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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】リラクタンスアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/12 20060101AFI20220202BHJP
   H01F 7/14 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H02K33/12
H01F7/14 E
H01F7/14 F
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2019543072
(86)(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 DE2018200009
(87)【国際公開番号】W WO2018145704
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】102017202182.9
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592093648
【氏名又は名称】マイクロ-エプシロン・メステヒニク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】MICRO-EPSILON MESSTECHNIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG & COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュウィッタ―、 ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】チェンザス、 エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】スクラープ、 ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ショップ、 トビアス
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-542174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233012(US,A1)
【文献】特表2002-505789(JP,A)
【文献】特開2000-232699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/12
H01F 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁化可能なステータと、
前記ステータ内に磁束を生成するように構成される少なくとも1つのコイルと、
前記ステータ内に生成された磁束の磁気回路の少なくとも一部を構成するヨークと、
を含み、
前記ステータは、少なくとも
内側磁極片、
一対の外側磁極片、及び、
前記内側磁極片と前記外側磁極片とを磁気的に接続するステータ接続片
を備え、
前記ヨークが撓み要素によって固定されており、
前記撓み要素が、
内側領域と、
外側領域と、
前記内側領域と前記外側領域とを複数箇所で互いに接続するサスペンション領域と
を有し、
前記コイルが前記一対の外側磁極片の少なくともいずれか一方に設けられ、
前記ステータには、バイアス磁束を発生させるための永久磁石が設けられ、
前記外側磁片に設けられた前記コイルが発生する磁束が、前記永久磁石によって前記ステータ内に発生された磁束を増加または減少させることにより、前記ヨークが可動要素として傾斜動作することを特徴とするリラクタンスアクチュエータ。
【請求項2】
前記ステータ接続片が、少なくとも1つの軸に沿って延存する形状であり、
前記ステータの前記内側磁極片と前記外側磁極片と前記ステータ接続片とを含む断面が、前記ステータ接続片に、前記軸に沿ってそれぞれ間隔を空けて2つの前記外側磁極片と1つの前記内側磁極片とが接続されたE字型であることを特徴とする、請求項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項3】
前記ステータ接続片が、互い対して特定の角度で交差する2つの軸のそれぞれに沿って延存する形状であり、
前記ステータの前記内側磁極片と前記外側磁極片と前記ステータ接続片とを含み、かつ、前記各軸を含む2つの断面がそれぞれE字型の断面であり、前記2つの軸の間の角度が、90°であることを特徴とする、請求項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項4】
前記各軸は前記内側磁極片の位置において交差しており、前記各E字型断面における中側磁極片は共通であることを特徴とする、請求項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項5】
前記ヨークが平面状であり、
前記コイルが、前記ヨークの表面に対して実質的に直角であるコイル軸を備え、
前記ステータが、前記コイルの内側に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項6】
