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特許7018106シンチレータの表面に配置された光センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】シンチレータの表面に配置された光センサ
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20220202BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20220202BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G01T1/20 E
G01T1/20 B
G01T1/20 C
G01T1/20 L
G01T1/161 C
A61B6/00 300Q
A61B6/00 333
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020168629
(22)【出願日】2020-10-05
(62)【分割の表示】P 2018554402の分割
【原出願日】2017-04-14
(65)【公開番号】P2021012206
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】62/323,315
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/398,074
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】カン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・アール・メンゲ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-093376(JP,A)
【文献】特表2012-527620(JP,A)
【文献】特開2009-121929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
G01T 1/161
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有するシンチレータと、
個別の光センサを備える光センサシステムと、
前記シンチレータと前記光センサシステムとの間に配列される光窓と、を備える放射線検出器であって、前記光センサは、前記個別の光センサの周縁部から前記第1の表面の一番近い周縁部までの最短距離が前記第1の表面の前記一番近い周縁部から前記第1の表面の中心点までの最短距離の最大で10%になるように配列され、
前記光センサシステムが前記第1の表面の表面積の最大で80%の累積面積を占めること、及び
前記光センサシステムが前記第1の表面の前記中心点から前記第1の表面の前記一番近い周縁部までの距離の10%である前記第1の表面の前記中心点の前記距離内のいかなる領域をも占めないこと、のうちの少なくとも一つに該当し、
前記シンチレータはモノリシックシンチレータである、放射線検出器。
【請求項2】
前記光窓は、高分子フィルム、鉱物ガラス、サファイヤ、アルミニウム酸窒化物、スピネル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記個別の光センサの前記周縁部から前記第1の表面の前記一番近い周縁部までの前記最短距離が、前記第1の表面の前記一番近い周縁部から前記第1の表面の前記中心点までの前記最短距離の最大で2%である、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記個別の光センサの前記周縁部から前記第1の表面の前記一番近い周縁部までの前記最短距離が、最大で3mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記シンチレータは多面体シンチレータである、請求項1~4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記シンチレータは前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、前記第2の表面上に配列された複数の個別の光センサの全アクティブエリアは、前記第2の表面の表面積の最大で80%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記光センサシステムは、前記第1の表面上に配列された複数の個別の光センサを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記シンチレータは、1.2~7の範囲のアスペクト比を有し、前記アスペクト比は、前記第1の表面の平均幅Wで割った前記シンチレータの長さLに等しい、請求項1~7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記シンチレータは、1.4~6.5の範囲のアスペクト比を有する、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有するモノリシックシンチレータであって、前記第1の表面から前記第2の表面までを測定した長さLを有する、モノリシックシンチレータと、
複数の個別の光センサ、及び、前記モノリシックシンチレータの前記第1の表面と前記複数の個別の光センサの少なくとも1つとの間に配列された光窓、を含む光センサシステムと、を備える放射線検出器であって、
前記モノリシックシンチレータが1.4~6.5の範囲のアスペクト比を有し、前記アスペクト比が前記第1の表面の平均幅Wで割った前記シンチレータの長さLに等しく、前記複数の個別の光センサが前記モノリシックシンチレータにのみ光結合する、放射線検出器。
【請求項11】
前記光窓は、高分子フィルム、鉱物ガラス、サファイヤ、アルミニウム酸窒化物、スピネル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項12】
前記光センサシステムは、前記第1の表面上に配列される第1の複数の個別の光センサと、前記第2の表面上に配列される第2の複数の個別の光センサとを含み、
