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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20220202BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20220202BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20220202BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20220202BHJP
   H02K 9/08 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
F04B39/06 Q
F04B39/00 106C
F04C29/00 T
H02K7/14 B
H02K9/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020191306
(22)【出願日】2020-11-18
(62)【分割の表示】P 2017177460の分割
【原出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2021038750
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2017093269
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】大矢 香那
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】萩原 亮任
(72)【発明者】
【氏名】濱田 克徳
(72)【発明者】
【氏名】壷井 昇
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-187525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
F04B 39/00
F04C 29/00
H02K 7/14
H02K 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮する第1の圧縮機本体と、
中間流路に配設され、前記第1の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラと、
前記インタークーラで冷却された圧縮ガスを圧縮する第2の圧縮機本体と、
吐出流路に配設され、前記第2の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するアフタークーラと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第1の圧縮機本体を回転駆動する第1のモータと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第2の圧縮機本体を回転駆動する第2のモータと、
前記アフタークーラによって冷却された圧縮ガスを前記第1のモータのモータ室内および前記第2のモータのモータ室内の少なくとも一方に導入する導入流路と、
前記導入流路が接続されている方の前記モータ室内に導入されて前記モータの内部を冷却した圧縮ガスを前記中間流路の前記インタークーラより上流側に戻す戻し流路と、
前記モータ室内の圧縮ガスを前記モータ室の外部へ放出して機外である大気へ解放するガス放出部と、を備える、圧縮機の運転方法であって、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入流路を介して圧縮ガスを前記モータ室に導入し、かつ、前記ガス放出部を介して前記モータ室から圧縮ガスを大気へ放出することで前記モータ室内のガスが置換され、
圧縮機のロード運転時において、前記モータ室内に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記戻し流路を介して前記インタークーラの上流側に戻される、圧縮機の運転方法。
【請求項2】
ガスを圧縮する第1の圧縮機本体と、
中間流路に配設され、前記第1の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラと、
前記インタークーラで冷却された圧縮ガスを圧縮する第2の圧縮機本体と、
吐出流路に配設され、前記第2の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するアフタークーラと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第1の圧縮機本体を回転駆動する第1のモータと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第2の圧縮機本体を回転駆動する第2のモータと、
前記アフタークーラによって冷却された圧縮ガスを前記第1のモータのモータ室内および前記第2のモータのモータ室内の少なくとも一方に導入する導入流路と、
前記導入流路が接続されている方の前記モータ室内に導入されて前記モータの内部を冷却した圧縮ガスを前記中間流路の前記インタークーラより上流側に戻す戻し流路と、
前記モータ室内の圧縮ガスを前記モータ室の外部へ放出して機外である大気へ解放するガス放出部と、を備える、圧縮機であって、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入流路を介して圧縮ガスを前記モータ室に導入し、かつ、前記ガス放出部を介して前記モータ室から圧縮ガスを大気へ放出することで前記モータ室内のガスが置換され、
圧縮機のロード運転時において、前記モータ室内に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記戻し流路を介して前記インタークーラの上流側に戻される、圧縮機。
【請求項3】
ガスを圧縮する圧縮機本体と、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、
前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを前記モータ室内に導入する導入流路と、
前記モータ室内に導入された圧縮ガスを前記ガスクーラの上流側に戻す戻し流路と、
前記モータ室内のガスを前記モータ室の外部へ放出して機外である大気へ解放するガス放出部と、を備えた圧縮機の運転方法であって、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入流路を介して圧縮ガスを前記モータ室に導入し、かつ、前記ガス放出部を介して前記モータ室から圧縮ガスを大気へ放出することで前記モータ室内のガスが置換され、
