(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】圧力調整バルブ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
F02M25/08 E
(21)【出願番号】P 2020541210
(86)(22)【出願日】2019-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2019034448
(87)【国際公開番号】W WO2020050221
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2018165827
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 晴光
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隆弘
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特許第3091947(JP,B2)
【文献】特開2016-65526(JP,A)
【文献】実開昭48-18721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
F02M 37/00
F16K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクと該燃料タンク外に配置されるキャニスターとを連通する配管の途中に配置されて、前記燃料タンク内の圧力を調整するための、圧力調整バルブであって、
内部空間及び開口部を有するハウジングと、
一端が前記燃料タンクに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するタンク連通管と、
一端が前記キャニスターに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングの内部空間に位置するキャニスター連通管と、
前記キャニスター連通管の他端側に設けられ、前記キャニスター連通管を前記内部空間に連通させる開口をなす弁座と、
前記ハウジングとの間で前記内部空間を囲むように、前記ハウジングの開口部に装着され、前記弁座に対して開閉可能に接離するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを前記弁座に向けて付勢するスプリングと、
前記ダイヤフラムの開閉を外部信号によって制御可能とするアクチュエータとを有し、
前記アクチュエータは、進退動作可能な作動部材を有し、前記作動部材が後退した状態では、前記ダイヤフラムは、前記スプリングに抗して、前記弁座に対して開くことが可能とされ、前記作動部材が突出した状態では、前記ダイヤフラムは、前記弁座に対して開くことが規制されるように構成されていることを特徴する圧力調整バルブ。
【請求項2】
前記ハウジングとの間で前記ダイヤフラム周縁を挟持するカバーを更に有しており、
前記アクチュエータは、前記カバーに取付けられている、請求項1記載の圧力調整バルブ。
【請求項3】
前記カバーは、前記ダイヤフラムとの間で背面側空間を形成すると共に、同カバーには、前記背面側空間に連通するオリフィスが設けられており、
前記アクチュエータの作動部材は、前記オリフィスを開閉するように、前記カバーに対して進退動作する、請求項2記載の圧力調整バルブ。
【請求項4】
前記アクチュエータの作動部材は、前記ダイヤフラムの、前記弁座との当接面とは反対の背面側に接離するように進退動作し、前記作動部材が突出した状態では、前記ダイヤフラムが背面側から押圧されて、前記弁座を閉じた状態に維持し、前記作動部材が後退した状態では、前記ダイヤフラムから離れて、前記ダイヤフラムが前記弁座に対して開くことを可能にするように構成されている、請求項1又は2記載の圧力調整バルブ。
【請求項5】
前記アクチュエータの作動部材は、前記燃料タンクの燃料給油口を開く前に、外部信号によって後退し、前記ダイヤフラムが前記弁座に対して開くことが可能となるように制御される、請求項1~4のいずれか1つに記載の圧力調整バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクとキャニスターとを連通する配管の途中に配置され、燃料タンク内の圧力を調整するための、圧力調整バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両の燃料タンクには、タンク内の圧力を調整するための、バルブが取付けられている。
【0003】
