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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】自動車の排ガス特性の品質保証方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20220202BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20220202BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220202BHJP
   B60W 20/16 20160101ALI20220202BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B60W20/50
F02D45/00 345
B60W10/06 900
B60W20/16 ZHV
F01N3/18 C
F02D45/00 364Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018538691
(86)(22)【出願日】2017-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2017051287
(87)【国際公開番号】W WO2017129510
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】102016200984.2
(32)【優先日】2016-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ギャルソン・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ランスベルガー・マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】フレンカー・クリスティアン
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-193900(JP,A)
【文献】特表2015-527949(JP,A)
【文献】特開2014-084759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0072060(US,A1)
【文献】特開2010-052610(JP,A)
【文献】特開2008-064048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 20/00 - 20/50
F02D 45/00
F01N 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(100)としてのハイブリッド式自動車又はプラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する方法において、
自動車(100)のオンボード診断機能(110)を監視する工程(10)であって、オンボード診断機能(110)が、自動車の排ガス特性に関連する機能である工程と、
走行カウンタ(120)を設ける工程(20)であって、走行カウンタ(120)が自動車(100)の走行回数を表す工程と、
自動車(100)の監視(10)対象のオンボード診断機能(110)のための診断カウンタ(130)を設ける工程(30)と、
診断頻度目標値(140)を設ける工程(40)と、
自動車(100)の一走行サイクルが開始して自動車(100)の予め設定された走行期間が経過したら走行カウンタ(120)の値をインクリメントする工程(50)と、
診断カウンタ(130)と走行カウンタ(120)を適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値(160)を算出する工程(60)と、
診断頻度目標値(140)に対する診断頻度実際値(160)の差分を算出する工程(70)と、
診断頻度目標値(140)に対する診断頻度実際値(160)の算出した差分が差分閾値を下回った場合に、
制御方法群から一つの制御方法(170)を選定する工程(75)であって、制御方法群の各制御方法(170)が、自動車(100)の駆動装置としての電気式駆動部および内燃式駆動部の相応の原動機駆動制御形態を表し、選定された制御方法(170)が、オンボード診断機能(110)の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能(110)の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法である工程と、
オンボード診断機能(110)のオンボード診断の終了後に、
オンボード診断機能(110)の診断カウンタ(130)の値をインクリメントする工程(80)と、
制御方法(170)の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す工程(90)と、
を有する方法。
【請求項2】
自動車(100)のさらに別のオンボード診断機能(115)を監視する工程(15)であって、さらに別のオンボード診断機能(115)が自動車(100)の排ガス特性に関連する機能である工程と、
自動車(100)のさらに別のオンボード診断機能(115)に関するさらに別の診断カウンタ(135)を設ける工程(35)と、
さらに別の診断カウンタ(135)と走行カウンタ(120)を適切に組み合わせることによって、さらに別の診断頻度実際値(165)を算出する工程(65)と、
診断頻度目標値(140)に対するさらに別の診断頻度実際値(165)のさらに別の差分を算出する工程(75)と、
診断頻度目標値(140)に対するさらに別の診断頻度実際値(165)の算出したさらに別の差分がさらに別の差分閾値を下回った場合に、
制御方法群からの一つの制御方法(170)の選定(75)が、さらに別のオンボード診断機能(115)の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはさらに別のオンボード診断機能(115)の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに更に適した制御方法を選定することを含む工程と、
