態では、別のコア層は、コア層内に存在する熱可塑性材料の量よりも低い重量パーセントの熱可塑性材料を含む。特定の実施例では、フィルムは、コア層の厚みを減少させる場合に、より多くの衝撃物に耐えるように構成されている。
【0006】
別の態様では、以下のアンダーボディシールド組成物を提供する。アンダーボディシールド組成物は熱可塑性コア層を含み、当該コア層は、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、コア層の第1表面上に配置されたホモポリマーポリオレフィンフィルムまたはコポリマーポリオレフィンフィルム、及び、コア層の第2表面上に配置されたスクリムを含む。膨張後のコア層、フィルム、及びスクリムは共に、フィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能なアンダーボディシールド物品を提供する。
【0007】
特定の実施例では、組成物は、スクリム上に配置された装飾層を含む。その他の実施例では、熱可塑性コア層は、5%超~最大約95%の空隙率を含む。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、コア層内において50重量パーセント以上で存在する。その他の実施形態では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みである。特定の実施例では、膨張剤は、コア層内において4重量パーセント以上で存在する。その他の実施例では、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、合成有機繊維、無機繊維、天然繊維、鉱物繊維、金属繊維、金属無機繊維、金属合成繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーはポリマー樹脂であり、当該ポリマー樹脂は、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン配合樹脂、ポリビニルポリマー樹脂、ブタジエンポリマー樹脂、アクリルポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレンポリマー樹脂、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、及びコポリマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。その他の実施形態では、熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維及び微粒子状の膨張剤を含み、また、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムである。一部の実施例では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、コア層の第1表面上に直接配置される。
【0008】
別の態様では、プリプレグは第1層を含み、当該第1層は、熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を含む。第1層は、第1層の硬化により連続気泡構造ウェブを含む層を形成可能である。連続気泡構造ウェブは、ウェブの連続気泡構造内部に捕捉された膨張剤を用いて、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差により画定される。膨張剤は、熱にさらした後に第1層の厚みを増加させて、膨張後の第1層を提供可能である。プリプレグはまた、第1層の第1表面上に配置されたフィルムを含み、膨張後の第1層及びフィルムは共に、フィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0009】
一部の実施例では、フィルムは、ホモポリマーフィルム、例えば、耐衝撃性改質ホモポリマーフィルムである。その他の実施例では、ホモポリマーはポリオレフィンである。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、第1層内において50重量パーセント以上で存在する。その他の実施形態では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みである。一部の実施例では、膨張剤は、第1層内において4重量パーセント以上で存在する。その他の実施例では、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、合成有機繊維、無機繊維、天然繊維、鉱物繊維、金属繊維、金属無機繊維、金属合成繊維、セラミック繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーはポリマー樹脂であり、当該ポリマー樹脂は、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリオレフィン配合樹脂、ポリビニルポリマー樹脂、ブタジエンポリマー樹脂、アクリルポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレンポリマー樹脂、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、及びコポリマー、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。その他の実施形態では、第1層は、ポリプロピレン、ガラス繊維及び微粒子状の膨張剤を含み、また、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムである。更なる実施例では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、第1層の第1表面上に直接配置される。一部の実施例では、プリプレグは、第1層の第1表面の反対側にある第1層の第2表面上に配置されたスクリムを含む。特定の実施例では、スクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、黒鉛繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属合成繊維、及び金属無機繊維を含む。その他の実施例では、プリプレグは、スクリム上に配置された別のスキン層を含む。一部の実施形態では、第1層は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び微粒子状の膨張剤を含み、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムであり、スクリムはポリエステル不織布スクリムである。その他の実施例では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、第1層の第1表面上に直接配置され、またスクリムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、第1層の第2表面上に直接配置される。一部の実施例では、スクリムは、1つまたは複数のストリップとして第1層の第2表面上に配置される。特定の実施例では、プリプレグは、第1層と接合した別の層を含み、当該別の層は、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。その他の実施形態では、別の層は更に、別の層の厚みを増加可能な膨張剤を含む。一部の実施例では、別の層は、第1層内に存在する熱可塑性材料の量よりも低い重量パーセントの熱可塑性材料を含む。一部の実施例では、フィルムは、第1層の厚みを減少させる場合に、より多くの衝撃物に耐えるように構成されている。
【0010】
別の態様では、アンダーボディシールドは熱可塑性コア層を含み、当該コア層は、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、及びコア層の第1表面上に配置されたフィルムを含む。膨張後のコア層及びフィルムは共に、フィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能なアンダーボディシールドを提供する。アンダーボディシールドは、車両の底面に連結させるための1ヵ所または複数ヵ所の取り付け領域を含む。
【0011】
特定の実施例では、アンダーボディシールドは、アンダーボディシールドが車両に連結する際に、車両の抵抗係数を減少させるような形状となっている。その他の実施例では、フィルムはホモポリマーポリオレフィンフィルムである。一部の実施例では、熱可塑性ポリマーは、コア層内において50重量パーセント以上で存在する。特定の実施例では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みである。その他の実施例では、膨張剤は、コア層内において4重量パーセント以上で存在する。一部の実施形態では、熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維及び微粒子状の膨張剤を含み、また、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムである。その他の実施形態では、フィルムは、介在層または介在材料を何ら設けずに、コア層の第1表面上に直接配置される。特定の実施例では、アンダーボディシールドは更に、コア層の第1表面の反対側にあるコア層の第2表面上に配置されたスクリムを含む。その他の実施例では、熱可塑性コア層は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び微粒子状の膨張剤を含み、フィルムはポリプロピレンホモポリマーフィルムであり、スクリムはポリエステル不織布スクリムである。一部の実施形態では、複合プリプレグの形成方法は、以下の内容を含む。熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を水溶液中に混ぜ合わせることと、熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を含む水溶液を混合し、強化繊維及び膨張剤を熱可塑性ポリマー中に分散させて水性発泡分散液を得ることと、水性発泡分散液を成形用部材上に配置することと、配置した水性発泡液から水分を除去して、熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を含むウェブを得ることと、ウェブ内の熱可塑性ポリマーの軟化温度を超える温度でウェブを加熱することと、フィルムをウェブの第1表面上に配置して、配置したフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能な複合プリプレグを得ること。
【0012】
一部の実施例では、方法は、複合プリプレグを所定の厚みまで加圧して複合物品を成形することを含む。その他の実施例では、方法は、複合物品を膨張させて複合物品の厚みを増加させることを含む。更なる実施例では、方法は、スクリムをウェブの第2表面上に配置することを含む。一部の実施例では、方法は、複合プリプレグを所定の厚みまで加圧して複合物品を成形することを含む。その他の実施例では、方法は、熱可塑性ポリマーをポリプロピレン樹脂で構成し、強化繊維をガラス繊維で構成し、また膨張剤を微粒子で構成することを含む。特定の実施例では、方法は、フィルムをホモポリマーフィルムまたはコポリマーフィルムで構成することを含む。一部の実施形態では、方法は、ホモポリマーフィルムにポリオレフィンフィルムを選択することを含む。特定の実施例では、方法は、フィルムを少なくとも10ミルの厚みを有するように構成することを含む。その他の実施形態では、方法は、熱可塑性樹脂を、水溶液中において50重量パーセント以上で存在するように構成することを含む。
【0013】
別の態様では、複合物品の形成方法は、以下の内容を含む。熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を水溶液中に混ぜ合わせることと、熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤を含む水溶液を混合し、強化繊維及び膨張剤を熱可塑性ポリマー中に分散させて水性発泡分散液を得ることと、水性発泡分散液を成形用部材上に配置することと、配置した水性発泡液から水分を除去して、熱可塑性ポリマー、強化繊維、及び膨張剤から形成されるウェブを含むコア層を得ることと、コア層内の熱可塑性ポリマーの軟化温度を超える温度でコア層を加熱することと、耐衝撃性フィルムをコア層の第1表面上に配置することと、スクリムをコア層の第2表面上に配置して複合物品を得ることと、複合物品を選択した厚みまで加圧すること。加圧済み複合物品は、配置したフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0014】
特定の実施形態では、方法は、複合物品を膨張させて複合物品の厚みを増加させることを含む。その他の実施形態では、方法は、スクリムに、ガラス繊維、アラミド繊維、黒鉛繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属合成繊維、及び金属無機繊維を含むスクリムを選択することを含む。一部の実施例では、フィルム及びスクリムは、同時にコア層上に配置される。その他の実施例では、方法は、熱可塑性ポリマー及び膨張剤のそれぞれを、ほぼ同一の平均粒径を有する粒子で構成することを含む。特定の実施例では、方法は、熱可塑性ポリマーをポリプロピレン樹脂で構成し、強化繊維をガラス繊維で構成し、また膨張剤を微粒子で構成することを含む。別の実施例では、方法は、フィルムをホモポリマーフィルムまたはコポリマーフィルムで構成することを含む。一部の実施形態では、方法は、ホモポリマーフィルムにポリオレフィンフィルムを選択することを含む。一部の実施例では、方法は、フィルムを少なくとも10ミルの厚みを有するように構成することを含む。特定の実施例では、方法は、熱可塑性樹脂を、水溶液中において50重量パーセント以上で存在するように構成することを含む。
【0015】
別の態様では、車両の抵抗を減少させる方法は、アンダーボディシールドを車両に連結させることを含み、当該アンダーボディシールドは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む熱可塑性コア層を含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、及びコア層の第1表面上に配置されたフィルムを含む。アンダーボディシールドは、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0016】
特定の実施例では、方法は、アンダーボディシールドを成形するための指示書を提供することを含む。その他の実施例では、方法は、アンダーボディシールドのコア層を膨張させるための指示書を提供することを含む。一部の実施例では、方法は、アンダーボディシールドを自動車両に連結するように構成された、少なくとも1つの締結具を提供することを含む。一部の実施形態では、方法は、アンダーボディシールドを自動車両に取り付けるための指示書を含む。
【0017】
別の態様では、車両の抵抗を減少させる方法は、アンダーボディシールドを車両に連結させることを含み、当該アンダーボディシールドは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む熱可塑性コア層を含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、コア層の第1表面上に配置されたフィルム、及びコア層の第2表面上に配置されたスクリムを含む。アンダーボディシールドは、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0018】
一部の実施形態では、方法は、プリプレグを硬化させてアンダーボディシールドを成形するための指示書を提供することを含む。その他の実施形態では、方法は、プリプレグを成形してアンダーボディシールドを作製するための指示書を提供することを含む。一部の実施例では、方法は、プリプレグの接着剤層を架橋させるための指示書を提供することを含む。特定の実施例では、方法は、コア層を膨張させるための指示書を提供することを含む。
【0019】
別の態様では、車両の抵抗を減少させる方法は、アンダーボディシールドを提供することを含み、当該アンダーボディシールドは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む熱可塑性コア層を含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、及びコア層の第1表面上に配置されたフィルムを含む。アンダーボディシールドは、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0020】