このようなバルブとして、下記特許文献1には、タンク側に連通する第1接続管及びキャニスター側に連通する第2接続管を有するバルブ本体と、バルブ本体内に配置され、第2接続管の基端側開口を開閉するダイヤフラムと、このダイヤフラムを閉塞方向に付勢する圧縮ばねと、第2接続管の基端側の隔壁に形成した通路孔に装着され、同通路孔を開閉する傘バルブとを有する、負圧カットバルブが記載されている。そして、タンク内圧が通常よりも上昇した場合には、ダイヤフラムが第2接続管の基端側開口から離れて、キャニスター側へ燃料蒸気が排出されるため、タンク内圧を低下させる。一方、タンク内圧が通常よりも低下した場合には、傘バルブが第2接続管の通路孔から開いて、タンク側に空気が流入するため、タンク内圧を上昇させる。また、キャニスター側へ排出された燃料蒸気の一部は、エンジン側に吸引されて(パージされる)燃焼に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガソリンエンジンと電気モーターとからなるハイブリッドカーが、広く実用化されているが、このハイブリッドカーにおいては、エンジンが作動せずにモーターが作動している場合には、キャニスター側へ燃料蒸気を排出したくないという事情があった。これは、タンク内圧の上昇により、キャニスター側へ排出された燃料蒸気は、エンジンが作動しない場合には、エンジン側へ吸引されないため、キャニスターに燃料蒸気が必要以上に溜ってしまうためである(燃料蒸気がオーバーフローする)。
【0006】
ここで、上記特許文献1の負圧カットバルブは、タンク内圧に応じてダイヤフラムが開閉するだけであり、必要に応じてダイヤフラムを開閉させて、燃料蒸気の吸排気を調整できる構造ではない。そのため、この負圧カットバルブを上記のようなハイブリッドカーに利用しても、タンク内圧上昇時にはダイヤフラムが開いてしまうので、エンジンが作動せずにモーターが作動した場合に、ダイヤフラムを閉じた状態に保持して、キャニスター側への排出を規制することはできない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、必要に応じてダイヤフラムの開閉動作を制御することができる、圧力調整バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧力調整バルブは、燃料タンクと該燃料タンク外に配置されるキャニスターとを連通する配管の途中に配置されて、前記燃料タンク内の圧力を調整するためのものであって、内部空間及び開口部を有するハウジングと、一端が前記燃料タンクに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するタンク連通管と、一端が前記キャニスターに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングの内部空間に位置するキャニスター連通管と、前記キャニスター連通管の他端側に設けられ、前記キャニスター連通管を前記内部空間に連通させる開口をなす弁座と、前記ハウジングとの間で前記内部空間を囲むように、前記ハウジングの開口部に装着され、前記弁座に対して開閉可能に接離するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムを前記弁座に向けて付勢するスプリングと、前記ダイヤフラムの開閉を外部信号によって制御可能とするアクチュエータとを有し、前記アクチュエータは、進退動作可能な作動部材を有し、前記作動部材が後退した状態では、前記ダイヤフラムは、前記スプリングに抗して、前記弁座に対して開くことが可能とされ、前記作動部材が突出した状態では、前記ダイヤフラムは、前記弁座に対して開くことが規制されるように構成されていることを特徴する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクチュエータの作動部材を突出させることにより、ダイヤフラムが弁座に対して開くことを抑制できるので、燃料タンクの内圧が高まっても、燃料タンクとキャニスターとの連通路を閉じた状態に維持することができる。このため、例えば、エンジンで駆動すると共にモーターでも駆動するハイブリッドカーにおいて、エンジンが動作してない状態のときに、燃料タンク内の燃料蒸気をキャニスター側へと流通することを阻止することができる。
【0010】
また、アクチュエータの作動部材を退避させることにより、ダイヤフラムが開くことを可能とされるので、燃料タンク内の圧力が高い場合には、ダイヤフラムを開かせて、タンク連通管とキャニスター連通管とを連通させ、燃料蒸気をキャニスター側に流すことができる。このため、例えば、ハイブリッドカーにおいて給油をする際に、燃料タンクの内圧が高い場合には、外部信号によってアクチュエータを後退させ、燃料蒸気をキャニスター側に流して、給油口から燃料が噴き出ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る圧力調整バルブの、一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図3】同圧力調整バルブを適用した、ハイブリッドカーの概略構成図である。
【
図4】同圧力調整バルブにおいて、作動部材が突出した状態の断面図である。
【
図5】同圧力調整バルブにおいて、作動部材が後退した状態で、タンク内圧が所定値を下回る場合の断面図である。
【
図6】同圧力調整バルブにおいて、作動部材が後退した状態で、タンク内圧が所定値以上となった場合の断面図である。
【
図7】同圧力調整バルブを用いたハイブリッドカーにおいて、アクチュエータの動作に伴うバルブやダイヤフラムの動作を説明した、フロー図である。
【
図8】本発明に係る圧力調整バルブの、他の実施形態を示しており、作動部材が突出した状態における断面図である。