前記永久磁石からなる領域が、前記ステータの前記内側磁極片に接して配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項7】
前記永久磁石からなる領域が、前記ステータの前記ステータ接続片の領域内に配置されることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項8】
前記撓み要素が、内側領域と外側領域とサスペンション領域とを有し、
前記内側領域と外側領域が、前記サスペンション領域を介して互いに接続されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項9】
前記撓み要素の材質が、アルミニウムまたはチタンであることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項10】
前記可動要素が、前記撓み要素に、直接接続されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項11】
前記可動要素と前記撓み要素とが、一体で形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項12】
前記可動要素が強磁性鋼できていることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項13】
前記撓み要素または前記可動要素が、少なくとも部分的に鏡面塗装されており、当該鏡面塗装を光学機械のミラーとして利用することを特徴とする、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項14】
前記可動要素が、前記ステータの内側磁極片の中心にベアリングによって取り付けられ、
前記ベアリングが、ボールベアリングか、硬質金属またはサファイアからなる端部形態の点軸受か、撓み梁の形態か、であることを特徴とする、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項15】
前記可動要素が、空隙によって、前記ステータから間隔を空けて配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項16】
前記ステータ接続片が、互い対して特定の角度で交差する2つの軸のそれぞれに沿って延存する形状であり、
前記ステータが、2つの前記外側磁極片が対向して対をなし、2対からなる4つの外側磁極片を備え、
前記コイルが、各対の一方の前記外側磁極片に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項17】
前記ステータが、層状の積層鋼板であることを特徴とする、請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項18】
前記ステータの前記外側磁極片のみが、複数の絶縁層でできていることを特徴とする、請求項17に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項19】
前記ステータの前記内側磁極片が、円筒状であることを特徴とする、請求項1乃至18にいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項20】
前記ヨークが、強磁性であることを特徴とする、請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項21】
前記ヨークが、鋼でできていることを特徴とする、請求項1乃至請求項20のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項22】
前記可動要素が、円形、楕円形、または、星型のディスクとして構成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項21のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項23】
前記ステータ接続片が、少なくとも1つの軸に沿って延存する形状であり、
前記ディスクが、前記軸に沿って対称であることを特徴とする、請求項22に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項24】
前記サスペンション領域が、4つ配置され、
前記サスペンション領域のそれぞれの複数の固定点が、前記撓み要素の内側領域と外側領域とに、それぞれ周方向に90°オフセットして位置することを特徴とする、請求項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項25】
前記サスペンション領域の形状が、少なくとも部分的に、前記内側領域および/または前記可動要素の外側輪郭に沿う形状となるように構成されていることを特徴とする、請求項8又は請求項24に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項26】
前記ヨークが、前記ステータ内に生成された磁束の磁気回路の横方向の外側端部を実質的に形成することを特徴とする、請求項1乃至請求項25のいずれか一項に記載のリラクタンスアクチュエータ。
【請求項27】
リラクタンスアクチュエータを含むアクチュエータシステムであって、
