(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】回路基板構造体と装置インターフェースボード
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220202BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220202BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H05K3/46 B
H01L23/12 N
H01L23/12 F
(21)【出願番号】P 2018528999
(86)(22)【出願日】2016-09-16
(86)【国際出願番号】 US2016052055
(87)【国際公開番号】W WO2017099862
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2019-09-02
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ライオンズ、 ティモシー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パリッシュ、 フランク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】シンスハイマー、 ロジャー アレン
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン、 ブライアン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ベイナー、 ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー、 ブランドン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワデル、 ブライアン シー.
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-235647(JP,A)
【文献】特開2003-060359(JP,A)
【文献】特開昭48-100657(JP,A)
【文献】特開2009-033006(JP,A)
【文献】特開平8-181458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板構造体であって、
1つの基板と、
前記回路基板構造体を通る電気的接続を可能にするように、導電性であり、かつ前記基板を貫通するビアと、を備え、
前記基板は、第1の種類の信号を伝達する前記回路基板構造体の第1の領域が、第2の種類の信号を伝達する前記回路基板構造体の第2の領域よりも薄く、
前記基板は、前記第1の領域における前記基板の薄い部分に存在する1つ以上のポケットを含み、
前記1つ以上のポケットは、前記第2の領域における前記基板の厚い部分の厚さから前記第1の領域における前記基板の薄い部分の厚さを引いた厚さを有
し、
前記第1の種類の信号が、第1の速度の信号を含み、
前記第2の種類の信号が、第2の速度の信号及び電力を含み、
前記第1の速度の信号が、前記第2の速度の信号よりも短い立ち上がり時間を有する、回路基板構造体。
【請求項2】
前記ビアの長さが、前記基板の前記第1の領域において、より短く
、
前記第2の種類の信号
はさらに電力を含
む、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項3】
前記基板は、複数の層を含み、
前記1つ以上のポケットは、前記複数の層の少なくともいくつかを除去することによって形成される、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項4】
前記基板を補強するために、前記第1の領域における前記基板の薄い部分に隣接して配置された背板を更に備える、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項5】
前記基板に隣接するインターポーザであって、信号経路を確立するために前記ビアに接続する電気経路を含むインターポーザを更に備え、
前記インターポーザは、外部装置と嵌合するための接点を含み、
前記インターポーザは、前記回路基板構造体からアセンブリまでのマイクロコンプライアント電気経路を提供する構造体を含み、
前記マイクロコンプライアント電気経路は、前記第1の速度の信号を、ソース/レシーバへ、又はソース/レシーバから伝える、請求項
1に記載の回路基板構造体。
【請求項6】
1つ以上のコネクタを前記回路基板構造体に位置合わせするための、前記基板を通る1つ以上の位置合わせピンを更に備える、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項7】
前記第1の速度の信号が1秒当たり16ギガビット以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が1秒当たり16ギガビット未満の速度を有し、又は、
前記第1の速度の信号が16ギガヘルツ以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が16ギガヘルツ未満の速度を有する、請求項
1に記載の回路基板構造体。
【請求項8】
前記第1の速度の信号が1秒当たり32ギガビット以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が1秒当たり32ギガビット未満の速度を有し、又は、
前記第1の速度の信号が32ギガヘルツ以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が32ギガヘルツ未満の速度を有する、請求項
1に記載の回路基板構造体。
【請求項9】
前記第1の速度の信号が1秒当たり64ギガビット以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が1秒当たり64ギガビット未満の速度を有し、又は、
前記第1の速度の信号が64ギガヘルツ以上の速度を有し、かつ、前記第2の速度の信号が64ギガヘルツ未満の速度を有する、請求項
1に記載の回路基板構造体。
【請求項10】
