IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧

特許7018067情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/4401 20180101AFI20220202BHJP
【FI】
G06F9/4401
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019550044
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2017039315
(87)【国際公開番号】W WO2019087294
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中本 大道
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 成寿
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【審査官】今城 朋彬
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513836(JP,A)
【文献】特開2017-111788(JP,A)
【文献】特開2015-156205(JP,A)
【文献】特開2013-084153(JP,A)
【文献】特開2017-142754(JP,A)
【文献】特開平01-318117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00-8/77
G06F 9/44-9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムとして実装された制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、初期化フラグ回路とを有する情報処理システムであって、
前記初期化フラグ回路は、
2段の反転回路を有し、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力し、
前記制御部は、
前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込み、当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込む、
情報処理システム。
【請求項2】
プログラムとして実装された制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、初期化フラグ回路とを有する情報処理システムによる情報処理方法であって、
前記初期化フラグ回路は、
2段の反転回路を有し、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力し、
前記制御部は、
前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込み、当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込む、
情報処理方法。
【請求項3】
制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、2段の反転回路を有する初期化フラグ回路とを有する情報処理システムであって、前記初期化フラグ回路が、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力する情報処理システムの前記制御部に、
前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込むことと、
当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込むことと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムやゲーム機などのさまざまな情報処理システムでは、その情報処理システムの起動操作が行われた直後に、その情報処理システムを利用したいという利用者からの要求がある。そのため、情報処理システムを、所定の状態(例えば、工場出荷時の状態や装置の電源を落とす直前の状態など)で直ちに起動させたい場合がある。
特許文献1には、関連する技術として、システムの中断前の揮発性メモリの記憶状態、周辺デバイスのレジスタ値、及び、プロセッサのレジスタ値を表すデータを不揮発性メモリに格納し、システムの起動時にOS(Operating System)はカーネル機能によって不揮発性メモリに格納したデータを用いてシステムの中断前の状態を再現することで、情報処理システムを直ちに初期化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-156205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、情報処理システムにおいて使用される周辺デバイスには、情報処理システムが起動する際に、スナップショットイメージ情報を含むデータがメインメモリに書き込まれることで、起動後に所定の状態で直ちに動作できる状態に初期化される周辺デバイスと、レジスタを備え、起動後にそのレジスタの初期設定が行われるまで動作できる状態に初期化されない周辺デバイスとがある。なお、スナップショットイメージ情報とは、工場出荷時の状態や装置の電源を落とす直前の状態などの所定の状態を示す情報であり、不揮発性メモリに記憶させておくことで、情報処理システムがシャットダウンした場合であっても、失われない情報である。情報処理システムがシャットダウンし、起動すると、レジスタを備える周辺デバイスのレジスタの値は、いわゆる不定状態となる。したがって、初期設定を示す初期設定データがレジスタに書き込まれるまで、すなわち初期化されるまで、レジスタを備える周辺デバイスは、動作することができない。つまり、レジスタを備える周辺デバイスが初期化されないため、情報処理システムでは、レジスタを備える周辺デバイスを起動後に直ちに使用することができない。