特定の実施例では、方法は、アンダーボディシールドを成形するための指示書を提供することを含む。その他の実施例では、方法は、アンダーボディシールドのコア層を膨張させるための指示書を提供することを含む。一部の実施形態では、方法は、アンダーボディシールドを自動車両に連結するように構成された、少なくとも1つの締結具を提供することを含む。一部の実施例では、方法は、アンダーボディシールドを自動車両に取り付けるための指示書を提供することを含む。
【0021】
別の態様では、車両の抵抗を減少させる方法は、アンダーボディシールドを提供することを含み、当該アンダーボディシールドは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む熱可塑性コア層を含む。熱可塑性コア層は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤、コア層の第1表面上に配置されたフィルム、及びコア層の第2表面上に配置されたスクリムを含む。アンダーボディシールドは、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0022】
一部の実施例では、方法は、プリプレグを硬化させてアンダーボディシールドを成形するための指示書を提供することを含む。その他の実施例では、方法は、プリプレグを成形してアンダーボディシールドを作製するための指示書を提供することを含む。一部の実施例では、方法は、プリプレグの接着剤層を架橋させるための指示書を提供することを含む。特定の実施例では、方法は、コア層を膨張させるための指示書を提供することを含む。
【0023】
別の態様では、成形済み複合材料は、繊維強化熱可塑性ポリマーコア、及び繊維強化熱可塑性ポリマーコアの表面上に配置されたフィルムを含む。成形済み複合材料は、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0024】
一部の実施例では、繊維強化熱可塑性ポリマーコアは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。その他の実施例では、強化繊維はガラス繊維を含む。一部の実施例では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みを含む。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーは50重量パーセント以上で存在し、またポリマーコアは更に膨張剤を含む。
【0025】
別の態様では、成形済み複合材料は、繊維強化熱可塑性ポリマーコア、繊維強化熱可塑性ポリマーコアの第1表面上に配置されたフィルム、及び繊維強化熱可塑性ポリマーコアの第2表面上に配置されたスクリムを含む。成形済み複合材料は、アンダーボディシールドのフィルムへの損傷を受けずに、SAE J400の手順に従った少なくとも50個の個々の衝撃物に耐えることが可能である。
【0026】
一部の実施例では、繊維強化熱可塑性ポリマーコアは、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維の不規則な交差が画定する、連続気泡構造ウェブを含む。その他の実施例では、強化繊維はガラス繊維を含む。一部の実施例では、フィルムは少なくとも10ミルの厚みを含む。特定の実施例では、熱可塑性ポリマーは50重量パーセント以上で存在し、またポリマーコアは更に膨張剤を含む。
【0027】
別の特徴、態様、実施例、構成、及び実施形態は、以下でより詳細に記載されている。
特定の実施形態について、以下の添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】特定の実施例に従い、スキン層と接合したコア層を示す図である。
図2】特定の構成に従い、2層のコア層、及びスキン層を示す図である。
図3】特定の実例に従い、コア層、及び2層のスキン層を含む複合物品を示す図である。
図4】特定の実施形態に従い、コア層、2層のスキン層、及び装飾層を含む複合物品を示す図である。
図5】特定の構成に従い、コア層、及び2層のスキン層の実施例を示す図である。
図6】特定の実施例に従い、コア層、スキン層、及びスキン層ストリップを示す図である。
図7A】特定の実施形態に従い、コア層の表面よりも小さいスキン層を示す図である。
図7B】特定の実施形態に従い、コア層の表面よりも小さいスキン層を示す図である。
図8A】特定の構成に従い、プリプレグの様々な構成の1つを示す図である。
図8B】特定の構成に従い、プリプレグの様々な構成の1つを示す図である。
図8C】特定の構成に従い、プリプレグの様々な構成の1つを示す図である。
図8D】特定の構成に従い、プリプレグの様々な構成の1つを示す図である。
図9】特定の実施形態に従い、プリプレグまたはコア、及びフィルムを含む物品を示す図である。
図10】特定の実施形態に従い、プリプレグまたはコア、フィルム、及びスクリムを含む物品を示す図である。
図11】特定の実施形態に従い、プリプレグまたはコア、フィルム、スクリム、及び装飾層を含む物品を示す図である。
図12A】グラベロメーター試験を実施した様々な板の写真の1枚である。
図12B】グラベロメーター試験を実施した様々な板の写真の1枚である。
図12C】グラベロメーター試験を実施した様々な板の写真の1枚である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の効果を説明することにより、図中の特定の寸法または形状が、より分かりやすい様式の図を提供するために拡大されたり、変形されたり、あるいは別の場合、慣例に従わない様式または相対的ではない様式で示されたりすることを、当業者は理解するであろう。図中の描写は特定の厚み、幅または長さを意図するものではなく、また図中の構成要素の相対的な大きさは、図中のいずれの構成要素の大きさを制限することを意図するものではない。以下の記載において寸法または数値を明記する場合、その寸法または数値は、例証の目的だけのために提供される。加えて、図中の特定部分の濃淡に基づいて特定の材料または配置が求められることを意図するものではなく、識別目的で図中の異なる構成要素に濃淡が含まれ得るとしても、異なる構成要素は、必要に応じ同一または類似の材料を含むことができる。
【0030】
本明細書にて開示する技術に関してより分かりやすい説明を提供するために、単数形及び複数形の用語を参照しながら特定の実施形態について以下に記載する。これらの用語は利便性の目的だけのために使用され、本明細書に記載する特定の実施形態において特に指示がない限り、プリプレグ、コア、物品、複合材料、アンダーボディシールド、及びその他の材料が特定の形状を包含すること、あるいは除外することを制限することを意図するものではない。
【0031】
特定の実施例では、本明細書に記載する材料は通常、共に使用されて、車両の底面に連結可能なアンダーボディシールドを提供する。以下の一部の例示においては、乗用車にアンダーボディシールドを連結することについて言及しているが、アンダーボディシールドはまた、商用車、レクリエーション用自動車、全地形走行車、及び、ガスエンジン、ハイブリッドエンジン、電気エンジン、燃料電池をエンジンとして含むその他の乗物などに使用することができる。更に、エンジンルーム内のその他の領域、例えば、エンジンカバーにアンダーボディシールドを使用することも可能であり、あるいは、エンジンブロック面に沿って、またホイールウェルライナー、トランクライナーとして、または、軽量で耐衝撃性のある複合パネルが望まれるその他の乗物用の適用部位に、アンダーボディシールドを配置させることも可能である。
【0032】
本明細書に記載する特定の構成とは、耐衝撃性のことを意味する。特に指示しない限り、特定の複合物品における耐衝撃性は、2012年10月23日付けのSAE Standard J400(以後、「グラベロメーター試験」と呼ぶ)に従い試験するが、当該試験は、2014年7月1日付けのASTM D3170-14と類似しており、また「Standard Test Method for Chipping Resistance of Coatings」と題されている。上記の試験は表面コーティングの耐衝撃性の試験を目的としたものではあるが、複合物品の耐衝撃性評価にも有効である。例えば、複合物品に対してSAE J400試験に従った試験を実施することも可能であり、衝撃サイクルの数が望ましい値を超えた場合、当該試験に合格したとみなしてもよい。その値としては、例えば、個々の小石、砂利または同等の飛来物による50回以上の衝撃、個々の小石、砂利または同等の飛来物による100回以上の衝撃、個々の小石、砂利または同等の飛来物による200回以上の衝撃、または、個々の小石、砂利または同等の飛来物による300回以上の衝撃が挙げられる。以下でより詳細に説明するが、コア層における強化繊維に対する樹脂の比率、ならびにスキン層の厚み及び性質を調整することにより、耐衝撃性の高い軽量複合物品を製造することが可能となる。
【0033】
フィルムを含む物品を参照した特定の構成について、本明細書に記載する。フィルム内には、1種または複数種の添加剤を任意選択的に含むホモポリマー、あるいは、1種または複数種の添加剤を任意選択的に含むコポリマーが存在して(または、含まれて)いてもよい。例えば、フィルムは、1種または複数種のポリオレフィンを含むホモポリマーまたはコポリマーを含んでいてもよく、当該ポリオレフィンは、1種または複数種の添加剤、例えば、着色剤、耐衝撃性改良剤、エラストマーなどを任意選択的に含む。フィルム内に存在し得る例示的なポリマー、あるいは、それを用いてフィルムを製造可能な例示的なポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種が挙げられるが、これらに限定されない。以下で記載するように、耐衝撃性改質フィルム及びその他のフィルムを用いて、SAE Standard J400に従った少なくとも50個の衝撃物、100個以上の衝撃物に適合可能な物品を提供することができる。
【0034】
特定の実施例では、本明細書に記載するアンダーボディシールド組成物は、コア層及びスキン層を含んでいてもよく、当該スキン層は、例えば、アンダーボディシールドに耐衝撃性を付与可能なフィルムまたはその他の材料であり、コア層上に配置されて、スキン層に損傷を何ら受けずに、少なくとも100個の個々の衝撃物(SAE J400に従い)に対する耐衝撃性を備えた複合物品を提供することができる。図1を参照すると、例えば、モールディング、熱成形、延伸、またはその他の成形プロセスを用いて、アンダーボディシールドへと成形可能なアンダーボディシールド板の簡略図が示されている。板100は、コア層110、及びコア層110上に配置されたスキン層120を含む。一部の構成ではその他の材料を代わりに用いてもよいが、スキン層120は通常、適切な厚み及び性質を有し耐衝撃性を付与するフィルムである。しかしながら、以下で記載するように、コア層110上に直接衝撃が与えられるわけではないが、コア層110もまた、若干の耐衝撃性を複合物品へと付与することができる。図1に示す特定の寸法は図示のために拡大されており、一方の構成要素における特定の厚みが、もう一方の構成要素における厚みに対して適用されているということを意図しているわけではない。以下でより詳細に記載するように、コア層110は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層110は更に、熱にさらした際にコア層の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板100を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。コア層110及びスキン層120内に存在する材料における特定の量及び種類について、以下でより詳細に説明する。一部の実施例では、板100の耐衝撃性を向上させるために、コア層110の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層110の厚みを減少させてもよく、及び/または、フィルムの厚みを増加させてもよい。例えば、コア層は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層110内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムに隣接するコア層内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、スキン層120に隣接するコア層の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。予想外ではあるが、コア層110の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層110は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層110の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層110内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。特定の実施例では、スキン層120は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよく(または、フィルムを含んでいてもよく)、また層110、120を用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。例えば、フィルム120は、耐衝撃性を付与するホモポリマーまたはコポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィンホモポリマーまたはポリオレフィンコポリマー(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム120に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム120内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム120は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0035】
特定の構成では、必要に応じ、コア層を2層以上の独立したコア層へと分けることができる。一部の実施例では、第1及び第2コア層は、同一のポリマー及び/または強化材料を含んでいてもよいが、別のコア層のポリマー及び/または強化材料は必要に応じ異なり得る。図2を参照すると、第1コア層210及び第2コア層220を含む物品200が示されている。スキン層230、例えば、耐衝撃性フィルムは、コア層210上に配置されている。2層以上のコア層が存在する場合、スキン層230に隣接するコア層は、もう一方のコア層よりも、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい。本明細書で記載するように、スキン層、例えば、フィルムに隣接するコア層内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、スキン層230に隣接するコア層の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。コア層210の総厚みを減少させることにより、耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層の厚みを減少させることと組み合わせて、フィルムの性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の実施形態では、第1コア層210及び第2コア層220を組み合わせることにより、第2コア層220が第1コア層210よりも厚い、望ましい総厚みを提供し得る。特定の構成では、コア層210は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層210の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層210内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。コア層220は、コア層210と同様に構成されていてもよく、または、低い重量パーセントの熱可塑性ポリマー、例えば、50重量パーセント未満の熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層210、220内に存在する強化材料は同一でも異なっていてもよく、例えば、両方ともガラス繊維であってもよい。一部の実施例では、コア層210、220の一方は、コア層210、220の一方を膨張させることで厚みの増加が達成可能なように、より多くの膨張剤を含んでいてもよい。例えば、一部の構成では、コア層220はコア層210より多くの膨張剤を含んでいてもよく、それに対して、その他の構成では、コア層210はコア層220より多くの膨張剤を含んでいてもよい。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、コア層210内に膨張剤をより多く含ませることにより、膨張プロセス中、コア層210の膨張が成形プロセスの高い圧縮比をもたらすことを可能とし、2層の層210、230間の接合性が向上する。スキン層230は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよく(または、フィルムを含んでいてもよく)、また層210-230を用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。一部の構成では、フィルム230は、耐衝撃性を付与するホモポリマーまたはコポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム230に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム230内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム230は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0036】
