(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-01
(45)【発行日】2022-02-09
(54)【発明の名称】アレイアンテナを測定するビーム合成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/00 20060101AFI20220202BHJP
G01R 29/10 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01Q21/00
G01R29/10 A
(21)【出願番号】P 2020563535
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2018124557
(87)【国際公開番号】W WO2019214258
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】201810431906.7
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519461336
【氏名又は名称】クアンチー インスティテュート オブ アドヴァンスト テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KUANG-CHI INSTITUTE OF ADVANCED TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,フア
(72)【発明者】
【氏名】フー,ヤン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-142276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268680(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/00
G01R 29/10
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナユニットを含むアレイアンテナを測定するビーム合成方法であって、
各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、前記相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、前記第1距離値が各前記アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、前記第2距離値が各前記アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報であるステップと、
各前記アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各前記アンテナユニットの位相及び前記第1距離値に基づいて、各前記アンテナユニットの位相パターンを補正して、各前記アンテナユニットの位相誤差値を得るステップと、
各前記アンテナユニットの位相、振幅、前記第2距離値及び前記位相誤差値に基づいて、複数の前記アンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るステップと、を含むことを特徴とするアレイアンテナを測定するビーム合成方法。
【請求項2】
各前記アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各前記アンテナユニットの位相及び前記第1距離値に基づいて、各前記アンテナユニットの位相パターンを補正して、各前記アンテナユニットの位相誤差値を得るステップは、
各前記アンテナユニットの位相パターンを計算することと、
各前記アンテナユニットの位相及び前記第1距離値を位相補正式に代入して、各前記アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各前記アンテナユニットの位相パターンを補正することと、を含み、前記位相補正式は、
であることを特徴とする請求項1に記載のビーム合成方法。
(式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
は前記アンテナユニットiの位相であり、
は前記アンテナユニットiの第1距離値であり、
は前記アレイアンテナから発する電磁波の波長である(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である。)
【請求項3】
各前記アンテナユニットの位相、振幅、前記第2距離値及び前記位相誤差値に基づいて、複数の前記アンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るステップは、
各前記アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各前記アンテナユニットの偏向角が同じであることと、
各前記アンテナユニットの位相、振幅、前記第2距離値及び前記位相誤差値に基づいて、前記アンテナビームを算出することとを含み、計算式は、
であることを特徴とする請求項2に記載のビーム合成方法。
(式中,
は前記アンテナビームであり、A
iは前記アンテナユニットiの振幅であり、前記eは自然定数を示し、前記dは前記第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、前記
は前記偏向角である。)
【請求項4】
前記ビーム合成方法はさらに、
複数の前記アンテナユニットの遠視野パターンを取得するステップと、
前記アンテナビームに基づいて、前記アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、前記複数のアンテナユニットの遠視野パターン及び前記アンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するステップと、
一致すれば、計算して得られた前記アンテナビームが正確であると判定するステップとを含むことを特徴とする請求項3に記載のビーム合成方法。
【請求項5】
前記アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいであることを特徴とする請求項1に記載のビーム合成方法。
【請求項6】
複数のアンテナユニットを含むアレイアンテナを測定するビーム合成装置であって、
各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、前記相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、前記第1距離値が各前記アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、前記第2距離値が各前記アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報である取得モジュールと、
各前記アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各前記アンテナユニットの位相及び前記第1距離値に基づいて、各前記アンテナユニットの位相パターンを補正して、各前記アンテナユニットの位相誤差値を得るための計算補正ユニットと、
各前記アンテナユニットの位相、振幅、前記第2距離値及び前記位相誤差値に基づいて、複数の前記アンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るための合成ユニットと、を含むことを特徴とするアレイアンテナを測定するビーム合成装置。