【
図9】同圧力調整バルブにおいて、作動部材が後退した状態で、タンク内圧が所定値を下回る場合の断面図である。
【
図10】同圧力調整バルブにおいて、作動部材が後退した状態で、タンク内圧が所定値以上となった場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1~7を参照して、本発明に係る圧力調整バルブの、一実施形態について説明する。
【0013】
図3に示すように、この実施形態の圧力調整バルブ10(以下、単に「調整バルブ10」ともいう)は、燃料タンク1と、燃料タンク1の外部に配置されるキャニスター2とを連通する、配管3の途中に配置されて、燃料タンク1内の圧力を調整するためのものである。なお、この調整バルブ10は、燃料タンク1の外部の所定箇所に取付けられるようになっている。
【0014】
また、この実施形態の調整バルブ10は、
図3に示すように、ガソリンエンジン4(以下、単に「エンジン4」ともいう)と電気モーター5(以下、単に「モーター5」ともいう)とを有する、いわゆるハイブリッドカー(シリーズ方式、パラレル方式、スプリット方式等の、どの種類のハイブリッドカーでもでもよい)に適用される。ただし、ハイブリッドカーではなく、通常のガソリンエンジンのみを採用した車両に適用してもよい。
【0015】
また、燃料タンク1には、燃料タンク内への過給油を防止する満タン規制バルブV1や、車両横転時等に燃料タンク外への燃料流出を防止するカットバルブV2等が取付けられている。なお、前記配管3は、タンク側配管3aと、キャニスター側配管3bとからなり、タンク側配管3aが、満タン規制バルブV1に連結され、同満タン規制バルブV1を介して燃料タンク1内に連通している。一方、キャニスター側配管3bは、キャニスター2に連結されている。更に、燃料タンク1の側壁からは燃料給油パイプ6(以下、単に「給油パイプ6」ともいう)が延出されており、その燃料給油口6a(以下、単に「給油口6a」ともいう)には、図示しない給油キャップが着脱可能に取付けられている。また、給油口6aの外方には、給油カバー6bが開閉可能に設けられている(
図3参照)。
【0016】
そして、
図1や
図2に示すように、この実施形態の調整バルブ10は、主として、内部空間R1を有するハウジング20と、このハウジング20との間で前記内部空間R1を囲むように、ハウジング20の開口部25に装着されるダイヤフラム50と、該ダイヤフラム50を、スプリング支持部材57を介して、弁座40に向けて付勢するスプリング55と、ハウジング20との間でダイヤフラム周縁を挟持するカバー60と、このカバー60に取付けられたアクチュエータ70とを有している。
【0017】
まず、ハウジング20について説明する。この実施形態におけるハウジング20は、略円板状をなした底壁21と、その周縁から立設した円筒状をなした周壁22とを有し、その上方(底壁21とは反対側)に開口部25を設けた、略有底円筒状をなしており、その内側に前記内部空間R1が設けられている。また、開口部25の内周縁部には、ダイヤフラム50の外周縁部53を支持するための、環状の凹部25aが形成されている。更に、周壁22の所定箇所には、燃料タンク1に、ハウジング20、ひいては調整バルブ10全体を取付けるための、取付部23が設けられている。
【0018】
また、ハウジング20の周壁22の対向する箇所からは、タンク連通管30、及び、キャニスター連通管35が、ハウジング20の軸心Cを通る直線L(
図1参照)上に沿って、外方に向けて所定長さでそれぞれ延設されている。
【0019】
前記タンク連通管30は、その一端31が燃料タンク1に連通するタンク側配管3aの接続部をなしており、他端32がハウジング20の周壁22に連結されて、その内部空間R1に連通している(
図2参照)。
【0020】
一方、前記キャニスター連通管35は、その一端36がキャニスター2に連通するキャニスター側配管3bの接続部をなすと共に、他端37がハウジング20の内部空間R1に位置しており、一端36から他端37に向けてハウジング20の周壁22を貫通するように延びている。また、内部空間R1に位置するキャニスター連通管35の他端37側には、キャニスター連通管35を内部空間R1に連通させる開口をなす弁座40が設けられている。すなわち、キャニスター連通管35は、ハウジング20の周壁22の内周から、ハウジング20の軸心Cに向けて延び、その延出方向先端部が前記他端37をなしており、この他端37に隣接し、かつ、ハウジング20の軸心Cに整合する位置に、ハウジング20の軸心Cに沿って延び、上方(開口部25側)が開口した円筒状壁部38が設けられており、この円筒状壁部38の先端部が、前記弁座40をなしている(
図1参照)。
【0021】
なお、この実施形態では、タンク連通管30とキャニスター連通管35とが、ハウジング20の軸心Cを通る直線L上に沿って延設されているが(すなわち、タンク連通管30の延出方向と、キャニスター連通管35の延出方向とのなす角度が180°)、例えば、タンク連通管の延出方向に対して、キャニスター連通管の延出方向を所定角度(180°以外の角度)をなすように斜めに延出させたり、タンク連通管やキャニスター連通管の一方を、ハウジングの下向きに延設させたりしてもよく、燃料タンクの形状等に応じて適宜選択することができる。なお、ハウジング外方に設けた取付部の、取付位置や形状等も、燃料タンクの形状等に応じて適宜選択することができる。