そのため、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスを直ちに初期化することのできる技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、情報処理システムは、プログラムとして実装された制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、初期化フラグ回路とを有する情報処理システムであって、前記初期化フラグ回路は、2段の反転回路を有し、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力し、前記制御部は、前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込み、当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込む
この情報処理システムにおいて、初期化フラグ回路は、情報処理システムが起動する際にのみ、Highレベルの信号を出力する。そのため、制御部は、情報処理システムが起動したこと、すなわち、第1レジスタに初期設定データを書き込む(つまり初期化する)必要があることを判定することができる。そして、制御部は、第2レジスタにLowレベルであることを示すデータを書き込むことにより、定期的に第2レジスタの値を取得した場合であっても、情報処理システムが再度起動した場合でない限り初期化することがない。
その結果、この情報処理システムは、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、情報処理方法は、プログラムとして実装された制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、初期化フラグ回路とを有する情報処理システムによる情報処理方法であって、前記初期化フラグ回路は、2段の反転回路を有し、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力し、前記制御部は、前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込み、当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込む
この情報処理方法において、初期化フラグ回路は、情報処理システムが起動する際にのみ、Highレベルの信号を出力する。そのため、制御部は、情報処理システムが起動したこと、すなわち、第1レジスタに初期設定データを書き込む(つまり初期化する)必要があることを判定することができる。そして、制御部は、第2レジスタにLowレベルであることを示すデータを書き込むことにより、定期的に第2レジスタの値を取得した場合であっても、情報処理システムが再度起動した場合でない限り初期化することがない。
その結果、この情報処理方法は、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、制御部と、第1レジスタを備える周辺デバイスと、第2レジスタと、2段の反転回路を有する初期化フラグ回路と、を有する情報処理システムであって、前記初期化フラグ回路が、前記情報処理システムが起動して前記第2レジスタがLowレベルを示すデータに書き換えられるまでの間に、常にHighレベルの信号を出力し、前記第2レジスタにLowレベルであることを示すデータが書き込まれた場合に、当該Lowレベルと同一のレベルであるLowレベルの信号を出力する情報処理システムの前記制御部に、前記初期化フラグ回路の出力信号がHighレベルであると判定した場合に、前記周辺デバイスを初期化するための初期設定データを前記第1レジスタに書き込むことと、当該初期設定データの書き込みを終えたことを示すLowレベルであることを示すデータを前記第2レジスタに書き込むことと、を実行させる
このプログラムによって、制御部は、情報処理システムが起動したこと、すなわち、第1レジスタに初期設定データを書き込む(つまり初期化する)必要があることを判定することができる。そして、制御部は、第2レジスタにLowレベルであることを示すデータを書き込むことにより、定期的に第2レジスタの値を取得した場合であっても、情報処理システムが再度起動した場合でない限り初期化することがない。
その結果、このプログラムは、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態による情報処理システムによれば、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による初期化フラグ回路の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による情報処理システムの処理フローの一例を示す図である。
図4】本発明の別の実施形態による初期化フラグ回路の構成の一例を示す図である。
図5】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
(情報処理システムの構成)
以下、本発明の一実施形態による情報処理システムの構成について説明する。