さらに別のオンボード診断機能(115)のオンボード診断の終了後に、さらに別のオンボード診断機能(115)のさらに別の診断カウンタ(135)の値をインクリメントする工程(85)と、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自動車(100)の現在の走行状況(180)を監視する工程(70)であって、
制御方法群からの一つの制御方法(170)の選定(75)が、現在の走行状況(180)に基づき行なわれ、
現在の走行状況(180)がオンボード診断機能(110)の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能(110)の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法であることを現在の走行状況(180)の監視(17)が示す場合に、制御方法群からの一つの制御方法(170)の選定(75)が行なわれる工程を更に有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
オンボード診断機能(110)の現在進行しているオンボード診断が存在する場合に、制御方法群からの一つの制御方法(170)の選定(75)が、そのオンボード診断機能(110)の現在進行しているオンボード診断の診断進捗状態に基づき行なわれる請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
診断頻度実際値(160)の算出(60)が走行カウンタ(120)による診断カウンタ(130)の除算からなり、さらに別の診断頻度実際値(165)が存在する場合に、そのさらに別の診断頻度実際値(165)の算出(65)が、走行カウンタ(120)によるさらに別の診断カウンタ(135)の除算からなる請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
オンボード診断機能(110)又はさらに別のオンボード診断機能(115)の相応のオンボード診断が、自動車(100)の排ガス関連装置の機能性能の診断を含む請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
制御方法群が、
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置のエネルギー源の供給停止及び/又はエネルギー源の供給開始を要求するエネルギー源供給制御方法と、
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置のオンボード診断に必要な回転トルク範囲を用意する回転トルク制御方法と、
自動車のオンボード診断に必要な速度範囲であって、自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が相応の出力を提供することが許される速度範囲を制限する速度制御方法と、
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の負荷ポイントを移動させる負荷ポイント移動方法と、
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の停止阻止及び/又は始動要求を実施する駆動切換方法と、
の中の一つ以上を有する請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
エネルギー源の供給停止を要求するエネルギー源供給制御方法が、自動車(100)のスタート・ストップ自動制御及び/又は自動車(100)の駆動装置およびさらに別の駆動装置のトルク調整に基づき行なわれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置のオンボード診断に必要な回転トルク範囲を用意する回転トルク制御方法が、モータによる回転トルクの補償及び/又は発電機による回転トルクの補償に基づき行なわれる請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
自動車(100)のオンボード診断に必要な速度範囲であって、自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が相応の出力を提供することが許される速度範囲を制限する速度制御方法が、駆動装置又はさらに別の駆動装置としての電気式駆動部の最大走行速度の制限及び/又は駆動装置又はさらに別の駆動装置としての内燃式駆動部の最大走行速度の制限に基づき行なわれる請求項7から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
自動車(100)の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の負荷ポイントを移動させる負荷ポイント移動方法が、駆動装置又はさらに別の駆動装置としての内燃式駆動部の負荷ポイント上昇又は負荷ポイント低下に基づき行なわれる請求項7から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
自動車(100)の駆動装置が内燃機関を備え、
自動車(100)のさらに別の駆動装置が電気モータを備え、
駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が、自動車(100)の走行のために相応の駆動出力を提供するように構成される、
請求項7から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
選定された制御方法(170)が、自動車の使用者の相応の操作により停止可能であり、それによって、制御方法(170)の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻すことが開始される請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
制御方法群から一つの制御方法(170)を選定する場合に、自動車(100)の使用者による相応の制御方法(170)の認知可能性の考慮が行なわれる請求項1から13までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
自動車(100)としてのハイブリッド式自動車又はプラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する装置(200)であって、
自動車(100)の排ガス関連装置の動作性能のオンボード診断のためのオンボード診断機能(110)を備えたオンボード診断装置(205)と、