【0022】
次に、前記ハウジング20との間で前記内部空間R1を囲むように、ハウジング20の開口部25に装着され、弁座40に対して開閉可能に接離するダイヤフラム50について説明する。
【0023】
この実施形態のダイヤフラム50は、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料から一体形成されたものであって、前記弁座40に接離して開閉させる円板状をなした基部51と、該基部51の周縁から環状に広がった形状をなすと共に、前記基部51よりも肉薄とされ、内部空間R1の圧力変動により撓み変形可能とされた、弾性変形部52とを有している。また、
図2に示すように、弾性変形部52は、上向きの凸形状、すなわち、弁座40から離れる方向に向けて緩やかな曲面状をなすように突出する形状となっており、その外径はハウジング20の開口部25の内径に適合するようになっている。
【0024】
更に
図2に示すように、弾性変形部52の外周縁部53であって、その内面側(ハウジング20の内部空間R1側に向く面)からは、環状をなした凸部53aが突設されている。そして、前記凸部53aを、ハウジング20の開口部25の内周縁部に設けた凹部25aに嵌合させることで、ダイヤフラム50がハウジング20の開口部25に装着されて、ダイヤフラム50とハウジング20との間で内部空間R1が囲まれて、開口部25が閉塞されるようになっている。
【0025】
次に、上記ダイヤフラム50をハウジング20との間で挟持するカバー60について説明する。
【0026】
この実施形態におけるカバー60は、略円板状をなした天井部61と、この天井部61の外周縁部であって、その内面側(ダイヤフラム50側に向く面)から突出して、前記ダイヤフラム50の外周縁部53を挟持する、挟持部63とを有している。なお、天井部61の外径は、前記ハウジング20の開口部25の内径に適合する寸法とされ、ダイヤフラム50の全域を覆う(カバーする)ようになっている。また、前記天井部61の内面側中央には、スプリング55の一端を支持するための、環状をなしたスプリング支持突部61aか突設されている(
図2参照)。
【0027】
そして、
図2に示すように、開口部25にダイヤフラム50を装着すると共に、同ダイヤフラム50の基部51の外面側に、略円板状をなし複数の環状壁57aを設けたスプリング支持部材57を載置して、このスプリング支持部材57にスプリング55の他端を支持させ、かつ、スプリング55の一端をカバー60のスプリング支持突部61aに支持させる。この状態で、ダイヤフラム50の外面側(ハウジング20の内部空間R1とは反対側)にカバー60を配置して、同カバー60をハウジング20の開口部25に向けて押し込み、カバー60の挟持部63と、ハウジング20の開口部25の内周との間を、接着剤やその他の溶着手段により固着することで、カバー60の挟持部63とハウジング20の凹部25aとの間で、ダイヤフラム50の外周縁部53が挟持されると共に、ダイヤフラム50とカバー60との間にスプリング55が圧縮状態で配置されて、ハウジング20の開口部25にカバー60が取付けられるようになっている。
【0028】
その結果、カバー60とダイヤフラム50との間に、密閉された背面側空間R2が形成される。すなわち、この実施形態の調整バルブ10では、ダイヤフラム50を仕切壁として、その内面側(ダイヤフラム50の正面側)に内部空間R1が画成されると共に、内面側(ダイヤフラム50の背面側)に背面側空間R2が画成されるようになっている。また、この状態では、圧縮状態で保持されたスプリング55によって、スプリング支持部材57を介して、ダイヤフラム50の基部51が弁座40に向けて付勢されて、弁座40は閉じた状態となっている。
【0029】
なお、この実施形態におけるカバー60は、ダイヤフラム50の全域をカバーする形状となっているが、ハウジングとの間でダイヤフラム周縁を挟持可能であればよく、例えば、環状のリング形状等としてもよい(ただし、この場合は、ハウジングとの間で背面側空間は画成されない)。
【0030】
また、
図2に示すように、カバー60の天井部61の径方向中央には、円形孔状をなしたオリフィス65が形成されており、このオリフィス65は前記背面側空間R2に連通している。更に
図4に示すように、オリフィス65の外面側周縁からは、環状突起65aが突設されている。
図4~6に示すように、この環状突起65aに、アクチュエータ70の作動部材73が接離して、オリフィス65を開閉するようになっている。
【0031】
また、カバー60の天井部61の外面側の中央からは、アクチュエータ70を取付けるための、上方が開口した略四角枠状をなした取付部67が立設されている。この取付部67は、その内部空間が、前記オリフィス65に整合する位置となるように設けられている。また、取付部67の両側部基端側には、四角孔状の開口67aがそれぞれ形成されている(
図1参照)。各開口67aは、オリフィス65に連通する取付部67の内部空間に、連通するようになっており、背面側空間R2内の空気をオリフィス65を通じて、調整バルブ外方へと排出したり、或いは、外気を通過させてオリフィス65から、背面側空間R2内に取り入れたりする。