前記第1及び第2の複数の個別の光センサは、同一の配置で、それぞれ、前記第1及び第2の表面上に配列される、請求項10又は11に記載の放射線検出器。
【請求項13】
前記第2の表面上に配列された前記個別の光センサの全アクティブエリアは、前記第2の表面の表面積の最大で80%である、請求項12に記載の放射線検出器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の放射線検出器と、
前記光センサに電気的に結合された分析デバイスと、を備える放射線検出装置であって、
前記放射線検出装置は、安全検知装置、検層検出装置、ガンマ線分光装置、同位体同定装置、単一陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)分析装置、陽電子放射断層撮影(PET)分析装置、及びX線撮像装置のうちの1つを含む、放射線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シンチレータ上における光センサの配置、ならびにこのようなシンチレータ及び光センサを放射線検出器において使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シンチレータによる検出器は、原子核物理学における研究、石油探査、電界分光、容器及び手荷物の走査、及び医療診断を含む種々の用途で使用される。シンチレータによる検出器のシンチレータ材料が電離放射線にさらされると、シンチレータ材料は入射する放射線のエネルギーを捕捉し、発光し、光子の形状捕捉したエネルギーを放射する。シンチレータによる検出器の光センサは、放射された光子を検出する。放射線検出装置は多くの異なる理由のためにパルスを分析することができる。継続的な改善が望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
実施形態は添付の図面において例として示されるが、これらには限定されない。
【0004】
図1】本明細書に記載されたある特定の実施形態によるシンチレータの単一面上に配列された複数の光センサの図示を含む。
図2】本明細書に記載されたある特定の実施形態によるシンチレータの対向面に配列された複数の光センサの図示を含む。
図3】本明細書に記載されたある特定の実施形態によるシンチレータと複数の光センサとの間に配列された光窓の図示を含む。
図4】本明細書に記載されたある特定の実施形態による角部構成に配置された複数の光センサの図示を含む。
図5】本明細書に記載されたある特定の実施形態による縁部構成に配置された複数の光センサの図示を含む。
図6】本明細書に記載された比較例による中心構成に配置された複数の光センサの図示を含む。
図7】本明細書に記載された1つの実施形態による分析デバイスの図示を含む。
図8】パルス高さ対光センサによって占められる累積表面積を描出する実施例2のグラフを含む。
図9】エネルギー分解能対光センサによって占められる累積表面積を描出する実施例2のグラフを含む。
図10】光収集効率及びRTransfer対シンチレータのアスペクト比を描出する実施例3のグラフを含む。
図11】パルス高さ対シンチレータのアスペクト比を描出する実施例3のグラフを含む。
【0005】
当業者は、図面の要素が簡略化され明確に示されており、必ずしも縮尺どおりに示される必要がないことを理解している。例えば、図面のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を深めるために他の要素に関して誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の記載は図面と併用して、本明細書に記載された教示の理解を助けるために提供される。以下の論議は、教示の具体的な実装及び実施形態に焦点を当てる。この焦点は教示の説明を助けるためのものであるが、教示の範囲または適用性を限定するものとして理解されるべきではない。
【0007】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「エネルギー分解能」という用語(パルス高さ分解能(PHR)とも称される)は、エネルギーの関数としてソースのアクティビティを表現するスペクトルを記録することによって測定されるパラメータを指し、エネルギー(ピーク最大値の横座標)で割り100%を乗じたピークの「半値全幅」(FWHM)を意味するこのスペクトルによりPHRをパーセンテージとして得られ、PHRが低いほどスペクトル分解能は良くなる。
【0008】
本明細書で使用される場合、「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「has」、「having」などの用語、またはそれらの他の任意の変形は、非排他的包括を含むことを意図する。例えば、特徴のリストを構成するプロセス、方法、項目、または装置は、必ずしもこれらの特徴のみに限定される必要はないが、明確には列挙されていない、あるいはこのようなプロセス、方法、項目、または装置に固有な他の特徴を含んでもよい。さらに、それとは反対に明確に表示されない限り、「or」は非排他的なorを示すが、排他的なorは示さない。例えば、AまたはBという条件は、以下のうちのいずれか1つによって満たされる。すなわち、Aは真であり(または存在し)Bは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)Bは真である(または存在する)、及びAとBの両方が真である(または存在する)。
【0009】
「a」または「an」は、本明細書に記載された要素や成分を説明するために用いられる。これは便宜のためのみに用いられ、発明の範囲の一般的な意味を与える。この記述は1つまたは少なくとも1つを含むように読まれなければならず、明らかにそれ以外を意味していない限りは、単数形は複数形も含み、また複数形は単数形も含む。
【0010】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、この発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は例として示されるのみであって、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、シンチレーション及び放射線の検出の分野内の教科書や他のソースで見出され得る。