前記第1の領域における前記基板の薄い部分が、前記第2の領域における前記基板の厚い部分の20%以下の厚さを有する、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項11】
前記第1の領域における前記基板の薄い部分が、前記第2の領域における前記基板の厚い部分の30%以下の厚さを有する、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項12】
前記第1の領域における前記基板の薄い部分が、前記第2の領域における前記基板の厚い部分の40%以下の厚さを有する、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項13】
別の回路基板内の補助ポケットに嵌合するタワーを更に備えることにより、前記タワーの接点と前記別の回路基板の対応接点との間の電気的接続が可能となる、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項14】
被試験装置と試験機器との間の接続のための装置インターフェースボードであって、請求項1に記載の回路基板構造体を備える、装置インターフェースボード。
【請求項15】
前記第1の種類の信号が無線周波数(RF)信号を含み、
前記第2の種類の信号が非RF信号を含む、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項16】
前記基板の前記第1の領域が、マイクロ波構成要素が取り付け可能な金属を有する第1の誘電体を含む領域を含み、
前記第1の誘電体が、マイクロ波誘電体層に隣接している、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項17】
前記基板の前記第2の領域が、マイクロ波誘電体を含まない誘電体層の積層体を含む領域を含む、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項18】
前記ビアは、前記基板の前記第1の領域の厚さに基づく直径を有する、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項19】
前記基板の前記第1の領域における前記ビアの直径は、前記基板の前記第2の領域におけるビアの直径よりも小さい、請求項1に記載の回路基板構造体。
【請求項20】
装置インターフェースボード(DIB)であって、
第1の厚さの第1の領域及び第2の厚さの第2の領域を有する1つの基板であって、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも厚い、基板と、
前記第1の領域を貫通するビアであって、前記ビアと被試験装置との間の電気的接続を可能にするように導電性であり、
少なくとも最小速度を有する信号の送信のために確保されるビアと、
前記第2の領域を貫通するビアであって、前記最小速度を満たさない信号の送信のために確保されるビアと、
前記被試験装置と試験機器との間の電気的接続のためのインターフェースと
を備え、
前記基板は、前記第1の領域における前記基板の薄い部分に存在する1つ以上のポケットを含み、
前記1つ以上のポケットは、前記第2の領域における前記基板の厚い部分の厚さから前記第1の領域における前記基板の薄い部分の厚さを引いた厚さを有する、DIB。
【請求項21】
前記基板を補強するために、前記第1の領域に隣接して配置された背板を更に備える、請求項20に記載のDIB。
【請求項22】
前記DIBに接続可能な1つ以上のコネクタへの位置合わせのための、前記基板を通る1つ以上の位置合わせピンを更に備える、請求項20に記載のDIB。
【請求項23】
前記最小速度が、1秒当たり16ギガビット、1秒当たり32ギガビット、若しくは1秒当たり64ギガビットであるか、又は、
前記最小速度が、16ギガヘルツ、32ギガヘルツ、若しくは64ギガヘルツである、請求項20に記載のDIB。
【請求項24】
前記基板の前記第1の領域が、前記基板の前記第2の領域の20%以下の厚さを有する、請求項20に記載のDIB。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、信号接続が形成されるポケットを有する回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ビアは、プリント回路基板(PCB)を通って信号を通過させる。
信号は、ビアを通過するに従い劣化することがある。信号速度及びビア長さは、信号劣化の量に影響することがある。典型的に、信号速度及びビア長さが増加するにつれて信号劣化が増加する。
【発明の概要】
【0003】
例示的な回路基板構造体は、基板と、回路基板構造体を通る電気的接続を可能にするように、導電性であり、かつ基板を貫通するビアと、を備える。基板が、第2の種類の信号を伝達する回路基板構造体の第2の領域においてよりも、第1の種類の信号を伝達する回路基板構造体の第1の領域において、より薄い。例示的な回路基板構造体は、以下の特徴のうちの1つ以上を、単独又は組み合わせのいずれかで含んでもよい。
【0004】
ビア長さが、基板の第1の領域において、より短くてもよい。第1の種類の信号が、第1の速度の信号を含んでもよく、第2の種類の信号が、第2の速度の信号及び電力を含んでもよく、そして第1の信号速度が、第2の速度の信号よりも短い立ち上がり時間を有してもよい。
【0005】
基板が、第1の領域の基板のより薄い部分にある、1つ以上のポケットを含んでもよい。基板が、複数の層を含んでもよく、1つ以上のポケットは、複数の層の少なくともいくつかを除去することによって形成されてもよい。回路基板構造体が、基板を補強するために、第1の領域の基板のより薄い部分に隣接して配置された背板を含んでもよい。
【0006】
回路基板構造体が、基板に隣接し、かつ信号経路を確立するためにビアに接続する電気経路を含む、インターポーザを含んでもよい。インターポーザが、外部装置と嵌合するための接点を含んでもよい。インターポーザが、回路基板構造体からアセンブリまで、第1の速度の信号を、ソース及び/若しくはレシーバへ、かつ/又はソース及び/若しくはレシーバから伝えるマイクロコンプライアント電気経路を提供する構造体を含んでもよい。
【0007】
回路基板構造体は、回路基板構造体に対して、1つ以上のコネクタに位置合わせするための、基板を通る1つ以上の位置合わせピンを含んでもよい。
【0008】
