(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】コネクタアッセンブリ、接続モジュール及び接続モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20220202BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20220202BHJP
H01R 13/533 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
H01R13/52 301Z
H01R24/38
H01R13/533 A
(21)【出願番号】P 2018112732
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 快人
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006162(JP,A)
【文献】特開平08-191526(JP,A)
【文献】特開2006-351210(JP,A)
【文献】特開2014-107114(JP,A)
【文献】特開2015-041591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70-12/81
H01R 24/38-24/56
H01R 13/52
H01R 13/533
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタが実装された基板と組み合わせ可能であり且つ前記基板と共に収容空間を区画可能なケースと、
前記基板に対して略直交する第1方向において前記ケースを貫通しており、前記収容空間内で前記第1コネクタに接続可能であり且つ前記収容空間内に配置可能な被収容部を有する第2コネクタと、
弾性体又は樹脂で構成されており且つ前記第1方向に延びる筒状のシール部材とを備えており、
前記シール部材は、
当該シール部材の前記第1方向の一方側の
筒状の第1部及び
当該シール部材の前記第1方向の他方側の
筒状の第2部を有し、
前記第1部は、前記第2コネクタの前記被収容部に外嵌するように設けられており、
前記第2部は、前記第2コネクタの前記被収容部に対して前記第1方向の他方側に位置し
ており、
前記ケースが前記基板に組み合わせられ、前記ケースが前記基板と共に前記収容空間を区画し且つ前記第2コネクタが前記収容空間内で前記第1コネクタに接続された状態で、前記シール部材の前記第2部が前記基板に当接し且つ前記第1コネクタを覆うコネクタアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記第1部が、前記第2コネクタの前記被収容部に一体化されているコネクタアッセンブリ。
【請求項3】
ケースと組み合わせ可能な基板であって、前記基板に対して略直交する第1方向において第2コネクタが前記ケースを貫通しており、前記ケースと共に収容空間を区画可能な前記基板と、
前記基板上に実装されており且つ前記第2コネクタに前記収容空間内で接続可能である第1コネクタと、
前記第1方向に延びる筒状のシール部材とを備えており、
前記シール部材は、
当該シール部材の前記第1方向の一方側の
筒状の第1部及び
当該シール部材の前記第1方向の他方側の
筒状の第2部を有し、
前記第2部は、前記第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられており且つ前記基板に当接しており、
前記第1部は、前記第1コネクタの少なくとも一部に対して前記第1方向の一方側に位置しており、
前記基板が前記ケースに組み合わせられ、前記基板が前記ケースと共に前記収容空間を区画し且つ前記第1コネクタが前記収容空間内で前記第2コネクタに接続された状態で、前記シール部材の前記第1部が前記収容空間内で前記第2コネクタの被収容部に外嵌するコネクタアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記基板と組み合わされ、前記基板と共に前記収容空間を区画したケースを更に備えており、
前記ケースは、前記第1方向において前記第2コネクタが貫通可能であるコネクタアッセンブリ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記第2部が、前記第1コネクタの少なくとも一部に一体化されているコネクタアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記シール部材は弾性体であるコネクタアッセンブリ。
【請求項7】
基板と、
前記基板と組み合わされており且つ前記基板と共に収容空間を区画するケースと、
前記基板上に実装されており且つ前記収容空間内に収容された第1コネクタと、
前記基板に対して略直交する第1方向において前記ケースを貫通しており、前記収容空
間内で前記第1コネクタに接続され且つ前記収容空間内に配置された被収容部を有する第2コネクタと、
前記第1方向に延びる筒状のシール部材であって、前記第1方向の一方側の第1部及び前記第1方向の他方側の第2部を有し、前記第1部は、前記第2コネクタの前記被収容部に外嵌するように設けられ、前記第2部は、前記第2コネクタの前記被収容部に対して前記第1方向の他方側に位置しており、前記基板に当接し且つ前記第1コネクタを覆う、前記シール部材と、
前記収容空間に充填された熱伝導樹脂とを備えており、
前記熱伝導樹脂内に、前記第1コネクタ、前記シール部材及び前記第2コネクタの前記被収容部が埋め込まれている接続モジュール。
【請求項8】
基板と、
前記基板と組み合わされており且つ前記基板と共に収容空間を区画するケースと、
前記基板上に実装されており且つ前記収容空間内に収容された第1コネクタと、
前記基板に対して略直交する第1方向において前記ケースを貫通しており、前記収容空間内で前記第1コネクタに接続され且つ前記収容空間内に配置された被収容部を有する第2コネクタと、
前記第1方向に延びる筒状のシール部材であって、前記第1方向の一方側の第1部及び前記第1方向の他方側の第2部を有し、前記第2部は、前記第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられ且つ前記基板に当接しており、前記第1部は、前記第1コネクタの少なくとも一部に対して前記第1方向の一方側に位置し且つ前記第2コネクタの前記被収容部に外嵌する、前記シール部材と、
前記収容空間に充填された熱伝導樹脂とを備えており、
前記熱伝導樹脂内に、前記第1コネクタ、前記シール部材及び前記第2コネクタの前記被収容部が埋め込まれている接続モジュール。
【請求項9】
基板とケースとを組み合わせ、前記基板及び前記ケースに収容空間を区画させると共に、前記収容空間内で前記基板上に実装された第1コネクタと前記ケースを貫通した第2コネクタとを接続させ、且つ
区画された前記収容空間内に溶融した熱伝導樹脂を射出して充填し、充填された前記熱伝導樹脂を冷却固化することを含み、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを接続させるときに、前記第2コネクタに外嵌するように設けられたシール部材を前記基板に当接させると共に、前記シール部材で前記基板上の前記第1コネクタの周りを覆うように配置させる接続モジュールの製造方法。
【請求項10】
基板とケースとを組み合わせ、前記基板及び前記ケースに収容空間を区画させると共に、前記収容空間内で前記基板上に実装された第1コネクタと前記ケースを貫通した第2コネクタとを接続させ、且つ