【0011】
発明者らは、光収集効率及びエネルギー分解能を改善するためにシンチレータに適用される光センサの配置を開発した。半導体による光センサなどの光センサは非常に小さく、配列内で個別に読み取られ得る。このため、このような光センサは、表面の全域を覆うことなく、シンチレータの表面に種々のパターンで配置され得る。下記により詳細に述べるように、シンチレータ表面上への光センサの配置は、シンチレータ表面の中心ではなく、シンチレータ表面の各角部に、またはシンチレータ表面の周縁部に沿って光センサを設置することを含み得る。さらに、シンチレータのアスペクト比は、エネルギー分解能を改善するために選択され得る。
【0012】
図1~3を参照して、放射線検出器10は、シンチレータ20と、シンチレータ表面22上に配列された光センサシステム30とを含み得る。図1に示される実施形態において、光センサシステム30はシンチレータ表面22上にのみ設置される。1つの実施形態において、光センサもシンチレータ20の側面23上に配列され得る。
【0013】
図1に示される実施形態において、光センサ30は、シンチレータ表面22の全域を覆わない。1つの実施形態において、光センサシステム30は、最大で80%、または最大で60%、または最大で40%、または最大で30%、または最大で25%、シンチレータ表面22の表面積の累積面積を占めることができる。さらに、光センサシステム30は、少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、シンチレータ表面22の全面積の累積面積を占めることができる。さらにまた、光センサシステム30は、シンチレータ表面の全面積の1~80%、または10~40%などの、上記の最小及び最大値のうちのいずれかの範囲内の累積面積を占めることができる。例えば、15~30%、またはさらに言えば20~25%の全被覆率は、NaI(Tl)シンチレータの100%の被覆率とほぼ同じエネルギー分解能を達成し得る。図1及び2に示される実施形態において、光センサシステム30は、シンチレータ表面22の中心点からシンチレータ表面22の一番近い周縁部までの距離の10%であるシンチレータ表面22の中心点の距離内のいかなる領域をも占めない。1つの実施形態において、累積面積は、光センサシステムによって占められる全面積または光センサシステムの全アクティブエリアを表し得る。
【0014】
1つの実施形態において、光センサシステム30は、各々が表面22に個々に配置された個別の光センサ31または複数の個別の光センサ31を含み得る。個別の光センサ31は、半導体による光センサなどの固体光センサを含み得る。半導体による光センサは、例えば、Si、SiC、GaN、InP、CdTeのうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。特定の実施形態において、個別の光センサ31はシリコンによる光センサを含み得る。
【0015】
1つの実施形態において、図3に示されるように、光窓11はシンチレータ20と光センサ31との間に配列され得る。光窓11は、シンチレータ20が発したシンチレーション光を透過し得る。特定の実施形態において、光窓11は、高分子フィルム、鉱物ガラス、サファイヤ、アルミニウム酸窒化物、スピネル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。さらに特定の実施形態において、光窓11は300ミクロン以下の厚さを有する極薄鉱物ガラスを含み得る。
【0016】
さらに、光結合材層が、光センサ31、シンチレータ20、存在すれば光窓11、またはそれらの任意の組み合わせ上に配列され得る。1つの実施形態において、光結合材は、シンチレータ20と光センサ31との間に配列された、潤滑油、樹脂、接着剤、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。光結合材も、シンチレータ20が発したシンチレーション光を透過し得る。
【0017】
1つの実施形態において、光センサシステム30はシンチレータ表面22の角部に配列された個別の光センサ31を含み得る。図1に示される実施形態において、光センサシステム30は角部構成の各角部に配列された個別の光センサを含む。図5に示される実施形態において、光センサシステム30は、縁部構成において、シンチレータ表面22の各角部にシンチレータ表面22の各周縁部に沿って配列された個別の光センサ31を含む。縁部構成は、各周縁部に広がる単一の個別の光センサ31、または各周縁部に広がる並んで配置された複数の個別の光センサを含み得る。さらに、図1~5は、長方形または正方形の形状を有する個別の光センサ31を示す。別の実施形態において(図示せず)、個別の光センサ31は、一般的にはシンチレータ表面22の角部付近の領域に、またはシンチレータ表面22の周縁部に沿って収まる代替形状を有し得る。例えば、個別の光センサ31は、その角部がシンチレータ表面22の角部上に配列されるような三角形状を有し得る。
【0018】
1つの実施形態において、光センサシステム30は、個別の光センサ31の周縁部がシンチレータ表面22の一番近い周縁部と面一となるように配置された個別の光センサ31を含み得る。個別の光センサ31の周縁部を、シンチレータ表面22の一番近い周縁部にできるだけ近くになるように有することが有利である場合がある一方、面一の縁部を達成することは特定の適用において可能ではことがある。別の実施形態において、個別の光センサ31は個別の光センサ31の周縁部がシンチレータ表面22の一番近い周縁部から分離するように配置され得る。1つの実施形態において、個別の光センサ31の周縁部からシンチレータ表面22の一番近い周縁部までの最短距離は、最長で3mm、または最長で2mm、または最長で1mmである。面一でない場合、個別の光センサ31の周縁部からシンチレータ表面22の一番近い周縁部までの最短距離は少なくとも1ミクロンであってもよい。
【0019】
