(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】インサイドハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 79/22 20140101AFI20220202BHJP
E05B 85/12 20140101ALI20220202BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20220202BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
E05B79/22 B
E05B85/12 A
E05B79/20
B60J5/00 H
(21)【出願番号】P 2018014547
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】西塚 三男
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206234(JP,A)
【文献】特開2009-287333(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2876077(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターケーブル内にインナーケーブルを挿通させたケーブル装置を介してドアに固定されるドアラッチ装置に連結され、該ドアラッチ装置を遠隔操作する車両のインサイドハンドル装置であって、
一端部に表面から操作可能な操作部を、反対端に裏面方向に開放されたケーブル連結凹部を備えたハンドル本体を揺動自在に支持するハンドルベースと、
前記アウターケーブルの一端を固定するケーブル固定部を備えるとともに、前記インナーケーブルの一端に形成されるハンドル連結部を保持して前記ハンドルベースに連結可能で、連結状態においてハンドル連結部をハンドル本体のケーブル連結凹部に係止させるケーブル保持ケースとを有し、
前記ケーブル保持ケースは、前記ケーブル固定部へのアウターケーブルの引き出し方向への負荷方向を変換して得られる裏面方向へ連結解除力によりハンドルベースとの連結が解除可能な車両のインサイドハンドル装置。
【請求項2】
前記ケーブル保持ケースには、ケーブル固定部の引き出し方向への移動に伴ってハンドルベースの乗り上げ突部に乗り上げて該ケーブル保持ケースを連結解除方向に移動させる乗り上げ部が設けられる請求項1記載の車両のインサイドハンドル装置。
【請求項3】
前記ケーブル保持ケースは、ケーブル固定部が形成される辺縁部においてハンドルベースに係止されるとともに、対向辺縁部が前記ハンドルベースとの係止部位を回転中心とする回転軌跡上でハンドルベースに弾発係止してハンドルベースに連結される請求項1または2記載の車両のインサイドハンドル装置。
【請求項4】
前記ケーブル保持ケースにはハンドルベースから突出する係止突部に弾発係止するフック状の弾発係止片が設けられるとともに、
前記係止突部と弾発係止片との係止面は、ケーブル保持ケースへの連結解除方向の負荷により弾発係止片に係止解除方向の操作力を発生させる傾斜面により形成される請求項3記載の車両のインサイドハンドル装置。
【請求項5】
前記ケーブル保持ケースとハンドルベースのいずれか一方には、ケーブル固定部からのケーブル引き出し方向にほぼ直交する方向に延びる弾性変形脚が突設されるとともに、
他方には、前記弾性変形脚の自由端部に当接してケーブル保持ケースのケーブル引き出し方向への移動を規制する干渉突部が設けられる請求項4記載の車両のインサイドハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインサイドハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの室内側壁面に装着されるインサイドハンドル装置としては、特許文献1記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、インサイドハンドル装置は、ロックノブとインナドアハンドルとをハンドルベースに回転操作可能に連結して形成され、インナドアハンドルには一端がラッチ機構に連結されるケーブルの他端が連結される。
【0004】