区画された前記収容空間内に溶融した熱伝導樹脂を射出して充填し、充填された前記熱伝導樹脂を冷却固化することを含み、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを接続させるときに、前記第1コネクタに外嵌するように設けられ且つ前記基板に当接したシール部材を前記第2コネクタに外嵌させる接続モジュールの製造方法。
【請求項11】
第1コネクタが実装された基板と組み合わされており且つ前記基板と共に収容空間を区画したケースの開口に第2コネクタを挿入し、前記収容空間内で前記第1コネクタと前記第2コネクタとを接続させ、且つ
区画された前記収容空間内に溶融した熱伝導樹脂を射出して充填し、充填された前記熱伝導樹脂を冷却固化することを含み、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを接続させるときに、前記第1コネクタに外嵌
するように設けられ且つ前記基板に当接したシール部材を前記第2コネクタに外嵌させる接続モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタアッセンブリ、接続モジュール及び接続モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタアッセンブリは、下記特許文献1に記載されているように、カメラモジュールに使用されるものがある。このコネクタアッセンブリは、基板と、ケーブル付きのプラグコネクタとを有する。プラグコネクタは、カメラモジュールの筐体内で基板上に実装され、ケーブルが筐体外に引き出されている。筐体には、通気口が設けられており、当該通気口が透湿材で塞がれている。このため、透湿材で外部の水分を遮断する一方で、基板からの熱が透湿材を通じて筐体外に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筐体内の基板の周りには、空間があり、当該空間内には空気が存在している。この基板の周りの空気が断熱効果を奏するため、基板からの熱を筐体外に放熱し難い。
【0005】
本発明は、放熱性の向上に寄与するコネクタアッセンブリ、接続モジュール及び接続モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様のコネクタアッセンブリは、ケースと、第2コネクタと、シール部材とを備えている。ケースは、第1コネクタが実装された基板と組み合わせ可能であり且つ基板と共に収容空間を区画可能である。第2コネクタは、基板に対して略直交する第1方向においてケースを貫通しており、収容空間内で第1コネクタに接続可能であり且つ収容空間内に配置可能な被収容部を有している。シール部材は、第1方向に延びる筒状であって、第1方向の一方側の第1部及び第1方向の他方側の第2部を有している。第1部は、第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられている。第2部は、第2コネクタの被収容部に対して第1方向の他方側に位置し、基板に当接可能であると共に、第1コネクタを覆うことが可能である。
【0007】
このような態様のコネクタアッセンブリによる場合、シール部材の第1部が、第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられており、シール部材の第2部が基板に当接可能であると共に、第1コネクタを覆うことが可能である。よって、ケースと基板とを組み合わせ、ケースと基板によって収容空間を区画すると共に、第1コネクタと第2コネクタとを収容空間内で接続するときに、シール部材の第2部を基板に当接させると共に、第1コネクタを覆うことができる。このようにシール部材の存在によって、収容空間内に熱伝導樹脂を充填可能となるので、本アッセンブリは放熱性の向上に寄与する。
【0008】
シール部材の第1部が、第2コネクタに一体化された構成とすることが可能である。
【0009】
本発明の第2態様のコネクタアッセンブリは、基板と、第1コネクタと、シール部材とを備えている。基板は、ケースと組み合わせ可能であって、ケースと共に収容空間を区画可能である。このケースは、基板に対して略直交する第1方向において第2コネクタが貫通している。第1コネクタは、基板上に実装されており且つ第2コネクタに収容空間内で接続可能である。シール部材は、第1方向に延びる筒状であって、第1方向の一方側の第1部及び第1方向の他方側の第2部を有している。第2部は、第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられており且つ基板に当接している。第1部は、第1コネクタの少なくとも一部に対して第1方向の一方側に位置しており、第2コネクタの収容空間内に配置される被収容部に外嵌可能である。
【0010】
このような態様のコネクタアッセンブリによる場合、シール部材の第2部が第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられており且つ基板に当接している。第1部は、第2コネクタの収容空間内に配置される被収容部に外嵌可能である。よって、ケースと基板とを組み合わせ、ケースと基板によって収容空間を区画すると共に、第1コネクタと第2コネクタとを収容空間内で接続するときに、シール部材の第1部を第2コネクタの被収容部に外嵌させることができる。このようにシール部材の存在によって、収容空間内に熱伝導樹脂を充填可能となるので、本アッセンブリは放熱性の向上に寄与する。
【0011】
第2態様のコネクタアッセンブリは、基板と組み合わされ、基板と共に収容空間を区画したケースを更に備えた構成とすることが可能である。ケースは、第1方向において第2コネクタが貫通可能である。このような態様のコネクタアッセンブリによる場合、基板と組み合わされたケースに対して第2コネクタを貫通させ、収容空間内で第2コネクタを第1コネクタに接続するときに、シール部材の第1部を第2コネクタの被収容部に外嵌させることができる。このようにシール部材の存在により、収容空間内に熱伝導樹脂を充填可能となるので、本アッセンブリは放熱性の向上に寄与する。
【0012】
シール部材の第2部が、第1コネクタの少なくとも一部に一体化された構成とすることが可能である。
【0013】
上記した何れかの態様のシール部材は弾性体とすることが可能である。この場合、シール部材を基板に弾性的に当接させたり、シール部材を第2コネクタの被収容部に弾性的に外嵌させたりすることができる。
【0014】
本発明の一態様の接続モジュールは、基板と、ケースと、第1及び第2コネクタと、シール部材と、熱伝導樹脂とを備えている。ケースは、基板と組み合わされており且つ基板と共に収容空間を区画している。第1コネクタは、基板上に実装されており且つ収容空間内に収容されている。第2コネクタは、基板に対して略直交する第1方向においてケースを貫通しており、且つ収容空間内で第1コネクタに接続されている。第2コネクタは、収容空間内に配置された被収容部を有している。シール部材は、第1方向に延びる筒状であって、第1方向の一方側の第1部及び第1方向の他方側の第2部を有している。第1部は、第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられている。第2部は、第2コネクタの被収容部に対して第1方向の他方側に位置しており、基板に当接し且つ第1コネクタを覆っている。熱伝導樹脂は、収容空間に充填されている。この熱伝導樹脂内に第1コネクタ、シール部材及び第2コネクタの被収容部が埋め込まれている。
【0015】
このような態様の接続モジュールは、放熱性の向上に寄与する。その理由は以下の通りである。シール部材の第1部が、第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられており、シール部材の第2部が基板に当接し且つ第1コネクタを覆っているので、ケースと基板によって区画された収容空間内に熱伝導樹脂を充填することができる。よって、基板及び第1、第2コネクタからの熱が熱伝導樹脂を通じてケース外に放熱可能となる。