第1の速度の信号が、1秒当たり16ギガビット以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、1秒当たり16ギガビット未満の速度を有してもよいか、又は、第1の速度の信号が、16ギガヘルツ以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、16ギガヘルツ未満の速度を有してもよい。第1の速度の信号が、1秒当たり32ギガビット以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、1秒当たり32ギガビット未満の速度を有してもよいか、又は、第1の速度の信号が、32ギガヘルツ以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、32ギガヘルツ未満の速度を有してもよい。第1の速度の信号が、1秒当たり64ギガビット以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、1秒当たり64ギガビット未満の速度を有してもよいか、又は、第1の速度の信号が、64ギガヘルツ以上の速度を有してもよく、第2の速度の信号が、64ギガヘルツ未満の速度を有してもよい。
【0009】
第1の領域の基板のより薄い部分が、第2の領域の基板のより厚い部分の20%以下の厚さを有してもよい。第1の領域の基板のより薄い部分が、第2の領域の基板のより厚い部分の30%以下の厚さを有してもよい。第1の領域の基板のより薄い部分が、第2の領域の基板のより厚い部分の40%以下の厚さを有してもよい。
【0010】
回路基板構造体は、別の回路基板内の補助ポケットに嵌合するタワーを含んでもよい。
【0011】
被試験装置と試験機器との間の接続のための例示的な装置インターフェースボード(DIB)は、以下の特徴、つまり、基板と、回路基板構造体を通る電気的接続を可能にするように、導電性であり、かつ基板を貫通するビアと、を含む回路基板構造体を備える。基板が、第2の種類の信号を伝達する回路基板構造体の第2の領域においてよりも、第1の種類の信号を伝達する回路基板構造体の第1の領域において、より薄い。
【0012】
回路基板構造体では、第1の種類の信号が、無線周波数(RF)信号を含んでもよく、第2の種類の信号が非RF信号を含んでもよい。基板の第1の領域が、マイクロ波構成要素が取り付け可能な金属を有する第1の誘電体を含む領域を含んでもよく、第1の誘電体がマイクロ波誘電体層に隣接する。
【0013】
回路基板構造体では、基板の第2の領域が、マイクロ波誘電体を含まないことの誘電体層の積層体を含む領域を含んでもよい。ビアが、基板の第1の領域の厚さに基づく直径を有してもよい。基板の第1の領域のビアが、基板の第2の領域のビアの直径よりも小さい直径を有してもよい。
【0014】
例示的な装置インターフェースボード(DIB)は、第1の厚さの第1の領域及び第2の厚さの第2の領域を有する基板であって、第2の厚さが第1の厚さよりも大きい、基板と、ビアであって、ビアと被試験装置との間の電気的接続を可能にするように、導電性であり、かつ第1の領域を貫通する、ビアと、を備え、第1の領域を貫通するビアが、少なくとも最小速度を有する信号の送信のために確保される。例示的なDIBは、以下の特徴のうちの1つ以上を、単独又は組み合わせのいずれかで含んでもよい。
【0015】
DIBが、最小速度を満たさない信号の送信のために確保される、第2の領域を通るビアを含んでもよい。DIBが、基板を補強するために、第1の領域に隣接して配置された背板を含んでもよい。DIBが、DIBに接続可能な1つ以上のコネクタに位置合わせするための、基板を通る1つ以上の位置合わせピンを含んでもよい。
【0016】
最小速度が、1秒当たり16ギガビット、1秒当たり32ギガビット若しくは1秒当たり64ギガビットであってもよいか、又は、最小速度が、16ギガヘルツ、32ギガヘルツ若しくは64ギガヘルツであってもよい。基板の第1の領域が、基板の第2の領域の20%以下の厚さを有してもよい。
【0017】
この発明の概要の項を含む、本明細書において説明される特徴のうちの任意の2つ以上が組み合わされて、本明細書では具体的に説明されない実現例を形成されてもよい。
【0018】
本明細書に記載の試験システム及び試験又はそれらの一部は、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体に格納された命令を含むコンピュータプログラム製品として実現され得、かつ/又はそれにより制御され得、本明細書に記載の動作を制御するために(例えば、調整するため)、1つ以上の処理装置上で実行可能である。本明細書に記載の回路基板構造体は、任意の適切な装置又は電子システムの一部であり得、かつ試験に限定されない。
【0019】
1つ以上の実現例の詳細を、添付の図面及び以下の説明で明らかにする。その他の特徴及び利点は、それらの説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】例示的な回路基板構造体の一部の破断図である。
【
図3】ミッドストリップアセンブリが取り付けられたバネ荷重構造体の断面図である。
【
図4】その上にインターポーザを有するミッドストリップアセンブリの斜視破断図である。
【
図5】その上に装置インターフェースボードが搭載された電気機械インターフェースの斜視図である。
【
図6】装置インターフェースボードの斜視上面図である。
【
図7A】回路基板の一部の正面図及び側面図を含む。
【
図7B】回路基板の一部の正面図及び側面図を含む。
【
図9】ポケットを有さない回路基板構造体の側面図である。
【
図10】例示的な回路基板構造体上のビア孔及びトレースの上面図である。
【
図12】ポケットを有する例示的な回路基板構造体の側面図である。
【
図13】ポケットを有する例示的な回路基板構造体の側面図である。
【0021】
異なる図面における同様の参照番号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に記載されるのは、回路基板の内部のビアへの電気的接続を実現するためのポケット又はキャビティを有する回路基板の例である。ポケットを回路基板に組み込むことにより、回路内のビアの全長を、ポケットが配置された回路基板の部分における接続を形成することによって、減少させることができる。結果として、ビアを通る信号の通過によって引き起こされる信号劣化を低減することができ、信号完全性の改善がもたらされる。この効果は、ビア長さに沿ったより低速な信号(第2の種類の信号の一例)よりも劣化し得る、より高速な信号(第1の種類の信号の一例)の場合に、より顕著になることがある。本明細書に記載の回路基板の例は、自動試験機器の文脈で使用されるが、回路基板は試験における使用に限定されず、任意の適切な文脈で使用され得る。