圧縮機のロード運転時において、前記モータ室内に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記戻し流路を介して前記ガスクーラの上流側に戻される、
圧縮機の運転方法。
【請求項4】
ガスを圧縮する圧縮機本体と、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、
前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを前記モータ室内に導入する導入流路と、
前記モータ室内に導入された圧縮ガスを前記ガスクーラの上流側に戻す戻し流路と、
前記モータ室内のガスを前記モータ室の外部へ放出して機外である大気へ解放するガス放出部と、を備えた圧縮機であって、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入流路を介して圧縮ガスを前記モータ室に導入し、かつ、前記ガス放出部を介して前記モータ室から圧縮ガスを大気へ放出することで前記モータ室内のガスが置換され、
圧縮機のロード運転時において、前記モータ室内に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記戻し流路を介して前記ガスクーラの上流側に戻される、圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮機に関し、詳細には、スクリュ圧縮機におけるモータの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュ圧縮機では、雄雌一対のスクリュロータが、モータによって回転駆動されている。モータを高速で回転駆動すると、いわゆる鉄損(ヒステリシス損や渦電流損)や銅損(巻線抵抗による損失)等の電気的な損失により、モータが発熱する。
【0003】
発熱したモータを冷却するために、冷却ジャケットがモータケーシングの外周部に設けられている。冷却ジャケットの中を流れる冷却水又はクーラント等の冷却液との熱交換により、モータを冷却している。
【0004】
高速回転するモータを用いたスクリュ圧縮機では、モータのサイズが小さくなるにつれて、モータケーシングの外周部に設けられる冷却ジャケットも小さくなる。そして、冷却ジャケットは、モータを外部から冷却しており、モータを内部から冷却していない。そのため、小さな冷却ジャケットによる冷却だけでは、モータの冷却が不十分になり、固定子のコイル及び回転子の表面で温度が上昇し、モータ出力及び効率が低下する。そこで、モータの固定子を効率良く冷却するため、二重の冷却構造を備える液冷式モータが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-343857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の液冷式モータは、モータケーシングの外側部分を冷却する冷却ジャケットとモータケーシングの内側部分を冷却する冷却液通路という二重の冷却構造を備えている。当該二重の冷却構造では、モータケーシングを外側及び内側から冷却し、モータケーシングの内側に取り付けられたモータの固定子を外側から冷却している。すなわち、特許文献1の液冷式モータは、モータを外側から冷却する構造である。
【0007】
また、特許文献1は、上記の二重の冷却構造に加えて、固定子の両端面から張り出して冷却ジャケットから離れたところに位置する巻き線端部に対して、冷却液通路又は冷却ジャケットからの冷却液を吹き付けることを開示する。しかしながら、冷却媒体として冷却液が回転子にも接触してしまい、機械損(回転子の回転抵抗)が生じて、モータ出力及び効率が低下する。また、冷却媒体として潤滑オイルを用いる場合、発熱部分に直接接する潤滑オイルの潤滑特性が劣化して、潤滑オイルの寿命が低下する。
【0008】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、冷却媒体の劣化を抑制しつつ、モータを内側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制する、圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下の圧縮機が提供される。
【0010】
すなわち、ガスを圧縮する圧縮機本体と、回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するガスクーラと、前記ガスクーラによって冷却されたガスを前記モータ室内に導入する導入流路と、前記モータ室内に導入されて前記モータの内部を冷却した圧縮ガスを前記ガスクーラの上流側に戻す戻し流路と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、ガスクーラによって冷却された圧縮ガスが、導入流路を通じてモータ室内に導入され、当該圧縮ガスによってモータ内の回転子及び固定子がモータの内側から冷却される。モータの冷却に使用された圧縮ガスは、戻し流路を通じてガスクーラで冷却される。したがって、冷却媒体として働く圧縮ガスの劣化を抑制しつつ、モータを内側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明は、上記特徴に加えて次のような特徴を備えることができる。
【0013】
前記モータ室内に導入された圧縮ガスが、前記回転子と前記固定子との間に形成されるエアギャップを流れるように構成されている。当該構成によれば、モータのエアギャップを流れる圧縮ガスにより、機械損(回転子の回転抵抗)の発生を抑制しながら、回転子及び固定子を効果的に冷却できる。
【0014】
前記モータ室内に導入された圧縮ガスが、前記モータケーシングの内側部分であって前記固定子に対応する部分に形成された多条溝を流れるように構成されている。当該構成によれば、多条溝を流れる圧縮ガスにより、固定子及びモータケーシングを効果的に冷却できる。
【0015】
前記多条溝が、螺旋状に形成されている。当該構成によれば、圧縮ガスがモータケーシングの内側部分の周面に沿って螺旋状に流れるので、固定子及びモータケーシングを均一に冷却できる。
【0016】
前記ガスクーラによって冷却された圧縮ガスが、前記モータの外周部に設けられた冷却ジャケット部の中を流れるように構成されている。当該構成によれば、当該圧縮ガスによってモータが外側から冷却される。
【0017】