【0016】
シール部材は、第1部が第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられ、第2部が基板に当接し且つ第1コネクタを覆う構成に代えて、第2部が第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられると共に、基板に当接し、且つ第1部が第2コネクタの被収容部に外嵌する構成とすることが可能である。この場合、第1部は、第1コネクタの少なくとも一部に対して第1方向の一方側に位置していると良い。
【0017】
このような態様の接続モジュールも放熱性の向上に寄与する。その理由は以下の通りである。シール部材の第2部が第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられ且つ基板に当接しており、シール部材の第1部が第2コネクタの被収容部に外嵌しているので、ケースと基板によって区画された収容空間内に熱伝導樹脂を充填することができる。よって、基板及び第1、第2コネクタからの熱が熱伝導樹脂を通じてケース外に放熱可能となる。
【0018】
本発明の第1態様の接続モジュールの製造方法は、基板とケースとを組み合わせ、基板及びケースに収容空間を区画させると共に、収容空間内で基板上に実装された第1コネクタとケースを貫通した第2コネクタとを接続させ、且つ区画された収容空間内に溶融した熱伝導樹脂を射出して充填し、充填された熱伝導樹脂を冷却固化することを含む。第1コネクタと第2コネクタとを接続させるときに、第2コネクタに外嵌するように設けられたシール部材を基板に当接させると共に、シール部材で基板上の第1コネクタの周りを覆うように配置させるようにする。
【0019】
このような態様の製造方法による場合、第2コネクタに外嵌したシール部材を基板に当接させると共に当該シール部材によって第1コネクタを覆うように配置するため、ケースと基板によって区画された収容空間内に熱伝導樹脂を充填することができる。充填された熱伝導樹脂を通じて基板及び第1、第2コネクタからの熱をケース外に放熱可能となるので、本製造方法は、放熱性の向上に寄与する。
【0020】
シール部材が、第2コネクタに外嵌するように設けられているのではなく、第1コネクタに外嵌するように設けられ且つ基板に当接している場合、上記製造方法は、第1コネクタと第2コネクタとを接続させるときに、シール部材を第2コネクタに外嵌させるようにしても良い。このような態様の製造方法による場合、第1態様の製造方法と同様の効果を得る。
【0021】
本発明の第2態様の接続モジュールの製造方法は、第1コネクタが実装された基板と組み合わされており且つ基板と共に収容空間を区画したケースの開口に第2コネクタを挿入し、収容空間内で第1コネクタと第2コネクタとを接続させ、且つ区画された収容空間内に溶融した熱伝導樹脂を射出して充填し、充填された熱伝導樹脂を冷却固化することを含む。第1コネクタと第2コネクタとを接続させるときに、第1コネクタに外嵌するように設けられ且つ基板に当接したシール部材を第2コネクタに外嵌させるようにする。
【0022】
このような態様の製造方法による場合、第1コネクタに外嵌するように設けられ且つ基板に当接したシール部材を第2コネクタに外嵌させるため、ケースと基板によって区画された収容空間内に熱伝導樹脂を充填することができる。充填された熱伝導樹脂を通じて基板及び第1、第2コネクタからの熱をケース外に放熱可能となるので、本製造方法は、放熱性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1に係る接続モジュールの正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
【
図2A】前記接続モジュールの
図1中の2A-2A断面図である。
【
図2B】前記接続モジュールの
図1中の2B-2B断面図である。
【
図2C】前記接続モジュールの
図2A中の2C-2C断面図である。
【
図3A】前記接続モジュールの
図1中の2A-2A分解断面図であって、熱伝導樹脂を充填する前の状態を示す図である。
【
図3B】前記接続モジュールの
図1中の2B-2B分解断面図であって、熱伝導樹脂を充填する前の状態を示す図である。
【
図4A】前記接続モジュールの背面、平面及び左側面から表した
分解斜視図である。
【
図4B】前記接続モジュールの正面、底面及び右側面から表した
分解斜視図である。
【
図5A】本発明の実施例2に係る接続モジュールの
図2Aに対応する断面図である。
【
図5B】前記接続モジュールの
図2Bに対応する断面図である。
【
図6A】前記接続モジュールの
図3Aに対応する分解断面図であって、熱伝導樹脂を充填する前の状態を示す図である。
【
図6B】前記接続モジュールの
図3Bに対応する分解断面図であって、熱伝導樹脂を充填する前の状態を示す図である。
【
図7】前記実施例1又は前記実施例2の接続モジュールの設計変更例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の複数の実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の実施例1を含む複数の実施例に係る接続モジュールM1(以下、単にモジュールM1とも称する。)について
図1~
図4Bを参照しつつ説明する。
図1~
図4Bには、実施例1に係るモジュールM1が示されている。
【0026】
モジュールM1は、第1コネクタアッセンブリA1(以下、単にアッセンブリA1とも称する。)と、第2コネクタアッセンブリA2(以下、単にアッセンブリA2とも称する。)とを備えている。なお、アッセンブリA2が、特許請求の範囲の請求項1及びその従属項のコネクタアッセンブリに相当する。
図2A~
図3Bに示すZ-Z’方向が特許請求の範囲の第1方向に相当する。
【0027】
アッセンブリA1は、基板100と、第1コネクタ200とを有する。なお、Z-Z’方向は基板100に対して略直交している。Z-Z’方向は、反基板側である第1方向の一方に相当するZ方向と、基板側である第1方向の他方に相当するZ’方向とを含む。
【0028】
基板100は、Z方向の第1面101と、Z’方向の第2面102とを有している。基板100は、少なくとも一つの第1電極110を更に有している。少なくとも一つの第1電極110は、第1面101上に設けられた表面電極(
図4A参照)であっても良いし、基板100に設けられた貫通ビア電極であっても良い。
【0029】
第1コネクタ200は、基板100の第1面101上に実装された雄コネクタである。第1コネクタ200は、少なくとも一つの端子210及びボディ220を有する。ボディ220は、絶縁樹脂で構成されており且つ少なくとも一つ
の端子210を保持する構成であれば良い。例えば、ボディ220は、その内部に少なくとも一つ
の端子210の少なくとも一部を保持する孔又は溝である少なくとも一つの収容部223が設けられた構成とすることが可能である。
図2A~
図4Bでは、少なくとも一つの収容部223は、Z方向に開口すると共に、Z’方向に開口した孔である。別の態様では、ボディ220内に少なくとも
一つ
の端子210がインサート成形等によって埋め込まれた構成とすることも可能である。ボディ220は、Z’方向側の基部221と、この基部221からZ方向に延びた先端部222とを有する。
【0030】
少なくとも一つの端子210は、接触部211及びテール部212を有する。少なくとも一つの端子210の接触部211は、