自動車(100)のオンボード診断装置(205)のオンボード診断機能(110)を監視する監視装置(210)と、
走行カウンタ(120)を設ける装置(220)であって、走行カウンタ(120)が自動車(100)の走行サイクル数を表し、走行カウンタ(120)の値をインクリメントすることが可能であるように構成された、走行カウンタ(120)を設ける装置(220)と、
自動車(100)の監視(10)対象のオンボード診断機能(110)のための診断カウンタ(130)を設ける装置(230)であって、オンボード診断機能(110)の診断カウンタ(130)の値をインクリメントすることが可能であるように構成された、診断カウンタ(130)を設ける装置(230)と、
診断頻度目標値(140)を設ける装置(240)と、
診断カウンタ(130)と走行カウンタ(120)を適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値(160)を算出する装置(260)と、
診断頻度実際値(160)を診断頻度目標値(140)と比較する比較装置(250)と、
制御方法群から一つの制御方法(170)を選定(70)する選定装置(270)であって、制御方法群の各制御方法(170)が、自動車(100)の駆動原動機としての電気式駆動部および内燃式駆動部の相応の原動機駆動制御形態を表し、選定された制御方法(170)が、オンボード診断機能(110)の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能(110)の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法である装置と、
制御方法(170)の選定(70)前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す装置(280)と、
を有し、
自動車(100)の排ガス特性の品質を保証する装置(200)が、請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法を実施するように構成される装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置(200)を備えた自動車(100)。
【請求項17】
請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法に基づき動作可能である請求項15に記載の装置(200)のためのコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータプログラム製品を有するデータ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の排ガス特性の品質を保証する方法と、それに関する装置及びそれに関する自動車とに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を備えた自動車では、排ガスに関連する構成部品又は装置を監視できるようにするために、所謂オンボード(OBD)診断が実施されている。
【0003】
米国で登録される車両には、所定の診断頻度が保証されていることが法的に要求される。この点について、走行サイクル数に対する診断頻度が、2019年型モデルに対して0.1から0.336に引き上げられる。
【0004】
そのため、顧客の走り方が同じ場合、従来の3倍を超える頻度でOBD機能を動作させなければならない。これは、特にPHEV(プラグインハイブリッド電気自動車)の場合に難しくなる可能性がある。
【0005】
そのため、要求される診断頻度が平均するともはや満たされなくなる虞が高まっている。
【0006】
従って、排ガス関連装置の診断について、増やされた診断頻度を満たすことができることを保証するのに適した方法を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、従来技術で周知の欠点の少なくとも一部を防止するか、或いは軽減する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、本発明において、主請求項に基づく方法を用いて、並びに同列の請求項に基づくシステムを用いて解決される。
【0009】
主請求項の対象はここで、自動車、有利には、ハイブリッド式自動車、特に、プラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する方法に関する。この方法は、以下の工程を有する:自動車オンボード診断機能を監視する工程であって、このオンボード診断機能が、自動車の排ガス特性に関連する機能である工程。走行カウンタを設ける工程であって、この走行カウンタが車両の走行回数を表す工程。監視対象の自動車オンボード診断機能のための診断カウンタを設ける工程。診断頻度目標値を設ける工程。自動車の一走行サイクルが開始して自動車の予め設定された走行期間が経過したら走行カウンタの値をインクリメントする工程。診断カウンタと走行カウンタを適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値を算出する工程。診断頻度目標値に対する診断頻度実際値の差分を算出する工程。診断頻度目標値に対する診断頻度実際値の算出した差分が差分閾値を下回った場合に、制御方法群から一つの制御方法を選定し、この制御方法群の各制御方法が、自動車の駆動原動機の相応の原動機駆動制御形態を表しており、この選定された制御方法が、オンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法である工程。この方法は、オンボード診断機能のオンボード診断の終了後に更に次の工程を有する。オンボード診断機能の診断カウンタの値をインクリメントする工程。制御方法の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す工程。
【0010】
本方法の工程はここで、自動的に実施することができる。
【0011】
本発明の意味する「オンボード診断機能」は、排ガス関連装置の動作形態を検査及び/又は記録するために、排ガス関連装置の診断を実施するプロセスを有することができる。この場合、例えば、自動車の排ガス関連装置毎に、それに対応する少なくとも一つのオンボード診断機能を装備することができる。
【0012】
本発明の意味する「診断頻度目標値」とはここで、如何なる頻度で相応の診断を成功裏に実施すべきであるのかを規定する値であるとしてもよい。診断頻度目標値はここで、各診断機能に関して異なる値にできる。診断頻度目標値はここで、どの診断機能に対しても同じ値にしてもよい。