【請求項7】
前記計算補正ユニットは、
各前記アンテナユニットの位相パターンを計算するための第1計算ユニットと、
各前記アンテナユニットの位相及び前記第1距離値を位相補正式に代入して、各前記アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各前記アンテナユニットの位相パターンを補正するための補正ユニットとを含み、前記位相補正式は、
であることを特徴とする請求項6に記載のビーム合成装置。
(式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
は前記アンテナユニットiの位相であり、
は前記アンテナユニットiの第1距離値であり、
は前記アレイアンテナから発する電磁波の波長である(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である。)
【請求項8】
前記合成ユニットは、
各前記アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各前記アンテナユニットの偏向角が同じである第1取得サブモジュールと、
各前記アンテナユニットの位相、振幅、前記第2距離値及び前記位相誤差値に基づいて、前記アンテナビームを算出するための第2計算ユニットとを含み、計算式は、
であることを特徴とする請求項7に記載のビーム合成装置。
(式中,
は前記アンテナビームであり、A
iは前記アンテナユニットiの振幅であり、前記eは自然定数を示し、前記dは前記第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、前記
は前記偏向角である。)
【請求項9】
前記ビーム合成装置はさらに、
複数の前記アンテナユニットの遠視野パターンを取得するための第2取得サブモジュールと、
前記アンテナビームに基づいて、前記アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、前記複数のアンテナユニットの遠視野パターン及び前記アンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するための比較ユニットと、
一致すれば、計算して得られた前記アンテナビームが正確であると判定するための判定ユニットとを含むことを特徴とする請求項8に記載のビーム合成装置。
【請求項10】
前記アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいであることを特徴とする請求項6に記載のビーム合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ分野に関し、具体的には、アレイアンテナを測定するビーム合成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存技術では、アレイアンテナ又はアレーアンテナとレドームとの組み合わせについて電気特性テストを行い、通常は実動作状態をシミュレーションするために送信機付きテストを行うが、送信機が付くことなくテストを行う条件で、アレイアンテナ及びレドームの特性を知ることができない。
【0003】
関連技術における問題については、現在有効な解決策が提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術における問題については、本発明は、単一アンテナをテストする遠距離場データによりビーム合成することができ、送信機の指向性パターン付きの等価テストを実現することができ、送信機なし及びビーム制御システムで、遠視野パターンテスト問題を解決するアレイアンテナを測定するビーム合成方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段は、次のとおりである。
【0006】
本発明の一態様によれば、アレイアンテナを測定するビーム合成方法を提供する。
【0007】
該アレイアンテナを測定するビーム合成方法は、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報であるステップと、各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得るステップと、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るステップと、を含む。
【0008】
本発明の一実施例によれば、各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得るステップは、各アンテナユニットの位相パターンを計算することと、各アンテナユニットの位相及び第1距離値を位相補正式に代入して、各アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各アンテナユニットの位相パターンを補正することとを含み、位相補正式は、
である。
【0009】
式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
はアンテナユニットiの位相であり、
はアンテナユニットiの第1距離値であり、
はアレイアンテナから発する電磁波の波長である(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である)。
【0010】
本発明の一実施例によれば、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るステップは、各アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各アンテナユニットの偏向角が同じであることと、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、アンテナビームを算出することとを含み、計算式は、
である。
【0011】
式中,
はアンテナビームであり、A
iはアンテナユニットiの振幅であり、eは自然定数を示し、dは第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、
は偏向角である。
【0012】
本発明の一実施例によれば、ビーム合成方法はさらに、複数のアンテナユニットの遠視野パターンを取得するステップと、アンテナビームに基づいて、アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、複数のアンテナユニットの遠視野パターン及びアンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するステップと、一致すれば、計算して得られたアンテナビームが正確であると判定するステップとを含む。
【0013】
本発明の一実施例によれば、アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいである。
【0014】
本発明の他の態様によれば、アレイアンテナを測定するビーム合成装置を提供する。
【0015】
該アレイアンテナを測定するビーム合成装置は、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報である取得モジュールと、各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得るための計算補正ユニットと、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るための合成ユニットと、を含む。