前記リラクタンスアクチュエータが、請求項1乃至請求項26のいずれか一項に従って構成され、かつ、非磁性ハウジング内に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、アクチュエータシステム。
【請求項28】
フィードバックと制御とを行う装置が、前記可動要素の軸周りの動作を制御するために、前記リラクタンスアクチュエータに配置および接続されていることを特徴とする、請求項27に記載のアクチュエータシステム。
【請求項29】
前記フィードバックと制御とを行う装置が、位置測定ユニット、電流増幅ユニットもしくは電圧増幅ユニット、および/または、出力電流測定ユニットを含み、
前記フィードバックと制御とを行う装置が、前記位置測定ユニットの測定信号および/または出力電流測定ユニットの測定信号に基づき、電流増幅ユニットもしくは電圧増幅ユニットの制御を行うことを特徴とする、請求項28に記載のアクチュエータシステム。
【請求項30】
磁化可能なステータと、
前記ステータ内に磁束を生成するように構成される少なくとも1つのコイルと、
前記ステータ内に生成された磁束の磁気回路の少なくとも一部を構成するヨークと、
を含み、
前記ステータは、少なくとも
内側磁極片、
一対の外側磁極片、及び、
前記内側磁極片と前記外側磁極片とを磁気的に接続するステータ接続片
を備え、
前記ヨークが撓み要素によって固定されており、
前記撓み要素が、
内側領域と、
外側領域と、
前記内側領域と前記外側領域とを複数箇所で互いに接続するサスペンション領域と
を有し、
前記コイルが前記一対の外側磁極片の少なくともいずれか一方に設けられ、
前記ステータには、バイアス磁束を発生させるための永久磁石が設けられたリラクタンスアクチュエータの前記ヨークを可動要素として傾斜動作をする方法であって、
前記外側磁片に設けられた前記コイルが発生する磁束が、前記永久磁石によって前記ステータ内に発生された磁束を増加または減少させることにより、可動要素の傾斜動作を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化可能なステータと、ステータ内に磁場を生成するよう構成される少なくとも1つのコイルと、ステータの磁束を少なくとも部分的に閉じるヨークと、を含むリラクタンスアクチュエータに関する。
【0002】
さらに、本発明は、リラクタンスアクチュエータを含むアクチュエータシステムに関する。
【0003】
さらに、本発明は、リラクタンスアクチュエータの可動要素の持ち上げ動作および傾斜動作を実行する方法に関する。
【0004】
本発明は、任意の種類のシステムに適用可能であるが、光学要素用のアクチュエータシステムに関して説明されている。
【背景技術】
【0005】
既知の光学機械式の持ち上げ/傾斜システム、たとえば、高速ステアリングミラー(FSM)は、多くの用途で使用されている。
他の既知のアクチュエータシステムは、ローレンツアクチュエータ、又は、ピエゾアクチュエータに基づいている。
ローレンツアクチュエータは、例えば、非特許文献1から知られており、ピエゾアクチュエータは、例えば、非特許文献2から知られている。
【0006】
ローレンツアクチュエータは、最大2度の大きなスキャン範囲を有するシステムで使用されるが、帯域幅は、わずか数100Hzに制限される。
反対に、ピエゾアクチュエータは、高帯域幅(最大数kHz)のシステムで使用されるが、スキャン範囲が狭く、通常は、わずか数mradのスキャン範囲である。
【0007】
リラクタンスアクチュエータは、ローレンツアクチュエータよりも力密度が高く、ピエゾアクチュエータよりもスキャン範囲が広い。
リラクタンスアクチュエータは、さまざまな分野の用途、例えば、高速ステアリングミラーシステムの回転動作で使用されている。
【0008】
ただし、2軸周りに傾斜する可動要素の周囲に2つの異なるアクチュエータペアを配置することで、可動要素の急速な加速が可能になる一方で、リラクタンスアクチュエータの設置スペースが、大幅に増加し、達成可能な(傾きの)最大光学角度が、大幅に制限されるという短所がある。
他のリラクタンスアクチュエータは、たとえば、非特許文献3および非特許文献4から知られている。
【0009】
これらの既知のすべてのリラクタンスアクチュエータは、4つの異なるリラクタンスアクチュエータ、または、2つのアクチュエータペアがそれぞれ可動要素の周囲に配置されるため、設置スペースが大幅に増加すると同時に、達成可能な(傾きの)最大光学角度が大幅に制限される。
これにより、潜在的な用途や使用が、最終的に大幅に制限される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】M.Hafez、T.Sidler、R.Salathe、G.JansenおよびJ.Cоmpter、「コンパクトな単一鏡傾斜レーザースキャナの設計、シミュレーション、実験および調査(Design and simulations and experimental and investigations of a compact single mirror tip/tilt laser scanner)」、Mechatronics、第10巻、741―760ページ、2000年
【文献】F.M.Tapos、D.J.Edinger、T.R.Hilby、M.S.Ni、B.C.HolmesおよびD.M.Stubbs「高帯域幅高速ステアリングミラー(High bandwidth fast steering mirror)」、Optomechanics 200、Proceedings of SPIE 第5877巻、2005年