【0023】
図1は、信号がPCBを通ってビア上を移動する長さを減少するように構成されたポケット12を有する、プリント回路基板(PCB)11を含む、回路基板構造体10の一例を示す。PCB 11は、プラスチック樹脂又は他の適切な非導電性材料などの基板から構成されてもよく、信号がPCB 11の一方の面13とPCB 11の他方の面14との間を通過する導電性トレース又はビアを含む。ビアは、PCBに穿孔すること、及び孔を銅又は他の適切な導体で埋め戻すことによって形成されてもよい。銅又は他の導体の層がPCB 11に組み込まれ、PCBを横切る長さ方向の電気的接続を形成してもよい。例えば、
図1の領域15を含む拡大図である
図2は、ビア17及び18、並びにPCB 11に含まれる長さ方向の電気的接続を示す。この例では、ビア17及び18は、電気的接続20を介して相互接続される。この例では、ビア21及び22は、電気的接続23を介して相互接続される。本明細書には示されていないが、幾つかの実現例では、ビアがPCBの全厚さを貫通し、それにより長さ方向の電気的接続の必要性を排除してもよい。
【0024】
図1に戻って参照すると、ポケット12は、PCB 11の構成後に形成された切り欠きであってもよく、又はポケット12は、PCB 11の構成中に形成されてもよい。ポケット12は、任意の適切な深さ24を有してもよい。幾つかの実現例では、PCB 11の全厚さ25の約80%がポケットで欠落し、PCBの全厚さの約20%を残し、ここで、全厚さ25は、ポケット24の深さ及びポケットの側部に残っている回路基板の厚さ26を指す。しかしながら、幾つかの実現例では、以下のものを含むがこれに限定されない、異なる量のPCBがポケットで欠落することがある。例えば、幾つかの実現例では、PCBの全厚さの約95%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約90%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約85%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約75%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約70%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約65%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約60%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約55%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約50%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約45%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約40%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約35%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約30%がポケットで欠落しており、PCBの全厚さの約25%がポケットで欠落している。特定の例では、PCBの厚さは0.25インチであり、その全厚さの80%がポケットで欠落している。ただし、回路基板の欠落割合は、本明細書に記載されている値を含む、特定の値に限定されない。
【0025】
PCBの一部がポケットで欠落しているため、PCBはより薄く、ビア長さは、PCBの他の部分においてよりも、ポケットにおいて、より短い。幾つかの実現例では、ビア長さの減少はPCB基板の厚さの減少に比例する。例えば、基板の厚さが80%減少すると、対応するビア長さが80%減少し、基板の厚さが95%減少すると、対応するビア長さが95%減少し、基板の厚さが90%減少すると、対応するビア長さが90%減少し、基板の厚さが85%減少すると、対応するビア長さが85%減少し、基板の厚さが75%減少すると、対応するビア長さが75%減少し、基板の厚さが70%減少すると、対応するビア長さが70%減少し、基板の厚さが65%減少すると、対応するビア長さが65%減少し、基板の厚さが60%減少すると、対応するビア長さが60%減少し、基板の厚さが55%減少すると、対応するビア長さが55%減少し、基板の厚さが50%減少すると、対応するビア長さが50%減少し、基板の厚さが45%減少すると、対応するビア長さが45%減少し、基板の厚さが40%減少すると、対応するビア長さが40%減少し、基板の厚さが35%減少すると、対応するビア長さが35%減少し、基板の厚さが30%減少すると、対応するビア長さが30%減少し、基板の厚さが25%減少すると、対応するビア長さが25%減少し、以降も同様である。幾つかの実現例では、比例減少は直接的(例えば、1:1)ではなく、むしろ基板の長さの減少は、ビア長さの減少の一部、又はビア長さの幾つかの他の適切な減少につながることがある。
【0026】