【0032】
そして、この調整バルブ10においては、前記アクチュエータ70は、ダイヤフラム50の開閉を外部信号によって制御可能とされている。
【0033】
この実施形態におけるアクチュエータ70は、いわゆる電動アクチュエータであって、略筒状をなした本体71と、該本体71に対してスライドするように進退動作する、すなわち、前記カバー60に形成したオリフィス65や前記弁座40に近接する方向に突出するか(
図4参照)、又は、オリフィス65や弁座40から離反する方向に後退する(
図5,6参照)、作動部材73とを有している。
図4~6に示すように、前記作動部材73は、本体71に設けられた軸受部71aに、スライド可能に挿入されて支持される軸部74と、該軸部74の軸方向先端に設けられた円板状の当接部75とからなる。なお、当接部75の外径は、前記オリフィス65の内径よりも大きく形成されており、環状突起65aに当接した状態で、オリフィス65の開口全域を閉塞するようになっている。
【0034】
また、上記アクチュエータ70は、略コ字枠状をなしたブラケット77(
図1参照)を介して、カバー60の取付部67内に挿入されて、取付ピン78によって取付部67に取付けられるようになっている。この取付状態では、作動部材73の当接部75が、カバー60のオリフィス65側に向けて配置されると共に、取付部67の開口67aに整合する位置となる。
【0035】
また、この実施形態におけるアクチュエータ70は、電磁石で得られる電力を利用するソレノイド(電磁弁)アクチュエータであるが、リニアモータを利用したリニアアクチュエータや、形状記憶合金を用い、電流を入力することが発生するジュール熱を利用したアクチュエータ、ゴムチューブを利用したラバーアクチュエータを用いたり、更には、ボールネジ等を利用した進退構造としたり、空圧や油圧を利用した圧力シリンダーを適用してもよく、作動部材を進退動作可能な構造であればよい。
【0036】
そして、この調整バルブ10においては、
図5,6に示すように、作動部材73が後退した状態では、ダイヤフラム50は、スプリング55に抗して、弁座40に対して開くことが可能とされ、
図4に示すように、作動部材73が突出した状態では、ダイヤフラム50は、弁座40に対して開くことが規制されるように構成されている。
【0037】
すなわち、
図5に示すように、作動部材73が後退して、当接部75が環状突起65aから離反して、オリフィス65が開くと、密閉状態の背面側空間R2が開放されて、背面側空間R2とハウジング外部とが連通するため、内部空間R1内の圧力が上昇すると、内部空間R1と背面側空間R2とに圧力差が生じ、弁座40に対してダイヤフラム50が開くことが可能となる。なお、燃料タンク1内の圧力がそれほど高くなく(所定値を下回る場合)、スプリング55の付勢力が、ハウジング20の内部空間R1の圧力に打ち勝っている場合には、
図5に示すように、ダイヤフラム50により弁座40が閉じた状態に保持される。
【0038】
そして、燃料タンク1内の圧力が上昇すると、燃料蒸気が、カットバルブV2や満タン規制バルブV1、タンク側配管3a、タンク連通管30を通過して、燃料蒸気がハウジング20の内部空間R1内に流入していき、内部空間R1の圧力が上昇していく。そして、燃料タンク1内の圧力が所定値以上となり、内部空間R1の圧力が上昇すると、
図6に示すように、ダイヤフラム50の弾性変形部52に、内部空間R1側から背面側空間R2側に向けて押圧力が作用して撓み変形し、それによって、背面側空間R2からの押圧力及びスプリング55の弾性付勢力に抗して、ダイヤフラム50が押し上げられて、その基部51が弁座40から離反して弁座40が開く。その結果、タンク連通管30とキャニスター連通管35とが弁座40を介して互いに連通するので、内部空間R1内の燃料蒸気は、弁座40や、キャニスター連通管35、キャニスター側配管3bを通過して、キャニスター2へと排出される。
【0039】
このように、作動部材73が後退した状態では、オリフィス65が開いて、背面側空間R2が開放されて内圧が低下するため、ダイヤフラム50の基部51が弁座40とカバー60の天井部61との間で昇降可能となり、ダイヤフラム50はスプリング55に抗して弁座40に対して開くことが可能となっている。
【0040】
一方、
図4に示すように、作動部材73が突出して、当接部75が環状突起65aに当接して、オリフィス65を閉じると、背面側空間R2が閉塞された状態となり、内部空間R1側の圧力が上昇しても、内部空間R1と背面側空間R2とに圧力差が生じず、基部51が弁座40に当接した状態に維持されて、弁座40が開くことが規制される。
【0041】
このように、作動部材73が突出した状態では、オリフィス65が閉じて、背面側空間R2が閉塞されるため、背面側空間R2内の圧力及びスプリング55の付勢力によって、ダイヤフラム50の基部51が弁座40に当接した状態に維持されるので、ダイヤフラム50は弁座40に対して開くことが規制されるようになっている。
【0042】