特定の構成では、アンダーボディシールド材として用いる材料は、コア層、第1スキン層、及び第2スキン層を含んでいてもよい。図3を参照すると、コア層310、一方の表面上に配置された第1スキン層320、及びもう一方の表面上に配置された第2スキン層330を含むアンダーボディシールド板300が示されている。第1及び第2スキン層320、330は同一であってもよいが、代表的な構成では、スキン層320は耐衝撃性を付与するように選択され、スキン層330は耐衝撃性以外の性質、例えば、音響特性、難燃性、液体吸収性、審美特性などを付与するように選択される。板300を使用する際、スキン層320は通常、外部環境にさらされ、その使用環境において、砂利またはその他の破片からの衝撃を受けることがある。図3に示す特定の寸法は図示のために拡大されており、一方の構成要素における特定の厚みが、もう一方の構成要素における厚みに対して適用されているということを意図しているわけではない。例えば、スキン層320、330は、同一または異なる厚みを有していてもよい。コア層310は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層310は更に、熱にさらした際にコア層310の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板300を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。一部の実施例では、板300の耐衝撃性を向上させるために、コア層310の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層310の厚みを減少させてもよく、及び/または、層320のフィルムの厚みを増加させてもよい。例えば、コア層310は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層310内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムを含むスキン層320に隣接するコア層310内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、スキン層320に隣接するコア層310の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。一部の構成では、コア層310の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層310の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層310は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層310の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層310内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。一部の実施例では、スキン層320は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよい(または、フィルムを含んでいてもよい)。特定の実施形態では、層330はスクリムを含んでいてもよい。一部の実施例では、層310、320及び330を用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。一部の構成では、フィルム320は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム320に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム320内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム320は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0037】
特定の実施形態では、図1図3に示す板の構成要素は、介在接着剤層を何ら用いることなく互いに接合されてもよい。ほとんどの複合物品構成においては、様々な構成要素間の接合性を向上させるための接着剤層が存在する。本明細書に記載する物品における特定の実施形態では、介在接着剤層またはその他の層を何ら伴わずに、構成要素は互いに直接接合される。例えば、スキン層をコア層の表面上に直接配置することができる。その構築物を加熱及び/または加圧して、接着剤層を用いることなくスキン層をコア層に直接接合させることができる。同様に、2層以上のコア層が存在する場合、それらの間に接着剤層を用いることなく、コア層を互いに直接接合させることが可能である。スキン層がコア層のそれぞれの表面上に配置される場合、介在接着剤層を伴わずに、スキン層のそれぞれをコア層に直接接合してもよく、または、接着剤層を用いてスキンの一方をコア層に接合してもよい。例えば、コア層の一方の表面上にある接着剤層を介して、スクリムをコア層に接合することが可能であり、また介在接着剤層を何ら用いることなく、耐衝撃性フィルムをコア層の反対側表面上に接合することも可能である。以下でより詳細に記載するように、コア層が成形されてなお「軟質」または溶融状態であるときに、またはコア層が成形された後に、様々な構成要素を互いに接合させてもよい。
【0038】
特定の実施形態において図4を参照すると、コア層410、第1スキン層420、第2スキン層430、及びコア層410と第2スキン層430との間の接着剤層を含む板400が示されている。第1及び第2スキン層420、430は、同一でも異なっていてもよい。例えば、スキン層420は耐衝撃性を付与するように選択可能であり、スキン層430は耐衝撃性以外の性質、例えば、音響特性、難燃性、液体吸収性、審美特性などを付与するように選択可能である。板400を使用する際、スキン層420は通常、外部環境にさらされ、その使用環境において、砂利またはその他の破片からの衝撃を受けることがある。図4に示す特定の寸法は図示のために拡大されており、一方の構成要素における特定の厚みが、もう一方の構成要素における厚みに対して適用されているということを意図しているわけではない。例えば、スキン層420、430は、同一または異なる厚みを有していてもよい。コア層410は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層410は更に、熱にさらした際にコア層410の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板400を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。一部の実施例では、板400の耐衝撃性を向上させるために、コア層410の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層410の厚みを減少させてもよく、及び/または、層420の厚みを増加させてもよい。例えば、コア層410は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層410内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムを含むスキン層420に隣接するコア層410内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、スキン層420に隣接するコア層410の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。一部の構成では、コア層410の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層410の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層410は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層410の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層410内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。一部の実施例では、スキン層420は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよい(または、フィルムを含んでいてもよい)。特定の実施形態では、層430はスクリムを含んでいてもよい。一部の構成では、接着剤層440は、熱可塑性ポリマー接着剤及び/または熱硬化性接着剤を含んでいてもよい。特定の実施形態では、接着剤層440は、ポリオレフィン熱可塑性接着剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、層410、420、430、及び440を用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。一部の構成では、フィルム420は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム420に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム420内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム420は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0039】
特定の構成では、板の1ヵ所または複数ヵ所の領域は、コア層及び/またはスキン層の表面上に配置された補強材またはストリップを含んでいてもよい。例えば、衝撃物にさらされるスキン層は通常、コア層の平面全体にわたる連続層であるが、スキン層の厚みは、板全体にわたる領域において全く同一である必要はない。特定の領域は、厚みを増加させた領域を含んでいてもよく、例えば、アンダーボディシード(underbody shied)を車両に連結するのに用いる板の領域は、その他の領域よりも厚くてもよい。一部の実施例では、2層以上のスキン層を互いに重ねて配置することにより、厚みの多様性を達成することが可能となる。図5を参照すると、コア層510、及びスキン層520、530を含む板500が示されている。スキン層520は通常、板500に耐衝撃性を付与するように選択される。
【0040】
図5に示す特定の寸法は図示のために拡大されており、一方の構成要素における特定の厚みが、もう一方の構成要素における厚みに対して適用されているということを意図しているわけではない。例えば、スキン層520、530は、同一または異なる厚みを有していてもよい。コア層510は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層510は更に、熱にさらした際にコア層510の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板500を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。一部の実施例では、板500の耐衝撃性を向上させるために、コア層510の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層510の厚みを減少させてもよく、及び/または、層520の厚みを増加させてもよい。例えば、コア層510は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層510内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムを含むスキン層520と組み合わせて、コア層510内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、コア層510の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。一部の構成では、コア層510の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層510の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層510は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層510の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層510内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。一部の実施例では、スキン層520は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよい(または、フィルムを含んでいてもよい)。特定の実施形態では、スキン層530は第2フィルムを含んでいてもよく、当該フィルムは、耐衝撃性フィルムであってもなくてもよい。一部の実施例では、層510、520及び530を用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。図示はされていないが、コア層510は、図3中に存在するスクリム330と類似し、反対側表面上に配置されたスクリムを含んでいてもよい。特定の構成では、フィルム520は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム520に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム520内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム520は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0041】