幾つかの実現例では、ポケットが、より高速な信号(例えば、少なくとも所定の最小速度を有する信号)を通過させるPCBの部分に配置され、低速な信号を通過させるPCBの部分には配置されない。この文脈では、高速又はより高速及び低速又はより低速という用語は、相対的なものであり、特定の数値的な意味を持たない。一般に、より高速な信号は、より低速な信号の立ち上がり時間よりも短い立ち上がり時間を有する。デジタル信号の場合、幾つかの実現例では、より高速な信号は1秒当たり8ギガビット(Gb/秒)以上の速度を有し、より低速な信号は8Gb/秒未満の速度を有する。幾つかの実現例では、より高速な信号は10Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は10Gb/秒未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は16Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は16Gb/秒未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は32Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は32Gb/秒未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は64Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は64Gb/秒未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は128Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は126Gb/秒未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は256Gb/秒以上の速度を有し、より低速な信号は256Gb/秒未満の速度を有し、以降も同様である。アナログ信号の場合、幾つかの例示的な実現例では、より高速な信号は8ギガヘルツ(GHz)以上の速度を有し、より低速な信号は8GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は10GHz以上の速度を有し、より低速な信号は10GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は16GHz以上の速度を有し、より低速な信号は16GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は32GHz以上の速度を有し、より低速な信号は32GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は64GHz以上の速度を有し、より低速な信号は64GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は128GHz以上の速度を有し、より低速な信号は126GHz未満の速度を有し、幾つかの実現例では、より高速な信号は256GHz以上の速度を有し、より低速な信号は256GHz未満の速度を有し、以降も同様である。幾つかの実現例では、より高速な信号及び/又はより低速な信号は、上に列挙したものとは異なる信号速度を有してもよい。
【0027】
PCBのより厚い部分27、例えばポケットの外側にある部分は、より低速な信号を通過させる。電力線及びプレーン(図示せず)はまた、PCBのこれらのより厚い部分を通るように配線されてもよい。電力線は、回路基板構造体10に接続された装置又は基板に電力を供給する。より低速な信号及び電力信号は、より高速な信号よりも信号劣化の影響を受けにくいことがある。このように、これらの信号を収容するためにPCBの厚さを減らす必要性は小さく、より高速な信号用のビアよりも長い導体長さを通過することができる。例えば、
図2は、より高速な信号を通過させる単一の信号経路(ポケットからの)における全ビア長さ、及びより低速な信号を通過させる単一の信号経路(ポケットの外側からの)における全ビア長さを示す。この例では、それぞれの全ビア長さは、2つの個別のビア(例えば、より高速な信号の場合は17及び18、かつより低速な信号の場合は21及び22)からの寄与を含む。ポケット12を介して接続されたビアを含む高速信号の全ビア長さは、ポケット12を介して接続されたビアを含まない低速信号の全ビア長さよりも小さい。
【0028】
PCBのより薄い部分28がより損傷を受け易いため、例えばより低速な信号及び電力信号のために、基板のより厚い部分を確保することは、構造的な観点から有利であり得る。基板の欠落に起因する増大した脆弱性に対抗するために、背板29をポケット12の他方の側のPCB 11の表面14に隣接し、かつ接触させてPCBを構造的に補強してもよい。背板がPCBの機能と電気的に干渉する可能性を減らすために、適切な措置を講じる必要がある。これらの手段は、背板29上に絶縁層を設けることと、背板が接触する可能性のあるPCBの部分と相互作用するビアの「バックドリル加工(部分的除去)」と、を含んでもよく、あるいは背板が非導電性材料から作られることが要求されてもよい。すなわち、基板、ひいてはPCBは、ポケット12の位置でより薄いため、PCBは、そのより厚い領域よりもその領域において、より脆弱である。その結果、PCBパッドへの電気的接続を行う際に加えられ、次にビア(例えば、
図2のビア17、18、21及び22)に接続される圧力により、PCBはポケットの位置で屈曲又は破損の影響をより受けやすくなり得る。背板は付加的なサポートを提供し、これによりPCBが損傷又は破損する可能性を低減する。幾つかの実現例では、背板29は、ステンレス鋼、又は電気的接続を形成するために必要な力に耐えるのに十分な強度を有する他の適切な導電性又は非導電性の材料で作られていてもよい。幾つかの実現例では、その力は約40ポンド(lbs)~50lbsであり、ただし、他の実現例では、その力は10lbs、15lbs、20lbs、25lbs、30lbs、35lbs、55lbs、60lbs、65lbs、70lbsなどであってもよい。これらの値は単なる例であり、任意の適切な力に耐える背板を本明細書に記載の回路基板構造体に組み込むことができる。
【0029】
回路基板構造体10はまた、インターポーザ30を含んでもよい。インターポーザ30は、PCB 11のビアと外部電気導管31との間を接続するための電気的及び機械的構造体を含む。この例では、外部電気導管31(この例では同軸ケーブル)は、1つ以上の計器盤及び/又は試験コンピュータなどの供給源からの電気信号を伝え、これらの信号を、PCB 11を通ってPCBに接続された被試験装置(DUT)を通過させる。したがって、この例では、インターポーザ30は、例えば同軸ケーブル内の電気導管とPCB内のビアとの間の接続を確立するために、同軸ケーブル接続を収容するように構成される。幾つかの実現例では、外部電気導管は、同軸ケーブル以外の導管の種類であってもよく、この場合、インターポーザは異なって構成されてもよい。一般に、インターポーザは、任意の適切な種類の電気導管を収容するように構成されてもよい。