上記のように、この実施形態においては、カバー60に設けたオリフィス65を、アクチュエータ70の作動部材73により開閉させることで、カバー60とダイヤフラム50との間の背面側空間R2内の圧力を増減させて、ダイヤフラム50の開閉を制御するように構成されており、いわば背面側空間R2を介してダイヤフラム50の開閉動作を間接的に制御している。
【0043】
ただし、ダイヤフラムにアクチュエータの作動部材を直接的に接離させて、ダイヤフラムの開閉動作を制御してもよく(これについては、後述する他の実施形態において説明する)、特に限定はされない。
【0044】
また、上記のような、アクチュエータ70の作動部材73の突出・後退動作は、以下の構造によって制御される。このアクチュエータ70の制御構造について説明すると、同制御構造は、
図3に示すように、エンジン4の動作を検出する第1検出部7aと、モーター5の動作を検出する第2検出部7bと、給油カバー6bの開閉を検出する第3検出部7cと、これらの検出部7a,7b,7c及びアクチュエータ70の間に配置され、検出部7a,7b,7cからの信号に基づいて、アクチュエータ70の作動部材73に突出信号又は後退信号を送信する、制御部8とを有している。
【0045】
図7のフロー図を併せて参照すると、前記第1検出部7aは、エンジン4の動作又は非動作を検出して(ステップS1)、エンジン4が動作している場合には、エンジン動作信号を制御部8に送信し、エンジン4が動作していない場合には、エンジン非動作信号を制御部8に送信する。
【0046】
また、第2検出部7bは、エンジン4が動作していない状態における、モーター5の動作又は非動作を検出して(ステップS3)、モーター5が動作している場合には、モーター動作信号を制御部8に送信し、モーター5が動作していない場合には、モーター非動作信号を制御部8に送信する。
【0047】
更に、第3検出部7cは、エンジン4及びモーター5が動作していない状態(すなわち、給油のため停車している状態)における、給油カバー6bの開閉動作を検出して(ステップS5)、給油カバー6bを開こうとするときに、カバー開き信号を制御部8に送信する。
【0048】
また、前記制御部8は、第1検出部7aからエンジン動作信号を受信した場合、又は、第3検出部7cからカバー開き信号を受信した場合に、アクチュエータ70の作動部材73に後退信号を送信する。その結果、
図5に示すように、作動部材73の当接部75が環状突起65aから離反して、オリフィス65が開くようになっている(ステップS2及びステップS6参照)。
【0049】
一方、第1検出部7aからエンジン非動作信号を受信し、かつ、第2検出部7bからモーター動作信号を受信した場合には、アクチュエータ70の作動部材73に突出信号を送信する。その結果、
図4に示すように、作動部材73の当接部75が環状突起65aに当接して、オリフィス65を閉じるようになっている(ステップS4参照)。
【0050】
なお、制御部8による、アクチュエータ70の作動部材73への、突出信号又は後退信号を送信するタイミングとしては、エンジン4やモーター5が動作状態から非動作状態となったとき又は非動作状態から動作状態となったときと同時に、又は、給油カバー6bの開き時と同時に、信号を送信してもよいが、ある程度のタイムラグがあってもよい(例えば、上記状態となったときから、所定時間遅れたタイミングで突出信号や後退信号を送信してもよい)。
【0051】
次に、
図7のフロー図を併せて参照して、調整バルブ10の動作について、より詳細に説明する。
【0052】
すなわち、第1検出部7aによってエンジン4の動作が検出されると(ステップS1)、同第1検出部7aがエンジン動作信号を制御部8に送信し、同エンジン動作信号に基づいて、制御部8がアクチュエータ70の作動部材73に後退信号を送信する。その結果、
図5に示すように、作動部材73の当接部75が環状突起65aから離反して、オリフィス65が開き(ステップS2)、ダイヤフラム50がスプリング55に抗して弁座40に対して開き可能な状態となる。
【0053】
この状態で、燃料タンク1内の圧力が所定値以上の場合には、
図6に示すように、背面側空間R2からの押圧力及びスプリング55の弾性付勢力に抗して、ダイヤフラム50全体が押し上げられて弁座40が開くので、燃料蒸気がキャニスター2へと排出される。
【0054】
一方、燃料タンク1内の圧力が所定値を下回る場合には、
図5に示すように、背面側空間R2からの押圧力及びスプリング55の弾性付勢力によって、ダイヤフラム50が弁座40側に向けて押圧されて、弁座40が閉じた状態に維持される。
【0055】
また、上記ステップS1において、エンジン4が停止した非動作の状態(すなわち、モーター5に電力が十分に貯留されて、モーター5のみが動作する場合や、アイドリングストップでエンジン4が停止した場合等)の場合には、更に、第2検出部7bによって、モーター5の動作又は非動作が判定される(ステップS3)。
【0056】
そして、モーター5の動作が検出された場合には、第2検出部7bがモーター動作信号を制御部8に送信し、同モーター動作信号に基づいて、制御部8がアクチュエータ70の作動部材73に突出信号を送信する。その結果、
図4に示すように、作動部材73の当接部75が環状突起65aに当接して、オリフィス65が閉じる(ステップS4)。この状態では、背面側空間R2が密閉され、背面側空間R2内の圧力が高まるため、背面側空間R2の内部圧力と、スプリング55の付勢力とによって、ダイヤフラム50が弁座40側に向けて押圧されて、弁座40が開くことが規制される。