本発明の一実施形態による情報処理システム1は、起動する際に、スナップショットイメージ情報を含むデータがメインメモリに書き込まれることによって初期化される周辺デバイスとほぼ同タイミングに、レジスタを備える周辺デバイスを初期化するシステムである。スナップショットイメージ情報とは、不揮発性メモリに記憶される情報処理システム1の中断の直前や工場出荷時などの所定の状態を示すデータのことである。初期化とは、各周辺デバイスを動作可能な状態に設定することである。高速起動とは、情報処理システム1が起動を開始し、スナップショットイメージ情報を含むデータがメインメモリに書き込まれることによって、工場出荷時の状態や装置の電源を落とす直前の状態などの所定の状態で情報処理システム1を起動させることである。情報処理システム1が高速起動し、レジスタを備える周辺デバイスを初期化することにより、利用者は、情報処理システム1を起動直後に所定の状態から使用を開始することができる。情報処理システム1は、図1に示すように、電源10、CPU(Central Processing Unit)20(制御部の一例)、標準デバイス30、非標準デバイス40(レジスタを備える周辺デバイスの一例)、メモリ50、ストレージ60、初期化フラグ回路70を備える。
【0012】
電源10は、CPU20、標準デバイス30、非標準デバイス40、メモリ50、ストレージ60、初期化フラグ回路70のそれぞれに電力を供給する。
【0013】
標準デバイス30は、スナップショットイメージ情報を含むデータがメインメモリに書き込まれることによって初期化される周辺デバイスである。標準デバイス30は、情報処理システム1において電源10が起動する際に、ブートローダによって、メモリ50にスナップショットイメージ情報を含むデータが書き込まれることで、所定の状態で高速起動することができる。所定の状態とは、情報処理システム1が処理の中断の直前や工場出荷時などの状態のことである。
【0014】
非標準デバイス40は、レジスタを備える周辺デバイスである。非標準デバイス40は、初期設定を示す初期設定データがレジスタに書き込まれることで動作可能な状態になる。非標準デバイス40は、図1に示すように、レジスタ401(第1レジスタの一例)を備える。レジスタ401は、初期設定データを保持するレジスタである。
【0015】
メモリ50は、CPU20が処理に用いるメインメモリである。メモリ50は、揮発性のメモリである。メモリ50とCPU20との間で高速にデータの送受信が行われる。情報処理システム1が起動する際に、メモリ50には、ストレージ60が記憶するスナップショットイメージ情報を含むデータが書き込まれる。メモリ50にスナップショットイメージ情報を含むデータが書き込まれることで、CPU20、標準デバイス30、メモリ50、ストレージ60のそれぞれが動作可能となる。
【0016】
ストレージ60は、不揮発性のメモリである。ストレージ60は、スナップショットイメージ情報を含むデータを記憶する。また、ストレージ60は、OS、アプリケーションプログラム、アプリケーションプログラムによって処理されたデータなどを記憶する。また、ストレージ60は、レジスタ706と、そのレジスタ706が保持する初期化フラグがHighレベルを示す場合に初期化の対象となる非標準デバイス40が備えるレジスタ401とを予め関連付けて記憶する。また、ストレージ60は、レジスタ401を備える非標準デバイス40の初期設定データを記憶する。
【0017】
(初期化フラグ回路の構成)
初期化フラグ回路70は、電源10が立ち上がる際に、その初期化フラグ回路70が備えるレジスタが不定状態(例えば、出力インピーダンスが高インピーダンス状態など)となった場合であっても、レジスタの出力としてHighレベルの信号を出力させる回路である。なお、本発明の一実施形態では、初期化フラグ回路70の出力する信号が初期化フラグである。初期化フラグ回路70の出力するHighレベルの信号は、非標準デバイス40の初期化が必要のあることを示す信号である。また、初期化フラグ回路70の出力するLowレベルの信号は、非標準デバイス40の初期化が完了していることを示す信号である。初期化フラグ回路70の入力端子は、初期化フラグを保持するレジスタの出力端子に接続される。初期化フラグ回路70の出力端子は、CPU20に接続される。
【0018】
初期化フラグ回路70は、例えば、図2に示すように、インバータ回路701、702、プルアップ回路703、704、プルダウン回路705、レジスタ706(第2レジスタの一例)を備える。
インバータ回路701の入力端子は、レジスタ706の出力端子と、プルアップ回路703の第1端子に接続される。
インバータ回路701の出力端子は、インバータ回路702の入力端子と、プルダウン回路705の第1端子に接続される。
インバータ回路702の出力端子は、プルアップ回路704の第1端子と、CPU20に接続される。
プルアップ回路703の第2端子は、電源10の出力端子(図2において符号VCCで示される)に接続される。
プルアップ回路704の第2端子は、電源10の出力端子に接続される。
プルダウン回路705の第2端子は、グラウンド端子(図2において符号GNDで示される)に接続される。
レジスタ706は、非標準デバイス40の初期化が必要のあることを示すHighレベルの初期化フラグ、または、非標準デバイス40の初期化が完了していることを示すLowレベルの初期化フラグを保持する。
インバータ回路701、702のそれぞれは、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、バイポーラトランジスタなどのトランジスタを用いて構成される入力信号の論理を反転させた信号を出力する回路である。
プルアップ回路703、704、プルダウン回路705のそれぞれは、例えば、抵抗である。
初期化フラグ回路70は、プルアップ回路703、704、プルダウン回路705のそれぞれによって、初期化フラグ回路70内の各回路の起動順に関係なくHighレベルの信号を出力する構成となっている。
【0019】
(CPUの機能)
CPU20は、レジスタ706が保持するデータを初期化フラグ回路70を介して取得する。なお、電源10の起動直後、CPU20は、プルアップ回路704を介してHighレベルの初期化フラグを受ける。CPU20は、電源10の起動直後にHighレベルの初期化フラグを受けると、ストレージ60が記憶する非標準デバイス40の初期設定データをレジスタ401に書き込む。CPU20は、初期設定データをレジスタ401に書き込むと、レジスタ706が保持するデータをLowレベルであることを示すデータに書き替える。