図1の例では、インターポーザは、バネを含んでもよく、又はPCB内の各ビアと対応する同軸ケーブル電気導管との間の電気的接続を容易にするために、比較的可撓性又は弾力性のある材料で作られてもよい。
【0030】
図1の例では、ミッドストリップアセンブリ32が外部電気導管への物理的インターフェースを提供する。この例では、ミッドストリップアセンブリ32は、同軸ケーブルのピンが貫通してインターポーザに接続される構造体33を含む。構造体は、Teflon(登録商標)又は他の適切な材料で作られてもよい。同軸ケーブル導管のインターポーザへの接続を容易にするために、
図3に示すように、ミッドストリップアセンブリ32又はそれに取り付けられる構造体33にバネ荷重がかけられる。より詳細には、
図3は、バネ35を使用して構造体33をテスタインターフェースフレームアセンブリに固定するネジ34を示す。構造体33は、矢印36のインターポーザの方向において上部にクランプされたインターフェースボードによって加えられた力に応じて移動し、バネ35を圧縮させ、それにより、同軸ケーブル電気導管と対応するインターポーザ上の電気接点(対応するビアに接続する)との間の接触を可能にする。
【0031】
図1に示すように、ミッドストリップアセンブリ32は、同軸ケーブルの外側シールドとミッドストリップ本体との間に電気経路を形成する導電性「フェルール」である要素37を含む。絶縁体は、PTFE(Teflon(登録商標))絶縁体である構造体33と、素子33aとを含む。素子33bはまた絶縁体であり、外側シールドに対して中心導体を中心として同軸ケーブルの中心導体を取り囲む。
【0032】
ミッドストリップアセンブリ32は、少なくとも部分的にポケット12にフィットすると共に、本明細書で説明するように、ミッドストリップ及びインターポーザを回路基板構造体に位置合わせするための位置合わせピン38を含む。
【0033】
幾つかの実現例では、ミッドストリップアセンブリは、別のPCBの相補的なキャビティ又はポケットに嵌合する1つ以上のタワーとして構成される。
図4は、この種類の例示的な実現例を示す。この例では、タワー40は、導管(同軸ケーブル)31、ミッドストリップアセンブリ32、インターポーザ30及び位置合わせピン38を明らかにするために切り取られている。幾つかの実現例では、
図4の実現例の場合のように、背板は含まれない(例えば、背板は任意である)。インターポーザ30の上部の接点は、外部導管のための信号接点である中心導体40と、接地又は戻り線への接続のための接地/戻り接点リング41とを含む。
【0034】
図5は、この例では、本明細書に記載の種類のタワー型回路基板構造体39(これらのうちの全てが同じ構造を有することができるが、これらのうちの2つが標記されている)を含むテストヘッド用のピッチプレートアセンブリ45の一例における例示的装置を示す。位置合わせピン38も示されるが、2つのみが標記される。各タワーは、タワーと回路基板との間の位置合わせを可能にし、これにより接続を容易にする位置合わせピン38を有する、別の回路基板の相補的なポケットに嵌合するように構成される。
図6は、
図5のタワー39に対して相補的であるキャビティ又はポケットを含むプリント回路基板を示す。したがって、タワー39は、位置合わせピンが対応する孔44に嵌合する状態で、プリント回路基板42のポケット43内にフィットする。電気的接続は、タワー上の接点と装置上の対応する接点との間で形成される。
【0035】
図7A及び
図7Bの例では、回路基板61の厚さは回路基板62の厚さの5分の1である。DIBの厚さは0.25インチである。PCB作製の制限がある場合、ボードドリルのアスペクト比(例えば、穿孔される基板の厚さに関連するドリル直径)は約10:1である。換言すれば、0.25インチの厚さの基板を通り確実に穿孔できる最小の孔は、直径が約0.025インチである。幾つかの例では、本明細書に記載のポケット付きPCBは、穿孔された基板の厚さが従来技術を使用して可能な厚さの5分の1にすることができるため、ビアを穿孔するために使用できるドリル直径も同じ比率又は他の何らかの適切な量だけ減少させることができる。
【0036】
使用されるドリルのサイズが小さくなると、穿孔のサイズを小さくすることができるだけでなく、「接地」とも呼ばれる戻り経路の数を大幅に増やすことができる(
図7Aに示すように、
図7Bに示す2つの接地65に対する6つの接地64を示す)。6つのリターンで囲まれた単一の信号を有する
図7Aに示すグループは、典型的に、クロストークからの遮蔽の改善だけでなく、インピーダンス制御の改善をもたらすため、信号の単一のペア及び戻りビア(
図7Bに示されている)は、比較的品質の劣る伝送線となり得る。次に、インピーダンス制御の改善は、典型的に、信号忠実度(挿入損失の低減)の改善及び戻り損失の低減をもたらし、これによりビア長さの減少に起因する単純な改善を大幅に上回ることができる。
【0037】
スペースの制限により
図7Aに示すビアパターンを
図7Bのボード上に複製することは、基板スペースの制限により、典型的に不可能である。
【0038】
図5及び
図6の例では、試験の文脈における回路基板構造体10を使用しているが、本明細書に記載の回路基板構造体は、試験又は図面に示された例に限定されず、任意の適切な文脈で使用されてもよい。
【0039】
DIBは、
図5に部分的に示すように、試験システムに組み込まれてもよい。これに関して、構成要素の量を試験するために、製造業者は一般に自動試験装置(ATE)(「テスタ」とも呼ばれる)を使用する。試験プログラムセット(TPS)内の命令に応答して、幾つかのATEは被試験装置(DUT)に印加される入力信号を自動的に生成し、かつ出力信号を監視する。ATEは、出力信号を期待される応答と比較して、DUTに欠陥があるかどうかを判定する。ATEは、典型的に、コンピュータシステムと、対応する機能を有する試験機器又は単一の装置とを含む。
【0040】
図8を参照すると、DUT 58を試験するための例示的なATE 50は、テスタ(又は「試験機器」)52を含む。DUT 58は、本明細書で説明される種類のポケット付きPCB構造体を有し得るDIB 60に接続されてもよい
【0041】