図2A~
図3Bに示されるようにボディ220の少なくとも一つの収容部223内に収容された構成とすることが可能である。
図2A~
図4Bでは、接触部211は、二股状であるが、棒状、筒状又はZ-Z’方向に直行する方向の断面略U字状などとすることが可能である。別
の態様では、少なくとも一つの端子210の接触部211は、ボディ220の先端部222から露出又は突出する構成とすることも可能である。この場合、接触部211は、平板状や棒状とすると良い。少なくとも一つの端子210のテール部212は、基板100の少なくとも一つの第1電極110にはんだや導電接着剤などによって電気的且つ機械的に接続されている。
なお、少なくとも一つの端子210は複数とすることが可能である。この場合、少なくとも一つの第1電極110も端子210の数に応じて複数とすると良い。ボディ220が少なくとも一つの収容部223を有する場合には、少なくとも一つの収容部223も端子210の数に応じて複数とすると良い。
【0031】
第1コネクタ200は、導電性を有する素材で構成されたシェル230を更に有する構成とすることが可能である。この場合、基板100は、少なくとも一つの第2電極120を更に有している。少なくとも一つの第2電極120も、第1面101上に設けられた表面電極であっても良いし、基板100に設けられた貫通ビア電極であっても良い。シェル230が、少なくとも一つの第2電極120にはんだや導電接着剤などによって電気的且つ機械的に接続されている。なお、
図4Aに示す第2電極120は二つであって、表面電極である。
【0032】
シェル230は筒部231を有している。筒部231の内形がボディ220の外形に対応しており、且つ筒部231の内形寸法はボディ220の外形寸法と略同じ又は若干小さい。筒部231内にボディ220が嵌合(FIT IN)している。筒部231のZ-Z’方向の寸法は、ボディ220のZ-Z’方向の寸法よりも小さくても良いし、
図2A~
図3Bに示すようにボディ220のZ-Z’方向の寸法とほぼ同じであっても良い。前者の場合、筒部231内には、ボディ220の基部221が嵌合(FIT IN)している。なお、シェル230は省略可能である。
【0033】
アッセンブリA2は、ケース300と、第2コネクタ400とを備えている。ケース300は、Z’方向に開放された箱形であって、
図1A~
図4に示されるように金属板で構成されていても良いし、樹脂等で構成されていても良い。ケース300は、Z-Z’方向において基板100と組み合わせ可能である。より具体的には、ケース300の開放部が、基板100によって閉塞されるように、ケース300は、基板100と組み合わせ可能である。ケース300及び基板100を組み合わせることによって、収容空間Rが区画される。ケース300は、Z-Z’方向において基板100に対向する天板310と、天板310から延び、基板100に当接した筒状の側板320とを有する。天板310には、第2コネクタ400がZ-Z’方向において貫通している。
【0034】
ケース300と第2コネクタ400とは、別体であっても良い。この場合、天板310には、当該天板310をZ-Z’方向に貫通する開口311が設けられている。この開口311内に第2コネクタ400が挿通され、天板310の開口311の縁部312が第2コネクタ400の後述する壁部431のZ方向側の部分に取り付けられている。
【0035】
又は、ケース300と第2コネクタ400とは、一体的に構成されていても良い。この場合、第2コネクタ400が天板310をZ-Z’方向において貫通するように、ケース300が第2コネクタ400の後述する壁部431のZ方向側の部分にインサート成形や二色成形等によって一体的に成形されている。この場合、ケース300は成形樹脂で構成される。
【0036】
第2コネクタ400は、Z-Z’方向においてケース300の天板310を貫通しており、収容空間R内で第1コネクタ200に接続可能な雌コネクタである。
【0037】
第2コネクタ400は、少なくとも一つの端子410、ボディ420及び導電性を有する素材で構成されたシェル430を有している。ボディ420は、絶縁樹脂で構成されており且つ少なくとも一つ
の端子410を保持するものであれば良い。例えば、ボディ420の内部には、少なくとも一つ
の端子410を保持する孔又は溝である少なくとも一つの収容部421が設けられた構成とすることが可能である。
図2A~
図4Bでは、少なくとも一つの収容部421は、ボディ220をZ-Z’方向に貫通した貫通孔である。
別の態様では、ボディ420内に少なくとも一つ
の端子410がインサート成形等によって埋め込まれた構成とすることも可能である。
【0038】
シェル430は、その内部にボディ420を収容し且つ保持する略筒体である。シェル430のZ-Z’方向の寸法は、ボディ420のZ-Z’方向の寸法よりも大きい。シェル430は、壁部431を有している。壁部431は、シェル430のボディ420よりもZ’方向の筒状の壁であって、Z’方向に開口している。壁部431は、ケース300の天板310よりもZ’方向側に位置し且つ収容空間R内に配置されている。壁部431の内部空間が、第1コネクタ200がZ-Z’方向において挿入又は嵌合(FIT IN)可能な第2コネクタ400の接続孔440となっている。以下、説明の便宜上、第1コネクタ200が第2コネクタ400の接続孔440内に挿入又は嵌合(FIT IN)した状態を接続状態と称する。
【0039】
シェル430は壁部432を更に有している。この壁部432は、シェル430のボディ420よりもZ方向の筒状の壁であって、Z方向に開口している。この壁部432の内部空間が、図示しないケーブルの端部が挿入された挿入孔450となっている。
【0040】
少なくとも一つの端子410は、接触部411と、テール部412とを有している。少なくとも一つの端子410の接触部411は、ボディ420からZ’方向に突出し、接続孔440内に配置されている。この場合、上記接続状態で、少なくとも一つの端子410の接触部411が、第1コネクタ200の収容部223内の少なくとも一つの端子210の接触部211に接触する。別の態様では、少なくとも一つの端子410の接触部411がボディ420から露出又は突出し、接続孔440内に配置されている。この場合、少なくとも一つの端子410の接触部411が、第1コネクタ200のボディ220の先端部222から露出又は突出した少なくとも一つの端子210の接触部211に接触する。
【0041】
少なくとも一つの端子410のテール部412は、ボディ420からZ方向に突出し、挿入孔450内に配置されている。少なくとも一つの端子410のテール部412が、ケーブルの少なくとも一つの芯線に接続されている。
【0042】
第2コネクタ400は、内部シール部材460を更に有する構成とすることが可能である。この場合、シェル430内における挿入孔450のZ’方向側の部分には収容室433が設けられていても良い。内部シール部材460は、シリコンゴムなどの弾性体である。内部シール部材460の外形寸法が収容室433の寸法よりも若干大きい。そのため、内部シール部材460が収容室433内に収容され、内部シール部材460の外周面が収容室433の壁面に密着している。内部シール部材460には、当該内部シール部材460をZ-Z’方向に貫通する少なくとも一つの貫通孔461が設けられている。少なくとも一つの貫通孔461の内形寸法は、少なくとも一つの端子410のテール部412よりZ’方向側の部分(以下、密着部とも称する。)の外形寸法より若干小さい。このため、内部シール部材460の内周面が少なくとも一つの端子410の密着部に密着している。
【0043】