【文献】M.Boulet「航空および航空宇宙用途向けの小型高速ステアリングミラーの設計(Design of a small fast steering mirror for airborne and aerospace applications)」マサチューセッツ工科大学修士論文(Master’s Thesis, Massachusetts Institute of Technology)、2008年
【文献】Y.Long、C.Wang、X.Dai、X.Wei、およびS.Wang「高速ステアリングミラー用の新しい2軸回転電磁アクチュエータのモデリングと解析(Modeling and analysis of a novel two-axis rotary electromagnetic actuator for fast steering mirror)」、Journal of Magnetics、第19巻、第2号、130-139ページ、2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、コンパクトな設計を有し、柔軟に使用可能で高帯域幅および大きな傾きを可能にし、同時に信頼性が高いリラクタンスアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、磁化可能なステータと、
前記ステータ内に磁束を生成するように構成される少なくとも1つのコイルと、
前記ステータ内に生成された磁束の磁気回路の少なくとも一部を構成するヨークと、
を含み、
前記ステータは、少なくとも
内側磁極片、
一対の外側磁極片、及び、
前記内側磁極片と前記外側磁極片とを磁気的に接続するステータ接続片
を備え、
前記ヨークが撓み要素によって固定されており、
前記撓み要素が、
内側領域と、
外側領域と、
前記内側領域と前記外側領域とを複数箇所で互いに接続するサスペンション領域と
を有し、
前記コイルが前記一対の外側磁極片の少なくともいずれか一方に設けられ、
前記ステータには、バイアス磁束を発生させるための永久磁石が設けられ、
前記外側磁片に設けられた前記コイルが発生する磁束が、前記永久磁石によって前記ステータ内に発生された磁束を増加または減少させることにより、前記ヨークが可動要素として傾斜動作するリラクタンスアクチュエータにおける上述の問題を解決する。
【0013】
また、本発明は、リラクタンスアクチュエータを含むアクチュエータシステムであって、前記リラクタンスアクチュエータが、請求項1乃至請求項28のいずれか一項に従って構成され、かつ、非磁性のハウジング内に、例えば、アルミニウム製ハウジング内に、少なくとも部分的に配置される、アクチュエータシステムにおける問題も解決する。
【0014】
また、本発明は、リラクタンスアクチュエータの可動要素の傾斜動作を実行する方法であって、前記リラクタンスアクチュエータが、磁化可能なステータと、前記ステータ内に磁場を生成するように構成されるコイルと、前記ステータの磁束を少なくとも部分的に閉じるヨークと、を含み、前記ヨークが、傾斜動作する可動要素として構成され、かつ、前記磁場を制御することで動作する、リラクタンスアクチュエータの可動要素の傾斜動作を実行する方法における上述の問題も解決する。
【0015】
これにより達成される利点は、ヨークがリラクタンスアクチュエータの実質的に外側の端部を形成するため、極端にコンパクトかつ非常に動的なリラクタンスアクチュエータを提供可能であることである。
この実施形態の別の利点は、可動要素(可動子とも呼ばれる)が磁気回路を閉じるヨークのみで構成される際、可動要素の質量が小さくなり、したがって、リラクタンスアクチュエータの帯域幅が広くなることである。
【0016】
ヨークが可動要素として構成される別の利点は、可動要素が、磁気回路を閉じるヨークの内部に空間的に配置されているのではなく、特に、リラクタンスアクチュエータの空間的な片側の端部を形成していることである。
言い換えると、ヨークが内部に配置される従来技術とは異なり、ヨークまたは可動要素は、実質的に外部に配置される。
したがって、たとえば、ヨークまたはコイルのいずれからも突出している部分がないため、既存の設置スペースを充分に活用できる。
言い換えると、可動要素は、アクチュエータ全体のほぼ最外部に配置されているため、リラクタンスアクチュエータの要素が可動部材を超えて突出しない。
【0017】
別の利点は、可動要素がステータおよびコイルに関して、横方向を広く覆っていることである。
リラクタンスアクチュエータの直径全体に対する可動要素の使用可能な表面の比率が非常に高い。
【0018】
「可動要素」という用語は、最も広い意味で解釈されるべきである。
「可動要素」という用語の同義語は、「可動子」または「回転子」という用語である。
本発明の意味における可動要素は、ヨークを形成することで磁力線を閉じ、かつ、「可動子」または「回転子」を形成するか、または、それらとして使用される。
可動要素は、コアを特に形成しない。
【0019】
本発明の他の実施形態は、以下に記載されるか、または、それにより明らかになる。
【0020】
前記ステータは、永久磁石からなる領域を備えている。
これは、ステータに磁気バイアスを生成する簡単な方法である。
【0021】