特定の構成では、第2スキン層は、アンダーボディシールドの特定の領域においてのみ存在していてもよい。図6を参照すると、コア層610、スキン層620、及びスキン層ストリップ630a、630bを含む板600が示されている。ストリップ630a、630bをスキン層620の外縁部上に配置しているように示しているが、必要に応じて、それらを代わりにその他の領域内に配置してもよい。更に、存在するストリップの正確な数は、1つ~最大10以上まで様々であり得る。本明細書で記載するように、連結部位にストリップを加えて、アンダーボディシールドが車両に連結する領域において、強度の高い領域を提供することが望ましい。スキンストリップ630a、630bは、同一または異なる厚みを有していてもよく、また類似したまたは異なる組成物を含んでいてもよい。使用する際、ストリップ630a、630bは、衝撃を受ける領域内に配置されない場合がある。その代わりに、スキン630a、630bが板600の衝撃を受けない領域内に存在する状態で、スキン層620は、当該層に耐衝撃性を持たせるように選択可能である。コア層610は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層610は更に、熱にさらした際にコア層610の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板600を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。一部の実施例では、板600の耐衝撃性を向上させるために、コア層610の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層610の厚みを減少させてもよく、及び/または、層620の厚みを増加させてもよい。例えば、コア層610は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層610内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムを含むスキン層620と組み合わせて、コア層610内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、コア層610の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。一部の構成では、コア層610の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層610の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層610は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層610の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層610内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。一部の実施例では、スキン層620は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよい(または、フィルムを含んでいてもよい)。特定の実施形態では、スキンストリップ630a、630bは更に、フィルム、スクリム、及びその他の適切なスキン層を含んでいてもよい。一部の実施例では、層610、620、及び630a、630bを用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。図示はされていないが、コア層610は、図3中に存在するスクリム330と類似し、反対側表面上に配置されたスクリムを含んでいてもよい。特定の構成では、フィルム620は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム620に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム620内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルム620の正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム620は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0042】
特定の実施例では、スキン層は、コア層の面全体にわたる必要はない。例えば、図7Aを参照すると、コア層710、及びコア層710上に配置されたスキン層720を含む板700が示されている。コア層710の外縁部は、スキン層720を何ら含んでいない。総重量及び/または総製造原価を抑えるためには、耐衝撃性スキン層を、大きな衝撃を受ける可能性がある領域内にのみ配置することが望ましい場合がある。衝撃を受けない領域は、その他の材料、例えば、フィルム、スクリムなどで埋められていてもよい。例えば、図7Bを参照すると、スキン層720に隣接するストリップ730a、730bを含む板750が示されている。ストリップ730a、730bの厳密な性質及び正確な厚みは様々であってもよく、別々のストリップ730a、730bは、類似したまたは異なる組成物、及び類似したまたは異なる厚みまたはその他の物理的特性を有していてもよい。本明細書に記載するその他のコア層と同様に、コア層710は通常、強化材料の不規則な交差が画定する連続気泡構造ウェブを含み、当該強化材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーで互いに結合した強化繊維が挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性コア層710は更に、熱にさらした際にコア層710の厚みを増加させて膨張後のコア層を提供可能な膨張剤を含んでいてもよい。一部の実施例では、成形プロセス及び膨張プロセスを同時に実施してもよく、例えば、板700または750を加熱した鋳型に配置し、十分な熱量を加えて、板を成形し板のコアを膨張させる。一部の実施例では、板700または750の耐衝撃性を向上させるために、コア層710の樹脂含有量を増加させてもよく(耐衝撃性ではない板と比較して)、コア層710の厚みを減少させてもよく、及び/または、層720の厚みを増加させてもよい。例えば、コア層710は、強化材料に対して高い比率のポリマーを含んでいてもよい(例えば、コア層710内における50重量%以上の熱可塑性ポリマー)。以下で記載するように、フィルムを含むスキン層720と組み合わせて、コア層710内に存在するポリマー樹脂量を増加させることにより、複合物品の耐衝撃性を向上させることが可能となる。ポリマー量を増加させることに代えてまたはそれに加えて、コア層710の総厚みを減少させて衝撃強さを向上させてもよい。一部の構成では、コア層710の総厚みを減少させることにより、複合物品の耐衝撃性が向上し得る。加えて、コア層710の厚みを減少させることと組み合わせて、スキン層の性質及び/または厚みを選択することにより、物品の耐衝撃性を更に向上させることができる。一部の構成では、コア層710は、少なくとも50重量パーセントの、または少なくとも55重量パーセントの熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。コア層610の残部は、強化材料及び/または膨張剤を含んでいてもよい。例えば、コア層610内において、ガラス繊維は最大約30~45重量パーセントで存在していてもよく、また膨張剤は約0重量パーセント~約15重量パーセントで存在していてもよい。一部の実施例では、スキン層720は、10ミル以上の厚みを有するフィルムであってもよい(または、フィルムを含んでいてもよい)。特定の実施形態では、スキンストリップ730a、730bは更に、フィルム、スクリム、及びその他の適切なスキン層を含んでいてもよい。一部の実施例では、層710、720、及び任意選択的に730a、730bを用いて成形される複合物品は、グラベロメーター試験を用いて試験した際、個々の小石、砂利または同等の飛来物による少なくとも50回の衝撃に耐えることが可能である。図示はされていないが、コア層710は、図3中に存在するスクリム330と類似し、反対側表面上に配置されたスクリムを含んでいてもよく、例えば、板700または750の一方は、コア層710の表面上に配置されたスクリムまたはその他の層を含んでいてもよい。特定の構成では、フィルム720は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム720に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム720内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給(フィルムを含む物品へと)するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム720は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミル以上の厚みである。
【0043】
本明細書に記載するアンダーボディシールドは多くの場合、最終形状部品または物品を得るために、様々な形状へと成形または加工される。加工中に、加工する物品の1つまたは複数の構成要素または層における総厚みを増加させることが望ましい場合がある。本明細書に記載する一部の構成では、熱可塑性プリプレグまたは熱可塑性コア内の膨張剤の存在により、加熱操作、成形操作、またはその他の温度もしくは加工操作を実施する間に、物品(またはその一部分)の総厚みを変化させることが可能となる。一部の実施例では、膨張剤を必要に応じ、例えば、表面から表面へと実質的に均一な分布で、熱可塑性材料及び多数の繊維を含む熱可塑性プリプレグまたはコアにおける空隙空間内に分散させることが可能である。特定の実施例では、膨張剤はプリプレグまたはコア内に存在していてもよいが、プリプレグまたはコア内のその他の材料とは共有結合しない。更なる実施例では、膨張剤は、熱可塑性材料中に存在する1つまたは複数の基と、多数の繊維中の1つまたは複数の基と、またはその両方と、共有結合していてもよい。使用する正確な膨張温度は、プリプレグ、コア、及び物品中に存在するその他の材料に応じて変化し得る。また一部の実施例では、膨張温度は、プリプレグ、コア、及び物品中に存在する熱可塑性材料(複数可)の融点温度以上であってもよい。
【0044】
特定の構成では、本明細書に記載する物品、例えば、アンダーボディシールドは、プリプレグまたはコア層を含むことができる。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、プリプレグは通常、完全には硬化または加工されていないタイプのコアである。例えば、熱可塑性材料、多数の強化繊維、及び膨張剤を含む部分的に硬化した層は通常、プリプレグと呼ばれ、それに対し、熱可塑性材料、多数の強化材料(繊維など)、及び膨張剤を含む完全に硬化した層(膨張していても、まだ膨張していなくてもよい)は通常、コアまたはコア層と呼ばれる。本明細書で記載するように、コアは硬化したものとみなされてもよいが、コアは、なおも更に加工されて、その厚みを増加させたり、その形状を変化させたりすることができ、または別の場合、用途に適した成形物品または製品を提供することができる。以下の記載では、プリプレグ及びコアの両方に言及しているが、プリプレグと共に用いられる材料(及びそれらの量及び性質)を更に、必要に応じ、コア内で用いることができる。
【0045】
本明細書に記載する特定の構成では、プリプレグ、コア、及び物品の選択的な膨張をもたらすために、適切な量の膨張剤をプリプレグコア及び物品内に含ませている。膨張とは一般に、加工条件、例えば、加熱及び/または加圧の間のまたはその後の、プリプレグ、コア、または物品における総厚みの増加を意味する。例えば、プリプレグ、コア、または物品が、第1温度及び/または第1加熱条件では実質的に膨張の影響を受けず、その後、第2温度及び/または第2加熱条件で膨張の影響を受けるように、膨張剤を選択することができる。特定の自動車用途では、180~190セルシウス度または190~200セルシウス度では実質的に膨張せず、210セルシウス度または220セルシウス度で膨張する膨張剤を選択することができる。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、第1及び第2温度は、プリプレグ、コア、または物品内に存在する熱可塑性材料に応じて変化し得る。特定の実施例では、膨張温度が、プリプレグまたはコア層内における熱可塑性材料の融点よりも高い約20セルシウス度以上になるまでは実質的に膨張が生じないように、膨張剤が選択される。その他の実施例では、膨張温度が、コア層内における熱可塑性材料の融点よりも高い約40セルシウス度以上になるまでは実質的に膨張が生じないように、膨張剤が選択される。更なる実施例では、膨張温度が、コア層内における熱可塑性材料の融点よりも高い約60セルシウス度以上になるまでは実質的に膨張が生じないように、膨張剤(及び/または膨張条件)が選択される。一部の実施例では、膨張温度が、コア層内における熱可塑性材料の融点よりも高い約80セルシウス度以上になるまでは実質的に膨張が生じないように、膨張剤が選択される。
【0046】
特定の実施例では、本明細書に記載するプリプレグ及びコア内の膨張剤は、1種または複数種の液体炭化水素-ポリマーシェル材料を含んでいてもよい。コア内で用いる膨張剤の正確なタイプは、多数の因子に依存し得る。それら因子としては、例えば、望ましい膨張温度、望ましい坪量、望ましい加工条件、及びその他の因子が挙げられる。プリプレグまたはコア内に存在させることが可能な例示的な市販の膨張剤はKureha Corp.(日本)から市販されており、当該膨張剤としては、例えば、H1100液体炭化水素コア-ポリマー微粒子が挙げられる。膨張剤は、繊維形態、粒子形態、微粒子形態、またはその他の形態を含む多くの形態で存在することができる。一部の実施例では、膨張剤は微粒子形態で存在することができ、例えば、少なくとも40マイクロメートルの平均粒径を備えていてもよい。あるいは、膨張剤は、コア内における熱可塑性材料の平均粒径とほぼ同様の平均粒径を備えていてもよい。一部の実施例では、膨張剤は、その望ましい膨張度合にもよるが、約2重量パーセント~約20重量パーセントで存在していてもよく、ほとんどの膨張剤は、プリプレグまたはコア内で用いることができる。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、液体炭化水素-ポリマーシェル材料は、コアに若干の柔軟性または曲げ特性をもたらすことができ、それにより、コアが屈曲すること、及び/または、スキン層が受けた衝撃エネルギーの一部を吸収することが可能となる。このエネルギー吸収により、アンダーボディシールド材の耐衝撃性を更に向上させることができる。
【0047】
特定の構成では、1種または複数種の熱可塑性材料、及び多数の強化材料(例えば、強化繊維)を含む多孔性プリプレグを製造することができる。それら熱可塑性材料及び強化材料は共に、連続気泡構造、例えば、空隙空間を有し得る。一部の構成では、膨張剤が概ね熱可塑性材料及び/または繊維と共有結合しないような様式で、膨張剤を空隙空間へと導入することができる。例えば、熱可塑性材料及び/または繊維が通常、膨張剤に対して不活性または非反応性であるように、それらを選択することが可能である。膨張剤が熱可塑性材料及び/または繊維と共有結合しない場合であっても、膨張剤自身内またはその内部には、共有結合が存在し得る。その他の実施例では、膨張剤を、熱可塑性材料に、繊維に、またはその両方に共有結合させて、プリプレグ内に一部共有結合させた膨張剤をもたらすことが望ましい場合がある。結合した膨張剤が存在する場合であっても、膨張剤は、プリプレグを膨張させるために、適切な条件下、例えば、対流加熱下などで、なおも自身の占有体積を増加可能であることが望ましい。一部の実施例では、共有結合した膨張剤材料、及び非共有結合した膨張剤材料の両方はまた、プリプレグ内に存在していてもよい。プリプレグの一部の構成では、約100%の膨張剤材料が非共有結合した膨張剤を含んでいてもよいが、弱い相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用または静電的相互作用などが、プリプレグ内の膨張剤とその他の構成要素との間において生じ得る。
【0048】
特定の実施例において図8Aを参照すると、熱可塑性材料及び多数の強化繊維を含むプリプレグ800が示されている。プリプレグ800は更に、プリプレグ800内全体に分散した膨張剤(図示目的のためにドット805で示す)も含む。一部の実施例では、膨張剤を、プリプレグ800の第1表面802から第2表面804へと実質的に均質または実質的に均一な状態で分散させることができる。本明細書でより詳細に記載するように、プリプレグ800内における膨張剤のこのような実質的に均質または実質的に均一な分布を達成するために、プリプレグ800の構成要素を共に混合して実質的に均一な分散液を形成することが可能である。分散液中の実質的に均質または実質的に均一な膨張剤、熱可塑性材料、及び繊維の混合液を、分散液が含むようになるまで、混合を行うことができる。それから、本明細書に記載のように、例えば、分散液を適切な施工プロセスを用いてワイヤースクリーン上に配置することにより、プリプレグ800を成形してもよい。その他の構成では、表面802、804の一方に向かって、もう一方の表面よりも多くの膨張剤材料が存在するように、表面802から表面804にかけて膨張剤の傾斜分布をもたらすことが望ましい場合がある。一部の実施形態では、膨張剤を、プリプレグ800内に実質的に均一な分布で存在させてから、追加の膨張剤をプリプレグ800の一方の面に添加して傾斜分布をもたらす。例えば、膨張剤を含む溶剤をスプレーまたはコーティングすることにより、このような追加の膨張剤をプリプレグ800へと直接添加することができ、あるいは、膨張剤を含むスキン、別のプリプレグ、またはその他の構成要素をプリプレグ800に接合させることにより、当該膨張剤をプリプレグ800へと添加することができる。例えば、図8Bを参照すると、第1プリプレグ810、及び第1プリプレグ810上に配置された第2プリプレグ820が示されている。第1プリプレグ810及び第2プリプレグ820のそれぞれは、実質的に均一に分布する膨張剤を含むが、プリプレグ810、820内の膨張剤の量は異なる。しかしながら、必要に応じ、プリプレグ810、820の一方のみが膨張剤を含み、もう一方のプリプレグが膨張剤を含まないか、または異なる膨張剤を含むようにしてもよい。プリプレグ810、820内の熱可塑性材料を溶融させて、単一プリプレグ850(図8C)を提供することができる。プリプレグ810、820を共に溶融させることにより、プリプレグ850内において、表面854付近の膨張剤量と比較して表面852付近の膨張剤量が増加した、膨張剤の傾斜分布がもたらされる。プリプレグ850の正確な総厚みは適用する条件に応じて変化し得るため、図8Bにおいて特定の厚みを示すことを意図するものではない。