なお、少なくとも一つの端子210が複数である場合、少なくとも一つの端子410及びケーブルの少なくとも一つの芯線は、端子210の数に応じて複数とする良い。ボディ420が少なくとも一つの収容部421を有する場合には、少なくとも一つの収容部421は端子410の数に応じて複数とすると良い。第2コネクタ400が内部シール部材460を有する場合には、内部シール部材460の少なくとも一つの貫通孔461は、端子410の数に応じて複数とすると良い。内部シール部材460及び収容室433は省略可能である。
【0044】
シェル430は省略可能である。この場合、ボディ220のZ’方向側の端部に接続孔440が設けられ、接続孔440の周りの筒状の壁を上記壁部431とし、且つボディ220のZ方向側の端部に挿入孔450が設けられ、挿入孔450の周りの筒状の壁を壁部432とすると良い。シェル430は省略される場合において、第2コネクタ400が内部シール部材460を有する場合、ボディ220の挿入孔450のZ’方向側の部分に収容室433が設けられていると良い。
【0045】
アッセンブリA2は、Z-Z’方向に延びた筒状のシール部材500を更に備えている。シール部材500のZ-Z’方向の寸法は、基板100の第1面101から天板310までのZ-Z’方向の寸法よりも小さい又は略同じであり、且つ基板100の第1面101から第2コネクタ400の壁部431のZ’方向の先端までのZ-Z’方向の寸法よりも大きい。シール部材500は、第1部510及び第2部520を有している。第1部510は、シール部材500のZ方向側の筒状の端部であり、第2部520は、シール部材500のZ’方向側の筒状の端部である。
【0046】
シール部材500は、第2コネクタ400と別体とすることが可能である。この場合、シール部材500は、シリコンゴムやエラストマーなどの弾性体又は樹脂などで構成されている。このシール部材500の第1部510の内形が第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部(例えば、Z’方向側の端部)の外形に対応しており且つ第1部510の内形寸法が壁部431の少なくとも一部(例えば、Z’方向側の端部)の外形寸法と略同じ又は若干小さい。第1部510は、壁部431の少なくとも一部に外嵌し、第1部510の内周面が、壁部431の少なくとも一部の外周面に密着している。当然、第1部510の内周面が、壁部431の外周面全体に密着するように、第1部510は、壁部431に外嵌していても良い。
シール部材500の第2部520は、壁部431の少なくとも一部に対してZ’方向側に位置している。第2部520の内形寸法は、第1コネクタ200の外形寸法よりも大きい。第2部520は、収容空間R内で基板100の第1面101に当接可能であると共に、第1コネクタ200の周りを覆うことが可能である。
第1コネクタ200がシェル230を有しない場合には、第2部520内には、第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210のテール部212と基板100の少なくとも一つの第1電極110との接続部分が配置されている。第1コネクタ200がシェル230を有する場合には、第2部520内には、前記接続部分に加えて、第1コネクタ200のシェル230及び基板100の少なくとも一つの第2電極120との接続部分も配置されている。
このようにシール部材500は、壁部431の少なくとも一部に外嵌し且つ基板100に当接することによって、ケース300の天板310と基板100との間(すなわち、収容空間R内)に配置される。
なお、シール部材500が弾性体である場合、シール部材500の第2部520のZ-Z’方向の寸法が、基板100の第1面101から第2コネクタ400の壁部431のZ’方向の先端までのZ-Z’方向の寸法よりも若干大きくすると良い。この場合、シール部材500の第2部520は、基板100の第1面101に弾性的に当接可能となる。
【0047】
別の態様では、シール部材500は、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部(例えば、Z’方向側の端部)に一体的に設けられていても良い。より具体的には、シール部材500は、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部の外周面にインサート成形や二色成形等によって一体的に成形されている。このため、第1部510は、壁部431の少なくとも一部に外嵌するように、壁部431の少なくとも一部に一体的に設けられ、第1部510が第2コネクタ400の壁部431の外周面に沿って延びている。第2部520は上記と同様の構成である。この場合、シール部材500は壁部431の外周面に一体的に成形された成形樹脂で構成されており、収容空間R内に配置されている。なお、第1部510は、壁部431全体に一体的に固定されていても良い。
【0048】
第1部510が外嵌する壁部431の少なくとも一部が特許請求の範囲の第2コネクタの被収容部に相当する。本発明における「第1部が、第2コネクタの被収容部に外嵌するように設けられ」とは、別体のシール部材の第1部が、第2コネクタの被収容部に外嵌するものだけでなく、シール部材の第1部が第2コネクタの被収容部に外嵌するように一体的に設けられているものも含むものとする。
【0049】
モジュールM1は、熱伝導樹脂600を更に備えている。熱伝導樹脂600の熱伝導率は、少なくとも空気の熱伝導率(0.0241W/m・K)よりも高ければ良い。熱伝導樹脂600が収容空間R内に充填可能である。
【0050】
以下、上記したモジュールM1のアッセンブリA1の製造方法について説明する。基板100及び第1コネクタ200を用意する。第1コネクタ200がシェル230を有している場合、基板100の第1面101の少なくとも一つの第1電極110に第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210をはんだや導電接着剤で接続し、且つ基板100の第1面101の少なくとも一つ第2電極120に第1コネクタ200のシェル230をはんだや導電接着剤で接続する。第1コネクタ200がシェル230を有していない場合、基板100の第1面101の少なくとも一つの第1電極110に第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210をはんだや導電接着剤で接続する。このようにして第1コネクタ200が基板100の第1面101上に実装され、アッセンブリA1が製造される。
【0051】
以下、上記したモジュールM1のアッセンブリA2の製造方法について説明する。ここで、製造されるアッセンブリA2は、第2コネクタ400とケース300が別体であり、第2コネクタ400とシール部材500が別体であるとする。第2コネクタ400及びケース300を用意する。第2コネクタ400をケース300の天板310の開口311内に挿通させ、第2コネクタ400の壁部431のZ方向側の部分を開口311の縁部312に取り付ける。このようにして第2コネクタ400がケース300の天板310をZ-Z’方向に貫通する。その後、シール部材500を用意する。シール部材500の第1部510内に第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部を押し込む。これにより、シール部材500の第1部510が壁部431の少なくとも一部に外嵌し、ケース300の天板310に対してZ’方向側に配置される。このようにしてアッセンブリA2が製造される。
【0052】