ステータ接続片が、少なくとも1つの軸に沿って延存する形状であり、ステータの内側磁極片と外側磁極片とステータ接続片とを含む断面が、ステータ接続片に、前記軸に沿ってそれぞれ間隔を空けて2つの外側磁極片と1つの内側磁極片とが接続されたE字型として形成されている。
断面がE字型のステータを使用すると、通常使用されるC字型のステータに比べて、リラクタンスアクチュエータ全体の直径を小さくすることが可能である。
【0022】
前記ステータ接続片が、互い対して特定の角度で交差する2つの軸のそれぞれに沿って延存する形状であり、前記ステータの前記内側磁極片と前記外側磁極片と前記ステータ接続片とを含み、かつ、前記各軸を含む2つの断面がそれぞれE字型の断面である。
これにより、簡単かつコンパクトな様式で、2つの軸周りの独立した傾斜が可能になる。
【0023】
前記2つの軸の間に形成される前記角度は、90°である。
これにより、x軸とy軸との周りを傾斜可能になる。
【0024】
前記コイルは、前記可動要素の傾き方向に対して実質的に直角であるコイル軸を備え、前記ステータが、前記コイルの内側に少なくとも部分的に配置されている。
特に、z方向に平坦な設計が有利である。
【0025】
各軸は内側磁極片の位置において交差しており、各E字型断面における中側磁極片は共通である。
これにより、単純かつコンパクトな設計が可能になる。
さらに、4つの外側磁極片の磁気バイアスが、内側磁極片上の1つの永久磁石からなる領域で実現可能である。
【0026】
前記永久磁石からなる領域は、ステータの内側磁極片に接して配置されている。
これは、ステータのすべての磁極片に磁気バイアスを生成する簡単な方法である。
【0027】
前記永久磁石からなる領域は、ステータの複数の前記磁極片を接続する前記領域の前記移行領域内に配置されている。
これにより、磁気バイアスを他の磁極片に特に信頼性高く伝送可能になる。
【0028】
前記可動要素は、撓み要素によって、前記リラクタンスアクチュエータのハウジング上に動作可能に配置されている。
これにより、可動要素を簡単に、かつ、同時に信頼性高く固定可能になる。
【0029】
前記撓み要素は、内側領域と外側領域と、少なくとも2つのサスペンション領域と、を有し、前記2つの領域が、前記少なくとも2つのサスペンション領域を介して互いに接続されている。
これにより、可動要素は、非常に信頼性が高くなり、柔軟に固定および動作が可能になる。
【0030】
前記撓み要素は、弾性材料、特に、ベリリウムおよび/またはプラスティックまたはアルミニウムおよび/またはチタンでできている。例えば、前記撓み要素の材質を、アルミニウムまたはチタンとすることができる。
これにより、可動要素の軽量化と、同時に信頼性の高い固定が可能になる。
【0031】
前記可動要素は、撓み要素に、特に、前記撓み要素の内側領域に直接接続されている。
これにより、費用対効果の高い製造と、撓み要素と可動要素との間の力の直接伝達と、撓み要素と可動要素との低慣性と、が可能になる。
【0032】
前記可動要素と撓み要素とは、一体構成されている。
これにより、製造作業が軽減される。
【0033】
前記可動要素と撓み要素とは、強磁性鋼で、特に、ばね鋼で、できている。
この点での利点は、コンパクトな設計となること、低慣性であること、および可動要素の回動点が表面近くに位置していることである。
【0034】
前記撓み要素または可動要素は、少なくとも部分的に鏡面塗装されている。
このようにすると、それぞれの要素自体が鏡として機能可能になり、鏡を追加で用いる必要がなくなることで、製造作業が軽減される。
【0035】
前記可動要素は、前記ステータの内側磁極片または中央磁極片の中心にベアリングによって取り付けられ、前記少なくとも1つのベアリングが、ボールベアリングか、硬質金属またはサファイアなどからなる端部形態の点軸受か、撓み要素の形態か、である。
これは、可動要素の傾斜運動を、回動点を定義することで可能にする、単純で費用対効果の高い方法である。
さらに、ステータの磁極片に実質的に平行に作用する力によって、z方向に作用する力を補償する。
【0036】
前記可動要素は、空隙によって、ステータから間隔を空けて配置されている。
これにより、可動性が確保され、ヨークまたは可動要素とステータとの間の磁気回路が、実質的に完全に閉じられることが保証される。
【0037】
前記ステータは、4つの外側磁極片を備え、コイルは、互いに対向して配置されている前記4つの外側磁極片のいずれか2つにそれぞれ配置されている。
これは、2つの軸に沿って可動要素を移動可能にする簡単な方法である。
コイルは、直列に切り替え可能である。
コイルが4つの磁極片すべてに配置されている場合、対向する2つのコイルを協働させることで、可動要素が1つの軸周りに動作するので、可動要素は、2つの軸周りに傾斜可能になる。
【0038】
前記ステータは、層状、例えば積層鋼板である。
これにより、渦電流が確実に防止され、リラクタンスアクチュエータの効率が向上する。
【0039】
前記ステータの外側磁極片のみは、複数の絶縁層でできている。
内側部は、強磁性材料から、例えば、固体材料から旋削することで作られてもよい。
【0040】
前記ステータの内側磁極片は、円筒状である。
これにより、各空間方向で均一な傾斜が保証される。
さらに、例えば、旋削することで、簡単に製造可能である。
【0041】
前記ヨークは、強磁性である。
これは、ヨークまたは可動要素それぞれに永久磁石が必要ないことを意味し、可動要素が軽量化される。
【0042】
前記ヨークは、鋼でできている。