【0016】
本発明の一実施例によれば、計算補正ユニットは、各アンテナユニットの位相パターンを計算するための第1計算ユニットと、各アンテナユニットの位相及び第1距離値を位相補正式に代入して、各アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各アンテナユニットの位相パターンを補正するための補正ユニットとを含み、位相補正式は、
である。
【0017】
式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
はアンテナユニットiの位相であり、
はアンテナユニットiの第1距離値であり、
はアレイアンテナから発する電磁波の波長である(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である)。
【0018】
本発明の一実施例によれば、合成ユニットは、各アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各アンテナユニットの偏向角が同じである第1取得サブモジュールと、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、アンテナビームを算出するための第2計算ユニットとを含み、計算式は、
である。
【0019】
式中,
はアンテナビームであり、A
iはアンテナユニットiの振幅であり、eは自然定数を示し、dは第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、
は偏向角である。
【0020】
本発明の一実施例によれば、ビーム合成装置はさらに、複数のアンテナユニットの遠視野パターンを取得するための第2取得サブモジュールと、アンテナビームに基づいて、アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、複数のアンテナユニットの遠視野パターン及びアンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するための比較ユニットと、一致すれば、計算して得られたアンテナビームが正確であると判定するための判定ユニットとを含む。
【0021】
本発明の一実施例によれば、アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は、本発明は、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、次に各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得、最後に各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得ることにより、シングルアンテナをテストする遠距離場データによりビーム合成することで、送信機の指向性パターン付きの等価テストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある添付図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【0024】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するビーム合成方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係るアレイの各ユニット間の幾何学的関係を示す図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係るアンテナパターンである。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係るアンテナとレドームとの組み合わせのアンテナパターンである。
【
図5】
図5は本発明の実施例に係るビームを合成するアンテナパターンである。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するビーム合成装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例における添付図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は本発明の実施例のすべてではなく、その一部に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0026】
本発明の実施例によれば、アレイアンテナを測定するビーム合成方法を提供する。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するビーム合成方法は、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報であるステップS101と、各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得るステップS103と、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るステップS105とを含む。
【0028】
本発明の上記技術的解決手段によれば、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、次に各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得、最後に各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得ることにより、シングルアンテナをテストする遠距離場データによりビーム合成することで、送信機の指向性パターン付きの等価テストを実現することができる。
【0029】
本発明の技術的解決手段を容易に理解するために、以下具体的な実施例によって詳細に説明する。
【0030】
本発明は、アレイアンテナを測定するビーム合成方法を開示し、該ビーム合成方法は、ステップS1、S2及びS3を含む。
【0031】
ステップS1:各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報である。
【0032】
該ステップS1において、
図2に示すように、01、02…Oiはアレイアンテナにおける構成により設けられる複数のアンテナユニットを示し、前記複数のアンテナユニットは直線の構成により設けられ、当然のことながら、前記複数のアンテナユニットはさらに必要に応じて設けられてもよく、例えば、本発明の一実施例によれば、前記複数のアンテナユニットを円形に設け、本発明はこれに限定されない。また、前記複数のアンテナユニットの偏向方向が一致しており、偏向角がいずれも
(theta)であり、同時に、さらに前記複数のアンテナユニットの振幅、位相及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報である。
【0033】
ステップS2:各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得る。
【0034】
該ステップS2において、該ステップS2は、各アンテナユニットの位相パターンを計算することと、各アンテナユニットの位相及び第1距離値を位相補正式に代入して、各アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各アンテナユニットの位相パターンを補正することとを含み、位相補正式は、