さらに、個別の光センサ31の周縁部からシンチレータ表面22の一番近い周縁部までの最短距離は、シンチレータ表面22の一番近い周縁部からシンチレータ表面22の中心点までの最短距離の最大で10%、または最大で8%、または最大で6%、または最大で4%、または最大で2%であり得る。面一でない場合、個別の光センサ31の周縁部からシンチレータ表面22の一番近い周縁部までの最短距離は、シンチレータ表面22の一番近い周縁部からシンチレータ20の中心点までの最短距離の少なくとも0.1%であってもよい。
【0020】
1つの実施形態において、シンチレータ表面22は多角形、弓形形状、不規則な形などを有し得る。1つの実施形態において、シンチレータ表面22は少なくとも3つの角部、または少なくとも4つの角部などの複数の角部を有する多角形を有する。1つの実施形態において、多角形は最大で10つの角部、または最大で9つの角部、または最大で8つの角部を有する。さらに、特定の実施形態において、多角形は長方形の形状を含み、図1及び2に示される実施形態において、シンチレータ表面22は、正方形の形状を有する。別の実施形態において、シンチレータ表面22は楕円形または円形を有する。本明細書の読後、当業者はシンチレータ表面22に関して種々の異なる形状を思い付くであろう。
【0021】
1つの実施形態において、シンチレータ表面22は、少なくとも500mm、または少なくとも700mm、または少なくとも900mmの面積を有し得る。1つの実施形態において、表面22は、最大で40000mm、または最大で30000mm、または最大で20000mmの面積を有し得る。例えば、表面22は、500~400
00mm、または700~30000mm、または900~20000mmなどの上記の最小及び最大値のうちの任意の範囲における面積を有し得る。
【0022】
1つの実施形態において、シンチレータ表面22は、シンチレータ表面22の中心点からシンチレータ表面22の各周縁部までの最短距離の平均を取ることによって計算される平均幅Wを有し得る。円形または楕円形などの弓形形状については、平均幅Wは、主軸に沿った直径と短軸に沿った直径の平均を取ることによって計算される。1つの実施形態において、シンチレータ表面22は、少なくとも10mm、または少なくとも15mm、または少なくとも20mmの平均幅Wを有する。別の実施形態において、表面22は、最大で600mm、または最大で500mm、または最大で400mmの平均幅Wを有する。さらにまた、表面22は、15~600mm、または20~500、または20~400mmなどの上記の最小及び最大値のうちの任意の範囲において平均幅Wを有し得る。
【0023】
1つの実施形態において、光センサシステム30は、シンチレータ20の1つ以上の表面に配列され得る。1つの実施形態において、光センサシステム30は、各々がその上に配列される個別の光センサ31を有する、対向するシンチレータ表面に配列され得る。図2に示される実施形態において、個別の光センサ31は、対向するシンチレータ表面22及び24にのみ配列される。シンチレータ表面24、及びシンチレータ表面24に配列される個別の光センサ31は、シンチレータ表面22、及びシンチレータ表面22に配列される個別の光センサ31についての上述の特徴のうち1つ以上を有し得る。シンチレータ表面22と24の大きさと形状は同一であっても異なってもよい。例えば、円すい台、または角すい台などのシンチレータ表面22と24の形状は同一であり得るがそれらの大きさは異なる。さらに、シンチレータ表面22と24上の個別の光センサ31の配置は同一であっても異なってもよい。
【0024】
シンチレータ20は、シンチレータ表面22からシンチレータ表面24まで測定された長さLを有し得る。1つの実施形態において、長さLはシンチレータ表面22の平均幅Wより大きいまたは同一である。1つの実施形態において、長さLは少なくとも10mm、または少なくとも20mm、または少なくとも30mmになり得る。別の実施形態において、長さLは最大で5000mm、または最大で4000mm、または最大で3000mmになり得る。さらにまた、長さLは、10~5000mm、または20~4000mm、または30~3000mmなどの上記の最小及び最大値のうちの任意の範囲にあり得る。しかしながら、シンチレータは上述の値の範囲内で長さLを有し得る一方で、明細書の読後、当業者は、本明細書で論議された光センサシステム30がどのようにして上述の値より短いまたは長い長さLを有するシンチレータの表面に適用され得るかを理解するであろう。
【0025】
1つの実施形態において、シンチレータ20は、少なくとも25mm×25mm×25mm、または少なくとも50mm×50mm×50mmの寸法を有する立方体であり得る。1つの実施形態において、シンチレータ20は、少なくとも25mm×25mm×50mm、または少なくとも50mm×50mm×100mm、または少なくとも50mm×100mm×400mm、または少なくとも100mm×100mm×400mmの寸法を有する直方体であり得る。1つの実施形態において、シンチレータ20は、少なくとも25mm、または少なくとも50mm、または少なくとも75mm、または少なくとも100mm、または少なくとも125mmの直径を有し、かつ少なくとも25mm、または少なくとも50mm、または少なくとも75mm、または少なくとも100mm、または少なくとも125mmの長さを有する円柱であり得る。特定の実施形態において、円柱の長さLは円柱のシンチレータ表面22の平均幅Wと同一である。さらなる1つの実施形態において、円柱の長さLは、円柱のシンチレータ表面22の直径より大きく、さらに言
えば、少なくとも円柱の直径の2倍である。
【0026】
1つの実施形態において、本開示において先に論じたように、エネルギー分解能における重要な改善は、適切なアスペクト比を有するシンチレータを選択することによって達成され得る。本明細書で使用される場合、シンチレータ20のアスペクト比は、シンチレータ表面22の平均幅Wで割ったシンチレータ20の長さLと同一である。1つの実施形態において、シンチレータ20のアスペクト比が約1から増加するにつれて、所望されるエネルギー分解能は減少する。例えば、1つの実施形態において、シンチレータ20のアスペクト比は、少なくとも1、または少なくとも1.2、または少なくとも1.4、または少なくとも1.6、または少なくとも1.8である。1つの実施形態において、アスペクト比が高すぎる場合、所望されないエネルギー分解能は増加を開始し得る。例えば、1つの実施形態において、シンチレータ20のアスペクト比は、最大で7あってもよく、または最大で6.5、または最大で6、または最大で5.5であってもよい。さらにまた、シンチレータ20のアスペクト比は、1.2~7、または1.4~6.5、または1.6~6、または1.8~5.5などの上記の最小及び最大値のうちのいずれかの範囲内であり得る。