以下、上記したモジュールM1のアッセンブリA2の別の製造方法について説明する。ここで、製造されるアッセンブリA2は、第2コネクタ400とケース300が一体化され、第2コネクタ400とシール部材500が一体化されるものであるとする。第2コネクタ400を図示しない金型にセットする。これにより、第2コネクタ400の壁部431よりZ方向側の部分が金型のキャビディ内に露出する。このキャビディの形はケース300の形に対応している。その後、金型のキャビディ内に溶融させた樹脂を射出し、冷却固化させる。これにより、第2コネクタ400の壁部431よりZ方向側の部分にケース300の天板310が一体的に成形され、当該第2コネクタ400がケース300の天板310をZ-Z’方向に貫通する。
第2コネクタ400を図示しない別の金型にセットする。これにより、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部の外周面が別の金型のキャビディ内に露出する。このキャビディの形はシール部材500の形に対応している。その後、別の金型のキャビディ内に溶融させた樹脂を射出し、冷却固化させる。これにより、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部にシール部材500が一体的に成形され、固定される。このようにしてもアッセンブリA2を製造できる。
なお、第2コネクタ400にケース300を一体的に成形する一方で、別体のシール部材500を第2コネクタ400の壁部431に外嵌させることが可能である。第2コネクタ400を別体のケース300の開口311に挿通させて当該ケース300に取り付ける一方で、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部にシール部材500を一体的に成形することも可能である。
【0053】
以下、アッセンブリA1とアッセンブリA2とを用いてモジュールM1を製造する方法について説明する。アッセンブリA1とアッセンブリA2とをZ-Z’方向において相対的に接近させる。この接近により、以下の(1)~(2)の通りとなる。
【0054】
(1)アッセンブリA1の基板100がアッセンブリA2のケース300の開放部を閉塞するように、基板100とケース300とが組み合わされ、基板100とケース300が収容空間Rを区画する。
(2)アッセンブリA1の第1コネクタ200がアッセンブリA2のシール部材500内に挿入され、第1コネクタ200が第2コネクタ400の接続孔440内に挿入又は嵌合(FIT IN)される。シール部材500の第2部520が基板100の第1面101に当接し、第1コネクタ200の周りを覆う。このとき、第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210の接触部211が、第2コネクタ400の少なくとも一つの端子410の接触部411に接触し、第1、第2コネクタ200、400が接続される。なお、シール部材500が弾性体である場合には、シール部材500の第2部520が基板100の第1面101に弾性的に当接し、密着する。
【0055】
その後、溶融させた熱伝導樹脂を収容空間R内に射出し、充填する。射出された熱伝導樹脂が冷却固化され、熱伝導樹脂600となる。
シール部材500の第1部510が壁部431の一部に外嵌している場合、熱伝導樹脂600が、基板100、ケース300の天板310、ケース300の側板320、シール部材500及び第2コネクタ400の壁部431の露出部に密着している。このため、熱伝導樹脂600と、基板100、ケース300の天板310、ケース300の側板320、シール部材500及び第2コネクタ400の壁部431の露出部との間に隙間が生じていない。なお、壁部431の露出部は、壁部431のうち、収容空間R内に位置し且つシール部材500から露出した部分である。
シール部材500の第1部510が壁部431の外周面全体に外嵌している場合、熱伝導樹脂600が、基板100、ケース300の天板310、ケース300の側板320及びシール部材500に密着している。このため、熱伝導樹脂600と、基板100、ケース300の天板310、ケース300の側板320及びシール部材500との間に隙間が生じていない。
但し、本発明は、前記隙間が生じていないものに限定されるものではない。
以上の通り、熱伝導樹脂600内に、第1コネクタ200、シール部材500及び第2コネクタ400の壁部431が埋め込まれる。このようにしてモジュールM1が得られる。
【0056】
なお、モジュールM1は、カメラモジュール等の電子機器の筐体内で製造可能である。この場合、アッセンブリA1とアッセンブリA2とを接近させる前に、アッセンブリA1の基板100をZ-Z’方向において電子機器の筐体内のある部品上にセットする。これにより、以下の少なくとも一つの理由で基板100が傾くことがある。
(a)アッセンブリA1の基板100が、電子機器の筐体内のある部品上にセットされると、基板100がセットされた前記部品の寸法公差及び/又は当該部品が直接的又は間接的にセットされる電子機器の別の一又は複数の部品の寸法公差が原因で、基板100が傾く。
(b)電子機器がフローティング機構を備える場合、アッセンブリA1の基板100が、Z-Z’方向において電子機器の筐体内のフローティング機構に直接的又は間接的にセットされることによって、基板100が傾く。なお、(a)及び(b)が原因で基板100が傾く場合、フローティング機構は、前記部品又は前記別の部品に相当する。
その後、アッセンブリA2は、電子機器の筐体内で上記の通りアッセンブリA1に接近させ、上記(1)~(2)の通りとする。シール部材500が弾性体である場合、(2)のときに、シール部材500の第2部520が基板100の第1面101に弾性的に当接する(押し当てられる)。
その後、上記の通り、収容空間R内に熱伝導樹脂600を射出成形する。
なお、基板100の傾きは、電子機器の筐体内でモジュールM1を製造するときにのみ生じるのではなく、電子機器外の基板100が載置される部分の傾き等によっても生じ得る。
【0057】
以上のようなモジュールM1は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。
モジュールM1は、放熱性の向上に寄与する。その理由は以下の通りである。収容空間R内で、シール部材500の第1部510が、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部に外嵌され、シール部材500の第2部520が基板100に当接し且つ第1コネクタ200を覆っている。このため、収容空間R内に射出された熱伝導樹脂がシール部材500内(すなわち、第1、第2コネクタ200、400の内部)に入り込むことを防ぐことができるので、収容空間R内に熱伝導樹脂600を充填することができる。よって、基板100及び第1、第2コネクタ200、400からの熱が熱伝導樹脂600を通じてケース300外に放熱可能となる。
【0058】
モジュールM1のシール部材500が弾性体である場合、第1コネクタ200と第2コネクタ400の接続時において、シール部材500の第2部520が基板100の第1面101に弾性的に当接する(押し当てられる)ので、シール部材500と基板100の第1面101との間に隙間が生じ難くなり、その結果として、熱伝導樹脂を収容空間R内に充填するときに、熱伝導樹脂がシール部材500内により入り込み難くなる。
特に、上記の何れかの通り、基板100が傾いていた場合、シール部材500の弾性的な当接によって、基板100の傾きを吸収することができるので、シール部材500と基板100の第1面101との間に隙間が生じ難くすることができる。
【実施例2】
【0059】
以下、本発明の実施例2を含む複数の実施例に係る接続モジュールM2(以下、単にモジュールM2とも称する。)について
図5A~
図6Bを参照しつつ説明する。
図5A~
図6Bには、実施例2に係るモジュールM2が示されている。
【0060】