【0013】
診断頻度目標値はこのとき、監督官庁によって与えられていてもよい。
【0014】
診断頻度目標値はこのとき、規定された値でもよい。
【0015】
本発明の意味する「診断頻度実際値」とはここで、如何なる頻度で相応の診断が成功裏に実施されたのかを保持する値であるとしてもよい。
【0016】
相応の診断の相応の実行頻度はここで、自動車の走行サイクル数に関連して与えることができる。
【0017】
本発明の意味する「予め設定された走行期間」とはここで、一つの走行サイクルが一つの走行サイクルとしてみなされるために経過しなければならない或る期間としてもよい。
【0018】
本発明の意味する「差分閾値」とはここで、規定された動作を実行又は作動させるために下回らなければならない、或いは上回らなければならない値を意味し得る。差分閾値はここで、規定された値であってもよい。
【0019】
本発明による教唆によって、自動車の相応の診断機能に対して要求される診断頻度の遵守を保証できるとの利点が得られる。
【0020】
別の利点は、それによって、規定された走行サイクル数内において自動車の排ガス関連装置の場合によっては起こり得る機能不良を検知できることである。
【0021】
別の利点は、排ガス特性を持続的に検査できることである。
【0022】
並列の請求項の対象はここで、自動車、有利には、ハイブリッド式自動車、特に、プラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する装置に関する。本装置はここで、以下のものを備える。自動車の排ガス関連装置の動作性能のオンボード診断のためのオンボード診断機能を備えたオンボード診断装置。自動車のオンボード診断装置のオンボード診断機能を監視する監視装置。走行カウンタを設ける装置であって、この走行カウンタが自動車の走行サイクル数を表し、走行カウンタの値をインクリメントすることが可能であるように構成された、走行カウンタを設ける装置。監視対象の自動車オンボード診断機能のための診断カウンタを設ける装置であって、オンボード診断機能の診断カウンタの値をインクリメントすることが可能であるように構成された、診断カウンタを設ける装置。診断頻度目標値を設ける装置。診断カウンタと走行カウンタを適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値を算出する装置。診断頻度実際値を診断頻度目標値と比較する比較装置。制御方法群から一つの制御方法を選定する選定装置であって、この制御方法群の各制御方法が、自動車の駆動原動機の相応の原動機駆動制御形態を表し、この選定された制御方法が、オンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法である装置。制御方法の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す装置。本装置はここで、本発明による何れかの方法を実施するように構成される。
【0023】
本発明による教唆によって、自動車の相応の診断機能に対して要求される診断頻度の遵守を保証できる装置を提供できるとの利点が得られる。
【0024】
別の利点は、それによって、規定された走行サイクル数内において自動車の排ガス関連装置の場合によっては起こり得る機能不良を検知できることである。
【0025】
別の利点は、当局により要求される診断頻度の遵守を保証できる自動車用追加装備装置を提供できることである。
【0026】
別の利点は、排ガス特性を持続的に検査できることである。
【0027】
別の利点は、診断の起動前に診断の必要性の調査が行なわれることである。
【0028】
別の同列の請求項の対象はここで、本発明による装置を備えた自動車に関する。
【0029】
本発明による教唆によって、自動車の相応の診断機能に対して要求される診断頻度の遵守を保証できる自動車が提供できるとの利点が得られる。
【0030】
別の利点は、それによって、規定された走行サイクル数内において自動車の排ガス関連装置の場合によっては起こり得る機能不良を検知できることである。
【0031】
別の利点は、当局により要求される診断頻度の遵守を保証できる自動車が提供できることである。
【0032】
別の利点は、排ガス特性を持続的に検査できることである。
【0033】
別の同列の請求項の対象はここで、本発明による装置のためのコンピュータプログラム製品に関し、この装置は、本発明による何れかの方法に基づき動作することが可能である。
【0034】
本発明による教唆によって、本方法を特に効率的かつ自動的に実施できるとの利点が得られる。
【0035】
別の同列の請求項の対象はここで、本発明によるコンピュータプログラム製品を有するデータ媒体に関する。
【0036】
本発明による教唆によって、本方法を実施する装置、システム及び/又は自動車に本方法を特に効率的に分散又は分担させることができるとの利点が得られる。
【0037】
以下において本発明の実施形態を詳しく説明する前に、先ずは本発明がここで述べる構成要素又はここで述べる方法の工程に限定されないことに留意すべきである。更に、ここで使用する技術も限定を表すのではなく、単に例示する性質を有する。ここで、本明細書及び請求項において単数形が使用されている場合、文脈がそのことを明示的に排除しない限り、それぞれ複数形も含まれる。場合によっては有り得る方法の工程は、文脈がそのことを明示的に排除しない限り、自動的に実施することができる。本方法の相応の工程は、本装置の相応の特性を生み出すことができるとともに、その逆も可能であり、そのため、文脈がそのことを明示的に排除しない限り、本方法の特徴の本装置の特徴への変換及びその逆の変換が可能である。
【0038】
以下において、本発明による方法の別の実施例を説明する。
【0039】
第一の実施例では、本方法は、更に以下の工程を有する。自動車のさらに別のオンボード診断機能を監視する工程であって、このさらに別のオンボード診断機能が自動車の排ガス特性に関連する機能である工程。自動車のさらに別のオンボード診断機能に関するさらに別の走行カウンタを設ける工程。さらに別の診断カウンタと走行カウンタを適切に組み合わせることによって、さらに別の診断頻度実際値を算出する工程。診断頻度目標値に対する診断頻度実際値のさらに別の差分を算出する工程。診断頻度目標値に対するさらに別の診断頻度実際値の差分を算出する工程。この診断頻度目標値に対するさらに別の診断頻度実際値の算出した差分がさらに別の差分閾値を下回った場合に、制御方法群からの一つの制御方法の選定が、更に、さらに別のオンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはさらに別のオンボード診断機能の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに更に適した制御方法を選定することを含む工程。更に、本方法はここで、さらに別のオンボード診断機能のオンボード診断の終了後に、さらに別のオンボード診断機能の診断カウンタの値をインクリメントする工程を有する。