前記圧縮機本体に供給されるオイルが、前記モータの外周部に設けられた冷却ジャケット部の中を流れるように構成されている。当該構成によれば、モータを外側から冷却する効果を高めることができる。
【0018】
前記モータ室内に導入された圧縮ガスの温度が、前記冷却ジャケット部の中を流れるオイルの温度よりも低いように構成されている。当該構成によれば、冷却ジャケット部の中を流れるオイルの温度を上げること無く、モータを内側から冷却できる。
【0019】
前記導入流路には、圧縮ガス中に含まれる水分を分離・除去するドレンセパレータが配設されている。当該構成によれば、水分を含まない圧縮ガスがモータの内部を流れることにより、モータへのダメージを低減できる。
【0020】
前記導入流路には、アンロード運転時に閉止される開閉弁が配設されている。当該構成によれば、モータの負荷が小さいアンロード運転時において、圧縮ガスがモータの内部を流れないことで、モータの動力ロスを低減できる。
【0021】
前記導入流路には、前記固定子のコイル温度に応じて圧縮ガスの流量を調整する流量調整弁が配設されている。当該構成によれば、適量の圧縮ガスがモータの内部を流れて、需要先への圧縮ガスの供給ロスを低減できる。
【0022】
前記戻し流路には、前記圧縮機本体から吐出された圧縮ガスが前記モータ室に流れることを防止する逆止弁が配設されている。当該構成によれば、アンロード運転時に、圧縮機本体から吐出される高温の圧縮ガスがモータ室に逆流することを防止できる。
【0023】
圧縮機は、ガスを圧縮する第1の圧縮機本体と、
中間流路に配設され、前記第1の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラと、
前記インタークーラで冷却された圧縮ガスを圧縮する第2の圧縮機本体と、
吐出流路に配設され、前記第2の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するアフタークーラと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第1の圧縮機本体を回転駆動する第1のモータと、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記第2の圧縮機本体を回転駆動する第2のモータと、
前記アフタークーラによって冷却された圧縮ガスを前記第1のモータのモータ室内および前記第2のモータのモータ室内の少なくとも一方に導入する導入流路と、
前記導入流路が接続されている方の前記モータ室内に導入されて前記モータの内部を冷却した圧縮ガスを前記中間流路の前記インタークーラより上流側に戻す戻し流路とを備える。当該構成によれば、複数の圧縮機本体を1つのモータで駆動する場合と比べて、各モータが小型化され、小型化された各モータでのモータ出力及び効率の低下を抑制できる。
【0024】
また、別の第1態様によれば、圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮機本体と、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、
前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを前記モータ室内に導入する導入流路と、
前記導入流路に設けられ、前記導入流路を開閉する導入弁と、を備え、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入弁は開放される。
【0025】
前記構成によれば、アンロード運転時において、外部に放出されていた圧縮ガスをモータの冷却に有効活用することができる。
【0026】
前記別の第1態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0027】
前記導入流路には、前記モータ室の内部に導入される圧縮ガスを冷却する導入クーラが設けられている。
【0028】
前記構成によれば、導入クーラで冷却された圧縮ガスがモータ室に導入されるため、モータを効率よく冷却することができる。
【0029】
別の第2態様によれば、圧縮機は、ガスを圧縮する複数の圧縮機本体と、
前記複数の圧縮機本体毎に設けられ、回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、
少なくとも1つの前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを少なくとも1つの前記モータ室内に導入する少なくとも1つの導入流路と、
前記導入流路に設けられ、前記導入流路を開閉する導入弁と、を備え、
圧縮機のアンロード運転時において、前記導入弁は開放され、複数の前記モータ室の内、所定のモータ室の内部に圧縮ガスが導入される。
【0030】
前記構成によれば、モータが複数設けられている場合、冷却の必要な所定のモータについて冷却することができる。
【0031】
前記別の第2態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0032】
ガスを圧縮する第1の圧縮機本体と、
中間流路に配設され、前記第1の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラと、
前記インタークーラで冷却された圧縮ガスを圧縮する第2の圧縮機本体と、を備え、
前記導入流路は、前記インタークーラによって冷却された圧縮ガスを前記モータ室に導入する。
【0033】
前記構成によれば、インタークーラによって冷却された圧縮ガスがモータ室に導入されるため、モータを効率よく冷却することができる。
【0034】
前記別の第1態様又は前記別の第2態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0035】
ガスを圧縮する第1の圧縮機本体と、
中間流路に配設され、前記第1の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラと、
前記インタークーラで冷却された圧縮ガスを圧縮する第2の圧縮機本体と、
吐出流路に配設され、前記第2の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを冷却するアフタークーラと、
前記モータ室内に導入されて前記モータの内部を冷却した圧縮ガスを前記インタークーラの上流側に戻す戻し流路と、
前記モータ室に接続され、前記モータ室内と機外とを連通し又は閉塞する放気弁と、を備え、