テスタ52は、複数のチャネルを含み得る。テスタ52を制御するために、システムは、1つ以上の電気接続56を介してテスタ52とインターフェース接続するコンピュータシステム54を含む。例示的動作として、コンピュータシステム54は、DUT 58を試験するためのルーチン及び機能の実行を開始するコマンドをテスタ52に送る。そのような試験ルーチンの実行により、DUT 58への試験信号の生成と送信を開始し、DUTからの応答を収集し得る。多様な種類のDUTを、システム50で試験可能である。幾つかの実現例において、DUTはRF、マイクロ波、又は他の無線装置であり得る。幾つかの実現例において、DUTは適切な半導体若しくは集積回路(IC)チップ(例えば、メモリチップ、マイクロプロセッサ、アナログデジタルコンバータ、デジタルアナログコンバータ等)のようなその他のデバイス、又は、他のデバイスであり得る。
【0042】
試験信号を供給し、DUTから応答を収集するために、52は、DUT 58の内部回路へのインターフェースに接続する。例えば、DUTは、DIB 60のソケットに挿入することができ、このソケットは、本明細書で説明した種類のポケット付きPCBを使用して実現されてもよく、このソケットは、DUTとテスタ内の機器モジュールとの間の電気的接続のインターフェースを含む。
【0043】
ポケット付きPCBの別の実現例を以下に説明する。この点に関して、マイクロ波回路、論理、及び制御回路を単一のPCB上に組み合わせると、寸法及び信号の完全性の要件が製造上の問題を引き起こす可能性がある。ポケット付きPCBの使用は、マイクロ波構成要素とファインピッチデジタル集積回路(IC)とを組み合わせたPCBの製造を可能にする。ポケット付きPCBの使用はまた、非常に微細なピッチ(例えば、0.4mmピッチ以下)の構成要素が使用されるマイクロ波信号性能を改善することができる。
【0044】
図9は、無線周波数(RF)信号(第1の種類の信号の例)及びデジタル又は他の非RF信号を送信するファインピッチデジタルIC(第2の種類の信号の例)と共に使用するための従来のPCB 70を示す。
図9の例では、PCB 70は、マイクロ波誘電体の2つのより厚い層71、72と、FR-4誘電体の4つのより薄い層74とを含む。誘電体は、一般に、非RF(例えば、FR-4、G-10など)誘電体と、RF又はマイクロ波誘電体(例えば、PTFE、Rogers 4360など)とに分類され、マイクロ波誘電体は、典型的に、より良好な電気的性能を有し、かつより高価である。FR-4誘電体は、典型的に、エポキシ樹脂バインダを有する繊維ガラスクロスで作られた複合材である。マイクロ波誘電体は、誘電率及び損失がFR-4よりも厳密に制御された誘電体であり、かつマイクロ波信号の信号完全性を維持するために使用される。FR-4層は、信号をルーティングするための回路トレースと、回路構成要素が取り付けられ得る金属パッドとを含む。
【0045】
図9では、全ての構成要素は、層L1又はL6(回路基板構造体のそれぞれ上部及び下部層)に表面実装されてもよい。動作時には、層L1に取り付けられたマイクロ波回路に制御線と電力を接続するために、層L1から層L3又はL4に信号をルーティングし、次いで層L1に「上に」戻す必要があることが多い。これは、(信号の数に起因して)より多くのスペースを得るため、制御されたインピーダンストレースの周りにスペースを残すため、信号分離を制御するため、信号クロスオーバーを容易にするため、又は他の適切な理由のために必要であり得る。
【0046】
ビアは、PCB作製プロセスの一部として穿孔され、かつメッキされる。ビアは、PCBを通り、1つ以上の層を通り、又は特定の深さまで穿孔されてもよい。層積層体(例えば、ビアA、B、E、F、H)を完全に貫通するビアは、一般に、コスト及び製造性にとって好ましい。埋め込まれたビア(例えば、ビアC、D)及びブラインドビア(例えば、ビアG)が使用されてもよいが、典型的に、層積層体を完全に貫通するビアより複雑で高価である。一般に、層上のRF信号のルーティングは、制御、電力、及びその他の信号がトレースの寸法(幅、厚さ、長さ)に対してあまり敏感でなく、かつRF信号よりも間隔が広いため、同じ層上の制御、電力、及びその他の信号のルーティングよりも優先される。適切な損失、絶縁、整合及び特性インピーダンスの特性を達成するために、RF層導体の寸法、誘電特性などが選択される。
【0047】
図9に示す例では、層L1~L3及びL4(ビアG、H)を接続するビアは高アスペクト比であり、これはビアの孔径に対する長さ又は深さが大きいことを意味する。層L1上の非マイクロ波(例えば、制御)構成要素が非常に細かいピッチ(例えば、0.4mmピッチのボールグリッドアレイ(BGA)以下)を有する場合、L1上に接触してはならない複数の隣接パッドがある。更に、ボールグリッドアレイの内部パッドから隣接するパッド間にトレースを配線するために、更なる間隔の分離が必要である。
図10は、ファインピッチBGA(マイクロビア)75がトレース76及びパッド77に隣接する例を示す。
図10はまた、これらの構成要素の例示的な寸法を示し、ただし、構成要素及び関連するPCBは、これらの寸法の使用に限定されず、非常に細かいピッチのBGAも0.4mm以下に限定されない。
【0048】
上記の結果として、パッドのサイズは非常に小さくなり、パッドの弱化及び基板へのパッドの取り付けを避けるために、細いドリル径を必要とする。結果として、機械的穿孔は実用的でなくなり、ビアを形成する代わりにレーザドリルが使用される。しかし、レーザ穿孔された孔(マイクロビア)は深くなるにつれて広くなる。レーザ穿孔によって製造された広がった孔79の一例が
図11に示されている。結果として、レーザドリルは、マイクロ波誘電体の深さ(例えば、0.030インチ)まで穿孔することができず、深いビアが層L1側の孔を広げるため、層L1構成要素に必要なファインピッチを同時に維持することができず、これによりパッドの環状リング幅を減少させ、かつパッドメタライゼーションの誘電体基板への付着を低下させる。
【0049】
更に、層L1~L6からマイクロ波信号を伝えるビアAは、電気的に長く、かつ非マイクロ波誘電体層(
図1のFR-4と標記)を貫通する。これらの両方とも、性能低下(損失、不整合)及び追加の設計作業(例えば、特性インピーダンスの設計)をもたらす。
【0050】
ポケット付きPCBの使用は、
図9のPCB構造体に関連する前述の欠点に対処することができる。
図12はポケットを有するPCBの例示的な実現例を示し、
図13はシェルフ(ポケットの一種である)を有するPCBの第2の実現例を示す。
【0051】
図12及び
図13の両方の実現例では、
