(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】高温エポキシ接着剤配合物
(51)【国際特許分類】
C09J 163/02 20060101AFI20220202BHJP
C09J 163/04 20060101ALI20220202BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20220202BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220202BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220202BHJP
C08G 18/80 20060101ALI20220202BHJP
C08G 59/46 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C09J163/02
C09J163/04
C09J175/04
C09J11/06
C09J11/04
C08G18/80 061
C08G59/46
(21)【出願番号】P 2019569926
(86)(22)【出願日】2018-04-10
(86)【国際出願番号】 US2018026784
(87)【国際公開番号】W WO2018236454
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-02-17
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ、ベンジャミン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】メーダ―、イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アシュワンデン、マルセル
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/044402(WO,A1)
【文献】特表2008-542484(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159223(WO,A1)
【文献】特表2016-510077(JP,A)
【文献】特開2008-251883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08G 18/80,59/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性エポキシ樹脂系であって、
a.30~70重量%の1種以上のジグリシジルエーテルビスフェノールA樹脂、
b.1~10重量%のエポキシノボラック樹脂であって、以下の特徴の少なくとも1つによって特徴づけられるエポキシノボラック樹脂:(i)ASTM D-445に従って3000mPa-秒未満の、25℃での粘度を有すること、(ii)2超だが3.7未満の、1分子当たりのエポキシ基の平均数、及び(iii)750g/モル未満の分子量、c.10-30重量%のポリウレタン強化剤、但し、前記系が単一成分系である場合、前記ポリウレタン強化剤は、一官能性キャッピング剤でブロックされることを条件とする、
d.5~20重量%の軟化剤、
e.1~8重量%の硬化剤、並びに
f.0.1~重量%の芳香族尿素ベース硬化促進剤
を含み、
前記重量%が、前記系の全重量に基づく、接着性エポキシ樹脂系。
【請求項2】
前記系が、単一成分系であり、及び前記硬化促進剤が潜在性硬化促進剤である、請求項1に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項3】
前記1種以上のジグリシジルエーテルビスフェノールA樹脂が、前記系の30~60重量%の量で液体エポキシ樹脂成分及び前記系の1~10重量%の量で固体エポキシ樹脂成分を含む、請求項1又は2に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項4】
5~30重量%の量で充填剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項5】
前記エポキシノボラック樹脂が、式:
【化1】
(式中、nは、繰り返し単位の平均数であり、nは1.7未満である)
を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項6】
前記ポリウレタン強化剤が、ポリテトラアルキレンエーテルグリコールと、ポリアルカジエン-ジオール及びジイソシアネートとの反応生成物から形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項7】
前記強化剤が、ポリレノール鎖延長剤との反応によって鎖延長される、請求項6に記載の接着性エポキシ樹脂。
【請求項8】
前記鎖延長剤が、o,o’-ジアリルビスフェノールAである、請求項7に記載の接着性エポキシ樹脂。
【請求項9】
前記軟化剤が、カルボキシ末端化アクリロニトリルブタジエンエポキシ付加物又はポリアミンエポキシ付加物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項10】
前記硬化剤が、ジシアンジアミドである、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項11】
前記エポキシノボラック樹脂が、ASTM D-445に従って3000mPa-秒未満の、25℃での粘度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項12】
前記エポキシノボラック樹脂が、2超だが3.7未満の、1分子当たりエポキシド基の平均数を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項13】
前記エポキシノボラック樹脂が、750g/モル未満の分子量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【請求項14】