圧縮機のアンロード運転時において、前記放気弁は開放され、前記第2の圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスは前記モータ室に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記モータ室から前記放気弁を介して機外に解放され、
圧縮機のロード運転時において、前記放気弁は閉止され、前記アフタークーラによって冷却された圧縮ガスは前記モータ室に導入され、前記モータ室に導入された圧縮ガスは前記戻し流路を介して前記インタークーラの上流側に戻される。
【0036】
前記構成によれば、アンロード運転時及びロード運転時の両方において、圧縮ガスをモータ室に導入することによって、モータを冷却することができる。また、ロード運転時においては、モータ室に導入された圧縮ガスをインタークーラの上流側に戻すことによって、圧縮ガスを外部に放出せず、圧縮ガスを有効活用することができる。
【0037】
別の第3態様によれば、圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮機本体と、
回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、前記圧縮機本体を回転駆動するモータと、
前記圧縮機本体によって圧縮された圧縮ガスを前記モータ室内に導入する導入流路と、
前記モータ室内のガスを外部へ放出させるガス放出部と、を備え、
前記導入流路及び前記ガス放出部を介して前記モータ室内のガスが置換される。
【0038】
前記構成によれば、導入流路及びガス放出部によって、モータ室内のガスを置換し、モータを冷却することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、冷却媒体の劣化を抑制しつつ、モータを内側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明の第1実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図2図1に示すスクリュ圧縮機の模式的縦断面図。
図3】この発明の第2実施形態に係るスクリュ圧縮機の模式的縦断面図。
図4】この発明の第3実施形態に係るスクリュ圧縮機の模式的縦断面図。
図5】この発明の第4実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図6】この発明の第5実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図7】この発明の第6実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図8】この発明の第1の変形例に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図9】この発明の第2の変形例に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図10】この発明の第3の変形例に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図11】この発明の第7実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図12】この発明の第8実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図13】この発明の第9実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図14】この発明の第10実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図15】この発明の第11実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図16】この発明の第12実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
図17】この発明の第13実施形態に係るスクリュ圧縮機の全体構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
まず、この発明の第1実施形態に係るスクリュ圧縮機1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、2段型のスクリュ圧縮機1を示し、低圧側の第1段圧縮機本体2,モータ3,高圧側の第2段圧縮機本体4,インタークーラ5,逆止弁7、アフタークーラ6,吸込流路11,中間流路12及び吐出流路13を備える。例えば、第1段圧縮機本体2のロータ軸23が、モータ3によって回転駆動されるとともに、第2段圧縮機本体4のロータ軸と同期して回転するように構成されている。
【0043】
第1段圧縮機本体2の吸込口には、吸込流路11が接続されている。第1段圧縮機本体2の吐出口と第2段圧縮機本体4の吸込口とを接続する中間流路12には、インタークーラ5が配設されている。第2段圧縮機本体4の吐出口に接続される吐出流路13には、逆止弁7及びアフタークーラ6が配設されている。インタークーラ5及びアフタークーラ6は、それぞれ、圧縮ガスを冷却するガスクーラとして働く。吐出流路13から分岐された導入流路15が、モータ3のガス導入部38(図2に図示)等に接続されている。モータ3のガス排出下部39(図2に図示)等に接続される戻し流路16が、中間流路12に接続されている。戻し流路16を流れる圧縮ガスはモータ3を冷却した後のものであるため、圧縮ガスの温度が高くなっている。戻し流路16が、中間流路12において、インタークーラ5よりも上流側に接続されることにより、温度の上昇した圧縮ガスをインタークーラ5で冷却することができる。
【0044】
次に、図1に示すスクリュ圧縮機1のうち、第1段圧縮機本体2及びモータ3の構成について、図2を参照しながら説明する。
【0045】
図2に示した第1段圧縮機本体2は、モータ直結タイプのオイルフリースクリュ圧縮機である。第1段圧縮機本体2の本体ケーシング21が、隔壁ケーシング24を介して、モータ3のモータケーシング31に一体的に結合されている。本体ケーシング21のロータ室内には、雄雌咬合する一対のスクリュロータ22が回転可能に収容されている。ロータ軸23の吐出側軸部及び吸込側軸部は、それぞれ、吐出側軸受軸封部25及び吸込側軸受軸封部27によって、回転可能に支持されているとともに軸封されている。吐出側軸受軸封部25が隔壁ケーシング24に配設され、吸込側軸受軸封部27が本体ケーシング21の吸込側に配設されている。本体ケーシング21の吸込側は、カバー26によって閉じられている。
【0046】