【0027】
上記の範囲内のアスペクト比を有するシンチレータを含む放射線検出器は、これらの範囲外のアスペクト比を有するシンチレータを含む放射線検出器と比較して、エネルギー分解能の減少を示し得る。例えば、最大で6.75%のエネルギー分解能に関して、シンチレータ20は1~7のアスペクト比を有し得、最大で6.65%のエネルギー分解能に関して、シンチレータ20は1.4~6.2のアスペクト比を有し得、最大で6.55のエネルギー分解能に関して、シンチレータ20は2~5.5のアスペクト比を有し得る。明細書の読後、当業者は、アスペクト比と、エネルギー分解能における相対的な改善が、使用されたシンチレータと個別の光センサ31の特定の組み合わせに依存し得ることを理解するであろう。
【0028】
さらに、シンチレータ20は、光センサ30がシンチレータ20に配列され得る限り、特定の適用に特に適しているシンチレータ材料を含み得る。1つの実施形態において、シンチレータ材料は無機シンチレータ材料である。例えば、無機シンチレータ材料は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウム、ゲルマニウム酸ビスマス、臭化ランタン、臭化セリウム、塩化ランタン、ルテチウムオキシオルトケイ酸塩、ルテチウムイットリウムオキシオルトケイ酸塩、セシウムリチウム臭化ランタン、セシウムリチウムランタンブロモ塩化物、セシウムリチウムイットリウム塩化物、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。別の実施形態において、シンチレータは有機シンチレータ材料である。例えば、有機シンチレータ材料は、プラスチックのシンチレータ、アントラセン、スチルベン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つの実施形態において、シンチレータ20はモノリシックシンチレータになり得る。
【0029】
本明細書に記載された放射線検出器の利点は、改善された性能の達成を含む一方、光センサは、シンチレータの表面の全域より小さい面積を累積的に占める。例えば、放射線検出器10は、改善されたシングル-エンド光収集効率とデュアル-エンド光収集効率を有し得る。本明細書で使用される場合、「シングル-エンド」という用語は、少なくとも放射線検出器10の性能パラメータについて使用されるとき、シンチレータの1つの端面から得られる長さを指し、「デュアル-エンド」という用語は、少なくとも放射線検出器の性能パラメータについて使用されるとき、シンチレータの2つの対向する端面から得られる長さを指す。
【0030】
図7に示されるように、放射線検出器10は光センサ30に電気的に結合された分析デバイスをさらに含み得る。分析デバイス262はハードウェアを含み得、少なくとも部分的にソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実装され得る。1つの実施形態において、ハードウェアは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)内、特定用途向け集積回路(ASIC)内、別の集積回路内、またはプリント基板上に複数の回路を含み得るか、または別の適切なデバイスを含み得るか、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。分析デバイス262はまた、データが分析され、ストレージに書き出され、読み取られ、別の構成要素またはデバイスに伝達され、別の適切な行為がデータ上で実行され、またはそれらの任意の組み合わせが行われる前に一時的にデータを保存するためにバッファも含み得る。
【0031】
図7に示される実施形態において、分析デバイス262は、光センサシステム30に結合された増幅器422を含み得、その結果、光センサシステム30からの電子パルスは分析の前に増幅され得る。増幅器422は、電子パルスをデジタル化することが可能なアナログ・デジタル変換器(ADC)424に結合され得る。ADC424は、パルス形状識別(PSD)モジュール442に結合され得る。特定の実施形態において、PSDモジュール442はFPGAまたはASICを含み得る。特定の実施形態において、PSDモジュール442は、電子パルスの形状を分析して、電子パルスが中性子またはガンマ線に対応するかどうかを判定する回路を含み得る。さらに特定の実施形態において、電子パルスが中性子またはガンマ線に対応するかどうかを判定するために、PSDモジュール442は、ルックアップテーブルによって、電子パルス、電子パルスから得られる情報、及び温度センサからの温度を使用し得る。ルックアップテーブルはFPGAまたはASICの一部となり得るか、あるいは集積回路、ディスクドライブ、または適切な永続メモリデバイスなどの別のデバイスの一部となってもよい。
【0032】
分析デバイス262は、中性子計数管462とガンマ線計数管464とをさらに備え得る。PSDモジュール442が、電子パルスが中性子に対応すると判定すると、PSDモジュール442は中性子計数管462をインクリメントする。PSDモジュール442が、電子パルスがガンマ線に対応すると判定すると、PSDモジュール442はガンマ線計数管464をインクリメントする。図6がデュアルモード放射線検出器を示す一方、他の実施形態において、放射線検出器はシングルモード放射線検出器になり得、分析器は中性子計数管462またはガンマ線計数管464のうちの1つのみを含み得、あるいは放射線検出器は、パルスのエネルギーに基づいて特定の材料を識別するために使用されてもよい。
【0033】