【0057】
また、上記ステップS3において、モーター5の動作が検出されない場合、すなわち、エンジン4及びモーター5が動作せず、給油のために停車した状態において、給油カバー6bを開こうとする際に(ステップS5)、第3検出部7cがカバー開き信号を制御部8に送信し、同カバー開き信号に基づいて、制御部8がアクチュエータ70の作動部材73に後退信号を送信する。
【0058】
その結果、
図5に示すように、作動部材73の当接部75が環状突起65aから離反して、オリフィス65が開き(ステップS6)、ダイヤフラム50がスプリング55に抗して弁座40に対して開き可能な状態となる。そのため、燃料タンク1内の圧力が所定値以上となっている場合には、
図6に示すように、背面側空間R2からの押圧力及びスプリング55の弾性付勢力に抗して、ダイヤフラム50全体が押し上げられて弁座40が開いて、燃料蒸気がキャニスター2へと排出される。
【0059】
なお、第3検出部7cがカバー開き信号を送信しない場合には(ステップS5の「NO」の場合)、
図4に示すように、作動部材73が突出してオリフィス65が閉じた状態に維持される(ステップS4に戻る)。
【0060】
また、以上説明したアクチュエータ70の作動部材73の突出・後退動作は、あくまで一例であり、上記態様に限定されるものではない。
【0061】
次に、上記構成からなる本発明に係る調整バルブ10の作用効果について説明する。
【0062】
すなわち、この調整バルブ10においては、ダイヤフラム50の開閉を外部信号によって制御するアクチュエータ70を有し、
図5や
図6に示すように、同アクチュエータ70の作動部材73が後退した状態では、ダイヤフラム50は、スプリング55に抗して、弁座40に対して開くことが可能とされる一方、
図4に示すように、作動部材73が突出した状態では、ダイヤフラム50は、弁座40に対して開くことが規制されるように構成されている。すなわち、ダイヤフラム50の開閉動作を、アクチュエータ70によって、任意に制御することができる。
【0063】
そして、この調整バルブ10では、
図4に示すように、アクチュエータ70の作動部材73を突出させて、オリフィス65を閉じることで、背面側空間R2が密閉されるため、ダイヤフラム50の基部51が弁座40に当接した状態に維持されて、ダイヤフラム50が弁座40に対して開くことを規制することができる。そのため、燃料タンク1内の圧力が高まっても、ダイヤフラム50の基部51で弁座40を閉じた状態に維持することができ(
図4参照)、その結果、燃料タンク1とキャニスター2との連通路(タンク側配管3a、タンク連通管30、内部空間R1、弁座40、キャニスター連通管35、キャニスター側配管3b等)を閉じた状態に維持することができる。
【0064】
したがって、例えば、エンジン4で駆動すると共にモーター5でも駆動するハイブリッドカーにおいて、エンジン4が動作してない状態のときに、燃料タンク1内の燃料蒸気をキャニスター2側へと流通することを確実に阻止することができる。
【0065】
一方、
図5や
図6に示すように、アクチュエータ70の作動部材73を後退させて、オリフィス65を開くことで、背面側空間R2が開放されてその内圧が低下するため、ダイヤフラム50の基部51が、弁座40とカバー60の天井部61との間で昇降可能となり、ダイヤフラム50を弁座40から開くことが可能となる。そのため、
図6に示すように、燃料タンク1内の圧力が高くなり、ハウジング20の内部空間R1の圧力が上昇すると、背面側空間R2からの押圧力及びスプリング55の弾性付勢力に抗して、ダイヤフラム50が押し上げられて、その基部51を弁座40から離反させて、弁座40を開かせて、タンク連通管30とキャニスター連通管35とを連通させ、燃料蒸気をキャニスター2側に流すことができる。
【0066】
したがって、例えば、ハイブリッドカーにおいて給油をする際に、燃料タンク1の内圧が高い場合には、外部信号によってアクチュエータ70の作動部材73を後退させて、弁座40を開口させて、燃料蒸気をキャニスター2側に流すことで、給油口6aから燃料が噴き出ることを防止することができる。
【0067】
また、
図2に示すように、この実施形態の調整バルブ10においては、ハウジング20との間でダイヤフラム50周縁を挟持するカバー60を更に有しており、アクチュエータ70は、カバー60に取付けられているので、調整バルブ10の構造を簡素化することができ、アクチュエータ70の組付け作業を容易にして、製造コストの低廉化を図ることができる。更に、カバー60にアクチュエータ70が取付けられることで、ハウジング20とカバー60とアクチュエータ70との一体化が容易となり、調整バルブ10を、燃料タンク1の外部に取付ける際の、取付作業性を高めることができる(アクチュエータ70と、ハウジング20やカバー60とが別体だと、それらを燃料タンク1に個別に取付ける必要があり、取付作業性が低下する)。
【0068】