一方のスクリュロータ22のロータ軸23とモータ3の出力軸32とは直結している。出力軸32によりロータ軸23を介して一方のスクリュロータ22が回転する。一方のスクリュロータ22に伝達された回転駆動力は、タイミングギアを介して他方のスクリュロータ22に伝達される。このようにして、一対のスクリュロータ22が、非接触状態で同期して回転してガスを圧縮する。
【0047】
モータ3のモータケーシング31のモータ室37内には、回転子33及び固定子34が収納されている。モータケーシング31は、略円筒形状をしており、モータケーシング31の反負荷側がカバー42で閉じられている。出力軸32に対向するように、カバー42の略中央部には、カバー42を貫通するガス導入部38が設けられている。モータケーシング31の上部には、モータケーシング31を貫通するガス排出上部40が設けられている。隔壁ケーシング24の下部には、隔壁ケーシング24を貫通するガス排出下部39が設けられている。
【0048】
モータケーシング31の外周部を包囲するように、冷却ジャケット部36が設けられている。図示しないオイル流路を通じて、冷却ジャケット部36に対して、オイルが供給される。オイルは、第1段圧縮機本体2及び第2段圧縮機本体4にも供給されるものであり、冷却ジャケット部36の下側から供給され、冷却ジャケット部36の上側から排出される。冷却ジャケット部36を流れるオイルにより、モータケーシング31が効果的に冷却される。なお、冷却ジャケット部36だけをオイルで冷却するならば、オイルの温度はあまり上昇しないので、オイルの劣化は少ない。また、モータ室37内にオイルを導入して冷却する場合と比べてオイルの使用量が少なくなるため、小型のオイルクーラ及びオイルポンプを使用することができる。
【0049】
モータケーシング31内に導入された圧縮ガスの温度が、冷却ジャケット部36の中を流れるオイルの温度よりも低いように構成されている。当該構成によれば、冷却ジャケット部36の中を流れるオイルの温度を上げること無く、圧縮ガスによってモータ3を内側から冷却できる。
【0050】
固定子34は、モータケーシング31の内側面に取り付けられて、コアとコイル35とを備える。コイル35は、断面視で軸方向に延びるとともに、コイル35の軸方向の両端には、モータケーシング31の方に突出するコイル端部を備えている。電流がコイル35に流れることにより固定子34が発熱するので、固定子34は発熱部分として働く。固定子34から発熱した熱は、モータケーシング31に熱伝導するとともに、エアギャップ41を介して回転子33に熱伝達する。
【0051】
ロータ軸23から延びる出力軸32が、回転子33の軸中心の貫通孔に挿入されて、回転子33がボルト等によって回転子33に取り付けられている。したがって、回転子33が回転すると、出力軸32に連結されたロータ軸23を介して、スクリュロータ22の一方が回転する。
【0052】
固定子34と回転子33との間には、エアギャップ41が形成されている。エアギャップ41のサイズは、例えば約1mmである。ガス導入部38から導入された圧縮ガスが、エアギャップ41を軸方向に流れることにより、回転子33及び固定子34が冷却される。したがって、エアギャップ41は、冷却用の圧縮ガスが流れるガス通路として働く。
【0053】
モータケーシング31の内側部分であって固定子34に対応する部分には、螺旋多条溝43が形成されている。螺旋多条溝43は、複数の溝部が軸方向に螺旋状に延びている。ガス導入部38から導入された圧縮ガスが、螺旋多条溝43の中をモータケーシング31の内側部分の周面に沿って螺旋状に流れるので、固定子34及びモータケーシング31を均一に冷却できる。したがって、螺旋多条溝43は、同様に、ガス通路として働く。
【0054】
また、ガス導入部38から螺旋多条溝43に向けて圧縮ガスが流れる過程で、圧縮ガスによってコイル35のコイル端部の反負荷側が冷却される。また、螺旋多条溝43からガス排出下部39及びガス排出上部40に向けて圧縮ガスが流れる過程で、圧縮ガスによってコイル35のコイル端部の負荷側が冷却される。従来は、冷却するのが困難であったコイル35のコイル端部が、螺旋多条溝43に係る圧縮ガスによって効果的に冷却される。
【0055】
エアギャップ41及び螺旋多条溝43を流れた圧縮ガスは、ガス排出下部39及びガス排出上部40を通じて排出される。モータ室37の底部にガス排出下部39を備えることにより、運転停止で冷えることによって発生したドレンが、運転再開で圧縮ガスと共に排出されるので、モータ室37の内部にドレンが溜まりにくくなる。
【0056】
固定子34のコイル35には、コイル温度を測定する温度センサ49が取り付けられている。温度センサ49は、例えば、後述するように、導入流路15に配設された流量調整弁54を制御するときに使用される。
【0057】
このような圧縮ガスによる冷却構造によれば、スクリュ圧縮機1の運転が開始されると、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスが、ガス導入部38を通じて、モータ室37内に導入される。モータ室37内では、圧縮ガスが、エアギャップ41を軸方向に流れるとともに、螺旋多条溝43の中をモータケーシング31の内側部分の周面に沿って螺旋状に流れる。エアギャップ41及び螺旋多条溝43を流れる圧縮ガスによって、モータ3内の回転子33及び固定子34がモータ3の内側から冷却される。モータ3の冷却に使用された圧縮ガスは、戻し流路16を通じて、中間流路12に戻されて、インタークーラ5で冷却される。したがって、冷却媒体として働く圧縮ガスの劣化を抑制しつつ、モータ3を内側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制することができる。
【0058】
次に、この発明の第2実施形態のスクリュ圧縮機1について、図3を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0059】
第2実施形態では、モータケーシング31の内側部分であって固定子34に対応する部分には、直線多条溝44が形成されている。直線多条溝44は、複数の溝部が軸方向に直線状に延びている。ガス導入部38から導入された圧縮ガスが、直線多条溝44の中をモータケーシング31の内側部分の周面に沿って軸方向に流れるので、固定子34及びモータケーシング31を均一に冷却できる。したがって、直線多条溝44はガス通路として働く。
【0060】