図9の上部マイクロ波誘電体層71が除去され、ファインピッチIC 81をFR-4誘電体層積層体80上に直接的に取り付ける(マイクロ波誘電体を通る必要なしで)ことを可能にし、ただし、以下に示すように、これは要件ではない。
図12では、IC 81はFR-4誘電体層積層体80の上に取り付けられている。ポケット83は、幾つかの(この例では3つの)FR-4誘電体層を除去することによってPCBに形成され、FR-4誘電体層L4(残りのマイクロ波誘電体72に隣接する)を露出させる。RF信号が、不要なFR-4層を通過することなく、マイクロ波誘電体72を通過するように、マイクロ波IC 85が、L4層に含まれる金属上に取り付けられてもよい。層L1に取り付けられたファインピッチIC 81を出入りして通過する信号は、一般に、マイクロ波誘電体を通過する必要がないため、上部マイクロ波誘電体層を除去しても、それらの信号に影響を及ぼすことはない。
【0052】
同様に、
図13では、IC 81がFR-4誘電体層積層体80上に取り付けられる。ポケット(又はシェルフ)86が、幾つかの(この例では3つの)FR-4誘電体層を除去することによってPCBに形成され、L4誘電体層(残りのマイクロ波誘電体72に隣接する)を露出させる。RF信号がマイクロ波誘電体72を通過するように、マイクロ波IC 85がL4層に取り付けられてもよい。
【0053】
ビアA(
図9)を通るマイクロ波信号経路とビアJ及びJ’(
図12及び13)を通るマイクロ波信号経路とを比較すると、電気的長さが減少していることが分かる。更に、追加のFR-4層を通過することによってもたらされる不連続性が低減され得る。更に、ファインピッチICからマイクロ波ICにルーティングされた制御信号を比較する。
図9の実現例では、このような信号は、戻ってルーティングされるビアH又はGを使用して層L1から、別のビアH又はGを使用して層L1に横断する。前述したように、これらのビアは、ファインピッチICの領域では実現可能ではない。
図12及び
図13に示す例示的な実現例では、信号は、この例では、
図9の構成で使用されるビア経路の長さの2分の1未満のビアMを使用して、層L1から層L4に移動し、容易に実現可能であり、かつファインピッチ構成要素と互換性がある。
【0054】
述べたように、上部のマイクロ波誘電体層は、
図12及び
図13の実現例では除去されている。これは要件ではないが、層L4のRF信号ルーティングに干渉することなく、構成が高密度信号を伴う使用と、制御トレース及び試験ポイントとのために外層を解放したことを示している。
【0055】
図12及び
図13のこれらの構造体を形成するために、PCB層のポケットは、PCBの製造中に基板を通るか又は制御された深さで配線することによって形成されてもよい。これは、機械的粉砕、レーザ、それらの組み合わせ、又は他の適切な技術を使用して行うことができる。
【0056】
他の実現例は、これらに限定されないが、多少の層、多少のポケット、対称及び非対称のレイアップ、及び/又はPCBの両側のポケットを含んでもよい。マイクロ波領域は、全領域に比べて小さくても大きくてもよい。構成要素は、ボードの上面又は底面若しくは両面又は複数のテラスに取り付けられてもよい。非マイクロ波誘電体は、Kapton(登録商標)などの可撓性材料であってもよい。ポケットはメッキされていてもメッキされていなくてもよい。ポケットは覆われていても開いていてもよい。ポケット付きPCBは、任意の適切なビア径で使用されてもよい。
【0057】
本明細書では、「試験」及び「試験システム」に関する例示的な実現例について述べているが、本明細書に示す装置及び方法は、任意の適切なシステムで使用可能であり、試験システム又は本明細書で述べる例示的な試験システムに制限されない。
【0058】
本明細書で記載されるように実現される試験は、ハードウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して実現され得る。例えば、本明細書に示されるような試験システムは、様々な場所にある種々のコントローラ及び/又は処理装置を含み得る。中央コンピュータは、様々なコントローラ又は処理装置にわたる動作を調整し得る。中央コンピュータ、コントローラ、及び処理装置は、様々なソフトウェアルーチンを実行して、試験及び較正の制御と調整をもたらす。
【0059】
試験は、少なくとも一部が、1つ若しくは複数のコンピュータプログラム製品、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又は、プログラム可能な論理構成要素等の1つ若しくは複数のデータ処理機器による実行用、又は、その動作を制御するための、1つ若しくは複数の非一時的機械可読媒体等の1つ若しくは複数の情報担体に有形的に組み込まれた1つ若しくは複数のコンピュータプログラム製品を使用して、制御可能である。
【0060】
本明細書で使用される「電気的接続」は全て、介在構成要素を含むものの、電気信号(ワイヤレス信号を含む)が接続構成要素間を流れることを許可する直接物理接続又は接続を示唆し得る。本明細書で述べた電気回路が関わる「接続」は全て、特に指定しない限り、「接続」を修飾する「電気的」という単語が使用されているかどうかに関わらず、電気的接続であり、必ずしも、直接的な物理接続が必要でない。
【0061】
本明細書で説明される種々の実現例の要素を組み合わせることにより、上記で具体的に述べられていない他の実施形態を形成することができる。本明細書で述べる要素は、動作に悪影響を及ぼすことなく構造から除外し得る。更に、本明細書に記載の機能を実行するために、様々な別個の要素を、1つ以上の個別の要素に組み合わされ得る。
【0062】
本明細書で使用される「電気接続」は全て、介在構成要素を含むものの、電気信号が接続構成要素間を流れることを許可する直接物理接続又は接続を示唆し得る。本明細書で述べた電気接続が関わる「接続」は全て、特に指定しない限り、「接続」を修飾する「電気的」という単語が使用されているかどうかに関わらず、電気接続であり、必ずしも、直接的な物理接続が必要でない。
【0063】
本明細書で説明される種々の実現例の要素を組み合わせることにより、上記で具体的に述べられていない他の実施形態を形成することができる。本明細書で述べる要素は、動作に悪影響を及ぼすことなく構造から除外し得る。更に、本明細書に記載の機能を実行するために、様々な別個の要素を、1つ以上の個別の要素に組み合わされ得る。