である。
【0035】
式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
はアンテナユニットiの位相であり、
はアンテナユニットiの第1距離値であり、
はアレイアンテナから発する電磁波の波長であり(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である)、アンテナの位相パターンを測定することにより、アンテナの位相パターンを補正する。
【0036】
ステップS3:各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得る。
【0037】
該ステップS3において、該ステップS3は、各アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各アンテナユニットの偏向角が同じであることと、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、アンテナビームを算出することとを含み、計算式は、
である。
【0038】
式中,
はアンテナビームであり、A
iはアンテナユニットiの振幅であり、eは自然定数を示し、dは第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、
は偏向角であり、多重信号を合成して、合成した位相パターンを取得し、前記計算式により計算する。
【0039】
また、アレイアンテナにおける複数のアンテナ素子が一致している場合には、そのうちの1つのアンテナユニット(又はシングルアンテナ)の位相パターンを補正すればよく、アンテナユニット毎に動作させる必要がなく、非常に時間を節約することができ、複数のアンテナユニットが一致しているとは、複数のアンテナユニットの仕様及びサイズなどが一致していることをいう。
【0040】
本発明の一実施例によれば、ビーム合成方法はさらに、複数のアンテナユニットの遠視野パターンを取得するステップと、アンテナビームに基づいて、アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、複数のアンテナユニットの遠視野パターン及びアンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するステップと、一致すれば、計算して得られたアンテナビームが正確であると判定するステップとを含む。
【0041】
該実施例では、引き続き
図3を参照すると、4つのアンテナユニットの指向性パターンが示されており、引き続き
図4を参照すると、アンテナユニットとレドームとの組み合わせの指向性パターンが示されており、引き続き
図5を参照すると、4つの合成ビームの指向性パターンが示されており、該合成ビームの最大レベルが上がり、メインローブが10°程度シフトし、マルチレベルサイドローブが発生することにより、ビーム合成アルゴリズムが検証される。
【0042】
本発明の一実施例によれば、アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいである。また、当然のことながら、当業者であれば、実際の要求に応じて2つのアンテナユニット間の距離を設定することも可能であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
また、アレイアンテナを測定するビーム合成方法が航空宇宙、民生分野などにも用いることができ、アレイアンテナの合成パターン及び合成ビームでのレドームの電気特性を等価的に知ることができる。
【0044】
本発明の実施例によれば、アレイアンテナを測定するビーム合成装置をさらに提供する。
図6に示すように、本発明の実施例に係るアレイアンテナを測定するビーム合成装置は、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、相関距離値が第1距離値及び第2距離値を含み、第1距離値が各アンテナユニットと回転テーブル中心との距離情報であり、第2距離値が各アンテナユニットと隣接するアンテナユニットとの距離情報である取得モジュール61と、各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得るための計算補正ユニット62と、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得るための合成ユニット63とを含む。
【0045】
本発明の一実施例によれば、計算補正ユニット62は、各アンテナユニットの位相パターンを計算するための第1計算ユニット(図示せず)と、各アンテナユニットの位相及び第1距離値を位相補正式に代入して、各アンテナユニットの位相誤差値を得ることにより、各アンテナユニットの位相パターンを補正するための補正ユニット(図示せず)とを含み、位相補正式は、
である。
【0046】
式中、
はアンテナユニットiの位相誤差値であり、
はアンテナユニットiの位相であり、
はアンテナユニットiの第1距離値であり、
はアレイアンテナから発する電磁波の波長である(ただし、iは1超n未満の自然数であり、且つnはアンテナの数である)。
【0047】
本発明の一実施例によれば、合成ユニット63は、各アンテナユニットの無線周波数信号の偏向角を取得し、各アンテナユニットの偏向角が同じである第1取得サブモジュール(図示せず)と、各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、アンテナビームを算出するための第2計算ユニット(図示せず)とを含み、計算式は、
である。
【0048】
式中,
はアンテナビームであり、A
iはアンテナユニットiの振幅であり、eは自然定数を示し、dは第2距離値であり、kは電磁波伝搬ベクトルであり、
は偏向角である。
【0049】
本発明の一実施例によれば、ビーム合成装置はさらに、複数のアンテナユニットの遠視野パターンを取得するための第2取得サブモジュール(図示せず)と、アンテナビームに基づいて、アンテナビームの遠視野パターンを生成するとともに、複数のアンテナユニットの遠視野パターン及びアンテナビームの遠視野パターンにおけるアンテナ信号のトレンドを比較するための比較ユニット(図示せず)と、一致すれば、計算して得られたアンテナビームが正確であると判定するための判定ユニット(図示せず)とを含む。
【0050】
本発明の一実施例によれば、アンテナアレイにおいて、任意の2つのアンテナユニット間の第2距離値は等しいである。
【0051】
要約すると、本発明の上記技術的解決手段によれば、各アンテナユニットの位相、振幅及び相関距離値を取得し、次に各アンテナユニットの位相パターンを計算するとともに、各アンテナユニットの位相及び第1距離値に基づいて、各アンテナユニットの位相パターンを補正して、各アンテナユニットの位相誤差値を得、最後に各アンテナユニットの位相、振幅、第2距離値及び位相誤差値に基づいて、複数のアンテナユニットの無線周波数信号を合成して、アンテナビームを得ることにより、シングルアンテナをテストする遠距離場データによりビーム合成することで、送信機の指向性パターン付きの等価テストを実現することができる。
【0052】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の精神及び原則内で行われるあらゆる修正、同等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。