【0040】
この実施形態は、複数のオンボード診断機能に対して相応の制御方法を提供できるとの利点を有する。
【0041】
別の実施例では、本方法は更に、自動車の現在の走行状況を監視する工程を有する。ここで、制御方法群からの一つの制御方法の選定は、現在の走行状況に基づき行なわれる。更に、制御方法群からの一つの制御方法の選定が行われるのは、このとき、オンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに現在の走行状況が適しているという結果を現在の走行状況の監視が示す場合のみである。
【0042】
この実施形態は、診断を実施するための一つの制御方法の選定が、必要性の調査に加えて、有意性の調査を実施するとの利点を有する。それによって、進行している診断及び/又は開始すべき診断の完全な診断の履行を実施できるようにするために、診断がより有意義に開始できるか、或いは制御方法がより有意義に選定できる。
【0043】
別の実施例では、本方法は更に、オンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断が存在する場合に、制御方法群からの一つの制御方法の選定が、そのオンボード診断機能の現在進行しているオンボード診断の診断進捗状態に基づき行なわれるとの特徴を有する。
【0044】
この実施形態は、選定すべき制御方法が既に現在進行している診断を考慮するとの利点を有する。
【0045】
別の実施例では、本方法は更に、診断頻度実際値の算出が走行カウンタによる診断カウンタの除算を有する。そして、さらに別の診断頻度実際値が存在する場合に、そのさらに別の診断頻度実際値の算出が、走行カウンタによるさらに別の診断カウンタの除算を有する。
【0046】
この実施形態は、本方法が診断頻度目標比率に関しても実施可能であるとの利点を有する。
【0047】
別の実施例では、本方法は更に、オンボード診断機能又はさらに別のオンボード診断機能の相応のオンボード診断が、自動車の排ガス関連装置の機能性能の診断を含むとの特徴を有する。
【0048】
この実施形態は、排ガス関連装置が正しく機能することを監視できるとの利点を有する。
【0049】
別の実施例では、本方法は更に、制御方法群が以下のものの中の一つ以上を有する。自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置のエネルギー源(燃料・電気)の供給停止(Schubabschaltung)及び/又はエネルギー源の供給開始(Schubeinschaltung)を要求するエネルギー源供給制御方法。自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置のオンボード診断に必要な回転トルク範囲を用意する回転トルク制御方法。自動車のオンボード診断に必要な速度範囲であって、自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が相応の出力を提供することが許される速度範囲を制限する速度制御方法。自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の負荷ポイント(Lastpunkt)を移動させる負荷ポイント移動方法。自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の停止阻止及び/又は始動要求を実施する駆動切換方法。
【0050】
これらの方法の用い方は、適切な適用パラメータによって必ず設定可能とされている。
【0051】
この実施形態は、要求される診断頻度を保証するために、広範な制御方法を利用できるとの利点を有する。
【0052】
さらに別の利点は、要求される診断頻度を保証するために、オンボード診断機能の形式に応じて、それに対応する制御方法を選定できることである。
【0053】
例えば、クランクケースのエア抜き管路における漏れを検出するPCV診断は、その漏れが空気流量全体と比べて小さくなり過ぎないようにするために、非常に低い負荷による内燃機関の動作点を必要とする。これら二つの空気流量の有利な比率は、内燃機関のアイドリング、燃料供給による推進(im befeuerten Schub,)あるいは燃料供給しない推進(im unbefeurten Schub)において得られる。
【0054】
別の実施例では、本方法は更に、エネルギー源の供給停止(Schubabschaltung)を要求するエネルギー源供給制御方法が、自動車のスタート・ストップ自動制御及び/又は自動車の駆動装置およびさらに別の駆動装置のトルク調整に基づき行なわれるとの特徴を有する。
【0055】
この実施形態は、不向きな走行状況においても、要求される診断頻度を保証可能にするために、エネルギー源供給制御方法を利用できるとの利点を有する。
【0056】
この実施形態は、更に、現在の走行状況が基本的には不向きであるにも関わらず、クランクケースのエア抜き管路における漏れを検出するPCV診断を実行できるとの利点を有する。
【0057】
これに対応する走行状況の幾つかの例を以下に挙げる。
【0058】
[例1]
現在の走行状況が速度>50km/h及びバッテリ充電状態SOC>5%:
・スタート・ストップ自動制御及びトルク調整によるエネルギー源の供給停止の要求。
・要求無しのときの動作:内燃機関の保留。
【0059】
[例2]
現在の走行状況が速度>50km/h及びSOC<5%:
・スタート・ストップ自動制御を用いた燃料供給による推進とトルク調整による充電トルク(Lademoment)の制限の要求。
・要求無しのときの動作:大きな充電トルクを伴う燃料供給による推進(そのため、診断の実施が不可能となる)。
【0060】
[例3]
現在の走行状況がストップ&ゴー走行:
・モータ始動と内燃機関のアイドリング状態での充電トルクの制限の要求。
・要求無しのときの動作:内燃機関の停止、或いはSOCが低い場合、大きな充電トルクでの充電。
【0061】
例えば、内燃機関による走行時の触媒コンバータの診断は、モータ近傍の触媒コンバータの酸素蓄積能力を計測する。それは、所定の負荷範囲内と十分に高い触媒温度においてのみ実行できる。