これにより、ヨークによって磁気回路を信頼性高く閉じることができ、同時にヨークの耐用年数を長くすることができる。
【0043】
前記可動要素は、円形、楕円形、または、星型のディスクとして構成されている。
ディスク形状にすることで、可動要素の平坦な設計が可能になる。
したがって、可動要素の回動点は、その表面の近くになる。
これにより、必要なスペースが、非常にコンパクトになる。
ディスクの厚さに対するディスクの直径の比は、例えば、5と100,000との間であり、特に、10と10,000との間であり、特に、100と1,000との間であってもよい。
可動要素が星型のディスクとして構成されている場合、対向するコイルの磁束は、対向する星型アームによって生成される。
したがって、可動要素の質量は、小さくなる。
【0044】
前記ディスクは、1つの軸に沿って対称に形成されている。
これにより、可動要素を簡単に製造でき、同時に、信頼性高く傾斜可能になる。
【0045】
4つのサスペンション領域が配置され、前記サスペンション領域のそれぞれの複数の前記固定点が、前記可動要素の内側領域と外側領域とに、周方向に90°オフセットして位置する。
一方で、これにより、望まない自由度に沿った動きが、確実に制限される。
他方で、ほとんど剛性を持たないリラクタンスアクチュエータの負の剛性が、2つの所望の方向/自由度で補償される。
【0046】
前記サスペンション領域の形状は、少なくとも部分的に、前記撓み要素の内側領域の外側輪郭に従って、実質的に構成されている。
これにより、リラクタンスアクチュエータ全体をコンパクトかつ対称的に設計することが容易になる。
【0047】
フィードバックと制御とを行う装置は、前記可動要素の軸周りの動作を制御するために、アクチュエータシステムの近傍に配置され、前記リラクタンスアクチュエータに接続されている。
これは、可動要素の傾きを監視および制御する、簡単で信頼性の高い方法である。
【0048】
前記フィードバックと制御とを行う装置は、位置測定ユニット、特に、角度位置測定ユニット、電流増幅ユニットもしくは電圧増幅ユニット、および/または出力電流測定ユニットを含む。
例えば、フィードバックと制御とを行う装置が、位置測定ユニットの測定信号および/または出力電流測定ユニットの測定信号に基づき、電流増幅ユニットもしくは電圧増幅ユニットの制御を行う。
これらのユニットにより、リラクタンスアクチュエータの操作と制御のための重要な変数の測定が可能になる。
【0049】
前記ヨークは、前記リラクタンスアクチュエータの実質的に横方向の外側端部を形成する。
これにより、必要な設置スペースが、コンパクトになる。
【0050】
本発明の他の特徴は、従属請求項、図面に関連する説明から明らかである。
【0051】
上述の特徴および以下に説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された組み合わせだけでなく、任意の他の組み合わせまたは単独で使用可能なことが理解されるであろう。
本発明の実施形態は、図面に示され、以下の記載で説明される。
同様の参照記号は、類似または機能的に同一の構成要素または要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1a】本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図。
図1b】本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図。
図2】本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの動作モードの概略図。
図3】本発明の1実施形態による撓み要素を非傾き状態で示す図。
図4図3による撓み要素を傾き状態で示す図。
図5a】本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図。
図5b】本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図。
図6】本発明の1実施形態による撓み要素を非傾き状態で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1aは、本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図を示す。
【0054】
図1aは、ハイブリッドアクチュエータのシステム軸に沿った断面図を、その要素の一部とともに示す。
【0055】
リラクタンスアクチュエータは、円筒形のハウジングGを実質的に含む。
内側磁極片13に配置されている永久磁石2と、複数の外側磁極片14にそれぞれ配置されているコイル3とを有するE字型のステータ1が、ハウジングG内に配置されている。
磁気回路を閉じるために可動要素4として構成されているヨークが、ステータ1の上側に配置されている。
可動要素4は、撓み要素5または復元要素に直接接続されている。
この撓み要素5は、可動要素4の動きを3つの自由度に関して制限する。
さらに、可動要素4の回動点を決定し、可動要素4の動作を別の自由度で制限するボールベアリング7が、ステータ1の内側磁極片13の上端に配置されている。
【0056】
リラクタンスアクチュエータの、ある軸に沿ってE字型をしているステータ1の個々の内側磁極片13、外側磁極片14は、永久磁石2の下で相互に接続されている。