【0049】
その他の構成では、膨張剤を含むスキンまたはその他の材料をプリプレグに接合させることにより、プリプレグ内における膨張剤の分布を提供することができる。図8Cを参照すると、熱可塑性材料、強化繊維、及び膨張剤を含むプリプレグ860上に配置された、膨張剤を含むスキン870が示されている。必須ではないが、スキン870は通常、膨張させる前のプリプレグ860の厚みよりもはるかに薄い厚みで存在する。加えて、通常、スキン870とプリプレグ860との間には認識可能な境界面が存在する。それに対し、図8Bと関連させて記載した、2つのプリプレグを互いに接合させた場合、通常、最終的に接合させたプリプレグ850には認識可能な境界面は何ら存在しないこととなる。その他の実施例では、実質的に境界面が何ら存在しない接合済みスキン/プリプレグ複合材料を提供するために、スキン870をプリプレグ860へと融着させて、スキン870及びプリプレグ860を接合させることができる。必要に応じ、以下でより詳細に記載するように、別のスキン(膨張剤を含んでいてもいなくてもよい)を更に、スキン870とは反対側の面上のプリプレグに接合させることができる。
【0050】
特定の構成では、プリプレグ内の熱可塑性材料は、繊維形態、粒子形態、樹脂形態、またはその他の適切な形態で存在していてもよい。一部の実施例では、プリプレグ内で用いる熱可塑性材料は、粒子形態で存在することができ、膨張剤の平均粒径と実質的に同一の平均粒径を有している。いかなる特定の科学理論に制限されるものではないが、熱可塑性材料及び膨張剤の粒径を一致させることにより、プリプレグの加工性を向上させることができる(例えば、プリプレグ内における膨張剤保持率の向上を含む)。一部の実施例では、膨張剤の平均粒径、及び熱可塑性材料の平均粒径は、約5%~約10%だけ互いに異なり得るが、加工性の向上はなお達成可能である。特定の構成では、プリプレグ内の熱可塑性材料及び膨張剤におけるそれぞれの平均粒径は、約50マイクロメートル~約120マイクロメートルだけ異なり得る。一部の構成では、加工性の向上を提供するための膨張剤の平均粒径は、熱可塑性材料粒子の平均粒径の少なくとも50%である。その他の実施例では、熱可塑性材料の平均粒径とぼぼ同一の平均粒径を有する膨張剤は、熱可塑性材料の平均粒径とは異なる平均粒径の膨張剤と共存することができる。膨張剤の平均粒径が異なり得るとしても、膨張剤の化学組成は同一であることも可能であり、または異なることも可能である。更なるその他の構成では、異なる平均粒径を有する2種以上の熱可塑性材料が存在し得る。必要に応じ、熱可塑性材料の平均粒径と実質的に同一の平均粒径を有する2種類の膨張剤を存在させることができる。2種類の膨張剤は、化学的に同一であってもよく、または化学的に異なっていてもよい。同様に、熱可塑性材料は、化学的に同一であってもよく(しかし、異なる平均粒径を有する)、または化学的に異なっていてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、プリプレグまたはコア700は通常、プリプレグ内に空隙空間が存在するように、かなりの量の連続気泡構造を含む。例えば、プリプレグまたはコア層は、0~30%の、10~40%の、20~50%の、30~60%の、40~70%の、50~80%の、60~90%の、0~40%の、0~50%の、0~60%の、0~70%の、0~80%の、0~90%の、10~50%の、10~60%の、10~70%の、10~80%の、10~90%の、10~95%の、20~60%の、20~70%の、20~80%の、20~90%の、20~95%の、30~70%の、30~80%の、30~90%の、30~95%の、40~80%の、40~90%の、40~95%の、50~90%の、50~95%の、60~95%の70~80%の、70~90%の、70~95%の、80~90%の、80~95%の、またはこれら代表的な範囲の範囲内にある任意の例示的な数値の、空隙率または有孔率を含んでいてもよい。一部の実施例では、プリプレグ(例えば、完全には固化していない)は、0%超~最大約95%の空隙率または有孔率を含む。特に指示しない限り、特定の空隙率または有孔率を含むプリプレグに言及する場合、プリプレグの総体積を基準としており、必ずしも、プリプレグに、プリプレグと接合したその他任意の材料または層を加算した総体積のことを意味しているのではない。
【0052】
特定の実施形態では、プリプレグまたはコア内に存在する高い有孔率により、プリプレグ内の細孔中に膨張剤を捕捉することが可能となる。例えば、膨張剤は、非共有結合した様式で、空隙空間中に存在することができる。加熱またはその他の摂動が、非共有結合した膨張剤の体積を増加させるように作用し得るが、それにより、プリプレグまたはコアの総厚みが増加する。例えば、膨張剤の大きさが増加するにつれて、及び/または、更なる空気がプリプレグ内に捕捉されるにつれて、プリプレグまたはコアの厚みが増加する。例えば、膨張剤は、適切な刺激、例えば、放射熱を加えてプリプレグの総厚みを増加させるように作用するような、感熱剤として作用することができる。一部の実施例では、膨張剤を、熱などの刺激を加えた後に膨張していない状態から完全に膨張した状態へと膨張させることが可能な、2成分の膨張剤として構成することができる。更なる構成では、膨張剤は、加熱に伴って膨張剤が完全に膨張した状態に到達するまでその大きさがほぼ直線的に増大する、直鎖状の膨張剤であり得る。その他の実施例では、膨張剤は、段階的な膨張剤、例えば、微粒子形態の段階的な膨張剤であり得る。本発明で使用する場合、段階的な膨張または段階的な膨張剤とは、温度に伴ってその厚みを増加させてからプラトーに達し、その後、加熱を伴い再度厚みを増加させる膨張剤のことを意味する。段階的な体積増加は、プリプレグの総厚みをうまく制御することにつながり、また過膨張となる可能性も抑える。膨張剤を含むプリプレグを用いた望ましい厚みは、適切な加工温度を選択することにより達成することができる。厚みが十分ではない場合、多くの場合、高温を加えることで望ましい厚みまで総厚みを増加させることができる。
【0053】
特定の実施形態では、本明細書に記載するプリプレグまたはコア内の熱可塑性材料は、可塑化及び無可塑化の両方で、少なくとも部分的に、1種または複数種のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、及びポリ塩化ビニル、ならびに、これら材料同士の混合物、またはその他ポリマー材料との混合物を含んでいてもよい。その他の適切な熱可塑性材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、非晶質ナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、商業的にはPARMAX(登録商標)として知られているポリ(1,4-フェニレン)化合物、Bayer’s APEC(登録商標)PCなどの高温ポリカーボネート、高温ナイロン、及びシリコーン、ならびに、これらの材料同士の合金及び混合物、またはその他ポリマー材料との合金及び混合物。プリプレグを作製するための熱可塑性材料は、粉末形態、樹脂形態、ロジン形態、繊維形態、またはその他の適切な形態で使用することができる。様々な形態の例示的な熱可塑性材料が本明細書に記載されており、また更に、例えば、米国特許出願公開第20130244528号及びUS20120065283に記載されている。プリプレグ内に存在する熱可塑性材料の正確な量は様々であり得、例示的な量は、約20重量%~約90重量%の範囲で変動する。本明細書で記載するように、全体の耐衝撃性を向上させるためには、50%以上の重量パーセント、例えば、55~80重量パーセント、60~80重量パーセントなどの熱可塑性ポリマーでプリプレグを構成することが望ましい場合がある。
【0054】
特定の実施例では、プリプレグ内の強化材料は、プリプレグ内全体に分散した繊維の形態をとっていてもよい。例えば、プリプレグ内には、以下のうち1種または複数種が存在していてもよい。ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、合成有機繊維、特に高弾性率有機繊維、例えば、パラ-及びメタ-アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維など、または、繊維としての使用に適切な本明細書に記載する高メルトフローインデックス樹脂のいずれか、天然繊維、例えば、麻、サイザル麻、黄麻、亜麻、コイア、ケナフ、及びセルロース繊維、鉱物繊維、例えば、玄武岩、ミネラルウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール)、ウォラストナイト、アルミナシリカなど、またはこれらの混合物、金属繊維、金属天然繊維及び/または金属合成繊維、セラミック繊維、紡績繊維、またはこれらの混合物。一部の実施形態では、繊維に望ましい官能基またはその他の物理的特性を付与するために、上記の繊維のいずれかを使用に先立って化学的に処理することができるが、例えば、繊維が熱可塑性材料と、膨張剤と、またはそれら両方と反応することができるように化学的に処置してもよい。一部の実施例では、プリプレグ内で用いる繊維を、最初に膨張剤と反応させて、誘導体化繊維とし、それから、熱可塑性材料と混合させることができる。あるいは、膨張剤を、プリプレグ内の熱可塑性材料と反応させて、誘導体化熱可塑性材料とし、それから、繊維と混合させることができる。プリプレグ内の繊維含有率は、プリプレグの約20重量%~約90重量%であってもよく、より詳細には、プリプレグの約30重量%~約70重量%であってもよい。通常、プリプレグを含む複合物品内の繊維含有率は、複合材料の約20重量%~約90重量%、より詳細には、約30重量%~約80重量%、例えば、約40重量%~約70重量%の間で変化する。本明細書で記載するように、プリプレグにおける全体の耐衝撃性を向上させるためには、熱可塑性ポリマーの重量より少ない重量の繊維を含むのが望ましい場合がある。例えば、一部の実施例では、プリプレグまたはコア層内に存在する強化材料または強化繊維の量は、50重量パーセント未満、より詳細には、45重量パーセント未満、例えば、40重量%未満または30重量パーセント未満であってもよい。用いる繊維の特定のサイズ及び/または配向は、少なくとも部分的に、用いるポリマー材料、及び/または、結果として生じるプリプレグの望ましい特性によってもよい。適切な更なる繊維種、繊維サイズ、及び繊維量は、本開示の効果を説明することにより、当業者に容易に選択される。非限定的な一例示では、プリプレグを提供するために熱可塑性材料及び膨張剤内に分散された繊維は、通常、約5マイクロメートル超の、より詳細には、約5マイクロメートル~約22マイクロメートルの直径、及び、約5mm~約200mmの長さを有し、より詳細には、繊維直径は、約5マイクロメートル~約22マイクロメートルであってもよく、また繊維長は、約5mm~約75mmであってもよい。
【0055】
プリプレグ内で用いる膨張剤の正確なタイプは、多数の因子に依存し得る。それら因子としては、例えば、望ましい膨張温度、望ましい膨張度合などが挙げられる。一部の実施例では、対流加熱にさらした際にその大きさを増加させる微粒子状の膨張剤を用いてもよい。例示的な市販の膨張剤は、Kureha Corp.から入手可能である。一部の実施例では、膨張剤は微粒子形態で存在し、例えば、少なくとも40マイクロメートルの平均粒径を備えていてもよい。その他の実施例では、第1平均粒径を有する第1膨張剤、及び第1平均粒径とは異なる第2平均粒径を有する第2膨張剤を用いてもよい。
【0056】
一部の構成では、アンダーボディシールドのプリプレグは、特定用途における有害物質の要件に関する規定を満たすために、実質的にハロゲンフリーまたはハロゲンフリープリプレグであってもよい。その他の実施例では、プリプレグは、ハロゲン化難燃剤、例えば、F、Cl、Br、I、及びAtの1種または複数種、または、このようなハロゲン類を含む化合物、例えば、テトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネート、またはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-、もしくはテトラハロ-ポリカーボネートを含むハロゲン化難燃剤などを含んでいてもよい。一部の実施例では、プリプレグ及びコア内で用いる熱可塑性材料は、別の難燃剤を添加することなく若干の難燃性を付与する、1種または複数種のハロゲンを含んでいてもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、難燃剤が存在することが望ましい。例えば、ハロゲン化難燃剤は、約0.1重量パーセント~約15重量パーセントで(プリプレグの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約13重量パーセントで、例えば、約5重量パーセント~約13重量パーセントで存在していてもよい。必要に応じ、2種類の異なるハロゲン化難燃剤をプリプレグに添加してもよい。その他の実施例では、非ハロゲン化難燃剤、例えば、1種または複数種のN、P、As、Sb、Bi、S、Se、及びTeを含む難燃剤などを添加することができる。一部の実施形態では、非ハロゲン化難燃剤は、プリプレグがより環境にやさしくなり得るようにリン含有物質を含んでいてもよい。非ハロゲン化難燃剤または実質的にハロゲンフリーの難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、難燃剤が存在することが望ましい。例えば、実質的にハロゲンフリーの難燃剤は、約0.1重量パーセント~約15重量パーセントで(プリプレグの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約13重量パーセントで、例えば、プリプレグの重量を基準にして、約5重量パーセント~約13重量パーセントで存在していてもよい。必要に応じ、2種類の異なる実質的にハロゲンフリーの難燃剤をプリプレグに添加してもよい。特定の実施例では、本明細書に記載するプリプレグは、1種または複数種の実質的にハロゲンフリーの難燃剤と組み合わせて、1種または複数種のハロゲン化難燃剤を含んでいてもよい。2種類の異なる難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、2種類の難燃剤の組み合わせが存在していてもよい。例えば、存在する難燃剤の総重量は、約0.1重量パーセント~約20重量パーセントで(プリプレグの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約15重量パーセントで、例えば、プリプレグの重量を基準にして、約2重量パーセント~約14重量パーセントで存在していてもよい。本明細書に記載するプリプレグ内で用いられる難燃剤は、膨張剤、熱可塑性材料、及び繊維(ワイヤースクリーンまたはその他の加工用部材上に混合液を配置することに先立って)を含む混合液に添加することができ、または、プリプレグが成形された後に添加することができる。
【0057】
特定の構成では、本明細書に記載する物品は多孔性コアを含んでいてもよい。特定の実施例では、多孔性コアは、1種または複数種の熱可塑性材料、及び、多数の強化材料(例えば、強化繊維)を含み、当該強化材料は、硬化した熱可塑性材料でウェブまたはネットワーク構造内における所定の位置に固定され、コア内に多数の連続気泡、空隙空間、またはウェブをもたらし得る。一部の実施例では、膨張剤が概ね熱可塑性材料及び/または繊維と共有結合しないような様式で、膨張剤を多孔性コア内の空隙空間に存在させることができる。例えば、熱可塑性材料及び/または繊維が通常、膨張剤に対して不活性または非反応性であるように、それらを選択することが可能である。膨張剤が熱可塑性材料及び/または繊維と共有結合しない場合であっても、膨張剤自身内またはその内部には通常、共有結合が存在する。その他の実施例では、膨張剤を、熱可塑性材料に、繊維に、またはその両方に共有結合させて、コア内に一部共有結合させた膨張剤をもたらすことが望ましい場合がある。結合した膨張剤がコア内に存在する場合であっても、膨張剤は、コアを膨張させるために、適切な条件下、例えば、対流加熱下などで、なおも自身の占有体積を増加可能であることが望ましい。一部の実施例では、共有結合した膨張剤、及び非共有結合した膨張剤の両方はまた、コア内に存在していてもよい。コアの一部の構成では、約100%の膨張剤が非共有結合した膨張剤を含んでいてもよいが、弱い相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用または静電的相互作用などが、コア内の膨張剤とその他の構成要素との間において生じ得、また例えば、電荷-電荷相互作用または疎水性相互作用が、コア内に存在する様々な構成要素間において生じ得る。