このような圧縮ガスによる冷却構造によれば、スクリュ圧縮機1の運転が開始されると、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスが、ガス導入部38を通じて、モータ室37内に導入される。モータ室37内では、圧縮ガスが、エアギャップ41を軸方向に流れるとともに、直線多条溝44の中をモータケーシング31の内側部分の周面に沿って軸方向に流れる。エアギャップ41及び直線多条溝44を流れる圧縮ガスによって、モータ3内の回転子33及び固定子34がモータ3の内側から冷却される。モータ3の冷却に使用された圧縮ガスは、戻し流路16を通じて、中間流路12に戻されて、インタークーラ5で冷却される。したがって、冷却媒体として働く圧縮ガスの劣化を抑制しつつ、モータ3を内側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制することができる。
【0061】
この発明の第3実施形態のスクリュ圧縮機1について、図4を参照しながら説明する。なお、この第3実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0062】
第3実施形態では、モータケーシング31の外周部に配設された冷却ジャケット部36に対して、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスが供給される。圧縮ガスは、冷却ジャケット部36の上側のジャケット導入部46から導入され、冷却ジャケット部36の下側のジャケット排出部47から排出される。冷却ジャケット部36を流れる圧縮ガスにより、モータケーシング31が冷却される。なお、運転停止で冷えることによって発生したドレンが、運転再開で圧縮ガスと共に排出されるので、冷却ジャケット部36の内部にドレンが溜まりにくくなる。
【0063】
このような圧縮ガスによる冷却構造によれば、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスが、ガス導入部38を通じて、モータ室37内に導入されて、モータ3内の回転子33及び固定子34がモータ3の内側から冷却される。それとともに、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスが、ジャケット導入部46を通じて、冷却ジャケット部36内に導入されて、モータ3が外側から冷却される。したがって、冷却された圧縮ガスがモータ3を内側及び外側から冷却して、モータ出力及び効率の低下を抑制することができる。
【0064】
この発明の第4実施形態のスクリュ圧縮機1について、図5を参照しながら説明する。なお、この第4実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0065】
第4実施形態では、図5に示すように、ドレンセパレータ51が導入流路15に配設されている。ドレンセパレータ51は、圧縮ガス中に含まれる水分を分離・除去する。当該構成によれば、水分を含まない圧縮ガスがモータ3内を流れることにより、モータ3へのダメージを低減できる。
【0066】
この発明の第5実施形態のスクリュ圧縮機1について、図6を参照しながら説明する。なお、この第5実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0067】
第5実施形態では、図6に示すように、開閉弁52が、導入流路15に配設されている。開閉弁52は、図示しない制御部によって電磁的に開閉されて、アンロード運転時には閉止される。当該構成によれば、モータの負荷が小さいアンロード運転時において、圧縮ガスがモータ3内を経由して中間流路へ流れないことで、モータ3の動力ロスを低減できる。また、アンロード運転時に、第1段圧縮機本体2から吐出される高温のガスがモータ室37に逆流することを防止するために、逆止弁53が戻し流路16に設けられている。なお、逆止弁53の代わりに、図示しない制御部によって開閉弁52よりも先にあるいは開閉弁52と同時に閉じられる開閉弁を用いることもできる。
【0068】
この発明の第6実施形態のスクリュ圧縮機1について、図7を参照しながら説明する。なお、この第6実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0069】
第6実施形態では、図7に示すように、流量調整弁54が導入流路15に配設されている。流量調整弁54は、温度センサ49によって測定された固定子34のコイル温度に応じて、圧縮ガスの流量を調整する。固定子34のコイル温度が高くなると、流量調整弁54が開弁する方向に制御され、圧縮ガスの流量が増加して、モータ3内を冷却する。流量調整弁54は、流路面積を変えることのできるオリフィス、ニードル弁である。当該構成によれば、適量の圧縮ガスがモータ3の内部を流れて、需要先への圧縮ガスの供給ロスを低減できる。
【0070】
なお、この発明は、上述した各実施形態の具体的な構成や数字に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない範囲で考えられる各種の変形例を含むことができる。
【0071】
この発明は、シール及び冷却を目的として、スクリュロータ22でガスを圧縮するロータ室に対してオイルを供給する油冷式のスクリュ圧縮機にも適用できる。また、この発明は、スクリュ圧縮機1として2段型のものを例示したが、1つだけの圧縮機本体を備える単段型のもの、3つ以上の圧縮機本体を備える多段型のものにも適用できる。
【0072】
上述した各実施形態では、第1段圧縮機本体2および第2段圧縮機本体4のロータ軸を連結して、1つのモータ3で両圧縮機本体2,4を同期して駆動する2段型のスクリュ圧縮機1を例示した。この発明は、上記実施形態に限らず、図8に示す第1の変形例のように、第1段圧縮機本体2のロータ軸と第2段圧縮機本体4のロータ軸とを2つのピニオンギヤと1つのブルギヤを介して1つのモータ3に接続して、1つのモータ3で両圧縮機本体2,4を同期して駆動する2段型のスクリュ圧縮機1にも適用できる。また、図9に示す第2の変形例のように、複数の圧縮機本体が流体的に直列に接続され、圧縮機本体毎に設けられたモータ3(すなわち、第1のモータ3a,第2のモータ3b)で駆動する多段型のスクリュ圧縮機1にも適用できる。圧縮機本体毎にモータを設ける多段型のスクリュ圧縮機は、複数の圧縮機本体を1つのモータで駆動する場合と比べて、各モータが小型化されるため、この発明を一層好適に適用できる。
【0073】
上述した各実施形態では、スクリュ圧縮機1に対してドレンセパレータ51、開閉弁52、逆止弁53および流量調整弁54がそれぞれ単独で設けられているが、図8に示す第1の変形例のように、および図10に示す第3の変形例のように、それらの2つ以上を組合わせて設けてもよい。
【0074】