先述のシンチレータのいずれかは種々の適用で使用され得る。例示的な適用は、安全適用のための放射線検出器、油検層検出器、ガンマ線分光、同位体同定、単一陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)または陽電子放射断層撮影(PET)分析、及びX線撮像を含む。安全適用のための放射線検出器は、入口モニタ放射線検出器と、携帯用放射線検出器と、パーソナル放射線検出器とを含み得る。
【0034】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のうちのいくつかは本明細書に記載されている。本明細書の読後、当業者は、これらの態様及び実施形態は単に例であって本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。さらに、当業者は、アナログ回路を含むいくつかの実施形態がデジタル回路を使用する同様な実装になり得、またその逆も可能であることを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれかの1以上に準じてもよい。
【0035】
実施形態1.第1の表面を有するシンチレータと、
個別の光センサを備える光センサシステムであって、個別の光センサは、個別の光センサの周縁部から第1の表面の一番近い周縁部までの最短距離が第1の表面の一番近い周縁部から第1の表面の中心点までの最短距離の最大で10%になるように第1の表面上に配列されている、光センサシステムと、を備える放射線検出器であって、
光センサシステムが第1の表面の表面積の最大で80%の累積面積を占めること、及び 光センサシステムが第1の表面の中心点から第1の表面の一番近い周縁部までの距離の10%である第1の表面の中心点の距離内のいかなる領域をも占めないこと、のうちの少なくとも一つを含む、放射線検出器。
【0036】
実施形態2.個別の光センサの周縁部から第1の表面の一番近い周縁部までの最短距離が、第1の表面の一番近い周縁部から第1の表面の中心点までの最短距離の最大で8%、最大で6%、または最大で4%、または最大で2%である、実施形態1に記載の放射線検出器。
【0037】
実施形態3.個別の光センサの周縁部から第1の表面の一番近い周縁部までの最短距離が、最大で3mm、または最大で2mm、または最大で1mmである、実施形態1または2に記載の放射線検出器。
【0038】
実施形態4.シンチレータは多面体シンチレータである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0039】
実施形態5.少なくとも1つの端面は、長方形を含む多角形を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0040】
実施形態6.多角形は正方形である、実施形態5に記載の放射線検出器。
【0041】
実施形態7.シンチレータは立方体である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0042】
実施形態8.立方体は、少なくとも25mm×25mm×25mm、または少なくとも50mm×50mm×50mmの寸法を有する、実施形態7に記載の放射線検出器。
【0043】
実施形態9.シンチレータは立方体である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0044】
実施形態10.立方体は、少なくとも25mm×25mm×50mm、または少なくとも50mm×50mm×100mm、または少なくとも50mm×100mm×400mm、または少なくとも100mm×100mm×400mmの幅×高さ×長さの寸法を有する、実施形態8に記載の放射線検出器。
【0045】
実施形態11.第1の表面は角部を有し、個別の光センサは第1の表面の角部に配列されている、実施形態1~10のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0046】
実施形態12.光センサシステムは、第1の表面上に配列された複数の個別の光センサを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0047】
実施形態13.第1の表面は、複数の角部と、角部を接続する周縁部とを有し、複数の個別の光センサは第1の表面の角部のみに配列されている、実施形態12に記載の放射線検出器。
【0048】
実施形態14.第1の表面は、複数の角部と、角部を接続する周縁部とを有し、複数の個別の光センサは、第1の表面の角部の各々に第1の表面の周縁部に沿って配列されている、実施形態12に記載の放射線検出器。
【0049】
実施形態15.複数の個別の光センサは、第1の表面の角部と周縁部に沿ってのみ配列されている、実施形態14に記載の放射線検出器。
【0050】
実施形態16.光センサシステムは、第1の表面上に配列された複数の個別の光センサのみを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0051】
実施形態17.シンチレータは第1の表面に対向する第2の表面を有し、
光センサシステムは、第1の表面上に配列された第1の複数の個別の光センサと、第2の表面上に配列された第2の複数の個別の光センサとを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0052】
実施形態18.第1及び第2の複数の個別の光センサは、同一の配置で、それぞれ、第1及び第2の表面上に配列されている、実施形態17に記載の放射線検出器。
【0053】
実施形態19.第1の表面上に配列された個別の光センサの全アクティブエリアは、第1の表面の表面積の少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0054】
実施形態20.第2の表面上に配列された個別の光センサの全アクティブエリアは、第2の表面の表面積の最大で80%、または最大で60%または最大で40%、または最大で30%、または最大で25%である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0055】