【0058】
特定の構成では、コアは、コア内全体に分散した膨張剤を含むことができる。一部の実施例では、膨張剤を、コアの第1表面から第2表面へと実質的に均質または実質的に均一な状態で分散させることができる。本明細書でより詳細に記載するように、コア内における膨張剤のこのような実質的に均質または実質的に均一な分布を達成するために、コアの構成要素を共に混合して分散液を形成することが可能である。分散液中の実質的に均質または実質的に均一な膨張剤、熱可塑性材料、及び繊維の混合液を、分散液が含むようになるまで、混合を行うことができる。それから、本明細書に記載のように、例えば、分散液を適切な施工プロセスを用いてワイヤースクリーン上に配置することにより、コアを成形してもよく、続いて、コア内の熱可塑性材料を溶融、加圧、及び/または固化させる。その他の構成では、コアの一方の表面からコアのもう一方の表面にかけて膨張剤の傾斜分布をもたらすことが望ましい場合がある。一部の構成では、膨張剤を、コア内に実質的に均一な分布で存在させてから、追加の膨張剤をコアの一方の面に添加して傾斜分布をもたらす。例えば、膨張剤を含む溶剤をスプレーまたはコーティングすることにより、このような追加の膨張剤をコアへと直接添加することができ、あるいは、膨張剤を含むスキン、別のプリプレグ、またはその他の構成要素をコアに接合させることにより、当該膨張剤をコアへと添加することができる。例えば、第1コア、及び第1コア上に配置された第2コアを用いて、複合物品を提供することができる。コアのそれぞれは、実質的に均一に分布する膨張剤を含んでいてもよいが、2つのコア内における膨張剤の量及び/またはタイプは異なり得、例えば、導入率が異なる可能性もあり、あるいは、材料自身が異なっていてもよい。しかしながら、必要に応じ、コアの一方のみが膨張剤を含み、もう一方のコアが膨張剤を含まないか、または異なる膨張剤を含むようにしてもよい。コア内の熱可塑性材料を溶融させて、2つのコア由来の材料を含む単一複合コアを提供することができる。コアを溶融させて得た複合材料コアは、傾斜分布した膨張剤を備えている。その他の構成では、膨張剤を含むスキンまたはその他の材料をコアに接合させることにより、コア内における膨張剤の分布を提供することができる。その他の実施例では、実質的に境界面が何ら存在しない接合済みスキン/コア複合材料を提供するために、スキンをコアへと融着させて、スキン及びコアを接合させることができる。必要に応じ、以下でより詳細に記載するように、別のスキン(膨張剤を含んでいてもいなくてもよい)を更に、第1スキンとは反対側の面上のコアに接合させることができる。
【0059】
特定の構成では、コア内の熱可塑性材料を用いて、繊維形態のコア、粒子形態のコア、樹脂形態のコア、またはその他の適切な形態のコアを提供してもよい。一部の実施例では、コア内で用いる熱可塑性材料は、粒子形態で存在することができ、膨張剤の平均粒径(存在する場合)と実質的に同一の平均粒径を有している。熱可塑性材料及び膨張剤の粒径を一致させることにより、コアの加工性を向上させることができる(例えば、コア内における膨張剤保持率の向上、保有膨張容量の増加などを含む)。一部の実施例では、膨張剤の平均粒径、及び熱可塑性材料の平均粒径は、約5%~約10%だけ互いに異なり得るが、加工性の向上はなお達成可能である。特定の構成では、コア内の熱可塑性材料及び膨張剤におけるそれぞれの平均粒径は、約50マイクロメートル~約900マイクロメートルの範囲で変動し得る。その他の実施例では、熱可塑性材料の平均粒径とぼぼ同一の平均粒径を有する膨張剤は、熱可塑性材料の平均粒径とは異なる平均粒径の膨張剤と共存することができる。膨張剤の平均粒径が異なり得るとしても、膨張剤の化学組成は同一であることも可能であり、または異なることも可能である。更なるその他の構成では、異なる平均粒径を有する2種以上の熱可塑性材料が存在し得る。必要に応じ、2種類の熱可塑性材料の平均粒径と実質的に同一の平均粒径を有する2種類の膨張剤をコア内に存在させることができる。2種類の膨張剤は、化学的に同一であってもよく、または化学的に異なっていてもよい。同様に、熱可塑性材料は、化学的に同一であってもよく(しかし、異なる平均粒径を有する)、または化学的に異なっていてもよい。
【0060】
特定の実施形態では、コアは通常、コア内に空隙空間が存在するように、かなりの量の連続気泡構造を含む。例えば、コア層は、0~30%の、10~40%の、20~50%の、30~60%の、40~70%の、50~80%の、60~90%の、0~40%の、0~50%の、0~60%の、0~70%の、0~80%の、0~90%の、5~30%の、5~40%の、5~50%の、5~60%の、5~70%の、5~80%の、5~90%の、5~95%の、10~50%の、10~60%の、10~70%の、10~80%の、10~90%の、10~95%の、20~60%の、20~70%の、20~80%の、20~90%の、20~95%の、30~70%の、30~80%の、30~90%の、30~95%の、40~80%の、40~90%の、40~95%の、50~90%の、50~95%の、60~95%の70~80%の、70~90%の、70~95%の、80~90%の、80~95%の、またはこれら代表的な範囲の範囲内にある任意の例示的な数値の、空隙率または有孔率を含んでいてもよい。一部の実施例では、コア(例えば、完全には固化していない)は、0%超~最大約95%の空隙率または有孔率を含む。特に指示しない限り、特定の空隙率または有孔率を含むコアに言及する場合、コアの総体積を基準としており、必ずしも、コアに、コアと接合したその他任意の材料または層を加算した総体積のことを意味しているのではない。プリプレグと比較した際、コア内の有孔率は、同一であることも可能であり、または異なることも可能である。例えば、多くの場合、プリプレグを一対のローラーに通すことによって、またはプリプレグの片面または両面をプレスすることによって、プリプレグはコアへと成形される。このような場合、コア内の有孔率は、プリプレグ内の有孔率とは異なっていてもよく、例えば、低い可能性もある。一部の実施例では、コア内の有孔率は、コアの膨張容量を増加させて最終成形物品または製品を提供するために、比較可能なプリプレグ未満となるように意図的に選択される。
【0061】
特定の実施形態では、コア内に存在する高い有孔率により、コア内の細孔中に膨張剤を捕捉することが可能となる。例えば、膨張剤は、非共有結合した様式で、空隙空間中に存在することができる。加熱またはその他の摂動が、非共有結合した膨張剤の体積を増加させるように作用し得るが、それにより、コアの総厚みが増加する。例えば、膨張剤は、適切な刺激、例えば、対流熱を加えてコアの総厚みを増加させるように作用するような、膨張剤として作用することができる。
【0062】
特定の実施形態では、本明細書に記載するコア内の熱可塑性材料は、可塑化及び無可塑化の両方で、少なくとも部分的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、及びポリ塩化ビニル、ならびに、これら材料同士の混合物、またはその他ポリマー材料との混合物を含む、1種または複数種のポリマーを含んでいてもよいが、これらに限定されない。その他の適切な熱可塑性材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、非晶質ナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、商業的にはPARMAX(登録商標)として知られているポリ(1,4-フェニレン)化合物、Bayer’s APEC(登録商標)PCなどの高温ポリカーボネート、高温ナイロン、及びシリコーン、ならびに、これらの材料同士の合金及び混合物、またはその他ポリマー材料との合金及び混合物。コアを作製するための熱可塑性材料は、粉末形態、樹脂形態、ロジン形態、繊維形態、またはその他の適切な形態で使用することができる。様々な形態の例示的な熱可塑性材料が本明細書に記載されており、また更に、例えば、米国特許出願公開第20130244528号及びUS20120065283に記載されている。コア内に存在する熱可塑性材料の正確な量は様々であり得、例示的な量は、約20重量%~約90重量%の範囲で変動する。全体の耐衝撃性を向上させるためには、50%以上の重量パーセント、例えば、55~80重量パーセント、60~80重量パーセントなどの熱可塑性ポリマーでコアを構成することが望ましい場合がある。一部の実施形態では、コア内の熱可塑性ポリマー構成要素は、コア内に最も高い重量パーセントで存在する材料という点で、コア内における「主要な」構成要素である。
【0063】
特定の実施例では、コア内の強化材料は繊維形態をとっていてもよく、例えば、以下のものを含むことができる。ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、合成有機繊維、特に高弾性率有機繊維、例えば、パラ-及びメタ-アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維など、または、繊維としての使用に適切な本明細書に記載する高メルトフローインデックス樹脂のいずれか、天然繊維、例えば、麻、サイザル麻、黄麻、亜麻、コイア、ケナフ、及びセルロース繊維、鉱物繊維、例えば、玄武岩、ミネラルウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール)、ウォラストナイト、アルミナシリカなど、またはこれらの混合物、金属繊維、金属天然繊維及び/または金属合成繊維、セラミック繊維、紡績繊維、またはこれらの混合物。一部の実施形態では、繊維に望ましい官能基またはその他の物理的特性を付与するために、上記の繊維のいずれかを使用に先立って化学的に処理することができるが、例えば、繊維が熱可塑性材料と、膨張剤と、またはそれら両方と反応することができるように化学的に処置してもよい。一部の実施例では、コア内で用いる繊維を、最初に膨張剤と反応させて、誘導体化繊維とし、それから、熱可塑性材料と混合させることができる。あるいは、膨張剤を、コア内の熱可塑性材料と反応させて、誘導体化熱可塑性材料とし、それから、繊維と混合させてもよい。コア内の繊維含有率は、コアの約20重量%~約90重量%であってもよく、より詳細には、コアの約30重量%~約70重量%であってもよい。用いる繊維の特定のサイズ及び/または配向は、少なくとも部分的に、用いるポリマー材料、及び/または、結果として生じるコアの望ましい特性によってもよい。適切な更なる繊維種、繊維サイズ、及び繊維量は、本開示の効果を説明することにより、当業者に容易に選択される。非限定的な一例示では、コアを提供するために熱可塑性材料及び膨張剤内に分散された繊維は、通常、約5マイクロメートル超の、より詳細には、約5マイクロメートル~約22マイクロメートルの直径、及び、約5mm~約200mmの長さを有し、より詳細には、繊維直径は、約5マイクロメートル~約22マイクロメートルであってもよく、また繊維長は、約5mm~約75mmであってもよい。
【0064】
一部の実施例では、コアは、特定用途における有害物質の要件に関する規定を満たすために、実質的にハロゲンフリーまたはハロゲンフリーコアであってもよい。その他の実施例では、コアは、ハロゲン化難燃剤、例えば、F、Cl、Br、I、及びAtの1種または複数種、または、このようなハロゲン類を含む化合物、例えば、テトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネート、またはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-、もしくはテトラハロ-ポリカーボネートを含むハロゲン化難燃剤などを含んでいてもよい。一部の実施例では、コア内で用いる熱可塑性材料は、別の難燃剤を添加することなく若干の難燃性を付与する、1種または複数種のハロゲンを含んでいてもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、難燃剤が存在することが望ましい。例えば、ハロゲン化難燃剤は、約0.1重量パーセント~約15重量パーセントで(コアの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約13重量パーセントで、例えば、約5重量パーセント~約13重量パーセントで存在していてもよい。必要に応じ、2種類の異なるハロゲン化難燃剤をコアに添加してもよい。その他の実施例では、非ハロゲン化難燃剤、例えば、1種または複数種のN、P、As、Sb、Bi、S、Se、及びTeを含む難燃剤などを添加することができる。一部の実施形態では、非ハロゲン化難燃剤は、コアがより環境にやさしくなり得るようにリン含有物質を含んでいてもよい。非ハロゲン化難燃剤または実質的にハロゲンフリーの難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、難燃剤が存在することが望ましい。例えば、実質的にハロゲンフリーの難燃剤は、約0.1重量パーセント~約15重量パーセントで(コアの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約13重量パーセントで、例えば、コアの重量を基準にして、約5重量パーセント~約13重量パーセントで存在していてもよい。必要に応じ、2種類の異なる実質的にハロゲンフリーの難燃剤をコアに添加してもよい。特定の実施例では、本明細書に記載するプリプレグ及びコアは、1種または複数種の実質的にハロゲンフリーの難燃剤と組み合わせて、1種または複数種のハロゲン化難燃剤を含んでいてもよい。2種類の異なる難燃剤が存在する場合、存在するその他の構成要素に応じて変化し得る難燃剤の量で、2種類の難燃剤の組み合わせが存在していてもよい。例えば、存在する難燃剤の総重量は、約0.1重量パーセント~約20重量パーセントで(コアの重量を基準にして)、より詳細には、約1重量パーセント~約15重量パーセントで、例えば、コアの重量を基準にして、約2重量パーセント~約14重量パーセントで存在していてもよい。本明細書に記載するコア内で用いられる難燃剤は、膨張剤材料、熱可塑性材料、及び繊維(ワイヤースクリーンまたはその他の加工用部材上に混合液を配置することに先立って)を含む混合液に添加することができる。また例えば、プリプレグまたはコアを難燃剤中に浸漬させること、または難燃剤をプリプレグまたはコアにスプレーすることによって、プリプレグが成形された後に、またはコアが硬化した後に、難燃剤を添加することができる。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書で記載するように、複合物品は、アンダーボディシールドへと加工され得るアンダーボディシールド組成物を提供するために、プリプレグまたはコアの表面上に配置されたスキン材料を含んでいてもよい。図9を参照すると、物品900は、熱可塑性ポリマー材料、多数の強化繊維、及びプリプレグまたはコアの空隙空間内に配置された膨張剤を含む、プリプレグまたはコア910を含む。物品900は、プリプレグまたはコア910上に配置された第1フィルム920を含む。フィルムは、耐衝撃性を向上させるための適切な特性を含む。例えば、フィルム920は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム920に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム920内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。フィルムの正確な厚みは様々であり得る。一部の実施例では、フィルムは、SAE J400の手順に基づき少なくとも50個の衝撃物を供給するのに十分厚いことが望ましい。フィルムの厚みは、例えば、コア層の厚み及び性質に基づいて様々であり得る。一部の実施形態では、フィルム920は、少なくとも約10ミルの厚みであり、より詳細には、12ミルの厚み、14ミルの厚み、16ミルの厚み、18ミルの厚み、または20ミルの厚みである。コア910内における熱可塑性ポリマーの正確な重量%もまた様々であり得る。熱可塑性ポリマーは通常、強化繊維及び膨張剤よりも高い重量パーセントで存在する。例えば、熱可塑性ポリマーは、コア910内において、50~55重量パーセント以上で存在していてもよい。一部の実施例では、コア910内の熱可塑性ポリマーはポリプロピレンを含んでいてもよく、コア910内の強化繊維はガラス繊維であってもよく、コア内の膨張剤は微粒子を含んでいてもよく、またスキン層920はポリプロピレンホモポリマーフィルムであってもよい(または、含んでいてもよい)。
【0066】