図9および図10のそれぞれに示されるように、スクリュ圧縮機1は、ガスを圧縮する第1の圧縮機本体2と、中間流路12に配設され、第1段圧縮機本体(第1の圧縮機本体)2によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラ5と、インタークーラ5で冷却された圧縮ガスを圧縮する第2段圧縮機本体(第2の圧縮機本体)4と、吐出流路13に配設され、第2の圧縮機本体4によって圧縮された圧縮ガスを冷却するアフタークーラ6と、回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、第1段圧縮機本体(第1の圧縮機本体)2を回転駆動する第1のモータ3aと、回転子及び固定子がモータケーシングのモータ室内に収容されて、第2段圧縮機本体(第2の圧縮機本体)4を回転駆動する第2のモータ3bと、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスを第1のモータ3aのモータ室内および第2のモータ3bのモータ室内の少なくとも一方に導入する導入流路15と、導入流路15が接続されている方のモータ室内に導入されてモータの内部を冷却した圧縮ガスを中間流路12のインタークーラ5より上流側に戻す戻し流路16とを備える。
【0075】
上述した各実施形態では、戻し流路16は、圧縮ロスを低減するため、中間流路12に接続されているが、吸込流路11に接続してもよい。戻し流路16は、中間流路12上にインタークーラ5が配設されている場合、該インタークーラ5の上流側に接続されることが好ましい。単段型のスクリュ圧縮機1では、戻し流路16が吸込流路11に接続される。3つ以上の多段型のスクリュ圧縮機1では、戻し流路16が、最終段圧縮機本体の手前に位置する中間流路12上に接続され、当該中間流路12上にインタークーラ5が配設されている場合、該インタークーラ5の上流側に接続される。
【0076】
この発明の第7実施形態のスクリュ圧縮機1について、図11を参照しながら説明する。なお、この第7実施形態において、上記第1実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0077】
第7実施形態では、図11に示すように、導入流路15に導入弁55が配設されている。導入弁55は電磁弁であり、圧縮機のアンロード運転時において開放される。また、吸込流路11には、吸込調整弁11aが配設されており、圧縮機のアンロード運転時においては閉止される。また、モータ3のモータ室には、モータ室内のガスをモータ室の外部に放出するガス放出部61が設けられる。ガス放出部61は、例えば第1実施形態のガス排出下部39およびガス排出上部40の何れかに対応する。ガス放出部61は、そこから放出されたガスをさらに機外(大気)に解放する構成としてもよく、また、そこから放出されたガスを圧縮機の流路に戻す構成としてもよい。
【0078】
上記構成によれば、圧縮機のアンロード運転時において、導入弁55は開放されるので、これまで活用されていなかった圧縮ガスをモータ3の冷却に有効活用することができる。そして、導入流路15及びガス放出部61によって、モータ室内のガスを置換し、モータ3を冷却することができる。なお、本実施形態において、導入弁55を削除し、モータ室内とガス放出部61を介して機外とを連通し又は閉塞する放気弁(不図示)を設けてもよい。これによっても、導入流路15を介して、常時圧縮ガスをモータ室内に導入し、圧縮機のアンロード運転時において、放気弁を開放して、モータ室内のガスをガス放出部61からモータ室の外部へ放出させることができる。
【0079】
この発明の第8実施形態のスクリュ圧縮機1について、図12を参照しながら説明する。なお、この第8実施形態において、上記第7実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0080】
第8実施形態では、図12に示すように、導入流路15に導入クーラ81が配設されている。
【0081】
上記構成によれば、導入流路15には、モータ室の内部に導入される圧縮ガスを冷却する導入クーラ81が設けられているので、導入クーラ81で冷却された圧縮ガスがモータ室に導入されるため、モータ3を効率よく冷却することができる。なお、本実施形態では、導入クーラ81は、導入弁55の下流側に設けられているが、導入弁55の上流側に設けられてもよい。
【0082】
この発明の第9実施形態のスクリュ圧縮機1について、図13を参照しながら説明する。なお、この第9実施形態において、上記第7実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0083】
第9実施形態では、図13に示すように、モータ3(3a,3b)は、圧縮機本体2,4毎に設けられており、モータ3aへの導入流路15には、導入弁55(55a)が設けられ、モータ3bへの導入流路15には、導入弁55(55b)が設けられている。そして、圧縮機のアンロード運転時において、導入弁55a及び導入弁55bの少なくとも1つが開放され、複数のモータ室の内、所定のモータ室の内部に圧縮ガスが導入される。すなわち、モータ3aのモータ室に圧縮ガスを導入する場合、導入弁55aが開放され、モータ3bのモータ室に圧縮ガスを導入する場合、導入弁55bが開放される。
【0084】
上記構成によれば、圧縮機のアンロード運転時において、導入弁55a及び導入弁55bの少なくとも1つが開放され、複数のモータ室の内、所定のモータ室の内部に圧縮ガスが導入されるので、冷却の必要な所定のモータについて冷却することができる。なお、本実施形態では、モータ3は2体(モータ3a,3b)設けられているが、圧縮機本体が3体以上設けられ、それぞれの圧縮機に対してモータが設けられて、モータが3体以上設けられてもよい。この場合、導入弁もモータに対応する数だけ設けることが望ましい。しかしながら、本発明はそれに限らず、1つの導入弁を2以上のモータに対応させて設けてもよい。
【0085】
この発明の第10実施形態のスクリュ圧縮機1について、図14を参照しながら説明する。なお、この第10実施形態において、上記第7実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0086】
第10実施形態では、図14に示すように、第1の圧縮機本体2によって圧縮された圧縮ガスを冷却するインタークーラ5が中間流路12に設けられ、第2の圧縮機本体4は、インタークーラ5によって冷却された圧縮ガスをさらに圧縮して吐出流路13に吐出する。そして、導入流路15は、インタークーラ5下流側の中間流路12とモータ室とに接続されている。これにより、導入流路15は、インタークーラ5によって冷却された圧縮ガスをモータ室に導入するようになっている。
【0087】