第1の成分が、前記1種以上のジグリシジルエーテルビスフェノールA樹脂及び前記エポキシノボラック樹脂を含み、並びに第2の成分が、前記ポリウレタン強化剤、前記硬化剤及び前記硬化促進剤を含む、二成分系である、請求項1及び3~8のいずれか一項に記載の接着性エポキシ樹脂系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、特に輸送車両の部品の接着における使用を含めて、熱応力に耐えることが期待される様々な表面を接着する際に有用なエポキシ配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
特に車及びトラックを含む、輸送車両の製造では、異なる材料が車体重量を減らすために設計で使用される。アルミニウム又は炭素繊維強化コンポジットのような軽量材料が、鋼に加えて使用される。さらに、接着剤が部品の単なる溶接よりもむしろ一般に使用される。車両車体は製造中に(例えば、温度が160~210Cの範囲であり得る、防食のための電着中に)加熱され、及びまた使用中の大きな温度範囲変化を被り得るので、異なる材料の異なる熱膨張率が材料間の継ぎ手において重大な機械的応力を引き起こし得る。
【0003】
今日の構造用強化エポキシ系ボディショップ接着剤は、別個の材料により作製された部品の異なる線熱膨張係数(CLTE)によって引き起こされる熱応力に耐えるために必ずしも適当であるとは限らない。それらは、高められた温度でのより高い強度値及び高められた温度での凝集破壊モードが不足している。望ましいより低い弾性モジュラスを有する接着剤は、高温で必要な高い機械的強度を有しない。高温での機械的強度を増加させる試みは、しばしば弾性モジュラスに望ましくない効果をもたらす。したがって、比較的低い弾性モジュラス(例えば、600~1200MPa)と、一方で高められた温度で機械的強度を保持することとの両方ともを達成する構造用エポキシ接着剤配合物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、高温での機械的強度と、望ましい弾性モジュラスとの望ましい均衡を与える配合物を発見した。
【0005】
具体的には、本発明者らは、30~70重量%の量での、ジグリシジルエーテルビスフェノールエポキシ樹脂と、1~10重量%のエポキシノボラック樹脂、10~30重量%の、ブロック化された末端イソシアネート官能基を好ましくは有するポリウレタン強化剤、1~8重量%の硬化剤、好ましくは潜在性尿素硬化促進剤である、0.1~重量%の硬化促進剤との組合せであり、但し、機械的強度と弾性モジュラスとの望ましい均衡を与える、エポキシ樹脂系を見出した。エポキシノボラック樹脂は、以下の特徴の少なくとも1つによって特徴づけられる:
(i)ASTM D-445に従って3000mPa-秒未満の、25℃での粘度を有すること、(ii)2超だが3.7未満の、1分子当たりエポキシド基の平均数、及び(iii)750g/モル未満の分子量。
【0006】
本発明は、したがって、上記エポキシ樹脂系、及び上記組成の硬化反応生成物である。1つの好ましい実施形態によれば、系は、ポリウレタン強化剤がブロック化され、その結果、エポキシに関して安定であり、並びに硬化促進剤は、潜在性であり、及び硬化は、好ましくは、150℃超、好ましくは160~210℃の範囲の温度に加熱することによって開始される、上記原料の単一成分を含む。第2の実施形態によれば、本発明はまた、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとエポキシノボラック樹脂とを含むエポキシ樹脂成分である第1の反応成分並びに硬化剤及び硬化促進剤を含む第2の反応成分を含む系である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で有用なジグリシジルエーテルビスフェノールエポキシ樹脂は、液体又は固体形態であってもよい。このような樹脂のブレンドが使用され得る。好ましくは、この成分は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK、又はビスフェノールMのジグリシジルエーテルである。最も好ましくは、それは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0008】
ブレンドが使用される場合、それは、少なくとも1種の多価フェノール、好ましくは、170~299、特に170~225のエポキシ当量を有するビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルと、少なくとも1種の多価フェノール、再度好ましくはビスフェノールA又はビスフェノールFの第2のジグリシジルエーテルであって、このものは少なくとも300、好ましくは310~600のエポキシ当量を有するジグリシジルエーテルとの混合物であってもよい。これら2種のタイプの樹脂の比率は、好ましくは2種の樹脂の混合物が225~400の平均エポキシ当量を有するようなものである。混合物はまた、20%まで、好ましくは10%までの1種以上の他のエポキシ樹脂を任意選択で含有してもよい。
【0009】
好適なジグリシジルエーテルとしては、名称D.E.R. 330、D.E.R. 331、D.E.R. 332、D.E.R. 383、D.E.R. 661及びD.E.R.662樹脂の下でOlin Corporationにより販売されているような、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル樹脂が挙げられる。このような樹脂の混合物の例としては、固体及び液体樹脂の混合物、例えば、40重量%の固体樹脂及び60重量%の液体樹脂、及びの量での、Olin CorporationからのD.E.R.671及びD.E.R.331の混合物が挙げられる。
【0010】
使用されるビスフェノールAのジグリシジルエーテル樹脂の量は、系の成分の全重量に基づいて、30重量%以上、より好ましくは40重量%以上だが、70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。好ましくは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)樹脂は、固体と液体エポキシ樹脂との混合物であり、固体DGEBAは、系の成分の全重量に基づいて、1重量%以上、より好ましくは2重量%以上だが、好ましくは10重量%以下、より好ましくは6重量%以下を構成し、及び液体DGEBAは、系の成分の全重量に基づいて、30重量%以上、より好ましくは40重量%以上だが、60重量%以下を構成する。