【0062】
別の実施例では、本方法は更に、自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の回転トルク範囲であって、オンボード診断に必要な回転トルク範囲を用意する回転トルク制御方法が、モータによる回転トルクの補償及び/又は発電機による回転トルクの補償に基づき行なわれるとの特徴を有する。
【0063】
この実施形態は、不向きな走行状況においても、要求される診断頻度を保証可能にするために、回転トルク制御方法を利用できるとの利点を有する。
【0064】
この実施形態は、更に、現在の走行状況が基本的には不向きであるにも関わらず、内燃機関による走行中の触媒コンバータの診断を実行できるとの利点を有する。
【0065】
これに対応する走行状況の一つの例を以下に挙げる。
【0066】
現在の走行状況が一定速度>50km/h及び車両がハイブリッド走行(Charge Sustaining Betrieb)状態:
・内燃機関に対する所望トルク範囲の要求。
・診断が続いている間の内燃機関の動作が許される最小トルクと最大トルクが与えられる。
・電気機械(E-Maschine)のモータトルク又は発電機トルクによる補償。
・要求無しのときの動作:負荷変動によって、診断が中断され得る。
【0067】
別の実施例では、本方法は更に、オンボード診断に必要な自動車の速度範囲であって、自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が相応の出力を提供することが許される速度範囲を制限する速度制御方法が、駆動装置又はさらに別の駆動装置としての電気式駆動部の最大走行速度の制限と、駆動装置又はさらに別の駆動装置としての内燃式駆動部の最大走行速度の制限との少なくともいずれかに基づき行なわれるとの特徴を有する。
【0068】
この実施形態は、不向きな走行状況においても、要求される診断頻度を保証可能にするために、速度制御方法を利用できるとの利点を有する。
【0069】
これに対応する走行状況の一つの例を以下に挙げる。
【0070】
現在の走行状況が一定速度>50km/h及び車両がプラグイン走行状態:
・内燃機関による走行において診断を実行できるようにするために、電気による最大走行速度(最大EV走行速度)(E-Fahrgeschwindigkeit)を一時的に低下させることを要求する。
・要求無しのときの動作:内燃機関が停止しており、診断を実行することができない。
【0071】
例えば、TEV診断は、タンクエア抜き弁及びその弁と繋がった配管を漏れ又は動かない弁に関して調査するものである。第一の導入箇所(Einleitstelle)は、内燃機関の自然吸気エンジンによる運転における負圧によって動作する。第二の導入箇所は、充電動作においてのみ負圧を形成し、また、この高い動作点でのみ診断することができる。
【0072】
別の実施例では、本方法は更に、自動車の駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置の負荷ポイントを移動させる負荷ポイント移動方法が、駆動装置又はさらに別の駆動装置としての内燃式駆動部の負荷ポイント上昇又は負荷ポイント低下に基づき行なわれるとの特徴を有する。
【0073】
この実施形態は、不向きな走行状況においても、要求される診断頻度を保証可能にするために、負荷ポイント移動方法を利用できるとの利点を有する。
【0074】
これに対応する走行状況の一つの例を以下に挙げる。
【0075】
現在の走行状況が、診断許可の行なわれる負荷閾値に到達する直前の加速:
負荷ポイントの上昇、それによるバッテリの充電を、内燃機関による負荷を数秒間上昇させるために要求。
要求無しのときの動作:診断を実行するには内燃機関の動作点が低過ぎる。
【0076】
別の実施例では、本方法は更に、自動車の駆動装置が内燃機関を備えるとの特徴を有し、更に、自動車のさらに別の駆動装置が電気モータを備えるとの特徴を有する。本方法は更に、この駆動装置及び/又はさらに別の駆動装置が、自動車の走行のために相応の駆動出力を提供するように構成されているとの特徴を有する。
【0077】
この実施形態は、本方法がハイブリッド式車両に採用可能であるとの利点を有する。
【0078】
別の実施例では、本方法は更に、選定された制御方法が、自動車の使用者の相応の操作により中断可能であり、それによって、制御方法の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻すことが開始されるとの特徴を有する。
【0079】
この実施形態は、自動車の使用者が自身の自動車の駆動動作に関する最終的な管理を司るとの利点を有する。
【0080】
別の実施例では、本方法は更に、制御方法群から一つの制御方法を選定する場合に、自動車の使用者が相応の制御方法に気付けることを考慮するとの特徴を有する。
【0081】
この実施形態は、状況に応じて、要求される診断頻度を保証するのに、車両の使用者が、自身の走行習慣に殆ど制限を受けない相応の制御方法を選定することができるとの利点を有する。
【0082】
さらに別の利点は、状況に応じて、相応の最善の制御方法を選定できることであり、その制御方法はこの場合、車両の使用者が、自身の走行習慣に出来る限り制限を受けないという要望と、相応の診断頻度を保証するという要求との間の最適条件を満たす。
【0083】
本発明はこうして、自動車内にある排ガス関連装置の診断に対して要求される診断頻度を保証することを可能にする。本発明は更に、自動車の各排ガス関連装置の相応の診断に対して要求される診断頻度を保証することを可能にする。この場合、自動車の駆動装置に対する要求に応じた最適な制御方法を選定することができることで、相応の排ガス関連装置の相応の診断を成功裏に実施できる、即ち終了できることが保証されるようになり、要求される診断頻度を保証できることが確実になる、或いは、所定の許容される差分値について、要求される診断頻度を平均して遵守できることが確実になる。如何なる差分閾値が規定されるのかに応じて、要求される診断頻度を下回らないことを保証できる。
【0084】
従って、実際の状況が診断介入を必要とし、有意義であると思われる場合に、診断の実行を支援する正しい方法を本発明の目的に適う形で選定することができる。
【0085】
この場合、診断の実行を支援する方法は、現在の走行状況及び支援すべき診断に基づき選定することができる。
【0086】