特定の構成では、本明細書に記載するプリプレグ及びコアを用いて、プリプレグまたはコアにおけるそれぞれの面上のスキンを含む物品を提供することができる。図10を参照すると、プリプレグまたはコア1010、プリプレグまたはコア1010の第1表面上に配置された耐衝撃性フィルム1020、及び、プリプレグまたはコア1010の第2表面上に配置されたスクリム1030を含む物品1000が示されている。プリプレグまたはコア1010は、プリプレグ及びコア、例えば、熱可塑性材料、強化繊維、及び、プリプレグまたはコア1010内に分散された膨張剤と共に、本明細書に記載する材料のいずれかを含んでいてもよい。一部の実施例では、熱可塑性ポリマーは、プリプレグまたはコア1010内の主要な構成要素を含み、当該構成要素は、例えば、プリプレグまたはコア内において50重量パーセント以上で存在する。フィルム1020は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム1020に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム1020内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。スクリム1030は、繊維ベースのスクリムであってもよく、また、ガラス繊維、アラミド繊維、黒鉛繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属合成繊維、及び金属無機繊維の少なくとも1つを含んでいてもよい。物品1000に関する一部の構成では、コア1010は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び微粒子状の膨張剤を含み、フィルム1020はポリプロピレンホモポリマーフィルムであり、またスクリムはポリエステル不織布である。
【0067】
特定の実施例では、アンダーボディシールドは、プリプレグまたはコア、プリプレグまたはコア上に配置された少なくとも1枚のフィルム、プリプレグまたはコア上に配置されたスクリム、及び、スクリム上に配置された装飾層またはカバー層を含むことができる。図11を参照すると、プリプレグまたはコア1110、プリプレグまたはコア1110の第1表面上に配置されたフィルム1120、プリプレグまたはコア1110の第2表面上に配置されたスクリム1030、及び、スクリム1130上に配置された装飾層1140、を含む物品、例えば、アンダーボディシールド1100が示されている。プリプレグまたはコア1110は、プリプレグ及びコア、例えば、熱可塑性材料、強化繊維、及び、プリプレグまたはコア1110内に分散された膨張剤と共に、本明細書に記載する材料のいずれかを含んでいてもよい。一部の実施形態では、コア1110は、主要な構成要素として熱可塑性ポリマー材料を含む。フィルム1120は、耐衝撃性を付与するホモポリマーを含んでいてもよく、当該ポリマーとしては、ポリオレフィン(任意選択的に1種または複数種の添加剤を含む)が挙げられる。フィルム1120に用いる例示的なホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーがフィルム1120内に存在する場合、コポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートの1種または複数種を用いて製造してもよい。スクリム1130は、繊維ベースのスクリム(またはその他のスクリム)であってもよく、また、ガラス繊維、アラミド繊維、黒鉛繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属合成繊維、及び金属無機繊維の少なくとも1つを含んでいてもよい。物品1100に関する一部の構成では、コア1110は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び微粒子状の膨張剤を含み、フィルム1120はポリプロピレンホモポリマーフィルムであり、スクリム1130はポリエステル不織布であり、また装飾層1140は、例えば、ポリ塩化ビニルの、ポリオレフィンの、熱可塑性ポリエステルの、または熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムで作製されていてもよい。装飾層1140はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリウレタンなどで作製されたフォームコアを含む多層構造体であってもよい。布地をフォームコアに接合させてもよく、当該布地としては、例えば、天然及び合成繊維で製造された織物、ニードルパンチングなどを施した後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、植毛織物、またはその他このような材料が挙げられる。布地はまた、感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えば、ポリアミド、改質ポリオレフィン、ウレタン、及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに接合されていてもよい。装飾層1140はまた、スパンボンドプロセス、熱接着プロセス、スパンレースプロセス、メルトブロープロセス、ウェットレイドプロセス、及び/またはドライレイドプロセスを用いて製造されてもよい。
【0068】
特定の実施形態では、図9図11に示す具体的な構成は、単一構成要素として示される様々な構成要素に関して記載するものではあるが、コア、フィルム、スクリムなどは、必要に応じて代わりに多層組立体として示されていてもよい。一部の構成では、フィルムは、フィルム層間のデラミネーションまたはピーリングを防止するために、望ましくは単一層として示されていてもよい。更に、物品内の様々な層に対して加工を施した後には、一方の層ともう一方の層を識別するための認識可能な境界面は存在しない場合がある。
【0069】
一部の実施形態では、プリプレグ及びコアは、望ましい物理的または化学的特性を付与するための別の材料または添加剤を含んでいてもよい。例えば、1種または複数種の染料、特殊加工剤、着色剤、粘度調整剤、煙抑制剤、相乗機能物質、膨張剤、粒子、粉末、殺生剤、発泡剤、またはその他の材料を、プリプレグまたはコアと混合することができ、または、プリプレグまたはコアに添加することができる。一部の実施例では、プリプレグまたはコアは、約0.2重量パーセント~約10重量パーセントの量で、1種または複数種の煙抑制剤組成物を含んでいてもよい。例示的な煙抑制剤組成物としては、スズ酸、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じ、プリプレグまたはコアの物理的特性を向上させるために、相乗機能物質を存在させることができる。必要に応じ、膨張能力を向上させる相乗機能物質を存在させてもよい。例示的な相乗機能物質としては、ナトリウムトリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
その他の実施例では、本明細書に記載するプリプレグまたはコアは、望ましい特性をコアへと付与するために、熱硬化性材料を望ましい量で、例えば、プリプレグまたはコアの総重量を基準として約50重量パーセント未満の少ない量で含んでいてもよい。熱硬化性材料は、熱可塑性材料と混合してもよく、または、プリプレグまたはコアの1つまたは複数の表面上にコーティング剤として添加してもよい。
【0071】
特定の実施形態では、本明細書に記載するプリプレグまたはコアは、ガラスマット熱可塑性複合材料(GMT)または軽量強化熱可塑性樹脂(LWRT)で構成することができ、あるいは、当該プリプレグまたはコアをGMTまたはLWRTに使用することができる。このようなLWRTの1つは、HANWHA AZDEL,Inc.が製造し、商標名SUPERLITE(登録商標)マットにて販売されている。膨張剤を導入したSUPERLITE(登録商標)マットは、例えば、難燃性及び高い加工性能を含む望ましい特性を付与することができる。このようなGMTまたはLWRTの面密度は、GMTまたはLWRTの1平方メートルあたり約400g(gsm)~約4000gsmの範囲で変動し得る。しかし、面密度は、特定用途の条件に応じて400gsm未満または4000gsm超であってもよい。一部の実施形態では、最大密度は約4000gsm未満であってもよい。特定の実施例では、GMTまたはLWRTは、GMTまたはLWRTの空隙空間内に配置された膨張剤材料を含んでいてもよい。例えば、非共有結合した膨張剤は、GMTまたはLWRTの空隙空間内に存在し得る。その他の実施例では、共有結合した膨張剤は、GMTまたはLWRTの空隙空間内に存在し得る。更なるその他の構成では、非共有結合した膨張剤及び共有結合した膨張剤の両方は、GMT内またはLWRT内に存在し得る。GMTまたはLWRTのプリプレグまたはコアを膨張剤と共に用いる特定の構成では、適切な性能特性、例えば、LWRTとその上に配置された任意のスキンとの間の適切な剥離強度をなおも付与しつつ、GMTまたはLWRTの坪量を、800gsm未満、例えば、600gsmまたは400gsmに減少させることができる。必要に応じ、別の膨張剤、例えば、微粒子をGMTまたはLWRT内に存在させることができる。一部の実施例では、アンダーボディシールドのコアに用いるLWRTの坪量は、約1500gsm未満、例えば、1400gsm、1350gsm、1300gsm、1275gsm、1250gsm、1225gsm、または1200gsmであってもよく、当該LWRTは、ポリプロピレン、ガラス繊維、及び膨張剤としての微粒子を含んでいてもよい。LWRTの坪量が1500gsm未満である場合、ポリプロピレン構成要素は、主要な量、例えば、50重量パーセント以上で存在していてもよい。
【0072】
本明細書に記載するプリプレグ及びコアを製造する際には、ウェットレイドプロセスを用いるのが望ましい場合がある。例えば、分散した材料、例えば、熱可塑性材料、繊維、膨張剤材料、及び任意選択的に、本明細書に記載する1種または複数種の添加剤(例えば、その他の膨張剤または難燃剤)のどれかを含む液状または流動媒体を、気体、例えば、空気またはその他のガスの存在下で混合または攪拌してもよい。それから、分散液を、支持材、例えば、ワイヤースクリーンまたはその他の支持材料上に塗布してもよい。攪拌済み分散液は、例えば、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性の、1種または複数種の活性剤を含んでいてもよく、それらは、例えば、Industrial Soaps Ltd.,がACE liquidの名称にて販売しており、Glover Chemicals Ltd.,がTEXOFOR(登録商標)FN 15 materialとして販売しており、また、Float-Ore Ltd.がAMINE Fb 19 materialとして販売している。これらの剤は、液体分散液中への空気の分散を補助することができる。構成要素を、空気の存在下で混合用タンク、浮選機、またはその他の適切な装置へと添加して、分散液を提供することができる。水性分散液を用いることが望ましいが、分散を補助するために、液体の粘度を調整するために、あるいは、望ましい物理的または化学的特性を分散液、またはプリプレグ、コア、もしくは物品に付与するために、1種または複数種の非水性液体もまた存在していてもよい。一部の実施例では、高い耐衝撃性をコアに付与するために、混合液中に存在する熱可塑性ポリマーの量は、混合液中に存在する強化繊維及び/または膨張剤の量を超えていてもよい。
【0073】
特定の実施例では、分散液を十分な期間混合させた後、懸濁させた材料を含む液体を、スクリーン、可動ワイヤー、またはその他の適切な支持構造体上に配置して、塗布済み材料のウェブを提供することができる。ウェブに対して吸引または減圧を行い、塗布済み材料から全ての水分を除去して、熱可塑性材料、膨張剤、及び、存在する任意のその他材料、例えば、繊維、添加剤などを残してもよい。得られたウェブに対して更に、乾燥、固化、プレス、膨張、ラミネート、サイジング、または別の加工を行い、望ましいプリプレグ、コア、または物品を提供することができる。一部の実施例では、乾燥、固化、プレス、膨張、ラミネート、サイジング、またはその他の更なる加工に先立ち、添加剤または別の膨張剤材料をウェブに添加して、望ましいプリプレグ、コア、または物品を提供することができる。その他の実施例では、乾燥、固化、プレス、膨張、ラミネート、サイジング、またはその他の更なる加工を行った後に、膨張剤をウェブに添加して、望ましいプリプレグ、コア、または物品を提供してもよい。ウェットレイドプロセスを用いてもよいが、熱可塑性材料、膨張剤材料、及び存在するその他の材料の性質に応じて、代わりに、不織布製品の製造に採用されるエアレイドプロセス、ドライブレンドプロセス、カーディング及びニードルプロセス、またはその他周知のプロセスを用いることが望ましい場合がある。一部の実施例では、プリプレグまたはコアの表面に対して約90度の角度で膨張剤材料をスプレーするように構成された複数のコーティング剤吹き出し口の下に板を通すことによって、プリプレグまたはコアをある程度硬化させるのだが、硬化後に、別の膨張剤材料をプリプレグまたはコアの表面上にスプレーすることができる。
【0074】
一部の構成では、水溶液または水性発泡液中の界面活性剤の存在下で、熱可塑性材料、繊維、及び微粒子状の膨張剤を混ぜ合わせることにより、本明細書に記載するプリプレグ及びコアを製造することができる。混ぜ合わせた構成要素を、十分な期間、混合または攪拌して、様々な材料を分散させて、実質的に均質な、材料の水性混合液を提供することができる。それから、分散させた混合液を、任意の適切な支持構造体上、例えば、望ましい有孔率を有するワイヤーメッシュ、またはその他のメッシュもしくは支持材上に塗布する。その後、ワイヤーメッシュから水分を除去して、ウェブを作製することができる。熱可塑性粉末の軟化温度超で、ウェブを乾燥及び加熱させる。それから、ウェブを冷まし、所定の厚みまでプレスして、約1パーセント~約95パーセントの空隙率を有する複合材料シートを製造する。代替的な実施形態では、水性発泡液は更に結合剤材料を含む。一部の構成では、熱可塑性粉末の軟化温度超でウェブを加熱してから、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性材料を含む接着剤層をウェブ上に配置することが可能である。
【0075】
特定の実施例では、GMTの形態のプリプレグまたはコアを製造することができる。特定の実施例では、GMTは通常、以下の材料を用いて製造することができる。チョップドガラス繊維、熱可塑性材料、膨張剤、及び任意選択的に、単一または複数の熱可塑性ポリマーフィルム、及び/または、ガラス繊維または熱可塑性樹脂繊維で製造した織物もしくは不織布。それらの熱可塑性材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、PC/PBTブレンド、またはPC/PETブレンドが挙げられる。一部の実施形態では、PP、PBT、PET、PC/PETブレンド、またはPC/PBTブレンドを樹脂として用いることができる。ガラスマットを製造するために、熱可塑性材料、強化材料、膨張剤、及び/またはその他の添加剤を、インペラを取り付けたオープントップ混合用タンク内に収容した分散発泡液へと添加または計量しながら供給することができる。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、発泡液中に捕捉されたエアポケットの存在により、ガラス繊維、熱可塑性材料及び膨張剤の分散を補助することができる。一部の実施例では、ガラス及び樹脂を分散させた混合液を、分配マニホールドを介して、抄紙機のワイヤーセクション上方に位置するヘッドボックスへと送り込むことができる。その後、分散させた混合液を可動ワイヤースクリーンへと供給しながら、ガラス繊維、膨張剤または熱可塑性樹脂ではなく、発泡液を、減圧により除去し、均一な繊維状湿潤ウェブを連続的に製造することができる。湿潤ウェブを適切な温度の乾燥機に通して水分を減少させ、熱可塑性材料を溶融または軟化させることができる。加熱されたウェブが乾燥機から出るときに、表面層、例えば、フィルム及び/またはスクリムなどをウェブ上にかぶせてもよい。特定の実施例では、ローラーまたはその他の装置を用いて、ウェブに対してフィルムをプレスすることにより、耐衝撃性フィルムをウェブに接合してもよい。例えば、ウェブが形成された後に、ウェブ底面へとフィルムを付加してもよく、それから、その組み合わせた構築物を一対のローラー間に通して、フィルムをウェブに接合させることができる。その他の実施例では、ウェブ上面へとスクリムを付加して、スクリムをウェブに接合させてもよい。フィルムの前、後、または同時に、スクリムを付加してもよい。例えば、フィルムを下方からウェブ上に配置することも可能であり、スクリムを上方からウェブ上に配置することも可能である。3層組立体を、設定した間隔で一対のニップローラーに通して、フィルム及びスクリムをウェブ表面上にプレスしてもよい。例えば、3層組立体を、加熱した一対のニップローラーに通してもよい。必要に応じ、追加の層、例えば、不織布及び/もしくは織物層、またはスキン層などを更に、ウェブの一方の面または両面に接合させて、ガラス繊維強化マットの取扱い容易性を促進させてもよい。それから、複合材料をテンションローラーに通し、後ほど最終製品である物品に成形するのに望ましい寸法へと、連続的に切断(裁断機で切る)することができる。適切な材料を含むこのようなGMT複合材料の製造、及び、このような複合材料の成形に用いる加工条件に関する更なる情報は、例えば、米国特許番号6,923,494、4,978,489、4,944,843、4,964,935、4,734,321、5,053,449、4,925,615、及び5,609,966、ならびに、米国特許出願公開番号、US2005/0082881、US2005/0228108、US2005/0217932、US2005/0215698、US2005/0164023、及びUS2005/0161865に記載されている。