実施形態21.第2の表面上に配列された個別の光センサの全アクティブエリアは、第2の表面の表面積の1~80%、または10~40%、または15~30%、または20~25%の範囲にある、実施形態1~20のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0056】
実施形態22.第1及び第2の各表面上の個別の光センサの全アクティブエリアは同一である、実施形態19~21のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0057】
実施形態23.個別の光センサは半導体による光電子増倍器を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0058】
実施形態24.個別の光センサはシリコンによる光電子増倍器を含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0059】
実施形態25.シンチレータは無機シンチレータ材料を含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0060】
実施形態26.無機シンチレータ材料は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウム、ゲルマニウム酸ビスマス、臭化ランタン、臭化セリウム、塩化ランタン、ルテチウムオキシオルトケイ酸塩、ルテチウムイットリウムオキシオルトケイ酸塩、セシウムリチウム臭化ランタン、セシウムリチウムランタンブロモ塩化物、セシウムリチウムイットリウム塩化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態25に記載の放射線検出器。
【0061】
実施形態27.シンチレータは有機シンチレータ材料を含む、実施形態1~24の放射線検出器。
【0062】
実施形態28.有機シンチレータ材料はアントラセン、スチルベン、またはプラスチックである、実施形態27に記載の放射線検出器。
【0063】
実施形態29.光センサの少なくとも1つはシンチレータの側面に配列されている、実施形態1~28のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0064】
実施形態30.シンチレータは、少なくとも1、または少なくとも1.2、または少なくとも1.4、または少なくとも1.6、または少なくとも1.8のアスペクト比を有し、アスペクト比は、第1の表面の平均幅Wで割ったシンチレータの長さLと同一である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0065】
実施形態31.シンチレータは、最大で7、または最大で6.5、または最大で6、または最大で5.5のアスペクト比を有し、アスペクト比は、第1の表面の平均幅Wで割ったシンチレータの長さLと同一である、実施形態1~30のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0066】
実施形態32.シンチレータは、1.2~7、または1.4~6.5、または1.6~6、または1.8~5.5の範囲のアスペクト比を有し、アスペクト比は、第1の表面の平均幅Wで割ったシンチレータの長さLと同一である、実施形態1~31のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0067】
実施形態33.光窓が、シンチレータと光センサシステムとの間に配列されている、実施形態1~32のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0068】
実施形態34.光窓は、高分子フィルム、鉱物ガラス、サファイヤ、アルミニウム酸窒化物、スピネル、またはそれらの任意の組み合わせを含み、実施形態33に記載の放射線検出器。
【0069】
実施形態35.光窓は鉱物ガラスを含み、300ミクロン以下の厚さを有する、実施形態34に記載の放射線検出器。
【0070】
実施形態36.実施形態1~35のいずれか1つに記載の放射線検出器と、
光センサに電気的に結合された分析デバイスと、を備える、放射線検出装置。
【0071】
実施形態37.放射線検出装置は、安全検知装置、検層検出装置、ガンマ線分光装置、同位体同定装置、単一陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)分析装置、陽電子放射断層撮影(PET)分析装置、及びX線撮像装置のうちの1つを含む、実施形態36に記載の放射線検出装置。
【実施例
【0072】
実施例は例として示されるのみであって、添付の請求項に定義されるように本発明の範囲を限定するものではない。
【0073】
実施例1
シンチレータ表面における個別の光センサの配置に基づいて検出器性能の変化を判定するためにシミュレーションを実施した。シミュレーションは、4インチ(約10.2cm)×4インチ(約10.2cm)×16インチ(約40.6cm)の寸法を有する立方体のNaIシンチレータと、角部構成(図4を参照)、縁部構成(図5を参照)、及び中心構成(図6を参照)の立方体のNaIシンチレータの1つまたは複数の対向する表面に設置される複数の個別の光センサに基づく。
【0074】
検出器性能の改善をインパルス応答関数(IRF)の幅によって定量化した。図示のために、「インパルス」はシンチレータ内で同数の光子を生成するシミュレーションにおけるパルスの収集である。すなわち、一団の光パルスが0%のエネルギー分解能によって生成される。シンチレーション光が検出器の内部の回りに伝播するため、光センサによって各パルスから収集された光量は、形状が無作為の光子パスに課せる吸収と消滅における変化によって変更するであろう。このため、たとえエネルギー分解能が0%で開始するとしても、シンチレータの異なる部分からの光収集の変化はエネルギー分解能を悪化させることになる。この悪化はIRFに取り込まれ、これはゼロでないFWHMを有する。IRF FWHMが狭いとき、検出器性能は改善される。本明細書では「RTransfer」と称されるIRF FWHMに基づくエネルギー分解能は、以下の公式、すなわち、
【0075】
【数1】
【0076】