【0011】
本発明で有用なエポキシノボラック樹脂は、比較的低い粘度及び/又は低い分子量によって特徴づけられる。好ましいエポキシノボラック樹脂は、以下の構造
【化1】
(式中、nは、繰り返し単位の平均数であり、nは、1.7未満である)を有する。或いは又はさらに、好ましいエポキシノボラック樹脂は、ASTM D-445に従って、3000mPa-秒未満、好ましくは2500mPa-秒未満、最も好ましくは2000mPa-秒以下の25℃での粘度を有する。或いは又はさらに、好ましいエポキシノボラック樹脂は、700g/モル未満、好ましくは650g/モル未満、より好ましくはなお600g/モル未満、なおより好ましくは550g/モル未満、最も好ましくは500g/モル未満の分子量を有するが、250g/モル以上、好ましくは300g/モル以上の分子量を有する。好適なエポキシノボラック樹脂の例としては、すべてOlin Corporationからの、D.E.N. 354、D.E.N. 431及び D.E.N. 438が挙げられる。
【0012】
本発明の系は、ポリウレタン強化剤を含む。好ましい強化剤は、ポリフェノール、好ましくはODBA(o,o’-ジアリルビスフェノールA)を使用し、PTMEG(ポリテトラメチレングリコール)とPBD(ポリブタジエンジオール)との組合せを使用することによって、鎖延長され、及びモノ-フェノールを使用することによってキャップされる。参照例Fは、いずれのPBDも欠き、キャッピング基としてポリフェノールを使用する。好ましくは、特に熱により活性化される単一成分系の場合、強化剤は、早期反応を防止するためにブロック化官能基を有する。ブロッキングは、好ましくはモノフェノールを使用して行われる。ポリウレタン強化剤は、好ましくは重合ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)であり、ここで、その先端は、イソシアネート及びフェノール化合物で修飾されていて、硬化条件が得られる場合にそれらをエポキシ樹脂と反応させる。単一成分熱硬化性接着剤では、イソシアネートプレポリマーは、熱にさらされる場合(硬化条件)にPU-強化剤から解離するキャッピング基によって保護されることが必要である。好ましくは、強化剤は、ソフト単位(例えば、PTMEGからの)、及びイソシアネートの残基により連結されたゴム状単位(例えば、ポリブタジエン-ジオール(polybutadienol)からの)を有するジオールの残基を含む。ポリウレタン強化剤はまた、o,o’-ジアリルビスフェノールA(o,o’diallkylbisphonal a)(OBDA)などのポリフェノールを使用して鎖延長されてもよい。キャッピング基は、好ましくはモノフェノール基、例えば、カルダノール(カシュナッツ殻油“CNSL”)、又はアリルフェノールである。好ましいポリウレタン強化剤は、すべて強化剤の重量に基づいて、PTMEG(10~95重量%、好ましくは20~90重量%、より好ましくは45~85重量%)と、ポリブタジエン-ジオール(2~55重量%、好ましくは5~40重量%、より好ましくは10~30重量%)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート(2~40重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~20重量%)及びCNSL(0.1~50重量%、好ましくは0.1~20重量%、最も好ましくは0.1~15重量%)との反応生成物である。好適なブロック化ポリウレタン強化剤の例としては、国際公開第2017/044402号パンフレット及び米国特許第8,404,787号明細書の実施例2に教示されたものであり、それらのそれぞれは、参照により本明細書に援用される。
【0013】
使用される強化剤の量は、エポキシ系の全重量に基づいて、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上だが、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
【0014】
本発明に有用な硬化剤は、当技術分野で有用として知られたいずれかのもの、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール、アミン、アミド、多価フェノール、及びポリ無水物であってもよいが、好ましくはアミン又はアミドベース硬化剤である。これらの硬化剤は、好ましくは潜在性であり、その結果、それらは周囲条件下で硬化を引き起こさず、むしろ硬化を引き起こすために加熱され、又は通常より多い光線照射曝露にさらされなければならない。好適な硬化剤としては、ジシアンジアミド、例えば、Air ProductsからのAmicure(商標)CG 1200又はAlzchemからのDyhard 100 SFが挙げられる。硬化剤の量は、系の全重量に基づいて、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上だが、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。
【0015】
本発明で有用な硬化促進剤は、芳香族尿素ベース硬化促進剤である、これらは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)をジメチルアミンと反応させることによって形成されてもよい。このような芳香族尿素ベース硬化促進剤の市販の例としては、EmeraldからのOmnicure(商標)52M及び405Mが挙げられる。フェニル-ジ-メチルベース尿素が好ましい。硬化促進剤の量は、系の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上だが、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0016】