インナドアハンドルとケーブルとの連結は、ケーブル(インナーケーブル)の先端に形成された球状の端部をインナドアハンドルに開設された係合孔に嵌合させることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、インナーケーブルの端部をインナドアハンドルの係合孔に係合させる作業が面倒であるという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の問題を解決すべくなされたものであって、ケーブル装置の連結操作が簡単な車両のインサイドハンドル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
アウターケーブル1内にインナーケーブル2を挿通させたケーブル装置3を介してドアに固定されるドアラッチ装置4に連結され、該ドアラッチ装置4を遠隔操作する車両のインサイドハンドル装置であって、
一端部に表面から操作可能な操作部5を、反対端に裏面方向に開放されたケーブル連結凹部6を備えたハンドル本体7を揺動自在に支持するハンドルベース8と、
前記アウターケーブル1の一端を固定するケーブル固定部9を備えるとともに、前記インナーケーブル2の一端に形成されるハンドル連結部10を保持して前記ハンドルベース8に連結可能で、連結状態においてハンドル連結部10をハンドル本体7のケーブル連結凹部6に係止させるケーブル保持ケース11とを有し、
前記ケーブル保持ケース11は、前記ケーブル固定部9へのアウターケーブル1の引き出し方向への負荷方向を変換して得られる裏面方向へ連結解除力によりハンドルベース8との連結が解除可能な車両のインサイドハンドル装置を提供することにより達成される。
【0009】
本発明においてインサイドハンドル装置はハンドル本体7を回転操作可能に連結したハンドルベース8と、ケーブル固定部9においてケーブル装置3のアウターケーブル1が固定されるケーブル保持ケース11とを有し、ケーブル保持ケース11を適宜の連結手段によりハンドルベース8に連結することによりケーブル保持ケース11に保持されたインナーケーブル2のハンドル連結部10がハンドル本体7のケーブル連結凹部6に係止し、以後、ハンドル本体7への操作力がインナーケーブル2を介してドアラッチ装置4に伝達される。
【0010】
したがって本発明において、ケーブル保持ケース11をハンドルベース8に連結するだけでハンドル本体7にインナーケーブル2のハンドル連結部10を連結することができ、従来例のように、ハンドル連結部10をハンドル本体7の係合孔に導いて嵌合させる作業が不要になるために、連結作業性が向上する。
【0011】
また、インサイドハンドル装置とドアラッチ装置4との相対位置が衝突等により初期設定から相互に離隔する方向に変化した場合、ケーブル保持ケース11のケーブル固定部9にはアウターケーブル1により引っ張り方向の力が負荷される。
【0012】
ケーブル固定部9への負荷によりケーブル保持ケース11はハンドル連結部10のケーブル連結凹部6との係止解除方向に移動してハンドルベース8から離脱し、以後、ケーブル装置3が固定されたケーブル保持ケース11はドアラッチ装置4に追随して移動する。
【0013】
したがって、従来例のようにインナーケーブル2がハンドル本体7に脱離不能に連結されている状態でドアラッチ装置4とハンドルユニットの間隔が想定外に大きくなった場合には、インナーケーブル2のハンドル連結部10はハンドルユニットとともにドアラッチ装置4から離隔する方向に移動してドアラッチ装置4をラッチ解除動作させる虞があるが、本発明においては、ケーブル保持ケース11がハンドルベース8から離脱した後、ケーブル装置3はドアラッチ装置4に追随して移動するために、ドアラッチ装置4を作動させることがなく、不用意なドア開放操作を確実に防止することができる。
【0014】
ケーブル保持ケース11のケーブル固定部9にアウターケーブル1の引き出し方向の力が加えられた場合、この引張力を裏面方向へ連結解除力、すなわち、ハンドル連結部10がハンドル本体7のケーブル連結凹部6から離脱する方向の操作力に変換するためには、周知の種々の操作力方向変換機構を使用することができるが、
前記ケーブル保持ケース11には、ケーブル固定部9の引き出し方向への移動に伴ってハンドルベース8の乗り上げ突部12に乗り上げて該ケーブル保持ケース11を連結解除方向に移動させる乗り上げ部13が設けられる車両のインサイドハンドル装置を構成した場合、構造が簡単になる。
【0015】
また、本発明の他の形態としては、
前記ケーブル保持ケース11は、ケーブル固定部9が形成される辺縁部においてハンドルベース8に係止されるとともに、対向辺縁部が前記ハンドルベース8との係止部位を回転中心とする回転軌跡上でハンドルベース8に弾発係止してハンドルベース8に連結される車両のインサイドハンドル装置を構成することができる。