【0076】
一部の実施例では、プリプレグ、コア、または物品は、熱可塑性材料、強化繊維、及び膨張剤を混合液中で混ぜ合わせて、攪拌済み水性発泡液を形成することにより製造することができる。攪拌済み水性発泡液を、ワイヤー支持材上に配置することができる。ウェブまたは連続気泡構造体を形成するために水分を除去することができる。例えば、実質的に膨張が生じないような条件下で、熱可塑性材料の溶融温度超の対流加熱を用いて、ウェブを加熱することができる。必要に応じ、ウェブに圧力をかけて、膨張剤を含む熱可塑性複合材料シートを提供することができる。適切な加熱条件を設定することによりシートを更に加工し、望ましい膨張を提供することができる。それから、スキンまたはカバー層を接着剤層上に配置することができる。一部の実施例では、シートを膨張させることが可能な加熱条件を適用し、板の総厚みを増加させることができる。例えば、多層組立体を鋳型内に配置させることができ、望ましい剥離強度をなおも付与しつつ、シートを膨張させるための加熱条件を適用して組立体のその他の層に対してシート表面をプレスすることができる。その他の実施例では、多層組立体の1ヵ所または複数ヵ所の領域を望ましい深さまで延伸させて、設定した形状及び/または寸法を有する構造体を成形することができる。
【0077】
特定の実施例では、複合物品の製造方法は、熱可塑性材料、強化繊維、及び膨張剤を混合液中に混ぜ合わせて、攪拌済み水性発泡液を形成することを含む。発泡液をワイヤー支持材上に配置し、水分を除去して、熱可塑性材料、繊維、及び膨張剤材料を含むウェブまたは連続気泡構造体を作製する。一部の実施例では、それから、熱可塑性材料の溶融温度を超える第1温度までウェブを加熱するが、第1温度は膨張剤の膨張開始温度未満であるため、実質的に膨張は生じない。その他の実施例では、熱可塑性材料が溶融する加熱条件(しかし、膨張剤は実質的に膨張しない)、例えば、対流加熱を用いて、ウェブを加熱することができる。その後、必要に応じ、例えば、ニップローラーまたはその他の装置を用いて、ウェブに圧力をかけて、ウェブ内に分散した膨張剤を含む熱可塑性複合材料シートを提供することができる。
【0078】
特定の実施例では、ローラーまたはその他の装置を用いて、ウェブに対してフィルムをプレスすることにより、耐衝撃性フィルムをLWRTウェブに接合してもよい。例えば、ウェブが形成された後に、ウェブ底面へとフィルムを付加してもよく、それから、その組み合わせた構築物を一対のローラー間に通して、フィルムをウェブに接合させることができる。その他の実施例では、ウェブ上面へとスクリムを付加して、スクリムをウェブに接合させてもよい。フィルムの前、後、または同時に、スクリムを付加してもよい。例えば、フィルムを下方からウェブ上に配置することも可能であり、スクリムを上方からウェブ上に配置することも可能である。3層組立体を、設定した間隔で一対のニップローラーに通して、フィルム及びスクリムをウェブ表面上にプレスしてもよい。
【0079】
本明細書に記載する新規の態様及び構成の一部をより適切に例示するために、特定の実施例について以下で説明する。
【実施例
【0080】
以下のいくつかの実施例は、グラベロメーター試験を用いた試験に関する。試験手順においては、100mm×300mmの試験板を、裏側をスチール製プレートで支持させた状態でホルダー内に取り付ける。
【0081】
実施例1
小石を板の表面に対して90度、すなわち垂直で、板へと射出した。使用した小石は、8~16mmの大きさの水で侵食した沖積層の路面砂利であった。小石を、空気圧70psi、8±2秒の間隔で、気流にのせて供給した。観察用に、10サイクル毎に試験片を取り出した。外表面全体において、亀裂、膨れ、デラミネーション、または侵食のいずれかがあれば、失敗であることを示す。上記の失敗のいずれかが観察されるまで試験を続けた。それぞれのサンプルについて、2つの試験片を試験した。失敗時のサイクル数は、2つの試験片の平均値とした。試験板の坪量は、1平方メートルあたり約1250g(gsm)であった。スクリム(0.1~0.2mmの厚み)、フィルム(50~500ミクロンの厚み)、及びそれらの間のポリプロピレン樹脂/ガラス繊維コアを含む試験板の総厚みは、約2mmであった。
【0082】
実施例2
試験したLWRTは、2つの主要な構成要素、チョップドガラス繊維及びポリプロピレン(PP)樹脂で構成された。ガラス繊維は高弾性率補強材の役割を果たし、PP樹脂は、補強材を所定の位置に固定し、負荷を受けた状態で変形して補強材へと応力を分散させるマトリックスである。2つの主要な構成要素の充填速度を変化させることにより、最終作製物におけるガラス繊維/PP樹脂の比率が変化し得る。LWRTのグラベロメーター性能に対するガラス/樹脂比率の影響を、表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
LWRTのグラベロメーター性能は、樹脂含有率の増加に伴い(またはガラス含有率の減少に伴い)向上する。グラベロメーターの失敗時のサイクル数は、PP樹脂含有率を55重量パーセントに増加させることによって、ほぼ2倍になった。いくつかの要因が、PP樹脂含有率に伴うグラベロメーター性能の向上に寄与する可能性がある。第1に、高い樹脂含有率によりコアの「柔軟性」が高まる。これにより、衝撃時におけるコアの大きな弾性変形が可能となり、衝撃エネルギーの吸収を助ける。第2に、高い樹脂含有率により、スキンフィルムと複合材料コアとの間の接合強度が向上し得る。低い接着強度は、スキンフィルムのコアからの早い段階でのデラミネーションを引き起こし、それにより、カバーフィルムの急速な劣化を招く。結果として、高樹脂含有率サンプルは、低樹脂含有率サンプルよりも遥かに多くのグラベル衝撃サイクルに耐えることができた。
【0085】
実施例3
PPホモポリマーフィルムをコア材料上に一体化させたLWRT成形品について試験した。このスキンフィルムは、複合材料構造体に耐湿性、塩水噴霧耐性、及びストーンチッピング耐性を付与する。石材衝突試験では、スキンフィルムがコアから剥離した場合、またはフィルム内に亀裂が現れた場合、アンダーボディパネルは、グラベロメーター試験に失敗したとみなされる。本試験では、同一組成だが厚みの異なるフィルムについて試験して、UBSパネルの石材衝突性能に対するスキンフィルムの厚みの影響を確認した。表2に、異なる厚みのスキンフィルムを備えた成形済みLWRTシートにおけるグラベロメーター試験の結果を示す。
【0086】
【表2】
【0087】
結果は、石材衝突耐性に影響するフィルムの厚みと一致する。フィルムの厚みが5ミルから12ミルへと増加すると、失敗までのサイクル数(グラベロメーター試験を使用)は2倍以上増加した。より薄いフィルムは通常、コア材料への優れた接着性を有するが、フィルム自身が石材の衝撃に耐えることができず、より厚いフィルムと比べ遥かにたやすく損傷を受けた。
【0088】
実施例4
コア内の樹脂におけるメルトフローインデックス(MFI)の影響を測定して、コア樹脂のMFIを変化させた場合に衝撃性能が変化するかを確認した。MFIは、例えば、2013年付けのASTM D1238,condition Lを用いて測定してもよく、例えば、単位は通常省略するが、g/10分で示してもよい。樹脂MFIは、オーブン内での乾燥プロセス中にどれだけ速く樹脂が流動可能であるかに、またガラス繊維にいかに良好にウェットアウト可能であるかに影響を与え得る。優れたウェットアウト性は通常、複合材料に優れた機械的強度を付与する。MFIの異なる2種類のPP樹脂について試験した。高MFI樹脂は、例えば、約300のMFI値を有し、低MFI樹脂、例えば、約100の約3倍であった。それらに対するグラベロメーター試験の結果における比較を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
結果は、わずかに高い石材衝突性能をもたらす高MFI樹脂(例えば、300以上)と一致する。高MFI樹脂は、乾燥プロセス中におけるガラス繊維のウェットアウト性向上を補助するが、グラベロメーター性能に大きな影響を与えるようではなかった。
【0091】
実施例5
耐衝撃性に対する膨張剤の影響について試験した。膨張剤をLWRT配合物に添加して、その膨張性能を高めることにより、重量を抑え、また音響性能を向上させることができる。膨張剤添加の影響を表4に示す。微粒子状の膨張剤、HS1100を使用した。
【0092】
【表4】
【0093】
結果は、石材衝突性能を向上させる膨張剤の添加と一致する。この微粒子状の膨張剤を添加した場合に、グラベロメーターの失敗時のサイクル数に30%の増加が観察された。この膨張剤は、成形プロセス中に中空球タイプの構造体へと膨張する。この発泡ピーナッツタイプの構造体が、グラベロメーター性能の向上に寄与するものと思われる。
【0094】
実施例6
ポリプロピレンホモポリマーフィルムを、約55重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、ガラス繊維、及び膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0095】
実施例7
ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマーフィルム(50%超のコポリマーがポリプロピレン)を、約55重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、ガラス繊維、及び膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0096】
実施例8
ポリプロピレンホモポリマーフィルムを、約55~60重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、約40~45重量パーセントのガラス繊維、及び約0.1~5重量パーセントの膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0097】
実施例9
ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマーフィルム(50%超のコポリマーがポリプロピレン)を、約55~60重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、約40~45重量パーセントのガラス繊維、及び約0.1~5重量パーセントの膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0098】
実施例10
ポリプロピレンホモポリマーフィルムを、約55~60重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、約40~45重量パーセントのガラス繊維、及び約0.1~5重量パーセントの微粒子状の膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0099】
実施例11
ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマーフィルム(50%超のコポリマーがポリプロピレン)を、約55~60重量パーセント以上の熱可塑性ポリマー、約40~45重量パーセントのガラス繊維、及び約0.1~5重量パーセントの微粒子状の膨張剤を含むLWRTコア板上に配置することにより、アンダーボディシールドを製造することができる。不織布スクリムを板の反対側の面に接合してもよい。得られた複合材料を熱成形により更に加工し、アンダーボディシールドとして用いるのに望ましい形状及び/またはサイズとすることができる。
【0100】
実施例12
表5に示す樹脂:ガラス比率を含む、2種類のLWRT板(それぞれの種類の板に対し2つの複製)を作製した。
【0101】
【表5】
【0102】
標準的なLWRTは、樹脂:ガラス含有率が45:55(100MFIのポリプロピレン、及びガラス繊維)である1200gsmのコアを含んでいた。高グラベル耐性LWRTは、1200gsmのXL2コアを含んでいた(約2.8重量パーセントの膨張剤を含み、残部は、樹脂:ガラス比率が約55:45(325MFIのポリプロピレン、及びガラス繊維)の樹脂:ガラス含有率であった)。両方のLWRT板は、コアの一方の表面上に225gsmのポリプロピレンフィルムを、コアの反対側の表面上に35gsmのPETスクリムを含んでいた。低樹脂MFIとは約100のMFIのことを意味し、また高樹脂MFIとは約300以上のMFIのことを意味する。本明細書で記載するように、MFIは、例えば、2013年付けのASTM D1238,condition Lを用いて測定してもよい。
【0103】
それぞれの板のフィルム面に対して、失敗となるまで、またはトータルで100サイクル(試験の終了)となるまで、グラベロメーターサイクルを実施した。表5に示すように、標準的なLWRT板は、平均53回のグラベロメーターサイクル数の後に失敗となった。耐性LWRT板は、100回のサイクル数の後でも失敗とならなかった。これらの結果は、高グラベル耐性を備えたLWRTを提供する、樹脂:ガラス比率及び樹脂MFIの選択と一致する。
【0104】
実施例13
表6に示す材料を備えた3種類のLWRT板を作製した。
【0105】
【表6】
【0106】
ST-10499は、XL2コアの一方の表面上に225gsmのEXV2601-0499ポリプロピレンフィルムを、またXL2コアの反対側の表面上に35gsmのPETスクリムを備えた、900gsmのXL2コア(実施例12に記載のとおり)を含んでいた。ST-10500は、XL2コアの一方の表面上に225gsmのEXV2601-0500ポリプロピレンフィルムを、またXL2コアの反対側の表面上に35gsmのPETスクリムを備えた、900gsmのXL2コアを含んでいた。ST-10198は、XL2コアの一方の表面上に225gsmのポリプロピレンフィルムを、またXL2コアの反対側の表面上に35gsmのPETスクリムを備えた、900gsmのXL2コアを含んでいた。
【0107】
表6におけるそれぞれの板のフィルム面に対して、グラベロメーター試験を実施した。板を1/8インチのスチール製支持パネルに取り付けた後、それぞれの板に対して、100kgの砂利を、フィルム表面に対して90度の角度で施した。70psiの圧力を用いた。それぞれの板における2つの複製、トータルで6枚の板について試験した。試験後のサンプル板の写真を図12A図12Cに示す。図12Aは2枚のST-10198板の写真であり、図12Bは2枚のST-10499板の写真であり、また図12Cは2枚のST-10500板の写真である。どの板も、好ましくない劣化、デラミネーション、亀裂、膨れ、コアの露出、及び、グラベロメーター試験後に板に変化をもたらしたその他の変化による重量喪失を何ら示さなかった。これらの結果は、コア及びフィルムの組み合わせが、標準的なLWRT板と比較して高い耐衝撃性を付与することと一致した。
【0108】
本明細書にて開示した実施例における要素を導入する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つまたは複数の要素の存在を意味することを意図している。用語「comprising(含む)」、「including(含む)」及び「有する」は、非制限であることを意図し、列挙した要素以外の別の要素が存在してもよいことを意味する。本開示の効果を説明することにより、実施例における様々な構成要素をその他の実施例における様々な構成要素と交換または置換え可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0109】
特定の態様、実施例、及び実施形態について上記で説明してきたが、本開示の効果を説明することにより、開示した例示的な態様、実施例、及び実施形態における追加、置換え、修正、及び変更が可能であることを、当業者は理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C