モジュールM2は、以下の点で相違する以外、モジュールM1と略同じ構成であるので、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明は省略する。
相違点1:シール部材500’が、アッセンブリA2’の第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部に外嵌するように設けられているのではなく、アッセンブリA1’の第1コネクタ200のZ’方向側の部分に外嵌するように設けられている。
相違点2:アッセンブリA1が、ケース300を備えている。
したがって、モジュールM2では、アッセンブリA2’は、ケース300及びシール部材500を備えていない。
なお、アッセンブリA1’が、特許請求の範囲の請求項4及びその従属項のコネクタアッセンブリに相当する。
図5A~
図6Bにも、
図2A~
図3Bと同様に、Z-Z’方向が示されている。
【0061】
ケース300は、当該ケース300の開放部が基板100によって閉塞されるように、基板100と組み合わせられている。
【0062】
シール部材500’は、第1部510’及び第2部520’を有している。第1部510’は、シール部材500’のZ方向側の筒状の端部であり、第2部520’は、シール部材500’のZ’方向側の筒状の端部である。
【0063】
シール部材500’が、第1コネクタ200と別体とすることが可能である。この場合、第2部520’の内形が第1コネクタ200の少なくとも一部の外形に対応しており且つ第2部520’の内形寸法が第1コネクタ200の少なくとも一部の外形寸法と略同じ又は若干小さい。このシール部材500’の第2部520’は、第1コネクタ200の少なくとも一部に外嵌し、第2部520’の内周面が第1コネクタ200の少なくとも一部の外周面に密着すると共に、第2部520’が基板100の第1面101に当接している。このようにして第2部520’が第1コネクタ200を覆っている。
第1コネクタ200がシェル230を有しない場合には、第2部520’内には、第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210のテール部212と基板100の少なくとも一つの第1電極110との接続部分が配置されている。第1コネクタ200がシェル230を有する場合には、第2部520’内には、前記接続部分に加えて、第1コネクタ200のシェル230及び基板100の少なくとも一つの第2電極120との接続部分も配置されている。
なお、第1コネクタ200の少なくとも一部は、第1コネクタ200がシェル230を有する場合、シェル230のZ’方向側の部分(例えば、筒部231)とすることが可能であり、第1コネクタ200がシェル230を有しない場合、第1コネクタ200のボディ220のZ’方向側の部分(例えば、基部221)とすることが可能である。
【0064】
別体であるシール部材500’の第1部510’の内形は、第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部(例えば、Z’方向側の部分)の外形に対応している。この第1部510’の内形寸法は、壁部431の少なくとも一部の外形寸法と略同じ又は若干小さく且つ第2部520’の内形寸法よりも大きい。この第1部510’は、壁部431の少なくとも一部に外嵌可能である。
なお、シール部材500’が弾性体である場合、シール部材500’の第1部510’の内形寸法を壁部431の少なくとも一部の外形寸法よりも若干小さくしても良い。この場合、第1部510’が壁部431の少なくとも一部に外嵌した状態の密着度が向上する。
【0065】
別の態様では、シール部材500’は、第1コネクタ200の上記少なくとも一部に一体的に設けられていても良い。より具体的には、シール部材500’は、第1コネクタ200の少なくとも一部の外周面にインサート成形や二色成形等によって一体的に成形されている。このため、第2部520’は、第1コネクタ200の少なくとも一部に外嵌するように、第1コネクタ200の少なくとも一部に一体的に設けられている。この第2部520’が第1コネクタ200の少なくとも一部の外周面に沿って延びている。第1部510’は上記と同様の構成である。この場合、シール部材500’は、第1コネクタ200の少なくとも一部の外周面に一体的に成形された成形樹脂で構成されている。
【0066】
本発明における「第2部は、第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように設けられ」とは、別体のシール部材の第2部が、第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するものだけでなく、シール部材の第2部が第1コネクタの少なくとも一部に外嵌するように一体的に設けられているものも含むものとする。
【0067】
以下、アッセンブリA1’の製造方法について説明する。アッセンブリA1’の製造方法と同様に、第1コネクタ200を基板100の第1面101上に実装する。その後に、第1コネクタ200と別体のシール部材500’を用意する。シール部材500’の第2部520’内に第1コネクタ200の少なくとも一部を押し込む。これにより、シール部材500’の第2部520’が第1コネクタ200の少なくとも一つ一部に外嵌し、第2部520’の内周面が第1コネクタ200の少なくとも一部の外周面に密着すると共に、第2部520’が基板100の第1面101に当接する。なお、シール部材500’は、実装前の第1コネクタ200の少なくとも一部に外嵌させても良い。この場合、第1コネクタ200を基板100の第1面101上に実装すると、第2部520’が基板100の第1面101に当接する。
なお、シール部材500’が弾性体である場合、シール部材500’の第2部520’は、基板100の第1面101に弾性的に当接し、密着する。
又は、第1コネクタ200を図示しない金型にセットする。これにより、第1コネクタ200の少なくとも一部が金型のキャビディ内に露出する。このキャビディの形はシール部材500’の形に対応している。その後、金型のキャビディ内に溶融させた樹脂を射出し、冷却固化させる。これにより、第1コネクタ200の一部にシール部材500’が一体的に成形され、固定される。
【0068】
その後、ケース300を用意する。その後、基板100がケース300の開放部を閉塞するように、基板100とケース300とを組み合わせる。これにより、基板100とケース300が収容空間Rを区画する。以上の通り、アッセンブリA1’が製造される。
【0069】
アッセンブリA2’は、アッセンブリA2の製造方法、別の製造方法において、シール部材500及びケース300の外嵌工程又は一体成形の工程を省略した方法で、製造される。
【0070】
以下、アッセンブリA1’とアッセンブリA2’とを用いてモジュールM2を製造する方法について説明する。アッセンブリA1’とアッセンブリA2’とをZ-Z’方向において相対的に接近させる。
【0071】
この接近により、アッセンブリA2’の第2コネクタ400の壁部431が、ケース300の開口311内に挿入され、壁部431の少なくとも一部がアッセンブリA1’のシール部材500’内に押し込まれ、シール部材500’の第1部510’が壁部431の少なくとも一部に外嵌し、壁部431の少なくとも一部の外周面に密着する。これと共に、アッセンブリA1’の第1コネクタ200が第2コネクタ400の接続孔440内に挿入又は嵌合(FIT IN)する。このとき、第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210の接触部211が、第2コネクタ400の少なくとも一つの端子410の接触部411に接触し、第1、第2コネクタ200、400が接続される。なお、シール部材500’が弾性体である場合には、シール部材500’の第1部510’が壁部431の少なくとも一部の外周面に対する密着度が向上する。