【0016】
ケーブル保持ケース11のハンドルベース8への連結操作は、どのような手段によっても、インナーケーブル2の先端に形成されたハンドル連結部10をハンドル本体7の連結孔に導いた後、嵌合させる操作に比べると連結操作が簡単になるが、本態様によれば、ケーブル保持ケース11の一端部を係止させた後、係止部位を回転中心として回転させるだけでハンドルベース8に連結することができるために、連結作業性がより向上する。
【0017】
さらに、ケーブル保持ケース11のハンドルベース8からの離脱は、ケーブル保持ケース11とハンドルベース8との連結部の破壊を伴うものであってもよいが、連結部の非破壊的な離脱によることもでき、この場合、インサイドハンドル装置は、
前記ケーブル保持ケース11にはハンドルベース8から突出する係止突部14に弾発係止するフック状の弾発係止片15が設けられるとともに、
前記係止突部14と弾発係止片15との係止面は、ケーブル保持ケース11への連結解除方向の負荷により弾発係止片15に係止解除方向の操作力を発生させる傾斜面により形成するように構成することができる。
【0018】
本態様において、ケーブル保持ケース11にケーブル引き出し方向の負荷が加えられると、操作力方向変換機構による作用とあいまって、弾発係止片15の係止面が係止突部14の傾斜面上を滑り落ちるように移動するために、係止突部14と弾発係止片15との係止状態は非破壊的に解除される。
【0019】
この場合、
前記ケーブル保持ケース11とハンドルベース8のいずれか一方には、ケーブル固定部9からのケーブル引き出し方向にほぼ直交する方向に延びる弾性変形脚16が突設されるとともに、
他方には、前記弾性変形脚16の自由端部に当接してケーブル保持ケース11のケーブル引き出し方向への移動を規制する干渉突部17が設けられる車両のインサイドハンドル装置を構成することができる。
【0020】
本態様において、ケーブル引き出し方向の力が負荷されると、脚部がケーブル引き出し方向への移動を規制するために、弾発係止片15の係止解除動作が規制され、負荷の大きさが所定の大きさに達して脚部が弾性変形すると、弾発係止片15に係止解除方向の力が発生する。
【0021】
この結果、脚部の弾性変形能を調整することにより、弾発係止片15、すなわち、ケーブル保持ケース11の離脱力を正確に調整することが可能になり、不用意なケーブル保持ケース11の離脱を確実に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】インサイドハンドル装置を表面側から見た図である。
【
図3】ハンドルユニットを示す図で、(a)は表面側から見た図、(b)は(a)の3B-3B線断面図である。
【
図6】ケーブルユニットを示す図で、(a)は
図5の6A方向矢視図、(b)は
図5の6B-6B線断面図、(c)は
図5の6C-6C線断面図である。
【
図7】ケーブルユニットの連結操作を示す図である。
【
図8】ケーブルユニットの連結操作を示す図である。
【
図9】ケーブルユニットの離脱動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1以下に示すように、インサイドハンドル装置は、ハンドル本体7をハンドルベース8に連結したハンドルユニット18と、ケーブル保持ケース11にケーブル装置3を連結したケーブルユニット19とから構成され、ハンドルベース8をドアの室内側壁面に固定されるドアトリム(図示せず)に固定してドアに取り付けられる。
【0024】
ハンドル本体7は、
図2、3に示すように、レバー状に形成される操作部5の一端の上下端から裏面側に突設されるヒンジ片7aを有しており、該ヒンジ片7aを貫通する回転軸7bを介してハンドルベース8に回転自在に連結される。ハンドル本体7とハンドルベース8との間には図外のトーションスプリングが装着されており、
図2に示す初期回転位置に付勢される。
【0025】
なお、本明細書において
図2における上方を「表面側」、下方を「裏面側」、左側を「前方」、右側を「後方」、
図1における上方を「上方」、下方を「下方」とする。
【0026】
また、下方に配置されるヒンジ片7aの裏面側端部には裏面方向に向けて開放される切欠状のケーブル連結凹部6が形成される。このケーブル連結凹部6は、後述するように、球形状に形成されるインナーケーブル2のハンドル連結部10が嵌合するように、天井面が球面形状をなしており、板厚方向(上下方向)中心部には、