【0020】
次に、本発明の一実施形態による情報処理システム1の処理について説明する。
ここでは、情報処理システム1の利用者が情報処理システム1の使用を中断し、その後、情報処理システム1を起動させる場合の情報処理システム1の処理について、図3に示す本発明の一実施形態による情報処理システム1の処理フローを用いて説明する。
【0021】
情報処理システム1の利用者が情報処理システム1の使用を中断し、情報処理システム1の電源10を落とす。その後、情報処理システム1の利用者は、電源10をオフ状態からオン状態に起動する(ステップS1)。
【0022】
電源10が起動すると、BIOS(Basic Input Output System)が起動し(ステップS2)、BIOSによって規定されている、CPU20、メモリ50、ストレージ60を含むデバイスが認識され、それらのデバイスの入出力ポートの接続を確立する。BIOSによる処理が完了すると、CPU20は、ブートローダを起動させる(ステップS3)。
【0023】
CPU20は、ブートローダによってスナップショットイメージ情報を含むデータをストレージ60から読み出す(ステップS4)。CPU20は、読み出したスナップショットイメージ情報を含むデータをメモリ50に書き込む(ステップS5)。スナップショットイメージ情報を含むデータがメモリ50に書き込まれることにより、標準デバイス30は、初期化され所定の状態となる。所定の状態とは、例えば、ストレージ60が工場出荷時の状態を予めスナップショットイメージ情報を含むデータとして記憶している場合には工場出荷時の状態である。また、所定の状態とは、例えば、ストレージ60が情報処理システム1の使用を中断する際にその中断時の状態をスナップショットイメージ情報を含むデータとして記憶した場合には中断時の状態である。
【0024】
CPU20がスナップショットイメージ情報を含むデータのメモリ50への書き込みを完了すると、起動した状態のOS(Operating System)及び起動した状態の非標準デバイス40を初期化するためのアプリケーションプログラム(プログラムの一例)が再現される(ステップS6)。
【0025】
CPU20は、アプリケーションプログラムによって、初期化フラグ回路70の出力信号、すなわち初期化フラグを取得する(ステップS7)。CPU20は、アプリケーションプログラムによって、取得した初期化フラグがHighレベルであるか否かを判定する(ステップS8)。以下、CPU20は、特に「アプリケーションプログラムによって」という記載がない場合であっても、アプリケーションプログラムに従い処理を実行する。
【0026】
CPU20は、取得した初期化フラグがLowレベルであると判定した場合(ステップS8においてNO)、初期化の必要な非標準デバイス40が存在しないと判定する。そして、CPU20は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS9)。
CPU20は、一定時間が経過していないと判定した場合(ステップS9においてNO)、ステップS9の処理を再度行う。
また、CPU20は、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS9においてYES)、ステップS9の処理に戻す。
【0027】
また、CPU20は、取得した初期化フラグがHighレベルであると判定した場合(ステップS8においてYES)、初期化の必要な非標準デバイス40が存在すると判定する。そして、CPU20は、そのHighレベルの初期化フラグを取得した接続先のレジスタ706に予め関連付けられたレジスタ401をストレージ60の記憶するデータにおいて特定する(ステップS10)。
CPU20は、特定したレジスタ401を備える非標準デバイス40の初期設定データをストレージ60から読み出す。CPU20は、読み出した初期設定データをレジスタ401に書き込む(ステップS11)。このステップS11の処理により、非標準デバイス40は、動作可能な状態となる。
CPU20は、初期設定データのレジスタ401への書き込みを終えると、レジスタ706の保持するデータをLowレベルであることを示すデータに書き替える(ステップS12)。CPU20は、ステップS8の処理に戻す。
【0028】
なお、初期化フラグ回路70の出力は、電源10が起動を開始しレジスタ706の値がLowレベルであることを示すデータに書き替えられるまでの間、常にHighレベルの信号をCPU20に出力する。このHighレベルの信号は、非標準デバイス40の初期化が必要であることを示す初期化フラグである。電源10が起動を開始した直後は、レジスタ706が保持する値は不定である。そのため、レジスタ706の出力は不安定である。しかしながら、初期化フラグ回路70を構成するインバータ回路701、702の入出力端子をプルアップ回路703、704、プルダウン回路705のそれぞれを用いて適切に初期の論理を設定することで、初期化フラグ回路70の出力を常に所定のレベルの信号(図2に示す初期化フラグ回路70の例ではHighレベルの信号)とすることができる。
【0029】
(作用・効果)
以上、本発明の一実施形態による情報処理システム1について説明した。
本発明の一実施形態による情報処理システム1では、情報処理システム1が起動する際に、CPU20は、電源10の起動を示す初期化フラグを取得した場合、アプリケーションプログラムに応じて、非標準デバイス40を初期化する初期設定データをストレージ60から読み出す。そして、CPU20は、初期設定データをレジスタ401に書き込む。CPU20は、レジスタ706の保持するデータをLowレベルであることを示すデータに書き替える。
このようにすれば、本発明の一実施形態による情報処理システム1は、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【0030】
(変形例)