これにより、単一の磁気回路が生成され、システム全体に磁気バイアスをかけるために永久磁石2を使用可能になる。
本発明の実施形態の基本原理を説明するために、穴部6が、リラクタンスアクチュエータのハウジングGの撓み要素5の上の外周に配置されている。
穴部6は、例えば、センサの固定に使用してもよい。
このようなセンサの一例は、渦電流センサ8である。
【0057】
図1bは、本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図を示す。
【0058】
図1bは、図1aによるリラクタンスアクチュエータを実質的に示しているが、図1aによるリラクタンスアクチュエータとは異なり、図1bによるリラクタンスアクチュエータには、渦電流センサ8が示されていない。
しかし、撓み要素5をハウジングGに固定する固定リング17が示されている。
【0059】
図2は、本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの動作モードを概略的に示す。
【0060】
ステータ1の内側磁極片13には、均一なバイアス磁束50を生成する永久磁石2が配置されている。
このバイアス磁束50は、中心を通って、強磁性のステータ1の内側磁極片13と、ボールベアリング7によって形成される内側磁極片13と可動要素4との間の中央空隙9cと、を流れ、強磁性の可動要素4を通って、動作空隙9a、9bとステータ1の左右の外側磁極片14とをそれぞれ介して戻ってくる。
均一なバイアス磁束50は、図2の線50で示される。
【0061】
可動要素4がそのゼロ位置/初期位置/非傾き位置にあるとき、リラクタンスアクチュエータのコイル3に電流が流れていないという条件において、均一なバイアス磁束50が左右の動作空隙9a、9bを等しい割合で流れる。
これにより、可動要素4に作用する正味のトルク方向100は、実質的にゼロに等しくなる。
【0062】
リラクタンスアクチュエータのコイル3は、直列に切り替えられると、コイル3を流れるそれぞれの電流は、図2の線51で示されるコイル磁束51を生成する。
このコイル磁束51は、コイル3の電流の方向によって、ステータ1の外側磁極片14と、可動要素4と、動作空隙9a、9bとを、時計回りか反時計回りのいずれかで流れる。
永久磁石2は、外部磁場に対して高オームの磁気抵抗(リラクタンス)を示すため、コイル3の磁束は、ステータ1の内側磁極片13よりも外側磁極片14を流れやすい。
2つの動作空隙9a、9bでは、均一なバイアス磁束50と経時変化するコイル磁束51とが重なり合う。
これにより、右側の動作空隙9bでは、両方のバイアス磁束50、コイル磁束51が同じ方向に流れるため、全体的な磁束が増加し、動作空隙9aの磁束は、減少する。
これにより、正味トルク方向100が可動要素4に対して時計回りに作用する。
コイル3の電流の方向を反転させると、コイル3のコイル磁束51も反転し、可動要素4に反時計回りに作用するトルク方向100が生じる。
【0063】
コイル電流がない場合、動作空隙9a、9bを介するバイアス磁束50の分布は、可動要素4の位置と、その結果生じるリラクタンスとによって決定される。
傾き状態で、空隙9aを流れる磁束と空隙9bを流れる磁束とを比較すると、狭い空隙を流れる磁束の方が強くなるため、可動要素4に作用するトルク方向100は、元々傾いている方向に増大していく。
これは、リラクタンスアクチュエータの負剛性と同義であり、永久磁石2の存在のためにリラクタンスアクチュエータ自体の動作原理が本質的に不安定になることを示している。
したがって、撓み要素5は、それぞれ、リラクタンスアクチュエータの負の剛性を補償するか、本質的に不安定な動作原理を安定するように構成されている。
このような撓み要素5が、図3および図4に示されている。
【0064】
図3は、本発明の1実施形態による撓み要素5を非傾き状態で示し、図4は、図3による撓み要素を傾き状態で示す。
【0065】
図3および図4は、それぞれ撓み要素5を示し、可動要素4が撓み要素5の下側に配置され、かつ、撓み要素5に直接接続されている。
撓み要素5は、可動要素4の形状に従って実質的に構成されているか、両方が互いに対して適応している。
両方の可動要素4、撓み要素5は、図3、4では実質的にディスク状であり、円形である。
撓み要素5は、その外側に、撓み要素5をリラクタンスアクチュエータのハウジングGに固定するための固定リング16を備えている。
撓み要素5の内側領域15は、上述のように、ディスクで形成されている。
撓み要素5の内側領域15および外側領域16は、周囲に対称的に分布するサスペンション領域12を介して相互接続される。
ディスク状の撓み要素5のサスペンション領域12の固定点10bと、外側領域16におけるサスペンション領域12の固定点10aとは、それぞれ、サスペンション領域12が4分円の円周部のような形態に実質的になるように、周方向に90°オフセットして配置されている。
【0066】
図4は、撓み要素5の内側領域15のそれぞれの傾きを、可動要素4と共に示す。
強磁性の可動要素4は、撓み要素5に直接接続されている。
永久磁石2による磁気バイアスのため、z方向に高いオフセット力が作用する。
撓み要素5は、傾斜に必要な2つの所望の回転自由度における剛性を不利に高めずに、z方向に充分な剛性を持つことができない。
このため、このオフセット力は、撓み要素5を損傷する。
これを避けるために、ボールベアリング7を使用することにより、z方向の力を補償し、かつ回動点を固定する。