図2に示すように、インナーケーブル2との干渉を防止するためのスリット7cが形成される。
【0027】
さらに、
図4に示すように、ケーブル連結凹部6は、ハンドル連結部10が中心から上下方向に行くに従って小径となるのに対応して小径となり、小径部がハンドル連結部10の周壁に当接してハンドル本体7の回転操作による変位を効率的にケーブル装置3に伝達する。
【0028】
一方、ケーブル装置3は、
図1、2に示すように、アウターケーブル1内にインナーケーブル2を摺動自在に挿通させて形成され、一端がドアパネルに固定されるドアラッチ装置4に、他端がケーブル保持ケース11に連結される。アウターケーブル1の端部には連結金具1aが固定されるとともに、インナーケーブル2の先端には球形状のハンドル連結部10が固定される。
【0029】
ケーブル保持ケース11は、
図5、6に示すように、本体部11aの側縁からカバー部11bを張り出して形成されており、
図6(c)に示すように、カバー部11cは、ヒンジ部11dから矢印方向に折り曲げて本体部11aに重合させることにより本体部11aに弾発係止させることができる。
【0030】
これら本体部11a、およびカバー部11bには突起部11eが設けられており、
図6(b)に示すように、アウターケーブル1の連結金具1aに形成された嵌合溝1bを本体部11aの突起部11eに嵌合させた状態でカバー部11bを本体部11aに重合させると、カバー部11bの突起部11eが連結金具1aの嵌合溝1bに嵌合する。この状態でアウターケーブル1の嵌合溝1bには表裏方向から突起部11eが嵌合してケーブル固定部9が構成され、アウターケーブル1、すなわち、ケーブル装置3の抜去が規制される。
【0031】
また、本体部11aには、以上のようにしてケーブル保持ケース11に連結されるケーブル装置3のハンドル連結部10をガイドするガイド凹部20が形成される。ガイド凹部20は、後述するように、ケーブル保持ケース11をハンドルベース8に連結した状態におけるハンドル本体7の回転軸7bを中心とし、該回転軸7bからハンドル連結部10までの間隔を半径とする円弧により形成されており(
図2参照)、ガイド凹部20を挟むようにして上下に配置される一対の立ち上がり壁21の先端には各々対向する庇状のストッパ突条21aが突設される。
【0032】
したがって、本例において、
図5、6に示すように、ガイド凹部20上にハンドル連結部10が乗った状態で表面側への脱離がストッパ突条21aにより規制されるために、ハンドルベース8に連結しない状態でもハンドル連結部10がガイド凹部20から離脱することなく所定位置に保持される。
【0033】
以上のように形成されるケーブル保持ケース11をハンドルベース8に連結するために、ケーブル保持ケース11には係止フック22と弾発係止片15が、ハンドルベース8には被係止突起8aと係止突部14とが設けられる。
【0034】
係止フック22は、
図5に示すように、ケーブル保持ケース11の前端部から上下方向に突出する張り出し片22aの先端から後方に突出されており、上記被係止突起8aは、係止フック22に対応してハンドルベース8の前端部から前方に突設される。
【0035】
また、弾発係止片15は、ケーブル保持ケース11の後端から表面側に突出する弾性変形可能な脚片15aの先端から後方に向けてフック状の係止部15bを突設して形成され、ハンドルベース8側の係止突部14は、上記弾発係止片15の係止部15bが係止可能に後方に向けて突設される。
【0036】
したがって、本例において、
図7、8に示すように、まず、係止フック22を被係止突起8aに係止させ、この後、係止部位を回転中心としてケーブル保持ケース11全体を
図8において反時計方向(矢印方向)に回転させると、弾発係止片15の係止部15bがハンドルベース8の係止突部14に当接する。
【0037】
この状態からケーブル保持ケース11をさらに押し込むと、弾発係止片15の脚片15aが一旦弾性変形して係止部15bが係止突部14を乗り越えた後、脚片15aの弾性復帰に伴って係止突部14に係止する。係止状態において、ケーブル保持ケース11のハンドルベース8に対する後方へのスライド動作は、係止フック22がハンドルベース8に干渉することにより規制され、前方へのスライド動作、すなわち、ケーブル固定部9からケーブル装置3が引き出される方向へのスライド動作は、脚片15aの係止突部14への干渉により規制される。
【0038】