従って、診断マネージャは、介入が必要かどうか、また有意義かどうかを決定することができ、実際に必要な診断と自動車の現在の走行状況に応じた方式を選定することができる。この方式は、先ずは、相応の駆動部のSSAとも称されるスタート・ストップ自動制御を用いた方式、トルク調整、即ちSOC制御とも称されるバッテリ充電状態に応じた制御方式、或いはEV走行方式とも称される電気モータ走行方式に分けることができる。SSAを用いた方式はこのとき、例えば、制御方法として、エネルギー源の供給停止方式、停止阻止方式又は作動開始要求方式を有することができる。SOC方式は、例えば、制御方法として、燃料供給推進方式(Befeuerte-Schub-Strategie)と所望トルク範囲方式を有することができる。EV走行方式(E-Fahrstrategie)は、例えば、制御方法として、EV走行特徴方式(E-Fahrauspraegungsstrategie)と最大EV走行速度方式(E-Fahrgeschwindigkeitsstrategie)を有することができる。
【0087】
以下に、図面を用いて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】本発明の一実施例による提案方法の概略図である。
図2】本発明の別の実施例による提案方法の概略図である。
図3】本発明の別の実施例による提案方法の概略図である。
図4】本発明の別の実施例による提案装置の概略図である。
図5】本発明の別の実施例による提案自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、本発明の一つの実施例による提案方法の概略図を表している。
【0090】
図1はここでは、自動車100、有利には、ハイブリッド式自動車、特に、プラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する、自動車のための方法の概略図を表している。この方法は、自動車100のオンボード診断機能110を監視する工程10であって、このオンボード診断機能110が、自動車の排ガス特性に関連する機能である工程を有している。また、走行カウンタ120を設ける工程20であって、この走行カウンタ120が自動車100の走行回数を表す工程を有している。また、自動車100のオンボード診断機能110であって、監視10の対象のオンボード診断機能110のための診断カウンタ130を設ける工程30を有している。また、診断頻度目標値140を設ける工程40を有している。また、自動車100の一つの走行サイクルが開始して自動車100の予め設定された走行期間が経過したら走行カウンタ120の値をインクリメントする工程50を有している。診断カウンタ130と走行カウンタ120を適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値160を算出する工程60を有している。また、診断頻度目標値140に対する診断頻度実際値160の差分を算出する工程70を有している。そして、診断頻度目標値140に対する診断頻度実際値160の算出した差分が差分閾値を下回った場合に、この方法は更に、制御方法群から一つの制御方法170を選定する工程75であって、この制御方法群の各制御方法170が、自動車100の駆動原動機の相応の原動機駆動制御形態を表す工程を有している。このとき、選定された制御方法170が、オンボード診断機能110の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能110の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法である工程を有している。そして、この方法は、オンボード診断機能110のオンボード診断の終了後に、オンボード診断機能110の診断カウンタ130の値をインクリメントする工程80を有している。また、制御方法170の選定前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す工程90を有している。
【0091】
図2は、本発明の別の実施例による提案方法の概略図を表している。
【0092】
図2はここで、図1に対して更に発展させた方法の概略図を表している。従って、図1に関して前に述べたことは、図2にも有効である。
【0093】
図2は、図1に基づく方法を示しており、この方法は更に、自動車100のさらに別のオンボード診断機能115を監視する工程15であって、このさらに別のオンボード診断機能115が自動車100の排ガス特性に関連する機能である工程を有している。また、自動車100のさらに別のオンボード診断機能115に関するさらに別の走行カウンタ135を設ける工程35を有している。また、さらに別の診断カウンタ135と走行カウンタ120を適切に組み合わせることによって、さらに別の診断頻度実際値165を算出する工程65を有している。また、診断頻度目標値140に対するさらに別の診断頻度実際値165のさらに別の差分を算出する工程75を有している。そして、この診断頻度目標値140に対するさらに別の診断頻度実際値165の算出されたさらに別の差分が、さらに別の差分閾値を下回った場合に、この方法は更に、制御方法群からの一つの制御方法170の選定75が、さらに別のオンボード診断機能115の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはさらに別のオンボード診断機能115の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した制御方法を選定することを含む工程を有している。また、この方法は更に、さらに別のオンボード診断機能115のオンボード診断の終了後に、さらに別のオンボード診断機能115のさらに別の診断カウンタの値をインクリメントする工程85を有している。
【0094】
図3は、本発明の別の実施例による提案方法の概略図を表している。
【0095】
この場合、図3は、図1及び図2に対して更に発展させた方法の概略図を表している。従って、図1及び図2に関して前に述べたことは、図3にも有効である。
【0096】
図3は、図1による方法を示しており、この方法は更に、自動車100の現在の走行状況180を監視する工程70を有する。この場合、制御方法群からの一つの制御方法170の選定75は、現在の走行状況180に基づき行なわれる。この場合、制御方法群からの一つの制御方法170の選定75は、現在の走行状況180の監視17が、現在の走行状況180がオンボード診断機能110の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能110の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適した方法であることを示す場合にのみ行なわれる。