上記に加えて、組成物は軟化剤も含む。好適な軟化剤としては、カルボキシ末端アクリロニトリルブタジエン(CTBN)エポキシ付加物又はポリアミンエポキシ付加物が挙げられる。このような製品の例として、S&S Schill & SeilacherからのStrutkol 3604、又はOlin CorporationからのD.E.R.、例えば、D.E.R.330と、Huntsman Corporationからのポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine D-2000との組合せが挙げられる。軟化剤は、系における成分の全重量に基づいて、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上だが、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下の量で存在する。
【0017】
充填剤も、必要に応じて使用されてもよい。好適な充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ガラスビーズなどが挙げられる。充填剤の量は、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。使用される場合、充填剤の量は、好ましくは5重量%超である。
【0018】
組成物はまた、任意選択で着色剤、反応性希釈剤、接着促進剤及び/又は湿潤剤を含んでもよい。好適な着色剤の例は、Huntsman Corporationからのエポキシ着色剤Araldite DYシリーズである。反応性希釈剤の例としては、ヘキサン、ブチルジグリシジル及びそれらの、が挙げられる。接着促進剤は、エポキシシラン、例えば、Sylquest A 187などであってもよい。
【0019】
単一成分系は、遊星型ミキサなどのミキサ中で流動物及びペースト並びに固体のすべてを組み合わせることによって配合されてもよい。二成分系の場合、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びエポキシノボラック樹脂を含むエポキシ樹脂成分が組み合わされ及び混合されてもよく、硬化剤及び硬化促進剤を含む第2の成分が、組み合わされ及び混合されてもよい。次いで、接着剤を使用することが望まれる場合、二成分は、その場で組み合わされる。
【0020】
次いで、系は、硬化させるために150℃以上、好ましくは160℃C以上だが、好ましくは210℃以下の温度に加熱される。
【0021】
接着剤系は、任意の公知のプロセスによって使用されてもよい。例えば、混合物は、カートリッジに充填されてもよい。接着剤は、通常、カートリッジガンを使用することによってノズルに通してカートリッジから外へ試験目的のために手作業で適用される。接着剤配合物の粘度がそのように高く、手作業での適用が室温で容易に行われ得ない場合、カートリッジは、より良い適用性のために40~60℃に前もって加熱することができる。
【0022】
本発明の系は、高められた温度で高い機械的強度と、一方で比較的低い弾性モジュラスを有することとの良好な均衡を示す。具体的には、これらの系は、DIN EN ISO 527-1. Dumbbell試験片5aに従って試験される場合、600超だが、1200MPa未満の弾性モジュラスを示す。それらは、130℃で60CF以上及び140℃で40CF以上の凝集破壊により証明されるように高いラップせん断強度も示す。
【実施例】
【0023】
本発明を、以下の非限定的実施例によってさらに例証する。
【0024】
【0025】
【0026】
一般強化剤A(好ましい強化剤)合成:
1. 第1の反応ステップ:x重量%の成分[a]及び[b]を実験室反応器中に加え、120℃まで加熱する。この混合物を真空下120℃で30分間混合する。次いで、混合物を60℃まで冷却する。温度が60℃に達したら、x重量%の成分[c]を加え、それを2分間混合させる。次いで、x重量%の成分[d]を加え、この混合物を窒素下85℃(浴温度)で45分間反応させる。
【0027】
2. 第2の反応ステップ:x重量%の成分[e]を加え、この混合物を窒素下95℃[浴温度]で60分間攪拌する。
【0028】
3. 第3の反応ステップ:x重量%の成分[f]を加え、この混合物を窒素下で120分間攪拌する。最後に、混合物を真空下で20分間撹拌する。
【0029】
表3は、作製された様々な配合物を示す。これらの配合物は、以下の一般手順によって作製した:
流動物、ペースト及び着色剤のすべてを缶中で組み合わせ、50℃で5分間混合し、次いで、真空下でさらに30分間混合する。こすり落とし、ヒュームドシリカを加え、温度を35℃に設定し、3分間混合し、次いで、真空下でさらに20分間混合する。全ての他の顔料を加え、真空下で3分間混合し、次いで、こすり落とした後、真空下でさらに15分間混合する。
【0030】
【0031】
これらの配合物を以下の手順に従って試験した。
【0032】
レオロジー
- 回転粘度/降伏応力: Bohlin CS-50レオメータ、C/P 20、上/下0.1~20秒/1;Cassonモデルによる評価。DSC: Mettler Toledo 25℃~250℃、10℃/分傾斜上昇;TGは、第2の実行により測定。
【0033】
機械的試験
使用済み鋼:Voest Alpineにより供給されるとおりの、高温浸漬亜鉛被覆鋼: 420LAD+Z100MB、厚さ1.2mm及び電気的亜鉛被覆鋼HC 340LAD+ZE 50-50 厚さ1.0mm。
- 以下のDIN EN 1465によるラップせん断強度: 10x25mm接着面積、0.2mm接着剤層厚さ。LS基板=VoestAlpineにより供給された、H420 Z100 LAD 1.2mm//H340 ZE 50/50 1.0mm組合せ。試験速度10mm/分。
- Lapせん断強度は、23℃、130℃及び140℃で試験した。
- ISO 11343に従う衝撃剥離強度: 20x30mm接着面積、0.3mm接着剤層厚さ。IP基板=VoestAlpineにより供給された、H420 Z100 LAD 1.0mm。試験速度2m/秒。
- モジュラスは、DIN EN ISO 527-1.Dumbell試験片5aに従って試験した。
【0034】