さらに、ケーブル保持ケース11がハンドルベース8に連結した状態で、ケーブル保持ケース11の裏面方向への移動は、係止フック22の被係止突起8aとの係止、および係止部15bの係止突部14への係止により規制され、これらの方向の移動が規制されることによりケーブル保持ケース11のハンドルベース8への連結状態は維持される。
【0039】
また、ケーブル保持ケース11をハンドルベース8に連結する際、上述したように、ハンドル本体7は初期回転位置に保持され、さらに、ケーブル保持ケース11に固定された状態でインナーケーブル2のハンドル連結部10は一端側に連結されるドアラッチ装置4の状態により決定されて、
図8に示すように、ロック対応位置に保持される。この状態からケーブル保持ケース11をハンドルベース8に連結すると、インナーケーブル2のハンドル連結部10はハンドル本体7のケーブル連結凹部6に嵌合し、以後、ハンドル本体7を回転操作力をケーブル装置3を介してドアラッチ装置4に伝達することが可能になり、連結状態においてハンドル本体7を初期回転位置から
図2において反時計回りに回転操作すると、インナーケーブル2は引っ張られ、ドアラッチ装置4のラッチ解除操作を行うことができる。
【0040】
また、
図5、8に示すように、上記ケーブル保持ケース11の後端部であって、上記弾発係止片15のやや前方には、上下方向に突出する乗り上げ部13が設けられるとともに、ハンドルベース8には、ケーブル保持ケース11が連結された状態で上記乗り上げ部13が嵌合する凹部23が設けられる。
【0041】
さらに、
図9に示すように、ケーブル保持ケース11の係止部15bと、ハンドルベース8の係止突部14との係止面は、後方に行くに従って漸次裏面側に移動する傾斜面(傾斜角θ)により形成されており、ケーブル保持ケース11の裏面側への移動力が負荷された場合、弾発係止片15は係止解除方向に弾性変形するように構成される。
【0042】
加えて、
図5、6に示すように、ケーブル保持ケース11には表面側に開口する矩形開口17aが設けられるとともに、ハンドルベース8には、
図4に示すように、裏面側に突出する弾性変形脚16が設けられており、ケーブル保持ケース11がハンドルベース8に連結した状態において、
図2に示すように、弾性変形脚16が矩形開口の周壁(干渉突部17)に当接する。
【0043】
この結果、ケーブル保持ケース11の前方への移動は、上述した弾発係止片15の弾性変形抵抗能に加え、弾性変形脚16の弾性変形抵抗能により規制される。
【0044】
以上の構成の下、ケーブル保持ケース11のケーブル固定部9に前方への大きな力が加えられると、
図9(b)に示すように、ハンドルベース8の干渉突部17に当接している弾性変形脚16が弾性変形してケーブル保持ケース11は前方に僅かに移動する。ケーブル保持ケース11の前方への移動に伴ってケーブル保持ケース11の乗り上げ部13は、ハンドルベース8の凹部の壁面(乗り上げ突部12)に乗り上げて、ケーブル保持ケース11は、前端部におけるハンドルベース8との係止部位を回転中心として
図9(b)において時計回りに回転し、弾発係止片15は裏面側に移動する。
【0045】
弾発係止片15の裏面側への移動によって該弾発係止片15の係止部15bは、係止突部14の係止面を滑り落ちるように、係止解除方向に移動し、さらに前方への移動力が負荷されると、
図9(c)に示すように、弾発係止片15の係止突部14との係止が完全に解除され、さらなる負荷によりケーブル保持ケース11はハンドルベース8から完全に離脱する。
【0046】
したがって、本例において、車両の衝突事故等によりドアパネルに固定されるドアラッチ装置4と、ドアトリムに固定されるインサイドハンドル装置との間の間隔が初期状態よりも大きくなると、両者を連結しているケーブル装置3のアウターケーブル1が引っ張られ、ケーブル保持ケース11のケーブル固定部9に引き出し方向の負荷が与えられる。
【0047】
上述したように、ケーブル保持ケース11は、ケーブル固定部9への負荷によりハンドルベース8から離脱し、以後、ケーブルユニットとして単独で移動し、インナーケーブル2に引張力が負荷されることがないために、ドアラッチ装置4にラッチ解除操作力が与えられることはない。
【符号の説明】
【0048】
1 アウターケーブル
2 インナーケーブル
3 ケーブル装置
4 ドアラッチ装置
5 操作部
6 ケーブル連結凹部
7 ハンドル本体
8 ハンドルベース
9 ケーブル固定部
10 ハンドル連結部
11 ケーブル保持ケース
12 乗り上げ突部
13 乗り上げ部
14 係止突部
15 弾発係止片
16 弾性変形脚
17 干渉突部