【0072】
なお、モジュールM2も、カメラモジュール等の電子機器の筐体内で製造可能である。シール部材500’が弾性体である場合、シール部材500’の第1部510’が壁部431の少なくとも一部に外嵌するときに、シール部材500’の第2部520’が基板100の第1面101に弾性的に当接する(押し当てられる)。
【0073】
その後、溶融させた熱伝導樹脂を収容空間R内に射出し、充填する。射出された熱伝導樹脂が冷却固化され、熱伝導樹脂600となる。これにより、熱伝導樹脂600内に、第1コネクタ200、シール部材500’及び第2コネクタ400の壁部431が埋め込まれる。このようにしてモジュールM2が得られる。
【0074】
以上のようなモジュールM2は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。
モジュールM2は、放熱性の向上に寄与する。その理由は以下の通りである。収容空間R内で、シール部材500’の第2部520’が、第1コネクタ200の一部に外嵌し、基板100に当接しており、シール部材500’の第1部510’が第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部に外嵌している。このため、収容空間R内に射出された熱伝導樹脂がシール部材500内(すなわち、第1、第2コネクタ200、400の内部)に入り込むことを防ぐことができるので、収容空間R内に熱伝導樹脂600を充填することができる。このため、基板100及び第1、第2コネクタ200、400からの熱が熱伝導樹脂600を通じてケース300外に放熱可能となる。
【0075】
モジュールM2のシール部材500’が弾性体である場合、シール部材500’の第2部520’を基板100の第1面101に弾性的に当接させる(押し当てる)ことによって、シール部材500’と基板100の第1面101との間に隙間が生じ難くなり、その結果として、熱伝導樹脂を収容空間R内に充填するときに、熱伝導樹脂がシール部材500内により入り込み難くなる。
特に、上記の何れかの通り、基板100が傾いていた場合、シール部材500’の弾性的な当接によって、基板100の傾きを吸収することができるので、シール部材500’と基板100の第1面101との間に隙間が生じ難くすることができる。
【0076】
なお、上記したコネクタアッセンブリ、接続モジュール及びその製造方法は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0077】
アッセンブリA1’は、ケース300を省略することが可能である。この場合、アッセンブリA2’が、アッセンブリA2の何れかの態様と同様に、ケース300を備えていると良い。なお、ケース300が省略されたアッセンブリA1’が、特許請求の範囲の請求項3及びその従属項のコネクタアッセンブリに相当する。このように設計変更されたアッセンブリA1’及びアッセンブリA2’を備えた接続モジュールは以下の通り製造される。アッセンブリA1’及びアッセンブリA2’を互いにZ-Z’方向に接近させることにより、アッセンブリA1’の基板100がアッセンブリA2’のケース300の開放部を閉塞するように、基板100とケース300とが組み合わされ、基板100とケース300が収容空間Rを区画する。これと共に、アッセンブリA2’の第2コネクタ400の壁部431の少なくとも一部が、アッセンブリA1’のシール部材500’内に押し込まれ、シール部材500’の第1部510’が壁部431の少なくとも一部に外嵌し、壁部431の少なくとも一部の外周面に密着する。これと共に、アッセンブリA1’の第1コネクタ200が第2コネクタ400の接続孔440内に挿入又は嵌合(FIT IN)する。このとき、第1コネクタ200の少なくとも一つの端子210の接触部211が、第2コネクタ400の少なくとも一つの端子410の接触部411に接触し、第1、第2コネクタ200、400が接続される。
【0078】
上記実施例及び設計変更例では、第1コネクタが雄コネクタであり、第2コネクタが雌コネクタであるとしたが、これに限定されるものではない。本発明においては、第1コネクタが雌コネクタであり、第2コネクタが雄コネクタであるとすることが可能である。例えば、
図7に示す接続モジュールM3のように、アッセンブリA1’’の第1コネクタ200’が接続孔201’を有し、アッセンブリA2’’の第2コネクタ400’の先端部401’が接続孔201’に挿入又は嵌合する場合、シール部材500’’は、以下の(ア)又は(イ)の構成とすることが可能である。
(ア)シール部材500’’の第1部510’’は、第2コネクタ400’の先端部401’のZ方向側の部分402’(被収容部に相当)に外嵌又は外嵌するように一体的に成形されている。この場合、シール部材500’’の第2部520’’は、第2コネクタ400’の部分402’に対してZ’方向側に位置し、収容空間R内で基板100の第1面101に当接し且つ第1コネクタ200’の周りを覆っている。
(イ)シール部材500’’の第2部520’’は、第1コネクタ200’の少なくとも一部に外嵌又は外嵌するように一体的に成形されている。この場合、シール部材500’’の第1部510’’は、第1コネクタ200’の少なくとも一部に対してZ方向側に位置し、且つ第2コネクタ400’の先端部401’の部分402’(被収容部に相当)に外嵌している。
(ア)及び(イ)の何れの場合も、シール部材500’’の第1部510’’の内形寸法がシール部材500’’の第2部520’’の内形寸法よりも小さくすると良いが、これに限定されるものではない。
【0079】
本発明の第2コネクタの被収容部は、収容空間内に配置可能であり且つ上記した何れかの態様のシール部材の第1部に外嵌される部分又は外嵌されるように一体的に成形される部分であれば良い。本願発明のシール部材は、第1コネクタ及び第2コネクタの何れかに設けられていたが、これに限定されるものではない。本願発明のシール部材は、第2部が基板上の第1コネクタの周りに当接した状態で、固定されており、第1部が第2コネクタの被収容部に外嵌可能な構成とすることが可能である。
【0080】
なお、上記実施例の各態様及び設計変形例における接続モジュール及びコネクタアッセンブリの各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。なお、本発明の第1方向は、本発明の基板に略直交する方向又は第1、第2コネクタの接続方向である限り任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0081】
M1、M2、M3:接続モジュール
A1、A1’、A1’’:第1コネクタアッセンブリ
100:基板
101:第1面
102:第2面
110:第1電極
120:第2電極
200、200’:第1コネクタ
210:端子
211:接触部
212:テール部
220:ボディ
221:基部
222:先端部
223:収容部
230:シェル
231:筒部
A2、A2’、A3’:第2コネクタアッセンブリ
300:ケース
310:天板
311:開口
312:縁部
320:側板
R:収容空間
400、400’:第2コネクタ
410:端子
411:接触部
412:テール部
420:ボディ
421:収容部
430:シェル
431:壁部
432:壁部
433:収容室
440:接続孔
450:挿入孔
460:内部シール部材
461:貫通孔
500、500’、500’’:シール部材
510、510’、510’’:第1部
520、520’、520’’:第2部
600:熱伝導樹脂