【0097】
図4は、本発明の別の実施例による提案装置の概略図を表している。
【0098】
図4はここで、自動車100、有利には、ハイブリッド式自動車、特に、プラグインハイブリッド式自動車の排ガス特性の品質を保証する提案装置の概略図を表している。この装置は、自動車100の排ガス関連装置の動作性能のオンボード診断のためのオンボード診断機能110を備えたオンボード診断装置205を有している。また、自動車100のオンボード診断装置205のオンボード診断機能110を監視する監視装置210を有している。また、走行カウンタ120を設ける装置220を有しており、この走行カウンタ120が自動車100の走行サイクル数を表す。このとき、走行カウンタ120を設ける装置220は、走行カウンタ120の値をインクリメントすることが可能であるように構成されている。この自動車の排ガス特性の品質を保証する装置200は、更に、自動車100の、監視10の対象のオンボード診断機能110のために、診断カウンタ130を設ける装置230を有している。診断カウンタ130を設ける装置230はここで、オンボード診断機能110の診断カウンタ130の値をインクリメントすることが可能であるように構成されている。この自動車の排ガス特性の品質を保証する装置200は、更に、診断頻度目標値140を設ける装置240を有している。また、診断カウンタ130と走行カウンタ120を適切に組み合わせることによって、診断頻度実際値160を算出する装置260を有している。また、診断頻度実際値160を診断頻度目標値140と比較する比較装置250を有している。また、制御方法群から一つの制御方法170を選定70する選定装置270を有しており、この制御方法群の各制御方法170が、自動車100の駆動原動機の相応の原動機駆動制御形態を表している。この選定された制御方法170は、オンボード診断機能110の現在進行しているオンボード診断を成功裏に終了させるか、或いはオンボード診断機能110の未進行のオンボード診断を成功裏に開始させて終了させるのに適している。自動車の排ガス特性の品質を保証する装置200は、更に、制御方法170の選定70前の状態に対応する元の原動機駆動制御形態に原動機駆動制御形態を戻す装置280を有している。自動車の排ガス特性の品質を保証する装置200はここで、本発明による何れかの方法を実施するように構成されている。
【0099】
図5は、本発明の別の実施例による提案自動車の概略図を表している。
【0100】
ここで、図5は、提案の自動車100の概略図を表している。自動車100はここで、本発明による装置200を有している。この場合、この装置200は、本発明による何れかの方法を実施するように構成されている。図5では、自動車は例えば図4による装置200を有する。
【0101】
本発明の考えは、以下の通り要約することができる。排ガス関連装置の診断の所望の診断頻度を遵守することを可能にする方法、それに関する装置及びそれに関する自動車が提供される。そのような遵守すべき診断頻度はこのとき、当局によって要求、規定又は決定されているのでもよい。
【0102】
一つの例は、このとき、米国官庁の要求であることが考えられる。この要求では、全ての米国車両登録に対して、毎年この種の診断頻度が常に遵守されなければならない。
【0103】
そのため、然るべき米国官庁は、車両に多数のオンボード診断機能、所謂OBD機能を求める。これは、同じくプラグインハイブリッド車、所謂PHEVのための構成要素である。
【0104】
ODB診断は、明確に定義された開始条件ないし停止条件を有する。一つの診断は、要求された条件が最小時間の間存在した場合に、成功裏に実行される。
【0105】
以下の条件が、大抵の診断に関連している:
-内燃機関による走行
-内燃機関の動作点
-内燃機関の燃料供給による或いは燃料供給によらない推進
【0106】
しかし、ハイブリッド式駆動、特に、プラグインハイブリッド式駆動の場合、しばしば、これらの主要条件が制限される。内燃機関による走行(VM(Verbrennungsmotor)走行(内燃機関走行))が、電気による走行によって中断されるか、或いは短い時間過ぎると停止される。このVM負荷範囲は、SOC制御、運転者の要望及びそれらと同等の事項などの境界条件によって変更され、エネルギー源の供給停止フェーズは、速度が速い場合でも、大抵は内燃機関の保留によって、対象外となる。
【0107】
この診断マネージャは、正にこの場合に介入して、車両の走らせ方への狙いを定めた介入によって、診断マネージャを支援する。この場合、介入は、顧客により認知可能な車両特性への影響を小さくすることを可能にし、それに関連して、二酸化炭素排出量の増加をさほど引き起こさないことを可能にする。そのような走行の仕方ないし制御方法の例はこのとき、回転トルク制御方法としての所謂所望トルク範囲であり、運転者の要望が診断の負荷範囲を上回るか、或いは下回った場合、診断は停止されて、その後、大抵は再び開始しなければならない。
【0108】
内燃機関の一時的なトルク制限によって、それを避けることができる。そして、運転者の所望トルクとVMトルクの間の差は、トラクション機械によって利用される。
【符号の説明】
【0109】
10 オンボード診断機能の監視
15 さらに別のオンボード診断機能の監視
17 自動車の現在の走行状況の監視
20 走行カウンタの設定
30 診断カウンタの設定
35 さらに別の診断カウンタの設定
40 診断頻度目標値の設定
50 走行カウンタのインクリメント
60 診断頻度実際値の算出
65 さらに別の診断頻度実際値の算出
70 診断頻度目標値に対する診断頻度実際値の差分の算出
75 診断頻度目標値からのさらに別の診断頻度実際値のさらに別の差分の算出
75 制御方法の選定
80 診断カウンタのインクリメント
90 原動機駆動制御形態への戻し
100 自動車
110 オンボード診断機能
115 さらに別のオンボード診断機能
120 走行カウンタ
130 診断カウンタ
135 さらに別の診断カウンタ
140 診断頻度目標値
160 診断頻度実際値
165 さらに別の診断頻度実際値
170 制御方法
180 現在の走行状況
200 排ガス特性の品質保証装置
205 オンボード診断装置
210 監視装置
220 走行カウンタ設定装置
230 診断カウンタ設定装置
240 診断頻度目標値設定装置
250 比較装置
260 診断頻度実際値算出装置
270 選定装置
280 原動機駆動制御形態戻し装置
図1
図2
図3
図4
図5