更にこの実施形態においては、カバー60は、ダイヤフラム50との間で背面側空間R2を形成すると共に、カバー60には、背面側空間R2に連通するオリフィス65が設けられており、アクチュエータ70の作動部材73は、オリフィス65を開閉するように、カバー60に対して進退動作するように構成されている。この態様によれば、アクチュエータ70の作動部材73が突出してオリフィス65が閉じられると、背面側空間R2が閉塞されて、その内圧によって、ダイヤフラム50の基部51が弁座40から離れにくくなり、弁座40が開くことをより確実に規制することができる(
図4参照)。
【0069】
また、アクチュエータ70の作動部材73が後退してオリフィス65が開かれると、背面側空間R2が開放されるので、ハウジング20の内部空間R1の圧力によって、ダイヤフラム50を開くことが可能となる(
図8参照)。そして、アクチュエータ70の作動部材73は、カバー60に設けた比較的小径のオリフィス65を開閉可能な大きさであればよいため、作動部材73を小さくして、アクチュエータ70の小型化を図ることができる。
【0070】
また、この実施形態においては、アクチュエータ70の作動部材73は、燃料タンク1の燃料給油口6aを開く前に、外部信号によって後退し、ダイヤフラム50が弁座40に対して開くことが可能となるように制御される。
【0071】
そのため、例えば、ハイブリッドカーにおいて、エンジン4が動作して、ダイヤフラム50が弁座40に対して閉じて、燃料タンク1内の燃料蒸気の、キャニスター2側への流通が阻止され、燃料タンク1内に燃料蒸気が充満した状態となっていても、燃料給油口6aを開く前に、外部信号(第3検出部7cからのカバー開き信号)によって作動部材73が後退して、ダイヤフラム50が開くことを可能として、タンク連通管30とキャニスター連通管35とを連通させて、燃料タンク1内の燃料蒸気をキャニスター2側へ排出することができる(
図6参照)。その結果、燃料タンク1に燃料を給油すべく、燃料給油口6aを開く際に、燃料が噴出することを防止することができる。
【0072】
図8~10には、本発明に係る圧力調整バルブの、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0073】
この実施形態の圧力調整バルブ10A(以下、単に「調整バルブ10」ともいう)は、アクチュエータ70の作動部材73Aが、ダイヤフラム50に直接的に接離して、ダイヤフラム50の開閉を制御する構造となっている。
【0074】
具体的には、
図8に示すように、調整バルブ10Aを構成するカバー60の中央に形成されたオリフィス65Aは、その内径が、作動部材73Aの円板状の当接部75の外径よりも大きく形成されており、同当接部75はオリフィス65Aを通過可能となっている。
【0075】
また、アクチュエータ70の作動部材73Aは、ダイヤフラム50の、弁座40との当接面とは反対の背面側に、その当接部75が、接離するように進退動作する構成となっている。そして、
図8に示すように、作動部材73Aが突出した状態では、その当接部75がスプリング支持部材57に当接して、ダイヤフラム50の基部51を、背面側から間接的に押圧する。その結果、ダイヤフラム50の基部51が弁座40に当接して、弁座40が閉塞されて、ダイヤフラム50が弁座40に対して開くことが規制される。
【0076】
一方、
図9や
図10に示すように、作動部材73Aが後退した状態では、当接部75がスプリング支持部材57から離反して、ダイヤフラム50の基部51の押圧状態が解除されて、ダイヤフラム50はスプリング55に抗して弁座40に対して開くことが可能となっている。
【0077】
なお、
図9には燃料タンク1内の圧力がそれほど高くなく、スプリング55の付勢力が、ハウジング20の内部空間R1の圧力に打ち勝っている場合であり、この場合には、弁座40が閉じた状態に保持される。一方、燃料タンク1内の圧力が上昇した場合には、
図10に示すように、ダイヤフラム50の基部51を弁座40から離反させて、弁座40を開かせて、タンク連通管30とキャニスター連通管35とを連通させ、燃料蒸気をキャニスター2側に流すことができる。
【0078】
以上のように、この実施形態においては、アクチュエータ70の作動部材73Aは、ダイヤフラム50の、弁座40との当接面とは反対の背面側に接離するように進退動作し、作動部材73Aが突出した状態では、ダイヤフラム50が背面側から押圧されて、弁座40を閉じた状態に維持し、作動部材73Aが後退した状態では、ダイヤフラム50から離れて、ダイヤフラム50が弁座40に対して開くことを可能にするように構成されている。このように、アクチュエータ70の作動部材73Aは、ダイヤフラム50の背面側に接離して、ダイヤフラム50の開閉を直接制御するので、ダイヤフラム50の開閉制御を確実に行うことができる。
【0079】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 燃料タンク
2 キャニスター
3 配管
4 ガソリンエンジン(エンジン)
5 電気モーター(モーター)
10,10A 圧力調整バルブ(調整バルブ)
20 ハウジング
25 開口部
30 タンク連通管
35 キャニスター連通管
40 弁座
50 ダイヤフラム
55 スプリング
57 スプリング支持部材
60 カバー
65,65A オリフィス
70 アクチュエータ
73,73A 作動部材