撓み要素5の材質が、例えば、アルミニウムまたはチタン等の弾性材料でできていてもよく、上述のように、xおよびy方向の並進自由度と、z軸の周りの回転自由度とが制限される。
言い換えると、x軸周りとy軸周りとの回転(つまり傾斜)のみが容易になる。
撓み要素5と可動要素4とを直接接続することにより、慣性が最小化される。

【0067】
さらに、ステータ1は、その外側磁極片14に複数の絶縁材料の層状構造を備えてもよく、それにより、渦電流の発生および帯域幅への影響、すなわち、帯域幅の減少が防がれる。
さらに、リラクタンスアクチュエータに、可動要素4の位置を決定、制御、または調整するための制御装置を設けてもよい。
この制御装置は、各軸に対する位置を決定、制御、または調整可能である。
この目的のために、制御装置と同様に、コイル電流の増幅器と、可動要素4が動作可能な軸の各方向の傾斜角を制御/監視する装置とを設けてもよい。
【0068】
図5a、図5bは、それぞれ、本発明の1実施形態によるリラクタンスアクチュエータの断面図を示す。
【0069】
図5aと図5bは、図1bによるリラクタンスアクチュエータをそれぞれ示している。
図1bによるリラクタンスアクチュエータとは異なり、図5aおよび図5bによるリラクタンスアクチュエータの外側磁極片14は、ハウジングGの底板に対して実質的に水平に延びている。
コイル3の軸も、外側磁極片14の周りに水平に配置されている。
図5aの外側磁極片14は、一体に形成されている。
図5bの磁極片は、2部品からなる要素であり、コア18の外側端部のみが外側磁極片14と呼ばれる。
磁束がヨークまたは可動要素4に適切に伝導されるよう、外側磁極片14は、それぞれ調整される。
外側磁極片14を備えるコア18は、上述のように、1部品形態(図5aを参照)または2部品形態(図5bを参照)のいずれかで形成されてもよい。
図5bにおいて外側磁極片14は、コア18に配置されるか、または、コア18に固定される。
言い換えると、外側磁極片14は、磁場が可動要素4に向けられるように、この「平坦な」設計の端部領域において「上方」に向けられる。
したがって、この実施形態により、特に平坦な設計が可能になる。
【0070】
図6は、本発明の1実施形態による撓み要素を非傾き状態で示す。
【0071】
図6は、梁部4’を有する星型の撓み要素4を示している、ここで、梁部4’は、他の梁部と90°で交差する形態である。
撓み要素4を2軸周りに傾斜できるように構成する際、4つの梁部4’または十字形のアームが、それぞれの外側磁極片14の上に実質的に配置されている。
サスペンションの、撓み要素4側の固定点と外側領域における固定点とは、図3または図4と同様に、それぞれ周方向に90°オフセットして配置される。
【0072】
要約すると、本発明の実施形態には、以下の利点がある。
【0073】
可動要素が、永久磁石やソレノイドプランジャーなどを使用せずに、磁気回路を閉じる強磁性のヨークのみでできているため、動作する質量が小さくなり、帯域幅が広くなる。
可動要素が、磁気回路を閉じるヨークの内部にあるのではなく、リラクタンスアクチュエータの片側の端部を形成している。
これにより、下記の点で既存の設置スペースを非常に有利に利用できる。
【0074】
・ 例えば、ヨークやコイルに突出部がない。
・ すなわち、可動子がリラクタンスアクチュエータ全体のほぼ最外点に位置し、可動子を超えて突出する要素がリラクタンスアクチュエータにない。
・ 可動子がヨークとコイルを横方向に広く覆っている。
・ すなわち、リラクタンスアクチュエータの全直径に対する可動子の有効面の割合が非常に高い。
・ 可動子が、平坦な設計になっており、可動子の回動点が、可動要素のほぼ表面上に存在する(回動点が表面上に存在することが理想であろう)。
・ (通常使用されるC字型のステータとは異なり、)E字型のステータを使用することにより、リラクタンスアクチュエータの全体直径を小さくできる。
したがって、本発明は、コンパクトで非常に動的なリラクタンスアクチュエータを提供する。
このリラクタンスアクチュエータは、例えば、光通信、走査測定技術、標的追跡などの分野での光学走査システム向けのミラーの高速傾斜を含む、多様な用途に使用可能である。
【0075】
本発明の実施形態を説明したが、本発明は、これらに限定されず、多様な様式で修正可能である。
言い換えると、上述の本実施形態は、特許請求の教示を説明するためにのみ使用され、これらの実施形態に限定するものではない。
【0076】
本発明による装置の実施形態について、上述の説明の一般的な部分および特許請求の範囲を参照されたい。
【符号の説明】
【0077】
1 ・・・ステータ
2 ・・・永久磁石
3 ・・・コイル
4 ・・・可動要素/ヨーク
4’ ・・・梁部/アーム
5 ・・・撓み要素
6 ・・・穴部
7 ・・・ボールベアリング
8 ・・・渦電流センサ
9a・・・空隙
9b・・・空隙
9c・・・空隙
10a・・・固定点
10b・・・固定点
12 ・・・サスペンション領域
13 ・・・内側磁極片
14 ・・・外側磁極片
15 ・・・内側領域
16 ・・・外側領域
17 ・・・固定リング
17a・・・ねじ
18 ・・・コア
50 ・・・バイアス磁束
51 ・・・コイル磁束
100・・・トルク方向
G ・・・ハウジング
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6