上記構成によれば、インタークーラ5によって冷却された圧縮ガスがモータ室に導入されるため、モータ3aを効率よく冷却することができる。なお、本実施形態では、圧縮ガスはモータ3aのみを冷却するようになっているが、破線で示されるように、圧縮ガスはモータ3bのみを冷却するようになっていてもよい。また、圧縮ガスはモータ3a及びモータ3bの両方を冷却するようになっていてもよい。ここで、図14においてはモータ3bのガス放出部61は必要に応じて設けられるものであるため、図示を省略している(図15も同様)。
【0088】
この発明の第11実施形態のスクリュ圧縮機1について、図15を参照しながら説明する。なお、この第11実施形態において、上記第7実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0089】
第11実施形態では、図15に示すように、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスをモータ室に導入する導入流路17が設けられている。導入流路17には、導入弁56が配設されている。導入弁56は電磁弁であり、圧縮機のロード運転時において開放される。また、モータ3aのモータ室には、モータ室内のガスをモータ室の外部に放出するための放気弁57が接続される。さらに、モータ3aのモータ室内のガスをインタークーラ5の上流側の中間流路12に戻す戻し流路16が設けられ、戻し流路16には、インタークーラ5の上流側からモータ3aのモータ室にガスが流れることを禁止する逆止弁58が設けられる。
【0090】
圧縮機のアンロード運転時において、導入弁55及び放気弁57は開放され、圧縮機本体4によって圧縮された圧縮ガスは、導入流路15を介して、モータ3aのモータ室に導入される。モータ室に導入された圧縮ガスは、モータ室から放気弁57を介して機外(大気)に解放される。また、圧縮機のロード運転時において、導入弁56は開放され、導入弁55及び放気弁57は閉止される。アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスは、導入流路17を介して、モータ3aのモータ室に導入され、モータ室に導入された圧縮ガスは、戻し流路16を介して、インタークーラ5の上流側に戻される。
【0091】
上記構成によれば、アンロード運転時及びロード運転時の両方において、圧縮ガスをモータ室に導入することによって、モータ3aを冷却することができる。また、ロード運転時においては、モータ室に導入された圧縮ガスをインタークーラ5の上流側に戻すことによって、圧縮ガスを機外(大気)に解放せず、圧縮ガスを有効活用することができる。なお、本実施形態では、圧縮ガスはモータ3aのみを冷却するようになっているが、破線で示されるように、圧縮ガスはモータ3bのみを冷却するようになっていてもよい。また、圧縮ガスはモータ3a及びモータ3bの両方を冷却するようになっていてもよい。また、本実施形態では、戻し流路16に接続されたガス放出部61とは別のガス放出路61に放気弁57が接続されているが、本発明ではこれに限らず、モータ3b側に破線で示されるように、戻し流路16に接続されたガス放出部61に放気弁57が接続されていてもよい。この場合、逆止弁58より上流側の戻し流路16に放気弁57を接続すればよい。
【0092】
なお、第11実施形態は、図16に示す第12実施形態のように、第1段圧縮機本体2のロータ軸と第2段圧縮機本体4のロータ軸とを2つのピニオンギヤと1つのブルギヤを介して1つのモータ3に接続して、1つのモータ3で両圧縮機本体2,4を同期して駆動する2段型のスクリュ圧縮機1にも適用できる。
【0093】
この発明の第13実施形態のスクリュ圧縮機1について、図17を参照しながら説明する。なお、この第13実施形態において、上記第11実施形態での構成要素と同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0094】
第13実施形態では、図17に示すように、導入流路15,17の合流部には導入弁59として三方弁が設けられ、戻し流路16には、ロード時においてモータ室内の圧縮ガスをインタークーラ5の上流側に戻す戻し弁60として三方弁が設けられる。三方弁である導入弁59は、圧縮機のアンロード運転時において、第2の圧縮機本体4によって圧縮された圧縮ガスをモータ3のモータ室に導入し、圧縮機のロード運転時において、アフタークーラ6によって冷却された圧縮ガスをモータ3のモータ室に導入するように作動する。三方弁である戻し弁60は、圧縮機のアンロード運転時において、モータ3のモータ室に導入された圧縮ガスを機外(大気)に解放し、圧縮機のロード運転時において、モータ3のモータ室に導入された圧縮ガスをインタークーラ5の上流側に戻すように作動する。なお、破線で示すように、戻し弁60より下流側の戻し流路16に逆止弁58を設けてもよい。
【0095】
上記構成によれば、導入流路15,17に複数の弁を設ける必要がなくなり、また、戻し流路16をモータ室に導入された圧縮ガスを外部に放出する流路として兼用することができる。その結果、圧縮機の構成を簡素化することができる。
【0096】
なお、上述した各実施形態では、圧縮ガスがモータ3の反負荷側から負荷側に向けて流れるように構成されているが、圧縮ガスがモータ3の負荷側から反負荷側に向けて流れるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0097】
1:スクリュ圧縮機(圧縮機)
2:第1段圧縮機本体(第1の圧縮機本体)
3:モータ
3a:第1のモータ(モータ)
3b:第2のモータ(モータ)
4:第2段圧縮機本体(第2の圧縮機本体)
5:インタークーラ(ガスクーラ)
6:アフタークーラ(ガスクーラ)
7:逆止弁
11:吸込流路
11a:吸込調整弁
12:中間流路
13:吐出流路
15:導入流路
16:戻し流路
17:導入流路
21:本体ケーシング
22:スクリュロータ
23:ロータ軸
24:隔壁ケーシング
25:吐出側軸受軸封部
26:カバー
27:吸込側軸受軸封部
31:モータケーシング
32:出力軸
33:回転子
34:固定子
35:コイル
36:冷却ジャケット部
37:モータ室
38:ガス導入部
39:ガス排出下部
40:ガス排出上部
41:エアギャップ
42:カバー
43:螺旋多条溝
44:直線多条溝
46:ジャケット導入部
47:ジャケット排出部
49:温度センサ
51:ドレンセパレータ
52:開閉弁
53:逆止弁
54:流量調整弁
55:導入弁
56:導入弁
57:放気弁
58:逆止弁
59:導入弁
60:戻し弁
61:ガス放出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17