なお、本発明の一実施形態による情報処理システム1において、初期化フラグ回路70は、図2に示す回路として説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態による情報処理システム1では、初期化フラグ回路70は、電源10が起動を開始しレジスタ706の値がLowレベルであることを示すデータに書き替えられるまでの間に出力する信号のレベルがHighレベルで安定し、レジスタ706が保持する初期化フラグの信号レベル(すなわち、HighレベルまたはLowレベルの何れかのレベル)に一致するレベルの信号を出力する回路であれば、どのような回路であってもよい。
例えば、本発明の別の実施形態による情報処理システム1では、初期化フラグ回路70は、図4に示すような、レジスタ706、NPNトランジスタ711、712、PNPトランジスタ713、抵抗714、715、716、717、バッファ718を備えるものであってもよい。
抵抗714の第1端子は、レジスタ706とNPNトランジスタ711のベースと、PNPトランジスタ713のベースに接続される。抵抗714の第2端子は、電源10の出力に接続される。
抵抗715の第1端子は、PNPトランジスタ713のエミッタに接続される。抵抗715の第2端子は、電源10の出力に接続される。
抵抗716の第1端子は、NPNトランジスタ711のエミッタに接続される。抵抗716の第2端子は、グラウンドGNDに接続される。
抵抗717の第1端子は、NPNトランジスタ712のコレクタと、バッファ718の入力端子に接続される。抵抗717の第2端子は、電源10の出力端子に接続される。
NPNトランジスタ711のコレクタは、NPNトランジスタ712のベースと、PNPトランジスタ713のコレクタに接続される。
バッファ718の出力端子は、CPU20に接続される。
電源10が起動し、Highレベルの電圧を出力すると、NPNトランジスタ711のベースは、Highレベルとなる。NPNトランジスタ711のベースがHighレベルになると、PNPトランジスタ713は、オフ状態となり電流を流さない。また、NPNトランジスタ711のベースがHighレベルになると、NPNトランジスタ711は、オン状態となり、NPNトランジスタ712のベースから電流を引き抜く。そのため、NPNトランジスタ712は、オフ状態となり電流を流さない。NPNトランジスタ712が電流を流さない場合、抵抗717には、電流が流れない。そのため、バッファ718の入力端子には、Highレベルの信号が入力される。したがって、CPU20には、Highレベルの信号が入力される。CPU20は、このHighレベルの信号を検出し、レジスタ401に初期設定データを書き込む。
その後、CPU20が、レジスタ706の保持するデータをLowレベルであることを示すデータに書き替える。すると、NPNトランジスタ711のベースにおける信号は、Lowレベルとなる。NPNトランジスタ711のベースにおける信号がLowレベルになると、NPNトランジスタ711は、オフ状態となり電流を流さない。また、PNPトランジスタ713のベースにおける信号がLowレベルになると、PNPトランジスタ713は、オン状態となり、NPNトランジスタ712のベースに電流を流し込む。そのため、NPNトランジスタ712は、オン状態となり、抵抗717に電流を流す。このとき、抵抗717において電圧降下が生じ、バッファ718の入力端子には、Lowレベルの信号が入力される。したがって、CPU20には、Lowレベルの信号が入力される。CPU20は、このLowレベルの信号を検出した場合には、レジスタ401を初期化しない。
【0031】
なお、本発明の一実施形態において、レジスタ706は、初期化フラグ回路70に備えられるものとして説明した。しかしながら、適切な処理が行われる範囲において、レジスタ706は、情報処理システム1内のどこに設けられてもよい。
【0032】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0033】
本発明の実施形態におけるメモリ、ストレージ、レジスタを含む記憶部、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0034】
本発明の実施形態について説明したが、上述の情報処理システム1の制御部以外の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図5は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図5に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の情報処理システム1の制御部以外の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0035】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0036】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の実施形態による情報処理システムによれば、情報処理システムが起動する際に、レジスタを備える周辺デバイスの初期化を漏れなく、かつ、冗長ではなく(何度も初期化するようなことなく)実施でき、高速起動時でも周辺デバイスを確実に動作させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・情報処理システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・電源
20・・・CPU
30・・・標準デバイス
40・・・非標準デバイス
50・・・メモリ
60・・・ストレージ
70・・・初期化フラグ回路
401、706・・・レジスタ
701、702・・・インバータ
703、703・・・プルアップ回路
705・・・プルダウン回路
711、712・・・NPNトランジスタ
713・・・PNPトランジスタ
714、715、716、717・・・抵抗
718・・・バッファ
図1
図2
図3
図4
図5