ここで最頻値の平均値は収集された光子の数における分布を示す、を使用して計算される。検出器性能は、RTransferが減少するにつれて、改善すると考えられる。
【0077】
シングル-エンド構成及びRTransferの結果は表1に挙げられ、デュアル-エンド構成及びRTransferの結果は表2に挙げられる。表1及び2に関して、「SiPM」という用語は6×6mmのアクティブエリアを有するシリコン光電子増倍器を指し、「PMT」という用語は3.5インチの光電子増倍管を指す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
シミュレーションの結果によって示されるように、中心構成は、3つの構成のうち最も好ましくないように見える。しかしながら、光センサが角部構成にあるとき、さらに言えば光センサが縁部構成にあるとき、RTransfeは減少し、これは、光子が中心よりむしろ、シンチレータの表面の角部及び縁部でより良好に検出され得ることを示している。
【0081】
実施例2
データは、Cs-137ガンマ線ソースから662keVのガンマ線にさらされた立方体NaI(Tl)シンチレータ上で取られた。立方体NaI(Tl)シンチレータは、それぞれ、2インチ(約5cm)×2インチ(約5cm)×2インチ(約5cm)の寸法を有した。光センサ(SiPM、モデル:SensL60035cat27.5Vバイアス)を、角部構成(図4を参照)か中心構成(図6を参照)のどちらかである立方体NaI(Tl)シンチレータのそれぞれの表面に設置した。一連の立方体NaI(Tl)シンチレータを、構成ごとに、光センサによる表面の累積被覆率が徐々に増すことによって試験した。全表面積のパーセントで表された被覆された累積表面積及び各立方体NaI(Tl)シンチレータのパルス高さを図8のグラフに示し、全表面積のパーセントで表された被覆された累積表面積及び各シンチレータのエネルギー分解能を図9のグラフに示す。図8のグラフは、所定量の表面被覆率に関して、SiPMsが中心構成に対して角部構成であるとき収集された光の量(パルス高さに比例する)がより大きいことを示す。図9のグラフは、エネルギー分解能もまた、SiPMsが中心構成に対して角部構成であるときより良好であることを示す。
【0082】
実施例3
シンチレータのアスペクト比に基づいて改善された検出器性能を判定するためにシミュレーションを実行した。シミュレーションは、異なるアスペクト比を有するが、各々が約6.5cmの量を有する立方体のNaIシンチレータに基づいた。各々が6×6mmのアクティブエリアを有する複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)を、角部構成における立方体のシンチレータの端面のうちの1つに設置した(図4を参照)。各光センサのアクティブエリアは6×6mmであった。
【0083】
検出器性能を、実施例1に示されるようにRTransferを使用して定量化した。
【0084】
異なるアスペクト比及びRTransferの結果を下記の表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
シミュレーションの結果によって示されるように、RTransferは一般的にアスペクト比が4に近づくにつれて減少する。さらに、RTransferは、アスペクト比が1.5~6の範囲にあるとき1.5%より小さく、アスペクト比が2~5の範囲にあるとき1%より小さい。さらに、図10及び11は種々の性能パラメータ対アスペクト比の図面を含む。図10において、光収集効率(%)は左軸上にあって円を含む線によって表現され、RTransfer(%)は右軸上にあって正方形を含む線によって表現され、水平軸上のアスペクト比が左から右に増加するとき各々が計測される。光収集効率は、光センサに到達しパルス高さに比例する少量の光子を指す。図11において、662keV(%)のPHRは左軸上にあって、水平軸上のアスペクト比が左から右に増加するとき測定される。光収集効率は、パーセンテージが増加するにつれて改善する一方、形状の不均一性及びエネルギー分解能は、パーセンテージが減少するにつれて改善する。このため、図10及び11に示されるように、性能は、アスペクト比が1~7の範囲、またはさらに言えば1.5~6の範囲などで4に近づくにつれて増加する。
【0087】
概要において上述されたアクティビティまたは実施例のすべてが要求されるというわけではなく、特定のアクティビティの一部が要求されなくてもよく、以上の他に1つ以上のさらなるアクティビティが実行されてもよいことに留意されたい。さらにまた、アクティビティが列挙される順番は、必ずしもそれらが実行される順番ではない。
【0088】
利益、他の利点、及び問題に対する解決策が、特定の実施形態について上述された。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、または解決策を生じさせ得る、またはより顕著であってもよい任意の特徴(複数を含む)は、いずれかまたはすべての請求項の重要な、要求された、または必須の特徴として解釈されるべきではない。
【0089】
本明細書に記載された実施形態の仕様や図示は、種々の実施形態の構成の一般的な理解を与えることを意図する。仕様や図示は、本明細書に記載された構造または方法を使用する装置及びシステムの要素や特徴のすべての包括的で総合的な記述として役立つことは意図されていない。明確にするために別の実施形態の観点から本明細書に記載された所定の特徴も、単一の実施形態と組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡略して表現するために単一の実施形態の観点から記述された種々の特徴もまた、別々にまたは組み合わされて提供されてもよい。さらに、範囲の中で述べられた値についての言及はその範囲内で各値及びすべての値を含む。他の多くの実施形態は、この明細書の読後のみ、当業者にとって自明となり得る。構造的な代替物、論理的な代替物、または別の変化が本開示の範囲から逸脱することなくなされ得るように、他の実施形態が使用され、開示から生じてもよい。したがって、本開示は限定的というよりは例示的であるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11